JP2022024875A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022024875000001
【課題】 ドットトナーを付加することなく、感光ドラムや中間転写ベルトの回転変動を抑制することで、画像弊害の発生を抑制する。
【解決手段】 現像剤担持体を像担持体に押圧する押圧力をF、トナー粒子と像担持体との間に介在する微粒子の総数をN、とした場合に、微粒子を単位微粒子当たりの押圧力であるF/Nでトナー粒子に押圧した際に測定される微粒子とトナー粒子との間に形成される付着力Ftと、微粒子をF/Nで像担持体に押圧した際に測定される微粒子と像担持体との間に形成される付着力Fdrと、の関係が、Ft≦Fdrを満たし、像担持体の表面の移動速度と中間転写体の表面の移動速度と、の間に速度差を有する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電子写真プロセス等を利用したカラー画像形成装置に関するものである。
従来から、複写機やレーザプリンターなどの画像形成装置として、中間転写体を使用する構成を有する画像形成装置が知られている。
この画像形成装置は、一次転写工程として、像担持体としての感光ドラム表面に形成されたトナー像を、感光ドラム対向部に配置された一次転写部材に電圧電源より電圧を印加することで、中間転写体上に転写する。その後、この一次転写工程を、複数色のトナー像に関して繰り返し実行することにより、中間転写体表面に複数色のトナー像を形成する。続けて、二次転写工程として、中間転写体表面に形成された複数色のトナー像を、二次転写部材へ電圧を印加することで、紙などの記録材表面に一括して転写する。一括転写されたトナー像は、その後、定着手段により、記録材に永久定着されることにより、カラー画像が形成される。
この特許文献1に記載の画像形成装置では、中間転写体としての中間転写ベルトは感光ドラムに当接して一次転写ニップ部を構成しており、一次転写ニップ部において、トナー像が、感光ドラムから中間転写ベルトに転写される。
一次転写ニップ部においては、感光ドラムと中間転写ベルトの周速度を完全に同一にすると、転写効率が低下し、文字や線等のトナー像の中央部分が白く抜ける、いわゆる中抜けが生じることが知られている。そこで、特許文献1では、感光ドラムと中間転写ベルトの周速度に、積極的に周速差を付与することで、一次転写効率を高めて中抜けの発生を抑制し、画質改善が図られている。
しかしながら、上記の画像形成装置では、感光ドラム表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト表面に一次転写するとき、感光ドラムの急激な回転変動が発生することがある。これに起因してレーザ露光に露光ムラが生じ、後続して感光ドラム表面に形成されたトナー画像に画像スジが発生することがある。これは、一次転写ニップ部内にトナーが無い状態で、感光ドラム上に現像されたトナー画像の先端部分が一次転写ニップ部に突入した場合に、中間転写ベルト表面によって感光ドラム表面に作用する摩擦力が急激に減少するためである。
これに対し、画像パターンのトナー画像以外に、イエロー色等のトナーによるドット型の微小なトナー像を感光ドラム上に付加して形成することにより、感光ドラムや中間転写ベルトの回転変動を抑制し、各種の画像不良を防止出来ることが知られている。例えば、特許文献2に記載された画像形成装置においては、感光ドラム上に微小なドットトナー像を一様に分散して形成することで、中間転写ベルト上に一次転写されるトナー画像上に色ずれが発生することを防止している。
特開2016-1268号公報 特開平11-52758号公報
しかしながら、特許文献2に記載の画像形成装置において、以下のような課題があった。高白色紙、コート紙、光沢紙といった種類の記録材上に印字を行う際にドットトナー像を付加して画像形成を行うと、付加したドットトナー像が記録材上で目立ち、記録材が全体的に黄色味を帯びて見え、画像品質が低下するという問題が生じることがあった。これは、高白色紙、コート紙、光沢紙といった記録材は表面平滑性が高く、二次転写性が良いことが要因である。中間転写ベルト上に一次転写されて、感光ドラムと中間転写ベルトの表面を互いに滑りやすくし、摩擦力を低減するイエローのドットトナー像が、記録材上において忠実に再現されてしまう。
そこで、本発明は、ドットトナー像を付加することなく、感光ドラムや中間転写ベルトの回転変動を抑制することで、画像弊害の発生を抑制することを目的とする。
そこで、本発明に係る画像形成装置は、回転可能な像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電部材と、前記帯電部材によって帯電された前記像担持体の表面に静電潜像を形成するために前記像担持体の表面を露光する露光ユニットと、トナー粒子及び前記トナー粒子の表面に付着する微粒子により構成される現像剤を担持する回転可能な現像剤担持体であって、前記像担持体と接触して現像部を形成し、前記現像部において前記像担持体の表面に前記現像剤を供給する現像剤担持体と、前記現像剤を収容する現像剤収容部と、前記像担持体と接触して転写部を形成する中間転写体と、前記像担持体の表面に供給された前記現像剤を前記中間転写体に転写する転写部材と、前記像担持体の表面の移動速度と前記中間転写体の表面の移動速度と、の間に速度差を有するように、前記像担持体と前記中間転写体と、を駆動する駆動部と、を有し、前記像担持体が回転した状態で、前記現像部において、前記現像剤担持体の表面に担持され前記現像剤収容部に収容された前記微粒子を前記像担持体の表面に供給することが可能な画像形成装置であって、前記現像剤担持体を前記像担持体に押圧する押圧力をF、前記トナー粒子と前記像担持体との間に介在する前記微粒子の総数をN、とした場合に、前記微粒子を単位微粒子当たりの押圧力であるF/Nで前記トナー粒子に押圧した際に測定される前記微粒子と前記トナー粒子との間に形成される付着力Ftと、前記微粒子を前記F/Nで前記像担持体に押圧した際に測定される前記微粒子と前記像担持体との間に形成される付着力Fdrと、の関係が、Ft≦Fdrを満たすことを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、ドットトナー像を付加することなく、感光ドラムや中間転写ベルトの回転変動を抑制することで、画像弊害の発生を抑制することが出来る。
実施例1の画像形成装置を説明する図である。 実施例1における一次転写部を説明する図である。 実施例1における制御ブロック図である。 実施例1におけるドラムニップ部内のトナーの振る舞いを説明する図である。 実施例1における周速差と一次転写残トナー量との関係を説明するグラフである。 実施例1における感光ドラムへの微粒子の供給を説明する図である。 実施例1における一次転写時の微粒子の様子を説明する図である。 実施例1における画像形成動作を説明するタイミングチャートである。 実施例1におけるトナー表面の模式図である。 実施例1におけるトナー表面の凸形状の模式図である。 実施例1におけるトナー表面の凸形状の模式図である。 実施例1におけるトナー表面の凸形状の模式図である。 実施例1におけるトナーと微粒子との状態を説明する図である。 実施例2における画像形成装置を説明する図である。 実施例3における画像形成装置を説明する図である。 実施例3における一次転写部を説明する図である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。従って、特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、カラー画像形成装置の一例を示す概略図であり、図1を用いて本実施形態の画像形成装置の構成及び動作を説明する。尚、本実施形態の画像形成装置は、a~dの画像形成ステーションを設けている所謂タンデムタイプのプリンタである。第1の画像形成ステーションaはイエロー(Y)、第2の画像形成ステーションbはマゼンタ(M)、第3の画像形成ステーションcはシアン(C)、第4の画像形成ステーションdはブラック(Bk)の各色の画像を形成する。各画像形成ステーションの構成は、収容するトナーの色以外では同じであり、以下、第1の画像形成ステーションaを用いて説明する。また、以下、特に区別を要しない場合は、Y、M、C、Kにおけるa~dは省略して、総括的に説明する。
第1の画像形成ステーションaは、ドラム状の電子写真感光体(以下、感光ドラムという)1aと、帯電部材である帯電ローラ2aと、露光ユニット3aと、現像器4aと、クリーニングユニット5aとを備える。
コントローラ等の制御部200が画像信号を受信することによって画像形成動作が開始され、感光ドラム1aは回転駆動される。感光ドラム1aは回転過程で、帯電ローラ2aにより所定の極性(本実施形態では負極性)で所定の電位に一様に帯電処理され、露光ユニット3aにより画像信号に応じた露光を受ける。これにより、目的のカラー画像のイエロー色成分像に対応した静電潜像が形成される。次いで、その静電潜像は現像位置において現像器(イエロー現像器)4aにより現像され、イエロートナー像として可視化される。
感光ドラム1aは、矢印の方向に100mm/secの周速度(プロセススピード)で回転駆動し、トナー像を担持する像担持体である。感光ドラム1aはφ20mmのアルミの素管上に感光層と表層を設けたもので、表層はポリアリレートで形成する膜厚20μmの薄膜層を用いている。
帯電部材としての帯電ローラ2aは、感光ドラム1aの表面に所定の圧接力によって帯電部において接触しており、感光ドラム1a表面との摩擦により感光ドラム1aに対して従動回転する。また、帯電ローラ2aの回転軸には、画像形成動作に応じて帯電高圧電源120から-1100Vの直流電圧を印加している。このとき、感光ドラム1aの表面電位をトレック社製の表面電位計Model344で測定すると、-500V程度であった。このときの感光ドラム1aの表面電位である-500Vは、非画像形成時の感光ドラム1の表面電位であり、トナー像の現像は行われない暗部電位(Vd)である。
露光ユニット3aは、レーザドライバ、レーザダイオード、ポリゴンミラー、光学レンズ系等を備えている。ホストコンピュータ(不図示)から入力される画像情報に基づきレーザ光を照射して、一様に帯電された感光ドラム1a表面に静電潜像を形成する露光手段である。本実施例では、露光ユニット3aの最大光量で露光された後の感光ドラム1表面の画像形成電位Vlが、-100Vとなるように露光量を調整している。画像形成電位は明部電位ともいう。
現像ユニット4aは、現像部材(トナー(現像剤)担持体)としての現像ローラ41a及び現像剤としての非磁性一成分トナー(以下、トナー)を備える現像剤収容部を有している。現像ユニット4aは、静電潜像をトナー像として現像するために、感光ドラム1に現像作用を行う現像手段である。現像ローラ41aは、200gfの押圧力で、画像形成動作に応じて感光ドラム1aと所定の当接幅を持って当接している。そして、現像ローラ41aは、感光ドラム1aの周速度よりも早い周速度で、感光ドラム1aとの対向部(接触部)において現像ローラ41aの表面移動方向が感光ドラム1aの表面移動方向と順方向となるように回転駆動される。
ここで、現像ローラ41aは、感光ドラム1に接離可能に設けられている。即ち、現像ユニット4aと画像形成装置本体100は、現像ローラ41aと感光ドラム1aの当接離間(現像離間)状態を制御する機構40を備えている。画像形成動作等に応じて現像ローラ41aと感光ドラム1aを当接させ、動作が停止するときには離間させている。
また、現像ローラ41aの芯金には、画像形成動作に応じて現像高圧電源140から所定の直流電圧が印加される。本実施例では、現像ローラ41aの芯金には現像電圧Vdcとして-300Vの直流電圧が印加される。画像形成時には、現像電圧Vdc=-300Vと感光ドラム1aの画像形成電位Vl=-100Vの間の電位差により生じる静電力にて、現像ローラ41a上に担持されたトナーが感光ドラム1aの画像形成電位Vl部に現像される。
ここで、以降の説明においては、電位や印加電圧に関し、負極性側に絶対値が大きい(例えば-500Vに対して-1000V)ことを電位が高いと称し、負極性側に絶対値が小さい(例えば-500Vに対して-300V)ことを電位が低いと称する。これは本実施例における負帯電性を持つトナーを基準として考えるためである。
また、本実施例での電圧は、アース電位(0V)との電位差として表現される。したがって、現像電圧Vdc=-300Vは、アース電位に対して、現像ローラ41aの芯金に印加された現像電圧によって、-300Vの電位差を有したと解釈される。これは、帯電電圧や転写電圧などに関しても同様である。本実施例におけるトナーは、懸濁重合法で製造した負帯電性を有する非磁性のトナーで、体積平均粒径が7.0μmである。トナーの体積平均粒径は、ベックマン・コールター株式会社製のレーザ回折式粒度分布測定器LS-230で測定した体積平均粒径である。トナーに関しては詳細を後述する。
