JP2022107267A - 放射線硬化型インクジェット組成物及びインクセット - Google Patents

放射線硬化型インクジェット組成物及びインクセット Download PDF

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Abstract

【課題】色域のカバー率を上げつつ、屋外設置時の印刷塗膜の割れ(塗膜クラック)を防止できる放射線硬化型インクジェット組成物を提供する。【解決手段】重合性化合物として、単官能の重合性化合物を前記重合性化合物の総量に対し78質量%以上含み、色材として、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。【選択図】なし

Description

本発明は、放射線硬化型インクジェット組成物及びインクセットに関する。
近年、高い耐水性、耐溶剤性、及び耐擦過性などを有する画像を記録媒体の表面に形成するため、インクジェット方式の記録方法において放射線を照射すると硬化する、放射線硬化型のインクジェット組成物が使用されている。
そして、放射線硬化型のインクジェット組成物によって形成される画像において色域のカバー率を上げる目的で、通常用いられる、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクおよびブラックインク以外の色のインク(特色インク)の検討がされている。
例えば、特許文献1には、C.I.ピグメントオレンジ36等の顔料と、TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート)やTMPTA(トリメチロールプロパントリアクリレート)等の多官能の光重合性化合物と、を含有する紫外線硬化型のオレンジインクが開示されている。
国際公開第2018/131400号
しかしながら、特色インクを用いて色域のカバー率を上げた画像を形成したとしても、このような印刷物を屋外に設置する場合には印刷塗膜が割れやすいという問題がある。その一方で、印刷塗膜が割れることを防止するため、特色インクを用いないで画像を形成する場合には、色域のカバー率を上げることはできない。したがって、色域のカバー率を上げつつ、屋外設置時の印刷塗膜の割れ(塗膜クラック)を防止できるようにすることが要求される。
本発明に係る放射線硬化型インクジェット組成物の一態様は、
重合性化合物として、単官能の重合性化合物を前記重合性化合物の総量に対し78質量%以上含み、
色材として、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである。
本発明に係るインクセットの一態様は、
シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物と、ブラックインク組成物と、及び上記態様の放射線硬化型インクジェット組成物とを含むものである。
以下に、本発明の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお、以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.放射線硬化型インクジェット組成物
本発明の一実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、単官能の重合性化合物を前記重合性化合物の総量に対し78質量%以上含み、色材として、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、「特定の顔料」ともいう。)を含むものである。
色材として特定の顔料を含む特色インクを用いて、色域のカバー率を上げた画像を形成したとしても、このような印刷物を屋外に設置する場合には印刷塗膜の割れが発生しやすい。その一方で、色材として特定の顔料を含む特色インクを用いないで画像を形成する場合には、色域のカバー率を上げることはできない。これに対して、本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物(以下、「インクジェット組成物」又は単に「組成物」ともいう。)によれば、色材として特定の顔料を含むことで色域のカバー率を上げつつ、単官能の重合性化合物を重合性化合物の総量(100質量%)に対して所定量以上含むことにより塗膜の延伸性を向上させ、屋外設置時の印刷塗膜の割れ(塗膜クラック)を防止することができる。すなわち、本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物によれば、色域を拡げられるとともに、拡げた色域を保護可能な放射線硬化型インクジェット組成物を提供できる。
以下、本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物に含有される各成分について説明する。
1.1.重合性化合物
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、重合性化合物として、単官能の重合性化合物(以下、「単官能モノマー」ともいう。)を重合性化合物の総量に対し78質量%以上含むものである。
1.1.1.単官能の重合性化合物
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物に含まれる単官能の重合性化合物の含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対し78質量%以上含むものである。好ましくは82質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは93質量%以上である。単官能モノマーの含有量が上記範囲内であると、塗膜の延伸性が向上し、屋外設置をする場合であっても、塗膜の割れを防止することができる。また、単官能の重合性化合物の含有量の上限は、特に制限されないが、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下であり、さらに好ましくは97質量%以下である。単官能モノマーの含有量が重合性化合物の総量に対して99質量%以下であることにより、耐擦過性がより向上する傾向にある。
また、単官能モノマーの含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは82質量%以上である。単官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して70質量%以上であることにより、塗膜の柔軟性及び密着性がより向上する傾向にある。また、単官能モノマーの含有量の上限は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは92質量%以下であり、より好ましくは90質量%以下であり、さらに好ましくは88質量%以下である。単官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して92質量%以下であることにより、耐擦過性がより向上する傾向にある。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物に含まれる単官能の重合性化合物としては、特に制限されないが、例えば、多環炭化水素基を有する単官能アクリレート、窒素含有単官能モノマー、芳香族基含有単官能モノマー、飽和脂肪族基含有単官能モノマーが挙げられる。また、必要に応じてその他の単官能モノマーを含んでもよい。なお、その他の単官能モノマーとしては、特に限定されないが、従来公知の、重合性官能基、特に炭素間の不飽和二重結合を有する重合性官能基を有する単官能モノマーが使用可能である。
以下、単官能モノマーについて例示するが、本実施形態における単官能モノマーは以下に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
1.1.1.1.多環炭化水素基を有する単官能アクリレート
多環炭化水素基を有する単官能アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、ジシクロペンテニルアクリレート(DCPA)、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート等の不飽和の多環炭化水素基を有するアクリレート;ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート(IBXA)等の飽和の多環炭化水素基を有するアクリレートが挙げられる。このなかでも、飽和の多環炭化水素基を有するアクリレートが好ましく、少なくともイソボルニルアクリレート(IBXA)を含むことがより好ましい。このような多環炭化水素基を有する単官能アクリレートを用いることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。
