以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置、医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムを説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103と、心電計104とを有する。超音波プローブ101、入力装置102、ディスプレイ103、及び心電計104は、装置本体100と通信可能に互いに接続される。
超音波プローブ101は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、装置本体100が有する送受信回路110から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ101は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ101が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
例えば、本実施形態では、被検体Pの3次元走査用に、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブが超音波プローブ101として装置本体100と接続される。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の圧電振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の圧電振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送受信することで2次元走査が可能である。
入力装置102は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置1の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体100に対して受け付けた各種設定要求を転送する。
ディスプレイ103は、超音波診断装置1の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データ等を表示したりする。また、ディスプレイ103は、装置本体100の処理状況を操作者に通知するために、各種のメッセージを表示する。また、ディスプレイ103は、スピーカーを有し、音声を出力することもできる。例えば、ディスプレイ103のスピーカーは、装置本体100の処理状況を操作者に通知するために、ビープ音などの所定の音声を出力する。
心電計104は、被検体Pの生体信号として、被検体Pの心電波形(Electrocardiogram:ECG)を取得する。心電計104は、取得した心電波形を装置本体100に送信する。なお、本実施形態では、被検体Pの心臓の心時相に関する情報を取得する手段の一つとして、心電計104を用いる場合を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。
装置本体100は、超音波プローブ101が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体100は、超音波プローブ101が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能な装置である。なお、3次元の超音波画像データは、「3次元医用画像データ」若しくは「ボリュームデータ」の一例である。
装置本体100は、図1に示すように、送受信回路110と、Bモード処理回路120と、ドプラ処理回路130と、画像生成回路140と、画像メモリ150と、内部記憶回路160と、処理回路170とを有する。送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、画像生成回路140、画像メモリ150、内部記憶回路160、及び処理回路170は、通信可能に互いに接続される。
送受信回路110は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ101に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
なお、送受信回路110は、後述する処理回路170の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
また、送受信回路110は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ101が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネル毎に増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
送受信回路110は、被検体Pの3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元方向の超音波ビームを送信させる。そして、送受信回路110は、超音波プローブ101が受信した反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
Bモード処理回路120は、送受信回路110から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行って、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理回路130は、送受信回路110から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
なお、図1に例示するBモード処理回路120及びドプラ処理回路130は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理回路120は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理回路130は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
画像生成回路140は、Bモード処理回路120及びドプラ処理回路130が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。また、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した1走査線上のBモードデータの時系列データから、Mモード画像データを生成することも可能である。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成したドプラデータから、血流や組織の速度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形を生成することも可能である。
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成回路140は、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行うことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行う。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
更に、画像生成回路140は、Bモード処理回路120が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行うことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、ドプラ処理回路130が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行うことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、「3次元のBモード画像データや3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。
更に、画像生成回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行う。画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行ってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行う処理や、ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行う処理がある。また、画像生成回路140が行うレンダリング処理としては、ボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理やサーフェスレンダリング(SR:Surface Rendering)処理がある。
画像メモリ150は、画像生成回路140が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ150は、Bモード処理回路120やドプラ処理回路130が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。
