JP2022061537A - 平版印刷インキ組成物及び印刷物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い不可視性を有し、近赤外線吸収能に優れ、分散性が高く、耐光性、耐擦過性などの各種塗膜耐性に優れ、ロングラン印刷適性を有する平版印刷インキ組成物を提供する。【解決手段】下記の式で例示される近赤外吸収剤(A)を0.05~10質量%と、ロジン変性フェノール樹脂(B)を15~45質量%と、植物油(C)を10~45質量%とを含む、平版印刷インキ組成物。TIFF2022061537000026.tif51170【選択図】なし

Description

本発明は、平版印刷インキ組成物、及びその印刷物に関する。
従来、証明書等の印刷物には、改ざん、偽造防止のため様々な機能が施されている。例えば肉眼では識別できないような情報パターンを印刷し、特定の操作によってのみ当該情報パターンの識別を可能とする方法があり、このような機能を発現させるため、液晶、導電性物質、磁性物質等が使用されている。しかし、これらの材料は着色性を有するために肉眼での識別を不可能にする効果が不十分であることや、使用中に印刷物の層が剥離、損傷しやすいこと、照合の操作が容易にはできないことなどから、必ずしも満足できる方法ではなかった。
一方で近年、比較的容易に照合できる方法として、赤外線を利用した方法が、バーコード印刷等に利用されるようになってきた。具体的には、カーボンブラックなどの赤外線吸収剤を含む印刷インキで情報パターンを印刷し、赤外線読み取り装置により当該情報パターンの有無を読み取ることで、真偽を判定する方法である。しかし、カーボンブラックは可視光領域の光も吸収してしまうため、情報パターンの有無が目視で判別できてしまい、情報パターンを印刷しても、肉眼で容易に識別できてしまう。
赤外線読み取り用情報パターンを印刷するための印刷インキでは、情報の不可視性の観点から、400~700nmの可視光領域における吸収が小さく、一方で、人間の眼では視認できない750~1000nmの近赤外線領域に吸収を有することが求められる。また、経時変化による不可視情報の読み取り精度の低下を防止するため、耐光性、耐擦過性などの各種耐性も必要となる。
750nm~1000nmの近赤外領域に吸収を有する色素として、フタロシアニン色素、シアニン色素、ジイモニウム色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素などが知られている。これらの中でも特に代表的な色素は、フタロシアニン色素及びシアニン色素である。例えば特許文献1には、特定のフタロシアニン色素とシクロヘキサノン系溶剤を含有するセキュリティインキ組成物が開示されている。しかしながら、フタロシアニン色素は、各種耐性が良好である一方、可視光領域にsoret帯と呼ばれる構造由来の吸収があるため、不可視性が劣っている。一方シアニン色素は、非常に高い不可視性を有しているが、一般に染料として溶解状態で使用される材料であることもあり、各種耐性、特に耐光性が著しく悪い。ジイモニウム色素、スクアリリウム色素、及びクロコニウム色素もシアニン色素に類似した特徴を有している。
特許文献2と特許文献3には、特定のペリミジン型スクアリリウム色素が開示されており、当該色素を粒子とし分散状態で使用することで、耐光性の向上を図っている。しかしながら、特許文献2記載のスクアリリウム色素に関しては、耐光性が不十分であり実用レベルに至っていない。また、特許文献3記載のスクアリリウム色素に関しては、耐光性は実用レベルではあるが、例えば、平版印刷インキ組成物の構成材料として使用した場合に凝集しやすく、当該スクアリリウム色素の分散性、並びに、当該スクアリリウム色素を含む平版印刷インキ組成物の粘度や経時保存安定性に課題が残っている。
また、平版印刷インキ組成物に使用する場合、ロングランでの印刷適性が必須となる。加えて、印刷物の乾燥性、光沢性、耐ブロッキング性、耐折り曲げ性、耐水性、耐溶剤性、黄変性なども必要とされ、これらが不良な場合、印刷された層の剥離や割れなどが起き、真偽の判別精度が低下する恐れがある。
特開平4-320466号公報 特開2009―91517号公報 特開2009-209297号公報
本発明の目的は、高い不可視性を有する、すなわち可視光領域(400nm~750nm)に吸収が少なく、近赤外線吸収能に優れ、分散性が高く、耐光性、耐擦過性などの各種塗膜耐性に優れ、更には、ロングラン印刷適性を有する平版印刷インキ組成物を提供することである。
本発明者らが、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すインキにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、下記一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)、バインダー樹脂、及び、植物油(C)を含有する平版印刷インキ組成物であって、
前記近赤外吸収剤(A)の含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中0.05~10質量%であり、
前記バインダー樹脂がロジン変性フェノール樹脂(B)を含み、その含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中15~45質量%であり、
前記植物油(C)の含有量が、前記平版インキ組成物全量に対して10~45質量%である、平版印刷インキ組成物に関する。
一般式(1)
Figure 2022061537000001
上記一般式(1)中、
1、Q4、Q5及びQ8は、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子を表す。Q1、Q4、Q5及びQ8が窒素原子の場合、それぞれ、X1、X4、X5及びX8はないものとする。
1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基、-SO3 -+またはハロゲン原子を表す。M+は無機または有機のカチオンを表す。
1~X8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、-NR67、スルホ基、-SO2NR89、-COOR10、-CONR1112、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。X1~X8は、互いに結合して環を形成してもよい。