多環炭化水素基を有する単官能アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは5~45質量%であり、より好ましくは10~40質量%であり、さらに好ましくは15~35質量%である。重合性化合物の総量に対する多環炭化水素基を有する単官能アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。
多環炭化水素基を有する単官能アクリレートの含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは5~40質量%であり、より好ましくは10~40質量%であり、さらに好ましくは15~35質量%である。組成物の総量に対する多環炭化水素基を有する単官能アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。
1.1.1.2.窒素含有単官能モノマー
窒素含有単官能モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、N-ビニルカプロラクタム(NVC)、ビニルメチルオキサゾリジノン(VMOX)、N-ビニルフォルムアミド、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルアセトアミド及びN-ビニルピロリドン等の窒素含有単官能ビニルモノマー;アクリロイルモルフォリン(ACMO)等の窒素含有単官能アクリレートモノマー;(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩等の(メタ)アクリルアミド等の窒素含有単官能アクリルアミドモノマーが挙げられる。なお、本発明において「N-ビニル化合物」とは、窒素含有単官能ビニルモノマーのことをいい、窒素含有単官能アクリレートモノマー及び窒素含有単官能アクリルアミドモノマーは含まれないものとする。
これらのなかでも、窒素含有単官能ビニルモノマー又は窒素含有単官能アクリレートモノマーの何れかを含むことが好ましく、N-ビニルカプロラクタム(NVC)、ビニルメチルオキサゾリジノン(VMOX)、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、又はアクリロイルモルフォリン(ACMO)などの含窒素複素環構造を有するモノマーがより好ましく、アクリロイルモルフォリン(ACMO)を含むことがさらに好ましい。
このような窒素含有単官能モノマーを用いることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。さらに、N-ビニルカプロラクタム等の含窒素複素環構造を有する窒素含有単官能ビニルモノマーは塗膜の柔軟性をより向上させ、アクリロイルモルフォリン等の含窒素複素環構造を有する窒素含有単官能アクリレートモノマーは組成物の臭気をより低減させる傾向にある。
窒素含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは5~40質量%であり、より好ましくは5~35質量%であり、さらに好ましくは、5~30質量%である。窒素含有単官能モノマーの含有量が重合性化合物の総量に対して5質量%以上であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。また、窒素含有単官能モノマーの含有量が重合性化合物の総量に対して40質量%以下であることにより、密着性がより向上する傾向にある。
窒素含有単官能モノマーの含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは5~35質量%であり、より好ましくは5~30質量%であり、さらに好ましくは、5~25質量%である。窒素含有単官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して5質量%以上であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。また、窒素含有単官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して35質量%以下であることにより、密着性がより向上する傾向にある。
また、N-ビニル化合物の含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対し5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2.5質量%以下であることが特に好ましい。N-ビニル化合物の含有量が上記範囲内であると、得られる塗膜がより平滑となるため、発色性が向上する傾向にある。
N-ビニル化合物の含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、5質量%以下であることが好ましく、4質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、2.5質量%以下であることが特に好ましい。N-ビニル化合物の含有量が上記範囲内であると、得られる塗膜がより平滑となるため、発色性が向上する傾向にある。
1.1.1.3.芳香族基含有単官能モノマー
芳香族基含有単官能モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、及び2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、フェノキシエチルアクリレート(PEA)がさらに好ましい。このような芳香族基含有単官能モノマーを用いることにより、重合開始剤の溶解性がより向上し、組成物の硬化性がより向上する傾向にある。特に、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤やチオキサントン系重合開始剤を用いる場合にその溶解性が良好となる傾向にある。また、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを用いることにより、さらに臭気を低減できる傾向にある。
なお、本実施形態において、芳香族基含有単官能モノマーは、多環炭化水素基を有する化合物でないものとする。
芳香族基含有単官能モノマーを、他の表現により例示すると、芳香族基含有単官能モノマーとしては、下記の一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
CH=CR-COOR-Ar ・・・ (1)
CH=CR-COO-Ar ・・・ (2)
(上記式(1)及び(2)中、Rは水素原子又はメチル基である。上記式(1)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子がRで表される基に結合している1価の有機残基であり、またRは炭素数1~4の2価の有機残基である。上記式(2)中、芳香環骨格を表すArは、少なくともアリール基を1個有し、当該アリール基を構成する炭素原子が当該式中の-COO-に結合している1価の有機残基である。)
上記の一般式(1)において、Rで表される基としては、炭素数1~4の直鎖状、分枝状、又は環状の、置換されていてもよいアルキレン基、並びに構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する、置換されていてもよい炭素数1~4のアルキレン基が好ましく挙げられる。これらの中でも、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数1~4のアルキレン基、並びにオキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数1~4のアルキレン基が好適に用いられる。上記有機残基が置換されていてもよい基である場合、置換基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシル基、アルコキシ基、水酸基、及びハロ基が挙げられ、置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。