また、現像器に収容されたトナーの正規の帯電極性は、負極性である。この実施形態では帯電部材による感光ドラムの帯電極性と同極性に帯電したトナーにより静電潜像を反転現像しているが、本発明は、感光ドラムの帯電極性とは逆極性に帯電したトナーにより静電潜像を正現像するようにした電子写真装置にも適用出来る。本実施例の特徴であるトナーの表面構成及び外添構成については後述する。
中間転写ベルト20は、複数の張架部材11、12、13とで張架され、感光ドラム1aと当接した対向部で周方向に移動する向きに、感光ドラム1aと一定の周速差で回転駆動される。中間転写ベルト20の構成は、図2に示すように、コート層21、基層22からなる2層構成であり、周長は700mmである。コート層21は、表面に厚み2μmのアクリル樹脂塗料を塗布することで、平滑度の高いコート層21としている。一方、基層22は、ポリエステルを主成分とする材料から構成され、厚みは100μmである。上述したコート層21は、基層22に比べて膜厚が薄いため、中間転写ベルト20の抵抗値に与える影響は小さいものの、必要に応じ、カーボンブラック等の導電剤を添加して、抵抗調整してもよい。また、コート層21の厚みについては、平滑性及び製造上観点より、0.5~4.0μmの範囲が好ましい。
なお、コート層21に塗布する樹脂の材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアリレート、ウレタン、シリコーン、フッ素樹脂等の材料を使用しても良い。また、基層22の材料に関しては、熱可塑性樹脂であれば、他の材料でもよい。例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、アクリロニトリルーブタジエンースチレン共重合体(ABS)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の材料及びこれらの混合樹脂を使用しても良い。
感光ドラム1a上に形成されたイエロートナー像は、感光ドラム1aと中間転写体としての中間転写ベルト20を介した一次転写ローラ14aの当接部である一次転写部を通過する過程で、中間転写ベルト20の上に転写される(一次転写)。一次転写部材としての一次転写ローラ14aには画像形成動作に応じて一次転写電源160から500Vの直流電圧が印加される。そして、感光ドラム1a表面に残留した一次転写残トナーは、クリーニングユニット5aにより清掃、除去された後、帯電以下の画像形成プロセスに供せられる。
以下、同様にして、第2,3,4の画像形成ステーションb、c、dによって第2色のマゼンタトナー像、第3色のシアントナー像、第4色のブラックトナー像が形成される。そして、中間転写ベルト20上に順次重ねて転写され、目的のカラー画像に対応した合成カラー画像が得られる。
続いて、上述したような中間転写ベルト20上の4色のトナー像は、中間転写ベルト20と二次転写部材としての二次転写ローラ15が形成する二次転写ニップ部を通過する過程で、給紙手段60により給紙された記録材Pの表面に一括転写される(二次転写)。二次転写ローラ15は、中間転写ベルト20に対して、5kgfの加圧力で当接し、二次転写部において二次転写ニップを形成している。二次転写ローラ15は中間転写ベルト20に対して従動回転し、また、中間転写ベルト20上のトナーを紙等の記録材Pに二次転写している時には、二次転写電源150より、2500Vの電圧が印加されている。本実施例の中間転写ベルト20は、上述した平滑度の高いコート層21によって、記録材Pの表面との間に発生する微小空間を小さくすることが出来るため、二次転写ニップ部での電界の乱れが抑制され、二次転写効率を向上させることが出来る。
その後、4色のトナー像を担持した記録材Pは定着器30に導入され、そこで加熱および加圧されることにより4色のトナーが溶融混色して記録材Pに固定される。二次転写後に中間転写ベルト20上に残ったトナーは、クリーニングユニット50により清掃、除去される。
以上の動作により、フルカラーのプリント画像が形成される。
続いて、制御部200について説明する。図3は、本実施例における画像形成装置100の要部の概略制御態様を示す制御ブロック図である。コントローラ202は、ホスト装置との間で各種の電気的な情報の授受をすると共に、画像形成装置100の画像形成動作を所定の制御プログラムや参照テーブルに従って、インターフェース201を介して制御部202で統括的に制御する。制御部202は、様々な演算処理を行う中心的素子であるCPU155、記憶素子であるROM、RAMなどのメモリ154などを有して構成される。RAMには、センサの検知結果、カウンタのカウント結果、演算結果などが格納され、ROMには制御プログラム、予め実験などにより得られたデータテーブルなどが格納されている。制御部200には、画像形成装置100における各制御対象、センサ、カウンタなどが接続されている。制御部200は、各種の電気的情報信号の授受や、各部の駆動のタイミングなどを制御して、所定の画像形成シーケンスの制御などを行う。例えば、帯電電圧電源120、現像電圧電源140、露光ユニット3、一次転写電圧電源160、二次転写電圧電源150によって印加される電圧や露光量を制御部200によって制御している。その他、感光ドラム駆動部110、現像ローラ駆動部130、現像当接離間機構40の制御も行う。そして、この画像形成装置100は、ホスト装置からコントローラ202に入力される電気的画像信号に基づいて、記録材Pに画像形成を行う。なお、ホスト装置としては、イメージリーダー、パソコン、ファクシミリ、スマートフォン等が挙げられる。
2.中間転写ベルトと感光ドラムの周速差
本実施例では、一次転写効率改善のため、感光ドラム1a、1b、1c、1dと中間転写ベルト20との間に周速差を付けている。以下、詳細を第1の画像形成ステーションaを用いて説明する。
図2は、第1の画像形成ステーションaにおける一次転写部の拡大図である。
一次転写ローラ14aは、外径φ6mmの金属芯金141aに、厚み3mmのゴム状弾性を有する弾性体142aを巻いた構成である。一次転写部においては、一次転写ローラ14aが、中間転写ベルト20を挟んで感光ドラム1aに対向するように配置され、感光ドラム1aに対し、一次転写ローラ14aで中間転写ベルト20を500gfで押圧して狭持している。中間転写ベルト20は、感光ドラム1aに所定長さだけ巻き付いて互いに接触しており、この接触領域が転写部においてドラムニップ部を形成する。その際のドラムニップ部の当接幅であるドラムニップ幅をQとする。
感光ドラム1aは所定の周速度である表面移動速度Vdrで回転駆動され、中間転写ベルト20は所定の周速度である移動速度Vbで回転される。その状態で、ドラムニップ部において、トナーTは、順次、中間転写ベルト20に転写されていく。一次転写ローラ14aは、中間転写ベルト20と連れ回り回転している。なお、感光ドラム1a及び中間転写ベルト20の周速度Vdr、Vbは、それぞれ感光ドラム1の表面および中間転写ベルト20の表面の移動速度である。ここで、本実施例の構成において、中間転写ベルト20の表面の移動は、感光ドラム駆動部110から入力することで行い、感光ドラム1と中間転写ベルト20との表面移動速度差を発生させた。しかし、感光ドラム駆動部110とは別に、中間転写ベルト20を駆動する駆動部を有してもよいし、他の駆動部から駆動入力してもよい。
次に、図4を参照し、ドラムニップ部に周速差を付与することによる一次転写効率の改善メカニズムについて説明する。
図4は、上述したドラムニップ部内を模式的に示しており、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の間に周速差を付与した場合の、トナーTの振る舞いを説明する図である。
ドラムニップ部において、感光ドラム1aはVdrの周速で回転し、中間転写ベルト20は周速度Vbで回転することで、周速差Vdr-Vbが付与される。本実施例において、VdrとVbには、Vdr<Vbの関係があり、中間転写ベルト20の周速度Vbが感光ドラム1aの周速度Vdrより大きい一次転写構成となっている。
現像プロセスにより、感光ドラム1a上の潜像形成部に付着する最下層のトナーTは、感光ドラム1aと接点を有する。感光ドラム1aと接点を有するトナーTは、それぞれの表面において、感光ドラム1aとの付着力が大きくなる個所を接点とし、安定した状態にある場合が多い。トナーTは、表面形状や表面電荷状態によって異なる付着力が大きいポイントで付着しやすい。また、付着力が大きいポイントで付着したトナーTは転写しにくく、一次転写効率を上げるためには、その付着力以上の力を発現させる転写条件が必要となる。
まず、トナーTがドラムニップ部内に巡ってくると、周速差によりトナーTはベアリングのように回転することで、状態Aから状態Bに移動する。この移動に伴い、トナーTと感光ドラム1aとの接点Ptは点Pt’まで移動する。よって、ドラムニップ部突入前には、感光ドラム1aと接していた付着力が相対的に大きい接点Ptから、トナーTが離れることとなり、トナーTと感光ドラム1aの付着力は低下することとなる。周速差によって、接点PtにおいてトナーTの付着面が感光ドラム1aから離れるので、感光ドラム1aの周速度Vdrと中間転写ベルト20の周速度Vbの大小関係は、上述したVdr<Vbの関係に従う必要はなく、逆転しても効果が発生する。
以上説明したように、感光ドラム1aと中間転写ベルト20との間に周速差を付与することで、トナーTと感光ドラム1aの付着力が低下し、感光ドラム1aからトナーTを引きはがしやすくなり、一次転写効率の改善効果が発現する。
次に、上述した一次転写効率の改善を実現する周速差の範囲について説明する。先ず、ドラムニップ部内に生じる感光ドラム1aと中間転写ベルト20との相対的な移動量を、周速差によるトナーTの転がり量として規定する。そして、転がり量が予め設定した範囲に収まるように、ドラムニップ部のニップ幅Q及び周速差率を設定し、転写効率と画質劣化のバランスを最適化している。
以下、本実施例において規定する特有のパラメータであるトナーTの「転がり量」の関係について説明する。
トナーTの転がり量は、周速差によりドラムニップ部内に生じる感光ドラム1aと中間転写ベルト20の相対的な移動量であり、本実施形態においては、下記のように定義する。
転がり量(R)=周速差率(Vr)×ドラムニップ幅(Q)・・・・・・(式1)
周速差率(Vr)=|Vdr-Vb|/Vdr×100・・・・・・(式2)
ここで、上記式1の周速差率(周速比、速度比)Vrは、感光ドラム1aの周速度Vdrに対する、周速度Vdrと中間転写ベルト20の周速度Vbの周速差|Vdr-Vb|の百分率として定義している。
表1には、ドラムニップ部と周速差率Vrを変化したときの転がり量Rを示している。表1に示すように、転がり量Rは、周速差率Vrが大きいほど、もしくは、ドラムニップ幅Qが大きいほど大きくなるパラメータである。
Figure 2022024875000002
図5は、上述したドラムニップ幅Qが1500μmの場合において、周速差率Vrを振って感光ドラム1の表面上に残る一次転写後の残留トナー量を測定した結果を示している。グラフ中の縦軸は、一次転写後の残留トナー量を反射濃度に対応する反射率に基づいて計測した結果を示している。M色のステーションでベタ画像を印字し、下流のC色ステーションでベタ画像の印字後(転写後)の、C色の感光ドラム1cの表面上の転写後の残留トナー像をテーピングする。そして、テーピングした結果に対して反射濃度計((有)東京電飾:型番TC-6DS)により反射率を計測した。その結果、周速差率Vrが大きくなれば大きくなるほど、一次転写後の残留トナーの量が減少し、一次転写効率が良くなっていることが分かる。また、周速差率Vrによる一次転写効率改善効果については、周速差率Vrが0.75%付近から急激に効果が発現し、周速差率Vrが2%以上の領域では、一次転写後の残留トナーがほとんど存在しない状態となっている。これは、周速差を設けることによる効果が十分に発揮されていることを示している。本実施例の構成におけるドラムニップ幅Qは1500μmを用いているため、一次転写効率改善効果が発現し始める周速差率(Vr)0.75%におけるトナーTの転がり量(R)は、11.25μmである。
