JP2022056210A - 光学部材 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022056210000001
【課題】偏光を主体とした表示装置を使用して、その部材表面に、鮮明且つ明るい立体画像を合成できるハーフミラー性の光学部材を提供する。
【解決手段】透明基材、ハードコート層、およびハーフミラー層を、この順で備えた光学部材であって、ハーフミラー層は、1.75~1.82である高屈折率層と屈折率が1.28~1.35である低屈折率層とが交互に9層以上積層され且つ高屈折率層が最表面となるよう積層されて、最表面の高屈折率層の厚みが80~90nmであり、ハーフミラー層のハードコート層から第1層目と第3層目の厚みが120~440nmである光学部材。
【選択図】図3

Description

本発明は、ハーフミラーとして機能する光学部材に関する。詳しくは、様々なディスプレイや自動車のインストルメントパネルなどの前面に配置されるハーフミラー性の光学部材に関する。
従来から、自動車のインストルパネルの前面、即ちメーターパネル面に立体画像を合成して、運転者にさまざまな情報を知らしめる試みがなされている。具体的には、メーターパネルの後方(内部)にあるスピードメーターやタコメーター情報はメーターパネルを透過させて視野に入れ、同時にメーターパネルの前方(運転者側)の上または下に位置する表示装置から発信する画像や文字情報をメーターパネル上で反射させて反射像を視野に入れて、運転者にはあたかも立体的に見える画像等の情報を提供するものである(特許文献1)。
上記のように、当該メーターパネルは透過性と反射性の相反する二つの機能を有するハーフミラーからなる部材であることが必要である(特許文献2)。
ところで、昨今、メーターパネル内部の速度その他自動車の操作をサポートする情報をはじめ、外部から反射させて反射像を視野に入れるための画像や文字等の情報は、その多くが液晶ディスプレイで表示されるようになってきた。この液晶ディスプレイを用いて、前記ハーフミラーを介して立体画像を合成した場合、従来のハーフミラーでは、画像の明るさや鮮明性に欠ける問題が生じることが判明した。
実開昭62-115623号公報 特開平9-96702号公報
本発明者らは、液晶ディスプレイとハーフミラーの特性について鋭意研究する過程において、液晶ディスプレイは、使用する液晶のモード、即ちTN液晶、VA液晶、IPS液晶などによって偏光の量や割合に相違があるものの、いずれも偏光を主体とした表示装置である。従って、当該偏光の表面反射率や光透過率に着目してそれに好適なハーフミラーを開発することによって、鮮明且つ明るい立体画像を合成できることを見出し、本発明を完成させるに到った。
即ち本発明によって、透明基材、ハードコート層、およびハーフミラー層を、この順で備えた光学部材であって、ハーフミラー層は、屈折率が1.75~1.82である高屈折率層と屈折率が1.28~1.35である低屈折率層とが交互に9層以上積層され、
高屈折率層が最表面となるよう積層されて形成されており、最表面の高屈折率層の厚みが80~90nmであり、
波長380~780nmにおける入射角45°のP偏光の視感平均反射率が30%~40%、入射角45°のS偏光の視感平均反射率が70%~85%、入射角45°の(P+S)/2偏光の視感平均反射率が50%~65%であり、XY色度図においてx:0.30~0.32、y:0.32~0.34であることを特徴とする光学部材が提供される。
上記本発明の光学部材は、
1)ハーフミラー層のハードコート層側から第1層目と第3層目の厚みが120~440nmであること、
2)高屈折率層が、アルコキシシラン化合物またはその加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、金属酸化物粒子を120~470質量部、および金属キレート化合物を8~10質量部含む硬化性組成物の硬化体であること、
3)低屈折率層が、アルコキシシラン化合物またはその加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、中空シリカ粒子を65~330質量部、および金属キレート化合物を8~10質量部含む硬化性組成物の硬化体であること、
4)光学部材のハーフミラー層が形成された面とは反対の面上に、ハードコート層、および反射防止層をこの順で含んでなり、反射防止層が、ハードコート層側から高屈折率層と低屈折率層とを備え、波長380~780nmにおける入射角45°のP偏光の視感平均反射率が0.5%未満、入射角45°のS偏光の視感平均反射率が4.5%未満、入射角45°の(P+S)/2偏光の視感平均反射率が2.5%未満である反射防止能を有すること、
が好適である。
更に、本発明においては、前記光学部材の製造方法であって、透明基材上に、ハードコート層、ハーフミラー層および必要に応じて設置する反射防止層の各層を構成する硬化体を生じせしめる硬化性組成物を塗布したのち硬化させて、順次形成する、所謂湿式コート法によって製造することを特徴とする前記光学部材の製造方法が提供される。
本発明の光学部材は、偏光に対するハーフミラー性能に優れているので、偏光を利用する表示装置から発信される画像や文字の情報の透過像に加えて、当該情報を反射させて鮮明に且つ明るい反射像を作ることができる。
上記性能を有するので、光学部材上に、透過像と反射像からなる鮮明な立体像を合成して視野に入れることができ、様々なディスプレイ装置の前面パネル、プロンプターや3D(擬似)ホログラム、特に自動車のインストルメントパネルの前面パネルとして好適に利用できる。
実施例1で得られた光学部材のP偏光波に対する反射率分布図である。 実施例1で得られた光学部材の(P+S)/2偏光波に対する反射率分布図である。 本発明の光学部材の代表的な層構成を示す模式図である。 本発明の光学部材の使用態様を示す模式図である。
<光学部材>
本発明の光学部材は、透明基材上に、ハードコート層並びにハーフミラー層が基本構成層として形成されている。
