JP2022069524A - 改良された細胞療法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明者らは、ドナーと患者の性別が一致するとき同種異系MSC由来の改良治療効果があることを、驚くべきことに発見した。【解決手段】本発明は炎症障害の改良された治療法に関するものであり、その治療は、間葉系幹細胞(MSC)等の性別一致の幹細胞若しくは前駆細胞、又は性別一致の細胞分泌物、又はこれらの組合せの対象への投与を含む。本発明は、このような方法で使用することができるキット及び組成物にも関する。【選択図】なし

Description

優先権の主張
本出願は、その各々の内容が参照により本明細書に組み込まれている、2014年12月19日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2014905156号、及び2014年12月19日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2014905157号、及び2015年5月26日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2015901929号の優先権を主張するものである。
本発明は炎症障害の改良された治療法に関するものであり、その治療は、間葉系幹細胞(MSC)等の性別一致の(sex-matched)幹細胞若しくは前駆細胞、又は性別一致の細胞分泌物(secretions)、又はこれらの組合せの対象への投与を含む。本発明は、このような方法で使用することができるキット及び組成物にも関する。
間葉系幹細胞(MSC)は免疫特権があるとみなされ、同種異系の(allogeneic)治療に関して、患者に対するドナーの免疫学的一致は必要とされないと広く考えられている。
MSCは主要組織適合遺伝子複合体(MHC)クラスII表面分子の発現がなく、同種異系組織の主要拒絶反応を通常もたらすドナー免疫応答を細胞が完全に回避できると考えられる、特異的免疫抑制性を有する。
現在、骨関節炎、心筋梗塞、脳血管発作、並びに移植片対宿主病、クローン病、リウマチ様関節炎及び糖尿病等の免疫系の明らかな関与がある他の疾患を含めた様々な疾患を治療するために、MSCの使用を探求した相当数の臨床試験が存在する。MSCは、骨及び軟骨の欠陥を治療するため、並びに創傷治癒、又は生体材料と組合せて組織設計開発を手助けするための細胞療法として使用されている。
これらの試験及び関連する研究は有望な結果を示しているが、炎症状態を含めた様々な疾患を治療するためにMSCを使用する改良法が依然必要とされている。
WO2013/040649 同時係属出願PCT/AU2014/000951 オーストラリア特許出願No.2010347212
Takahashi、K.及びYamanaka、S.(2006)Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell 126、663~676頁 Gimble, J.、Katz, A.、及びBunnell, B.(2007).. Adipose-derived stem cells for regenerative medicine. Circ Res、100(9) 1249~1260頁。doi:100/9/1249[pii]10.1161/01.RES.0000265074.83288.09 Soleimani, M.、及びNadri, S.(2009)。A protocol for isolation and culture of mesenchymal stem cells from mouse bone marrow. Nature Protocols、4(1)、102~106頁。doi:10.1038/nprot.2008.221
本発明者らは、ドナーと患者の性別が一致するとき同種異系MSC由来の改良治療効果があることを、驚くべきことに発見した。
本発明の第1の態様では、対象における炎症障害を治療するための方法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。
本発明の別の態様では、対象における炎症障害を治療するための方法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。
本発明の別の態様では、対象における炎症障害を治療するための方法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物由来の細胞分泌物を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞分泌物組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載した幹細胞又は前駆細胞の細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載したMSCの細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、間質液分画の細胞又は脂肪細胞等の脂肪組織由来細胞に由来する。
本発明の更なる態様では、対象における骨関節炎を治療するための方法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、細胞分泌物はレシピエント対象と同種の1個体又は複数個体由来の細胞の培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物はレシピエント対象と異なる種の1個体又は複数個体由来の細胞の培養物に由来する。したがって、細胞分泌物はレシピエント対象と異種であると記載することができる。
一実施形態では、炎症障害は関節関連炎症障害、角膜炎症、皮膚炎症、又は創傷と関連した炎症から選択される。特定の実施形態では、炎症障害は皮膚又は角膜潰瘍である。一実施形態では、炎症障害は関節炎である。一実施形態では、炎症障害は骨関節炎である。
一実施形態では、対象は雌である。一実施形態では、対象は雄である。一実施形態では、本発明の方法は非自己法(non-autologous methods)である。
一実施形態では、MSCは対象と同種異系である。
一実施形態では、間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物は均質なMSCの組成物である。一実施形態では、MSCは培養増殖細胞である。一実施形態では、間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物は分泌物を更に含む。一実施形態では、治療有効量の、細胞分泌物を含む医薬組成物を対象に投与する。一実施形態では、細胞分泌物は、レシピエント対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物と間葉系幹細胞(MSC)が一医薬組成物中に一緒に存在する。
一実施形態では、MSCは脂肪組織、骨髄、胎盤、血液、又は臍帯血に由来する。一実施形態では、MSCは同種及び同性の複数のドナー動物に由来する。
一実施形態では、MSCは去勢済み(de-sexed)ドナー動物に由来する。一実施形態では、去勢ドナー動物は雌イヌである。
一実施形態では、対象はヒト対象である。
一実施形態では、対象は非ヒト動物である。一実施形態では、非ヒト対象はヒツジ類、ウシ類、ウマ類、ブタ類、ネコ類、イヌ類、霊長類、及びげっ歯類からなる群から選択される。一実施形態では、非ヒト対象はイヌである。
一実施形態では、対象は去勢済み非ヒト雌動物である。一実施形態では、対象は去勢済み非ヒト雄動物である。
本発明の更なる態様では、別々の容器内に、(i)雌ドナー動物由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物、及び(ii)雄ドナー動物由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物を含むキットを提供する。
本発明の更なる態様では、別々の容器内に、(i)雌ドナー動物由来の間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物、及び(ii)雄ドナー動物由来の間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物を含むキットを提供する。
本発明の更なる態様では、別々の容器内に、(i)1頭又は複数頭の雌ドナー動物由来の細胞の細胞培養物からの細胞分泌物を含む医薬組成物、及び(ii)1頭又は複数頭の雄ドナー動物由来の細胞の細胞培養物からの細胞分泌物を含む医薬組成物を含むキットを提供する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載した幹細胞又は前駆細胞の細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載したMSCの細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、間質液分画の細胞又は脂肪細胞等の脂肪組織由来細胞に由来する。
一実施形態では、キットは、炎症性疾患を有する対象への、MSCを含む医薬組成物、又は幹細胞若しくは前駆細胞を含む医薬組成物、又はこのような細胞の細胞培養物由来の細胞分泌物を含む医薬組成物の性別一致投与に関する説明書を更に含む。
一実施形態では、キットは、骨関節炎を有する対象へのMSCを含む医薬組成物の性別一致投与に関する説明書を更に含む。
一実施形態では、医薬組成物は幹細胞又は前駆細胞の低温保存(cryopreserved)医薬組成物である。
一実施形態では、医薬組成物はMSCの低温保存医薬組成物である。
一実施形態では、間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物は均質なMSCの組成物である。一実施形態では、MSCは培養増殖細胞である。
一実施形態では、MSCが脂肪組織、骨髄、胎盤、血液、又は臍帯血に由来する。一実施形態では、雌ドナー動物由来のMSCと雄ドナー動物由来のMSCが同種の動物のものである。一実施形態では、MSCは同種及び同性の複数のドナー動物に由来する。
一実施形態では、MSC及び/又は幹細胞若しくは前駆細胞及び/又は細胞分泌物は去勢済みドナー動物に由来する。一実施形態では、去勢済みドナー動物は雌イヌである。
