JP2022001433A - 記録媒体及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】屋外掲示しうる優れた耐水性を示すとともに、水性インクを用いた場合であってもビーディングが生じにくく、高品位な画像を記録することが可能な記録媒体を提供する。【解決手段】基材と、インク受容層(1)と、最表面に配置されるインク受容層(2)と、を有する記録媒体である。インク受容層(2)の厚さが、10nm以上4,000nm以下であり、インク受容層(1)が、第1の無機粒子及び第1のバインダを含有し、インク受容層(2)が、第2の無機粒子及び第2のバインダを含有し、第1のバインダ及び前記第2のバインダが、いずれも水不溶性樹脂であり、インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1が、90°以上であり、インク受容層(2)の表面の水との接触角θ2が、60°以上85°以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、記録媒体及びインクジェット記録方法に関する。
近年、インクジェット記録装置などの記録装置を用いる画像記録の高速化に伴い、記録媒体に対しては、画質や発色性に優れた画像を記録可能であることが要求されている。また、記録媒体に画像を記録して得た記録物が屋外に掲示される機会が増加している。記録物を屋外に掲示する場合、画像に対する雨風の影響を避けるために、記録物にラミネート加工を施すことがある。しかし、記録物にラミネート加工を施す場合、処理工程が煩雑になるとともに、コストも増加することになる。このため、近年、ラミネート加工を施さなくとも、雨風の影響が低減され、耐水性が向上した記録媒体が求められている。
例えば、屋外掲示用の記録物を得るための、耐水性が改善された記録媒体として、アクリル樹脂やウレタン樹脂などの水不溶性樹脂を含有する層を設けた記録媒体が提案されている(特許文献1〜4)。また、HLB値が9以下の界面活性剤を含有するインク透過層をインク受容層上に設けた、インク受容層のインク吸収性が向上した記録用シートが提案されている(特許文献5)。
特開2008−105235号公報 特開2006−110787号公報 特開2006−051741号公報 特開2018−165053号公報 特開2002−002090号公報
特許文献1及び2で提案された記録媒体は、水不溶性樹脂を含有する層を最表層に設けたことで耐水性がある程度改善されていたが、近年要求される高いレベルの耐水性を示すものではなかった。一方、特許文献3及び4で提案された記録媒体は、インク受容層の耐水性が改善されたものであった。しかし、これらの記録媒体のインク受容層に水性インクを付与すると、いわゆるビーディングが発生しやすく、記録される画像の品位が損なわれる場合があることが判明した。
したがって、本発明の目的は、屋外掲示しうる優れた耐水性を示すとともに、水性インクを用いた場合であってもビーディングが生じにくく、高品位な画像を記録することが可能な記録媒体を提供することにある。
また、特許文献5で提案された記録用シートを構成するインク受容層のバインダとして、ポリエステル樹脂を用いると、ポリエステル樹脂が加水分解しやすいため、インク受容層の耐久性が不足しやすくなるといった課題が生ずることがわかった。
したがって、本発明の別の目的は、インク吸収性及び屋外掲示しうる耐久性に優れたインク受容層を備える記録媒体を提供することにある。さらに、本発明の別の目的は、高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明によれば、基材と、前記基材上に設けられたインク受容層(1)と、前記インク受容層(1)上に設けられるとともに最表面に配置されるインク受容層(2)と、を有する記録媒体であって、前記インク受容層(2)の厚さが、10nm以上4,000nm以下であり、前記インク受容層(1)が、第1の無機粒子及び第1のバインダを含有し、前記インク受容層(2)が、第2の無機粒子及び第2のバインダを含有し、前記第1のバインダ及び前記第2のバインダが、いずれも水不溶性樹脂であり、前記インク受容層(1)の表面に水を接触させてから1秒後における、前記インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1が、90°以上であり、前記インク受容層(2)の表面に水を接触させてから1秒後における、前記インク受容層(2)の表面の水との接触角θ2が、60°以上85°以下であることを特徴とする記録媒体が提供される。
また、本発明によれば、基材と、前記基材上に設けられたインク受容層(1)と、前記インク受容層(1)上に設けられるとともに最表面に配置されるインク受容層(2)と、を有する記録媒体であって、前記インク受容層(2)の厚さが、10nm以上4000nm以下であり、前記インク受容層(1)が、第1の無機粒子及び第1のバインダを含有し、前記インク受容層(2)が、第2の無機粒子及び第2のバインダを含有し、前記第1のバインダ及び前記第2のバインダが、いずれも水不溶性樹脂であり、前記インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、前記インク受容層(2)の表面の水との接触角θAが、40°以上80°以下であり、前記記録媒体を水に60分浸漬後に十分に乾燥させた前記インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、前記インク受容層(2)の表面の水との接触角θA’と、前記接触角θAとが、下記式(I)の関係を満たすことを特徴とする記録媒体が提供される。
θA’−θA≧5° ・・・(I)
さらに、本発明によれば、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、前記インクが、顔料を含有する水性インクであり、前記記録媒体が、上記のいずれかの記録媒体であることを特徴とするインクジェット記録方法が提供される。
本発明によれば、屋外掲示しうる優れた耐水性を示すとともに、水性インクを用いた場合であってもビーディングが生じにくく、高品位な画像を記録することが可能な記録媒体を提供することができる。また、本発明によれば、インク吸収性及び屋外掲示しうる耐久性に優れたインク受容層を備える記録媒体を提供することができる。さらに、本発明によれば、高品位な画像を記録することが可能なインクジェット記録方法を提供することができる。
インク受容層の表面の水との接触角の経時変化を示す図である。
<記録媒体>
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、さらに本発明を詳細に説明する。以下、インクジェット用の記録媒体を単に「記録媒体」とも記す。
1.第一の記録媒体
まず、本発明の第一の記録媒体の実施形態について説明する。屋外掲示しうる耐水性を得るには、インク受容層のバインダとして一般的な水溶性樹脂に代えて、水不溶性樹脂を用いることが有効である。水不溶性樹脂をバインダとして含有させることで、インク受容層の水に対する接触角を増大させて、雨水などを弾く優れた耐水性を得ることができる。
記録物を屋外に掲示する場合、画像中の色材が雨水に溶解するのを抑制すべく、耐水性に優れる顔料を色材として含有する水性インク(以下、単に「顔料インク」とも記す)を用いて画像を記録することが好ましい。顔料インクで記録する画像の発色性を高めるには、記録媒体に付与されたインク中の顔料をできるだけ記録媒体の表面に留めることが必要である。なかでも、水不溶性樹脂をバインダとして含有するインク受容層はヘイズが上昇する傾向にあるので、画像の発色性を高めるには顔料を記録媒体(インク受容層)の表面に留めることが特に重要である。
顔料をインク受容層の表面に留めるには、無機粒子や水不溶性樹脂の種類等を調整する必要がある。しかしながら、無機粒子と水不溶性樹脂の組合せによっては、インク受容層の表面の疎水性が高まるとともに、インクの吸収性を促進させる二次細孔がインク受容層中に実質的に存在しなくなることがある。このため、インク受容層に付与した直後のインクが濡れ広がりにくくなり、ビーディングが発生しやすくなる。
本発明者らは、優れた耐水性を維持しながら、ビーディングの発生が抑制される記録媒体を得るべく、鋭意検討した。その結果、以下の構成を見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、最表面に配置されるインク受容層(2)の下に、特定の無機粒子(第1の無機粒子)と、水不溶性樹脂(第1のバインダ)とを含有するインク受容層(1)を設ける。そして、インク受容層(1)の表面に水を接触させてから1秒後における、インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1を90°以上とする。インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1を90°以上とすることで、優れた耐水性を発揮させることが可能となる。