これらの構成層以外に、後述する諸偏光反射特性や色調性能を損なわない範囲で任意の層を設けることができる。例えば、透明基材とハードコート層との間にプライマー層、ハーフミラー層の上に防汚層、帯電防止層、あるいは抗菌・抗ウイルス層などを設けることができる。特に、ハーフミラー層を設けた透明基材の面とは反対の面に反射防止層を設けることは好ましい態様である。詳しくは後述する。
<透明基材>
本発明の光学部材がハーフミラーとして機能するために、基材は透明基材であることが必要である。
当該透明基材としては、耐衝撃強度および透過性に優れる透明樹脂で形成されていることが好ましい。具体的には、波長380~780nmでの全光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは92%以上である透明樹脂が好適である。
本発明に用いる透明基材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびトリアセチルセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂により形成されていることが、透明性および耐衝撃強度の観点から好ましい。これらの樹脂を積層した積層透明基材でもよい。例えば、ポリカーボネート樹脂とポリメチルメタクリレート樹脂との積層透明基材でもよい。
透明基材の厚みは、要求される透光性や耐衝撃強度から適宜選択して設計されるが、通常、0.2~2.0mmの範囲である。
<ハードコート層>
透明基材上に、当該基板とハーフミラー層との密着性、および光学部材の強度を向上させる目的でハードコート層が設けられる。
具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート化合物を主成分とする(メタ)アクリレート系重合性化合物を重合・硬化させてなる樹脂成分を母材として含有する厚み1~3μmの層である。この厚みが薄すぎると、ハードコート層の基本的な物性、例えば、硬度や強度等を確保することが困難となる。過度に厚いと、透明基材との物性差、例えば柔軟性や伸び等の差が大きくなって、割れ等の成形不良を生じ易くなってしまう。ハードコート層の厚みは、好ましくは1.2~2.5μm、より好ましくは1.5~2μmである。
当該ハードコート層としては、(メタ)アクリレート系重合性化合物、具体的にはウレタン(メタ)アクリレート化合物と通常の(メタ)アクリレート化合物との混合物を重合・硬化させてなる樹脂成分、シランカップリング剤、シリカ粒子および金属キレート化合物を含有することが好適である。
〔樹脂成分〕
樹脂成分は、ハードコート層を形成するためのバインダーとしての機能を有し且つ母材となる。当該樹脂成分は、以下に示す(メタ)アクリレート系重合性化合物の重合体である。
(メタ)アクリレート系重合性化合物としては、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物と、通常の(メタ)アクリレート化合物との混合物が好適に用いられる。
4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物は硬化により比較的硬質な部分を形成し、(メタ)アクリレート化合物は硬化により柔軟な部分を形成するものであり、両者を併用することにより、柔軟性と硬度を両立した膜を形成することができる。
尚、ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、多価イソシアネート化合物と複数の水酸基を有するポリオール化合物とを反応して得られる末端イソシアネート化合物に、さらに水酸基含有(メタ)アクリレートを反応させて得られるものであり、ウレタン(メタ)アクリレート化合物中の(メタ)アクリロイル基が官能基であり、例えば(メタ)アクリロイル基を4個有するウレタン(メタ)アクリレート化合物は4官能である。
従って、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物とは、(メタ)アクリロイル基を4個以上有しているウレタン化合物であり、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートを、末端イソシアネート化合物と反応させ、イソシアネート化合物の両末端に、それぞれ2個の(メタ)アクリロイル基を導入したものが、4官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物として使用される。
6官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートに、両末端イソシアネート(例えばトリヘキサジエチレンジイソシアネート)を反応させることにより、分子鎖末端のそれぞれに3個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が得られる。
4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物に加えて、ハードコート層の耐クラック性や柔軟性や伸びを向上させる目的で、(メタ)アクリレート化合物を配合することが好ましい。
具体的(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート等の1官能(メタ)アクリレート化合物;1,4ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3~4官能(メタ)アクリレート化合物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の5~6官能(メタ)アクリレート化合物などが挙げられる。特に1~3官能の(メタ)アクリレート化合物が、耐クラック性に優れる点で好適である。
