JP2022104563A - 硫酸コバルトの製造方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022104563000001
【課題】本発明はコバルトの回収ロスを極力低減しつつ、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを得る方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る硫酸コバルトの製造方法は、不純物元素として少なくとも鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムの一種以上を含む粗水酸化コバルトをスラリー化し、さらに酸で浸出することで浸出スラリーを得る浸出工程と、前記浸出スラリー中の不純物を分離し、コバルト濃縮液を得る不純物分離工程と、前記コバルト濃縮液を結晶化し、硫酸コバルトを得る結晶化工程と、を含むことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを製造する方法に関する。
硫酸コバルトは、コバルト塩の原料、めっき用電解質溶質、陶磁器用着色剤あるいは触媒として使用されている。特に近年は、リチウムイオン電池の正極材料のための原料として重要になっている。
硫酸コバルトをリチウムイオン電池の正極材料のための原料として用いる場合、必要な性能を確保するために、不純物をできるだけ分離して高純度にする必要がある。
粗水酸化コバルトは、コバルトの他に、鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウム等の不純物を含んでいる。
粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを製造するにあたり、不純物元素を所望の濃度未満に抑制し、さらにコスト低減のためにコバルトの回収ロスを極力低減することが求められる。
また、以下の非特許文献1に記載するように、銅、亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル等の不純物を含むコバルトの原料に対し様々な不純物分離処理を行い、結晶化することで硫酸コバルトを得る方法が知られている。
Robin Kalanchey 著、 Ausenco Engineering Canada Inc. 103870-RPT-0001 Revision Number E、「First Cobalt Corporation First Cobalt Refinery Restart Conceptual Study」 27 June 2019 https://www.firstcobalt.com/_resources/reports/20190627-Ausenco-ConceptualStudy_Rev-E.pdf
本発明は、前述の背景に基づき、コバルトの回収ロスを極力低減しつつ、粗水酸化コバルトから硫酸コバルトを得る方法を提供することを目的とする。
(1)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法は、不純物元素として少なくとも鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムの一種以上を含む粗水酸化コバルトをスラリー化し、さらに酸で浸出することで浸出スラリーを得る浸出工程と、前記浸出スラリー中の不純物を分離し、コバルト濃縮液を得る不純物分離工程と、前記コバルト濃縮液を結晶化し、硫酸コバルトを得る結晶化工程と、を含むことを特徴とすることを特徴とする。
(2)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記酸が硫酸であることが好ましい。
(3)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記不純物分離工程が、前記浸出スラリーに炭酸カルシウムスラリーを加えることで形成したスラリーを固液分離し、中和液Aと中和残渣Aを得る第一中和工程を含むことが好ましい。
(4)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記中和残渣Aに前記不純物元素の内の鉄を抽出することが好ましい。
(5)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記不純物分離工程が、前記中和液Aに水酸化カルシウムスラリーを加えることで形成したスラリーを固液分離し、中和液Bと中和残渣Bを得る第二中和工程を含むことが好ましい。
(6)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記中和残渣Bに前記不純物元素の内のアルミニウムを抽出することが好ましい。
(7)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記中和残渣Bを前記浸出スラリーに戻して溶解することが好ましい。
(8)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記不純物分離工程が、前記中和液Bに硫化水素ナトリウム水溶液を添加して硫化液と硫化残渣を得る硫化工程を含むことが好ましい。
