JP2022092220A - エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジンを大型化させることなく、角度センサに伝わる熱を抑えることができる。【解決手段】エンジンは、クランクケース(31)に回転可能に支持されたクランクシャフト(43)と、エンジン始動時にクランクシャフトを回転させる始動装置(60)と、クランクシャフトに連動してオイルを吐出するオイルポンプ(52)と、を備えている。始動装置は、クランクケースに固定されたステータ(61)と、クランクシャフトに固定されたロータ(66)と、ロータの回転角度を検出する角度センサ(71)と、を有している。クランクケースにはケース幅方向の一方側が開放したポンプ室(51)が形成され、当該ポンプ室に配置されたオイルポンプがポンプカバー(53)に覆われている。ケース幅方向の一方側には、エンジン側面視にてポンプカバーに角度センサが重なるように配置されている。【選択図】図4
Description
本発明は、エンジンに関する。
従来、始動装置としてスタータジェネレータを用いたエンジンが知られている(例えば、特許文献1参照)。スタータジェネレータは、クランクケースに固定されたステータの周りでロータを回転させることで、ロータに連結されたクランクシャフトを回転させてエンジンを始動している。スタータジェネレータには、エンジン始動時のコイルへの通電タイミングを調整するために、ロータの回転角度を検出する角度センサが取り付けられている。角度センサにはホールIC等の複数のセンサ素子が配設され、複数のセンサ素子によってロータの回転に伴う磁界の変化に基づいてロータの回転角度が検出される。
しかしながら、特許文献1に記載のスタータジェネレータは、クランクシャフトやクランクケースの近くに角度センサが配置されており、クランクシャフト等からの熱の影響によって角度センサに不具合が生じるおそれがある。クランクシャフト等から角度センサを離すと、角度センサに対する熱の影響を抑えることができるが、エンジンが大型化するという問題がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、大型化させることなく、角度センサに伝わる熱を抑えることができるエンジンを提供することを目的とする。
本発明の一態様のエンジンは、クランクケースに回転可能に支持されたクランクシャフトと、エンジン始動時に前記クランクシャフトを回転させる始動装置と、前記クランクシャフトに連動してオイルを吐出するオイルポンプと、を備えたエンジンであって、前記始動装置は、前記クランクケースに固定されたステータと、前記クランクシャフトに固定されたロータと、前記ロータの回転角度を検出する角度センサと、を有し、前記クランクケースにはケース幅方向の一方側が開放したポンプ室が形成され、当該ポンプ室に配置された前記オイルポンプがポンプカバーに覆われており、ケース幅方向の一方側には、エンジン側面視にて前記ポンプカバーに前記角度センサが重なるように配置されていることで上記課題を解決する。
本発明の一態様のエンジンによれば、オイルポンプと始動装置が同じケース幅方向の一方側に配置され、エンジン側面視にてポンプカバーに角度センサが重なっている。このため、クランク室及びクランクシャフト等の熱源から角度センサに向かう熱がポンプ室及びポンプカバーによって軽減される。クランク室等の熱源からケース幅方向に角度センサを大きく離さなくても、角度センサに対する熱の影響が抑えられて、エンジンを大型化することなく、角度センサを熱害から効果的に保護することができる。
本発明の一態様のエンジンのクランクケースには、クランクシャフトが回転可能に支持されている。エンジン始動時には始動装置によってクランクシャフトが回転され、クランクシャフトに連動してオイルポンプからオイルが吐出される。始動装置では、クランクケースに固定されたステータに対して、クランクシャフトに固定されたロータが回転し、角度センサによってロータの回転角度が検出される。クランクケースにはケース幅方向の一方側が開放したポンプ室が形成され、当該ポンプ室に配置されたオイルポンプがポンプカバーに覆われている。オイルポンプと始動装置が同じケース幅方向の一方側に配置され、エンジン側面視にてポンプカバーに角度センサが重なっている。このため、クランク室及びクランクシャフト等の熱源から角度センサに向かう熱がポンプ室及びポンプカバーによって軽減される。クランク室等の熱源からケース幅方向に角度センサを大きく離さなくても、角度センサに対する熱の影響が抑えられて、エンジンを大型化することなく、角度センサを熱害から効果的に保護することができる。