なお、画像生成回路140は、超音波画像データと、当該超音波画像データを生成するために行われた超音波走査の時間とを、心電計104から送信された心電波形に対応付けて画像メモリ150に格納する。後述する処理回路170は、画像メモリ150に格納されたデータを参照することで、超音波画像データを生成するために行われた超音波走査時の心時相を取得することができる。
内部記憶回路160は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行うための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶回路160は、必要に応じて、画像メモリ150が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶回路160が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。なお、外部装置は、例えば、画像診断を行う医師が使用するPC(Personal Computer)や、CDやDVD等の記憶媒体、プリンター等である。
処理回路170は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、処理回路170は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶回路160から読み込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、Bモード処理回路120、ドプラ処理回路130、及び画像生成回路140の処理を制御する。また、処理回路170は、画像メモリ150や内部記憶回路160が記憶する表示用の超音波画像データをディスプレイ103にて表示するように制御する。
また、処理回路170は、取得機能171と、推定機能172と、算出機能173と、出力制御機能174とを実行する。ここで、取得機能171は、取得部の一例である。また、推定機能172は、推定部の一例である。また、算出機能173は、算出部の一例である。また、出力制御機能174は、出力制御部の一例である。なお、処理回路170が実行する取得機能171、推定機能172、算出機能173、及び出力制御機能174の処理内容については、後述する。
ここで、例えば、図1に示す処理回路170の構成要素である取得機能171、推定機能172、算出機能173、及び出力制御機能174が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で内部記憶回路160に記録されている。処理回路170は、各プログラムを内部記憶回路160から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路170は、図1の処理回路170内に示された各機能を有することとなる。
なお、本実施形態においては、単一の処理回路170にて、以下に説明する各処理機能が実現されるものとして説明するが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。
ここで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1による壁運動解析(Wall Motion Tracking:WMT)について説明する。以下の説明では、処理回路170が3次元画像を用いたWMT(3DWMT)により心臓壁の動きを解析する場合について説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、処理回路170は、壁運動解析に限らず、心臓の容積に関する容積情報を算出することも可能である。
取得機能171は、被検体Pの右心室を含む領域が撮像された少なくとも1心周期以上にわたるボリュームデータを取得する。例えば、取得機能171は、被検体Pの心臓が撮像された3次元医用画像データを、少なくとも1心拍分取得する。
例えば、操作者は、セクタプローブにより、被検体Pの心臓を含む領域の3次元走査を行って、心筋が描出された3次元の超音波画像データの動画像データの撮像を行う。この動画像データは、例えば、Bモード用の輝度信号として収集された時相ごとの超音波画像データを含む超音波画像データ群である。ここで、「時相」とは、心臓の周期的な運動における任意の1時点(タイミング)を指し、「心時相」とも称される。
そして、画像生成回路140は、心臓の右心室の動画像データを生成し、生成した動画像データを画像メモリ150に格納する。そして、操作者は、処理対象の区間として、例えば、心電図におけるR波から次のR波までの1心拍分の区間を設定する。なお、本実施形態は、処理対象の区間が2心拍分の区間や3心拍分の区間として設定される場合であっても適用可能である。
そして、取得機能171は、例えば、超音波画像データ群を画像メモリ150から取得する。この超音波画像データ群は、操作者が設定した1心拍分の区間に含まれる複数のフレームの3次元の超音波画像データ(ボリュームデータ)を含む。
推定機能172は、ボリュームデータを用いて、右心室を含む領域の動き情報を推定する。例えば、先ず推定機能172は、以下のような処理手順によりボリュームデータに対して右心室に対応する関心領域(初期輪郭)を設定する。
例えば、操作者は、取得機能171によって取得された時系列のボリュームデータ群について、任意の心時相を指定する。ここで指定される任意の心時相は、1心拍分の区間に含まれるフレームのうちの任意のフレームであり、例えば、拡張末期時相(最初のR波時相)が最も好適である。そして、操作者によって任意の心時相が指定されると、推定機能172は、指定された心時相における超音波画像データに対して、3次元的な初期輪郭を設定する。
ここで、3次元的な初期輪郭は、例えば、複数の基準MPR断面それぞれに対して入力された2次元的な輪郭線の補間処理により生成される。例えば、操作者は、複数の基準MPR断面それぞれに対して、右心室の内膜の輪郭を表す輪郭線を入力する。そして、推定機能172は、それぞれの基準MPR断面に入力された輪郭線の位置を3次元の超音波画像データの座標に変換する。そして、推定機能172は、3次元の超音波画像データにおける各輪郭線の間の3次元的な輪郭形状(初期輪郭)を、各輪郭線間の空間的な補間処理により生成する。このように、推定機能172は、右心室の内膜の初期輪郭を設定する。また、右心室の外膜の初期輪郭は、内膜面から所定の壁厚(4〜6mm程度)位置として設定するのが好適である。
図2は、第1の実施形態に係る推定機能172により設定される初期輪郭について説明するための図である。図2には、右心室に設定される初期輪郭(VE)を例示する。図2において、実線で示すメッシュ状構造は、右心室の内膜に設定される初期輪郭(VI)に対応し、破線で示すメッシュ状構造は、右心室の外膜に設定される初期輪郭(VO)に対応する。
図2に示すように、推定機能172は、任意の心時相における超音波画像データのうち、右心室の内膜に対応する位置に3次元的な初期輪郭(VE)を設定する。ここで、初期輪郭(VE)におけるメッシュの交点は、右心室の内輪郭若しくは外輪郭を構成する構成点であり、組織の動き情報を算出するために経時的に追跡される追跡点に対応する。
そして、推定機能172は、関心領域の輪郭上の複数の位置にアドレス番号を設定する。例えば、推定機能172は、設定された初期輪郭(VE)を構成する複数の構成点に対して、アドレス番号を設定する。アドレス番号は、各追跡点を識別するために付与される番号であり、例えば、心臓の内膜における各追跡点の位置に基づいて定義される。なお、アドレス番号は、番号(数字)に限らず、例えば、文字、記号等、各追跡点の位置を識別可能な識別情報であればよい。
例えば、推定機能172は、心臓の内膜の各構成点の位置をP_endo(t、h、d)と定義する。ここで、tは、1心拍分の区間に含まれるフレーム(心時相)を表し、hは、長軸方向(高さ)のアドレス番号を表し、dは、円周方向(方位)のアドレス番号を表す。なお、ここでは最初のR波時相を用いて初期断面を設定しているので、t=0である。
また、推定機能172は、円周方向の基準位置として、例えば、右心室の三尖弁側の端部を設定し、その位置の構成点のdを0とする。つまり、この基準位置にある構成点の位置は、P_endo(0、h、0)と表される。そして、推定機能172は、基準位置の構成点から円周方向にある構成点を順に、d=0,1,2,3・・・とアドレス番号を設定する。また、推定機能172は、3次元の初期輪郭のうち、心尖部から最も遠い環状輪郭の位置を長軸方向の基準位置として、その位置の構成点のhを0とする。つまり、この基準位置にある構成点の位置は、P_endo(0、0、d)と表される。そして、推定機能172は、基準位置の構成点から心尖方向にある構成点を順に、h=0,1,2,3・・・とアドレス番号を設定する。
このように、推定機能172は、ボリュームデータにおける右心室の内膜に対応する位置に、アドレス番号が付与された構成点(追跡点)を複数設定する。なお、初期輪郭の設定は、上記の用手的な操作に限定されるものではなく、内膜輪郭形状の辞書データベース(例えば、過去に設定された輪郭の統計データベース)を用いて、推定機能172が自動的もしくは半自動的に画像中の境界を検出することとしても良い。
例えば、推定機能172は、複数の構成点が設定された初期時相におけるボリュームデータと、次の時相におけるボリュームデータとを用いてパターンマッチングを含む追跡処理を行うことで、ボリュームデータ群に含まれる複数の超音波画像データにおける複数の構成点の位置を追跡する。
