JP2022106327A - 放熱構造体およびそれを備えるバッテリー - Google Patents

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Abstract

【課題】熱源の種々の形態に順応可能であって、放熱効率に優れ、柔軟に圧縮変形し、かつ長期の使用にも十分耐えられる放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供する。【解決手段】本発明は、熱源からの放熱を高める1または2以上の放熱部材8を備え、放熱部材8は、熱源からの熱を伝えるための筒状、断面U字状あるいはスパイラル状の熱伝導シート20と、熱伝導シート20の内方に備えられ、熱伝導シート20に比べて熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材21と、熱伝導シート20とクッション部材21との間に配置される層であって、熱伝導シート20よりも低硬度の発泡層24と、を、少なくとも備える放熱構造体1、およびそれを備えるバッテリーに関する。【選択図】図1

Description

本発明は、放熱構造体およびそれを備えるバッテリーに関する。
自動車、航空機、船舶あるいは家庭用若しくは業務用電子機器の制御システムは、より高精度かつ複雑化してきており、それに伴って、回路基板上の小型電子部品の集積密度が増加の一途を辿っている。この結果、回路基板周辺の発熱による電子部品の故障や短寿命化を解決することが強く望まれている。
回路基板からの速やかな放熱を実現するには、従来から、回路基板自体を放熱性に優れた材料で構成し、ヒートシンクを取り付け、あるいは冷却ファンを駆動するといった手段を単一で若しくは複数組み合わせて行われている。これらの内、回路基板自体を放熱性に優れた材料、例えばダイヤモンド、窒化アルミニウム(AlN)、立方晶窒化ホウ素(cBN)等から構成する方法は、回路基板のコストを極めて高くしてしまう。また、冷却ファンの配置は、ファンという回転機器の故障、故障防止のためのメンテナンスの必要性や設置スペースの確保が難しいという問題を生じる。これに対して、放熱フィンは、熱伝導性の高い金属(例えば、アルミニウム)を用いた柱状あるいは平板状の突出部位を数多く形成することによって表面積を大きくして放熱性をより高めることのできる簡易な部材であるため、放熱部品として汎用的に用いられている(特許文献1を参照)。
ところで、現在、世界中で、地球環境への負荷軽減を目的として、従来からのガソリン車あるいはディーゼル車を徐々に電気自動車に転換しようとする動きが活発化している。特に、フランス、オランダ、ドイツをはじめとする欧州諸国の他、中国でも、電気自動車が普及してきている。電気自動車の普及には、高性能バッテリーの開発の他、多数の充電スタンドの設置などが必要となる。特に、リチウム系の自動車用バッテリーの充放電機能を高めるための技術開発が重要である。上記自動車バッテリーは、摂氏60度以上の高温下では充放電の機能を十分に発揮できないことが良く知られている。このため、先に説明した回路基板と同様、バッテリーにおいても、放熱性を高めることが重要視されている。
バッテリーの速やかな放熱を実現するには、アルミニウム等の熱伝導性に優れた金属製の筐体に水冷パイプを配置し、当該筐体にバッテリーセルを多数配置し、バッテリーセルと筐体の底面との間に密着性のゴムシートを挟んだ構造が採用されている。このような構造のバッテリーでは、バッテリーセルは、ゴムシートを通じて筐体に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。
特開2008-243999
しかし、上述のような従来のバッテリーにおいて、ゴムシートは、アルミニウムやグラファイトと比べて熱伝導性が低いため、バッテリーセルから筐体に効率よく熱を移動させることが難しい。また、ゴムシートに代えてグラファイト等のスペーサを挟む方法も考えられるが、複数のバッテリーセルの下面が平らではなく段差を有することから、バッテリーセルとスペーサとの間に隙間が生じ、伝熱効率が低下する。かかる一例にもみられるように、バッテリーセルは種々の形態(段差等の凹凸あるいは非平滑な表面状態を含む)をとり得ることから、バッテリーセルの種々の形態に順応可能であって高い伝熱効率を実現することの要望が高まっている。加えて、熱源からの押圧の増減に対応して、柔軟に圧縮変形しかつ復元可能であることも望まれている。上記の課題は、バッテリーセルのみならず、回路基板、電子部品あるいは電子機器本体のような他の熱源からの放熱についても通じる。
本出願人に属する発明者は、本発明に先立ち、ゴムチューブの外側面に、細い長尺のグラファイトシートをスパイラル状に巻いた形態の放熱部材を発案した。バッテリーセルと水冷式の筐体との間に前記放熱部材を挟むと、バッテリーセルの熱を放熱部材表面のグラファイトシートを介して筐体へと逃がすことができ、バッテリーセルの過熱を防止でき、充電又は放電の効率を高めることができる。放熱部材は、バッテリーセルの載置とその解放を繰り返す環境におかれる。スパイラル状のグラファイトシートは、その内側のゴムチューブの変形に追従して変形可能である。このため、上記放熱部材は、長期の使用に耐えうる。放熱部材の長寿命化をさらに高めるため、上記発明者は、先の発明において、ゴムチューブとグラファイトシートとの間に粘着層を配置した。粘着層は、接着剤の硬化層と異なり、半硬化の状態で粘着性と柔軟性とを併せ持っている。このため、放熱部材の長期の使用においても、グラファイトシートの破損が見られない。
また、粘着層に代えて、接着剤の硬化層も使用した。しかし、接着剤の硬化層は、粘着層のような漏洩のリスクはないものの、放熱部材がその径方向(厚さ方向ともいう)に圧縮された際に、グラファイトシートが割れるリスクがある。ここに、グラファイトシートの破損を防止したいという要求がある。
