本明細書では、本開示の様々な実施形態が示して記述されたが、当業者にとって、これらの実施形態が例として与えられたに過ぎないことが明らかであろう。当業者は、本開示を逸脱しない限り、いろんな変化、改変及び置換が想到される。本明細書に記載の本開示の実施形態に様々な置換態様が適用されることができる。
本明細書に用いられる「免疫抱合体」という用語は、通常、1種若しくは複数種の免疫グロブリン関連分子又はその断片を1種又は複数種の他の分子と抱合させることによって形成されるタンパク質分子を指す。上記の他の分子は、同様に免疫グロブリン関連分子又はその断片であってよい。幾つかの場合において、他の分子は、免疫グロブリン関連分子又はその断片と異なってもよい。上記の1種又は複数種のその他の分子は、同一であっても、異なってもよい。例えば、上記の他の分子は、標的結合部分及び/又はエフェクター部分、例えば、毒素又はシグナル分子であってよい。
本明細書に用いられる「相同性」、「相同の」、又は「配列同一性」という用語は、通常、2個若しくはそれ以上のポリヌクレオチド配列の間、又は2個若しくはそれ以上のポリペプチド配列の間の配列類似性または交換可能性を指す。プログラム(例えば、Emboss Needle又はBestFit)によって2個の異なるアミノ酸配列の間の配列同一性、類似性、又は相同性を特定する場合に、同一性、類似性、又は相同性のスコアを最適化するために、デフォルト設定を用いてよく、又は、適切なスコアマトリックス、例えば、blosum45又はblosum80を選択してよい。幾つかの実施形態において、相同のポリヌクレオチドとは、厳しい条件でハイブリダイズを起こし、かつ、対照配列と少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、ひいては100%の配列同一性を有するポリヌクレオチドのことである。同等の長さの配列が最適に整列された場合に、相同のポリペプチド同士は少なくとも80%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも97%、又は少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を互いに有してよい。
本明細書に決められたポリペプチド配列に用いられる「配列同一性パーセント(%)」という用語は、通常、配列を整列させ、且つ(必要に応じて)ギャップを導入することで、最大の配列同一性パーセントを得た上で、配列同一性の一部として、保存的な置換を一切考慮せずに、クエリー配列に、第2対照ポリペプチド配列若しくはその一部のアミノ酸残基又はヌクレオチドと同一であるアミノ酸残基若しくはヌクレオチドのパーセントを指す。アミノ酸/ヌクレオチド配列同一性パーセントを特定するための照合は、例えば、公的に利用可能なコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、NEEDLE、又はMegalign(DNASTAR)ソフトウェアを使用するなど、当該技術分野における様々な手段により実現してよい。当業者であれば、比較される配列の全長において最大照合を実現するに必要なあらゆるアルゴリズムを含む、計測・照合に用いられる適切なパラメータを特定できる。同一性パーセントは、特定されたポリペプチド/ポリヌクレオチド配列全体の長さにおいて計測されてよく、或いは短い長さ、例えば、大きな特定されたポリペプチド/ポリヌクレオチド配列からの断片の長さで計測してよい。また、表、図、又は配列表において、本明細書に示される配列に支持されるあらゆる断片長さは、いずれもパーセント同一性を計測できる長さを記述するために使用可能であることを理解しておく必要がある。
本明細書に用いられる「二重特異的抗体」という用語は、通常、単一抗原又は2個の異なる抗原上の2個の異なるエピトープに結合可能な抗体を指す。
本明細書に用いられる「PD-L1」という用語は、通常、プログラム細胞死リガンド1タンパク質、その機能性変異体及び/又はその機能性断片を指す。PD-L1は、分化クラスター274 (CD274)又はB7ホモログ1(B7-H1)とも呼ばれ、CD274遺伝子(ヒト)によってコードされるタンパク質である。PD-L1は、その受容体であるプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)に結合し、上記のプログラム細胞死タンパク質1は、活性化したT細胞、B細胞、及び貪食細胞に発現する((Ishidaら、1992 EMBO J, 11:3887-3395; Okazakiら、Autoimmune dilated cardiomyopathy in PD-1 receptor-deficient mice.Science, 2001; 291:319-22)。PD-L1とPD-1との複合は、T細胞増殖並びにサイトカインIL-2及びIFN-γ産生を抑制することによって、免疫抑制効果を発揮する(Freemanら、Engagement of PD-1 immunoinhibitory receptor by a novel B7 family member leads to negative regulation of lymphocyte activation,J. Exp.Med.2000, 192:1027-1034; Carterら、PD-1:PD-L inhibitory pathway affects both CD4+and CD8+ T cells and is overcome by IL-2.Eur.J. Immunol.2002, 32:634-643)。例えば、「PD-L1」という用語は、NCBI登録番号Q9NZQ7と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有し、PD1に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含んでよい。PD-L1という用語は、完全なPD-L1リガンド、可溶性PD-L1リガンド、及び第2要素(例えば、タンパク質ドメイン)と共有結合するPD-L1リガンドの機能性活性要素を有する融合タンパク質を含む。PD-L1の定義には、アミノ酸配列が天然に存在するPD-L1と異なるが受容体PD1に特異的に結合する能力を残した変異体をさらに含む。PD-L1の定義には、さらに、PD1の生物活性が増強された変異体を含む。PD-L1配列は、当該技術分野に既知のものであり、例えばGenBank登録番号29126により与えられる。本明細書に用いられる「PD-L1」という用語は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1の変異体、アイソタイプ及び種相同体、並びにhPD-L1と少なくとも1個の共通エピトープを有する類似物を含む。例えば、「PD-L1」という用語は、その他の種、例えば、その他の哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシ由来のPD-L1をさらにカーバする。完全なhPD-L1配列は、GenBank登録番号29126に捜索されることができる。
本明細書に用いられる「PD-L1のN末端IgVドメイン」という用語は、通常、そのN末端に位置するヒトPD-L1の細胞外ドメインを指す。「ヒトPD-L1のN末端IgVドメイン」という用語は、上記のドメイン内のエピトープも指す。ヒトPD-L1タンパク質(シグナルペプチドを含む)のN末端IgVドメインは、例えば配列番号64で表されるアミノ酸配列を有してよい。
本明細書に用いられる「CTLA4」という用語は、通常、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4、その機能変異体及び/又はその機能性断片を指す。CTLA4は、CD28ファミリーに属する免疫抑制性受容体である。インビボCTLA4は、T細胞のみ(CD 4+及びCD 8+細胞)に発現し、また、CD80及びCD86(それぞれB7-1及びB7-2とも呼ばれる)の2種類のリガンドに結合する。例えば、「CTLA4」という用語は、NCBI登録番号AAL07473.1と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有すると共に、CD80及び/又はCD86に特異的に結合するポリペプチド若しくはその断片を含んでよい。「CTLA4」という用語は、完全なCTLA4受容体、その細胞外ドメイン並びに第2要素(例えばタンパク質ドメイン)に共有結合するCTLA4の機能性活性要素を有する融合タンパク質を含む。CTLA4の定義には、アミノ酸配列が天然に存在するCTLA4と異なるがリガンドCD80及び/又はCD86に特異的に結合する能力を残した変異体をさらに含む。CTLA4配列は、例えば、GenBank登録番号1493により与えられるように、当該技術分野に既知のものである。本明細書に用いられる「CTLA4」という用語は、ヒトCTLA4(hCTLA4)、hCTLA4の変異体、アイソタイプ及び種相同体、並びにhCTLA4と少なくとも1個の共通エピトープを有する類似物を含む。例えば、「CTLA4」という用語は、その他の種(例えば、その他の哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシ)由来のCTLA4をさらに含む。完全なhCTLA4配列はGenBank登録番号1493に捜索されることができる。
本明細書に用いられる「抗体Fcサブユニット」という用語は、通常、抗体Fcドメインのコンポーネントを指す。例えば、抗体のFcドメインは、2個又はそれ以上のメンバーで形成されてよく、また、各メンバーは、それぞれ1個のFcサブユニットとして見なされてよい。本明細書に用いられる「Fcドメイン」という用語は、通常、抗体重鎖のFc部分又はFc断片を指す。例えば、免疫グロブリン重鎖定常領域のカルボキシ末端部分、又はFc受容体に結合可能な類似物若しくはその部分を指してよい。各免疫グロブリンの重鎖定常領域は、ドメインを4個又は5個含むことが既に知られている。上記のドメインは、CH1-ヒンジ-CH2-CH3(-CH4)とその順で命名される。CH4は、ヒンジ領域なしのIgMに存在する。本開示に使用可能なFcドメイン又はFcサブユニットは、CH3ドメインを含んでもよい。例えば、Fcドメイン又はFcサブユニットは、CH2ドメイン及びCH3ドメインを含んでよい。幾つかの実施形態において、Fcドメイン又はFcサブユニットは、免疫グロブリンヒンジ領域をさらに含んでよい。例えば、Fcドメイン又はFcサブユニットは、N末端からC末端にかけてCH2ドメイン及びCH3ドメインを含むか、又は上記のCH2ドメイン及びCH3ドメインで構成されてよい。別の実施例において、Fcドメイン又はFcサブユニットは、N末端からC末端にかけて免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含むか、又は上記の免疫グロブリンヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインで構成されてよい。Fcドメイン又はFcサブユニットにおけるアミノ酸残基の位置は、Kabat, E. A.ら、(1991) Sequences of Proteins ofImmunological Interest、第5版、NIH Publication No. 91-3242に基づいて特定されてよい。
本明細書に用いられる「Fcドメイン」という用語は、通常、天然配列Fc領域及び変異体Fc領域を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を指す。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界が異なる可能性があるが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、Cys226位置のアミノ酸残基又はPro230からそのカルボキシ末端まで伸長すると定義される。Fc領域のC末端リジン(EU番号システムに準じる残基447)は、例えば、抗体の産生又は精製中に除去され、或いは抗体重鎖をコードする核酸の組換え遺伝子操作ことによって除去されることができる。したがって、完全な抗体の組成物は、K447残基がすべて除去された抗体群、K447残基が除去されていない抗体群、及びK447残基を含む抗体並びにK447残基を含まない抗体との混合を有する抗体群を含んでよい。本開示に適用する抗体の天然配列Fc領域は、ヒトIgG1、IgG2(IgG2A、IgG2B)、IgG3、及びIgG4を含む。
本明細書において特に明記しない限りは、免疫グロブリン鎖における残基の番号は、例えばKabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、公衆衛生局、米国国立衛生研究所、Bethesda, Md.(1991)におけるEUインデックスの番号である。「Kabat EUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の残基番号を指す。
本明細書に用いられる「二量体」という用語は、通常、2個の非共有結合することが一般的であるモノマー単位で形成される高分子重合体を指す。各モノマー単位は高分子、例えば、ポリペプチド鎖又はポリヌクレオチドであってよい。本明細書に用いられる「ホモ二量体」という用語は、通常、基本的に同一の2種のモノマー、例えば、基本的に同一の2本のポリペプチド鎖で構成されるか、又は形成される二量体を指す。幾つかの場合において、ホモ二量体のモノマーの2個は、1個若しくは複数個の領域又は位置に異なってよいが、このような差によりモノマーの機能又は構造の顕著な変化を引き起こすことはない。例えば、当該技術分野における当業者にとって、本開示に考えられている生物学的特性の背景で、2種のモノマーの間の差はほとんどなく、或いは、生物学及び/又は統計的有意性がないと想到するであろう。上記2種のモノマーの間の構造/組成の差は、例えば、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、約5%未満又はそれ以下であってよい。
本明細書に用いられる「融合した」又は「融合」という用語は、通常、2個のポリペプチド間の共有結合を指す。上記のポリペプチドは、通常、ペプチド結合を介して、互いに直接に又はアミノ酸リンカーを介して結合される。上記のペプチドは、任意選択で、当業者に既知の非ペプチド共有結合によって結合されてよい。
本明細書に用いられる「融合タンパク質」という用語は、通常、異種ポリペプチド(すなわち、前のポリペプチド又はそのドメインとは無関係なポリペプチド)のアミノ酸配列と直接又は間接に(例えば、リンカーによって)融合されたポリペプチドのアミノ酸配列、又は任意選択でそれにより構成されるポリペプチドを指す。
本明細書に用いられる「免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)」という用語は、通常、抗原結合ドメイン又は断片を指し、例えば、それぞれVHHドメイン又はVH又はVLドメインである。抗原結合分子または抗原結合タンパク質という用語は、交換して使用されることができ、用語のナノ抗体をさらに含む。さらに、免疫グロブリン単一可変ドメインは、軽鎖可変ドメイン配列(例えば、VL配列)、または重鎖可変ドメイン配列(例えば、VH配列)であってよく、より具体的に、従来の4鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列または重鎖抗体に由来する重鎖可変ドメイン配列であってよい。したがって、免疫グロブリン単一可変ドメインは、ドメイン抗体又はドメイン抗体として好適な免疫グロブリン配列、単一ドメイン抗体又は単一ドメイン抗体として好適な免疫グロブリン配列、「dAb」若しくはdAbとして好適な免疫グロブリン配列、又はVHH配列を含むがこれに限定されないナノ抗体であってよい。免疫グロブリン単一可変ドメインには、完全ヒト配列、ヒト化配列、その他の態様によって配列最適化された配列又はキメラ免疫グロブリン配列を含む。免疫グロブリン単一可変ドメイン及び免疫グロブリン単一可変ドメインの構造は、4個のフレームワーク領域又は「FR」で構成されると考えられてよいが、これに限られず、上記のフレームワーク領域は当該技術分野においてそれぞれ「フレームワーク領域1」又は「FR1」、「フレームワーク領域2」又は「FR2」、「フレームワーク領域3」又は「FR3」、及び「フレームワーク領域4」又は「FR4」と称され、上記のフレームワーク領域に、3個の相補性決定領域又は「CDR」が挿入され、上記の相補性決定領域は当該技術分野においてそれぞれ「相補性決定領域1」又は「CDR1」、「相補性決定領域2」又は「CDR2」、及び「相補性決定領域3」又は「CDR3」と称される。
本明細書に用いられる「ヒト化」という用語は、通常、非ヒト抗体のCDRドメイン以外の一部、ほとんどの部分又は全部のアミノ酸がヒト免疫グロブリン由来の対応するアミノ酸によって置換される抗体又はその断片を指す。例えば、抗体のヒト化において、CDRドメイン以外の一部、ほとんどの部分又は全部のアミノ酸がヒト免疫グロブリン由来アミノ酸によって置換されたが、1個の又は複数個のCDR領域内の一部、ほとんどの部分又は全部アミノ酸が変わっていない。抗体がその特異的抗原/エピトープに結合する能力を損なわない限り、アミノ酸の僅かな付加、欠損、挿入、置換、又は修飾が許容される。ヒト化抗体は本来の抗体と同様の抗原特異性を維持することができる。
本明細書に用いられる「エピトープ」又は「抗原決定基」という用語は、通常、抗体が結合する抗原における部位を指す。エピトープは、連続アミノ酸(直線状エピトープ)から、又はタンパク質の3次折り畳みによって並列する不連続アミノ酸(立体配座エピトープ)の両方から形成することができる。連続アミノ酸から形成されるエピトープは、通常、変性溶媒に晒されても保持され、一方、3次折り畳みによって形成されるエピトープは、通常、変性溶媒で処理されると失われる。エピトープは、通常、固有の空間立体配座内に、少なくとも3個、より一般的には少なくとも5個又は8〜10個のアミノ酸を含む。エピトープの空間立体配座を特定する方法は、例えば、x線結晶回折及び2次元核磁気共鳴を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻、Glenn E. Morris編集(1996)を参照する。
本明細書に用いられる「立体配座エピトープ」という用語は、通常、タンパク質の3次折り畳みによって並列する抗原(例えば、PD-L1抗原)の不連続アミノ酸残基を指す。ポリペプチド鎖の折り畳みによって天然タンパク質が形成される場合に、これらの不連続のアミノ酸残基は表面に集中可能である。立体配座エピトープは、機能性エピトープを含むが、これに限定されない。
