JP2022024198A - 異形断面タンパク質繊維の製造方法及び形状コントロール方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水又は水溶液を含有する凝固液を用いた異形断面タンパク質繊維の製造方法を提供すること。【解決手段】タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させ、上記タンパク質を凝固させる工程を含み、上記紡糸原液における上記タンパク質の含有量が、紡糸原液全量を基準として10質量%超であり、上記凝固液が水又はpH0.25以上pH10.00以下の水溶液を含有する、異形断面タンパク質繊維の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、異形断面タンパク質繊維の製造方法及び形状コントロール方法に関する。
異形断面繊維の製造方法として、従来から、i)特殊な形状のノズルを用いる方法、ii)複数個の孔からの紡出糸を融着させる方法、iii)複合紡糸を行なった後、両成分を分割する方法、iv)後処理による方法、v)特殊ノズルと融着法の組み合わせる方法等が報告されている(非特許文献1)。
異形断面タンパク質繊維の製造方法としては、例えば、特殊な形状のノズルを用いて、Y字形、S字形、C字形、繭形、4~8葉形、キ形の断面形状を有する再生コラーゲン繊維の製造方法等が報告されている(特許文献1)。
特開2010-24586号公報
高分子、1968年17巻9号 、pp.869-878
上述したi)~v)の方法よりも簡便な異形断面タンパク質繊維の製造方法の開発が望まれている。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、水又は水溶液を含有する凝固液を用いた異形断面タンパク質繊維の製造方法及び形状コントロール方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液と、水又はpH0.25以上pH10.00以下の水溶液を含有する凝固液とを組み合わせることにより、i)~v)の方法に依らずに、異形断面タンパク質繊維を製造できること及びその形状をコントロールできることを見出した。
すなわち、本発明は、例えば、以下の各発明に関する。
[1]
タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させ、上記タンパク質を凝固させる工程を含み、
上記紡糸原液における上記タンパク質の含有量が、紡糸原液全量を基準として10質量%超であり、
上記凝固液が水又はPH0.25以上PH10.00以下の水溶液を含有する、異形断面タンパク質繊維の製造方法。
[2]
タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させて脱溶媒する際に、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させることを含む、1に記載の方法。
[3]
上記異形断面タンパク質繊維が、繊維軸方向に伸びる凹部を表面に有する繊維である、1に記載の方法。
[4]
上記凝固液中の水又は水溶液の含有量が、上記凝固液全量を基準として70質量%以上である、1又は2に記載の方法。
[5]
上記水溶液が塩水溶液、酸水溶液又はその混合溶液である、1~3のいずれかに記載の方法。
[6]
上記酸水溶液が、カルボン酸水溶液である、4に記載の方法。
[7]
上記凝固液が水又は塩水溶液である、1~5のいずれかに記載の方法。
[8]
上記凝固液の温度が60℃以下である、1~6のいずれかに記載の方法。
[9]
上記凝固液が塩水溶液である、1~7のいずれかに記載の方法。
[10]
上記凝固液における塩の含有量が、上記凝固液全量を基準として0.05mol/L以上である、1~8のいずれかに記載の方法。
[11]
上記塩が、カルボン酸塩、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、ヨウ化物塩、炭酸塩、硫酸水素塩、リン酸水素塩、炭酸水素塩及びチオシアン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、4~9のいずれかに記載の方法。
[12]
上記塩が、カルボン酸塩、硫酸塩、及び塩化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、4~10のいずれかに記載の方法。
[13]
上記カルボン酸塩が、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、及びシュウ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、10又は11に記載の方法。
[14]
上記塩が、クエン酸塩、硫酸塩、及び塩化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、4~12のいずれかに記載の方法。
[15]
上記硫酸塩が、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、及び硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、10~13のいずれかに記載の方法。
[16]
上記塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、及び塩化グアニジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、10~14のいずれかに記載の方法。
[17]
上記塩水溶液が、クエン酸ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、汽水又は海水を含む、4~15のいずれかに記載の方法。
[18]
上記有機溶媒が、ギ酸、ジメチルスルホキシド、及びヘキサフルオロイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、1~16のいずれかに記載の方法。
[19]
上記タンパク質の平均疎水性指標が-0.8超である、1~17のいずれかに記載の方法。
[20]
上記タンパク質が、クモ糸タンパク質、シルクタンパク質、コラーゲンタンパク質、レシリンタンパク質、エラスチンタンパク質、及びケラチンタンパク質、からなる群から選択される少なくとも1種を含む、1~18のいずれかに記載の方法。
[21]
上記タンパク質が、ケラチンタンパク質又はクモ糸タンパク質である、1~19のいずれかに記載の方法。
[22]
上記タンパク質が、クモ糸タンパク質である、1~20のいずれかに記載の方法。
[23]
上記紡糸原液が溶解促進剤を更に含有する、1~21のいずれかに記載の方法。
[24]
凝固させたタンパク質を延伸する工程を更に含む、[1]~[23]のいずれかに記載の方法。
[25]
上記延伸工程が、凝固させたタンパク質を水洗浄浴中において延伸することを含む、[24]に記載の方法。
[26]
タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を凝固液に接触させ、上記タンパク質を凝固させてタンパク質繊維を製造するに際し、
上記紡糸原液全量を基準として10質量%超の上記タンパク質を含む紡糸原液と、
水又はPH0.25以上PH10.00以下の水溶液を含有する凝固液と、を用いるとともに、
タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させて脱溶媒する際に、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させることを含む、異形断面タンパク質繊維の形状コントロール方法。
[27]
上記紡糸原液における上記タンパク質の含有量、上記紡糸口金の口径、上記凝固液の温度、並びに上記凝固液の塩濃度及び上記延伸工程における延伸倍率のうち、少なくとも1つを調節することを含む、[26]に記載の方法。
[28]
上記凝固液が、溶解促進剤を更に含有する、[26]及び[27]のいずれかに記載の方法。
本発明により、水又は水溶液を含有する凝固液を用いた異形断面タンパク質繊維の製造方法及び形状コントロール方法を提供することができる。水又は水溶液を含有する凝固液を用いることで、爆発・火災等の危険性、製造コスト、及び環境負荷を低減することができる。
クモ類フィブロインのドメイン配列の一例を示す模式図である。 クモ類フィブロインのドメイン配列の一例を示す模式図である。 クモ類フィブロインのドメイン配列の一例を示す模式図である。 タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を概略的に示す説明図である。 凝固溶媒として水を用い、異なる凝固浴温度及び延伸倍率により得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。 凝固溶媒として0.5mol/Lの塩化ナトリウム水溶液を用い、異なる凝固浴温度及び延伸倍率により得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。 凝固溶媒として異なる濃度の塩化ナトリウム水溶液を用いて得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。 凝固溶媒として異なる濃度の硫酸ナトリウム水溶液を用いて得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。 モル濃度0.9mol/Lの異なる種類の凝固溶媒を用い、凝固浴温度を25℃とした場合に得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。 モル濃度0.9mol/Lの異なる種類の凝固溶媒を用い、凝固浴温度を60℃とした場合に得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。 凝固溶媒として海水及び汽水を用い、凝固浴温度を10℃とした場合に得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。 異なる種類の凝固溶媒を用いて得られた繊維の表面(側面)のSEM画像である。 凝固溶媒として水を用い、凝固浴温度を25℃、40℃及び60℃とした場合に得られた繊維の外観写真である。 凝固溶媒として0.5mol/L塩化ナトリウム水溶液を用い、同一凝固浴温度、異なる延伸倍率の条件下で得られた繊維の外観写真である。 凝固溶媒として0.9mol/Lの各種塩水溶液を用いて得られた繊維の外観写真である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
〔異形断面タンパク質繊維の製造方法〕
本実施形態の異形断面タンパク質繊維の製造方法は、タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させ、タンパク質を凝固させる工程を含む。ここで、紡糸原液におけるタンパク質の含有量は、紡糸原液全量を基準として10質量%超である。また、凝固液は水又はpH0.25以上pH10.00以下の水溶液を含有する。本実施形態の異形断面タンパク質繊維の製造方法は、湿式紡糸、乾湿式紡糸等の公知の紡糸方法に準じて実施することができる。
<紡糸原液>
本実施形態に係る紡糸原液は、タンパク質及び有機溶媒を含有する。
(タンパク質)
本実施形態の製造方法に従って製造される異形断面タンパク質繊維は、タンパク質を主成分として含む。本実施形態の紡糸原液に含まれるタンパク質は、人工的に製造されたタンパク質(人造タンパク質)であり、天然のタンパク質又はそれを精製したものではない。人工的にタンパク質を製造する方法については、特に限定されるものではなく、遺伝子組換え技術により微生物等で製造したものであってもよく、合成により製造されたものであってもよい。
上記タンパク質は、例えば、構造タンパク質、又は当該構造タンパク質に由来する人造構造タンパク質であってもよい。構造タンパク質とは、生体内で構造、形態等を形成又は保持するタンパク質を意味する。
構造タンパク質としては、例えば、クモ糸タンパク質(クモ糸フィブロイン等)、シルクタンパク質、コラーゲンタンパク質、レシリンタンパク質、エラスチンタンパク質、ケラチンタンパク質等を挙げることができる。
本実施形態のクモ糸タンパク質は、天然由来のクモ糸タンパク質と改変クモ糸タンパク質(以下、「改変フィブロイン」ともいう。)とを含む。本明細書において「天然由来のクモ糸タンパク質」とは、天然由来のクモ糸タンパク質(クモ糸フィブロイン等)と同一のアミノ酸配列を有するクモ糸タンパク質を意味し、「改変クモ糸タンパク質」又は「改変フィブロイン」とは、天然由来のクモ糸タンパク質とは異なるアミノ酸配列を有するクモ糸タンパク質を意味する。
天然由来のクモ糸タンパク質としては、例えば、大吐糸管しおり糸タンパク質、横糸タンパク質、及び小瓶状腺タンパク質等のクモ類が産生するクモ類フィブロインが挙げられる。大吐糸管しおり糸は、結晶領域と非晶領域(無定形領域とも言う。)からなる繰り返し領域を持つため、高い応力と伸縮性を併せ持つ。クモ糸の横糸は、結晶領域を持たず、非晶領域からなる繰り返し領域を持つという特徴を有する。横糸は、大吐糸管しおり糸に比べると応力は劣るが、高い伸縮性を持つ。
大吐糸管しおり糸タンパク質は、クモの大瓶状腺で産生され、強靭性に優れるという特徴を有する。大吐糸管しおり糸タンパク質としては、例えば、アメリカジョロウグモ(Nephila clavipes)に由来する大瓶状腺スピドロインMaSp1及びMaSp2、並びに二ワオニグモ(Araneus diadematus)に由来するADF3及びADF4が挙げられる。ADF3は、ニワオニグモの2つの主要なしおり糸タンパク質の一つである。クモ糸タンパク質は、これらのしおり糸タンパク質に由来するクモ糸タンパク質であってもよい。ADF3に由来するクモ糸タンパク質は、比較的合成し易く、また、強伸度及びタフネスの点で優れた特性を有する。
横糸タンパク質は、クモの鞭毛状腺(flagelliform gland)で産生される。横糸タンパク質としては、例えばアメリカジョロウグモ(Nephila clavipes)に由来する鞭毛状絹タンパク質(flagelliform silk protein)が挙げられる。
クモ類が産生するクモ類フィブロインの更なる例として、例えば、オニグモ、ニワオニグモ、アカオニグモ、アオオニグモ及びマメオニグモ等のオニグモ属(Araneus属)に属するクモ、ヤマシロオニグモ、イエオニグモ、ドヨウオニグモ及びサツマノミダマシ等のヒメオニグモ属(Neoscona属)に属するクモ、コオニグモモドキ等のコオニグモモドキ属(Pronus属)に属するクモ、トリノフンダマシ及びオオトリノフンダマシ等のトリノフンダマシ属(Cyrtarachne属)に属するクモ、トゲグモ及びチブサトゲグモ等のトゲグモ属(Gasteracantha属)に属するクモ、マメイタイセキグモ及びムツトゲイセキグモ等のイセキグモ属(Ordgarius属)に属するクモ、コガネグモ、コガタコガネグモ及びナガコガネグモ等のコガネグモ属(Argiope属)に属するクモ、キジロオヒキグモ等のオヒキグモ属(Arachnura属)に属するクモ、ハツリグモ等のハツリグモ属(Acusilas属)に属するクモ、スズミグモ、キヌアミグモ及びハラビロスズミグモ等のスズミグモ属(Cytophora属)に属するクモ、ゲホウグモ等のゲホウグモ属(Poltys属)に属するクモ、ゴミグモ、ヨツデゴミグモ、マルゴミグモ及びカラスゴミグモ等のゴミグモ属(Cyclosa属)に属するクモ、及びヤマトカナエグモ等のカナエグモ属(Chorizopes属)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質、並びにアシナガグモ、ヤサガタアシナガグモ、ハラビロアシダカグモ及びウロコアシナガグモ等のアシナガグモ属(Tetragnatha属)に属するクモ、オオシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ及びコシロカネグモ等のシロカネグモ属(Leucauge属)に属するクモ、ジョロウグモ及びオオジョロウグモ等のジョロウグモ属(Nephila属)に属するクモ、キンヨウグモ等のアズミグモ属(Menosira属)に属するクモ、ヒメアシナガグモ等のヒメアシナガグモ属(Dyschiriognatha属)に属するクモ、クロゴケグモ、セアカゴケグモ、ハイイロゴケグモ及びジュウサンボシゴケグモ等のゴケグモ属(Latrodectus属)に属するクモ、及びユープロステノプス属(Euprosthenops属)に属するクモ等のアシナガグモ科(Tetragnathidae科)に属するクモが産生するスパイダーシルクタンパク質が挙げられる。
クモ類が産生するスパイダーシルクタンパク質のより具体的な例としては、例えば、fibroin-3(adf-3)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47010(アミノ酸配列)、U47855(塩基配列))、fibroin-4(adf-4)[Araneus diadematus由来](GenBankアクセッション番号AAC47011(アミノ酸配列)、U47856(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 1[Nephila clavipes由来](GenBankアクセッション番号AAC04504(アミノ酸配列)、U37520(塩基配列))、major ampullate spidroin 1[Latrodectus hesperus由来](GenBankアクセッション番号ABR68856(アミノ酸配列)、EF595246(塩基配列))、dragline silk protein spidroin 2[Nephila clavata由来](GenBankアクセッション番号AAL32472(アミノ酸配列)、AF441245(塩基配列))、major ampullate spidroin 1[Euprosthenops australis由来](GenBankアクセッション番号CAJ00428(アミノ酸配列)、AJ973155(塩基配列))、及びmajor ampullate spidroin 2[Euprosthenops australis](GenBankアクセッション番号CAM32249.1(アミノ酸配列)、AM490169(塩基配列))、minor ampullate silk protein 1[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14589.1(アミノ酸配列))、minor ampullate silk protein 2[Nephila clavipes](GenBankアクセッション番号AAC14591.1(アミノ酸配列))、minor ampullate spidroin-like protein[Nephilengys cruentata](GenBankアクセッション番号ABR37278.1(アミノ酸配列)等が挙げられる。
本実施形態のクモ糸タンパク質は、例えば、式1:[(A)モチーフ-REP]、又は式2:[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質であってもよい。本実施形態のクモ糸タンパク質は、ドメイン配列のN末端側及びC末端側のいずれか一方又は両方に更にアミノ酸配列(N末端配列及びC末端配列)が付加されていてもよい。N末端配列及びC末端配列は、これに限定されるものではないが、典型的には、フィブロインに特徴的なアミノ酸モチーフの反復を有さない領域であり、100残基程度のアミノ酸からなる。
本明細書において「ドメイン配列」とは、フィブロイン特有の結晶領域(典型的には、アミノ酸配列の(A)モチーフに相当する。)と非晶領域(典型的には、アミノ酸配列のREPに相当する。)を生じるアミノ酸配列であり、式1:[(A)モチーフ-REP]、又は式2:[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフで表されるアミノ酸配列を意味する。ここで、(A)モチーフは、アラニン残基を主とするアミノ酸配列を示し、アミノ酸残基数は2~27である。(A)モチーフのアミノ酸残基数は、2~20、4~27、4~20、8~20、10~20、4~16、8~16、又は10~16であってもよい。また、(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数の割合は40%以上であればよく、60%以上、70%以上、80%以上、83%以上、85%以上、86%以上、90%以上、95%以上、又は100%(アラニン残基のみで構成されることを意味する。)であってもよい。ドメイン配列中に複数存在する(A)モチーフは、少なくとも7つがアラニン残基のみで構成されてもよい。REPは2~200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列を示す。REPは、10~200アミノ酸残基から構成されるアミノ酸配列であってもよい。mは2~300の整数を示し、10~300の整数であってもよい。複数存在する(A)モチーフは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。複数存在するREPは、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。
