JP2022097054A - 万年筆 - Google Patents

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Abstract

【課題】速やかにインキを筆記領域へ供給できるとともに、インキ切れの生じない十分な量のインキを供給でき、インキのボタ落ちを抑制した万年筆の提供。【解決手段】軸方向に並んで延びて前端側で合流する第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bと、後端でインキ貯留領域と連通し、前端で外部と連通する気液溝14と、を備え、溝の長手方向の所定の長さにわたって、気液溝14の底部に第1のインキ溝12Aが開口しており、第1のインキ溝12Aの断面における単位面積当たりの毛細管力をF1とし、第2のインキ溝12Bの断面における単位面積当たりの毛細管力をF2とし、気液溝14の底部に設けられた第1のインキ溝12Aの開口における単位面積当たりの毛細管力をF3とすると、F1>F2>F3の関係を有する万年筆。【選択図】図2

Description

本発明は、毛細管力でインキを筆記領域に供給するインキ溝が設けられた万年筆に関する。
毛細管力でインキを筆記領域に供給するインキ溝が設けられた万年筆が、広く用いられている。その中には、通常のような1本のインキ溝ではなく、3本のインキ溝が設けられた筆記具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この筆記具では、1本のインキ溝を有する場合に比べて、より多くのインキを筆記領域へ供給できるので、太字を書くペン先を用いた場合であっても、インキ切れが生じるのを防ぐことができる。
実開平9-95083号公報
特許文献1に記載の筆記具では、3本のインキ溝のうち、両側にインキ溝の断面の大きさは、通常のインキ溝の断面の大きさとほぼ同様である。中央のインキ溝の断面の大きさは、櫛溝に連通するため更に大きくなっている。このため、インキ溝にインキがない状態から、毛細管力でインキが筆記領域に到達する時間は、従来の1本のインキ溝のみを有する場合と同様である。よって、筆記具の使用開始時や筆記具を洗浄した後のような、インキ溝にインキがない状態から使用可能な状態になるには、一定時間を要することもある。
また、引用文献1に記載の筆記具のペン芯の中心部には、3つのインキ溝と連通した空気溝が貫通しているので、3つのインキ溝から多量のインキが筆記領域に供給された場合、所謂インキのボタ落ちが生じる虞がある。
従って、本発明の目的は、上記の課題を解決するものであり、インキ溝にインキがない状態から、速やかにインキを筆記領域へ供給して、使用可能な状態にすることができるとともに、使用時にインキ切れの生じない十分な量のインキを筆記領域に供給でき、かつ所謂インキのボタ落ちを抑制することができる万年筆を提供するものである。
本発明の1つの実施態様に係る万年筆は、
一部がペン先で覆われたペン芯と、
首部で前記ペン芯と勘合し、内部にインキ貯留領域を有する軸筒と、
後端で前記インキ貯留領域と連通し、軸方向に並んで延びて前端側で合流する第1のインキ溝及び第2のインキ溝と、
後端で前記インキ貯留領域と連通し、前端で外部と連通する気液溝と、
を備え、
溝の長手方向の所定の長さにわたって、前記気液溝の底部に前記第1のインキ溝が開口しており、
前記第1のインキ溝の断面における単位面積当たりの毛細管力をF1とし、
前記第2のインキ溝の断面における単位面積当たりの毛細管力をF2とし、
前記気液溝の底部に設けられた前記第1のインキ溝の開口における単位面積当たりの毛細管力をF3とすると、
F1 > F2 > F3
の関係を有する。
本発明により、ンキ溝にインキがない状態から、速やかにインキを筆記領域へ供給して、使用可能な状態にすることができるとともに、使用時にインキ切れの生じない十分な量のインキを筆記領域に供給でき、かつ所謂インキのボタ落ちを抑制することができる万年筆を提供することができる。
本発明の1つの実施形態に係る万年筆の全体構造を模式的に示す平面断面図である。 図1の示す万年筆のペン芯部分を拡大して示す平面図である。 第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝の概要を模式的に示す図である。 第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝における流体の流れを模式的に示す図であって、インキがインキ貯留領域から流出する前の状態を示す図である。 第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝における流体の流れを模式的に示す図であって、インキが第1のインキ溝を流れ始めたところを示す図である。 