本明細書に用いられる「機能性エピトープ」という用語は、通常、抗体結合を活発に促進し、すなわち「活発化エピトープ」の抗原を形成することができるアミノ酸残基を指す。抗原の活発な促進性残基のいずれかは、アラニンに突然変異することによって抗体の結合が破壊され、これにより、抗体のKD相対比(KD突然変異型/KD野生型)は例えば2倍より大きく、例えば3倍より大きく、4倍より大きく、6倍より大きく、10倍より大きく、20倍より大きく、30倍より大きく、40倍より大きく、50倍より大きく、60倍より大きく、70倍より大きく、80倍より大きく、90倍より大きく、100倍より大きく、150倍より大きく、200倍より大きく又はそれ以上になりうる。
本明細書に用いられる「細胞外ドメイン」という用語は、通常、細胞器官及び/又は細胞の外膜から突出したタンパク質(例えば、受容体のような膜タンパク質)の部分を指す。ポリペプチド鎖が二重膜を数回貫通していれば、細胞外ドメインが膜を回して通すリングを含む。細胞外ドメインは特定のリガンドを認識して反応させることができる。
本明細書に用いられる「リンカー」という用語は、通常、2個のポリペプチド配列を結合又は連結(例えば、2個のポリペプチドドメインを連結)する合成アミノ酸配列を指す。リンカーは、ペプチド結合によって2個のアミノ酸配列を結合することができる。幾つかの実施形態において、本開示のリンカーは、直線状配列で生物活性の部分と第2の部分を結合する。例えば、ペプチドリンカーは、例えばセリン及びグリシン配列、又はAla-Ala-Ala反復配列を含むペプチドリンカーのような、非免疫原性及び柔軟性のものでありうる。ペプチドリンカーは、二量体の所定の構築物によっては、例えば3-30個(例えば、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、少なくとも20個、少なくとも21個、少なくとも22個、少なくとも23個、少なくとも24個、少なくとも25個、少なくとも26個、少なくとも27個、少なくとも28個、少なくとも29個、少なくとも30個)のアミノ酸残基を有してよい。
本明細書に用いられる「N末端」という用語は、「N端」と交換して使用することができ、それらは、通常、ポリペプチド鎖のアミノ端/末端を指す。
「C末端」という用語は、「C端」と交換して使用することができ、本明細書に用いられるように、それらは、通常、ポリペプチド鎖のカルボキシ端/末端を指す。
本明細書に用いられる「PBMC細胞」という用語は、通常、リンパ球(T細胞、B細胞、NK細胞)及び単核細胞を含む末梢血単核細胞を指す。Ficoll(血漿層を分離する親水性多糖類)及び/又は勾配遠心分離法(血液を上層である血漿、その次の層であるPBMC及び下層である多形核好中球(例えば、好中性顆粒球及び好酸性顆粒球)と赤血球に分離することができる)を用いて全血からこれらの細胞を抽出することができる。
本明細書に用いられる「有効量」という用語は、通常、受給者に優れた効果を発揮するように、十分に高い濃度を与えるに足りる投与量を指す。あらゆる所定の被験者に対しての治療上で効果のある具体的な投与量レベルは、治療される病気、病気の重大さ、具体的な成分の活性、投与経路、排除率、治療期間、被験者の年齢、体重、性別、飲食、及び一般的健康状況ならびに他の関連要因を含む複数の要因によって決まりうる。
本明細書に用いられる「薬学的に許容可能な賦形剤」という用語は、通常、投薬に適合する任意の及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング、等張剤並びに吸収遅延剤などを指す。
本明細書に用いられる「宿主細胞」という用語は、通常、対象のプラスミド、又はベクターのレシピエント、又は既にそうであったか、本開示の単離される核酸、または本開示を発現する二量体からなる単独細胞、細胞株または細胞培養物を指す。宿主細胞は、単一宿主細胞の子世代を含んでよい。子世代は、天然的、偶然的、又は意図的な突然変異によって、本来の親細胞(形態又はトータルDNA相補的ゲノムで)とかならずしも完全に同一ではないかもしれない。宿主細胞は、本開示のベクターを用いてインビトロで形質移入される細胞を有してよい。宿主細胞は、細菌細胞(例えば大腸菌(E.coli))、酵母細胞又は他の真核細胞、例えばCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、HEK293細胞、COS-1細胞、NS0細胞、又は骨髄腫細胞であってよい。幾つかの実施形態において、宿主細胞は、哺乳動物の細胞である。幾つかの実施形態において、哺乳動物の細胞は、HEK293細胞である。
本明細書に用いられる「ベクター」という用語は、通常、挿入された核酸分子を宿主細胞中及び/又は宿主細胞間に運搬する、適切な宿主で自己複製できる核酸分子を指す。該用語は、主にDNA又はRNAを細胞に挿入するためのベクター、主にDNA又はRNAを複製するための複製ベクター、及びDNA若しくはRNAを転写及び/又は翻訳するための発現ベクターを含む。さらに、1個以上の上記機能を与えるベクターを含む。「発現ベクター」は、適切な宿主細胞に導入する場合、1種又は複数種のポリペプチドに転写して翻訳されるポリヌクレオチドである。「発現系」は、通常、所望の発現産物を産生するために用いられる発現ベクターを含む適切な宿主細胞を指す。
本明細書に用いられる「単離される核酸」という用語は、通常、その天然環境から単離され、又は人工合成された任意長さの単離形態であるヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドか、リボヌクレオチドかにかかわらず)若しくはその類似物を指す。
本明細書に用いられる「がん」という用語は、通常、臨床的に検出可能なのあらゆる腫瘍増殖又は転移を指す。がんは、固形腫瘍、血液癌又はリンパ腫でありうる。例えば、がんは、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、黒色腫、子宮頸癌、子宮癌、膵臓癌、腹膜癌、卵巣癌、及び結腸癌から選ばれる。がんは、末期又は転移性がんでありうる。
本明細書に用いられる「IL-2」又は「IL2」という用語は、通常、インターロイキン-2、その機能変異体及び/又はその機能性断片を指す。「IL2」という用語は、ヒトIL-2(hIL-2)、及びその他の種(例えば、その他の哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシ)由来のIL-2を含む。hIL-2は、Genbank Submission, NCBI登録番号P60568に記載されていたとおりである。「IL-2」という用語は、例えばGillis, S.ら、J. Immunol.(1978) 120:2027-2032及びWatson, J., J. Exp.Med.(1979) 150:1510-1519による標準測定に挙げられたように、hIL-2依存性細胞溶解及びヘルパーT細胞株の増殖を刺激することができるポリペプチドを指してよい。
本明細書に用いられる「免疫細胞」という用語は、通常、免疫系の細胞を指す。免疫細胞は、身体を伝染病及び/又は外来病原体から保護することに関与する細胞を含みうる。免疫細胞は、先天性免疫系の細胞及び適応免疫系の細胞を有してよい。免疫細胞は、白血球(leukocytes)又は白血球細胞(leucocytes)、例えば、好中性顆粒球、好酸性顆粒球、好塩基性顆粒球、リンパ球及び単核細胞を有してよい。例えば、リンパ球においてB細胞、T細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞があるように、より多くのサブタイプに分類することができる。
本明細書に用いられる「被験者」という用語は、通常、ヒト又は非ヒト動物を指し、猫、犬、馬、ブタ、ウシ、羊、ヤギ、ウサギ、マウス、ラット、又はサルを含むが、これに限定されない。
本明細書に用いられる「約」という用語は、通常、当該技術分野における正常な公差範囲内での変化を指し、また、通常、上記の値からの±10%以内、例えば、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内であることを指す。別に文脈から明らかでない限り、本明細書で提供される全ての数値は、共に「約」という用語で修飾される。
本明細書に用いられる「に特異的に結合」又は「に対して特異的」という用語は、通常、例えば、バイオ分子を含む異質性分子集団が存在する場合、標的の存在を決める標的と抗体との間の結合のような計測可能や再現可能な相互作用を指す。例えば、標的(エピトープでありうる)に特異的に結合する抗体は、それと他の標的との結合よりも大きい親和性、アフィニティで、より簡単に及び/又はより長い時間で該標的に結合する抗体である。1つの実施形態において、例えば、放射免疫測定法(RIA)で抗体と無関係な標的との結合度が約10%より小さい抗体と標的との結合を計測する。ある実施形態において、標的に特異的に結合する抗体は、<1×10-6M、<1×10-7M、<1×10-8M、<1×10-9M、又は<1×10-10Mの解離定数(KD)を有する。ある実施形態において、抗体は、異なる種のタンパク質において保存されるタンパク質でのエピトープに特異的に結合する。もう1つの実施形態において、特異的に結合は、排他的な結合を含むが、必要としない。
本明細書に用いられる「抗体」という用語は、通常、免疫グロブリン又はその断片若しくは誘導体を指し、また、インビトロで産生されるか、インビボで産生されるかにかかわらず、抗原結合部位を含むあらゆるポリペプチドを包含する。該用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異的抗体、多重特異性抗体、非特異的抗体、ヒト化抗体、一本鎖抗体、キメラ抗体、合成抗体、組み換え抗体、ハイブリッド抗体、突然変異抗体、及び移植抗体(grafted antibody)を含むが、これに限定されない。別に「完全な」という用語で修飾されない限り、例えば「完全な抗体」について、本開示の目的で、「抗体」という用語は、さらに、抗体断片、例えば、Fab、F(ab’)2、Fv、scFv、Fd、dAb、及び他の抗原結合機能(すなわち、例えばCTLA-4又はPD-L1に特異的に結合する能力)を保持する抗体断片を含む。このような断片は、典型的に、抗原結合ドメインを含む。
基本的な4本鎖抗体単位は、2本の同一の軽鎖(L)及び2本の同一の重鎖(H)からなるヘテロ四量体の糖タンパク質である。IgM抗体は、5個の基本的なヘテロ四量体単位及びJ鎖と称されるさらなるポリペプチドからなると共に、10個の抗原結合部位を有するが、IgA抗体は、重合してJ鎖と結合する多価集合体を形成することができる2-5個の基本的な4本鎖単位からなる。IgGの場合、4本鎖単位は、一般的に、約150,000ダルトンである。それぞれのL鎖は、1個の共有ジスルフィド結合によりH鎖と結合され、一方で、2本のH鎖は、H鎖のアイソタイプに応じて、1個の又は複数個のジスルフィド結合によりお互いに結合される。それぞれのH鎖及びL鎖は、また、規則正しい間隔の鎖内ジスルフィド架橋を有する。それぞれのH鎖は、N端に可変ドメイン(VH)を有し、α及びγ鎖のそれぞれについて3個の定常ドメイン(CH)が、ならびにμ及びεアイソタイプについて4個のCHドメインが後に続く。それぞれのL鎖は、N端に可変ドメイン(VL)、その他端に定常ドメインを有する。VLは、VHに整列し、CLは、重鎖の第1の定常領域(CH1)に整列している。所定のアミノ酸残基は、軽鎖と重鎖可変ドメインの間との界面を形成すると考えられる。VHとVLとの対形成は、共に単一の抗原結合部位を形成する。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology、第8版、Daniel P. Sties, Abba I. Terr及びTristram G. Parsolw(編集), Appleton & Lange, Norwalk, Conn., 1994、71頁及び6章を参照できる。いずれかの脊椎動物種のL鎖は、その定常領域のアミノ酸配列に基づいて、κ及びλと呼ばれる2個の明らかに異なるタイプに分類される。免疫グロブリンは、その重鎖定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に基づいて、異なるクラス又はアイソタイプに分類される。5個のクラスの免疫グロブリンが存在する:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる重鎖を有する。γ及びαのクラスは、CHの配列及び機能における比較的軽微な相違に基づいて、サブクラスにさらに分類され、例えば、ヒでは、以下のサブクラスを発現する:IgG1、IgG2A、IgG2B、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgK1。
本明細書に用いられる「ポリペプチド鎖」という用語は、通常、2個又はそれ以上の共有結合ペプチドを有する高分子を指す。ポリペプチド鎖におけるペプチドは、ペプチド結合によりお互いに結合される。それぞれのポリペプチド鎖は、1個のN末端又はアミノ端及び1個のC末端又はカルボキシ端を有してよい。
本明細書に用いられる「CD80」という用語は、通常、CD28/CTLA4のリガンド(B7.1とも称される)、その機能変異体及び/又はその機能性断片を指す。CD80は、専門的な抗原提示細胞(APC)の表面で発現されることが一般的である。例えば、「CD80」という用語は、NCBI登録番号P33681と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有すると共に、CTLA4に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含む。CD80は、さらに、アミノ酸配列で天然に存在するCD80と異なるが、CTLA4に特異的に結合する能力を保持する変異体を含むと定義される。CD80は、さらに、CTLA4の生物活性を増強させる変異体を含むと定義される。CD80配列は、当該技術分野において既知のものであり、また、例えばGenBank登録番号P33681で提供される。本明細書に用いられる「CD80」という用語は、ヒトCD80(hCD80)、hCD80の変異体、アイソタイプ及び種相同体、ならびにhCD80と少なくとも1個の共通エピトープを有する類似物を含む。例えば、「CD80」という用語は、さらに、その他の種(例えば、その他の哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシ)由来のCD80を含む。完全なhCD80配列は、GenBank登録番号P33681に記載されている。
本明細書に用いられる「CD86」という用語は、通常、CD28/CTLA4のリガンド(B7.2とも称される)、その機能変異体及び/又はその機能断片を指す。CD86は、専門的な抗原提示細胞(APC)の表面で発現されることが一般的である。例えば、「CD86」という用語は、NCBI登録番号P42081と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有すると共に、CTLA4に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含む。CD86は、さらに、アミノ酸配列で天然に存在するCD86と異なるが、CTLA4に特異的に結合する能力を保持する変異体を含むと定義される。CD86は、さらに、CTLA4の生物活性を増強させる変異体を含むと定義される。CD86配列は、当該技術分野において既知のものであり、また、例えばGenBank登録番号U04343で提供される。本明細書に用いられる「CD86」という用語は、ヒトCD86(hCD86)、hCD86の変異体、アイソタイプ、及び種相同体、並びにhCD86と少なくとも1個の共通エピトープを有する類似物を含む。例えば、「CD86」という用語は、その他の種(例えば、その他の哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシ)由来のCD86をさらに含む。完全なhCD86配列は、GenBank登録番号U04343に記載されている。
本明細書に用いられる「PD1」という用語は、通常、プログラム細胞死-1受容体(CD279とも称される)、その機能変異体及び/又はその機能性断片を指す。PD1は、通常、T細胞、B細胞、ナチュラルキラーT細胞、活性化された単核細胞、及び樹状細胞(DC)に発現される。PD1は、そのリガンドPD-L1及びPD-L2と結合することができる。例えば、「PD1」という用語は、NCBI登録番号P42081と少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性を有すると共に、PD-L1に特異的に結合するポリペプチド又はその断片を含む。PD1は、さらに、アミノ酸配列で天然に存在するPD1と異なるが、PD-L1に特異的に結合する能力を保持する変異体を含むと定義される。PD1は、さらに、PD-L1の生物活性を増強させる変異体を含むと定義される。PD1配列は、当該技術分野において既知のものであり、また、例えばGenBank登録番号Q15116.3で提供される。本明細書に用いられる「PD1」という用語は、ヒトPD1(hPD1)、hPD1の変異体、アイソタイプ及び種相同体、並びにhPD1と少なくとも1個の共通エピトープを有する類似物を含む。例えば、「PD1」という用語は、その他の種(例えば、その他の哺乳動物、例えばラット、マウス、ウサギ、非ヒト霊長類、ブタ、又はウシ)由来のPD1をさらに含む。完全なhPD1配列は、GenBank登録番号Q15116.3に記載されている。
本明細書に用いられる「遮断」という用語は、通常、分子とその特異的に結合パートナーとの間、例えば、リガンドとその特異的受容体との間の結合活性を阻害又は低減することを意味する。
「遮断抗体」及び「アンタゴニスト抗体」という用語は、本明細書において交換して使用することができ、その結合抗原の生物活性を阻害又は低減する抗体を指すことが一般的である。幾つかの実施形態において、遮断抗体又はアンタゴニスト抗体は、抗原の生物活性を基本的に又は完全に阻害する。本開示のPD-L1に対して特異的であるISVDまたはCTLA4に対して特異的であるISVDは、遮断的又は拮抗的ISVDでありうる。例えば、本開示のPD-L1に対して特異的であるISVDは、PD-L1とその受容体PD-1との間の相互作用を遮断することによって、PD-L1によるシグナル伝達を遮断し、T細胞を抗原刺激に対する機能不全状態から機能的応答に回復させることができる。本開示のCTLA4特異的ISVDは、CTLA4とCD80/CD86との間の相互作用を遮断することによって、CTLA4によるシグナル伝達を遮断し、T細胞を抗原刺激に対する機能不全状態から機能的応答に回復させることができる。