本発明は、上記要求に応えて高性能化を図るべくなされたものであり、熱源の種々の形態に順応可能であって、放熱効率に優れ、柔軟に圧縮変形し、かつ長期の使用にも十分耐えられる放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供することを目的とする。
(1)上記目的を達成するための一実施形態に係る放熱構造体は、熱源からの放熱を高める1または2以上の放熱部材を備え、
前記放熱部材は、
前記熱源からの熱を伝えるための筒状、断面U字状あるいはスパイラル状の熱伝導シートと、
前記熱伝導シートの内方に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材と、
前記熱伝導シートと前記クッション部材との間に配置される層であって、前記熱伝導シートよりも低硬度の発泡層と、
を、少なくとも備える。
(2)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記熱伝導シートと前記クッション部材との間に、前記クッション部材の変形に伴い前記熱伝導シートが破損しないように保護する保護シートを備えても良い。
(3)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記放熱部材は、少なくとも前記クッション部材、前記発泡層および前記熱伝導シートを積層させた帯状の積層シートがスパイラル状に巻回しながら進行する形態を有しても良い。
(4)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記保護シートは、前記発泡層の外側を覆っていて、
前記熱伝導シートは、前記保護シートの外側を覆っていても良い。
(5)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記発泡層は、シリコーンゴムの発泡層でも良い。
(6)別の実施形態に係る放熱構造体において、好ましくは、前記保護シートは、ポリエステルのシートでも良い。
(7)別の実施形態に係る放熱構造体は、好ましくは、前記放熱部材を2以上備え、2以上の前記放熱部材を前記長さ方向と直交する方向に並べた状態で連結する連結部材を備えても良い。
(8)上記目的を達成するための一実施形態に係るバッテリーは、冷却部材を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、上述のいずれかの放熱構造体を備える。
本発明によれば、熱源の種々の形態に順応可能であって、放熱効率に優れ、柔軟に圧縮変形し、かつ長期の使用にも十分耐えられる放熱構造体、および当該放熱構造体を備えるバッテリーを提供できる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る放熱構造体の平面図(1A)、(1A)に示す放熱構造体を矢印C方向から見た側面図(1B)および(1A)に示す放熱構造体を矢印D方向から見た側面図(1C)をそれぞれ示す。 図2は、図1(1A)における領域BのA-A線断面であって、放熱部材の外側面上から押圧を受ける前後の断面図(2A)および放熱部材のA-A線拡大断面図(2B)をそれぞれ示す。 図3は、第1実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の製造工程を示す。 図4は、第1実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の各種変形例を示す。 図5は、本発明の第2実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の側面図、当該放熱部材の長さ方向の一端から見た正面図、および当該正面図の拡大図を示す。 図6は、本発明の実施形態に係るバッテリーの縦断面図(6A)および熱源の一例であるバッテリーセルの一部を放熱構造体上に載せる前後の縦断面図(6B)をそれぞれ示す。 図7は、放熱構造体の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図をそれぞれ示す。
次に、本発明の各実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている諸要素及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
1.放熱構造体およびその製造方法
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る放熱構造体の平面図(1A)、(1A)に示す放熱構造体を矢印C方向から見た側面図(1B)および(1A)に示す放熱構造体を矢印D方向から見た側面図(1C)をそれぞれ示す。図2は、図1(1A)における領域BのA-A線断面であって、放熱部材の外側面上から押圧を受ける前後の断面図(2A)および放熱部材のA-A線拡大断面図(2B)をそれぞれ示す。
概略構成
第1実施形態に係る放熱構造体1は、熱源からの放熱を高める2以上の放熱部材8を備える。なお、放熱部材は、「伝熱部材」と称しても良い。放熱部材8は、1つのみでも良い。放熱部材8は、熱源からの熱を伝えるための熱伝導シート20と、熱伝導シート20の内方に備えられ熱伝導シート20に比べて熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材21と、熱伝導シート20とクッション部材21との間に配置される層であって熱伝導シート20よりも低硬度の発泡層24と、を少なくとも備える。熱伝導シートは、「熱伝導層」と称しても良い。熱伝導シート20は、放熱部材8の外側面を構成しており、放熱部材8の長さ方向に向かってスパイラル状に巻回しながら進行するように、発泡層24よりも外側に備えられている。なお、熱伝導シート20は、スパイラル状に限定されず、筒状あるいは放熱部材8の幅方向に平行に切った断面にてU字状に、放熱部材8の外側面を覆うシート層でも良い。クッション部材21は、その長さ方向に貫通する貫通孔22を有する。しかし、クッション部材21は、貫通孔22を必ずしも備えていなくとも良い。