一実施形態では、ドナー動物はヒトである。一実施形態では、ドナー動物は非ヒト動物である。一実施形態では、非ヒトドナー動物はヒツジ類、ウシ類、ウマ類、ブタ類、ネコ類、イヌ類、霊長類、及びげっ歯類からなる群から選択される。一実施形態では、非ヒトドナー動物はイヌである。
一実施形態では、間葉系幹細胞(MSC)を含む又は幹細胞若しくは前駆細胞を含む医薬組成物の1つ又は複数は分泌物を更に含む。一実施形態では、キットは、細胞分泌物を含む医薬組成物を更に含む。一実施形態では、細胞分泌物は、レシピエント対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物と間葉系幹細胞(MSC)が一医薬組成物中に一緒に存在する。一実施形態では、医薬組成物はヒトMSCと分泌物を含む。一実施形態では、一医薬組成物中に一緒に存在する細胞分泌物と間葉系幹細胞(MSC)は同性の1つ又は複数のドナーに由来する。
本発明の更なる態様では、対象における炎症障害と関連した疼痛を治療するための方法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。
本発明の別の態様では、対象における炎症障害と関連した疼痛を治療するための方法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物由来の細胞分泌物を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞分泌物組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載した幹細胞又は前駆細胞の細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載したMSCの細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、間質液分画の細胞又は脂肪細胞等の脂肪組織由来細胞に由来する。
本発明の更なる態様では、対象における骨関節炎と関連した疼痛を治療するための方法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。
本発明の更なる態様では、性別不一致(sex mismatched)幹細胞若しくは前駆細胞又はこれらの細胞の培養物由来の細胞分泌物を投与した対象における有害な免疫応答を低減するための方法であって、(i)1つ又は複数の免疫抑制薬及び/又は(ii)幹細胞の細胞培養物由来の馴化培地(conditioned media)を前記対象に投与する工程(i)を含む方法を提供する。一実施形態では、対象は雄動物である。一実施形態では、性別不一致幹細胞若しくは前駆細胞又はこれらの細胞の培養物由来の細胞分泌物を投与する前に、1つ又は複数の免疫抑制薬を対象に投与する。一実施形態では、対象は骨関節炎等の炎症障害を有する。一実施形態では、方法は非自己法である。
本発明の更なる態様では、性別不一致MSCを投与した対象における有害な免疫応答を低減するための方法であって、(i)1つ又は複数の免疫抑制薬及び/又は(ii)幹細胞の細胞培養物由来の馴化培地を前記対象に投与する工程(i)を含む方法を提供する。一実施形態では、対象は雄動物である。一実施形態では、MSCを投与する前に、1つ又は複数の免疫抑制薬を対象に投与する。一実施形態では、対象は骨関節炎を有する。一実施形態では、方法は非自己法である。
前に記載した本発明の要約は限定的なものではなく、本発明の他の特徴及び利点は、以下の好ましい実施形態の詳細な記載から、及び特許請求の範囲から明らかとなる。
雌細胞で治療した5頭の雄イヌと5頭の雌イヌに関する、ベースラインからの疼痛重症度スコア(PSS)の平均的低下の図である。Y軸は治療前と比較した疼痛の変化を表し、負のスコアは改善であり正のスコアは疼痛の悪化である。X軸は治療からの時間を表す。雄イヌは10日目でわずかな改善を示し、1カ月と2カ月で治療前より悪化した。雌イヌは10日目、及び1カ月と2カ月で改善を示した。 雌細胞で治療した5頭の雄イヌと5頭の雌イヌに関する、ベースラインからの疼痛干渉スコア(PIS)の平均的低下の図である。Y軸は治療前と比較した疼痛の変化を表し、負のスコアは改善であり正のスコアは疼痛の悪化である。X軸は治療からの時間を表す。雄イヌは10日目でわずかな改善を示し、1カ月で治療前より悪化し2カ月でわずかに改善した。雌イヌは10日目で大幅な改善を示し、1カ月と2カ月で非常に大幅な改善を示した。 オープントライアル(open trial)において雌細胞で治療したイヌに関する、ベースラインからの疼痛重症度スコアの平均的低下の図である。Y軸は治療前と比較した疼痛の変化を表し、負のスコアは改善であり正のスコアは疼痛の悪化である。X軸は治療からの時間を表す。全ての時点で、雌イヌは雄イヌよりはるかに大幅な改善を示した。 オープントライアルにおいて雌細胞で治療したイヌに関する、ベースラインからの疼痛干渉スコアの平均的低下の図である。Y軸は治療前と比較した疼痛の変化を表し、負のスコアは改善であり正のスコアは疼痛の悪化である。X軸は治療からの時間を表す。全ての時点で、雌イヌは雄イヌより大幅な改善を示した。 雌細胞で治療した25頭のイヌに関する、ベースラインからの疼痛重症度スコアの平均的低下の図である。Y軸は治療前と比較した疼痛の変化を表し、負のスコアは改善であり正のスコアは疼痛の悪化である。X軸は治療からの時間を表す。全ての時点で、雌イヌは雄イヌよりはるかに大幅な改善を示した。 雌細胞で治療した25頭のイヌに関する、ベースラインからの疼痛干渉スコアの平均的低下の図である。Y軸は治療前と比較した疼痛の変化を表し、負のスコアは改善であり正のスコアは疼痛の悪化である。X軸は治療からの時間を表す。全ての時点で、雌イヌは雄イヌよりはるかに大幅な改善を示した。 オープントライアルにおいてPSS及びPISが1超及び2超で改善したイヌの割合の図である。雄イヌより多くの雌イヌが改善した。 雄細胞で治療したイヌからの平均PSSスコアの図である。雄イヌのほうが雌イヌより応答性が高かった。 雄細胞で治療したイヌからの平均PISスコアの図である。雄イヌのほうが雌イヌより応答性が高かった。 雌MSCを週1回注射したウマの滑液中の白血球(WBC)数の図である。 雌MSCを5回関節内注射した後の、3頭のウマにおける雌MSCに対する抗体応答の分析図である。これらのヒストグラムは、注射前(白い陰影)及び注射後(黒い陰影)のそれぞれのウマに関する、2000細胞の3反復分析からの細胞の平均蛍光強度を表す。エラーバーは標準偏差を表す。 雌MSCを5回注射したウマにおける、雄MSC(黒い陰影)及び雌MSC(白い陰影)に対する抗体応答の分析図である。これらのヒストグラムは、それぞれのウマ血清に関する3反復からの抗体応答の平均増大倍率を表す。エラーバーは標準偏差を表す。
本明細書を通じて、文脈が他に決めない限り、「1つの(a)」又は「1つの(one)」要素という言及は複数を除外するわけではない。同様に、文脈が他に決めない限り、「一実施形態(an embodiment)」という言及は、1つ又は複数の記載した他の実施形態と組合せて適用する記載の実施形態の特徴を除外するわけではない。
本明細書で使用する用語「治療有効量(therapeutically effective amount)」は、その意味の範囲内に、本発明中で使用するための化合物又は組成物の、無毒であるが所望の治療効果をもたらすのに充分な量を含む。必要とされる正確な量は、例えば治療する種、対象の年齢及び一般的状態、共通罹患状態、治療する状態の重症度、投与する特定の作用物質、及び投与方式等の要因に応じて対象毎に変化する。したがって、任意の所与の症例に関して、当業者により通常法のみを使用して適切な「有効量(effective amount)」を決定することができる。
本明細書の文脈では、用語「含む(comprising)」は含む(including)を意味するが、必ずしも含む(including)だけを意味するわけではない。更に、「含む(comprise)」及び「を含む(comprises)」等の語句「含む(comprising)」の変形は相応して変化した意味を有する。したがって、用語「含む(comprising)」及びその変形は、組成物、方法等において他の整数又は特徴が場合によっては存在する可能性があり、整数Aを含む、又は整数A及びBを含む等として記載されるように、排他的ではなく包含的に使用される。
本明細書の文脈では、用語「約(about)」及び「およそ(approximately)」は、当業者が所与の値を連想し得る通常の許容範囲を示すと理解される。
本明細書の文脈では、パラメーターの範囲を言及する場合、そのパラメーターが、言及範囲の終点を含めた言及範囲内の全ての値を含むことは理解される。例えば「5~10」の範囲は、値5、6、7、8、9、及び10、並びに言及範囲内の任意の更に狭い範囲を含み、例えば6~10、7~10、6~9、7~9等の更に狭い範囲を含み、言及範囲の文脈において妥当である整数間の任意の値と範囲、例えば5.5、6.5、7.5、5.5~8.5、及び6.5~9等を含むことが理解される。
本明細書中に含まれている文書、作用、材料、デバイス、物品等の任意の考察は、単に本発明に関する文脈を示す目的のものである。従来技術ベースの一部からの任意若しくは全てのそれらの事項は認められず、又はそれらは本出願の優先日前の本発明と関連した技術分野の共通一般知識であった。
本明細書の文脈では、用語「複数(plurality)」及び「複数(multiple)」は1を超える任意の数を意味する。
本明細書中の治療又は療法における本発明の方法及び組成物の使用に関する言及は、獣医学用途等、ヒト及び非ヒトに適用可能であることが理解されることを記さなければならない。したがって、他に示す場合以外は、患者、対象又は個体に関する言及は、ヒツジ類、ウシ類、ウマ類、ブタ類、ネコ類、イヌ類、霊長類、げっ歯類の分類の動物、特にこれらの分類の飼育又は畜産動物、例えばヒツジ、ウシ、ウマ、ブタ及びイヌだけには限られないがこれらを含めた、社会、経済、農業又は研究目的で重要な任意の種の個体等のヒト又は非ヒトを意味することは理解される。
本発明の様々な実施形態又は態様の実施例を本明細書に記載する場合、一般に「等(such as)」又は「例えば(for example)」又は「含む(including)」を含めた適切な用語の前にそれらが置かれる。文脈が他に示さない限り、これらの実施例は、例証又は理解等の目的で何かを含む可能性があるとして記載され、限定的なものとして与えられるわけではないことは理解される。
