JP2022023343A - エンジン装置 - Google Patents

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Masanao Idogawa
孝宏 内田
Takahiro Uchida
雅広 加地
Masahiro Kachi
玲子 郷
Reiko Go
啓勝 山本
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Abstract

【課題】過給域でパージを実行するときにエンジンの空燃比が不安定になるのを抑制する。【解決手段】エンジンと、過給機と、供給通路、エゼクタ、パージ制御バルブを有する蒸発燃料処理装置と、蒸発燃料ガスを吸気管に供給するパージを実行するときには、要求パージ率に基づいてパージ制御バルブを制御する制御装置と、を備えるエンジン装置において、制御装置は、パージを実行するときに、過給域では、自然吸気域に比して小さくなるように要求パージ率を設定する。【選択図】図6

Description

本発明は、エンジン装置に関する。
従来、この種のエンジン装置としては、エンジンの吸気管におけるスロットル弁よりも下流側に蒸発燃料を含む蒸発燃料ガスをパージする第1パージ通路と、過給機からの過給圧を用いて負圧を発生させるエゼクタにより吸気管における過給機のコンプレッサよりも上流側に蒸発燃料ガスをパージする第2パージ通路と、燃料タンクで発生した蒸発燃料ガスを第1パージ通路や第2パージ通路に供給する供給通路と、供給通路に設けられたパージ制御バルブとを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このエンジン装置では、吸気管のスロットル弁よりも下流側の吸気管圧力とエゼクタによる発生圧力とを比較し、パージが第1パージ通路および第2パージ通路のうちの何れを介して実施されるかを検出する。そして、パージ通路が第1パージ通路と第2パージ通路とで切り替わるときに、パージ制御バルブの制御に用いる制御特性データを、第1パージ通路に適した第1制御特性データと第2パージ通路に適した第2制御特性データとで切り替える。
特開2019-052561号公報
こうしたエンジン装置では、過給域でパージを実行するとき(パージ通路が第2パージ通路のとき)には、自然吸気域でパージを実行するとき(パージ通路が第1パージ通路のとき)に比して、蒸発燃料ガスがエンジンの燃焼室に到達するまでの経路容積が大きいことや、過給圧やエゼクタによる発生圧力の変動が生じることなどにより、エンジンの空燃比が不安定になりやすい。
本発明のエンジン装置は、過給域でパージを実行するときにエンジンの空燃比が不安定になるのを抑制することを主目的とする。
本発明のエンジン装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明のエンジン装置は、
吸気管に配置されたスロットルバルブを有し、燃料タンクから供給される燃料を用いて動力を出力するエンジンと、
前記吸気管の前記スロットルバルブよりも上流側に配置されたコンプレッサを有する過給機と、
前記燃料タンク内で発生した蒸発燃料を含む蒸発燃料ガスを前記吸気管の前記スロットルバルブよりも下流側に接続された第1パージ通路と第2パージ通路とに分岐して前記吸気管に供給する供給通路と、前記吸気管の前記コンプレッサと前記スロットルバルブとの間からの還流通路に吸気ポートが接続され且つ前記吸気管の前記コンプレッサよりも上流側に排気ポートが接続され且つ前記第2パージ通路に吸引ポートが接続されたエゼクタと、前記供給通路に設けられたパージ制御バルブと、を有する蒸発燃料処理装置と、
前記蒸発燃料ガスを前記吸気管に供給するパージを実行するときには、要求パージ率に基づいて前記パージ制御バルブを制御する制御装置と、
を備えるエンジン装置であって、
前記制御装置は、前記パージを実行するときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して小さくなるように前記要求パージ率を設定する、
ことを要旨とする。
本発明のエンジン装置では、蒸発燃料ガスを吸気管に供給するパージを実行するときには、要求パージ率に基づいてパージ制御バルブを制御する。この場合、パージを実行するときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して小さくなるように要求パージ率を設定する。これにより、過給域でパージを実行するときに、エンジンの空燃比が不安定になるのを抑制することができる。
本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記過給域では、前記自然吸気域に比して、前記パージを開始または再開するときの初期パージ率、前記要求パージ率の単位時間当たりの増加量、前記要求パージ率の目標値としての目標パージ率、のうちの少なくとも1つを小さくすることにより前記要求パージ率を小さくするものとしてもよい。
本発明のエンジン装置において、前記制御装置は、前記スロットル後圧が閾値未満のときには、前記自然吸気域であると推定し、前記スロットル後圧が前記閾値以上のときには、前記過給域であると推定する推定処理において、前記スロットル後圧が前記閾値以上から前記閾値未満に至ったときには、所定時間が経過するまで前記過給域であるとの推定を継続するものとしてもよい。こうすれば、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかをより適切に推定することができる。
エンジン装置10の構成の概略を示す構成図である。 電子制御ユニット70の入出力信号の一例を示す説明図である。 燃料噴射制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 パージ補正量設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 更新量設定用マップの一例を示す説明図である。 パージ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 過給域判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 サージ圧Psと過給域フラグFcとの様子の一例を示す説明図である。 全開パージ流量推定用マップの一例を示す説明図である。 サブ処理ルーチンの一例を示すフローチャートの前半部分である。 サブ処理ルーチンの一例を示すフローチャートの後半部分である。 支配パージ判定ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エゼクタ圧設定用マップの一例を示す説明図である。 第1パージ通路62の断面積に比して第2パージ通路63の断面積が小さいときのオフセット量設定用マップの一例を示す説明図である。 パージの実行の有無と支配パージフラグFpdとパージ未実行カウンタCnpと下流パージ積算カウンタCpdnとの様子の一例を示す説明図である。 上限ガード値設定用マップの一例を示す説明図である。 反映係数設定用マップの一例を示す説明図である。 自然吸気域の更新量設定用マップの一例を示す説明図である。 自然吸気域の目標パージ率設定用マップの一例を示す説明図である。
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのエンジン装置10の構成の概略を示す構成図であり、図2は、電子制御ユニット70の入出力信号の一例を示す説明図である。実施例のエンジン装置10は、エンジン12からの動力を用いて走行する一般的な車両や、エンジン12に加えてモータを備える各種のハイブリッド車両に搭載され、図1や図2に示すように、エンジン12と、過給機40と、蒸発燃料処理装置50と、電子制御ユニット70とを備える。
エンジン12は、燃料タンク11から供給されるガソリンや軽油などの燃料を用いて動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン12は、エアクリーナ22により清浄された空気を吸気管23に吸入してインタークーラ25、スロットルバルブ26、サージタンク27の順に通過させる。そして、吸気バルブ29を介して燃焼室30に吸入した空気に燃焼室30に取り付けられた筒内噴射弁28から燃料を噴射して空気と燃料とを混合し、点火プラグ31による電気火花によって爆発燃焼させる。エンジン12は、こうした爆発燃焼によるエネルギにより押し下げられるピストン32の往復運動をクランクシャフト14の回転運動に変換する。燃焼室30から排気バルブ34を介して排気管35に排出される排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する触媒(三元触媒)を有する浄化装置37,38を介して外気に排出される。なお、筒内噴射弁28には、燃料タンク11からフィードポンプ11pや低圧側燃料通路17、高圧ポンプ18、高圧側燃料通路19を介して燃料が供給される。高圧ポンプ18は、エンジン12からの動力により駆動されて低圧側燃料通路17の燃料を加圧して高圧側燃料通路19に供給する。
