JP2022086147A - 吸着部材の製造方法および吸着部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】 被吸着体へのパーティクルの付着を低減でき、かつ比較的機械強度が強い吸着部材を提供する。【解決手段】 セラミック焼結体からなる基部と、前記基部の表面から突出した複数の凸部とを備える吸着部材の製造方法であって、セラミック焼結体からなる板状体を準備する準備工程と、前記板状体の上に、前記板状体と同種の材質からなり前記板状体よりも緻密な膜を形成する製膜工程と、ブラスト加工により、前記膜の厚みよりも高い複数の前駆凸部を形成するブラスト加工工程と、レーザ加工により、前記前駆凸部の側面を加工して前記凸部を形成するレーザ加工工程とを有する。【選択図】 図2
Description
本開示は、半導体基板やガラス基板などの被吸着体を吸着して保持するための吸着部材に関する。
半導体、液晶などの製造工程等において、シリコン基板などの被吸着体が製造装置や検査装置の吸着部材上に、吸着・保持される。その際に、吸着部材からのパーティクルの発生が問題になることがある。例えば露光工程において、被吸着体と吸着部材の載置面との間にパーティクルが挟み込まれると、被吸着体の局所的な盛り上がりが発生し、露光の焦点が合わなくなり、被吸着体に形成する回路パターンに不良が発生することがある。
被吸着体と吸着部材との接触により生じるパーティクルを低減するためには、被吸着体と吸着部材の載置面との接触面積を小さくすることが有効である。そのため、特許文献1、2には、炭化珪素質焼結体からなる基体の表面に多数の支持用凸部を形成した吸着部材が提案されている。
さらに、特許文献1には、セラミック表面の、傷、クラック、ボイド等からのパーティクルの発生を低減するために、凸部の表面に保護膜を設けることが記載されている。しかし、吸着部材の本体と保護膜とで、材質、密度、気孔率等が異なると、熱膨張率に差が生じるため、使用中の温度変化によって、吸着部材に変形が生じる場合がある。また、保護膜形成時の温度履歴によって、吸着部材に応力や変形が生じる場合がある。
基体上に凸部を加工する方法としては、研削加工(砥石研削加工、ブラスト加工など)、レーザ加工、放電加工などの方法がある。研削加工は安価で生産性も優れるが、加工ダメージも大きく、傷やクラックが発生しやすい。また、本体と膜との界面の加工ダメージは、膜の剥離の原因となる。レーザ加工は、加工ダメージは小さく、加工によりボイドが減少することも知られているが、コストや生産性に課題がある。放電加工もコストや生産性に課題がある。また、被加工物に通電する必要があるので、比較的抵抗が小さい材質に限られる。特許文献2には、基体の表面にレーザ加工で載置面を含む凸部上部を形成した後、ブラスト加工により凸部下部を形成することが記載されている。
ブラスト加工によって凸部を形成すると、傷、クラック、ボイド等が凸部の表面に残存し易いため、パーティクルが発生しやすい。レーザ加工によって凸部を形成すると、コストや生産性が悪化する。さらに、凸部を高くしようとすると大きな照射エネルギーが必要となり、凸部の根本部分に溝(トレンチ)が生じやすく、凸部が根本から折れやすい。
セラミック基体の表面をより緻密な膜で被覆すると、パーティクルは低減するが、基体との熱膨張係数差による反りや変形が発生する。また、加工によって膜の一部を除去すると、膜と基体との間の残留応力が解放されるので、加工精度が低下する。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、比較的安価で生産性の高い方法で、被吸着体からのパーティクルの発生を低減でき、かつ機械的強度が高い吸着部材を加工精度よく提供することを目的とする。
