JP2022052748A - 蓄熱材組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温環境下であっても、蓄熱・放熱が可能となるとともに、安定的に繰り返し使用が可能な蓄熱材組成物を提供する。【解決手段】本発明に係る蓄熱材組成物は、硝酸亜鉛を含む固液相変化材と、核形成材と、ケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末を含む核形成補助材と、を含有する。核形成材は、水酸化バリウム又は塩化ストロンチウムであり、ケイ素含有微粉末は、フライアッシュ又はシリカゲルであり、炭素含有微粉末は、カーボンブラックである。核形成材の濃度は、全蓄熱材組成物に対して0.001重量%~0.100重量%の範囲内であり、核形成補助材の濃度は、全蓄熱材組成物に対して0.050重量%~5.000重量%の範囲内である。これにより、高温環境下であっても、蓄熱・放熱が可能となるとともに、安定的に繰り返し使用が可能となる。本発明に係る蓄熱材組成物は、様々な分野における蓄熱資材に有用である。【選択図】図2

Description

本発明は、蓄熱材組成物に関する。
従来より、所定の温度範囲における固体と液体との間の相変化(固液相変化)を利用して蓄熱(熱吸収)及び放熱(熱放出)を行う蓄熱材(潜熱蓄熱材、顕熱蓄熱材、蓄熱資材等)が知られている。蓄熱材は、例えば、多くの冷熱や温熱を必要とする建物(住宅やオフィスビル等)の冷暖房設備や工場の排熱回収設備等の様々な分野に幅広く利用されている。
ここで、硝酸亜鉛を用いた蓄熱材に関する技術として、例えば、特開昭59-13898号公報(特許文献1)には、硝酸亜鉛6水和物に、発核剤として水酸化ストロンチウムまたはその8水和物および水酸化バリウムまたはその8水和物の少なくとも1種を添加してなる蓄熱材が開示されている。これにより、凝固時の過冷却の程度を軽減した潜熱型の蓄熱材を提供することが出来るとしている。
又、特開昭60-44578号公報(特許文献2)には、酢酸ナトリウム3水塩と;硝酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸亜鉛、硝酸マグネシウムの無水物又は水和物の群より選ばれた1種以上の硝酸塩とから少なくともなる蓄熱材が開示されている。これにより、融点が酢酸ナトリウム6水塩に比較して低く、かつ蓄熱量の低下の少ない蓄熱材を提供することが出来るとしている。
又、特開昭60-203690号公報(特許文献3)には、硝酸亜鉛6水塩に、水酸化マグネシウム、メタ硅酸マグネシウム、オルト硅酸マグネシウム、メタ硅酸マグネシウムカルシウム及び水酸化亜鉛からなる群の中から選ばれた化合物を硝酸亜鉛の飽和水溶液に対する溶解度以上添加した蓄熱材が開示されている。これにより、硝酸亜鉛6水塩を主体とする蓄熱材を提供することが出来るとしている。
又、特開昭61-89284号公報(特許文献4)には、塩化カルシウム6水塩を主成分とする蓄熱材組成物中に、弗化亜鉛4水塩及び/又は硝酸亜鉛6水塩を凝固点調節剤として配合してなる蓄熱材組成物が開示されている。これにより、特定の化合物を凝固点調節剤として使用することによって、少ない配合率で凝固点を広い範囲の任意の温度に設定することができ、しかも高レベルの潜熱量を有する蓄熱材組成物を比較的安価に提供することが出来るとしている。
特開昭59-13898号公報 特開昭60-44578号公報 特開昭60-203690号公報 特開昭61-89284号公報
地球環境の温暖化に伴い、周囲環境は高温化しつつある。そのため、高温環境でも固液相変化を起こし、蓄熱・放熱の効果を得ることが出来る蓄熱材組成物が求められるようになっている。
ここで、硝酸亜鉛を固液相変化材として用いた蓄熱材組成物では、核形成材を添加したとしても、例えば、周囲環境の温度の下限が、比較的高い30度の場合、液体から固体への相変化が生じず、蓄熱・放熱の効果が得られないという課題がある。この課題に対して、上述した特許文献1-4に記載の技術では解決することは出来ない。
そこで、本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、高温環境下であっても、蓄熱・放熱が可能となるとともに、安定的に繰り返し使用が可能な蓄熱材組成物を提供することを目的とする。
本発明に係る蓄熱材組成物は、硝酸亜鉛を含む固液相変化材と、核形成材と、ケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末を含む核形成補助材と、を含有する。
本発明によれば、高温環境下であっても、蓄熱・放熱が可能となるとともに、安定的に繰り返し使用が可能となる。