本明細書で言及する医薬組成物は、治療用途の目的時等は医薬品と呼ぶこともできる。したがって、意図する治療目的での医薬組成物の調製用に記載成分の組成物の使用を含むと本発明が記載される場合、文脈が他に示さない限り、その意図する治療目的での医薬品を調製するための使用を記載が同様に意味することは理解される。
許容される程度で、本明細書中で引用する全ての参照文献はそれらの全容を参照により組み込む。
本明細書に記載する本発明は、対象における炎症障害を治療するため及び/又はそれと関連した疼痛を軽減するための改良法に関する。本明細書中に記したように、本発明者らは、治療を受ける患者又は対象とドナーの性別が一致するとき同種異系MSC由来の改良治療効果があることを、驚くべきことに確認した。これによって本発明者らは、対象における骨関節炎によって例示される炎症障害を治療するための改良法であって、対象の性別を同定する工程、対象と同性の1個体又は複数個体由来の、間葉系幹細胞(MSC)によって例示される幹細胞若しくは前駆細胞、又は性別一致細胞分泌物、又はこれらの組合せを含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致組成物を前記対象に投与する工程を含む方法を考案することができた。例えば、治療を受ける対象が雌である場合、治療中に使用される医薬組成物は、雌ドナー由来の幹細胞若しくは前駆細胞、例えばMSC、又は性別一致細胞分泌物、又はこれらの組合せを含む。或いは、治療を受ける対象が雄である場合、治療中に使用される医薬組成物は、雄ドナー由来の幹細胞若しくは前駆細胞、例えばMSC、又は性別一致細胞分泌物、又はこれらの組合せを含む。
性別一致供給源由来のMSCで治療すると骨関節炎又はそれと関連した疼痛に関してレシピエント対象が治療されたという観察結果から生じた、本明細書に記載する改良型療法は、対象に投与する医薬組成物がレシピエント対象と同性のドナー由来ではないいくつかの細胞も含有し得るという事実にもかかわらず、存在すると予想されることは理解される。例えば、炎症障害に罹患した雌対象の治療において、1頭又は複数頭の雌由来のMSCを含むが1頭又は複数頭の雄供給源由来の少量のMSCを含有する医薬組成物の投与は、治療上対象に有益であると予想される。したがって、レシピエント対象と同性の1個体又は複数個体由来の間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物は、別性由来の少量の細胞も含有し得る。存在する場合、少量は投与する組成物中、細胞の全含有量、細胞の合計数等の約30%未満、又は約20%未満、又は約15%未満、又は約10%未満、又は約5%未満、又は約2%未満であることが好ましい。組成物が細胞分泌物を含む場合、性別一致供給源に由来しない少量の細胞分泌物が組成物中に存在し得るように、これは対応する形式で当てはまる。したがって、少量の性別不一致材料の包含により、侵害目的で本発明の範囲が回避されることはない。同様に、本発明の方法を非自己法として記載又は特許請求する場合、したがって、治療を受ける対象個体自己由来の少量の細胞又は細胞分泌物の包含により、侵害目的で本発明の範囲が回避されることはない。
本明細書において実証するように、本発明者らは、性別不一致MSCに対する免疫応答があることも見い出した。この発見は、同種異系幹細胞で治療することができる全タイプの疾患及び状態と関連がある。免疫反応では、レシピエント対象の免疫系によって細胞が攻撃及び破壊される。これが、損傷部位の炎症又は全身性炎症をもたらす可能性がある。それによって細胞が包埋されない可能性も高まり、結果として損傷組織の再生能力を妨げるか又は低下させる。
本明細書の実施例は、同種異系幹細胞に対する免疫応答は、性別一致細胞を用いた免疫処置により妨げることができることを実証する。
性別不一致細胞の使用から生じる免疫応答は、治療を受ける雄動物に雌ドナーMSCを投与したときに観察されたように、ステロイド等の免疫抑制薬を用いて治療することによって、又は幹細胞と共に幹細胞由来の馴化培地を投与することによって、遮断又は防止することができる。例えば性別一致細胞が入手可能ではない状況において、その発見は有益であるが、本発明は望ましい代替も与える。即ち、性別一致MSCを対象に投与することによって、細胞以外の免疫抑制馴化培地の投与の必要と同様に、個体に対する免疫抑制薬の更なる薬剤負担の必要が回避される。したがって本発明は、MSCベース治療を受ける対象中での同種異系幹細胞に対する免疫応答の有害な影響を回避又は低減するための、簡潔な代替を与える。
炎症障害
本明細書に記載する方法及び組成物は、対象における炎症障害を治療するため、及び/又は炎症障害と関連した疼痛を軽減するために使用することができる。炎症は、物理的、化学的、若しくは生物学的因子によって引き起こされる損傷又は異常な刺激に対する応答として生じ得る。炎症反応は、局所反応及びその結果生じる形態変化、感染生物等の有害物の破壊又は除去、並びに修復と治癒をもたらす応答を含み得る。障害に関して使用するとき、用語「炎症」は、正常な方式では不適切であるか又は消散しない炎症により引き起こされる、そこから生じる、又はそれをもたらす病理過程を指す。炎症障害は全身的、又は特定組織若しくは器官に局所的であり得る。
炎症は、全身性炎症反応症候群(SIRS)、アルツハイマー病(並びに慢性炎症性神経炎、グリア細胞活性化、小グリア細胞増加、神経突起プラーク形成を含めた関連状態及び症状)、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、関節炎(並びに急性関節炎、抗原誘導関節炎、慢性リンパ球性甲状腺炎と関連した関節炎、コラーゲン誘導関節炎、若年性関節炎、リウマチ様関節炎、骨関節炎、予後及びストレプトコッカス誘導関節炎、脊椎関節症、及び痛風性関節炎だけには限られないが、これらを含めた関連状態及び症状)、喘息(並びに気管支喘息、慢性閉塞性気道疾患、慢性閉塞性肺疾患、若年性喘息及び職業性喘息を含めた関連状態及び症状)、虚血発作、外傷性脳損傷(TBI)、新生児低酸素性虚血性脳症、心臓血管疾患(並びにアテローム性動脈硬化症、自己免疫性心筋炎、急性心筋梗塞、末梢血管疾患、慢性心臓低酸素症、うっ血性心不全、冠動脈疾患、心筋症、及び大動脈平滑筋細胞活性化、心筋細胞アポトーシス及び心筋細胞機能の免疫調節を含めた心筋細胞機能障害を含めた関連状態及び症状)、糖尿病(並びに自己免疫性糖尿病、インスリン依存型(1型)糖尿病、糖尿病性歯周炎、糖尿病性網膜症、及び糖尿病性ニューロパチーを含めた関連状態)、胃腸炎症状(並びにセリアック病、関連オステオペニア、慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患及び潰瘍性大腸炎を含めた関連状態及び症状)、胃潰瘍、ウイルス及び他のタイプの肝炎、コレステロール胆石及び肝線維症等の肝臓炎症、HIV感染(並びに退行反応、神経退行反応、及びHIV関連ホジキン病を含めた関連状態)、川崎病(並びに粘膜皮膚リンパ節症候群、頸部リンパ節腫脹、冠動脈病変、浮腫、発熱、白血球増加、軽度の貧血、皮膚剥離、発疹、結膜発赤、血小板増加症を含めた関連疾患及び状態)、腎臓病及びネフロパシー(並びに糖尿病性ニューロパチー、末期腎疾患、急性及び慢性糸球体腎炎、急性及び慢性間質性腎炎、ループス腎炎、グッドパスチャー症候群、血液透析残存物及び腎虚血再灌流障害を含めた関連疾患及び状態)、神経退行疾患又は神経病理学的状態(並びに急性神経退行、加齢及び神経退行疾患におけるIL-Iの誘導、視床下部ニューロンのIL-I誘導型可塑性及び慢性ストレス過剰反応、ミエロパシーを含めた関連疾患及び状態)、ドライアイ、眼病(並びに糖尿病性網膜症、グ
レーブス眼症、角膜障害と関連した炎症、又は角膜潰瘍及びぶどう膜炎を含めた感染症を含めた関連疾患及び状態)、骨粗しょう症(並びに肺胞、大腿、とう骨、背骨若しくは手首の骨消失又は骨折発生、閉経後骨消失、骨折発生又は骨消失率を含めた関連疾患及び状態)、中耳炎(成人又は小児)、膵炎又は膵臓小胞炎、歯周病(並びに成人性、初期発症及び糖尿病性を含めた関連疾患及び状態)、子宮内膜炎及びエンドメトリオーシス、整形外科的な脊椎、背部痛、脊椎固定、脊髄損傷、椎間板修復の状態を含めた脊椎状態、慢性肺疾患、慢性副鼻腔炎、ヒアリン膜症、SIDSにおける低酸素症及び肺疾患を含めた肺疾患、冠動脈又は他の血管移植後の再狭窄、リウマチ様関節炎、リウマチ性結節アショフ体、リウマチ性疾患及びリウマチ性心筋炎を含めたリウマチ、慢性リンパ球性甲状腺炎を含めた甲状腺炎、慢性前立腺炎、慢性骨盤内疼痛症候群及び尿石症を含めた***症、円形脱毛症、自己免疫性心筋炎、グレーブス病、グレーブス眼症、硬化性萎縮性たいせん、多発性硬化症、乾癬、全身性エリテマトーデス、全身性硬化症、甲状腺疾患(例えば、甲状腺腫及びリンパ腫性甲状腺腫、橋本甲状腺炎、リンパ節腫脹)等の自己免疫疾患を含めた免疫障害、骨髄移植、臓器移植、移植片対宿主病、肺損傷(急性出血性肺損傷、グッドパスチャー症候群、急性虚血再灌流)、業務用及び環境汚染物質(例えば、毒性油、珪肺症に対する罹病性)によって引き起こされる心筋機能障害、放射線外傷、及び創傷治癒反応の有効性(例えば、火傷又は熱創傷、慢性創傷、外科的創傷及び脊髄損傷)、敗血症、急性期反応(例えば発熱反応)、全身性炎症反応、急性呼吸窮迫症候群、急性全身性炎症反応、皮膚障害(例えば、乾癬、アクネ、酒さ性アクネ、尋常性アクネ、湿疹、蜂巣炎、肝炎後神経痛、神経障害痛、皮膚炎、アトピー性皮膚炎、ナピーラッシュ(nappy rash)、皮膚炎症状態と関連した瘢痕減少)、火傷、創傷治癒、床ずれ、潰瘍)、癒着、免疫炎症反応、神経内分泌反応、発熱及び抵抗力、急性期反応、ストレス反応、疾患罹病性、反復運動ストレス、テニス肘、及び疼痛管理と応答だけには限られないが、これらを含めた、多くの障害において生じることが知られている。
特定の実施形態では、炎症障害は、関節関連炎症障害、角膜炎、皮膚炎症又は創傷治癒から選択される。
特定の実施形態では、関節関連炎症障害は骨関節炎等の関節炎である。
骨関節炎
骨関節炎(OA)は特発性、不治の慢性且つ衰弱性の筋骨格疾患であり、オーストラリアでは140万人を超える人々によって報告される。OAの発症は加齢と最も密接に関連しており、主な観察結果は軟骨の変化と疼痛である。従来それは非炎症疾患と呼ばれているが、炎症がOA疾患の進行において主要な役割を果たすことが次第に明らかになっている。OAを有する患者は典型的には非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)及び鎮痛薬で処理されて、OA症状を軽減し患部関節の疼痛を制御する。現在、NSAID更にコルチコステロイド療法がそれ以上有効でないとき、通常の治療は関節全体の関節形成術である。これは、30~60才の年齢の患者に関して重要な問題を提起する。インプラントが彼らの人生を通じて持続する可能性は低いので、多くの整形外科医が50才未満の人に関節交換を行うのを躊躇している。
