以下、図面を参照し、本発明の制御装置、制御方法、及びプログラムの実施形態について説明する。以下では、一例として、制御装置が自動運転車両(自動運転が可能な車両)に適用された実施形態について説明する。自動運転とは、例えば、自動的に車両の操舵または速度のうち、一方または双方を制御して運転制御を実行することである。上述した車両の運転制御には、例えば、ACC(Adaptive Cruise Control System)や、ALC(Auto Lane Changing)、LKAS(Lane Keeping Assistance System)、CC(Cruise Control)といった種々の運転制御が含まれてよい。自動運転車両は、乗員(運転者)の手動運転によって運転が制御されることがあってもよい。
[全体構成]
図1は、実施形態に係る制御装置を利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせを含む。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、運転操作子80と、自動運転制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR14と、物体認識装置16とを組み合わせたものが「外界センサ」の一例である。自動運転制御装置100のうち少なくとも第3制御部170を含む構成は、「制御装置」の一例である。
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面、車体の前頭部等に取り付けられる。後方を撮像する場合、カメラ10は、リアウインドシールド上部やバックドア等に取り付けられる。側方を撮像する場合、カメラ10は、ドアミラー等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波等の電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度等を認識する。物体には、例えば、他車両、歩行者、自転車、道路構造物等が含まれる。道路構造物には、例えば、道路標識や交通信号機、踏切、縁石、中央分離帯、ガードレール、フェンス等が含まれる。また、道路構造物には、例えば、路面に描画または貼付された道路区画線(以下、区画線と称する)や横断歩道、自転車横断帯、一時停止線等の路面標識が含まれてもよい。また、物体には、道路上の落下物(例えば、他車両の積み荷や道路周辺に設置されていた看板)等の障害物が含まれてよい。物体認識装置16は、認識結果を自動運転制御装置100に出力する。なお、物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま自動運転制御装置100に出力してよい。その場合、車両システム1または外界センサの構成から物体認識装置16が省略されてもよい。また、物体認識装置16は、自動運転制御装置100に含まれていてもよい。
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN(Local Area Network)、WAN(WiDe Area Network)、インターネット等のネットワークを利用して、例えば、車両Mの周辺に存在する他車両、車両Mを利用する利用者の端末装置、或いは各種サーバ装置と通信する。
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、例えば、表示装置32と、スイッチアッセンブリ34とを備える。表示装置32は、「表示部」の一例である。スイッチアッセンブリ34および運転操作子80は、「受付部」の一例である。表示装置32は、例えば、第1表示部32Aと、第2表示部32Bとを備える。スイッチアッセンブリ34は、例えば、第1スイッチ34Aと、第2スイッチ34Bとを備える。HMI30は、更に、スピーカや、ブザー、タッチパネル等を備えてもよい。
図2は、自車両Mの車内の様子を模式的に示す図である。例えば、第1表示部32Aは、インストルメントパネルIPにおける運転席(ステアリングホイールSWに最も近い座席)の正面付近に設けられ、乗員がステアリングホイールの間隙から、或いはステアリングホイール越しに視認可能な位置に設置される。第1表示部32Aは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。第1表示部32Aには、自車両Mの手動運転時または自動運転時の走行に必要な情報(以下、運転支援情報と称する)が画像として表示される。手動運転時の自車両Mの走行に必要な情報とは、例えば、自車両Mの速度、エンジン回転数、燃料残量、ラジエータ水温、走行距離、シフトレバーの状態、その他の情報である。自動運転時における自車両Mの走行に必要な情報とは、例えば、自動運転制御装置100により設定された自車両Mが走行すべき車線(後述するホームレーン)、将来の目標軌道、車線変更の有無および車線変更先の車線、認識した車線(区画線)や他車両等の情報である。また、自動運転時における自車両Mの走行に必要な情報には、手動運転時の自車両Mの走行に必要な情報の一部または全部が含まれてよい。
第2表示部32Bは、例えば、インストルメントパネルIPの中央付近に設置される。
第2表示部32Bは、例えば、第1表示部32Aと同様に、LCDや有機EL表示装置等である。第2表示部32Bには、例えば、ナビゲーション装置50によるナビゲート結果を示す画像等が表示される。また、第2表示部32Bは、テレビ番組を表示したり、DVDを再生したり、ダウンロードされた映画等のコンテンツを表示してもよい。また、第2表示部32Bには、運転支援情報が表示されてもよい。この場合、第2表示部32Bは、第1表示部32Aに表示された運転支援情報の内容と異なる運転支援情報の内容が表示されてもよく、同一の内容が表示されてもよい。また、また、第1表示部32Aおよび第2表示部32Bに同一の内容が表示される場合には、異なる表示態様で表示されてもよく、同一の表示態様で表示されてもよい。表示態様とは、例えば、車両や道路状況等を示すオブジェクト画像や文字情報の色や大きさ、形状、模様、輝度、表示レイアウト等である。
また、表示装置32には、例えば、HUD(Head Up Display)が含まれていてもよい。HUDは、第1表示部32Aよりも高い位置に配置される。HUDは、所定の結像部に映像を投影する。HUDは、例えば、運転席前方のフロントウインドシールドの一部に画像を投影することで、運転席に着座した乗員の眼に虚像を視認させる。HUDには、例えば、運転支援情報が表示される。この場合、他の表示部とは異なる内容や表示態様で表示されてもよい。上述の各表示部への表示制御は、後述するHMI制御部にて制御される。
スイッチアッセンブリ34は、例えば、図2に示すようにステアリングホイールSWに取り付けられる。第1スイッチ34Aと第2スイッチ34Bは、物理的に互いに独立したスイッチである。例えば、第1スイッチ34Aが操作された場合、例えば、オンオフ操作によって自車両Mの運転モード(手動運転モードと自動運転モード)が相互に切り替わる。また、自動運転モードの実行中に第2スイッチ34Bが操作された場合、例えば、オンオフ操作によって、スイッチに設定された特定の自動運転イベント(例えば、後述する車線変更イベントや追い越しイベント等)の実行またはキャンセルされる。
ここで、手動運転モードとは、乗員の運転操作に応じて、自車両Mの速度および操舵が制御されるモードである。自動運転モードとは、乗員の運転操作に依らずに、自車両Mの速度または操舵の一方または双方が制御されるモードである。例えば、自動運転モード下では、ACCやCC、LKAS、ALC等の制御が行われる。
例えば、手動運転モード下において、乗員が第1スイッチ34Aを操作して第1スイッチ34Aをオン状態にした場合、自車両Mの運転モードは、手動運転モードから自動運転モードに遷移する。また、自動運転モード下において、乗員が第2スイッチ34Bを操作して第2スイッチ34Bをオン状態にした場合、自車両Mの運転モードは、第2スイッチ34Bに対応付けられた特定の自動運転イベントに遷移する。また、乗員が第1スイッチ34Aをオン状態からオフ状態にした場合には、自動運転モードから手動運転モードに遷移し、特定の自動運転イベントの実行直前または実行中に第2スイッチ34Bをオン状態からオフ状態にした場合には、その自動運転イベントがキャンセルされる。なお、スイッチアッセンブリ34のスイッチの位置や数、種類等については、上述の例に限定されない。