本開示の吸着部材の製造方法は、セラミック焼結体からなる基部と、前記基部の表面から突出した複数の凸部とを備える吸着部材を製造する方法であって、
セラミック焼結体からなる板状体を準備する準備工程と、前記板状体の上に、前記板状体と同種の材質からなり前記板状体よりも緻密な膜を形成する製膜工程と、ブラスト加工により、前記膜の厚みよりも高い複数の前駆凸部を形成するブラスト加工工程と、レーザ加工により、前記前駆凸部の側面を加工して前記凸部を形成するレーザ加工工程とを有する。
セラミック焼結体からなる板状体を準備する準備工程と、前記板状体の上に、前記板状体と同種の材質からなり前記板状体よりも緻密な膜を形成する製膜工程と、ブラスト加工により、前記膜の厚みよりも高い複数の前駆凸部を形成するブラスト加工工程と、レーザ加工により、前記前駆凸部の側面を加工して前記凸部を形成するレーザ加工工程とを有する。
本開示の吸着部材は、炭化珪素セラミック焼結体からなる基部と、前記基部の表面から突出した複数の凸部とを備えるものであって、
前記凸部のうち、被吸着体を載置する頂面を含む上部は前記基部よりも緻密な炭化珪素を含み、前記基部の前記表面と接続する底面を含む下部は、前記基部と一体の焼結体からなり、前記凸部の側面に、前記基部の表面よりも算術平均粗さが小さい酸化膜を有する。
前記凸部のうち、被吸着体を載置する頂面を含む上部は前記基部よりも緻密な炭化珪素を含み、前記基部の前記表面と接続する底面を含む下部は、前記基部と一体の焼結体からなり、前記凸部の側面に、前記基部の表面よりも算術平均粗さが小さい酸化膜を有する。
比較的安価で生産性の高い方法で、被吸着体からのパーティクルの発生を低減でき、かつ機械的強度が強い吸着部材を加工精度よく提供できる。
本開示の吸着部材および本開示の吸着部材の製造方法について図を参照しながら説明する。図1(a)は、本開示の吸着部材10の一部切り欠き斜視図、図1(b)は図1(a)のA部における拡大断面図であり、凸部2の形状について説明する図である。図2は、本開示の吸着部材の製造方法を示す概略説明図である。図3および4は、凸部2の形状の変形例を説明する断面図である。
本開示の吸着部材10は、セラミック焼結体からなる基部1と、基部1の表面1aから突出した複数の凸部2とを備える。凸部2は、頂面2aと、頂面2aおよび表面1aを接続する側面2bとを有する。凸部2のうち、被吸着体を載置する頂面2aを含む上部は基部1よりも緻密な同種の材質からなり、基部1の表面1aと接続する底面2c(図1では点線で示す)を含む下部は、基部1と一体の焼結体からなる。基部1と凸部2が炭化珪素からなる場合、凸部2の側面2bには、基部1の表面1aよりも算術平均粗さが小さい酸化膜が形成される。
本開示の吸着部材の製造方法は、基部1と、基部1の表面1aから突出した複数の凸部2とを備える吸着部材を製造する方法であって、図2(a)~(d)に示すように、セラミック焼結体からなる板状体15を準備する準備工程と、板状体15の上に、板状体15と同種の材質からなり板状体15よりも緻密な膜13を形成する製膜工程と、ブラスト加工により、膜13の厚みよりも高い複数の前駆凸部12を形成するブラスト加工工程と、レーザ加工により、前駆凸部12の側面を加工して凸部2を形成するレーザ加工工程とを有する。その結果、比較的安価で生産性の高い方法で、吸着部材10からのパーティクルの発生を低減でき、かつ機械的強度が強い吸着部材10を加工精度よく提供することができる。
吸着部材10では、凸部2の頂面2aが被吸着体との当接面となる。複数の凸部2を形成することにより、吸着部材10と被吸着体との接触面積が小さくなり、パーティクルの発生を低減できる。さらに、凸部2のうち、頂面2aを含む上部3が基体5よりも緻密なので、耐摩耗性が良好で、被吸着体と吸着部材10との接触により生じるパーティクルの発生も比較的少ない。