6~R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基または置換基を有してもよいピリジニル基を表す。R6とR7、R8とR9、R11とR12は、互いに結合して環を形成してもよい。
また本発明は、前記ロジン変性フェノール樹脂(B)の含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中20~30質量%である、上記平版印刷インキ組成物に関する。
また本発明は、前記植物油(C)が、ヨウ素価が60~120mg/100mgである植物油を含む、上記平版印刷インキ組成物に関する。
また本発明は、前記一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中0.15~1.5質量%である、上記平版印刷インキ組成物に関する。
また本発明は、上記平版印刷インキ組成物が、基材に印刷された印刷物に関する。
本発明によって、高い不可視性を有する、すなわち可視光領域(400nm~750nm)に吸収が少なく、近赤外線吸収能に優れ、分散性が高く、耐光性、耐擦過性、などの各種塗膜耐性に優れ、更には、ロングラン印刷適性を有する平版印刷インキ組成物を提供することができた。
以下に、本発明の平版印刷インキ組成物について詳細に説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される変形例も含まれる。また、特に断りのない限り、「部」「%」は、「質量部」「質量%」を表す。
上述した通り、本発明の平版印刷インキ組成物(以下、単に「平版インキ」「インキ」ともいう)では、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)、ロジン変性フェノール樹脂(B)、及び、植物油(C)を併用することで、不可視性、近赤外吸収能、分散性、耐光性、耐擦過性を付与した印刷物を得ることができ、更に当該平版印刷インキ組成物に対し、高いロングラン印刷適性を付与できる。以下に、上記構成の平版インキによって、本発明の課題が解決できる原理について説明する。なお以下は推論であり、何ら本発明を限定するものではない。
[近赤外吸収剤(A)]
まず、本発明で用いる、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)について詳しく説明する。
一般式(1)
Figure 2022061537000002
一般式(1)中、Q1、Q4、Q5及びQ8は、それぞれ独立に、炭素原子、または窒素原子を表す。ただしQ1、Q4、Q5及びQ8が窒素原子の場合、それぞれ、X1、X4、X5及びX8はないものとする。また、R1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基、-SO3 -+またはハロゲン原子を表す(ただし、M+は無機または有機のカチオンを表す)。 また、X1~X8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、-NR67、スルホ基、-SO2NR89、-COOR10、-CONR1112、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表し、X1~X8は、互いに結合して環を形成してもよい。また、R6~R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基または置換基を有してもよいピリジニル基を表し、R6とR7、R8とR9、R11とR12は、互いに結合して環を形成してもよい。
1、Q4、Q5及びQ8としては、炭素原子であることがより好ましい。
1~R5が-SO3 -+である場合、当該M+として公知のものが制限なく採用できる。また、M+が有機のカチオンである場合、例えば、金属原子、アンモニウム基を有する化合物、ホスホニウム基を有する化合物、スルホニウム基を有する化合物、ピリジニウム化合物、イミダゾリウム化合物等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの中でも金属原子(特に3価の金属原子)、アンモニウム基を有する化合物が、各種耐性付与の観点で好ましい。
1~R5は、各種耐性付与の観点から、全て水素原子であるか、もしくは、R1~R5のうち4つが水素原子であり、残り1つがスルホ基、-SO3 -+、またはハロゲン原子のいずれかであることが好ましい。これらの中でも、R1~R5が全て水素原子であるか、もしくは、R1~R5のうち4つが水素原子であり、残り1つがスルホ基、またはハロゲン原子であることが特に好ましい。
1~X8において「置換基を有してもよいアルキル基」として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、tert-アミル基、2-エチルヘキシル基、ステアリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-メトキシエチル基、2-クロロエチル基、2-ニトロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または、ジメチルシクロヘキシル基等を挙げることができる。これらの中でもメチル基、または、エチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
また、X1~X8において「置換基を有してもよいアルケニル基」として、ビニル基、1-プロペニル基、アリル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、イソプロペニル基、イソブテニル基、1-ペンテニル基、2-ペンテニル基、3-ペンテニル基、4-ペンテニル基、1-ヘキセニル基、2-ヘキセニル基、3-ヘキセニル基、4-ヘキセニル基、または、5-ヘキセニル基等を挙げることができる。これらの中でもビニル基、または、アリル基が、合成難易度の観点で好ましい。
また、X1~X8において「置換基を有してもよいアラルキル基」として、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基、または、ナフチルメチル基等を挙げることができる。これらの中でもベンジル基が、合成難易度の観点で好ましい。
また、X1~X8において「置換基を有してもアルコキシ基」として、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、n-オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、トリフルオロメトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ステアリルオキシ基、または、2-(ジエチルアミノ)エトキシ基等を挙げることができる。これらの中でもメトキシ基、エトキシ基、トリフルオロメトキシ基、または、2-(ジエチルアミノ)エトキシ基が、合成難易度の観点で好ましい。