「交差競合結合」、「交差競合」、「交差遮断」、「交差遮断された」及び「交差遮断させる」という用語は、本明細書において交換して使用することができ、一般的に、抗体又はその断片が本開示の別の抗体(例えば、本開示のPD-L1に対して特異的であるISVD又はCTLA4に対して特異的であるISVD)と標的/抗原(例えば、それぞれがPD-L1又はCTLA4であり)との結合をアロステリック制御によって直接的又は間接的に干渉する能力を指す。抗体又はその断片は、別の抗体と標的との結合を干渉できる程度、及び本開示による交差遮断又は交差競合と考えられるかいなかが競合結合測定法で特定される。1種類の特に適切な交差競合定量測定には、FACS又はAlphaScreenに基づく方法を用いて標識(例えばHis標識、ビオチン化、又は放射性標識)された抗体またはその断片と別の抗体またはその断片との間の標的への結合についての競合を計測する。通常、交差競合的抗体またはその断片については、例えば、交差競合測定には、測定中及び第2の抗体またはその断片が存在する場合に、本開示に係る免疫グロブリン単一可変ドメイン又はポリペプチドの記録された置換が所定量で存在する供試の潜在的な交差遮断抗体又はその断片から形成される最大の理論的な置換(例えば、交差遮断を必要とする(標識なし)抗体又はその断片から形成される置換)の100%(例えば、FACSに基づく競合測定には)と高いように、上記の抗体が標的に結合する。交差競合的抗体又はその断片は、記録された置換が10%から100%、例えば、50%から100%であることが好ましい。
本明細書に用いられる「大幅に低減された」又は「明らかに異なる」という用語は、通常、2個の数値(一方は分子に関係があり、他方は対照/比較分子に関係がある)の間での十分に高い相違度を指し、当業者がこの2個の値の間の相違が上記の値(例えば、KD値)から計測される生物学的特徴という文脈において生物学的意義及び/又は統計的有意性があると考えるようにする。上記の2個の値の間の相違は、対照/比較分子の値よりも、例えば、約10%より大きく、約20%より大きく、約30%より大きく、約40%より大きく及び/又は約50%より大きい。
本明細書に用いられる「基本的に類似する」又は「基本的に同じ」という用語は、通常、2個の数値(例えば、一方は分子に関係があり、他方は対照/比較分子に関係がある)の間での十分に高い類似度を指し、当業者がこの2個の値の間の相違が上記の値(例えば、KD値)から計測される生物学的特徴という文脈において生物学的意義及び/又は統計的有意性がほとんどない又はないと考えるようにする。上記の2個の値の間の差分値は、対照/比較分子の値よりも、例えば、約50%より小さく、約40%より小さく、約30%より小さく、約20%より小さく及び/又は約10%より小さい。
本明細書に用いられる「免疫応答を増強させる」という用語は、通常、持続又は増強された生物的機能を有するか、又は枯渇若しくは不活性化された免疫細胞を更新若しくは再活性化させるように、免疫細胞(例えば、T細胞又はPBMC細胞)を誘導し、引き起こし又は刺激することを意味する。免疫細胞の機能を増強させる実施例は、介入前の対応レベルに対するPBMC細胞によるIL-2分泌の増加、増殖増加、抗原応答性の増加、例えば、ウイルス、又は病原体の排除)を含む。増加した程度は、少なくとも30%、例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも120%、少なくとも150%、又は少なくとも200%でありうる。このような増加を計測する方法は、当業者にとって既知である。
本明細書に用いられる抗体の「可変領域」又は「可変ドメイン」という用語は、通常、抗体重鎖又は軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ「VH」及び「VL」と呼ばれる。これらのドメインは、通常、抗体における最も変わりやすい部分(同じ種類の他の抗体に対して)であり、また、抗原結合部位を含む。
本明細書に用いられる「可変の」という用語は、通常、可変ドメインのある断片が抗体間で配列において大幅に異なる事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介すると共に、その所定の抗原に対する所定の抗体の特異性を特定する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体にわたって、均等に分布していない。逆に、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域における超可変領域(CDR又はHVR)と呼ばれる3個のフラグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、主としてβ-シート構造を採用し、β-シート構造を結合するループを形成し、幾つかの場合においてβ-シート構造の一部を形成する3個のCDRによって結合される4個のFR領域を含む。それぞれの鎖のCDRは、FR領域によってごく接近すると共に、他の鎖由来のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Immunological Interest、第5版、National Institute of Health, Bethesda, Md.(1991)を参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞傷害性への参加のような様々なエフェクター機能を示す。
本明細書に用いられる「CDR」、「HVR」、又は「HV」という用語は、通常、配列が非常に変わりやすく及び/又は構造的に明確なループを形成する抗体可変ドメインの領域を指す。一般的に、抗体は、VHにおける3個(HCDR1、HCDR2、HCDR3)、VLにおける3個(LCDR1、LCDR2、LCDR3)という6個のCDRを含む。本開示のISVDは、3個のCDR(例えば、VHにおけるHCDR1、HCDR2及びHCDR3)のみからなることができる。天然抗体において、HCDR3及びLCDR3は、6種類のCDRでは最も大きい多様性を示し、特に、HCDR3が抗体に良好な特異性を付与するうえでユニークな役割を発揮すると考えられる。例えば、Xuら、Immunity 13:37-45 (2000); Johnson及びWu, Methods in Molecular Biology 248:1-25 (Lo 編集、Human Press, Totowa, N.J., 2003)を参照できる。実際には、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖がない場合、機能を発揮すると共に安定化している。例えば、Hamers-Castermanら、Nature 363:446-448 (1993)、Sheriffら、 Nature Struct. Biol. 3:733-736(1996)を参照できる。
幾つかのCDRの記述が現在使用されており、また、本明細書でも取り入れている。Kabat相補性決定領域(CDR)は、配列変動に基づいて、また最も一般的に用いられている(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、公衆衛生局、米国国立衛生研究所公衆衛生局、米国国立衛生研究所受容体, Bethesda, Md. (1991))。Chothiaは、むしろ構造的なループの場所を引用する(Chothia及びLesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987))。AbM CDRは、Kabat HVRとChothia構造的なループとの間の折衷案を表し、Oxford Molecular’sAbM抗体モデリングソフトウェアで用いられている。
「接触」 CDRは、複雑の利用可能な結晶構造の解析に基づく。以下、これらのCDRからの各残基を示す:
CDRは、以下のような「拡張型CDR」を含み得る:VLにおける24〜36又は24〜34 (LCDR1)、46〜56又は50〜56 (LCDR2)及び89〜97又は89〜96 (LCDR3)、VHにおける26〜35(HCDR1)、50〜65又は49〜65 (HCDR2)及び93〜102、94〜102又は95〜102(HCDR3)。これらの定義におけるそれぞれについて、Kabatら(同上)に基づき、可変ドメイン残基をナンバリングする。
「Kabatに基づく可変ドメイン残基番号」又は「Kabatに基づくアミノ酸位置番号」及びその変化というのは、通常、Kabatら(同上)による二量体/ポリペプチド鎖の編集の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに用いられるナンバリングシステムを指す。与えられるポリペプチドについて、相同領域でポリペプチドの配列とKabat番号の「標準」配列とをアライメントすることによって残基のKabat番号を決定してもよい。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書に定義されたCDR残基のほかのそれら可変ドメイン残基を指す。「ヒトコンセンサスフレームワーク」又は「ヒト受容体フレームワーク」は、選択したヒト免疫グロブリンVL又はVHフレームワーク配列の中でよく見られるアミノ酸残基を示すフレームワークである。通常、ヒト免疫グロブリンVL又はVH配列は、可変ドメイン配列のサブグループから選ばれる。通常、配列のサブグループは、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、公衆衛生局,米国国立衛生研究所公衆衛生局,米国国立衛生研究所受容体,Bethesda, Md.(1991)と同様のサブグループである。例えば、VLについて、上記のサブグループは、Kabatら(同上)におけるkappa I、kappa II、kappa III又はkappa IVサブグループと同様であってよい。なお、VHについて、上記のサブグループは、Kabatら(同上)におけるサブグループI、サブグループII又はサブグループIIIと同様であってよい。又は、ヒトコンセンサスフレームワークは、所定の残基(例えば、ヒトフレームワーク残基)がドナーフレームワーク配列と各種のヒトフレームワーク配列との集合アライメントによって、ドナーフレームワークとの相同性に基づき選択される前述したフレームワークに由来してもよい。ヒト免疫グロブリンフレームワーク又はヒトコンセンサスフレームワーク「由来」の受容体ヒトフレームワークは、同一のアミノ酸配列、又はあらかじめ存在するアミノ酸配列変化を有しよい。幾つかの実施形態において、あらかじめ存在するアミノ酸変化の数は、10個又はそれ以下、9個又はそれ以下、8個又はそれ以下、7個又はそれ以下、6個又はそれ以下、5個又はそれ以下、4個又はそれ以下、3個又はそれ以下、又は2個又はそれ以下である。
本開示において、所定の配列番号で表されるアミノ酸配列又はヌクレオチド配列は、さらに、その基本的に同一の機能/特性を有する相同体又は変異体をカバーする。例えば、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又はそれ以上の配列同一性を有する配列、及び/又は1個若しくは複数個(例えば、幾つか、例えば、1〜10個、1〜9個、1〜8個、1〜7個、1〜6個、1〜5個、1〜4個、1〜3個、1〜2個)のアミノ酸又はヌクレオチド付加、欠失、若しくは置換が含まれている変異体をカバーする。
二量体、免疫抱合体、単離されるポリヌクレオチド、ベクター及び宿主細胞
また、本開示は、二量体を提供する。上記の二量体は、それぞれが抗体Fcサブユニットを有する2本のポリペプチド鎖からなる。例えば、二量体は、それぞれが抗体Fcサブユニットを有すると共に、1本のポリペプチド鎖の抗体Fcサブユニットがもう1本のポリペプチド鎖の抗体Fcサブユニットと会合して二量体を形成することができる2本のポリペプチド鎖より構成されてよい。実施例において、二量体における2本のポリペプチド鎖が互いに融合せずに(例えば、ペプチドリンカー、もしくはペプチド結合を介する)単一のポリペプチド鎖になる。
二量体は、2個又はそれ以上の免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含有してもよい。例えば、二量体は、1本のポリペプチド鎖が2個又はそれ以上のISVDを含有し、もう1本のポリペプチド鎖がISVDをいずれも含有しない。もう1つの実施例において、2本のポリペプチド鎖は、それぞれが1個又は複数個のISVDを含有してよい。もう1つの実施例において、2本のポリペプチド鎖のそれぞれが2個又はそれ以上のISVDを含有してよい。
ISVDのうち少なくとも1個は、PD-L1に対して特異的であり、且つ少なくとも1個は、CTLA4に対して特異的である。例えば、二量体は、1本のポリペプチド鎖が、1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVD、及び1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDを含有し、もう1本のポリペプチド鎖が、ISVDをいずれも含有しない。もう1つの実施例において、二量体は、1本のポリペプチド鎖が1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVDを含有し、もう1本のポリペプチド鎖が1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDを含有する。もう1つの実施例において、二量体は、1本のポリペプチド鎖が1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVD、及び1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDを含有し、もう1個のポリペプチド鎖が1個若しくは複数個のPD-L1に対して特異的であるISVD及び/又は1個若しくは複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDを含有する。
上記の1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVDは、同一又は異なってよい。上記の1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDは、同一又は異なってよい。
幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、抗体軽鎖CDRをいずれも含まない。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、抗体軽鎖可変領域をいずれも有しない。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、抗体軽鎖又はその断片をいずれも含まない。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、少なくとも重鎖CDR3を含む。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、重鎖CDR1を含む。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、重鎖CDR2を含む。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、少なくとも重鎖可変領域を含む。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、抗PD-L1VHHである。PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒト化可能である。
幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、抗体軽鎖CDRをいずれも含まない。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、抗体軽鎖可変領域をいずれも有しない。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、抗体軽鎖又はその断片をいずれも含まない。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、少なくとも重鎖CDR3を含む。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、重鎖CDR1を含む。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、重鎖CDR2を含む。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、重鎖可変領域を有する。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、抗CTLA4VHHである。CTLA4に対して特異的であるISVDは、ヒト化可能である。
幾つかの場合において、2本のポリペプチド鎖中の少なくとも1本は、同時にPD-L1に対して特異的であるISVD及びCTLA4に対して特異的である両方のISVDを含有してもよい。例えば、2本のポリペプチド鎖中の1本は、1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVD及び1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDを含有してもよい。もう1個の実施例において、2本のポリペプチド鎖のそれぞれは、1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVD及び1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDを含有してもよい。
2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方に対して、PD-L1に対して特異的であるISVDは、任意選択でリンカーによってCTLA4に対して特異的であるISVDに融合されることができる。例えば、2本のポリペプチド鎖中の1本又はの両方2本に、1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVD、及び1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDが存在しうる。単一のポリペプチド鎖に、2個又は以上のPD-L1に対して特異的であるISVDが存在する場合に、それらが互いに融合されると共に(例えば、直接的又はペプチドリンカーを介して)、それらの1個又は複数個がさらに、1個又は複数個のCTLA4に対して特異的であるISVDに融合されることができる。単一のポリペプチド鎖に、2個以上のCTLA4に対して特異的であるISVDが存在する場合に、それらが互いに融合されると共に(例えば、直接的又はペプチドリンカーを介して)、それらの1個又は複数個がさらに、1個又は複数個のPD-L1に対して特異的であるISVDに融合されることができる。1個又は複数個のリンカー(例えば、ペプチドリンカー)は、任意の2個のISVD間、例えば、2個のPD-L1に対して特異的なISVD間、2個のCTLA4に対して特異的なISVD間、又は1個のPD-L1に対して特異的なISVDと1個のCTLA4に対して特異的なISVDとの間に存在しうる。