実施例1-3と、比較例1の蓄熱材組成物の成分表である。 5回目のヒートサイクルにおける実施例1-3と、比較例1の蓄熱材組成物の温度変化のグラフである。 実施例4-6と、比較例1の蓄熱材組成物の成分表である。 5回目のヒートサイクルにおける実施例4-6と、比較例1の蓄熱材組成物の温度変化のグラフである。 実施例7-8の蓄熱材組成物の成分表である。 15回目から17回目までのヒートサイクルにおける実施例7-8の蓄熱材組成物の温度変化のグラフである。 実施例1-2、9の蓄熱材組成物の成分表である。 35回目のヒートサイクルにおける実施例1-2、9の蓄熱材組成物の温度変化のグラフである。 実施例5、10の蓄熱材組成物の成分表である。 25回目のヒートサイクルにおける実施例5、10の蓄熱材組成物の温度変化のグラフである。 実施例11の蓄熱材組成物の成分表である。 6回目のヒートサイクルにおける実施例11の蓄熱材組成物の温度変化のグラフである。
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
本発明者は、硝酸亜鉛を固液相変化材として用いた蓄熱材組成物を長年研究しているが、硝酸亜鉛を含有する蓄熱材組成物は、環境温度が、例えば、80度から30度の温度まで下がっても、硝酸亜鉛の固液相変化材が液体から固体へ相変化せず、蓄熱・放熱の効果が得られないことを確認している。
又、蓄熱材組成物に核形成材を添加した上で、環境温度が、例えば、80度から30度の温度まで下がっても、やはり、硝酸亜鉛の相変化が生じないことを確認している。
そこで、本発明者は、更に、核形成補助材に着目し、後述する実施例に基づいて、本発明を完成させたのである。
即ち、本発明に係る蓄熱材組成物は、硝酸亜鉛を含む固液相変化材と、核形成材と、ケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末を含む核形成補助材と、を含有する。これにより、高温環境下であっても、蓄熱・放熱が可能となるとともに、安定的に繰り返し使用が可能となる。
つまり、ケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末を添加することで、環境温度が、例えば、80度から30度の温度まで下がると、核形成材の核形成を促すことが可能となり、硝酸亜鉛の固液相変化材を液体から固体へ相変化させ、蓄熱・放熱の効果を得ることが可能となる。
このように、硝酸亜鉛を含む固液相変化材に対して核形成材と核形成補助材の組み合わせにより、核形成材の核形成を促進することが出来るため、80度から30度までの高温環境下であっても、蓄熱材組成物の蓄熱・放熱を可能とするのである。
又、高温から低温へ下げた後に再度高温へ上げるヒートサイクルにおいて、ケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末の核形成補助材の存在により、蓄熱材組成物の融解と凝固の繰り返しを可能とし、蓄熱材組成物の蓄熱・放熱を安定して行わせ、過冷却現象を抑える。そのため、長期間の繰り返し使用も可能となる。
ここで、硝酸亜鉛を含む固液相変化材の種類に特に限定は無いが、例えば、硝酸亜鉛の無水物{Zn(NO}やその六水和物{Zn(NO・6HO}を採用することが出来る。又、硝酸亜鉛は、無水物と六水和物とを適宜組み合わせても良い。
尚、硝酸亜鉛以外の他の固液相変化材は、相変化の温度範囲が異なるものの、所定の温度範囲において、硝酸亜鉛と同様の相変化を行い、蓄熱及び放熱を生じさせるため、他の固液相変化材を含有しても構わない。他の固液相変化材は、例えば、塩化カルシウム、酢酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等を挙げることが出来る。これらは無水物であってもその水和物であっても構わない。更に、他の固液相変化材は、1種類でも良いし、2種類以上を適宜組み合わせても良い。
又、固液相変化材の濃度に特に限定は無いが、例えば、全蓄熱材組成物に対して75.000重量%~99.500重量%の範囲内であると好ましく、80.000重量%~99.500重量%の範囲内であると更に好ましい。
又、核形成材の種類に特に限定は無いが、例えば、水酸化バリウム{Ba(OH)}、塩化バリウム(BaCl)、二酸化バリウム(BaCO)、硫酸バリウム(BaSO)、硝酸バリウム{Ba(NO}、臭化カリウム(KBr)、臭化ナトリウム(NaBr)、塩化ストロンチウム(SrCl)、水酸化ストロンチウム{Sr(OH)}等を挙げることが出来る。これらの核形成材は、種類によって、水和物を形成するため、無水物やその水和物を用いても良いし、これらを適宜組み合わせても良い。