また、X1~X8において「置換基を有してもよいアリールオキシ基」として、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、4-メチルフェニルオキシ基、3,5-クロロフェニルオキシ基、4-クロロ-2-メチルフェニルオキシ基、4-tert- ブチルフェニルオキシ基、4-メトキシフェニルオキシ基、4-ジエチルアミノフェニルオキシ基、または、4-ニトロフェニルオキシ基等を挙げることができる。これらの中でもフェノキシ基、または、ナフチルオキシ基が、合成難易度の観点で好ましい。
なお上記の通り、X1~X8は、互いに結合して環を形成してもよい。形成される環構造の例として以下の構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2022061537000003
分散性、保存安定性及び合成難易度の観点から、X1~X8は、全て水素原子であることが特に好ましい。
6~R12において「置換基を有してもよいアルキル基」として、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、イソブチル基、secブチル基、tert-アミル基、2-エチルヘキシル基、ステアリル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、2-メトキシエチル基、2-クロロエチル基、2-ニトロエチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または、ジメチルシクロヘキシル基等を挙げることができる。これらの中でもメチル基、または、エチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
また、R6~R12において「置換基を有してもよいアリール基」として、フェニル基、ナフチル基、4-メチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4-ブロモフェニル基、2-メトキシフェニル基、4-ジエチルアミノフェニル基、3-ニトロフェニル基、または、4-シアノフェニル基等を挙げることができる。これらの中でもフェニル基、または、4-メチルフェニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
また、R6~R12において「置換基を有してもよいアシル基」として、アセチル基、プロピオイル基、ベンゾイル基、アクリリル基、または、トリフルオロアセチル基等を挙げることができる。これらの中でもアセチル基が、合成難易度の観点で好ましい。
また、R6~R12において「置換基を有してもよいピリジニル基」として、2-ピリジニル基、3-ピリジニル基、4-ピリジニル基、または、2-メチル-4-ピリジニル基等を挙げることができる。これらの中でも4-ピリジニル基が、合成難易度の観点で好ましい。
一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)は、1種単独で用いてもよいし、必要に応じ、任意の比率で、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)を2種以上組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の含有量は、平版インキ組成物の総質量に対して0.05~10質量%であり、より好ましくは0.1~5質量%であり、特に好ましくは0.15~1.5質量%である。近赤外吸収剤(A)の含有量を上記範囲内に収めることで、不可視性を損なうことなく近赤外吸収性を維持することが可能となる。また、0.05質量%以上とすることで、近赤外領域の吸収が明瞭なものとなり、耐光性も良化する。更に、10質量%以下とすることで、近赤外吸収剤(A)の分散性が高まり、不可視性を維持したままロングラン印刷適性が良化し、更には、印刷物の耐擦過性も良化する。
また、本発明の効果が低下しない範囲で、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)以外の近赤外吸収剤(以下、「その他近赤外吸収剤」とも呼ぶ)を含有してもよい。本発明に用いることができる、上記その他近赤外吸収剤として、フタロシアニン色素、シアニン色素、ジイモニウム色素、スクアリリウム色素、クロコニウム色素などが挙げられる。
[バインダー樹脂]
本発明の平版インキは、バインダー樹脂としてロジン変性フェノール樹脂(B)を含有する。
一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)は、不可視性、近赤外吸収性、及び耐光性に優れているが、分散性が悪く、また、当該近赤外吸収剤(A)を含む平版インキのロングラン印刷適性も良好とはいえなかった。そこで本発明では、更にロジン変性フェノール樹脂(B)を使用することで、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の分散性を補助し、また印刷時におけるパイリングを抑制し、地汚れや着肉性を向上させることで、ロングラン印刷適性を高めている。更には、種々の基材に対して優れた乾燥性や耐擦過性を得ることができる点からも、ロジン変性フェノール樹脂(B)は必須の材料である。
ロジン変性フェノール樹脂(B)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算値で、1,000~100,000の範囲であることが好ましい。より好ましくは、2,000~70,000の範囲である。1,000以上であると、インキの粘弾性が好適となり、印刷時の汚れ発生が抑制できるため、ロングラン印刷適性が向上する。また、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の分散性も良化する。更に100,000以下であると、インキ転移性が好適となり、ロングラン印刷適性が向上する。
なお上記重量平均分子量は、JIS K 7252に基づいて測定できる。その際、溶媒として、例えばテトラヒドロフランを使用する。
ロジン変性フェノール樹脂(B)の酸価は、5~35mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは10~30mgKOH/gである。酸価を前記範囲内とすることで、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の分散性が良化するとともに、インキにしたときの乳化適性が好適となり、ロングラン印刷適性が向上する。