凸部2のうち、上部3を除く部分(下部)は、基部1と一体のセラミック基体5(以下、単に基体5という)の一部である。つまり、吸着部材10は、基体5と上部3とを積層してなり、凸部2の内部に基体5と上部3との界面が存在する。本開示の製造方法では、上部3のみを基体5よりも緻密に形成するので、吸着部材10全体を上部3と同等に緻密な材質で形成する方法と比べて、安価で生産性よく吸着部材10を製造できる。
同種の材質とは、焼結助剤などの添加物や不可避不純物を除いた主成分となる材質が同じことをいう。上部3と基体5とが同種の材質であれば物性の違いは比較的小さくなるが、添加物の量、密度、気孔率等が異なると、熱膨張率に差が生じるため、使用中の温度変化によって、吸着部材10に変形が生じることがある。本開示の吸着部材10は、面積の大きい基部1の表面1aは膜13で被覆されておらず、凸部2の上部3のみが膜13で形成されているので、熱膨張率差による反りや変形が少なく、また、凸部2の下部と基部1とが一体の焼結体なので、凸部2が底面2cから折れにくい。
本開示の製造方法は、ブラスト加工工程とレーザ加工工程とを備える。ブラスト加工が粗加工、レーザ加工が仕上げ加工に相当する。基部1の表面1aおよび前駆凸部12の側面はブラスト加工で形成され、凸部2の側面2bはレーザ加工で形成される。面積の大きい、基部1の表面1aをブラスト加工することで、安価で生産性よく吸着部材10を製造することができる。レーザ加工は、加工ダメージが少なく、パーティクル発生の少ない、表面粗さの小さい加工面が得られる。本開示では、凸部2の高さは膜13の厚みよりも大きいので、基体5と膜13との界面が凸部2の内部に存在するとともに、側面2bに表出する。表出した界面は剥離の起点となりやすいが、レーザ加工は、機械的加工(ブラスト等)と比較して加工ダメージが小さいので、界面からの剥離が生じにくい。また、側面2bは、被吸着体の載置面である頂面2aからの距離が近いので、側面2bからのパーティクル発生の低減を低減することで、頂面2aおよび被吸着体へのパーティクルの影響が低減される。一方、表面1aは、頂面2aからの距離が離れているので、側面2bと比べれば、パーティクルの発生は問題になりにくい。逆に、表面1aが頂面2aよりも表面粗さ(算術平均粗さ)が大きければ、表面1aの放熱性が高くなるので、温度変化による吸着部材10の変形を低減する効果がある。表面1aの算術平均面粗さSaが、頂面2aの算術平均面粗さSaの2倍以上であるとよい。このような吸着部材10では、被吸着体と頂面2aとの接触によるパーティクルの発生が低減され、側面2bからのパーティクルの発生が少なく、表面1aの放熱性が高い。表面粗さの各パラメータは、JIS規格JIS B 0601:2001に記載されている。
表面粗さ測定方法は特に限定されないが、例えば、キーエンス社のレーザ顕微鏡VK-9500を用いて、表面粗さを3点以上測定し、各パラメータ(例えば算術平均面粗さSa)のそれぞれ平均値を求めるとよい。測定条件は、例えば、測定モードをカラー超深度、測定倍率を1000倍~400倍、測定ピッチを0.05μm~0.20μm、カットオフフィルタλsを2.5μm、カットオフフィルタλcを0.08mmとし、線粗さ測定は測定長さを100μm~500μm、面粗さ測定は測定領域を一辺100μm~500μmの矩形状とするとよい。
吸着部材10は、高剛性、高硬度、高強度であることが望まれており、基部1および凸部2は、コージェライト、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、炭化珪素などのセラミックからなることが好ましい。特に、炭化珪素を主成分とするセラミック(炭化珪素セラミック)が好適である。炭化珪素セラミックは、熱伝導率が高く放熱性に優れており、被吸着体の温度変化が少ない。炭化珪素セラミックはまた、電気伝導性を備え静電気が発生しにくいので、吸着部材10は、パーティクルが静電付着しにくい。なお、主成分とは、セラミックを構成する成分のうち、50質量%以上、典型的には80質量%を占める成分のことをいう。