以下、添付図面を参照して、本実施例について詳細に説明する。以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。図1は本実施例の鞍乗型車両の右側面図である。
図1に示すように、スクータタイプの鞍乗型車両1は、アンダーボーン型の車体フレーム(不図示)に車体外装として各種カバーを装着して構成されている。車両前側にはフロントフレームカバー11が設けられており、フロントフレームカバー11の後側にはライダーの足回りを保護するレッグシールド12が設けられている。レッグシールド12の下端から後方に向かってフートボード13が延在しており、フートボード13の後方にはシートフレームカバー14が設けられている。レッグシールド12とフートボード13によってシート15の前方にライダーの足置き空間が形成されている。
フロントフレームカバー11の上側にはハンドル21が設けられ、フロントフレームカバー11の下側には一対のフロントフォーク22を介して前輪23が回転可能に支持されている。シートフレームカバー14の上側にはシート15が設けられており、シートフレームカバー14の下側にはエンジン30が設けられている。エンジン30には変速機構を介して後輪24が連結されており、変速機構を介してエンジン30の動力が後輪24に伝達されている。エンジン30の下部から後輪24の右側方に向かって排気管25が延びており、排気管25の下流側にはマフラ26が取り付けられている。
ところで、スタータジェネレータを採用したエンジンが提案されている。スタータジェネレータによってエンジンが始動され、エンジンの始動後にはスタータジェネレータによって発電される。機種によってはエンジンのクランクシャフト付近にオイルポンプが配置されており、スタータジェネレータをクランクシャフトに近づけて配置するためにはオイルポンプを移設しなければならない場合がある。このような場合には、エンジンのクランクケース、クランクシャフト、潤滑系等の設計変更が必要になり、コストが増加するという不具合がある。
従来から発電機としてマグネトを採用したエンジンが存在しており、マグネトの代わりにスタータジェネレータを配置することで、既存のエンジン構成を流用することができる。しかしながら、スタータジェネレータにはエンジンの始動タイミングを制御するために、ロータの回転角度を検出する角度センサを設けなければならず、クランク室等からの熱の影響によって角度センサに誤検出等の不具合が生じるおそれがある。そこで、本実施例のエンジン30では、クランク室等から角度センサ71に伝わる熱がポンプ室51で軽減されるようにオイルポンプ52と角度センサ71が配置されている(図4参照)。
以下、図2から図6を参照して、本実施例のエンジンについて説明する。図2は本実施例のエンジンの右側面図である。図3は図2のエンジンをA-A線に沿って切断した断面図である。図4は図2のエンジンをB-B線に沿って切断した断面図である。図5は本実施例のスタータジェネレータの斜視図である。図6は本実施例の角度センサの斜視図である。なお、図3ではピストンを省略して記載している。
図2に示すように、エンジン30は前傾姿勢で鞍乗型車両1(図1参照)に搭載されており、エンジン30のクランクケース31の前部にシリンダ32(図3参照)、シリンダヘッド39(図3参照)、シリンダヘッドカバー33が取り付けられている。エンジン30の右側面には、クランクケース31、シリンダ32、シリンダヘッド39の右側面を覆うエンジンカバー34が取り付けられている。エンジンカバー34は前後2つのカバー部材35、36から成り、後側のカバー部材36は冷却ファン37を覆うファンカバーになっている。後側のカバー部材36には外気の導入口38が形成され、前側のカバー部材35には冷却風の排出口40が形成されている。