上記の一般式(1)及び(2)において、Ar(アリール)(芳香環骨格)に少なくとも1個含まれるアリール基としては、以下に限定されないが、例えば、フェニル基及びナフチル基が挙げられる。アリール基の数は1以上であり、好ましくは1又は2である。ア
リール基は、当該基を構成する炭素原子のうち、式(1)中のRで表される有機残基に結合する炭素原子、式(2)における-COO-に結合する炭素原子、及びアリール基を複数有する場合にはアリール基同士を結び付ける炭素原子、以外の炭素原子に置換されていてもよい。置換されている場合、アリール基1個当たりの置換数は1以上であり、好ましくは1又は2である。置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~10の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基及びアルコキシ基、カルボキシル基、ハロ基、並びに水酸基が挙げられる。
芳香族基含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは30~55質量%であり、より好ましくは35~50質量%であり、さらに好ましくは、40~45質量%である。重合性化合物の総量に対する芳香族基含有単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。
芳香族基含有単官能モノマーの含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは20~50質量%であり、より好ましくは25~45質量%であり、さらに好ましくは、30~40質量%である。組成物の総量に対する芳香族基含有単官能モノマーの含有量が上記範囲内であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。
1.1.1.4.飽和脂肪族基含有単官能モノマー
飽和脂肪族基含有単官能モノマーとしては、特に制限されないが、例えば、tertブチルシクロヘキサノールアクリレート(TBCHA)、2-(メタ)アクリル酸-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デシ-2-イルメチル等の脂環属基含有単官能モノマー;イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の直鎖又は分岐鎖の脂肪属基含有単官能モノマー;ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレートが挙げられる。このなかでも、脂環属基含有単官能モノマーが好ましい。このような飽和脂肪族基含有単官能モノマーを用いることにより、組成物の硬化性がより向上する傾向にある。
なお、本実施形態において、飽和脂肪族基含有単官能モノマーは、多環炭化水素基を有する化合物でないものとする。
飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは3~15質量%であり、さらに好ましくは5~12質量%である。飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量が重合性化合物の総量に対して1質量%以上であることにより、塗膜の柔軟性及び密着性がより向上する傾向にある。また、飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量が重合性化合物の総量に対して20質量%以下であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。
飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは1~15質量%であり、より好ましくは3~12質量%であり、さらに好ましくは5~10質量%である。飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して1質量%以上であることにより、塗膜の柔軟性及び密着性がより向上する傾向にある。また、飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して15質量%以下であることにより、塗膜の耐擦過性がより向上する傾向にある。
1.1.1.5.その他
その他の単官能モノマーとしては、上記の他に、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸及びマレイン酸等の不飽和カルボン酸;該不飽和カルボン酸の塩;不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミド及び無水物;アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタンを用いてもよい。
1.1.2.多官能の重合性化合物
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、多官能の重合性化合物(以下、「多官能モノマー」ともいう。)を含有してもよい。多官能モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート、2官能(メタ)アクリレート、3官能以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、多官能モノマーは、上記に限定されるものではない。
多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。多官能モノマーの含有量が重合性化合物の総量に対して1質量%以上であることにより、耐擦過性がより向上する傾向にある。また、多官能モノマーの含有量の上限は、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、一層好ましくは7質量%以下である。多官能モノマーの含有量が重合性化合物の総量に対して20質量%以下であることにより、塗膜の柔軟性及び密着性がより向上する傾向にある。
また、多官能モノマーの含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。多官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して1質量%以上であることにより、耐擦過性がより向上する傾向にある。また、多官能モノマーの含有量の上限は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、一層好ましくは8質量%以下である。多官能モノマーの含有量が組成物の総量に対して20質量%以下であることにより、塗膜の柔軟性及び密着性がより向上する傾向にある。
以下、多官能モノマーについて例示するが、本実施形態における多官能モノマーは以下に限定されるものではない。
1.1.2.1.ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、下記式(3)で表される化合物が挙げられる。このようなビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含むことにより、組成物の粘度が低下し、吐出安定性がより向上する傾向にある。また、組成物の硬化性がより向上するとともに、硬化性の向上に伴って記録速度をより高速化することが可能となる。
CH=CR-COOR-O-CH=CH-R ・・・ (3)
(式中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは炭素数2~20の2価の有機残基であり、Rは水素原子又は炭素数1~11の1価の有機残基である。)
上記式(3)において、Rで表される炭素数2~20の2価の有機残基としては、炭素数2~20の直鎖状、分枝状又は環状の、置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合及び/又はエステル結合による酸素原子を有する、置換されていてもよい炭素数2~20のアルキレン基、炭素数6~11の、置換されていてもよい2価の芳香族基が挙げられる。これらの中でも、エチレン基、n-プロピレン基、イソプロピレン基、及びブチレン基などの炭素数2~6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2~9のアルキレン基が好ましい。さらに、組成物をより低粘度化でき、かつ、組成物の硬化性をさらに良好にする観点から、Rが、オキシエチレン基、オキシn-プロピレン基、オキシイソプロピレン基、及びオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2~9のアルキレン基となっている、グリコールエーテル鎖を有する化合物がより好ましい。