例えば、推定機能172は、ボリュームデータ群に含まれるフレームt=0のボリュームデータに対して、初期輪郭に対応する位置に複数の構成点が設定されると、パターンマッチングを含む処理によって、他のフレームtにおける各構成点の位置を追跡する。具体的には、推定機能172は、複数の構成点が設定済みのフレームのボリュームデータと、そのフレームと隣り合うフレームのボリュームデータとの間で、繰り返しパターンマッチングを行う。すなわち、推定機能172は、t=0のボリュームデータにおける心臓の内膜の各構成点P_endo(0、h、d)を起点として、t=0,1,2,3・・・の各フレームのボリュームデータにおける各構成点P_endo(t、h、d)の位置を追跡する。この結果、推定機能172は、1心拍分の区間に含まれる各フレームについて、心臓の内膜を構成する各構成点の座標情報を求める。
そして、推定機能172は、ボリュームデータ群に含まれる複数の超音波画像データにおける複数の構成点の位置を用いて、超音波画像データごとに組織の動きを表す動き情報を算出する。推定機能172によって算出される動き情報は、算出に用いた各構成点(追跡点)に与えられる。具体的には、例えば、心臓の内膜の各構成点から算出される動き情報は、V_endo(t、h、d)と定義される。そして、推定機能172は、算出した動き情報を画像メモリ150に格納する。
このように、推定機能172は、右心室の動き情報を推定する。なお、ここでは、一例として、右心室の内膜に対する処理を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、内膜に限らず、外膜若しくは内膜と外膜の中間層に対して上述した処理が実行されてもよい。また、推定機能172は、例えば、右心室に限らず、左心室や左心房、右心房、若しくは心臓全体等、任意の所定領域に対して処理を実行してもよい。
算出機能173は、組織の動き情報に基づいて、右心室に関する壁運動情報及び容積情報のうち少なくとも一方を含む情報を算出する。ここで、算出機能173によって算出される壁運動情報の代表例としては、例えば、各構成点の1フレームごとの局所心筋変位[mm]、2点間の距離の変化率である局所心筋ストレイン[%]、或いはこれらの時間変化である局所心筋速度[cm/s]及び局所心筋ストレインレート[1/s]等が挙げられる。しかしながら、壁運動情報は、これらのパラメータに限定されるものではなく、各フレームにおける複数の構成点の座標情報を用いて算出可能なパラメータであればよい。例えば、これらの壁運動情報は、成分分離されてもよい。右心室の場合には、例えば、長軸(Longitudinal)方向に成分分離されたLongitudinal Strain(LS)や、円周(Circumferential)方向に成分分離されたCircumferential Strain(CS)等の指標が用いられる。これらの指標は、右心室の2次元画像(長軸像や短軸像)を用いた2次元のスペックルトラッキング法により算出される。また、3次元のスペックルトラッキング法においては、局所的な面積変化率(AC:Area Change ratio)が定義されてもよい。ACは成分分離が不要であるため、右心室のように複雑な形状であっても安定的な解析を可能にする。
また、右心室の機能評価のために臨床で良く用いられている壁運動情報としては、Mモードで計測するTAPSE(三尖弁輪収縮期移動量)がある。Mモードは1次元の解析であるため、TAPSEでは三尖弁輪付近の一部について、超音波プローブ101の方向へ向かう変位成分が観察される。一方、3次元スペックルトラッキング法であれば、右心室の全領域をカバーする変位の情報が得られる。この際の変位の方向としては、関心領域(右心室)を基準とした長軸方向や、壁厚(Radial)方向の変位成分が検出可能である。また、右心室の複雑な形状に左右され難い指標として、方向への成分分離を行わない移動距離D(D=sqrt((Px(n)−Px(n0))^2+(Py(n)−Py(n0))^2+(Pz(n)−Pz(n0))^2))を用いてもよい。ただし、(Px(n),Py(n),Pz(n))は追跡点Pの位置を示し、nは時相を示し、n0は基準時相を示す。
また、算出機能173は、心臓のポンプ機能の指標として、容積情報を算出する。例えば、算出機能173は、右心室を含む関心領域の容積情報を算出する。なお、算出機能173が容積情報を算出する場合の領域は、適宜変更可能である。
このように、算出機能173は、超音波画像データ群について、右心室の壁運動情報及び容積情報の少なくとも一方を含む情報を算出する。なお、算出機能173により算出されるパラメータの種類は、プリセットされていても良いし、操作者により適宜選択されても良い。
出力制御機能174は、算出された情報を出力する。例えば、出力制御機能174は、算出機能173によって算出された右心室の壁運動情報及び容積情報の少なくとも一方を含む情報を出力する。
例えば、出力制御機能174は、算出機能173によって算出された壁運動情報若しくは容積情報をカラーコードに変換し、表示画像上にマッピングする。或いは、出力制御機能174は、各構成点について算出された壁運動情報を用いて、関心領域に含まれる各セグメントごとに平均値を算出する。そして、出力制御機能174は、算出した平均値に関する時間変化曲線を作成して表示する。これにより、出力制御機能174は、セグメントごとに右心室の機能解析を提供することができる。
なお、出力制御機能174が情報を出力する出力先は、ディスプレイ103に限定されるものではない。例えば、出力制御機能174は、ネットワークを経由して接続された任意の装置に送信してもよい。具体的には、出力制御機能174は、病院内のデータを集中的に管理しているサーバ装置や、診断レポートを作成するための装置(レポート作成装置など)に情報を送信しても良い。また、例えば、出力制御機能174は、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録メディアに情報を格納しても良い。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によるWMTについて説明した。しかしながら、体表用の超音波プローブを用いて心尖アプローチにより右心室を観察する場合、観察し易い箇所と観察し難い箇所がある。例えば、観察し難い箇所としては、右室流出部が知られている。体表からの超音波走査では、右室流出部側は走査角度が大きく、かつ、肋骨に近い部位にあるので、超音波プローブの開口に対して超音波の通り道が限定される。更に、右室流出部の周辺には超音波を通さない胸骨と右肺(空気)が直ぐ側にあるので、結果として超音波の信号強度が減弱するとともに、送受信ビームが形成され難い。これらの要因により、体表用の超音波プローブで右室流出部が観察し難くなっていると考えられる。
実際に、3次元データを収集可能な2次元アレイ超音波プローブを用いて走査面を回転させて心臓の視認性を調査した例では、右室流出部の視認率は健常例と疾患例の各々について23%と75%であり、とりわけ健常者で右室流出部の描出が困難であると報告されている。したがって、体表用の超音波プローブで収集された3次元動画データを用いて右心室の壁運動情報を解析する場合、右室流出部における解析品質が高い頻度で低下してしまう。
そこで、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、右室流出部における動きの解析品質を向上させるために、以下の処理を実行する。すなわち、超音波診断装置1は、右室流出部の近傍にあり、右室流出部と近しい動きを示す部位の動き情報を用いて、右室流出部の動き情報を補正する。なお、第1の実施形態では、右室流出部の近傍にあり、右室流出部と近しい動きを示す部位として、室上稜(Crista SupraVentricularis:CSV)を利用する場合を説明する。
図3は、室上稜について説明するための図である。図3には、右心室を自由壁側から展開して右心室内腔の様子を示した解剖モデル図を例示する。図3において、上側に右室心尖部、奥側に中隔、右側に三尖弁(Tricuspid Valve:TV)、左側に肺動脈弁(Pulmonary Valve:PV)がそれぞれ図示される。
図3に示すように、室上稜は、三尖弁を起点とする右室流入部(Inlet)と、肺動脈弁を終点とする右室流出部(RVOT)との間を連結する連結部位に位置し、流入部でも流出部でもない中庸な部位と言える。なお、本実施形態では、室上稜は、この連結部位の右室内腔側の頂上位置として検出される。
開胸下で肋骨や肺の影響を受けない動物実験で得られる右心室の3DWMTの画像や、体表組織や肋骨を避けられるTEE(transesophageal echocardiography:経食道心エコー用超音波)プローブの画像を発明者が観察した結果、右室流出部の動きと室上稜の動きとが対応していることが判明した。すなわち、右心機能が低下して右室流出部の動きが悪い症例では室上稜の動きも悪く、右室流出部の動きが良好な症例では室上稜の動きも良好であった。また、室上稜は、右室流出部と比較して肋骨、胸骨、及び右肺から離れているために、右室流出部と比較してエコー信号が収集され易い。そこで、第1の実施形態では、右室流出部の近傍にあり、右室流出部と近しい動きを示す部位として、室上稜を用いる。