過給機40は、ターボチャージャとして構成されており、コンプレッサ41と、タービン42と、回転軸43と、ウェイストゲートバルブ44と、ブローオフバルブ45とを備える。コンプレッサ41は、吸気管23のインタークーラ25よりも上流側に配置されている。タービン42は、排気管35の浄化装置37よりも上流側に配置されている。回転軸43は、コンプレッサ41とタービン42とを連結する。ウェイストゲートバルブ44は、排気管35におけるタービン42よりも上流側と下流側とを連絡するバイパス管36に設けられており、電子制御ユニット70により制御される。ブローオフバルブ45は、吸気管23におけるコンプレッサ41よりも上流側と下流側とを連絡するバイパス管24に設けられており、電子制御ユニット70により制御される。
この過給機40では、ウェイストゲートバルブ44の開度の調節により、バイパス管36を流通する排気量とタービン42を流通する排気量との分配比が調節され、タービン42の回転駆動力が調節され、コンプレッサ41による圧縮空気量が調節され、エンジン12の過給圧(吸気圧)が調節される。ここで、分配比は、詳細には、ウェイストゲートバルブ44の開度が小さいほど、バイパス管36を流通する排気量が少なくなると共にタービン42を流通する排気量が多くなるように調節される。なお、エンジン12は、ウェイストゲートバルブ44が全開のときには、過給機40を備えない自然吸気タイプのエンジンと同様に動作可能になっている。
また、過給機40では、吸気管23におけるコンプレッサ41よりも下流側の圧力が上流側の圧力よりもある程度高いときに、ブローオフバルブ45を開弁させることにより、コンプレッサ41よりも下流側の余剰圧力を解放することができる。なお、ブローオフバルブ45は、電子制御ユニット70により制御されるバルブに代えて、吸気管23におけるコンプレッサ41よりも下流側の圧力が上流側の圧力よりもある程度高くなると開弁する逆止弁として構成されるものとしてもよい。
蒸発燃料処理装置50は、燃料タンク11内で発生した蒸発燃料ガス(パージガス)をエンジン12の吸気管23に供給するパージを行なうための装置であり、導入通路52と、開閉バルブ53と、バイパス通路54と、リリーフバルブ55a,55bと、キャニスタ56と、共通通路61と、第1パージ通路62と、第2パージ通路63と、バッファ部64と、パージ制御バルブ65と、逆止弁66,67と、還流通路68と、エゼクタ69とを備える。実施例の「供給通路」としては、導入通路52および共通通路61が相当する。
導入通路52は、燃料タンク11とキャニスタ56とに接続されている。開閉バルブ53は、導入通路52に設けられており、ノーマルクローズタイプの電磁バルブとして構成されている。この開閉バルブ53は、電子制御ユニット70により制御される。
バイパス通路54は、導入通路52の開閉バルブ53よりも燃料タンク11側とキャニスタ56側とをバイパスすると共に、2つに分岐して合流する分岐部54a,54bを有する。リリーフバルブ55aは、分岐部54aに設けられると共に逆止弁として構成されており、燃料タンク11側の圧力がキャニスタ56側の圧力に比してある程度大きくなると開弁する。リリーフバルブ55bは、分岐部54bに設けられると共に逆止弁として構成されており、キャニスタ56側の圧力が燃料タンク11側の圧力に比してある程度大きくなると開弁する。
キャニスタ56は、導入通路52に接続されていると共に大気開放通路57を介して大気に開放されている。このキャニスタ56の内部には、燃料タンク11からの蒸発燃料を吸着可能な例えば活性炭などの吸着剤が充填されている。大気開放通路57には、エアフィルタ58が設けられている。
共通通路61は、導入通路52のキャニスタ56付近に接続され、分岐点61aで第1パージ通路62および第2パージ通路63に分岐する。第1パージ通路62は、吸気管23のスロットルバルブ26とサージタンク27との間に接続されている。第2パージ通路63は、エゼクタ69の吸引ポートに接続されている。
バッファ部64は、共通通路61に設けられている。このバッファ部64の内部には、燃料タンク11やキャニスタ56からの蒸発燃料を吸着可能な例えば活性炭などの吸着剤が充填されている。パージ制御バルブ65は、共通通路61のバッファ部64よりも分岐点61a側に設けられている。このパージ制御バルブ65は、ノーマルクローズタイプの電磁バルブとして構成されている。このパージ制御バルブ65は、電子制御ユニット70により制御される。
逆止弁66は、第1パージ通路62の分岐点61a付近に設けられている。この逆止弁66は、パージ通路60の共通通路61側から第1パージ通路62(吸気管23)側の方向の蒸発燃料を含む蒸発燃料ガス(パージガス)の流れを許容すると共に逆方向の蒸発燃料ガスの流れを禁止する。逆止弁67は、第2パージ通路63の分岐点61a付近に設けられている。この逆止弁67は、パージ通路60の共通通路61側から第2パージ通路63(エゼクタ69)側の方向の蒸発燃料ガスの流れを許容すると共に逆方向の蒸発燃料ガスの流れを禁止する。
還流通路68は、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間と、エゼクタ69の吸気ポートと、に接続されている。エゼクタ69は、吸気ポートと吸引ポートと排気ポートとを有する。エゼクタ69の吸気ポートは、還流通路68に接続されており、吸引ポートは、第2パージ通路63に接続されており、排気ポートは、吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に接続されている。吸気ポートの先端部は、先細状に形成されている。
このエゼクタ69では、過給機40が作動しているとき(吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力が正圧になるとき)に、吸気ポートと排気ポートとの間に圧力差が生じ、吸気ポートから排気ポートに向かって還流吸気(吸気管23のコンプレッサ41よりも下流側から還流通路68を介して還流される吸気)が流れる。このと
き、還流吸気が吸気ポートの先端部で減圧され、その先端部周辺で負圧が発生する。そして、その負圧により、蒸発燃料ガスが第2パージ通路63から吸引ポートを介して吸引され、この蒸発燃料ガスが負圧の還流吸気と共に排気ポートを介して吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に供給される。
こうして構成される蒸発燃料処理装置50は、基本的には、以下のように動作する。吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側の圧力(後述のサージ圧Ps)が負圧で、且つ、開閉バルブ53およびパージ制御バルブ65が開弁しているときには、逆止弁66が開弁し、燃料タンク11内で発生した蒸発燃料ガス(パージガス)やキャニスタ56から脱離した蒸発燃料ガスが導入通路52や共通通路61、第1パージ通路62を介して吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側に供給される。以下、これを「下流パージ」という。このとき、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力(後述の過給圧Pc)が負圧またはゼロであれば、エゼクタ69が作動しないから、逆止弁66は開弁しない。
また、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力(過給圧Pc)が正圧で、且つ、開閉バルブ53およびパージ制御バルブ65が開弁しているときには、エゼクタ69が作動して逆止弁67が開弁し、蒸発燃料ガスが導入通路52や共通通路61、第2パージ通路63、エゼクタ69を介して吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に供給される。以下、これを「上流パージ」という。このとき、吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側の圧力(サージ圧Ps)に応じて、逆止弁66が開弁または閉弁する。
したがって、蒸発燃料処理装置50では、吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側の圧力(サージ圧Ps)や、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間の圧力(過給圧Pc)に応じて、パージのうち下流パージだけが行なわれたり、上流パージだけが行なわれたり、下流パージおよび上流パージの両方が行なわれたりする。
