JP2022049431A - 酸性ガス吸収剤、酸性ガス除去方法および酸性ガス除去装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】二酸化炭素等の酸性ガスの回収量が高い酸性ガス吸収剤、並びにこれを用いた酸性ガス除去装置および酸性ガス除去方法を提供する。【解決手段】実施形態の酸性ガス吸収剤は、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を少なくとも1種含有する。R1R2N-(CR3R4)n-NR5R6式(1)[上記式(1)中、R1、R2、R5、R6は、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。ただし、R1、R2の少なくとも1つは、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、R5、R6の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である。R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。nは、1から6の整数である。]【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、酸性ガス吸収剤、ならびにこれを用いた酸性ガス除去装置および酸性ガス除去方法に関する。
近年、地球の温暖化現象の一因として二酸化炭素(CO2)濃度の上昇による温室効果が指摘され、地球規模で環境を守る国際的な対策が急務となっている。CO2の発生源としては産業活動によるところが大きく、その排出抑制への機運が高まっている。
CO2をはじめとする酸性ガスの濃度の上昇を抑制するための技術としては、省エネルギー製品の開発、排出する酸性ガスの分離回収技術、酸性ガスの資源としての利用や隔離貯留させる技術、酸性ガスを排出しない自然エネルギーや原子力エネルギーなどの代替エネルギーへの転換などがある。
現在までに研究されてきた酸性ガス分離技術としては、吸収法、吸着法、膜分離法、深冷法などがある。中でも吸収法は、ガスを大量に処理するのに適しており、工場や発電所への適用が検討されている。
したがって、化石燃料を使用する火力発電所などの設備を対象に、化石燃料(石炭、石油、天然ガス等)を燃焼する際に発生する排ガスを化学吸収剤と接触させ、燃焼排ガス中のCO2を除去して回収する方法、さらに回収されたCO2を貯蔵する方法が世界中で行われている。また、化学吸収剤を用いてCO2以外に硫化水素(H2S)等の酸性ガスを除去することが提案されている。
一般に、吸収法において使用される化学吸収剤としてモノエタノールアミン(MEA)に代表されるアルカノールアミン類が1930年代ころから開発されており、現在も使用されている。この方法は、経済的でありまた除去装置の大型化が容易である。
広く使用されるアルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3‐アミノ‐1‐プロパノール、2‐アミノ‐2‐メチルプロパノール、エチルジエタノールアミン、2‐メチルアミノエタノール、2‐イソプロピルアミノエタノール、2‐ジメチルアミノエタノール(DMAE)、2‐ジエチルアミノエタノール、エチレンジアミンなどがある。
特に、2級アミンのメチルエタノールアミン及びジエチルエタノールアミンなどは、反応速度が速いため広く使用されてきた。しかし、これらの化合物は、腐食性を有しており、劣化し易く、また再生に要するエネルギーが高いという課題がある。一方、メチルジエタノールアミンは、腐食性は低く、また再生に要するエネルギーも低いものの、吸収速度が低いという欠点を有する。したがって、これらの点を改善した、新しい吸着剤の開発が要求されている。
近年、酸性ガスの吸収剤として、アミン系化合物の中でも、特に構造的に立体障害を有するアルカノールアミンに対する研究が盛んに試みられている。一般に、立体障害を有するアルカノールアミンは、酸性ガスの選択度が非常に高く、また再生に要するエネルギーが少ないという長所を有している。
また、特定構造のジアミン化合物が公知の二酸化炭素吸収剤よりも高い吸収放出性能を有しながら、且つ低い反応熱で二酸化炭素と反応できるという長所を有している。
立体障害を有するアミン系化合物の反応速度は、その立体構造によって決定される反応の障害の程度に依存する。立体障害を有するアミン系化合物の反応速度は、例えばメチルエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの2級アミンよりは低いものの、3級アミンよりは高い反応速度を有している。また、吸収剤に配合するアルカノールアミンとしては、2‐アミノ‐2‐メチルプロパノール、2‐ピペリジンエタノールなどが知られている。
一方、アルカノールアミン類とは異なる構造を有するアミン系化合物として、環状アミンを吸収剤として使用する方法も知られている。
しかしながら、これらの技術でも、酸性ガス吸収量や酸性ガス吸収速度などの酸性ガス吸収能力に関してはいまだ不十分であり、ガス吸収能力のさらなる向上が求められている。
本発明が解決しようとする課題は、二酸化炭素等の酸性ガスの回収量が多く、回収エネルギーの小さい酸性ガス吸収剤、並びにこれを用いた酸性ガス除去装置および酸性ガス除去方法を提供することである。
実施形態の酸性ガス吸収剤は、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を少なくとも1種含有する。
R1R2N-(CR3R4)n-NR5R6 式(1)