図1に戻り、車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。また、車両センサ40は、車両Mの位置を検出する位置センサが設けられていてもよい。位置センサは、例えば、GPS(Global Positioning System)装置から位置情報(経度・緯度情報)を取得するセンサである。また、位置センサは、ナビゲーション装置50のGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51を用いて位置情報を取得するセンサであってもよい。車両センサ40により検出した結果は、自動運転制御装置100に出力される。
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キー等を含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報等を含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。
ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリ等の記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、例えば、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報、車線の種別の情報等を含んでいる。また、第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。上述した第1地図情報54および第2地図情報62(以下、単に「地図情報」と称する)は、記憶部190に記憶されていてもよい。
運転操作子80は、例えば、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、ステアリングホイールSW、方向指示器、ジョイスティック、その他の操作子を含む。方向指示器は、自車両Mの右折や左折、車線変更等、自車両Mが横方向に移動することを自車両Mの周囲に知らせるための機器である。また、運転操作子80の各操作子には、操作量あるいは操作の有無を検出するセンサが取り付けられている。センサは、例えば、ステアリングホイールの操舵角や操舵トルク、アクセルペダルやブレーキペダルの踏込量等を検出する。そして、センサは、検出結果を自動運転制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一方または双方に出力する。
自動運転制御装置100は、例えば、第1制御部120と、第2制御部160と、第3制御部170と、記憶部190とを備える。第1制御部120、第2制御部160、および第3制御部170は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め自動運転制御装置100の記憶部190に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶部190にインストールされてもよい。
記憶部190は、例えば、HDD、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはRAM(Random Access Memory)等により実現される。記憶部190は、例えば、本実施形態に係る制御処理に必要な情報や、プロセッサによって読み出されて実行されるプログラム等を格納する。また、記憶部190には、地図情報が格納されていてもよい。
図3は、第1制御部120、第2制御部160、および第3制御部170の機能構成図である。行動計画生成部140と、第2制御部160と、第3制御部170とを合わせたものは、「運転制御部」の一例である。
第1制御部120は、例えば、認識部130と、行動計画生成部140とを備える。第1制御部120は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示等がある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。
認識部130は、外界センサから得られた情報に基づいて、自車両Mの周辺に存在する物体を認識する。認識部130により認識される物体は、例えば、自転車、オートバイク、四輪自動車、歩行者、道路脇等に設置された道路標識、道路面に形成された道路標示、区画線、電柱、ガードレール、落下物等を含む。また、認識部130は、物体の位置や、速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心等)を原点とした相対座標上の位置(すなわち自車両Mに対する相対位置)として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、表現された領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、あるいは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
また、認識部130は、自車両Mの位置情報に基づいて地図情報を参照し、自車両Mが走行する道路の形状や車線数、車線ごとの幅、法定速度等の規制情報、道路区間が自動運転許可区間であるか否か等の道路情報を認識してもよい。また、認識部130は、外界センサから得られた情報と、地図情報から得られた情報とを照合して、最終的に周辺状況を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。
認識部130は、例えば、自車線(自車両Mが走行する車線)を認識する際に、自車線に対する自車両Mの相対位置や姿勢を認識する。認識部130は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、自車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、認識部130は、自車線のいずれかの側端部(区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置等を、自車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。また、認識部130は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
行動計画生成部140は、推奨車線が決定された経路において、自車両Mが自動運転下にある場合、その自動運転の走行態様を決定する。以下、自動運転の走行態様を規定した情報をイベントと称して説明する。
イベントには、例えば、自車両Mを一定の速度で同じ車線を走行させる定速走行イベント、自車両Mの前方の所定距離以内(例えば100[m]以内)に存在し、自車両Mに最も近い他車両(前走車両)に自車両Mを追従させる追従走行イベントが含まれる。「追従する」とは、例えば、自車両Mと前走車両との車間距離(相対距離)を一定に維持させる走行態様であってもよいし、自車両Mと前走車両との車間距離を一定に維持させることに加えて、自車両Mを自車線の中央で走行させる走行態様であってもよい。また、イベントには、例えば、自車両Mを自車線から隣接車線へと車線変更させる車線変更イベント、道路の分岐地点で自車両Mを目的地方面に進行する車線に分岐させる分岐イベント、合流地点で自車両Mを本線に合流させる合流イベント、自動運転を終了して手動運転に切り替えるためのテイクオーバーイベント等が含まれてよい。また、イベントには、例えば、自車両Mを一旦隣接車線に車線変更させて前走車両を隣接車線において追い越してから再び元の車線へと車線変更させる追い越しイベント、自車両Mの前方に存在する障害物を回避するために自車両Mに制動および操舵の少なくとも一方を行わせる回避イベント等が含まれてよい。