さらに、最表面に配置されるインク受容層(2)に、第2の無機粒子及び水不溶性樹脂(第2のバインダ)を含有させるとともに、インク受容層(2)の厚さを10nm以上4,000nm以下とする。そして、インク受容層(2)の表面に水を接触させてから1秒後における、インク受容層(2)の表面の水との接触角θ2を60°以上85°以下とする。これにより、ビーディングを効率的に抑制することが可能となる。水との接触角θ2が60°以上85°以下のインク受容層(2)を最表面に配置することで、耐水性を維持しながら、インク受容層(2)の表面におけるインクの濡れ広がりを向上させることができる。そして、インク受容層(2)の表面におけるインクの濡れ性が向上することによって、単位面積あたりのインクの吸収量が少なくなる。これにより、インク受容層(2)の表面に滞留するインク中の液体成分を減らすことができ、その結果、ビーディングを抑制することができる。また、インク受容層(2)の厚さが10nm未満であると、インク受容層(2)の下に配置されているインク受容層(1)の影響により、接触角θ2を85°以下とすることができず、ビーディングを抑制することが困難になる。一方、インク受容層(2)の厚さが4,000nm超であると、インク受容層(1)よりも耐水性が低いインク受容層(2)の、インク受容層全体の中での割合が大きくなるため、記録媒体の耐水性が低下する。以下、本発明の第一の記録媒体の構成について詳細に説明する。
(基材)
基材としては、基紙のみから構成されるもの、プラスチックフィルムのみから構成されるもの、及びクロスのみから構成されるものを挙げることができる。また、複数の層を積層した積層構造を有する基材を用いることもできる。具体的には、基紙と樹脂層を有するもの、すなわち、樹脂被覆基材を挙げることができる。なかでも、屋外掲示用とする観点からは、樹脂被覆基材、プラスチックフィルム、又はクロスを基材として用いることが好ましい。
基材の厚さ(膜厚)は、50μm以上400μm以下であることが好ましく、70μm以上200μm以下であることがさらに好ましい。基材の厚さは、以下の方法にしたがって測定及び算出することができる。まず、マイクロトームで切り出した記録媒体の断面を走査型電子顕微鏡で観察する。そして、基材の任意の100点以上の厚さを測定し、その平均値を基材の厚さとする。なお、基材以外の層(膜)の厚さも同様の方法で測定及び算出する。
(1)樹脂被覆基材
[基紙]
基紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じてポリプロピレンなどの合成パルプや、ナイロン及びポリエステルなどの合成繊維を加えて抄紙される。木材パルプとしては、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹晒サルファイトパルプ(LBSP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP)、広葉樹溶解パルプ(LDP)、針葉樹溶解パルプ(NDP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)などを挙げることができる。これらの木材パルプは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。木材パルプのなかでも、短繊維成分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPを用いることが好ましい。パルプとしては、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましい。また、漂白処理を施して白色度を向上させたパルプも好ましい。基紙中には、サイズ剤、白色顔料、紙力増強剤、蛍光増白剤、水分保持剤、分散剤、柔軟化剤などを適宜添加してもよい。
基紙の厚さは、50μm以上130μm以下であることが好ましく、90μm以上120μm以下であることがさらに好ましい。JIS P 8118:2014で規定される基紙の紙密度は、0.6g/cm以上1.2g/cm以下であることが好ましく、0.7g/cm以上1.2g/cm以下であることがさらに好ましい。
[樹脂層]
基紙が樹脂で被覆されている場合は、樹脂層は基紙の表面の一部を被覆するように設けられていればよい。樹脂層の被覆率(樹脂層で被覆された基紙の表面の面積/基紙の表面の全面積)は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、100%であること、すなわち、基紙の表面の全面が樹脂層で被覆されていることが特に好ましい。
樹脂層の厚さは、20μm以上60μm以下であることが好ましく、35μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層の厚さが、それぞれ上記範囲を満足することが好ましい。
樹脂層に用いられる樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などを挙げることができる。なかでも、ポリオレフィン樹脂が好ましい。ポリオレフィン樹脂とは、モノマーとしてオレフィンを用いた重合体を意味する。ポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン、プロピレン、イソブチレンなどの単重合体や共重合体を挙げることができ。ポリオレフィン樹脂は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、ポリエチレンを用いることが好ましい。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)を用いることが好ましい。
樹脂層は、不透明度、白色度、及び色相を調整するために、白色顔料、蛍光増白剤、及び群青などを含有してもよい。なかでも、不透明度を向上することができるため、白色顔料を含有することが好ましい。白色顔料としては、ルチル型又はアナターゼ型の酸化チタンを挙げることができる。樹脂層中の白色顔料の含有量は、3g/m以上30g/m以下であることが好ましい。樹脂層を基紙の両面に設ける場合は、両面の樹脂層中の白色顔料の合計の含有量が、上記範囲を満足することが好ましい。樹脂層中の白色顔料の含有量は、樹脂の含有量に対して、25質量%以下であることが好ましい。25質量%超であると、白色顔料の分散安定性が不十分になる場合がある。
JIS B 0601:2001で規定される樹脂層の算術平均粗さRaは、0.12μm以上0.18μm以下であることが好ましく、0.13μm以上0.15μm以下であることがさらに好ましい。JIS B 0601:2001で規定される樹脂層の粗さ曲線要素の平均長さRSmは、0.01mm以上0.20mm以下であることが好ましく、0.04mm以上0.15mm以下であることがさらに好ましい。
(2)プラスチックフィルム
本明細書における「プラスチック」は、分子量10,000以上の高分子を50質量%以上成分として含んでいるものを意味し、「プラスチックフィルム」は、プラスチックをフィルム状に加工したものを意味する。プラスチックフィルムに用いられるプラスチックは、熱可塑性プラスチックである。具体的には、ビニル系プラスチック、ポリエステル系プラスチック、セルロースエステル系プラスチック、ポリアミド系プラスチック、耐熱エンジニアリングプラスチックを挙げることができる。
ビニル系プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリプロピレン、フッ素系樹脂を挙げることができる。ポリエステル系プラスチックとしては、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートを挙げることができる。セルロースエステル系プラスチックとしては、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレートを挙げることができる。ポリアミド系プラスチックとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12を挙げることができる。耐熱エンジニアリングプラスチックとしては、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミドを挙げることができる。これらのプラスチックは、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。耐久性とコストの観点から、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートを用いることが好ましい。