2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方に対して、PD-L1に対して特異的であるISVDは、任意選択でリンカーによってCTLA4に対して特異的であるISVDに融合されると共に、CTLA4に対して特異的であるISVDは、また、任意選択でリンカーによって抗体Fcサブユニットに融合されることができる。例えば、単一のポリペプチド鎖において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによってCTLA4に対して特異的であるISVDに融合され、かつ、CTLA4に対して特異的であるISVDは、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体Fcサブユニットに融合されることができる。単一のポリペプチド鎖に、1個以上のPD-L1に対して特異的であるISVD、及び/または1個以上のCTLA4に対して特異的であるISVDが存在する場合に、PD-L1に対して特異的であるISVD、及びCTLA4に対して特異的であるISVDは、任意の順序で直接的又はリンカーを介して互いに融合されると共に、少なくとも1個のCTLA4に対して特異的であるISVDは、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体Fcサブユニットに融合されることができる。例えば、2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方に対して、PD-L1に対して特異的であるISVDにおけるC端は、任意選択でリンカーによってCTLA4に対して特異的であるISVDにおけるN端に融合されると共に、CTLA4に対して特異的であるISVDにおけるC端は、任意選択でリンカーによって抗体FcサブユニットにおけるN末端に融合されることができる。例えば、単一のポリペプチド鎖に、PD-L1に対して特異的であるISVDの1個におけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによってCTLA4に対して特異的であるISVDの1個におけるN端に融合されると共に、CTLA4に対して特異的であるISVDの1個におけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体FcサブユニットにおけるN端に融合されることができる。実施例において、単一のポリペプチド鎖に、1個以上のPD-L1に対して特異的であるISVD及び/又は1個以上のCTLA4に対して特異的であるISVDが存在する場合に、PD-L1に対して特異的であるISVD及びCTLA4に対して特異的であるISVDは、任意の順序で直接的又はリンカーを介して互いに融合されることができるが、しかしながら、少なくとも1個のPD-L1に対して特異的であるISVDにおけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって少なくとも1個のCTLA4に対して特異的であるISVDにおけるN末端に融合されると共に、少なくとも1個のCTLA4に対して特異的であるISVDにおけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体FcサブユニットにおけるN端に融合されることができる。
2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方に対して、CTLA4に対して特異的であるISVDは、任意選択でリンカーによってPD-L1に対して特異的であるISVDに融合されると共に、PD-L1に対して特異的であるISVDは、また、任意選択でリンカーによって抗体Fcサブユニットに融合されることができる。例えば、単一のポリペプチド鎖に、CTLA4に対して特異的であるISVDは、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによってPD-L1に対して特異的であるISVDに融合されると共に、PD-L1に対して特異的であるISVDは、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体Fcサブユニットに融合されることができる。単一のポリペプチド鎖に、1個以上のPD-L1に対して特異的であるISVD及び/又は1個以上のCTLA4に対して特異的であるISVDが存在する場合に、PD-L1に対して特異的であるISVD及びCTLA4に対して特異的であるISVDは、任意の順序で直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーを介して互いに融合されると共に、少なくとも1個のPD-L1に対して特異的であるISVDは、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体Fcサブユニットに融合されることができる。例えば、2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方に対して、CTLA4に対して特異的であるISVDにおけるC端は、任意選択でリンカーによってPD-L1に対して特異的であるISVDにおけるN端に融合されると共に、PD-L1に対して特異的であるISVDにおけるC端は、任意選択でリンカーによって抗体FcサブユニットにおけるN端に融合されることができる。例えば、単一のポリペプチド鎖に、CTLA4に対して特異的であるISVDの1個におけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによってPD-L1に対して特異的であるISVDの1個におけるN端に融合されると共に、PD-L1に対して特異的であるISVDにおけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体FcサブユニットにおけるN端に融合されることができる。実施例において、単一のポリペプチド鎖に、1個以上のPD-L1に対して特異的であるISVD及び/又は1個以上のCTLA4に対して特異的であるISVDが存在する場合に、PD-L1に対して特異的であるISVD及びCTLA4に対して特異的であるISVDは、任意の順序で直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーを介して互いに融合することができるが、しかしながら、少なくとも1個のCTLA4に対して特異的であるISVDにおけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって少なくとも1個のPD-L1に対して特異的であるISVDにおけるN端に融合されると共に、少なくとも1個のPD-L1に対して特異的であるISVDにおけるC端は、直接的(例えば、フレームワーク内)又はリンカーによって抗体FcサブユニットにおけるN端に融合されることができる。
本願に用いられるリンカー(例えば、ペプチドリンカー)(例えば、本願に係る二量体に含まれている)は、例えばペプチド結合により2個のポリペプチド配列に結合又は連結される合成アミノ酸配列である。例えば、ペプチドリンカーは、1〜10個アミノ酸(例えば、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、又はそれ以上のアミノ酸)、1〜15個のアミノ酸(例えば、1〜10個、11個、12個、13個、14個、又は15個のアミノ酸)、1〜20個のアミノ酸(例えば、1〜15個、16個、17個、18個、19個、又は20個のアミノ酸)、1〜30個のアミノ酸又はそれ以上のアミノ酸(例えば、1〜20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、又はそれ以上のアミノ酸)を含んでよい。例えば、ペプチドリンカーは、配列番号33〜34のいずれかで表されるアミノ酸配列を含んでよい。
抗体Fcサブユニットは、IgGのFcサブユニットに由来する。例えば、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4から選ばれる。幾つかの実施形態において、IgGはヒトIgG1、IgGのFcサブユニットは、ヒトIgG1のFcサブユニットである。幾つかの実施形態において、Fcサブユニットは、配列番号35、38、及び39のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する。例えば、Fcサブユニットは、配列番号35、38、及び39のいずれかで表されるアミノ酸配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
幾つかの実施形態において、Fcサブユニットは、IgGのFcサブユニットの変異体(例えば、ヒトIgG1のFcサブユニットの変異体)であってよい。例えば、変異体は、ADCC若しくはCDC活性を増強又は低減する、1個若しくは複数個のアミノ酸突然変異を含んでよい。もう1つの実施例として、変異体は、変異体を含む分子の結合活性及び/又は半減期を影響する1個若しくは複数個のアミノ酸突然変異を含んでよい。もう1つの実施例として、変異体は、2個以上のFcサブユニット(又はFcモノマー)の間の相互作用(例えば、会合)を影響し、及び/又はFcヘテロ二量体形成の効率を増加若しくは低減する1個若しくは複数個のアミノ酸突然変異を含んでよく、例えば、CN102558355A、CN103388013A、CN105820251A又はCN106883297A(それぞれが援用によりここに取り込まれる)に記載のアミノ酸置換の1個若しくは複数個を含んでよい。
PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1に特異的結合することができる。例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1の細胞外ドメインにおけるエピトープに特異的結合することができる。このようなエピトープは、当該技術分野に周知であり、例えば、Gang Haoら、J. Mol. Recognit. 2015; 28: 269-276、Zhangら、Oncotarget. 2017 Oct; 08 (52): 90215-90224、及びZhangら、Cell Discov. 2017 Mar 7; 3:17004で表される。
例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1 N末端IgVドメインに結合することができる。PD-Lの1N末端IgVドメイン(シグナルペプチドを含む)は、配列番号64で表されるアミノ酸配列を有してよい。本開示において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインの残基I54、Y56、E58、Q66、及び/又はR113に結合することができる。具体的実施形態において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインの残基I54、Y56、E58、Q66及びR113(例えば、配列番号64のアミノ酸残基I54、Y56、E58、Q66、及び/又はSEQのR113)に結合することができる。PD-L1に対して特異的であるISVDは、さらにヒトPD-L1 N末端IgVドメインの残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123、及び/又はR125(例えば、配列番号64のアミノ酸残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123、及び/又はR125)に結合することができる。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1の末端IgVドメインの残基I54、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、M115、S117、Y123、及び/又はR125(例えば、配列番号64のアミノ酸残基I54、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、M115、S117、Y123、及び/又はR125)に結合することができる。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインの残基I54、Y56、E58、Q66、及び/又はR113 (例えば、配列番号64のアミノ酸残基I54、Y56、E58、Q66、及び/又はR113)を含んでよいヒトPD-L1のN末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができる。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインの残基I54、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、M115、S117、Y123、及び/又はR125(例えば、配列番号64のアミノ酸残基I54、Y56、E58、Q66、R113、D61、N63、V68、M115、S117、Y123、及び/又はR125)を含んでよいヒトPD-L1のN末端IgVドメインの立体配座エピトープに結合することができる。
本開示は、PD-L1に対して特異的であるISVD(例えば、PD-L1 ISVD-9及びそのヒト化変異体)がヒトPD-L1のN末端IgVドメインに結合する。PD-L1のISVD-9を例として、PD-L1のISVD-9(配列番号6)は、残基Phe101がヒトPD-L1のN末端IgVドメインのTyr56と相互作用し、また、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインのTyr56がAlaに置換されると、PD-L1のISVD-9とPD-L1との間の結合親和性が200倍以上低減した。ヒトPD-L1のN末端IgVドメインのIle54がAlaに置換されると、PD-L1のISVD-9とPD-L1との間の結合親和性が約40倍低減した。PD-L1のISVD-9(配列番号6)は、残基Asp99がヒトPD-L1のN末端IgVドメインのArg113と相互作用し、また、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインのArg113がAlaに置換されると、PD-L1のSVD-9とPD-L1との間の結合親和性が約90倍低減した。PD-L1のISVD-9(配列番号6)は、残基Ser100がヒトPD-L1N末端IgVドメインのGlu58と相互作用し、また、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインのGlu58がAlaに置換されると、PD-L1のISVD-9とPD-L1との間の結合親和性が約25倍低減した。PD-L1のISVD-9(配列番号6)は、残基Thr105がヒトPD-L1N末端IgVドメインのGln66と相互作用し、また、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインのGln66がAlaに置換されると、PD-L1のISVD-9とPD-L1との間の結合親和性が約82倍低減した。なお、ヒトPD-L1のN末端IgVドメインは、残基D61、N63、V68、M115、S117、Y123、及びR125がPD-L1のISVD-9とヒトPD-L1との間の相互作用に関与した可能性があり、また、これらの残基がAlaに置換されることによって、結合親和性が約2〜10倍低減した。これらの結果を、以下の表1にまとめた。
PD-L1に対して特異的であるISVDは、PD-L1とPD1との結合を遮断することができる。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、PD-L1とCD80との結合を遮断することができる。
PD-L1に対して特異的であるISVDは、PD-L1への結合を、抗PD-L1抗体配列番号交差競合するこ配列番号ができる。
対照抗PD-L1抗体は、重鎖CDR3を含んでよい。重鎖CDR3は、DSFX1X2PTCX3X4X5X6SSGAFQY (配列番号1)で表されるアミノ酸配列を有してよく、ここで、X1は、E又はGであってよく;X2は、D又はYであってよく;X3は、T又はPであってよく;X4は、L又はGであってよく;X5は、V又はPであってよく;及び、X6は、T又はAであってよい。幾つかの場合において、対照抗PD-L1抗体は、配列番号5及び9のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含んでよい。対照抗PD-L1抗体は、さらに、重鎖CDR1を含んでよい。重鎖CDR1は、GX1X2X3X4X5RCMA(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を有してよく、ここで、X1は、K又はNであってよく;X2は、M又はIであってよく;X3は、S又はIであってよく;X4は、S又はRであってよく;及び、X5は、R又はVであってよく;例えば、対照抗PD-L1抗体は、S配列番号3及び7のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1を含んでよい。幾つかの場合において、対照抗PD-L1抗体は、重鎖CDR2を含む可能性がある。重鎖CDR2は、配列番号4、8、及び11のいずれかで表されるアミノ酸配列を有してよい。幾つかの場合において、対照PD-L1抗体は、PD-L1に対して特異的であるISVD、例えば抗PD-L1VHHである。対照抗PD-L1抗体は、重鎖可変ドメインを含んでよい。対照抗PD-L1抗体は、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含んでよい。例えば、重鎖可変領域は、配列番号6で表されるアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、PD-L1に対して特異的であるISVD(例えば、本開示の二量体に含まれる)は、重鎖CDR3を含んでよい。重鎖CDR3は、DSFX1X2PTCX3X4X5X6SSGAFQY(配列番号1)で表されるアミノ酸配列を有してよく、ここで、X1は、E又はGであってよく;X2は、D又はYであってよく;X3は、T又はPであってよく;X4は、L又はGであってよく;X5は、V又はPであってよく;及び、X6は、T又はAであってよい。例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号5及び9のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含んでよい。