行動計画生成部140は、例えば、自車両Mの走行時に認識部130により認識された周辺の状況に応じて、現在の区間に対して既に決定したイベントを他のイベントに変更したり、現在の区間に対して新たなイベントを決定したりしてよい。また、行動計画生成部140は、車載機器(例えば、スイッチアッセンブリ34や運転操作子80)に対する乗員の操作に応じて、現在の区間に対して既に決定したイベントを他のイベントに変更したり、現在の区間に対して新たなイベントを決定してもよい。
また、行動計画生成部140は、認識部130により認識された周辺の状況や、車載機器に対する乗員の操作等に基づいて、既に実行することが決定された実行直前のイベントまたは実行途中のイベントを中心してもよい。例えば、行動計画生成部140は、乗員が方向指示器を作動させた場合に、現在の区間に対して既に決定したイベントを車線変更イベントに変更したり、現在の区間に対して新たに車線変更イベントを実行する。また、行動計画生成部140は、車線変更イベントの実行直前または実行途中で方向指示器の作動を停止させた場合に、実行直前または実行中の車両変更イベントを中止し、他のイベント等を実行する。
また、行動計画生成部140は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を自車両Mが走行し、更に、自車両Mが推奨車線を走行する際に周辺の状況に対応するため、イベントにより規定された走行態様で自車両Mを自動的に(運転者の操作に依らずに)走行させる将来の目標軌道を生成する。目標軌道には、例えば、将来の自車両Mの位置を定めた位置要素と、将来の自車両Mの速度等を定めた速度要素とが含まれる。
例えば、行動計画生成部140は、自車両Mが順に到達すべき複数の地点(軌道点)を、目標軌道の位置要素として決定する。軌道点は、所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点である。所定の走行距離は、例えば、経路に沿って進んだときの道なり距離によって計算されてよい。また、行動計画生成部140は、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度を、目標軌道の速度要素として決定する。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度は、サンプリング時間および軌道点の間隔によって決定される。
また、行動計画生成部140は、後述するホームレーン決定部174により決定されたホームレーンに基づいて目標軌道を生成したり、既に生成された目標軌道を調整してもよい。行動計画生成部140は、生成した目標軌道を示す情報を、第2制御部160および第3制御部170に出力する。
第2制御部160は、行動計画生成部140によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。第2制御部160は、例えば、第1取得部162と、速度制御部164と、操舵制御部166とを備える。
第1取得部162は、行動計画生成部140から目標軌道(軌道点)の情報を取得し、記憶部190のメモリに記憶させる。速度制御部164は、メモリに記憶された目標軌道に含まれる速度要素(例えば目標速度や目標加速度等)に基づいて、走行駆動力出力装置200およびブレーキ装置210の一方または双方を制御する。操舵制御部166は、メモリに記憶された目標軌道に含まれる位置要素(例えば目標軌道の曲り具合を表す曲率等)に応じて、ステアリング装置220を制御する。速度制御部164および操舵制御部166の処理は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御部166は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するパワーECU(Electronic Control Unit)とを備える。パワーECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、第2制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。
電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、第2制御部160から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
第3制御部170は、例えば、第2取得部172と、ホームレーン決定部174と、HMI制御部176とを備える。ホームレーン決定部174は、「基準車線決定部」の一例である。HMI制御部176は、「表示制御部」の一例である。
第2取得部172は、認識部130による認識結果の情報を取得すると共に、行動計画生成部140により生成された目標軌道や推奨車線の情報を取得する。
ホームレーン決定部174は、第2取得部172により取得された情報に基づいて、認識部130により認識された走行中の道路に含まれる1または複数の車線のうち、何れかの車線をホームレーンに決定する。ホームレーンは、「基準車線」の一例である。ホームレーンとは、例えば、システム側(自動運転制御装置100側)が自車両Mを走行させるのに合理的と判断した車線、或いは、乗員が方向指示器等を操作することで指示した自車両Mの走行すべき車線である。例えば、ホームレーン決定部174は、運転モードが自動運転モードに変わったタイミングや、イベントが変更したタイミング、周辺状況が変化したタイミング等の場合に、ホームレーンを決定する。例えば、また、ホームレーン決定部174は、第2取得部172により取得された推奨車線に基づいてホームレーンを決定してもよい。しかしながら、例えば、目的地に至る経路の途中に分岐地点や合流地点が存在したり、前走車両を追い越したりする必要が生じた場合に、自車両Mが走行すべき車線は動的に移り変わる。従って、ホームレーン決定部174は、運転モードが自動運転モードに切り替わったときに決定したホームレーンを、自車両Mの周辺の状況や乗員の指示に応じて柔軟に変更する。ホームレーン決定部174は、ホームレーンに関する情報を行動計画生成部140に出力する。ホームレーン決定部174の機能の詳細については後述する。
HMI制御部176は、第2取得部172によって取得された情報に基づいてHMI30を制御し、HMI30に各種情報を出力させる。例えば、HMI制御部176は、外界センサや地図情報から認識された自車線や隣接車線等が認識された道路に擬した第1レイヤ画像と、自車両Mに擬した第2レイヤ画像とを重畳させて、HMI30の表示装置32(例えば、第1表示部32A)に表示させる。また、HMI制御部176は、認識部130により認識された他車両に擬した第3レイヤ画像や、ホームレーン決定部174により決定されたホームレーンに擬した第4レイヤ画像、行動計画生成部140によって生成された目標軌道に擬した第5レイヤ画像等を第1レイヤ画像上に重畳させて、表示装置32に表示させてもよい。第3レイヤ画像には、例えば、前方車両や後方車両等のように自車両Mから所定距離以内の周辺車両等が含まれる。例えば、HMI制御部176は、実際の道路(または車線)の位置や形状と、自車両M、他車両、ホームレーン、および目標軌道との位置関係に対応付けて、第1レイヤ画像上に第2~第5レイヤ画像を重畳する。
また、HMI制御部176は、上述した第1~第5レイヤ画像に加えて、その他の自車両Mの状態に関する情報(例えば、自車両Mの速度や、エネルギー残量、走行する車線の法定速度、シフトレバーの状態、走行距離)や、その他の情報(例えば、外気温や時刻)を示す画像を表示装置32に表示させてもよい。また、HMI制御部176は、表示装置32に表示する画像に含まれる情報の一部または全部をHMI30から音声出力してもよい。なお、自車両Mの運転モードが手動運転モードである場合には、第4レイヤ画像および第5レイヤ画像は生成されない。したがって、HMI制御部176は、手動運転モードの実行時には、第1レイヤ画像上に第2~第3レイヤ画像を重畳させて表示装置32に表示させる。