本発明において、前記の4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物と(メタ)アクリレート化合物とは、通常、30/70~50/50質量比[(メタ)アクリレート/ウレタン(メタ)アクリレート]で配合されていることが好ましい。(メタ)アクリレート化合物の使用量が多すぎると、得られるハードコート層の硬度が下がり、耐摩耗性が低下しハードコート層としての機能が低下する。
ハードコート層には、上記4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物および(メタ)アクリレート化合物に加えて、ハードコート層の柔軟性の改善のために、3官能以下のウレタン(メタ)アクリレート化合物を更に使用してもよい。
〔シランカップリング剤〕
ハードコート層は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。シランカップリング剤は、このハードコート層中に後述するシリカ粒子を脱落することなく安定に分散して保持すると同時に、その上に形成されるハーフミラー層との密着性を確保するために使用される成分である。
シランカップリング剤としては、従来公知のものが何ら制限なく使用できる。
具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-(N-スチリルメチル-β-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等を挙げることができる。
このようなシランカップリング剤は、その加水分解物が、加水分解と同時に重縮合し、Si-O-Si結合によりネットワーク状に連なった重合物を形成する。従って、このようなシランカップリング剤の使用により、ハードコート層を緻密なものとすることができる。
本発明において、ハードコート層中のシランカップリング剤の含有割合は、前述した(メタ)アクリレート系重合性化合物から形成された樹脂成分100質量部当り、好ましくは1~30質量部、より好ましくは10~20質量部の範囲に設定される。シランカップリング剤の含有量が必要以上に多いと、ハードコート層の基本的性能、即ち硬度や耐擦傷性などが損なわれてしまう。この含有量が少なすぎると、ハーフミラー層との密着性が損なわれ剥がれ等を生じ易くなってしまう。
〔中実シリカ粒子〕
ハードコート層は、中実シリカ粒子を含有することが好ましい。中実シリカ粒子は内部が密な、内部に空洞を有しない非中空の粒子であり、密度は通常1.9g/cm以上である。当該中実シリカ粒子としては、粒径が5~500nmで屈折率が1.44~1.5の範囲にあるものが好ましい。中実シリカ粒子を含有させることにより、ハードコート層の全体にわたって硬度等の基本的な特性を均一に付与することができる。また、かかる中実シリカ粒子を含むことにより、後述するシリカ粒子或いは金属酸化物粒子を含有させたハーフミラー層との密着性を高め、ハードコート層やハーフミラー層の割れ等を効果的に防止することができる。
中実シリカ粒子の含有量は、前述した(メタ)アクリレート系重合性化合物から形成される樹脂成分100質量部当り、好ましくは10~80質量部、さらに好ましくは30~60質量部である。かかる中実シリカ粒子が、このような範囲でハードコート層中に含まれていることにより、ハードコート層の基本特性を維持しつつ、ハーフミラー層との密着性を高め、割れ等を有効に防止することができる。
〔金属キレート化合物〕
ハードコート層は、金属キレート化合物を含有することが好ましい。金属キレート化合物は、ハードコート層中に架橋構造を導入しハードコート層の緻密性や強度、更には硬度を高める目的で使用される。
前述した(メタ)アクリレート系重合性化合物による樹脂成分においても架橋構造は形成されているが、柔軟性も必要なためにその緻密性は十分ではない。金属キレート化合物は、ハードコート層の柔軟性を損なわずにその緻密性の低下を補うために、換言すると、膜の緻密性に影響される硬度等の機械的特性を調整するために使用されるものである。また、このような金属キレート化合物は、ハーフミラー層にも含まれているため、金属キレート化合物の使用により、ハードコート層とハーフミラー層との親和性が増して密着性がより高められ、成形時の割れ等を有効に防止することができる。
このような金属キレート化合物としては、二座配位子を含むチタン、ジルコニウム、アルミニウム、スズ、ニオブ、タンタル或いは鉛の化合物が好適である。
二座配位子とは、配位座数が2、すなわち金属に配位しうる原子数が2であるようなキレート剤であり、一般にO、N、S原子によって、5乃至7員環を形成して、キレート化合物を形成する。
代表的な金属キレート化合物としては、トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ-n-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ-n-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;
ジエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジ-i-プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノ-i-プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、モノエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、ジエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ビス(エチルアセトアセテート)モノ(アセチルアセトナート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物が挙げられる。