例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号5及び9のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含んでよい。幾つかの場合において、重鎖CDR3は、配列番号5及び9のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、PD-L1に対して特異的であるISVD(例えば、本開示の二量体に含まれる)は、さらに、重鎖CDR1を含んでよい。重鎖CDR1は、GX1X2X3X4X5RCMA(配列番号2)で表されるアミノ酸配列を有してよく、ここで、X1は、K又はNであってよく;X2は、M又はIであってよく;X3は、S又はIであってよく;X4は、S又はRであってよく;及び、X5は、R又はVであってよい。例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号3及び7のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR1を含んでよい。
例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号3及び7のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖CDR1を含んでよい。幾つかの場合において、重鎖CDR1は、配列番号3及び7のいずれかで表される配列に、1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、PD-L1に対して特異的であるISVD(例えば、本開示の二量体に含まれる)は、さらに、重鎖CDR2を含んでよい。重鎖CDR2は、適切なアミノ酸配列のいずれかを有してよい。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号4、8、及び11のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2を含んでよい。
例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号4、8、及び11のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖CDR2を含んでよい。幾つかの場合において、重鎖CDR2は、配列番号4、8、及び11のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、PD-L1に対して特異的であるISVD(本開示の二量体に含まれる)は、重鎖可変ドメインを含有してよい。PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含有してよい。例えば、重鎖可変ドメインは、配列番号6で表されるアミノ酸配列を有してよい。
例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含有してよい。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含有してよい。
本開示において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれかで表されるアミノ酸配列を有してよい。例えば、PD-L1に対して特異的であるISVD(本開示の二量体に含まれる)は、配列番号6で表されるアミノ酸配列を有してよい。例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有してよい。幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、配列番号6、10、12、13、14、及び15のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
幾つかの場合において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、重鎖可変ドメイン(VH又はVHH)を含有するか、又は上記の重鎖可変ドメインより構成される。
例えば、PD-L1に対して特異的であるISVDは、PD-L1のISVD-9、PD-L1のISVD-6、PD-L1のISVD-m3、PD-L1のISVD-4、PD-L1のISVD-11、及びPD-L1のISVD-13から選ばれてよい。
CTLA4に対して特異的であるISVDは、ヒトCTLA4に特異的結合することができる。例えば、CTLA4に対して特異的であるISVDは、ヒトCTLA4の細胞外領域における、CN107400166Aに記載のもの及びUdupi A. RamagopalらによるPNAS 2017 May,114(21)に記載のものを含んでよいエピトープに特異的結合することができる。
CTLA4に対して特異的であるISVDは、CTLA4とCD80との結合を遮断することができる。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、CTLA4とCD86との結合を遮断することができる。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、ヒト化であってよい。
CTLA4に対して特異的であるISVDは、CTLA4への結合を、対照抗CTLA4抗体と交差競合することができる。
対照抗CTLA4抗体は、重鎖CDR3を含んでよい。重鎖CDR3は、 配列番号19で表されるアミノ酸配列を有してよい。対照抗CTLA4抗体は、さらに、重鎖CDR1を含んでよい。重鎖CDR1は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有してよい。幾つかの場合において、対照抗CTLA4抗体は、重鎖CDR2を含んでよい。重鎖CDR2は、AIX1X2GGGSTYYADSVKG(配列番号16)で表されるアミノ酸配列を有してよく、ここで、X1は、Y又はSであってよく;かつ、X2は、I又はLであってよい。例えば、重鎖CDR2は、配列番号18、21、及び23のいずれかで表されるアミノ酸配列を有してよい。幾つかの場合において、対照抗CTLA4抗体は、CTLA4に対して特異的であるISVD、例えば抗CTLA4VHHである。対照抗CTLA4抗体は、重鎖可変ドメインを含有してよい。対照抗CTLA4抗体は、配列番号20、22、及び24〜32のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含有してよい。例えば、重鎖可変ドメインは、配列番号20で表されるアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、CTLA4に対して特異的であるISVD(例えば、本開示の二量体に含まれる)は、重鎖CDR3を含んでよい。重鎖CDR3は、配列番号19で表されるアミノ酸配列を有してよい。
幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号19で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含んでよい。幾つかの場合において、重鎖CDR3は、配列番号19で表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVD (例えば、本開示の二量体に含まれる)は、さらに、重鎖CDR1を含んでよい。重鎖CDR1は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有してよい。
幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号17で表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖CDR1を含んでよい。幾つかの場合において、重鎖CDR1は、配列番号17で表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、CTLA4に対して特異的であるISVD(例えば、本開示の二量体に含まれる)は、さらに、重鎖CDR2を含んで良い。重鎖CDR2は、AIX1X2GGGSTYYADSVKG(配列番号16)で表されるアミノ酸配列を有してよく、ここで、X1は、Y又はSであってよく;かつX2は、I又はLであってよい。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号18、21、及び23のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖CDR2を含んで良い。
例えば、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号18、21、及び23のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖CDR2を含んでよい。幾つかの場合において、重鎖CDR2は、配列番号18、21、及び23のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、CTLA4に対して特異的であるISVD(本開示の二量体に含まれる)は、重鎖可変ドメインを含有してよい。CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号20、22、及び24〜32のいずれかで表されるアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含有してよい。例えば、重鎖可変ドメインは、配列番号20で表されるアミノ酸配列を有してよい。
例えば、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号20、22、及び24〜32のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含有してよい。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号20、22、及び24〜32のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
本開示において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号20、22、及び24〜32のいずれかで表されるアミノ酸配列を有してよい。例えば、CTLA4に対して特異的であるISVD(本開示の二量体に含まれる)は、配列番号20で表されるアミノ酸配列を有してよい。
例えば、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号20、22、及び24〜32のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有してよい。幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、配列番号20、22、及び24〜32のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
幾つかの場合において、CTLA4に対して特異的であるISVDは、重鎖可変ドメイン(VH又はVHH)を含有するか、又は上記の重鎖可変ドメインより構成される。
例えば、CTLA4に対して特異的であるISVDは、CTLA4のISVD-34、CTLA4のISVD-C1、CTLA4のISVD-13、CTLA4のISVD-26、CTLA4のISVD-27、CTLA4のISVD-28、CTLA4のISVD-29、CTLA4のISVD-30、CTLA4のISVD-31、CTLA4のISVD-32、及びCTLA4のISVD-33から選ばれてよい。
例えば、本願の二量体は、2本のポリペプチド鎖を含有するか、又は該2本のポリペプチド鎖より構成される。2本のポリペプチド鎖のアミノ酸配列は、同一又は異なってよい。幾つかの場合において、本開示に係る二量体は、ホモ二量体であってよい。
本開示において、二量体における2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方は、請求項40〜43、46、48、及び50のいずれか1項に記載のアミノ酸配列を有してよい。例えば、二量体における2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方は、配列番号40で表されるアミノ酸配列を有してよい。
具体的な実施形態において、二量体における2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方は、配列番号40〜43、46、48、及び50のいずれかで表されるアミノ酸配列と少なくとも80%(例えば、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%又は少なくとも100%)の同一性を持つアミノ酸配列を有してよい。幾つかの場合において、二量体における2本のポリペプチド鎖中の1本又は2本の両方は、配列番号40〜43、46、48、及び50のいずれかで表される配列に1個又は複数個(例えば、1〜2個、1〜3個、1〜4個、1〜5個、1〜6個、1〜7個、1〜8個、1〜9個、1〜10個又はそれ以上)のアミノ酸欠失、挿入、及び/又は置換が含まれているアミノ酸配列を有してよい。
実施例において、PD-L1に対して特異的であるISVDは、CTLA4に対して特異的であるISVDにおけるN末端アミノ酸に融合することによって(直接的又は間接的に、例えば、リンカー、例えばペプチドリンカーを介して)、二重特異的結合部分を形成することができる。そして、1個のこのような二重特異的結合部分は、本開示における1個のFcサブユニットにおけるN末端アミノ酸に融合することによって(直接的又は間接的に、例えば、リンカー、例えばペプチドリンカーを介して)、二量体における1本のポリペプチド鎖を与えることができる。そして、もう1個のこのような二重特異的結合部分は、本開示におけるもう1個のFcサブユニットにおけるN末端アミノ酸に融合することによって(直接的又は間接的に、例えば、リンカー、例えばペプチドリンカーを介して)、二量体におけるもう1本のポリペプチド鎖を与えることができる。2本のポリペプチド鎖の2個のFcサブユニットは、互いに結合することによって(例えば、非共有相互作用及び/又はジスルフィド結合もしくはその他の共有結合によるが、幾つかの場合において、このような共有結合がペプチド結合ではない)、二量体を形成することができる。2個の二重特異的結合部分は、同一又は異なってよい。2個のFcサブユニットは、同一又は異なってよい。
幾つかの実施形態において、二量体は、2本の同一のポリペプチド鎖を含むタンパク質特性のホモ二量体であって、ここで、ポリペプチド鎖のそれぞれがFcサブユニットの1個に融合する二重特異的結合部分の1個を含み、かつ、2個のFcサブユニットが互いに結合することによってタンパク質特性のホモ二量体を形成する。2個のFcサブユニットは、非共有相互作用及び/又はジスルフィド結合もしくはその他の共有結合により相互に結合し、幾つかの場合において、このような共有結合は、ペプチド結合ではない。
本開示における二量体は、CD80及び/又はCD86と競合的にCTLA4に結合することができる。例えば、CTLA4発現細胞株(例えば、CTLA4発現HEK293細胞株)が用いられるインビトロ実験に競合を検出することができる。もう1つの実施例として、ELISA測定、例えば競合的ELISA測定において競合を検出することができる。
本開示における二量体は、PD1及び/又はCD80と競合的にPD-L1に結合することができる。例えば、インビトロ実験にPD-L1発現細胞株(例えば、PD-L1発現A375細胞株)が用いられることによって競合を検出することができる。もう1つの実施例として、ELISA測定、例えば競合的ELISA測定において競合を検出することができる。
本開示における二量体は、PD-L1とPD-1との結合を遮断することができる。幾つかの場合において、本開示における二量体は、PD-L1とCD80の結合を遮断することができる。幾つかの場合において、本開示における二量体は、CTLA4とCD80との結合を遮断することができる。幾つかの場合において、本開示における二量体は、CTLA4とCD86との結合を遮断することができる。
本開示における二量体は、CTLA4に結合することができ、ここで、KD値は、約1×10-6 M未満、例えば、約1×10-7M未満、約1×10-8M未満、約0.5×10-8M未満、約1×10-9M未満、約1×10-10M未満又はより低い。
本開示における二量体は、PD-L1に結合することができ、ここで、KD値は、約1×10-6M未満、例えば、約1×10-7M未満、約1×10-8M未満、約0.5×10-8M未満、約1×10-9M未満、約1×10-10M未満又はより低い。
本開示における二量体は、免疫調節薬(例えば、IL-2)を分泌するように免疫細胞(例えば、PBMC細胞)を刺激する。
例えば、本開示における二量体は、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fc、aPDL1.6-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.m3-aCTLA4.34-Fc、及びaPDL1.9-aCTLA4.13-Fcから選ばれてよい。
別の態様では、本開示は、免疫抱合体を提供する。上記の免疫抱合体は、1種又は複数種の本開示による二量体を含んでよい。免疫抱合体は、さらに、1個又は複数個の付加部分、例えば、1個若しくは複数個の付加結合部分、又は1個若しくは複数個の付加エフェクター部分を含んでよい。