図4は、手動運転モードの場合に表示装置32に表示される画像IM1の一例を示す図である。画像IM1には、例えば、走行状態表示領域AR1が含まれる。走行状態表示領域AR1には、例えば、車線LN1~LN3を含む道路RD1示す第1レイヤ画像が表示されている。また、表示状態表示領域AR1には、HMI制御部176の制御により、自車両Mの実際に存在する走行車線(車線LN2)の位置に対応させて、自車両Mを擬した第2レイヤ画像が、第1レイヤ画像の車線LN2を擬した画像上に重畳表示されている。また、画像IM1には、表示状態表示領域AR1に表示される画像に加えて、車両状態(例えば、自車両Mの速度、シフト状態、エネルギー残量、運転モード)や、他の情報(例えば、外気温、時刻)を示す画像が含まれる。
図5は、自動運転モードの場合に表示装置32に表示される画像IM2の一例を示す図である。画像IM1と画像IM2とを比較すると、画像IM2に含まれる走行状態表示領域AR2には、画像IM1に含まれる表示状態表示領域AR1に表示される画像に加え、ホームレーンHLを示す第4レイヤ画像や目標軌道TRを示す第5レイヤ画像が、第1レイヤ画像に含まれる車線および自車両Mの位置に対応付けられた位置に重畳して表示されている。例えば、ホームレーンHLを示す第4レイヤ画像は、他の車線と異なる色で色または模様等により識別可能な表示態様で表示される。なお、画像IM1およびIM2において、自車両Mの周辺に周辺車両(他車両)が存在する場合には、他車両を擬した第3レイヤ画像が、実際の位置に対応付けられた第1レイヤ画像の位置に重畳して表示される。また、自車両Mに目的地が設定されていない場合、自動運転モードは、道なりに走行する自動運転となる。この場合、HMI制御部176は、ホームレーンHLを示す第4レイヤ画像を表示させない。
HMI制御部176は、図4および図5に示すように、自車両Mの運転モードが手動運転モードである場合と、自動運転モードである場合とで、第1レイヤ画像に重畳させる他のレイヤ画像の種類を異ならせて表示させる。また、HMI制御部176は、第1レイヤ画像に他のレイヤ画像を重畳させた画像を生成し、生成さいた画像を表示装置32に表示させてもよい。
次に、実施形態における運転モードの状態遷移について説明する。図6は、運転モードの状態遷移図の一例を示す図である。図中S1は、自動運転モードの一つである自動車線変更モードを表し、S2は、自動車線変更モードS1以外の他の運転モード、すなわち、少なくともALCは行われない自動運転モードまたは手動運転モードを表している。他の運転モードS2に含まれる自動運転モードは、具体的には、ACCおよびLKASを並行して行ったり、混雑した道路上で自車両Mの操舵および速度を制御するTJP(Traffic Jam Pilot)を行ったりする自動運転モードである。
例えば、その他の運転モードの状態から自動車線変更モードS1への遷移条件を満たす場合に、その他の運転モードから自動車線変更モードに切り替わってイベントが実行される。遷移条件は、例えば、自動運転が実行中であって、且つ第2スイッチ34Bがオン状態になるように操作されることや、方向指示器が操作され、自動車線変更モードS1下で行われるALCの実行指示を受け付けることである。
一方、自動車線変更モードS1から他の自動運転モードS2への遷移条件は、例えば、自動車線変更モードS1の解除条件が満たされることである。解除条件には、例えば、第2スイッチ34Bがオフ状態になることや、方向指示器による指示を戻すように操作され、自動車線変更モードS1下で行われるALCを中止する指示を受けることである。これらの解除条件は、何れも車線変更を中止したいという乗員の意図に基づく解除条件である。
図6の例において、自動車線変更モードS1には、実行モードS1-1と、一時停止モードS1-2とが含まれる。実行モードS1-1下ではALCが行われ、一時停止モードS1-2下ではALCが一時的に停止する。一時停止モードS1-2下において実行条件を満たすと、一時停止モードS1-2から実行モードS1-1へと状態が遷移する。
実行条件には、例えば、自車両Mの進行方向の前方に合流地点や分岐地点が存在しないこと、各種センサが正常に機能しており認識部130が自車両Mの周辺状況を認識できていること、自車両Mの速度が閾値(例えば60[kph])未満であること、道路の曲率が閾値未満であること、自車両Mに生じる車幅方向の加速度(横加速度ともいう)が閾値未満であること、自車線を区画する区画線が車線変更を禁止する特定の区画線でないこと、認識部130が自車線を区画する区画線を認識できていること等が含まれる。また、実行条件には、行動計画生成部140が周辺車両とのTTC(Time To Collision;衝突余裕時間)等に基づいて隣接車線への車線変更が可能と判定すること等が含まれてよい。
これらの種々の条件を含む実行条件が満たされない場合、実行モードS1-1から一時停止モードS1-2へと状態が遷移する。なお、実行条件として例示した上記の種々の条件は、あくまでも一例であり、一部の条件が他の条件に置き換わってもよいし、一部の条件が省略されてもよいし、他の条件が新たに加えられてもよい。
[ホームレーン決定部およびHMI制御部の機能]
次に、ホームレーン決定部174およびHMI制御部176の機能について具体的に説明する。図7A~図7Dは、ホームレーン決定部174およびHMI制御部176について説明するための図(その1~その4)である。図7A~図7Dの例では、自車両Mが自動運転モードで車線LN1~LN3を含む道路RD1を走行している場合に、HMI制御部176がホームレーン決定部174等により得られた情報に基づいて表示装置32に表示させる画像の一例を示している。また、図7A~図7Dの例では、特に自車両Mの周辺状況や運転モードによって、走行状態表示領域AR2に表示される異なる画像(画像IM11~IM14)を示している。
ホームレーン決定部174は、予め決められた複数の決定パターンのうち、何れかの決定パターンに基づいて、ホームレーンを決定する。複数の決定パターンとしては、例えば、以下に示す第1~第3の決定パターンが含まれる。
<第1の決定パターン>
第1の決定パターンは、例えば、乗員によって目的地が設定されている場合に、自車両Mが走行する車線をホームレーンに決定するパターンである。この場合、ホームレーン決定部174は、車線変更を行わずに自車両Mが走行している車線をホームレーンとして決定する。
<第2の決定パターン>
第2の決定パターンは、経路を誘導するための将来走行すべき車線をホームレーンとして決定するパターンである。また、第2の決定パターンは、目的地に到達するために必要な将来走行すべき車線をホームレーンとして決定するパターンである。この場合、予めナビゲーション装置50により自車両Mの目的地が設定され、設定された目的地への自動運転が実行されている。第2の決定パターンにおいて、ホームレーン決定部174は、自車両Mが自車線から目的地方面に向かう車線(例えば、隣接車線)に車線変更させるため、車線変更先の車線をホームレーンとして決定する。つまり、第2の決定パターンでは、経路を誘導するためのホームレーンが決定される。
<第3の決定パターン>
第3の決定パターンは、前走車両を追い越す場合であって、自車両Mが隣接車線(追越車線)を走行して前走車両を追い越した後に戻る元の車線(追い越し前に走行して車線)をホームレーンとして決定するパターンである。この場合、ホームレーン決定部174は、例えば、前走車両を追い越す運転モード(例えば、追い越しイベント)が実行される場合に、隣接車線に車線変更を行い、先行車両を追い越した後に移動する車線をホームレーンとして決定する。
ホームレーン決定部174は、上述した第1~第3の決定パターンのそれぞれに設定された決定条件を満たす場合に、条件を満たした決定パターンによりホームレーンを決定する。