上記式(3)において、Rで表される炭素数1~11の1価の有機残基としては、炭素数1~10の直鎖状、分枝状又は環状の、置換されていてもよいアルキル基、炭素数6~11の、置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基又はエチル基である炭素数1~2のアルキル基、フェニル基及びベンジル基などの炭素数6~8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基及び炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基として、以下に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。次に、炭素原子を含まない基として、以下に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
式(3)の化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o-ビニロキシメチルフェニルメチル、メタアクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、及び(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。これらの具体例のうち、組成物の硬化性、粘度のバランスがとりやすい点で、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルが特に好ましい。なお、本実施形態において、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルは、VEEAということもある。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.5~20質量%であり、より好ましくは0.75~15質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%である。重合性化合物の総量に対するビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、組成物の粘度が低下し、吐出安定性がより向上する傾向にある。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.5~20質量%であり、より好ましくは0.75~15質量%であり、さらに好ましくは1~12質量%である。重合性化合物の総量に対するビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量が上記範囲内であることにより、組成物の粘度が低下し、吐出安定性がより向上する傾向にある。
1.1.2.2. 2官能(メタ)アクリレート
2官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
1.1.2.3. 3官能以上の多官能(メタ)アクリレート
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、特に制限されないが、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
1.1.3.重合性化合物のガラス転移温度
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物において、重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均は42℃以上であることが好ましく、44℃以上であることがより好ましく、46℃以上であることがさらに好ましく、48℃以上であることが特に好ましい。各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均が上記範囲内であると、室温での塗膜の耐擦過性を高めることができる。また、各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均の上限は、特に制限されないが、60℃以下であることが好ましく、55℃以下であることがより好ましく、55℃以下であることがさらに好ましい。
ガラス転移温度の加重平均の計算方法について説明する。ガラス転移温度の加重平均の値をTgAll、各重合性化合物のホモポリマーのガラス転移温度をTg、その重合性化合物の含有質量比をX(質量%)とする。Nは放射線硬化型インクジェット組成物に含まれる重合性化合物の種類に応じ、1から順に数字が入る。例えば3種類の重合性化合物を用いた場合、Tg、Tg、Tgが生じる。なお各重合性化合物のホモポリマーのガラス転移温度は、その重合性化合物の安全データシート(SDS)やカタログ情報により入手することができる。ガラス転移温度の加重平均TgAllは、各重合性化合物によって計算されたガラス転移温度Tgと、含有量Xとの積の総和である。したがって下記式(4)が成り立つ。
TgAll=ΣTg×X・・・(4)
なお、ガラス転移温度の加重平均は、用いる重合性化合物のガラス転移温度、並びに、用いる重合性化合物の含有質量比により、調整することができる。
1.2.色材
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、色材として、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種(以下、「特定の顔料」ともいう。)を含むものである。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、色材として上記特定の顔料を少なくとも1種含むことで色域のカバー率を上げることが可能となる。
また、これら特定の顔料の中でも、C.I.ピグメントオレンジ43又はC.I.ピグメントレッド254を含むことがより好ましい。色材として、C.I.ピグメントオレンジ43又はC.I.ピグメントレッド254を含む場合には、後述する、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物及びブラックインク組成物を組み合わせた場合、より色域のカバー率を向上させることが可能である。また、色材に日光が照射された際の退色を防止することができる。
色材の含有量の下限値は、放射線硬化型インクジェット組成物の総量(100質量%)に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、色材の含有量の上限値は、放射線硬化型インクジェット組成物の総量(100質量%)に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。色材の含有量が上記範囲内であると、色域のカバー率がより向上する傾向にある。
<分散剤>
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、顔料分散性をより良好なものとするため、分散剤をさらに含有することが好ましい。分散剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。その具体例として、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマー及びコポリマー、アクリル系ポリマー及びコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、及びエポキシ樹脂のうち一種以上を主成分とするものが挙げられる。
高分子分散剤の市販品として、味の素ファインテクノ社製のアジスパーシリーズ、アベシア(Avecia)社やノベオン(Noveon)社から入手可能なソルスパーズシリーズ(Solsperse36000等)、BYK Additives&Instruments社製のディスパービックシリーズ、楠本化成社製のディスパロンシリーズが挙げられる。
分散剤の含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.1~2質量%であり、より好ましくは0.1~1.5質量%であり、さらに好ましくは0.5~1.0質量%である。
<その他の色材>