(9)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記硫化残渣に前記不純物元素内の銅を抽出することが好ましい。
(10)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記硫化残渣を前記浸出スラリーに戻して溶解することが好ましい。
(11)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記不純物分離工程が、前記硫化液にリン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒Aを接触させることで抽出液Aを得、さらに、抽出後の有機溶媒Aと希硫酸とを接触させることで逆抽液Aを得る第一溶媒抽出工程を含むことが好ましい。
(12)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記逆抽液Aに前記不純物元素の内のマンガンとカルシウムと亜鉛を抽出することが好ましい。
(13)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記不純物分離工程が、前記抽出液Aにカルボン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒Bを接触させることで抽出液Bを得、さらに、抽出後の有機溶媒Bと希硫酸とを接触させることで逆抽液Bを得る第二溶媒抽出工程を含むことが好ましい。
(14)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記抽出液Bに前記不純物元素の内のマグネシウムを抽出することが好ましい。
(15)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記不純物分離工程が、前記逆抽液Bにホスフィン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒Cを接触させることで抽出液Cを得、さらに、抽出後の有機溶媒Cと希硫酸とを接触させることでコバルト濃縮液を得る第三溶媒抽出工程を含むことが好ましい。
(16)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記抽出液Cに前記不純物元素の内のニッケルを抽出することが好ましい。
(17)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記不純物分離工程が、前記逆抽液Aに水酸化ナトリウム水溶液を加えることで形成したスラリーを固液分離し、中和液Cと中和残渣Cとを得る第三中和工程を含むことが好ましい。
(18)本形態に係る硫酸コバルトの製造方法において、前記中和残渣Cを前記浸出スラリーに戻して溶解することが好ましい。
本発明によれば、コバルトの回収ロスを極力低減しつつ、粗水酸化コバルトから鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムなどの不純物元素を取り除き、これら不純物元素を極力少なくした硫酸コバルトを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る硫酸コバルトの製造方法を示す工程説明図である。 同実施形態における不純物分離工程の詳細を示す工程説明図である。 同実施形態におけるコバルト歩留まりを向上させる手段を備えた不純物分離工程の詳細を示す工程説明図である。
以下に本発明に係る硫酸コバルトの製造方法の一実施形態について、図面および表を用いて説明する。なお、表中の「X~Y」(X、Yは任意の数値)は、「X以上Y以下」を意味している。例えば、29~43(質量%)は29質量%以上43質量%以下を意味する。
図1の工程説明図に示すように、本実施形態に係る硫酸コバルトの製造方法は以下の浸出工程S1と不純物分離工程S2と結晶化工程S3を含む。
(1)不純物元素として少なくとも鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムの一種以上を含む粗水酸化コバルトHRCをスラリー化し、さらに酸で浸出することで浸出スラリーESを得る浸出工程S1。
(2)浸出スラリー中の不純物を分離し、コバルト濃縮液CCLを得る不純物分離工程S2。
(3)コバルト濃縮液CCLを結晶化し、硫酸コバルトRCを得る結晶化工程S3。
本実施形態において原料として使用する粗水酸化コバルトHRCは、銅製錬の副産物として得られ、コバルトの他に不純物として鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウム等を含む粉体である。本実施形態に係る粗水酸化コバルトHRCの概略成分を以下の表1に示す。
表1においてCo以外の金属成分の各含有量はCoに対する相対質量比で示している。
Figure 2022104563000002
以下、本実施形態に係る硫酸コバルトの製造方法について図2の工程説明図(フロー図)に示す不純物分離工程S2を適宜参照しつつ詳細に説明する。
[浸出工程S1]
浸出工程S1においては、粗水酸化コバルトHRCに対し、純水を添加し、スラリー濃度20%程度となるようにスラリー化し、粗水酸化コバルトスラリー(浸出スラリー)ESを得る。