又、核形成材は、1種類でも良いし、2種類以上を適宜組み合わせても良い。核形成材を2種類以上添加する場合、その割合に特に限定は無く、例えば、第一の核形成材の水酸化バリウムと第二の核形成材の水酸化ストロンチウムとの混合割合は、重量比で1.0:0.2~1.0:2.0の範囲内であると好ましく、重量比で1.0:0.5~1.0:1.5の範囲内であると更に好ましい。
又、核形成材の濃度に特に限定は無いが、例えば、全蓄熱材組成物に対して0.001重量%~0.100重量%の範囲内であると好ましく、0.001重量%~0.050重量%の範囲内であると更に好ましい。
又、核形成補助材のケイ素含有微粉末の種類に特に限定は無いが、例えば、フライアッシュ、シリカゲル、珪砂(石英砂)、ガラスビーズ、スラグ粉末、シリカセメント、珪藻土、マイクロシリカ(珪石粉末)等を挙げることが出来る。これらのケイ素含有微粉末は、1種類でも良いし、2種類以上を適宜組み合わせても良い。
又、ケイ素含有微粉末の平均粒子径に特に限定は無いが、例えば、0.01μm~100.00μmの範囲内であると好ましく、0.1μm~50.00μmの範囲内であると更に好ましい。尚、ケイ素含有微粉末の平均粒子径は、例えば、光子相関法(動的光散乱法)やレーザ回折/散乱法(静的光散乱法)を採用して測定することが出来る。
又、核形成補助材の炭素含有微粉末の種類に特に限定は無いが、例えば、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)微粉末、カーボンファイバー微粉末、カーボンナノチューブ微粉末等を挙げることが出来る。これらの炭素含有微粉末は、1種類でも良いし、2種類以上を適宜組み合わせても良い。
ここで、カーボンブラックとは、天然ガス、炭化水素ガスの気相熱分解や不完全燃焼によって生成する微粉の球状又は鎖状の導電性物質を意味する。カーボンブラックの種類に特に限定は無いが、例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等を挙げることが出来る。これらの種類のカーボンブラックは適宜組み合わせても良い。
又、炭素含有微粉末の平均粒子径に特に限定は無いが、例えば、0.01μm~100.00μmの範囲内であると好ましく、0.1μm~50.00μmの範囲内であると更に好ましい。尚、炭素含有微粉末の平均粒子径は、上述と同様に、例えば、光子相関法やレーザ回折/散乱法を採用して測定することが出来る。
又、核形成補助材は、1種類でも良いし、2種類以上を適宜組み合わせても良い。核形成補助材を2種類以上添加する場合、その割合に特に限定は無く、例えば、第一の核形成補助材のケイ素含有微粉末と第二の核形成材の炭素含有微粉末との混合割合は、重量比で1.0:0.2~1.0:2.0の範囲内であると好ましく、重量比で1.0:0.5~1.0:1.5の範囲内であると更に好ましい。
又、核形成補助材の濃度に特に限定は無いが、例えば、全蓄熱材組成物に対して0.05重量%~5.000重量%の範囲内であると好ましく、0.10重量%~3.000重量%の範囲内であると更に好ましい。
又、核形成材と核形成補助材との混合比率に特に限定は無いが、例えば、核形成材と核形成補助材との混合割合は、重量比で1.0:0.2~1.0:2.0の範囲内であると好ましく、重量比で1.0:0.5~1.0:1.5の範囲内であると更に好ましい。
又、蓄熱材組成物は、固液相変化材と核形成材と核形成補助材以外に他の添加物を添加しても構わない。他の添加物として、例えば、融点調整材、増粘材等を挙げることが出来る。他の添加物の濃度は、全蓄熱材組成物に対して0.001重量%~20.000重量%の範囲内であると好ましく、0.001重量%~10.000重量%の範囲内であると更に好ましい。
又、蓄熱材組成物の使用方法に特に限定は無いが、例えば、蓄熱材組成物を容器に充填・密封した物を蓄熱資材として使用する方法を挙げることが出来る。蓄熱材組成物の熱伝導率が高いため、容器の形状に特に限定は無く、例えば、板状、円柱状等、用途に合わせて適宜設計変更可能である。
又、蓄熱材組成物の用途に特に限定は無く、例えば、冷暖房設備、工場の排熱回収設備、ビニールハウス等の農業関連設備、端末装置、携帯端末装置等の電子機器、自動車・バス等に利用される位置特定装置等の蓄熱資材として用いることが出来る。蓄熱資材の利用方法としては、昼間の周囲環境から蓄熱し、夜間の周囲環境へ放熱することで、熱エネルギーの有効利用を図ることが出来る。特に、本発明に係る蓄熱材組成物は、高温環境下であっても蓄熱・放熱が可能となるため、