放熱構造体1は、好ましくは、2以上の放熱部材8をその長さ方向と直交する方向に並べた状態(横並びの状態ともいう)で連結する連結部材7を備えることができる。この実施形態では、連結部材7としての一例である糸が使用されている。糸は、放熱部材8の長さ方向の両端部および長さ方向の中位置の3箇所で、放熱部材8同士を連結している。ただし、連結部材7が放熱部材8同士を連結する位置は、上記3箇所に限定されない。例えば、連結部材7は、放熱部材7の長さ方向の両端のみ、あるいは一端のみでも良い。また、この実施形態では、連結部材7に、放熱部材8を挿通する輪を設け、放熱部材8を当該輪に挿通して放熱部材8同士を連結している。しかし、複数の放熱部材8をその長さ方向と直角方向に並べて、連結部材7としての糸を用いてソーイングマシンにより縫い合わせても良い。
放熱構造体1を構成している複数の放熱部材8同士の隙間Lは、放熱部材8の上方(すなわち、放熱部材8を固定している枠部材10の面の上方)からの押圧によって放熱部材8の直径Dが80%になるまで扁平状態になっても放熱部材8同士が接触しないほどの距離である(図2(2A)を参照)。ただし、放熱部材8同士の隙間Lを過度に大きくすると、絶縁体としての空気が大量に存在し、熱源から冷却部位への熱伝達を妨げる可能性もある。このため、隙間Lは、放熱部材8の直径Dが80%になるまで扁平状態になっても放熱部材8同士が接触しない最短の距離に設定する方が好ましい。
この実施形態に係る放熱部材8は、好ましくは、その長さ方向の端面の中心から径方向外側に向かって、クッション部材21、発泡層24、接着層26、保護シート23、粘着層25、熱伝導シート20の順に積層されている(図2(2B)を参照)。保護シートは、「保護層」と称しても良い。保護シート23は、熱伝導シート20とクッション部材21との間にあって、クッション部材21の変形に伴い熱伝導シート20が破損しないように保護するシートである。粘着層25は、保護シート23と熱伝導シート20との間に備えられる層である。接着層26は、接着剤の硬化層であって、保護シート23と発泡層24との間に備えられる層である。このように、放熱部材8では、保護シート23は、発泡層24の外側を覆っていて、熱伝導シート20は、保護シート23の外側を覆っている。
この実施形態に係る放熱構造体1において、好ましくは、放熱部材8は、中空状(筒状ともいう)のクッション部材21の外側面の全面を発泡層24にて覆い、その外側面を、保護シート23と粘着層25と熱伝導シート20の三層構造の帯にてスパイラル状に覆った構造を有する。
変形例として、熱伝導シート20のみを帯状にして、筒状の粘着層25の外側面を覆っても良い。また、熱伝導シート20と粘着層25の2層のみを帯状にして、筒状の保護シート23の外側面を覆っても良い。さらに、熱伝導シート20と粘着層25と保護シート23と接着層26の4層のみを帯状にして、筒状の発泡層24の外側面を覆っても良い。また、熱伝導シート20と粘着層25と保護シート23と接着層26と発泡層24の5層を帯状にして、筒状のクッション部材21の外側面を覆っても良い。
次に、放熱構造体1の各構成要素について説明する。
(1)熱伝導シート
熱伝導シート20は、好ましくは炭素を含むシートであり、さらに好ましくは90質量%以上を炭素から構成されるシートである。例えば、熱伝導シート20としては、樹脂(例えば、ポリイミド)を焼成して成るグラファイト製のフィルムを用いるのが好ましい。ただし、熱伝導シート20は、炭素と樹脂とを含むシートであっても良い。その場合、樹脂は、合成繊維でも良く、その場合には、樹脂として好適にはアラミド繊維を用いることができる。本願でいう「炭素」は、グラファイト、グラファイトより結晶性の低いカーボンブラック、ダイヤモンド、ダイヤモンドに近い構造を持つダイヤモンドライクカーボン等の炭素(元素記号:C)から成る如何なる構造のものも含むように広義に解釈される。熱伝導シート20は、樹脂に、グラファイト繊維やカーボン粒子を配合分散した材料を硬化させた薄いシートとすることができる。熱伝導シート20は、メッシュ状に編んだカーボンファイバーであっても良く、さらには混紡してあっても混編みしてあっても良い。なお、グラファイト繊維、カーボン粒子あるいはカーボンファイバーといった各種フィラーも、すべて、炭素フィラーの概念に含まれる。
熱伝導シート20を炭素と樹脂とを備えるシートとする場合には、当該樹脂が熱伝導シート20の全質量に対して50質量%を超えていても、あるいは50質量%以下であっても良い。すなわち、熱伝導シート20は、熱伝導に大きな支障が無い限り、樹脂を主材とするか否かを問わない。樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂を好適に使用できる。熱可塑性樹脂としては、熱源からの熱を伝導する際に溶融しない程度の高融点を備える樹脂が好ましく、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド(アラミド繊維)等を好適に挙げることができる。樹脂は、熱伝導シート20の成形前の状態において、炭素フィラーの隙間に、例えば粒子状あるいは繊維状に分散している。熱伝導シート20は、炭素フィラー、樹脂の他、熱伝導をより高めるためのフィラーとして、AlNあるいはダイヤモンドを分散していても良い。また、樹脂に代えて、樹脂よりも柔軟なエラストマーを用いても良い。熱伝導シート20は、また、上述のような炭素に代えて若しくは炭素と共に、金属および/またはセラミックスを含むシートとすることができる。金属としては、アルミニウム、銅、それらの内の少なくとも1つを含む合金などの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。また、セラミックスとしては、Al、AlN、cBN、hBNなどの熱伝導性の比較的高いものを選択できる。