第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝における流体の流れを模式的に示す図であって、インキが第2のインキ溝にも流れ始めたところを示す図である。 第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝における流体の流れを模式的に示す図であって、インキが第1のインキ溝の前端に到達したところを示す図である。 第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝における流体の流れを模式的に示す図であって、インキが第2のインキ溝の前端にも到達したところを示す図である。 第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝における流体の流れを模式的に示す図であって、インキが気液溝にも流入して、空気の流れを遮断したところを示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための実施形態を説明する。なお、以下に説明する筆記具は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。
各図面中、同一の機能を有する部材には、同一符号を付している場合がある。各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張して示している場合もある。本明細書において、「前」とは、筆記具の先端部側を指し、「後」とは、その反対側を指す。
(本発明の1つの実施形態に係る万年筆)
はじめに、図1及び図2を参照しながら、本発明の1つの実施形態に係る万年筆の概要を説明する。図1は、本発明の1つの実施形態に係る万年筆の全体構造を模式的に示す平面断面図である。図2は、図1の示す万年筆のペン芯部分を拡大して示す平面図である。図2の(a)は、平面を示し、(b)は(a)のA-A断面を示し、(c)は、(a)のB-B断面を示す。
本実施形態に係る万年筆2は、ペン先4と、一部がペン先4で覆われたペン芯10と、首部22でペン芯10と勘合し、内部にインキ貯留領域30を有する軸筒20とを備える。
ペン先4は、筆記時に紙と接触する前端部であるペンポイントと、ペンポイントから所定の長さだけ後方に延びたスリットと、ペン先4の略中央に設けられた穴部を有する。ペンポイントの近傍が筆記領域となる。ペン先4は弾性と耐食性を要するため、本体は金合金または特殊鋼で形成され、紙と接するペンポイント部分には耐摩耗性合金が用いられている。
軸筒20は、例えば、前側に位置する首部22と、中央に位置する胴軸24と、後ろ側に位置する尾栓26とで構成される。首部22及び胴軸24は、螺合等により、着脱可能な状態で互いに取り付けられている。軸筒20の内部の主に胴軸24の領域に、インキが収容されたインキ貯留領域30が配置されている。インキ貯留領域30としては、カートリッジ式の万年筆であれば、インキカートリッジが該当し、コンバータ式であれば、コンバータにより吸引されたボトルインキが収容される収容部が該当する。軸筒20は、例えば、樹脂材料で形成することができる。
ペン先4とペン芯10は重ね合わせられて、筒状になった首部22と嵌合する。このとき、ペン先4は、ペン芯10と重なり合った領域より前側にまで延びて配置されている。ペン芯10は、ペン先4と重なり合った領域より後ろ側にまで延びて配置されている。つまり、ペン芯10の一部がペン先4で覆われている。ペン先4とペン芯10が重なり合った領域が首部22と嵌合するので、ペン先4及びペン芯10が軸筒20の前端部にしっかり固定された構造が得られる。
ペン芯10には、後端側に位置するインキ貯留領域30内のインキを、ペン先4の前端の筆記領域に流動させるためのインキ溝12が設けられている。特に本実施形態では、インキ溝12として、後端でインキ貯留領域30と連通し、軸方向に並んで延びて前端側で合流する第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bが設けられている。第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bが合流した合流インキ溝12Cは、ペン芯10の前端部で終端している。また、インキ貯留領域30から引き出されたインキを一時的に蓄える櫛溝16も設けられている。
更に、後端でインキ貯留領域30と連通し、前端で外部と連通する気液溝14が設けられている。第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bを介して、インキ貯留領域30からインキが流出した場合、そのままでは、インキ貯留領域30内が負圧になって、インキの流れを継続させることができない。そこで、気液溝14により、流出したインキの分だけ大気を取り込む気液交換を行うことにより、インキ貯留領域30内が負圧になるのを防いで、インキ貯留領域30内のインキを継続的に筆記領域に供給することができる。