別の態様では、本開示は、本願の二量体をコードする1種又は複数種の単離される核酸を提供する。例えば、1種又は複数種の単離される核酸は、1種又は複数種(例えば、1〜2種、1〜3種、1〜4種、1〜5種、1〜6種、1〜7種、1〜8種、1〜9種、1〜10種又はより多種)の核酸分子を含んでよい。各核酸分子は、完全な二量体又はその一部をコードすることができる。例えば、核酸分子は、二量体の異なる部分(例えば、PD-L1若しくはその一部に対して特異的であるISVD、CTLA4又はその一部に対して特異的であるISVD、Fcサブユニット若しくはその一部、及び/又は二重特異的結合部分若しくはその一部など)をコードする各種の断片を含んでよく、上記の各種の断片を直接的又は間接的に結合することによって1個の核酸分子を形成することができる。幾つかの場合において、核酸分子が1種を超えて存在し、かつ、各種の核酸分子は、二量体の一部(例えば、PD-L1若しくはその一部に対して特異的であるISVD、CTLA4又はその一部に対して特異的であるISVD、Fcサブユニット若しくはその一部、及び/又は二重特異的結合部分若しくはその一部など)をコードする。
本開示に基づく1種又は複数種の単離される核酸は、コードされた発現産物のアミノ酸配列を反映する情報に基づき調製又は取得されることができる。これは、当該技術分野における従来の実践、例えばDNA自動合成及び/又は組換えDNA技術によって達成されることができる。又は、幾つかの場合において、本開示に基づく1種又は複数種の単離される核酸は、適切な天然由来から分離されることができる。
別の態様では、本開示は、1種若しくは複数種の単離される核酸を含む1種又は複数種のベクターを提供する。例えば、1種又は複数種のベクターは、1種又は複数種(例えば、1〜2種、1〜3種、1〜4種、1〜5種、1〜6種、1〜7種、1〜8種、1〜9種、1〜10種又はより多種)の本開示に基づく単離される核酸を含んでよい。
適切なベクターは、例えばプラスミド、内質プラスミド(endoplasmic plasmid)又はYACを含んでよい。ベクターは、インビトロ及び/又はインビボ(すなわち、適切な宿主細胞、宿主器官、及び/又は発現系)に本開示に基づく二量体を発現可能な発現ベクターでありうる。発現ベクターは、通常、1種又は複数種の適切な発現制御要素(例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどの)に操作可能に結合する少なくとも1種の本開示に基づく単離される核酸を含んでよい。所定の宿主における発現が選択される要素及びその配列は、当該技術分野における当業者にとってよく見られるものである。本開示に基づく二量体の発現に有用又は必要な制御要素及びその他の要素は、具体的な実施例として、例えば、プロモーター、エンハンサー、ターミネーター、組み込み因子、選択マーカー、リーダー配列、レポーター遺伝子を含む。
幾つかの実施形態において、1種又は複数種の本開示に基づくベクターは、プラスミド、ウイルスベクター、コスミド、及び人工染色体から選ばれてよい。幾つかの場合において、ベクターは、PET32b (Novagen)、pCMVp-NEO-BAN、pEGFP、pEGFT-Actin、pSV2、及びCMV4から選ばれてよい。幾つかの実施形態において、ベクターは、pCDNA4(Invitrogen、Cat V86220)及び/又はPET32b(Novagen、製品番号: 69016-3)である。
別の態様では、本開示は、1種若しくは複数種の単離される核酸又は1種若しくは複数種の単離されるベクターを含む宿主細胞を提供する。例えば、宿主細胞は、1種又は複数種(例えば、1〜2種、1〜3種、1〜4種、1〜5種、1〜6種、1〜7種、1〜8種、1〜9種、1〜10種又はより多種)の本開示に基づく単離される核酸、及び/又は1個又は複数個(例えば、1〜2種、1〜3種、1〜4種、1〜5種、1〜6種、1〜7種、1〜8種、1〜9種、1〜10種又はより多種)の本開示に基づくベクターを含んでよい。
本開示に基づく宿主細胞は、細菌細胞、真菌細胞、哺乳動物細胞及び両生類動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、及び当該技術分野における異種タンパク質発現その他のすべての細胞から選ばれてよい。
細菌細胞は、グラム陰性菌菌株(例えば、大腸菌菌株、プロテウス属菌株及びシュードモナス属菌株)及びグラム陽性菌菌株(例えば、バチルスのバチルス属菌株、ストレプトマイセス属菌株、ブドウ球菌属菌株、及びラクトコッカス属菌株)を含んでよい。
真菌細胞は、トリコデルマ属、アカパンカビ属及びアスペルギルス属の細胞、又はサッカロミケス属(例えば、出芽酵母)、リゾチーム酵母(***酵母)(例えば、シゾサッカロミセス・ポンベ)、ピキア酵母属(例えば、ピキア酵母及びメタノール資化酵母)及びハンゼヌラ・ポリモルファ属の細胞を含んでよい。
哺乳動物細胞は、例えばHEK293細胞、CHO細胞、BHK細胞、HeLa細胞、COS細胞、及びそれ由来の操作細胞、例えば、GSノックアウトCHO細胞を含んでよい。
医薬組成物
別の態様では、本開示は、本開示に基づく二量体及び/又は免疫抱合体ならびに任意選択の薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。幾つかの場合において、上記の医薬組成物は、細胞又は組織(例えば、遺伝子工学の細胞又は組織)を含んでよく、本開示に基づく二量体及び/又は免疫抱合体ならびにその断片は、このような細胞又は組織に含まれてよい。
薬学的に許容可能な賦形剤の実施例は、不活性固体希釈剤及び充填剤、希釈剤、無菌水溶液、及び各種の有機溶媒、透過促進剤、溶解補助剤及びアジュバントを含むがこれに限定されない。
幾つかの実施形態において、二量体又は免疫抱合体を、経口投与、静脈内投与、筋肉内投与、腫瘍部位におけるin situ投与、吸入、直腸投与、膣内投与、経皮投与、又は皮下ストレージによる投与のために配合する。
上記の医薬組成物は、腫瘍成長阻害に用いられる。例えば、医薬組成物は、疾患の発展又は進行を抑制又は遅延したり、腫瘍の大きさを低減したり(ひいては、基本的に腫瘍を消去)、疾患状態を緩和及び/又は安定させることができる。
以下、医薬組成物及びその調製方法を非限定的かつ例示的に説明する。
上記の医薬組成物は、例えば腸管外注射に適した無菌溶液、懸濁液、又はエマルションの態様であってよい。医薬組成物は、正確な用量の単回用量の単位剤形に適しもよい。医薬組成物は、さらに、本開示に基づく二量体及び/又は免疫抱合体を活性成分として含んでよく、しかも、従来の医薬品担体又は賦形剤を含んでよい。なお、その他の医薬品又は薬剤、担体、アジュバントなどを含んでよい。
例示的な腸管外剤形は、無菌水溶液(例えば、プロピレングリコール水溶液又はグルコース水溶液)における本開示に係る二量体及び/又は免疫抱合体の溶液若しくは懸濁液を含むがこれに限定されない。必要があれば、このような剤形を、適切に塩、例えば、ヒスチジン及び/又はリン酸塩で緩衝させることができる。
幾つかの実施形態において、本開示は、本開示における二量体及び/又は免疫抱合体ならびに注射に適した医薬品賦形剤を含む注射用医薬組成物を提供する。
ここで、本開示に組み込む医薬組成物は、注射投与のための形態で水性懸濁液又は油性懸濁液、若しくは適切な油含有エマルション、もしくは無菌水溶液、及び同様の医薬担体を含む。
本開示は、さらに、活性成分(例えば、本開示における二量体及び/又は免疫抱合体)を含有する無水医薬組成物及び剤形を含み、これが水がポリペプチド分解を若干促進するためである。本開示の無水医薬組成物及び剤形は、無水や低含水率成分及び低含水率や低湿度の条件を用いて調製される。
本開示における二量体及び/又は免疫抱合体は、従来の医薬品配合技術にしたがって、医薬品担体と完全に混合されることができる。担体は、投与に必要な製剤形態に基づき、様々な形態を利用することができる。組成物を調製する場合、全ての一般的な医薬媒体、例えば水、グリコール、油、アルコール、調味剤、保存剤、着色剤などを担体として用いることができる。
本開示の医薬組成物は、治療有効量の活性化剤(例えば、本開示における二量体及び/又は免疫抱合体)を含んでよい。治療有効量とは、疾患若しくは病気に罹患するか、又は該疾患若しくは病気が進行するリスクがある被験者の疾患若しくは病気(例えば、がん)及び/又はそのすべての合併症を(少なくとも一部的に)予防及び/又は治療するための主題医薬組成物の量である。含まれている活性化剤の特定量/濃度は、投与手段及び患者の必要によって変化し、また、例えば体積、粘度、及び/又は患者の体重などに基づき決定される。例えば、適切な用量は、約0.1mg又は1 mg/kg/日〜約150mg/kg/日(例えば、約0.1 mg/kg〜約0.3 mg/kg、約0.1 mg/kg〜約1 mg/kg、約0.1 mg/kg〜約3 mg/kg、約0.1 mg/kg〜約5 mg/kg、約0.1 mg/kg〜約10 mg/kg、例えば、約1 mg/kg〜約5 mg/kg、例えば、約3 mg/kg〜約5 mg/kg)であってよく、ひいては、より高い場合がある。
医療使用及び治療方法
本開示に基づく二量体、免疫抱合体又は医薬組成物は、必要な被験者の疾患を治療するために用いられることができる。
別の態様では、本開示は、必要な被験者の疾患の治療における本開示に基づく二量体、免疫抱合体又は医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、必要な被験者の疾患を治療するための医薬品の調製における本開示に基づく二量体、免疫抱合体又は医薬組成物の使用を提供する。
別の態様では、本開示は、被験者に対して有効量の本開示に基づく二量体、免疫抱合体又は医薬組成物を投与することを含む、必要な被験者の疾患を治療するための方法を提供する。
上記の疾患又は病気は、PD-L1結合部分及び/又はCTLA4結合部分に潜在的に影響される疾患又は病気でありうる。
医薬品は、静脈内投与に適するように配合されることができる。
幾つかの実施形態において、上記の疾患又は病症はがんである。がんは、固形腫瘍、血液癌、又はリンパ腫でありうる。例えば、がんは、肺癌(例えば、非小細胞性肺癌)、乳がん(例えば、トリプルネガティブ乳がん)、腎臓癌(例えば、腎細胞癌)、黒色腫、子宮頸癌、子宮癌、膵癌、腹膜癌、卵巣癌及び結腸がんから選ばれてよい。がんは、末期又は転移性がんでありうる。
幾つかの場合において、がんは、PD-1拮抗薬及び/又はPD-L1拮抗薬の治療に反応しないことがある。例えば、PD-1拮抗薬及び/又はPD-L1拮抗薬による治療は、がん進行若しくは腫瘍増殖の有意又は観察可能な遅延若しくは抑制をもたらすことがない。幾つかの場合において、本開示における二量体/組成物/免疫抱合体を投与する前に、がんが、まだPD-1拮抗薬及び/又はPD-L1拮抗薬によって治療されていない。PD-1拮抗薬は、PD-1遮断抗体であってよい。PD-L1拮抗薬は、PD-L1遮断抗体であってよい。
がん又はがん細胞は、被験者の体内、例えばヒト又は非ヒト動物(例えば、哺乳動物)体内のものであってよい。
幾つかの場合において、がん/腫瘍は、切除不能でありうる。
幾つかの場合において、がん/腫瘍は、転移的(例えば、転移性固形腫瘍)でありうる。
幾つかの場合において、がん/腫瘍は、難治性及び/又は標準治療に抵抗性のものでありうる。
被験者は、哺乳動物でありうる。幾つかの実施例において、哺乳動物はヒトである。幾つかの実施形態において、哺乳動物は、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、アレチネズミ、ハムスター、モルモット、サル、又はすべてのその他の哺乳動物である。多くのこのような哺乳動物は、当該技術分野に既知のある疾患又は病気(固形腫瘍及び/又はその他のがんを含む)の前臨床モデルである被験者であってよい(例えば、Talmadgeら、2007 Am. J. Pathol. 170:793; Kerbel, 2003 Canc. Biol. Therap. 2(4後続1):S134、Manら、2007 Canc. Met. Rev. 26:737、Cespedesら、2006 Clin.TransL Oncol. 8:318)。
別の態様では、本開示は、本開示に基づく二量体、免疫抱合体、又は医薬組成物を投与することを含む、CD80及び/又はCD86とCTLA4との結合を遮断する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、本開示に基づく二量体、免疫抱合体、又は医薬組成物を投与することを含む、PD1及び/又はCD80とPD-L1との結合を遮断する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、免疫細胞に対して、本開示に基づく二量体、免疫抱合体、又は医薬組成物を投与することを含む、サイトカイン(例えば、インターロイキン例えばIL-2)を分泌するように免疫細胞を刺激する方法を提供する。上記の免疫細胞は、例えばPBMC細胞、T細胞、又は他の免疫細胞を含んでよい。
別の態様では、本開示は、被験者に対して、本開示に基づく二量体、免疫抱合体、又は医薬組成物を投与することを含む、被験者の免疫反応を増強する方法を提供する。
増強した免疫反応は、例えば増強した体液免疫応答(すなわち、B細胞反応)及び/又は細胞反応(すなわち、T細胞反応)を含んでよい。増強した体液免疫反応は、例えば治療を受ける被験者における抗体価(例えば、Elisa測定による)の増加を示すことにより証明されてよい。増強した細胞免疫反応は、例えば処理されたT細胞又は治療された被験者からのT細胞のより活性化を示すことにより証明されてよい。T細胞の活性化は、抗原のインビトロでT細胞を刺激した場合におけるT細胞増殖又はT細胞のサイトカイン微細化を測定することにより(例えば、ELISpotによる)評価される。T細胞活性化は、さらに、フローサイトメトリーによって測定可能である。
二量体の調製方法
別の態様では、本開示は、(I)二量体発現及び形成が達成される条件で本開示の宿主細胞を培養し、及び(ii)形成される二量体を採取することを含む、本開示に基づく二量体の作製方法を提供する。
幾つかの実施形態において、上記の方法は、本開示における宿主細胞に発現する産物に二量体が富化されることを含まない。
幾つかの実施形態において、上記の方法は、さらに、二量体を分離及び/又は精製することを含む。
幾つかの実施形態において、上記の方法は、さらに、本開示における二量体、その1個若しくは複数個のメンバー又はその断片をコード/発現するポリヌクレオチド/ベクターで宿主細胞を形質移入/転換することを含む。
幾つかの実施形態において、本開示における二量体は、タンパク質発現に適した条件で細胞にベクターを発現することによって生成される。
タンパク質発現に適した条件で変化可能な要素は、例えば、飼育時間、温度及び培地などの要素を含み、また、細胞タイプにより決められ、また、当該技術分野における一般的な当業者にとって容易に特定される。
幾つかの実施形態において、本開示における二量体を産生する過程において、宿主細胞は、培養物で成長すると共に、培養物の成長可能な装置(発酵槽を含む)のすべてに成長する。細胞を単一層として成長させるか、又は表面に付着させることができる。又は、宿主細胞を浮遊成長させることができる。細胞を血清なし培地で成長させることができる。上記の培地は、販売のものであってよい。
本開示は、好ましい実施形態が本明細書により示して記載されたとしても、当該技術分野における当業者にとって、これらの実施形態が例として与えられたに過ぎないことが明らかであろう。当業者は、本開示を逸脱しない限り、いろんな変化、改変及び置換が想到される。本開示は、実施される場合に本明細書に記載の実施形態の各種の代替態様を用いることができることを理解されたい。以下の請求項は、本開示の範囲を限定するものであって、これらの請求項及びその同等の範囲における方法及び構造が含まれている。
実施例
以下、実施例について、当業者に本願の作製及び使用についてのすべての開示及び説明を提供するように記述するが、これは、発明者による特定の範囲を限定するものではなく、以下の試験がすべて又は唯一のものを示すという意味でもない。ここで、用いられる数(例えば、数量、温度など)の正確性の確保に力を尽くしたが、幾つかの試験エラー及び偏差を考慮すべきである。特に断らない限り、部は重量部、分子量は平均分子量、温度は摂氏度、圧力は大気圧又は大気圧に近いものを指す。標準的な略語、例えば、bp:1個又は複数個の塩基対、kb:1キロ又は数キロベース、pl:1又は数ピコリットル、s又はsec:1又は数秒、min:1又は数分間、h又はhr:1又は数時間、aa:1個又は複数個のアミノ酸、nt:1個又は複数個のヌクレオチド、i.m.:筋肉内、i.p.:腹腔内、s.c.:皮下などを使用してよい。
実施例1:タンパク質の調製
組換えDNA技術
Sambrookら、Molecular cloning: A laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1989に記載のように、標準方法でDNAを操作する。製造元のマニュアルにしたがって、分子生物学試薬を利用する。Kabat, E. A.ら、(1991) Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、NIH Publication No. 91-3242において、ヒト免疫グロブリン軽鎖及び重鎖のヌクレオチド配列に関する一般的な情報が見出されている。
遺伝子合成
必要な遺伝子フラグメントは、適切なテンプレートのPCRを利用して作成されるか、又は自動遺伝子合成によって合成オリゴヌクレオチド及びPCR産物から合成される。このような遺伝子合成は、例えば(Life Technologies, Inc. Carlsbad, Calif.)及びGeneart AG (Regensburg, Germany)から購入してもよい。両サイドが単一制限エンドヌクレアーゼ切断部位である遺伝子フラグメントを、標準クローン性ベクター/シーケンシングベクターにクローンした。転換された細菌からプラスミドを精製すると共に、紫外スペクトルでその濃度を測定した。DNAシーケンシングによって、サブクローニング遺伝子断片のDNA配列を特定した。遺伝子フラグメントは、対応する発現ベクターへのサブクローニングを許容するように、適切な制限部位を持つように設計されている。
・1.1CTLA4に対して特異的であるISVD
以下に記載のアミノ酸配列に従って、CTLA4に対して特異的である下記のISVDを組換えにより産生した。
CTLA4に対して特異的であるISVDにおいて、CTLA4 ISVD-13及びCTLA4 ISVD-C1は、同一のCDR1配列及び同一のCDR3配列を有するが、CDR2領域に多少異なる。