熱伝導シート20は、導電性に優れるか否かは問わない。熱伝導シート20の熱伝導率は、好ましくは10W/mK以上である。この実施形態では、熱伝導シート20は、好ましくは、グラファイトの帯状の板であり、熱伝導性と導電性に優れる材料から成る。熱伝導シート20は、その厚さに制約はないが、0.02~3mmが好ましく、0.03~0.5mmがより好ましい。ただし、シートの強度、可撓性および熱伝導性を総合的に考慮して、熱伝導シート20の厚さを決定するのが好ましい。
(2)クッション部材
クッション部材21の重要な機能は、変形容易性と回復力である。回復力は、クッション部材21の弾性変形性に依る。変形容易性は、熱源の形状に追従するために必要な特性であり、特にリチウムイオンバッテリーなどの半固形物、液体的性状も持つ内容物などを変形しやすいパッケージに収めるようなバッテリーセルの場合には、設計寸法的にも不定形または寸法精度があげられない場合が多い。このため、クッション部材21の変形容易性や追従力を保持するための回復力の保持は重要である。後述の保護シート23は、クッション部材21の回復力を助ける機能をも有する。
クッション部材21は、スパイラル状に巻回される熱伝導シート20の筒内に備えられる筒状部材である。クッション部材21の長さ方向に形成されている貫通孔22は、この実施形態では、クッション部材21の長さ方向に貫通している。ただし、貫通孔22の長さ方向の両端の少なくとも一方を閉塞しても良い。当該両端を閉塞すると、貫通孔22は、閉塞空間となる。
クッション部材21は、好ましくは、放熱部材8に接触する熱源が平坦でない場合でも、熱伝導シート20と熱源との接触を良好にする機能を有する。さらに、貫通孔22は、クッション部材21の変形を容易にし、加えて放熱構造体1の軽量化に寄与する。クッション部材21は、熱源等からの熱伝導シート20に加わる荷重によって熱伝導シート20が破損等しないようにする保護部材としての機能も有する。クッション部材21は、熱伝導シート20に比べて弾性変形しやすく、熱源等からの押圧及びその開放による変形に起因して、割れや亀裂が入りにくい。このため、クッション部材21は、熱伝導シート20に亀裂が生じる事態を抑制することができる。この実施形態では、クッション部材21は、熱伝導シート20に比べて低熱伝導性の部材である。クッション部材21の直径は、1~5mm、好ましくは2~4mm、より好ましくは3~4mmである。クッション部材21の肉厚は、0.1~0.7mm、好ましくは0.2~0.6mm、より好ましくは0.3~0.5mmである。
クッション部材21は、好ましくは、シリコーンゴム、ウレタンゴム、イソプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ニトリルゴム(NBR)あるいはスチレンブタジエンゴム(SBR)等の熱硬化性エラストマー; ウレタン系、エステル系、スチレン系、オレフィン系、ブタジエン系、フッ素系等の熱可塑性エラストマー、あるいはそれらの複合物等を含むように構成される。クッション部材21は、また、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレナフタレート(PBN)等に代表されるポリエステル; ポリカーボネート(PC); ポリアミド(PA); ポリイミド(PI); ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等に代表されるポリオレフィン; エポキシ樹脂(EP); ユリア樹脂(UF); といった熱可塑性若しくは熱硬化性の樹脂の内の1種若しくは2種以上から構成されても良い。クッション部材21は、熱伝導シート20を伝わる熱によって溶融あるいは分解等せずにその形態を維持できる程度の耐熱性の高い材料から構成されるのが好ましい。この実施形態では、クッション部材21は、より好ましくは、ウレタン系エラストマー中にシリコーンを含浸したもの、シリコーンゴム、あるいはポリエチレンテレフタレートにより構成される。当該シリコーンゴムの材料としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKE-981を好適に用いることができる。クッション部材21は、その熱伝導性を少しでも高めるために、その内部に、Al、AlN、cBN、hBN、ダイヤモンドの粒子等に代表されるフィラーを分散して構成されていても良い。クッション部材21は、その内部に気泡を含むものの他、気泡を含まないものでも良い。また、「クッション部材」は、柔軟性に富み、熱源の表面に密着可能に弾性変形可能な部材を意味し、かかる意味では「弾性体」あるいはゴム製の場合には「ゴム状弾性体」と読み替えることもできる。さらに、クッション部材21の変形例としては、金属を用いて構成することもできる。クッション部材21は、樹脂やゴム等から形成されたスポンジあるいはソリッド(スポンジのような多孔質ではない構造のもの)で構成することも可能である。
(3)保護シート
保護シート23は、この実施形態では、クッション部材21の外側を覆うと共に、スパイラル状の熱伝導シート20の内方に配置される部材であり、放熱構造体1にとってオプションとして位置付けられる部材である。保護シート23は、熱伝導シート20の破損を低減する保護部材として機能する保護層と称することもできる。保護シート23は、好ましくは、ポリエステルのシートである。ただし、ポリエステル以外の樹脂(例えば、PC)製のシートを保護シート23として用いても良い。保護シート23の厚さ(肉厚を意味する)は、好適には、0.002~0.2mm、さらに好適には、0.002~0.05mmである。保護シート23の材料として、より好ましくは、PETから成る。ただし、PET以外のポリエステルとして、PBT、PEN、PBNなどを用いることができる。保護シート23は、放熱部材8が熱源と冷却部位との間において扁平に潰れた際に、熱伝導シート20がクッション部材21の変形に伴って過度に潰れないようにする機能を有する。また、保護シート23は、クッション部材21よりも高い弾性力を有する場合には、潰れた状態の放熱部材8への押圧が低下したときにクッション部材21が元の形状に回復するのを補助する。熱伝導シート20、保護シート23およびクッション部材21から成る三層構造(ここでは、粘着層25を除く。)は、好ましくは、硬度あるいは弾性係数の観点で傾斜材料を構成する。一方、保護シート23の弾性係数は、クッション部材21の弾性係数と近い値にすることもできる。
