JP2022003161A - 接合材、接合材の製造方法及び接合方法 - Google Patents

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Hideyuki Fujimoto
大輔 伊東
Daisuke Ito
圭一 遠藤
Keiichi Endo
卓 岡野
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Abstract

【課題】スペーサとして機能する粗大な金属大粒子粉末を含む接合材であって、接合を実施した際に金属接合層中にクラックを生じにくい接合材を提供すること。【解決手段】平均一次粒子径が150nm以下の金属小粒子粉末、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積90%粒子径(D90)が7〜40μmの金属大粒子粉末、複数の官能基を有し、分子量が600〜1500である化合物A、及び溶剤を含む接合材。【選択図】図2

Description

本発明は、接合材、接合材の製造方法及び接合方法に関する。
近年、Power LEDや高周波デバイス、インバーター等のパワーデバイスの分野などにおいて、デバイスの小型化及び高出力化に伴い、デバイスの発熱の問題が大きくなってきており、このサーマルマネジメントの議論が活発になってきている。また、他の半導体デバイスにおいても、従来のシリコン系素子から化合物半導体素子への変更の検討も進み、ジャンクション温度が高くなる傾向にある。
これらの技術的背景のもとに、各種半導体デバイスと基板等を接合する材料に求められてくるのは、放熱性及び接合信頼性である。昨今、焼結銀などの金属微粒子粉末を用いた接合材はこの放熱性と接合信頼性とを実現し得る材料として注目されている。またこのような接合材は低温で焼結して金属接合層を形成するので、基板として耐熱性の低いものを使用し得るという点でも注目されている。
金属微粒子粉末を含む接合材を使用した接合方法としては、接合材を基板に塗布し、塗膜上に被接合部材を載置し、加圧焼結して金属接合層を形成する方法が代表的な方法として知られている。ここで、形成される金属接合層が薄いものであると、その接合層は応力緩和能力が低く、接合信頼性(例えば冷熱サイクルを経ても接合強度や放熱性・導電性が実質的に変化しないこと)の点で不十分である。
このような不都合に対して、特許文献1では、平均粒子径が例えば10μm程度の樹脂粒子を銀や銅などでコートした導電性粒子と、金属微粒子とを含む接合材が提案されている。金属微粒子に比べて非常に大きい導電性粒子の存在により、このような接合材から形成される金属接合層の厚みは導電性粒子の大きさに対応したものとなる。つまり前記導電性粒子は金属接合層の厚みを(金属粒子として金属微粒子のみを含む接合材から形成される金属接合層の厚みに比べて)大きくするスペーサとして機能している。
特許文献2では、3種類の銀粒子を含む銀ペーストが開示されている。特許文献2の実施例ではこの3種類の銀粒子はそれぞれ製造例1〜3にて作製ないし準備されている。
製造例1に係る銀粒子の平均粒子径は約60nmであることが記載されている。
製造例2に係る単結晶の銀粒子として記載されたLM1(トクセン工業株式会社製)は粒子径0.1〜5.0μmと記載されているが、該LM1の製品カタログにおけるD50は1.0±0.3μmである。
製造例3に係る非球状の銀粒子(フレーク状)として記載されたAgC239(福田金属箔粉工業株式会社製)は粒子径2〜15μmと記載されているが、該AgC239の製品カタログにおけるメディアン径は2.0〜3.4μmである。
特開2016−195126号公報 特開2016−54098号公報
特許文献2に開示の技術は、低温且つ低加圧で焼結した場合でも緻密度の高い銀焼結体を形成可能な銀ペーストを提供することを課題としており、このために3種類のサイズの異なる銀粒子を混合し、大きな銀粒子同士が接触してできる隙間に微細な銀粒子が効率よく充填され、結果として緻密度の高い銀焼結体を得ようとしたものである。実施例で使用された銀粒子のうちサイズが最大のものでもメディアン径(累積50%粒子径)が3μm程度のものであり、この程度の大きさでは銀焼結体(銀接合層)の厚みを接合信頼性の点で十分に大きくすることはできない。
一方特許文献1は、所定の導電性粒子をスペーサとして利用しており厚い金属接合層を形成することができるが、この導電性粒子のコア粒子は樹脂であり、これは金属接合層の放熱性や導電性に対して悪影響を及ぼす。
このような問題点を解決するために鋭意検討した結果、金属小粒子粉末と、スペーサとして機能する粗大な金属大粒子粉末とを含む接合材を着想し、本願出願人は出願を行った(特願2019−174120)。
ところが、上記新たな構成にも更なる課題があることを本発明者は知見した。具体的には、前記の出願に係る、粗大な金属大粒子粉末を含有した接合材を利用して基板と半導体素子などの二つの被接合部材を接合すると、形成される金属接合層中にクラックが生じる場合がある。クラックの生じた金属接合層は、接合信頼性の悪化や導電性の低下が懸念される。
そこで本発明は、スペーサとして機能する粗大な金属大粒子粉末を含む接合材であって、接合を実施した際に金属接合層中にクラックを生じにくい接合材を提供することを課題とする。
[1]平均一次粒子径が150nm以下の金属小粒子粉末、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積90%粒子径(D90)が7〜40μmの金属大粒子粉末、複数の官能基を有し、分子量が600〜1500である化合物A、及び溶剤を含む接合材。
[2]前記金属小粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成され、
前記金属大粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成されている、[1]に記載の接合材。
[3]前記金属大粒子粉末の前記累積90%粒子径(D90)が18〜35μmである、[1]又は[2]に記載の接合材。
[4]前記官能基がヒドロキシル基、アミノ基、チオール基又はカルボキシル基である、[1]〜[3]のいずれかに記載の接合材。
[5]前記化合物Aが、下記式(I)又は(II)で表される化合物である、[1]〜[4]のいずれかに記載の接合材:
Figure 2022003161
(式(I)において、v及びyはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、wは0〜10の整数であり、xは14〜40の整数である。
式(II)において、Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又は炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基である。pは1〜20の整数、mは1〜5の整数である。mが2以上の場合、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在する−(CH−は互いに同一でも異なっていてもよい。)
[6]前記金属小粒子粉末の前記接合材中の含有量が、7〜55質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載の接合材。
[7]レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径(D50)が1.1〜4.5μmの金属中粒子粉末を更に含む、[1]〜[6]のいずれかに記載の接合材。
[8]前記金属中粒子粉末の前記接合材中の含有量が40〜85質量%である、[7]に記載の接合材。
[9]前記金属大粒子粉末の前記接合材中の含有量が、2〜20質量%である、[1]〜[8]のいずれかに記載の接合材。
[10]前記金属小粒子粉末が銀により構成され、前記金属大粒子粉末が銀により構成されている、[1]〜[9]のいずれかに記載の接合材。