[上記式(1)中、R1、R2、R5、R6は、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。ただし、R1、R2の少なくとも1つは、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、R5、R6の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である。R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。nは、1から6の整数である。]
R1R2N-(CR3R4)n-NR5R6 式(1)
[上記式(1)中、R1、R2、R5、R6は、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。ただし、R1、R2の少なくとも1つは、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、R5、R6の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である。R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。nは、1から6の整数である。]
実施形態の酸性ガス除去方法は、酸性ガスを含有するガスと、上記した実施形態に係る酸性ガス吸着剤とを接触させて、前記酸性ガスを含むガスから酸性ガスを除去するものである。
実施形態の酸性ガス除去装置は、酸性ガスを含有するガスと酸性ガス吸着剤とを接触させて前記ガスから酸性ガスを除去する吸収塔と、酸性ガスを吸収した前記酸性ガス吸着剤から酸性ガスを除去して再生する再生塔と、前記再生塔で再生した前記酸性ガス吸着剤を前記吸収塔で再利用する酸性ガス除去装置であって、上記した実施形態に係る酸性ガス吸着剤を用いてなるものである。
本発明によれば、酸化炭素等の酸性ガスの回収量が多く、回収エネルギーの小さい酸性ガス吸収剤が提供され、酸性ガスの回収効率が向上した酸性ガス除去方法および酸性ガス除去装置が得られる。
以下、実施形態について詳細に説明する。
実施形態の酸性ガス吸収剤は、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする。
R1R2N-(CR3R4)n-NR5R6 式(1)
[上記式(1)中、R1、R2、R5、R6は、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。ただし、R1、R2の少なくとも1つは、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、R5、R6の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である。R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。nは、1から6の整数である。]
実施形態の酸性ガス吸収剤は、下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする。
R1R2N-(CR3R4)n-NR5R6 式(1)
[上記式(1)中、R1、R2、R5、R6は、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。ただし、R1、R2の少なくとも1つは、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、R5、R6の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である。R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。nは、1から6の整数である。]
従来より、アミノ化合物が有する立体障害は、二酸化炭素吸収時の生成物に対する影響が大きく、低反応熱を示す重炭酸イオンの生成に有利に働くことが知られている。
例えば、分岐構造を有するN‐イソプロピルアミノエタノールは、二酸化炭素の吸収反応に対して低反応熱性を示すことが報告されている。
例えば、分岐構造を有するN‐イソプロピルアミノエタノールは、二酸化炭素の吸収反応に対して低反応熱性を示すことが報告されている。
このような知見に基づき、立体障害の効果をさらに大きく得るため本願発明者が検討した結果、上記一般式(1)に示す化合物(例えばN‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)が、従来の分岐構造を有するアミノ化合物より、CO2吸収量が多く、かつ反応熱が小さいことを見出した。
すなわち、上記一般式(1)のジアミン化合物は、二つの窒素原子の片方に炭素数が3~6の分岐状のアルキル基(R1)が結合し、他方の窒素原子に分岐状のアルコール基が結合している。
このように、分岐状アルキル基と分岐状のアルコール基がそれぞれの窒素原子に直接結合した上記一般式(1)のジアミン化合物は立体障害の大きい構造を有するため、二酸化炭素(CO2)との反応では重炭酸イオンが生成し、反応熱が低減しているのと同時に、分岐状のアルコール基を有するためにCO2の放出がしやすくなっていると考えられる。
上記の一般式(1)で表されるジアミン化合物を、例えば水などの溶媒に溶解させることで、酸性ガスの吸収能力の高い酸性ガス吸収剤を得ることができる。以下の実施態様では、酸性ガスが二酸化炭素である場合を例に説明するが、本発明の実施形態に係る酸性ガス吸収剤は、硫化水素等、その他の酸性ガスに関しても同様の効果を得ることができる。
上記式(1)中、R1、R2、R5、R6は、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。ただし、R1、R2の少なくとも1つは、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、R5、R6の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である。R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。nは、1から6の整数である。
炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基としては、たとえばイソプロピル基、2‐ブチル基、t‐ブチル基、2‐ペンチル基、3‐ペンチル基、2‐メチル‐2‐ペンチル基、3‐メチル‐3‐ブチル基、2‐ヘキシル基、3‐ヘキシル基、4‐メチル‐2‐ペンチル基、2‐メチル‐2‐ペンチル基、3‐メチル‐2‐ペンチル基などである。炭素数1~4のアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、sec‐ブチル基を挙げることができる。なお、上記式(1)の化合物と二酸化炭素との反応性の観点から、これらアルキル基の中でもメチル基あるいはエチル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
分岐状のヒドロキシアルキル基としては、たとえば、2‐ヒドロキシプロピル基、3‐ヒドロキシプロピル基、2‐ヒドロキシブチル基、3‐ヒドロキシブチル基、4‐ヒドロキシブチル基を挙げることができる。溶解性の観点から分岐状ヒドロキシアルキル基として2‐ヒドロキシプロピル基が好ましい。
R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。なお、上記式(1)の二酸化炭素との反応性の観点からアルキル基としてメチル基が好ましい。
さらに、R1~R6のアルキル基は、Si、O、N、S等のヘテロ原子を含有していてもよい。
なお、nは、好ましくは2~6である。
なお、nは、好ましくは2~6である。
また、分岐状構造を有することで上記式(1)のジアミン化合物の揮発性が抑えられるため、排気ガスを処理する過程で、大気中に放出されるアミン成分の量が低減された酸性ガス除去剤とすることができる。上記の分岐構造の中でも、溶解性の観点からイソプロピル基が好ましい。
ジアミン化合物(1)の好ましい具体例としては、例えば以下のものを挙げることができる。
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキプロピル)エチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)テトラメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ペンタメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ヘキサメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキプロピル)エチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)テトラメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ペンタメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ヘキサメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキブチル)エチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)トリメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)テトラメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ペンタメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ヘキサメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキブチル)エチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)トリメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)テトラメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ペンタメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ヘキサメチレンジアミン、
などが挙げられる。
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキプロピル)エチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)テトラメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ペンタメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ヘキサメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキプロピル)エチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)トリメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)テトラメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ペンタメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)ヘキサメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキブチル)エチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)トリメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)テトラメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ペンタメチレンジアミン、