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、上記特定の顔料以外の色材を含んでもよい。その他の色材としては、顔料や染料を用いることができる。
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラック系の顔料であるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイト系の顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる。
イエロー系の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180が挙げられる。
マゼンタ系の顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、178、184、185、187、202、209、219、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、33、36、38、43、50が挙げられる。
シアン系の顔料としては、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー系以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、40、63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50nm~200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、放射線硬化型インクジェット組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。ここで、本明細書における平均粒子径は、動的光散乱法により測定されたDv50の値とした。
また、染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1.3.その他の成分
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、重合開始剤、重合禁止剤、スリップ剤等を含んでもよい。
<重合開始剤>
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、放射線を照射することにより、活性種を生じる重合開始剤を含有することが好ましい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤、アルキルフェノン系重合開始剤、チタノセン系重合開始剤、チオキサントン系重合開始剤等の公知の重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤が好ましい。このような重合開始剤を用いることにより、組成物の硬化性がより向上し、特にUV-LEDの光による硬化プロセスによる硬化性がより向上する傾向にある。
アシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤としては、特に制限されないが、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
このようなアシルフォスフィンオキサイド系重合開始剤の市販品としては、例えば、IRGACURE 819(ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 1800(ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドと、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトンの質量比25:75の混合物)、IRGACURE TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)(以上全てBASF社製)等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは1~20質量%であり、より好ましくは3~15質量%であり、さらに好ましくは5~10質量%であり、特に好ましくは7~9質量%である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であることにより、組成物の硬化性及び重合開始剤の溶解性がより向上する傾向にある。
<重合禁止剤>
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、重合禁止剤をさらに含んでもよい。重合禁止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合禁止剤としては、以下に限定されないが、例えば、p-メトキシフェノール、ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-N-オキシル、ヒドロキノン、クレゾール、t-ブチルカテコール、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-ブチルフェノール)、及び4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
重合禁止剤の含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.05~1質量%であり、より好ましくは0.05~0.5質量%である。
<スリップ剤>
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、スリップ剤をさらに含んでもよい。スリップ剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
スリップ剤としては、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエステル変性シリコーンまたはポリエーテル変性シリコーンであることがより好ましい。ポリエーテル変性シリコーンとしては、BYK-378、3455、BYK-UV3500、3510、3530(以上、BYK Additives&Instruments社製)等が挙げられ、ポリエステル変性シリコーンとしては、BYK-3570(BYK Additives&Instruments社製)等が挙げられる。
スリップ剤の含有量は、組成物の総量(100質量%)に対して、好ましくは0.01~2質量%であり、より好ましくは0.05~1質量%である。
なお、本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物は、光増感剤をさらに含んでもよい。
1.4.物性
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における粘度は、好ましくは25mPa・s以下であり、より好ましくは5mPa・s~25mPa・sである。組成物の20℃における粘度が上記範囲内であることにより、ノズルから組成物が適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、粘度の測定は、粘弾性試験機「MCR-300」(Pysica社製)を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10~1000に上げていき、Shear Rate200時の粘度を読み取ることにより測定することができる。
本実施形態に係る放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m以上、40mN/m以下である。放射線硬化型インクジェット組成物の20℃における表面張力がこの範囲にあると、組成物が撥液処理されたノズル面へ濡れにくくなる。これにより、ノズルから組成物が正常かつ適量吐出され、組成物の飛行曲がりや飛散を一層低減することができるため、インクジェット記録装置に好適に使用することができる。なお、表面張力の測定は、自動表面張力計「CBVP-Z」(協和界面科学社製)を用いて、20℃の環境下で白金プレートを放射線硬化型インクジェット組成物で濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することができる。
1.5.組成物の製造方法
