JP2022013865A - 超音波診断装置、出力方法、及び出力プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】疾患の見落としを低減することである。【解決手段】実施形態に係る超音波診断装置は、推定部と、判定部と、出力制御部とを備える。推定部は、超音波画像データを用いて計測された計測値に基づいて、健康状態を推定する。判定部は、推定された前記健康状態に基づいて、前記健康状態の診断に用いられる追加検査を判定する。出力制御部は、前記健康状態及び前記追加検査を表す情報を出力する。【選択図】図1
Description
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置、出力方法、及び出力プログラムに関する。
超音波診断装置は、圧電振動子から発生する超音波を生体内に照射し、生体内で反射した超音波を受信することで、生体内の状態を画像化(撮像)する装置である。超音波診断装置による撮像はリアルタイム性、非侵襲性を備えるため、様々な疾患の検査において広く利用されている。
超音波診断装置では、撮像方式が異なる複数の撮像モード(「スキャンモード」、「撮影モード」等とも呼ばれる)が利用されている。撮像モードとしては、Bモード画像データを撮像するBモード、Mモード画像データを撮像するMモード、カラードプラ画像データを撮像するカラードプラモード、パルス波(Pulse Wave:PW)ドプラ法によりドプラ波形データを撮像するPWドプラモード、連続波(Continuous Wave:CW)ドプラ法によりドプラ波形データを撮像するCWドプラモード、及びエラストグラフィにより生体組織の硬さを表す硬さ画像を撮像するエラストモード等、様々な撮像モードが存在する。これらの撮像モードは、検査目的に応じて使い分けられる。
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、疾患の見落としを低減することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
実施形態に係る超音波診断装置は、推定部と、判定部と、出力制御部とを備える。推定部は、超音波画像データを用いて計測された計測値に基づいて、健康状態を推定する。判定部は、推定された前記健康状態に基づいて、前記健康状態の診断に用いられる追加検査を判定する。出力制御部は、前記健康状態及び前記追加検査を表す情報を出力する。
以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置、出力方法、及び出力プログラムを説明する。なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用可能である。
(実施形態)
図1を用いて、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を説明する。図1は、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力インタフェース102と、ディスプレイ103とを有する。超音波プローブ101、入力インタフェース102、及びディスプレイ103は、装置本体100に接続される。なお、被検体Pは、超音波診断装置1の構成に含まれない。
図1を用いて、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を説明する。図1は、実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力インタフェース102と、ディスプレイ103とを有する。超音波プローブ101、入力インタフェース102、及びディスプレイ103は、装置本体100に接続される。なお、被検体Pは、超音波診断装置1の構成に含まれない。
超音波プローブ101は、複数の振動子(例えば、圧電振動子)を有し、これら複数の振動子は、後述する装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101が有する複数の振動子は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、振動子に設けられる整合層と、振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号(エコー信号)として超音波プローブ101が有する複数の振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
なお、実施形態は、図1に示す超音波プローブ101が、複数の圧電振動子が一列で配置された1次元超音波プローブである場合や、一列に配置された複数の圧電振動子が機械的に揺動される1次元超音波プローブである場合、複数の圧電振動子が格子状に2次元で配置された2次元超音波プローブである場合のいずれであっても適用可能である。
入力インタフェース102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力インタフェース102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置であり、図1に示すように、送受信回路110と、信号処理回路120と、画像生成回路130と、画像メモリ140と、記憶回路150と、処理回路160とを有する。送受信回路110、信号処理回路120、画像生成回路130、画像メモリ140、記憶回路150、及び処理回路160は、相互に通信可能に接続される。
送受信回路110は、超音波プローブ101を制御することで、超音波走査(超音波スキャン)を実行する。送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、後述する処理回路160の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