N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ヘキサメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキブチル)エチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)トリメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)テトラメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ペンタメチレンジアミン、
N‐2‐ブチル‐N’‐(2‐ヒドロキシブチル)ヘキサメチレンジアミン、
などが挙げられる。
なお、ジアミン化合物(1)としては、上記の群より選択された1種の化合物を用いることができ、または上記の群より選択された2種以上の化合物を混合したものを用いることも可能である。
酸性ガス吸着剤に含まれるジアミン化合物(1)の含有量は、10~55質量%であることが好ましい。
一般に、アミン成分の濃度が高い方が単位容量当たりの二酸化炭素の吸収量、脱離量が多く、また二酸化炭素の吸収速度、脱離速度が速いため、エネルギー消費の面やプラント設備の大きさ、処理効率の面においては好ましい。
一般に、アミン成分の濃度が高い方が単位容量当たりの二酸化炭素の吸収量、脱離量が多く、また二酸化炭素の吸収速度、脱離速度が速いため、エネルギー消費の面やプラント設備の大きさ、処理効率の面においては好ましい。
しかし、アミン成分の濃度が高すぎると、二酸化炭素吸収のための活性剤としての水が充分に機能しないことや、吸収液の粘度が上昇するなどの欠点が無視できなくなる。ジアミン化合物(1)の含有量が55質量%以下の場合、そのような性能の低下は見られない。また、ジアミン化合物(1)の含有量を10質量%以上とすることで、十分な二酸化炭素の吸収量、吸収速度を得ることができ、優れた処理効率を得ることができる。
ジアミン化合物(1)の含有量が10~55質量%の範囲にある酸性ガス吸収剤は、二酸化炭素回収用として用いた場合、二酸化炭素吸収量及び二酸化炭素吸収速度が高いだけでなく、二酸化炭素脱離量及び二酸化炭素脱離速度も高いため、二酸化炭素の回収を効率的に行える点で有利である。
ジアミン化合物(1)の含有量は、より好ましくは20~50質量%である。
ジアミン化合物(1)の含有量は、より好ましくは20~50質量%である。
ジアミン化合物(1)は、アルカノールアミン類および/または下記一般式(2)あるいは(3)で表されるヘテロ環状アミン化合物(以下、ヘテロ環状アミン化合物(2)(3)と示す。)からなる反応促進剤と混合して使用することが好ましい。
[式(2)中、
R7は、水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基を表し、
R8は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基を表し、
R7およびR8のうち少なくともひとつは、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基であり、
pは、それぞれ独立に、2~4の整数であり、
式(2)中の環状骨格は構成員として酸素を含んでいてもよい。]
前記ヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、またはヒドロキシオクチル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましい。
R7は、水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基を表し、
R8は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基を表し、
R7およびR8のうち少なくともひとつは、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基であり、
pは、それぞれ独立に、2~4の整数であり、
式(2)中の環状骨格は構成員として酸素を含んでいてもよい。]
前記ヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、またはヒドロキシオクチル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましい。
pは、それぞれ独立に2~4の整数である。したがって、一般式(2)の化合物は、構成員の数が6~10の複素環状骨格を含んでいる。
なお、その複素環状骨格はさらに構成員として酸素を含んでいてもよい。
[式(3)中、
R9は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基を表し、
R9のうち少なくともひとつは炭素数1~8のヒドロキシアルキル基であり、
qは、3~8の整数であり、
式(3)中の環状骨格は構成員として酸素を含んでいてもよい。]
前記ヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、またはヒドロキシオクチル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましい。
R9は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基を表し、