以下に、本発明における実施例、比較例等を具体的に説明するが、本発明の適用が本実施例などに限定されるものではない。
<実施例1>
固液相変化材(硝酸亜鉛六水和物){Zn(NO・6HO}を99.495重量%、核形成材(水酸化バリウム){Ba(OH)}を0.005重量%、核形成補助材(フライアッシュ)を0.500重量%に調整して蓄熱材組成物を製造した。蓄熱材組成物の凝固点(融点)は、硝酸亜鉛により35℃に設定した。この製造した蓄熱材組成物を実施例1とした。尚、核形成材の濃度は、核形成補助剤の効果を確認するために、低濃度としている。
<比較例1>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を99.980重量%とし、核形成材として、水酸化バリウム0.010重量%とともに、塩化ストロンチウム二水和物(SrCl・2HO)を0.010重量%添加し、核形成補助材を添加しないこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を比較例1とした。
<実施例2>
実施例1の蓄熱材組成物において、核形成補助材のフライアッシュをカーボンブラック(ファーネスブラック)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例2とした。
<実施例3>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を98.995重量%とし、核形成補助材として、フライアッシュ0.500重量%とともにシリカゲルを0.500重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例3とした。
<実施例4>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を99.480重量%とし、核形成材として、水酸化バリウム0.010重量%とともに、塩化ストロンチウム二水和物を0.010重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例4とした。
<実施例5>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を99.485重量%とし、核形成材として、水酸化バリウム0.010重量%とともに、塩化ストロンチウム二水和物を0.010重量%添加し、核形成補助材のフライアッシュをカーボンブラック(ファーネスブラック)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例5とした。
<実施例6>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を98.985重量%とし、核形成材として、水酸化バリウム0.010重量%とともに、塩化ストロンチウム二水和物を0.010重量%添加し、核形成補助材として、フライアッシュ0.500重量%とともにシリカゲルを0.500重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例6とした。
<評価方法>
実施例1-6と、比較例1の蓄熱材組成物について、各蓄熱材組成物の周囲温度を所定の時間で約80℃から約30℃まで下げた(冷却)後に、再び約30℃から80℃まで上げる(加熱)操作のヒートサイクルを所定回数繰り返すことで、各蓄熱材組成物の温度変化を測定した。
<評価結果>
図1には、実施例1-3と、比較例1の蓄熱材組成物の成分表を示す。図2には、5回目のヒートサイクルにおける実施例1-3と、比較例1の蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示す。図2に示すように、ヒートサイクルの冷却時において、2種類の核形成材の水酸化バリウムと塩化ストロンチウムが添加されている比較例1の蓄熱材組成物では、過冷却を起こして、グラフの立ち上がりが見られないことが理解される。一方、1種類の核形成材に1種類のケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末の核形成補助材を添加されている実施例1-2の蓄熱材組成物では、過冷却を起こさずに、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが見られていることが理解される。更に、1種類の核形成材に2種類のケイ素含有微粉末の核形成補助材を添加されている実施例3の蓄熱材組成物では、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