送受信回路110は、被検体Pの2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元方向に超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、送受信回路110は、被検体Pの3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元方向に超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
信号処理回路120は、例えば、送受信回路110から受信した反射波データに対して、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、サンプル点ごとの信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。信号処理回路120により生成されたBモードデータは、画像生成回路130に出力される。なお、Bモードデータは、スキャンデータの一例である。
また、信号処理回路120は、例えば、送受信回路110から受信した反射波データより、移動体のドプラ効果に基づく運動情報を、走査領域内の各サンプル点で抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。具体的には、信号処理回路120は、反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。ここで、移動体とは、例えば、血流や、心壁等の組織、造影剤である。信号処理回路120により得られた運動情報(血流情報)は、画像生成回路130に送られ、平均速度画像、分散画像、パワー画像、若しくはこれらの組み合わせ画像としてディスプレイ103にカラー表示される。なお、ドプラデータは、スキャンデータの一例である。
画像生成回路130は、信号処理回路120により生成されたデータから超音波画像データを生成する。画像生成回路130は、信号処理回路120が生成したBモードデータから反射波の強度を輝度で表したBモード画像データを生成する。また、画像生成回路130は、信号処理回路120が生成したドプラデータから移動体情報を表すドプラ画像データを生成する。ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
ここで、画像生成回路130は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路130は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路130は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路130は、超音波画像データに、付帯情報(種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等)を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路130が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、画像生成回路130は、信号処理回路120が3次元のスキャンデータ(3次元Bモードデータ及び3次元ドプラデータ)を生成した場合、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、ボリュームデータを生成する。そして、画像生成回路130は、ボリュームデータに対して、各種レンダリング処理を行って、表示用の2次元画像データを生成する。
画像メモリ140は、画像生成回路130が生成した表示用の画像データ(表示用画像)を記憶するメモリである。また、画像メモリ140は、信号処理回路120が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ140が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路130を経由して表示用の超音波画像データとなる。
記憶回路150は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路150は、必要に応じて、画像メモリ140が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、記憶回路150が記憶するデータは、図示しないインタフェースを介して、外部装置へ転送することができる。
処理回路160は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路160は、入力インタフェース102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路150から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、信号処理回路120、及び画像生成回路130の処理を制御する。また、処理回路160は、画像メモリ140が記憶する表示用の超音波画像データをディスプレイ103にて表示するように制御する。
また、処理回路160は、図1に示すように、計測機能161、推定機能162、判定機能163、出力制御機能164、及び切替機能165を実行する。計測機能161は、計測部の一例である。推定機能162は、推定部の一例である。判定機能163は、判定部の一例である。出力制御機能164は、出力制御部の一例である。切替機能165は、切替部の一例である。
ここで、例えば、図1に示す処理回路160の構成要素である計測機能161、推定機能162、判定機能163、出力制御機能164、及び切替機能165が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で超音波診断装置1の記憶装置(例えば、記憶回路150)に記録されている。処理回路160は、各プログラムを記憶装置から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路160は、図1の処理回路160内に示された各機能を有することとなる。なお、計測機能161、推定機能162、判定機能163、出力制御機能164、及び切替機能165が実行する各処理機能については、後述する。