ペン芯10は、樹脂材料で形成することができ、一体的に形成された場合には、容易に洗浄することができる。
(第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝)
次に、図3を参照しながら、ペン芯10に設けられた第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B及び気液溝14の構造を説明する。図3は、第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝の概要を模式的に示す図である。
第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bは、インキ貯留領域30と連通する後端から互いに合流する前端部まで、概ね軸方向に並んで延びている。気液溝14は、インキ貯留領域30と連通する後端から、軸方向の前端側に延びている。図1に示すように、第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bの後端は、ペン芯10の後端部と一致しているが、気液溝14の後端は、ペン芯10の後端部より少し前側に位置している。
図3の(a)、(b)に示すように、第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B及び気液溝14が、それぞれ略矩形の断面形状を有する。ここでいう断面とは、溝が延びる方向に対して直交する断面を意味する。図3には、第1のインキ溝12Aの後端における幅をW1、深さをD1で示し、第2のインキ溝12Bの後端における幅をW2、深さをD2で示し、気液溝14の後端における幅をW3、深さをD3で示す。
本実施形態では、後端において、第1のインキ溝12Aの幅W1及び第2のインキ溝12Bの幅W2は、同一になっている。一方、深さについては、第2のインキ溝12Bの深さD2が、第1のインキ溝12Aの深さD1より大きく(深く)なっている。よって、後端において、第2のインキ溝12Bの断面の周長及び断面積は、第1のインキ溝12Aの断面の周長及び断面積より大きくなっている。
第1のインキ溝12Aの幅W1、深さD1及び第12インキ溝12Bの幅W2、深さD2は、前側に進むにつれて変化させる(例えば、先端方向に向けて狭く浅くなる)ことができる。そして、第1のインキ溝12Aと合流する前端部で、第2のインキ溝12Bの深さD2は、第1のインキ溝12Aの深さD1と同一になっている。
ただし、これに限られるものではなく、例えば、第1のインキ溝12Aの幅W1、深さD1は、全長にわたってほぼ同一とし、第2のインキ溝12Bについては、幅W2は全長にわたって同一であるが、深さD2は、前側に進むにつれて小さく(浅く)することもできる。これにより、第1のインキ溝12Aと合流する前端部で、第2のインキ溝12Bの深さD2を、第1のインキ溝12Aの深さD1と同一にすることができる。
第1のインキ溝12Aはペン芯10の後端部から前端側まで延びているが、その中で、溝が延びる方向の長さLにわたって、第1のインキ溝12Aの上側(ペン先4が配置される側)に気液溝14が配置された領域がある。その領域では、第1のインキ溝12A及び気液溝14が連通している。別の表現をすれば、溝の長手方向の長さLにわたって、気液溝14の底部に第1のインキ溝12Aが開口している。長さLの気液溝14の前端側は、大気と連通している。例えば、気液溝14の前端側で、気液溝14の上側が大気に開口している場合もあり得るし、第1のインキ溝12Aの上側の位置からは外れて、気液溝14が軸方向と交わる方向に延びて、ペン芯10の側部で大気に開口している場合もあり得る。
図3の(c)に示すように、第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B及び気液溝14の表面で生じる単位長さ当たりの毛細管力をTとし、毛細管力Tの溝内面に対する角度をθとすると、単位長さ当たりの溝にインキを引き込む単位長さ当たりの力はT×cosθとなる。
インキ貯留領域30内のインキを第1のインキ溝12Aに引き込む圧力に相当する、単位面積当たりの毛細管力をF1とすると、
F1=T×cosθ×(W1+2×D1)/(W1×D1)となる。
同様に、インキ貯留領域30内のインキを第2のインキ溝12Bに引き込む圧力に相当する、単位面積当たりの毛細管力をF2とすると、
F2=T×cosθ×(W2+2×D2)/(W2×D2)となる。
また、長さLにわたる気液溝14の底部の開口を介して、第1のインキ溝12A内のインキが気液溝14内に引き込まれる圧力に相当する、単位面積当たりの毛細管力をF3とすると、
F3=T×cosθ×(2×L)/(W3×L)となる。
本実施形態では、第1のインキ溝12Aの断面における単位面積当たりの毛細管力F1、第2のインキ溝12Bの断面における単位面積当たりの毛細管力F2、気液溝14の底部に設けられた第1のインキ溝12Aの開口における単位面積当たりの毛細管力F3の間には、