改変クモ糸タンパク質(改変フィブロイン)は、例えば、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列に依拠してそのアミノ酸配列を改変したもの(例えば、クローニングした天然由来のクモ類フィブロインの遺伝子配列を改変することによりアミノ酸配列を改変したもの)であってもよく、また天然由来のクモ類フィブロインに依らず人工的に設計及び合成したもの(例えば、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより所望のアミノ酸配列を有するもの)であってもよい。
改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のクモ類フィブロインの遺伝子配列に対し、例えば、1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行うことで得ることができる。アミノ酸残基の置換、欠失、挿入及び/又は付加は、部分特異的突然変異誘発法等の当業者に周知の方法により行うことができる。具体的には、Nucleic Acid Res.10,6487(1982)、Methods in Enzymology,100,448(1983)等の文献に記載されている方法に準じて行うことができる。
改変フィブロインの具体的な例として、クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロイン(第1の改変フィブロイン)、グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロイン(第2の改変フィブロイン)、(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン(第3の改変フィブロイン)、グリシン残基の含有量、及び(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン(第4の改変フィブロイン)、局所的に疎水性指標の大きい領域を含むドメイン配列を有する改変フィブロイン(第5の改変フィブロイン)、及びグルタミン残基の含有量が低減されたドメイン配列を有する改変フィブロイン(第6の改変フィブロイン)が挙げられる。
クモの大瓶状腺で産生される大吐糸管しおり糸タンパク質に由来する改変フィブロイン(第1の改変フィブロイン)としては、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質が挙げられる。第1の改変フィブロインは、式1中、nは3~20の整数が好ましく、4~20の整数がより好ましく、8~20の整数が更に好ましく、10~20の整数が更により好ましく、4~16の整数が更によりまた好ましく、8~16の整数が特に好ましく、10~16の整数が最も好ましい。第1の改変フィブロインは、式1中、REPを構成するアミノ酸残基の数は、10~200残基であることが好ましく、10~150残基であることがより好ましく、20~100残基であることが更に好ましく、20~75残基であることが更により好ましい。第1の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるアミノ酸配列中に含まれるグリシン残基、セリン残基及びアラニン残基の合計残基数がアミノ酸残基数全体に対して、40%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、70%以上であることが更に好ましい。
第1の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるアミノ酸配列の単位を含み、かつC末端配列が配列番号1~3のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は配列番号1~3のいずれかに示されるアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列である、タンパク質であってもよい。
配列番号1に示されるアミノ酸配列は、ADF3(GI:1263287、NCBI)のアミノ酸配列のC末端の50残基のアミノ酸からなるアミノ酸配列と同一であり、配列番号2に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のC末端から20残基取り除いたアミノ酸配列と同一であり、配列番号3に示されるアミノ酸配列は、配列番号1に示されるアミノ酸配列のC末端から29残基取り除いたアミノ酸配列と同一である。
第1の改変フィブロインのより具体的な例として、(1-i)配列番号4で示されるアミノ酸配列、又は(1-ii)配列番号4で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
配列番号4で示されるアミノ酸配列は、N末端に開始コドン、His10タグ及びHRV3Cプロテアーゼ(Human rhinovirus 3Cプロテアーゼ)認識サイトからなるアミノ酸配列(配列番号5)を付加したADF3のアミノ酸配列において、第1~13番目の反復領域をおよそ2倍になるように増やすとともに、翻訳が第1154番目アミノ酸残基で終止するように変異させたものである。配列番号4で示されるアミノ酸配列のC末端のアミノ酸配列は、配列番号3で示されるアミノ酸配列と同一である。
(1-i)の改変フィブロインは、配列番号4で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
グリシン残基の含有量が低減された改変フィブロイン(第2の改変フィブロイン)は、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、グリシン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。第2の改変フィブロインは、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、少なくともREP中の1又は複数のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。
第2の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、REP中のGGX及びGPGXX(但し、Gはグリシン残基、Pはプロリン残基、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)から選ばれる少なくとも一つのモチーフ配列において、少なくとも1又は複数の当該モチーフ配列中の1つのグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第2の改変フィブロインは、上述のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたモチーフ配列の割合が、全モチーフ配列に対して、10%以上であってもよい。
第2の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含み、上記ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列中の全REPに含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列中の総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが30%以上、40%以上、50%以上又は50.9%以上であるアミノ酸配列を有するものであってもよい。(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は83%以上であってよいが、86%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、100%であること(アラニン残基のみで構成されることを意味する)が更により好ましい。
第2の改変フィブロインは、GGXモチーフの1つのグリシン残基を別のアミノ酸残基に置換することにより、XGXからなるアミノ酸配列の含有割合を高めたものであることが好ましい。第2の改変フィブロインは、ドメイン配列中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合が30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、10%以下であることが更に好ましく、6%以下であることが更により好ましく、4%以下であることが更によりまた好ましく、2%以下であることが特に好ましい。ドメイン配列中のGGXからなるアミノ酸配列の含有割合は、下記XGXからなるアミノ酸配列の含有割合(z/w)の算出方法と同様の方法で算出することができる。
z/wの算出方法を更に詳細に説明する。まず、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むクモ類フィブロイン(改変フィブロイン又は天然由来のクモ類フィブロイン)において、ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列に含まれる全てのREPから、XGXからなるアミノ酸配列を抽出する。XGXを構成するアミノ酸残基の総数がzである。例えば、XGXからなるアミノ酸配列が50個抽出された場合(重複はなし)、zは50×3=150である。また、例えば、XGXGXからなるアミノ酸配列の場合のように2つのXGXに含まれるX(中央のX)が存在する場合は、重複分を控除して計算する(XGXGXの場合は5アミノ酸残基である)。wは、ドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列に含まれる総アミノ酸残基数である。例えば、図1に示したドメイン配列の場合、wは4+50+4+100+4+10+4+20+4+30=230である(最もC末端側に位置する(A)モチーフは除いている。)。次に、zをwで除すことによって、z/w(%)を算出することができる。
第2の改変フィブロインにおいて、z/wは、50.9%以上であることが好ましく、56.1%以上であることがより好ましく、58.7%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが更により好ましく、80%以上であることが更によりまた好ましい。z/wの上限に特に制限はないが、例えば、95%以下であってもよい。
第2の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のクモ類フィブロインの遺伝子配列から、グリシン残基をコードする塩基配列の少なくとも一部を置換して別のアミノ酸残基をコードするように改変することにより得ることができる。このとき、改変するグリシン残基として、GGXモチーフ及びGPGXXモチーフにおける1つのグリシン残基を選択してもよいし、またz/wが50.9%以上になるように置換してもよい。また、例えば、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列から上記態様を満たすアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列からREP中のグリシン残基を別のアミノ酸残基に置換したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
上記の別のアミノ酸残基としては、グリシン残基以外のアミノ酸残基であれば特に制限はないが、バリン(V)残基、ロイシン(L)残基、イソロイシン(I)残基、メチオニン(M)残基、プロリン(P)残基、フェニルアラニン(F)残基及びトリプトファン(W)残基等の疎水性アミノ酸残基、グルタミン(Q)残基、アスパラギン(N)残基、セリン(S)残基、リシン(K)残基及びグルタミン酸(E)残基等の親水性アミノ酸残基が好ましく、バリン(V)残基、ロイシン(L)残基、イソロイシン(I)残基及びグルタミン(Q)残基がより好ましく、グルタミン(Q)残基が更に好ましい。
第2の改変フィブロインのより具体的な例として、(2-i)配列番号6、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9で示されるアミノ酸配列、又は(2-ii)配列番号6、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(2-i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号6で示されるアミノ酸配列は、天然由来のクモ類フィブロインに相当する配列番号10で示されるアミノ酸配列のREP中の全てのGGXをGQXに置換したものである。配列番号7で示されるアミノ酸配列は、配列番号6で示されるアミノ酸配列から、N末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフを欠失させ、更にC末端配列の手前に[(A)モチーフ-REP]を1つ挿入したものである。配列番号8で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列の各(A)モチーフのC末端側に2つのアラニン残基を挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、配列番号7の分子量とほぼ同じとなるようにN末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号9で示されるアミノ酸配列は、配列番号11で示されるアミノ酸配列中に存在する20個のドメイン配列の領域(但し、当該領域のC末端側の数アミノ酸残基が置換されている。)を4回繰り返した配列のC末端にHisタグが付加されたものである。
配列番号10で示されるアミノ酸配列(天然由来のクモ類フィブロインに相当)におけるz/wの値は、46.8%である。配列番号6で示されるアミノ酸配列、配列番号7で示されるアミノ酸配列、配列番号8で示されるアミノ酸配列、及び配列番号9で示されるアミノ酸配列におけるz/wの値は、それぞれ58.7%、70.1%、66.1%及び70.0%である。また、配列番号10、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列のギザ比率(後述する)1:1.8~11.3におけるx/yの値は、それぞれ15.0%、15.0%、93.4%、92.7%及び89.3%である。
(2-i)の改変フィブロインは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(2-ii)の改変フィブロインは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(2-ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(2-ii)の改変フィブロインは、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつREP中に含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列中のREPの総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが50.9%以上であることが好ましい。
第2の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。これにより、改変フィブロインの単離、固定化、検出及び可視化等が可能となる。
タグ配列として、例えば、他の分子との特異的親和性(結合性、アフィニティ)を利用したアフィニティタグを挙げることができる。アフィニティタグの具体例として、ヒスチジンタグ(Hisタグ)を挙げることができる。Hisタグは、ヒスチジン残基が4から10個程度並んだ短いペプチドで、ニッケル等の金属イオンと特異的に結合する性質があるため、金属キレートクロマトグラフィー(chelating metal chromatography)による改変フィブロインの単離に利用することができる。タグ配列の具体例として、例えば、配列番号12で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含むアミノ酸配列)が挙げられる。
また、グルタチオンに特異的に結合するグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、マルトースに特異的に結合するマルトース結合タンパク質(MBP)等のタグ配列を利用することもできる。
さらに、抗原抗体反応を利用した「エピトープタグ」を利用することもできる。抗原性を示すペプチド(エピトープ)をタグ配列として付加することにより、当該エピトープに対する抗体を結合させることができる。エピトープタグとして、HA(インフルエンザウイルスのヘマグルチニンのペプチド配列)タグ、mycタグ、FLAGタグ等を挙げることができる。エピトープタグを利用することにより、高い特異性で容易に改変フィブロインを精製することができる。
さらに、タグ配列を特定のプロテアーゼで切り離せるようにしたものも使用することができる。当該タグ配列を介して吸着したタンパク質をプロテアーゼ処理することにより、タグ配列を切り離した改変フィブロインを回収することもできる。
タグ配列を含む第2の改変フィブロインのより具体的な例として、(2-iii)配列番号13、配列番号11、配列番号14若しく配列番号15で示されるアミノ酸配列、又は(2-iv)配列番号13、配列番号11、配列番号14若しく配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号16、配列番号17、配列番号13、配列番号11、配列番号14及び配列番号15で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、配列番号18、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号12で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。
(2-iii)の改変フィブロインは、配列番号13、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(2-iv)の改変フィブロインは、配列番号13、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(2-iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(2-iv)の改変フィブロインは、配列番号13、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつREP中に含まれるXGX(但し、Xはグリシン以外のアミノ酸残基を示す。)からなるアミノ酸配列の総アミノ酸残基数をzとし、上記ドメイン配列中のREPの総アミノ酸残基数をwとしたときに、z/wが50.9%以上であることが好ましい。
第2の改変フィブロインは、組換えタンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン(第3の改変フィブロイン)は、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、(A)モチーフの含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。第3の改変フィブロインのドメイン配列は、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、少なくとも1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。
第3の改変フィブロインは、天然由来のクモ類フィブロインから(A)モチーフを10~40%欠失させたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、少なくともN末端側からC末端側に向かって1~3つの(A)モチーフ毎に1つの(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、少なくともN末端側からC末端側に向かって2つ連続した(A)モチーフの欠失、及び1つの(A)モチーフの欠失がこの順に繰り返されたことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、少なくともN末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってもよい。