HMI制御部176は、上述した第1~第3の決定パターンによって決定されたホームレーンを示す第4レイヤ画像を生成し、生成した第4レイヤ画像を第1レイヤ画像に重畳させた画像を走行状態表示領域AR1に表示させる。図7Aの例に示す画像IM11は、車線LN1を走行していた自車両Mが、追い越しイベントによって、前走車両m1を追い越すために隣接車線である車線LN2に車線変更した場面で走行状態表示領域AR1に表示される画像である。この場合、ホームレーン決定部174は、第3の決定パターンにより車線LN1(追い越しイベントが実行される前に走行していた車線)をホームレーンHLとして決定する。
なお、HMI制御部176は、第1レイヤ画像の道路RD1上に、自車両Mを示す第2レイヤ画像および他車両m1を示す第3レイヤ画像を重畳して表示させる。また、HMI制御部176は、第1レイヤ画像の車線LN1の領域に、第4レイヤ画像を重畳して表示する。また、HMI制御部176は、目標軌道TRを示す第5レイヤ画像を道路RD1および自車両Mの表示位置に対応した位置に表示させる。これにより、自車両Mの挙動が前走車両m1を追い越した後に車線LN1に戻るように変化することを乗員に理解させ易くすることができる。運転制御部は、追い越しイベントによって、前走車両m1を追い越した後、ホームレーンHLである車線LN1に車線変更する運転制御を実行する。実行後、追い越しイベントが終了し、自車両MはCCやLKAS等の自動運転制御が継続される。
図7Bは、図7Aに示す前走車両m1を自車両Mが追い越した後の場面、または車線LN2がホームレーンで走行中の場面であって、且つ自車両Mが設定した目的地方面に進行するための車線が車線LN3である場合に表示される画像IM12を示している。この場合、ホームレーン決定部174は、第2の決定パターンに基づいて、車線LN1から車線LN3をホームレーンHLとして決定する。HMI制御部176は、第1レイヤ画像の車線LN3の領域に、第4レイヤ画像を重畳させる。また、HMI制御部176は、車線LN2から車線LN3への車線変更に対応付けられた目標軌道TRを示す第5レイヤ画像を、道路RD1および自車両Mの表示位置に対応した位置に重畳させる。そして、HMI制御部176は、重畳させた画像IM12を走行状態表示領域AR1に表示させる。これにより、自車両Mは、自車両Mの挙動が車線LN1へ移動するのではなく、車線LN3に移動することを事前に乗員に予測させることができる。
図7Cは、図7Bに示す場面で車線変更イベントが実行されることが決定した後であって、実際に車線変更イベントが実行される直前または実行途中において、乗員の操作によって、目的地が消去された場合に表示される画像IM13を示している。この場合には、結果的に車線変更イベントが中止されることになり、運転制御部は、自車両Mが現在走行している車線の走行を維持するように目標軌道TRを生成し、生成した目標軌道に沿って自車両Mを走行させる。また、HMI制御部176は、画像IM13および画像IM14目標軌道TRを示す第5レイヤ画像を第1レイヤ画像上に重畳させた画像IM13を走行状態表示領域AR1に表示させる。しかしながら、このような状況の場合には、ホームレーンを決定するタイミングまたは表示内容を切り替えるタイミングによっては、第2の決定パターンで決定されたホームレーンHLの情報が維持され、車線L3の画像上に第4レイヤ画像が重畳されたままとなる可能性がある(図中、画像IM13)。そのため、車線変更がキャンセルされたにも拘わらず車線L3に車線変更が行われると乗員に誤認識させる可能性がある。
そこで、実施形態のホームレーン決定部174は、以下に示す決定処理を用いてホームレーンを決定することで、乗員の意図等によって、イベントの実行途中で制御が切り替わる場合であっても、より適切なレーンマークの決定や表示を可能にする。以下に示す決定処理を用いることで、目的地方面に移動するための車線変更イベントが中止された後に、例えば、図7Dの画像IM14に示すように、その一つ前の追い越しイベントの実行時に表示されていた位置(車線LN1に擬した画像上)に第4レイヤ画像を重畳して表示させたり、自車線の位置(車線LN3に擬した画像上)に第4レイヤ画像を重畳して表示させるといった表示制御を行うことができる。つまり、以下に示す決定処理を用いることで、自車両Mの状態や周辺状況に応じて、より適切なホームレーンの表示を行うことができ、この結果として、表示内容を見る乗員に違和感を与えにくくすることができる。
以下、本実施形態で適用される決定処理を幾つかに分けて具体的に説明する。なお、以下では、決定処理と、決定処理により決定したホームレーンに擬した画像を含む画像を表示させる表示処理とを含めて説明するものとする。
<第1の決定処理>
図8は、第1の決定処理と表示処理の一連の流れの一例を示すフローチャートである。以下の処理は、自車両Mが何らかの運転モードを実行中の間、繰り返し実行されてよい。図8の例において、認識部130は、自車両Mの周辺状況を認識する(ステップS100)。次に、HMI制御部176は、認識された周辺状況に基づいて、道路を示す第1レイヤ画像を生成し(ステップS110)、自車両Mを示す第2レイヤ画像を生成する(ステップ(ステップS120)。第2レイヤ画像は、予め記憶部190等に記憶された自車両を示す画像を用いてもよい。次に、HMI制御部176は、自車両Mの周辺に周辺車両(他車両)が存在する場合に、周辺車両を示す第3レイヤ画像を生成する(ステップS130)。第3レイヤ画像は、予め記憶部190等に記憶された周辺車両を示す画像を用いてもよい。
次に、ホームレーン決定部174は、実行中の自車両Mの運転モードが自動運転モードであるか否かを判定する(ステップS140)。自動運転モードであると判定した場合、ホームレーン決定部174は、ホームレーン決定処理によりホームレーンを決定する(ステップS150)。ステップS150の処理の詳細については後述する。次に、HMI制御部176は、決定されたホームレーンに基づいて第4レイヤ画像を生成する(ステップS160)。次に、HMI制御部176は、自車両Mにホームレーン上を生成させる目標軌道に基づいて、第5レイヤ画像を生成する(ステップS170)。次に、HMI制御部176は、第1レイヤ画像に第2~第5レイヤ画像を重畳させ(ステップS180)、重畳させた画像を表示装置32に表示させる(ステップS190)。
また、ステップS140の処理において、自車両Mの運転モードが自動運転モードでないと判定された場合、HMI制御部176は、第1レイヤ画像に第2~第3レイヤ画像を重畳させ(ステップS200)、重畳させた画像を表示装置32に表示させる(ステップS190)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。
図9は、ステップS150の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、ステップS150の処理は、図8に示す処理とは別の処理として継続して実行されているものである。図9の例において、ホームレーン決定部174は、上述した第1の決定パターンによってホームレーンを決定する場合においてホームレーン候補を決定する第1候補決定処理(ステップS151)と、第2の決定パターンによってホームレーンを決定する場合においてホームレーン候補を決定する第2候補決定処理(ステップS152)と、第3の決定パターンによってホームレーンを決定する場合においてホームレーン候補を決定する第3候補決定処理(ステップS153)とを並列して実行する。「並列して実行する」とは、例えば、自動運転制御装置100がマルチコアを備える(例えば、一つのプロセッサパッケージに複数のプロセッサコアを備える)場合には、それぞれのプロセッサコアを用いて複数の処理を同時に処理することである。また、「並列して実行する」とは、複数の処理を時系列に振り分け、1つのプロセッサコアを用いて時分割で順番に処理させることであってもよい(いわゆる時分割処理)。また、ホームレーン決定部174は、並列処理ではなく、ステップS151~S153の処理を所定の順番で実行してもよい。なお、ステップS151~S153の処理は、ホームレーン候補が決定されない場合が含まれてもよい。ステップS151~ステップS153のそれぞれの処理の詳細については、後述する。