電子制御ユニット70は、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUに加えて、処理プログラムを記憶するROMや、データを一時的に記憶するRAM、データを記憶保持する不揮発性のフラッシュメモリ、入出力ポート、通信ポートを備える。電子制御ユニット70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。
電子制御ユニット70に入力される信号としては、例えば、燃料タンク11内の圧力を検出する内圧センサ11aからのタンク内圧Ptnkや、エンジン12のクランクシャフト14の回転位置を検出するクランクポジションセンサ14aからのクランク角θcr、エンジン12の冷却水の温度を検出する水温センサ16からの冷却水温Tw、スロットルバルブ26の開度を検出するスロットルポジションセンサ26aからのスロットル開度THを挙げることができる。吸気バルブ29を開閉するインテークカムシャフトや排気バルブ34を開閉するエキゾーストカムシャフトの回転位置を検出する図示しないカムポジションセンサからのカムポジションθcaも挙げることができる。吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に取り付けられたエアフローメータ23aからの吸入空気量Qaや、吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に取り付けられた吸気温センサ23tからの吸気温Tin、吸気管23のコンプレッサ41よりも上流側に取り付けられた吸気圧センサ23bからの吸気圧(コンプレッサ前圧)Pin、吸気管23のコンプレッサ41とインタークーラ25との間に取り付けられた過給圧センサ23cからの過給圧Pcも挙げることができる。サージタンク27に取り付けられたサージ圧センサ27aからのサージ圧(スロットル後圧)Psや、サージタンク27に取り付けられた温度センサ27bからのサージ温度Tsも挙げることができる。筒内噴射弁28に供給する燃料の燃圧を検出する
燃圧センサ28aからの供給燃圧Pfdも挙げることができる。排気管35の浄化装置37よりも上流側に取り付けられたフロント空燃比センサ35aからのフロント空燃比AF1や、排気管35の浄化装置37と浄化装置38との間に取り付けられたリヤ空燃比センサ35bからのリヤ空燃比AF2も挙げることができる。パージ制御バルブポジションセンサ65aからのパージ制御バルブ65の開度Opvや第2パージ通路63に取り付けられたOBD用センサ(圧力センサ)63aからのセンサ信号Pobdも挙げることができる。
電子制御ユニット70からは、各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。電子制御ユニット70から出力される信号としては、例えば、スロットルバルブ26への制御信号や、筒内噴射弁28への制御信号、点火プラグ31への制御信号を挙げることができる。ウェイストゲートバルブ44への制御信号、ブローオフバルブ45への制御信号、開閉バルブ53への制御信号も挙げることができる。パージ制御バルブ65への制御信号も挙げることができる。
電子制御ユニット70は、エンジン12の回転数Neや負荷率(エンジン12の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の割合)KLを演算している。回転数Neは、クランクポジションセンサ14aからのクランク角θcrに基づいて演算される。負荷率KLは、エアフローメータ23aからの吸入空気量Qaと回転数Neとに基づいて演算される。
こうして構成された実施例のエンジン装置10では、電子制御ユニット70は、エンジン12の要求負荷率KL*に基づいて、スロットルバルブ26の開度を制御する吸入空気量制御や、筒内噴射弁28からの燃料噴射量を制御する燃料噴射制御、点火プラグ31の点火時期を制御する点火制御、ウェイストゲートバルブ44の開度を制御する過給制御、パージ制御バルブ65の開度を制御するパージ制御などを行なう。以下、燃料噴射制御やパージ制御について説明する。なお、吸入空気量制御や点火制御、過給制御については、本発明の中核をなさないため、詳細な説明を省略する。
最初に、燃料噴射制御について説明する。図3は、燃料噴射制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、エンジン12の負荷率KLや、パージ補正量βなどのデータを入力する(ステップS100)。ここで、エンジン12の負荷率KLは、吸入空気量Qaと回転数Neとに基づいて演算された値が入力される。パージ補正量βは、上述の下流パージや上流パージに関連する補正量であり、後述のパージ補正量設定ルーチンにより設定された値が入力される。
続いて、負荷率KLに基づいて筒内噴射弁28のベース噴射量Qfbsを設定し(ステップS110)、設定したベース噴射量Qfbsにパージ補正量βを加えて筒内噴射弁28の要求噴射量Qf*を設定し(ステップS120)、設定した要求噴射量Qf*を用いて筒内噴射弁28を制御して(ステップS130)、本ルーチンを終了する。ここで、ベース噴射量Qfbsは、燃焼室30内の混合気の空燃比を要求空燃比AF*とするための筒内噴射弁28の要求噴射量Qf*のベース値である。このベース噴射量Qfbsは、例えば、燃焼室30内の混合気の空燃比を要求空燃比AF*とするための筒内噴射弁28の単位噴射量(負荷率KLの1%当たりの噴射量)Qfpuと、負荷率KLと、の積として演算された値が設定される。
次に、図3の燃料噴射量制御ルーチンで用いられるパージ補正量βを設定する処理について、図4のパージ補正量設定ルーチンを用いて説明する。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、吸入空気量Qaやフロント空燃比AF1、パージ制御バルブ65の開度Opv、要求パージ率Rprqなどのデータを入力する(ステップS200)。ここで、吸入空気量Qaは、エアフローメータ23aにより検出された値が入力される。フロント空燃比AF1は、フロント空燃比センサ35aにより検出された値が入力される。パージ制御バルブ65の開度Opvは、パージ制御バルブポジションセンサ65aにより検出された値が入力される。要求パージ率Rprqは、後述のパージ制御ルーチンにより設定された値が入力される。
こうしてデータを入力すると、入力したパージ制御バルブ65の開度Opvを用いてパージの実行の有無を判定する(ステップS210)。そして、パージを実行していないと判定したときには、パージ濃度関連値Cpを保持すると共に(ステップS220)、パージ補正量βに値0を設定して(ステップS230)、本ルーチンを終了する。ここで、パージ濃度関連値Cpは、パージ率1%当たりの燃焼室30内の空燃比のずれに関連する補正係数である。このパージ濃度関連値Cpは、各トリップで初回のパージを開始するときに、初期値としての値0が設定される。なお、「パージ濃度」は、蒸発燃料ガスにおける蒸発燃料の濃度を意味し、「パージ率」は、吸入空気量に対する蒸発燃料ガスの割合を意味する。
ステップS210でパージを実行していると判定したときには、フロント空燃比AF1に基づいてパージ濃度関連値Cpの更新量ΔCpを設定し(ステップS240)、前回のパージ濃度関連値(前回Cp)に更新量ΔCpを加えた値をパージ濃度関連値Cpに設定する(ステップS250)。ここで、更新量ΔCpは、フロント空燃比AF1を更新量設定用マップに適用して求めることができる。更新量設定用マップは、フロント空燃比AF1と更新量ΔCpとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図5は、更新量設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、更新量ΔCpは、フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*に対してリッチ側、リーン側のときにそれぞれ負の範囲内、正の範囲内で且つフロント空燃比AF1と要求空燃比AF*との差分が大きい(フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*から離間する)ほど絶対値が大きくなるように設定される。こうして設定されるパージ濃度関連値Cpは、負の値のときには、パージ制御バルブ65を通過する気体(ガス)に蒸発燃料が含まれていることを意味し、値0以上のときには、パージ制御バルブ65を通過する気体に蒸発燃料が含まれていないことを意味する。このパージ濃度関連値Cpは、パージのトリップでの初回の開始直後や再開直後などパージ濃度が高いとき、即ち、フロント空燃比AF1が要求空燃比AF*に対してよりリッチ側になりやすいときには、比較的小さくなり(負の値としての絶対値が大きくなり)、その後に、パージが継続してパージ濃度が低下するのに従って徐々に大きくなる。