第3の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含み、N末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8~11.3となる隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが20%以上、30%以上、40%以上又は50%以上であるアミノ酸配列を有するものであってもよい。(A)モチーフ中の全アミノ酸残基数に対するアラニン残基数は83%以上であってよいが、86%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが更に好ましく、100%であること(アラニン残基のみで構成されることを意味する)が更により好ましい。
x/yの算出方法を図1を参照しながら更に詳細に説明する。図1には、クモ類フィブロインからN末端配列及びC末端配列を除いたドメイン配列を示す。当該ドメイン配列は、N末端側(左側)から(A)モチーフ-第1のREP(50アミノ酸残基)-(A)モチーフ-第2のREP(100アミノ酸残基)-(A)モチーフ-第3のREP(10アミノ酸残基)-(A)モチーフ-第4のREP(20アミノ酸残基)-(A)モチーフ-第5のREP(30アミノ酸残基)-(A)モチーフという配列を有する。
隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットは、重複がないように、N末端側からC末端側に向かって、順次選択する。このとき、選択されない[(A)モチーフ-REP]ユニットが存在してもよい。図1には、パターン1(第1のREPと第2のREPの比較、及び第3のREPと第4のREPの比較)、パターン2(第1のREPと第2のREPの比較、及び第4のREPと第5のREPの比較)、パターン3(第2のREPと第3のREPの比較、及び第4のREPと第5のREPの比較)、パターン4(第1のREPと第2のREPの比較)を示した。なお、これ以外にも選択方法は存在する。
次に各パターンについて、選択した隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニット中の各REPのアミノ酸残基数を比較する。比較は、よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときの、他方のアミノ酸残基数の比を求めることによって行う。例えば、第1のREP(50アミノ酸残基)と第2のREP(100アミノ酸残基)の比較の場合、よりアミノ酸残基数の少ない第1のREPを1としたとき、第2のREPのアミノ酸残基数の比は、100/50=2である。同様に、第4のREP(20アミノ酸残基)と第5のREP(30アミノ酸残基)の比較の場合、よりアミノ酸残基数の少ない第4のREPを1としたとき、第5のREPのアミノ酸残基数の比は、30/20=1.5である。
図1中、よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときに、他方のアミノ酸残基数の比が1.8~11.3となる[(A)モチーフ-REP]ユニットの組を実線で示した。以下このような比をギザ比率と呼ぶ。よりアミノ酸残基数の少ない方を1としたときに、他方のアミノ酸残基数の比が1.8未満又は11.3超となる[(A)モチーフ-REP]ユニットの組は破線で示した。
各パターンにおいて、実線で示した隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットの全てのアミノ酸残基数を足し合わせる(REPのみではなく、(A)モチーフのアミノ酸残基数もである。)。そして、足し合わせた合計値を比較して、当該合計値が最大となるパターンの合計値(合計値の最大値)をxとする。図1に示した例では、パターン1の合計値が最大である。
次に、xをドメイン配列の総アミノ酸残基数yで除すことによって、x/y(%)を算出することができる。
第3の改変フィブロインにおいて、x/yは、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることが更に好ましく、70%以上であることが更により好ましく、75%以上であることが更によりまた好ましく、80%以上であることが特に好ましい。x/yの上限に特に制限はなく、例えば、100%以下であってよい。ギザ比率が1:1.9~11.3の場合には、x/yは89.6%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.8~3.4の場合には、x/yは77.1%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.9~8.4の場合には、x/yは75.9%以上であることが好ましく、ギザ比率が1:1.9~4.1の場合には、x/yは64.2%以上であることが好ましい。
第3の改変フィブロインが、ドメイン配列中に複数存在する(A)モチーフの少なくとも7つがアラニン残基のみで構成される改変フィブロインである場合、x/yは、46.4%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、55%以上であることが更に好ましく、60%以上であることが更により好ましく、70%以上であることが更によりまた好ましく、80%以上であることが特に好ましい。x/yの上限に特に制限はなく、100%以下であればよい。
第3の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のクモ類フィブロインの遺伝子配列から、x/yが64.2%以上になるように(A)モチーフをコードする配列の1又は複数を欠失させることにより得ることができる。また、例えば、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列から、x/yが64.2%以上になるように1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列から(A)モチーフが欠失したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
第3の改変フィブロインのより具体的な例として、(3-i)配列番号18、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9で示されるアミノ酸配列、又は(3-ii)配列番号18、配列番号7、配列番号8若しくは配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(3-i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号18で示されるアミノ酸配列は、天然由来のクモ類フィブロインに相当する配列番号10で示されるアミノ酸配列から、N末端側からC末端側に向かって2つおきに(A)モチーフを欠失させ、更にC末端配列の手前に[(A)モチーフ-REP]を1つ挿入したものである。配列番号7で示されるアミノ酸配列は、配列番号18で示されるアミノ酸配列のREP中の全てのGGXをGQXに置換したものである。配列番号8で示されるアミノ酸配列は、配列番号7で示されるアミノ酸配列の各(A)モチーフのC末端側に2つのアラニン残基を挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、配列番号7の分子量とほぼ同じとなるようにN末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号9で示されるアミノ酸配列は、配列番号11で示されるアミノ酸配列中に存在する20個のドメイン配列の領域(但し、当該領域のC末端側の数アミノ酸残基が置換されている。)を4回繰り返した配列のC末端にHisタグが付加されたものである。
配列番号10で示されるアミノ酸配列(天然由来のクモ類フィブロインに相当)のギザ比率1:1.8~11.3におけるx/yの値は15.0%である。配列番号18で示されるアミノ酸配列、及び配列番号7で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、いずれも93.4%である。配列番号8で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、92.7%である。配列番号9で示されるアミノ酸配列におけるx/yの値は、89.3%である。配列番号10、配列番号18、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列におけるz/wの値は、それぞれ46.8%、56.2%、70.1%、66.1%及び70.0%である。
(3-i)の改変フィブロインは、配列番号18、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(3-ii)の改変フィブロインは、配列番号18、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(3-ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(3-ii)の改変フィブロインは、配列番号18、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつN末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8~11.3(ギザ比率が1:1.8~11.3)となる隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが64.2%以上であることが好ましい。
第3の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方に上述したタグ配列を含んでいてもよい。
タグ配列を含む第3の改変フィブロインのより具体的な例として、(3-iii)配列番号17、配列番号11、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列、又は(3-iv)配列番号17、配列番号11、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号16、配列番号17、配列番号13、配列番号11、配列番号14及び配列番号15で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号10、配列番号18、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号12で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。
(3-iii)の改変フィブロインは、配列番号17、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(3-iv)の改変フィブロインは、配列番号17、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(3-iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(3-iv)の改変フィブロインは、配列番号17、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつN末端側からC末端側に向かって、隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットのREPのアミノ酸残基数を順次比較して、アミノ酸残基数が少ないREPのアミノ酸残基数を1としたとき、他方のREPのアミノ酸残基数の比が1.8~11.3となる隣合う2つの[(A)モチーフ-REP]ユニットのアミノ酸残基数を足し合わせた合計値の最大値をxとし、ドメイン配列の総アミノ酸残基数をyとしたときに、x/yが64.2%以上であることが好ましい。
第3の改変フィブロインは、組換えタンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
グリシン残基の含有量、及び(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン(第4の改変フィブロイン)は、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、(A)モチーフの含有量が低減されたことに加え、グリシン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有するものである。第4の改変フィブロインのドメイン配列は、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、少なくとも1又は複数の(A)モチーフが欠失したことに加え、更に少なくともREP中の1又は複数のグリシン残基が別のアミノ酸残基に置換されたことに相当するアミノ酸配列を有するものということができる。すなわち、第4の改変フィブロインは、上述したグリシン残基の含有量が低減された改変フィブロイン(第2の改変フィブロイン)と、(A)モチーフの含有量が低減された改変フィブロイン(第3の改変フィブロイン)の特徴を併せ持つ改変フィブロインである。具体的な態様等は、第2の改変フィブロイン、及び第3の改変フィブロインで説明したとおりである。
第4の改変フィブロインのより具体的な例として、(4-i)配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列、(4-ii)配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号11、配列番号14若しくは配列番号15で示されるアミノ酸配列を含む改変フィブロインの具体的な態様は上述のとおりである。
局所的に疎水性指標の大きい領域を含むドメイン配列を有する改変フィブロイン(第5の改変フィブロイン)は、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、REP中の1又は複数のアミノ酸残基が疎水性指標の大きいアミノ酸残基に置換されたこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性指標の大きいアミノ酸残基が挿入されたことに相当する、局所的に疎水性指標の大きい領域を含むアミノ酸配列を有するものであってよい。
局所的に疎水性指標の大きい領域は、連続する2~4アミノ酸残基で構成されていることが好ましい。
上述の疎水性指標の大きいアミノ酸残基は、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)及びアラニン(A)から選ばれるアミノ酸残基であることがより好ましい。
第5の改変フィブロインは、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、REP中の1又は複数のアミノ酸残基が疎水性指標の大きいアミノ酸残基に置換されたこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性指標の大きいアミノ酸残基が挿入されたことに相当する改変に加え、更に、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変があってもよい。
第5の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のクモ類フィブロインの遺伝子配列からREP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がマイナスであるアミノ酸残基)を疎水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がプラスであるアミノ酸残基)に置換すること、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入することにより得ることができる。また、例えば、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列からREP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基を疎水性アミノ酸残基に置換したこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列からREP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基を疎水性アミノ酸残基に置換したこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変を行ってもよい。
第5の改変フィブロインは、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含み、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を上記ドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域に含まれるアミノ酸残基の総数をpとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフから上記ドメイン配列のC末端までの配列を上記ドメイン配列から除いた配列に含まれるアミノ酸残基の総数をqとしたときに、p/qが6.2%以上であるアミノ酸配列を有してもよい。
アミノ酸残基の疎水性指標については、公知の指標(Hydropathy index:Kyte J,&Doolittle R(1982)“A simple method for displaying the hydropathic character of a protein”,J.Mol.Biol.,157,pp.105-132)を使用する。具体的には、各アミノ酸の疎水性指標(ハイドロパシー・インデックス、以下「HI」とも記す。)は、下記表1に示すとおりである。
Figure 2022024198000001
p/qの算出方法を更に詳細に説明する。算出には、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列から、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列を除いた配列(以下、「配列A」とする)を用いる。まず、配列Aに含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値を算出する。疎水性指標の平均値は、連続する4アミノ酸残基に含まれる各アミノ酸残基のHIの総和を4(アミノ酸残基数)で除して求める。疎水性指標の平均値は、全ての連続する4アミノ酸残基について求める(各アミノ酸残基は、1~4回平均値の算出に用いられる。)。次いで、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域を特定する。あるアミノ酸残基が、複数の「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」に該当する場合であっても、領域中には1アミノ酸残基として含まれることになる。そして、当該領域に含まれるアミノ酸残基の総数がpである。また、配列Aに含まれるアミノ酸残基の総数がqである。
例えば、「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」が20カ所抽出された場合(重複はなし)、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域には、連続する4アミノ酸残基(重複はなし)が20含まれることになり、pは20×4=80である。また、例えば、2つの「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」が1アミノ酸残基だけ重複して存在する場合、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域には、7アミノ酸残基含まれることになる(p=2×4-1=7。「-1」は重複分の控除である。)。例えば、図2に示したドメイン配列の場合、「疎水性指標の平均値が2.6以上となる連続する4アミノ酸残基」が重複せずに7つ存在するため、pは7×4=28となる。また、例えば、図2に示したドメイン配列の場合、qは4+50+4+40+4+10+4+20+4+30=170である(C末端側の最後に存在する(A)モチーフは含めない)。次に、pをqで除すことによって、p/q(%)を算出することができる。図2の場合28/170=16.47%となる。
第5の改変フィブロインにおいて、p/qは、6.2%以上であることが好ましく、7%以上であることがより好ましく、10%以上であることが更に好ましく、20%以上であることが更により好ましく、30%以上であることが更によりまた好ましい。p/qの上限は、特に制限されないが、例えば、45%以下であってもよい。