近年、医学研究では、様々な疾患に関する革新的再生治療に移行している。関節炎等の関節疾患では、いくつかの研究グループがOAの動物モデルを使用して、可能性のある再生療法として成人間葉系幹細胞(MSC)の使用を探索している。急性及び慢性軟骨損傷の動物モデルでは、MSCを用いた治療は、鎌状とヒアリン様軟骨の再生、及びOA様疾患進行の低減、軟骨消失、骨増殖体形成及び軟骨下部肥大をもたらす。これらの細胞には、生体活性因子の分泌を介した有意な抗炎症効果及び免疫調節効果があることも実証されている。
本明細書に記載するように、本発明は、性別一致幹細胞又は前駆細胞、例えば間葉系幹細胞(MSC)を対象に投与する工程による、対象における骨関節炎を治療するための改良された細胞ベースの治療法を提供する。本明細書の文脈における用語「治療すること」、「治療」、「療法」等は、骨関節炎等の状態又は疾患の症状及び/又は根本的原因の軽減を指す。ある特定の実施形態では、治療は、障害若しくは損傷の障害若しくは症状の進行を鈍化、遅延又は停止させる、又は障害若しくは損傷の進行を少なくとも一時的に逆行させる。したがって本発明の文脈では、語句「治療」又は「治療すること」等のその派生語は、治療用途に関して使用するとき、例えば治療を受ける状態と関連した疼痛の軽減、治療を受ける状態の重症度の軽減、治療を受ける状態の1つ又は複数の症状の改善等の、治療の全ての態様を含む。語句「治療」又はその派生語の使用が、「治療を受ける」対象が1つ又は複数の前述の利点のいずれかを経験し得ることを意味することは理解される。
本発明の方法が、骨関節炎と関連した疼痛等の炎症状態と関連した疼痛の軽減によって、対象に更に恩恵をもたらし得ることは理解される。用語「炎症状態と関連した疼痛の軽減」は、対象の状態から生じる疼痛の低下を包含するものであるが、疼痛を引き起こす根本の状態を必ずしも治療するわけではない。
典型的には、本発明の方法を実施する際に、治療する内科医、例えば医師、獣医師、又は看護士は、雌ドナー由来のMSC等の幹細胞若しくは前駆細胞、又はこれらの細胞の培養物由来の細胞分泌物を含む医薬組成物、及びこれらの細胞の培養物由来の雄ドナー分泌物由来のMSC等の幹細胞若しくは前駆細胞を含む別の医薬組成物を、彼ら自身が利用可能であると思われる。ドナー動物は典型的には治療を受ける対象と同種の動物であり、したがって、治療中に使用される幹細胞又は前駆細胞、例えばMSC、又はそれらの培養物の分泌物は、同種異系幹細胞又は前駆細胞、例えばMSC、又は前記同種異系細胞の培養物の分泌物である。
非炎症障害
本明細書に記載する方法及び組成物は、非炎症障害の治療及び/又はこのような障害と関連した疼痛の軽減に使用することができる。非炎症障害は、対象における以下の1つ又は複数の状態、乾燥皮膚、皮膚のかゆみ、昆虫刺傷若しくは咬傷、日焼け、皮膚のしわ、薄い皮膚、皮膚のひび割れ、アクネ、瘢痕、妊娠線、まだら日焼け、加齢斑、肝斑、眼の周辺の腫れ及び/又は黒丸、水虫、いぼ、手術関連毛髪消失、化学療法関連毛髪消失、放射線暴露関連毛髪消失、脱毛、男性型禿頭症又は女性型禿頭症と関連がある。
幹細胞及び前駆細胞
幹細胞又は前駆細胞は、治療を受ける対象、又は治療を受ける予定の対象と同性の1個体又は複数個体に由来する。
本明細書で使用する用語「幹細胞」は、全能性又は多能性又はマルチ能性であり、例えば、胚性幹細胞、胚性生殖細胞、間葉系血管芽細胞、成体組織、例えば脂肪組織、神経組織(例えば、脳又は嗅粘膜)、骨髄、胎盤、血液、又は臍帯血等から単離した幹細胞等の1つ又は複数の異なる細胞型に分化することができる細胞を指す。
本明細書で使用する用語「前駆細胞」は、例えば幹細胞に由来しそれ自体は幹細胞でない、部分的に分化した細胞又は未分化細胞を指す。いくつかの前駆細胞は、二種以上の細胞型に分化することができる子孫を生産することができる。
性別一致個体由来の幹細胞又は前駆細胞は脱分化細胞を含む。脱分化細胞は、より独特な型と機能、及び/又は限定的自己再生及び/又は増殖能力を有する一層特化した細胞が特化性低下状態になりより高い自己再生及び/又は増殖能力又は分化能力(例えばマルチ能性、多能性等)を得るプロセスを経た細胞を指す。人工多能性幹細胞(iPSC)は脱分化細胞の一例である。iPSCは様々な方法によって作製することができる。投与により行う細胞リプログラミング、又はOct4、Sox2、cMyc及びKlf4を含めた転写因子若しくは「リプログラミング因子」の組合せの誘導型発現によってiPSCを作製することができる。生体組織からiPSCを作製するための方法は知られており、当技術分野では、例えばTakahashi、K.及びYamanaka、S.(2006)Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors. Cell 126、663~676頁に記載されている。
本文脈では、「~に由来する」幹細胞又は前駆細胞は、幹細胞、又はより典型的には対象への投与に使用する幹細胞若しくは前駆細胞が由来する親細胞が、細胞が投与される動物と同性のドナー動物から入手又は供給されたことを単に意味する。
間葉系幹細胞(MSC)
MSCは治療を受ける対象、又は治療を受ける予定の対象と同性の1個体又は複数個体に由来する。本文脈では、「~に由来する」MSCは、MSC、又はより典型的には対象への投与に使用するMSCが由来する親細胞が、MSCが投与される動物と同性のドナー動物から入手又は供給されたことを単に意味する。一例を示すと、本明細書の実施例は、低温保存MSC、MSCを含む細胞懸濁液、雄イヌ若しくは雌イヌから最初に得た脂肪組織サンプルから調製した組織培養において使用する細胞懸濁液の組織培養により調製したMSCの投与を記載する。最終供給源が雌である場合MSCは雌ドナーに由来すると言うことができ、最終供給源が雄である場合MSCは雄ドナーに由来すると言うことができる。
間葉系幹細胞(MSC)は出生後の、多能性成体幹細胞である。間葉系幹細胞(MSC)は身体中の多くの組織に存在し、組織修復と再生において重要な役割を果たす。治療目的で、MSCは骨髄、胎盤、臍帯血及び脂肪組織から一般に採取される。多くの状況では、使用前に組織培養により細胞を増殖させる。
間葉系幹細胞(MSC)は、骨髄、骨格筋、皮膚、結合組織、及び脂肪組織、胎盤、血液又は臍帯血だけには限られないが、これらを含めたMSCが見られる任意の組織に由来し得る。由来によって、本発明の方法又は組成物中で使用するMSCを単離した組織型を意味する。特定の実施形態では、MSCは骨髄又は脂肪組織に由来し得る。MSCは本発明の方法及び組成物の目的で組織から特異的に単離することができ、又は本発明の方法若しくは組成物と無関係な手順において、組織供給源からMSCが事前に単離された可能性がある。適切な組織からのMSCの単離又はMSCを含む組成物の調製は、本発明の方法を実施する1工程又は複数工程を構成する可能性があるか、又は構成する可能性がない。
脂肪組織には、骨髄よりグラムあたり例えば500~1000倍を超えるMSCを含有する組織中に多数のMSCが存在すること、多くの適用例に関して組織培養により細胞を増殖させる必要がないこと等の、MSCの供給源として特有の利点がある。多量のMSCと共に、脂肪組織は免疫細胞、血管平滑筋細胞、内皮細胞、及び周皮細胞を更に含み、これらは一括して間質液分画(SVF)と呼ばれる。標準的脂肪吸引技法により多量の脂肪組織を得る能力、及び本発明中で使用するMSCが由来するSVFを迅速に単離する能力は、培養増殖有り又は無しのいずれかでもたらすことができる。MSCの元の供給源組織とは無関係に、本発明の方法で使用するMSCは培養増殖細胞である可能性があるか、又はその可能性はない。典型的には、本発明の方法で使用するMSCは培養増殖細胞である。
前に記載したように、MSCを含む組成物は、MSCが見られる組織を含む生物サンプルから最初に単離したMSCを含む可能性がある。当業者に知られている適切な方法に従い、MSCを生物サンプルから単離し、次いで処理、維持及び保存することができる。単離、処理、維持及び保存に適した方法は、多能性を保持するMSCに実施可能な方法であることは理解される。例えばMSCは、生物サンプルから単離した直後に本発明の方法で使用することができる。或いは、MSCは使用前の細胞培養中で1段階又は複数段階の凍結、及び/又は継代を経る可能性がある。例えば、生物サンプルから単離したMSCは方法で使用する前に細胞培養中で継代することができ、又は使用前にMSCを生物サンプルから単離し、次いで凍結及び解凍することができ、又は単離したMSCを凍結、解凍し、次いで使用前の細胞培養中で1回継代することができる。例えば、MSCを生物サンプルから単離し、細胞培養中で継代し、次いで凍結、解凍し、次いで使用前の細胞培養中で1回又は複数回継代することができる。別の例では、MSCを生物サンプルから単離し、使用前の細胞培養中で1回又は複数回継代することができる。継代が細胞培養培地中でのMSCの成長を含み、増殖、コロニー膨張、***としばしば呼ばれることは理解される。
生物組織からMSCを単離するための方法は当技術分野で知られており、MSCをin vitro培養するための方法も当技術分野で知られており、当技術分野では、例えばGimble, J.、Katz, A.、及びBunnell, B.(2007). Adipose-derived stem cells for regenerative medicine. Circ Res、100(9) 1249~1260頁。doi:100/9/1249[pii]10.1161/01.RES.0000265074.83288.09;Soleimani, M.、及びNadri, S.(2009)。A protocol for isolation and culture of mesenchymal stem cells from mouse bone marrow. Nature Protocols、4(1)、102~106頁。doi:10.1038/nprot.2008.221に記載されている。