クランクケース31は、左右のケース半体41L、41Rから成る左右割構造であり、左側のケース半体41LにはCVT(Continuously Variable Transmission)ケース等の変速機ケース42が連なり、右側のケース半体41Rには冷却ファン37が取り付けられている。冷却ファン37は、クランクシャフト43(図3参照)と一体に回転して、導入口38から外気を取り込んで冷却風として排出口40に向けて送風している。クランクケース31、シリンダ32、シリンダヘッド39の右側面に沿って冷却風が流れることで、クランクケース31、シリンダ32、シリンダヘッド39で発生した熱が冷却風に奪われて外部に排出されている。
図3及び図4に示すように、左右のケース半体41L、41Rには、クランクシャフト43を収容した中央のクランク室44を仕切るように側壁45L、45Rが形成されている。側壁45L、45Rにはベアリング46L、46Rを介してクランクシャフト43が回転可能に支持されている。クランクシャフト43にはクランクピン47を介してコネクティングロッド48が連結され、コネクティングロッド48の先端に不図示のピストンが取り付けられている。ピストンはシリンダ32内のシリンダボア49内に配置されており、シリンダボア49内でピストンが往復動することでクランクシャフト43が回転される。
ケース半体41Rには、側壁45Rを挟んでクランク室44の右側(ケース幅方向の一方側)にポンプ室51(特に、図4参照)が形成され、ポンプ室51にはオイルポンプ52が配置されている。ポンプ室51の右側が開放されており、ポンプ室51の開放端にはオイルポンプ52を覆うポンプカバー53が取り付けられている。クランクシャフト43に固定されたポンプドライブギア54の一部がポンプ室51に入り込み、ポンプシャフト58に固定されたポンプドリブンギア55にポンプドライブギア54が連結されている。クランクシャフト43にオイルポンプ52が連動されて、オイルポンプ52からエンジン各部にオイルが吐出される。
ポンプ室51の右側(ケース幅方向の一方側)には、マグネトの代わりに始動装置としてスタータジェネレータ60が配置されている。スタータジェネレータ60は、エンジン始動時にスタータモータとして機能し、エンジン始動後に発電機として機能している。ケース半体41Rには、クランクシャフト43と同軸の取付ボス77が側壁45Rから右方に延びており、取付ボス77の先端にはスタータジェネレータ60のステータ61が固定されている。取付ボス77の先端からクランクシャフト43が突き出しており、クランクシャフト43の先端部分の外周面にスタータジェネレータ60のロータ66が固定されている。
ステータ61には、エンジン始動のタイミングを制御するために、ロータ66の回転角度を検出する角度センサ71(特に、図4参照)が設けられている。角度センサ71は、ポンプカバー53とステータ61の間に配置されている。なお、スタータジェネレータ60の詳細構成については後述する。ロータ66には、ロータ66と同軸に冷却ファン37が固定されている。このように、エンジン内側から外側に向かって、オイルポンプ52、ポンプドリブンギア55、ポンプカバー53、スタータジェネレータ60、冷却ファン37の順に各部材が配置されている。
図5に示すように、スタータジェネレータ60は、クランクケース31に固定されたステータ61(図4参照)の周囲に、クランクシャフト43と一体に回転するロータ66を配置している。ステータ61は、多数の鋼板を積層したステータコア62を有している。ステータコア62には、取付ボス77に取り付けられる環状部63と、環状部63から放射方向に延びる複数のティース64とが形成されている。各ティース64には絶縁性のインシュレータ(不図示)が取り付けられており、インシュレータを介して各ティース64にコイル65が巻き付けられている。コイル65が巻き付いた複数のティース64は隙間を空けて周方向に並んでいる。
ロータ66は、中央に穴が空いたカップ型ヨーク67と、カップ型ヨーク67の中央に固定された筒型ヨーク68とを有している。カップ型ヨーク67によってステータ61が外側及び右側から覆われ、筒型ヨーク68によってステータ61が内側から覆われている。カップ型ヨーク67の内周面には、ステータ61の外周面と僅かな隙間を空けて対向するように複数のマグネット69が配置されている。複数のマグネット69と筒型ヨーク68がステータ61を挟んで対向することで、各マグネット69からステータ61のコイル65を通過して筒型ヨーク68に向かう磁束が作られている。