第1の実施形態に係る推定機能172は、右室流出部の第1動き情報を、右室流出部の近傍にあり右室流出部と近しい動きを示す部位の第2動き情報を用いて補正する。なお、以下では、一例として、右心室の内膜に対する処理を説明するが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、右心室の内膜に限らず、右心室の外膜若しくは内膜と外膜の中間層に対して以下に説明する処理が実行されてもよい。
図4A、図4B、及び図5は、第1の実施形態に係る推定機能172の処理を説明するための図である。図4Aには、右室内膜の初期輪郭(図2のVI)における補正処理を例示する。図4Bには、右心室冠状面(RV coronal-view)を例示する。図5には、推定機能172による補正動き量を可変制御する特性の例を示す。
図4Aでは、まず、右室流出部の輪郭に含まれる全構成点のうち点PV_inの動き情報を室上稜(CSV)の動き情報を用いて補正し、その後に他の点を補正する場合を説明する。この点PV_inは、右室の内輪郭において肺動脈弁レベルに対応する円周上の点のうち、右室流入部に最も近い構成点である。なお、以下では、補正対象となる点PV_inを「第1部位」、補正に用いる室上稜(CSV)の構成点を「第2部位」とも称する。また、点PV_inにおけるオリジナルの動き情報を「V1」とし、室上稜の位置Pcsvにおけるオリジナルの動き情報を「V2」とする。なお、オリジナルの動き情報とは、上述したWMTにより推定された動き情報である。「V」は3次元のベクトルを示し、本実施形態での動き情報は3次元の動きベクトルを意味する。そして以下では、ベクトルXの絶対値を|X|として表記している。
ここで、V2には、室上稜における心筋の収縮成分以外にも心臓全体の並進動き(translation)の成分が加わっている。そこで、推定機能172は、並進動きの成分を除去してから室上稜の収縮に寄与する動き情報「V2m」を得て、点PV_inの動き補正に用いる。そのために、推定機能172は、右室心尖部の点Paと室上稜との間の長さ|L(N)|のフレーム間変化率LSR(N)を求める。なお、LSR(N)は、下記の式(1)により表される。
ここで、点Paと室上稜における心臓全体の並進動きは概同程度と考えられる。このため、式(1)の分子に示すように、L(N+1)とL(N)とのベクトル差分をとることで、並進動き(translation)の成分がキャンセルされる。そして、V2mは、|L(N)|*LSR(N)の長さ変化分が点Paと室上稜の点Pcsvとを結ぶ線分の方向で定義されるため、この2点の位置ベクトルを用いて下記の式(2)で表される。式(2)の右辺において、前半の項「Pcsv(N+1)−Pa(N+1)」が長さ「|L(N+1)|」を決めるベクトルを示し、後半の項「Pcsv(N)−Pa(N)」が長さ「|L(N)|」を決めるベクトルを示す。
なお、フレーム間における各点の位置ベクトルの差分が各点の動きに対応するので、右室心尖部の動き情報を「V_PA」とすると、上記の式(2)は下記の式(3)のように表すことができる。この式(3)により、V2mには室上稜の動き情報「V2」が含まれていることが解る。
次に、点PV_inにおける収縮の成分を加味した動き情報「V1m」を与える。ここで、右室流出部は血流の流出路であるので、主となる収縮の成分は血流方向に平行な成分と考えられる。図4Aの点PV_inの輪郭位置において血流方向に平行な成分は、流路の横断面(右室流出部の輪郭と直交する方向の切断面)に垂直な流路の軸方向に対応する。この流路の軸方向は、例えば、肺動脈弁レベルの輪郭の横断面に相当するリング状の輪郭境界位置群を用いて定義される回帰平面の単位法線ベクトルNt_PVとして算出可能である。
点PV_inの方向成分としてNt_PVを用いると、V1mはオリジナルの動きの本方向への射影成分となるので、下記の式(4)で定義される。以下、<u1,u2>は、ベクトルu1とu2との内積を表す。このVm1が、点PV_inでの成分分離された動き情報Vo’に対応する(Vo’=V1m)。
同様に、室上稜における動きの血流方向に平行な成分の方向ベクトルNt_CSVは、室上稜を通る右室流出部の流路の軸方向と考えられる。そこで、点PV_inの例と同じように、室上稜の点Pcsvでの横断面(図4Aの前壁側ヒンジに相当する右室流出部の輪郭に直交する方向のうち室上稜を通る面)に相当するリング状の輪郭位置群から定義される回帰平面の単位法線ベクトルとして算出可能である。
なお、流路の軸方向の算出方法は、これに限定されるものではない。例えば、血流の移動方向を考慮して、右室心尖部Paから本横断面に相当するリング状の輪郭境界位置群の重心位置PGへと向かう単位方向ベクトルとして算出しても良い。
ここで、V2mは、血流方向以外の方向成分を含む。そこで、室上稜で血流方向に平行で収縮に寄与する動き成分V2mpは、Nt_CSVを用いて下記の式(5)で定義される。
このように、血流方向への成分分離を行うことで、位置や輪郭の方向が異なるために動きの方向が必ずしも同じにならない点PV_inと点Pscvについて、動きの方向を揃えた有効成分同士の比較及び演算が可能となる。
上記のようにして点Pcsv上で推定した動き情報V2mpを、位置の離れた点PV_inへ伝えることを考える。
ここで、一般的な1次元の場合における補間処理は、両端の位置上で値が与えられていて、両端の間にある任意の演算位置での補間値を両端の位置の双方の値から内挿する。しかし、本実施形態の場合には、値が与えられているのは一方の端点上のみである。このため、他方の端点の値が無い状態から補間処理を行うには、演算位置での補間値を定義する必要がある。このような処理を、本実施形態では「外挿補間処理」と称する。
外挿補間処理を行うために、「室上稜で得られた長さ変化率による収縮成分と点PV_inにおける収縮成分は等しい」と定義する。すると、右室心尖部と室上稜とを結ぶ長さ|L(N)|の変化率「LSR(N)」が、室上稜と点PV_inとを結ぶ線分の長さ|L1(N)|の変化率「L1SR(N)」に等しいとして、点PV_inの動き情報が推定可能となる。ここで、点PV_inで観察されるべき動きをV12mとすると、各点の位置ベクトルを用いて下記の式(6)で定義される。
式(6)において、室上稜の移動前の位置Pcsv(N)と、室上稜の移動後の位置Pcsv(N+1)と、点PV_inの移動前の位置PV_in(N)は既知であるが、点PV_inの移動後の位置PV_in(N+1)は未知である。
なお、フレーム間における各点の位置ベクトルの差分が動きを表すので、点PV_inの動き情報を「V_PV_in」とすると、上記の式(6)は下記の式(7)として表すことができる。式(7)により、V12mには、室上稜の動き情報V2が含まれていることが解る。更に、上述したように、室上稜と点PV_inにおける並進動きの成分は概同程度と考えられるので、2点間の差分処理によりV12mからは並進動きの成分がキャンセルされている。
次に、V12mを求めるために、未知のPV_in(N+1)位置を決める。ここで、LSR(N)とL1SR(N)は等しいとしたので、下記の式(8)が成り立つ。
また、式(8)より、下記の式(9)が成り立つ。
ここで、L1(N)及びL1(N+1)は、下記の式(10)及び式(11)で表される。
したがって、PV_in(N+1)は、下記の式(12)により得られる。
このPV_in(N+1)を上記の式(7)に代入することで、V12mが求まる。そして、血流方向の成分分離を行った動き成分V12mpは、点PV_inでの方向ベクトルNt_PVを用いて下記の式(13)となる。このV12mpが、室上稜から点PV_inへと伝えられた補正動きの情報Vs’に対応する(Vs’=V12mp)。
以上より、血流方向に成分分離された点PV_inの動き情報として、Vo’(V1m)及びVs’(V12mp)の2つの動き情報が得られる。ここで、点PV_inの|Vo’|が室上稜の|Vs’|よりも大きい状態から減少させていくことを考えると、|Vo’|が十分に大きい場合は点PV_inで妥当な動きが得られていると考えられるので、補正を行わない。そして、|Vo’|が|Vs’|より小さくなった場合には、点PV_inで妥当な動きが得られていないと考えて補正量を調整する。
すなわち、本実施形態では、点PV_inの動き量|Vo’|と室上稜Pcsvの動き量|Vs’|を比較して補正動き情報Vcを決定する。例えば、下記の式(14)を用いて、補正動き情報Vcを求める。
式(14)では、|Vs’|に対して|Vo’|が小さくなる程に|Vc|は大きくなり、最終的に|Vo’|がゼロとなった場合にはVc=Vs’となって|Vc|=|Vs’|となる。なお、式(14)で点PV_inの動き補正を行った場合、主方向による成分分離を除く(Nt_PVがV1と全く同じ方向を向いている場合を考えた場合に相当する)と、点PV_inの動きVo’にかかわらず点PV_inの動きをVs’に置き換えることを意味する。
また、式(14)に変えて、下記の式(15)を用いて、補正動き情報Vcを求めることも可能である。
式(15)において、べき乗項のβに「1」を代入すると、|Vs’|≧|Vo’|の時の出力変化は下記の式(16)となる。つまり、式(15)を用いた場合にも、式(14)を用いた場合と同様に、|Vs’|に対して|Vo’|が小さくなる程に|Vc|が大きくなり、最終的に|Vo’|がゼロとなった場合にはVc=Vs’となって|Vc|=|Vs’|となる。
ここで、「k=|Vo’|/|Vs’|」とおいて、|Vs’|≧|Vo’|の時の上記の式(16)に代入すると、下記の式(17)のように変形される。
上記の式(17)の可変項である「(1−k)^β」について、図5にβを変えた場合のk依存の変化の様子を示す。図5において、横軸は「k」に対応し、縦軸は可変項「(1−k)^β」に対応する。