生物サンプルからMSCを単離するための方法が、MSCのみで構成されるサンプルをもたらすことはできないことは理解される。MSCを含む組成物は、MSCではない細胞、及び非細胞成分を含み得る。これらの非細胞成分及び非MSCは、例えばMSCを単離した生物サンプルに由来した可能性があり、又はそれらは、例えばMSCの処理、維持、培養及び保存中に使用したバッファー、溶液若しくは培地に由来する可能性がある。MSCではない細胞は、例えば結合組織、血液、骨髄、脂肪組織、血管、神経組織、筋肉組織及び/又は間質組織に由来する可能性がある。これらの細胞は、例えばMSCが単離された生物サンプル中に存在した可能性がある脂肪細胞であってよい。ある特定の実施形態では、MSCを含む組成物は脂肪細胞を更に含む。非細胞成分は、例えば組織液、細胞培養培地、血漿成分、細胞外マトリックス、酵素、増殖因子及びサイトカインであり得る。非細胞成分は、例えばMSCの継代中に使用される血清の成分であり得る。
典型的には、本発明の方法で使用するMSCは例えば培養増殖され、その理由は、培養増殖によって、典型的にはMSCの培養増殖組成物が非MSC細胞をほとんど又は全く含有しない点で、細胞組成物の均一性を充分制御できるからである。典型的には、培養増殖無しで生物サンプルから直接得るMSCより多数の培養増殖MSCも、当業者には利用可能である。
医薬組成物
本発明の方法で使用するための医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤又はアジュバント中にMSC等の性別一致幹細胞又は前駆細胞を含む。本発明の方法で使用するための組成物は、典型的には「薬学的に許容される」。担体、希釈剤、凍結防止剤等の、本発明と関連した様々な成分の文脈で本明細書において使用する用語「薬学的に許容される」は、ヒト対象への投与に適したこのような成分だけではなく、非ヒト哺乳動物対象への投与に適した成分も包含するものとする。特定の実施形態では、薬学的に許容される成分は非ヒト哺乳動物対象への投与に適している。特定の実施形態では、薬学的に許容される成分はヒト対象への投与に適している。特定の実施形態では、薬学的に許容される成分は非ヒト哺乳動物対象及びヒト対象への投与に適している。
幹細胞又は前駆細胞又は間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物は、細胞培養中に細胞によって分泌されるサイトカイン等の、前記MSCから等の前記細胞から分泌される成分を更に含むことができる。これらは一般に、本明細書では細胞分泌物と呼ぶことができる。組成物中へのこのような細胞分泌物の封入は、本発明の方法で使用する前のMSCの1回又は複数回の低温保存において有益である可能性があり、保存からの検索中にMSCの有効性を保つのに役立つ可能性があり、又は例えば抗炎症性サイトカイン等の有益なサイトカインの封入により、対象に対する別の治療利点で役立つ可能性がある。「Therapeutic methods and compositions」という表題のWO2013/040649は、間質液分画の細胞等の脂肪由来細胞を含む細胞懸濁液中への細胞分泌物の封入は、骨関節炎等の炎症疾患の治療用に使用すると、細胞の低温保存及びその有効性の点で有益であることを記載する。その全容が参照により本明細書に組み込まれているWO2013/040649に記載されたように、分泌物は2倍、5倍、10倍又は20倍濃縮等の濃縮型でこのような細胞組成物と共に使用することができる。本発明者らは、脂肪組織由来間葉系幹細胞に関してWO2013/040649中で実証された分泌物封入の利点が、本明細書に記載した供給源等の、他の供給源から得た間葉系幹細胞に適用可能であることを本明細書において提言する。
対象に投与するための細胞分泌物は、MSC若しくは他の幹細胞若しくは前駆細胞を更に含む組成物中に供給することができ、又は別の医薬組成物として供給することができる。本明細書に記載するように、細胞分泌物は治療を受ける対象と同性のドナー由来の細胞の細胞培養物に由来する可能性があり、又は治療を受ける対象と別性のドナー由来の細胞の細胞培養物に由来する可能性がある。好ましい実施形態では、細胞分泌物は治療を受ける対象と同性のドナー由来の細胞の細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は間質液分画の細胞又は脂肪細胞等の脂肪組織由来細胞に由来する。一実施形態では、細胞分泌物はレシピエント対象と同種の1個体又は複数個体由来の細胞の培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物はレシピエント対象と異種の1個体又は複数個体由来の細胞の培養物に由来する。
本発明者らは、レシピエント対象が性別不一致MSCに対して免疫応答を有し得ることを、初めて本明細書において実証する。これは、雌ドナーMSCを投与した雄対象の症例において特に明らかであった。WO2013/040649中で実証されたように、幹細胞培養物由来の細胞分泌物は、対象に投与すると免疫抑制効果を有する場合がある。性別不一致MSCの使用はドナー細胞に対する免疫応答と関連があるという本明細書の発見から生じたように、本発明者らは、性別不一致MSCで対象を治療する場合、幹細胞培養物由来の細胞分泌物又は馴化培地の投与を提言する。幹細胞培養物由来の細胞分泌物又は馴化培地を任意の適切な方式で対象に投与して、レシピエント対象による投与された性別不一致MSCに対する有害な免疫応答を低減又は軽減することができる。典型的には、幹細胞培養物由来の細胞分泌物又は馴化培地は、性別不一致MSCより前又はそれらと同時に投与される。
性別不一致幹細胞又は前駆細胞又はMSCに対するレシピエント対象の有害な免疫応答の影響を予防又は軽減するための、幹細胞培養物由来の細胞分泌物又は馴化培地の使用に対する代替として、1つ又は複数の免疫抑制薬を対象に投与することができる。免疫抑制薬は当技術分野で知られており、例えばデキサメタゾン等のステロイドを含む。薬剤は任意の適切な方式でレシピエント対象に投与することができるが、典型的には性別不一致幹細胞又は前駆細胞又はMSCより前又はそれらと同時に投与される。当業者は、前記薬剤の適切な用量を決定して所望の効果を得ることができる。
対象への性別一致幹細胞又は前駆細胞及び/又は細胞分泌物の投与
医薬組成物の投与は任意の適切な手段によるものであってよい。典型的には、骨関節炎であり得る関節炎等の関節関連炎症状態又は疾患に関して対象が治療される状況では、その状態は1つ又は複数の対象の関節に影響を与える。一実施形態では、状態を治療する方法は患部関節への関節内注射によるものである。ある特定の実施形態では、性別一致幹細胞又は前駆細胞(例えばMSC)及び/又は細胞分泌物を含む医薬組成物を、炎症障害の部位、又は疼痛を経験した部位に直接投与することができる。例えば、炎症障害が関節関連炎症障害である場合、医薬組成物は滑液中、及び/又は関節包中若しくは周辺、及び/又は関節を覆っているか若しくは関節周囲の筋組織、及び/又は関節を覆っている組織の皮下に直接投与することができる。好ましい実施形態では、関節関連炎症状態は骨関節炎である。
投与することができる医薬組成物の量は、関節の大きさと位置、及び投与の部位に依存する。例えば投与が関節の滑液への注射による投与である場合、関節に保たれる滑液の体積によって、その体積は制約され得る。
典型的には、ヒトにおける関節関連炎症状態は、一方又は両方の臀部、膝、足首、肘、肩、手首、中手指節関節又は指節骨関節、中足骨関節又は足根骨関節又は2つ以上の椎間関節における少なくとも1つの関節に関与する。獣医学上、関節関連炎症障害に関しては、対応する関節は哺乳動物に関するものであり、これらは後膝関節及び踵関節を含む。
性別一致幹細胞又は前駆細胞(例えばMSC)及び/又は細胞分泌物を含む医薬組成物は、対象患者の患部領域から遠く離れた部位に投与することができる。本文脈では「遠隔」は、投与が状態に罹患したことを直接確認した部位又は関節への細胞懸濁液の直接施用ではないことを意味する。このような方法は、例えばその全容が参照により本明細書に組み込まれている、「Therapeutics using adipose cells and cell secretions」という表題のWO2013/040649に記載されている。
一例として、関節炎状態の関節の治療の場合、当技術分野で以前に記載された投与は、患部関節への脂肪組織由来細胞懸濁液の直接注射に関するものであった。このような投与では、適切な精度を保障するため治療する内科医又は臨床医の一部に高度な技術が必要とされる。このような投与において必要とされる罹患した四肢又は関節の処理は、ヒト又は非ヒトであろうと患者が経験する苦痛を更に増大させる。
例えば遠隔投与は、治療を受ける動物(例えばネコ又はイヌ)の頸部の首筋中等への皮下注射による投与、又は筋肉内注射による投与であってよい。更なる例として、筋肉内注射によるイヌへの投与はイヌの大腿への投与であってよい。更なる例として、筋肉内注射によるウシ属への投与は、尾側襞、臀部又は頸部中への投与であってよい。更なる例として、筋肉内注射によるウマ科への投与は臀部又は頸部中への投与であってよい。
方法は対象の単回治療を含むことができ、又は第1投薬及び第2投薬、又は第1投薬、第2投薬及び第3投薬、又は第1投薬、第2投薬、第3投薬及び第4投薬、又は第1投薬、第2投薬、第3投薬、第4投薬及び第5投薬を含む治療過程を含むことができる。
本発明の方法の文脈において、投薬は、その投薬が単回適用又は複数回適用で投与されるものであれ、所与の時間での対象への性別一致幹細胞又は前駆細胞(例えばMSC)及び/又は細胞分泌物を含む医薬組成物の投与を意味することは理解される。一例証として、投薬は対象の身体上の標的部位への単回注射等の単回投与からなり得る。更なる例証として、投薬は複数回注射等の対象の身体上の1つ又は複数の標的部位への複数回投与からなり得る。したがって、第1投薬、及び/又は例えば任意の第2、第3、第4、第5投薬等の後の投薬のいずれも、単回適用又は複数回適用として投与することができる。
第1投薬と後の各投薬の間で任意の適切な期間を使用することができる。後の1回若しくは複数回の投薬が限定又は施用されるほど投薬の有効性が低下した場合等に起こり得る、状態の再発又は状態の症状の増大を対象が経験することを、本発明の方法が必要としないことは注目に値する。その代わりに、個体中の同じ状態を治療するため一定時間その時間にわたり複数用量の組成物を対象に投与するのが、本発明の方法の意図する治療過程である。