粗水酸化コバルトスラリーESは、常圧のもと、95℃以上の温度で、還元剤と濃硫酸を添加して0.5時間程度浸出させることにより、コバルト、鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムを含む浸出スラリーが得られる。
浸出温度を95℃以上とすることにより、粗水酸化コバルトスラリーES中のコバルトの浸出速度を向上させることができる。これにより、粗水酸化コバルトスラリーES中に含まれるコバルトの浸出時間を短縮し、同時に、コバルトの浸出率を上昇させることができる。
粗水酸化コバルトHRCに添加する純水は、極力純度の高いものを使用する。純度の低い水、例えば、水道水や工業用水を添加すると、最終的に得られる硫酸コバルトRCの純度低下の要因となる。
濃硫酸添加量は、粗水酸化コバルトHRCの使用量に対して、0.9~1.2倍グラム当量とすることができる。濃硫酸添加量をこの範囲に調整することで、コバルトの浸出を十分に行い、なおかつ、過剰な硫酸(フリー硫酸)の発生量を抑制することができる。したがって、コバルトの回収コストの上昇を抑制しつつ、粗水酸化コバルトスラリーESからのコバルトの浸出率を維持することができる。この結果、効率的にコバルトを回収することができる。
粗水酸化コバルトスラリーES中のコバルトについて、2価のコバルトが大部分を占めており、3価のコバルトもわずかに存在する。また、2価のコバルトが3価のコバルトよりも浸出が容易である。粗水酸化コバルトスラリーESに還元剤を添加することで、粗水酸化コバルトスラリー中の3価のコバルトが2価へ変化する。その結果、コバルトの浸出が促進され、コバルトの浸出率を99%以上とすることが可能である。
粗水酸化コバルトスラリーESに添加する還元剤としては、30~35重量%の過酸化水素水を用いることができる。過酸化水素水の添加量は、粗水酸化コバルトHRCの使用量に対して、0.04~0.2倍グラム当量程度とすることができる。
粗水酸化コバルトスラリーESの浸出に使用する設備としては、特に限定されず、一般的に使用されている耐酸ライニングが施された攪拌機付の容器などで十分である。
[不純物分離工程S2]
不純物分離工程S2では、浸出スラリーES中のコバルトと不純物とを分離し、コバルト濃縮液CCLを得る。
不純物分離工程S2は、一例として図2に示すように、第一中和工程TS1、第二中和工程TS2、硫化工程RS、第一溶媒抽出工程YS1、第二溶媒抽出工程YS2、第三溶媒抽出工程YS3を含んでいる。
不純物分離工程S2は、一例として図3に示すように、第一中和工程TS1、第二中和工程TS2、第三中和工程TS3、硫化工程RS、第一溶媒抽出工程YS1、第二溶媒抽出工程YS2、第三溶媒抽出工程YS3を含んでいてもよい。
第一中和工程TS1、第二中和工程TS2、第三中和工程TS3では水酸化物沈殿法を採用する。第一中和工程TS1では鉄、第二中和工程TS2ではアルミニウム、第三中和工程TS3ではコバルトを主な分離対象としている。硫化工程RSでは硫化物沈殿法を採用し、銅を主な分離対象としている。
第二中和工程TS2においては、アルミニウムを主な分離対象としているが、コバルトもわずかに沈殿物となり、ロスを生じてしまう。従って、前述のわずかなコバルトを含む第二中和工程TS2の沈殿物を回収し、回収物を浸出スラリーESに戻して溶解する。こうすることでコバルトの歩留り低下を防止することができる。
硫化工程RSにおいては、銅を主な分離対象としているが、コバルトもわずかに沈殿物となり、ロスを生じてしまう。従って、前述のわずかなコバルトを含む硫化工程RSの沈殿物を回収し、回収物を浸出スラリーESに戻して溶解する。こうすることでコバルトの歩留り低下を防止することができる。
図3に示す第三中和工程TS3においては、コバルトを沈殿物として回収し、回収物を浸出スラリーに戻して溶解する。こうすることでコバルトの歩留り低下を防止することができる。
第一溶媒抽出工程YS1、第二溶媒抽出工程YS2、第三溶媒抽出工程YS3では溶媒抽出法を採用する。第一溶媒抽出工程YS1ではマンガン、カルシウム、亜鉛、第二溶媒抽出工程YS2ではマグネシウム、第三溶媒抽出工程YS3ではニッケルを主な分離対象としている。
以下、不純物分離工程S2に含まれる第一中和工程TS1、第二中和工程TS2、硫化工程RS、第一溶媒抽出工程YS1、第二溶媒抽出工程YS2、第三溶媒抽出工程YS3、第三中和工程TS3について詳細を説明する。
[不純物分離工程~第一中和工程TS1~]
浸出工程S1で得られた浸出スラリーESに中和剤を添加し、pHを2.0~3.0の範囲に調整する。浸出スラリーESの温度を90℃以上に維持する。浸出スラリー中のFe3+が優先的に中和され、水酸化物として沈殿し、スラリーを形成する。スラリーを固液分離することで、中和液Aと中和残渣Aが得られる。中和残渣Aは廃棄される。
浸出スラリーESに添加する中和剤としては、25重量%程度の炭酸カルシウムスラリーが使用できる。
浸出スラリーESのpHが2.0未満では、鉄の沈殿が不十分となる。浸出スラリーESのpHが3.0超では、目的外の元素、例えば、コバルトも沈殿し、中和剤添加量が過剰になりコスト増になる。したがって、第一中和工程TS1では浸出スラリーESのpHを2.0~3.0の範囲に調整する必要がある。