上述したように、本実施例においては、重量平均粒径(D)が7.0μmのトナーTを用いており、トナーTを球体と仮定した場合、トナーTの周長は21.98μmとなる。ここで、一次転写効率改善効果が発現し始める転がり量Rは11.25μmであり、これは、トナーTの周長のおよそ半分の円弧長さである。つまり、おおよそ半周転がることで、トナーTの感光ドラム1aとの初期の接点は、中間転写ベルト20側に移動し、付着力を下げるのに十分な感光ドラム1aとの距離を確保することになり、一次転写効率が改善すると考えられる。以上から、本実施例では、用いるトナーTの重量平均粒径から算出される平均周長の半分の値を転がり量Rの下限値と設定した。
次に、転がり量Rの上限値について説明をする。転がり量Rの上限値については、画質劣化の観点より、ドラムニップ部内でのトナーの移動量を基準とした。図4にあるように、トナーTを、状態Aから状態Bまで、距離Lだけ回転移動させると、トナーTが距離Lを移動するために、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の相対的な移動距離は、L×2になる。すなわち、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の相対的な移動距離、すなわち「転がり量R」に対し、トナーTは、その周長の半値だけ、ドラムニップ部中でずれ動くこととなる。トナーTがずれ動くと、トナー像の高さや幅にばらつきがでてしまい、ガサツキが悪化してしまう。
そのため、トナーTのずれ動く量の許容範囲としては、一般的な画像形成装置の解像度である600DPIの1Dot程度の大きさに相当するおよそ50μmの範囲であると考えられるため、転がり量Rの上限値は100μmとなる。
以上より、一次転写効率と画質劣化のバランスをとった転がり量Rの範囲としては、トナーTの周長の半分の円弧の長さから100μmの範囲となる。トナー重量平均粒径D、ドラムニップ幅Q、周速差率Vrを用いると、下記式3に示すような範囲を満たす構成とすることが望ましい。
1/2×D(μm)×π≦Vr(%)×Q(μm)/100≦100μm・・(式3)
本実施例の構成では、ドラムニップ幅Q=1500μm、周速差率Vr=2.5%を用いた。
また、本実施例では、トナーを球体と仮定して説明したものの、球体に限ることはなく、周速差によってトナーが転がる形状であれば、一次転写性の改善効果を得ることが出来る。
3.画像ブレメカニズム
上述のような感光ドラム1と中間転写ベルト20との間に周速差を付ける画像形成装置100では、感光ドラム1の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト20の表面に一次転写するとき、感光ドラム1の急激な回転変動が発生することがある。回転変動に起因してレーザ露光に露光ムラが生じ、後続して感光ドラム1の表面に形成されたトナー画像に画像スジが発生し、これが最終画像の画質を劣化させる要因となっていることが分かった。
以下詳細について、第1の画像形成ステーションaにおける一次転写部の拡大図を示す図2を用いて説明する。
プリント動作中、回転駆動される感光ドラム1aに対し、中間転写ベルト20は感光ドラム1aよりも約2.5%速い表面周速により回転駆動される。これは、上述したように感光ドラム1aと中間転写ベルト20との間に周速差を付与することで、トナーTと感光ドラム1aの付着力が低下し、感光ドラム1aからトナーTを引きはがしやすくなり、一次転写効率が改善するためである。
このような状況下において、ドラムニップ部内にトナーTが無い状態では、感光ドラム1aの表面には中間転写ベルト20の表面より接線方向(副走査方向)下流側への摩擦力Fが作用する。しかし、感光ドラム1aの表面上に現像されたトナー像の先端部分がドラムニップ部内に突入すると、この摩擦力Fは急激に減少する(F→F≒0)。これは、ドラムニップ部内へトナーTが供給されることで、感光ドラム1aの表面と中間転写ベルト20の表面とが互いに滑りやすくなるためである。そのため、感光ドラム1aには突発的な回転変動が生じ、感光ドラム1aの表面に対するレーザ露光に書き込みムラが生じる。これが、後続して感光ドラム1aの表面に形成されるトナー像上で主走査方向の画像スジとなり、最終画像上にも現れる。
なお、画像スジは記録材P上の最終画像においては、画像パターン内に配されたトナー像の副走査方向の先頭部を起点として、レーザ露光部からドラムニップ間の距離(本実施例では、例えば30mm)だけ副走査方向下流側に移動した位置のトナー像上に現れる。特に、レーザの露光ムラの影響を受け易い、中間調のハーフトーントナー像部が前記位置に存在した場合には顕著な画像スジとなって現れる。
以上のように、上記摩擦力Fには、ユーザが得ようとする画像パターンに応じ断続的な時間変動が生じた結果、感光ドラム1aの回転変動による画像スジが最終画像上に発生する。
画像スジ対策として、ユーザが得ようとする画像パターンのトナー画像以外にイエロー等のトナーによるドット型の微小なトナー像を感光ドラム上に付加して形成することにより、感光ドラム1aや中間転写ベルト20の回転変動を抑制する方法が知られている。各種の画像不良を防止出来ることが一般的に知られているものの、付加したドットトナー像が記録材P上で黄色味を帯びて目立ってしまう場合があった。
上述から、ドラムニップ部における感光ドラム1aと中間転写ベルト20との間の摩擦力Fを、ドットトナー像以外の手段を使って低減することにより、トナー像の先端部分がドラムニップ部に突入した際にも感光ドラム1の回転変動による画像スジを抑制する。その上、記録材Pの色味変動を抑制することが出来る。
そこで、本実施例において、トナー像が現像される前に、現像ローラ41に担持されたトナーT上から感光ドラム1へ微粒子を供給し、感光ドラム1の表面上に微粒子を付着させる。感光ドラム1と中間転写ベルト20との間に微粒子を介在させることで、摩擦力Fを低減することを特徴としている。以下詳細を説明する。
図6(a)は、第1の画像形成ステーションaにおける現像ローラ41aと感光ドラム1aの当接時における現像ニップ部の模式図である。図6(a)に示すように、現像ニップ部では現像ローラ41a上に担持されたトナーTと感光ドラム1aが微粒子を介して接触している。図6(b)は、図6(a)で示した現像ローラ41aに担持されたトナーTと感光ドラム1aが、現像ニップ部を通過した後の状態を示した模式図である。
図6(b)に示すように、現像ニップ部でトナーTと感光ドラム1aとの間に介在していた微粒子は現像ニップ部通過後に現像ローラ41aに担持されたトナーT上から感光ドラム1aへと転移することで供給される。
図6(a)に示した現像ニップ部でトナーTと感光ドラム1aとの間に介在する微粒子とトナーTとの間の付着力Ftが、微粒子と感光ドラム1a間の付着力Fdrよりも大きい場合には、微粒子はトナーT上から感光ドラム1a上に転移しづらい。そのため、FtがFdrよりも小さくなることが好ましい。
また、図7(a)は、トナー像Tが感光ドラム1aの表面上に担持されている場合の一次転写部の模式図であり、図7(b)は、図7(a)で示したトナー像Tの一次転写が終了して、感光ドラム1aと中間転写ベルト20とが分離した状態の模式図である。FtがFdrよりも小さい場合、図7(a)と図7(b)に示すように、トナー像Tが感光ドラム1aから中間転写ベルト20へと一次転写する際に、トナー像Tのみ中間転写ベルト20上に一次転写する。そして、トナー像Tと感光ドラム1aとの間に介在していた微粒子は感光ドラム1a上に残留する。
図8は、本実施例で用いた画像形成装置のプリント動作のタイミングチャートである。図8に示すように、本実施例の画像形成装置はプリント動作中において、現像ローラ41aから感光ドラム1aへトナーTの現像を開始する前に、現像ローラ41aを回転駆動させる。そして、感光ドラム1aに当接したタイミングで、現像ローラ41aから感光ドラム1aへと微粒子を供給している。
本実施例では、トナーTがドラムニップ部に突入した際の回転変動を抑制するため、トナー像Tの現像を開始する前までに、感光ドラム1aと中間転写ベルト20とのドラムニップ部に微粒子を供給出来るようにする必要がある。そのため、微粒子の供給時間は、感光ドラム1a上の現像ローラ41aが当接した部位がドラムニップ部に到達するまでの時間以上に設定するのが好ましい。本実施例では、図8に示す微粒子の供給時間の長さを、上述した現像ローラ41aの当接部がドラムニップ部に到達する時間と略同じ200msecとなるようにタイミングを設定した。
また、本実施例では、図8に示す微粒子供給タイミングにおいて、感光ドラム1aの表面電位を正規極性に帯電したトナーが現像しない非画像形成電位Vd=-500Vにしている。そのため、本実施例の微粒子の供給タイミングでは、現像ローラ41aから感光ドラム1aへとトナーTは現像せず、微粒子のみが現像ローラ41aから感光ドラム1a上へと供給される。
本実施例のように、現像ローラ41aと感光ドラム1aとの間で電位差がある状態で、現像ローラ41a上のトナーTから感光ドラム1aへと微粒子を供給する場合、微粒子の粒径が大きすぎると、電位差により生じる静電的な力の影響を微粒子が受けやすい。よって、現像ローラ41a上のトナーTから感光ドラム1aへの微粒子の供給を制御することが難しくなる。例えば、本実施例のように、非画像形成電位にて微粒子を供給する構成において、微粒子が負極性に帯電している場合、現像ローラ41a側に微粒子が静電気力で引き付けられてしまう。そのため、微粒子を現像ローラ41a上のトナーから感光ドラム1aへ供給しづらくなる。したがって、微粒子の粒径は静電的な力の影響を受けづらい1000nm以下にしておくことが好ましい。本実施例では、現像ローラ41aと感光ドラム1aとの間の電位差に関係なく、安定して現像ローラ41a上のトナーTから感光ドラム1aへと微粒子を供給するため、微粒子として粒径100nmの粒子を用いている。
4.現像剤、トナー、微粒子
次に、本実施例で用いた現像剤、トナー、微粒子について詳細を説明する。
本実施例では、現像剤としてトナーと、微粒子である外添剤Aとの混合物を用いた。トナーは、離型剤を含有するトナー母粒子及び該トナー母粒子表面の有機ケイ素重合体を含有するトナー粒子である。
該有機ケイ素重合体は、R-Si(O1/2で表されるT3単位構造を有し、該Rは、炭素数1以上6以下のアルキル基又はフェニル基を表し、有機ケイ素重合体はトナー母粒子表面に凸部を形成している。
凸部はトナー母粒子表面に面接触していることを特徴としており、面接触することにより、凸部の移動・脱離・埋没に対する抑制効果が顕著に期待出来る。
面接触の程度を、図9、図10、図11、図12に示す凸部の模式図にて説明する。
図9に示す61は、トナー粒子の約1/4程度が分かるトナー粒子の断面画像であり、62はトナー粒子、63はトナー母粒子表面、64が凸部である。トナー粒子の断面は後述する走査透過型電子顕微鏡(以下、STEMともいう)を用いて観察することが出来る。
トナーの断面画像を観察し、トナー母粒子表面の周に沿った線を描く。その周に沿った線を基準に水平画像へ変換を行う。該水平画像において、該凸部と該トナー母粒子とが連続した界面を形成している部分における該周に沿った線の長さを凸幅wとする。
また、該凸幅wの法線方向において該凸部の最大長を凸径Dとし、該凸径Dを形成する線分における該凸部の頂点から該周に沿った線までの長さを凸高さHとする。
図10及び図12において、凸径Dと凸高さHは同じであり、図11において、凸径Dは凸高さHより大きくなる。
また、図12は、中空粒子を潰す・割るなどして得られた、半球粒子の中心部が凹んだ、ボウル形状の粒子に類する粒子の固着状態を模式的に表したものである。
図12において、凸幅Wはトナー母粒子表面と接している有機ケイ素重合体の長さの合計とする。すなわち、図12における凸幅WはW1とW2の合計となる。
凸高さHの個数平均値は、30nm以上300nm以下であり、30nm以上200nm以下であることが好ましい。凸高さHの個数平均値が、30nm以上である場合、トナー母粒子表面と転写部材との間にスペーサー効果が生じる。一方、凸高さHの個数平均値が、300nm以下である場合、移動・脱離・埋没への抑制効果が著しい。凸高さHが30nm以上300nm以下である凸部において、凸高さHの累積分布をとる。該凸高さHの小さい方から積算して80個数%にあたる該凸高さをH80としたとき、H80は65nm以上120nm以下であることが好ましく、75nm以上100nm以下であることがより好ましい。
外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径Rは、30nm以上1200nm以下であることが好ましい。Rが30nm以上であることで、転写部材との間にスペーサー効果を発現させる。一方、Rが1200nmを超える場合、トナーの流動性が低下して画像ムラが生じやすくなる。