そして、パージ濃度関連値Cpと吸入空気量Qaと要求パージ率Rprqとの積をパージ補正量βに設定して(ステップS260)、本ルーチンを終了する。こうして設定されるパージ補正量βは、パージ濃度関連値Cpが負の値のときには、負の値となり、パージ濃度関連値Cpの絶対値が大きいほど絶対値が大きくなり、吸入空気量Qaや要求パージ率Rprqが大きいほど絶対値が大きくなる。また、パージ補正量βは、パージ濃度関連値Cpが値0のときには、値0となる。さらに、パージ補正量βは、パージ濃度関連値Cpが正の値のときには、正の値となり、パージ濃度関連値Cpの絶対値が大きいほど絶対値が大きくなり、吸入空気量Qaや要求パージ率Rprqが大きいほど絶対値が大きくなる。そして、このパージ補正量βが小さいほど、図3の燃料噴射制御ルーチンにおいて、要求噴射量Qf*を少なくして筒内噴射弁28を制御することになる。
次に、パージ制御について説明する。図6は、パージ制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は最初に、吸入空気量Qaや吸気圧Pin、過給圧Pc、サージ圧Ps、パージ条件フラグFpc、過給域フラグFcなどのデータを入力する(ステップS300)。
ここで、吸入空気量Qaは、エアフローメータ23aにより検出された値が入力される。吸気圧Pinは、吸気圧センサ23bにより検出された値が入力される。過給圧Pcは、過給圧センサ23cにより検出された値が入力される。サージ圧Psは、サージ圧センサ27aにより検出された値が入力される。パージ条件フラグFpcは、パージ条件が成立しているときには値1が設定され、パージ条件が成立していないときには値0が設定されるフラグであり、電子制御ユニット70により設定された値が入力される。パージ条件としては、例えば、エンジン12の運転制御(燃料噴射制御など)を行なっており、且つ、冷却水温Twが閾値Twref以上である条件が用いられる。閾値Twrefとしては、55℃~65℃程度が用いられる。過給域フラグFcは、自然吸気域であると推定しているときには値0が設定され、過給域であると推定しているときには値1が設定されるフラグであり、図7の過給域判定ルーチンにより設定された値が入力される。ここで、「自然吸気域」は、パージを実行しているときにパージが上流パージを含まない(下流パージだけである)ことを意味し、「過給域」は、パージを実行しているときにパージが上流パージを含むことを意味する。「パージが上流パージを含む」は、燃焼室30に供給される蒸発燃料ガスのうちの少なくとも一部が第2パージ通路63を介して供給される蒸発燃料ガスであることを意味する。以下、図6のパージ制御ルーチンの説明を中断し、図7の過給域判定ルーチンについて説明する。
図7の過給域判定ルーチンは、電子制御ユニット70により、パージ条件の成立の有無に拘わらずに繰り返し実行される。したがって、パージを実行していないときの過給域フラグFcは、パージを実行していると仮定したときの値となる。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、サージ圧Psを入力する(ステップS500)。ここで、サージ圧Psは、サージ圧センサ27aにより検出された値が入力される。続いて、前回に本ルーチンを実行したときに設定した過給域フラグ(前回Fc)の値を調べる(ステップS510)。
ステップS510で前回の過給域フラグ(前回Fc)が値0のとき、即ち、自然吸気域であると推定しているときには、サージ圧Psと閾値Psrefとを比較する(ステップS520)。ここで、閾値Psrefは、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかの推定に用いられる閾値であり、実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。閾値Psrefとしては、例えば、-6~-9kPa程度が用いられる。
ステップS520でサージ圧Psが閾値Psref未満であると判定したときには、自然吸気域であると推定し、過給域フラグFcに値0を設定して即ち値0で保持して(ステップS530)、本ルーチンを終了する。ステップS520でサージ圧Psが閾値Psref以上であると判定したときには、過給域であると推定し、過給域フラグFcに値1を設定して即ち値0から値1に切り替えて(ステップS560)、本ルーチンを終了する。
ステップS510で前回の過給域フラグ(前回Fc)が値1のとき、即ち、過給域であると推定しているときには、サージ圧Psと閾値Psrefとを比較する(ステップS540)。サージ圧Psが閾値Psref以上であると判定したときには、過給域であると推定し、過給域フラグFcに値1を設定して即ち値1で保持して(ステップS560)、本ルーチンを終了する。
ステップS540でサージ圧Psが閾値Psref未満であると判定したときには、サージ圧Psが閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過したか否かを判定する(ステップS550)。所定時間T1の詳細については後述する。サージ圧Psが閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過していないと判定したときには、過給域であると推定し、過給域フラグFcに値1を設定して即ち値1で保持して(ステップS560)、本ルーチンを終了する。サージ圧Psが閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過したと判定したときには、自然吸気域であると推定し、過給域フラグFcに値0を設定して即ち値1から値0に切り替えて(ステップS530)、本ルーチンを終了する。
ここで、所定時間T1について説明する。所定時間T1は、上流パージで蒸発燃料ガスがサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの時間と下流パージで蒸発燃料ガスがサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの時間との差分として実験や解析により予め定められる。上流パージで蒸発燃料ガスが第2パージ通路63および吸気管23を介してサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの経路容積(第2パージ通路63と吸気管23の略全体とに基づく経路容積)は、下流パージで蒸発燃料ガスが第1パージ通路62および吸気管23を介してサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの経路容積(第1パージ通路62と吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側の部分とに基づく経路容積)に比して大きい。このため、上流パージで蒸発燃料ガスがサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの時間は、下流パージで蒸発燃料ガスがサージタンク27(燃焼室30)に到達するまでの時間に比して長くなる。したがって、パージを実行しているときにおいて、サージ圧Psが閾値Psref以上の状態から閾値Psref未満に至ったときに、しばらくの間は、第2パージ通路63に残留している蒸発燃料ガスと第1パージ通路62に新たに供給される蒸発燃料ガスとが吸気管23のスロットルバルブ26よりも下流側で合流してサージタンク27(燃焼室30)に供給されると想定される。実施例では、これを踏まえて、過給域フラグFcが値1のときには、サージ圧Psが閾値Psref以上の状態から閾値Psref未満に至ってから所定時間T1が経過するのを待って、過給域フラグFcを値0に切り替えるものとした。これにより、自然吸気域および過給域のうちの何れであるかをより適切に推定することができる。
図8は、サージ圧Psと過給域フラグFcとの様子の一例を示す説明図である。図示するように、過給域フラグFcが値0でサージ圧Psが閾値Psref以上に至ると(時刻t11)、過給域フラグFcを値1に切り替える。その後に、サージ圧Psが閾値Psref未満に至り(時刻t12)、サージ圧Psが閾値Psref未満で所定時間T1が経過すると(時刻t13)、過給域フラグFcを値0に切り替える。
図7の過給域判定ルーチンについて説明した。図6のパージ制御ルーチンの説明に戻る。ステップS300でデータを入力すると、パージ条件フラグFpcの値を調べる(ステップS310)。パージ条件フラグFpcが値0のとき、即ち、パージ条件が成立していないときには、要求パージ率Rprqに値0を設定し(ステップS360)、パージ制御バルブ65の駆動デューティDdrに値0を設定し(ステップS370)、設定した駆動デューティDdrを用いてパージ制御バルブ65を制御する(ステップS400)。この場合、パージ制御バルブ65を閉弁させる。