浸出スラリーESの温度が90℃未満では反応速度が遅く、水酸化物の形成に時間がかかる。したがって、第一中和工程TS1では浸出スラリーESの温度は90℃以上に維持する必要がある。
第一中和工程TS1に使用する固液分離装置としては、特に限定されないが、フィルタープレス等の濾過装置を用いることができる。濾過装置は、フィルタープレス以外であっても、固体と水分とに分離させることができる濾過装置であればよい。
[不純物分離工程~第二中和工程TS2~]
第一中和工程TS1後の中和液Aに中和剤を添加し、pHを5.0~6.0の範囲に調整する。中和液Aの温度を50℃以上に維持する。中和液Aに含まれるアルミニウムが優先的に中和され、水酸化物として沈殿し、スラリーを形成する。スラリーを固液分離することで、中和液Bと中和残渣Bが得られる。
第二中和工程TS2により得られた中和残渣Bはわずかにコバルトを含んでいる。中和残渣Bを浸出スラリーESに戻し、溶解することでコバルトの歩留り低下を防止できる。
中和液Aに添加する中和剤としては、25重量%程度の水酸化カルシウムスラリーを使用できる。
中和液AのpHが5.0未満では、アルミニウムの沈殿が不十分となる。浸出スラリーのpHが6.0超では、コバルトの共沈が過大となり、中和剤添加量が過剰になりコスト増になる。
したがって、第二中和工程TS2では中和液AのpHを5.0~6.0の範囲に調整する必要がある。
中和液Aの温度が50℃未満では反応速度が遅く、水酸化物の形成に時間がかかる。したがって、第二中和工程TS2では中和液Aの温度は50℃以上に維持する必要がある。
第二中和工程TS2に使用する固液分離装置としては、特に限定されないが、シックナー等の沈降濃縮装置を用いることができる。沈降濃縮装置は、シックナー以外であっても、濃縮スラリーが得られる沈降濃縮装置であればよい。
[不純物分離工程~硫化工程RS~]
第二中和工程TS2後の中和液Bに硫化剤を添加し、0.5時間程度反応させる。酸化還元電位(ORP、Ag/AgCl電極基準)は-200~100mVになるように調整する。中和液Bに含まれる銅が硫化され、硫化物として沈殿し、スラリーを形成する。スラリーを固液分離することで、硫化液と硫化残渣が得られる。
硫化工程RSにより得られた硫化残渣はわずかにコバルトを含んでいる。硫化残渣を浸出スラリーESに戻し、溶解することでコバルトの歩留り低下を防止できる。
中和液Bに添加する硫化剤としては、10重量%程度の硫化水素ナトリウム水溶液を使用できる。
中和液Bの酸化還元電位が100mV超では、銅の沈殿が不十分となる。中和液Bの酸化還元電位が-200mV未満では、目的外の元素、例えば、コバルトも沈殿し、硫化剤添加量が過剰になりコスト増になる。したがって、硫化工程RSでは中和液Bの酸化還元電位を-200~100mVの範囲に調整する必要がある。
硫化工程RSに使用する固液分離装置としては、特に限定されないが、シックナー等の沈降濃縮装置を用いることができる。沈降濃縮装置は、シックナー以外であっても、濃縮スラリーが得られる沈降濃縮装置であればよい。
硫化剤として硫化水素ナトリウム水溶液を使用した場合、硫化液中にナトリウムが含まれる。硫化液中のナトリウムは後述の第二溶媒抽出工程YS2の抽出液B1および抽出液B2に殆ど残留し、最終的に排水処理される。
このように、第一中和工程TS1および第二中和工程TS2での水酸化物沈殿法、硫化工程RSでの硫化物沈殿法により主に浸出スラリーの鉄、アルミニウム、銅を分離できる。硫化工程後の硫化液は、不純物として、マンガン、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、ニッケルを含んでいるが、水酸化物沈殿法や硫化物沈殿法では分離が難しく、以下に説明する溶媒抽出法により分離する。
[不純物分離工程~第一溶媒抽出工程YS1~]
第一溶媒抽出工程YS1では、硫化液(水相)とリン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒A(有機相)とを接触させる際に、pH調整剤を添加して水相のpHを1.5~2.5に調整する。水相中のマンガン、カルシウム、亜鉛を有機相中に選択的に抽出し、コバルト、マグネシウム、ニッケルが濃化した抽出液Aを得る。このとき、有機相へはマンガン、カルシウム、亜鉛だけでなく、コバルトもわずかに抽出する。
水相のpHが1.5未満もしくは2.5超では、マンガン、カルシウム、亜鉛の抽出率とコバルトの抽出率との差が小さくなり、分離が難しくなるため、水相のpHを1.5~2.5に調整する必要がある。
pH調整剤としては、特に限定されないが、アンモニア水を用いることができる。
リン酸エステル系抽出剤としては、マンガン、カルシウム、亜鉛などに対して高い抽出性を有するビス(2-エチルヘキシル)ホスフェートが好ましい。
第一溶媒抽出工程YS1は、上記抽出剤を炭化水素系溶剤で希釈して調整した有機溶媒Aと中和液Bを接触して行う。抽出剤と炭化水素系溶剤の体積比を4:1に調整した有機溶媒Aを用いる場合、硫化液に対する有機溶媒Aの体積比は1以上が好ましい。また、炭化水素系溶剤としては、芳香族系、パラフィン系、ナフテン系溶剤等が利用可能であり、なかでもナフテン系溶剤が好ましい。