R9のうち少なくともひとつは炭素数1~8のヒドロキシアルキル基であり、
qは、3~8の整数であり、
式(3)中の環状骨格は構成員として酸素を含んでいてもよい。]
前記ヒドロキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、またはヒドロキシオクチル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基が好ましい。
qは、3~8の整数である。したがって、一般式(3)の化合物は、構成員の数が4~9の複素環状骨格を含んでいる。
なお、その複素環状骨格はさらに構成員として酸素を含んでいてもよい。
なお、その複素環状骨格はさらに構成員として酸素を含んでいてもよい。
一般式(2)または(3)で表される環状2級アミン化合物の例としては、
2‐アゼチジンメタノール、2‐ピロリジンメタノール、2‐ピペリジンメタノール、3‐ピペリジンエタノール、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン、2‐(ヒドロキシメチル)ピペラジン、3‐ヒドロキシピロリジン、3‐ピロリジンメタノール、2‐(2‐ヒドロキシエチル)ピロリジン、4‐ピペリジンエタノール、3‐ヒドロキシピペリジン、4‐ヒドロキシピペリジン、4‐(ヒドロキシメチル)ピペリジン、などが挙げられる。
2‐アゼチジンメタノール、2‐ピロリジンメタノール、2‐ピペリジンメタノール、3‐ピペリジンエタノール、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン、2‐(ヒドロキシメチル)ピペラジン、3‐ヒドロキシピロリジン、3‐ピロリジンメタノール、2‐(2‐ヒドロキシエチル)ピロリジン、4‐ピペリジンエタノール、3‐ヒドロキシピペリジン、4‐ヒドロキシピペリジン、4‐(ヒドロキシメチル)ピペリジン、などが挙げられる。
これらのうち、2‐アゼチジンメタノール、2‐ピロリジンメタノール、4‐ヒドロキシピペリジン、2‐ピペリジンメタノール、3‐ピペリジンエタノール、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジン、および2‐(ヒドロキシメチル)ピペラジンからなる群から選ばれるものが好ましい。
一般式(2)で表される環状アミン化合物と一般式(3)で表される環状アミン化合物とを併用することができる。
一般式(2)で表される環状アミン化合物と一般式(3)で表される環状アミン化合物とを併用することができる。
本実施形態では、例えばジアミン化合物(1)と、アルカノールアミン類および/またはヘテロ環状アミン化合物(2)あるいは(3)からなる反応促進剤とを混合し、これらの混合物を例えば水溶液としたものを、酸性ガス吸収剤として用いることができる。
ジアミン化合物(1)を、アルカノールアミン類および/またはヘテロ環状アミン化合物(2)ありは(3)と混合して用いることで、ジアミン化合物(1)の単位モル当たりの二酸化炭素吸収量や、酸性ガス吸収剤の単位体積当たりの二酸化炭素吸収量および二酸化炭素吸収速度をより一層向上させることができる。
また、ジアミン化合物(1)を、アルカノールアミン類および/またはヘテロ環状アミン化合物(2)と混合して用いることで、二酸化炭素吸収後に酸性ガスを分離するエネルギー(酸性ガス脱離エネルギー)も低下し、酸性ガス吸収剤を再生させる際のエネルギーを低減することができる。
アルカノールアミンとしては、例えばモノエタノールアミン、2‐アミノ‐2‐メチルプロパノールアミン、2‐アミノ‐2‐メチル‐1,3‐ジプロパノールアミン、メチルアミノエタノール、エチルアミノエタノール、プロピルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ビス(2‐ヒドロキシ‐1‐メチルエチル)アミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノ‐1‐メチルエタノール、2‐メチルアミノエタノール、2‐エチルアミノエタノール、2‐プロピルアミノエタノール、n‐ブチルアミノエタノール、2‐(イソプロピルアミノ)エタノール、3‐エチルアミノプロパノール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等が挙げられる。
これらの中でも、アルカノールアミン類としては、第3級アミンと酸性ガスとの反応性をより向上させる観点から、2‐(イソプロピルアミノ)エタノール、2‐(エチルアミノ)エタノール及び2‐アミノ‐2‐メチル‐1‐プロパノールからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
これらの中でも、特にピぺラジン誘導体は、酸性ガス吸収剤の二酸化炭素吸収量および吸収速度向上の観点から望ましい。
これらの中でも、特にピぺラジン誘導体は、酸性ガス吸収剤の二酸化炭素吸収量および吸収速度向上の観点から望ましい。
ピペラジン誘導体は第2級アミン化合物であり、一般に、第2級アミノ基の窒素原子が二酸化炭素と結合し、カルバメートイオンを形成することで、反応初期段階における吸収速度の向上に寄与する。さらに第2級アミノ基の窒素原子は、これに結合した二酸化炭素を重炭酸イオン(HCO3
-)に転換する役割を担っており、反応後半段階の速度向上に寄与する。
ピぺラジン誘導体としては、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンであることがより好ましい。
酸性ガス吸着剤に含まれる反応促進剤(アルカノールアミン類および/またはヘテロ環状アミン化合物(2)(3))の含有量は、5~50質量%であることが好ましい。酸性ガス吸着剤に含まれる反応促進剤の含有量が5質量%未満であると、二酸化炭素吸収速度を向上させる効果を十分に得られないおそれがある。酸性ガス吸着剤に含まれる反応促進剤の含有量が50質量%を超えると、吸収剤の粘度が過度に高くなり、かえって反応性が低下するおそれがある。反応促進剤(アルカノールアミン類および/またはヘテロ環状アミン化合物(2)(3))の含有量は、より好ましくは10~50質量%である。