放射線硬化型インクジェット組成物の製造(調製)は、組成物に含有する各成分を混合し、成分が充分均一に混合するよう撹拌することにより行う。本実施形態において、放射線硬化型インクジェット組成物の調製は、調製の過程において、重合開始剤と重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に対して、超音波処理と加温処理の少なくとも何れかを施す工程を有することが好ましい。これにより、調製後の組成物の溶存酸素量を低減することができ、吐出安定性や保存安定性に優れた放射線硬化型インクジェット組成物とすることができる。上記混合物は、少なくとも上記の成分を含むものであればよく、放射線硬化型インクジェット組成物に含む他の成分を更に含むものでも良いし、放射線硬化型インクジェット組成物に含む全ての成分を含むものでもよい。混合物に含む重合性化合物は、放射線硬化型インクジェット組成物に含む重合性化合物の少なくとも一部であればよい。
2.インクセット
本発明の一実施形態に係るインクセットは、シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物と、ブラックインク組成物と、及び上述の放射線硬化型インクジェット組成物とを含むものである。
色材として特定の顔料を含む特色インクを構成するインクセットを用いて、色域のカバー率を上げた画像を形成したとしても、このような印刷物を屋外に設置する場合には印刷塗膜の割れが発生しやすい。その一方で、インクセットにおいて色材として特定の顔料を含む特色インクを用いないで画像を形成する場合には、色域のカバー率を上げることはできない。これに対して、本実施形態に係るインクセットによれば、インクセットを構成する放射線硬化型インクジェット組成物において、色材として特定の顔料を少なくとも1種含むことで色域のカバー率を上げることができるとともに、単官能の重合性化合物を重合性化合物の総量(100質量%)に対して所定量以上含むことにより塗膜の延伸性を向上させ、屋外設置時の印刷塗膜の割れ(塗膜クラック)を防止することができる。すなわち、本実施形態に係るインクセットによれば、色域を拡げられるとともに、拡げた色域を保護可能なインクセットを提供できる。
以下、本実施形態に係るインクセットに含まれる、シアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物、及びブラックインク組成物について説明する。なお、本実施形態に係るインクセットに含まれる放射線硬化型インクジェット組成物は、上述した通りであるため説明を省略する。
2.1.シアンインク組成物
本実施形態に係るインクセットは、シアンインク組成物を含むものである。以下、シアンインク組成物に含有され得る各成分について説明する。
2.1.1.色材
本実施形態に係るインクセットに含まれるシアンインク組成物は、色材を含有することが好ましい。シアンインク組成物に用いられる色材としては、特に制限されないが、例えば、C.I.ピグメントブルー 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー 4、60が挙げられる。
<その他の色材>
本実施形態に係るインクセットに含まれるシアンインク組成物は、上記以外の色材を含んでもよい。そのような色材としては、顔料であってもよいし、染料であってもよい。
顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料が挙げられる。
更に詳しく言えば、ブラック系の顔料であるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
ホワイト系の顔料としては、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21が挙げられる
イエロー系の顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180が挙げられる。
マゼンタ系の顔料としては、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー系以外の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7、10、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63が挙げられる。
上記顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また上記の顔料を使用する場合、その平均粒子径は300nm以下が好ましく、50nm~200nmがより好ましい。平均粒子径が上記の範囲内にあると、シアンインク組成物における吐出安定性や分散安定性などの信頼性に一層優れるとともに、優れた画質の画像を形成することができる。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能である。染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー17、23、42、44、79、142、C.I.アシッドレッド52、80、82、249、254、289、C.I.アシッドブルー9、45、249、C.I.アシッドブラック1、2、24、94、C.I.フードブラック1、2、C.I.ダイレクトイエロー1、12、24、33、50、55、58、86、132、142、144、173、C.I.ダイレクトレッド1、4、9、80、81、225、227、C.I.ダイレクトブルー1、2、15、71、86、87、98、165、199、202、C.I.ダイレクトブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14、32、55、79、249、C.I.リアクティブブラック3、4、35が挙げられる。
上記染料は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
色材の含有量の下限値は、シアンインク組成物の総量(100質量%)に対して、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましい。また、色材の含有量の上限値は、シアンインク組成物の総量(100質量%)に対して、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。色材の含有量が上記範囲内であると、色域のカバー率がより向上する場合がある。
2.1.2.その他の成分
本実施形態に係るインクセットに含まれるシアンインク組成物が含有し得る、色材以外の成分としては、上述の放射線硬化型インクジェット組成物と同様であるため説明を省略する。
2.2.マゼンタインク組成物
本実施形態に係るインクセットは、マゼンタインク組成物を含むものである。以下、マゼンタインク組成物に含有され得る各成分について説明する。
2.2.1.色材
本実施形態に係るインクセットに含まれるマゼンタインク組成物は、色材を含有することが好ましい。マゼンタインク組成物に用いられる色材としては、特に制限されないが、例えば、C.I.ピグメントレッド 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、又はC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50が挙げられる。
本実施形態に係るインクセットに含まれるマゼンタインク組成物は、上記色材以外の色材として、上述のシアンインク組成物に含有し得る色材を含んでもよく、含有量等についても同様であるため説明を省略する。
2.2.2.その他の成分
本実施形態に係るインクセットに含まれるマゼンタインク組成物が含有し得る、色材以外の成分としては、上述の放射線硬化型インクジェット組成物と同様であるため説明を省略する。
2.3.イエローインク組成物
本実施形態に係るインクセットは、イエローインク組成物を含むものである。以下、イエローインク組成物に含有され得る各成分について説明する。
2.3.1.色材
本実施形態に係るインクセットに含まれるイエローインク組成物は、色材を含有することが好ましい。イエローインク組成物に用いられる色材としては、特に制限されないが、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、167、172、180が挙げられる。
本実施形態に係るインクセットに含まれるイエローインク組成物は、上記色材以外の色材として、上述のシアンインク組成物に含有し得る色材を含んでもよく、含有量等についても同様であるため説明を省略する。