外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径Rの凸高さHの個数平均値に対する比は、1.00以上4.00以下であることが好ましい。該比[(外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径R)/(凸高さHの個数平均値)]が上記範囲である場合、長寿命化に耐えうる優れた転写性と低温定着性の両立が可能である。
凸高さHの個数平均値が最小値である30nmの場合、Rが30nm以上であれば、転写部材との間にスペーサー効果を発現させることが出来る。これは、脱離などの影響より凸部が存在していない場所に、該外添剤Aが置換されて、スペーサー効果を発現していると考えている。つまり、Rが30nm未満であれば、スペーサー効果を発現しにくい。
外添剤Aのトナー粒子表面に対する固着率は、0%以上20%以下であることが好ましく、0%以上10%以下であることがより好ましい。該固着率が上記範囲にあることで、外添剤Aがトナー粒子の表面を動き易くなる。トナーを定着部材に定着させる定着工程において、トナー母粒子から、適切量の離型剤が染み出すことによって、定着部材と紙の分離性能を向上させている。
走査電子顕微鏡による該トナーの表面観察によって、該トナー表面の1.5μm四方の反射電子像を取得する。該反射電子像中の有機ケイ素重合体部分が明部となるように二値化処理した画像を得たとき、該画像の全面積に対する該画像の明部面積の面積割合(以下単に、明部面積の面積割合ともいう)は、30.0%以上75.0%以下である。また、該画像の明部面積の面積割合は、35.0%以上70.0%以下であることが好ましい。該明部面積の面積割合が高いほど、有機ケイ素重合体のトナー母粒子表面における存在割合が高いことを示している。該明部面積の面積割合が75.0%より高い場合、トナー母粒子由来の成分のトナー母粒子表面における存在割合が少なく、トナー母粒子からの離型剤の染み出しが生じにくくなり、低温定着時に定着器への薄紙巻き付きが発生し易い。一方、該画像の明部面積の面積割合が30.0%未満の場合、トナー母粒子由来の成分のトナー母粒子表面における存在割合が多い。すなわち、トナー母粒子由来の成分のトナー母粒子表面への露出面積が大きく、使用初期の転写性が低下する。該画像の明部面積の面積割合は、以後、トナー母粒子の表面における有機ケイ素重合体の被覆率ともいう。
外添剤Aは、一次粒子の個数平均粒径Rが30nm以上1000nm以下であるものであれば特段限定されることはなく、各種有機微粒子又は無機微粒子を用いることが出来る。流動性を付与し易く、トナー母粒子と同じく負に帯電し易いという観点から、外添剤Aはシリカ微粒子を含有することが好ましい。外添剤A中のシリカ微粒子の含有量は、50質量%以上であることが好ましく、外添剤Aがシリカ微粒子であることがより好ましい。トナー中の外添剤Aの含有量は、0.02質量%以上5.00質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上3.00質量%以下であることがより好ましい。
シリカ微粒子以外の有機微粒子又は無機微粒子としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
(1)流動性付与剤:アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子、カーボンブラック及びフッ化カーボン。
(2)研磨剤:金属酸化物の微粒子(チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、アルミナ、酸化マグネシウム、及び酸化クロムなどの微粒子)、窒化物の微粒子(窒化ケイ素などの微粒子)、炭化物の微粒子(炭化ケイ素などの微粒子)、金属塩の微粒子(硫酸カルシウム、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウムなどの微粒子)。
(3)滑剤:フッ素系樹脂の微粒子(フッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどの微粒子)、脂肪酸金属塩の微粒子(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの微粒子)。
(4)荷電制御性微粒子:金属酸化物の微粒子(酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、及びアルミナなどの微粒子)、カーボンブラック。
シリカ微粒子及び該有機微粒子又は無機微粒子は、トナーの流動性の改善及びトナー粒子の帯電均一化のために疎水化処理が施されたものを用いてもよい。
該疎水化処理のための処理剤としては、未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカップリング剤、その他有機ケイ素化合物、有機チタン化合物が挙げられる。これらの処理剤は単独で又は併用して用いてもよい。
該シリカ微粒子は、公知のシリカの微粒子が使用可能であり、乾式シリカの微粒子、湿式シリカの微粒子のいずれであってもよい。好ましくは、ゾルゲル法により得られる湿式シリカの微粒子(以下、ゾルゲルシリカともいう)であることが好ましい。
図13は本実施例で用いた現像剤の拡大図である。図13に示すように、本実施例の現像剤は有機ケイ素重合体の凸部が多数形成されたトナー表面上に微粒子である外添剤Aを配置したものになっている。
図13で示すトナー表面の凸間隔Gと凸高さHは、後述する走査透過型電子顕微鏡(以下、STEMともいう)を用いて測定することが出来る。また、凸間隔Gと凸高さHは走査型プローブ顕微鏡(以下SPM)でも測定することが出来る。走査型プローブ顕微鏡(以下SPM)は、探針,探針を支持するカンチレバー及びカンチレバーの曲がりを検出する変位測定系を備えており、探針と試料との間の原子間力(引力または斥力)を検出して、試料表面の形状観察を行うものである。
凸間隔Gが微粒子よりも大きいと微粒子が凸部間に配置された場合にトナー母体と接触してしまい、微粒子とトナー間の付着力Ftが大きくなりトナーから感光ドラム1へ微粒子が転移しづらくなる。そのため、凸間隔Gの個数平均値は微粒子の個数平均粒径よりも小さいことが好ましい。
また、凸高さHが微粒子の粒径よりも高いと、凸部が微粒子よりも先に感光ドラム1に接触してしまい、微粒子が感光ドラム1と接触しづらくなり、トナーから感光ドラム1へ微粒子が転移しづらくなる。そのため、凸高さHの個数平均値は微粒子の個数平均粒径よりも小さいことが好ましい。
ただし、前述したように微粒子とトナー間の付着力Ftが微粒子と感光ドラム1との間の付着力Fdrよりも小さいことが好ましい。そのため、微粒子の材料としては微粒子のトナーへの付着力Ftが小さくなるものを選択することが好ましい。例えば、本実施例のように、トナー表面の凸部が有機シリカ重合体などのシリカ系材料で形成されている場合は、微粒子の材料としても凸部と材料構成の近いシリカ系の材料を選択することが、凸部と微粒子間を低付着力にするため好ましい。
トナーを被覆する微粒子の個数は多い方が現像ローラ41から感光ドラム1への微粒子の供給の観点からは好ましい。しかし、微粒子の添加量が多すぎると画像形成装置100内の部材汚染のリスクが高まるため、調整することが好ましい。
十分なスペーサー効果を得るためには感光ドラム1上に占める微粒子の被覆率が10%以上であることが好ましい。しかしながら、感光ドラム1上に占める微粒子の被覆率が増加するにつれ、微粒子による画像形成装置内汚染の各種部材汚染のリスクが高まる。そのため、微粒子の感光ドラム1上に占める被覆率は50%以内にしておくことが好ましい。
5.現像剤の物性測定方法
以下、各種測定方法を説明する。
<走査透過型電子顕微鏡(STEM)におけるトナーの断面の観察方法>
走査透過型電子顕微鏡(STEM)で観察されるトナーの断面は以下のようにして作製する。
以下、トナーの断面の作製手順を説明する。なお、トナーに有機微粒子又は無機微粒子が外添されている場合は、下記方法等によって、有機微粒子又は無機微粒子を除去したものを試料として用いる。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナー粒子をスパチュラ等で採取する。採取したトナー粒子を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
また、凸部が有機ケイ素重合体を含有するか否かについては、エネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組合せて確認する。
カバーガラス(松波硝子社、角カバーグラス;正方形No.1)上にトナーを一層となるように散布し、オスミウム(Os)・プラズマコーター(filgen社、OPC80T)を用いて、保護膜としてトナーにOs膜(5nm)及びナフタレン膜(20nm)を施す。次に、PTFE製のチューブ(外径3mm(内径1.5mm)×3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子社)を充填し、チューブの上に前記カバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(例えば、重量平均粒径(D4)が8.0μmの場合は4.0μm)の長さだけ切削して、トナー中心部の断面を出す。
次に、膜厚100nmとなるように切削し、トナーの断面の薄片サンプルを作製する。このような手法で切削することで、トナー中心部の断面を得ることが出来る。
走査透過型電子顕微鏡(STEM)として、JEOL社製、JEM-2800を用いた。STEMのプローブサイズは1nm、画像サイズ1024×1024ピクセルにて画像を取得する。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得する。画像倍率は100,000倍にて行い、図9のようにトナー1粒子中の断面の周のうち4分の1から2分の1程度収まるように画像取得を行う。得られたSTEM画像について、画像処理ソフト(イメージJ(https://imagej.nih.gov/ij/より入手可能))を用いて画像解析を行い、有機ケイ素重合体を含む凸部を計測する。該計測はSTEM画像中から任意に選択した30個の凸部について行う。なお、凸部が有機ケイ素重合体を含有するか否かについては、走査型電子顕微鏡(SEM)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析の組合せにより確認する。まず、ライン描画ツール(StraghtタブのSegmented lineを選択)にてトナー母粒子の周に沿った線を描く。有機ケイ素重合体の凸部がトナー母粒子に埋没しているような部分は、その埋没はないものとして滑らかに線をつなぐ。その線を基準に水平画像へ変換(EditタブのSelection選択し、propertiesにてline widthを500ピクセルに変更後、EditタブのSelectionを選択しStraghtenerを行う)を行う。該水平画像中、有機ケイ素重合体を含む凸部の一つについて、下記計測を実施する。該凸部と該トナー母粒子とが連続した界面を形成している部分における該周に沿った線の長さを凸幅wとする。該凸幅wの法線方向において該凸部の最大長を凸径Dとし、該凸径Dを形成する線分における該凸部の頂点から該周に沿った線までの長さを凸高さHとする。該計測を、任意に選択した30個の凸部について実施し、各計測値の算術平均値を、凸高さHの個数平均値とする。
<H80の算出方法>
上記走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いたトナーの断面のSTEM画像において、凸高さHが30nm以上300nm以下である凸部において、該凸高さHの累積分布をとる。該凸高さHの小さい方から積算して80個数%にあたる該凸高さをH80(単位:nm)とする。
<トナー表面の1.5μm四方の反射電子像における明部面積の面積割合の算出方法>
明部面積の面積割合は、走査電子顕微鏡を用いて、トナーの表面観察を行う。そして、トナー表面の1.5μm四方の反射電子像を取得する。そして、該反射電子像中の有機ケイ素重合体部分が明部となるように二値化処理した画像を得て、該画像の全面積に対する該画像の明部面積の割合を求める。トナーに有機微粒子又は無機微粒子が外添されているときは、下記方法などによって、有機微粒子又は無機微粒子を除去したものを試料として用いる。