なお上記酸価は、ロジン変性フェノール樹脂1gを中和するのに要する水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に基づいて測定できる。
本発明の平版インキは、バインダー樹脂としてロジン変性フェノール樹脂(B)を含むが、更に、石油樹脂、アルキド樹脂、ロジンエステル樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、あるいはこれらの樹脂の変性物から選ばれる1種、もしくは、2種以上を併用してもよい。特に、ロジン変性フェノール樹脂(B)以外の樹脂を併用する場合、アルキド樹脂が好ましく使用できる。
上記アルキド樹脂として、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよいが、どちらの場合についても、インキしまりを抑制し、ロングラン印刷適性を向上させる観点から、水酸基価が10~60mgKOH/gであり、酸価が6~65mgKOH/gであるものを使用することが好ましい。なお前記水酸基価は18~40mgKOH/gであることがより好ましく、20~35mgKOH/gであることが特に好ましい。また前記酸価は8~40mgKOH/gであることがより好ましく、10~25mgKOH/gであることが特に好ましい。
なお、上記水酸基価はJIS K 0070に基づいて測定でき、酸価は、ロジン変性フェノール樹脂(B)の場合と同様にして測定できる。
平版インキの総質量に対するロジン変性フェノール樹脂(B)の含有量は、15~45質量%の範囲であり、より好ましくは15~35質量%の範囲であり、更に好ましくは20~30質量%の範囲である。ロジン変性フェノール樹脂(B)の含有量を上記範囲内に収めることで、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の分散性が好適なものとなる。また、15質量%以上45質量%以下とすることで、インキの乳化特性が好適なものとなり、パイリングが抑制され、地汚れや着肉性が良化することで、安定的にロングラン印刷が可能となる。
また、上記と同様の理由により、平版インキの総質量に対するバインダー樹脂の総含有量は、15~50質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは20~45質量%の範囲であり、更に好ましくは25~35質量%の範囲である。
[植物油(C)]
上述の通り、本発明の平版インキは植物油(C)を含む。本発明において「植物油」とは、グリセリンと脂肪酸とのエステル化反応物であるトリグリセライド、ならびに、その部分エステル交換反応により得られるモノグリセライド及びジグリセライドを表す。
グリセリンと結合し、植物油(C)を構成する脂肪酸の具体例として、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸等の一価不飽和脂肪酸、リノール酸、γリノール酸、αリノレン酸等の多価不飽和脂肪酸等が例示されるが、上記に限定されるものではない。
植物油(C)の含有量は、平版インキ全量に対して10~45質量%であり、より好ましくは15~40質量%であり、更に好ましくは20~35質量%である。植物油(C)の含有量を上記範囲に収めることで、塗膜乾燥後の耐擦過性が向上する。また、15質量%以上とすることで、インキの浸透性及びレベリング性が向上し、印刷物の光沢性が向上する。更に45質量%以下とすることで、乳化特性が好適なものとなり、着肉性が向上するとともに、印刷物の地汚れが低減する。
本発明で用いられる植物油(C)のヨウ素価に限定はないが、50~160mg/100mgの範囲内であるものを使用することが好ましく、60~120mg/100mgの範囲内であるものを使用することが更に好ましい。ヨウ素価を上記範囲に収めることで、インキの乾燥性が向上する。また、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の分散性に悪影響を及ぼすことがない。更には、印刷機上でのインキの安定性も確保でき、ロングラン印刷適性が向上する。
特に好ましくは、植物油(C)として、ヨウ素価が60~120mg/100mgの範囲内である植物油と、ヨウ素価が150mg/100mg以上である植物油とを併用することである。このような併用により、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の分散性や平版インキのロングラン印刷適性を好適に維持したまま、塗膜を強固にすることができ、印刷物の耐擦過性も好適なものとなる。
なおその場合、インキの乾燥性、近赤外吸収剤(A)の分散性、及び、ロングラン印刷適性の全てが両立できる観点から、上記ヨウ素価が60~120mg/100mgの範囲内である植物油の配合量をWV1、上記ヨウ素価が150mg/100mg以上である植物油の配合量をWV2としたとき、WV1≧WV2とすることが好ましく、WV1/WV2≧5とすることが特に好ましい。
なおヨウ素価は、基準油脂分析試験法(社団法人日本油化学会)の2.3.4.1-1996(ウィイス-シクロヘキサン法)により測定される値である。具体的には、対象となる植物油0.15gをシクロヘキサン10mlに溶解させたのち、ウィイス液25mlを加え、フラスコを常温、暗所にて約1時間放置する。その後、0.1mol/lのチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定し、終点に到達するまでに滴下した前記チオ硫酸ナトリウム標準液の量から、ヨウ素価を算出する。
前記植物油として、パーム油、ニーム油、サンフラワー油、椿油、ひまし油、米ぬか油(米油)、大豆油、カポック油、ケシ油、ゴマ油、大風子油、トウモロコシ油、ニガー油、ヘントウ油、綿実油、落花生油、柚子油、桐油等が例示されるが、上記に限定されるものではない。上述した通り、上記の中でもヨウ素価が50~160mg/100mgであるものが好ましく選定され、その中でも、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)との相性、耐擦過性、及びロングラン印刷適性の観点から、米ぬか油(米油)、大豆油、桐油から選択される1種以上が更に好ましく選定される。またそれらの中でも、ヨウ素価が60~120mg/100mgの範囲内である米ぬか油が特に好ましく選定される。