図5に示すように、kの増加に対して可変項の値は減少する。逆に、kが1から減少する場合には、補正動き量に相当する可変項は増加することを示す。特に、「β=1」の場合には、kの変化に対して1次関数(線形)的に可変項の値が変化する。そして、「β>1」の場合には、線形変化時よりも補正動き量が小さくなり、「β<1」の場合には、線形変化時よりも補正動き量が大きくなることが解る。したがって、|Vo’|/|Vs’|の比であるkに応じて相対的に大きな動き補正制御値を得たい場合には、「β<1」を選択し、kに応じて相対的に小さな動き補正制御値を得たい場合には、「β>1」を選択するという自由度が得られる。
このように、式(15)を用いた補正では、βの設定によって、Vcとしてどの程度の動き補正量を与えるかの具合を調整可能となる。なお、より大きな動き補正量を得るという観点では、β=0.5〜0.7程度の設定を用いるのが好適である。
そして、上述した処理により得られた室上稜の補正動き情報Vcを用いて、補正対象となる点PV_inをPV_in(N)からPV_in(N+1)へ動かす。すなわち、3DWMTの各フレームにおいて、点PV_inにおけるオリジナルの動きVoを式(18)に示すVonに置き換える。なお、式(18)において、「Vc={0}({0}はゼロベクトルを示す)」の場合には、Von=Voとなり、補正をしていないのと等価となる。
以上より、右室流出部の一点として点PV_inでの補正動き情報Vcが得られ、点PV_inの動き補正を行うことが可能となる。しかしながら、右室流出部に関するROI全体を動かすためには、補正動き情報Vcは、右室流出部の輪郭を構成する全構成点で与えられる必要がある。
そこで、推定機能172は、右室流出部の輪郭を構成する全構成点のうち、離散的に配置される複数の構成点について、上述した外挿補間処理により補正動き情報Vcを算出する。そして、推定機能172は、離散的な複数の構成点の補正動き情報Vcを用いた空間的な内挿補間処理により、右室流出部の全構成点における補正動き情報を算出する。なお、内挿補間処理としては、例えば、内挿位置に最寄りの4点位置の補正動き情報Vcを用いたbi-liner補間処理や、境界面の縦方向及び横方向の双方で内挿位置に最寄りの2点位置の補正動き情報Vcを用いた1次元の線形補間処理を適用して2次元の補間を行うのが好適である。
なお、内挿補間処理を用いずに、例えば、右室流出部の全構成点について上述した外挿補間処理を用いて補正動き情報Vcを算出することも可能である。ただし、内挿補間処理は上述した外挿補間処理と比較して演算時間が短いため、内挿補間処理を用いて右室流出部の全構成点における補正動き情報を算出するのが好適である。以下、推定機能172が内挿補間処理を用いて右室流出部の全構成点における補正動き情報を算出する場合を説明する。
図4Aに示すように、例えば、推定機能172は、3つの点PV_outの補正動き情報Vcを算出する。ここで、点PV_outは、肺動脈弁レベルのリング状境界面に離散的に配置された構成点のうち、点PV_inとは異なる点である。
ここでは点PV_inを新たな「第2部位」とし、点PV_inで得られた上記のVonを第2部位における新たな「第2部位の動き情報(V2)」とする。点PV_inでのVoはV_PV_inに等しいので、ここでの「V2」は先に得られている「Vc」を用いて、式(19)として表される。
一方、点PV_outを新たな「第1部位」とすることで、第1部位に関するオリジナルの動きV_PV_outに対する新たな補正動き情報Vcを、上述した外挿補間処理と同様の処理により算出する。
まず、推定機能172は、血流方向への成分分離を行う。例えば、第2部位(点PV_in)での方向ベクトルはNt_PVに等しいので、上記のV2が成分分離された動き情報V2’は、下記の式(20)で表される。
次に、点PV_outでの方向ベクトルは、点PV_inと同様にNt_PVに等しいので、この位置での成分分離されたVo’は下記の式(21)で表される。
ここで、外挿補間処理としては「同一右室流出部レベルの円周上での血流方向における収縮動き成分は等しい」と考える。すなわち、先の点PV_inで得られた第2部位の動き情報のPV_outにおける方向成分であるV2’をVs’として、各点PV_outに与える。つまり、Vs’=V2’となる。
以上より、Vo’及びVs’の2つの動き情報が各点PV_outに対して得られる。このため、推定機能172は、上述した式を適宜用いることで、各点PV_outの補正動き情報Vc1を算出する。
そして、この円周方向への外挿補間処理は、図4Aにおいて室上稜レベルでの右室流出部に関するリング状境界面上に示した3つの点CSV_outに関しても、同様に適用可能である。つまり、この右室流出部レベルでの第2部位は室上稜であるので、Vs’としては先に得られているVs’=V2mpとして各点CSV_outへ与えられる。
一方で、第1部位となる各点CSV_outにおけるオリジナルの動きを「V_CSV_out」とする。ここで、成分分離の方向は、先に得られているNt_CSVとなるので、この位置で成分分離されたVo’は下記の式(22)となる。
以上より、Vo’及びVs’の2つの動き情報が各点CSV_outに対して得られる。このため、推定機能172は、上述した式を適宜用いることで、各点CSV_outの補正動き情報Vc2を算出する。
本実施形態では、右室流出部の離散点上で補正動き情報を演算しているので、上述したように、内挿補間処理を用いて円周方向及び流路軸方向の各点に対する補正動き情報を算出する。一例としては、推定機能172は、点PV_in及び点PV_outの補正動き情報を用いた内挿補間処理により、肺動脈弁レベルの円周上の各構成点の補正動き情報を算出する。また、推定機能172は、点Pcsv及び点CSV_outの補正動き情報を用いた内挿補間処理により、室上稜レベルの円周上の各構成点の補正動き情報を算出する。そして、推定機能172は、肺動脈弁レベルの円周上の各構成点の補正動き情報と、室上稜レベルの円周上の各構成点の補正動き情報とを用いた内挿補間処理により、流路軸方向の各点に対する補正動き情報を算出する。
このように、推定機能172は、右室流出部の全構成点における補正動き情報を算出する。なお、上述のように得られた右室流出部の全構成点に関する補正動き情報の境界面上での分布値に対して、空間的な平滑化処理(境界面メッシュの2次元空間に対するメディアンフィルタ処理や、畳み込み平均といった処理が好適である)を行って滑らかな分布を有する補正動きを得るのが、補正動き情報演算時のノイズ低減の観点からより望ましい実施形態となる。
図6A、図6B、及び図6Cは、第1の実施形態に係る推定機能172による動き補正による影響を説明するための図である。図6Aには、Longitudinal Strain(LS)の変化を表すグラフを例示する。また、図6Bには、動き情報に応じたカラーコード(値が小さいほど濃いカラーが割り当てられる)を右室内膜の輪郭上にマッピングした表示画像を例示する。また、図6Cには、右心室冠状面(RV coronal-view)における右室輪郭の位置を例示する。
図6Aから図6Cに示すように、本実施形態による動き補正(補正処理)によって右室流出部が収縮運動するようになり、対応する2セグメント(図6Aの「RVOT Sept.」及び「RVOT Free」)でのLSの曲線が補正されていることが解る。具体的には、動き補正が無い場合には、図6Bの領域R1に示すように、右室流出部には他の領域と比較して濃いカラーが割り当てられている。これは、右室流出部の動き情報が小さいことを意味し、図6Bの例ではほとんどゼロである。つまり、動き補正が無い場合には、右室流出部がほとんど動いていないことが解る。このため、図6Cの領域R3に示すように、右室流出部が局所的に図中の右下方向に伸びて(あたかも拡張しているように)観察されている。また、図6Aの上図のグラフにおいても、収縮末期でLSがプラスの値となっている。一方、動き補正を行った場合には、図6Bの領域R2に示すように、右室流出部には領域R1と比較して明るいカラーが割り当てられていることから、右室流出部の動き情報が得られていることが解る。このため、図6Cの領域3で示した右下方向への伸びが解消し、図6Cの領域R4に示すように、右室流出部の収縮が観察されるようになり、図6Aの下図のグラフにおいても右室流出部のLSの曲線が改善していることが解る。
図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の処理手順を示すフローチャートである。図7に示す処理手順は、例えば、壁運動解析を開始する旨の指示を操作者から受け付けた場合に開始される。
ステップS101において、処理タイミングか否かを判定する。例えば、入力装置102は、壁運動解析を開始する旨の指示を操作者から受け付け、受け付けた指示を処理回路170へ送る。処理回路170は、入力装置102により転送された指示を受け付けると、処理タイミングであると判定し(ステップS101肯定)、ステップS102以降の処理を開始する。なお、処理タイミングでない場合には(ステップS101否定)、ステップS102以降の処理は開始されず、処理回路170の各処理機能は待機状態である。
ステップS101が肯定されると、ステップS102において、取得機能171は、3次元医用画像データ(ボリュームデータ)を読み出す。例えば、取得機能171は、被検体Pの右心室を含む領域が撮像された少なくとも1心周期以上にわたるボリュームデータ群を、画像メモリ150から読み出す。