ステータ61のコイル65には、コントローラ(不図示)を介してバッテリ(不図示)が接続されている。スタータジェネレータ60がスタータモータとして機能する場合には、バッテリからコントローラを介してコイル65に駆動電流が通電されることで、ロータ66内の磁界とコイル65に流れる電流の作用でロータ66と一体にクランクシャフト43が回転される。一方で、スタータジェネレータ60が発電機として機能する場合には、マグネット69から筒型ヨーク68に向かう磁束をコイル65が横切ることで起電力が生じて、コイル65からコントローラを介してバッテリに電力が供給される。
ステータ61の環状部63には、ロータ66の回転角度を検出する角度センサ71が取り付けられている。角度センサ71のセンサケース72はステータ61の中心側から径方向外側に広がった略扇状に形成され、センサケース72の外縁部にはホールIC等の複数のセンサ素子76(図6参照)が設けられている。ステータ61に対してロータ66が回転することで、複数のセンサ素子76によってロータ66の回転に伴う磁界の変化が検出されている。角度センサ71にはコントローラが接続されており、角度センサ71からコントローラに出力された角度信号に応じてエンジン30の始動タイミングが制御されている。
より詳細には、図6に示すように、センサケース72の内縁部には固定部73が形成されており、固定部73がステータ61の環状部63に一対のボルト74(図5参照)によって固定されている。センサケース72の外縁部には複数の起立部75(本実施例では4つ)が立設されており、各起立部75が周方向に並んだティース64(図5参照)の間に入り込んでいる。各起立部75の内側にセンサ素子76が配置されており、各起立部75がティース64の間に入り込むことで、各センサ素子76がロータ66(図5参照)のマグネット69に対して僅かな隙間を空けて対向されている。
図7から図9を参照して、クランクケースの取付ボスの周辺構造について説明する。図7は本実施例の角度センサとクランクケースの右側面図である。図8は本実施例のポンプカバーを外したクランクケースの右側面図である。図9は本実施例のポンプカバーを外したクランクケースの斜視図である。
図7及び図8に示すように、エンジン側面視にて、ポンプカバー53の中心がクランクシャフト43の下方でクランクシャフト43よりも前方になるように、クランクケース31の側壁45Rにポンプカバー53が固定されている。このポンプカバー53に重なるように、クランクシャフト43の下方でクランクケース31(ケース半体41R)の前側に略扇状の角度センサ71が配置されている。ポンプカバー53の中心を挟んで前後に対向した2箇所が、一対のボルト56によってクランクケース31の側壁45Rに固定されている。一対のボルト56の間に角度センサ71が配置されて、角度センサ71とポンプカバー53が広い範囲で重なっている。
角度センサ71は取付ボス77から径方向外側に略扇状に広がって、角度センサ71の外縁部に立設した複数の起立部75がポンプカバー53の中心を通る円弧軌跡に沿って並んでいる。エンジン側面視にて、複数の起立部75の並びの方向のうち中央の2つの起立部75内のセンサ素子76が、ポンプカバー53内のオイルポンプ52又はオイルポンプ52のポンプシャフト58に重なっている。クランクシャフト43から複数のセンサ素子76が大きく離されると共に、複数のセンサ素子76がポンプカバー53に確実に重ねられる。これにより、クランクシャフト43で発生した熱から複数のセンサ素子76が効果的に保護される。
ケース幅方向にて、クランク室44と角度センサ71の間にポンプ室51及びポンプカバー53が存在している(図4参照)。ポンプ室51ではオイルポンプ52からエンジン各部にオイルが送り出されおり、ポンプ室51内のオイルによってクランク室44から角度センサ71に向かう熱が奪われている。角度センサ71に伝わる熱がポンプ室51及びポンプカバー53によって軽減されて、クランク室44で発生した熱から複数のセンサ素子76が効果的に保護される。クランク室44から角度センサ71をケース幅方向に大きく離すことなく、複数のセンサ素子76に対する熱害が抑えられてエンジン30がコンパクトに形成されている。
クランクケース31(ケース半体41R)の側壁45Rにはエンジンカバー34(図1参照)が取り付けられ、クランクケース31とエンジンカバー34によって冷却風の通り道が形成されている。クランクケース31の後側には、二点鎖線で示すロータ66(図7参照)に沿った側面視円弧状の後壁59が形成されている。クランクケース31の前側は、シリンダ32(図3参照)側に冷却風が流れるように開放されている。このため、クランクケース31の後側よりも前側で冷却風の通り道が広がり、クランクケース31の後側よりも前側で熱が籠り難くなっている。