次に、ホームレーン決定部174は、ステップS151~ステップS153のそれぞれの処理結果に対してホームレーン候補の優先度を導出し(ステップS154)、導出した優先度に基づいて最終的なホームレーンを決定する(ステップS155)。これにより、本フローチャートの処理は、終了する。このように、第1の決定処理では、上述した第1~第3の決定パターンによるホームレーンの決定処理を継続して実行し、それぞれの結果に対して優先度等に基づく調停制御を行うことで、イベントの実行直前または実行中にキャンセルされた場合であっても、すぐに現在の自車両Mの状況から他の適切なホームレーンを決定し、システムや表示内容を変更させることができる。
図10は、第1候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図10の例では、第1の決定パターンに基づき、自車両Mの走行している車線がホームレーンとして初期選択されている状態である。この状態において、ホームレーン決定部174は、自車両Mの運転モードが車線変更イベント(自動車線変更モード)に切り替わってから車線変更を実行していないか否かを判定する(ステップS151A)。車線変更を実行していないと判定した場合、ホームレーン決定部174は、自車両Mが複数の道路の追越車線を走行しているか、または車線変更先が三車線以上の道路の中央側の車線(両端の車線ではない車線)か否かを判定する(ステップS151B)。自車両Mが追越車線を走行している、または車線変更先が三車線以上の道路の中央側の車線であると判定した場合、車線変更先の車線をホームレーン候補として決定する(ステップS151C)。
また、ステップS151Aの処理において、車線変更イベントに切り替わってから車線変更していると判定した場合、またはステップS151Bの処理に示す条件を満たしていないと判定した場合、自車線がホームレーン候補となる(ステップS151D)。これにより、本フローチャートは終了する。
図11は、第2候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11の例は、第2の決定パターンに基づき、経路を誘導するための将来走行すべき車線をホームレーンとして決定する処理である。図11の例において、ホームレーン決定部174は、ナビゲーション装置50等によって、自車両Mの目的地が設定されているか否かを判定する(ステップS152A)。目的地が設定されていると判定した場合、ホームレーン決定部174は、目的地方面への車線変更が所定値以内に存在するか否かを判定する。所定値以内とは、例えば、目的地方面への車線への車線変更が実行可能な時間または距離の範囲内であることである。目的地方面への車線変更が所定値以内に存在すると判定した場合、ホームレーン決定部174は、車線変更先の車線をホームレーン候補として決定する(ステップS152C)。これにより、本フローチャートは終了する。
また、ステップS152Aの処理において、目的地が設定されていないと判定した場合、またはステップS152Bの処理において、目的地方面への車線変更が所定値以内に存在しないと判定した場合、本フローチャートの処理は終了する。
図12は、第3候補決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図12の例は、第3の決定パターンに基づき、自車両Mが追越車線を走行して前走車両を追い越した後に、イベント実行前の車線をホームレーンとして決定する処理である。図12の例において、ホームレーン決定部174は、前走車両を追い越すための追い越し制御(追い越しイベントの実行)が必要であるか否かを判定する(ステップS153A)。例えば、ホームレーン決定部174は、自車両Mの速度が前走車両の速度よりも所定速度以上速く、自車両Mと前走車両との距離が所定距離以内である場合に追い越し制御が必要であると判定する。追い越し制御が必要であると判定した場合、ホームレーン決定部174は、既に追越車線を走行中か否かを判定する(ステップS153B)。追越車線を走行中であると判定した場合、ホームレーン決定部174は、追い越し制御が実行される前に走行していた車線をホームレーン候補として決定する(ステップS153C)。これにより、本フローチャートは終了する。
また、ステップS153Aの処理において、追い越し制御が必要でないと判定した場合、またはステップS153Bの処理において、追越車線を走行中でないと判定した場合、本フローチャートの処理は終了する。
次に、ステップS154およびS155の処理について具体的に説明する。図13は、優先度に基づくホームレーンの決定処理を説明するための図である。ホームレーン決定部174は、上述した第1~第3候補決定処理により決定されたホームレーン候補のそれぞれについて、候補車線に関する補正値を導出し(ステップS154A)、経路誘導に関する補正値を導出する(ステップS154B)。補正値とは、例えば後述するインデックス値(指標値)の調整のために設定される値である。次に、ホームレーン決定部174は、誘導経路までの残距離に基づいてスイッチング処理を行い(ステップS154C)、ステップS154AまたはステップS154Bの処理のうち、何れかの処理により得られた補正値をステップS154Dの処理に用いる。ステップS154Dの処理において、ホームレーン決定部174は、それぞれのホームレーン候補のインデックス値を導出する。次に、ホームレーン決定部174は、導出されたインデックス値を優先度とし、優先度の最も高い車線をホームレーンとして決定する(ステップS155)。以下に、ステップS154A~S154Dの処理について具体的に説明する。
ステップS154Aの処理において、ホームレーン決定部174は、自車線と、第1~第3候補決定処理により決定されたホームレーン候補との相対位置に基づいて補正値を導出する。この場合、ホームレーン決定部174は、例えば、自車線の補正値を「0」とし、ホームレーン候補が自車線の右側にある場合は「+1」を付与し、左側にある場合は「-1」を付与する。ホーンレーン候補までの車線数に応じて付与する補正値も増加する。例えば、車線変更する場合において、ホームレーン候補が自車線の右側の隣接車線である場合、ホームレーン決定部174は、そのホームレーン候補に「+1」を付与する。
なお、上述の候補車線には、第1~第3候補決定処理により決定されたホームレーンに代えて(または加えて)、乗員の選択に基づく車線が含まれていてもよい。乗員の選択に基づく車線とは、例えば、乗員の方向指示器の操作によって選択された方向に存在する隣接車線である。ホームレーン決定部174は、乗員の選択によって車線が選択された場合にも、上述した手法でその車線に対する補正値を導出する。
ステップS154Bの処理において、ホームレーン決定部174は、ホームレーン候補に対して、誘導可能な車線に対する補正値を導出する。例えば、自車両Mの状態が自動運転モードで誘導可能な状態であること、走行車線の残距離が所定距離(例えば、高速道路の場合は、約3000[m])以内であること、自車両Mが誘導先ではない車線(非誘導車線)を走行していること、または乗員が自動車線変更イベントを要求していることのうち、何れかの条件を満たす場合には、自車両Mを誘導先の車線に移動する制御を行った方がよい。したがって、ホームレーン決定部174は、上述の条件を満たす場合には、誘導先の車線に相当するホームレーン候補の優先度を他の候補に比して高くなるように補正値を付与する。また、ホームレーン決定部174は、ステップS154Aの処理と同様に、誘導先の車線が自車線の右側である場合は補正値に「+1」を付与し、左側である場合は補正値に「-1」を付与してもよい。
ここで、上述したステップS154Aの処理は、例えば、追い越しや追い越し戻りの車線変更による補正値であり、ステップS154Bの処理は、誘導残距離が所定距離以内での誘導方向への補正値である。また、追い越し、追い越し戻りは、イベント経路誘導中は実行されないものである。そのため、ステップS154AとステップS154Bとは、排他の関係であり、同時に補正する必要はない。したがって、ステップS154Cの処理において、誘導残距離によって補正値を切り替えて出力する。この場合、ホームレーン決定部174は、例えば、誘導先の車線に誘導可能な残距離が所定距離以内である場合には、ステップS154Aで導出した補正値を出力し、所定距離より大きい場合には、ステップS154Bで導出した補正値を出力する。上述の所定距離は、例えば、高速道路の場合には約2000[m]である。上述した所定距離は、自車両Mの速度、道路形状、道路状況等によって可変に設定されてよい。