プラスチックに薬品処理、表面コート、及び内添などの処理を施すことによって不透明度を高めた合成紙をプラスチックフィルムとして用いることもできる。薬品処理としては、プラスチックフィルムの表面をアセトン、メチルイソブチルケトンなどの有機溶剤に浸漬させて膨潤層を発生させ、メタノールなどの別の有機溶剤によって膨潤層を乾燥凝固させる方法を挙げることができる。表面コートとしては、炭酸カルシウムや酸化チタンなどの白色顔料及び結合剤からなる層をプラスチックの表面に形成する方法を挙げることができる。また、内添としては、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料を充てん剤としてプラスチック内に混入する方法を挙げることができる。さらに、ポリブチレンテレフタレート微粒子、ポリカーボネート微粒子、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などを添加してプラスチック内に空隙を形成し、不透明度を高めた発泡プラスチックフィルムを用いることができる。
プラスチックフィルムの厚さは、50μm以上300μm以下であることが好ましく、75μm以上135μm以下であることがさらに好ましい。プラスチックフィルムを構成するプラスチックのガラス転移点は、−20℃以上150℃以下であることが好ましく、−20℃以上80℃以下であることがさらに好ましい。ガラス転移点は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定することができる。
JIS K 7112:1999で規定されるプラスチックフィルムの密度(プラスチック密度)は、0.6g/cm以上1.5g/cm以下であることが好ましく、0.7g/cm以上1.4g/cm以下であることがさらに好ましい。JIS K 7209:2000で規定されるプラスチックフィルムの吸水率は、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。
表面酸化処理によってプラスチックフィルムに表面処理を施すことで、インク受容層とプラスチックフィルムとの密着性を向上させることができる。表面酸化処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、オゾン処理を挙げることができる。これらの処理は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて実施することができる。なかでも、オゾン処理が好ましい。処理量は、10〜200(W・min)/mとすることが好ましく、50〜150(W・min)/mとすることがさらに好ましい。
(3)クロス
本明細書における「クロス」は、多数の繊維を薄く広い板状に加工したものを意味する。繊維の種類としては、天然繊維、天然繊維の性質を持った材質、プラスチックから再生される再生繊維、石油などの高分子を原料とする合成繊維を挙げることができる。天然繊維としては、木綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミヤを挙げることができる。再生繊維としては、アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステルを挙げることができる。合成繊維としては、ナイロン、ポリエステル、アクリル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタンを挙げることができる。
(インク受容層)
基材上には、インク受容層(1)が設けられる。さらに、このインク受容層(1)上には、記録媒体の最表面に配置されるインク受容層(2)が設けられる。すなわち、インク受容層は、インク受容層(1)及びインク受容層(2)を含む2以上の層を有する。そして、インク受容層(1)の表面に水を接触させてから1秒後における、インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1は、90°以上である。インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1の上限は、インク受容層(1)がインクを吸収することができる範囲であれば特に制限はない。具体的には、インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1は、120°以下であることが好ましい。また、インク受容層(2)の表面に水を接触させてから1秒後における、インク受容層(2)の表面の水との接触角θ2は、60°以上85°以下である。以下、単に「インク受容層」というときは、「インク受容層(1)」及び「インク受容層(2)」のいずれをも意味する。インク受容層は、基材の片面のみに設けられてもよく、両面に設けられてもよい。
[インク受容層(1)]
インク受容層(1)は、第1の無機粒子及び第1のバインダを含有する。そして、第1のバインダは、水不溶性樹脂である。
インク受容層(1)の厚さは、必要なインク吸収容量などに応じて適宜設定される。インク受容層(1)の厚さが25μm以上であると、インク吸収性をより良好に維持することができるために好ましい。一方、インク受容層(1)の厚さが50μm以下であると、ひび割れなどに不具合が発生しにくくなるために好ましい。
接触角θ1は、インク受容層(2)を設ける前に測定することができる。また、インク受容層(2)を設けた後であっても、超精密研磨フィルムなどを用いてインク受容層(2)を削り、インク受容層(1)を露出させれば、接触角θ1を測定することができる。
[インク受容層(2)]
インク受容層(2)は、第2の無機粒子及び第2のバインダを含有する。そして、第2のバインダは、水不溶性樹脂である。すなわち、第1のバインダ及び第2のバインダは、いずれも水不溶性樹脂である。なお、第1のバインダと第2のバインダは、同じであっても異なっていてもよい。
インク受容層(2)の厚さは、10nm以上4,000nm以下である。インク受容層(2)の厚さが10nm未満であると、接触角θ2を85°以下とすることが困難になり、ビーディングの抑制効果が不十分となる。一方、インク受容層(2)の厚さが4,000nm超であると、耐水性が低下する。また、インク受容層(2)の厚さは、10nm以上500nm以下であることが好ましい。
例えば、インク受容層(2)中の第2の無機粒子の含有量に対する、第2のバインダの含有量の質量比率を、インク受容層(1)中の第1の無機粒子の含有量に対する、第1のバインダの質量比率よりも低くする。これにより、接触角θ1に比して、接触角θ2を小さくすることができる。また、接触角θ1及び接触角θ2を、下記式(1)の関係を満たすように設計することで、耐水性の向上効果及びビーディングの抑制効果をさらに向上させることができる。
θ1−θ2≧10° ・・・(1)
インク受容層(2)の表面粗さRaは、30nm以上150nm以下であることが好ましい。インク受容層(2)の表面粗さRaを上記の範囲とすることで、顔料インクで記録した画像が雨水などによって剥がれ落ちるのを抑制し、かつ、発色性も向上させることができ、より優れた堅牢性及び発色性を記録物に付与することができる。インク受容層(2)の表面粗さRaは、走査型プローブ顕微鏡を使用してインク受容層(2)の表面を観察し、測定することができる。
[無機粒子]
第1の無機粒子及び第2の無機粒子(以下、単に「無機粒子」とも記す)としては、アルミナ水和物、アルミナ、シリカ、コロイダルシリカ、二酸化チタン、ゼオライト、カオリン、タルク、ハイドロタルサイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウムなどを挙げることができる。なお、第1の無機粒子と第2の無機粒子は同じであって異なっていてもよい。
第1の無機粒子は、アルミナ水和物、気相法アルミナ、及び気相法シリカからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。第1の無機粒子としてこれらの無機粒子を用いることによって、インク中の顔料をインク受容層の表面に留めやすくなり、その結果、画像の発色性を向上させることができる。
また、第2の無機粒子は、コロイダルシリカであることが好ましい。コロイダルシリカを第2の無機粒子として用いることで、記録媒体の光沢性を向上させることができる。第2のバインダとして用いる水不溶性樹脂の平均粒径は200nm以下であることが、記録媒体の光沢性が向上するために好ましい。コロイダルシリカはインクの吸収を促進させる細孔を形成しにくいが、インク受容層(2)の厚さが4,000nm以下であるため、第2の無機粒子としてコロイダルシリカを用いたとしても、インク受容層(2)のインク吸収性の低下を抑えることができる。