ステップS103において、推定機能172は、対象部位の関心領域を設定する。例えば、推定機能172は、ボリュームデータに対してセグメンテーション処理を適用して、右心室に対応する領域を検出する。そして、推定機能172は、検出した領域に初期輪郭を設定する。
ステップS104において、推定機能172は、関心領域の輪郭上の複数の位置にアドレス番号を設定する。例えば、推定機能172は、ボリュームデータ群に含まれる少なくとも一つのボリュームデータにおける右心室の輪郭に対応する位置に、アドレス番号が付与された追跡点(構成点)を複数設定する。
ステップS105において、推定機能172は、3DWMTにより組織の動き情報を推定する。例えば、推定機能172は、複数の構成点が設定された初期時相におけるボリュームデータと、次の時相におけるボリュームデータとを用いてパターンマッチングを含む追跡処理を行うことで、ボリュームデータ群に含まれる複数の超音波画像データにおける複数の構成点の位置を追跡する。
ステップS106において、推定機能172は、外挿補間処理により、室上稜(CSV)の動きから、肺動脈弁レベルの点(PV_in)の動きを推定する。例えば、推定機能172は、「室上稜で得られた長さ変化率による収縮成分と点PV_inにおける収縮成分は等しい」と定義することで、室上稜の動き情報を用いて点PV_inの補正動き情報を算出する。
ステップS107において、推定機能172は、外挿補間処理により、肺動脈弁レベルの輪郭上の点(PV_in)の動きから、同一円周上の他の点(PV_out)を推定する。例えば、推定機能172は、「同一肺動脈弁レベルの円周上での血流方向における収縮動き成分は等しい」と定義することで、点PV_inの動き情報を用いて点PV_outの補正動き情報を算出する。
ステップS108において、推定機能172は、外挿補間処理により、室上稜(CSV)の動きから、同一円周上の他の点(CSV_out)を推定する。例えば、推定機能172は、「同一室上稜レベルの円周上での血流方向における収縮動き成分は等しい」と定義することで、室上稜の動き情報を用いて点CSV_outの補正動き情報を算出する。
ステップS109において、推定機能172は、内挿補間処理により、右室流出部の全点の動きを推定する。例えば、推定機能172は、肺動脈弁レベルの円周上の各構成点の補正動き情報と、室上稜レベルの円周上の各構成点の補正動き情報とを用いた内挿補間処理により、流路軸方向の各点に対する補正動き情報を算出する。
ステップS110において、算出機能173は、壁運動情報及び容積情報の少なくとも一方の情報を算出する。例えば、算出機能173は、各構成点の1フレームごとの局所心筋変位[mm]、2点間の距離の変化率である局所心筋ストレイン[%]、或いはこれらの時間変化である局所心筋速度[cm/s]及び局所心筋ストレインレート[1/s]等を算出する。
ステップS111において、出力制御機能174は、算出された情報を出力する。例えば、出力制御機能174は、算出機能173によって算出された壁運動情報若しくは容積情報をカラーコードに変換し、表示画像上にマッピングする。また、例えば、出力制御機能174は、各構成点について算出された壁運動情報を用いて、関心領域に含まれる各セグメントごとに平均値を算出する。そして、出力制御機能174は、算出した平均値に関する時間変化曲線を作成して表示する。そして、処理回路170は、処理を終了する。
このように、処理回路170は、右室流出部の補正処理を含む右心室の3DWMTを行う。なお、図7に示した処理手順はあくまで一例であり、図示の処理手順に限定されるものではない。例えば、ステップS107の処理及びステップS108の処理は、いずれの処理が先に実行されてもよい。
また、図7に示した処理手順では、右室流出部の流路軸方向のうち、上端(室上稜レベル)の円周上の各構成点と、下端(肺動脈弁レベル)の円周上の各構成点との間を内挿補間処理による算出する場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、推定機能172は、右室流出部の流路軸方向のうち幾つかの位置レベルの円周上の構成点を外挿補間処理により算出した上で、流路軸方向の内挿補間処理を行うこともできる。このように、流路軸方向において外挿補間処理により算出する位置レベルを増加させることで、流路軸方向における補正精度を向上させることができる。
上述してきたように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1において、推定機能172は、右室流出部の第1動き情報を、右室流出部の近傍にあり右室流出部と近しい動きを示す部位の第2動き情報を用いて補正する。これによれば、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、右室流出部における動きの解析品質を向上させることができる。つまり、超音波診断装置1は、右室流出部が観察し難い場合であっても、右室流出部の近傍にあり右室流出部と近しい動きを示す部位の動き情報が一点でも得られていれば、得られている動き情報を用いて右室流出部の全点の動き情報を得ることができる。したがって、体表用の超音波プローブで得られた3次元動画データを用いて右心室の3DWMTを行う際に、右室流出部における動きの解析品質を向上させることができる。
また、例えば、推定機能172は、第2動き情報のうち血流方向に平行な組織の輪郭方向(流路軸方向)の成分に関する動き情報を用いて、第1動き情報のうち血流方向に平行な組織の輪郭方向の成分に関する動き情報を補正する。具体的には、第1動き情報について、第1部位での血流方向への成分若しくは第1部位での血流方向に平行な第1部位の組織の輪郭方向への成分に関する動き情報を用いる。また、第2動き情報について、第1部位ないし第2部位での血流方向への成分若しくは第1部位ないし第2部位での血流方向に平行な第1部位ないし第2部位(第1部位と第2部位は複合同順)の組織の輪郭方向への成分に関する動き情報を用いる。これにより、推定機能172は、右室流出部の収縮方向以外の方向成分を含む動き情報を用いて、右室流出部の収縮方向の動き情報を推定することができる。
また、例えば、推定機能172は、空間的な外挿補間処理を用いて、第1動き情報を補正する。一例としては、推定機能172は、外挿補間処理により、室上稜の動きから肺動脈弁レベルの点PV_inの動きを推定する。これにより、推定機能172は、既知の一点の動き情報を用いて、未知の点の動き情報を推定することができる。
また、例えば、推定機能172は、第1動き情報及び第2動き情報を比較して、第1動き情報を補正するための補正動き情報を算出する。一例としては、推定機能172は、式(14)若しくは式(15)を用いて、補正動き情報Vcを算出する。これにより、推定機能172は、第1動き情報が十分に得られているか否かに応じて、適切に補正を行うことができる。
また、例えば、推定機能172は、補正動き情報を第1動き情報に加算する。具体的には、推定機能172は、式(18)に示すように、点PV_inにおけるオリジナルの動き情報Voに補正動き情報Vcを加算する。これにより、推定機能172は、補正対象のオリジナルの動きを用いることで、血流方向に垂直な組織の動き成分が残存するように補正することができる。
また、例えば、推定機能172は、第2部位が室上稜である場合に、第2動き情報を用いた外挿補間処理により右室流出部の肺動脈弁レベルの一点の第3動き情報を算出し、算出した第3動き情報を用いた外挿補間処理により右室流出部の肺動脈弁レベルの円周上の他の点の第4動き情報を算出する。一例としては、推定機能172は、外挿補間処理により、肺動脈弁レベルの輪郭上の点PV_inの動きから、同一円周上の他の点PV_outを推定する。これにより、推定機能172は、既知の点の内挿補間処理では補正できない未知の点について、補正を行うことができる。
また、例えば、推定機能172は、右心室の心尖部と第2部位との間の長さの変化率、及び、第2部位と第2部位の近傍で右室流出部に概平行な方向にある点との間の長さの変化率のうち、少なくとも一方の変化率を用いて第2動き情報を算出する。例えば、推定機能172は、式(1)の分子に示すように、L(N+1)とL(N)との差分をとる。これにより、推定機能172は、並進動きの成分をキャンセルした上で、補正を行うことができる。
また、例えば、推定機能172は、第1動き情報の大きさと、第2動き情報の大きさとを比較して、第1動き情報の大きさが大きい場合には、補正動き情報をゼロとし、第1動き情報の大きさが小さい場合には、第2動き情報の大きさに対する第1動き情報の大きさの程度に応じて、補正動き情報を調整する。一例としては、推定機能172は、式(14)若しくは式(15)を用いて、補正動き情報Vcを算出する。これにより、推定機能172は、得られている第1動き情報の程度に応じて、補正処理に用いる補正動き情報(補正動き量)を調整することが可能となる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波診断装置1が、「第2部位」として室上稜の構成点を用いる場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、室上稜以外にも、右室流出部の近傍にあり右室流出部と近しい動きを示す部位として、大動脈弁(Aortic Valve:AV)がある。