ステップS154Dの処理において、ホームレーン決定部174は、ホームレーン候補に対して、入力された補正値と、自車線に対するホームレーン候補(左右車線)の異常判定の結果に基づいて、ホームレーン候補のインデックス値を導出する。例えば、ホームレーン決定部174は、ホームレーン候補に基準となるインデックス値を付与し、更に上述した補正値に基づいてインデックス値を調整する。この場合、ホームレーン決定部174は、インデックス値に補正値を加算してもよく、補正値に基づく重みによる計算(乗算や除算)を行ってもよい。
また、ホームレーン決定部174は、例えば、自車線からホームレーン候補への移動容易度に基づいて、インデックス値を調整してもよい。移動容易度とは、例えば、自車線からホームレーン候補への移動のし易さに関する指標値である。例えば、ホームレーン決定部174は、自車線からホームレーン候補への移動に関する制御内容合が少ないほど、移動完了までの時間や距離が短いほど、または周辺車両が少ないほど、周辺車両とのTTCが大きいほど、移動容易度を大きくする。また、ホームレーン決定部174は、自車線とホームレーン候補との重なり量が大きいほど、自車両Mの少ない移動量で車線変更ができるため、移動容易度を大きくする。また、ホームレーン決定部174は、ホームレーン候補の異常度合が大きいほど、移動容易度を小さくする。異常度合が大きいとは、例えば、ホームレーン候補に走行を妨げる可能性が高い障害物が存在している場合に、移動容易度を小さくする。ここでの障害物とは、例えば、積載車両からの落下物や、道路の亀裂や陥没、工事現場等である。ホームレーン決定部174は、移動容易度が大きいほど、インデックス値が大きくなるように調整する。
なお、ホームレーン決定部174は、ホームレーン候補ごとのインデックス値が導出できない、または導出した全て値が予め設定された下限値から上限値までの範囲を超えている場合に、何らかのエラーが発生したものとして補正値をリセットして再処理を行ってもよい。そして、ホームレーン決定部174は、導出されたインデックス値を優先度として、優先度が最も高いホームレーン候補をホームレーンとして決定する。また、ホームレーン決定部174は、どのホームレーン候補の優先度が所定値以下の場合には、自車線を最終的なホームレーンとして決定してもよい。
なお、ホームレーン決定部174は、上述した手法に代えて第1~第3候補決定処理のそれぞれに予め優先度を設定しておき、設定した優先度のうち高い方の候補決定処理により決定されたホームレーン候補を、最終的なホームレーンとして決定してもよい。なお、優先度は、自車両Mの周辺状況等に応じて可変に設定されてもよい。
上述した第1の決定処理によれば、第1~第3候補決定処理に基づき、それぞれのホームレーン候補が決定され、決定されたホームレーン候補に対する優先度に基づいて調停制御を行って最終的なホームレーンが決定される。これにより、自車両Mの周辺状況等に応じて、迅速に、より適切なホームレーンを決定することができる。また、決定されたホームレーンを表示することで、乗員に違和感を与えることを抑制することができる。
<第2の決定処理>
図14は、第2の決定処理と表示処理の一連の流れの一例を示すフローチャートである。図14の処理は、上述した図8に示す処理(ステップS100~S200の処理)と比較して、ステップS150の処理に代えて、ステップS310~S310を有し、更にステップS320~S330の処理が追加されている点で相違する。したがって、以下では、主に上述の相違点を中心として説明する。
図14のステップS140の処理において、自車両Mの運転モードが自動運転モードであると判定した場合、ホームレーン決定部174は、第2の決定処理として、予め決められた複数の決定パターン(例えば、上述の第1~第3の決定パターン)のうち何れかの決定パターンを選択する(ステップS300)。この場合、ホームレーン決定部174は、例えば、自車両Mの周辺状況(例えば、道路状況、周辺車両、イベントの実行状況、乗員の操作指示)に基づいて決定パターンを選択する。次に、ホームレーン決定部174は、選択された決定パターンに基づいてホームレーンを決定する(ステップS320)。次に、HMI制御部176は、ステップS160~S190の処理を行う。
ステップS190の処理後、ホームレーン決定部174は、ホームレーンを走行しない状況になったか否かを判定する(ステップS320)。ホームレーンを走行しない状況とは、例えば、乗員の操作(言い換えると、乗員の意図)によって、自車両Mの目的地が消去された(取り消された)場合である。また、ホームレーンを走行しない状況には、例えば、ホームレーンとして決定した車線に障害物等があり、走行できない状況となった場合が含まれてよい。ホームレーンを走行しない状況であると判定した場合、ホームレーン決定部174は、ホームレーンを前回決定されたホームレーンに戻し(ステップS330)、ステップS160の処理に戻る。例えば、追い越しイベントの実行中に、目的地方面への車線変更イベントが発生し、車線変更イベントの実行直前または実行途中に、乗員の意図により車線変更イベントが中止された場合、追い越しイベント時に決定されたホームレーンに戻す。なお、前回決定されたホームレーンに関する情報は、記憶部190やホームレーン決定部174のキャッシュメモリ(不図示)等に保存されている。また、ステップS320の処理において、ホームレーンを走行しない状況になっていない判定した場合、本フローチャートの処理を終了する。
上述した第2の決定処理によれば、例えば、車線変更を行うための自車両Mの操舵制御が開始される前に車線変更先の車線に第4レイヤ画像が表示されている状態で、車線変更を中止した場合に、車線変更先の車線からすぐに前回決定されたホームレーンを表示させることができる。したがって、車線変更をキャンセルしたにも拘わらず、車線変更先の車線がホームレーンとして表示され続けることを抑制することができる。したがって、画像を見る乗員に違和感を与えにくくさせることができる。
なお、上述した第1または第2の決定処理は、他の決定処理の一部または全部を含めてもよい。例えば、第1の決定処理により決定されたホームレーンを走行させる自動運転の実行中に、ホームレーンを走行しない状況になった場合、ホームレーン決定部174は、前回決定されたホームレーンに戻して走行する処理(ステップS320~S320の処理)を行ってもよい。
[処理フロー]
以下、実施形態の自動運転制御装置100による一連の処理の流れを、フローチャートを用いて説明する。なお、以下では、自動運転制御装置100による処理のうち、主に自動運転モードにおいて、自車両Mがホームレーンに基づいて走行するように制御される場合の処理を中心として説明する。以下の処理は、自車両Mの走行中において繰り返し実行される。図15は、実施形態の自動運転制御装置100による一連の処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、図15の処理では、既に目的地が設定されているものとする。
図15の処理において、ホームレーン決定部174は、自車両Mの運転モードが自動運転モードであるか否かを判定する(ステップS400)。自動運転モードであると判定した場合、ホームレーン決定部174は、上述した第1または第2の決定処理によりホームレーンを決定する(ステップS410)。次に、行動計画生成部140は、自車両Mがホームレーンを走行するように目標軌道を生成する(ステップS420)。次に、第2制御部160は、自車両Mを目標軌道に沿って走行させるように自動運転制御を実行する(ステップS430)。