(1)アルミナ水和物
アルミナ水和物は、下記一般式(X)で表されるものが好ましい。
Al3−n(OH)2n・mHO ・・・(X)
一般式(X)中、nは0、1、2、又は3を表し、mは0〜10、好ましくは0〜5の数を表す。但し、mとnが同時に0となることはない。mHOは、多くの場合、結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水を意味する。このため、mは整数又は整数以外の数である。また、加熱することでmが0になることがある。
アルミナ水和物は、公知の方法で製造することができる。具体的には、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法;アルミン酸ナトリウムを加水分解する方法;アルミン酸ナトリウムの水溶液に、硫酸アルミニウムや塩化アルミニウムの水溶液を加えて中和する方法;などを挙げることができる。
アルミナ水和物の結晶構造としては、熱処理する温度に応じて、非晶質、キブサイト型、及びベーマイト型がある。いずれの結晶構造を有するアルミナ水和物であっても用いることができる。なかでも、ベーマイト型の構造を有するアルミナ水和物、及び非晶質のアルミナ水和物が好ましい。アルミナ水和物の結晶構造は、X線回折法により分析することができる。
アルミナ水和物の粒子(アルミナ粒子)は、水分散液としてインク受容層用の塗工液に混合することが好ましい。また、アルミナ粒子の分散剤として、酸を用いることが好ましい。酸としては、スルホン酸、乳酸、グリコール酸、酢酸などを用いることができる。
アルミナ粒子の平均一次粒径は、20nm以上100nm以下であることが好ましく、20nm以上80nm以下であることがさらに好ましい。無機粒子の平均一次粒径は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)で観察して測定することができる。
アルミナ粒子の平均二次粒径は、155nm以上560nm以下であることが好ましく、160nm以上560nm以下であることがさらに好ましい。また、170nm以上540nm以下であることが特に好ましく、190nm以上250nm以下であることが最も好ましい。無機粒子の平均二次粒径は、光散乱法によって測定及び算出される体積平均粒径(以下、単に「平均粒径」とも記す)を意味する。無機粒子の平均二次粒径を光散乱法によって測定する装置としては、例えば、動的散乱法測定装置(商品名「ELS−Z」、大塚電子製)を挙げることができる。
平均一次粒径及び平均二次粒径が上記の範囲内であるアルミナ粒子を用いることで、その表面粗さRaが30nm以上150nm以下である記録媒体(インク受容層(2))を容易に得ることができる。
(2)気相法アルミナ
気相法アルミナとしては、γ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナなどを挙げることができる。なかでも、画像の光学濃度やインク吸収性の観点から、γ−アルミナを用いることが好ましい。気相法アルミナの市販品としては、以下商品名で、AEROXIDE、Alu C、Alu130、Alu65(以上、EVONIK製)などを挙げることができる。
BET法で求められる気相法アルミナの比表面積は、50m/g以上150m/g以であることが好ましく、80m/g以上120m/g以下であることがさらに好ましい。また、気相法アルミナの平均一次粒径は、5nm以上30nm以下であることが好ましく、11nm以上15nm以下であることがさらに好ましい。
気相法アルミナは、水分散液としてインク受容層用の塗工液に混合することが好ましい。また、気相法アルミナの分散剤として、酸を用いることが好ましい。酸としては、スルホン酸、乳酸、グリコール酸、酢酸などを用いることができる。分散状態における気相法アルミナの平均二次粒径は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。分散状態における気相法アルミナの平均二次粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
(3)ゲル法シリカ
シリカは、その製法により湿式法と乾式法(気相法)に大別される。湿式法としては、ケイ酸塩の酸分解により生成した活性シリカを適度に重合させた後、凝集沈降させて含水シリカを得る方法が知られている。ゲル法シリカは、例えば、以下に示す方法によって製造することができる。まず、SiO濃度が10〜20質量%となるように珪酸塩と無機酸を反応させて生成したシリカヒドロゾルをゲル化して、シリカヒドロゲルを得る。珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、珪酸アンモニウムなどを用いることができる。工業的には珪酸ナトリウムが多く用いられる。無機酸としては、硫酸、硝酸、塩酸などを挙げることができる。一般的には硫酸が用いられる。次いで、得られたシリカヒドロゲルを水洗すると、シリカヒドロゲルに含まれる無機酸塩を除去することができる。
無機酸塩を除去したシリカヒドロゲルを水熱処理する際の条件を制御することで、平均細孔径及び吸油量を調整することができる。例えば、シリカヒドロゲルを、pH2〜10、20〜100℃の水で水熱処理すると、平均細孔径及び吸油量が増大する。すなわち、水熱処理に用いる水のpH及び温度、並びに処理時間を適宜設定することで、シリカゲルの平均細孔径及び吸油量を調整することができる。シリカゲルの物性のバランスを考慮すれば、pH2〜8、40〜90℃の水で水熱処理することが好ましい。シリカヒドロゲルを、数μmの平均二次粒径のシリカ粒子となるようにボールミルなどで粉砕して粒状とした後、100〜1,000℃で、1〜100秒間乾燥すれば、ゲル法シリカを得ることができる。
(4)気相法シリカ
乾式法(気相法)としては、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)や、ケイ砂とコークスを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が知られている。なかでも、乾式法(気相法)により得られるシリカ(気相法シリカ)を用いることが好ましい。気相法シリカは比表面積が特に大きいので、インクの吸収性を高めることができるために好ましい。また、気相法シリカは屈折率が低いので、インク受容層に透明性を付与して画像の発色性を向上させることができる。気相法シリカの市販品としては、以下商品名で、アエロジル(日本アエロジル製);レオロシールQSタイプ(トクヤマ製)などを挙げることができる。
BET法で求められる気相法シリカの比表面積は、50m/g以上400m/g以下であることが好ましく、100m/g以上350m/g以下であることがさらに好ましい。
気相法シリカは、水分散液としてインク受容層用の塗工液に混合することが好ましい。また、気相法シリカの分散剤として、カチオン性樹脂や多価金属塩を用いることが好ましい。カチオン性樹脂としては、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリジアリルアミン系樹脂、ジシアンジアミド縮合物などを挙げることができる。多価金属塩としては、ポリ塩化アルミニウム、ポリ酢酸アルミニウム、ポリ乳酸アルミニウムがなどのアルミニウム化合物を挙げることができる。
分散状態における気相法シリカの平均二次粒径は、50nm以上300nm以下であることが好ましい。分散状態における気相法シリカの平均二次粒径は、動的光散乱法により測定することができる。
(5)コロイダルシリカ
コロイダルシリカとしては、球状コロイダルシリカを用いることが好ましい。球状コロイダルシリカを用いることで、記録媒体の光沢性をさらに高めることができるとともに、透明性も向上するので、記録される画像の発色性をより高めることができる。「球状」とは、走査型電子顕微鏡によって観察したコロイダルシリカの粒子(50個以上100個以下)の平均長径aに対する平均短径bの比の値(b/a値)が、0.80以上1.00以下であることを意味する。コロイダルシリカのb/a値は、0.90以上1.00以下であることが好ましく、0.95以上1.00以下であることがさらに好ましい。
コロイダルシリカは、カチオン化処理されていることが好ましく、球状のカチオン性コロイダルシリカがさらに好ましい。球状のカチオン性コロイダルシリカの市販品としては、以下商品名で、PL−3、PL−7(以上、扶桑化学製);スノーテックスAK、スノーテックスAK−L、MP−2040(以上、日産化学工業製);CartacoatK303C(クラリアント製);などを挙げることができる。インク吸収性及び画像の発色性をさらに向上させる観点から、コロイダルシリカの平均一次粒径は、10nm以上100nm以下であることが好ましい。