[11]前記金属大粒子粉末の平均アスペクト比が3以下である、[1]〜[10]のいずれかに記載の接合材。
[12]平均一次粒子径が150nm以下の金属小粒子粉末、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積90%粒子径(D90)が7〜40μmの金属大粒子粉末、複数の官能基を有し、分子量が600〜1500である化合物A、及び溶剤を混合する、接合材の製造方法。
[13]前記金属小粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成され、
前記金属大粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成されている、[12]に記載の接合材の製造方法。
[14]前記金属小粒子粉末及び前記金属大粒子粉末の使用量が、前記接合材中の前記金属小粒子粉末及び前記金属大粒子粉末の含有量が、それぞれ7〜55質量%及び2〜20質量%となる量である、[12]又は[13]に記載の接合材の製造方法。
[15]前記化合物Aが、下記式(I)又は(II)で表される化合物である、[12]〜[14]のいずれかに記載の接合材の製造方法:
Figure 2022003161
(式(I)において、v及びyはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、wは0〜10の整数であり、xは14〜40の整数である。
式(II)において、Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又は炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基である。pは1〜20の整数、mは1〜5の整数である。mが2以上の場合、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在する−(CH−は互いに同一でも異なっていてもよい。)
[16]前記金属小粒子粉末、金属大粒子粉末、化合物A及び溶剤に加えて、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径(D50)が1.1〜4.5μmの金属中粒子粉末を混合する、[12]〜[15]のいずれかに記載の接合材の製造方法。
[17]前記金属中粒子粉末の使用量が、前記接合材中の前記金属中粒子粉末の含有量が40〜85質量%となる量である、[16]に記載の接合材の製造方法。
[18]2つの被接合部材を接合する接合方法であって、
一方の前記被接合部材上に[1]〜[11]のいずれかに記載の接合材又は[12]〜[17]のいずれかに記載の接合材の製造方法で製造された接合材を塗布して塗膜を形成する工程と、
該塗膜上に他方の前記被接合部材を載置する工程と、
該他方の被接合部材が載置された塗膜を160〜350℃で焼成して、前記塗膜から金属接合層を形成する工程と
を有する、接合方法。
[19]前記一方の被接合部材が基板であり、前記他方の被接合部材が半導体素子である、[18]に記載の接合方法。
本発明によれば、スペーサとして機能する粗大な金属大粒子粉末を含む接合材であって、接合を実施した際に金属接合層中にクラックを生じにくい接合材が提供される。
図1は、実施例1の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図2は、実施例2の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図3は、実施例3の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図4は、比較例1の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図5は、比較例2の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図6は、比較例3の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図7は、比較例4の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図8は、比較例5の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図9は、比較例6の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。 図10は、比較例7の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。
以下、本発明の接合材、接合材の製造方法及び接合方法の実施の形態について説明する。
[接合材]
<金属小粒子粉末>
本発明の接合材の実施の形態は、平均一次粒子径が150nm以下の金属小粒子粉末を含む。このようなサイズの粉末は、低温(例えば160〜350℃といった温度)での焼成による焼結性(以下「低温焼結性」ともいう)に優れる。低温焼結性の観点から、金属小粒子粉末の平均一次粒子径は好ましくは130nm以下であり、より好ましくは100nm以下である。また、金属小粒子粉末の平均一次粒子径は通常1nm以上である。
なお本明細書において、平均一次粒子径とは、粒子の透過型電子顕微鏡写真(TEM像)又は走査型電子顕微鏡写真(SEM像)から求められる一次粒子径の平均値(個数基準の平均一次粒子径)をいう。更に具体的には、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製のJEM−1011)又は走査型電子顕微鏡(SEM)(日立ハイテクノロジーズ株式会社製のS−4700)により粒子を所定の倍率で観察した画像(SEM像又はTEM像)上の100個以上、好ましくは250個の任意の粒子の一次粒子径(粒子と面積が同じ円(面積相当円)の直径)から平均一次粒子径を算出することができる。面積相当円の直径の算出は、例えば、画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング株式会社製のA像くん(登録商標))により行うことができる。
本発明の接合材の実施の形態における金属小粒子粉末の含有量は、焼成により接合材が十分に焼結して強固な金属接合層を形成する観点と、後述する金属大粒子粉末の接合材中の含有量を確保してクラックの少ない厚い金属接合層を形成する観点から、7〜55質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
金属小粒子粉末の形状は特に制限されない。略球状(後述する平均アスペクト比が1〜1.5)、フレーク状、不定形などいずれの形状でもよいが、略球状の金属小粒子粉末が、製造が容易で好ましい。
金属小粒子粉末の構成金属としては、放熱性及び導電性の観点から銀、銅、金、アルミニウムが好ましい。これらのうち2種以上の金属の合金であってもよい。同様な観点及びコストの観点から、金属小粒子粉末の構成金属としては銀が特に好ましい。
なお金属小粒子粉末は粒子径が小さいため凝集し易い傾向にある。これを防止するため、金属小粒子粉末は有機化合物で被覆されていることが好ましい。この有機化合物としては金属小粒子粉末の粒子表面を被覆可能な公知のものを特に制限なく使用可能である。前記有機化合物の例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基及びジスルフィド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数1〜18の有機化合物が挙げられる。この有機化合物は分岐を有してもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。
160〜350℃程度での焼成により十分に金属小粒子粉末から分離して金属小粒子粉末の粒子同士の焼結を阻害しないように、前記有機化合物としては炭素数12以下のものが好ましく、炭素数2〜8の飽和脂肪酸もしくは不飽和脂肪酸や飽和アミンもしくは不飽和アミンがより好ましい。このような脂肪酸やアミンの例として、ヘキサン酸、ソルビン酸、ヘキシルアミン及びオクチルアミンが挙げられる。