CTLA4のISVD-C1及びCTLA4のISVD-13のヒト化変異体は、タンパク質再表面化方法を利用し、及びCDRをVHHの一般的なフレームワークに移植することによって調製される。つまり、Modeller9ソフトウェアは、それぞれCTLA4のISVD-C1及びCTLA4のISVD-13のモデリングに用いられ、用いられる対照抗体は、抗体cAb-Lys3(PDB番号:1XFP)であり、その相対溶媒アクセシビリティが算出された。ヒト化変異体は、溶媒に露出することが予想されるCTLA4のISVD-C1及びCTLA4のISVD-13における1個又は複数個のアミノ酸が置換されることによって産生される。
CTLA4のISVD-C1は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号21で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-C1は、配列番号22で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-31は、CTLA4のISVD-C1のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-31は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号18で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-31は、配列番号30で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-32は、CTLA4のISVD-C1のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-32は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号18で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-32は、配列番号31で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-33は、CTLA4のISVD-C1のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-33は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号18で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-33は、配列番号32で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-34は、CTLA4のISVD-C1のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-34は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号18で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-34は、配列番号20で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-13は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号23で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-13は、配列番号24で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-26は、CTLA4のISVD-13のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-26は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号23で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-26は、配列番号25で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-27は、CTLA4のISVD-13のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-27は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号23で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-27は、配列番号26で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-28は、CTLA4のISVD-13のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-28は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号23で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-28は、配列番号27で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-29は、CTLA4のISVD-13のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-29は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号23で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-29は、配列番号28で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-30は、CTLA4のISVD-13のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-30は、配列番号17で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号23で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号19で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-30は、配列番号29で表されるアミノ酸配列を有する。
CDR配列は、Kabat定義及びChothia定義の組み合わせにより定義される。
・1.2 PD-L1に対して特異的であるISVD
以下に記載のアミノ酸配列にしたがって、以下のPD-L1に対して特異的であるISVDを組換えにより産生した。
PD-L1のISVD-6の(特に、CDR3領域における)アミノ酸配列は、PD-L1のISVD-4及びそのヒト化変異体のアミノ酸配列と類似性が高い。PD-L1-IのSVD-m3のCDR1及びCDR3とPD-L1-IのSVD-4のCDR1及びCDR3とが同一であるが、そのCDR2領域が、PD-L1のISVD-4のCDR2領域と大きく異なる。
PD-L1のISVD-4のヒト化変異体は、タンパク質再表面化を利用し、及びCDRをVHHの一般的なフレームワークに移植することによって調製される。つまり、Modeller9ソフトウェアは、PD-L1のISVD-4のモデリングに用いられ、用いられる対照抗体は、抗体cAb-Lys3(PDB番号:1XFP)であり、その相対溶媒アクセシビリティが算出された。ヒト化変異体は、溶媒に露出することが予想されるPD-L1のISVD-4における1個又は複数個のアミノ酸が置換されることによって産生される。
PD-L1のISVD-4は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。PD-L1のISVD-4は、配列番号13で表されるアミノ酸配列を有する。
PD-L1のISVD-9は、PD-L1のISVD-4のヒト化変異体である。CTLA4のISVD-9は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。PD-L1のISVD-9は、配列番号6で表されるアミノ酸配列を有する。
PD-L1のISVD-11は、PD-L1 ISVD-4のもう1種のヒト化変異体である。CTLA4 ISVD-11は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。D-L1 ISVD-11は、配列番号14で表されるアミノ酸配列を有する。
PD-L1のISVD-13は、PD-L1のISVD-4のもう1種のヒト化変異体である。PD-L1のISVD-13は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号4で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。PD-L1のISVD-13は、配列番号15で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-6は、配列番号7で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号8で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号9で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。PD-L1のISVD-6は、配列番号10で表されるアミノ酸配列を有する。
CTLA4のISVD-m3は、配列番号3で表されるアミノ酸配列を有するHCDR1、配列番号11で表されるアミノ酸配列を有するHCDR2、及び配列番号5で表されるアミノ酸配列を有するHCDR3を含む重鎖可変ドメインを含有する。CTLA4のISVD-m3は、配列番号12で表されるアミノ酸配列を有する。
CDR配列は、Kabat定義及びChothia定義の組み合わせにより定義される。
・1.3本開示における二量体の産生
例として、本開示における以下の二量体を産生した:aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fc、aPDL1.6-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.m3-aCTLA4.34-Fc、及びaPDL1.9-aCTLA4.13-Fc。
ヒンジを含むヒトIgGl-Fc領域のアミノ酸配列(配列番号35又は38)は、タンパク質データベースUniprot(P01857)におけるヒト免疫グロブリンγ1(IgGl)の定常領域アミノ酸配列(配列番号36)に基づき得られた。次に、オンラインツールDNAworks(helixweb.nih.gov/dnaworks/)を使って、それをコードする対応するDNA配列を設計した。
aPDL1.9-aCTLA4.34-Fcに対して、短いリンカーGAP(配列番号33)によって、実施例1.2のPD-L1 ISVD-9を実施例1.1のCTLA4 ISVD-34におけるN末端に融合することによって、二重特異的結合部分aPDL1.9-aCTLA4.34が得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.9-aCTLA4.34をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号40で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.9-aCTLA4.34-Fcが得られた。
aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fcに対して、長いリンカーGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号34)によって、実施例1.2のPD-L1 ISVD-9を実施例1.1のCTLA4 ISVD-34におけるN末端に融合することによって、二重特異的結合部分aPDL1.9-L-aCTLA4.34が得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.9-aCTLA4.34をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号41で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.9-aCTLA4.34-Fcが得られた。
aCTLA4.34-aPDL1.9-Fcに対して、短いリンカーGAP(配列番号33)によって、実施例1.1のCTLA4のISVD-34を実施例1.2のPD-L1のISVD-9におけるN末端に融合することによって、二重特異的結合部分CTLA4.34-aPDL1.9が得られた。次に、ヒンジによって、aCTLA4.34-aPDL1.9をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号42で表されるアミノ酸配列を有するaCTLA4.34-aPDL1.9-Fcが得られた。
aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fcに対して、長いリンカーGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号34)によって、実施例1.1のCTLA4 ISVD-34を実施例1.2のPD-L1のISVD-9におけるN末端に融合することによって、二重特異的結合部分aCTLA4.34-L-aPDL1.9が得られた。次に、ヒンジによって、aCTLA4.34-L-aPDL1.9をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号43で表されるアミノ酸配列を有するaCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fcが得られた。
aPDL1.6-aCTLA4.34-Fcに対して、短いリンカーGAP(配列番号33)によって、実施例1.2のPD-L1 ISVD-6を実施例1.1のCTLA4のISVD-34におけるN末端に融合することによって、二重特異的結合部分aPDL1.6-aCTLA4.34が得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.6-aCTLA4.34をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号46で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.6-aCTLA4.34-Fcが得られた。
aPDL1.m3-aCTLA4.34-Fcに対して、短いリンカーGAP(配列番号33)によって、実施例1.2のPD-L1のISVD-m3を実施例1.1のCTLA4のISVD-34におけるN末端に融合することによって、二重特異的結合部分aPDL1.m3-aCTLA4.34が得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.m3-aCTLA4.34をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号48で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.m3-aCTLA4.34-Fcが得られた。
aPDL1.9-aCTLA4.13-Fcに対して、短いリンカーGAP(配列番号33)によって、実施例1.2のPD-L1のISVD-9を実施例1.1のCTLA4のISVD-13におけるN末端に融合することによって、二重特異的結合部分aPDL1.9-aCTLA4.13が得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.9-aCTLA4.13をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号50で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.9-aCTLA4.13-Fcが得られた。
・1.4対照分子の産生
対照として、非機能的な単一ドメインポリペプチド(野生型又はダブルノックアウトマウスが共に機能なし)であり、配列番号37で表されるアミノ酸配列を有するdAbを調製した。
ヒンジを含むヒトIgGl-Fc領域のアミノ酸配列(配列番号35又は38)は、タンパク質データベースUniprot(P01857)におけるヒト免疫グロブリンγ1 (IgGl)の定常領域アミノ酸配列(配列番号36)に基づき得られた。次に、オンラインツールDNAworks (helixweb.nih.gov/dnaworks/)を使って、それをコードする対応するDNA配列を設計した。
次に、以下の対照二量体を調製した:aPDL1.9-dAb-Fc、dAb-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.6-dAb-Fc、aPDL1.m3-dAb-Fc及びdAb-aCTLA4.13-Fc。
aPDL1.9-dAb-Fcにおいて、短いリンカー(配列番号33)によって、実施例1.2のPD-L1 ISVD-9を対照dAbにおけるN末端に融合することによって、aPDL1.9-dAbが得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.9-dAbをヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号44で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.9-dAb-Fcが得られた。
aPDL1.6-dAb-Fcにおいて、短いリンカー(配列番号33)によって、実施例1.2のPD-L1のISVD-6を対照dAbにおけるN末端に融合することによって、aPDL1.6-dAbが得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.6-dAbをヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号47で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.6-dAb-Fcが得られた。
aPDL1.m3-dAb-Fcにおいて、短いリンカー(配列番号33)によって、実施例1.2のPD-L1のISVD-m3を対照dAbにおけるN末端に融合することによって、aPDL1.m3-dAbが得られた。次に、ヒンジによって、aPDL1.m3-dAbをヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号49で表されるアミノ酸配列を有するaPDL1.m3-dAb-Fcが得られた。