治療を受ける対象に幹細胞又は前駆細胞(例えばMSC)及び/又は細胞分泌物を複数回投与する場合、典型的には、後の用量の投与時に関する決定は、治療担当内科医、医師、獣医師又は看護士等の対象の治療を管理する個人によってなされる。典型的には、いくつかの要因の組合せが、このような決定をする際に考慮される。例えば、考慮される要因は、過去の経験、個々の対象患者の状態若しくは同様の状態を有する患者のいずれかに基づいて評価される適切な時間尺度、又は対象の衰弱度、又は対象によって経験される疼痛の程度を含む可能性があり、又は対象の独自アセスメントとは無関係な試験に基づく可能性がある。
例えば、「Biomarkers for cell therapy」という表題の同時係属出願PCT/AU2014/000951は、治療担当内科医が骨関節炎の進行を評価するのを手助けするため、及び間葉系細胞ベースの療法に適した治療時間を同定するのを手助けするためのバイオマーカーの使用法を記載する。PCT/AU2014/000951は、マクロファージ移動抑制因子(MIF)がOAに関する間葉系幹細胞治療を受けた患者の血清中で検出可能であること、及び検出可能なMIFのレベルが安定状態又は改善等の治療結果と関連があることを記載する。本明細書で例示するように、OAの治療では、検出可能なMIFのレベルは軟骨分解減少等の治療結果と関連がある。MIFは、損傷組織の分解を刺激する炎症性サイトカインである。
PCT/AU2014/000951は、CTX-II、II型コラーゲンのC末端テロペプチドがOAに関する治療を受けた患者の血清及び尿中で検出可能であること、及び検出可能なCTX-IIのレベルは軟骨分解と関連があることを更に記載する。血清中のMIFレベルは、例えばOAにおいてMSC治療後に観察される組織分解減少と関連があり、血清中MIFの減少は、軟骨分解のマーカーである尿中CTXIIの減少と関連がある。COMP(軟骨オリゴマーマトリックスタンパク質)がOAと非常に関連がある別の軟骨特異的分解産物であることも、PCT/AU2014/000951に記載されている。それは疾患の進行中に(血清中で)増加する。CTXと同様に、PCT/AU2014/000951はこのマーカーの治療後の安定状態又は若干の減少を実証する。
したがって、その全容が参照により本明細書に組み込まれているPCT/AU2014/000951に記載された方法を使用して、治療担当内科医は、対象患者におけるOAの進行の測定を手助けすること、例えば患者に一定治療用量、例えば患者に一定用量の性別一致幹細胞又は前駆細胞(例えばMSC)を投与するのに適した時間に関する決定の誘導を手助けすることができる。有利なことに、このような方法は、疼痛スコア又は不快レベルの自己報告等の、患者の固有状態の主観的アセスメントと無関係である。内科医が対象における他の炎症状態の進行を評価するのを可能にする、いくつかの方法も記載されていることを当業者は理解している。
一実施形態では、治療過程は、後の各投薬が前回の投薬から1週間~10週間の間の時間離れている複数回投薬を含む。一実施形態では、治療過程は、後の各投薬が前回の投薬から2週間~8週間の間の時間離れている複数回投薬を含む。一実施形態では、治療過程は、後の各投薬が前回の投薬から2週間~6週間の間の時間離れている複数回投薬を含む。任意の所与の治療過程に関して、各投薬間の期間は一定期間であり得るか、又はそうでない可能性がある。一例証として、第1投薬と第2投薬の間の期間は、第2投薬と第3投薬の間の期間と同じであり得るか、又はそうでない可能性がある。
一実施形態では、治療過程は、3カ月~12カ月の間の合計治療期間にわたり投与される複数回投薬を含む。一実施形態では、治療過程は、6カ月~12カ月の間の合計治療期間にわたり投与される複数回投薬を含む。一実施形態では、治療過程は、3カ月~9カ月の間の合計治療期間にわたり投与される複数回投薬を含む。一実施形態では、治療過程は、6カ月~9カ月の間の合計治療期間にわたり投与される複数回投薬を含む。
キット
本明細書に記載する本発明は、本発明の方法で使用することができる成分のキットも提供する。したがって本発明は、別々の容器内に、(i)雌ドナー動物由来の幹細胞又は前駆細胞、例えば間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物、及び(ii)雄ドナー動物由来の幹細胞又は前駆細胞、例えば間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物を含むキットを提供する。こうした利用可能な成分のキットを有することにより、治療担当内科医は、存在し得る雄患者又は雌患者のいずれかを治療することができる。典型的には、キットの成分は投与に必要とされるまで凍結保存する。
本発明は、別々の容器内に、(i)1頭又は複数頭の雌ドナー動物由来の細胞の細胞培養物からの細胞分泌物を含む医薬組成物、及び(ii)1頭又は複数頭の雄ドナー動物由来の細胞の細胞培養物からの細胞分泌物を含む医薬組成物を含むキットも提供する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載する幹細胞又は前駆細胞の細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、本明細書に記載するMSCの細胞培養物に由来する。一実施形態では、細胞分泌物は、間質液分画の細胞又は脂肪細胞等の脂肪組織由来細胞に由来する。
一実施形態では、キットは本明細書に記載する任意の組成物を含み得る。
本明細書で使用する用語「キット」は、材料を送達するための任意の送達システムを指す。本明細書に記載する検出アッセイ及び方法の文脈では、このような送達システムは、1つの場所から別の場所への、反応試薬(例えば適切な容器中のラベル、参照サンプル、担体材料等)及び/又はサポート材料(例えばバッファー、アッセイを実施するための文書化された説明書等)の保存、輸送、又は送達を可能にするシステムを含む。例えばキットは、関連反応試薬及び/又は担体材料を含有する、ボックス等の1つ又は複数の密閉空間を含む。
一般に、本発明のキットは任意の数の別の成分を含むことができる。本明細書に記載するように、例えば、骨関節炎及び他の炎症疾患の治療を受ける対象への細胞分泌物の医薬組成物の投与は、その両方の全容が参照により本明細書に組み込まれている「Cell free preparation and uses thereof」という表題のオーストラリア特許出願No.2010347212中、及び更に「Therapeutic methods and compositions」という表題のWO2013/040649中で、対象に治療利点をもたらすことが実証されている。したがって、本発明の方法で使用するためのキットは、細胞分泌物を含む医薬組成物を更に含むことができる。細胞分泌物はMSCを含む医薬組成物の一方又は両方に存在し得るか、又は細胞分泌物はキット内の別の1つ又は複数の容器中に組成物として存在し得る。キット内に含有される細胞分泌物は既知の一性別の細胞の細胞培養物由来として選択することができ、この場合専門家は、キットを利用して対象に性別一致細胞分泌物を投与する機会も与えられ、又は細胞分泌物は、混合細胞集団若しくは不定細胞集団の細胞培養物に由来し得る。
細胞分泌物は任意の適切な方法によって調製することができる。例えば、「Cell free preparation and uses thereof」という表題のオーストラリア特許出願No.2010347212は、組織幹細胞を含む細胞集団において細胞複製があるように組織幹細胞を含む細胞集団を培養する工程、組織幹細胞を含む細胞集団をin vitroで水性培地に曝す工程、及び細胞集団から水性培地を単離して無細胞組成物を生成する工程を含む、細胞分泌物の無細胞組成物を作製するための方法を記載する。本発明の方法及びキットでは、細胞分泌物を培養MSCから分離することができる又はできない。「Therapeutic methods and compositions」という表題のWO2013/040649も、医薬用途に細胞分泌物を調製することができる方法を記載する。
ここで本発明を、以下の実施例に関して単なる例証により、更に詳細に記載する。これらの実施例は本発明を例証することを目的とし、本明細書全体の記載の開示の一般性を制限するものとして解釈すべきではない。
(実施例1)
同種異系治療用のイヌ科脂肪組織由来細胞の調製
脂肪組織の処理。
10gの鎌状又は鼠径部脂肪組織サンプルを雄イヌ又は雌イヌの一方から回収した。脂肪組織は生理食塩水ですすぎ、次いでハサミを使用して細かく切り刻み、20mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma社)と混合した。コラゲナーゼ(Sigma社)を0.05%の最終濃度まで加え、サンプルは37℃で30分間インキュベートした。インキュベーション中、サンプルはオービタルシェーカーで軽く混合した。
コラゲナーゼ処理後、サンプルはステンレス鋼製メッシュ(700μm孔サイズ)を介して滅菌濾過し、50mlの遠心分離用チューブに移し15分間500gで遠心分離した。浮遊細胞と上澄みを廃棄し、ペレット状細胞はパスツールピペットで軽く混合し、15mlの遠心分離用チューブに移した。
次いで細胞をDMEM中で洗浄してコラゲナーゼを除去した。DMEMを14mlの最終体積まで加え、サンプルは10分間500gで遠心分離した。上澄みを廃棄し、ペレット状SVF細胞を4mlのDMEM中に軽く再懸濁させ、パスツールピペットで混合した。
細胞の増殖
細胞懸濁液のアリコート(0.5ml)をDMEM及び10%イヌ血清を含有する組織培養フラスコに移し、融合細胞単層が存在するまで(7~10日間)37℃においてCO2インキュベーター内でインキュベートした。細胞は3mlのTrypLE Express(Invitrogen社)で剥離し、50mlの遠心分離用チューブにデカントし、10分間500xgで遠心分離した。細胞は、それらが約8倍又は13倍に倍増するまで更に継代した。次いで継代細胞を剥離し遠心分離した。
細胞の低温保存
ペレット状細胞サンプルをCryoStor(Stemcell Technologies社、Tullamarine、オーストラリア)で混合し、低温用バイアルに等分し、Mr Frosty低速凍結デバイス(Invitrogen社)中-80℃フリーザー中に24時間低温保存し、次いで液体窒素用デュワー瓶に移した。
(実施例2)
継代細胞からの分泌物の生成。
イヌ科脂肪組織由来細胞を実施例1に記載したように単離し培養した。細胞は、細胞がおよそ13倍の累積細胞倍増状態に達するまで継代した。細胞由来の組織培養上澄みは3kDaのAmicon(Millipore社)中に濃縮し凍結保存した。