上記説明において用いた「プロセッサ(回路)」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路150に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路150にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
ところで、医師は、ガイドラインに沿って診断を行う場合がある。例えば、医師は、患者の症状や問診等から循環器系の不調が疑われる場合には、まず、左室拡張能評価を所定のガイドラインに沿って行う。一例としては、左心室の体積、僧帽弁口血流速、僧帽弁輪運動速などがガイドラインに沿って計測され、医師による診断が行われる。
しかしながら、計測値がガイドラインで異常と定義されているか否かについては、医師が自分で判断する必要がある。このため、経験や知識が浅い医師は、計測値が異常値に該当するか否かを認識できず、疾患を見落としてしまう場合がある。
そこで、本実施形態に係る超音波診断装置1は、疾患の見落としを低減するために、以下の処理を実行する。なお、以下の説明では、超音波診断装置1が循環器系の疾患の診断に利用される場合を説明するが、これに限定されるものではない。本実施形態に係る超音波診断装置1は、任意の疾患の診断に適用可能である。また、以下で説明される各検査項目もあくまで一例であり、任意の検査項目が適用可能である。
図2を用いて、実施形態に係る超音波診断装置1における処理手順を説明する。図2は、実施形態に係る超音波診断装置1における処理手順を示すフローチャートである。図2では、図3~図7を参照しつつ説明する。
図2に示す処理手順は、例えば、撮像(超音波スキャン)を開始する旨の指示が操作者によって入力されることにより開始される。なお、図2に示す処理手順は、図2に示した順序に限定されるものではなく、処理内容に矛盾しない範囲内で任意に変更可能である。
図2に示すように、超音波診断装置1は、撮像を開始する旨の指示が操作者によって入力された場合に(ステップS101肯定)、ステップS102以降の処理を開始する。なお、撮像を開始する旨の指示が入力されるまで(ステップS101否定)、ステップS102以降の処理は開始されず、図2の処理は待機状態である。
撮像が開始される旨の指示が入力されると(ステップS101肯定)、送受信回路110は、超音波スキャンを実行する(ステップS102)。例えば、送受信回路110は、超音波プローブ101を制御することで、被検体Pの体内へ超音波を送信させる。また、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。そして、信号処理回路120は、送受信回路110によって生成された反射波データからスキャンデータを生成する。
続いて、画像生成回路130は、超音波画像データを生成・表示する(ステップS103)。例えば、画像生成回路130は、信号処理回路120によって生成されたスキャンデータから超音波画像データを生成する。そして、処理回路160(出力制御機能164)は、生成された超音波画像データをディスプレイ103に表示させる。
図3を用いて、実施形態に係る超音波画像データの表示例を説明する。図3は、実施形態に係る超音波画像データの表示例を示す図である。図3の上段には、Bモード画像データを例示する。図3の下段には、速度画像データを例示する。
図3に示すように、例えば、出力制御機能164は、Bモード画像データと速度画像データとをディスプレイ103に表示させる。Bモード画像データには、血流速度の計測位置を示す計測キャリパーが描出される。速度画像データは、計測キャリパーによって示される計測位置でCWドプラモードによって計測された血流速度の時系列変化を示す。
そして、計測機能161は、超音波画像データを用いて計測を実行する(ステップS104)。例えば、計測機能161は、超音波画像データに基づいて、複数の計測項目それぞれについて計測して、計測値を得る。
一例としては、計測機能161は、「EF」、「MV E/e’」、及び「MV e’ Vel sep」の3つの計測項目それぞれを計測する。ここで、「EF」は、左心室の駆出率(Ejection Fraction:EF)を表す。また、「MV E/e’」は、僧帽弁口血流速波形の拡張早期波(E)と、僧帽弁輪運動速波形の拡張早期波(e’)の比を表す。また、「MV e’ Vel sep」は、僧帽弁輪部の中隔側(Sep)における運動速度を表す。
なお、計測項目の種類は、「EF」、「MV E/e’」、及び「MV e’ Vel sep」に限定されるものではなく、任意の計測項目を設定可能である。また、各計測項目の計測方法については、公知の技術を任意に適用可能である。
そして、推定機能162は、計測値に基づいて、疾患を推定する(ステップS105)。例えば、推定機能162は、疾患と計測値の条件とが対応付けられた情報(疾患推定テーブル)を参照することで、計測機能161によって計測された計測値から疾患を推定する。
図4を用いて、実施形態に係る推定機能162の処理を説明する。図4は、実施形態に係る推定機能162の処理を説明するための図である。図4には、推定機能162によって参照される疾患推定テーブルを例示する。なお、疾患推定テーブルは、例えば、記憶回路150に予め記憶されている。
図4に示すように、疾患推定テーブルには、疑われる疾患「左室拡張不全」と、計測値の条件「EF、MV E/e’、MV e’ Vel sepのうち2項目以上が正常値を逸脱」とが対応付けられている。これは、「EF」、「MV E/e’」、「MV e’ Vel sep」のうち2項目以上が正常値を逸脱している場合には、左室拡張不全が疑われることを示す。なお、図4には、左室拡張不全の例を記載したが、他の疾患についても同様に記憶される。