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50mL)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。この操作により、トナー粒子と外添剤とが分離される。トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナー粒子をスパチュラなどで採取する。採取したトナー粒子を減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、必要量を確保する。
また、凸部が有機ケイ素重合体を含有するか否かについては、後述するエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組合せて確認する。
SEMの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置:カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
加速電圧:1.0kV
WD:2.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:EsB(エネルギー選択式反射電子)
EsB Grid:800V
観察倍率:50,000倍
コントラスト:63.0±5.0%(参考値)
ブライトネス:38.0±5.0%(参考値)
解像度:1024×768
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布(蒸着は行わない)
加速電圧及びEsB Gridは、トナー粒子の最表面の構造情報の取得、未蒸着試料のチャージアップ防止、エネルギーの高い反射電子の選択的検出、といった項目を達成するように設定する。観察視野は、トナー粒子の曲率が最も小さくなる頂点付近を選択する。反射電子像の明部が有機ケイ素重合体由来であることは、走査電子顕微鏡(SEM)で取得出来るエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素マッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせることで確認した。
SEM/EDSの装置及び観察条件は、下記の通りである。
使用装置(SEM):カールツァイスマイクロスコピー株式会社製 ULTRA PLUS
使用装置(EDS):サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製 NORAN System 7、Ultra Dry EDS Detecter
加速電圧:5.0kV
WD:7.0mm
Aperture Size:30.0μm
検出信号:SE2(二次電子)
観察倍率:50,000倍
モード:Spectral Imaging
前処理:トナー粒子をカーボンテープに散布し、白金スパッタ
本手法で取得したケイ素元素のマッピング像と、前記反射電子像を重ね合わせ、マッピング像のケイ素原子部と反射電子像の明部とが一致することを確認する。
反射電子像の全面積に対する明部面積の面積率の算出は、上記手法で得られたトナー粒子の表面の反射電子像を、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで取得した。以下に手順を示す。
まず、ImageメニューのTypeから、反射電子像を8-bitに変換する。次に、ProcessメニューのFiltersから、Median径を2.0ピクセルに設定し、画像ノイズを低減させる。反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。次に、ImageメニューのAdjustから、Thresholdを選択する。Defaultを選択し、Autoをクリックした後、Applyをクリックして二値化画像を得る。この操作によって、反射電子像の明部が白で表示される。再度、反射電子像下部に表示されている観察条件表示部を除いた上で画像中心を見積もり、ツールバーの長方形ツール(Rectangle Tool)を用いて反射電子像の画像中心から1.5μm四方の範囲を選択する。次に、AnalyzeメニューのHistogramを選択する。新規に開いたHistogramウインドウから、Count値を読み取る(反射電子像の全面積に相当)。また、Listをクリックし、輝度0のときのCount値を読み取る(反射電子像の明部面積に相当)。上記値から、反射電子像の全面積に対する明部面積の面積率を算出する。上記手順を、評価対象のトナー粒子につき10視野について行い、個数平均値を算出して、反射電子像中の有機ケイ素重合体部分が明部となるように二値化処理した画像の、全面積に対する該画像の明部面積の面積割合(%)とする。
<有機ケイ素重合体の同定方法>
有機ケイ素重合体の同定方法は走査型電子顕微鏡(SEM)による観察及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせて行う。
走査型電子顕微鏡「日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 S-4800」((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて、最大5万倍に拡大した視野において、トナーを観察する。トナー粒子表面にピントを合わせて、表面を観察する。表面に存在する粒子などに対してEDS分析を行い、Si元素ピークの有無から、分析した粒子などが有機ケイ素重合体であるか否かを判断する。トナー粒子表面に、有機ケイ素重合体とシリカ微粒子の両方が含まれている場合には、Si、及びOの元素含有量(atomic%)の比(Si/O比)を標品と比較することで有機ケイ素重合体の同定を行う。有機ケイ素重合体、及びシリカ微粒子それぞれの標品に対して、同条件でEDS分析を行い、Si、及びOそれぞれの元素含有量(atomic%)を得る。有機ケイ素重合体のSi/O比をAとし、シリカ微粒子のSi/O比をBとする。AがBに対して、有意に大きくなる測定条件を選択する。具体的には、標品に対して、同条件で10回の測定を行い、A及びB、それぞれの相加平均値を得る。得られた平均値がA/B>1.1となる測定条件を選択する。判別対象の粒子などのSi/O比が[(A+B)/2]よりもA側にある場合に当該粒子などを有機ケイ素重合体と判断する。
有機ケイ素重合体粒子の標品として、トスパール120A(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)を、シリカ微粒子の標品として、HDK V15(旭化成)を用いる。
<外添剤の一次粒子の個数平均粒径Rの測定方法>
走査型電子顕微鏡「日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡 S-4800」((株)日立ハイテクノロジーズ)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせて行う。
最大5万倍に拡大した視野において、上述するEDSによる元素分析手法を併用し、ランダムに外添剤粒子を撮影する。撮影された画像から、ランダムに100個の外添剤粒子を選び出し、対象とする外添剤粒子の一次粒子の長径を測定して、その算術平均値を個数平均粒径Rとする。観察倍率は、外添剤粒子の大きさによって適宜調整する。
<有機ケイ素重合体の構成化合物の組成と比率の同定方法>
トナー中に含まれる有機ケイ素重合体の構成化合物の組成と比率の同定には、NMRを用いる。トナー中に、有機ケイ素重合体以外に、シリカ微粒子などの外添剤が含まれる場合は、以下の操作を行う。
トナー1gをバイアル瓶に入れクロロホルム31gに溶解させ、分散させる。分散には超音波式ホモジナイザーを用いて30分間処理して分散液を作製する。
超音波処理装置:超音波式ホモジナイザーVP-050(タイテック株式会社製)
マイクロチップ:ステップ型マイクロチップ、先端径φ2mm
マイクロチップの先端位置:ガラスバイアルの中央部、且つバイアル底面から5mmの高さ
超音波条件:強度30%、30分
このとき、分散液が昇温しないようにバイアルを氷水で冷却しながら超音波を掛ける。該分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)にて、58.33S-1、30分間の条件で遠心分離を行う。遠心分離後のガラスチューブ内においては、下層に比重の重い粒子、例えば、シリカ微粒子が含まれる。上層の有機ケイ素重合体を含むクロロホルム溶液を採取して、クロロホルムを真空乾燥(40℃/24時間)にて除去しサンプルを作製する。上記サンプル又は有機ケイ素重合体を用いて、有機ケイ素重合体の構成化合物の存在量比及び、有機ケイ素重合体中のR-Si(O1/2で表されるT3単位構造の割合を、固体29Si-NMRで測定・算出する。
まず、上記Rで表される炭化水素基は、13C-NMRにより確認する。
13C-NMR(固体)の測定条件≫
装置:JEOLRESONANCE製JNM-ECX500II
試料管:3.2mmφ
試料:サンプル又は有機ケイ素重合体
測定温度:室温
パルスモード:CP/MAS
測定核周波数:123.25MHz(13C)
基準物質:アダマンタン(外部標準:29.5ppm)
試料回転数:20kHz
コンタクト時間:2ms
遅延時間:2s
積算回数:1024回
該方法にて、ケイ素原子に結合しているメチル基(Si-CH)、エチル基(Si-C)、プロピル基(Si-C)、ブチル基(Si-C)、ペンチル基(Si-C11)、ヘキシル基(Si-C13)又はフェニル基(Si-C-)などに起因するシグナルの有無により、上記Rで表される炭化水素基を確認する。一方、固体29Si-NMRでは、有機ケイ素重合体の構成化合物のSiに結合する官能基の構造によって、異なるシフト領域にピークが検出される。各ピーク位置は標準サンプルを用いて特定することでSiに結合する構造を特定することが出来る。また、得られたピーク面積から各構成化合物の存在量比を算出することが出来る。全ピーク面積に対してT3単位構造のピーク面積の割合を計算によって求めることが出来る。
固体29Si-NMRの測定条件は、具体的には下記の通りである。
装置:JNM-ECX5002 (JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DDMAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay :180s
Scan:2000
該測定後に、サンプル又は有機ケイ素重合体の、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィティングにて下記X1構造、X2構造、X3構造、及びX4構造にピーク分離して、それぞれピーク面積を算出する。
なお、下記X3構造がT3単位構造である。
X1構造:(Ri)(Rj)(Rk)SiO1/2 (A1)
X2構造:(Rg)(Rh)Si(O1/2 (A2)
X3構造:RmSi(O1/2 (A3)
X4構造:Si(O1/2 (A4)
Figure 2022024875000003
該式(A1)、(A2)及び(A3)中のRi、Rj、Rk、Rg、Rh、Rmはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などの有機基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。なお、構造をさらに詳細に確認する必要がある場合、上記13C-NMR及び29Si-NMRの測定結果と共にH-NMRの測定結果によって同定してもよい。
<トナー中に含まれる有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子の定量方法>
トナーを、上記のようにクロロホルムに分散させ、その後に遠心分離を用い、比重の差で有機ケイ素重合体及びシリカ微粒子などの外添剤を分離し、各サンプルを得、有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子などの外添剤の含有量を求める。
以下、外添剤がシリカ微粒子の場合について例示する。他の微粒子であっても、同様の手法で定量することが出来る。
まず、プレスしたトナーを蛍光X線で測定し、検量線法又はFP法などの解析処理を行うことでトナー中のケイ素の含有量を求める。次に、有機ケイ素重合体及びシリカ微粒子を形成する各構成化合物について、固体29Si-NMR及び熱分解GC/MSなどを用いて構造を特定し、有機ケイ素重合体中及びシリカ微粒子中のケイ素含有量を求める。蛍光X線で求めたトナー中のケイ素の含有量と、固体29Si-NMR及び熱分解GC/MSで求めた有機ケイ素重合体中及びシリカ微粒子中のケイ素含有量の関係から、計算によってトナー中の有機ケイ素重合体及びシリカ微粒子の含有量を求める。