[バインダ]
インク受容層(1)に含まれる第1のバインダ、及びインク受容層(2)に含まれる第2のバインダは、いずれも水不溶性樹脂である。本明細書における「バインダ」とは、無機粒子を結着し、被膜を形成しうる材料を意味する。また、本明細書における「水不溶性樹脂」とは、80℃の温水に2時間浸漬した場合に、95質量%以上が残存する樹脂を意味する。
水不溶性樹脂は、耐水性の観点から、アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂、及びポリエーテル変性ウレタン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
〔水不溶性樹脂〕
(1)アクリル樹脂
本明細書における「アクリル樹脂」は、(メタ)アクリル酸エステルの重合体を意味する。(メタ)アクリル酸エステルをモノマーとして用いたものであれば、単重合体であってもよく、その他のモノマーとの共重合体であってもよい。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ジメチルアミノエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリルなどを挙げることができる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリルなどを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステルと共重合することができるその他のモノマーとしては、ビニル系モノマーを挙げることができる。ビニル系モノマーとしては、スチレン、ビニルトルエン、ビニル安息香酸、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシメチルスチレン、スチレンスルホン酸などのスチレン類及びその誘導体;メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、2−ビニルオキサゾン、ビニルスルホン酸などのビニルエーテル類及びその誘導体を挙げることができる。
アクリル樹脂としては、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体が好ましい。なかでも、メタクリル酸エステルと、アクリル酸エステルとの共重合体は、メタクリル酸エステルとアクリル酸エステルの共重合比率を設計することで、得られるアクリル樹脂のガラス転移点を制御できるために好ましい。
(2)ウレタン樹脂
本明細書における「ウレタン樹脂」とは、その構造中にウレタン結合有する樹脂を意味する。ウレタン樹脂としては、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂の少なくともいずれかを用いる。以下、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂及びポリエーテル変性ウレタン樹脂を、纏めて単に「ウレタン樹脂」とも記す。
ウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、ポリオール、及び鎖延長剤を反応させて得ることができる。ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートなどを挙げることができる。
ポリオールとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネートなどのポリカーボネート系ポリオールを挙げることができる。鎖延長剤としては、エチレングリコールなどの低分子グリコール、低分子ジアミン、低分子アミノアルコールなどの活性水素原子を有する化合物を用いることができる。これらの成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水不溶性樹脂のガラス転移点(Tg)は、20℃以下であることが好ましい。ガラス転移点が20℃以下の水不溶性樹脂を用いることによって、バインダと、無機粒子との結着力がさらに向上し、インク受容層の耐水性をより向上させることができる。水不溶性樹脂のガラス転移点は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC法)により測定することができる。
インク吸収性の観点から、インク受容層(1)中の第1のバインダの含有量は、第1の無機顔料の含有量を基準として、70質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがさらに好ましい。インク受容層の結着性の観点から、インク受容層(1)中の第1のバインダの含有量は、第1の無機顔料の含有量を基準として、25質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、耐水性の観点から、インク受容層(1)は、インク受容層(1)中の第1のバインダの含有量を基準として、第1の水溶性樹脂を14質量%以下含有する、又は第1の水溶性樹脂を含有しないことが好ましい。
インク吸収性及びビーディング抑制の観点から、インク受容層(2)中の第2のバインダの含有量は、第2の無機顔料の含有量を基準として、50質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。インク受容層の結着性の観点から、インク受容層(2)中の第2のバインダの含有量は、第2の無機顔料の含有量を基準として、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、耐水性の観点から、インク受容層(2)は、インク受容層(2)中の第2のバインダの含有量を基準として、第2の水溶性樹脂を14質量%以下含有する、又は第2の水溶性樹脂を含有しないことが好ましい。
〔水溶性樹脂〕
インク受容層(1)及びインク受容層(2)には、第1の水溶性樹脂及び第2の水溶性樹脂をそれぞれバインダとして含有させることできる。以下、「第1の水溶性樹脂」及び「第2の水溶性樹脂」を、纏めて「水溶性樹脂」とも記す。
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロースなどを挙げることができる。耐水性の観点から、インク受容層は、(i)水溶性樹脂を含有しない;又は(ii)水不溶性樹脂に対する割合で14質量%以下の水溶性樹脂を含有することが好ましい。インク受容層中の水不溶性樹脂の含有量に対する、水溶性樹脂の含有量の比は、インク受容層を形成するのに用いた原料から算出すること以外にも、以下に示す方法によって測定及び算出することができる。
まず、記録媒体から掻き取ったインク受容層10gを温水(80℃以上)1,000g以上に投入して撹拌した後、ろ過する。ろ液を乾燥して得られた固形分の質量を測定する(X(g)とする)。そして、「10(g)−X(g)」として算出される値を、インク受容層10g中の水溶性樹脂の含有量とする。次いで、X(g)の固形分を600℃で2時間加熱し、得られた残存物の質量を測定する(Y(g)とする)。そして、「X(g)−Y(g)」として算出される値を、インク受容層10g中の水不溶性樹脂の含有量とする。
また、「水不溶性樹脂の含有量に対する、水溶性樹脂の含有量の比」は、式:[10(g)−X(g)]/[X(g)−Y(g)]によって算出することができる。さらに、「無機粒子の含有量に対する、水不溶性樹脂の含有量の比」は、式:[(X(g)−Y(g)]/[Y(g)]によって算出することができる。
[その他の添加剤]
インク受容層には、上述の各種成分以外のその他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、架橋剤、pH調整剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、界面活性剤、離型剤、浸透剤、着色顔料、着色染料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、耐水化剤、インク定着剤、硬化剤、高堅牢性の材料などを挙げることができる。
架橋剤としては、アルデヒド系化合物、メラミン系化合物、イソシアネート系化合物、ジルコニウム系化合物、チタン系化合物、アミド系化合物、アルミニウム系化合物、ホウ酸、ホウ酸塩、カルボジイミド系化合物、オキサゾリン系化合物などを挙げることができる。インク定着剤としては、前述のアクリル樹脂やウレタン樹脂以外のカチオン性樹脂や、多価金属塩を挙げることができる。