第5の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列を、上記のp/qの条件を満たすように、REP中の1又は複数の親水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がマイナスであるアミノ酸残基)を疎水性アミノ酸残基(例えば、疎水性指標がプラスであるアミノ酸残基)に置換すること、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性アミノ酸残基を挿入することにより、局所的に疎水性指標の大きい領域を含むアミノ酸配列に改変することにより得ることができる。また、例えば、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列から上記のp/qの条件を満たすアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。いずれの場合においても、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、REP中の1又は複数のアミノ酸残基が疎水性指標の大きいアミノ酸残基に置換されたこと、及び/又はREP中に1又は複数の疎水性指標の大きいアミノ酸残基が挿入されたことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当する改変を行ってもよい。
疎水性指標の大きいアミノ酸残基としては、特に制限はないが、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)及びアラニン(A)が好ましく、バリン(V)、ロイシン(L)及びイソロイシン(I)がより好ましい。
第5の改変フィブロインの具体的な例として、(5-i)配列番号19、配列番号20若しくは配列番号21で示されるアミノ酸配列、又は(5-ii)配列番号19、配列番号20若しくは配列番号21で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(5-i)の改変フィブロインについて説明する。配列番号22で示されるアミノ酸配列は、天然由来のクモ類フィブロインの(A)モチーフ中のアラニン残基が連続するアミノ酸配列をアラニン残基が連続する数を5つになるよう欠失したものである。配列番号19で示されるアミノ酸配列は、配列番号22で示されるアミノ酸配列に対し、REP一つ置きにそれぞれ3アミノ酸残基からなるアミノ酸配列(VLI)を2カ所挿入し、かつ配列番号22で示されるアミノ酸配列の分子量とほぼ同じとなるようにC末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号23で示されるアミノ酸配列は、配列番号22で示されるアミノ酸配列に対し、各(A)モチーフのC末端側に2つのアラニン残基を挿入し、更に一部のグルタミン(Q)残基をセリン(S)残基に置換し、かつ配列番号22で示されるアミノ酸配列の分子量とほぼ同じとなるようにC末端側の一部のアミノ酸を欠失させたものである。配列番号20で示されるアミノ酸配列は、配列番号23で示されるアミノ酸配列に対し、REP一つ置きにそれぞれ3アミノ酸残基からなるアミノ酸配列(VLI)を1カ所挿入したものである。配列番号21で示されるアミノ酸配列は、配列番号23で示されるアミノ酸配列に対し、REP一つ置きにそれぞれ3アミノ酸残基からなるアミノ酸配列(VLI)を2カ所挿入したものである。
(5-i)の改変フィブロインは、配列番号19、配列番号20又は配列番号21で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(5-ii)の改変フィブロインは、配列番号19、配列番号20又は配列番号21で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(5-ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(5-ii)の改変フィブロインは、配列番号19、配列番号20又は配列番号21で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域に含まれるアミノ酸残基の総数をpとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれるアミノ酸残基の総数をqとしたときに、p/qが6.2%以上であることが好ましい。
第5の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。
タグ配列を含む第5の改変フィブロインのより具体的な例として、(5-iii)配列番号24、配列番号25若しくは配列番号26で示されるアミノ酸配列、又は(5-iv)配列番号24、配列番号25若しくは配列番号26で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号24、配列番号25及び配列番号26で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号19、配列番号20及び配列番号21で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号12で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。
(5-iii)の改変フィブロインは、配列番号24、配列番号25若しくは配列番号26で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(5-iv)の改変フィブロインは、配列番号24、配列番号25若しくは配列番号26で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(5-iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]で表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(5-iv)の改変フィブロインは、配列番号24、配列番号25若しくは配列番号26で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有し、かつ最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、連続する4アミノ酸残基の疎水性指標の平均値が2.6以上となる領域に含まれるアミノ酸残基の総数をpとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれるアミノ酸残基の総数をqとしたときに、p/qが6.2%以上であることが好ましい。
第5の改変フィブロインは、組換えタンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
グルタミン残基の含有量が低減されたドメイン配列を有する改変フィブロイン(第6の改変フィブロイン)は、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、グルタミン残基の含有量が低減されたアミノ酸配列を有する。
第6の改変フィブロインは、REPのアミノ酸配列中に、GGXモチーフ及びGPGXXモチーフから選ばれる少なくとも一つのモチーフが含まれていることが好ましい。
第6の改変フィブロインが、REP中にGPGXXモチーフを含む場合、GPGXXモチーフ含有率は、通常1%以上であり、5%以上であってもよく、10%以上であるのが好ましい。GPGXXモチーフ含有率の上限に特に制限はなく、50%以下であってよく、30%以下であってもよい。
本明細書において、「GPGXXモチーフ含有率」は、以下の方法により算出される値である。
式1:[(A)モチーフ-REP]、又は式2:[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むクモ類フィブロインにおいて、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列に含まれる全てのREPにおいて、その領域に含まれるGPGXXモチーフの個数の総数を3倍した数(即ち、GPGXXモチーフ中のG及びPの総数に相当)をsとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除き、更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数をtとしたときに、GPGXXモチーフ含有率はs/tとして算出される。
GPGXXモチーフ含有率の算出において、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」を対象としているのは、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列」(REPに相当する配列)には、クモ類フィブロインに特徴的な配列と相関性の低い配列が含まれることがあり、mが小さい場合(つまり、ドメイン配列が短い場合)、GPGXXモチーフ含有率の算出結果に影響するので、この影響を排除するためである。なお、REPのC末端に「GPGXXモチーフ」が位置する場合、「XX」が例えば「AA」の場合であっても、「GPGXXモチーフ」として扱う。
図3は、クモ類フィブロインのドメイン配列を示す模式図である。図3を参照しながらGPGXXモチーフ含有率の算出方法を具体的に説明する。まず、図3に示したクモ類フィブロインのドメイン配列(「[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフ」タイプである。)では、全てのREPが「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」(図3中、「領域A」で示した配列。)に含まれているため、sを算出するためのGPGXXモチーフの個数は7であり、sは7×3=21となる。同様に、全てのREPが「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」(図3中、「領域A」で示した配列。)に含まれているため、当該配列から更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数tは50+40+10+20+30=150である。次に、sをtで除すことによって、s/t(%)を算出することができ、図3のフィブロインの場合21/150=14.0%となる。
第6の改変フィブロインは、グルタミン残基含有率が9%以下であることが好ましく、7%以下であることがより好ましく、4%以下であることが更に好ましく、0%であることが特に好ましい。
本明細書において、「グルタミン残基含有率」は、以下の方法により算出される値である。
式1:[(A)モチーフ-REP]、又は式2:[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むクモ類フィブロインにおいて、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列(図3の「領域A」に相当する配列。)に含まれる全てのREPにおいて、その領域に含まれるグルタミン残基の総数をuとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除き、更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数をtとしたときに、グルタミン残基含有率はu/tとして算出される。グルタミン残基含有率の算出において、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」を対象としている理由は、上述した理由と同様である。
第6の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、REP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失したこと、又は他のアミノ酸残基に置換したことに相当するアミノ酸配列を有するものであってよい。
「他のアミノ酸残基」は、グルタミン残基以外のアミノ酸残基であればよいが、グルタミン残基よりも疎水性指標の大きいアミノ酸残基であることが好ましい。アミノ酸残基の疎水性指標は表1に示すとおりである。
表1に示すとおり、グルタミン残基よりも疎水性指標の大きいアミノ酸残基としては、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)アラニン(A)、グリシン(G)、スレオニン(T)、セリン(S)、トリプトファン(W)、チロシン(Y)、プロリン(P)及びヒスチジン(H)から選ばれるアミノ酸残基を挙げることができる。これらの中でも、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)、フェニルアラニン(F)、システイン(C)、メチオニン(M)及びアラニン(A)から選ばれるアミノ酸残基であることがより好ましく、イソロイシン(I)、バリン(V)、ロイシン(L)及びフェニルアラニン(F)から選ばれるアミノ酸残基であることが更に好ましい。
第6の改変フィブロインは、REPの疎水性度が、-0.8以上であることが好ましく、-0.7以上であることがより好ましく、0以上であることが更に好ましく、0.3以上であることが更により好ましく、0.4以上であることが特に好ましい。REPの疎水性度の上限に特に制限はなく、1.0以下であってよく、0.7以下であってもよい。
本明細書において、「REPの疎水性度」は、以下の方法により算出される値である。
式1:[(A)モチーフ-REP]、又は式2:[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むクモ類フィブロインにおいて、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列(図3の「領域A」に相当する配列。)に含まれる全てのREPにおいて、その領域の各アミノ酸残基の疎水性指標の総和をvとし、最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除き、更に(A)モチーフを除いた全REPのアミノ酸残基の総数をtとしたときに、REPの疎水性度はv/tとして算出される。REPの疎水性度の算出において、「最もC末端側に位置する(A)モチーフからドメイン配列のC末端までの配列をドメイン配列から除いた配列」を対象としている理由は、上述した理由と同様である。
第6の改変フィブロインは、そのドメイン配列が、天然由来のクモ類フィブロインと比較して、REP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失したこと、及び/又はREP中の1又は複数のグルタミン残基を他のアミノ酸残基に置換したことに相当する改変に加え、更に1又は複数のアミノ酸残基を置換、欠失、挿入及び/又は付加したことに相当するアミノ酸配列の改変があってもよい。
第6の改変フィブロインは、例えば、クローニングした天然由来のクモ類フィブロインの遺伝子配列からREP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失させること、及び/又はREP中の1又は複数のグルタミン残基を他のアミノ酸残基に置換することにより得ることができる。また、例えば、天然由来のクモ類フィブロインのアミノ酸配列からREP中の1又は複数のグルタミン残基を欠失したこと、及び/又はREP中の1又は複数のグルタミン残基を他のアミノ酸残基に置換したことに相当するアミノ酸配列を設計し、設計したアミノ酸配列をコードする核酸を化学合成することにより得ることもできる。
第6の改変フィブロインのより具体的な例として、(6-i)配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33若しくは配列番号43で示されるアミノ酸配列を含む、改変フィブロイン、又は(6-ii)配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33若しくは配列番号43で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
(6-i)の改変フィブロインについて説明する。
配列番号7で示されるアミノ酸配列(Met-PRT410)は、天然由来のフィブロインであるNephila clavipes(GenBankアクセッション番号:P46804.1、GI:1174415)の塩基配列及びアミノ酸配列に基づき、(A)モチーフ中のアラニン残基が連続するアミノ酸配列をアラニン残基が連続する数を5つにする等の生産性を向上させるためのアミノ酸の改変を行ったものである。一方、Met-PRT410は、グルタミン残基(Q)の改変は行っていないため、グルタミン残基含有率は、天然由来のフィブロインのグルタミン残基含有率と同程度である。
配列番号27で示されるアミノ酸配列(M_PRT888)は、Met-PRT410(配列番号7)中のQQを全てVLに置換したものである。
配列番号28で示されるアミノ酸配列(M_PRT965)は、Met-PRT410(配列番号7)中のQQを全てTSに置換し、かつ残りのQをAに置換したものである。
配列番号29で示されるアミノ酸配列(M_PRT889)は、Met-PRT410(配列番号7)中のQQを全てVLに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。
配列番号30で示されるアミノ酸配列(M_PRT916)は、Met-PRT410(配列番号7)中のQQを全てVIに置換し、かつ残りのQをLに置換したものである。
配列番号31で示されるアミノ酸配列(M_PRT918)は、Met-PRT410(配列番号7)中のQQを全てVFに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。
配列番号34で示されるアミノ酸配列(M_PRT525)は、Met-PRT410(配列番号7)に対し、アラニン残基が連続する領域(A)に2つのアラニン残基を挿入し、Met-PRT410の分子量とほぼ同じになるよう、C末端側のドメイン配列2つを欠失させ、かつグルタミン残基(Q)13箇所をセリン残基(S)又はプロリン残基(P)に置換したものである。
配列番号32で示されるアミノ酸配列(M_PRT699)は、M_PRT525(配列番号34)中のQQを全てVLに置換したものである。
配列番号33で示されるアミノ酸配列(M_PRT698)は、M_PRT525(配列番号34)中のQQを全てVLに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。
配列番号43で示されるアミノ酸配列(Met-PRT966)は、配列番号9で示されるアミノ酸配列(C末端に配列番号42で示されるアミノ酸配列が付加される前のアミノ酸配列)中のQQを全てVFに置換し、かつ残りのQをIに置換したものである。
配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号43で示されるアミノ酸配列は、いずれもグルタミン残基含有率は9%以下である(表2)。
Figure 2022024198000002
(6-i)の改変フィブロインは、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33又は配列番号43で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(6-ii)の改変フィブロインは、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33又は配列番号43で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(6-ii)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]、又は式2:[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(6-ii)の改変フィブロインは、グルタミン残基含有率が9%以下であることが好ましい。また、(6-ii)の改変フィブロインは、GPGXXモチーフ含有率が10%以上であることが好ましい。
第6の改変フィブロインは、N末端及びC末端のいずれか一方又は両方にタグ配列を含んでいてもよい。これにより、改変フィブロインの単離、固定化、検出及び可視化等が可能となる。
タグ配列を含む第6の改変フィブロインのより具体的な例として、(6-iii)配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41若しくは配列番号44で示されるアミノ酸配列を含む、改変フィブロイン、又は(6-iv)配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41若しくは配列番号44で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、改変フィブロインを挙げることができる。
配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41及び配列番号44で示されるアミノ酸配列は、それぞれ配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33及び配列番号43で示されるアミノ酸配列のN末端に配列番号12で示されるアミノ酸配列(Hisタグ配列及びヒンジ配列を含む)を付加したものである。N末端にタグ配列を付加しただけであるため、グルタミン残基含有率に変化はなく、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41及び配列番号44で示されるアミノ酸配列は、いずれもグルタミン残基含有率が9%以下である(表3)。