抽出後の有機相は、マンガン、カルシウム、亜鉛の他、コバルトも含んでいる。抽出後の有機相と希硫酸を接触させることによって、有機相中のマンガン、カルシウム、亜鉛、コバルトを希硫酸に逆抽出し、逆抽液Aを得る。抽出剤と炭化水素系溶剤の体積比を4:1に調整した有機溶媒Aを用いる場合、希硫酸に対する抽出後の有機相の体積比は1以上が好ましい。逆抽出後の有機相は、第一溶媒抽出工程YS1に繰り返し使用することができる。有機相を繰り返し使用することでコスト低減へ寄与することができる。
第一溶媒抽出工程YS1に使用される装置としては、特に限定されないが、溶媒抽出分離装置が複数個接続されたミキサーセトラーを用いることができる。
[不純物分離工程~第二溶媒抽出工程YS2~]
第二溶媒抽出工程YS2では、抽出液A(水相)とカルボン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒B(有機相)とを接触させる際に、pH調整剤を添加して水相のpHを5.5~7.5の範囲に調整する。水相中のコバルトとニッケルを有機相中に選択的に抽出し、マグネシウムが濃化した抽出液B1を得る。抽出液B1は排水処理される。
水相のpHが5.5未満もしくは7.5超では、マグネシウムの抽出率とコバルトの抽出率との差が小さくなり、分離が難しくなるため、水相のpHを5.5~7.5に調整する必要がある。
pH調整剤としては、特に限定されないが、アンモニア水を用いることができる。
カルボン酸エステル系抽出剤としては、コバルトとニッケルに対して高い抽出性を有する9,9-ジメチルデカン酸が好ましい。
第二溶媒抽出工程YS2は、上記抽出剤を炭化水素系溶剤で希釈して調整した有機溶媒Bと、抽出液Aとを接触して行う。抽出剤と炭化水素系溶剤の体積比を1:1に調整した有機溶媒Bを用いる場合、抽出液Aに対する有機溶媒Bの体積比は1.2以上が好ましい。炭化水素系溶剤としては、芳香族系、パラフィン系、ナフテン系溶剤等が利用可能であり、なかでもナフテン系溶剤が好ましい。
抽出液A中のコバルトの大部分は有機相に抽出される。抽出後の有機相と希硫酸を接触させることによって、有機相中のコバルトとニッケルを希硫酸に逆抽出し、逆抽液B1を得る。抽出剤と炭化水素系溶剤の体積比を1:1に調整した有機溶媒Bを用いる場合、希硫酸に対する抽出後の有機相の体積比は1.2以上が好ましい。
逆抽出後の有機相と希硫酸を接触させることによって、逆抽出後の有機相を洗浄することができる。抽出剤と炭化水素系溶剤の体積比を1:1に調整した有機溶媒Bを用いる場合、逆抽出後の有機相に対する希硫酸の体積比は0.3以上が好ましい。洗浄後の有機相は、第二溶媒抽出工程YS2に繰り返し使用することができる。有機相を繰り返し使用することでコスト低減へ寄与することができる。また、洗浄後液1にはわずかにコバルトが含まれており、洗浄後液1を回収すればコバルト歩留りを向上させることが可能である。
逆抽液B1に対し、再度上記の抽出、逆抽出、洗浄の操作を行うことで、抽出液B2、逆抽液B2、洗浄後液2を得る。抽出液B2は排水処理される。また、洗浄後液2にはわずかにコバルトが含まれており、洗浄後液2を回収すればコバルト歩留りを向上させることが可能である。
第二溶媒抽出工程YS2に使用される装置としては、特に限定されないが、溶媒抽出分離装置が複数個接続されたミキサーセトラーを用いることができる。
[不純物分離工程~第三溶媒抽出工程YS3~]
第三溶媒抽出工程YS3では、逆抽液B2(水相)とホスフィン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒C(有機相)とを接触させる際に、pH調整剤を添加して水相のpHを4.5~6の範囲に調整する。これによって、水相中のコバルトを有機相中に選択的に抽出し、ニッケルが濃化した抽出液Cを得る。抽出液Cは排水処理される。
水相のpHが4.5未満もしくは6超では、ニッケルの抽出率とコバルトの抽出率との差が小さくなり、分離が難しくなるため、水相のpHを4.5~6に調整する必要がある。
pH調整剤としては、特に限定されないが、アンモニア水を用いることができる。
ホスフィン酸エステル系抽出剤としては、コバルトなどに対して高い抽出性を有するジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)-ホスフィン酸が好ましい。
第三溶媒抽出工程YS3は、上記抽出剤を炭化水素系溶剤で希釈して調整した有機溶媒Cと逆抽液B2を接触して行う。抽出剤と炭化水素系溶剤の体積比を1:1に調整した有機溶媒Cを用いる場合、逆抽液B2に対する有機溶媒Cの体積比は2.4以上が好ましい。炭化水素系溶剤としては、芳香族系、パラフィン系、ナフテン系溶剤等が利用可能であり、なかでもナフテン系溶剤が好ましい。
逆抽液B2中のコバルトの大部分は有機相に抽出される。抽出後の有機相と希硫酸を接触させることによって、有機相中のコバルトを希硫酸に逆抽出し、コバルト濃縮液CCLを得る。抽出剤と炭化水素系溶剤の体積比を1:1に調整した有機溶媒Cを用いる場合、希硫酸に対する抽出後の有機相の体積比は2.4以上が好ましい。逆抽出後の有機相は、第三溶媒抽出工程YS3に繰り返し使用することができる。有機相を繰り返し使用することでコスト低減へ寄与することができる。
第三溶媒抽出工程YS3に使用される装置としては、特に限定されないが、溶媒抽出分離装置が複数個接続されたミキサーセトラーを用いることができる。
[結晶化工程S3]
結晶化工程S3では、コバルト濃縮液CCLから硫酸コバルトRCを得る。
結晶化工程S3に使用する装置としては、特に限定されないが、冷却晶析装置を用いることができる。