金属小粒子粉末における上記有機化合物の量は、凝集防止及び低温焼結性の観点から、金属小粒子粉末(粒子を被覆する有機化合物を含む)の質量100%のうち、0.1〜12質量%であることが好ましく、0.4〜8質量%であることがより好ましい。なお本明細書において、前記有機化合物の金属小粒子粉末中の量は、金属小粒子粉末を大気雰囲気下、室温から700℃に昇温し、700℃で10分保持して有機化合物を除去したときの質量減少率((加熱前質量−加熱後質量)/加熱前質量×100(質量%))とする。後述する金属大粒子粉末及び金属中粒子粉末についても同様とする。
<金属大粒子粉末>
本発明の接合材の実施の形態は、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積90%粒子径(D90)が7〜40μmの金属大粒子粉末を含む。
接合材がこのような大きな粒子の粉末を含むことにより、(金属小粒子粉末により)低温焼結性を維持しつつ、その大きさに応じた金属接合層を形成可能となる。すなわち金属大粒子粉末は金属接合層の厚みを大きくするスペーサ粒子として機能する。
金属大粒子粉末の累積90%粒子径(D90)は、好ましくは10〜38μm、より好ましくは18〜35μmである。特に、金属大粒子粉末のD90が18μm以上であると、金属接合層が厚くなってクラックが生じやすくなるものの、本発明を適用することにより、クラック発生が抑制される。
なお累積50%粒子径(D50)のような一般に平均粒子径と言われている粒子径ではなく、累積90%粒子径(D90)を規定するのは、本発明者の検討により、粒度分布における大きい領域、ただし最大サイズではないD90あたりの粒子のサイズが、この金属大粒子粉末を含む接合材から形成される金属接合層の厚みにおおよそ反映されることが判明したためである。すなわち、前記金属接合層の厚みは金属大粒子粉末を構成する粒子1粒の大きさ(D90)に対応した厚みとなり、金属接合層の厚みを、金属大粒子粉末の粒子の大きさにより容易に調整することができる。
なお金属大粒子粉末の累積99%粒子径(D99)があまりに大きいと、接合材を基板等の一方の被接合部材上に塗布して形成される塗膜について、D99に対応する粒子のある部分だけ塗膜が厚く、この上に半導体素子等の他方の被接合部材を載置し焼成を実施して金属接合層を形成したときに、前記粒子のある部分の近傍において、前記他方の被接合部材と金属接合層との間に空隙が生じたり、二つの被接合部材を平行に接合できない可能性がある。このような事態を回避する観点から、D99は好ましくは15〜70μmであり、より好ましくは20〜65μmである。
なお金属大粒子粉末の粒度分布が狭い方が、スペーサとして機能しない小さな粒子が少ないことにつながるので、好ましい。その点から、金属大粒子粉末の累積50%粒子径(D50)は好ましくは5〜30μm、より好ましくは6〜28μm、更に好ましくは7〜25μmである。
スペーサとして機能させることに関し、金属大粒子粉末の平均アスペクト比は好ましくは3以下であり、より好ましくは1〜2であり、更に好ましくは1〜1.5であり、特に好ましくは1〜1.3である。平均アスペクト比が大きいと、接合材を基板等の被接合部材上に塗布して形成される塗膜中において、金属大粒子粉末の構成粒子が、その長径に対応する線が基板に対して垂直に近い方向になるように(つまりは金属大粒子粉末の各粒子が縦に)配置されないと、金属接合層の厚みを大きくすることができない(金属接合層の厚みが金属大粒子粉末の短径に対応したものとなってしまう)。しかし塗膜中で平均アスペクト比の大きい金属大粒子粉末の構成粒子の大部分がこのように配置されるとは想定しがたい。以上から金属大粒子粉末の平均アスペクト比の好ましい値が前記のように規定される。
なお金属大粒子粉末の平均アスペクト比は、金属大粒子粉末の構成粒子の長径を短径で除した数値の平均値であり、100個以上の任意の粒子について個別にアスペクト比を求め、その平均値として算出される。前記長径及び短径は、金属大粒子粉末を所定の倍率でSEMにより観察した画像中で見える、各構成粒子の平面形状における長径と短径である。なお、画像中でまず長径(粒子の輪郭上の二点を結ぶ線分であって、粒子外を通ることのない線分のうち最も長いもの(長軸)の長さ)を定め、次に、長軸の中点を通りかつ長軸に直交する、粒子の輪郭上の二点を結ぶ線分であって粒子外を通ることのない線分(短軸)の長さを短径とする。なお、上述した金属小粒子粉末及び後述する金属中粒子粉末の平均アスペクト比についても、金属大粒子粉末の場合と同様に算出することができる。
本発明の接合材の実施の形態における金属大粒子粉末の含有量について、スペーサとして十分に機能させるためには、2質量%以上であることが好ましい。また、スペーサとしての機能に加えて、接合材中の金属小粒子粉末の量を確保して強固な金属接合層を形成する観点から、金属大粒子粉末の接合材中の含有量は2〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%がより好ましい。
金属大粒子粉末の構成金属としては、金属小粒子粉末の場合と同様であり、放熱性及び導電性の観点から銀、銅、金、アルミニウムが好ましい。これらのうち2種以上の金属の合金であってもよい。前記構成金属としては、放熱性、導電性及びコストの観点から銀が特に好ましい。なお、金属小粒子粉末と線膨張係数をそろえて接合信頼性に優れた金属接合層を形成する観点からは、金属小粒子粉末及び金属大粒子粉末が同様の金属又は合金で構成されていることが好ましい。
接合材中での分散性を高めて金属小粒子粉末との密な充填を可能とする観点から、金属大粒子粉末は有機化合物で被覆されていてもよい。この有機化合物としては金属大粒子粉末の粒子表面を被覆可能な公知のものを特に制限なく使用可能である。前記有機化合物の例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基及びジスルフィド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数12〜24の有機化合物が挙げられる。この有機化合物は分岐を有してもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。このような有機化合物の例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。
金属大粒子粉末における上記有機化合物の量は、分散性の観点から、金属大粒子粉末(粒子を被覆する有機化合物を含む)の質量100%のうち、0.05〜1.5質量%であることが好ましく、0.08〜1.0質量%であることがより好ましい。
<化合物A>
本発明の接合材の実施の形態は、複数の官能基を有し且つ分子量が600〜1500である化合物Aを含む。より具体的には、本発明の接合材の実施の形態は、金属小粒子粉末と金属大粒子粉末と後述の溶剤に加え、化合物Aを配合した接合材である。
化合物Aは、その官能基により接合材中の様々な粒子同士を架橋して、一定程度お互いの距離を保持し、接合材中に粒子が均等に存在するようにさせるものと考えられる。この状態で接合材が基板等の一方の被接合部材に塗布され塗膜となり、塗膜となっても前記の状態が維持されていると考えられる。そして化合物Aの分子量は上記の範囲であり、過度に大きい値ではない。そのため、前記塗膜に対して焼成が実施されると、化合物Aは揮発ないし分解して塗膜から脱離し、粒子(特に小粒子)の焼結が十分に起こる。その結果、接合を実施した際に金属接合層中にクラックを生じにくい接合材が得られると考えられる。