Figure 2022024198000003
(6-iii)の改変フィブロインは、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41又は配列番号44で示されるアミノ酸配列からなるものであってもよい。
(6-iv)の改変フィブロインは、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41又は配列番号44で示されるアミノ酸配列と90%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むものである。(6-iv)の改変フィブロインもまた、式1:[(A)モチーフ-REP]、又は式2:[(A)モチーフ-REP]-(A)モチーフで表されるドメイン配列を含むタンパク質である。上記配列同一性は、95%以上であることが好ましい。
(6-iv)の改変フィブロインは、グルタミン残基含有率が9%以下であることが好ましい。また、(6-iv)の改変フィブロインは、GPGXXモチーフ含有率が10%以上であることが好ましい。
第6の改変フィブロインは、組換えタンパク質生産系において生産されたタンパク質を宿主の外部に放出するための分泌シグナルを含んでいてもよい。分泌シグナルの配列は、宿主の種類に応じて適宜設定することができる。
改変フィブロインは、第1の改変フィブロイン、第2の改変フィブロイン、第3の改変フィブロイン、第4の改変フィブロイン、第5の改変フィブロイン、及び第6の改変フィブロインが有する特徴のうち、少なくとも2つ以上の特徴を併せ持つ改変フィブロインであってもよい。
クモ糸タンパク質は、親水性クモ糸タンパク質であってもよく、疎水性クモ糸タンパク質であってもよい。疎水性クモ糸タンパク質とは、クモ糸タンパク質を構成する全てのアミノ酸残基の疎水性指標(HI)の総和を求め、次にその総和を全アミノ酸残基数で除した値(平均HI)が-0.8超であるクモ糸タンパク質であり、平均HIが-0.6以上であるタンパク質であることがより好ましく、平均HIが-0.4以上であるタンパク質であることがより好ましく、平均HIが-0.2以上であるタンパク質であることがさらに好ましく、平均HIが0以上であるタンパク質であることが特に好ましい。
疎水性指標は表1に示したとおりである。また、親水性クモ糸タンパク質とは、上記の平均HIが-0.8以下であるクモ糸タンパク質である。本実施形態に係るタンパク質の平均疎水性指標は-0.8超であることが好ましい。
配列番号11、配列番号15、配列番号35、配列番号36、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41、配列番号45、配列番号47、配列番号48及び配列番号49で示されるアミノ酸配列のHIは、表4に示すとおりである。各アミノ酸配列のHIを算出するにあたり、構造タンパク質と無関係な配列(すなわち、配列番号12で示されるアミノ酸配列に相当する配列)を除いて算出した。
Figure 2022024198000004
疎水性クモ糸タンパク質としては、例えば、上述した第5の改変フィブロイン及び第6の改変フィブロインを挙げることができる。疎水性クモ糸タンパク質のより具体的な例としては、配列番号19、配列番号20又は配列番号21で示されるアミノ酸配列、配列番号27、配列番号28、配列番号29、配列番号30、配列番号31、配列番号32、配列番号33又は配列番号43で示されるアミノ酸配列、配列番号35、配列番号37、配列番号38、配列番号39、配列番号40、配列番号41又は配列番号44で示されるアミノ酸配列を含むクモ糸タンパク質が挙げられる。
親水性クモ糸タンパク質としては、例えば、上述した第1の改変フィブロイン、第2の改変フィブロイン、第3の改変フィブロイン及び第4の改変フィブロインを挙げることができる。親水性クモ糸タンパク質のより具体的な例としては、配列番号4で示されるアミノ酸配列、配列番号6、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列、配列番号13、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列、配列番号18、配列番号7、配列番号8又は配列番号9で示されるアミノ酸配列、配列番号17、配列番号11、配列番号14又は配列番号15で示されるアミノ酸配列を含むクモ糸タンパク質が挙げられる。
上述したクモ糸タンパク質は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
クモ糸タンパク質は、例えば、当該クモ糸タンパク質をコードする核酸配列と、当該核酸配列に作動可能に連結された1又は複数の調節配列とを有する発現ベクターで形質転換された宿主により、当該核酸を発現させることにより生産することができる。
クモ糸タンパク質をコードする核酸の製造方法は、特に制限されない。例えば、天然のクモ糸タンパク質をコードする遺伝子を利用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等で増幅しクローニングする方法、又は、化学的に合成する方法によって、当該核酸を製造することができる。核酸の化学的な合成方法も特に制限されず、例えば、NCBIのウェブデータベースなどより入手したクモ糸タンパク質のアミノ酸配列情報をもとに、AKTA oligopilot plus 10/100(GEヘルスケア・ジャパン株式会社)等で自動合成したオリゴヌクレオチドをPCR等で連結する方法によって遺伝子を化学的に合成することができる。この際に、クモ糸タンパク質の精製及び/又は確認を容易にするため、N末端に開始コドン及びHis10タグからなるアミノ酸配列を付加したアミノ酸配列からなるクモ糸タンパク質をコードする核酸を合成してもよい。
調節配列は、宿主における組換えタンパク質の発現を制御する配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、リボソーム結合配列、転写終結配列等)であり、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。プロモーターとして、宿主細胞中で機能し、目的とするクモ糸タンパク質を発現誘導可能な誘導性プロモーターを用いてもよい。誘導性プロモーターは、誘導物質(発現誘導剤)の存在、リプレッサー分子の非存在、又は温度、浸透圧若しくはpH値の上昇若しくは低下等の物理的要因により、転写を制御できるプロモーターである。
発現ベクターの種類は、プラスミドベクター、ウイルスベクター、コスミドベクター、フォスミドベクター、人工染色体ベクター等、宿主の種類に応じて適宜選択することができる。発現ベクターとしては、宿主細胞において自立複製が可能、又は宿主の染色体中への組込みが可能で、クモ糸タンパク質をコードする核酸を転写できる位置にプロモーターを含有しているものが好適に用いられる。
宿主として、原核生物、並びに酵母、糸状真菌、昆虫細胞、動物細胞及び植物細胞等の真核生物のいずれも好適に用いることができる。
細菌等の原核生物を宿主として用いる場合は、発現ベクターは、原核生物中で自立複製が可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、クモ糸タンパク質をコードする核酸、及び転写終結配列を含むベクターであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
原核生物としては、エシェリヒア属、ブレビバチルス属、セラチア属、バチルス属、ミクロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、コリネバクテリウム属及びシュードモナス属等に属する微生物を挙げることができる。エシェリヒア属に属する微生物として、例えば、エシェリヒア・コリ等を挙げることができる。ブレビバチルス属に属する微生物として、例えば、ブレビバチルス・アグリ等を挙げることができる。セラチア属に属する微生物として、例えば、セラチア・リクエファシエンス等を挙げることができる。バチルス属に属する微生物として、例えば、バチルス・サチラス等を挙げることができる。ミクロバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ミクロバクテリウム・アンモニアフィラム等を挙げることができる。ブレビバクテリウム属に属する微生物として、例えば、ブレビバクテリウム・ディバリカタム等を挙げることができる。コリネバクテリウム属に属する微生物として、例えば、コリネバクテリウム・アンモニアゲネス等を挙げることができる。シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物として、例えば、シュードモナス・プチダ等を挙げることができる。
原核生物を宿主とする場合、クモ糸タンパク質をコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、pBTrp2(ベーリンガーマンハイム社製)、pGEX(Pharmacia社製)、pUC18、pBluescriptII、pSupex、pET22b、pCold、pUB110、pNCO2(特開2002-238569号公報)等を挙げることができる。
真核生物の宿主としては、例えば、酵母及び糸状真菌(カビ等)を挙げることができる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス属、ピキア属、シゾサッカロマイセス属等に属する酵母を挙げることができる。糸状真菌としては、例えば、アスペルギルス属、ペニシリウム属、トリコデルマ(Trichoderma)属等に属する糸状真菌を挙げることができる。
真核生物を宿主とする場合、クモ糸タンパク質をコードする核酸を導入するベクターとしては、例えば、YEp13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)等を挙げることができる。上記宿主細胞への発現ベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができる。例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA,69,2110(1972)〕、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、プロトプラスト法、酢酸リチウム法、コンピテント法等を挙げることができる。
発現ベクターで形質転換された宿主による核酸の発現方法としては、直接発現のほか、モレキュラー・クローニング第2版に記載されている方法等に準じて、分泌生産、融合タンパク質発現等を行うことができる。
クモ糸タンパク質は、例えば、形質転換された宿主を培養培地中で培養し、培養培地中にクモ糸タンパク質を生成蓄積させ、該培養培地から採取することにより製造することができる。形質転換された宿主を培養培地中で培養する方法は、宿主の培養に通常用いられる方法に従って行うことができる。
宿主が、大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物である場合、培養培地として、該宿主が資化し得る炭素源、窒素源及び無機塩類等を含有し、該宿主の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。
炭素源としては、該宿主が資化し得るものであればよく、例えば、グルコース、フラクトース、スクロース、及びこれらを含有する糖蜜、デンプン及びデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸及びプロピオン酸等の有機酸、並びにエタノール及びプロパノール等のアルコール類を用いることができる。
窒素源としては、例えば、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム及びリン酸アンモニウム等の無機酸又は有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、並びにペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵菌体及びその消化物を用いることができる。
無機塩類としては、例えば、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅及び炭酸カルシウムを用いることができる。
大腸菌等の原核生物又は酵母等の真核生物の培養は、例えば、振盪培養又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で行うことができる。培養温度は、例えば、15~40℃である。培養時間は、通常16時間~7日間である。培養中の培養培地のpHは3.0~9.0に保持することが好ましい。培養培地のpHの調整は、無機酸、有機酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム及びアンモニア等を用いて行うことができる。
また、培養中必要に応じて、アンピシリン及びテトラサイクリン等の抗生物質を培養培地に添加してもよい。プロモーターとして誘導性のプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときには、必要に応じてインデューサーを培地に添加してもよい。例えば、lacプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド等を、trpプロモーターを用いた発現ベクターで形質転換した微生物を培養するときにはインドールアクリル酸等を培地に添加してもよい。
形質転換された宿主により生産されたクモ糸タンパク質は、タンパク質の単離精製に通常用いられている方法で単離及び精製することができる。例えば、クモ糸タンパク質が、細胞内に溶解状態で発現した場合には、培養終了後、宿主細胞を遠心分離により回収し、水系緩衝液にけん濁した後、超音波破砕機、フレンチプレス、マントンガウリンホモゲナイザー及びダイノミル等により宿主細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細胞抽出液を遠心分離することにより得られる上清から、タンパク質の単離精製に通常用いられている方法、すなわち、溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒による沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)-セファロース、DIAION HPA-75(三菱化成社製)等のレジンを用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharose FF(Pharmacia社製)等のレジンを用いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォーカシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の方法を単独又は組み合わせて使用し、精製標品を得ることができる。
上記クロマトグラフィーとしては、フェニル-トヨパール(東ソー)、DEAE-トヨパール(東ソー)、セファデックスG-150(ファルマシアバイオテク)を用いたカラムクロマトグラフィーが好ましく用いられる。
また、クモ糸タンパク質が細胞内に不溶体を形成して発現した場合は、同様に宿主細胞を回収後、破砕し、遠心分離を行うことにより、沈殿画分としてクモ糸タンパク質の不溶体を回収する。回収したクモ糸タンパク質の不溶体は蛋白質変性剤で可溶化することができる。該操作の後、上記と同様の単離精製法によりクモ糸タンパク質の精製標品を得ることができる。
クモ糸タンパク質が細胞外に分泌された場合には、培養上清からクモ糸タンパク質を回収することができる。すなわち、培養物を遠心分離等の手法により処理することにより培養上清を取得し、該培養上清から、上記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を得ることができる。
コラーゲン由来の構造タンパク質(コラーゲンタンパク質)として、例えば、式3:[REP3]で表されるドメイン配列を含む構造タンパク質(ここで、式3中、pは5~300の整数を示す。REP3は、Gly-X-Yから構成されるアミノ酸配列を示し、X及びYはGly以外の任意のアミノ酸残基を示す。複数存在するREP3は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号45で示されるアミノ酸配列を含む構造タンパク質を挙げることができる。配列番号45で示されるアミノ酸配列は、NCBIデータベースから入手したヒトのコラーゲンタイプ4の部分的な配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号:CAA56335.1、GI:3702452)のリピート部分及びモチーフに該当する301残基目から540残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号46で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
レシリン由来の構造タンパク質(レシリンタンパク質)として、例えば、式4:[REP4]で表されるドメイン配列を含む構造タンパク質(ここで、式4中、qは4~300の整数を示す。REP4はSer-J-J-Tyr-Gly-U-Proから構成されるアミノ酸配列を示す。Jは任意のアミノ酸残基を示し、特にAsp、Ser及びThrからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。Uは任意のアミノ酸残基を示し、特にPro、Ala、Thr及びSerからなる群から選ばれるアミノ酸残基であることが好ましい。複数存在するREP4は、互いに同一のアミノ酸配列でもよく、異なるアミノ酸配列でもよい。)を挙げることができる。具体的には、配列番号47で示されるアミノ酸配列を含む構造タンパク質を挙げることができる。配列番号47で示されるアミノ酸配列は、レシリン(NCBIのGenBankのアクセッション番号NP 611157、Gl:24654243)のアミノ酸配列において、87残基目のThrをSerに置換し、かつ95残基目のAsnをAspに置換した配列の19残基目から321残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号46で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
エラスチン由来の構造タンパク質(エラスチンタンパク質)として、例えば、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395(ヒト)、I47076(ヒツジ)、NP786966(ウシ)等のアミノ酸配列を有する構造タンパク質を挙げることができる。具体的には、配列番号48で示されるアミノ酸配列を含む構造タンパク質を挙げることができる。配列番号48で示されるアミノ酸配列は、NCBIのGenBankのアクセッション番号AAC98395のアミノ酸配列の121残基目から390残基目までのアミノ酸配列のN末端に配列番号46で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
ケラチン由来の構造タンパク質(ケラチンタンパク質)として、例えば、カプラ・ヒルクス(Capra hircus)のタイプIケラチン等を挙げることができる。具体的には、配列番号49で示されるアミノ酸配列(NCBIのGenBankのアクセッション番号ACY30466のアミノ酸配列)を含む構造タンパク質を挙げることができる。配列番号49で示されるアミノ酸配列は、NCBIのGenBankのアクセッション番号ACY30466のアミノ酸配列のN末端に、配列番号46で示されるアミノ酸配列(タグ配列及びヒンジ配列)が付加されたものである。
コラーゲンタンパク質、レシリンタンパク質、エラスチンタンパク質、及びケラチンタンパク質は、親水性タンパク質であってもよく、疎水性タンパク質であってもよい。疎水性タンパク質とは、上記タンパク質を構成する全てのアミノ酸残基の疎水性指標(HI)の総和を求め、次にその総和を全アミノ酸残基数で除した値(平均HI)が-0.8超であるタンパク質であり、平均HIが-0.6以上であるタンパク質であることがより好ましく、平均HIが-0.4以上であるタンパク質であることがより好ましく、平均HIが-0.2以上であるタンパク質であることがさらに好ましく、平均HIが0以上であるタンパク質であることが特に好ましい。疎水性指標は表1に示したとおりである。また、親水性タンパク質とは、上記の平均HIが-0.8以下であるタンパク質である。
疎水性コラーゲンタンパク質、疎水性レシリンタンパク質、疎水性エラスチンタンパク質、及び疎水性ケラチンタンパク質としては、例えば、上述した配列番号45、配列番号48又は配列番号49で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質が挙げられる。