酸性ガス吸収剤には、上記のアミン化合物および反応促進剤の他に、プラント設備の腐食を防止するためのリン酸系等の防食剤や、泡立ち防止のためのシリコーン系等の消泡剤や、酸性ガス吸収剤の劣化防止のための酸化防止剤等を含有していてもよい。
本実施形態に係る酸性ガス除去方法は、酸性ガスを含有する排気ガスと、上記の実施形態で説明したアミン化合物を溶媒に溶解させてなる酸性ガス吸収剤とを接触させ、酸性ガスを含む排気ガスから酸性ガスを吸収分離して除去するようにしたものである。
二酸化炭素の吸収分離工程の基本的な構成は、酸性ガス吸収剤に、二酸化炭素を含有する排気ガスを接触させて、酸性ガス吸収剤に二酸化炭素を吸収させる工程(二酸化炭素吸収工程)と、上記二酸化炭素吸収工程で得られた、二酸化炭素が吸収された酸性ガス吸収剤を加熱して、二酸化炭素を脱離して回収する工程(二酸化炭素分離工程)とを含む。
二酸化炭素を含むガスを、上記の酸性ガス吸収剤を含む水溶液に接触させる方法は特に限定されないが、例えば、酸性ガス吸収剤中に二酸化炭素を含むガスをバブリングさせて吸収する方法、二酸化炭素を含むガス気流中に酸性ガス吸収剤を霧状に降らす方法(噴霧乃至スプレー方式)、あるいは磁製や金属網製の充填材の入った吸収塔内で二酸化炭素を含むガスと酸性ガス吸収剤を向流接触させる方法などによって行なうことができる。
二酸化炭素を含むガスを水溶液に吸収させる時の酸性ガス吸収剤の温度は、通常室温から60℃以下で行われる。好ましくは50℃以下、より好ましくは20~45℃程度で行われる。
低温度で行うほど、酸性ガスの吸収量は増加するが、処理温度の下限値は、プロセス上のガス温度や熱回収目標等によって決定される。二酸化炭素吸収時の圧力は通常ほぼ大気圧で行われる。吸収性能を高めるためより高い圧力まで加圧することもできるが、圧縮のために要するエネルギー消費を抑えるため大気圧下で行うのが好ましい。
ここで、二酸化炭素飽和吸収量は、酸性ガス吸収剤中の無機炭素量を赤外線式ガス濃度測定装置で測定した値であり、また、二酸化炭素吸収速度は、二酸化炭素の吸収を開始した時点から数分経過した時点において赤外線式二酸化炭素計を用いて測定した値である。
二酸化炭素を吸収した酸性ガス吸収剤から二酸化炭素を分離し、純粋なあるいは高濃度の二酸化炭素を回収する方法としては、蒸留と同じく酸性ガス吸収剤を加熱して釜で泡立てて脱離する方法、棚段塔、スプレー塔、磁製や金属網製の充填材の入った再生塔内で液界面を広げて加熱する方法などが挙げられる。これにより、カルバミン酸アニオンや重炭酸イオンから二酸化炭素が遊離して放出される。
二酸化炭素分離時の酸性ガス吸収剤温度は通常70℃以上で行われ、好ましくは80℃以上、より好ましくは90~120℃程度で行われる。温度が高いほど吸収量は増加するが、温度を上げると吸収液の加熱に要するエネルギーが増すため、その温度はプロセス上のガス温度や熱回収目標等によって決定される。二酸化炭素脱離時の圧力は通常ほぼ大気圧で行われる。脱離性能を高めるためより低い圧力まで減圧することもできるが、減圧のために要するエネルギー消費を抑えるため大気圧下で行うのが好ましい。
二酸化炭素を分離した後の酸性ガス吸収剤は、再び二酸化炭素吸収工程に送られ循環使用(リサイクル)される。また、二酸化炭素吸収の際に生じた熱は、一般的には水溶液のリサイクル過程において再生塔に注入される水溶液の予熱のために熱交換器で熱交換されて冷却される。
このようにして回収された二酸化炭素の純度は、通常、95~99体積%程度と極めて純度が高いものである。この純粋な二酸化炭素あるいは高濃度の二酸化炭素は、化学品、あるいは高分子物質の合成原料、食品冷凍用の冷剤等として用いられる。その他、回収した二酸化炭素を、現在技術開発されつつある地下等へ隔離貯蔵することも可能である。
上述した工程のうち、酸性ガス吸収剤から二酸化炭素を分離して酸性ガス吸収剤を再生する工程が、最も多量のエネルギーを消費する部分である。従って、酸性ガス吸収剤の再生工程における消費エネルギーを低減することにより、二酸化炭素の吸収分離工程のコストを低減でき、排気ガスからの酸性ガス除去を、経済的に有利に行うことができる。
本実施形態によれば、上記の実施形態の酸性ガス吸収剤を用いることで、二酸化炭素脱離(再生工程)のために必要なエネルギーを低減することができる。このため、二酸化炭素の吸収分離工程を、経済的に有利な条件で行うことができる。
また、上述した実施形態に係るアミン化合物は、従来より酸性ガス吸収剤として用いられてきた2‐アミノエタノール等のアルカノールアミン類と比較して、炭素鋼などの金属材料に対し著しく高い耐腐食性を有している。したがって、このような酸性ガス吸収剤を用いた酸性ガス除去方法とすることで、例えばプラント建設において、高コストの高級耐食鋼を用いる必要がなくなり、コスト面で有利である。
本実施形態に係る酸性ガス除去装置は、酸性ガスを含有するガスと酸性ガス吸着剤とを接触させて前記ガスから酸性ガスを除去する吸収塔と、酸性ガスを吸収した前記酸性ガス吸着剤から酸性ガスを除去して再生する再生塔と、を有し、前記再生塔で再生した前記酸性ガス吸着剤を前記吸収塔で再利用する酸性ガス除去装置であって、前記酸性ガス吸着剤として、例えば上記の実施形態に係る酸性ガス吸収剤を用いたものである。
図1は、実施形態の酸性ガス除去装置の概略図である。この酸性ガス除去装置1は、酸性ガスを含むガス(以下、排気ガスと示す。)と酸性ガス吸着剤とを接触させ、この排気ガスから酸性ガスを吸収させて除去する吸収塔2と、酸性ガスを吸収した酸性ガス吸着剤から酸性ガスを分離し、酸性ガス吸着剤を再生する再生塔3と、を備えている。
以下、酸性ガスが二酸化炭素である場合を例に説明する。