F1 > F2 > F3
の関係を有するようになっている。
これを上記の溝の寸法で表せば、
T×cosθ×(W1+2×D1)/(W1×D1) > =T×cosθ×(W1+2×D1)/(W1×D1) > T×cosθ×(2×L)/(W3×L)
の関係を有する。
T×cosθで割れば、
(W1+2×D1)/W1×D1 > (W2+2×D2)/W2×D2
>(2×L)/(W3×L)
の関係を有する。
更に、インキ貯留領域30内のインキを気液溝14に引き込む圧力に相当する、単位面積当たりの毛細管力をF4とすると、
F4=T×cosθ ×(W3-W1+2×D3)/(W3×D3)となる。
F4についても、
F1 > F2 > F4
の関係を有するようになっている。
つまり、
(W1+2×D1)/W1×D1 > (W2+2×D2)/W2×D2
>(W3-W1+2×D3)/(W3×D3)
の関係を有する。
第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B及び気液溝14の断面積を比較すると、基本的に、第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B、気液溝14の順に大きくなっている。つまり、
W1×D1 < W2×D2 < W3×D3
の関係を有する。
なお、インキ溝、気液溝が、幅が狭く深い矩形断面では周長が長くなるので、断面積に関する上記の不等式に当てはまらない場合があり得るが、その場合であっても、インキ溝12A、12B、気液溝14の寸法を適宜定めることにより、F1 > F2 > F3の関係を有するようにすることができる。
(インキ、空気の流れ)
次に、図4Aから図4Eを参照しながら、上記の関係を有する第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B及び気液溝14におけるインキ及び空気の流れを説明する。図4Aから図4Eは、それぞれ、第1のインキ溝、第2のインキ溝及び気液溝における流体の流れを模式的に示す図である。図4Aは、インキがインキ貯留領域から流出する前の状態を示す図であり、図4Bは、インキが第1のインキ溝を流れ始めたところを示す図であり、図4Cは、インキが第2のインキ溝にも流れ始めたところを示す図であり、図4Dは、インキが第1のインキ溝の前端に到達したところを示す図であり、図4Eは、インキが第2のインキ溝の前端にも到達したところを示す図であり、図4Fは、インキが気液溝にも流入して、空気の流れを遮断したところを示す図である。各図の(a)は、溝が延びた方向に沿った側面を示し、(b)は、溝が延びる方向と直交した断面を示す。
なお、図4Aから図4Fに示された第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bの前端は、両者が合流する位置を示している。
上記のように、単位面積当たりの毛細管力F1、F2、F3は、インキをインキ貯留領域30から第1のインキ溝12Aへ引き込む単位面積当たりの毛管力F1、インキをインキ貯留領域30から第2のインキ溝12Bへ引き込む単位面積当たりの毛管力F2、インキを第1のインキ溝12Aから気液溝14へ引き込む単位面積当たりの毛管力F3の順に小さくなっている。インキをインキ貯留領域30から気液溝14へ引き込む単位面積当たりの毛管力F4も、毛管力F1及び毛管力F2より小さくなっている。
これにより、図4Aに示すようなインキ溝12A、12Bや気液溝14にインキがない状態から、図4Bに示すように、一番大きな引き込み力F1により、インキ貯留領域30内のインキが第1のインキ溝12Aに流入し、第1のインキ溝12A内を前側に流れる。
これに引き続いて、図4Cに示すように、次に大きな引き込み力F2により、インキ貯留領域30内のインキが第2のインキ溝12Bに流入し、第2のインキ溝12B内を前側に流れる。インキが第1、第2のインキ溝12A、12Bに流入した分、気液溝14を介してインキ貯留領域30に大気が供給される(図4B、4Cの点線矢印参照)。図4Cに示すように、インキが第1、第2のインキ溝12A、12Bを流れている間に、第1のインキ溝12Aから、またはインキ貯留領域30から、インキが気液溝14へ若干流入する場合もあり得るが、気液溝14内には空気が流れる空間が確保されている。
図4Dに示すように、第1のインキ溝12Aを流れたインキが前端まで達すると、インキの表面張力の向きが鈍角になり毛細管力が弱まる。これにより、インキ貯留領域30から第1のインキ溝12A内にインキを引き込む力は弱まる。すると、引き込み力F1より小さい引き込み力F3により、第1のインキ溝12A内のインキが、気液溝14の底部の開口を介して、気液溝14に流入する。また、インキ貯留領域30内のインキも、引き込み力F4により、ある程度、気液溝14に流入する。これにより、気液溝14の中が速やかにインクで充填されるため、空気の通路が閉鎖される。他に空気を取り入れる流路は存在しないので、第1のインキ溝12Aの前端から外部に流出することなく、インキ貯留領域30から第1のインキ溝12Aへのインキの流入が止まる。