親水性コラーゲンタンパク質、親水性レシリンタンパク質、親水性エラスチンタンパク質、及び親水性ケラチンタンパク質としては、例えば、上述した配列番号47で示されるアミノ酸配列を含むタンパク質が挙げられる。
また、構造タンパク質は、疎水性タンパク質及び極性溶媒中で自己凝集を起こしやすい傾向にあるポリペプチドを含み、構造タンパク質は疎水性タンパク質であることが好ましい。構造タンパク質又はそれに由来する構造タンパク質は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。構造タンパク質を2種以上組み合わせることで、全体としての疎水性度を所望の値に調節してもよい。疎水性度は、上述した方法により算出することができる。
(有機溶媒)
本実施形態に係る紡糸原液の有機溶媒は、人造タンパク質を溶解し得るものであればいずれも使用することができる。有機溶媒としては、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)、ヘキサフルオロアセトン(HFA)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン(DMI)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセトニトリル、N-メチルモルホリンN-オキシド(NMO)及びギ酸等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。例えば、有機溶媒は、ギ酸、DMSO及びHFIPからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、ギ酸、DMSO及びHFIPからなる群から選択される少なくとも1種であってよく、ギ酸であってもよい。これらの有機溶媒は、水を含んでいてもよい。
本実施形態に係る紡糸原液における人造タンパク質の含有量は、紡糸原液全量を100質量%としたとき、10~40質量%であることが好ましく、10~35質量%であることがより好ましく、12~35質量%であることがより好ましく、15~35質量%であることがより好ましく、15~30質量%であることがより好ましく、20~35質量%であることが更に好ましく、20~30質量%であることが特に好ましい。タンパク質の含有量が10質量%以上であると、凝固浴中で形成させた繊維が、凝固浴中で生じる随伴流の影響をより一層低減することができ、生産性が向上する。人造タンパク質の含有量が40質量%以下であると、紡糸口金から紡糸原液をより一層安定的に吐出させることができ、生産性が向上する。
(溶解促進剤)
本実施形態に係る紡糸原液は、溶解促進剤を更に含有するものであってよい。溶解促進剤を含むことにより、紡糸原液の調製が容易になる。
溶解促進剤は、以下に示すルイス酸とルイス塩基とからなる無機塩であってよい。ルイス塩基としては、例えば、ハロゲン化物イオン等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、アルカリ金属イオン、ハロゲン化物アルカリ土類金属イオン等の金属イオン等が挙げられる。無機塩としては、例えば、アルカリ金属ハロゲン化物、及びアルカリ土類金属ハロゲン化物等が挙げられる。アルカリ金属ハロゲン化物の具体例としては、塩化リチウム、臭化リチウム等が挙げられる。アルカリ土類ハロゲン化物の具体例としては、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等が挙げられる。溶解促進剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの無機塩は、ギ酸又はDMSOに対するタンパク質の溶解促進剤として用いられ得、塩化リチウム及び塩化カルシウムが特に好ましい。紡糸原液が溶解促進剤(上記の無機塩)を含有することにより、人造タンパク質が紡糸原液中に高い濃度で溶解可能となる。これにより、タンパク質繊維の生産効率がより一層向上し、かつタンパク質繊維の高品質化と応力等の物性の向上等が期待される。
溶解促進剤の含有量は、紡糸原液全量に対して、0.1質量%以上、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、又は15質量%以上であってよく、20質量%以下、16質量%以下、12質量%以下、又は9質量%以下であってよい。
(各種添加剤)
紡糸原液は、必要に応じて、各種の添加剤を更に含有していてよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、レベリング剤、架橋剤、結晶核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、フィラー、及び合成樹脂が挙げられる。添加剤の含有量は、紡糸原液中のタンパク質全量100質量部に対して、50質量部以下であってよい。
本実施形態に係る紡糸原液の粘度は、製造する繊維の用途や紡糸方法等に応じて適宜設定してよい。例えば、35℃において、500~20,000mPa・secであってよく、500~15,000mPa・secであってよく、1,000~15,000mPa・secであってよく、1,000~12,000mPa・secであってよく、1,500~12,000mPa・secであってよく、1,500~10,000mPa・secであってよく、1,500~8,000mPa・sec等であってよく、例えば、70℃において、1,000~6,000mPa・sec、1,500~5,000mPa・sec等であってよい。紡糸原液の粘度は、例えば京都電子工業社製の商品名“EMS粘度計”を使用して測定することができる。
紡糸原液は、溶解を促進するために、ある程度の時間撹拌又は振とうしてもよい。その際、紡糸原液は必要により、使用する人造タンパク質及び溶媒に応じて溶解可能な温度に加熱してもよい。ドープ液は、例えば、30℃以上、40℃以上、50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、又は、90℃以上に加熱してもよい。加熱温度の上限は、例えば、溶媒の沸点以下である。
<凝固液>
本実施形態に係る凝固液は、水又はPH0.25以上PH10.00以下の水溶液を含有する。これにより、爆発・火災等の危険性、製造コスト、及び環境負荷が低減されたタンパク質繊維の製造方法の提供が可能となる。水溶液は、塩水溶液、酸水溶液、又は塩水溶液と酸水溶液の混合溶液であってよく、塩水溶液又は塩水溶液と酸水溶液の混合溶液であってよく、塩水溶液であってよい。ここで、塩水溶液と酸水溶液の混合溶液は、塩水溶液と酸水溶液を混合した溶液に限定されず、塩水溶液に酸を混合した溶液、酸水溶液に塩を混合した溶液、及び水に塩と酸を溶解した溶液も含む。
(酸水溶液)
酸水溶液としては、カルボン酸等の水溶液が挙げられ、カルボン酸の具体例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、及びシュウ酸等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して水溶液として使用してもよい。例えば、酸水溶液は、クエン酸水溶液又はギ酸水溶液であってよい。
(塩水溶液)
塩水溶液としては、有機塩、又は無機塩の塩水溶液、並びに有機塩及び無機塩の混合水溶液等が挙げられる。
有機塩としては、例えば、カルボン酸塩等が挙げられ、カルボン酸塩の具体例としては、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、及びシュウ酸塩等が挙げられる。例えば、有機塩は、ギ酸塩、酢酸塩又はクエン酸塩であってよく、クエン酸塩であってよい。
ギ酸塩の具体例としては、例えば、ギ酸アンモニウム、ギ酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸リチウム、ギ酸マグネシウム、及びギ酸カルシウム等が挙げられる。
酢酸塩の具体例としては、例えば、酢酸アンモニウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸リチウム、酢酸マグネシウム、及び酢酸カルシウム等が挙げられる。
プロピオン酸塩の具体例としては、例えば、プロピオン酸アンモニウム、プロピオン酸カリウム、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸リチウム、プロピオン酸マグネシウム、及びプロピオン酸カルシウム等が挙げられる。
クエン酸塩の具体例としては、クエン酸アンモニウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸リチウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸カルシウム等が挙げられる。例えば、クエン酸塩は、クエン酸アンモニウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、クエン酸アンモニウム、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、クエン酸カリウム及びクエン酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、クエン酸ナトリウムであってよい。
シュウ酸塩の具体例としては、シュウ酸アンモニウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸リチウム、シュウ酸マグネシウム、及びシュウ酸カルシウム等が挙げられる。カルボン酸塩としては、カルボン酸ナトリウムがより好ましく、カルボン酸ナトリウムの具体例としては、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びシュウ酸ナトリウム等が挙げられる。
無機塩の具体例としては、正塩、酸性塩、及び塩基性塩が挙げられる。
正塩の具体例としては、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、ヨウ化物塩、チオシアン酸塩、及び炭酸塩等が挙げられる。
硫酸塩の具体例としては、例えば、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、及び硫酸カルシウム等が挙げられる。例えば、硫酸塩は、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、硫酸アンモニウム及び硫酸ナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、硫酸ナトリウムであってよい。
塩化物の具体例としては、例えば、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウム、塩化グアニジウム等が挙げられる。例えば、塩化物は、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム及び塩化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、塩化ナトリウム及び塩化カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むものであってよく、塩化ナトリウムであってよい。
硝酸塩の具体例としては、例えば、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、硝酸リチウム、硝酸マグネシウム、及び硝酸カルシウム等が挙げられる。
ヨウ化物塩の具体例としては、例えば、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化マグネシウム、及びヨウ化カルシウム等が挙げられる。
チオシアン酸塩の具体例としては、例えば、チオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸リチウム、チオシアン酸マグネシウム、及びチオシアン酸カルシウム、チオシアン酸グアニジン等が挙げられる。
炭酸塩の具体例としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。
酸性塩の具体例としては、硫酸水素塩、リン酸水素塩、及び炭酸水素塩等が挙げられる。
硫酸水素塩の具体例としては、例えば、硫酸水素アンモニウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素リチウム、硫酸水素マグネシウム、硫酸水素カルシウム等が挙げられる。
リン酸水素塩の具体例としては、例えば、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸水素二マグネシウム、リン酸二水素カルシウム、及びリン酸水素二カルシウム等が挙げられる。
炭酸水素塩の具体例としては、例えば、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素マグネシウム、及び炭酸水素カルシウム等が挙げられる。
塩基性塩の具体例としては、塩化水酸化カルシウム、塩化水酸化マグネシウム等が挙げられる。
上記の酸、酸水溶液、塩、及び塩水溶液は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
2種以上の塩又は塩水溶液を混合した塩混合水溶液としては、例えば、上記有機塩の混合水溶液、上記無機塩の混合水溶液、上記有機塩及び無機塩の混合水溶液等が挙げられ、製造コスト低減の観点から汽水及び海水が特に好ましい。汽水及び海水は、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、及び硫酸カルシウムを主として含むことで知られている。
凝固液は、塩水溶液を含有することが好ましく、塩水溶液であることがより好ましい。塩を含むことで脱溶媒速度をより向上させることができる。塩は、カルボン酸塩、硫酸塩、及び塩化物からなる群の少なくとも1種を含むことがより好ましく、硫酸塩、及び塩化物からなる群の少なくとも1種を含むことが更に好ましい。これらの塩を含むことで、繊維形成能をより向上させることができ、得られる繊維の形状をよりコントロールし得る。
カルボン酸塩としては、カルボン酸ナトリウムがより好ましく、硫酸塩としては、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び硫酸カルシウムがより好ましく、塩化物としては、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、及び塩化カルシウムがより好ましく、混合水溶液としては、汽水及び海水が特に好ましい。これらの塩及び混合水溶液を使用することで、繊維形成能の向上効果に加えて、製造コストを更に低減することができる。
塩の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.5質量%以上、0.7質量%以上、1質量%以上、1.3質量%以上、1.5質量%以上、1.7質量%以上、2質量%以上、2.3質量%以上、2.5質量%以上、2.7質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、5質量%以上、7質量%以上、10質量%以上、15質量%以上、又は20質量%以上であってよく、上限値としては、30質量%以下、25質量%以下、又は溶解度以下の含有量であってよい。塩の含有量は、凝固液全量に対して、例えば、0.1質量%以上30質量%以下、又は0.3質量%以上25質量%以下であってよい。塩の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、0.05mol/L以上であることが好ましく、0.05mol/L以上5.5mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上5.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上4.5mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上4.0mol/L以下であってよい。
塩化ナトリウムを用いる場合の塩の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、0.1mol/L以上5.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上4.5mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上4.0mol/L以下であってよい。
塩化カリウムを用いる場合を用いる場合の塩の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、0.1mol/L以上3.9mol/L以下であってよい。
塩化カルシウムを用いる場合を用いる場合の塩の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、0.1mol/L以上14.3mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上13.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上12.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上11.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上10.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上9.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上8.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上7.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上6.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上5.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上4.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上3.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上2.0mol/L以下であってよい。
硫酸ナトリウムを用いる場合を用いる場合の塩の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、0.1mol/L以上3.4mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上3.0mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上2.5mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上2.0mol/L以下であってよい。
クエン酸ナトリウムを用いる場合を用いる場合の塩の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、0.1mol/L以上1.6mol/L以下であってよく、0.1mol/L以上1.3mol/L以下であってよい。
本実施形態の凝固液に含有される水溶液は、例えば、カルボン酸水溶液、炭酸水素塩水溶液、ギ酸塩水溶液、酢酸塩水溶液、塩化物水溶液、硫酸塩水溶液、リン酸水素塩水溶液、クエン酸塩水溶液、汽水、海水及びこれらの混合溶液からなる群から選択されてよい。また、本実施形態の凝固液に含有される水溶液は、例えば、クエン酸水溶液、ギ酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、ギ酸ナトリウム水溶液、酢酸ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液、リン酸水素カリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、クエン酸ナトリウム水溶液、汽水、海水及びこれらの混合溶液からなる群から選択されてよい。また、本実施形態の凝固液に含有される水溶液は、例えば、塩化カリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カルシウム水溶液、塩化マグネシウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液、クエン酸ナトリウム水溶液、及びこれらの混合溶液からなる群から選択されてよい。