炭化珪素セラミックからなる吸着部材10は、基部1の密度が3.18g/cm3以上、ヤング率が440GPa以上、比剛性が135GPa・cm3/g以上となっている。このような吸着部材10は、頂面2aに載置される被吸着体の平面度を精度良く保つことができる。また、室温における熱伝導率が150W/(m・K)以上であり、放熱性能も高い。炭化珪素セラミックからなる吸着部材10は、高温環境、例えば600℃以上においても、熱伝導率を60W/(m・K)以上と、高い値で保つことができる。
機械的強度を向上させ、パーティクルをさらに低減するためには、炭化珪素を主成分とするセラミックの平均結晶粒径は3~10μmの範囲が好ましい。平均結晶粒径が3μm以上であると、機械的強度、剛性が高くなるため、載置された被吸着体の平面度を精度良く保つことができる。また、平均結晶粒径が10μmよりも小さいと、結晶粒子間にボイドが残留しにくいため、ボイド内に残留したパーティクルが被吸着体に付着しにくい。
凸部2の側面2bに酸化膜等からなる保護層(不図示)が形成されていてもよい。例えば炭化珪素セラミックからなる凸部2をレーザ加工で形成すると、加工面が酸化されて側面2bが炭化珪素の酸化膜で覆われる。この酸化膜がセラミック粒子等の脱粒を抑制する。また、酸化により炭化珪素セラミック表面の活性なボンドが不活性化するので、パーティクルを吸着しにくくなる。表面領域が酸化膜等の保護層で覆われているかの判定は、例えばEDS法(energy dispersive X-ray spectrometry)等による元素分析で実施することができる。
凸部2の側面2bには、レーザ加工による局所的な加熱によって焼結が促進したり、溶融、固化した改質領域が形成されたりする。凸部2が炭化珪素セラミックからなる場合、レーザ加工による加熱領域が昇華することで側面2bが形成される。側面2bは加工時には高温になっており、焼結の促進による、結晶粒の成長およびボイド消失が見られる。したがって、側面2bと表面1aの気孔率は上部3の側面で小さく、下部の側面、表面1aの順で大きくなる。
凸部2の形状は錐台状で、頂面2aの面積は底面2cの面積以下である。側面2bの形状および、表面形状はレーザ光の照射条件によって調節可能である。加工に用いるレーザに特に制限はないが、レーザパルス幅がピコ秒領域にあるピコ秒レーザが好ましい。側面2bの上部と下部とで、レーザ照射条件を調整してもよい。
図3、図4、図5は、凸部2の形状の実施形態を示す断面図である。側面2bは、図3、図4、図5のように、表面1aに垂直な平面による断面視において、屈曲または湾曲していてもよい。側面2bのうち、屈曲部や曲率の変化点よりも上方をより垂直に近づけることで、側面2bから脱離したパーティクルの、頂面2aおよび被載置体への付着を低減することができる。
吸着部材10の凸部2は、図3に示すように、側面2bが屈曲部を境にして上方(頂面2aに近い側)の側面と、下方(表面1aに近い側)の側面とがいずれも、頂面2aに近づくにしたがって傾斜が大きくなる形状であってもよい。図4に示す実施形態のように、複数の屈曲部を有してもよい。図5に示す実施形態のように、ブラスト加工によって、側面2bとの接続部に隅R形状を有する表面1aを形成し、レーザ加工によって、表面1aとの接続部に表面1aとほぼ平行な平坦面2dを有する側面2bを形成してもよい。凸部2がこのような形状であれば凸部2が底面2cから折れにくくなる。