例えば、推定機能162は、計測機能161によって計測された計測値と、疾患推定テーブルの「計測値の条件」とを照合する。具体的には、各計測値は、閾値によって正常値/異常値が判別される。例えば、「EF」は、50[%]以上が正常値であり、50[%]未満が異常値である。また、「MV E/e’」は、14未満が正常値であり、14以上が異常値である。また、「MV e’ Vel sep」は、7[cm/s]以上が正常値であり、7[cm/s]未満が異常値である。
ここで、例えば、「EF」が正常値であり、「MV E/e’」及び「MV e’ Vel sep」が異常値である場合には、「EF、MV E/e’、MV e’ Vel sepのうち2項目以上が正常値を逸脱」に該当する。この場合、推定機能162は、被検体Pが「左室拡張不全」であると推定する。
なお、上述した推定機能162の処理はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、推定機能162の処理は、ガイドラインに沿って任意に設定可能である。また、疾患を推定する処理は、閾値を用いた処理に限らず、例えば、疾患の推定用に構築された学習済みモデル等を適用することも可能である。
また、推定機能162によって推定された疾患(疾患の名称)は、医師による診断の一助とするために推定されるものであり、診断を確定させるためのものではない。最終的な診断は医師により行われるものである。
そして、判定機能163は、推定された疾患に基づいて、追加検査を判定する(ステップS106)。例えば、判定機能163は、疾患と追加検査とが対応付けられた情報(追加検査テーブル)を参照することで、推定機能162によって推定された疾患に対応する追加検査を判定する。
図5を用いて、実施形態に係る判定機能163の処理を説明する。図5は、実施形態に係る判定機能163の処理を説明するための図である。図5には、判定機能163によって参照される追加検査テーブルを例示する。なお、追加検査テーブルは、例えば、記憶回路150に予め記憶されている。
図5に示すように、追加検査テーブルには、疑われる疾患「左室拡張不全」と、追加検査「TR Velocity、LA Volume」とが対応付けられている。これは、左室拡張不全が疑われる場合には、「TR Velocity」及び「LA Volume」の2つの検査項目が、追加検査として判定されることを示す。なお、図5には、左室拡張不全の例を記載したが、他の疾患についても同様に記憶される。
例えば、判定機能163は、追加検査テーブルを参照し、推定機能162によって推定された疾患に対応する追加検査を判定する。図5の例では、判定機能163は、「TR Velocity」及び「LA Volume」の2つの検査項目を、「左室拡張不全」の追加検査として判定する。
ここで、判定機能163は、超音波画像データを撮像した現在の撮像モードに基づいて、追加検査を判定する。例えば、判定機能163は、追加検査の候補が複数存在する場合に、複数の追加検査の候補それぞれの優先度を判定する。
一例としては、判定機能163は、複数の追加検査の候補それぞれの優先度を、現在の撮像モードと同一の撮像モードで実施される追加検査であるか否かに基づいて判定する。なお、図5にて判定された追加検査「TR Velocity」は、CWドプラモードによって計測され、「LA Volume」は、Bモードによって計測される。
ここで、現在の撮像モードがCWドプラモードである場合、判定機能163は、同じ撮像モードによって計測される「TR Velocity」の優先度が高いと判定し、異なる撮像モードによって計測される「LA Volume」の優先度が低いと判定する。この結果、「TR Velocity」の優先順位が「1」となり、「LA Volume」の優先順位が「2」となる。なお、優先順位は、数値が低いほど優先度が高いことを示す。
なお、上述した判定機能163の処理はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、上記の説明では、優先度の高低を優先順位で示す場合を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、優先度は、数値が高いほど高い値として定義されても良い。
そして、出力制御機能164は、疾患及び追加検査を表す情報を表示する(ステップS107)。例えば、出力制御機能164は、複数の追加検査の候補それぞれの優先度と、複数の追加検査とを表す情報をディスプレイ103に表示させる。
図6を用いて、実施形態に係る表示画面の一例を説明する。図6は、実施形態に係る表示画面の一例を示す図である。図6には、「計測結果」、「疑われる疾患」、及び「追加検査」を含むウインドウを例示する。
図6に示すように、出力制御機能164は、「計測結果」、「疑われる疾患」、及び「追加検査」を含むウインドウをディスプレイ103に表示させる。ここで、「計測結果」は、この時点までの処理によって計測された計測項目と、その計測値と、各計測値が異常である旨を示す情報とを含む。
例えば、出力制御機能164は、「計測結果」として、計測機能161によって計測済みの「EF」、「MV E/e’」、及び「MV e’ Vel sep」の3つの計測項目を表示する。図6の例では、「EF」は50.8[%]であり、「MV E/e’」は12.8であり、「MV e’ Vel sep」は6.4[cm/s]である。また、出力制御機能164は、各計測値が異常である旨の示す情報として「*」を表示する。図6の例では、出力制御機能164は、「MV E/e’」及び「MV e’ Vel sep」の右側に「*」を表示する。これは、「MV E/e’」及び「MV e’ Vel sep」が異常値であったことを示す。
なお、図示の都合上、計測値が異常である旨を「*」で表示する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、計測値の色を他の文字と異なる色(例えば、赤)で示しても良いし、下線や枠線を用いて表示してもよい。
また、出力制御機能164は、「疑われる疾患」として、推定機能162によって推定された「左室拡張不全」を表示する。なお、推定機能162によって複数の疾患が疑われると推定された場合には、複数の疾患が表示されてもよい。