紡糸原液を接触させる前の凝固液には有機溶媒が含まれてもよく、含まれなくてもよい。また、紡糸原液を接触させる前の凝固液に有機溶媒が含まれない場合であっても、紡糸原液を凝固液に接触させる過程において、接触した紡糸原液から凝固液に有機溶媒が溶解する場合がある。凝固液に含まれる有機溶媒(凝固液に接触した紡糸原液から凝固液に溶解した場合も含む)の含有量は、凝固液の全質量(有機溶媒が紡糸原液から凝固液に溶解した場合には、紡糸原液を接触させる前の凝固液と紡糸原液から凝固液に溶解した有機溶媒の合計含有量)を100質量%として、0質量%以上40質量%以下、0質量%以上30質量%以下、5質量%以上30質量%以下、5質量%以上25質量%以下、0質量%以上20質量%以下、5質量%以上20質量%以下、5質量%以上15質量%以下、10質量%以上40質量%以下、15質量%以上40質量%以下、20質量%以上40質量%以下、10質量%以上30質量%以下、10質量%以上20質量%以下、0質量%以上10質量%以下、0質量%以上5質量%以下、0質量%以上2質量%以下であるのが好ましい。であるのが好ましい。有機溶媒の含有量が、上述の範囲内である場合、本願発明の効果がより顕著に奏される。上記凝固液に含まれる有機溶媒の含有量は、凝固液の全質量を100質量%として、10質量%以上40質量%以下であってもよく、15質量%以上40質量%以下であってもよく、20質量%以上40質量%以下であってもよい。
凝固液が含有する水溶液のpHは、例えば、0.25~10.00であってよく、0.25~9.50であってよい。
凝固液における酸水溶液のpHは、例えば、0.25~7.00未満であってよく、0.50~7.00未満であってよく、1.00~7.00未満であってよく、1.50~7.00未満であってよく、2.00~7.00未満であってよく、3.00~7.00未満であってよい。
凝固液における塩水溶液のpHは、例えば、0.50~10.00であってよく、1.00~10.00であってよく、2.00~10.00であってよく、3.00~10.00であってよく、3.50~10.00であってよく、4.00~10.00であってよく、4.50~10.00であってよく、5.00~10.00であってよく、5.50~10.00であってよく、6.00~10.00であってよく、6.50~10.00であってよく、6.50~9.50であってよい。
凝固液における上記水又は水溶液の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。上記水又は水溶液の含有量が上述の範囲内である場合、より一層タンパク質の繊維形成能が向上する。凝固液における上記水又は水溶液の含有量は、例えば、凝固液全量に対して、70質量%以上100質量%以下であってよく、80質量%以上100質量%以下であってよく、95質量%以上100質量%以下であってよい。
凝固液の温度は、室温であってよく、例えば、0℃~90℃であってよく、0℃~80℃であってよく、5℃~80℃であってよく、10℃~80℃であってよく、15℃~80℃であってよく、20℃~80℃であってよく、25℃~80℃であってよく、30℃~80℃であってよく、40℃~80℃であってよく、50℃~80℃であってよく、60℃~80℃であってよく、70℃~80℃であってよく、20℃~70℃であってよく、30℃~70℃であってよく、40℃~70℃であってよく、50℃~70℃であってよく、20℃~60℃であってよく、30℃~60℃であってよく、40℃~60℃であってよく、20℃~50℃であってよく、25℃~50℃であってよく、30℃~50℃であってよく、20℃~40℃であってよく、30℃~40℃であってよく、40℃~50℃であってよく、50℃~60℃であってよい。凝固液の温度の下限値は、紡糸原液に含有される有機溶媒の融点以上であればよく、凝固液の温度の上限値は、紡糸原液に含有される有機溶媒の沸点以下であればよい。凝固液の温度をより高くすることで、紡糸原液の脱溶媒速度をより速くすることができる。
凝固液は、紡糸原液に添加し得る上述の溶解促進剤を更に含んでいてよい。
<紡糸工程>
本実施形態に係るタンパク質繊維の製造方法は、公知の湿式紡糸法及び乾湿式紡糸法によって製造することができる。すなわち、紡糸工程では、上述した紡糸原液を上述した凝固液に接触させ、人造タンパク質を凝固させる。紡糸工程を含め、本実施形態の異形断面タンパク質繊維の製造方法は、例えば、図4に示す紡糸装置を使用して実施することができる。
図4は、異形断面タンパク質繊維を製造するための紡糸装置の一例を概略的に示す説明図である。図4に示す紡糸装置10は、湿式紡糸用の紡糸装置の一例であり、押出し装置1と、凝固浴槽20と、洗浄浴槽(延伸浴槽)21と、乾燥装置4とを上流側から順に有している。
押出し装置1は貯槽7を有しており、ここに紡糸原液(ドープ液)6が貯留される。凝固浴槽20に凝固液11が貯留される。紡糸原液6は、貯槽7の下端部に取り付けられたギアポンプ8により、凝固液11中に設けられた紡糸口金(ノズル)9から押し出される。押し出された紡糸原液6は、凝固浴槽20の凝固液11内に供給(導入)される。凝固液11内で紡糸原液から溶媒が除去されてクモ糸タンパク質が凝固する。凝固したクモ糸タンパク質は、洗浄浴槽21に導かれ、洗浄浴槽21内の洗浄液12により洗浄された後、洗浄浴槽21内に設置された第一ニップローラ13と第二ニップローラ14により、乾燥装置4へと送られる。このとき、例えば、第二ニップローラ14の回転速度を第一ニップローラ13の回転速度よりも速く設定すると、回転速度比に応じた倍率で延伸されたタンパク質繊維36が得られる。洗浄液12中で延伸されたタンパク質繊維は、洗浄浴槽21内を離脱してから、乾燥装置4内を通過する際に乾燥され、その後、ワインダーにて巻き取られる。このようにして、異形断面タンパク質繊維が、紡糸装置10により、最終的にワインダーに巻き取られた巻回物5として得られる。なお、18a~18gは糸ガイドである。
凝固液11の温度は、特に限定されないが、40℃以下、30℃以下、25℃以下、20℃以下、10℃以下、又は5℃以下であってよい。作業性、冷却コスト等の観点から、0℃以上であることが好ましい。なお、凝固液11の温度は、例えば、熱交換器を内部に備える凝固浴槽20と、冷却循環装置と、を有する紡糸装置10を用いることにより調整することができる。例えば、凝固浴槽内に設置した熱交換器に冷却循環装置で所定の温度まで冷却した媒体を流すことにより、凝固液11と熱交換器間での熱交換により温度を上記範囲内に調整することができる。この場合、媒体として凝固液11に用いる溶媒を循環することでより効率的な冷却が可能となる。
凝固液が貯留される凝固浴槽は複数設けられていてもよい。
凝固した人造タンパク質は、凝固浴槽又は洗浄浴槽を離脱してから、そのままワインダーにて巻き取られてもよいし、乾燥装置を通過し、乾燥され、その後、ワインダーにて巻き取られてもよい。
凝固した人造タンパク質が凝固液中を通過する距離は、脱溶媒が効率的に行えればよく、ノズルからの紡糸原液の吐出速度(押出速度)等に応じて決定されるものであってよい。凝固した人造タンパク質(又は紡糸原液)の凝固液中での滞留時間は、凝固した人造タンパク質が凝固液中を通過する距離、ノズルからの紡糸原液の押出速度等に応じて決定されるものであってよい。
<延伸工程>
本実施形態の異形断面タンパク質繊維の製造方法は、凝固させた人造タンパク質を延伸する工程(延伸工程)を更に含むものであってよい。延伸方法としては、湿熱延伸、乾熱延伸等をあげることができる。延伸工程は、例えば、凝固浴槽20内で実施してもよく、洗浄浴槽21内で実施してもよい。延伸工程はまた、空気中で実施することもできる。
洗浄浴槽21内で実施される延伸は、温水中、温水に有機溶剤等を加えた溶液中等で行う、いわゆる湿熱延伸であってもよい。湿熱延伸の温度は50~90℃であることが好ましい。該温度が50℃以上であると、糸の細孔径を安定的に小さくすることができる。また、温度が90℃以下であると、温度設定が容易であり紡糸安定性が向上する。温度は75~85℃がより好ましい。
湿熱延伸は、温水中、温水に有機溶剤等を加えた溶液中、又はスチーム加熱中で行うことができる。温度としては、例えば、40~200℃であってよく、50~180℃であってよく、50~150℃であってよく、75~90℃であってよい。湿熱延伸における延伸倍率は、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、例えば、1~30倍であってよく、2~25倍であってよく、2~20倍であってよく、2~15倍であってよく、2~10倍であってよく、2~8倍であってよく、2~6倍であってよく、2~4倍であってよい。ただし、延伸倍率は、所望する繊維の太さ、機械物性などの特性が得られる範囲であれば限定されるものではない。
乾熱延伸は、接触型の熱板、及び非接触型の炉などの装置を用いて行うことができるが、特に限定されるものではなく、繊維を所定の温度まで昇温させ、かつ所定の倍率で延伸が可能な装置であればよい。温度としては、例えば、100℃~270℃であってよく、140℃~230℃であってよく、140℃~200℃であってよく、160℃~200℃であってよく、160℃~180℃であってよい。
乾熱延伸工程における延伸倍率は、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、例えば、1~30倍であってよく、2~30倍であってよく、2~20倍であってよく、3~15倍であってよく、3~10倍であることが好ましく、3~8倍であることがより好ましく、4~8倍であることが更に好ましい。ただし、延伸倍率は、所望する繊維の太さ、機械物性などの特性が得られる範囲であれば限定されるものではない。
延伸工程は、湿熱延伸及び乾熱延伸を、それぞれ単独で行うものであってもよく、またこれらを多段で、又は組み合わせて行うものであってもよい。すなわち、延伸工程として、一段目延伸を湿熱延伸で行い、二段目延伸を乾熱延伸で行う、又は一段目延伸を湿熱延伸行い、二段目延伸を湿熱延伸行い、更に三段目延伸を乾熱延伸で行う等、湿熱延伸及び乾熱延伸を適宜組み合わせて行うことができる。
延伸工程を経た異形断面タンパク質繊維の最終的な延伸倍率の下限値は、未延伸糸(又は前延伸糸)に対して、好ましくは、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、又は9倍のうちの何れかであってよい。延伸工程を経た改変フィブロイン繊維の最終的な延伸倍率の上限値は、好ましくは40倍、30倍、20倍、15倍、14倍、13倍、12倍、11倍、又は10倍のうちの何れかであってよい。また、例えば、最終的な延伸倍率は3~40倍であてよく、3~30倍であってよく、5~30倍であってよく、5~20倍であってよく、5~15倍であってよく、5~13倍であってよい。ただし、延伸倍率は、所望する繊維の太さ、機械物性などの特性が得られる範囲であれば限定されるものではない。
紡糸工程において、紡糸口金の口金形状、ホール形状、ホール数などは特に限定されるものではなく、所望の繊維径及び単糸本数等に応じて適宜選択できる。
乾燥の前又は後に、必要に応じて、未延伸糸(若しくは前延伸糸)又は延伸糸に対して、帯電抑制性、収束性及び潤滑性等を付与する目的で油剤を付与してもよい。付与する油剤の種類及び付与する量等は、特に限定されるものではなく、繊維を使用する用途、繊維の取扱い性等を考慮し適宜調整することができる。
紡糸口金のホール形状が円形(丸孔)である場合は、孔径として0.03mm以上0.6mm以下を例示できる。孔径が0.03mm以上であると、圧力損失を低減することができ設備費用を抑えることができる。孔径が0.6mm以下であると、繊維径を細くするための延伸操作の必要性を低減することができ、吐出から巻き取りまでの間で延伸切れを起こす可能性を低減することができる。より小さい孔径を用いると、断面形状がより円形に近づいた異形断面タンパク質繊維を得やすくなる。
紡糸口金を通過する際の紡糸原液の温度、及び紡糸口金の温度は、特に限定されるものではなく、用いる紡糸原液の濃度及び粘度、有機溶媒の種類等により適宜調整すればよい。当該温度は、タンパク質の劣化等を防止するという観点から、30℃~100℃が好ましい。また、当該温度は、溶媒の揮発による圧力上昇、紡糸原液の固形化による配管内の閉塞が発生する可能性を低減するという観点から、用いる溶媒の沸点に満たない温度を上限とすることが好ましい。これにより工程安定性が向上する。
本実施形態に係る製造方法は、紡糸原液の吐出前に紡糸原液を濾過する工程(濾過工程)、及び/又は吐出前に紡糸原液を脱泡する工程(脱泡工程)を更に備えるものであってもよい。
〔異形断面タンパク質繊維〕
本実施形態に係る異形断面タンパク質繊維は、繊維軸方向に伸びる凹部を有する、非円状の異形断面を有する繊維である。繊維軸方向に伸びる凹部の数は、繊維を使用する用途に応じて適宜調整すればよく、1つ以上であってよく、2つ以上であってよく、3つ以上であってよく、4つ以上であってよく、5つ以上であってよく、6つ以上であってよく、7つ以上であってよい。凹部の数の上限は特に制限されないが、例えば、12以下であってよく、11以下であってよく、10以下であってよい。
繊維軸方向に伸びる凹部は、繊維軸方向(長手方向)に対して平行、又は実質的に平行である。実質的に平行であるとは、繊維軸方向を画定する線と、繊維軸方向に伸びる凹部を画定する線との間の角度にずれがあることを意味し、角度のずれは、25°未満であってよく、20°未満であってよく、15°未満であってよく、10°未満であってよく、5°未満であってよい。
繊維軸方向に伸びる凹部の深さ、又は凹部の幅は、特に限定されず、繊維を使用する用途に応じて適宜調整すればよい。
異形断面の形状は、繊維を使用する用途に応じて適宜選択すればよく、扁平形であってよく、繭形であってよく、雲形であってよく、長円形であってよく、ドッグボーン形であってよく、C字形であってよく、L字形であってよく、U字形であってよく、V字形であってよく、Y字形であってよく、W字形であってよく、卵形であってよく、三角形であってよく、十字形であってよく、多葉形であってよく、扁平多葉形等であってよい。多葉形の具体例としては、双葉形、三葉形、四葉形、五葉形、六葉形、七葉形、八葉形、菊形等が挙げられる。
繊維を異形断面とすることで、繊維の表面積が大きくなり、繊維間に大小様々な空隙を有することが可能になり、優れた保温性、及びソフト性を得ることができる。さらに、染色剤を鮮明に発色することも期待される。
本実施形態に係る異形断面タンパク質繊維の形成メカニズムは、紡糸口金から吐出されたドープ液が水又はPH0.25以上PH10.00以下の水溶液を含む凝固液に接触して繊維形成される際、まず繊維表面に表面層(スキン層)が形成され、固化点が表面層(スキン層)に集中的に形成される。その後、硬い表面層(スキン層)を維持しながら繊維内部から脱溶媒し、表面層(スキン層)のタンパク質の密度より中央部のタンパク質の密度が小さくなることで表面層(スキン層)が陥没し、非円状の異形断面を有する繊維が得られるものと考えられる。したがって、タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させて脱溶媒する際に、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させることで、所望の形状の異形断面タンパク質繊維を得ることができる。繊維軸に対する垂直方向は、繊維の長手方向に対して直角に交差する方向と表すこともできる。繊維の周に沿った方向は、繊維の長手方向に対して直角に交差する面の周に沿った方向と表すこともできる。したがって、本実施形態に係る異形断面タンパク質の製造方法は、タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させて脱溶媒する際に、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させることを含むことが好ましく、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向に変化させることがより好ましい。丸孔(円状)の紡糸口金を用いて異形断面タンパク質繊維を形成させることも可能である。
脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させる方法は、例えば、紡糸原液、凝固液(凝固溶媒)、紡糸工程及び延伸工程等における各種条件を適宜調節することにより行うことができる。繊維の表面層(スキン層)の厚みや密度は、紡糸原液における人造タンパク質の含有量(ドープ濃度)及び凝固液の種類等を制御することにより調節することができる。その他の条件としては、紡糸口金の口径、凝固溶媒(凝固浴)の温度、凝固溶媒の溶質濃度、及び延伸工程における延伸倍率等が挙げられ、これらの条件のうち、少なくとも1つを制御することにより調節することができ、所望の異形断面タンパク質繊維を得ることができる。
人造タンパク質の含有量に関しては上述のとおりである。ドープ濃度を調節することで、ドープ液の表面張力及び粘性抵抗を調節することができる。
紡糸口金の口径に関しては上述のとおりである。紡糸口金の口径を調節することで、ドープ液と凝固溶媒との接触表面積を調節することができ、脱溶媒速度と凝固速度を調節することができる。例えば、紡糸口金の口径をより小さくすると、孔あたりのドープ液の吐出量を小さくでき、異形度が小さくなり、断面形状がより円形に近づく。
凝固液の種類に関しては上述のとおりである。凝固溶媒の凝固力は、凝固溶媒の種類による、固有の値である。凝固溶媒の種類を調節することで、凝固力を調節することができる。
凝固液の温度に関しては上述のとおりである。凝固浴温度を調節することで、ドープ液が凝固溶媒と接触する際、ドープ液から溶解用溶媒が凝固溶媒中に脱溶媒する速度(脱溶媒速度)を調節することができる。例えば、凝固浴温度をより高くすると、分子の熱運動が大きくなり、脱溶媒速度が大きくなる。
凝固液の溶質濃度(モル濃度)に関しては上述のとおりである。凝固溶媒のモル濃度を調節することで、凝固溶媒の凝固力を調節することができる。例えば、凝固溶媒の凝固力が大きくなる程、繊維の表面層(スキン層)の形成が促進されてより強固なスキン層が形成される傾向を有する。
延伸倍率に関しては上述のとおりである。延伸倍率を高くすると、繊維が繊維軸方向により延伸されて繊維径がより細くなり、繊維の密度が大きくなるとともに、断面形状が相似的に縮小されてより円形に近づく。
したがって、本実施形態に係る異形断面タンパク質の製造方法は、例えば、人造タンパク質の含有量及び凝固液の種類からなる群から選択される少なくとも1つを調節することを含んでもよく、人造タンパク質の含有量、凝固液の種類、紡糸口金の口径、凝固液の温度、凝固液の溶質濃度及び延伸工程における延伸倍率からなる群から選択される少なくとも1つを調節することを含んでもよい。また、例えば、人造タンパク質の含有量及び凝固液の種類からなる群から選択される少なくとも1つを調節した後に、紡糸口金の口径、凝固液の温度、凝固液の溶質濃度及び延伸工程における延伸倍率からなる群から選択される少なくとも1つを調節することを含んでもよい。調節とは、所望の形状の異形断面タンパク質が得られる条件にすることを意味し、各種条件については上述のとおりである。
[異形断面タンパク質繊維の形状コントロール方法]
本実施形態の異形断面タンパク質繊維の形状コントロール方法は、タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を凝固液に接触させ、上記タンパク質を凝固させてタンパク質繊維を製造するに際し、上記紡糸原液全量を基準として10質量%超の上記タンパク質を含む紡糸原液と、水又はPH0.25以上PH10.00以下の水溶液を含有する凝固液と、を用いるとともに、タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させて脱溶媒する際に、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させることを含む。
タンパク質、紡糸原液、凝固液、及び脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させること等については、上述のとおりである。
〔製品〕
本実施形態に係るタンパク質繊維は、繊維(長繊維、短繊維、モノフィラメント、又はマルチフィラメント等)又は糸(紡績糸、撚糸、仮撚糸、加工糸、混繊糸、又は混紡糸等)として、織物、編物、組み物、若しくは不織布等の布帛、紙及び綿等に応用できる。また、ロープ、手術用縫合糸、止血剤、電気部品用の可撓性止め具、さらには移植用生理活性材料(例えば、人工靭帯及び大動脈バンド)等の高強度用途にも応用できる。これらは、公知の方法により製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔人造タンパク質の製造〕
(1)発現ベクターの作製
ネフィラ・クラビペス(Nephila clavipes)由来のフィブロイン(GenBankアクセッション番号:P46804.1、GI:1174415)の塩基配列及びアミノ酸配列に基づき、配列番号44を有する人造タンパク質(以下、「PRT966」ともいう。)を設計した。なお、配列番号44で示されるアミノ酸配列は、疎水度の向上を目的として、配列番号9で示されるアミノ酸配列(C末端に配列番号42で示されるアミノ酸配列が付加される前のアミノ酸配列)中のQQを全てVFに置換し、かつ残りのQをIに置換したアミノ酸配列を有し、さらにN末端に配列番号12で示されるアミノ酸配列が付加されている。