又、ヒートサイクルの加熱時において、実施例1-3の蓄熱材組成物では、比較例1の蓄熱材組成物と比較して、単位時間当たりの加熱温度が大きく、加熱速度が速くなり、グラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
図3には、実施例4-6と、比較例1の蓄熱材組成物の成分表を示す。図4には、5回目のヒートサイクルにおける実施例4-6と、比較例1の蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示す。図4に示すように、ヒートサイクルの冷却時において、2種類の核形成材に1種類のケイ素含有微粉末の核形成補助材を添加されている実施例4-5の蓄熱材組成物では、上述と同様に、過冷却を起こさずに、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが見られていることが理解される。更に、2種類の核形成材に2種類のケイ素含有微粉末の核形成補助材を添加されている実施例6の蓄熱材組成物では、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
又、ヒートサイクルの加熱時において、実施例4-6の蓄熱材組成物では、比較例1の蓄熱材組成物と比較して、単位時間当たりの加熱温度が大きく、加熱速度が速くなり、グラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
<実施例7>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を97.985重量%とし、核形成材として、水酸化バリウム0.005重量%とともに、塩化ストロンチウム二水和物を0.010重量%添加し、核形成補助材として、フライアッシュを0.500重量%、シリカゲルを0.500重量%、カーボンブラックを1.000重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例7とした。
<実施例8>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を97.985重量%とし、核形成材として、水酸化バリウム0.005重量%とともに、塩化ストロンチウム二水和物を0.010重量%添加し、核形成補助材として、フライアッシュを0.500重量%、シリカゲルを1.000重量%、カーボンブラックを0.5重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例8とした。尚、図5には、実施例7-8の蓄熱材組成物の成分表を示す。実施例7-8については、冷却温度を約15℃とし、加熱温度を約80度として、上述と同様の評価方法で評価した。
<評価結果>
図6には、15回目から17回目までのヒートサイクルにおける実施例7-8の蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示す。又、図6には、雰囲気温度も併せて示した。図6に示すように、ヒートサイクルの冷却時において、3種類の核形成補助材を添加されている実施例7-8の蓄熱材組成物では、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが見られていることが理解される。又、ヒートサイクルの加熱時において、実施例7-8の蓄熱材組成物では、単位時間当たりの加熱温度が大きく、加熱速度が速くなり、グラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
<実施例9>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を98.995重量%とし、核形成材として、水酸化バリウムを0.005重量%添加し、塩化ストロンチウム二水和物を転嫁せず、核形成補助材として、フライアッシュを添加せず、シリカゲルを0.500重量%、カーボンブラックを0.500重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例9とした。尚、図7には、実施例1-2、9の蓄熱材組成物の成分表を示す。実施例1-2、9については、冷却温度を約15℃とし、加熱温度を約80度として、上述と同様の評価方法で評価した。
<評価結果>