結晶化工程S3後に得られる硫酸コバルトRCの概略成分は以下の表2に示すような組成と成分である。
表2において各成分の含有量は質量割合で示している。
Figure 2022104563000003
以上のプロセスで粗水酸化コバルトHRCから硫酸コバルトRCを製造すると、コバルトの歩留まりは86%以上であり、コバルトの回収ロスを低減することができる。
さらに、後述の操作をすることで、よりコバルトの回収ロスを低減させ、コバルト歩留まりを向上させることができる。
図3に示すように、コバルト歩留まりを向上させる手段を備えた不純物分離工程S2は、第一中和工程TS1、第二中和工程TS2、硫化工程RS、第一溶媒抽出工程YS1、第二溶媒抽出工程YS2、第三溶媒抽出工程YS3、第三中和工程TS3を含んでいる。
第一中和工程TS1、第二中和工程TS2、硫化工程RS、第一溶媒抽出工程YS1、第二溶媒抽出工程YS2、第三溶媒抽出工程YS3については前述の通りである。
以下、第三中和工程TS3について詳細を説明する。
[不純物分離工程~第三中和工程TS3~]
第一溶媒抽出工程YS1から得た逆抽液Aは、マンガン、カルシウム、亜鉛、コバルトを含んでいる。図3に示すように逆抽液Aに中和剤を加えてpHを8.2~8.8の範囲に調整する。逆抽液Aの温度を50℃以上に維持する。
逆抽液Aに含まれるコバルトが優先的に中和され、水酸化物として沈殿し、スラリーを形成する。スラリーを固液分離することで、中和液Cと中和残渣Cが得られる。中和液Cは排液処理される。
中和残渣Cはコバルトを含んでいる。中和残渣Cを浸出スラリーに戻し、溶解することで、コバルトの歩留り低下を防止することができる。
中和剤としては、25重量%程度の水酸化ナトリウム水溶液が使用できる。
逆抽液AのpHが8.2未満であると、コバルトの沈殿が不十分となる。逆抽液AのpHが8.8超であると、マンガンの共沈が過大となり、中和剤添加量が過剰になりコスト増になる。したがって、第三中和工程TS3では逆抽液AのpHを8.2~8.8の範囲に調整する必要がある。
逆抽液Aの温度が50℃未満では反応速度が遅く、水酸化物の形成に時間がかかる。したがって、第三中和工程TS3では逆抽液Aの温度は50℃以上に維持する必要がある。
第三中和工程TS3に使用する固液分離装置としては、特に限定されないが、シックナー等の沈降濃縮装置を用いることができる。沈降濃縮装置は、シックナー以外であっても、濃縮スラリーが得られる沈降濃縮装置であればよい。
中和剤として水酸化ナトリウム水溶液を使用した場合、中和残渣Cに帯同する水分中にナトリウムが含まれる。中和残渣Cに帯同する水分中のナトリウムは、第二溶媒抽出工程YS2の抽出液B1および抽出液B2に殆ど残留し、最終的に排水処理される。
このように、不純物分離工程S2に図3に示すように第三中和工程TS3を加え、中和残渣Cを浸出スラリーESに戻し、溶解した場合、そうでない場合よりもコバルトの回収ロスを低減できる。結晶化工程後に得られる硫酸コバルトRCは前述のものと同質である。
不純物分離工程S2に第三中和工程TS3を加え、中和残渣Cを浸出スラリーESに戻し、溶解したプロセスで粗水酸化コバルトHRCから硫酸コバルトRCを製造すると、コバルトの歩留まりは95%以上となる。
よって、コバルトの回収ロスを極力低減しつつ、粗水酸化コバルトHRCから鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムなどの不純物元素を取り除き、これら不純物元素を極力少なくした硫酸コバルトRCを得ることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
[実施例1]
第三中和工程がある場合
スラリー濃度20%となるようにビーカーへ粗水酸化コバルトと純水を添加し、撹拌することで粗水酸化コバルトスラリーを得た。
粗水酸化コバルトの成分は以下の表3に示す通りであった。
表3においてCo以外の金属成分の各含有量はCoに対する相対質量比で示している。
Figure 2022104563000004
スラリー濃度20%の粗水酸化コバルトスラリーに対し、常圧のもと、過酸化水素水(濃度34.5質量%)と濃硫酸を添加した。反応温度98℃、反応時間0.5時間の条件で浸出させることにより、コバルト、鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムを含む浸出スラリーを得た。コバルトの浸出率は99.9%であった。
ここで、濃硫酸添加量は、粗水酸化コバルトの使用量に対して、1.1倍グラム当量とした。また、過酸化水素水の添加量は、粗水酸化コバルトの使用量に対して、0.15倍グラム当量とした。
浸出スラリーに炭酸カルシウムスラリー(濃度25重量%)を添加し、pHを3.0に調整した。反応温度95℃、反応時間4時間の条件で中和させることにより、スラリーを形成できた。スラリーを吸引ろ過装置で固液分離することで、中和液Aと中和残渣Aを得た。
浸出スラリー中の鉄は、全量が中和残渣Aへ分離した。中和残渣Aは廃棄した。吸引ろ過装置は、ろ紙、ブフナー漏斗、濾過びん、真空ポンプ等から構成された一般的に使用されているものを使用した。