カチオン性樹脂としては、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン系樹脂、ポリジアリルアミン系樹脂、ジシアンジアミド縮合物などを挙げることができる。多価金属塩としては、カルシウム化合物、マグネシウム化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物などを挙げることができる。なかでも、カルシウム化合物が好ましく、硝酸カルシウム・4水和物がさらに好ましい。
インク吸収性を向上させるとともに、ビーディングを抑制するために、インク受容層に界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤としては、アセチレン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、ポリシロキサン系界面活性剤、エーテル変性ポリシロキサン系界面活性剤などと挙げることができる。なかでも、アセチレン系界面活性剤が好ましい。
(記録媒体の製造方法)
上述の記録媒体を製造する方法は特に限定されない。例えば、インク受容層(1)用の塗工液及びインク受容層(2)用の塗工液を調製する工程(塗工液調製工程)と、調製した塗工液を基材に塗工する工程(塗工工程)と、を有する製造方法によって記録媒体を製造することが好ましい。
塗工液調製工程では、インク受容層(1)用の塗工液及びインク受容層(2)用の塗工液をそれぞれ調製する。これらの塗工液は、前述の各成分を定法にしたがって混合することで調製することができる。
塗工工程では、調製した各塗工液を基材に塗工して塗工層を形成する。インク受容層(1)の塗工液とインク受容層(2)用の塗工液を逐次塗工するか、又は同時に塗工する。なかでも、インク受容層(1)の塗工液とインク受容層(2)用の塗工液を逐次塗工することが、塗工液の混合を抑制することができるために好ましい。
基材に塗工液を塗布するには、ゲートロールコーター、サイズプレス、バーコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、カーテンコーター、グラビアコーター、スプレー装置などを用いることができる。なお、適度に加温した塗工液を塗布してもよい。
各塗工液を基材に塗工して形成した塗工層を乾燥することが好ましい。塗工層を乾燥するには、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤーなどの熱風乾燥機を使用することができる。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波などを利用した乾燥機などを使用することもできる。乾燥時の加熱温度は、例えば、80〜130℃とすることができる。
塗工液を基材に塗布する前に、表面処理剤を含有する表面処理液を基材の表面(塗工液を塗布する面)に付与してもよい。基材の表面に予め表面処理液を付与しておくことにより、基材に対する塗工液の濡れ性が高まり、形成されるインク受容層と基材との密着性を向上させることができる。表面処理剤としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などの熱可塑性樹脂;シランカップリング剤;などを挙げることができる。表面処理液には、必要に応じて、酸化チタン、炭化カルシウム、シリカ、アルミナなどの無機粒子を含有させてもよい。
2.第二の記録媒体
次に、本発明の第二の記録媒体の実施形態について説明する。本発明者らは、インク吸収性及び屋外掲示しうる耐久性に優れたインク受容層を備える記録媒体を提供すべく、鋭意検討した。その結果、以下の構成とすることで上記の目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、最表面に配置されるインク受容層(2)の下に、特定の無機粒子(第1の無機粒子)と、水不溶性樹脂(第1のバインダ)とを含有するインク受容層(1)を設ける。これにより、優れた屋外掲示における耐久性を発揮させることが可能となる。
さらに、最表面に配置されるインク受容層(2)に、第2の無機粒子及び水不溶性樹脂(第2のバインダ)を含有させるとともに、インク受容層(2)の厚さを10nm以上4,000nm以下とする。そして、インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、インク受容層(2)の表面の水との接触角θAは、40°以上80°以下である。そして、記録媒体を水に60分浸漬後に十分に乾燥させたインク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、インク受容層(2)の表面の水との接触角θA’と、接触角θAとが、下記式(I)の関係を満たす。
θA’−θA≧5° ・・・(I)
上記の構成とすることで、インク吸収性及び屋外掲示しうる耐久性が向上する理由につき、本発明者らは以下のように推測している。インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、インク受容層の表面の水との接触角θAを40°以上とすることにより、撥水効果が著しく向上し、優れた耐久性を示すインク受容層とすることができる。また、インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後におけるインク受容層の表面に対する水の接触角が80°以下であることにより、ビーディングを抑制することができる。さらに、接触角θA’と接触角θAとが、上記式(I)の関係を満たすことで、画像を記録した記録物が屋外掲示されて雨水に曝された後に、記録物の接触角が高まる。これにより、インク受容層(2)の表面の撥水性が著しく向上し、インク受容層の耐久性を屋外掲示可能となるまで高めることができる。
第二の記録媒体の構成及び製造方法については、前述の第一の記録媒体と同様にすることができる。なかでも、第二の記録媒体のインク受容層(2)は、HLB値が10超である界面活性剤を含有することが好ましく、HLB値が13以上である界面活性剤を含有することがさらに好ましい。HLB値が10超の界面活性剤をインク受容層(2)に含有させることで、インク受容層(2)の表面の水との接触角θAを40°以上80°以下に調整することができるとともに、ビーディングを抑制することが可能となる。さらに、画像を記録した記録物が屋外掲示されて雨水に曝されると、HLB値が10超の界面活性剤の少なくとも一部が雨水に溶解し、インク受容層(2)から流出する。その結果、インク受容層(2)に残存した水不溶性樹脂である第2のバインダにより、インク受容層(2)の表面の水との接触角(接触角θA’)が、雨水に曝される前の接触角(接触角θA)よりも5°以上高くなる。このため、屋外掲示しうる耐久性に優れたインク受容層とすることができる。なお、界面活性剤のHLB値は、下記式(グリフィンの式)により求められる値である。
HLB値=(親水基の分子量/界面活性剤全体の分子量)×20
(インク受容層(2)の表面の水との接触角)
インク受容層(2)の表面の水との接触角(接触角θA、接触角θA’)は、動的接触角試験機(例えば、製品名「1100DAT」(FIBRO製))などを使用して測定することができる。具体的には、インク受容層(2)の表面に4μLの純水を滴下し、滴下後の状態をビデオ撮影する。そして、必要な時間が経過した後に、ビデオ画像から、インク受容層(2)の表面の液滴(水)との接触角を測定する。
図1は、インク受容層の表面の水との接触角の経時変化を示す図である。具体的には、記録媒体(1)、及び記録媒体(1)を水に60分浸漬後に十分に乾燥させた記録媒体(2)について、インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後までにおける、インク受容層(2)の表面と水との接触角の経時変化を示す。図1に示すように、記録媒体(1)のインク受容層(2)の接触角θAは40°以上80°以下であるため、インク吸収性に優れている。また、記録媒体(2)のインク受容層(2)の接触角θA’は、接触角θAよりも5°以上大きい。
インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、インク受容層(2)の表面の水との接触角θAは、40°以上80°以下である。水を接触させてから60秒後におけるインク受容層(2)の接触角θA及び接触角θA’は、いずれも、ほぼ定常化していると判断することができる。接触角θA及び接触角θA’は、水を接触させてから40秒経過前に定常化していることが好ましく、20秒経過前に定常化していることがさらに好ましく、10秒経過前に定常化していることが特に好ましい。
<インクジェット記録方法>