図1に示すように、火力発電所から排出される燃焼排ガス等の二酸化炭素を含む排気ガスが、ガス供給口4を通って吸収塔2下部へ導かれる。この排気ガスは、吸収塔2に押し込められ、吸収塔2上部の酸性ガス吸収剤供給口5から供給された酸性ガス吸収剤と接触する。酸性ガス吸収剤としては、上述した実施形態に係る酸性ガス吸収剤を使用する。
図1に示すように、火力発電所から排出される燃焼排ガス等の二酸化炭素を含む排気ガスが、ガス供給口4を通って吸収塔2下部へ導かれる。この排気ガスは、吸収塔2に押し込められ、吸収塔2上部の酸性ガス吸収剤供給口5から供給された酸性ガス吸収剤と接触する。酸性ガス吸収剤としては、上述した実施形態に係る酸性ガス吸収剤を使用する。
酸性ガス吸収剤のpH値は、少なくとも9以上に調整すればよいが、排気ガス中に含まれる有害ガスの種類、濃度、流量等によって、適宜最適条件を選択することがよい。
また、この酸性ガス吸収剤には、上記のアミン系化合物、および水などの溶媒の他に、二酸化炭素の吸収性能を向上させる含窒素化合物、酸化防止剤、pH調整剤等、その他化合物を任意の割合で含有していてもよい。
このように、排気ガスが酸性ガス吸収剤と接触することで、この排気ガス中の二酸化炭素が酸性ガス吸収剤に吸収され除去される。二酸化炭素が除去された後の排気ガスは、ガス排出口6から吸収塔2外部に排出される。
二酸化炭素を吸収した酸性ガス吸収剤は、熱交換器7、加熱器8に送液され、加熱された後、再生塔3に送液される。再生塔3内部に送液された酸性ガス吸収剤は、再生塔3の上部から下部に移動し、この間に、酸性ガス吸収剤中の二酸化炭素が脱離し、酸性ガス吸収剤が再生する。
再生塔3で再生した酸性ガス吸収剤は、ポンプ9によって熱交換器7、吸収液冷却器10に送液され、酸性ガス吸収剤供給口5から吸収塔2に戻される。
一方、酸性ガス吸収剤から分離された二酸化炭素は、再生塔3上部において、還流ドラム11から供給された還流水と接触し、再生塔3外部に排出される。
二酸化炭素が溶解した還流水は、還流冷却器12で冷却された後、還流ドラム11において、二酸化炭素を伴う水蒸気が凝縮した液体成分と分離され、この液体成分は、回収二酸化炭素ライン13により二酸化炭素回収工程に導かれる。一方、二酸化炭素が分離された還流水は、還流水ポンプ14で再生塔3に送液される。
本実施形態の酸性ガス除去装置1によれば、二酸化炭素の吸収特性および脱離特性に優れた酸性ガス吸収剤を用いることで、効率の高い二酸化炭素の吸収除去を行うことが可能となる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明したが、上記の実施例は、本発明の一例として挙げたものであり、本発明を限定するものではない。
また、上記の各実施形態の説明では、酸性ガス吸収剤、酸性ガス除去装置および酸性ガス除去方法において、本発明の説明に直接必要とされない部分等についての記載を省略したが、これらについて必要とされる各要素を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、本発明の趣旨に反しない範囲で当業者が適宜設計変更しうる全ての酸性ガス吸収剤、酸性ガス除去装置および酸性ガス除去方法は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
以下、本発明について実施例、比較例を参照してさらに詳細な説明を行うが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
N‐(2‐ブチル)‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを30質量%、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンを30質量%となるように水に溶解させ、50mlの水溶液(以下、吸収液と示す。)とした。この吸収液を試験管に充填して40℃に加熱し、二酸化炭素(CO2)10体積%、窒素(N2)ガス90体積%含む混合ガスを流速500mL/minで通気して、試験管出口でのガス中の二酸化炭素(CO2)濃度を赤外線式ガス濃度測定装置(株式会社島津製作所製、商品名「CGT‐700」)を用いて測定し、吸収性能を評価した。試験管内のアミン水溶液へのガス導入口には、1/8インチのテフロン(登録商標)チューブ(内径:1.59mm、外径:3.17mm)を用いて行った。
N‐(2‐ブチル)‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを30質量%、1‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンを30質量%となるように水に溶解させ、50mlの水溶液(以下、吸収液と示す。)とした。この吸収液を試験管に充填して40℃に加熱し、二酸化炭素(CO2)10体積%、窒素(N2)ガス90体積%含む混合ガスを流速500mL/minで通気して、試験管出口でのガス中の二酸化炭素(CO2)濃度を赤外線式ガス濃度測定装置(株式会社島津製作所製、商品名「CGT‐700」)を用いて測定し、吸収性能を評価した。試験管内のアミン水溶液へのガス導入口には、1/8インチのテフロン(登録商標)チューブ(内径:1.59mm、外径:3.17mm)を用いて行った。
また、上記のように混合ガスを40℃で吸収させた後の水溶液を70℃に加熱し、100%窒素(N2)ガスを流速500mL/minで通気し、吸収液中のCO2濃度を赤外線式ガス濃度測定装置を用いて測定して回収性能を評価した。
40℃における吸収液の二酸化炭素吸収量と70℃における吸収液の二酸化炭素吸収量の差から求められる回収量を比較例1と相対比較した。また、反応熱も同様に比較例1と相対比較した。
40℃における吸収液の二酸化炭素吸収量と70℃における吸収液の二酸化炭素吸収量の差から求められる回収量を比較例1と相対比較した。また、反応熱も同様に比較例1と相対比較した。