そして、吸入空気量Qaおよび要求パージ率Rprqに基づいてバルブ通過パージ流量Qpvを推定して(ステップS410)、本ルーチンを終了する。ここで、バルブ通過パージ流量Qpvは、共通通路61のパージ制御バルブ65を通過した蒸発燃料ガスの流量である。このバルブ通過パージ流量Qpvは、吸入空気量Qaおよび要求パージ率Rprqをバルブ通過パージ流量推定用マップに適用して求めることができる。バルブ通過パージ流量推定用マップは、吸入空気量Qaおよび要求パージ率Rprqとバルブ通過パージ流量Qpvとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。パージ制御バルブ65を閉弁させたときには、バルブ通過パージ流量Qpvは値0となる。
ステップS310でパージ条件フラグFpcが値1のとき、即ち、パージ条件が成立しているときには、サージ圧Psと過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値とに基づいて全開パージ流量Qpfoを推定する(ステップS320)。ここで、全開パージ流量Qpfoは、パージ制御バルブ65の駆動デューティを100%としたときのパージ流量(吸気管23に供給される蒸発燃料ガスの体積流量)である。この全開パージ流量Qpfoは、サージ圧Psと過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値とを全開パージ流量推定用マップに適用して求めることができる。全開パージ流量推定用マップは、サージ圧Psと過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と全開パージ流量Qpfoとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図9は、全開パージ流量推定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、全開パージ流量Qpfoは、サージ圧Psが小さい(負の値としての絶対値が大きい)ほど多くなり、且つ、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値が大きいほど多くなるように設定される。
続いて、吸入空気量Qaと所定時間T2前のバルブ通過パージ流量(過去Qpv)とに基づいて、燃焼室30内の空気量である燃焼室空気量Qccを推定する(ステップS322)。ここで、所定時間T2前のバルブ通過パージ流量(過去Qpv)としては、所定時間T2前に本ルーチンを実行したときにステップS460の処理で推定した値が用いられる。なお、所定時間T2は、共通通路61のパージ制御バルブ65を通過した蒸発燃料ガスが燃焼室30に到達するのに要する時間として定められ、過給域フラグFcやエンジン12の回転数Neなどに基づく時間が用いられるものとしてもよいし、簡単のために一定時間が用いられるものとしてもよい。燃焼室空気量Qccは、例えば、吸入空気量Qaおよび過去のバルブ通過パージ流量(過去Qpv)を燃焼室空気量推定用マップに適用して求めることができる。燃焼室空気量推定用マップは、吸入空気量Qaおよび過去のバルブ通過パージ流量(過去Qpv)と燃焼室空気量Qccとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。
こうして全開パージ流量Qpfoおよび燃焼室空気量Qccを推定すると、推定した全開パージ流量Qpfoおよび燃焼室空気量Qccに基づいて全開パージ率Rpfoを推定する(ステップS324)。ここで、全開パージ率Rpfoは、全開パージ流量Qpfoを燃焼室空気量Qccで除することにより演算することができる。
続いて、過給域フラグFcの値を調べる(ステップS330)。過給域フラグFcが値0のとき、即ち、自然吸気域であると推定しているときには、開始パージ率Rpstに値Rpst1を設定し(ステップS340)、再開パージ率Rprsに値Rprs1を設定し(ステップS342)、更新量ΔRpに値ΔRp1を設定し(ステップS344)、目標パージ率Rptgに値Rptg1を設定する(ステップS346)。ここで、値Rpst1や値Rprs1、値ΔRp1、値Rptg1は、それぞれ一定値が用いられる。
ステップS340で過給域フラグFcが値1のとき、即ち、過給域であると推定しているときには、開始パージ率Rpstに値Rpst1よりも小さい値Rpst2を設定し(ステップS350)、再開パージ率Rprsに値Rprs1よりも小さい値Rprs2を設定し(ステップS352)、更新量ΔRpに値ΔRp1よりも小さいΔRp2を設定し(ステップS354)、目標パージ率Rptgに値Rptg1よりも小さい値Rptg2を設定する(ステップS356)。ここで、値Rpst2や値Rprs2、値ΔRp2、値Rptg2は、それぞれ一定値が用いられる。
こうしてステップS340~S346またはステップS350~S356で開始パージ率Rpstや再開パージ率Rprs、更新量ΔRp、目標パージ率Rptgを設定すると、開始パージ率Rpstまたは再開パージ率Rprsと、更新量ΔRpと、全開パージ率Rpfoと、目標パージ率Rptgと、を用いて要求パージ率Rprqを設定する(ステップS380)。
ここで、要求パージ率Rprqは、各トリップで、パージ条件の初回の成立期間(パージ条件の成立が開始してから中断または終了するまでの期間)には、全開パージ率Rpfoおよび目標パージ率Rptgのうちの最小値以下の範囲内で、開始パージ率Rpstから更新量ΔRpを用いたレート処理により徐々に大きくなるように設定される。具体的には、要求パージ率Rprqは、各トリップでのパージ条件の初回の成立期間において、成立開始直後は、開始パージ率Rpstが設定され、その後は、前回の要求パージ率(前回Rprq)と更新量ΔRpと全開パージ率Rpfoと目標パージ率Rptgとを用いて式(1)により演算された値が設定される。
Rprq=min(前回Rprq+ΔRp, min(Rpfo, Rptg)) (1)
また、要求パージ率Rprqは、各トリップで、パージ条件の2回目以降の成立期間(パージ条件の成立が再開してから中断または終了するまでの期間)には、全開パージ率Rpfoおよび目標パージ率Rptgのうちの最小値以下の範囲内で、再開パージ率Rprsから更新量ΔRpを用いたレート処理により徐々に大きくなるように設定される。具体的には、要求パージ率Rprqは、各トリップでのパージ条件の2回目以降の成立期間において、成立開始(再開)直後は、再開パージ率Rprsが設定され、その後は、式(1)により演算された値が設定される。
なお、パージ条件の成立が中断するときとしては、例えば、エンジン装置10が搭載される車両の走行中にアクセルオフされてエンジン12の燃料カットを行なう(エンジン12の運転制御を中断する)ときなどが挙げられる。
こうして要求パージ率Rprqを設定すると、設定した要求パージ率Rprqを全開パージ率Rpfoで除してパージ制御バルブ65の駆動デューティDdrを設定し(ステップS390)、設定した駆動デューティDdrを用いてパージ制御バルブ65を制御する(ステップS400)。そして、上述のステップS410の処理により、バルブ通過パージ流量Qpvを推定して、本ルーチンを終了する。
実施例では、上述したように、パージを実行するときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して、開始パージ率Rpstや再開パージ率Rprs、更新量ΔRp、目標パージ率Rptgを小さくすることにより、仮要求パージ率Rprqtmpひいては要求パージ率Rprqを小さくする。パージを実行するときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して、蒸発燃料ガスがエンジン12の燃焼室30に至るまでの経路容積が大きいことや、過給圧Pcやエゼクタ69のエゼクタ圧の変動が生じることなどの理由により、燃料噴射制御によりフロント空燃比AF1が不安定になりやすい。実施例では、パージを実行するときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して、要求パージ率Rprqを小さくすることにより、フロント空燃比AF1が不安定になるのを抑制することができる。
以上説明した実施例のエンジン装置10では、パージ条件が成立しているとき(パージを実行するとき)において、過給域では、自然吸気域に比して小さくなるように要求パージ率Rprqを設定し、設定した要求パージ率Rprqに基づいてパージ制御バルブ65を制御する。これにより、過給域でパージを実行するときに、フロント空燃比AF1が不安定になるのを抑制することができる。