中和液Aに水酸化カルシウムスラリー(濃度25重量%)を添加し、pHを5.0に調整した。反応温度50℃、反応時間2.5時間の条件で中和させることにより、スラリーを形成できた。スラリーをシックナーで固液分離することで、中和液Bと中和残渣Bを得た。
中和液A中のアルミニウムは、全量が中和残渣Bへ分離した。中和残渣Bは浸出スラリーに戻し、溶解した。
中和液Bに硫化水素ナトリウム水溶液(濃度10重量%)を添加した。酸化還元電位100mV、反応時間0.5時間の条件で硫化させることにより、スラリーを形成できた。スラリーをシックナーで固液分離することで、硫化液と硫化残渣を得た。
中和液B中の銅は、全量が硫化残渣へ分離した。硫化残渣は浸出スラリーに戻し、溶解した。
硫化液の成分は以下の表4に示す通りであった。
表4においてCo以外の金属成分の各含有量はCoに対する相対質量比で示している。
Figure 2022104563000005
有機溶媒A(有機相)として、抽出剤「ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート:D2EHPA」に希釈剤「エクソールD80(エクソンモービル社製)」を体積比4:1の割合で混合して準備した。硫化液(水相)へアンモニア水(濃度30重量%)を添加し、pHを2.2に調整した。
分液漏斗を使用し、有機相とpH調整した水相を体積比1:1の割合で接触させる抽出を15回、抽出後の有機相と希硫酸(濃度150g/L)を体積比1:1の割合で接触させる逆抽出を1回行うことで、抽出液Aと逆抽液Aを得た。このとき、硫化液中の99.9%以上のマンガンが逆抽液Aに分配した。硫化液中のカルシウムと亜鉛の全量が逆抽液Aに分配した。また、逆抽液Aには5g/Lのコバルトが含まれていた。
逆抽液Aに水酸化ナトリウム水溶液(濃度25重量%)を添加してフリー硫酸を中和した後、水酸化カルシウムスラリー(濃度25重量%)を添加し、pHを8.6に調整した。反応温度50℃、反応時間2時間の条件で中和させることにより、スラリーを形成できた。スラリーを吸引ろ過装置で固液分離することで、中和液Cと中和残渣Cを得た。
逆抽液A中のコバルトは、全量が中和残渣Cへ分離した。中和液Cは排水処理した。吸引ろ過装置は、ろ紙、ブフナー漏斗、濾過びん、真空ポンプ等から構成された一般的に使用されているものを使用した。
中和残渣Cは浸出スラリーに戻し、溶解した。
有機溶媒B(有機相)として、抽出剤「9,9-ジメチルデカン酸:Versatic acid-10(Hexion Management (Shanghai) Co., Ltd.製)」に希釈剤「エクソールD80(エクソンモービル社製)」を体積比1:1の割合で混合して準備した。
抽出液A(水相)へアンモニア水(濃度30重量%)を添加し、pHを6.5に調整した。分液漏斗を使用し、有機相とpH調整した水相を体積比1.2:1の割合で接触させる抽出を5回、抽出後の有機相と希硫酸(濃度150g/L)を体積比1.2:1の割合で接触させる逆抽出を1回、逆抽出後の有機相と希硫酸(濃度150g/L)を体積比3.6:1の割合で接触させる洗浄を1回行うことで、抽出液B1、逆抽液B1、洗浄後液1を得た。
硫化工程に使用した硫化水素ナトリウム水溶液および第三中和工程に使用した水酸化ナトリウム水溶液に由来するナトリウムは、抽出液B1と抽出液B2へ99.9%分配した。
逆抽液B1に対し、再度前述の抽出、逆抽出、洗浄の操作を行い、抽出液B2、逆抽液B2、洗浄後液2を得た。このとき、抽出液A中の97%以上のコバルトと99.9%以上のニッケルが逆抽液B2に分配した。抽出液B1、抽出液B2、洗浄後液1、洗浄後液2は排水処理した。
有機溶媒C(有機相)として、抽出剤「ジ-(2,4,4-トリメチルペンチル)-ホスフィン酸:CYANEX272(Cytec Industries Inc.製)」に希釈剤「エクソールD80(エクソンモービル社製)」を体積比1:1の割合で混合して準備した。逆抽液B2(水相)へアンモニア水(濃度30重量%)を添加し、pHを5.0に調整した。分液漏斗を使用し、有機相とpH調整した水相を体積比2.4:1の割合で接触させる抽出を4回、抽出後の有機相と希硫酸(濃度300g/L)とを体積比3.4:1の割合で接触させる逆抽出を1回行うことで、抽出液Cとコバルト濃縮液を得た。このとき、逆抽液B2中の99.9%以上のコバルトがコバルト濃縮液に分配した。抽出液Cは排水処理した。
コバルト濃縮液を冷却晶析装置で結晶化させ、硫酸コバルトを得た。
実施例1の製造方法で得た硫酸コバルトの成分は、以下の表5に示す通りであり、実施例1の製造方法によるコバルト歩留まりは95.7%であった。
表5において各成分の含有量は質量割合で示している。
Figure 2022104563000006
[実施例2]
第三中和工程がない場合
第三中和工程で得た中和残渣Cを浸出スラリーに戻し、溶解することを除いて、実施例1の製造方法に準じて硫酸コバルトを製造した。
実施例2の製造方法で得た硫酸コバルトの成分は、実施例1の製造方法で得た硫酸コバルトの成分と同等であった。
実施例2の製造方法によるコバルト歩留りは86.5%であった。
HRC…粗水酸化コバルト、ES…浸出スラリー、CCL…コバルト濃縮液、RC…硫酸コバルト、S1…浸出工程、S2…不純物分離工程、S3…結晶化工程、TS1…第一中和工程、TS2…第二中和工程、RS…硫化工程、TS3…第三中和工程、YS1…第一溶媒抽出工程、YS2…第二溶媒抽出工程、YS3…第三溶媒抽出工程。