また、出力制御機能164は、「追加検査」として、判定機能163によって判定された追加検査を、優先度とともに表示する。一例としては、出力制御機能164は、優先順位の順に、「1.TR Velocity」及び「2.LA Volume」を表示する。
なお、上述した出力制御機能164の処理はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、出力制御機能164による出力形態は、表示に限定されるものではなく、音声や振動パターン等の手段によって出力されても良い。また、出力制御機能164は、出力対象となる情報を外部装置(超音波診断装置1とは異なる任意の装置)に送信し、送信先の外部装置にて任意の出力形態で出力しても良い。
そして、切替機能165は、追加検査の撮像モードと現在の撮像モードが異なるか否かを判定する(ステップS108)。このとき、追加検査が複数存在する場合には、切替機能165は、優先度が最も高い追加検査の撮像モードと、現在の撮像モードとが異なるか否かを判定する。
ここで、追加検査の撮像モードと現在の撮像モードが異なると判定された場合には(ステップS108肯定)、切替機能165は、撮像モードを切り替える(ステップS109)。例えば、追加検査の撮像モードが「Bモード」であり、現在の撮像モードが「CWドプラモード」である場合には、切替機能165は、撮像モードを「CWドプラモード」から「Bモード」に切り替える。一方、追加検査の撮像モードと現在の撮像モードが異なると判定されない場合には(ステップS108否定)、切替機能165は、ステップS109の処理を実行せずに、ステップS110の処理へ移行する。
そして、送受信回路110は、追加検査の超音波スキャンを実行する(ステップS110)。そして、画像生成回路130は、追加検査の超音波画像データを生成・表示する。また、計測機能161は、追加検査の超音波画像データを用いて計測を実行する。追加検査の計測が実行されると、出力制御機能164は、表示画面を更新する。
図7を用いて、実施形態に係る追加検査後の表示画面の一例を説明する。図7は、実施形態に係る追加検査後の表示画面の一例を示す図である。図7に示す表示画面は、図6に示した表示画面が追加検査「TR Velocity」の実行によって更新されたものである。
図7に示すように、出力制御機能164は、追加検査「TR Velocity」による計測値を、「計測結果」の欄に追加する。図7に示す例では、「TR Velocity」の計測値は、3.0[m/s]である。また、出力制御機能164は、各計測値が異常である旨の示す情報として「*」を表示する。なお、「TR Velocity」は、2.8[m/s]以上で異常であると判定される。
また、出力制御機能164は、追加検査「TR Velocity」の実行に伴って、「追加検査」の項目から「TR Velocity」を削除するとともに、残りの追加検査の優先順位を一つずつ繰り上げる。この結果、出力制御機能164は、図7の「追加検査」として、「1.LA Volume」を表示する。
そして、処理回路160は、全ての追加検査が完了したか否かを判定する(ステップS111)。追加検査が残存する場合には(ステップS111否定)、処理回路160は、ステップS108の処理へ移行する。全ての追加検査が完了した場合には(ステップS111肯定)、処理回路160は、図2の処理を終了する。
上述してきたように、実施形態に係る超音波診断装置1において、推定機能162は、超音波画像データを用いて計測された計測値に基づいて、疾患を推定する。判定機能163は、推定された疾患に基づいて、疾患の診断に用いられる追加検査を判定する。出力制御機能164は、疾患及び追加検査を表す情報を出力する。これによれば、超音波診断装置1は、疾患の見落としを低減することができる。例えば、経験や知識が浅い医師であっても、超音波診断装置1により提示される疾患及び追加検査を参照することで、疾患の見落としを低減することができる。
また、例えば、超音波診断装置1は、現在の撮像モードに基づいて追加検査を判定する。例えば、超音波診断装置1は、追加検査の候補が複数存在する場合に、現在の撮像モードと同一の撮像モードを優先的に提示する。これにより、超音波診断装置1は、追加検査が複数ある場合にも撮像モードの切り替え回数を最小限に留めることができるので、一連の検査をスムーズに行うことができる。
また、例えば、超音波診断装置1は、追加検査の撮像モードと現在の撮像モードとが異なる場合に、撮像モードを自動的に切り替える。これにより、超音波診断装置1は、操作者(医師)による切り替えの手間を低減させることができる。
従来より、超音波診断装置では様々な撮像モードが検査目的に応じて使い分けられている。しかしながら、撮像モードの種類が多岐にわたるほど、使いこなすには操作者の経験や知識が要求されてしまう。本実施形態に係る超音波診断装置1により、必要な追加検査を適宜提示しつつスムーズに行えるので、様々な撮像モードを搭載している強みを操作者の経験や知識に依らずに活用することができる
(適用例)
上述した実施形態の適用例について説明する。ここでは、上述した実施形態に係る超音波診断装置1が心不全の診断に適用される場合を説明する。
上述した実施形態の適用例について説明する。ここでは、上述した実施形態に係る超音波診断装置1が心不全の診断に適用される場合を説明する。
図8、図9、及び図10は、実施形態の適用例に係る超音波診断装置における処理手順を示すフローチャートである。なお、図9は、図8のステップS207の処理における詳細な処理手順を示すフローチャートである。また、図10は、図8のステップS212の処理における詳細な処理手順を示すフローチャートである。また、図8~図10では、図11及び図12を参照しつつ説明する。図11及び図12は、実施形態の適用例に係る入力画面の一例を示す図である。
図8に示す処理手順は、例えば、撮像(超音波スキャン)を開始する旨の指示が操作者によって入力されることにより開始される。