熱が籠り難いクランクケース31の前側において、上方に向かう熱気を避けたクランクシャフト43の下方に角度センサ71が配置されている。また、角度センサ71に冷却風が当たって複数のセンサ素子76が冷却されている。これにより、クランクシャフト43やクランク室44等の熱害から角度センサ71の複数のセンサ素子76が保護される。さらに、冷却風の通り道が広く確保されたクランクケース31の前側にオイルポンプ52が配置されている。このため、クランクケース31の後側にオイルポンプ52が配置される構成と比較してエンジン30がコンパクトに形成されている。
図8及び図9に示すように、クランクケース31の側壁45Rから円形の周壁57が右方に突き出しており、周壁57の内側にはオイルポンプ52が配置されたポンプ室51が形成されている。取付ボス77は、周壁57及び周壁57上のポンプカバー53の一部を避けるように円弧状に切り欠かれている。この取付ボス77の切り欠き78に角度センサ71の固定部73(図7参照)が収まっている。切り欠き78の大きさが最小限に抑えられて取付ボス77の剛性が確保され、切り欠き78にポンプカバー53(図7参照)と角度センサ71が部分的に収まってエンジン30がコンパクトに形成されている。
周壁57の開放端にポンプカバー53が固定され、クランクケース31の側壁45Rよりもポンプカバー53が右側に位置している。クランクケース31の側壁45Rとポンプカバー53の間に段差が形成されており、ポンプカバー53よりもケース幅方向内側の側壁45Rの外面付近に空きスペースが形成される。側壁45Rの外面に複数の補強リブ79が形成されているが、補強リブ79が他部材に干渉することがない。複数の補強リブ79は取付ボス77の基端から径方向外側に向かって延びており、複数の補強リブ79によってクランクケース31の剛性が高められてエンジン30の振動や騒音が抑えられている。
以上、本実施例によれば、オイルポンプ52とスタータジェネレータ60が同じケース幅方向の一方側に配置され、エンジン側面視にてポンプカバー53に角度センサ71が重なっている。このため、クランク室44及びクランクシャフト43等の熱源から角度センサ71に向かう熱がポンプ室51及びポンプカバー53によって軽減される。クランク室44等の熱源からケース幅方向に角度センサ71を大きく離さなくても、角度センサ71に対する熱の影響が抑えられて、エンジンを大型化することなく、角度センサ71を熱害から効果的に保護することができる。
なお、本実施例のバッテリはスクータタイプの鞍乗型車両に限らず、他のタイプの鞍乗型車両に採用されてもよい。また、鞍乗型車両は自動二輪車に限定されず、シートの下方にバッテリが設置される乗り物であればよい。
また、本実施例では、ステータに角度センサが取り付けられる構成にしたが、ポンプカバーに角度センサが取り付けられてもよい。
また、本実施例では、ケース幅方向の一方側がクランクケースの右側である構成について説明したが、ケース幅方向の一方側がクランクケースの左側であってもよい。すなわち、クランクケースの左側で、エンジン側面視にてポンプカバーに角度センサが重なるように配置されてもよい。
また、本実施例では、エンジン側面視にてポンプカバーに角度センサが全体的に重なるように配置されたが、ポンプカバーに角度センサの少なくとも一部が重なるように配置されていればよい。
また、本実施例では、エンジン側面視にて角度センサのセンサ素子がオイルポンプのポンプシャフトに重なっているが、センサ素子がポンプシャフトに重なっていなくてもよい。センサ素子が正常に動作する程度に、クランクシャフトからセンサ素子が離れていればよい。
また、本実施例では、クランクケースのクランク室を仕切る側壁に複数の補強リブが形成されているが、クランクケースが十分な剛性を有していれば補強リブが形成されていなくてもよい。
また、本実施例では、取付ボスに切り欠きが形成されているが、取付ボスに切り欠きが形成されていなくてもよい。このような構成でも、角度センサを熱害から保護することは可能である。
また、本実施例では、エンジン側面視にて角度センサが略扇状に形成されたが、角度センサの形状は特に限定されない。