上述した金属キレート化合物は、(メタ)アクリレート系重合性化合物から形成される樹脂成分100質量部当り、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは0.5~15質量部の量で使用される。この範囲内で金属キレート化合物が使用されることにより、このハードコート層上に形成されるハーフミラー層との間の密着性を向上することができる。
特に好適なハードコート層は、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物と1~3官能の(メタ)アクリレート化合物とを硬化させてなる樹脂成分100質量部に対して、シランカップリング剤またはその加水分解物1~30質量部、粒径が5~500nmで屈折率が1.44~1.50の範囲にあるシリカ粒子10~80質量部、および金属キレート化合物0.1~30質量部から形成さる。
〔ハードコート層の形成〕
ハードコート層は、上記各成分を特定量、更には光重合開始剤などの任意成分を、粘度調整や易塗布性の目的で下記溶剤に溶解してハードコート層形成用コーティング溶液とし、該コーティング溶液を透明基板上に塗布してコート膜を形成し、次いで、該コート膜に対し、必要に応じて乾燥をおこなった後、紫外線、電子線といった電離放射線を照射して前記(メタ)アクリレート系重合性化合物またはそのオリゴマーを硬化させて形成される。
ハードコート層を形成するためのコーティング溶液を紫外線により硬化させる場合にあっては、コーティング溶液に光重合開始剤を添加することが好ましい。光重合開始剤としては、紫外線が照射された際にラジカルを発生するものであれば良く、例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類を用いることができる。また、光重合開始剤の添加量は、使用するウレタンアクリレート100質量部に対して、好ましくは1~10質量部、より好ましくは1~7質量部である。
コーティング溶液に使用される溶剤は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどのアルコール化合物;トルエン、キシレン等の芳香族化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル化合物;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジアセトンアルコール等のケトン化合物等が適している。その他、メチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、更にはメチルセロソルブやエチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のセロソルブ化合物などの溶剤も使用できる。
ハードコート層形成用コーティング溶液を構成する前記各成分は、通常、室温付近で任意に混合攪拌されて溶液とされる。なお、市販の中実シリカ粒子分散体(ゾル)を使用した時は、分散媒である溶媒が当該溶液中に必然的に混入することになる。コーティング溶液中の溶媒並びに別途配合される溶剤は、前記乾燥並びに硬化工程において除去される。
溶液の透明基板への塗工方法は特に制限されず、ディップコート法、ロールコート法、ダイコート法、フローコート法、スプレー法等の方法が採用されるが、外観品位や膜厚制御の観点からディップコート法が好適である。
<ハーフミラー層:HM層>
前記形成されたハードコート層の上に、ハーフミラー層が形成される。本発明においては、当該ハーフミラー層の層構造に特徴がある。
下記本発明特有の層構造を採用することにより、波長380~780nmにおける入射角45°のP偏光の視感平均反射率が20%以上、入射角45°のS偏光の視感平均反射率が50%以上、入射角45°の(P+S)/2偏光の視感平均反射率が35%以上である偏光反射特性を有し、XY色度図においてx:0.30~0.32、y:0.32~0.34であるという光学特性が発現する。
本発明のハーフミラー層は、屈折率が1.75~1.82である高屈折率層と屈折率が1.28~1.35である低屈折率層とが交互に積層され、各層の合計層数が9層以上であり、且つ、最表面が高屈折率層となるように構成される特徴を有する。
高屈折率層及び低屈折率層の各屈折率が上記範囲を満たさない場合は、透過像或いは反射像の映りが悪くハーフミラーとしての性能は上記範囲を満たすものに比べて劣る。
ハーフミラー層を構成する各層の合計層数は、優れた偏光反射特性を発現するために9層以上であることが必須である。上限は、各層の形成操作の手間やコスト並びに偏光反射特性の向上が飽和する等の観点から17層である。合計層数が8層以下では、上記偏光反射特性の数値を満足せず偏光波に対するミラー性能が劣る。
ハーフミラー層の最表面は、屈折率が1.75~1.82である高屈折率層とする必要がある。最表面が、屈折率が1.28~1.35である低屈折率層がある場合は、十分なミラー性能が発現せずハーフミラーとして機能しない。
各層の合計層数が9層以上の奇数である場合は、最表面が高屈折率層であるため、最下層(ハードコート層と接する層)が高屈折率層となる。9層以上の偶数である場合は、最下層が低屈折率層となる。より優れたミラー性能を発現するためには、合計層数が奇数、即ち、最下層が高屈折率層となる層構造が好適である。
高屈折率層と低屈折率層の各厚みは、通常は70~440nm、好適には80~180nmの範囲から選択される。特に、最表面の高屈折率層の厚みが80~90nmであり、且つハーフミラー層のハードコート層から第1層目と第3層目の厚みが120~440nm、好適には150~180nmであるように設計された場合、ハーフミラー性能に優れた光学部材となる。
前記特有の層構造の採用により、波長380~780nmにおける入射角45°のP偏光の視感平均反射率が30%~40%、入射角45°のS偏光の視感平均反射率が70%~85%、入射角45°の(P+S)/2偏光の視感平均反射率が50%~65%である偏光反射特性を有し、XY色度図においてx:0.30~0.32、y:0.32~0.34であるという光学特性が発現する。