2.3.2.その他の成分
本実施形態に係るインクセットに含まれるイエローインク組成物が含有し得る、色材以外の成分としては、上述の放射線硬化型インクジェット組成物と同様であるため説明を省略する。
2.4.ブラックインク組成物
本実施形態に係るインクセットは、ブラックインク組成物を含むものである。以下、ブラックインク組成物に含有され得る各成分について説明する。
2.4.1.色材
本実施形態に係るインクセットに含まれるブラックインク組成物は、色材を含有することが好ましい。ブラックインク組成物に用いられる色材としては、特に制限されないが、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類が使用でき、更に詳しく言えば、ブラックに使用されるカーボンブラックとしては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)が挙げられる。
本実施形態に係るインクセットに含まれるブラックインク組成物は、上記色材以外の色材として、上述のシアンインク組成物に含有し得る色材を含んでもよく、含有量等についても同様であるため説明を省略する。
2.4.2.その他の成分
本実施形態に係るインクセットに含まれるブラックインク組成物が含有し得る、色材以外の成分としては、上述の放射線硬化型インクジェット組成物と同様であるため説明を省略する。
3.実施例
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。以下「%」は、特に記載のない限り、質量基準である。
3.1.インクジェット組成物の調製
まず、色材、分散剤、各モノマーの一部を秤量して顔料分散用のタンクに入れ、タンクに直径1mmのセラミック製ビーズミルを入れて攪拌することにより、色材を重合性化合物中に分散させた顔料分散液を得た。次いで、下表1~下表3に記載の組成となるように、ステンレス製容器である混合物用タンクに、残りのモノマー、重合開始剤、重合禁止剤及びスリップ剤を入れ、混合攪拌して完全に溶解させた後、上記で得られた顔料分散液を投入して、さらに常温で1時間混合撹拌し、さらに5μmのメンブランフィルターでろ過することにより各例のインクジェット組成物を得た。
なお、下表1~下表3中の各例に示す各成分の数値は質量%を表す。また、下表1~下表3中に記載の比率は、各構成の質量比率を表す。また、下表1~下表3中の「ビニル化合物」とは、N-ビニル化合物を意味し、該当する場合には「○」と記載した。また、下表3中の「Cy」とはシアンインク組成物を示し、「Ma」とはマゼンタインク組成物を示し、「Ye」とはイエローインク組成物を示し、「Bk」とはブラックインク組成物を示し、「CMYK組成物」とはシアンインク組成物、マゼンタインク組成物、イエローインク組成物及びブラックインク組成物を示す。
なお、下表1~下表3中の「モノマーのTg(℃)」は、各例に含まれるモノマーのガラス転移温度の加重平均を計算した値である。

Figure 2022107267000001

Figure 2022107267000002

Figure 2022107267000003
上表1~上表3に示す各成分について、説明を補足する。
<モノマー>
・NVC(商品名「V-CAP」、ISPジャパン社製、N-ビニルカプロラクタム)
・VMOX(BASF社製、ビニルメチルオキサゾリジノン)
・THFA(商品名「V#150」、大阪有機化学工業社製、テトラヒドロフルフリルアクリレート)
・DCPA(商品名「FA-511AS」、日立化成社製、ジシクロペンテニルアクリレート)
・IBXA(商品名、大阪有機化学工業株式会社製、イソボルニルアクリレート)
・PEA(商品名「ビスコート#192」、大阪有機化学工業株式会社製、フェノキシエチルアクリレート)
・ACMO(商品名、KJケミカルズ株式会社製、アクリロイルモルフォリン)
・BZA(商品名「V#160」、大阪有機化学工業社製、ベンジルアクリレート)
・VEEA(商品名、株式会社日本触媒製、アクリル酸2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル)
・DPGDA(商品名「APG-100」、新中村化学社製、ジプロピレングリコールジアクリレート)
<重合開始剤>
・819(商品名「Omnirad 819」、IGM Resins B.V.社製、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)
・TPO(商品名「Speedcure TPO」、Lambson社製、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド)
<重合禁止剤>
・MEHQ(商品名、関東化学株式会社製、ヒドロキノンモノメチルエーテル)
<スリップ剤>
・BKY-UV3500(商品名、ビックケミー・ジャパン社製、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)
<色材>
・P.O.36(C.I.ピグメントオレンジ36)
・P.O.38(C.I.ピグメントオレンジ38)
・P.O.43(C.I.ピグメントオレンジ43)
・P.O.64(C.I.ピグメントオレンジ64)
・P.O.71(C.I.ピグメントオレンジ71)
・P.O.13(C.I.ピグメントオレンジ13)
・P.R.177(C.I.ピグメントレッド177)
・P.R.179(C.I.ピグメントレッド179)
・P.R.224(C.I.ピグメントレッド224)
・P.R.254(C.I.ピグメントレッド254)
・P.R.255(C.I.ピグメントレッド255)
・P.R.175(C.I.ピグメントレッド175)
・P.V.23(C.I.ピグメントバイオレット23)
・P.V.32(C.I.ピグメントバイオレット32)
・P.V.37(C.I.ピグメントバイオレット37)
・P.V.39(C.I.ピグメントバイオレット39)
・P.G.7(C.I.ピグメントグリーン7)
・P.G.36(C.I.ピグメントグリーン36)
・P.B.15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)
・P.B.25(C.I.ピグメントブルー25)
・P.B.60(C.I.ピグメントブルー60)
・P.B.15:3(C.I.ピグメントブルー15:3)
・P.R.122(C.I.ピグメントレッド122)
・P.Y.155(C.I.ピグメントイエロー155)
・カーボンブラック(カーボンブラック顔料)
<分散剤>
・Solsperse36000(商品名、Lubrizol社製、高分子分散剤)
3.2.評価方法
3.2.1.色耐候性の評価
インクジェットプリンター「PX-G5000」(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、上記で得られた各インクジェット組成物をそれぞれのノズル列に充填した。常温、常圧下でPVCフィルム(3M株式会社製、商品名「IJ180-10」)上に、インクのドット径が中ドットで、初期OD値が0.5、1.0、最大値となるようにDutyを調整しながら印刷を行うと共に、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV-LEDから照射強度が100mW/cmとなるように385nmの波長で第1照射をしてから、照射強度が1000mW/cmで積算光量が700mJ/cmとなるように395nmの波長で第2照射をして画像を硬化させた。以上のようにして、PVCフィルム上に画像が印刷された記録物を作製した。
その後、得られた記録物をキセノンウェザーメーター(スガ試験機株式会社製)のチャンバー内に投入し、下表4に示すような試験条件で「光照射40分間」→「光照射+水降雨20分間」→「光照射60分間」→「水降雨60分間」のサイクル試験を行った。このサイクル試験を12週間連続して行い、12週間後にその記録物を取り出した。取り出した各記録物について、グレタグ濃度計(グレタグマクベス社製)を用いてOD値を測定し、OD値の残存率(%)を求め、初期OD値が0.5、1.0、最大値の3種の記録物のうち、残存率が最も低い記録物を評価の対象とした。耐候性は、下記基準に基づき判定した。
(評価基準)
A:OD値残存率が90%以上
B:OD値残存率が80%以上90%未満
C:OD値残存率が70%以上80%未満
D:OD値残存率が70%未満
Figure 2022107267000004
3.2.2.塗膜クラックの評価