実施例のエンジン装置10では、パージ条件が成立しているときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して、開始パージ率Rpstと再開パージ率Rprsと更新量ΔRpと目標パージ率Rptgとを小さくすることにより、要求パージ率Rprqを小さくするものとした。しかし、パージを実行するときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して、開始パージ率Rpstと再開パージ率Rprsと更新量ΔRpと目標パージ率Rptgとのうちの一部だけを小さくすることにより、要求パージ率Rprqを小さくするものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、パージ条件が成立しているときに、自然吸気域で開始パージ率Rpstや再開パージ率Rprs、更新量ΔRp、目標パージ率Rptgにそれぞれ設定される値Rpst1や値Rprs1、値ΔRp1、値Rptg1は、それぞれ一定値が用いられるものとした。しかし、値Rprs1や値ΔRp1、値Rptg1のうちの少なくとも一部は、可変値が用いられるものとしてもよい。この場合、値Rprs1や値ΔRp1、値Rptg1は、図10および図11のサブ処理ルーチンにより設定された値が用いられるものとしてもよい。このルーチンは、電子制御ユニット70により繰り返し実行される。
図10および図11のサブ処理ルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、冷却水温Twやパージ制御バルブ65の開度Opv、要求パージ率Rprq、支配パージフラグFpdなどのデータを入力する(ステップS600)。ここで、冷却水温Twは、水温センサ16により検出された値が入力される。パージ制御バルブ65の開度Opvは、パージ制御バルブポジションセンサ65aにより検出された値が入力される。要求パージ率Rprqは、図6のパージ制御ルーチンにより設定された値が入力される。支配パージフラグFpdは、パージを実行しているときに、下流パージおよび上流パージのうち支配的な支配パージが下流パージである(蒸発燃料ガスが第1パージ通路62に支配的に流れる)ときには値0が設定され、支配パージが上流パージである(蒸発燃料ガスが第2パージ通路63に支配的に流れる)ときには値1が設定されるフラグである。この支配パージフラグFpdは、図12の支配パージ判定ルーチンにより設定された値が入力される。以下、図10および図11のサブ処理ルーチンの説明を中断し、図12の支配パージ判定ルーチンについて説明する。
図12の支配パージ判定ルーチンは、電子制御ユニット70により、パージを実行しているときに繰り返し実行される。実施例では、パージを実行していないとき(本ルーチンの繰り返しの実行を中断しているとき)には、支配パージフラグFpdを保持するものとした。このルーチンが実行されると、電子制御ユニット70は、最初に、吸気圧Pinや過給圧Pc、サージ圧Ps、駆動デューティDdrなどのデータを入力する(ステップS700)。ここで、吸気圧Pinは、吸気圧センサ23bにより検出された値が入力される。過給圧Pcは、過給圧センサ23cにより検出された値が入力される。サージ圧Psは、サージ圧センサ27aにより検出された値が入力される。駆動デューティDdrは、図6のパージ制御ルーチンにより設定された値が入力される。
こうしてデータを入力すると、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と駆動デューティDdrとに基づいてエゼクタ圧Pejを推定する(ステップS710)。ここで、エゼクタ圧Pejは、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と駆動デューティDdrとをエゼクタ圧設定用マップに適用して求めることができる。エゼクタ圧設定用マップは、過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値と駆動デューティDdrとエゼクタ圧Pejとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図13は、エゼクタ圧設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、エゼクタ圧Pejは、駆動デューティDdrが大きいほど大きくなり(負の値としての絶対値が小さくなり)、且つ、過給圧Pc(過給圧Pcから吸気圧Pinを減じた値)が大きいほど小さくなる(負の値としての絶対値が大きくなる)ように設定される。
続いて、サージ圧Psに基づいて、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路63の断面積に基づく影響を補正するためにサージ圧Psをオフセットするオフセット量kdを設定する(ステップS720)。ここで、オフセット量kdは、サージ圧Psをオフセット量設定用マップに適用して求めることができる。オフセット量設定用マップは、サージ圧Psとオフセット量kdとの関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図14は、第1パージ通路62の断面積に比して第2パージ通路63の断面積が小さいときのオフセット量設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、オフセット量kdは、サージ圧Psの負の値としての絶対値が大きいほど負の値としての絶対値が大きくなるように設定される。これは、サージ圧Psが負の値としての絶対値が大きいほど、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路63の断面積に基づく影響が大きくなることに基づく。なお、第1パージ通路62や第2パージ通路63が管によって構成されている場合、断面積は管径の2乗に比例するから、第1パージ通路62の断面積に対する第2パージ通路63の断面積に基づく影響は、第1パージ通路62の管径に対する第2パージ通路の管径に基づく影響と言い換えることができる。
そして、エゼクタ圧Pejとサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値とを比較する(ステップS730)。そして、エゼクタ圧Pejがサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値以上である(負の値としての絶対値が以下である)と判定したときには、蒸発燃料ガスが第1パージ通路62に支配的に流れる(支配パージが下流パージである)と判断し、支配パージフラグFpdに値0を設定して(ステップS740)、本ルーチンを終了する。
ステップS730でエゼクタ圧Pejがサージ圧Psからオフセット量kdを減じた値よりも小さい(負の値としての絶対値が大きい)と判定したときには、蒸発燃料ガスが第2パージ通路63に支配的に流れる(支配パージが上流パージである)と判断し、支配パージフラグFpdに値1を設定して(ステップS750)、本ルーチンを終了する。
図12の支配パージ判定ルーチンについて説明した。図10および図11のサブ処理ルーチンの説明に戻る。ステップS600でデータを入力すると、パージ制御バルブ65の開度Opvを用いてパージを実行しているか否かを判定する(ステップS610)。パージを実行していないと判定したときには、パージ未実行カウンタCnpを前回値から値1だけカウントアップする(ステップS614)。ここで、パージ未実行カウンタCnpは、パージの未実行時間に関連するカウンタである。このパージ未実行カウンタCnpは、現在のトリップを開始するときに、初期値としての値0が設定される。
ステップS610でパージを実行していると判定したときには、支配パージフラグFpdの値を調べる(ステップS612)。支配パージフラグFpdが値0のとき、即ち、支配パージが下流パージであるときには、パージ未実行カウンタCnpを、前回値から値1だけカウントダウンして更にこれを値0で制限(下限ガード)して更新する(ステップS616)。支配パージフラグFpdが値1のとき、即ち、支配パージが上流パージであるときには、パージ未実行カウンタCnpを前回値で保持する(ステップS618)。
続いて、パージを実行しているか否かを判定すると共に(ステップS620)、支配パージフラグFpdの値を調べる(ステップS622)。ステップS620でパージを実行していると判定し、且つ、ステップS622で支配パージフラグFpdが値0のとき即ち支配パージが下流パージであるときには、下流パージ積算カウンタCpdnを前回値から値1だけカウントアップして更新する(ステップS624)。ここで、下流パージ積算カウンタCpdnは、現在のトリップでパージを実行していて且つ支配パージが下流パージである積算時間に関連するカウンタである。この下流パージ積算カウンタCpdnは、現在のトリップを開始するときに、初期値としての値0が設定される。ステップS620でパージを実行していないと判定したときや、ステップS622で支配パージフラグFpdが値1のとき即ち支配パージが上流パージであるときには、下流パージ積算カウンタCpdnを前回値で保持する(ステップS626)。