P偏光の視感平均反射率が20%以上、S偏光の視感平均反射率が50%以上、および(P+S)/2偏光の視感平均反射率が35%以上であることにより、偏光波に対する反射性に優れ、偏光で作られている文字や画像等が反射されてできる反射像が鮮明に視認できる。
また、XY色度図においてx:0.30~0.32、y:0.32~0.34であることにより、光学部材が実質的に低彩度(無色透明)であって反射像・透過像に着色が起こらず、偏光板を通して作られている文字や画像等の本来の色がそのままの色調で反映され視認できる。
なお、本発明において、P偏光視感平均反射率、S偏光視感平均反射率、(P+S)/2偏光視感平均反射率が、XY色度図におけるx値とy値は、以下の方法で測定される物性値である。
P偏光視感平均反射率:
日本分光社製「V-650」試験機を用いて、走査速度1000nm/minの速度で、波長380~780nmの光を、偏光子を通して垂直方向成分を取り除いて平行偏光のみにした後、10nm毎の反射率を測定する。この反射率にJIS Z 8722に記載の重価係数を掛けて積分し、重価係数の積分値で割って視感平均反射率を出した。この数値が大きいほど反射性能に優れることを示す。
S偏光視感平均反射率:
偏光子を通し平行方向成分を取り除き、垂直偏光のみを測定する。偏光子の設置方向以外は、上記P偏光の視感平均反射率の測定と同様にして測定し算出した。
(P+S)/2偏光視感平均反射率:
偏光子を45度に設置し、垂直方向成分の半分量と平行方向成分の半分量を測定する。偏光子の設置方向以外は上記P偏光の視感平均反射率と同様に測定し算出した。
XY色度図におけるx値とy値:
日本分光社製「V-650」試験機を用いて、上記各偏光の反射率を測定し、この反射率にJIS Z 8722の表4に記載の重価係数からXYZ表示系における三刺激値(X,Y,Z)を算出し、x=X/(X+Y+Z),y=Y/(X+Y+Z)に変換して、色度座標(x、y)を算出した。
x値が0.30~0.32の範囲にあり、且つ、y値が0.32~0.34の範囲にあることは色度が無色透明に近いことを意味する。
<低屈折率層>
低屈折率層の屈折率は、1.28~1.35である。当該低屈折率層は、ハードコート層の上に或いは高屈折率層の上に積層されて、高屈折率層と交互に積層された多層構造を形成する。
当該低屈折率層は、アルコキシシラン化合物またはその加水分解物、シリカ粒子および金属キレート化合物を含有する硬化性組成物の硬化体であることが好ましい。
[アルコキシシラン化合物]
アルコキシシラン化合物またはその加水分解物は、加水分解と同時に重縮合して、Si-O-Si結合によりネットワーク状に連なった架橋体を形成して低屈折率層の母材となる。アルコキシシラン化合物またはその加水分解物の使用により、低屈折率層を緻密なものとすることができる。
当該アルコキシシラン化合物としては、上記の通り、加水分解と同時に重縮合が可能なシラン化合物であれば制限されず、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのアルコキシシラン化合物が挙げられる。
上記該アルコキシシラン化合物は、その種類によっては、水や溶剤に対する溶解性を向上させる目的で、希薄な酸等で予め部分加水分解された分解物とすることが好適である。予め加水分解する方法は特に制限なく、酢酸などの酸触媒を用いてその一部を加水分解する方法、或いは、低屈折率層形成用コーティング溶液中に他の成分と併せて、アルコキシシラン化合物と酸を共存させて一部加水分解する方法が採用される。
光学部材の着色を防止して透明性を確保する観点から、下記一般式で表されるアルコキシシラン化合物またはその加水分解物が好適である。
Figure 2022056210000002
(式中、Rは炭素数1~3のアルキレン基、Rはメチル基またはエチル基、aは0または1)
上記一般式(1)のアルコキシシラン化合物として、代表的には、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられる。
[シリカ粒子]
低屈折率層の屈折率を所定の範囲に制御するためにシリカ粒子が使用される。シリカ粒子としては中空シリカと中実シリカが存在する。低屈折率層が比較的低い屈折率を発現するためには中空シリカ粒子を用いるのが好ましい。
中空シリカは内部に空洞を有するシリカであり、好ましい平均粒径は10~150nmである。当該中空シリカ粒子は内部が空洞の粒子であるため他のシリカ粒子に比べてその密度は低く、例えば、通常1.5g/cm以下である。
このような中空シリカ粒子は、それ自体公知であり、例えば、テンプレートと界面活性剤の存在下にシリカを合成し最後に焼成を行って界面活性剤を分解除去することにより製造され、市販されている。なお、このような市販品においては、中空シリカ粒子は水やアルコールなどの溶媒に分散されて、いわゆるゾルとして供されているので、低屈折率層を形成させるために調製される低屈折率層形成用コーティング溶液中には、これらの溶媒が必然的混入する。しかし、コーティング後の乾燥および硬化過程で、コーティング溶液とするために別途配合される溶剤ともどもこれら溶媒は揮発、除去される。
低屈折率層の屈折率を比較的高めに設計する場合は、中実シリカが使用される。当該中実シリカとしては、ハードコート層の項で記載された中実シリカが制限なく使用される。
低屈折率層形成用コーティング溶液中のシリカ粒子の含有量は、低屈折率層の設定屈折率と他の含有成分の量に依存するが、アルコキシシラン化合物100質量部に対して、好ましくは60~400質量部、より好ましくは65~330質量部である。
[金属キレート化合物]
低屈折率層の緻密性や強度、更には硬度を高める目的で、金属キレート化合物を含有させることが好ましい。金属キレート化合物としては、ハードコート層の項で説明された金属キレート化合物が、制限なくそのまま使用できる。