(4)発泡層
発泡層24は、クッション部材21と保護シート23との間に配置されている。発泡層24は、クッション部材21が変形したときに、それが直接、熱伝導シート20へと伝達するのを抑制する機能を有する。発泡層24と保護シート23は、共に、熱伝導シート20の破損を防止する機能を有する。発泡層24と保護シート23とが相違するのは、発泡層24はそれ自身の柔軟性と変形容易性によって、熱伝導シート20がクッション部材21の変形に応じて過度に変形するのを防止する層である点である。発泡層24は、クッション部材21と同様のゴム状弾性体であって、多孔質の層である。発泡層24は、クッション部材21よりも孔の総容積が大きい層である。発泡層24は、粘着層25と異なり、放熱部材8から流出しない。発泡層24の材料としては、シリコーンゴムあるいはウレタンゴムが好ましい。当該シリコーンゴムの材料としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKE-9510を好適に用いることができる。発泡層24の厚さ(肉厚を意味する)は、好適には、0.05~0.8mm、さらに好適には、0.1~0.5mmである。発泡層24の厚さは、好ましくは、粘着層25または接着層26の厚さよりも大きい。
この実施形態では、放熱部材8に、粘着層25および接着層26を備えている。しかし、発泡層24を備えることにより、粘着層25および接着層26の一方若しくは両方を薄くすることが可能、または粘着層25および接着層26の一方若しくは両方を設けないことも可能である。この結果、粘着層が放熱部材8から流出することを低減若しくは完全に防止することができる。また、接着層に代え若しくは接着層に加えて発泡層24を設けることによって、放熱部材8の変形時に、放熱部材8の内側にあるクッション部材20に比して外側の方が厚さ分だけより大きく伸びようとする際のひずみが発泡層24で吸収される。その結果、放熱部材8の最外周に位置する熱伝導シート20が割れるリスクを低減できる。
(5)粘着層
粘着層25は、この実施形態では、保護シート23と熱伝導シート20との間に介在する。粘着層25は、熱伝導シート20よりも低硬度の層である。粘着層は、その粘着力によって、粘着層を挟む2層を保持する機能を有する。粘着層25の厚さは、発泡層24の厚さよりも小さい方が好ましい。粘着層25の厚さは、発泡層24の厚さよりも小さいという前提で、例えば、好ましくは0.03~0.7mm、さらに好ましくは0.08~0.4mmである。なお、後述するように、粘着層は、保護シート23と熱伝導シート20との間、および保護シート23と発泡層24との間のいずれか1つに配置されても良い。粘着層25は、熱伝導シート20の破損を低減する保護部材としても機能する。粘着層25として好適な材料としては、シリコーン系粘着剤、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤およびゴム系粘着剤を例示できる。これらの材料を用いた粘着層25は、接着剤を用いた接着層よりも、低接着能および低硬度を有する層である。また、粘着層25は、接着層よりも柔軟性に富む。シリコーン系粘着剤の具体例としては、信越化学工業株式会社製のKR-100、KR-101-10、KR-130、KR-3700、KR-3701、KR-3704、X-40-3237-1、X-40-3240、X-40-3291-1、X-40-3323、X-40-3326、X-40-3340、X-40-3331-2を; ダウ・東レ株式会社製のDOWSIL280A Adhesive、DOWSIL7657 Adhesive、DOWSIL7355 Adhesive、DOWSIL2013 Adhesive、DOWSIL SD4600 FC Additive、DOWSIL7406-VLO Adhesive、DOWSIL7388 Adhesive、DOWSIL7268 Adhesive、DOWSIL7646 Adhesive、DOWSIL7647 Adhesive、DOWSIL7645 Adhesiveを; モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製のSilGrip PSA510 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA518 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA529 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA590LD Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA610 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA6574 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA915 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA5080 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA6573A Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip PSA6574A Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip TSR1512 Pressure Sensitive Adhesive、SilGrip TSR1516 Pressure Sensitive Adhesiveを例示できる。