<有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子などの外添剤の水洗法による、トナー母粒子又はトナー粒子に対する固着率の測定方法>
(水洗工程)
50mL容量のバイアルに「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の30質量%水溶液20gを秤量し、トナー1gと混合する。いわき産業(株)製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、speedを50に設定して120秒間振とうする。これにより、有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子の固着状態に依っては、有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子などの外添剤が、トナー母粒子又はトナー粒子表面から、分散液側へ移行する。その後、遠心分離機(H-9R;株式会社コクサン社製)(16.67S-1にて5分間)にて、トナーと上澄み液に移行した有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子などの外添剤を分離する。沈殿しているトナーは、真空乾燥(40℃/24時間)することで乾固させて、水洗後トナーとする。
次に、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)を用いて、上記水洗工程を行わないトナー(水洗前トナー)、及び、上記水洗工程を経て得られたトナー(水洗後トナー)を撮影する。
また、測定対象の同定は、エネルギー分散型X線分析(EDS)を用いた元素分析により行う。
そして、撮影されたトナー表面画像を、画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0((株)日本ローパー)を用いて解析し、被覆率を算出する。
S-4800の画像撮影条件は以下のとおりである。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを吹きつける。さらにエアブローして、余分なトナーを試料台から除去し十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットし、試料高さゲージにより試料台高さを36mmに調節する。
(2)S-4800観察条件の設定
被覆率の測定に際して、予め、上述したエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を行い、トナー表面の有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子などの外添剤を区別した上で測定を行う。S-4800の筺体に取り付けられているアンチコンタミネーショントラップに液体窒素を溢れるまで注入し、30分間置く。S-4800の「PC-SEM」を起動し、フラッシング(電子源であるFEチップの清浄化)を行う。画面上のコントロールパネルの加速電圧表示部分をクリックし、[フラッシング]ボタンを押し、フラッシング実行ダイアログを開く。フラッシング強度が2であることを確認し、実行する。フラッシングによるエミッション電流が20~40μAであることを確認する。試料ホルダをS-4800筺体の試料室に挿入する。コントロールパネル上の[原点]を押し試料ホルダを観察位置に移動させる。
加速電圧表示部をクリックしてHV設定ダイアログを開き、加速電圧を[1.1kV]、エミッション電流を[20μA]に設定する。オペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、信号選択を[SE]に設置し、SE検出器を[上(U)]及び[+BSE]を選択し、[+BSE]の右の選択ボックスで[L.A.100]を選択し、反射電子像で観察するモードにする。同じくオペレーションパネルの[基本]のタブ内にて、電子光学系条件ブロックのプローブ電流を[Normal]に、焦点モードを[UHR]に、WDを[4.5mm]に設定する。コントロールパネルの加速電圧表示部の[ON]ボタンを押し、加速電圧を印加する。
(3)トナーの個数平均粒径(D1)算出
コントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を5000(5k)倍に設定する。操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。この操作をさらに2度繰り返し、ピントを合わせる。
その後、トナー300個について粒径を測定して個数平均粒径(D1)を求める。なお、個々の粒子の粒径は、トナーの粒子を観察した際の最大径とする。
(4)焦点調整
(3)で得た、個数平均粒径(D1)の±0.1μmの粒子について、最大径の中点を測定画面の中央に合わせた状態でコントロールパネルの倍率表示部内をドラッグして、倍率を10000(10k)倍に設定する。
操作パネルのフォーカスつまみ[COARSE]を回転させ、ある程度焦点が合ったところでアパーチャアライメントの調整を行う。コントロールパネルの[Align]をクリックし、アライメントダイアログを表示し、[ビーム]を選択する。操作パネルのSTIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を回転し、表示されるビームを同心円の中心に移動させる。次に[アパーチャ]を選択し、STIGMA/ALIGNMENTつまみ(X,Y)を一つずつ回し、像の動きを止める又は最小の動きになるように合わせる。アパーチャダイアログを閉じ、オートフォーカスで、ピントを合わせる。その後、倍率を50,000(50k)倍に設定し、上記と同様にフォーカスつまみ、STIGMA/ALIGNMENTつまみを使用して焦点調整を行い、再度オートフォーカスでピントを合わせる。この操作を再度繰り返し、ピントを合わせる。ここで、観察面の傾斜角度が大きいと被覆率の測定精度が低くなりやすいので、ピント調整の際に観察面全体のピントが同時に合うものを選ぶことで、表面の傾斜が極力無いものを選択して解析する。
(5)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。トナー1つに対して写真を1枚撮影し、トナー粒子について画像を得る。
(6)画像解析
下記解析ソフトを用いて、上述した手法で得た画像を二値化処理することで被覆率を算出する。このとき、上記一画面を正方形で12分割してそれぞれ解析する。画像解析ソフトImage-Pro Plus ver.5.0の解析条件は以下のとおりである。ただし、分割区画内に、粒径が30nm未満及び300nmを超える有機ケイ素重合体、又は、粒径が30nm未満及び1200nmを超えるシリカ微粒子などの外添剤が入る場合はその区画では被覆率の算出を行わないこととする。
画像解析ソフトImage-Pro Plus5.0において、ツールバーの「測定」から「カウント/サイズ」、「オプション」の順に選択し、二値化条件を設定する。オブジェクト抽出オプションの中で8連結を選択し、平滑化を0とする。その他、予め選別、穴を埋める、包括線は選択せず、「境界線を除外」は「なし」とする。ツールバーの「測定」から「測定項目」を選択し、面積の選別レンジに2~10と入力する。
被覆率の計算は、正方形の領域を囲って行う。このとき、領域の面積(C)は24,000~26,000ピクセルになるようにする。「処理」-二値化で自動二値化し、有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子などの外添剤の無い領域の面積の総和(D)を算出する。正方形の領域の面積C、有機ケイ素重合体又はシリカ微粒子などの外添剤の無い領域の面積の総和Dから下記式4で被覆率が求められる。
被覆率(%)=100-(D/C×100) (式4)
得られた全データの算術平均値を被覆率とする。
そして、水洗前トナーと水洗後トナーの、それぞれの被覆率を算出し、
〔水洗後トナーの被覆率〕/〔水洗前トナーの被覆率〕×100を、本発明の「固着率」とする。
6.トナー粒子、外添剤、現像剤の製造方法
次に、本実施例のトナー粒子、外添剤A、現像剤の製造例について説明する。
<トナー粒子の製造例>
(水系媒体1の調製)
撹拌機、温度計、及び還留管を具備した反応容器に、イオン交換水650.0部及びリン酸ナトリウム(ラサ工業社製・12水和物)14.0部を投入し、窒素パージしながら65℃で1.0時間保温した。T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、15000rpmで攪拌しながら、イオン交換水10.0部に9.2部の塩化カルシウム(2水和物)を溶解した塩化カルシウム水溶液を一括投入し、分散安定剤を含む水系媒体を調製した。さらに、水系媒体に10質量%塩酸を投入し、pHを5.0に調整し、水系媒体1を得た。
(重合性単量体組成物の調製)
・スチレン :60.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 : 6.5部
前記材料をアトライタ(三井三池化工機株式会社製)に投入し、さらに直径1.7mmのジルコニア粒子を用いて、220rpmで5.0時間分散させた後、ジルコニア粒子を取り除き、着色剤分散液を調製した。
・スチレン :20.0部
・n-ブチルアクリレート :20.0部
・架橋剤(ジビニルベンゼン) : 0.3部
・飽和ポリエステル樹脂 : 5.0部
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)とテレフタル酸との重縮合物(モル比10:12)、ガラス転移温度(Tg)が68℃、重量平均分子量(Mw)が10000、分子量分布(Mw/Mn)が5.12)
・フィッシャートロプシュワックス(融点78℃) : 7.0部
該材料を上記着色剤分散液に加え、65℃に加熱後、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmで均一に溶解及び分散し、重合性単量体組成物を調製した。
(造粒工程)
水系媒体1の温度を70℃に調整し、T.K.ホモミクサーの回転数を15000rpmに保ちながら、水系媒体1中に重合性単量体組成物を投入し、重合開始剤であるt-ブチルパーオキシピバレート10.0部を添加した。そのまま、該撹拌装置にて15000rpmを維持しつつ10分間造粒した。
(重合工程及び蒸留工程)
造粒工程の後、攪拌機をプロペラ撹拌羽根に換え150rpmで攪拌しながら70℃を保持して5.0時間重合を行い、さらに、85℃に昇温して2.0時間保持することで重合を行った。その後、反応容器の還留管を冷却管に付け替え、得られたスラリーを100℃まで加熱することで、蒸留を6時間行い、未反応の重合性単量体を留去し、樹脂粒子分散液を得た。
(有機ケイ素重合体の形成工程)
撹拌機、温度計を備えた反応容器に、イオン交換水60.0部を秤量し、10質量%の塩酸を用いてpHを4.0に調整した。これを撹拌しながら加熱し、温度を40℃にした。その後、有機ケイ素化合物であるメチルトリエトキシシラン40.0部を添加して2時間以上撹拌して加水分解を行った。加水分解の終点は目視にて油水が分離せず1層になったことで確認を行い、冷却して有機ケイ素化合物の加水分解液を得た。
上記で得られた樹脂粒子分散液の温度を55℃に調整した後、該有機ケイ素化合物の加水分解液を25.0部(有機ケイ素化合物の添加量は10.0部)添加して、有機ケイ素化合物の重合を開始した。そのまま0.25時間保持した後に、3.0%炭酸水素ナトリウム水溶液で、pHを5.5に調整した。55℃で撹拌を継続したまま、1.0時間保持(縮合反応1)した後、3.0%炭酸水素ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5に調整し、さらに4.0時間保持(縮合反応2)してトナー粒子分散液を得た。
(洗浄工程及び乾燥工程)
有機ケイ素重合体の形成工程終了後、トナー粒子分散液を冷却し、トナー粒子分散液に塩酸を加えpHを1.5以下に調整して1.0時間、撹拌しながら放置した。その後、加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。得られたトナーケーキはイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離してトナーケーキを得た。得られたトナーケーキを40℃の恒温槽に移し、72時間かけて乾燥及び分級を行い、トナー粒子を得た。
<外添剤Aの製造例>