上記「3.2.1.色耐候性の評価」において、12週間連続で行ったサイクル試験後の記録物の塗膜を目視で確認し、下記の評価基準に基づき判定した。
(評価基準)
A:塗膜剥がれ無し
B:クラック、塗膜剥がれ有り
3.2.3.平滑性(発色性)の評価
上記「3.2.1.色耐候性の評価」において作製した記録物の塗膜を、干渉顕微鏡を用いて断面粗さRz(μm)を測定し、下記の評価基準に基づき判定した。なお、断面粗さRz(μm)がより小さいほど光沢感が良好になるため、発色性により優れる。
(評価基準)
A:0.85以下
B:0.85超過1.00未満
C:1.00以上
3.2.4.色域カバー率向上の評価
インクジェットプリンター「PX-G5000」(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、上記で得られた各実施例又は各比較例のインクジェット組成物と、CMYKインクジェット組成物とを組み合わせてノズル列に充填した。常温、常圧下でPVCフィルム(3M株式会社製、商品名「IJ180-10」)上に、インクのドット径が中ドットで印刷物の膜厚が10μmとなるようなベタパターン画像を印刷すると共に、キャリッジの横に搭載した紫外線照射装置内のUV-LEDから照射強度が100mW/cmとなるように385nmの波長で第1照射をしてから、照射強度が1000mW/cmで積算光量が700mJ/cmとなるように395nmの波長で第2照射をして画像を硬化させた。以上のようにして、PVCフィルム上に画像が印刷された記録物を作製した。
また、インクジェットプリンター「PX-G5000」(セイコーエプソン株式会社製)を用いて、上記で得られたCMYKインクジェット組成物をそれぞれノズル列に充填し、上記と同様にして記録物を作製した。
これら2つの記録物において「パントーン(登録商標)」カラーチャートにおけるカバー率を測定し、CMYKインクジェットインク組成物のみを用いて作製された記録物に対して、各実施例及び各比較例の記録物はどの程度カバー率が向上したかを、下記の評価基準より判定した。なお、色域カバー率は顔料に由来するものである。
(評価基準)
A:5%以上
B:3%以上5%未満
C:2%以上3%未満
D:0%以上2%未満
3.2.5.延伸性の評価
バーコーターで、上記で得られた各インクジェット組成物を塩ビフィルム(商品名「JT5829R」、MACtac社製)上に、厚さ10μmになるよう塗布した。次いで、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)を用いて、400mJ/cmのエネルギーで硬化させて塗膜を形成した。上記塗膜を形成した塩ビフィルムの剥離紙を剥がし、幅1cm、長さ8cmの短冊状に切り出して試験片を作製した。各試験片について、引張試験機(商品名「TENSILON」、ORIENTEC社製)を用いて柔軟性としての伸び率を測定した。伸び率は、5mm/minで引っ張った時、クラックが発生した時点での数値とした。その数値は{(クラック時の長さ-延伸前の長さ)/延伸前の長さ×100}より算出した。評価基準を以下に示す。
(評価基準)
A:300%以上
B:250%以上300%未満
C:200%以上250%未満
D:200%未満
3.2.6.耐擦過性の評価
上記「3.2.5.延伸性の評価」において作製した、硬化後の塗膜に対して、JIS R3255に準じてマイクロスクラッチ試験の評価を行った。測定には超薄膜スクラッチ試験機(商品名「CSR-5000」、ナノテック社製)を用いて耐擦過性としての耐荷重を測定した。耐荷重は荷重をかけながらマイクロスクラッチを行い、触針がメディア面に達した時の荷重とした。測定は触針スタイラス径:15μm、振幅:100μm、スクラッチ速度:10μm/secで行った。評価基準は下記のとおりである。
(評価基準)
A:30mN/cm以上
B:25mN/cm以上30mN/cm未満
C:20mN/cm以上25mN/cm未満
D:20mN/cm未満
3.3.評価結果
評価試験の結果を、上表1~上表3に示す。
上記の評価結果より、各実施例では、色域のカバー率を上げつつ、屋外設置時の印刷塗膜の割れ(塗膜クラック)を防止できた。
これに対して、各比較例では、色域のカバー率及び屋外設置時の印刷塗膜の割れ(塗膜クラック)を両立させることができなかった。具体的には、比較例1では、単官能の重合性化合物が所定の範囲内ではないため、塗膜クラックを防止できなかった。また、比較例2,3では、特定の顔料を用いていないため、色域のカバー率を向上させることができなかった。
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
放射線硬化型インクジェット組成物の一態様は、
重合性化合物として、単官能の重合性化合物を前記重合性化合物の総量に対し78質量%以上含み、
色材として、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むものである。
上記放射線硬化型インクジェット組成物の態様において、
前記色材として、C.I.ピグメントオレンジ43又はC.I.ピグメントレッド254を含むものであってもよい。
上記放射線硬化型インクジェット組成物の態様において、
前記重合性化合物として、N-ビニル化合物の含有量は前記重合性化合物の総量に対し5質量%以下であってもよい。
上記放射線硬化型インクジェット組成物の態様において、
前記重合性化合物のうち、前記単官能の重合性化合物を前記重合性化合物の総量に対し90質量%以上含むものであってもよい。
上記放射線硬化型インクジェット組成物の態様において、
前記重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、前記重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)の加重平均は42℃以上であってもよい。
インクセットの一態様は、
シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物と、ブラックインク組成物と、及び上記態様の放射線硬化型インクジェット組成物とを含むものである。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成、を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。

Claims (6)

  1. 重合性化合物として、単官能の重合性化合物を前記重合性化合物の総量に対し78質量%以上含み、
    色材として、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット39、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー25及びC.I.ピグメントブルー60からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、放射線硬化型インクジェット組成物。
  2. 前記色材として、C.I.ピグメントオレンジ43又はC.I.ピグメントレッド254を含む、請求項1に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  3. 前記重合性化合物として、N-ビニル化合物の含有量は前記重合性化合物の総量に対し5質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  4. 前記重合性化合物のうち、前記単官能の重合性化合物を前記重合性化合物の総量に対し90質量%以上含む、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  5. 前記重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、前記重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)の加重平均は42℃以上である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物。
  6. シアンインク組成物と、マゼンタインク組成物と、イエローインク組成物と、ブラックインク組成物と、及び請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の放射線硬化型インクジェット組成物とを含む、インクセット。
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