パーティクルの付着を充分に抑制し、かつ凸部2の強度を保つには、凸部2の高さは凸部2の頂面2aの径の2倍以上10倍以下が好ましく、凸部2の頂面2aの径は、凸部2の底面2cの径の1/10以上1倍以下が好ましい。また、側面2bと表面1aの接続部が隅R形状となっているとさらに好ましい。
本実施形態による吸着部材10を用いて被吸着体を吸着・保持する方法は、真空吸着、またはジョンソン・ラーベック力型静電吸着が好適である。吸着部材10を、被吸着体を真空吸着する、いわゆる真空チャックとして使用する場合、凸部2を高く形成すると、被吸着体を真空吸着する際の真空応答性(被吸着体を吸着部材10に載置してから真空吸着されるまでの時間を短くすること)が比較的高くなる。真空応答性を良好にする観点で、凸部2の頂面2aの径が200μm以下、特に好ましくは100μm以下、高さが100μ以上、特に好ましくは300μm以上であることが好ましい。
吸着部材10の製造方法の詳細について図2を参照しながら説明する。まず、(a)基体5となる、炭化珪素セラミックからなる板状体15を準備する(準備工程)。次に、(b)板状体15の上に、板状体15と同種の材質である炭化珪素からなり板状体15よりも緻密な膜13を製膜して積層体を形成する(製膜工程)。次に、(c)積層体に砥粒を噴射して、膜13の厚みよりも高い複数の前駆凸部12を形成する(ブラスト加工工程)。そして、(d)積層体にレーザ光を照射して、前駆凸部12の側面を加工して、凸部2を形成する(レーザ加工工程)。
製膜工程では、例えば、CVD法(化学気相製膜法)、PVD法(物理気相製膜法)などの方法で、膜13を形成する。膜13の厚みは、例えば50μm以上500μm以下である。
ブラスト加工工程では、研削対象領域に開口を有するマスクを通して、砥粒を噴射することで、表面1aと、凸部2よりも大きい前駆凸部12の側面とを形成する。砥粒が噴射された領域は表面1aとなり、マスクで遮蔽された領域は前駆凸部12となる。ブラスト加工により、表面1a上の膜13が除去され、膜13は前駆凸部12にのみ残ることになるため、製膜によって生じた応力および反りが低減し、この後のレーザ加工を精度よく実施することができる。
ブラスト加工工程で形成した前駆凸部12は、直径が100μm~1000μm、高さが100μm~1000μmとなっている。前駆凸部12と表面1aとの接続部が隅R形状となるように、加工するとよい。接続部が隅R形状であれば、接続部に生じる応力が低減できる。隅R形状を粗加工であるブラスト加工時に形成すれば、生産性、コストの面で、有利である。
レーザ加工工程は、前駆凸部12の表面からレーザ光を照射することで、凸部2の側面2bを形成する。具体的には、凸部2となる所定領域を取り囲むようにレーザ光を照射し、レーザ光を照射した領域を除去する。
上部3および基体5が炭化珪素セラミックからなる場合、レーザ照射によって加熱された領域は昇華して除去される。昇華せずに残った凸部2の側面2bは、加熱により焼結が促進されて、結晶粒の成長およびボイド消失が起こり、ブラスト加工で形成された表面1aよりも気孔率が小さくなる。また、レーザ加工を酸化雰囲気中で行うことにより、側面2bには、酸化炭化珪素の被膜が形成される。加工に用いるレーザに特に制限はないが、レーザパルス幅がピコ秒領域にあるピコ秒レーザが好ましい。
レーザ加工工程により、例えば頂面2aの径が50μm~200μm、高さが100μm~1000μmである凸部2を形成する。レーザ加工工程は、凸部2の下部領域を形成するための第1加工工程と、上部領域を形成するための第2加工工程とを有していてもよい。第2加工工程でのレーザ出力を、第1加工工程でのレーザ出力に比べて小さくすると、凸部2を所望の形状に加工しやすい。