低屈折率層形成用コーティング溶液中の金属キレート化合物の含有量は、アルコキシシラン化合物100質量部に対して、好ましくは5~15質量部、より好ましくは6~12質量部、より好ましくは8~10質量部である。
[低屈折率層の形成]
ハードコート層或いは高屈折率層の上に低屈折率層が積層されて、高屈折率層と交互に積層された多層構造のハーフミラー層が形成される。
当該低屈折率層は、上記各成分を特定量、更には任意成分を、粘度調整や易塗布性の目的で溶剤に溶解して低屈折率層形成用コーティング溶液とし、この溶液を塗布した後、乾燥し、次いで加熱し、熱硬化させて形成することができる。
低屈折率層形成用コーティング溶液に使用される溶剤は、ハードコート層形成用コーティング溶液の項で説明された溶剤が制限なく使用される。同じく、塗工方法も同様の方法が採用されるが、外観品位や膜厚制御の観点からディップコート法が好適である。
<高屈折率層>
高屈折率層の屈折率は、1.75~1.82である。当該高屈折率層は、ハードコート層の上に或いは低屈折率層の上に積層されて、低屈折率層と交互に積層された多層構造を形成する。
当該高屈折率層は、アルコキシシラン化合物、金属酸化物粒子および金属キレート化合物を含有する硬化性組成物の硬化体であることが好ましい。
[アルコキシシラン化合物]
アルコキシシラン化合物またはその加水分解物は、低屈折率層と同様に、高屈折率層を緻密なものとすることができる。
当該アルコキシシラン化合物としては、低屈折率層の項で挙げられた化合物を制限なく使用できる。高屈折率層においても、同様の理由で、前記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物が好適である。
[金属酸化物粒子]
高屈折率層の屈折率を所定の範囲に制御するために、金属酸化物粒子を使用することが好ましい。
具体的な金属酸化物粒子としては、酸化ジルコニウム粒子(屈折率=2.40)、酸化ジルコニウムと酸化ケイ素等の他の酸化物とを分子レベルで複合化させて屈折率を調整した複合ジルコニウム金属酸化物粒子、酸化チタニウム粒子(屈折率=2.71)、酸化チタニウムと酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の他の酸化物とを分子レベルで複合化させて屈折率を調整した複合チタニウム金属酸化物粒子などが使用される。これらの金属酸化物粒子を適宜組み合わせて、所望の屈折率の層に調整する。このような粒子はそれ自体公知であり、市販されている。
金属酸化物粒子の平均粒径は、好ましくは1~100nm、より好ましくは1~70nmである。金属酸化物粒子の屈折率は、好ましくは1.70~2.80、より好ましくは1.90~2.50である。
高屈折率層形成用コーティング溶液中の金属酸化物粒子の含有量は、高屈折率層の設定屈折率と他の含有成分の量に依存するが、バインダー成分100質量部に対して、好ましくは100~500質量部であり、より好ましくは120~470質量部である
[金属キレート化合物]
高屈折率層の緻密性や強度、更には硬度を高める目的で、金属キレート化合物を含有させることが好ましい。金属キレート化合物としては、ハードコート層の項で挙げられた金属キレート化合物を制限なく使用できる。
高屈折率層形成用コーティング溶液中の金属キレート化合物の含有量は、アルコキシシラン化合物100質量部に対して、好ましくは5~15質量部、より好ましくは6~12質量部、さらに好ましくは8~10質量部である。
[高屈折率層の形成]
ハードコート層或いは低屈折率層の上に高屈折率層が積層されて、低屈折率層と交互に積層された多層構造のハーフミラー層が形成される。前記した通り、ハーフミラー層の最表面は高屈折率層であることが必要である。
当該高屈折率層は、上記各成分を特定量、更には任意成分を、粘度調整や易塗布性の目的で溶剤に溶解して高屈折率層形成用コーティング溶液とし、この溶液を塗布した後、乾燥し、次いで加熱し、熱硬化させて形成することができる。
高屈折率層形成用コーティング溶液に使用される溶剤は、ハードコート層形成用コーティング溶液の項で説明された溶剤が制限なく使用される。同じく、塗工方法も同様の方法が採用されるが、外観品位や膜厚制御の観点からディップコート法が好適である。
<反射防止層:AR層>
透明基板の前記ハーフミラー層を設けた面と反対側の面(以下、裏面ともいう)に、ハードコート層および反射防止層をこの順で積層した光学部材は、透明基板の厚みと入射角に起因して、即ちハーフミラー層の表面での反射と裏面での反射によって生じる二重画像を極力低減できるため、好適な態様である。
上記反射防止層は、ハードコート層上に順に高屈折率層と低屈折率層とを備える層であり、この結果、波長380~780nmにおける入射角45°のP偏光の視感平均反射率が0.5%未満、入射角45°のS偏光の視感平均反射率が4.5%未満、入射角45°の(P+S)/2偏光の視感平均反射率が2.5%未満であり、偏光波に対する優れた反射防止能が実現する。なお、反射防止層は、上記ハードコート層と高屈折率層の間に低屈折率層を設けて三層としても良い。
ハードコート層は、ハーフミラー層側のハードコート層と同様にして形成される。層の成分、コーティング溶液、形成方法等はその項の説明に準じる。当該ハードコート層の厚みは、1~3μmが好ましい。
反射防止層の低屈折率層および高屈折率層は、ハーフミラー層のそれらと同様にして形成され、各層の成分、コーティング溶液、形成方法等はそれらの項の説明に準じる。低屈折率層の屈折率は1.28~1.35が好ましく、厚みは100~120nmが好ましい。高屈折率層の屈折率は1.75~1.82が好ましく、厚みは80~170nmが好ましい。
反射防止層の形成は、前記ハーフミラー層の形成と別途独立して行ってもよいが、ハーフミラー層の第一層が高屈折率層である場合は、次のようにして行うのが工業的に効率的である。即ち、透明基板の両面にディップコート法でハードコート層、高屈折率層、低屈折率層を順に形成した後、片面を反射防止層として保護フィルムで保護した後、反対面上にハーフミラー層の形成を続行し所定のハーフミラー層とする。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら制限されるものではない。また、実施例の中で説明されている特徴の組み合わせすべてが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