ちなみに、前記化合物Aを配合しない場合、接合材中で粒子の凝集や沈降分離が生じ、粒子が接合材中に不均等に存在することになると考えられる。言い換えると、粒子が密に存在するところと疎に存在するところが併存すると考えられる。塗膜でもこの状態になりうると考えられる。この状態で塗膜が焼成されると、粒子が疎に存在した場所が空隙となり、そこが金属接合層におけるクラックとなると考えられる(沈降分離が生じている場合には、粒子が実質存在しない実質有機成分だけの場所では金属接合層が形成されない)。なお、非常に小さく凝集しやすい金属小粒子粉末においては、好ましくは凝集を防止するために上述の通り構成粒子が有機化合物で被覆されている。しかし、特に有機化合物の量が上述の好ましい範囲の場合には、粒子の表面全体を有機化合物では被覆できていないと考えられ、凝集を完全に防止することは困難である。そのため、前記の通り接合材に化合物Aを配合しないと粒子の凝集が生じると考えられる(そして化合物Aを添加すると、その官能基が粒子表面の、前記有機化合物で被覆されていないところに結合して、粒子同士の凝集を防止しつつその距離を保持すると考えられる)。
化合物Aにおける複数の官能基の数は2以上であれば限定は無い(官能基の数は好ましくは2〜16個である)。また、接合材中の様々な粒子同士を架橋して、一定程度お互いの距離を保持し、接合材中にて粒子を均等に存在させるという機能が発揮できれば、官能基の種類に限定は無い。その具体例としては、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基及びカルボキシル基が挙げられる。化合物Aが有する官能基は、これらのうち1種類でも2種類以上でもよい。半導体装置への悪影響を最小化する点からは、官能基としてヒドロキシル基、アミノ基及びカルボキシル基が好ましい。
なお、前記機能発揮の点から、官能基は化合物Aの主鎖や側鎖の末端についていることが好ましい。なお主鎖とは、化合物Aにおける、二価以上の原子(前記官能基を構成する二価以上の原子を除く)が連結することで構成される鎖のうち、最も構成原子数の多いものをいう。側鎖とは、主鎖のいずれかの構成原子から枝分かれした鎖(1以上の、二価以上の原子(前記官能基を構成する二価以上の原子を除く)を有する)である。
化合物Aの分子量は上述の通り600以上であり、このように分子量が大きければ、接合材(及びそれから形成される塗膜)中の粒子が一定程度お互いの距離を保持可能となる。一方化合物Aの分子量は1500以下であり、このように分子量が大きすぎなければ、接合材(及びそれから形成される塗膜)中の粒子同士が離れすぎた状態で存在することにより、金属接合層にクラックが発生することを防ぐことができる(上述の通り化合物Aが焼成により揮発/分解し、これによってもクラック発生が防止される)。
化合物Aの分子量に関してであるが、化合物Aがポリマーのように分子量の異なる化合物の混合物である場合、前記分子量として平均分子量が規定されることがある。その場合、化合物Aの分子量とは、重量平均分子量Mwを指す。化合物Aの分子量は、粒子同士の適切な距離の保持と、化合物A自体の揮発/分解のしやすさの点から、好ましくは650〜1100であり、より好ましくは690〜1000である。
以上説明した化合物Aの具体例は、下記式(I)又は(II)で表される化合物である。
Figure 2022003161
なお、式(I)において、v及びyはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、wは0〜10の整数であり、xは14〜40の整数である。なお−(CH=CH)w−(CH)x−は、(CH=CH)がw個連続で連結し、続いて(CH)がx個連続で連結したブロック状の構造であってもよいし、(CH=CH)と(CH)とがランダムに並んだランダム状の構造であってもよい。また、wは好ましくは0〜8の整数であり、xは好ましくは18〜36の整数である。
また、式(II)において、Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又は炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基である。pは1〜20の整数、mは1〜5の整数である。mが2以上の場合、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在する−(CH−は互いに同一でも異なっていてもよい。
後掲の実施例1、3で使用するHypermer KD9(Croda International plc製)は式(II)で表される化合物の一例であり、後掲の実施例2で使用するBYK−R606(ビックケミー・ジャパン株式会社製)は式(I)で表される化合物の一例である。
以上説明した化合物Aの、本発明の接合材の実施の形態中の含有量は、その機能を十分に発揮させ、また接合を実施して形成される金属接合層中に化合物Aが有機分として残存しないようにする観点から、好ましくは0.02〜0.8質量%であり、より好ましくは0.04〜0.6質量%であり、更に好ましくは0.05〜0.3質量%である。
<溶剤>
本発明の接合材の実施の形態は、溶剤を含む。この溶剤としては、金属小粒子粉末及び金属大粒子粉末を分散させることができ、接合材中の成分との反応性を実質的に有しないものを広く使用可能である。
接合材中の溶剤の含有量は、2〜18質量%であるのが好ましく、2.5〜16質量%であるのがより好ましい。この溶剤として、極性溶剤や非極性溶剤を使用することができるが、接合材中の他の成分との相溶性や環境負荷の観点から、極性溶剤を使用するのが好ましい。
極性溶剤の例としては、水;
ターピネオール、テキサノール、フェノキシプロパノール、1−オクタノール、1−デカノール、1−ドデカノール、1−テトラデカノール、テルソルブMTPH(日本テルペン化学株式会社製)、ジヒドロターピニルオキシエタノール(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブTOE−100(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブDTO−210(日本テルペン化学株式会社製)等のモノアルコール;
3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(オクタンジオール)、ヘキシルジグリコール、2−エチルヘキシルグリコール、ジブチルジグリコール、グリセリン、ジヒドロキシターピネオール、3−メチルブタン−1,2,3−トリオール(イソプレントリオールA(IPTL−A)、日本テルペン化学株式会社製)、2−メチルブタン−1,2,4−トリオール(イソプレントリオールB(IPTL−B)、日本テルペン化学株式会社製)等のポリオール;
ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ターピニルメチルエーテル(日本テルペン化学株式会社製)、ジヒドロターピニルメチルエーテル(日本テルペン化学株式会社製)等のエーテル化合物;
ブチルカルビトールアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテルアセテート;
1−メチルピロリジノン、ピリジン等の含窒素環状化合物;
γ―ブチロラクトン、メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、3−ヒドロキシ−3−メチルブチルアセテート、ジヒドロターピニルアセテート、テルソルブIPG−2Ac(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブTHA−90(日本テルペン化学株式会社製)、テルソルブTHA−70(日本テルペン化学株式会社製)等のエステル化合物;
などを使用することができる。これらは1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
以下、本発明の好適例及び変形例を記載する。
<金属中粒子粉末>
本発明の接合材の実施の形態は、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.4〜4.7μmの金属中粒子粉末を含むことが好ましく、その含有量は40〜85質量%であることが好ましい。このような特定サイズの粉末を特定量含むことで、接合材から形成される金属接合層中でクラック発生がより効果的に防止される。そのメカニズムを、本発明者らは以下のように推測している。