外添剤Aは以下のように製造した。攪拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器に5%アンモニア水150部を入れて、アルカリ触媒溶液とした。該アルカリ触媒溶液を50℃に調整した後、攪拌しながらテトラエトキシシラン100部と5%アンモニア水50部とを同時に滴下し、8時間反応させてシリカ微粒子分散液を得た。その後、得られたシリカ微粒子分散液を噴霧乾燥により乾燥し、ピンミルで解砕し、外添剤Aとして一次粒子の個数平均粒径が100nmのシリカ微粒子を得た。
<現像剤の製造例>
ジャケット内に7℃の水を通水したヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製 FM10C型)中に100.00部のトナー粒子1、及び、1.00部の外添剤Aを投入した。次に、該ジャケット内の水温が7℃±1℃で安定してから、回転羽根の周速を38m/secとして10分間混合した。該混合において、ヘンシェルミキサの槽内温度が25℃を超えないようジャケット内の通水量を適宜調整した。得られた混合物を目開き75μmのメッシュで篩い現像剤を得た。
現像剤の物性を表2に示す。
Figure 2022024875000004
表中、「X」は、外添剤Aの一次粒子の個数平均粒径Rの凸高さHの個数平均値に対する比を表す。製造した現像剤に対してSEMを用いて観察を実施したところ、トナー粒子の有機ケイ素重合体の凸部上に外添剤Aが微粒子として配置されていることが確認でき、トナー粒子一個当たりの外添剤Aの平均被覆個数は500個程度であった。
7.本実施例の作用
次に、本実施例の作用について、比較例を用いて説明をする。
本実施例では、トナー像が現像される前に現像ローラ41に担持されたトナー上から感光ドラム1へ予め微粒子を供給し、感光ドラム1上に微粒子を付着させる。そのために、微粒子とトナー間の付着力Ftが微粒子と感光ドラム1間の付着力Fdrよりも小さくすることを特徴としている。これにより、感光ドラム1と中間転写ベルト20間の摩擦力Fを低減することで、感光ドラム1の回転変動による画像スジを抑制しつつ、記録材Pの色味変動も抑制することが出来る。
以降、第1画像形成ステーションaの構成を元に説明を行う。
先ず、本実施例の感光ドラム1a上に微粒子を一定以上被覆する効果の実証のため、微粒子とトナー間の付着力Ft及び微粒子と感光ドラム1a間の付着力Fdrの測定を行った。
具体的には、付着力の測定はSPMを用いて行い、レバー先端に微粒子を固定したカンチレバーを作成し、カンチレバーを所定の押圧力でトナーに押圧した後、カンチレバーをトナーから脱離させるのに必要な力を微粒子とトナー間の付着力Ftとして測定した。
付着力測定時のカンチレバーをトナーに押圧する所定の押圧力は、現像ニップ部においてトナーと感光ドラム1a間に介在する微粒子がトナーに対して押圧される力に設定することが好ましく、以下に説明する計算方法で算出した。ここで、現像ニップ部においてトナーと感光ドラム1a間に微粒子が介在する状態とは、微粒子がトナーと感光ドラムの両方に同時に接触している状態のことをいう。
具体的には、現像ニップ部において現像ローラ41aと感光ドラム1aはトナーを介して接触しているものと仮定し、感光ドラム1aと接触しているトナーは最密充填しているものと仮定した。また、トナーと感光ドラム1aの接触部に関しては、トナーと感光ドラム1aは微粒子を介して接触しているものと仮定した。
以上のような仮定を行った上で、現像ニップ部にてトナーと感光ドラム1a間に介在する微粒子の総数Nを計算で算出する。そして、算出したNと現像ローラ41aと感光ドラム1aとの当接力Fより現像部における微粒子一個当たりのトナーに対する押圧力であるF/Nを算出し、算出したF/Nを付着力測定時のカンチレバーのトナーに対する所定の押圧力として採用した。
本実施例の現像ローラ41aと感光ドラム1aとの押圧力Fは200gfであることから、「現像ニップ部における微粒子一個当たりのトナーに対する押圧力」=F/Nは約4.5(nN)となる。そこで、本実施例ではこの4.5(nN)を、SPMによる付着力測定時のカンチレバーのトナーに対する所定の押圧力として採用した。
また、感光ドラム1aに対しても同様の付着力測定を実施し、カンチレバー先に固定した微粒子と感光ドラム1aとの付着力Fdrを測定した。
その結果、本実施例の微粒子とトナー間の付着力Ftは32.8(nN)、微粒子と感光ドラム1a間の付着力Fdrは210.1(nN)であり、微粒子とトナー間の付着力Ftが、微粒子と感光ドラム1a間の付着力Fdrよりも小さいことが確認できた。なお、カンチレバーの押圧力の範囲としては、3.0(nN)から50(nN)の範囲で測定しても大小関係は変わらない。
次に、本実施例の感光ドラム1aへの微粒子の供給手段による効果を確認するために行った評価結果について説明する。
評価については、本実施例、その他の実施例、及び比較例1、比較例2、比較例3について、画像スジの発生有無及び、記録材Pの色味変動の測定を行った。
画像スジに関しては、レーザの露光ムラの影響を受け易いハーフトーントナー像部が目立ちやすいため、25%濃度のハーフトーン画像により判定を行った。ハーフトーン画像でも画像スジがはっきりと視認出来るレベルをCランクと定義し、ハーフトーン画像でうっすら画像スジが視認出来るレベルをBランク、ハーフトーン画像でも画像スジが視認できないレベルをAランクと定義した。
記録材Pの色味変動については、高白色紙(GFC081 キヤノン)を印刷した後の白地部分の濃度D1と、印刷を行っていない高白色紙の濃度D0をそれぞれ反射濃度計(リフレクトメーター モデル TC-6DS 東京電色社製)を用いて測定した。そして、その差分である「D0-D1」を記録材Pの色味変動と定義した。上記反射濃度の差分値「D0-D1」が3.5%以上の場合は、記録材Pの色味変動がはっきりと視認出来るCランクとした。2.5%以上の場合は、記録材Pの色味変動がうっすらと視認出来るBランクとした。2.5%未満の場合は、記録材Pの色味変動が視認できないAランクと定義した。
本実施例では、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の摩擦力Fを低減するために感光ドラム1a上に微粒子を被覆する構成として、微粒子の添加量をトナー重量の0.5%程度、微粒子のトナー一個当たりに対する被覆個数が500個程度になるように調整した。感光ドラム1a上の微粒子の被覆率は30%である。
他の構成は、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の摩擦力Fを低減するために感光ドラム1a上に微粒子を被覆する構成として、微粒子の添加量をトナー重量の0.2%程度、微粒子のトナー一個当たりに対する被覆個数が200個程度になるように調整した。感光ドラム1a上の微粒子の被覆率は10%のものを使用した。
比較例1の構成は、感光ドラム1a上に微粒子を被覆する構成として、微粒子の添加量をトナー重量の0.1%程度、微粒子のトナー一個当たりに対する被覆個数が100個程度になるように調整した。感光ドラム1a上の微粒子の被覆率は5%のものを使用した。
比較例2の構成は、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の摩擦力Fを低減する手段として微粒子やトナーを用いない構成を用いた。
比較例3の構成は、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の摩擦力Fを低減する手段として、イエロードットトナー像を用いた構成とし、感光ドラム1a上のトナー被覆率が5%になるものを使用した。
次に、評価結果について表3を用いて説明する。
Figure 2022024875000005
比較例1の構成は、摩擦力低減のための感光ドラム1a上の微粒子の被覆率が5%であり、ドラムニップ部内にトナーが無い状態では、感光ドラム1a表面には中間転写ベルト20表面より接線方向(副走査方向)下流側に、僅かに摩擦力Fが作用する。そして、感光ドラム1a上に現像されたハーフトーン画像のトナー像先端部分がドラムニップ部内に突入すると、この摩擦力Fは減少する。これにより、感光ドラム1aには、僅かではあるものの突発的な回転変動が生じ、感光ドラム1a表面に対するレーザ露光に書き込みムラが生じる。その結果、後続して感光ドラム1a表面に形成されるトナー像上で主走査方向のスジとなり、ハーフトーン画像上に画像スジが発生した。一方、記録材Pの色味変動に関しては、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の摩擦力Fを低減する手段として、トナーではなく微粒子を用いているため、色味変動は発生しなかった。
比較例2の構成は、摩擦力低減のための微粒子やトナーが感光ドラム1a上に存在しないため、感光ドラム1a上に現像されたハーフトーン画像のトナー像先端部分がドラムニップ部内に突入すると、摩擦力Fは急激に減少する。それによって、感光ドラム1aの突発的な回転変動が生じ、感光ドラム1a表面に対するレーザ露光に書き込みムラが生じた。その結果、ハーフトーン画像上にはっきりと視認出来る画像スジが発生してしまった。一方、記録材Pの色味変動に関しては、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の摩擦力Fを低減する手段としてトナーも微粒子も用いていないため、色味変動は発生しなかった。
比較例3の構成は、摩擦力低減のためにイエロードットトナーを感光ドラム1a上に5%被覆した構成となっている。感光ドラム1a上に現像されたハーフトーン画像のトナー像先端部分がドラムニップ部内に突入すると、比較例1と同様に、ハーフトーン画像上に画像スジが発生した。さらに、記録材Pの色味変動に関しては、反射濃度の差分値「D0-D1」が2.5%以上となり、色味変動がうっすらと視認出来るレベルになってしまった。比較例3の条件を、画像スジ抑制の方向である被覆率を上げる方向とすると、色味変動がさらに悪化し、逆に色味変動を抑制する方向として被覆率を下げる方向とすると、画像スジが悪化してしまう。
これに対し、本実施例及びその他実施構成(変形例)では、摩擦力低減のために微粒子を感光ドラム1a上にそれぞれ30%、10%と被覆した構成となっている。いずれも、感光ドラム1a上に現像されたハーフトーン画像のトナー像先端部分がドラムニップ部内に突入しても、感光ドラム1aの突発的な回転変動が生じないため、画像スジは発生しない。また、摩擦力低減のために必要な感光ドラム1a上に供給される微粒子の被覆率は、比較例1の結果も踏まえると、10%以上であることが好ましい。
一方、記録材Pの色味変動に関しても、感光ドラム1aと中間転写ベルト20の摩擦力Fを低減する手段としてトナーではなく微粒子を用いているため、色味変動は発生しなかった。
以上説明したように、本実施例において、トナー像が現像される前に現像ローラ41に担持されたトナー上から感光ドラム1へ予め微粒子を供給し、感光ドラム1上に微粒子を付着させる構成を有する。それによって、感光ドラム1と中間転写ベルト20間に微粒子を介在させて、ドラムニップ部の摩擦力Fを低減させた。さらに、微粒子の感光ドラム1への供給に関しては、微粒子とトナー間の付着力Ftが微粒子と感光ドラム1間の付着力Fdrよりも小さくし、且つ微粒子の粒径を1000nm以下とする。それによって、静電的な影響を受けずに、感光ドラム1へ微粒子を供給することができた。
これにより、簡易な構成で、感光ドラム1の回転変動による画像スジを抑制しつつ、記録材Pの色味変動も抑制することができた。
本実施例で適用する画像形成装置の構成において、前記実施例1と同様のものには、同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
実施例1の構成では、感光ドラム1の回転変動による画像スジを抑制しつつ、記録材Pの色味変動も抑制するため、トナーに添加された微粒子を感光ドラム1に供給する方法について説明した。
これに対し、本実施例では、感光ドラム1a、1b、1c、1d上のクリーニングユニット5a、5b、5c、5dを設けない、所謂、ドラムクリーナレス構成とする。それによって、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に微粒子を長期に亘り維持することが出来ることを特徴としている。
以下、図14を参考にして、本実施例の構成を説明する。
上述したドラムクリーナレス方式では、図14に示されるように感光ドラム1a、1b、1c、1d上にクリーニングユニットを設けない。そのため、一次転写時に感光ドラム1a、1b、1c、1d上に残ったトナーを現像ユニット4a、4b、4c、4dに回収する必要がある。
以下、感光ドラム1a、1b、1c、1d上に残ったトナーの回収方法について、第4画像形成ステーションdを用いて説明する。