以下の実施例及び比較例で用いた各種成分と略号、並びに試験方法は、次の通りである。
[P偏光視感平均反射率]
前記の通り。
[S偏光視感平均反射率]
前記の通り。
[(P+S)/2偏光視感平均反射率]
前記の通り。
[XY色度図におけるx値とy値]
前記の通り。
[反射防止層面のP偏光視感平均反射率]
両面に同一の反射防止層を形成し、一方の面のP偏光視感平均反射率を前記と同様にして測定した。
[反射防止層面のS偏光視感平均反射率]
両面に同一の反射防止層を形成し、一方の面のS偏光視感平均反射率を前記と同様にして測定した。
[反射防止層面の(P+S)/2偏光視感平均反射率]
両面に同一の反射防止層を形成し、一方の面の(P+S)/2偏光視感平均反射率を前記と同様にして測定した。
[屈折率]
各層の屈折率は以下の方法で測定した。アクリル基材に各層をコーティングし、日本分光(株)製 紫外可視分光光度計「V-650」を使用し、ピークまたはボトムの値を測定した。その値を用いて各層屈折率を算出した。
[反射像及び透過像(後方像)の鮮明性]
反射像および透過像を表示させ、目視による鮮明性を評価した。
「〇」:像が鮮明に表示された。
「△」:像の強さは弱めではあるが、目視で確認できる像が表示された。
「×」:像が不鮮明であった。
[全体像(立体像)の鮮明性]
反射像と透過像を表示させ、目視による表示空間全体の鮮明性を評価した。
「〇」:反射像および透過像ともにバランスよく表示され、かつ像は鮮明であった。
「△」:透過像が強めに表示され、反射像が弱めに表示された。
「×」:反射像または透過像が強く表示され、もう一方の像が不鮮明であった。
実施例1
厚さ1mmのポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)に、以下の方法でハードコート層、更にその上にハーフミラー層を形成した。
[ハードコート層形成用コーティング組成物]
バインダー(アクリレート系化合物) 176.0g(100質量部)
・4官能ウレタンアクリレート 100.0g
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 72.0g
・2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸 4.0g
中実シリカ(平均粒径:10nm、屈折率:1.48、固形分20質量%、
分散媒IPA) 固形分69.0g(39質量部)
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシシラン 14.8g(8.4質量部)
アルミニウムトリス(アセチルアセトナート) 1.2g(0.7質量部)
1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(光重合開始剤)
7.3g(4.1質量部)
0.05N塩酸 3.4g
2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール(紫外線吸収剤) 11.3g
有機溶剤 717.0g
・イソプロピルアルコール(IPA) 386.0g
*中実シリカの分散媒を含む
・酢酸sec-ブチルエステル 257.3g
・ジアセトンアルコール 73.7g
[高屈折率層形成用コーティング組成物:n2]
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシシラン 14.5g(100質量部)
ジルコニア(平均粒径:50nm、屈折率:2.40、固形分15質量%、
分散媒ブタノールとエタノールの混合物) 固形分17.9g(124)質量部)
アルミニウムトリス(アセチルアセトナート) 1.2g(8.2質量部)
0.05N塩酸 3.3g
有機溶剤 963.1g
・エタコール7(登録商標)(エタノールとイソプロパノールの混合物)
861.8g
・ジルコニアの前記分散媒 101.3g
[低屈折率層形成用コーティング組成物:n1]
γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシシラン 6.6g(100質量部)
中空シリカ(平均粒径:60nm、屈折率:1.25、固形分20質量%、
分散媒IPA) 固形分12.6g(192質量部)
アルミニウムトリス(アセチルアセトナート) 0.5g(8.2質量部)
0.05N塩酸 1.5g
有機溶剤 978.8g
・ノルマルプロピルアルコール(NPA) 195.8g
・イソプロピルアルコール(IPA) 391.5g
*中空シリカの分散媒を含む
・酢酸sec-ブチルエステル 391.5g
先ず、上記組成のハードコート層形成用コーティング溶液を用いて透明基板(ポリメチルメタクリレート;PMMA、厚み1mm)の両面をディップコートし、60℃、15分間乾燥したのち、紫外線(500mJ)を照射して硬化させ、透明基材上に厚み1.50μmのハードコート層を両面に形成した。
次いで、当該ハードコート層を有する透明基板の両面を、上記高屈折率層形成用コーティング溶液(n2)でディップコートし、90℃、60分間加熱処理し、厚さ169.44nmの高屈折率層を両面に形成した。更に、上記低屈折率層形成用コーティング溶液(n1)で両面をディップコートし、90℃、60分間加熱処理し、厚さ113.85nmの低屈折率層を両面に形成した。
一方の面を反射防止層面(裏面)としてPETフィルムで保護し、他方の面をハーフミラー層面として、当該面上に更に高屈折率層と低屈折率層の形成を交互に繰り返して、屈折率層の合計数が9層で最表面が高屈折率層であるハーフミラー層が形成された光学部材を作製した。各層の厚みと屈折率を表3に示す。