本発明の接合材の実施の形態などのように粒子径の大きな金属粉末(前記金属大粒子粉末)を接合材が含んでいる場合、接合材を基板等に塗布して形成された塗膜中にてその粉末がスペーサとして機能する。この機能のために、焼成による塗膜の厚さ方向の熱収縮が抑制される一方、水平方向の熱収縮が強まる。しかしこの好適例の場合では、焼結を起こすが焼結性の弱い金属中粒子粉末が接合材中に相当量(40〜85質量%)含まれており、これの焼結により焼結構造(=金属接合層)の骨格が形成される。金属中粒子粉末と金属大粒子粉末は焼結性が弱い乃至実質的に無いので、これらの熱収縮は非常に小さい。金属小粒子粉末は熱収縮が強いが、前記の金属中粒子粉末による焼結構造の骨格が形成されているので、金属接合層全体についてみれば、その形成時の熱収縮は弱いものと考えられる。以上のようなメカニズムにより、金属接合層形成時の熱収縮が緩和され、当該接合層中のクラック発生が防止されるものと考えられる。
以上のような推定メカニズム(金属中粒子粉末の適度な焼結性による適切な焼結構造の骨格の形成の観点)から、金属中粒子粉末の累積50%粒子径(D50)は、好ましくは1.1〜4.5μmである。
金属中粒子粉末が上記の焼結構造の骨格を形成する観点と、接合材中の金属小粒子粉末の量を確保して強固な金属接合層を形成する観点と、接合材中の金属大粒子粉末の量を確保してそのスペーサとしての機能を十分に発揮させる観点とから、金属中粒子粉末の含有量は42〜80質量%であることがより好ましい。
金属中粒子粉末の構成金属としては、金属大粒子粉末及び金属小粒子粉末の場合と同様であり、放熱性及び導電性の観点から銀、銅、金、アルミニウムが好ましい。これらのうち2種以上の金属の合金であってもよい。前記構成金属としては、放熱性、導電性及びコストの観点から銀が特に好ましい。なお、線膨張係数をそろえて接合信頼性に優れた金属接合層を形成する観点からは、金属小粒子粉末、金属中粒子粉末及び金属大粒子粉末が同様の金属又は合金で構成されていることが好ましい。
金属中粒子粉末の形状は特に制限されない。略球状(後述する平均アスペクト比が1〜1.5)、フレーク状、不定形などいずれの形状でもよいが、略球状の金属中粒子粉末が、粒子の充填性が高まり強固な焼結構造の骨格を形成し得ることから好ましい。
接合材中での分散性を高めて密な充填を可能とする観点から、金属中粒子粉末は有機化合物で被覆されていてもよい。この有機化合物としては金属中粒子粉末の粒子表面を被覆可能な公知のものを特に制限なく使用可能である。前記有機化合物の例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、チオール基及びジスルフィド基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有する炭素数12〜24の有機化合物が挙げられる。この有機化合物は分岐を有してもよく、飽和であっても不飽和であってもよい。このような有機化合物の例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸などが挙げられる。
金属中粒子粉末における上記有機化合物の量は、分散性の観点から、金属中粒子粉末(粒子を被覆する有機化合物を含む)の質量100%のうち、0.05〜1.8質量%であることが好ましく、0.1〜1.2質量%であることがより好ましい。
また、接合材中の金属小粒子粉末及び金属中粒子粉末の含有量の合計は、70質量%以上であることが好ましい。このように接合材が高含有量で金属小粒子粉末及び金属中粒子粉末を含有すると、その接合材から接合信頼性に優れた金属接合層を形成できる。なお、前記合計が大き過ぎると接合材の粘度(印刷特性に影響)が高くなる場合があり、またスペーサとして機能する金属大粒子粉末の量を確保できない場合がある。これらの観点から、接合材中の金属小粒子粉末及び金属中粒子粉末の含有量の合計は、好ましくは75〜92質量%である。
金属大粒子粉末の累積50%粒子径(D50)と、金属中粒子粉末の累積50%粒子径(D50)との比(D50/D50)は、金属中粒子粉末から形成される焼結構造の骨格と金属大粒子粉末の粒子との間に生じる隙間を小さくして(そしてその隙間を金属小粒子粉末の粒子が埋めて)クラックの発生をより有効に低減する観点から、5〜20であるのが好ましい。
更に、金属小粒子粉末、金属中粒子粉末及び金属大粒子粉末が各々の機能をよく発揮する観点から、金属小粒子粉末及び金属中粒子粉末の接合材中の含有量(質量割合)の合計と、金属大粒子粉末の接合材中の含有量(質量割合)との比(金属小粒子粉末+金属中粒子粉末:金属大粒子粉末)は、1:0.02〜1:0.3であることが好ましく、1:0.08〜1:0.2であることがより好ましい。
<その他の成分(添加剤)>
本発明の接合材の実施の形態は、その他の成分として公知の添加剤を含んでいてもよい。添加剤として具体的には、酸系分散剤などの分散剤、ガラスフリットなどの焼結促進剤、酸化防止剤、粘度調整剤、pH調整剤、緩衝剤、消泡剤、レベリング剤、揮発抑制剤が挙げられる。添加剤の接合材における含有量は、2質量%以下(複数種類の添加剤を含む場合は合計の含有量が2質量%以下)であることが好ましい。なお接合材が添加剤を含む場合、通常その含有量は0.005質量%以上(複数種類の添加剤を含む場合は各々の含有量が0.005質量%以上)とされる。
なお、接合材には樹脂を配合して金属小粒子粉末同士のバインダーとして機能させるタイプのものがあるが、金属小粒子粉末同士のバインダーとして機能させるタイプの樹脂は、接合材から形成される金属接合層中に残存し、放熱性や導電性に悪影響を与えるおそれがある。樹脂粒子を銀や銅などでコートした導電性粒子も、樹脂部分が放熱性等に悪影響を与える。また樹脂は金属とは線膨張係数が大きく異なるので、金属接合層が冷熱サイクルを受けたときに前記の相違に起因して応力が発生して、接合信頼性に悪影響する。
以上から、本発明の接合材の実施の形態には樹脂(本発明における化合物Aに該当する化合物を除く)を実質的に配合しないことが好ましい。具体的には、接合材中の樹脂の含有量は0.3質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以下であることが特に好ましい。
[接合材の製造方法]
本発明の接合材の実施の形態は、以上説明した金属小粒子粉末、(好適には金属中粒子粉末)、金属大粒子粉末、化合物A及び溶剤、更に他の任意成分(例えば添加剤)を公知の方法で混合することで、製造することができる。なお、各成分の使用量については、接合材中の各成分の含有量が、各成分の仕込み量から計算して上記で説明した量となる使用量とする(すなわち、例えば金属小粒子粉末の含有量が好ましくは7〜55質量%、金属中粒子粉末の含有量が好ましくは40〜85質量%、そして金属大粒子粉末の含有量が好ましくは2〜20質量%となる使用量とする)。
混合の方法は特に制限されるものではなく、例えば、各成分を個別に用意し、任意の順で、超音波分散機、ディスパー、三本ロールミル、ボールミル、ビーズミル、二軸ニーダー、プラネタリーミキサー、又は公転自転式攪拌機などで混合することによって、接合材を製造することができる。
[接合方法]
本発明の接合方法の実施の形態は、本発明の接合材の実施の形態、又は本発明の接合材の製造方法の実施の形態により製造された接合材を用いて2つの被接合部材を接合する方法である。本発明の接合方法の実施の形態は、塗膜形成工程と、載置工程と、金属接合層形成工程とを有し、その他予備乾燥工程等を実施してもよい。以下、これら各工程について説明する。
<塗膜形成工程>