なお、前記植物油として、飲食物の製造などに使用された後の植物油に再生処理を施したもの(以下、「再生植物油」ともいう)を用いることもできる。本発明では、前記植物油が再生植物油を含むことが好ましい。その理由として、前記再生処理の条件を調整することにより、人為的かつ容易に、ヨウ素価を上記の好適な範囲に収められることや、再生植物油の含水率を低減させることで、水分とともに含まれ、印刷機上でのインキの安定性やロングラン印刷適性に悪影響を与える不純物を除去できることが挙げられる。なお、再生植物油の含水率は0.3質量%以下とすることが好ましい。
[植物油エステル]
本発明における平版インキは、植物油エステルを含むことが好ましい。なお、本発明における「植物油エステル」とは、上述した植物油の部分エステル交換反応により得られる、脂肪酸エステルを指す。
本発明では、塗膜強度を高め耐擦過性に優れた印刷物が得られるうえ、地汚れの発生及び着肉性不良も抑えられる観点から、平版インキが植物油エステルを含む場合、その配合量は5~15質量%であることが好ましい。また同様の観点から、植物油(C)の配合量と植物油エステルの配合量との総量が、20~55質量%であることが好ましく、30~45質量%であることが特に好ましい。
[体質顔料]
本発明における平版インキは、体質顔料を含有することが好ましい。体質顔料を含有することで、一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の分散性に悪影響を及ぼすことなく、インキの流動性改善によるロングラン印刷適性の向上や、塗膜強度(耐擦過性)の向上が実現できる。
上記体質顔料としては、特に制限なく、従来既知のものを用いることができる。具体的には、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、カオリンなどが挙げられる。中でも、炭酸カルシウム、タルク、シリカが好ましい。
[石油系溶剤]
本発明の平版インキは、石油系溶剤を含んでもよい。前記石油系溶剤として、芳香族炭化水素の含有量が1%以下であり、アニリン点が60~130℃(好ましくは80~100℃)であり、1気圧下における沸点が240~400℃(好ましくは270~350℃)である石油系溶剤が好適に使用できる。本発明における石油系溶剤の配合量は、本発明の効果を阻害することなく、印刷物の光沢性、乾燥性、耐擦過性等が確保できる量とすることが好ましい。具体的には、平版インキ全量に対し、20質量%以下とすることが好ましく、より好ましくは10質量%以下である。
[ゲル化剤]
また、本発明の平版インキはゲル化剤を含んでもよい。前記ゲル化剤の具体例として、アルミニウムキレート化合物、金属石鹸、アルカノールアミン等が挙げられ、その配合量は、平版インキ全量に対して1質量%以下とすることが好ましい。
[その他添加剤]
更に、本発明の平版インキには、上述した成分以外にも、既知の乳化剤、乳化抑制剤、耐擦過剤、裏移り防止剤、乾燥促進剤、酸化防止剤などの添加剤(本明細書では、総称して「その他添加剤」とも呼ぶ)を、適宜用いることができる。その配合量の総量は、平版インキ全量に対して10質量%以下とすることが好ましい。
特に、ロングラン印刷適性が特段に向上する観点から、上記その他添加剤として、少なくとも乳化抑制剤を使用することが好適である。上記乳化抑制剤として使用できる材料には特に制限はなく、従来既知のものを任意に用いることができるが、1価アルコールを使用することが特に好ましい。1価アルコールの具体例として、オクタノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール等が挙げられ、中でも、トリデカノールが好ましく使用できる。
基材としては、特に制限なく、従来既知のものを用いることができる。具体的には、アート紙、コート紙、キャスト紙などの塗工紙や上質紙、中質紙、新聞用紙などの非塗工紙、ユポ紙などの合成紙、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、OPP(2軸延伸ポリプロピレン)のようなプラスチックフィルムが挙げられる。例えばコート紙のような一般的な印刷用紙を用いることで、本発明の効果が好適に発現した印刷物を得ることができる。
本発明の平版インキは、ヒートセット型、酸化重合型、浸透乾燥型のいずれの乾燥方式に対しても、好適に利用することができる。中でも本発明の平版インキは、植物油(C)を一定量含むため、特に、酸化重合型の乾燥方式を有するオフセット印刷において、好適に使用できる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」及び「%」とは「質量部」及び「質量%」をそれぞれ表す。
[近赤外吸収剤[A-1]の製造方法]
トルエン400部に、1,8-ジアミノナフタレン40.0部、9-フルオレノン46.0部、p-トルエンスルホン酸一水和物0.087部を混合したのち、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、3時間還流させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により系中から除去した。反応終了後、トルエンを蒸留して得られた暗茶色固体をアセトンで抽出し、アセトンとエタノールの混合溶媒から再結晶することにより精製した。得られた茶色固体を、トルエン240部とn-ブタノール160部の混合溶媒に溶解させ、3,4-ジヒドロキシ-3-シクロブテン-1,2-ジオン13.8部を加えて、窒素ガスの雰囲気中で加熱撹拌し、8時間還流反応させた。反応中に生成した水は共沸蒸留により系中から除去した。反応終了後、溶媒を蒸留し、得られた反応混合物を撹拌しながら、ヘキサン200部を加えた。得られた黒茶色沈殿物を濾別した後、順次ヘキサン、エタノール及びアセトンで洗浄を行い、減圧下で乾燥させ、近赤外吸収剤[A-1]84.6部(収率:97%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-1]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-1]
Figure 2022061537000004
[近赤外吸収剤[A-2]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2-メチル-9-フルオレノン49.6部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-2]86.7部(収率:96%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-2]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-2]