一方、第2のインキ溝を流れるインキはまだ前端まで到達しておらず、インキを引き込む力F2により、インキ貯蔵領域からインキを先端に向かい引き込んでいる。第2のインキ溝にインキが流れると、インキ貯蔵タンクの内圧が負圧になり外気を取込むために気液溝が解放される。すると、第1のインキ溝のインキが再び動き出すが、図4Eに示すように、インキの表面張力の向きが変化し毛管力が逆向きになることと、気液溝の開放は一瞬であることから、第1のインキ溝の前端からインキが外部に流出することはない。
第2のインキ溝12Bを流れたインキが前端まで達すると、インキの表面張力の向きが鈍角になり毛細管力弱まる。これにより、インキ貯留領域30から第2のインキ溝内にインキを引き込む力は弱まる。
これにより、再び気液溝14の中がインクで充填されるため、空気の通路が閉鎖される。他に空気を取り入れる流路は存在しないので、インキの流動が止まる。これにより、第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B、気液溝14がインキで満たされた状態が保持され、インキが前端から流出する所謂ボタ落ちを防ぐことができる。
以上のように、第1のインキ溝12Aが気液溝14の底部に開口しているので、第2のインキ溝12Bを流れるインキが前端に達して、インキの第2のインキ溝12Bへの流入が停止すると、すぐに上側の開口を介して、インキが第1のインキ溝12Aから気液溝14へ流入して気液溝14をインキで充填する。第2のインキ溝12Bを流れるインキが前端に達する前に、第1のインキ溝12Aはインキで充填されているので、第1のインキ溝12A内のインキレベルは、気液溝14の底部まで達しており、すぐに第1のインキ溝12A内のインキが機構溝14に流入する。
また、第1のインキ溝12Aは、単位面積当たりの引き込み力(F1)が最も強いので、第1のインキ溝12A内からインキが気液溝14へ流れると、その分、すぐにインキ貯留領域30のインキが第1のインキ溝12Aに供給される。よって、前端からインキが流出することなく、気液溝14がインキで充填される。
仮に、第1のインキ溝12Aでなく、第2のインキ溝12Bが気液溝14の底部に開口している場合を考えると、以下のようになる。第2のインキ溝12Bを流れるインキが前端に達するまでは、第2のインキ溝12Bはインキで充填され切れておらず、インキレベルが気液溝14の底部より低い位置にある。更に、単位面積当たりの引き込み力(F2)が第1のインキ溝(F1)ほど強くないので、第2のインキ溝12B内からインキが気液溝14へ流れた場合、第1のインキ溝12Aのようには、インキをインキ貯留領域30から素早く引き込むことができない。よって、第1のインキ溝12Aのように速やかに気液溝14をインキで充填することができず、前端からインキが流出する虞がある。
以上のように、万年筆の使用開始時や洗浄後のようなインキ溝にインキがない状態から、単位面積当たりの引き込み力(F1)が最も強い第1のインキ溝12Aにより、速やかにインキを前端の筆記領域へ供給して、使用可能な状態にすることができる。インキ溝にインキが充填された使用可能な状態においては、より多量のインキが流れる第2のインキ溝12Bにより、太字のペン先であっても、インキ切れの生じない十分な量のインキを供給できる。上記のように、第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B、気液溝14の寸法を適切に設定することにより、インキのボタ落ちを抑制することができる。
このように、第1のインキ溝12Aの断面における単位面積当たりの毛細管力をF1、第2のインキ溝12Bの断面における単位面積当たりの毛細管力F2、気液溝14の底部に設けられた第1のインキ溝12Aの開口における単位面積当たりの毛細管力F3の間で、F1 > F2 > F3の関係を有するように、各溝を設定することにより、インキ溝にインキがない状態から、速やかにインキを筆記領域へ供給して、使用可能な状態にすることができるとともに、使用時にインキ切れの生じない十分な量のインキを筆記領域に供給でき、かつ所謂インキのボタ落ちを抑制することができる万年筆2を提供することができる。
なお、ここで言うF1 > F2 > F3は、第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bにインキがない状態から、第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bの前端までインキが満たされて合流するまでの間に満たすべき関係式である。