<実施例2>
N‐(2‐ブチル)‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンに代えて、N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして吸収液(水溶液)を調製し、実施例1と同様の装置を用いて評価した。
N‐(2‐ブチル)‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンに代えて、N‐イソプロピル‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして吸収液(水溶液)を調製し、実施例1と同様の装置を用いて評価した。
<実施例3>
N‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンに代えて、N‐(2‐アミノエチル)ピペラジンを用いたこと以外は、実施例2と同様にして吸収液(水溶液)を調製し、実施例1と同様の装置を用いて評価した。
N‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンに代えて、N‐(2‐アミノエチル)ピペラジンを用いたこと以外は、実施例2と同様にして吸収液(水溶液)を調製し、実施例1と同様の装置を用いて評価した。
<比較例1>
N‐(2‐ブチル)‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンに代えて、N‐メチル‐N’‐(2‐ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして吸収液(水溶液)を調製し、実施例1と同様の装置を用いて評価した。
N‐(2‐ブチル)‐N’‐(2‐ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンに代えて、N‐メチル‐N’‐(2‐ヒドロキシエチル)エチレンジアミンを用いたこと以外は、実施例1と同様にして吸収液(水溶液)を調製し、実施例1と同様の装置を用いて評価した。
以上述べた実施形態によれば、二酸化炭素等の酸性ガスの回収量を高くすることができる。
1…酸性ガス吸収装置、2…吸収塔、3…再生塔、4…ガス供給口、5…酸性ガス吸収剤供給口、6…ガス排出口、7…熱交換器、8…加熱器、9…ポンプ、10…吸収液冷却器、11…還流ドラム、12…還流冷却器、13…回収二酸化炭素ライン、14…還流水ポンプ
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表されるジアミン化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする、酸性ガス吸収剤。
R1R2N-(CR3R4)n-NR5R6 式(1)
[上記式(1)中、R1、R2、R5、R6は、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ヒドロキシアルキル基のいずれかを表す。ただし、R1、R2の少なくとも1つは、炭素数3~6の置換または非置換の分岐状アルキル基、R5、R6の少なくとも1つは、ヒドロキシアルキル基である。R3、R4は、水素原子、メチル基、エチル基のいずれかである。nは、1から6の整数である。] - 前記一般式(1)で示されるジアミン化合物において、R4が2‐ヒドロキシプロピル基である、請求項1記載の酸性ガス吸収剤。
- 前記一般式(1)で示されるジアミン化合物の含有量が10~50質量%である、請求項1または2記載の酸性ガス吸着剤。
- 前記の一般式(1)で表されるジアミン化合物と、アルカノールアミン類および/または下記一般式(2)(3)で表されるヘテロ環状アミン化合物からなる反応促進剤とを含有し、前記反応促進剤の含有量が5~50質量%である、請求項1~3のいずれか1項記載の酸性ガス吸収剤。
R7は、水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基を表し、
R8は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基を表し、
R7およびR8のうち少なくともひとつは、炭素数1~8の、ヒドロキシアルキル基であり、
pは、それぞれ独立に、2~4の整数であり、
式(2)中の環状骨格は構成員として酸素を含んでいてもよい。]
R9は、それぞれ独立に水素原子、水酸基、炭素数1~8のヒドロキシアルキル基またはアミノアルキル基を表し、
R9のうち少なくともひとつは炭素数1~8の、ヒドロキシアルキル基であり、
qは、3~8の整数であり、
式(3)中の環状骨格は構成員として酸素を含んでいてもよい。] - 前記ヘテロ環状アミン化合物がピペラジン類からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項4に記載の酸性ガス吸収剤。
- 前記ピペラジン類が、N‐(2‐ヒドロキシエチル)ピペラジンである、請求項5に記載の酸性ガス吸収剤。
- 前記一般式(1)のR1がイソプロピル基である、請求項1~6のいずれか1項記載の酸性ガス吸収剤。
- 酸性ガスを含有するガスと、請求項1~7のいずれか1項記載の酸性ガス吸着剤とを接触させて、前記酸性ガスを含むガスから酸性ガスを除去することを特徴とする、酸性ガス除去方法。
- 酸性ガスを含有するガスと酸性ガス吸着剤とを接触させて前記ガスから酸性ガスを除去する吸収塔と、酸性ガスを吸収した前記酸性ガス吸着剤から酸性ガスを除去して再生する再生塔と、を有し、前記再生塔で再生した前記酸性ガス吸着剤を前記吸収塔で再利用する酸性ガス除去装置であって、請求項1~8のいずれか1項記載の酸性ガス吸着剤を用いてなることを特徴とする、酸性ガス除去装置。
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