Figure 2022061537000005
[近赤外吸収剤[A-3]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、1,8-ジメチル-9-フルオレノン53.2部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-3]88.2部(収率:94%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-3]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-3]
Figure 2022061537000006
[近赤外吸収剤[A-4]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2-フェニル-9-フルオレノン65.5部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-4]96.6部(収率:91%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-4]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-4]
Figure 2022061537000007
[近赤外吸収剤[A-5]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2,3-ジメトキシ-9-フルオレノン61.4部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-5]93.4部(収率:92%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-5]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-5]
Figure 2022061537000008
[近赤外吸収剤[A-6]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2-アミノ-9-フルオレノン49.9部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-6]86.8部(収率:96%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-6]であることを同定した。
近赤外吸収剤化合物[A-6]
Figure 2022061537000009
[近赤外吸収剤[A-7]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2-アミノ-7-ブロモ-9-フルオレノン70.0部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-7]102.4部(収率:93%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-7]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-7]
Figure 2022061537000010
[近赤外吸収剤[A-8]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、9-オキソ-9H-フルオレン-2-スルホン酸66.5部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-8]97.3部(収率:91%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-8]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-8]
Figure 2022061537000011
[近赤外吸収剤[A-9]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、2-フルオロ-9-フルオレノン50.6部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-9]85.9部(収率:94%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-9]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-9]
Figure 2022061537000012
[近赤外吸収剤[A-10]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、4-アザ-9-フルオレノン46.3部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-10]82.1部(収率:94%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-10]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-10]
Figure 2022061537000013
[近赤外吸収剤[A-11]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した9-フルオレノン46.0部の代わりに、4,5-ジアザフルオレン-9-オン46.5部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-11]80.2部(収率:91%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-11]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-11]
Figure 2022061537000014
[近赤外吸収剤[A-12]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した1,8-ジアミノナフタレン40.0部の代わりに、4,5-ジアミノナフタレン-1-スルホン酸60.2部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-12]99.8部(収率:94%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-12]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-12]