また、アクリル系粘着剤として、DIC株式会社製のファインタックCT-3088、ファインタックCT-5020、ファインタックCT-5030、ファインタックCT-6030、ファインタックRX-104、クイックマスターSPS-900-LV、クイックマスターSPS-945NT、クイックマスターSPS-1040NT-25、ボンコートW-26、ボンコートW-386を; 東亞合成株式会社製のアロンタックS-1511X、アロンタックS-1511改、アロンタックS-3403、S-3452YKF、アロンタックS-1601、アロンタックS-1605、アロンタックHV-C9500、アロンタックHV-C3006、アロンタックHV-C3050、アロンタックHV-C9506、アロンタックRP-275、アロンタックHV-C5166、アロンタックTT-1214を; 綜研化学株式会社製のSKダイン1502C、SKダイン1604N、SKダイン1700DT、SKダイン1717DT、SKダイン1720DT、SKダイン1986DT、SKダイン1259、SKダインSG-50Y、SKダイン1022、SKダイン1501BS4、SKダイン1473H、SKダイン1310、SKダイン1340を、例示できる。さらに、ウレタン系粘着剤として、トーヨーケム株式会社製のサイアバインSH-101、サイアバインSH-109、サイアバインSH-205を例示できる。加えて、ゴム系粘着剤として、トーヨーケム株式会社製のオリバインBPS5079-1を例示できる。
(6)接着層
接着層26は、この実施形態では、保護シート23と発泡層24との間に介在する。接着層26の厚さは、発泡層24の厚さよりも小さい方が好ましい。接着層26の厚さは、発泡層24の厚さよりも小さいという前提で、例えば、好ましくは0.03~0.7mm、さらに好ましくは0.08~0.4mmである。接着層26を構成するための接着剤としては、保護シート23と発泡層24とを粘着層25に比べて強固に固定可能であれば、如何なる成分を有するものでも良い。
(7)連結部材
連結部材7の一例である糸は、2以上の放熱部材8を連結して、放熱部材8の自由な動きを規制する部材である。糸は、好ましくは、120℃程度の高温に耐え得る糸であって、天然繊維、合成繊維、カーボン繊維、金属繊維等の繊維からなる撚糸で構成されることが好ましい。糸は、放熱部材8が熱源等の加重を受けて扁平形状になっても、それを許容するだけの柔軟性あるいは輪の空間領域を備えるのが好ましい。2以上の放熱部材8は、この実施形態では、放熱部材8の貫通孔22に糸を到達するように縫って連結されている。糸によって放熱部材8を縫って連結するには、手で縫っても、あるいはソーイングマシンを使って縫っても良い。糸の縫い方は、特に限定されず、手縫い、本縫い、千鳥縫い、単環縫い、二重環縫い、縁かがり縫い、扁平縫い、安全縫い、オーバーロック等の如何なる縫い方でも良い。また、JIS L 0120の規定する表示記号によれば、好適な縫い方として、「101」、「209」、「301」、「304」、「401」、「406」、「407」、「410」、「501」、「502」、「503」、「504」、「505」、「509」、「512」、「514」、「602」および「605」の各種縫い目を構成する縫い方を例示できる。なお、糸以外の連結部材7を用いて、放熱部材8同士を連結しても良い。糸以外の連結部材7としては、一本の長尺部材の長さ方向に沿って配列される複数本の突出部を備えたものを例示できる。放熱部材8は、貫通孔22に突出部を挿入して連結部材7により連結可能である。
図3は、第1実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の製造工程を示す。
まず、筒状(チューブ状)のクッション部材21を成形する。成形方法としては、特に限定しないが、押出成形を例示できる(図3のaを参照)。次に、筒状の発泡層24を成形する。成形方法としては、特に限定しないが、押出成形を例示できる。発泡層24としての筒状成形体は、硬化性組成物を発泡状態としてから硬化することによって得られる。続いて、クッション部材21を、発泡層24としての筒状成形体の内部に挿入して、2層構造の成形体を得る(図3のbを参照)。
次に、粘着層25付きの保護シート23を用意し、熱伝導シート20に粘着層25を介して保護シート23を貼り付ける。これにより得られた3層構造のシートを幅5~20mm(好ましくは7~15mm)に切り、帯状の3層構造のシート28を作製する(図3のcを参照)。次に、先に製造した2層構造の成形体の外側面に接着層26を形成する(図3のdを参照)。なお、接着層26は、帯状の3層構造のシートの保護シート23側の面に形成されても良い。次に、接着層26を介在させて、帯状の3層構造のシート28を発泡層24の外側面に、スパイラル状に巻回する。巻回は、熱伝導シート20が外側になるように行われる(図3のeを参照)。この結果、図1に示した放熱部材8が出来上がる。その後、複数の放熱部材8を並べて、連結部材7にてそれらを連結することによって、放熱構造体1を作製する。
図4は、第1実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の各種変形例を示す。
(4A)は、クッション部材21の外側面に発泡層24を備え、発泡層24の外側面に熱伝導シート20を備える放熱部材8aの長さ方向の一端面を示す。この変形例では、発泡層24の外側面に、熱伝導シート20をスパイラル状に巻回している。ただし、クッション部材21の外側面に、熱伝導シート20と発泡層24とを備える2層をスパイラル状に巻回しても良い。また、熱伝導シート20と発泡層24との間、および/または発泡層24とクッション部材21との間に、粘着層または接着層を備えても良い。