次に、設計した配列番号44でアミノ酸配列を有する人造タンパク質(改変フィブロイン)PRT966をコードする核酸を合成した。当該核酸には、5’末端にNdeIサイト及び終止コドン下流にEcoRIサイトを付加した。当該核酸をクローニングベクター(pUC118)にクローニングした。その後、同核酸をNdeI及びEcoRIで制限酵素処理して切り出した後、それぞれタンパク質発現ベクターpET-22b(+)に組換えて発現ベクターを得た。
(2)人造タンパク質の発現
(1)で得られた発現ベクターで、大腸菌BLR(DE3)を形質転換した。当該形質転換大腸菌を、アンピシリンを含む2mLのLB培地で15時間培養した。当該培養液を、アンピシリンを含む100mLのシード培養用培地(表5)にOD600が0.005となるように添加した。培養液温度を30℃に保ち、OD600が5になるまでフラスコ培養を行い(約15時間)、シード培養液を得た。
Figure 2022024198000005
当該シード培養液を500mLの生産培地(表6)を添加したジャーファーメンターにOD600が0.05となるように添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにした。
Figure 2022024198000006
生産培地中のグルコースが完全に消費された直後に、フィード液(グルコース455g/1L、Yeast Extract 120g/1L)を1mL/分の速度で添加した。培養液温度を37℃に保ち、pH6.9で一定に制御して培養した。また培養液中の溶存酸素濃度を、溶存酸素飽和濃度の20%に維持するようにし、20時間培養を行った。その後、1Mのイソプロピル-β-チオガラクトピラノシド(IPTG)を培養液に対して終濃度1mMになるよう添加し、改変フィブロインを発現誘導させた。IPTG添加後20時間経過した時点で、培養液を遠心分離し、菌体を回収した。IPTG添加前とIPTG添加後の培養液から調製した菌体を用いてSDS-PAGEを行い、IPTG添加に依存した目的とする改変フィブロインサイズのバンドの出現により、目的とする人造タンパク質の発現を確認した。
(3)人造タンパク質の精製
IPTGを添加してから2時間後に回収した菌体を20mM Tris-HCl buffer(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の菌体を約1mMのPMSFを含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁させ、高圧ホモジナイザー(GEA Niro Soavi社製)で細胞を破砕した。破砕した細胞を遠心分離し、沈殿物を得た。得られた沈殿物を、高純度になるまで20mM Tris-HCl緩衝液(pH7.4)で洗浄した。洗浄後の沈殿物を100mg/mLの濃度になるように8M グアニジン緩衝液(8M グアニジン塩酸塩、10mM リン酸二水素ナトリウム、20mM NaCl、1mM Tris-HCl、pH7.0)で懸濁し、60℃で30分間、スターラーで撹拌し、溶解させた。溶解後、透析チューブ(三光純薬株式会社製のセルロースチューブ36/32)を用いて水で透析を行った。透析後に得られた白色の凝集タンパク質を遠心分離により回収し、凍結乾燥機で水分を除き、凍結乾燥粉末を回収することにより、改変フィブロイン(PRT966)を得た。
〔凝固力の評価〕
(1)希薄ドープ液の調製
上記人造タンパク質の製造工程で得られた改変フィブロイン(PRT966)5gと、溶解用溶媒としてのギ酸(株式会社朝日化学社製、純度98%)122gとを混合し、攪拌しながら70℃のアルミブロックヒーターで1時間加温して溶解させ、濃度4質量%の希薄ドープ液を調製した。
(2)凝固液の調製
塩化物として塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、及び塩化マグネシウムを、硫酸塩として硫酸ナトリウム及び硫酸アンモニウムを、カルボン酸塩としてクエン酸ナトリウムを用いて、それぞれ水溶液を調製した。調製した各水溶液(凝固液)のモル濃度は表7に示すとおりであった。
(3)滴下試験
(1)で得られた希薄ドープ液5gをバイアル瓶に封入し、マグネチックスターラーを用いて攪拌させながら、これに水(凝固液)又は(2)で調製した凝固液を白濁が生じるまで滴下した。白濁を生じさせるのに要した凝固液の滴下量[ml]の逆数をとり、これに100を乗じた値[10/ml]を凝固力と定義し(下記式)、各凝固液の凝固力の評価を行った。
算出した各凝固液の凝固力の値、及び白濁が生じた際の溶液(希薄ドープ液と各凝固液の混合溶液)の液性を表7に示した。なお、算出した値が大きいものほど、凝固液の凝固力が大きいことを示す。
(式)凝固力[10/ml]
=1/希薄ドープ液に白濁を生じさせるのに要した凝固液の滴下量[ml]*100
Figure 2022024198000007
表7(試験例1~25)に示される通り、水(試験例1)と塩水溶液(試験例2~25)を比較すると、塩を添加することで凝固力が向上する傾向が見られた。
塩化ナトリウム水溶液(試験例2~6)に関しては、0.5mol/Lのモル濃度において、最も高い凝固力を示した。
また、塩化カリウム水溶液(試験例7~11)、硫酸ナトリウム水溶液(試験例16~19)、硫酸アンモニウム(試験例20及び21)及びクエン酸ナトリウム(試験例22~25)に関しては、モル濃度が高くなるにつれて、凝固力が高くなる傾向が見られた。各塩の凝固力の大きさは、Hofmeister系列に従う傾向が見られた。
〔異形断面タンパク質繊維の製造及び評価〕
(1)ドープ液の調製
改変フィブロイン(PRT966)26質量%と、ギ酸74質量%とを混合し、攪拌しながら70℃のアルミブロックヒーターで1時間加温して溶解させた。目開き1μmの金属フィルターで濾過し、脱泡してドープ液を調製した。
(2)湿式紡糸
調製したドープ液をリザーブタンクに充填した。紡糸装置を使用して、ドープ液を0.2mm径の丸孔(円状)のモノホールノズルからギアポンプを用いて凝固浴槽中で吐出させて凝固させ、原糸を形成させた。次いで、凝固させた原糸を水洗浄浴中で延伸した。水洗浄浴中における洗浄及び延伸後、乾熱板を用いて乾燥させ、得られた異形断面タンパク質繊維(人造タンパク質繊維)を、ワインダーを用いて巻き取った。湿式紡糸の条件は以下のとおりであった。使用した凝固液の条件は図5~図11に示すとおりであった。
湿式紡糸の条件
押出しノズル直径:0.2mm
凝固液の温度:10℃、室温又は60℃
水洗浄浴における延伸倍率:3.5~7.9倍
水洗浄浴の温度:60℃
乾燥温度:60℃
(3)異形断面タンパク質繊維の形状評価
上記(2)で得られた繊維の断面形状を、光学顕微鏡を用いて観察した。観察した光学顕微鏡画像を図5~図11(試験例26~55)に示した。表8に試験例1~55の凝固液のpHを示す。なお、図5~11の画像は全て同倍率で観察したものであり、延伸倍率は水洗浄浴における延伸倍率である。延伸倍率を高くすると、繊維径が小さくなる傾向が見られた。
Figure 2022024198000008
また、上記(2)で得られた繊維の表面(側面)を、SEM(Phenome ProX Desktop SEM、Thermo Fisher Scientific社製)を用い、2,000倍の倍率で観察した。観察したSEM画像を図12に示した。
さらに、上記(2)で得られた繊維の外観を写真にて撮影した。写真を図13、14及び15に示した。
図5は凝固溶媒として水(試験例26~31)を用いて得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。凝固溶媒の温度は25℃(室温)又は60℃とし、水洗浄浴における延伸倍率は3.5倍又は6.0倍とした。いずれの条件においても、異形断面タンパク質繊維が得られたが、光学顕微鏡画像ではスキン層は確認できなかった。光学顕微鏡では確認できない薄さのスキン層が形成されていたと考えられる。
図6は凝固溶媒として0.5mol/Lの塩化ナトリウム水溶液(試験例32~38)を用いて得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。凝固浴温度及び延伸倍率の繊維形状に対する影響を評価した。凝固溶媒の温度は10℃、25℃(室温)、40℃、又は60℃とし、水洗浄浴における延伸倍率は3.5倍又は最大延伸倍率とした。
凝固浴温度を10℃とした繊維では、扁平多葉型の断面形状が得られた。凝固浴温度を25℃とした繊維では、多葉型の断面形状の繊維が得られ、延伸倍率をより高くすると繊維表面の凹部が減少する傾向が見られた。凝固浴温度40℃とした繊維では、延伸倍率3.5倍の条件においては多葉型の断面形状が得られ、延伸倍率7.0倍の条件においては、C字型に近い断面形状が得られた。凝固浴温度を60℃とした繊維では、二葉型、又はC字型に近い断面形状が得られた。
凝固浴温度を高くすると、スキン層がより厚くなり、繊維表面の凹部が減少する傾向が見られた。延伸倍率を高くすると、繊維断面がより円形に近く傾向が見られた。
図7は凝固溶媒として塩化ナトリウム水溶液を用いて得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。凝固浴温度は25℃とし、凝固溶媒の濃度が繊維形状に及ぼす影響を評価した。
凝固力が最も大きなモル濃度0.5mol/Lとした繊維(試験例33及び34)では、スキン層の形成が促進されてより強固なスキン層が形成され、繊維表面の凹部が減少し、二葉型、又はC字型に近い断面形状が得られた。
凝固力がより小さなモル濃度0.9mol/Lとした繊維(試験例39及び40)では、繊維表面の凹部が増加し、多葉型の断面形状が得られた。
図8は凝固溶媒として硫酸ナトリウム水溶液を用いて得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。凝固浴温度は60℃とし、凝固溶媒の濃度が繊維形状に及ぼす影響を評価した。
最も凝固力が大きいモル濃度1.8mol/Lの凝固溶媒を用いて得られた繊維(試験例45及び46)では、モル濃度0.5mol/L又は0.9mol/Lの凝固溶媒を用いて得られた繊維と比較して、スキン層の形成が促進されてより強固なスキン層が形成され、繊維表面の凹部が減少する傾向が見られた。また、延伸倍率3.5倍においては断面形状が扁平型の繊維が得られ、延伸倍率7.0倍においては断面形状がC字型の繊維が得られた。
モル濃度0.9mol/Lの凝固溶媒を用いて得られた繊維(試験例43及び44)では、モル濃度1.8mol/Lの凝固溶媒を用いて得られた繊維と比較して、スキン層の厚みが減少して繊維表面の凹部が増加し、延伸倍率3.5倍においては多葉型(二葉型~四葉型)の断面形状が得られ、延伸倍率7.9倍においてはC字型の断面形状が得られた。
モル濃度0.5mol/Lの凝固溶媒を用いて得られた繊維(試験例41及び42)においても、モル濃度0.9mol/Lの凝固溶媒を用いて得られた繊維と同様の傾向がみられた。
図9は各凝固溶媒のモル濃度を0.9mol/Lとし、凝固浴温度を25℃とした場合に得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。塩の種類が繊維形状に及ぼす影響を評価した。
凝固溶媒を塩化ナトリウム水溶液とした繊維(試験例39及び40)では、菊型(多葉型)の断面形状が得られ、延伸倍率をより高くすると繊維表面の凹部が減少する傾向が見られた。
凝固溶媒を硫酸ナトリウム水溶液とした繊維(試験例47及び48)では、延伸倍率3.5倍においてはC字型及び三葉型の断面形状が得られ、延伸倍率7.4倍においてはC字型、V字型、及びY字型様の断面形状が得られた。
凝固溶媒をクエン酸ナトリウム水溶液とした繊維(試験例49及び50)では、多葉型の断面形状の繊維が得られ、延伸倍率をより高くすると繊維表面の凹部が減少する傾向が見られた。
繊維表面に形成されたスキン層の厚みは、硫酸ナトリウム>塩化ナトリウム>クエン酸ナトリウムの順であった。
図10は各凝固溶媒のモル濃度を0.9mol/Lとし、凝固浴温度を60℃とした場合に得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。塩の種類が繊維形状に及ぼす影響を評価した。
凝固溶媒を塩化カリウム水溶液とした繊維(試験例51及び52)では、延伸倍率3.5倍においては多葉型の断面形状が得られ、延伸倍率6.0倍においてはC字型の断面形状が得られ、延伸倍率をより高くすると、繊維表面の凹部が減少する傾向が見られた。
凝固溶媒を硫酸ナトリウム水溶液とした繊維(試験例53及び54)では、延伸倍率3.5倍においては双葉型~四葉型の断面形状が得られ、延伸倍率7.9倍においてはV字型の断面形状が得られた。
凝固溶媒をクエン酸ナトリウム水溶液とした繊維(試験例55)では、繊維表面に凹部を1~3つ有する、より円状に近い断面形状が得られた。
図11は凝固溶媒を海水及び汽水をとし、凝固浴温度を10℃とした場合に得られた繊維の断面形状の光学顕微鏡画像である。なお、汽水は山形県酒田市の河口部で採取した汽水であり、海水は山形県加茂市の海洋から採取した海水である。汽水の濃度は1.6%であり、海水の濃度は3.0%であった。汽水及び海水の濃度は全溶質の濃度の概算値である。汽水を用いて得られた繊維(試験例56及び57)は、繊維表面に凹部を2つ有する三葉型の断面形状を示した。海水を用いて得られた繊維(試験例58及び59)は、繊維表面に凹部を1つ有するC字型の断面形状を示した。いずれも円形に近い断面形状を呈した。
図12は、凝固溶媒を水(試験例27)、塩化ナトリウム水溶液(試験例37)、クエン酸ナトリウム水溶液(試験例49)、硫酸ナトリウム水溶液(試験例44)、塩化カリウム水溶液(試験例51)とした繊維の表面(側面)のSEM画像である。いずれの繊維においても、繊維表面に繊維軸方向に伸びる凹部を有することが確認された。
図13は凝固溶媒として水を用い、凝固浴温度を25℃、40℃、60℃とした条件で得られた繊維(試験例26、試験例28、及び試験例30)の外観写真である。凝固溶媒を水とした場合、いずれの条件においても光沢を有する繊維が得られ、凝固浴温度が高くなるにつれ、わずかに光沢が減少した。
図14は、凝固溶媒として0.5mol/L塩化ナトリウム水溶液を用い、同一凝固浴温度、異なる延伸倍率の条件下で得られた繊維(試験例37、試験例38)の外観写真である。延伸倍率が高くなるほど繊径が細くなり、繊維の光沢が増加した。
図15は、凝固溶媒として0.9mol/Lの各種塩水溶液を用いて得られた繊維(試験例39、試験例51、試験例47、及び試験例49)の外観写真である。凝固溶媒を塩水溶液とすることで、繊維は不透明な白色を呈し、凝固溶媒を水とした場合と比較して、光沢が減少した。塩の種類による外観の違いは、目視では確認できなかった。
1…押出し装置、2…未延伸糸製造装置、3…湿熱延伸装置、4…乾燥装置、6…紡糸原液、10…紡糸装置、20…凝固浴槽、21…洗浄浴槽、36…タンパク質繊維。

Claims (24)

  1. タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させ、前記タンパク質を凝固させる工程を含み、
    前記紡糸原液における前記タンパク質の含有量が、紡糸原液全量を基準として10質量%超であり、
    前記凝固液が水又はPH0.25以上PH10.00以下の水溶液を含有する、異形断面タンパク質繊維の製造方法。
  2. タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させて脱溶媒する際に、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させることを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記異形断面タンパク質繊維が、繊維軸方向に伸びる凹部を表面に有する繊維である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記凝固液中の水又は水溶液の含有量が、前記凝固液全量を基準として70質量%以上である、請求項1又は2に記載の方法。
  5. 前記水溶液が塩水溶液、酸水溶液又はその混合溶液である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記酸水溶液が、カルボン酸水溶液である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記凝固液が水又は塩水溶液である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記凝固液の温度が60℃以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  9. 前記凝固液が塩水溶液である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記凝固液における塩の含有量が、前記凝固液全量を基準として0.05mol/L以上である、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記塩が、カルボン酸塩、硫酸塩、塩化物、硝酸塩、ヨウ化物塩、炭酸塩、硫酸水素塩、リン酸水素塩、炭酸水素塩及びチオシアン酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項4~9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記塩が、カルボン酸塩、硫酸塩、及び塩化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項4~10のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記カルボン酸塩が、ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、及びシュウ酸塩からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項10又は11に記載の方法。
  14. 前記塩が、クエン酸塩、硫酸塩、及び塩化物からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項4~12のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記硫酸塩が、硫酸アンモニウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸マグネシウム、及び硫酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記塩化物が、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化マグネシウム、及び塩化グアニジウムからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項10~14のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記塩水溶液が、クエン酸ナトリウム水溶液、硫酸ナトリウム水溶液、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液、汽水又は海水を含む、請求項4~15のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記有機溶媒が、ギ酸、ジメチルスルホキシド、及びヘキサフルオロイソプロパノールからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記タンパク質の平均疎水性指標が-0.8超である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記タンパク質が、クモ糸タンパク質、シルクタンパク質、コラーゲンタンパク質、レシリンタンパク質、エラスチンタンパク質、及びケラチンタンパク質、からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記タンパク質が、ケラチンタンパク質又はクモ糸タンパク質である、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記タンパク質が、クモ糸タンパク質である、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記紡糸原液が溶解促進剤を更に含有する、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
  24. タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を凝固液に接触させ、前記タンパク質を凝固させてタンパク質繊維を製造するに際し、
    前記紡糸原液全量を基準として10質量%超の前記タンパク質を含む紡糸原液と、
    水又はPH0.25以上PH10.00以下の水溶液を含有する凝固液と、を用いるとともに、
    タンパク質及び有機溶媒を含有する紡糸原液を、凝固液に接触させて脱溶媒する際に、脱溶媒の速度を繊維軸に対して垂直方向及び/又は繊維の周に沿った方向に変化させることを含む、異形断面タンパク質繊維の形状コントロール方法。
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