以上の通り、本実施例のエンジン(30)は、クランクケース(31)に回転可能に支持されたクランクシャフト(43)と、エンジン始動時にクランクシャフトを回転させる始動装置(スタータジェネレータ60)と、クランクシャフトに連動してオイルを吐出するオイルポンプ(52)と、を備えたエンジンであって、始動装置は、クランクケースに固定されたステータ(61)と、クランクシャフトに固定されたロータ(66)と、ロータの回転角度を検出する角度センサ(71)と、を有し、クランクケースにはケース幅方向の一方側が開放したポンプ室(51)が形成され、当該ポンプ室に配置されたオイルポンプがポンプカバー(53)に覆われており、ケース幅方向の一方側には、エンジン側面視にてポンプカバーに角度センサが重なるように配置されている。この構成によれば、オイルポンプと始動装置が同じケース幅方向の一方側に配置され、エンジン側面視にてポンプカバーに角度センサが重なっている。このため、クランク室及びクランクシャフト等の熱源から角度センサに向かう熱がポンプ室及びポンプカバーによって軽減される。クランク室等の熱源からケース幅方向に角度センサを大きく離さなくても、角度センサに対する熱の影響が抑えられて、エンジンを大型化することなく、角度センサを熱害から効果的に保護することができる。
本実施例のエンジンにおいて、ポンプカバーが一対のボルト(56)によってクランクケースに取り付けられ、エンジン側面視にて一対のボルトの間に角度センサが配置されている。この構成によれば、角度センサがポンプカバーの広い範囲で重なって、クランクシャフト等の熱源から角度センサに向かう熱を十分に軽減することができる。
本実施例のエンジンにおいて、角度センサのセンサケース(72)がステータの中心側から径方向外側に広がり、センサケースの外縁部にセンサ素子(76)が設けられており、エンジン側面視にてセンサ素子がオイルポンプのポンプシャフト(58)に重なっている。この構成によれば、ステータの中心側のクランクシャフトからセンサ素子が大きく離されると共に、エンジン側面視にてオイルポンプにセンサ素子が確実に重ねられて、センサ素子を熱害から効果的に保護することができる。
本実施例のエンジンが、クランクシャフトと一体に回転して冷却風を送風する冷却ファン(37)を備え、クランクケースにはケース幅方向の一方側に冷却ファンが配置され、当該冷却ファンがファンカバー(カバー部材36)によって覆われており、クランクケースとファンカバーによって冷却風の通り道が形成され、クランクケースの後側よりも前側で冷却風の通り道が広がっており、エンジン側面視にて角度センサがクランクシャフトの下方でクランクケースの前側に配置されている。この構成によれば、熱が籠り難いクランクケースの前側で、上方に向かう熱気を避けたクランクシャフトの下方に角度センサを配置することができる。また、冷却風によって角度センサが冷却されている。さらに、冷却風の通り道を広く確保したクランクケースの前側にオイルポンプが配置されて、クランクケースの後側にオイルポンプが配置される構成と比較してエンジンがコンパクトに形成される。
本実施例のエンジンにおいて、クランクケースにはクランクシャフトを収容するクランク室(44)が形成され、クランク室を仕切る側壁(45R)よりもポンプカバーがケース幅方向の一方側に位置している。この構成によれば、クランクケースの側壁から角度センサを離すことができ、角度センサを熱害から効果的に保護することができる。
本実施例のエンジンにおいて、クランク室を仕切る側壁に補強リブ(79)が形成されている。この構成によれば、クランクケースの側壁とポンプカバーの段差を利用して、クランクケースの側壁に補強リブが形成される。よって、クランクケースの剛性を高めて振動や騒音を抑えることができる。
本実施例のエンジンにおいて、クランクケースにはステータが取り付けられる取付ボス(77)が形成されており、取付ボスにはポンプカバーの一部を避けるように切り欠かれ、当該取付ボスの切り欠き(78)に角度センサの一部が収まる。この構成によれば、切り欠きの大きさが最小限に抑えられて取付ボスの剛性が確保され、切り欠きにポンプカバーと角度センサが部分的に収まってエンジンがコンパクトに形成される。
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