(実施例3)
同種異系治療用のイヌ科脂肪組織由来細胞と細胞分泌物の混合物の調製
イヌ科脂肪組織由来細胞を実施例1に記載したように単離し培養した。凍結前に、細胞は実施例2に記載したように生成させ濃縮したイヌの分泌物と混合し、イヌ血清と1:1で混合した。細胞は剥離し、洗浄し、細胞ペレットは血清と分泌物の混合物中に再懸濁させ、次いで30分間室温で保持し分泌物と細胞を相互作用させた。次いで細胞懸濁液を低温用バイアルに移し、DMSOと混合し実施例1に記載したように凍結した。
(実施例4)
プラシーボ対照盲検における雌イヌ脂肪組織由来細胞を用いた肘骨関節炎に対するイヌの治療。
細胞の調製
実施例1に記載したように雌イヌから細胞を生成した。
イヌの治療
肘及び後膝関節の骨関節炎がある5頭の雄イヌと5頭の雌イヌを、270万個の細胞の単回関節内注射で治療した。10頭のイヌ(6頭の雄と3頭の雌)のプラシーボ群には擬似注射をした。イヌの飼い主及び担当獣医師には、彼らのイヌが治療群中か又はプラシーボ群中かは知らせなかった。
イヌの評価
イヌ簡易疼痛調査票(Canine Brief Pain Inventory)(CBPI)を使用して治療に対する応答を評価した。CBPIは、疼痛重症度スコア(PSS)と疼痛干渉スコア(PIS)を与える飼い主用アンケート用紙である。PSSは、その最悪状態、その最良状態、現在、及び最後の7日間の平均で、イヌの疼痛の重症度スコアを飼い主に尋ねる4問1組である。PISは、イヌの通常機能に干渉する疼痛レベルのスコアを飼い主に尋ねる6問1組である。例には、伏せた状態から起き上がる能力、走る、歩く、ジャンプする、及び階段を上る能力がある。このスコアリングシステムは完全に立証されており、新薬のアセスメントに適した手段としてUSFDAによって容認されている。
イヌは治療前に2週間、治療日、並びに治療後10日目、1、2、3カ月及び6カ月に評価した。2カ月までのスコアが分析に利用可能であった。治療前2週間と治療日からのスコアを平均してベースラインスコアを得た。
結果
雌細胞で治療した10頭のイヌからの結果を図1及び2中に表す。雌細胞で治療した雄イヌより、雌細胞で治療した雌イヌにおいて大幅な治療効果があった。
雄イヌに関する平均PSSは10日目でわずかな改善を示し、1カ月及び2カ月で治療前より悪化した。雌イヌに関する平均PSSは10日目で適度な改善を示し、1カ月及び2カ月で大幅に改善した。
雄イヌに関する平均PISは10日目で改善を示し、1カ月で治療前より悪化し2カ月でわずかに改善した。雌イヌに関する平均PISは10日目で大幅な改善を示し、1カ月及び2カ月で非常に大幅な改善を示した。
(実施例5)
オープントライアルにおける雌イヌ脂肪組織由来細胞を用いた骨関節炎に対するイヌの治療。
細胞の投与
骨関節炎がある53頭のイヌを、実施例3に記載したように調製した雌細胞由来の細胞分泌物と混合した雌細胞で治療した。対照群は存在しなかった。
イヌの評価
イヌ簡易疼痛調査票(CBPI)を使用して治療に対する応答を評価した。CBPIは、疼痛重症度スコア(PSS)と疼痛干渉スコア(PIS)を与える飼い主用アンケート用紙である。
治療日、並びに治療後10日目、1カ月、2カ月、及び3カ月でイヌを評価した。それぞれのイヌを全ての時点で評価したわけではない。
結果
オープントライアルで治療した全てのイヌに関する平均PSS及びPISを図3及び4中に表す。全ての飼い主が、全ての時点でアンケート用紙を書き終えたわけではないことを記す。飼い主用アンケート用紙は、最初の3時点で53頭中25頭のイヌに関して書き終えた。これら25頭のイヌに関する平均PSS及びPISは図5及び6中に表す。
図3、4、5及び6は、雌イヌが雄イヌより高い治療応答を示したことを示す。
図7は、1を超え2を超えるPSS及びPISの改善があった、治療に応答した53頭の治療イヌの割合を示す。雄イヌより相当多くの雌イヌが応答した。
(実施例6)
オープントライアルにおける雄イヌ脂肪組織由来細胞を用いた骨関節炎に対するイヌの治療。
細胞の投与
骨関節炎がある4頭のイヌを、実施例1に記載したように調製した雄細胞で治療した。対照群は存在しなかった。
イヌの評価
イヌ簡易疼痛調査票(CBPI)を使用して治療に対する応答を評価した。CBPIは、疼痛重症度スコア(PSS)と疼痛干渉スコア(PIS)を与える飼い主用アンケート用紙である。
治療日、並びに治療後10日目、3カ月及び6カ月でイヌを評価した。それぞれのイヌを全ての時点で評価したわけではない。
結果
雄細胞で治療したイヌに関する平均PSS及びPISを図8及び9中に表す。全ての飼い主が、全ての時点でアンケート用紙を書き終えたわけではないことを記す。飼い主用アンケート用紙は、それぞれの時点で1頭又は2頭のイヌに関して書き終えた。これら1~2頭のイヌに関する平均PSS及びPISは図8及び9中に表す。雄イヌは雌イヌより大幅な治療応答を示した。
本明細書の実施例は、骨関節炎によって例示される炎症障害を治療するための性別一致ドナー細胞の使用は、疼痛を治療するのに有利であることを示唆する。
(実施例7)
ウマにおける性別不一致細胞に対する免疫応答。
同種異系MSCの生成
10gの脂肪組織サンプルを雌ウマの尾底部から回収した。脂肪組織は生理食塩水ですすぎ、次いでハサミを使用して細かく切り刻み、20mlのダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma社)と混合した。コラゲナーゼ(Sigma社)を0.05%の最終濃度まで加え、サンプルは37℃で90分間インキュベートした。インキュベーション中、サンプルは15分毎に手作業により軽く反転させた。
コラゲナーゼ処理後、サンプルはステンレス鋼製メッシュ(700μm孔サイズ)を介して滅菌濾過し、50mlの遠心分離用チューブに移し15分間500gで遠心分離した。上澄みを廃棄し、ペレット状細胞はDMEM中に再懸濁させた。細胞を再度遠心分離しDMEM中に再懸濁させた。
細胞懸濁液を50mlのDMEM及び10%イヌ血清を含有するT175組織培養フラスコに移し、融合細胞単層が存在するまで(6日間)37℃においてCO2インキュベーター内でインキュベートした。細胞は3mlのTrypLE Express(Invitrogen社)で剥離し、2本のT175組織培養フラスコに移した。細胞は更に3回継代し、次いで剥離し、採取し、低温保存溶液中に再懸濁させ、バイアルあたり300万個の細胞で低温用バイアルに等分した。細胞は定格制御フリーザー中に凍結させ、次いで液体窒素用デュワー瓶中で保存した。
ウマ
2頭の雄ウマ、種ウマと去勢ウマ、及び1頭の健康な雌ウマに、MSCを踵関節と膝関節に注射した。いずれも何らかの明らかな障害又は疾患に罹患していない点で、3頭のウマは全て健康状態であった。MSCのバイアルを解凍し、その中身は全て膝関節に注射した。第2のバイアルは踵関節に注射した。注射は1週間間隔で5回繰り返した。
血液及び滑液を各注射の直前にウマから回収した。滑液は白血球(WBC)を計数するため獣医病理学研究室に送った。血液は凝固用チューブに回収し、血清は分析するまで凍結保存した。
臨床徴候
1頭の雄ウマ、去勢ウマが、初回注射後に踵関節でフレアを発症した。フレアは1週間後に消散した。注射に対する応答の更なる臨床徴候はなかった。
滑液の分析
各注射後の滑液由来のWBC数を図10中に示す。去勢ウマ(雄)は、両関節において正常最大範囲を大幅に超えるWBC数を有していた。種ウマ(雄)は、膝関節において正常最大範囲を大幅に超える3倍のWBC数を有していた。雌ウマは、いかなる時点でも一方の関節に正常最大範囲を超える数は有していなかった。正常最大範囲を超える数は関節内の炎症事象を示す。
血清の分析
雌MSCに対する抗体に関してウマ血清を分析した。血清はPBS及び1%イヌ血清中に希釈し、注射に使用したものと同じバッチからの雌MSCと混合した。室温で30分間のインキュベーション後、5分間5000gでの遠心分離により細胞を洗浄し、上澄みは廃棄した。細胞はPBS及び1%イヌ血清中に再懸濁させ、再度遠心分離した。上澄みは廃棄し、細胞はPBS及び1%イヌ血清中に再懸濁させた。抗ウマFITC標識抗体(Sigma Chemical Company社)を細胞に加えて、室温で60分間インキュベートした。次いでサンプルをフローサイトメトリーにより分析し、細胞の蛍光強度を記録した。染色と分析は3回繰り返した。
これらの結果は図11中に示す。ヒストグラムは、2000細胞の3回反復分析からの細胞の平均蛍光強度を表す。エラーバーは標準偏差を表す。
雄ウマは、治療前と治療後血清サンプルの間で、染色細胞の蛍光の大幅な増大を示した。これは、細胞に反応性がある抗体の増加を反映する。雌ウマは、細胞に対する抗体の同様の増加は示さなかった。
雌MSCと雄MSCの両方に対する抗体に関して血清を更に分析した。血清は前に記載したように分析したが、雄及び雌脂肪組織由来ウマMSCの両方と反応させた。細胞はフローサイトメトリーにより分析し、注射前サンプルと注射後サンプルを比較した。結果は図12中に注射後の抗体応答の増大倍率として示す。1を超える結果は、5回の雌細胞の注射後の抗体応答の増大を示す。
2頭の雄ウマが、雌細胞に対して2倍を超える抗体応答の増大、及び雄細胞に対して低度の抗体応答の増大を示した。雌ウマは、雌細胞又は雄細胞のいずれに対しても抗体応答の増大を示さなかった。これは、雄ウマが雌細胞に特異的な数種の抗体を産生することを示唆し得る。
(実施例8)
雌ウマにおける雄細胞に対する免疫応答。
1頭の雌ウマに、実施例7に記載したように調製した雄脂肪組織由来細胞を、1踵関節と1膝関節に注射した。注射は週に1回5週間反復した。関節発赤、滲出及び跛行に関してウマをモニタリングした。
2回目の注射後、踵関節と膝関節は滲出と跛行の徴候を示した。
(実施例9)
雌ウマにおいて雌細胞に対する免疫応答はない。
9頭の雌ウマに、実施例7に記載したように調製した雌細胞を、1踵関節と1膝関節に注射した。注射は週に1回5週間反復した。関節発赤、滲出及び跛行に関してウマをモニタリングした。9頭のウマはいずれも関節発赤を発症せず、いかなる関節滲出又は跛行も示さなかった。
これらの結果は、実施例8に記載したように雄細胞を雌ウマに注射したときに観察した応答と明らかに異なる。性別不一致細胞の注射が炎症応答を引き起こし、一方で性別一致細胞の注射は炎症応答を引き起こさないことは明らかである。
(実施例10)
性別一致細胞を用いた心臓疾患の治療
細胞の調製