これを実現するため、第1のインキ溝12A、第2のインキ溝12B及び気液溝14がそれぞれ略矩形の断面形状を有し、第1のインキ溝12Aの断面の幅をW1、深さをD1とし、第2のインキ溝12Bの断面の幅をW2、深さをD2とし、気液溝14の底部に設けられた第1のインキ溝12Aの開口の長さをLとすると、(W1+2×D1)/W1×D1 > (W2+2×D2)/W2×D2 >(2×L)/(W3×L)の関係を有するようにすることにより、容易かつ確実に、上記の効果を奏することができる。
このような第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bにおいて、第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bの断面積が後端から前端にかけて連続的に変化し、第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bが合流する位置で、両者の断面積が略同一となるようにするのが好ましい。
これにより、インキ貯留領域30で連通する後端において、毛細管力による単位面積当たりの引き込み力(F1)が強い第1のインキ溝12Aにより、インキをスムーズに筆記領域へ導くことができるとともに、合流部では第1、第2のインキ溝12A、12Bの断面積が同一なので、流れの差による流動抵抗が生じにくく、十分なインキを効率良く筆記領域に供給できる。
更に、後端において、第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bの幅W1、W2が同一であって、第2のインキ溝12Bの深さD2が第1のインキ溝12Aの深さD1より深いように形成することが好ましい。この場合には、第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bの深さを変化させることにより断面積を調整することができる。同じ幅の溝を並べて効率的な配置を実現するとともに、溝の深さを変えることによって、容易に、上記の条件(不等式)を満たす第1のインキ溝12A及び第2のインキ溝12Bを形成できる。
本発明に係る万年筆は、上記の実施形態に限定されるものでななく、中空の軸筒を有するものであれば、その他の任意の筆記体が含まれる。本発明の実施の形態、実施の態様を説明したが、開示内容は構成の細部において変化してもよく、実施の形態、実施の態様における要素の組合せや順序の変化等は請求された本発明の範囲および思想を逸脱することなく実現し得るものである。
2 万年筆
4 ペン先
10 ペン芯
12 インキ溝
12A 第1のインキ溝
12B 第2のインキ溝
12C 合流インキ溝
14 気液溝
16 櫛溝
20 軸筒
22 首部
24 胴軸
26 尾栓
30 インキ貯留領域

Claims (4)

  1. 一部がペン先で覆われたペン芯と、
    首部で前記ペン芯と勘合し、内部にインキ貯留領域を有する軸筒と、
    後端で前記インキ貯留領域と連通し、軸方向に並んで延びて前端側で合流する第1のインキ溝及び第2のインキ溝と、
    後端で前記インキ貯留領域と連通し、前端で外部と連通する気液溝と、
    を備え、
    溝の長手方向の所定の長さにわたって、前記気液溝の底部に前記第1のインキ溝が開口しており、
    前記第1のインキ溝の断面における単位面積当たりの毛細管力をF1とし、
    前記第2のインキ溝の断面における単位面積当たりの毛細管力をF2とし、
    前記気液溝の底部に設けられた前記第1のインキ溝の開口における単位面積当たりの毛細管力をF3とすると、
    F1 > F2 > F3
    の関係を有することを特徴とする万年筆。
  2. 前記第1のインキ溝、前記第2のインキ溝及び前記気液溝がそれぞれ略矩形の断面形状を有し、
    後端における前記第1のインキ溝の幅をW1、深さをD1とし、
    後端における前記第2のインキ溝の幅をW2、深さをD2とし、
    前記気液溝の底部に設けられた前記第1のインキ溝の前記開口の前記所定の長さをLとすると、
    (W1+2×D1)/W1×D1 > (W2+2×D2)/W2×D2
    >(2×L)/(W3×L)
    の関係を有することを特徴とする請求項1に記載の万年筆。
  3. 後端において、前記第1のインキ溝及び前記第2のインキ溝の幅が同一であって、前記第2のインキ溝の深さが前記第1のインキ溝の深さより深いことを特徴とする請求項1または2に記載の万年筆。
  4. 前記第1のインキ溝及び前記第2のインキ溝の断面積が後端から前端にかけて連続的に変化し、前記第1のインキ溝及び前記第2のインキ溝が合流する位置で両者の断面積が略同一となることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の万年筆。
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