30 :エンジン
31 :クランクケース
36 :カバー部材(ファンカバー)
37 :冷却ファン
43 :クランクシャフト
44 :クランク室
45R:クランクケースの側壁
51 :ポンプ室
52 :オイルポンプ
53 :ポンプカバー
56 :ボルト
58 :ポンプシャフト
60 :スタータジェネレータ(始動装置)
61 :ステータ
66 :ロータ
71 :角度センサ
72 :センサケース
76 :センサ素子
77 :取付ボス
78 :切り欠き
79 :補強リブ
31 :クランクケース
36 :カバー部材(ファンカバー)
37 :冷却ファン
43 :クランクシャフト
44 :クランク室
45R:クランクケースの側壁
51 :ポンプ室
52 :オイルポンプ
53 :ポンプカバー
56 :ボルト
58 :ポンプシャフト
60 :スタータジェネレータ(始動装置)
61 :ステータ
66 :ロータ
71 :角度センサ
72 :センサケース
76 :センサ素子
77 :取付ボス
78 :切り欠き
79 :補強リブ
Claims (7)
- クランクケースに回転可能に支持されたクランクシャフトと、エンジン始動時に前記クランクシャフトを回転させる始動装置と、前記クランクシャフトに連動してオイルを吐出するオイルポンプと、を備えたエンジンであって、
前記始動装置は、前記クランクケースに固定されたステータと、前記クランクシャフトに固定されたロータと、前記ロータの回転角度を検出する角度センサと、を有し、
前記クランクケースにはケース幅方向の一方側が開放したポンプ室が形成され、当該ポンプ室に配置された前記オイルポンプがポンプカバーに覆われており、
ケース幅方向の一方側には、エンジン側面視にて前記ポンプカバーに前記角度センサが重なるように配置されていることを特徴とするエンジン。 - 前記ポンプカバーが一対のボルトによって前記クランクケースに取り付けられ、
エンジン側面視にて前記一対のボルトの間に前記角度センサが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジン。 - 前記角度センサのセンサケースが前記ステータの中心側から径方向外側に広がり、前記センサケースの外縁部にセンサ素子が設けられており、
エンジン側面視にて前記センサ素子が前記オイルポンプのポンプシャフトに重なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のエンジン。 - 前記クランクシャフトと一体に回転して冷却風を送風する冷却ファンを備え、
前記クランクケースにはケース幅方向の一方側に前記冷却ファンが配置され、当該冷却ファンがファンカバーによって覆われており、
前記クランクケースと前記ファンカバーによって冷却風の通り道が形成され、前記クランクケースの後側よりも前側で冷却風の通り道が広がっており、
エンジン側面視にて前記角度センサが前記クランクシャフトの下方で前記クランクケースの前側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のエンジン。 - 前記クランクケースには前記クランクシャフトを収容するクランク室が形成され、
前記クランク室を仕切る側壁よりも前記ポンプカバーがケース幅方向の一方側に位置していることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のエンジン。 - 前記クランク室を仕切る側壁に補強リブが形成されていることを特徴とする請求項5に記載のエンジン。
- 前記クランクケースには前記ステータが取り付けられる取付ボスが形成されており、
前記取付ボスには前記ポンプカバーの一部を避けるように切り欠かれ、当該取付ボスの切り欠きに前記角度センサの一部が収まることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のエンジン。
Priority Applications (1)
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-
2020
- 2020-12-10 JP JP2020204902A patent/JP2022092220A/ja active Pending
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