Figure 2022061537000015
[近赤外吸収剤[A-13]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した1,8-ジアミノナフタレン40.0部の代わりに、1,8-ジアミノ-3,6-ジクロロナフタレン57.4部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-13]97.4部(収率:94%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-13]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-13]
Figure 2022061537000016
[近赤外吸収剤[A-14]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-1]の製造で使用した1,8-ジアミノナフタレン40.0部の代わりに、1,8-ジアミノ-4-ブロモナフタレン59.9部を使用した以外は、近赤外吸収剤[A-1]の製造と同様の操作を行い、近赤外吸収剤[A-14]101.7部(収率:96%)を得た。TOF-MSによる質量分析及び元素分析の結果、近赤外吸収剤[A-14]であることを同定した。
近赤外吸収剤[A-14]
Figure 2022061537000017
[近赤外吸収剤[A-15]の製造方法]
近赤外吸収剤[A-11]20.0部を、水300部に加えて撹拌し再分散した後、26%アンモニア水を用いてpH7.0に調整して溶解させた。この溶液中に8%テトラブチルアンモニウムブロミド水溶液192.6部を徐々に添加した。滴下した箇所から析出物が次々に現れ、添加とともに徐々にpHが低下した。添加終了後にはブリードは見られなかった。スラリーから析出物を濾別した後、水洗して、80℃で乾燥し、近赤外吸収剤[A-15]30.7部(収率:99%)を得た。
[近赤外吸収剤[B-1]の製造]
特開2009-91517号公報に準拠して、下記の近赤外吸収剤[B-1]を合成した。
近赤外吸収剤[B-1]
Figure 2022061537000018
[近赤外吸収剤[B-2]の製造]
特開2009-209297号公報に準拠して、下記の近赤外吸収剤[B-2]を合成した。
近赤外吸収剤[B-2]
Figure 2022061537000019
[平版インキの製造方法]
(実施例1)
ロジン変性フェノール樹脂(ハリマ化成グループ社製ハリフェノール512)25質量部に、大豆油30質量部と、ゲル化剤(川研ファインケミカル社製ALCH)1質量部とを加え、190℃で加熱撹拌してロジン変性フェノール樹脂を溶解させた。
室温まで冷却した後、近赤外吸収剤[A-1]を1質量部と、脂肪酸ブチルエステル(東新油脂社製TOSOLV-RBP)を5質量部と、石油系溶剤(JXTGエネルギー社製AFソルベント5号)を8質量部と、その他添加剤1(金属ドライヤー(東洋インキ社製MKドライヤー)と乾燥抑制剤(東洋インキ社製乾燥抑制剤CP)と乳化抑制剤(トリデカノール)とを、3/1/1の質量比で混合したもの)を5質量部と、体質顔料(炭酸カルシウム)を25質量部とを加えて撹拌した後、3本ロールにて分散し、実施例1で使用した平版インキを得た。
(実施例2-31、比較例1-10)
表1に記載したように、使用原料及び/または添加量を変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2-31、比較例1-10で使用した平版インキを得た。
なお、特に断らない限り、表1中の数値は「質量部」を表し、空欄は配合していないことを表す。
Figure 2022061537000020
Figure 2022061537000021
Figure 2022061537000022
Figure 2022061537000023
表1中の略語は、以下の通りである。
[近赤外吸収剤(A)]
・C3051:東京化成工業株式会社製、5,9,14,18,23,27,3 2,36-オクタブトキシ-2,3-ナフタロシアニン銅(II)
・C2886:東京化成工業株式会社製、2-[2-[2-クロロ-3-[2- (1,3-ジヒドロ-1,1,3-トリメチル-2H-ベンゾ[ e]インドール-2-イリデン)エチリデン]-1-シクロヘキセン- 1-イル]エテニル]-1,1,3-トリメチル-1H-ベンゾ[ e]インドリウム4-メチルベンゼンスルホナート
・アルキド樹脂:東新油脂社製TOKYD-TY-MZ
・その他添加剤2:金属ドライヤー(東洋インキ社製MKドライヤー)と乾燥抑 制剤(東洋インキ社製乾燥抑制剤CP)とを、3/1の質量比で混合したも の
上記で製造した平版インキを使用して、以下の評価を行った。また、評価結果は表2に示した通りであった。
[分散性]
平版インキと大豆油とを、2/1の質量比でそれぞれ混合し、JIS K 5600-2-5に従って、分散粒子径測定器(グラインドメーター)で分散性を測定した。下記基準に基づいて評価を行い、4、3を、実用上問題ないレベルであるとした。
4:粒子径が5.0ミクロン以下
3:粒子径が7.5ミクロン以下
2:粒子径が10.0ミクロン以下
1:粒子径が10.0ミクロン超
[試験サンプルの作製方法]
RIテスター2分割ロールを用い、0.25mlの盛り量で、パールコートN紙(三菱製紙(株)社製コート紙)に対して平版インキを展色し、画像を印刷した。その後、24時間乾燥させ、試験サンプルとした。
[不可視性]
上記方法で作成した試験サンプルを用い、反射分光濃度計(エックスライト社製x-rite939)を使用して、CIE1976L*a*b*表色系における色差ΔEを測定し、不可視性を評価した。なお下記基準に基づいて評価を行い、4、3を、実用上問題ないレベルであるとした。
4:ΔEが10未満
3:ΔEが10以上、12.5未満
2:ΔEが12.5以上、15未満
1:ΔEが15以上
なお上記色差ΔEは、試験サンプル作製前のパールコートN紙の測色値(L0、a0、b0とする)と、当該試験サンプルの測色値(Lp、ap、bpとする)とから、下記式(2)によって求められる値である。
式(2)

ΔE=√{(L0-Lp2+(a0-ap2+(b0-bp2
[近赤外吸収能]
上記方法で作成した試験サンプルを用い、分光光度計(日立製作所社製U-4100)を使用し、750~950nmの波長領域における、試験サンプルの赤外線反射率の極小値(R0(%)とする)を測定した。そして、100-R0を計算することにより、近赤外線吸収能を評価した。なお下記基準に基づいて評価を行い、4、3を、実用上問題ないレベルであるとした。