本工程では、一方の被接合部材上に本発明の接合材の実施の形態又は本発明の接合材の製造方法の実施の形態により製造された接合材を、(印刷(例えばメタルマスク印刷、スクリーン印刷、ピン転写、ディスペンス)などにより)塗布して塗膜を形成する。前記一方の被接合部材の例としては、基板が挙げられる。基板としては、銅基板などの金属基板、銅と何らかの金属(例えばW(タングステン)やMo(モリブデン))との合金基板、銅板でSiN(窒化珪素)板やAlN(窒化アルミニウム)板などを挟んだセラミック基板、更にPET(ポリエチレンテレフタレート)基板などのプラスチック基板、FR4などのPCB基板などが挙げられる。更にこれらを積層した積層基板も、本発明の接合方法において使用可能である。
なお、前記一方の被接合部材の接合材が塗布される個所は、金属でメッキされていてもよい。塗膜から形成される金属接合層と被接合部材との接合には焼結性や原子拡散性の高い金属小粒子粉末が大きく影響する。塗膜中の金属小粒子粉末との接合相性の観点からは、前記金属メッキは金属小粒子粉末の構成金属と同じ金属のメッキであることが好ましい。
<載置工程>
続いて、前記の一方の被接合部材上に形成された塗膜の上に、他方の被接合部材を載置する。この他方の被接合部材の例としては、Si素子やSiC、GaN素子などの半導体素子、一方の被接合部材の例として挙げたのと同様の基板が挙げられる。前記塗膜からはクラック発生が防止されてそれゆえ信頼性及び導電性に優れた金属接合層が形成されうることから、本発明の接合方法の実施の形態は、基板と半導体素子の接合に使用されることが好ましい。すなわち、前記他方の被接合部材としては半導体素子が好ましい。
他方の被接合部材の塗膜と接触する個所(底面)は、金属でメッキされていてもよい。塗膜中の金属小粒子粉末との接合相性の観点からは、前記他方の被接合部材の金属メッキは、金属小粒子粉末の構成金属と同じ金属のメッキであることが好ましい。また塗膜上に他方の被接合部材を載置する際には、2つの被接合部材の間に、塗膜を圧縮する方向の圧力をかけてもかけなくてもよい。
<予備乾燥工程>
他方の被接合部材が載置された塗膜を加熱して金属小粒子粉末(好適には、当該粉末及び金属中粒子粉末。以降、接合材(から形成された塗膜)が金属中粒子粉末を含む場合として説明する)を焼結させる際に、塗膜上に他方の被接合部材を載置する前又は後に(載置工程の前又は後に)、塗膜を予備乾燥する予備乾燥工程を実施してもよい。予備乾燥は塗膜から溶剤を除去することを目的としており、溶剤が揮発し、かつ金属小粒子粉末及び金属中粒子粉末が焼結を実質的に起こさないような条件で乾燥する。この乾燥の際、化合物Aが実質的に失われない条件を採用する。具体的には、予備乾燥は塗膜を60〜150℃で加熱することによって実施することが好ましい。この加熱による乾燥は大気圧下で行ってもよいし、減圧ないし真空下で行ってもよい。また、次に説明する金属接合層形成工程において、焼成温度までの昇温速度が7℃/分以下程度であれば、焼成温度までの昇温をもって予備乾燥工程を実施することができる。
<金属接合層形成工程>
載置工程を実施して、必要に応じて予備乾燥工程を実施した後、2つの被接合部材にサンドイッチされた塗膜を160〜350℃で焼成し、金属小粒子粉末及び金属中粒子粉末を焼結させることで、金属接合層を形成し、2つの被接合部材を接合する。なおこの工程により、金属中粒子粉末から形成された焼結構造の骨格及び金属大粒子粉末が、焼結した金属小粒子粉末(粒子の形状は通常残存していないが)で連結され、連続した緻密な金属接合層が形成される。
金属接合層形成工程では、前記160〜350℃の焼成温度まで昇温し、焼成温度で例えば1分〜2時間保持して、接合材の塗膜から金属接合層を形成する。前記昇温の速度は特に限定されるものではないが、例えば1.5℃/分〜10℃/分とすることができ、2℃/分〜6℃/分とすることが好ましい。
焼成温度は、形成される金属接合層の接合強度やコストの観点から、175〜280℃であることが好ましい。
焼成温度で保持する時間は、形成される金属接合層の接合強度やコストの観点から、10〜90分であることが好ましい。なお、焼成温度が280℃以上といった上記に示した焼成温度範囲のうち高めの温度であると、焼成温度に昇温するまでに金属接合層が形成される場合もある。このような場合には、焼成温度での保持時間は0分としてもよい。
また、この金属接合層形成工程において、被接合部材間に(塗膜を圧縮する方向の)圧力を加える必要はないが、5MPa以下(通常15Pa以上)の圧力を加えてもよい。なお、前記のように圧力を加える加圧焼成で金属接合層を形成する場合には、被接合部材−塗膜−被接合部材のサンドイッチ構造物を一つ一つ加圧焼成して接合を実施したのでは、生産性は非常に低い。生産性を高めるためには、多くのサンドイッチ構造物を同時に加圧焼成することが考えられるが、サンドイッチ構造物に対して同一の方向で同一の加圧を同時に行うのは容易ではなく、同時の加圧焼成を実施した場合には、得られる製品の品質の均一性に懸念がある。以上から、本発明においては、加圧せずに(すなわち大気圧下又は減圧下で)金属接合層形成工程を実施して金属接合層を形成することが好ましい。
また金属接合層形成工程は大気雰囲気中で実施しても窒素雰囲気などの不活性雰囲気中で実施してもよい。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
<銀小粒子粉末1の調製>
以下のようにして、平均一次粒子径が20nmの、ヘキサン酸で被覆された銀小粒子粉末1を調製した。
5Lの反応槽に水3400gを入れ、この反応槽の下部に設けたノズルから3000mL/分の流量で窒素を反応槽内の水中に600秒間流して溶存酸素を除去した後、反応槽の上部から3000mL/分の流量で窒素を反応槽中に供給して反応槽内を窒素雰囲気にするとともに、反応槽内に設けた撹拌羽根付き撹拌棒により撹拌しながら、反応槽内の水の温度が60℃になるように調整した。この反応槽内の水に濃度28質量%のアンモニア水7gを添加した後、1分間撹拌して均一な溶液にした。この反応槽内の溶液に有機化合物として飽和脂肪酸であるヘキサン酸(和光純薬工業株式会社製)45.5g(銀に対するモル比は1.98)を添加して4分間撹拌して溶解した後、還元剤として50質量%のヒドラジン水和物(大塚化学株式会社製)23.9g(銀に対して4.82当量)を添加して、還元剤溶液とした。
また、硝酸銀の結晶(和光純薬工業株式会社製)33.8gを水180gに溶解した硝酸銀水溶液を銀塩水溶液として用意し、この銀塩水溶液の温度が60℃になるように調整し、この銀塩水溶液に硝酸銅三水和物(和光純薬工業株式会社製)0.00008g(銀に対して銅換算で1ppm)を添加した。なお、硝酸銅三水和物の添加は、ある程度高濃度の硝酸銅三水和物の水溶液を希釈した水溶液を狙いの銅の添加量になるように添加することによって行った。
次に、上記の銀塩水溶液を上記の還元剤溶液に一挙に添加して混合して、攪拌しながら還元反応を開始させた。この還元反応の開始から約10秒で反応液であるスラリーの色の変化が終了し、攪拌しながら10分間熟成させた後、攪拌を終了し、吸引濾過による固液分離を行い、得られた固形物を純水で洗浄し、40℃で12時間真空乾燥して、(ヘキサン酸で被覆された)略球状の銀小粒子粉末1の乾燥粉末を得た。
なお、この銀小粒子粉末1中の銀の割合は、マッフル炉にて室温から700℃に昇温し、700℃で10分保持してヘキサン酸を除去した後の重量から、97質量%であることが算出された(従って、銀小粒子粉末1中のヘキサン酸の量は3質量%である)。また、この銀小粒子粉末1の平均一次粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により求めたところ、20nmであった。
<銀小粒子粉末2の調製>
300mLビーカーに純水180.0gを入れ、硝酸銀(東洋化学株式会社製)33.6gを添加して溶解させることにより、原料液として硝酸銀水溶液を調製した。
また、5Lビーカーに3322.0gの純水を入れ、この純水内に窒素を30分間通気させて溶存酸素を除去しながら、40℃まで昇温させた。この純水に(銀微粒子粉末の被覆用の)有機化合物としてソルビン酸(和光純薬工業株式会社製)44.8gを添加した後、安定化剤として濃度28質量%のアンモニア水(和光純薬工業株式会社製)7.1gを添加した。