図8は、肺動脈弁及び大動脈弁の位置関係を示す図である。図8の上図には、図8の下図に示す心臓の断面図を例示する。なお、図8の上図の断面図は、図8の下図の矢印で示した視線方向から見た断面図(つまり、被検体の頭部側から見た図)である。図8の上図において、上方向は被検体Pの体表側(腹側)、下方向は被検体Pの背中側、右方向は被検体Pの右側、左方向は被検体Pの左側にそれぞれ対応する。
図8に示すように、大動脈弁は、被検体Pの心臓において概ね肺動脈弁の近傍に位置している。大動脈弁及び肺動脈弁は、心臓の拍動に伴って双方の弁輪は血管方向へ動く。具体的には、収縮期には、左心と右心が共に収縮して同じ血流量を大動脈(Aorta)および肺動脈(Pulmonary Artery)双方の血管へ駆出し、その際に双方の弁輪は動脈血管側へ動く。また、拡張期には、左心と右心の拡張に伴い、収縮開始時点の位置まで双方の弁輪位置へ戻る。以上のことから、肺動脈弁の弁輪の動き量は、大動脈弁の弁輪の動き量の程度と概ね相関があると考えられる。ここで、肺動脈弁の弁輪は、胸骨に近いためにエコー信号が得られ難いが、大動脈弁の弁輪は、右室流出部や肺動脈の血液や、周辺の心腔内の血液が超音波を通すことでエコー信号が得られ易い。そこで、第2の実施形態では、第2部位として大動脈弁を用いる場合を説明する。
第2の実施形態に係る超音波診断装置1は、図1に示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、推定機能172の処理の一部が相違する。そこで、第2の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
右心室のROIに関しては、右室流出部内にある肺動脈弁の弁輪部位を含めて動き情報が3DWMTにより得られている。一方で、本実施形態では、大動脈弁の弁輪部位の動きを得ることが求められる。そこで、第2の実施形態に係る推定機能172は、更に、大動脈弁の弁輪部位のセグメンテーション処理と、大動脈弁の弁輪部位の追跡処理とを実行する。
ここで、大動脈弁の弁輪部位のセグメンテーション処理は、初期時相における大動脈弁の弁輪部位の初期位置を、以下の第1設定方法若しくは第2設定方法により得る。第1設定方法は、機械学習プロセス等で作成した大動脈弁の弁輪部位に関する形状データベースと、入力された3次元画像データとを照合して、大動脈弁の弁輪部位の位置を初期位置として自動的に検出する方法である。第2設定方法は、入力された3次元画像データに対応するMPR画像表示上で操作者による位置指定(マニュアルトレース等)により、大動脈弁の弁輪部位の位置を初期位置として設定する方法である。
また、大動脈弁の弁輪部位の追跡処理は、大動脈弁の弁輪部位の位置の時相間における動きを、テンプレートマッチングを含む3次元スペックルトラッキング処理によって取得し、全時相に関する大動脈弁の弁輪部位の位置を追跡する。
第2の実施形態では、大動脈弁の弁輪部位のリング状境界面位置の重心を「第2部位」とし、肺動脈弁の弁輪部位(第1の実施形態の肺動脈弁レベルのリング状境界面位置に相当する)の円周方向の各構成点を「第1部位」とする。そして、第2部位におけるオリジナルの動きVo2を重心の位置ベクトルのフレーム間差分で求めて、第1部位におけるオリジナルの動きをVo1とする。
ここで、第1の実施形態で示したように、並進動き成分を除去するための前処理を行っても良い。この場合には、第1部位では、上述した右室心尖部の動き情報V_PAを、第2部位では、右室心尖部位同様に左室心尖部Pbに関する動きV_PBを用いて、並進動き成分除去後の動きとしてV2とV1とを得る。例えば、V2及びV1は、下記の式(23)及び式(24)により求まる。
次に、成分分離のための血流方向は、図8の矢印で示すように、弁輪部位における双方の血管の軸方向となる。肺動脈弁の弁輪部位の血流方向については、第1の実施形態にて得られるNt_PVを用いる。大動脈弁の弁輪部位の血流方向については、肺動脈弁レベルと同様に、大動脈弁の弁輪部位に対応する大動脈の横断面のリング状輪郭位置で定義される回帰平面の単位法線ベクトルNt_AVを求めて用いるのが好適である。
これにより、成分分離された第2部位の動き情報V2mと、第1部位の動き情報V1mは、各々、下記の式(25)及び式(26)で表される。つまり、推定機能172は、第2動き情報として、大動脈弁の弁輪部位の大動脈血管の軸方向への動き情報成分を用いる。
ここで、外挿補間処理としては、「肺動脈弁の弁輪部位の動き成分量|V1m|は、大動脈弁の弁輪部位の動き成分量|V2m|と等しい」と考える。また、この関係は、肺動脈弁の弁輪レベルの円周方向の各位置(構成点)で成り立つものとする。これにより、Vo’及びVs’の2つの動き情報として、「Vo’=V1m」及び「Vs’=|V2m|*Nt_PV」が得られる。前者の式は、定義から自明であり、後者の式は、伝えるべき動き情報の大きさに関しては大動脈弁側の動き量を用い、動き情報の方向として血流軸の異なる肺動脈弁側の動きの方向として変換することを意味する。
以上により、Vo’及びVs’の2つの動き情報が、肺動脈弁の弁輪レベルの各位置に対して得られているので、第1の実施形態で説明した式のいずれかを用いて、補正動き情報Vc0を定義すれば良い。そして、推定機能172は、Vo1+Vc0を用いて、右室流出部の下部にあたる肺動脈弁の弁輪レベルの各構成点の補正動き情報を求める。
続いて、推定機能172は、右室流出部の下部位置(肺動脈弁レベル)の動きから、右室流出部の上部位置に対応する室上稜(CSV)レベルの補正動きの外挿補間処理を行う。この際に、第1の実施形態と同様に所定位置同士の長さの変化率を用いて動き情報を与える。第2の実施形態では、第1の実施形態で示したように動きが得られている室上稜部位の位置情報はそのまま用いる。ここで、動きにより位置を補正すべきなのは室上稜部位以外の室上稜レベルにある境界面位置である。そこで、室上稜部位−肺動脈弁レベル間の長さの変化率が右室流出部領域での円周方向の各位置で等しいと考えて、外挿補間処理用の動き情報を与える。そして、異なるレベル間で対応する同一円周上の位置に関して補正動きの外挿補間処理を行う。
この場合、まず、推定機能172は、肺動脈弁レベルと室上稜間の長さ変化率を推定する。この長さ変化率を用いて、補正動き情報が与えられる点に注意を要する。第2の実施形態による第1部位と第2部位が、共に室上稜レベルの各位置で同じとなる場合があるためである。
このため、第1部位としては室上稜レベルの部位のオリジナルの動きV_CSVoを用い、第2部位としては補正動き情報を与えた後の第2部位の動きであるV_CSVを用いて区別する。
ここで、オリジナルの動き情報を定義しておく。第2の実施形態によるCSVレベルの部位の動きV_CSVoに関する成分方向は、第1の実施形態で示したように、Nt_CSVなので、成分分離した動きV_CSVomは、下記の式(27)で表される。このV_CSVomは、動き情報Vo’に対応する(Vo’=V_CSVom)。
続いて、肺動脈弁レベルと室上稜レベル間の長さ変化率を用いて、第2部位としての動き情報を得る。肺動脈弁レベルについては、上述した最初の動き補正により円周方向の各点について下記の式(28)の動きV21が得られている。すなわち、オリジナルの動きVo1に上述の補正動きVc0が加算されている。
これを肺動脈弁レベルの位置ベクトルPV(i)で示す(以下、iは任意の時相を意味する)と、下記の式(29)となる。このため、下記の式(30)と等価となる。
次に、新たな第2部位としては、右室流出部の領域にある肺動脈弁レベル上部のレベルを選択する。このレベルが室上稜レベルに等しい場合を例とすると、室上稜レベルでの動きV_CSVについては、位置ベクトルCSV(i)を用いて、下記の式(31)で定義される。
ここで、CSVレベルの円周方向において、室上稜の構成点では、CSV(N)とCSV(N+1)の双方が共に既知であるが、室上稜以外の構成点ではCSV(N)は既知だがCSV(N+1)は未知である。そこで、全ての円周方向位置におけるV_CSVを求めるために、未知のCSV(N+1)を決める。
CSVレベルと肺動脈弁レベル間の長さ|L1(N)|と長さの変化率L1SR(N)は、各々の位置ベクトルを用いると下記の式(32)〜式(34)で定義される。ここで、|L1(N)|については動かす前の位置から決まるので既知である。
室上稜でのL1SR(N)をL1SR(N)_CSVとすると、この位置での長さである|L1(N+1)_CSV|と|L1(N)_CSV|が共に既知であるのを用いて、下記の式(35)のように算出される。
一方、他の位置では「L1SR(N)=L1SR(N)_CSV」の外挿補間処理としているので、「L1SR(N)=L1SR(N)_CSV=(|L1(N+1)|−|L1(N)|)/|L1(N)|」により、下記の式(36)が成り立つ。
また、L1(N+1)は、下記の式(37)で表されるので、CSV(N+1)は、下記の式(38)により得られる。
PV_in(N+1)は、既に得られているので、上記の式によりV_CSVが決まる。そして、成分分離を行った動き成分V_CSVmは、CSVレベルでの方向ベクトルNt_CSVを用いて下記の式(39)となる。これが第2部位から第1部位へと伝えられた補正動き情報Vs’に対応する(Vs’=V_CSVm)。
以上より、Vo’及びVs’の2つの動き情報がCSVレベルの各位置に対して得られているので、第1の実施形態で説明した式のいずれかの設定を用いて、Vc1を定義すれば良い。