次に、車線変更イベントによる車線変更時(実行直前または実行中)に、乗員の操作等により車線変更先のホームレーンへの走行の中止指示(例えば、目的地の消去操作やイベントの中止操作)を受け付けたか否かを判定する(ステップS440)。車線変更時とは、言い換えると、例えば、ホームレーン決定部174によりホームレーンが決定された後、またはHMI制御部176によりホームレーンを示す第4レイヤ画像が表示装置32に表示された後である。中止指示を受け付けたと判定した場合、ホームレーンへの移動ができなくなるまでの距離が所定距離以内であるか、または移動ができなくなるまでの時間が所定時間以内であるか否かを判定する(ステップS450)。上述の条件を満たしていないと判定した場合、ホームレーン決定部174は、自車両Mが車線変更先のホームレーンに進入しているか否かを判定する(ステップS460)。「自車両Mがホームレーンに進入する」とは、例えば、道路面に垂直な方向から道路面を見て、自車両Mの少なくとも一部が道路面の領域に存在すること、または自車両Mがホームレーンを区画する区画線を跨いでいることである。車両がホームレーンに進入していると判定した場合、または、ステップS450において、規定した条件を満たすと判定した場合、第2制御部160は、自車両Mのホームレーンへの移動を継続させる(ステップS470)。
つまり、本実施形態では、中止指示を受け付けた際に、自車両Mがホームレーンに進入している場合には、ホームレーンへの移動を継続させることで、自車両Mの大きさ挙動の変化を抑制し、挙動によって周囲の車両に影響を及ぼすことを抑制することができる。また、本実施形態では、目的地に向かうため等のホームレーンへの車線変更であって、自車両Mの現在位置からホームレーンに車線変更できなくなる位置までの距離が所定距離以内、または、車線変更できなくなるまでの時間が所定時間以内である場合に、ホームレーンへの移動の中止指示を受け付けず、ホームレーンへの移動を継続する。これにより、短い距離または時間での車線変更による自車両Mの大きな挙動の変化を抑制することができる。
また、ステップS460の処理において、自車両がホームレーンに進入していないと判定した場合、第2制御部160は、ホームレーンへの移動を中止し(ステップS480)、車線変更前の車線に戻って走行する。
また、ステップS400の処理において、自車両Mの運転モードが自動運転モードではないと判定した場合、自動運転制御装置100は、手動運転が行われるものとして、乗員の運転操作子80への操作等に基づいて、手動運転制御を実行する(ステップS490)。これにより、本フローチャートの処理は終了する。なお、ステップS440の処理において、ホームレーンへの走行の中止指示を受け付けていないと判定した場合、ステップS430で実行された自動運転制御が継続して実行されることになる。
以上説明した実施形態によれば、制御装置において、自車両Mの周辺状況を認識する認識部130と、認識部130により認識された周辺状況に基づいて、自車両Mが走行する道路に含まれるいずれかの車線をホームレーンに決定するホームレーン決定部174と、自車両Mが走行する道路とホームレーン決定部174により決定されたホームレーンとを含む画像を表示装置32に表示させるHMI制御部176と、を備え、ホームレーン決定部174は、複数の決定パターンごとにホームレーンの候補を決定し、決定したそれぞれの候補に対する優先度に基づいてホームレーンを決定することで、運転制御や表示制御において、乗員に違和感を与えにくくすることができる。
また、上述した実施形態によれば、例えば、複数の目的(例えば、自車線優先、経路誘導、追い越し制御)に対応するホームレーンの決定を並列処理で継続させながら、そのホームレーンの調停制御を行って最終的なホームレーンを決定することで、例えば、図7Dの画像IM14のような画像を提示することがで、乗員に、より適切なホームレーンを提示し続けることができる。
また、上述した実施形態によれば、複数の決定パターンのうち何れかのパターンでホームレーンを決定し、そのホームレーンに移動する自動運転の実行中にそのイベントがキャンセルされた場合に、1つ前に決定したホームレーンを提示(例えば、図7Dの画像IM14のような画像を提示)させたり、自車線を走行するためのホームレーンを提示させることで、キャンセルされた制御に対応するホームレーンが表示され続けることを抑制することができる。したがって、表示内容を見る乗員に違和感を与えにくくすることができる。
なお、上述した実施形態では、第1~第3の決定パターンについて説明したが、このうち二つの決定パターンを用いてもよく、他の決定パターンも含めたホームレーンの決定を行ってもよい。他の決定パターンとしては、例えば、ACC等の実行時における自車両Mの設定車速に基づいてホームレーンを決定するパターンや、乗員の意図に基づいてホームレーンを決定するパターンが含まれる。「設定車速に基づいてホームレーンを決定する」とは、例えば、設定車速が約80[kph]の場合は道路の最左車線をホームレーンとして決定し、設定車速が約100[kph]であれば道路の中央車線をホームレーンとして決定することである。また、「乗員の意図に基づいてホームレーンを決定する」とは、例えば、乗員の方向指示器の操作によって指示された方向の車線(隣接車線)をホームレーンとして決定することである。また、第1~第3候補決定処理についても、このうち二つの候補決定処理を用いてもよく、他の候補決定処理を用いてホームレーン候補を決定してもよい。
[ハードウェア構成]
図16は、実施形態の自動運転制御装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。図示するように、自動運転制御装置100を実現するコンピュータは、通信コントローラ100-1、CPU100-2、ワーキングメモリとして使用されるRAM100-3、ブートプログラム等を格納するROM100-4、フラッシュメモリやHDD等の記憶装置100-5、ドライブ装置100-6等が、内部バスあるいは専用通信線によって相互に接続された構成となっている。通信コントローラ100-1は、自動運転制御装置100以外の構成要素との通信を行う。記憶装置100-5には、CPU100-2が実行するプログラム100-5aが格納されている。このプログラムは、DMA(Direct Memory Access)コントローラ(不図示)等によってRAM100-3に展開されて、CPU100-2によって実行される。これによって、第1制御部120、第2制御部160、および第3制御部170のうち一部または全部が実現される。
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
プログラムを記憶するストレージと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
車両の周辺状況を認識し、
認識した周辺状況に基づいて、前記車両が走行する道路に含まれる何れかの車線を基準車線に決定し、
前記車両が走行する道路と前記基準車線決定部により決定された基準車線とを含む画像を表示部に表示させ、
複数の決定パターンのうち何れかの決定パターンにより前記基準車線を決定した後に、前記車両が前記基準車線を走行しない状況になった場合に、前記基準車線を決定する前の基準車線に戻す、
ように構成されている、制御装置。
また、上記説明した実施形態は、以下のようにも表現することができる。
プログラムを記憶するストレージと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、前記プログラムを実行することにより、
車両の周辺状況を認識し、
認識した周辺状況に基づいて、前記車両が走行する道路に含まれる何れかの車線を基準車線に決定し、
前記車両が走行する道路と前記基準車線決定部により決定された基準車線とを含む画像を表示部に表示させ、
複数の決定パターンのうち何れかの決定パターンにより前記基準車線を決定した後に、前記車両が前記基準車線を走行しない状況になった場合に、前記基準車線を決定する前の基準車線に戻す、
ように構成されている、制御装置。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。