図15は、パージの実行の有無と支配パージフラグFpdとパージ未実行カウンタCnpと下流パージ積算カウンタCpdnとの様子の一例を示す説明図である。最初に、パージ未実行カウンタCnpについて説明する。支配パージフラグFpdが値0のときにおいて(~時刻t21、時刻t22~)、パージを実行していないときには、パージ未実行カウンタCnpをカウントアップし、パージを実行しているときには、パージ未実行カウンタCnpをカウントダウンする。また、支配パージフラグFpdが値1のときにおいて(時刻t21~t22)、パージを実行していないときには、パージ未実行カウンタCnpをカウントアップし、パージを実行しているときには、パージ未実行カウンタCnpを保持する。パージの未実行時間(パージ制御バルブ65の閉弁継続時間)が長いほど、パージ制御バルブ65よりも燃料タンク11側の実際のパージ濃度が高くなるから、図4のパージ補正量設定ルーチンにより設定されるパージ濃度関連値Cpと、実際のパージ濃度に対応するパージ濃度関連値である理想パージ濃度関連値Cpthと、の乖離が大きくなり、パージ濃度関連値Cpの信頼性が低くなる。したがって、パージ未実行カウンタCnpが低いほどパージ濃度関連値Cpの信頼性が高くなると想定される。また、パージを実行しているときにおいて、支配パージが上流パージであるときには、支配パージが下流パージであるときに比して、蒸発燃料ガスがエンジン12の燃焼室30に至るまでの経路容積が大きいことや、過給圧Pcやエゼクタ69のエゼクタ圧の変動が生じることなどの理由により、燃料噴射制御によりフロント空燃比AF1が不安定になりやすく、パージ濃度関連値Cpの信頼性が低くなりやすい。このため、実施例では、パージを実行しているときにおいて、支配パージが下流パージであるときには、パージ未実行カウンタCnpをカウントダウンするのに対し、支配パージが上流パージであるときには、パージ未実行カウンタCnpを保持するものとした。
続いて、下流パージ積算カウンタCpdnについて説明する。支配パージフラグFpdが値0のときにおいて(~時刻t21、時刻t22~)、パージを実行していないときには、下流パージ積算カウンタCpdnを保持し、パージを実行しているときには、下流パージ積算カウンタCpdnをカウントアップする。また、支配パージフラグFpdが値1のときには(時刻t21~t22)、パージの実行の有無に拘わらずに、下流パージ積算カウンタCpdnを保持する。現在のトリップにおいて、下流パージの積算時間が多いほど、下流パージでのパージ濃度関連値Cpの設定回数(学習回数)が多くなり、パージ濃度関連値Cpの信頼性が高くなる。したがって、下流パージ積算カウンタCpdnが大きいほどパージ濃度関連値Cpの信頼性が高くなると想定される。なお、上述したように、パージを実行しているときにおいて、支配パージが上流パージであるときには、支配パージが下流パージであるときに比して、パージ濃度関連値Cpの信頼性が低くなりやすい。このため、実施例では、パージを実行しているときにおいて、支配パージが下流パージであるときには、下流パージ積算カウンタCpdnをカウントアップするのに対し、支配パージが上流パージであるときには、下流パージ積算カウンタCpdnを保持するものとした。
こうしてパージ未実行カウンタCnpや下流パージ積算カウンタCpdnを設定すると、パージ未実行カウンタCnpに基づいて上限ガード値Rpgd1を設定する(ステップS640)。ここで、上限ガード値Rpgd1は、パージ未実行カウンタCnpを上限ガード値設定用マップに適用して求めることができる。上限ガード値設定用マップは、パージ未実行カウンタCnpと上限ガード値Rpgd1との関係として予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図16は、上限ガード値設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、上限ガード値Rpgd1は、パージ未実行カウンタCnpが大きいほど小さくなるように設定される。
続いて、パージを実行しているか否かを判定し(ステップS650)、パージを実行していないと判定したときには、最大パージ率記憶値Rpmaxsrを前回値で保持する(ステップS654)。ステップS650でパージを実行していると判定したときには、支配パージフラグFpdの値を調べる(ステップS652)。支配パージフラグFpdが値0のとき、即ち、支配パージが下流パージであるときには、式(2)に示すように、要求パージ率Rprqおよび前回の最大パージ率記憶値(前回Rpmaxsr)のうちの最大値を上限ガード値Rpgd1で制限(上限ガード)して最大パージ率記憶値Rpmaxsrを設定すると共に(ステップS656)、設定した最大パージ率記憶値Rpmaxsrを上限ガード値Rpgd2に設定する(ステップS657)。ここで、支配パージフラグFpdが値0のときの最大パージ率記憶値Rpmaxsrは、現在のトリップにおける、支配パージフラグFpdが値0のときの要求パージ率Rprqの最大値に関連する記憶値である。
Rpmaxsr=min(max(Rprq, 前回Rpmaxsr), Rpgd1) (2)
ステップS652で支配パージフラグFpdが値1のとき、即ち、支配パージが上流パージであるときには、式(3)に示すように、要求パージ率Rprqおよび前回の最大パージ率記憶値(前回Rpmaxsr)のうちの最大値を上限ガード値Rpgd1,Rpgd2で制限(上限ガード)して最大パージ率記憶値Rpmaxsrを設定する(ステップS658)。ここで、支配パージフラグFpdが値1のときの最大パージ率記憶値Rpmaxsrは、現在のトリップにおける、支配パージフラグFpdが値1のときの要求パージ率Rprqの最大値を、支配パージフラグFpdが値0のときの要求パージ率Rprqの最大値(上限ガード値Rpgd2)で制限(上限ガード)して得られる値に関連する記憶値である。実施例では、このようにして、支配パージフラグFpdが値1のときの最大パージ率記憶値Rpmaxsrを、支配パージフラグFpdが値0のときの最大パージ率記憶値Rpmaxsrを超えないように設定するものとした。
Rprssr=min(max(Rprq, 前回Rpmaxsr), Rpgd1, Rpgd2) (3)
続いて、パージを実行しているか否かを判定すると共に(ステップS660)、支配パージフラグFpdの値を調べる(ステップS662)。ステップS660でパージを実行していないと判定したときや、ステップS662で支配パージフラグFpdが値1のとき即ち支配パージが上流パージであるときには、再開パージ率用記憶値Rprssrを前回値で保持する(ステップS664)。ステップS660でパージを実行していると判定し、且つ、ステップS662で支配パージフラグFpdが値0のとき即ち支配パージが下流パージであるときには、式(4)に示すように、要求パージ率Rprqおよび最大パージ率記憶値Rpmaxsrのうちの最大値を上限ガード値Rpgd1で制限(上限ガード)して再開パージ率用記憶値Rprssrを設定する(ステップS666)。ここで、再開パージ率用記憶値Rprssrは、上述の値Rprs1(過給域フラグFcが値0のときの再開パージ率Rprs)を設定するのに用いられる記憶値である。
Rprssr=min(max(Rprq, Rpmaxsr), Rpgd1) (4)
こうして再開パージ率用記憶値Rprssrを設定すると、設定した再開パージ率用記憶値Rprssrと下流パージ積算カウンタCpdnとに基づいて値Rprs1(過給域フラグFcが値0のときの再開パージ率Rprs)を設定する(ステップS670)。ここで、値Rprs1は、例えば、再開パージ率用記憶値Rprssrに下流パージ積算カウンタCpdnに基づく反映係数kpdnを乗じて設定することができる。反映係数kpdnは、下流パージ積算カウンタCpdnを反映係数設定用マップに適用して求めることができる。反映係数設定用マップは、下流パージ積算カウンタCpdnと反映係数kpdnとの関係として予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図17は、反映係数設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、反映係数kpdnは、値0以上で且つ値1以下の範囲内で、下流パージ積算カウンタCpdnが大きいほど大きくなるように設定される。