そして、推定機能172は、ここで得られたCSVレベルの補正動きVc1と、先に得られた肺動脈弁の弁輪レベルでの補正動き情報Vc0を用いて、右室流出部の全領域に関する補正動き情報をレベル間での内挿補間処理により算出する。そして、推定機能172は、この補正動き情報を用いて、右室流出部の全領域の動きを補正する。
このように、第2の実施形態に係る推定機能172は、大動脈弁の弁輪部位の動き情報を右室流出部の下端の肺動脈弁の弁輪部位へ外挿補間処理した後に、右室流出部の上部への外挿補間処理を行う。例えば、推定機能172は、第2部位が大動脈弁である場合に、右室流出部の肺動脈弁レベルの一点における第1動き情報及び大動脈弁の弁輪部位における第2動き情報を用いた外挿補間処理により、肺動脈弁レベルの円周上の他の点の第3動き情報を算出する。そして、推定機能172は、算出した肺動脈弁レベルの円周上の第1動き情報及び第3動き情報を用いた外挿補間処理により、右室流出部の室上稜レベルの円周上の各点の第4動き情報を算出する。これにより、第2の実施形態に係る推定機能172は、第2部位として、室上稜及び大動脈弁輪のうち少なくとも一方を用いることで、右室流出部の全点の動き情報を補正することができる。
具体的には、推定機能172は、右室流出部の下端部の肺動脈弁輪部位の第1動き情報と大動脈弁輪部位の第2動き情報から得た補正動き情報を、右室流出部下端部の肺動脈弁輪部位へ外挿補間処理した後に、外挿補間処理により補正された右室流出部下端部の動き情報を新たな第2動き情報とし、右室流出部上部の動き情報を新たな第1動き情報として得た補正動き情報を右室流出部上部へ外挿補間処理を行って補正する。
また、例えば、推定機能172は、大動脈弁の弁輪部位を設定し、設定した大動脈弁の弁輪部位の動き情報を、テンプレートマッチングを含む処理により算出する。例えば、推定機能172は、上述した第1設定方法若しくは第2設定方法により大動脈弁の弁輪部位の初期位置を設定する。そして、推定機能172は、大動脈弁の弁輪部位の位置の時相間における動きを、3次元スペックルトラッキング処理により取得する。これにより、推定機能172は、右室流出部の外部の点を第2部位として用いることができる。
(第3の実施形態)
上述した第1及び第2の実施形態では、右室流出部の近傍にあり右室流出部と近しい動きを示す部位として、室上稜若しくは大動脈弁を個別に用いる場合を説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1は、右室流出部の近傍にあり右室流出部と近しい動きを示す部位として、室上稜及び大動脈弁の双方の動き情報を用いて、右室流出部の動き情報を補正することが可能である。
第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、図1に示した超音波診断装置1と同様の構成を備え、推定機能172の処理の一部が相違する。そこで、第3の実施形態では、第1の実施形態と相違する点を中心に説明することとし、第1の実施形態において説明した構成と同様の機能を有する点については、説明を省略する。
第3の実施形態では、まず、第2の実施形態で説明したように、大動脈弁の弁輪部位の動き情報から右室流出部の肺動脈弁の弁輪部位の動き情報を補正するための動き補正量V_AVを求める。次に、第1の実施形態で説明したように、室上稜の動き情報から右室流出部の最下位レベルに相当する肺動脈弁の弁輪部位の動き補正量V_CSVを求める。そして、V_AVとV_CSVの双方の動き補正情報を用いて、実際の肺動脈弁の弁輪部位の補正に用いる合成動き情報であるV_PVを算出する。ここで、V_PVを定義する具体例としては、主に、以下の第1算出方法及び第2算出方法がある。
まず、第1算出方法について説明する。第1算出方法では、推定機能172は、動きの重み付け平均により合成動き情報を定義する。例えば、推定機能172は、下記の式(40)によりV_PVを求める。なお、式(40)において、αは「0≦α≦1」を満たす係数である。
式(40)において、α=0.5の場合が最も単純な方法である。この場合、V_AVとV_CSVの双方の平均動きにより補正を行うことに相当する。
一般的には、αを可変設定として双方の動き情報の推定品質に応じて制御する方法がある。この場合の推定品質としては、パターンマッチングに基づくスペックルトラッキング(speckel-tracking)の技術で用いられる公知の指標値(対象部位の輝度値や輝度の空間的な分散値および、パターンマッチング時の相関係数値など、個々の指標値が動きの品質に相関する関係にある複数の指標値から重み付け加算などで得られる値:特許文献1を参照)を用いれば良い。そして肺動脈弁の弁輪部位の品質指標値Q_AVと、室上稜部位の品質指標値Q_CSVとを用いて、例えば、下記の式(41)により係数αを与える。ここで、Q_AVとQ_CSVは、共に0〜1の値を取るように規格化されているものとする。
これにより、V_AVとV_CSVの双方の動き情報のうち、より動き品質が高いと推定される方の動き情報の重みを大きくした動き補正情報が得られると期待され、入力されている画質条件に対してロバストな動きの補正が達成される。
次に、第2算出方法について説明する。第2算出方法では、V_AVとV_CSVの双方の動き量を比較して、大きな方を合成動き情報と定義する。第1算出方法では、動きが得られた「入力条件」として動き情報の推定品質に応じて合成の仕方を制御するのに対し、第2算出方法では、得られた「動きの出力情報」そのものを比較する。すなわち、|V_AV|と|V_CSV|のうち、より大きな方を用いて合成動き情報として選択する。
第2算出方法では、V_AVとV_CSVの双方から得られる動きは本来同程度の大きさを有していると仮定し、より動き量の大きな方が入力されている画質条件に対して、より正確に本来の動きを反映していると考える。第1算出方法に代えて第2算出方法を用いるメリットとしては、実際の動き品質指標の推定には制約がある点の回避である。例えば、多重反射アーティファクトのように安定的に変動しないエコー信号は、実際の対象組織からのエコー信号との区別が困難であり、品質指標値は高くなるが動きは殆どゼロとなるので、どちらか一方の部位にこのようなアーティファクトが存在するとV_PVの値が過小評価されてしまう。第2算出方法では、このようなケースであってもV_PVとしてより妥当な値が動き情報の推定品質とは独立に得られるようになる。
このように、推定機能172は、第1算出方法若しくは第2算出方法により右室流出部における肺動脈弁の弁輪部位の動き補正量V_PVを算出する。そして、推定機能172は、第1の実施形態で説明したように室上稜をベースとする動きの外挿補間処理、若しくは第2の実施形態で説明したように大動脈弁の弁輪部位をベースとする動きの外挿補間処理により、右室流出部の他の点の動き補正量を外挿補間処理して与えれば良い。
この際に、どちらの部位に関する外挿補間処理を用いるかについては、第1算出方法では、動き情報の推定品質の高い方を選び、第2算出方法では、V_PVの選択に用いた判定先の部位を適用すれば良い。
このように、第3の実施形態に係る超音波診断装置1において、推定機能172は、第2部位として室上稜及び大動脈弁を用いる場合に、室上稜から得られる動き情報と大動脈弁から得られる動き情報とを組み合わせて第2動き情報を算出する。具体的には、推定機能172は、室上稜及び大動脈弁から得られる動きに関する品質指標を用いて定義される重みを用いた重み付け平均処理に基づく動き情報、若しくは、室上稜及び大動脈弁から得られる動きのうち大きさが大きい方の動き情報を、第2動き情報として算出する。これにより、第3の実施形態に係る超音波診断装置1は、室上稜及び大動脈弁の双方の動き情報を用いて、右室流出部の動き情報を補正することが可能である。
(その他の実施形態)
上述した実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてもよい。
(医用画像処理装置)
例えば、上述した実施形態では、上述した処理が超音波診断装置1にて実行される場合を説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、超音波診断装置1にて収集されたボリュームデータを、ワークステーション等の医用画像処理装置へ転送した上で、上述した処理を医用画像処理装置上で実行しても良い。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述した実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、或いは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、上述した実施形態で説明した医用画像処理方法は、予め用意された医用画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用画像処理方法は、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用画像処理方法は、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは内部記憶回路160に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、内部記憶回路160にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、右室流出部における動きの解析品質を向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。