Claims (18)

  1. 不純物元素として少なくとも鉄、銅、アルミニウム、マンガン、カルシウム、亜鉛、ニッケル、マグネシウムの一種以上を含む粗水酸化コバルトをスラリー化し、さらに酸で浸出することで浸出スラリーを得る浸出工程と、
    前記浸出スラリー中の不純物を分離し、コバルト濃縮液を得る不純物分離工程と、
    前記コバルト濃縮液を結晶化し、硫酸コバルトを得る結晶化工程と、
    を含むことを特徴とする硫酸コバルトの製造方法。
  2. 前記酸が硫酸であることを特徴とする請求項1に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  3. 前記不純物分離工程が、前記浸出スラリーに炭酸カルシウムスラリーを加えることで形成したスラリーを固液分離し、中和液Aと中和残渣Aを得る第一中和工程を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  4. 前記中和残渣Aに前記不純物元素の内の鉄を抽出することを特徴とする請求項3に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  5. 前記不純物分離工程が、前記中和液Aに水酸化カルシウムスラリーを加えることで形成したスラリーを固液分離し、中和液Bと中和残渣Bを得る第二中和工程を含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  6. 前記中和残渣Bに前記不純物元素の内のアルミニウムを抽出することを特徴とする請求項5に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  7. 前記中和残渣Bを前記浸出スラリーに戻して溶解することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  8. 前記不純物分離工程が、前記中和液Bに硫化水素ナトリウム水溶液を添加して硫化液と硫化残渣を得る硫化工程を含むことを特徴とする請求項5~請求項7のいずれか一項に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  9. 前記硫化残渣に前記不純物元素内の銅を抽出することを特徴とする請求項8に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  10. 前記硫化残渣を前記浸出スラリーに戻して溶解することを特徴とする請求項8または請求項9に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  11. 前記不純物分離工程が、前記硫化液にリン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒Aを接触させることで抽出液Aを得、さらに、抽出後の有機溶媒Aと希硫酸とを接触させることで逆抽液Aを得る第一溶媒抽出工程を含むことを特徴とする請求項8~請求項10のいずれか一項に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  12. 前記逆抽液Aに前記不純物元素の内のマンガンとカルシウムと亜鉛を抽出することを特徴とする請求項11に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  13. 前記不純物分離工程が、前記抽出液Aにカルボン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒Bを接触させることで抽出液Bを得、さらに、抽出後の有機溶媒Bと希硫酸とを接触させることで逆抽液Bを得る第二溶媒抽出工程を含むことを特徴とする請求項11または請求項12に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  14. 前記抽出液Bに前記不純物元素の内のマグネシウムを抽出することを特徴とする請求項13に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  15. 前記不純物分離工程が、前記逆抽液Bにホスフィン酸エステル系抽出剤を含有する有機溶媒Cを接触させることで抽出液Cを得、さらに、抽出後の有機溶媒Cと希硫酸とを接触させることでコバルト濃縮液を得る第三溶媒抽出工程を含むことを特徴とする請求項13または請求項14に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  16. 前記抽出液Cに前記不純物元素の内のニッケルを抽出することを特徴とする請求項15に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  17. 前記不純物分離工程が、前記逆抽液Aに水酸化ナトリウム水溶液を加えることで形成したスラリーを固液分離し、中和液Cと中和残渣Cとを得る第三中和工程を含むことを特徴とする請求項11~請求項16のいずれか一項に記載の硫酸コバルトの製造方法。
  18. 前記中和残渣Cを前記浸出スラリーに戻して溶解することを特徴とする請求項17に記載の硫酸コバルトの製造方法。
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