一次転写部で中間転写ベルト20上に一次転写されずに感光ドラム1d上に残ったトナー(1次転写残トナー及び再転写トナー)の内、正極性のトナーは帯電ローラ2dに付着する。そして、負極性のトナーは、感光ドラム1dの回転に伴い、帯電ローラ2dとの接触部を通って現像ユニット4dとの対向部に搬送される。このとき、感光ドラム1dの表面を、再び、帯電・露光されて、画像情報に従った静電潜像が形成される。現像ユニット4dとの対向部に搬送されてきた残トナーは、ほぼ負極性である。そのため、感光ドラム1dの表面電位(非露光部が-500V、露光部が-100V)と現像ローラ41dに印加される電圧(-300V)との差により形成される電界で、残トナーの一部が現像ユニット4dに回収される。そして、非露光部においては、電界の向きが負極性トナーを感光ドラム1d上から現像ローラ41d上に移動させる方向であるため、感光ドラム1d上の残トナーが現像ローラ41d上に移動して現像ユニット4d内に回収される。
一方、露光部においては、電界の向きが負極性トナーを現像ローラ41d上から感光ドラム1d上に移動させる方向であるため、現像ローラ41d上の負極性トナーが、感光ドラム1d上に移動して感光ドラム1d上の静電潜像を現像する。このとき、感光ドラム1d上の転写残トナーも静電潜像の現像に使用される。このように、現像ユニット4dは、感光ドラム1dに形成された静電潜像をトナー像に現像すると共に、感光ドラム1dに付着しているトナーを回収可能に構成されている。
以上の動作により、ドラムクリーナレス方式における感光ドラム1d上の残トナー回収が行われる。
その他の構成については実施例1と同様であるため、説明は省略する。
次に、本実施例の作用について説明する。
本実施例の構成では、実施例1と同様に、トナー像が現像される前に現像ローラ41に担持されたトナー上から感光ドラム1へ予め微粒子を供給する。感光ドラム1上に微粒子を供給するために、微粒子とトナー間の付着力Ftが、微粒子と感光ドラム1間の付着力Fdrよりも小さくしている。それによって、図7(a)と図7(b)に示すように、トナー像が感光ドラム1から中間転写ベルト20へと一次転写する際に、トナー像のみ中間転写ベルト20上に一次転写する。そして、トナー像と感光ドラム1間に介在していた微粒子は、感光ドラム1上に残留する。この場合、実施例1の構成では、感光ドラム1上に配置されたクリーニングユニット5により、感光ドラム1上に残留した微粒子を回収してしまう。そのため、現像ローラ41に担持されたトナーから、画像形成動作の度に微粒子を供給しなければならない。一方、本実施例の構成では、感光ドラム1上にクリーニングユニットを設けていないため、感光ドラム1上に供給された微粒子は、感光ドラム1上に残り続ける。さらに、上述したドラムクリーナレス方式における現像ユニット4へのトナー回収の動作の際も同様である。つまり、微粒子の粒径を1000nm以下としているため、静電的な影響を受けにくくなり、微粒子は現像ユニット4に回収されず、感光ドラム1上に残り続ける。これにより、感光ドラム1上に微粒子が付着されている状態を維持することが出来、長期に亘って安定した画像を提供することが出来る。
画像形成動作時における微粒子の供給時間に関しても、実施例1の構成では、感光ドラム1上の現像ローラ41が当接した部位が、ドラムニップ部に到達するまでの時間以上に設定する必要があった。本実施例のドラムクリーナレス構成では、上述のように、感光ドラム1上に供給された微粒子を維持することが出来るため、現像ローラ41が感光ドラム1に当接したタイミングで現像を開始することが出来る。これにより、画像形成装置が画像データを受信してからプリントアウトされるまでの時間を短縮することが出来、ユーザストレスの低減につながる。
以上説明したように、感光ドラム1上にクリーニングユニット5を設けない、所謂、ドラムクリーナレス構成とすることで、感光ドラム1上に微粒子を安定して維持することが出来る。そのため、長期に亘って安定した画像を提供することが出来る。また、画像データを受信してからプリントアウトされるまでの時間も短縮することが出来る。
本実施例で適用する画像形成装置の構成において、前記実施例1、実施例2と同様のものには、同一部材には同一符号を付し、説明を省略する。
実施例1の構成では、感光ドラム1の回転変動による画像スジを抑制しつつ、記録材Pの色味変動を抑制するため、トナーに添加された微粒子を感光ドラム1に供給する方法について説明した。
これに対し、本実施例では、転写部における感光ドラム1の対向位置に、中間転写ベルト20を介して金属ローラ40を所定量オフセットして配置した構成とする。それによって、感光ドラム1と中間転写ベルト20との間の摩擦力Fを低減することが可能となり、画像スジを抑制することが出来る。
以下、図15、図16を参考にして、本実施例の構成を説明する。
図15は、本実施例における画像形成装置の図であり、図16は、図15の中で、第1画像形成ステーションaの構成を拡大したものである。図16において、金属ローラ40aは、感光ドラム1aの中心位置に対して、中間転写ベルト20の移動方向下流側に8mmオフセットされた位置に配置されている。また、感光ドラム1aへの中間転写ベルト20の巻きつき量を確保出来るように、感光ドラム1aと中間転写ベルト20で形成される水平面に対して、1.0mm持ち上げた位置に配置される。上述した金属ローラ40の配置については、感光ドラム1への接触による傷の発生を避けるため、感光ドラム1へ接触しない範囲内でなるべく近づけるようにしている。また、中間転写ベルト20の移動方向下流側に配置したのは、1次転写ニップ上流側で転写電界が出来ることで発生する飛び散りという現象に対して、有利になるからである。
金属ローラ40aのオフセット距離をK、中間転写ベルト20に対する金属ローラ40aの持ち上げ高さをZ、ドラムニップ幅をNkとした時、本実施例では、K=8mm、Z=1.0mm、Nk=1500μmとする。なお、金属ローラ40aは、外径6mmのストレート形状のニッケルメッキSUS丸棒で構成され、中間転写ベルト20の回転に伴い、従動して回転する。第2画像形成ステーションbに配置される金属ローラ40b、第3画像形成ステーションcに配置される金属ローラ40c、第4画像形成ステーションdに配置される金属ローラ40d、についても金属ローラ40aと同様の構成となる。
その他の構成は実施例2と同様であるため、説明を省略する。
次に本実施例の作用について説明する。
上述したように、本実施例では、転写部における感光ドラム1の対向位置に、中間転写ベルト20を介して金属ローラ40を所定量オフセットして配置した構成としている。また、実施例1で述べたように、感光ドラム1と中間転写ベルト20との間の周速差による一次転写効率改善効果を実現するため、ドラムニップ幅Nkは実施例1と同じ1500μmとしている。
本構成によると、実施例1のような転写ローラ14が中間転写ベルト20を介して、感光ドラム1へ直接加圧してドラムニップ部を形成する構成に対して、ドラムニップ部にかかる圧力を低減することが出来る。つまり、摩擦力Fは垂直抗力と摩擦係数の乗算であり、垂直抗力に相当するドラムニップ部にかかる圧力が低減することは、ドラムニップ部の摩擦力Fの低減にもつながるということである。
また、ドラムニップ部の摩擦力Fを低減するため、微粒子とトナー間の付着力Ftが微粒子と感光ドラム1間の付着力Fdrよりも小さくする。感光ドラム1上に微粒子を供給することによる、感光ドラム1の回転変動による画像スジ及び記録材Pの色味変動を抑制する効果については、実施例1、2と同様である。
以上説明したように、本実施例においては、転写部における感光ドラム1の対向位置に、中間転写ベルト20を介して金属ローラ40を所定量オフセットして配置した構成とする。それによって、感光ドラム1と中間転写ベルト20と間の摩擦力Fを低減することが可能となり、画像スジを抑制することが出来る。
また、本実施例では、各色画像形成ステーションに対応する感光ドラム1に微粒子を供給、付着させる構成について説明した。例えば、ブラックのみを単色印字するモノモードで印字する際も、カラー色(イエロー、マゼンタ、シアン)の画像形成ステーションa、b、cの一次転写部材を離間しなくても、感光ドラム1と中間転写ベルト20の摩擦力Fが低い状態を維持することが出来る。つまり、一次転写部材の当接離間機構を設ける必要が無く、本体の更なる小型化、低コスト化をすることが可能である。
1 感光ドラム
4 現像ユニット
20 中間転写ベルト
41 現像ローラ
T トナー

Claims (11)

  1. 回転可能な像担持体と、
    トナー粒子及び前記トナー粒子の表面に付着する微粒子により構成される現像剤を収容する現像剤収容部と、
    前記像担持体と接触して現像部を形成し、前記現像部において前記像担持体の表面に前記現像剤を供給する現像剤担持体と、
    前記像担持体と接触して転写部を形成し、前記像担持体の表面に供給された前記現像剤によって形成されたトナー像が、前記転写部において転写される中間転写体と、
    前記像担持体の表面の移動速度と前記中間転写体の表面の移動速度と、の間に速度差を有するように、前記像担持体と前記中間転写体と、を駆動する駆動部と、を有し、
    前記現像剤担持体を前記像担持体に押圧する押圧力をF、前記現像部において前記トナー粒子と前記像担持体との間に介在する前記微粒子の総数をN、とした場合に、
    前記微粒子を単位微粒子当たりの押圧力であるF/Nで前記トナー粒子に押圧した際に測定される前記微粒子と前記トナー粒子との間に形成される付着力Ftと、
    前記微粒子を前記F/Nで前記像担持体に押圧した際に測定される前記微粒子と前記像担持体との間に形成される付着力Fdrと、の関係が、
    Ft≦Fdr
    を満たすことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記トナー粒子の表面に存在する、下記式(1)で示される構造を有する有機ケイ素重合体を含有する微粒子から形成される凸部を有し、前記凸部上に前記微粒子が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
    R-Si(O1/2 (1)
    (前記Rは、炭素数1以上6以下の炭化水素基を示す。)
  3. 前記中間転写体に転写されずに前記像担持体に残った現像剤を前記現像剤担持体によって回収することを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
  4. 前記現像剤は一成分現像剤であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記像担持体の移動速度Vdrと前記中間転写体の移動速度Vbと、の速度比を、Vr=|Vdr-Vb|/Vdr×100、
    前記転写部において前記像担持体と前記中間転写体と、が形成するニップのニップ幅をQ、
    前記トナー粒子の重量平均粒径をD、と定義した場合において、
    前記Vrと前記Qは、以下の関係式を満たすことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
    1/2×D(μm)×π≦Vr(%)×Q(μm)/100≦100(μm)
  6. 隣接する前記凸部間の最近接距離を凸間隔Gとした場合、前記凸間隔Gの平均が前記微粒子の平均粒径以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  7. 前記凸部の前記トナー粒子の表面からの高さを凸高さHとした場合、前記凸高さHの平均が前記微粒子の平均粒径以下であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  8. 前記微粒子はシリカであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  9. 前記微粒子は有機シリカ重合体であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  10. 前記微粒子の平均粒径は30nm以上1000nm以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置。
  11. 前記像担持体の表面に供給された前記現像剤によって形成されたトナー像を、前記転写部において前記中間転写体に転写する転写部材を有し、
    前記転写部材は、前記中間転写体の表面の移動方向に対して、前記像担持体が配置されている位置からオフセットした位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置。
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