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて上述の記録媒体に付与し、記録媒体上に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式や、インクに熱エネルギーを付与することによりインクを吐出する方式を挙げることができる。インクとしては、顔料を色材として含有する水性インク(水性顔料インク)を用いる。
(水性顔料インク)
水性顔料インクは、通常、水及び顔料を含有する。水性顔料インクには、必要に応じて、水溶性有機溶剤及びその他の成分をさらに含有させることができる。その他の成分としては、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤などを挙げることができる。
水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
顔料としては、公知の顔料を用いることができる。顔料の平均粒径は、50nm以上180nm以下であることが好ましい。その平均粒径が上記範囲内である顔料は、記録媒体の表面により留まりやすいので、記録媒体からの顔料の剥がれ落ちをさらに抑制することができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。成分量に関して「部」及び「%」と記載しているものは、特に断らない限り質量基準である。
1.実施例1
<基材の用意>
基材として、ポリプロピレン合成紙(商品名「ニューユポGCR110」、ユポコーポレション製)を用意した。
<無機粒子分散液の調製>
(無機粒子分散液1A〜1E)
表1に示す種類及び量の無機粒子及び分散剤を含有する無機粒子分散液を調製した。具体的には、純水及び分散剤の混合液をミキサーで撹拌しながら、無機粒子を投入した。無機粒子を投入後、ミキサーでさらに30分間撹拌して分散させ、無機粒子分散液を得た。得られた無機粒子分散液中の無機粒子の平均粒径を以下の手順で測定した。
無機粒子分散液1A〜1Eを、固形分1%となるようにそれぞれ純水で希釈して測定サンプルを調製した。そして、無機粒子分散液1A〜1Dについては、動的散乱法測定装置(製品名「ELS−Z」、大塚電子製)を使用して無機粒子の平均粒径(平均二次粒径)を測定した。また、無機粒子分散液1Eについては、用いた湿式シリカの粒径が大きいことから、レーザ回折式の粒子径分布測定装置(製品名「SALD−2300」、島津製作所製)を使用して無機粒子の平均粒径(平均一次粒径)を測定した。表1中の各成分の詳細を以下に示す。
・アルミナ水和物1:商品名「HP30」、Sasol製
・アルミナ水和物2:商品名「HP15」、Sasol製
・気相法アルミナ:商品名「AluminaC」、EVONIK製
・気相法シリカ:商品名「Aerosil200」、日本アエロジル製
・湿式シリカ:商品名「Sylisia660」、富士シリシア化学製
Figure 2022001433
<インク受容層(1)用の塗工液の調製>
(塗工液1−1〜1−11)
表2に示す種類及び量の各成分を混合するとともに、無機粒子100部に対して、ベンゾトリアゾール型の紫外線吸収剤2.5部を添加した。さらに、純水を添加して固形分量を調整し、塗工液1−1〜1〜11を得た。表2中の各成分の詳細を以下に示す。
・アクリル樹脂:商品名「モビニール6950」、日本合成製
・ポリカーボネート変性ウレタン樹脂:商品名「WLS210」、DIC製
・ポリエーテル変性ウレタン樹脂:商品名「WLS201」、DIC製
・ポリエステル変性ウレタン樹脂:商品名「NS310X」、高松油脂製
・ポリビニルアルコール:商品名「PVA235」、クラレ製
Figure 2022001433
<インク受容層(2)用の塗工液の調製>
(塗工液2−1〜2−8)
表3に示す種類及び量の各成分を混合した後、純水を添加して固形分量を調整し、塗工液2−1〜2〜8を得た。表3中の各成分の詳細を以下に示す。
・カチオン性コロイダルシリカ1:商品名「スノーテックス AK」、日産化学製
・カチオン性コロイダルシリカ2:商品名「スノーテックス AKYL」、日産化学製 ・アクリル樹脂:商品名「モビニール6940」、日本合成製
・アクリルウレタンコアシェル型エマルション:商品名「アクリットWEM041U」、大成ファインケミカル製
・ポリビニルアルコール:商品名「PVA235」、クラレ製
Figure 2022001433
<記録媒体の製造>
表4に示す種類のインク受容層(1)用の塗工液を、乾燥後の厚さが表4に示す厚さとなるようにバーコーターを用いて基材上に塗工し、80℃の熱風で乾燥してインク受容層(1)を形成した。動的接触角試験機(製品名「1100DAT」、FIBRO製)を使用し、形成したインク受容層(1)の表面の水との接触角θ1を測定した。
インク受容層(1)上に、表4に示す種類のインク受容層(2)用の塗工液を、乾燥後の厚さが表4に示す厚さとなるようにバーコーターを用いて基材上に塗工した。80℃の熱風で乾燥してインク受容層(2)を形成し、記録媒体を得た。動的接触角試験機(製品名「1100DAT」、FIBRO製)を使用し、形成したインク受容層(2)の表面の水との接触角θ2を測定した。また、マイクロトームで切り出した記録媒体の断面を走査型電子顕微鏡(製品名「SU−70」、日立製作所製)で観察した。そして、100点以上の任意の位置の厚さを測定し平均値を算出し、インク受容層(1)及びインク受容層(2)の厚さとした。
<評価>
以下に示す各項目の評価基準において、「A」及び「B」を好ましいレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
(耐水性)
記録媒体(インク受容層)の表面に80℃の流水を24時間流した後、一晩乾燥させた。インク受容層の表面に黒紙(商品名「ニューカラーR」、リンテック製)を75g/cmの荷重をかけて押し付け、学振型摩擦堅牢度試験機を使用して20回往復させる試験を行った。学振型摩擦堅牢度試験機としては、商品名「AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER」(テスター産業製)を使用した。この試験前後の黒紙の表面(インク受容層の表面に押し付けた面)の光学濃度の変化率を、光学反射濃度計(商品名「500分光濃度計」、X−Rite製)を使用して測定し、以下に示す評価基準にしたがって記録媒体の耐水性を評価した。光学濃度の変化率が高いほど、削れたインク受容層が黒紙に付着していることになるため、記録媒体の耐水性が低いことを意味する。
A:光学濃度の変化率が20%未満であった。
B:光学濃度の変化率が20%以上30%未満であった。
C:光学濃度の変化率が30%以上であった。
(ビーディング)
水性の顔料インクを搭載したインクジェット記録装置(商品名「imagePROGRAF Pro4000」、キヤノン製)を使用し、(R、G、B)=(0,255,0)のパッチを、耐水ポスター合成紙の標準モードで記録媒体に記録した。パッチの記録条件は、温度23℃、湿度50%とした。記録したパッチを目視にて観察し、以下の評価基準にしたがってビーディングを評価した。
A:ビーディングの発生は確認できなかった。
B:ビーディングの発生は確認できたが、気になるレベルではなかった。
C:ビーディングの発生が確認でき、気になるレベルであった。
Figure 2022001433
2.実施例2
<基材の用意>
基材として、ポリプロピレン合成紙(商品名「ニューユポGCR110」、ユポコーポレション製)を用意した。
<インク受容層用の塗工液の調製>
純水及び分散剤の混合液をミキサーで撹拌しながら、表5−1及び5−2に示す種類の無機粒子を投入した。無機粒子を投入後、ミキサーでさらに30分間撹拌して分散させ、固形分濃度37%の無機粒子分散液を得た。分散剤としては、グリコール酸を用いた。分散剤の量は、無機粒子に対して1%となる量とした。得られた無機粒子分散液と、表5−1及び5−2に示す種類及び量の各成分とを混合した。さらに、純水を添加して固形分量を調整し、インク受容層(2)用の塗工液及びインク受容層(1)用の塗工液を得た。表5−1及び5−2中の各成分の詳細を以下に示す。
・アルミナ:商品名「HP30」、Sasol製
・アクリル樹脂1:商品名「モビニール6950」、日本合成化学製
・アクリル樹脂2:商品名「モビニール6940」、日本合成化学製
・ポリカーボネート変性ウレタン樹脂:商品名「ハイドランWLS210」、DIC製 ・ポリエーテル変性ウレタン樹脂:商品名「ハイドランWLS201」、DIC製
・紫外線吸収剤:商品名「ホスタビン3315」、クラリアント製
・ポリビニルアルコール(製品名:PVA235、株式会社クラレ)
・コロイダルシリカ:商品名「ST−AK」、日産化学工業製
・アセチレングリコール1:商品名「オルフィンE1004」、日信化学工業製、HLB値=9
・アセチレングリコール2:商品名「サーフィノール420」、日信化学工業製、HLB値=4
・アセチレングリコール3:商品名「サーフィノール465」、日信化学工業製、HLB値=13