レーザ加工工程では、レーザ加工パターンに合わせてレーザ光源20を移動させたり、レーザ光を走査したりしてもよいし、板状体15を載置したステージを移動させてもよい。凸部2の形成をレーザ加工で行うことにより、ブラスト加工などの方法と比べて、加工ダメージの小さい、表面粗さの小さい側面2bが形成できる。
凸部2の頂面2aはラッピング装置などを用いて研磨する。表面1aおよび側面2bをブラシ研磨などの方法で研磨加工してもよい。
以下、本発明の実施例を説明する。まず、外径300mm、厚み10mmの円板状の炭化珪素セラミック焼結体を準備した。そして、この焼結体の外周面を円筒加工、厚みを平面研削加工によって整えた後、円形状の主面に対して粒径10μm以下のダイヤモンド砥粒を用いてラッピング加工を施すことにより、板状体15を作製した。
次に、CVD法を用いて板状体15の主面に厚みが250μmの炭化珪素膜13を形成した。
次に、マスクを用いたブラスト加工により、頂面の径が500μm、高さが500μmの複数の前駆凸部12を形成した。
さらに、レーザ加工により、前駆凸部12の側面を加工して図1に示す形状で、頂面2aの直径が約150μm、高さL1が約500μmの複数の凸部2を形成した。レーザ加工は、ピーク波長が532nm、スポット径20μmのピコ秒レーザ光源20を用い、酸化雰囲気で行った。レーザ加工により、側面2bが変質し、気孔率が小さく、酸化炭化珪素を含んだ表面領域が形成された。
その後、凸部2の頂面2aをラップ加工して平面度を3μm以下とし、吸着部材10を得た。
1 :基部
1a:表面
2 :凸部
2a:頂面
2b:側面
2c:底面
2d:平坦面
3 :凸部上部(上部)
5 :セラミック基体(基体)
10:吸着部材
12:前駆凸部
13:膜
15:板状体
1a:表面
2 :凸部
2a:頂面
2b:側面
2c:底面
2d:平坦面
3 :凸部上部(上部)
5 :セラミック基体(基体)
10:吸着部材
12:前駆凸部
13:膜
15:板状体
Claims (6)
- セラミック焼結体からなる基部と、前記基部の表面から突出した複数の凸部とを備える吸着部材の製造方法であって、
セラミック焼結体からなる板状体を準備する準備工程と、
前記板状体の上に、前記板状体と同種の材質からなり前記板状体よりも緻密な膜を形成する製膜工程と、
ブラスト加工により、前記膜の厚みよりも高い複数の前駆凸部を形成するブラスト加工工程と、
レーザ加工により、前記前駆凸部の側面を加工して前記凸部を形成するレーザ加工工程とを有する、吸着部材の製造方法。 - 前記製膜工程は、PVD法またはCVD法による、請求項1に記載の吸着部材の製造方法。
- 前記レーザ加工工程は、前記前駆凸部の下部を加工する下部レーザ加工工程と前記前駆凸部の上部を加工する上部レーザ加工工程とを有する、請求項1または2に記載の吸着部材の製造方法。
- 前記レーザ加工工程が酸化雰囲気で行われる、請求項1から3のいずれかに記載の吸着部材の製造方法。
- 前記基部および前記膜は、炭化珪素からなる、請求項1から4のいずれかに記載の吸着部材の製造方法。
- 炭化珪素セラミック焼結体からなる基部と、前記基部の表面から突出した複数の凸部とを備える吸着部材であって、
前記凸部のうち、被吸着体を載置する頂面を含む上部は前記基部よりも緻密な炭化珪素を含み、前記基部の前記表面と接続する底面を含む下部は、前記基部と一体の焼結体からなり、前記凸部の側面に、前記基部の表面よりも算術平均粗さが小さい酸化膜を有する吸着部材。
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---|---|---|---|
JP2020198003A JP2022086147A (ja) | 2020-11-30 | 2020-11-30 | 吸着部材の製造方法および吸着部材 |
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