骨髄(20ml)を雄ウマと雌ウマの胸骨から回収し、10mMのEDTAと混合した。核状細胞はFicolを用いて密度勾配遠心分離法により精製した。培養培地中で使用した血清が10%ウシ胎仔血清であったこと以外、核状細胞は実施例1と同様に培養した。細胞は7日後に融合状態になり3回継代した。細胞は実施例1に記載したように採取し凍結保存した。
ウマの治療
心室性期外収縮(VPC)がある2頭の雄ウマと2頭の雌ウマ、及び身体運動によって生じた低グレードの心房細動がある1頭の雌ウマに、性別一致細胞を静脈内注射した。
治療の結果
0~5のスケールでのVPC症例。症例1-雌:2/5~1/5に1グレード改善。症例2-雌:応答なし、1/5残存。症例3-雄:3/5~2/5に1グレード改善。症例4-雄:3/5~1/5に2グレード改善。低グレードの心房細動があった雌ウマはいかなる変化も示さなかった。

Claims (54)

  1. 対象における炎症障害を治療するための方法であって、前記方法が、前記対象の性別を同定する工程、前記対象と同性の1個体又は複数個体由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  2. 対象における炎症障害を治療するための方法であって、前記方法が、前記対象の性別を同定する工程、前記対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物由来の細胞分泌物を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞分泌物組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  3. 前記細胞が、間葉系幹細胞(MSC)である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記炎症障害が、関節炎又は骨関節炎等の関節関連炎症障害である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記対象が、雌である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記対象が、雄である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記MSCが、前記対象と同種異系である、請求項3に記載の方法。
  8. 前記医薬組成物が、均質なMSCの組成物を含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記MSCが、培養増殖細胞である、請求項3に記載の方法。
  10. 前記MSCが、脂肪組織、骨髄、胎盤、血液、又は臍帯血に由来する、請求項3に記載の方法。
  11. 前記MSCが、同種及び同性の複数のドナー動物に由来する、請求項3に記載の方法。
  12. 前記MSCが、去勢済みドナー動物に由来する、請求項3に記載の方法。
  13. 前記去勢ドナー動物が、雌イヌである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記対象が、ヒト対象である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記対象が、好ましくはヒツジ類、ウシ類、ウマ類、ブタ類、ネコ類、イヌ類、霊長類及びげっ歯類からなる群から選択される、非ヒト動物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記非ヒト対象が、イヌである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記対象が、去勢済み非ヒト雌動物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記対象が、去勢済み非ヒト雄動物である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記対象が、治療有効量の、細胞分泌物を含む医薬組成物を投与される、請求項1に記載の方法。
  20. 前記細胞分泌物が、レシピエント対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物に由来する、請求項19に記載の方法。
  21. 前記細胞及び前記細胞分泌物が、一医薬組成物中に一緒に存在する、請求項19又は20に記載の方法。
  22. 前記対象が、治療有効量の、性別一致の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物を投与される、請求項2に記載の方法。
  23. 前記細胞が、間葉系幹細胞(MSC)である、請求項19から22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 別々の容器内に、(i)雌ドナー動物由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物、及び(ii)雄ドナー動物由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物を含むキット。
  25. 別々の容器内に、(i)1頭又は複数頭の雌ドナー動物由来の細胞の細胞培養物からの細胞分泌物を含む医薬組成物、及び(ii)1頭又は複数頭の雄ドナー動物由来の細胞の細胞培養物からの細胞分泌物を含む医薬組成物を含むキット。
  26. 前記キットが、炎症障害を有する対象への幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物の性別一致投与に関する説明書を更に含む、請求項24に記載のキット。
  27. 前記キットが、炎症障害を有する対象への細胞分泌物を含む医薬組成物の性別一致投与に関する説明書を更に含む、請求項25に記載のキット。
  28. 前記炎症障害が、関節炎又は骨関節炎等の関節関連炎症障害である、請求項24から27のいずれか一項に記載のキット。
  29. 前記細胞が、間葉系幹細胞(MSC)である、請求項24から28のいずれか一項に記載のキット。
  30. 前記医薬組成物が、MSCの低温保存医薬組成物である、請求項24に記載のキット。
  31. 前記医薬組成物が、均質なMSCの組成物を含む、請求項24に記載のキット。
  32. 前記MSCが、培養増殖細胞である、請求項29から31のいずれか一項に記載のキット。
  33. 前記MSCが、脂肪組織、骨髄、胎盤、血液、臍帯組織又は臍帯血に由来する、請求項29から32のいずれか一項に記載のキット。
  34. 雌ドナー動物由来のMSCと雄ドナー動物由来のMSCとが、同種の動物のものである、請求項29から33のいずれか一項に記載のキット。
  35. 組成物中のMSCが、同種及び同性の複数のドナー動物に由来する、請求項29から34のいずれか一項に記載のキット。
  36. 前記MSCが、去勢済みドナー動物に由来する、請求項29から35のいずれか一項に記載のキット。
  37. 前記去勢ドナー動物が、雌イヌである、請求項29から36のいずれか一項に記載のキット。
  38. 前記ドナー動物が、ヒトである、請求項24から36のいずれか一項に記載のキット。
  39. 前記ドナー動物が、非ヒト動物である、請求項24から36のいずれか一項に記載のキット。
  40. 前記非ヒトドナー動物が、ヒツジ類、ウシ類、ウマ類、ブタ類、ネコ類、イヌ類、霊長類及びげっ歯類からなる群から選択される、請求項39に記載のキット。
  41. 前記非ヒトドナー動物が、イヌである、請求項40に記載のキット。
  42. 幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物の1つ又は複数が、細胞分泌物を更に含む、請求項24に記載のキット。
  43. 前記キットが、細胞分泌物を含む医薬組成物を更に含む、請求項24に記載のキット。
  44. 前記細胞分泌物が、レシピエント対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物に由来する、請求項42又は43に記載のキット。
  45. 前記細胞分泌物及び前記幹細胞又は前駆細胞が、一医薬組成物中に一緒に存在する、請求項42に記載のキット。
  46. 医薬組成物中に一緒に存在する前記細胞分泌物及び前記幹細胞又は前駆細胞が、同性の1つ又は複数のドナーに由来する、請求項45に記載のキット。
  47. 前記幹細胞が、MSCである、請求項42から46のいずれか一項に記載のキット。
  48. 対象における骨関節炎と関連した疼痛を治療するための方法であって、前記方法が、前記対象の性別を同定する工程、前記対象と同性の1個体又は複数個体由来の間葉系幹細胞(MSC)を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  49. 性別不一致MSCを投与した対象における有害な免疫応答を低減するための方法であって、前記方法が、(i)1つ又は複数の免疫抑制薬及び/又は(ii)幹細胞の細胞培養物由来の馴化培地を前記対象に投与する工程(i)を含む、方法。
  50. 前記対象が、雄である、請求項39に記載の方法。
  51. 対象における炎症障害と関連した疼痛を治療するための方法であって、前記方法が、前記対象の性別を同定する工程、前記対象と同性の1個体又は複数個体由来の幹細胞又は前駆細胞を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  52. 対象における炎症障害と関連した疼痛を治療するための方法であって、前記方法が、前記対象の性別を同定する工程、前記対象と同性の1個体又は複数個体由来の細胞の細胞培養物由来の細胞分泌物を含む医薬組成物を選択する工程、及び治療有効量の選択した性別一致の細胞分泌物組成物を前記対象に投与する工程を含む、方法。
  53. 性別不一致幹細胞若しくは前駆細胞又はこれらの細胞の培養物由来の細胞分泌物を投与した対象における有害な免疫応答を低減するための方法であって、前記方法が、(i)1つ又は複数の免疫抑制薬及び/又は(ii)幹細胞の細胞培養物由来の馴化培地を前記対象に投与する工程(i)を含む、方法。一実施形態では、前記対象は、雄動物である。
  54. 前記方法が、非自己法である、請求項1から23及び48から53のいずれか一項に記載の方法。
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