・アセチレングリコール4:商品名「サーフィノール485」、日信化学工業製、HLB値=17
なお、用いた界面活性剤(アセチレングリコール1〜4)は、いずれも乾燥固形分100%(すなわち、有効成分含有量100%)の界面活性剤であったため、「界面活性剤の質量=乾燥固形分の質量」として計算した。
<記録媒体の製造>
インク受容層(1)用の塗工液を、乾燥後の厚さが表5−1に示す厚さとなるようにバーコーターを用いて基材上に塗工し、80℃の熱風で乾燥してインク受容層(1)を形成した。形成したインク受容層(1)上に、インク受容層(2)用の塗工液を、乾燥後の厚さが表5−2に示す厚さとなるようにバーコーターを用いて塗工した。80℃の熱風で乾燥してインク受容層(2)を形成し、記録媒体を得た。マイクロトームで切り出した記録媒体の断面を走査型電子顕微鏡(製品名「SU−70」、日立製作所製)で観察した。そして、100点以上の任意の位置の厚さを測定し平均値を算出し、インク受容層(1)及びインク受容層(2)の厚さとした。
Figure 2022001433
Figure 2022001433
<評価>
以下に示す各項目の評価基準において、「A」、「B」、及び「B−」を好ましいレベルとし、「C」を許容できないレベルとした。評価結果を表6に示す。
(接触角の測定)
動的接触角試験機(製品名「1100DAT」、FIBRO製)を使用し、インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、インク受容層(2)の表面の水との接触角θAを測定した。さらに、記録媒体を水に60分浸漬後に十分に乾燥させたインク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、インク受容層(2)の表面の水との接触角θA’を測定した。測定した接触角θA及び接触角θA’を表6に示す。さらに、算出したθA’−θAの値を表6に示す。
(耐久性)
ISO18930に準拠した屋外耐候加速試験方法によって記録媒体を600時間暴露する耐久試験を行った。そして、耐久試験後のインク受容層の膜強度を測定し、インク受容層の耐久性を評価した。具体的には、耐久試験後の記録媒体のインク受容層の表面に黒紙(商品名「ニューカラーR」、リンテック製)を75g/cmの荷重をかけて押し付け、学振型摩擦堅牢度試験機を使用して20回往復させる試験を行った。学振型摩擦堅牢度試験機としては、商品名「AB−301 COLOR FASTNESS RUBBING TESTER」(テスター産業製)を使用した。その後、光学反射濃度計(商品名「500分光濃度計」、X−Rite製)を使用し、インク受容層の表面と接触しない黒紙の部分の光学濃度(OD)と、インク受容層の表面と接触した黒紙の部分の光学濃度(OD)を測定した。そして、下記式によりインク受容層の膜強度を算出した。
膜強度(%)=(OD/OD)×100
算出した膜強度より、以下に示す評価基準にしたがってインク受容層の耐久性を評価した。なお、耐久試験前の記録媒体のインク受容層の耐久性は、いずれも「A」評価であった。
A:膜強度が80%以上であった。
B:膜強度が65%以上80%未満であった。
B−:膜強度が55%以上65%未満であった。
C:膜強度が55%未満であった。
(インク吸収性)
水性顔料インク(シアンインク)を搭載したインクジェット記録装置(商品名「imagePROGRAF Pro4000」、キヤノン製)を使用し、印字モードを「耐水ポスター合成紙の標準モード」として記録媒体にベタ画像を記録した。
そして、記録直後のインクの乾き具合及び得られた画像におけるインクの溢れを目視で観察し、以下に示す評価基準にしたがってインク吸収性を評価した。なお、温度23℃、湿度50%の条件下で画像を記録した。用いたインクの色材は、平均粒径50nm以上180nm以下の顔料であることを確認した。
A:記録直後のインク乾き具合が非常に良好で、溢れもまったく見られなかった。
B:記録直後のインクの乾き具合が少し低下したものの、溢れはほとんど見られなかった。
C:記録直後のインクの乾き具合が低下し、溢れが見られた。
Figure 2022001433

Claims (12)

  1. 基材と、前記基材上に設けられたインク受容層(1)と、前記インク受容層(1)上に設けられるとともに最表面に配置されるインク受容層(2)と、を有する記録媒体であって、
    前記インク受容層(2)の厚さが、10nm以上4,000nm以下であり、
    前記インク受容層(1)が、第1の無機粒子及び第1のバインダを含有し、
    前記インク受容層(2)が、第2の無機粒子及び第2のバインダを含有し、
    前記第1のバインダ及び前記第2のバインダが、いずれも水不溶性樹脂であり、
    前記インク受容層(1)の表面に水を接触させてから1秒後における、前記インク受容層(1)の表面の水との接触角θ1が、90°以上であり、
    前記インク受容層(2)の表面に水を接触させてから1秒後における、前記インク受容層(2)の表面の水との接触角θ2が、60°以上85°以下であることを特徴とする記録媒体。
  2. 前記接触角θ1及び前記接触角θ2が、下記式(1)の関係を満たす請求項1に記載の記録媒体。
    θ1−θ2≧10° ・・・(1)
  3. 基材と、前記基材上に設けられたインク受容層(1)と、前記インク受容層(1)上に設けられるとともに最表面に配置されるインク受容層(2)と、を有する記録媒体であって、
    前記インク受容層(2)の厚さが、10nm以上4,000nm以下であり、
    前記インク受容層(1)が、第1の無機粒子及び第1のバインダを含有し、
    前記インク受容層(2)が、第2の無機粒子及び第2のバインダを含有し、
    前記第1のバインダ及び前記第2のバインダが、いずれも水不溶性樹脂であり、
    前記インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、前記インク受容層(2)の表面の水との接触角θAが、40°以上80°以下であり、
    前記記録媒体を水に60分浸漬後に十分に乾燥させた前記インク受容層(2)の表面に水を接触させてから60秒後における、前記インク受容層(2)の表面の水との接触角θA’と、前記接触角θAとが、下記式(I)の関係を満たすことを特徴とする記録媒体。
    θA’−θA≧5° ・・・(I)
  4. 前記インク受容層(2)の厚さが、10nm以上500nm以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録媒体。
  5. 前記第1の無機粒子が、アルミナ水和物、気相法アルミナ、及び気相法シリカからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の記録媒体。
  6. 前記インク受容層(1)が、前記インク受容層(1)中の前記第1のバインダの含有量を基準として、第1の水溶性樹脂を14質量%以下含有する、又は前記第1の水溶性樹脂を含有しない請求項1乃至5のいずれか1項に記載の記録媒体。
  7. 前記インク受容層(2)が、前記インク受容層(2)中の前記第2のバインダの含有量を基準として、第2の水溶性樹脂を14質量%以下含有する、又は前記第2の水溶性樹脂を含有しない請求項1乃至6のいずれか1項に記載の記録媒体。
  8. 前記インク受容層(2)中の前記第2の無機粒子の含有量に対する、前記第2のバインダの含有量の質量比率が、
    前記インク受容層(1)中の前記第1の無機粒子の含有量に対する、前記第1のバインダの質量比率よりも低い請求項1乃至7のいずれか1項に記載の記録媒体。
  9. 前記水不溶性樹脂が、アクリル樹脂、ポリカーボネート変性ウレタン樹脂、及びポリエーテル変性ウレタン樹脂から選択される少なくとも1種である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記録媒体。
  10. 前記第2の無機粒子が、コロイダルシリカである請求項1乃至9のいずれか1項に記載の記録媒体。
  11. インクジェット用である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の記録媒体。
  12. インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
    前記インクが、顔料を含有する水性インクであり、
    前記記録媒体が、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の記録媒体であることを特徴とするインクジェット記録方法。

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