図8に示すように、超音波診断装置1は、撮像を開始する旨の指示が操作者によって入力された場合に(ステップS201肯定)、ステップS202以降の処理を開始する。なお、撮像を開始する旨の指示が入力されるまで(ステップS201否定)、ステップS202以降の処理は開始されず、図8の処理は待機状態である。
撮像が開始される旨の指示が入力されると(ステップS201肯定)、送受信回路110は、Bモードスキャンを実行する(ステップS202)。そして、画像生成回路130は、Bモード画像データを生成・表示する。なお、ステップS202の処理は、図2のステップS102~ステップS103の処理に対応する。
続いて、計測機能161は、Bモード画像データを用いてEFを計測する(ステップS203)。ここで、「EF」は、上述した通り左心室の駆出率を表し、Bモード画像データから算出される左心室の体積変化に基づいて計測される。なお、ステップS203の処理は、図2のステップS104の処理に対応する。
そして、推定機能162は、EFが50未満であるか否かを判定する(ステップS204)。ここで、EFが50未満である場合には(ステップS204肯定)、推定機能162は、収縮性が低下した心不全と推定し(ステップS205)、ステップS213の処理へ移行する。一方、EFが50以上である場合には(ステップS204否定)、推定機能162は、左室収縮性が保持された心不全の可能性ありと推定し(ステップS206)、ステップS207の処理へ移行する。
なお、推定機能162によって推定される疾患は、必ずしも特定の「疾患名」でなくても良い。例えば、図8に示したように、推定機能162は、「収縮性が低下した心不全」や「左室収縮性が保持された心不全の可能性あり」といった「健康状態」を推定することも可能である。これらの推定処理は、例えば、予め設定されたテーブルや、所定の関数、閾値処理等によって実現される。
そして、推定機能162は、他の心疾患の可能性を確認する処理(処理A)を実行する(ステップS207)。処理Aの処理手順は、図9を用いて説明する。なお、図9の「A」は、図8の「A」に紐付けられており、ステップS213に移行することを示す。
図9に示すように、推定機能162は、予め設定された所見情報を受け付ける(ステップS301)。例えば、推定機能162は、図11に示す入力画面をディスプレイ103に表示させ、この入力画面を用いて予め設定された所見情報を受け付ける。なお、所見情報は、超音波画像データとは異なる「非画像情報」の一例である。
図11に示す例では、入力画面には、各種の所見と、その所見の有無を入力するためのラジオボタンとが対応付けて表示される。具体的には、入力画面には、先天性心疾患の所見、弁膜症の所見、左室拡大の所見、心膜疾患の所見、及び肺動脈性肺高血圧の所見について、その所見の有無を入力するためのラジオボタンが表示される。例えば、操作者(医師)は、図11に示す入力画面を参照し、被検体Pに該当する所見があれば、該当する所見がある旨を示すラジオボタンを選択し、OKボタンを押下する。この結果、推定機能162は、被検体Pに各種の所見が有るか否かを示す所見情報を受け付ける。なお、肺動脈性肺高血圧の所見は、肺高血圧、右室の著明な拡大、及び左房拡大の欠如に基づいて判断される。
続いて、推定機能162は、先天性心疾患の所見があるか否かを判定する(ステップS302)。ここで、先天性心疾患の所見がある場合には(ステップS302肯定)、推定機能162は、先天性心疾患と推定し(ステップS303)、ステップS213へ移行する。
一方、先天性心疾患の所見が無い場合には(ステップS302否定)、推定機能162は、弁膜症の所見があるか否かを判定する(ステップS304)。ここで、弁膜症の所見がある場合には(ステップS304肯定)、推定機能162は、弁膜症と推定し(ステップS305)、ステップS213へ移行する。
一方、弁膜症の所見が無い場合には(ステップS304否定)、推定機能162は、左室拡大の所見があるか否かを判定する(ステップS306)。ここで、左室拡大の所見がある場合には(ステップS306肯定)、推定機能162は、高心拍出状態と推定し(ステップS307)、ステップS213へ移行する。
一方、左室拡大の所見が無い場合には(ステップS306否定)、推定機能162は、心膜疾患の所見があるか否かを判定する(ステップS308)。ここで、心膜疾患の所見がある場合には(ステップS308肯定)、推定機能162は、心膜疾患と推定し(ステップS309)、ステップS213へ移行する。
一方、心膜疾患の所見が無い場合には(ステップS308否定)、推定機能162は、肺動脈性肺高血圧の所見があるか否かを判定する(ステップS310)。ここで、肺動脈性肺高血圧の所見がある場合には(ステップS310肯定)、推定機能162は、肺動脈性肺高血圧と推定し(ステップS311)、ステップS213へ移行する。
一方、肺動脈性肺高血圧の所見が無い場合には(ステップS310否定)、推定機能162は、図9に示す処理Aを終了し、図8のステップS208に移行する。なお、ステップS204~ステップS207の処理は、図2のステップS105の処理に対応する。
つまり、図9に示したように、推定機能162は、非画像情報に基づいて、健康状態を推定する。
図8の説明に戻る。そして、判定機能163は、追加検査として、E/e’とRAd-Adを決定する(ステップS208)。例えば、判定機能163は、左室収縮性が保持された心不全の可能性があり、かつ、他の心疾患の可能性が低いと考えられるので、追加検査として、E/e’とRAd-Adを決定する。
ここで、「E/e’」は、上述した「MV E/e’」と同様である。また、「RAd-Ad」は、肺静脈血流速波形の心房収縮期波の幅(RAd)と、左室流入血流速波形の心房収縮期波の幅(Ad)との差分を表す。E/e’とRAd-Adは、いずれも速度画像データ(CWドプラモードによって収集されるデータ)に基づいて計測可能である。なお、ステップS208の処理は、図2のステップS106の処理に対応する。
そして、切替機能165は、撮像モードをCWドプラモードに切り替える(ステップS209)。例えば、E/e’とRAd-Adを計測可能な撮像モードは「CWドプラモード」であり、ステップS202で実行した撮像モード(現在の撮像モード)「Bモード」とは異なるので、切替機能165は、撮像モードをCWドプラモードに切り替える。なお、ステップS209の処理は、図2のステップS108~ステップS109の処理に対応する。