このアンモニア水を添加した後の水溶液を撹拌しながら、アンモニア水の添加時点(反応開始時)から5分経過後に、還元剤として純度80%の含水ヒドラジン(大塚化学株式会社製)14.91gを添加して、還元液として還元剤含有水溶液を調製した。反応開始時から9分経過後に、液温を40℃に調整した原料液(硝酸銀水溶液)を還元液(還元剤含有水溶液)へ一挙に添加して反応させ、更に80分間撹拌し、その後、昇温速度1℃/分で液温を40℃から60℃まで昇温させて撹拌を終了した。
このようにしてソルビン酸で被覆された銀微粒子の凝集体を形成させた後、この銀微粒子の凝集体を含む液をNo.5Cのろ紙で濾過し、この濾過による回収物を純水で洗浄して、銀微粒子の凝集体を得た。この銀微粒子の凝集体を、真空乾燥機中において80℃で12時間乾燥させ、銀微粒子の凝集体の乾燥粉末を得た。このようにして得られた乾燥粉末を解砕して2次凝集体の大きさを調整して、略球状の銀小粒子粉末2を得た。
なお、この銀小粒子粉末2の平均一次粒子径を走査型電子顕微鏡(SEM)により求めたところ、80nmであった。
<銀中粒子粉末1及び2の準備>
レーザー回折型粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が0.87μmである略球状の銀中粒子粉末1として、AG−2−1C(DOWAハイテック株式会社製)を用意した。なおD50は、レーザー回折型粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の分散モジュール)))を使用して、分散圧5barで、焦点距離20mmのレンズを使用して体積基準の粒度分布を求めることで、求めた。
レーザー回折型粒度分布測定装置により前記と同様の条件で測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が1.4μmである略球状の銀中粒子粉末2として、AG−3−60(DOWAハイテック株式会社製)を用意した。
<銀大粒子粉末の準備>
銀大粒子粉末として、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定した体積基準の累積50%粒子径(D50)が19.06μmであり、体積基準の累積90%粒子径(D90)が26.04μmであり、略球状で平均アスペクト比が約1.0である、AMES GOLDSMITH社製R&D AgPowder 27019−NM−1 R08517−00を準備した。なおD50及びD90は、レーザー回折型粒度分布測定装置(SYMPATEC社製のへロス粒度分布測定装置(HELOS&RODOS(気流式の分散モジュール)))を使用して、分散圧5barで、焦点距離200mmのレンズを使用して体積基準の粒度分布を求めることで、求めた。この銀大粒子粉末中の銀の割合は、銀小粒子粉末1の場合と同様の加熱により有機分を除去した後の重量から、99.2質量%であることが算出された(従って、銀大粒子粉末中の粒子を被覆する有機化合物の量は0.8質量%である)。
[比較例1]
銀小粒子粉末1を14.66質量%と、銀小粒子粉末2を27.08質量%と、銀中粒子粉末を51.3質量%と、溶剤として、富士フィルム和光純薬製の2−エチル−1,3−ヘキサンジオール(異性体混合物)(ヒドロキシル基を2つ有し、分子量は146)1.50質量%、1−ドデカノール(ヒドロキシル基を1つ有し、分子量は120)1.45質量%及びテルソルブIPTL−B(日本テルペン化学株式会社製、ヒドロキシル基を3つ有し、分子量は120)3.50質量%と、分散剤としてBEA(ブトキシエトキシ酢酸:カルボキシル基を1つ有し、分子量は176)(東京化成工業株式会社製)0.50質量%を混錬して、銀ペーストを調製した。
前記銀ペースト90質量部に対し、銀大粒子粉末を10質量部添加して混錬して、比較例1の接合材を得た。
この接合材は、銀小粒子粉末1を13.20質量%、銀小粒子粉末2を24.38質量%、銀中粒子粉末を46.17質量%、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールを1.35質量%、ドデカノールを1.30質量%、テルソルブIPTL−Bを3.15質量%、BEAを0.45質量%、銀大粒子粉末を10.00質量%含んでいた。
なお、比較例1及び他の後掲の比較例は、下記で説明する実施例1〜3との対比のための例であって、従来例ではない。
[実施例1]
各成分の使用量を変更し、銀ペーストの調製時に化合物AとしてHypermer(登録商標)KD9(Croda International plc製。以降、Hypermerについては同様である。)(カルボキシル基を複数有するポリカルボン酸であって、重量平均分子量Mw(GPC法で測定)は760)を添加し、銀中粒子粉末1の使用量を若干減らした以外は、比較例1と同様にして、実施例1の接合材を調製した。
[実施例2及び3並びに比較例2〜7]
実施例1で使用した化合物AであるHypermer KD9とは異なる化合物を使用した以外は、実施例1と同様にして、それぞれ実施例2及び比較例2〜7の接合材を調製した(比較例2〜7では化合物Aに該当しない化合物を使用した)。なお実施例3においては、Hypermer KD9を使用しつつ、D50が比較的大きい銀中粒子粉末2を使用し、成分の使用量を若干変更した。
各例で使用される各試薬の官能基の特徴及び分子量は以下の通りである。
(溶剤)
・2-エチル-1,3-ヘキサンジオール:ヒドロキシル基が2つ、分子量は146
・1−ドデカノール:ヒドロキシル基が1つ、分子量は186
・テルソルブIPTL−B:ヒドロキシル基が3つ、分子量は120
(分散剤)
・(2−ブトキシエトキシ)酢酸:カルボキシル基が1つ、分子量は176
(化合物)
・実施例1及び3:Hypermer KD9:ポリカルボン酸、分子量(Mw)は760
・実施例2:BYK−R606(ビックケミー・ジャパン株式会社製):ヒドロキシル基が2つから4つ、分子量は815〜830(分子量の異なる化合物の混合物)
・比較例2:Hypermer KD16:ジカルボン酸、分子量は490
・比較例3:Hypermer KD57:ジカルボン酸、分子量は470
・比較例4:BYK−P105(ビックケミー・ジャパン株式会社製):ポリカルボン酸、分子量(Mw)は数千(2000以上)
・比較例5:マロン酸:ジカルボン酸、分子量は104
・比較例6:BTA(ベンゾトリアゾール):アミノ基が1つ、分子量は119
・比較例7:キュアゾール2PZ(2−フェニルイミダゾール):アミノ基が1つ、分子量は144
以上により得られた、実施例1〜3及び比較例1〜7の接合材の組成を下記表1に示す。
Figure 2022003161
[評価]
上記各実施例及び比較例において製造された各接合材について、以下の評価を行った。
<接合試験>
エタノールで脱脂した10mm×10mm×1mmの大きさの、接合部がAuメッキされた銅基板と、接合面にAuめっきを施した1.2mm×1.2mm×0.13mmの大きさの半導体素子(EV−B45A、旭明光電(股)公司 Semi LEDs 製)を用意した。
次に、前記銅基板(の金メッキされた部位)上にピン転写(ピンの内径は393μm)で上記比較例、及び実施例の接合材をそれぞれ塗布して塗膜を形成した。この塗膜上に、上記の半導体素子のAuめっきした部分(接合面)が塗膜に接するように、マニュアルボンダー(7200CR、westbond 製)で配置し、半導体素子の上面を押すことで素子を塗膜に押し込んだ後、赤外線ランプ加熱装置(MILA−5000−P−N、ULVAC アルバック理工株式会社製)により大気雰囲気中において25℃から昇温速度6℃/minの昇温速度で210℃まで昇温させ、そして210℃で60分間保持する焼成を行った。これにより銀接合層を形成し、この銀接合層によって半導体素子を銅基板に接合した。各実施例及び比較例いずれの接合材も銀大粒子粉末を含有しているが、そのD90とおおよそ同じ大きさ(厚み)の銀接合層が形成された。
(接合部の撮像結果)