4:(100-R0)が80以上
3:(100-R0)が77.5以上、80未満
2:(100-R0)が75以上、77.5未満
1:(100-R0)が75未満
[耐光性]
上記方法で作成した試験サンプルを、耐光性試験機(東洋精機社製「SUNTEST CPS+」)に入れ、24時間静置した。その間、放射照度47mW/cm2で、300~800nmの広帯の光を照射した。そして、耐光性試験前後の画像について、分光光度計(日立製作所社製U-4100)を使用し、750~950nmの波長領域における、試験サンプルの赤外線反射率の極小値(R(%)とする)を測定した。そして、光照射前の赤外線反射率の極小値(上記近赤外吸収能の評価におけるR0)に対する残存率を、下記式(3)によって求め、耐光性を評価した。下記基準に基づいて評価を行い、4、3を、実用上問題ないレベルであるとした。
4:残存率が95以上
3:残存率が92.5以上、95未満
2:残存率が90以上、92.5未満
1:残存率が90未満
式(3)

残存率={(100-R)÷(100-R0)}×100
[耐擦過性]
上記方法で作成した試験サンプルを用い、学振型摩擦堅牢試験機を使用して、荷重:200g、往復摩擦回数:20回、摩擦用基材:上質紙にて耐擦過試験を行い、画像部分に生じた傷を目視観察し、耐擦過性を評価した。下記基準に基づいて評価を行い、5、4、3を、実用上問題ないレベルであるとした。
5:傷の面積が、摩擦した面積に対して30%未満であり、かつ、実施例1 の耐擦過試験後の画像よりも、傷の量が少なかった
4:傷の面積が、摩擦した面積に対して30%未満であり、かつ、実施例1 の耐擦過試験後の画像と、同程度の傷の量だった
3:傷の面積が、摩擦した面積に対して30%未満であり、かつ、実施例1 の耐擦過試験後の画像よりも、傷の量が多かった
2:傷の面積が、摩擦した面積に対して30%以上50%未満であった
1:傷の面積が、摩擦した面積に対して50%以上であった
[ロングラン印刷適性]
以下に示した地汚れの評価及び着肉性の評価により、ロングラン印刷適性を評価した。
[地汚れの評価方法]
下記印刷機及び印刷条件において、水量値を20ポイントに設定し、上記で製造した平版インキを200部印刷した。印刷後、印刷物を目視で観察して汚れが見られなかった場合は、前記水量値を1ポイント下げ、再度200部印刷を行った。上記を繰り返して、印刷物に汚れが見られたときの水量値を確認した。下記基準に基づいて評価を行い、4、3、2を、実用上問題ないレベルであるとした。
4:水量値を10としても汚れが発生しなかった
3:水量値が10-12のときに汚れが発生した
2:水量値が13-15のときに汚れが発生した
1:水量値が16以上の時に汚れが発生した
[着肉性の評価方法]
下記印刷機及び印刷条件にて印刷を行い、パイリング及び白抜けの有無を確認した。下記基準に基づいて評価を行い、4、3、2を、実用上問題ないレベルであるとした。
4:パイリング及び白抜けなどはなく着肉性は良好であった
3:若干パイリングが見られたが、着肉性は許容範囲内であった
2:若干白抜けが見られたが、着肉性は許容範囲内であった
1:パイリング及び白抜けが目立ち、着肉性不良であった
<印刷条件>
印刷機 :LITHRONE26(小森コーポレーション社製)
用紙 :パールコートN紙(三菱製紙社製)
湿し水 :アクワユニティC 2.0%水道水希釈液(東洋インキ社製)
水量値 :20ポイント(ただし地汚れの評価では、上述した通りとした)
印刷速度:6000枚/時
版 :SUPERIA XP-F(富士フイルムグローバルグラフィッ クシステムズ社製)
印刷枚数:2000枚(ただし地汚れの評価では、上述した通りとした)
Figure 2022061537000024

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)、バインダー樹脂、及び、植物油(C)を含有する平版印刷インキ組成物であって、
    前記近赤外吸収剤(A)の含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中0.05~10質量%であり、
    前記バインダー樹脂が、ロジン変性フェノール樹脂(B)を含み、
    前記ロジン変性フェノール樹脂(B)の含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中15~45質量%であり、
    前記植物油(C)の含有量が、前記平版インキ組成物全量に対して10~45質量%である、平版印刷インキ組成物。
    一般式(1)
    Figure 2022061537000025
    [一般式(1)中、
    1、Q4、Q5及びQ8は、それぞれ独立に、炭素原子または窒素原子を表す。Q1、Q4、Q5及びQ8が窒素原子の場合、それぞれ、X1、X4、X5及びX8はないものとする。
    1~R5は、それぞれ独立に、水素原子、スルホ基、-SO3 -+またはハロゲン原子を表す。M+は無機または有機のカチオンを表す。
    1~X8は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、ヒドロキシル基、アミノ基、-NR67、スルホ基、-SO2NR89、-COOR10、-CONR1112、ニトロ基、シアノ基またはハロゲン原子を表す。X1~X8は、互いに結合して環を形成してもよい。
    6~R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアシル基または置換基を有してもよいピリジニル基を表す。R6とR7、R8とR9、R11とR12は、互いに結合して環を形成してもよい。]
  2. 前記ロジン変性フェノール樹脂(B)の含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中20~30質量%である、請求項1に記載の平版印刷インキ組成物。
  3. 前記植物油(C)が、ヨウ素価が60~120mg/100mgである植物油を含む、請求項1または2に記載の平版印刷インキ組成物。
  4. 前記一般式(1)で表される近赤外吸収剤(A)の含有量が、前記平版印刷インキ組成物全量中0.15~1.5質量%である、請求項1~3いずれかに記載の平版印刷インキ組成物。
  5. 請求項1~4いずれかに記載の平版印刷インキ組成物が、基材に印刷された印刷物。
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