そして、送受信回路110は、CWドプラモードスキャンを実行する(ステップS210)。そして、画像生成回路130は、CWドプラモードスキャンによって収集したデータに基づいて、速度画像データを生成・表示する。なお、ステップS210の処理は、図2のステップS111の処理に対応する。
そして、計測機能161は、速度画像データを用いてE/e’とRAd-Adを計測する(ステップS211)。E/e’とRAd-Adの計測方法は、公知の技術を任意に適用可能である。
そして、推定機能162は、左室収縮性が保持された心不全の可能性を確認する処理(処理B)を実行する(ステップS212)。処理Bの処理手順は、図10を用いて説明する。
図10に示すように、推定機能162は、E/e’が15以上か否かを判定する(ステップS401)。E/e’が15以上である場合には(ステップS401肯定)、推定機能162は、左室収縮性が保持された心不全と推定し(ステップS407)、処理Bを終了する。
一方、E/e’が15未満である場合には(ステップS401否定)、推定機能162は、BNPの入力を受け付ける(ステップS402)。ここで、「BNP」とは、血中における脳性(B型)ナトリウム利尿ペプチドの量を表し、血液検査(又はBNP検査)によって測定される。例えば、推定機能162は、図12に示す入力画面をディスプレイ103に表示させ、この入力画面を用いてBNPの入力を受け付ける。
図12に示す例では、入力画面には、BNPの数値の入力を受け付けるための入力欄が表示される。例えば、操作者(医師)は、図12に示す入力欄に、事前に行われた血液検査によって測定された被検体PのBNPの値を入力し、OKボタンを押下する。この結果、推定機能162は、被検体PのBNPの値の入力を受け付ける。なお、BNPは、「非画像情報」の一例である。
そして、推定機能162は、E/e’が8以上15未満、かつ、BNPが200pg/mL以上であるか否かを判定する(ステップS403)。E/e’が8以上15未満、かつ、BNPが200pg/mL以上である場合には(ステップS403肯定)、推定機能162は、左室収縮性が保持された心不全と推定し(ステップS407)、処理Bを終了する。
一方、E/e’が8以上15未満、かつ、BNPが200pg/mL以上でない場合には(ステップS403否定)、推定機能162は、E/e’が8以上15未満、かつ、RAd-Adが30msec以上であるか否かを判定する(ステップS404)。E/e’が8以上15未満、かつ、RAd-Adが30msec以上である場合には(ステップS404肯定)、推定機能162は、左室収縮性が保持された心不全と推定し(ステップS407)、処理Bを終了する。
一方、E/e’が8以上15未満、かつ、RAd-Adが30msec以上でない場合には(ステップS404否定)、推定機能162は、BNPが200pg/mL以上、かつ、RAd-Adが30msec以上であるか否かを判定する(ステップS405)。BNPが200pg/mL以上、かつ、RAd-Adが30msec以上である場合には(ステップS405肯定)、推定機能162は、左室収縮性が保持された心不全と推定し(ステップS407)、処理Bを終了する。
一方、BNPが200pg/mL以上、かつ、RAd-Adが30msec以上でない場合には(ステップS405否定)、推定機能162は、心不全の可能性は低いと推定し(ステップS406)、処理Bを終了する。
つまり、図10に示したように、推定機能162は、非画像情報に基づいて、健康状態を推定する。
図8の説明に戻る。出力制御機能164は、心疾患の推定結果を出力する(ステップS213)。例えば、出力制御機能164は、推定機能162によって推定された推定結果をディスプレイ103に表示させる。そして、超音波診断装置1は、図8の処理手順を終了する。
なお、図8~図10に示した処理手順はあくまで一例であり、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、図8~図10に示した各処理の順序は、処理内容に矛盾が生じない範囲内で適宜変更可能である。例えば、所見情報の入力を受け付ける処理(ステップS301)や、BNPの入力を受け付ける処理(ステップS402)は、より早い段階で実行されていても良い。
また、図8~図10では、所見情報の入力を受け付ける処理(ステップS301)、及び、BNPの入力を受け付ける処理(ステップS402)が、操作者のマニュアル操作によって入力される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、所見情報やBNPが検査済みである場合には、検査結果から自動的に取得されても良い。例えば、ある被検体Pについて、心疾患の超音波検査の予約情報が検査予約システムから超音波診断装置1へ送信される際に、所見情報やBNPが検査済みである場合には、その所見情報やBNPの値も検査予約システムから超音波診断装置1へ送信されても良い。
また、上記の例では、「BNP」が用いられる場合を説明したが、「NT-proBNP」が用いられても良い。なお、「NT-proBNP」は、前駆体ホルモンであるproBNPが分解されて生じるホルモンであり、1:1の割合でBNPと共に血中に放出され、BNPと同様に心不全で診断補助に使用される指標値である。
また、上記の例では、「RAd-Ad」が用いられる場合を説明したが、「左房容積係数」、「左房径」、「左室重量係数」、及び「心房細動の所見」のうち少なくとも一つが用いられても良い。「左房容積係数」、「左房径」、及び「左室重量係数」は、左心室のBモード画像データに基づいて計測可能である。また、「心房細動の所見」は、心電図検査によって判断される情報であり、操作者によるマニュアル操作、又は、検査予約システム等から自動的に取得可能である。
(変形例)