(4B)は、クッション部材21の外側面に発泡層24を備え、発泡層24の外側面に保護シート23を備え、保護シート23の外側面に粘着層25を備え、粘着層25の外側面に熱伝導シート20を備える放熱部材8bの長さ方向の一端面を示す。この変形例では、発泡層24の外側面に、熱伝導シート20と粘着層25と保護シート23とを備える3層をスパイラル状に巻回している。ただし、クッション部材21の外側面に、クッション部材21より外側の4層からなる帯状のシートをスパイラル状に巻回しても良い。また、粘着層25に、熱伝導シート20をスパイラル状に巻回しても良い。さらに、保護シート23の外側面に、保護シート23より外側の2層からなる帯状のシートをスパイラル状に巻回しても良い。粘着層は、熱伝導シート20と保護シート23との間のみに備えられているが、クッション部材21と発泡層24との間、あるいは発泡層24と保護シート23との間に備えられても良い。
(4C)は、クッション部材21の外側面に接着層26を備え、接着層26の外側面に保護シート23を備え、保護シート23の外側面に発泡層24を備え、発泡層24の外側面に熱伝導シート20を備える放熱部材8cの長さ方向の一端面を示す。この変形例では、発泡層24の外側面に、熱伝導シート20をスパイラル状に巻回している。ただし、スパイラル状に巻回する層は、熱伝導シート20から接着層26までの任意の2以上の層としても良い。また、接着層26は、必ずしも要しない。さらに、接着層は、クッション部材21より外側の層間のいずれに備えても良い。
(4D)は、第1実施形態に係る放熱構造体1を構成する放熱部材8の熱伝導シート20を断面U字状にした放熱部材8dの長さ方向の一端面を示す。熱伝導シート20は、粘着層25の外側面を覆うスリット付きの筒状体である。粘着層25あるいは接着層26は必ずしも要しない。また、粘着層は、クッション部材21より外側の層間のいずれに備えても良い。
上述の各変形例(4A,4B,4C,4D)に係る放熱部材8a、8b、8c、8dは、いずれも、発泡層24を、熱伝導シート20とクッション部材21との間に配置されている。このため、熱伝導シート20は、クッション部材21の変形に伴い過度に変形せず、破損しにくくなる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る放熱構造体について説明する。第1実施形態と共通する部分については同じ符号を付して重複した説明を省略する。
図5は、本発明の第2実施形態に係る放熱構造体を構成する放熱部材の側面図、当該放熱部材の長さ方向の一端から見た正面図、および当該正面図の拡大図を示す。
第2実施形態に係る放熱構造体1は、第1実施形態と同様に複数の放熱部材8eを連結した構造を有する。放熱部材8eは、放熱部材8と異なり、径方向最も内側のクッション部材21から径方向外側の全ての層若しくはシートを帯状のシートとして、スパイラル状に巻回しながら放熱部材8eの長さ方向に進行させた形態を有する。放熱部材8eは、放熱部材8と同様に、径方向内側から外方向に向かって、クッション部材21、発泡層24、接着層26、保護シート23、粘着層25、熱伝導シート20の順に積層した構造を有する。放熱部材8eは、かかる積層シート29を帯状にして、スパイラル状に巻回した部材であって、放熱部材8eの長さ方向に貫通する貫通孔22を有する。このような放熱部材8eを複数連結した放熱構造体1は、第1実施形態に係る放熱構造体1と同様、発泡層24が緩衝材として機能して、熱伝導シート20の破損防止効果を発揮する。なお、放熱部材8eの層構造は、前述の放熱部材8a,8b,8cと同様の層構造でも良い。すなわち、放熱部材8eは、放熱部材8eの径方向内側から外側に向かって、少なくともクッション部材21、発泡層24、熱伝導シート20を積層させた帯状の積層シート29がスパイラル状に巻回しながら進行する形態を有するならば、如何なる層構造を有する部材でも良い。
第2実施形態に係る放熱構造体1は、例えば、次のような工程にて製造可能である。まず、クッション部材21、発泡層24、接着層26、保護シート23、粘着層25、熱伝導シート20を順に積層した積層体を製造する。次に、当該積層体を幅5~20mm(好ましくは7~15mm)に切り、帯状の積層シート29を作製する。次に、当該帯状の積層シート29をスパイラル状に巻回して放熱部材8eを完成する。最後に、複数の放熱部材8eをその長さ方向と直角方向に並べて、糸等の連結部材7を用いて連結する。このような工程を経て、第2実施形態に係る放熱構造体1は完成する。
2.バッテリー
次に、本発明の実施形態に係るバッテリーについて説明する。
図6は、本発明の実施形態に係るバッテリーの縦断面図(6A)および熱源の一例であるバッテリーセルの一部を放熱構造体上に載せる前後の縦断面図(6B)をそれぞれ示す。(6B)では連結部材を省略されている。
この実施形態において、バッテリー30は、例えば、電気自動車用のバッテリーであって、多数のバッテリーセル(単に、セルと称しても良い。)40を備える。バッテリー30は、一方に開口する有底型の筐体31を備える。筐体31は、好ましくは、アルミニウム若しくはアルミニウム基合金から成る。バッテリーセル40は、筐体31の内部34に配置される。バッテリーセル40の上方には、電極(不図示)が突出して設けられている。複数のバッテリーセル40は、好ましくは、筐体31内において、その両側からネジ等を利用して圧縮する方向に力を与えられて、互いに密着するようになっている(不図示)。筐体31の底部32には、冷却部材35の一例である冷却水を流すために、1または複数の水冷パイプ33が備えられている。冷却部材は、冷却媒体あるいは冷却剤と称しても良い。
バッテリーセル40は、底部32との間に、放熱構造体1を挟むようにして筐体31内に配置されている。このような構造のバッテリー30において、バッテリーセル40は、放熱構造体1を通じて筐体31に伝熱して、水冷によって効果的に除熱される。このように、バッテリー30は、冷却部材35を流す構造を持つ筐体31内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセル40を備え、バッテリーセル40と筐体31(ここでは、底部32)との間に放熱構造体1を備える。なお、冷却部材35は、冷却水に限定されず、液体窒素、エタノール等の有機溶剤も含むように解釈される。冷却部材35は、冷却に用いられる状況下にて、液体であるとは限らず、気体あるいは固体でも良い。また、放熱構造体1は、11個のバッテリーセル40を載置しているが、バッテリーセル40の個数は11個に限定されない。また、放熱部材8の個数についても、特に限定されない。