得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部(半導体素子の接合面に対応する1.2mm×1.2mmの領域)を、マイクロフォーカスX線透視装置(SMX−160LT、島津製作所製)で撮影した。
図1〜図3は、それぞれ実施例1〜3の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。
図4〜図10は、それぞれ比較例1〜7の接合材を用いた接合試験で得られた接合体の半導体素子−銀接合層−銅基板の接合部を、マイクロフォーカスX線透視装置で撮影した結果を示す図である。
各比較例に係る各図をみると、白色で表されるクラックが銀接合層中に発生したことがわかる。その一方、各実施例に係る各図をみると、銀接合層中のクラック発生が(比較例に比べて)顕著に抑制されたことがわかる。
(接合強度の評価)
上記の接合試験で得られた各接合体の接合強度の確認を行った。銅基板上に接合された被接合体(半導体素子)を水平方向に押し、押される力に耐えかねて接合面が破断するときの力を測定した。評価はNordson Dage社製ボンドテスタ(シリーズ4000)を使用して行った。シア高さは基板面を基準として25μmの高さ、試験速度は5mm/min、測定は室温で行った。試験では、接合面が破断する際の力(N)を直接測定しており、接合面積に依存する値である。そこで規格値とするために、測定された破断する際の力を接合面積(今回の場合は1.2(mm)×1.2(mm)=1.44mm)で除した値(MPa)をシア強度と定めた。なお強度測定はn=2で行い、その平均値を求めた。その結果を表2に示す。
Figure 2022003161
表2に示されるように、実施例2のように化合物AとしてBYK−R606(上記式(I)の一具体例)を使用した場合、各実施例の中でも比較的高い接合強度が得られた。また、実施例3のように金属中粒子粉末としてD50が比較的高い値のものを使用すると、高い接合強度が得られた。

Claims (19)

  1. 平均一次粒子径が150nm以下の金属小粒子粉末、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積90%粒子径(D90)が7〜40μmの金属大粒子粉末、複数の官能基を有し、分子量が600〜1500である化合物A、及び溶剤を含む接合材。
  2. 前記金属小粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成され、
    前記金属大粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成されている、請求項1に記載の接合材。
  3. 前記金属大粒子粉末の前記累積90%粒子径(D90)が18〜35μmである、請求項1又は2に記載の接合材。
  4. 前記官能基がヒドロキシル基、アミノ基、チオール基又はカルボキシル基である、請求項1〜3のいずれかに記載の接合材。
  5. 前記化合物Aが、下記式(I)又は(II)で表される化合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の接合材:
    Figure 2022003161
    (式(I)において、v及びyはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、wは0〜10の整数であり、xは14〜40の整数である。
    式(II)において、Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又は炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基である。pは1〜20の整数、mは1〜5の整数である。mが2以上の場合、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在する−(CH−は互いに同一でも異なっていてもよい。)
  6. 前記金属小粒子粉末の前記接合材中の含有量が、7〜55質量%である、請求項1〜5のいずれかに記載の接合材。
  7. レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径(D50)が1.1〜4.5μmの金属中粒子粉末を更に含む、請求項1〜6のいずれかに記載の接合材。
  8. 前記金属中粒子粉末の前記接合材中の含有量が40〜85質量%である、請求項7に記載の接合材。
  9. 前記金属大粒子粉末の前記接合材中の含有量が、2〜20質量%である、請求項1〜8のいずれかに記載の接合材。
  10. 前記金属小粒子粉末が銀により構成され、前記金属大粒子粉末が銀により構成されている、請求項1〜9のいずれかに記載の接合材。
  11. 前記金属大粒子粉末の平均アスペクト比が3以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の接合材。
  12. 平均一次粒子径が150nm以下の金属小粒子粉末、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積90%粒子径(D90)が7〜40μmの金属大粒子粉末、複数の官能基を有し、分子量が600〜1500である化合物A、及び溶剤を混合する、接合材の製造方法。
  13. 前記金属小粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成され、
    前記金属大粒子粉末が、銀、銅、金、アルミニウム又はこれらの2種以上の合金により構成されている、請求項12に記載の接合材の製造方法。
  14. 前記金属小粒子粉末及び前記金属大粒子粉末の使用量が、前記接合材中の前記金属小粒子粉末及び前記金属大粒子粉末の含有量が、それぞれ7〜55質量%及び2〜20質量%となる量である、請求項12又は13に記載の接合材の製造方法。
  15. 前記化合物Aが、下記式(I)又は(II)で表される化合物である、請求項12〜14のいずれかに記載の接合材の製造方法:
    Figure 2022003161
    (式(I)において、v及びyはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、wは0〜10の整数であり、xは14〜40の整数である。
    式(II)において、Rは水素原子、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アルコキシル基又は炭素数1〜10のアルキル基を含む有機基である。pは1〜20の整数、mは1〜5の整数である。mが2以上の場合、複数存在するRは互いに同一でも異なっていてもよく、複数存在する−(CH−は互いに同一でも異なっていてもよい。)
  16. 前記金属小粒子粉末、金属大粒子粉末、化合物A及び溶剤に加えて、レーザー回折型粒度分布測定装置により測定される体積基準の累積50%粒子径(D50)が1.1〜4.5μmの金属中粒子粉末を混合する、請求項12〜15のいずれかに記載の接合材の製造方法。
  17. 前記金属中粒子粉末の使用量が、前記接合材中の前記金属中粒子粉末の含有量が40〜85質量%となる量である、請求項16に記載の接合材の製造方法。
  18. 2つの被接合部材を接合する接合方法であって、
    一方の前記被接合部材上に請求項1〜11のいずれかに記載の接合材又は請求項12〜17のいずれかに記載の接合材の製造方法で製造された接合材を塗布して塗膜を形成する工程と、
    該塗膜上に他方の前記被接合部材を載置する工程と、
    該他方の被接合部材が載置された塗膜を160〜350℃で焼成して、前記塗膜から金属接合層を形成する工程と
    を有する、接合方法。
  19. 前記一方の被接合部材が基板であり、前記他方の被接合部材が半導体素子である、請求項18に記載の接合方法。
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