実施例1~5の結果から、第1層と第3層の高屈折率層の厚みは120~440nmの範囲にあり、最表面の高屈折率層の厚みは80~90nmの範囲にあることが認識できる。
なお、ハーフミラー層が9層以上の偶数層である場合は、透明基板の両面に、ハードコート層、低屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を順に形成して三層の反射防止層とし、次いで一方の面を保護フィルムで保護した後、他方の面にハーフミラー層を順次形成する方法も採用できる。
得られた光学部材のP偏光視感平均反射率、S偏光視感平均反射率、(P+S)/2偏光視感平均反射率、XY色度図におけるx値とy値、屈折率、裏面のP偏光の視感平均反射率、裏面のS偏光の視感平均反射率、裏面の(P+S)/2偏光の裏面の視感平均反射率並びに反射像、透過像、全体像の鮮明性を、前記試験方法に従って測定し評価した。結果を表3に示す。
図1に実施例1で得られた光学部材のP偏光波に対する反射率分布図を示す。
図2に実施例1で得られた光学部材の(P+S)/2偏光波に対する反射率分布図を示す。
実施例2~5
表1に示す組成の低屈折率層形成用コーティング溶液(n1)と表2に示す組成の高屈折率層形成用コーティング溶液(n2)を、表3に示す組み合わせで用いてハーフミラー層を形成した以外は、実施例1と同様にして光学部材を作製し各特性の測定を行った。結果を表3に示す。
Figure 2022056210000003
Figure 2022056210000004
比較例1~10
表1に示す組成の低屈折率層形成用コーティング溶液(n1)と表2に示す組成の高屈折率層形成用コーティング溶液(n2)を、表4に示す組み合わせで用いてハーフミラー層を形成した以外は、実施例1と同様にして光学部材を作製し各特性の測定を行った。結果を表4に示す。
Figure 2022056210000005
Figure 2022056210000006
比較例1は低屈折率層の屈折率が上限値を超えている例であり、ハーフミラー層の反射率が低いため反射像が不鮮明で、且つ、反射防止層の反射率が高く反射像がハーフミラー層と反射防止層の両方から反射し二重像となり全体像(立体像)が明確でなく、しかも着色していた。比較例2は高屈折率層の屈折率が上限値を超えている例であり、透過像の映りが悪く全体像が明確でなかった。比較例3は低屈折率層の屈折率が下限値を満たしていない例であり、透過像の映りが悪く全体像が明確でなかった。比較例4は高屈折率層の屈折率が下限値を満たしていない例であり、反射像の映りが悪く全体像が明確でなく、しかも着色があった。比較例5は最表面の高屈折率層の厚みが上限値を超えている例であり、反射像の映りが悪く全体像が不鮮明であった。比較例6はハーフミラー層の第一層目の厚みが不足している例であり、反射像の映りがやや悪く、且つ、比較例1と同じような現象が起こり反射像で軽度の二重像が見られた。比較例7はハーフミラー層を五層とした例であり、最表面が高屈折率層であっても反射像の映りが悪く全体像が不鮮明であった。比較例8はハーフミラー層を六層とした例であり、反射像の映りが大変悪く全体像が極めて不鮮明であった。比較例9.10は低屈折率層の屈折率が上限値を超えている例であり、反射像が不鮮明で且つ二重像になっており全体像が明確でなかった。
図3は本発明の光学部材の代表的な層構成を示す模式図である。
図4は本発明の光学部材の使用態様を示す模式図である。

Claims (6)

  1. 透明基材、ハードコート層、およびハーフミラー層を、この順で備えた光学部材であって、ハーフミラー層は、屈折率が1.75~1.82である高屈折率層と屈折率が1.28~1.35である低屈折率層とが交互に9層以上積層され、
    高屈折率層が最表面となるよう積層されて形成されており、最表面の高屈折率層の厚みが80~90nmであり、
    波長380~780nmにおける入射角45°のP偏光の視感平均反射率が30%~40%、入射角45°のS偏光の視感平均反射率が70%~85%、入射角45°の(P+S)/2偏光の視感平均反射率が50%~65%であり、XY色度図においてx:0.30~0.32、y:0.32~0.34であることを特徴とする光学部材。
  2. ハーフミラー層のハードコート層側から第1層目と第3層目の厚みが、120~440nmである請求項1に記載の光学部材。
  3. 高屈折率層が、アルコキシシラン化合物またはその加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、金属酸化物粒子を120~470質量部、および金属キレート化合物を8~10質量部含む硬化性組成物の硬化体である請求項1または2に記載の光学部材。
  4. 低屈折率層が、アルコキシシラン化合物またはその加水分解物からなるバインダー成分100質量部に対して、中空シリカ粒子を65~330質量部、および金属キレート化合物を8~10質量部含む硬化性組成物の硬化体である請求項1~3の何れか一項に記載の光学部材。
  5. 光学部材のハーフミラー層が形成された面とは反対の面上に、ハードコート層、および反射防止層をこの順で含んでなり、
    反射防止層が、ハードコート層側から高屈折率層と低屈折率層とを備え、波長380~780nmにおける入射角45°のP偏光の視感平均反射率が0.5%未満、入射角45°のS偏光の視感平均反射率が4.5%未満、入射角45°の(P+S)/2偏光の視感平均反射率が2.5%未満である反射防止能を有する請求項1~4の何れか一項に記載の光学部材。
  6. 請求項1~5の何れか一項に記載の光学部材の製造方法であって、透明基材上に、ハードコート層、ハーフミラー層および必要に応じて設置する反射防止層の各層を構成する硬化体を生じせしめる硬化性組成物を塗布したのち硬化させて、順次形成することを特徴とする前記光学部材の製造方法。
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