したがって、値Rprs1(過給域フラグFcが値0のときの再開パージ率Rprs)は、再開パージ率用記憶値Rprssr以下の範囲内で、下流パージ積算カウンタCpdnが大きいほど大きくなる。上述したように、下流パージ積算カウンタCpdnが大きいほどパージ濃度関連値Cpの信頼性が高くなると想定される。このため、下流パージ積算カウンタCpdnが比較的大きいときには、再開パージ率Rprs1を比較的大きくすることにより、パージを比較的大きいパージ率で再開することができる。また、実施例では、パージ未実行カウンタCnpが大きいほど、上限ガード値Rpgd1が小さくなるから、最大パージ率記憶値Rpmaxsrや再開パージ率用記憶値Rprssrが小さくなりやすく、値Rprs1が小さくなりやすい。上述したように、パージ未実行カウンタCnpが低いほどパージ濃度関連値Cpの信頼性が高くなると想定されるから、パージ未実行カウンタCnpが比較的大きいときに、パージを比較的大きいパージ率で再開すると、フロント空燃比AF1が不安定になりやすい。これに対して、パージ未実行カウンタCnpが大きいほど、上限ガード値Rpgd1を小さくして、最大パージ率記憶値Rpmaxsrや再開パージ率用記憶値Rprssrを小さくなりやすくし、値Rprs1を小さくなりやすくすることにより、パージを再開したときに、フロント空燃比AF1が不安定になるのを抑制することができる。
続いて、最大パージ率記憶値Rpmaxsrに基づいて値ΔRp1(過給域フラグFcが値0のときの更新量ΔRp)を設定する(ステップS680)。ここで、値ΔRp1は、最大パージ率記憶値Rpmaxsrを自然吸気域の更新量設定用マップに適用して求めることができる。自然吸気域の更新量設定用マップは、最大パージ率記憶値Rpmaxsrと値ΔRp1との関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図18は、自然吸気域の更新量設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、値ΔRp1は、最大パージ率記憶値Rpmaxsrが大きいほど大きくなるように設定される。最大パージ率記憶値Rpmaxsrが大きいほど現在のトリップでそれまでにパージ率を大きくしているから、値ΔRp1を大きくしてよいと想定される。
そして、下流パージ積算カウンタCpdnと冷却水温Twとに基づいて値Rptg1(過給域フラグFcが値0のときの目標パージ率Rptg)を設定して(ステップS690)、本ルーチンを終了する。ここで、値Rptg1は、下流パージ積算カウンタCpdnと冷却水温Twとを自然吸気域の目標パージ率設定用マップに適用して求めることができる。自然吸気域の目標パージ率設定用マップは、下流パージ積算カウンタCpdnおよび冷却水温Twと値Rptg1との関係として実験や解析により予め定められ、図示しないROMやフラッシュメモリに記憶されている。図19は、自然吸気域の目標パージ率設定用マップの一例を示す説明図である。図示するように、値Rptg1は、下流パージ積算カウンタCpdnが大きいほど大きくなり、且つ、冷却水温Twが高いほど大きくなるように設定される。上述したように、下流パージ積算カウンタCpdnが大きいほどパージ濃度関連値Cpの信頼性が高くなると想定される。また、冷却水温Twが高いほどエンジン12での燃焼が安定してフロント空燃比AF1が安定すると想定される。これらのことから、下流パージ積算カウンタCpdnが大きいほど且つ冷却水温Twが高いほど値Rptg1を大きくてよいと想定される。
実施例のエンジン装置10では、支配パージフラグFpdに基づいて、パージ未実行カウンタCnpや下流パージ積算カウンタCpdn、最大パージ率記憶値Rpmaxsr、再開パージ率用記憶値Rprssrを設定するものとした。しかし、支配パージフラグFpdに代えて、上流パージ推定フラグFpupに基づいて、パージ未実行カウンタCnpや下流パージ積算カウンタCpdn、最大パージ率記憶値Rpmaxsr、再開パージ率用記憶値Rprssrを設定するものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、パージ未実行カウンタCnpに基づく上限ガード値Rpgd1を用いて最大パージ率記憶値Rpmaxsrや再開パージ率用記憶値Rprssrを設定するものとした。しかし、上限ガード値Rpgd1を用いずに最大パージ率記憶値Rpmaxsrや再開パージ率用記憶値Rprssrを設定するものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、エンジン12は、燃焼室30内に燃料を噴射する筒内噴射弁28を備えるものとした。しかし、エンジン12は、筒内噴射弁28に加えてまたは代えて、吸気ポートに燃料を噴射するポート噴射弁を備えるものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、過給機40は、吸気管23に配置されるコンプレッサ41と排気管35に配置されるタービン42とが回転軸43を介して連結されるターボチャージャとして構成されるものとした。しかし、これに代えて、エンジン12やモータにより駆動されるコンプレッサが吸気管23に配置されるスーパーチャージャとして構成されるものとしてもよい。
実施例のエンジン装置10では、蒸発燃料処理装置50において、共通通路61は、導入通路52のキャニスタ56付近に接続されるものとした。しかし、キャニスタ56に接続されるものとしてもよい。
実施例では、一般的な自動車や各種のハイブリッド自動車に搭載されるエンジン装置10の形態とした。しかし、自動車以外の車両に搭載されるエンジン装置の形態としてもよいし、建設設備などの移動しない設備に搭載されるエンジン装置の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン12が「エンジン」に相当し、過給機40が「過給機」に相当し、蒸発燃料処理装置50が「蒸発燃料処理装置」に相当し、電子制御ユニット70が「制御装置」に相当する。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、エンジン装置の製造産業などに利用可能である。
10 エンジン装置、11 燃料タンク、11a 内圧センサ、12 エンジン、14 クランクシャフト、14a クランクポジションセンサ、16 水温センサ、17 低圧側燃料通路、18 高圧ポンプ、19 高圧側燃料通路、22 エアクリーナ、23 吸気管、23a エアフローメータ、23b 吸気圧センサ、23c 過給圧センサ、24 バイパス管、25 インタークーラ、26 スロットルバルブ、26a スロットルポジションセンサ、27 サージタンク、27a サージ圧センサ、27b 温度センサ、28 筒内噴射弁、28a 燃圧センサ、29 吸気バルブ、30 燃焼室、31 点火プラグ、32 ピストン、34 排気バルブ、35 排気管、35a フロント空燃比センサ、35b リヤ空燃比センサ、36 バイパス管、37,38 浄化装置、40 過給機、41 コンプレッサ、42 タービン、43 回転軸、44 ウェイストゲートバルブ、45 ブローオフバルブ、50 蒸発燃料処理装置、52 導入通路、53 開閉バルブ、54 バイパス通路、54a,54b 分岐部、55a,55b リリーフバルブ、55b リリーフバルブ、56 キャニスタ、57 大気開放通路、58 エアフィルタ、61 共通通路、61a 分岐点、62 第1パージ通路、63 第2パージ通路、63a OBD用センサ、64 バッファ部、65 パージ制御バルブ、65a パージ制御バルブポジションセンサ、66 逆止弁、67 逆止弁、68 還流通路、69 エゼクタ、70 電子制御ユニット。

Claims (1)

  1. 吸気管に配置されたスロットルバルブを有し、燃料タンクから供給される燃料を用いて動力を出力するエンジンと、
    前記吸気管の前記スロットルバルブよりも上流側に配置されたコンプレッサを有する過給機と、
    前記燃料タンク内で発生した蒸発燃料を含む蒸発燃料ガスを前記吸気管の前記スロットルバルブよりも下流側に接続された第1パージ通路と第2パージ通路とに分岐して前記吸気管に供給する供給通路と、前記吸気管の前記コンプレッサと前記スロットルバルブとの間からの還流通路に吸気ポートが接続され且つ前記吸気管の前記コンプレッサよりも上流側に排気ポートが接続され且つ前記第2パージ通路に吸引ポートが接続されたエゼクタと、前記供給通路に設けられたパージ制御バルブと、を有する蒸発燃料処理装置と、
    前記蒸発燃料ガスを前記吸気管に供給するパージを実行するときには、要求パージ率に基づいて前記パージ制御バルブを制御する制御装置と、
    を備えるエンジン装置であって、
    前記制御装置は、前記パージを実行するときにおいて、過給域では、自然吸気域に比して小さくなるように前記要求パージ率を設定する、
    エンジン装置。
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