図8には、35回目のヒートサイクルにおける実施例1-2、9の蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示す。又、図8には、雰囲気温度も併せて示した。図8に示すように、ヒートサイクルの冷却時において、1種類の核形成材と2種類の核形成補助材を添加されている実施例9の蓄熱材組成物であっても、実施例1-2の蓄熱材組成物と同様に、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが見られ、且つ、放熱に対するグラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
<実施例10>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を99.485重量%とし、核形成材として、水酸化バリウム0.005重量%とともに、塩化ストロンチウム二水和物を0.010重量%添加し、核形成補助材として、フライアッシュとシリカゲルを添加せずに、カーボンブラックを0.500重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例10とした。尚、図9には、実施例5、10の蓄熱材組成物の成分表を示す。実施例5、10については、冷却温度を約15℃とし、加熱温度を約80度として、上述と同様の評価方法で評価した。
<評価結果>
図10には、25回目のヒートサイクルにおける実施例5、10の蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示す。又、図10には、雰囲気温度も併せて示した。図10に示すように、ヒートサイクルの冷却時において、2種類の核形成材と1種類の核形成補助材を添加されている実施例10の蓄熱材組成物であっても、実施例5の蓄熱材組成物と同様に、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが見られ、且つ、放熱に対するグラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
<実施例11>
実施例1の蓄熱材組成物において、固液相変化材を99.490重量%とし、核形成材として、水酸化バリウムを添加せず、塩化ストロンチウム二水和物を0.010重量%添加し、核形成補助材として、フライアッシュとシリカゲルを添加せずに、カーボンブラックを0.500重量%添加したこと以外は、実施例1と同様にして調整して蓄熱材組成物を製造した。この製造した蓄熱材組成物を実施例11とした。尚、図11には、実施例11の蓄熱材組成物の成分表を示す。実施例11については、冷却温度を約15℃とし、加熱温度を約80度として、上述と同様の評価方法で評価した。
<評価結果>
図12には、6回目のヒートサイクルにおける実施例11の蓄熱材組成物の温度変化のグラフを示す。又、図12には、雰囲気温度も併せて示した。図12に示すように、ヒートサイクルの冷却時において、1種類の核形成材と1種類の核形成補助材を添加されている実施例11の蓄熱材組成物であっても、上述と同様に、吸熱に対応するグラフの立ち上がりが見られ、且つ、放熱に対するグラフの立ち上がりが早くなっていることが理解される。
これにより、硝酸亜鉛を含む固液相変化材と、核形成材とに、ケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末を含む核形成補助材を添加することで、高温環境下であっても、蓄熱・放熱が可能となるとともに、安定的に繰り返し使用が可能となることが分かった。
以上のように、本発明に係る蓄熱材組成物は、様々な分野における蓄熱資材に有用であり、高温環境下であっても、蓄熱・放熱が可能となるとともに、安定的に繰り返し使用が可能な蓄熱材組成物として有効である。

Claims (3)

  1. 硝酸亜鉛を含む固液相変化材と、
    核形成材と、
    ケイ素含有微粉末又は炭素含有微粉末を含む核形成補助材と、
    を含有する蓄熱材組成物。
  2. 前記核形成材は、水酸化バリウム又は塩化ストロンチウムであり、
    前記ケイ素含有微粉末は、フライアッシュ又はシリカゲルであり、
    前記炭素含有微粉末は、カーボンブラックである、
    請求項1に記載の蓄熱材組成物。
  3. 前記核形成材の濃度は、全蓄熱材組成物に対して0.001重量%~0.100重量%の範囲内であり、
    前記核形成補助材の濃度は、全蓄熱材組成物に対して0.050重量%~5.000重量%の範囲内である、
    請求項2に記載の蓄熱材組成物。
JP2021152700A 2020-09-23 2021-09-18 蓄熱材組成物 Pending JP2022052748A (ja)

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