上記の実施形態では、追加検査の優先度を、現在の撮像モードと同一であるか否かに基づいて判定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、Bモードで実施される追加検査であるか否かに基づいて優先度を判定しても良い。
上記の実施形態では、追加検査の優先度を、現在の撮像モードと同一であるか否かに基づいて判定する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、Bモードで実施される追加検査であるか否かに基づいて優先度を判定しても良い。
Bモード画像データは、生体内の断層像を画像化するので、操作者が被検体Pの体内の様子の把握するために最適な撮像モードである。また、Bモード画像データは、関心領域、計測キャリパー、アノテーション等の位置を指定するために、他の撮像モードの背景画像としても利用されている。これらの理由から、Bモードは、超音波診断装置において主要な撮像モードの一つであると言える。
そこで、判定機能163は、複数の追加検査の候補それぞれの優先度を、「Bモード」で実施される追加検査であるか否かに基づいて判定しても良い。例えば、複数の追加検査の候補として、「Bモード」で実施される追加検査と他の撮像モードで実施される追加検査とが存在する場合には、判定機能163は、他の撮像モードで実施される追加検査より「Bモード」で実施される追加検査の優先度が高いと判定する。
なお、複数の追加検査の候補として、「現在の撮像モードと同一の撮像モード」と「Bモード」で実施される追加検査が共存する場合には、「現在の撮像モードと同一の撮像モード」を優先させるのが好適である。つまり、判定機能163は、複数の追加検査の候補において、現在の撮像モードと同一の撮像モードで実施される追加検査が存在しない場合に、「Bモード」で実施される追加検査の優先度が高いと判定する。ただし、初回の撮像モードでBモードが実施されていない場合などには、判定機能163は、「現在の撮像モードと同一の撮像モード」より「Bモード」で実施される追加検査の優先度が高いと判定しても良い。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上述した実施形態で説明した出力方法(超音波イメージング方法)は、予め用意された出力プログラム(超音波イメージングプログラム)をパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この超音波イメージング方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この超音波イメージング方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
また、上記の実施形態及び変形例において、「リアルタイム」とは、処理対象となる各データが発生するたびに、即時に各処理を行うことを意味する。例えば、リアルタイムで画像を表示する処理は、被検体が撮像される時刻と画像が表示される時刻とが完全に一致する場合に限らず、画像処理などの各処理に要する時間によって画像がやや遅れて表示される場合を含む概念である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、疾患の見落としを低減することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 超音波診断装置
160 処理回路
161 計測機能
162 推定機能
163 判定機能
164 出力制御機能
165 切替機能
160 処理回路
161 計測機能
162 推定機能
163 判定機能
164 出力制御機能
165 切替機能
Claims (9)
- 超音波画像データを用いて計測された計測値に基づいて、健康状態を推定する推定部と、
推定された前記健康状態に基づいて、前記健康状態の診断に用いられる追加検査を判定する判定部と、
前記健康状態及び前記追加検査を表す情報を出力する出力制御部と、
を備える、超音波診断装置。 - 前記判定部は、更に、前記超音波画像データを撮像した現在の撮像モードに基づいて、前記追加検査を判定する、
請求項1に記載の超音波診断装置。 - 前記判定部は、前記追加検査の候補が複数存在する場合に、当該複数の追加検査の候補それぞれの優先度を判定し、
前記出力制御部は、前記複数の追加検査の候補それぞれの優先度と、前記複数の追加検査とを表す情報を出力する、
請求項1又は2に記載の超音波診断装置。 - 前記判定部は、前記複数の追加検査の候補それぞれの優先度を、現在の撮像モードと同一の撮像モードで実施される追加検査であるか否かに基づいて判定する、
請求項3に記載の超音波診断装置。 - 前記判定部は、前記複数の追加検査の候補それぞれの優先度を、Bモードで実施される追加検査であるか否かに基づいて判定する、
請求項3又は4に記載の超音波診断装置。 - 前記追加検査の撮像モードと現在の撮像モードとが異なる場合に、撮像モードを切り替える切替部を更に備える、
請求項1~5のいずれか一つに記載の超音波診断装置。 - 前記推定部は、更に、前記超音波画像データとは異なる非画像情報に基づいて、前記健康状態を推定する、
請求項1~6のいずれか一つに記載の超音波診断装置。 - 超音波画像データを用いて計測された計測値に基づいて、健康状態を推定し、
推定された前記健康状態に基づいて、前記健康状態の診断に用いられる追加検査を判定し、
前記健康状態及び前記追加検査を表す情報を出力する
ことを含む、出力方法。 - 超音波画像データを用いて計測された計測値に基づいて、健康状態を推定し、
推定された前記健康状態に基づいて、前記健康状態の診断に用いられる追加検査を判定し、
前記健康状態及び前記追加検査を表す情報を出力する
各処理をコンピュータに実行させる、出力プログラム。
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2021
- 2021-06-29 JP JP2021108011A patent/JP2022013865A/ja active Pending
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