放熱構造体1を構成する複数の放熱部材8は、バッテリーセル40を載置していない状態では略円筒形状を有しているが、バッテリーセル40を載置するとその重さで圧縮され扁平の形態(断面楕円形状)になる(6Bを参照)。本願では、「縦断面」とは、バッテリー30の筐体31の内部34における上方開口面から底部32へと垂直に切断する方向の断面を意味する。なお、放熱部材8以外の放熱部材8a,8b,8c,8d,8eの少なくともいずれか1種を備えた放熱構造体1をバッテリー30に備えても良い。
3.その他の実施形態
上述のように、本発明の好適な各実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されることなく、種々変形して実施可能である。
図7は、放熱構造体の上に、バッテリーセルの側面を接触させるように横置きにしたときの断面図、その一部拡大図および充放電時にバッテリーセルが膨張した際の一部断面図をそれぞれ示す。図7では、連結部材7は省略されている。
先述の実施形態では、バッテリーセル40を縦にしてその下端に放熱構造体1を接触せしめている状況について説明したが、バッテリーセル40の配置形態は、これに限定されない。図7に示すように、バッテリーセル40の側面を放熱構造体1の各放熱部材8,8a,8b,8c,8d,8eに接触させるように、バッテリーセル40を配置しても良い。バッテリーセル40は、充電および放電の際に温度上昇する。バッテリーセル40の容器自体が柔軟性に富む材料にて形成されていると、バッテリーセル40の特に側面が膨らむ可能性がある。そのような場合でも、放熱構造体1を構成している各放熱部材8,8a,8b,8c,8d,8eがバッテリーセル40の外面の形状に合わせて変形できるので、充放電時にも放熱性を高く維持できる。
例えば、熱源は、バッテリーセル40のみならず、回路基板や電子機器本体などの熱を発する対象物を全て含む。例えば、熱源は、キャパシタおよびICチップ等の電子部品であっても良い。放熱構造体1は、バッテリー30以外の構造物、例えば、電子機器、家電、発電装置等に配置されていても良い。
バッテリー30は、放熱部材8,8a,8b,8c,8d,8eのいずれかを備えた放熱構造体を配置したものでも良い。また、放熱構造体1は、放熱部材8,8a,8b,8c,8d,8eの内の2種類以上を含むように構成されても良い。放熱部材8,8a,8b,8c,8d,8eの形状は、その長さ方向の一端面から見て、円筒あるいは円柱以外に、楕円筒、楕円柱、三角以上の角筒若しくは角柱のような他の形状でも良い。
また、上述の各実施形態の複数の構成要素は、互いに組み合わせ不可能な場合を除いて、自由に組み合わせ可能である。
本発明に係る放熱構造体は、例えば、自動車用バッテリーの他、自動車、工業用ロボット、発電装置、PC、家庭用電化製品などの各種電子機器にも利用することができる。また、本発明に係るバッテリーは、自動車用のバッテリー以外に、家庭用の充放電可能なバッテリー、PC等の電子機器用のバッテリーにも利用できる。
1・・・放熱構造体、7・・・連結部材(一例:糸)、8,8a,8b,8c,8d,8e・・・放熱部材、20・・・熱伝導シート、21・・・クッション部材、22・・・貫通孔、23・・・保護シート、24・・・発泡層、25・・・粘着層、26・・・接着層、29・・・積層シート、30・・・バッテリー、31・・・筐体、35・・・冷却部材、40・・・バッテリーセル(熱源の一例)。

Claims (8)

  1. 熱源からの放熱を高める1または2以上の放熱部材を備え、
    前記放熱部材は、
    前記熱源からの熱を伝えるための筒状、断面U字状あるいはスパイラル状の熱伝導シートと、
    前記熱伝導シートの内方に備えられ、前記熱伝導シートに比べて前記熱源の表面形状に合わせて変形容易なクッション部材と、
    前記熱伝導シートと前記クッション部材との間に配置される層であって、前記熱伝導シートよりも低硬度の発泡層と、
    を、少なくとも備える放熱構造体。
  2. 前記熱伝導シートと前記クッション部材との間に、前記クッション部材の変形に伴い前記熱伝導シートが破損しないように保護する保護シートを備える請求項1に記載の放熱構造体。
  3. 前記放熱部材は、少なくとも前記クッション部材、前記発泡層および前記熱伝導シートを積層させた帯状の積層シートがスパイラル状に巻回しながら進行する形態を有する請求項1または2に記載の放熱構造体。
  4. 前記保護シートは、前記発泡層の外側を覆っていて、
    前記熱伝導シートは、前記保護シートの外側を覆っている請求項2または3に記載の放熱構造体。
  5. 前記発泡層は、シリコーンゴムの発泡層である請求項1から4のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  6. 前記保護シートは、ポリエステルのシートである請求項2から5のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  7. 前記放熱部材を2以上備え、
    2以上の前記放熱部材を前記長さ方向と直交する方向に並べた状態で連結する連結部材を備える請求項1から6のいずれか1項に記載の放熱構造体。
  8. 冷却部材を流す構造を持つ筐体内に、1または2以上の熱源としてのバッテリーセルを備えたバッテリーであって、前記バッテリーセルと前記筐体との間に、請求項1から7のいずれか1項に記載の放熱構造体を備えるバッテリー。

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