dAb-aCTLA4.34-Fcにおいて、短いリンカー(配列番号33)によって、対照dAbを実施例1.1のCTLA4のISVD-34におけるN末端に融合することによって、dAb-aCTLA4.34が得られた。次に、ヒンジによって、dAb-aCTLA4.34をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号45で表されるアミノ酸配列を有するdAb-aCTLA4.34-Fcが得られた。
dAb-aCTLA4.13-Fcにおいて、短いリンカー(配列番号33)によって、対照dAbを実施例1.1のCTLA4のISVD-13におけるN末端に融合することによって、dAb-aCTLA4.13が得られた。次に、ヒンジによって、dAb-aCTLA4.13をヒトIgGl-Fc領域におけるN末端アミノ酸に融合することによって、配列番号51で表されるアミノ酸配列を有するdAb-aCTLA4.13-Fcが得られた。
図1A〜1Bは、本開示における二量体の実施例を提供し、ここで、1はPD-L1に対して特異的であるISVD、2はCTLA4に対して特異的であるISVD、3はFcサブユニット含有Fcドメイン、4は二重特異的結合部分を示す。
・1.5発現及び精製
以上の実施例1.3及び実施例1.4に記載のaPDL1.9-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fc、aPDL1.6-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.m3-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.9-aCTLA4.13-Fc、aPDL1.9-dAb-Fc、dAb-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.6-dAb-Fc、aPDL1.m3-dAb-Fc又はdAb-aCTLA4.13-Fcをコードする核酸配列を、発現ベクターpCDNA4 (Invitrogen, Cat V86220)にクローンして、それぞれ対応する組換え発現ベクターを得た。
次に、これらの組換え発現ベクターによって、組換えタンパク質を発現させるように、HEK293細胞を形質移入した。個まり、PEI(ポリエチレンイミン)溶液が加えられているFreestyle293培地でプラスミドを希釈した。それぞれのプラスミド/PEI溶液をHEK293細胞懸濁液に入れて、37℃、10% CO2、90rpmの条件で5〜6日培養した。上清を採取して、プロテインA親和性クロマトグラフィーで精製することによって、それぞれ精製された組換えタンパク質二量体又は対照分子が得られた:aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fc、aPDL1.6-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.m3-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.9-aCTLA4.13-Fc、aPDL1.9-dAb-Fc、dAb-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.6-dAb-Fc、aPDL1.m3-dAb-Fc及びdAb-aCTLA4.13-Fc。
実施例として、二量体aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc、aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fc及び対照aPDL1.9-dAb-Fc及びdAb-aCTLA4.34-Fcの収率を検出し、結果を表2に示した。
実施例2 結合活性
・2.1方法
2.1.1 ELISAによる可溶性CTLA4への結合親和性の測定
CTLA4-muFc (マウスFcにおけるN端に融合されたヒトCTLA4細胞外領域であって、そのアミノ酸配列が配列番号52で表される)で96ウエルプレートを被覆した。濃度の異なる試料及び対照分子を加えた。HRP標識ヤギ抗ヒトFc抗体は、検出に用いられた。TMBによる発色後、マイクロプレートリーダーにおいて450/650nmの波長でプレートを読み取った。
2.1.2 ELISAによる可溶性PD-L1への結合親和性の測定
ヒトPD-L1-muFc (マウスFcにおけるN端に融合されたアミノ酸配列が配列番号53で表されるヒトPD-L1細胞外領域)を用いた。濃度の異なる試料及び対照分子を加えた。HRP標識ヤギ抗ヒトFc抗体は、検出に用いられた。TMBによる発色後、マイクロプレートリーダーにおいて450/650nmの波長でプレートを読み取った。
2.1.3 架橋ELISAによる可溶性PD-L1とCTLA4との両方への結合親和性の測定
ヒトPD-L1-huFc (マウスFcにおけるN端に融合されたアミノ酸配列が配列番号54で表されるヒトPD-L1細胞外領域)を用いた。濃度の異なる試料と対照分子を加えた。次に、CTLA4-muFcは、結合された試料の検出に用いられ、次に、HRP標識ヤギ抗マウスFc抗体は、二次抗体として用いられた。TMBによる発色後、マイクロプレートリーダーにおいて450/650nmの波長でプレートを読み取った。
2.1.4 SPRによる結合親和性の測定
Biacore X100による測定を行った。試料を希釈して、3 nMの濃度でプロテインAセンサーチップ表面上に固定化した。CTLA4含有溶液を希釈して、それぞれ800 nM、400 nM、200 nM、100 nM及び50 nMの濃度に調製した。又は、PD-L1-muFcを利用する場合、100nM、33.3nM、11.1nM、3.70nM、1.23nMに希釈した。結合、解離及び再生を行った後、結合動力学定数(KD)を測定する。
2.1.5 BLIによる結合の測定
Fortebio’s Octet K2プラットフォームで測定を行った。試料を10μg/mlの濃度に希釈して、バイオセンサーで捕獲した。PD-L1含有溶液を希釈して、それぞれ50nM、25nM、12.5nM、6.25nM及び3.125nMの濃度に調製した。標準化(基準)、結合、解離及び再生過程を行った後、動力学定数(KD)が得られた。
2.1.6 膜結合型リガンドの結合活性
A375-hPD-L1細胞とのインビトロ結合
試料を希釈して、それぞれ0.091μM、0.27μM、0.82μM、2.45μM、7.41μM、22.22μM、66.67μM、及び200μMの濃度に調製した。A375-hPD-L1細胞(ヒトPD-L1タンパク質定常発現A375細胞株であって、ヒトPD-L1発現カセットをA374細胞株に安定的に形質移入することによって産生された)の密度を4×106個の細胞/mlに調節した。結合及び洗浄過程を行った後、フローサイトメトリー解析のために、試料を積み込むことによって、蛍光強度中央値(MFI)を測定した。
HEK293-CTLA 4細胞インビトロ結合
試料を2 μM(1 2 μMの原液から調製)に希釈し、次に、希釈緩衝液により5倍連続に希釈した。HEK293-CTLA4細胞(ヒトCTLA4タンパク質一過性発現HEK293細胞株であって、ヒトCTLA4発現カセットをHEK293細胞株に一過性的に形質移入することによって産生された)の密度を4×106個の細胞/mlに調節した。結合及び洗浄過程を行った後、濃度勾配を合計8個測定した。
・2.2結果
図2Aは、本開示における二量体と可溶性ヒトCTLA4との結合を示した。これは、CTLA4に対して特異的であるISVDが二量体におけるN端にあるか、PD-L1に対して特異的であるISVDが二量体におけるN端にあるかにかかわらず、例えば、EC50値で表されるようなかなりの結合親和性が観察されたことが分かる。同様に、CTLA4に対して特異的であるISVDとPD-L1とに対して特異的であるISVDの間に、短いリンカー(例えば、GAP)又は長いリンカー(例えば、GGGGSGGGGSGGGGS)が使われる場合に、かなりの結合親和性が観察された。aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc及びaCTLA4.34-L-aPDL1.9-FcのEC50値は、約40 ng/mLであった。
図2Bは、本開示における二量体と可溶性ヒトPD-L1との結合を示した。抗PD-L1抗体デュルバルマブは、陽性対照として用いられ、なお、機能性CTLA4ターゲット部分をいずれも含まないaPDL1.9-dAb-Fcも対照として用いられた。
これは、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)に対して、抗PD-L1抗体デュルバルマブと対照分子aPDL1.9-dAb-Fcは、かなりの結合親和性が観察され、ここで、EC50値は、約0.6 nMであったことが分かる。
図2Cは、本開示における二量体と可溶性ヒトCTLA4との結合を示した。抗CTLA4抗体イピリムマブ(Bristol-Myers Squibb)は、陽性対照として用いられ、なお、機能性PD-L1ターゲット部分をいずれも含まないdAb-aCTLA4.34-Fcも対照として用いられた。
これは、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)に対して、抗CTLA4抗体イピリムマブと対照分子dAb-aCTLA4.34-Fcとは、かなりの結合親和性が観察され、ここで、EC50値は、約0.5 nMであったことが分かる。
図2Dは、架橋ELISAに検出されたように、本開示における二量体と可溶性ヒトCTLA4及び可溶性PD-L1との結合を示した。これは、CTLA4に対して特異的であるISVDが二量体におけるN端にあるか、PD-L1に対して特異的であるISVDが二量体におけるN端にあるかにかかわらず、例えばEC50値で表されるようなかなりの結合親和性が観察されたことが分かる。同様に、CTLA4に対して特異的であるISVDとPD-L1とに対して特異的であるISVDの間に、短いリンカー(例えば、GAP)又は長いリンカー(例えば、GGGGSGGGGSGGGGS)が使われる場合に、かなりの結合親和性が観察された。なお、結果として、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fc)は、かなりの結合親和性でCTLA4及びPD-L1の両方に結合することができることを示した。
図2Eは、架橋ELISAに検出されたように、本開示における二量体と可溶性ヒトCTLA4及び可溶性PD-L1との結合を示した。これは、二量体におけるCTLA4のISVD-34又は二量体におけるCTLA4のISVD-13について、かなりの結合親和性が得られたことが分かる。
図2Fは、架橋ELISAに検出されたように、本開示における二量体と可溶性ヒトCTLA4及び可溶性PD-L1との結合を示した。これは、二量体におけるPD-L1のISVD-9、PD-L1のISVD-6又はPD-L1のISVD-m3に対して、かなりの結合親和性が得られ、aPDL1.6-aCTLA4.34-FcのEC50値がaPDL1.9-aCTLA4.34-Fc又はaPDL1.m3-aCTLA4.34-FcのEC50値よりも少し高かったことが分かる。おもしろいことには、PD-L1のISVD-9及びPD-L1のISVD-m3は、ほとんど異なるCDR2配列を有するにもかかわらず、本開示における二量体に用いられると同様の表現になり、これは、二量体に対するCDR2配列の機能が十分に重要ではないことを示唆した。
また、本開示における二量体(例えばaPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)と細胞表面に発現するPD-L1又はCTLA4との結合活性を検出し、対照分子(例えば、デュルバルマブ、イピリムマブ、aPDL1.9-dAb-Fc又はdAb-aCTLA4.34-Fc)の結合活性と比較した。結果は、図2G及び2Hで表される。
図2Gは、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)がA375-hPDL1細胞と結合可能であり、そのEC50値がデュルバルマブ及びaPDL1.9-dAb-Fcと類似したことを示した。
図2Hは、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)がHEK293-CTLA4細胞と結合可能であり、そのEC50値がdAb-aCTLA4.34-Fcと類似したことを示した。しかしながら、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)は、HEK293-CTLA4細胞に結合する場合、そのEC50値がイピリムマブより高く、これが細胞表面CTLA4への結合親和性が低減したことを示した。これらの結果から、本開示における二量体の毒性がイピリムマブよりも低くてもよいことを判明した。
実施例3 遮断効果
3.1方法
・3.1.1PD-L1のPD-L1又はCD80への結合に対する遮断効果
競合的ELISAにより、PD-L1とCD80との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を評価した。
つまり、3μg/mlのPD-L1-huFc (配列番号54)で96ウエルプレートを被覆した。PD1-muFc(配列番号58)と本開示における二量体の混合物、又はCD80-muFc (配列番号55)と本開示における二量体の混合物を、PD-L1-huFcが被覆されたプレートに加えた。用いられたPD1-muFcの濃度は、10μg/mlであり、CD80-muFcの濃度は、100μg/mlであった。本開示における二量体を連続に希釈した。HRP標識ヤギ抗マウスIgG1抗体は、結合したPD1-muFc又はCD80-muFcの検出に用いられ、その量が本開示における二量体の遮断効果に反比例した。TMBによる発色後、マイクロプレートリーダーにおいて450/650 nmの波長で該プレートを読み取った。
・3.1.2CTLA4のCD80又はCD86への結合に対する遮断効果
競合的ELISAにより、CTLA4とCD80又はCD86との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を評価した。
つまり、3μg/mlのCTLA4-huFc(配列番号56)で96ウエルプレートを被覆した。CD80-muFc(配列番号55)と本開示における二量体の混合物、又はCD86-muFc(配列番号57)と本開示における二量体の混合物を、CTLA4-huFcが被覆されたプレートに加えた。本開示における二量体を連続に希釈した。HRP標識ヤギ抗マウスIgG1抗体は、結合したCD86-muFc又はCD80-muFcの検出に用いられた。TMBによる発色後、マイクロプレートリーダーにおいて450/650 nmの波長で該プレートを読み取った。
3.2 結果
図3Aは、PD-L1とPD-1との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を示した。これは、二量体におけるN末端にCTLA4に対して特異的であるISVDがあるか、二量体におけるN末端にPD-L1に対して特異的であるISVDがあるかにかかわらず、例えばIC50値で示されるような同様の遮断能が観察されたことが分かる。同様に、CTLA4に対して特異的であるISVDとPD-L1に対して特異的であるISVDとの間に、短いリンカー(例えば、GAP)又は長いリンカー(例えば、GGGGSGGGGSGGGGS)が使われた場合に、同様の遮断能が観察された。
図3Bは、PD-L1とPD-1との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を示した。これは、本開示における二量体の遮断能が陽性対照デュルバルマブ又はaPDL1.9-dAb-Fcの遮断能に相当することが分かる。
図3Cは、PD-L1とCD80との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を示した。これは、本開示における二量体の遮断能が陽性対照デュルバルマブ又はaPDL1.9-dAb-Fcの遮断能に相当することが分かる。
図3Dは、PD-L1とCD80との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を示した。これは、本開示における二量体CTLA4.34-aPDL1.9-Fc及びaCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fcの遮断能が、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc及びaPDL1.9-L-aCTLA4.34-Fcよりも大きかったことが分かる。
図3Eは、CTLA4とCD80との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を示した。これは、本開示における二量体の遮断能が、陽性対照イピリムマブ又はdAb-aCTLA4.34-Fcの遮断能に相当することが分かる。
図3Fは、CTLA4とCD86との結合に対する本開示に係る二量体の遮断能を示した。これは、本開示における二量体の遮断能が、陽性対照dAb-aCTLA4.34-Fcの遮断能に相当することが分かる。なお、本開示における二量体の結合能は、イピリムマブよりも僅かに弱かった。
実施例4 PBMC刺激
4.1 方法
例えば、PBMC細胞によりIL-2を分泌するような、刺激免疫反応における本開示に係る二量体のインビトロ活性を検出した。つまり、PBMCは、異なる健康なドナーから分離され、それぞれ200ng/mlの濃度のブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)と共に飼育された。濃度の異なる(0.015nM、0.15nM、1.5nM又は15nM)本開示に係る二量体又は対照分子を加えた。5日飼育後、上清を採取して、Human IL-2 Duo Set ELISAキットでIL-2のレベルを解析した。
4.2 結果
図4A〜4Hは、本開示に係る二量体が添加されているSEBの刺激によるPBMCのIL-2分泌を示した。X座標は添加された二量体又は対照分子の濃度、Y座標は分泌されたIL-2の濃度を示した。
図4A〜4Dは、4個の異なるドナーからのPBMCの取得結果を示した。これは、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)による免疫反応の増強能力は、対照分子又はその組み合わせよりも有意に強かったことが分かり、強い相乗効果を示した。
二量体aPDL1.6-aCTLA4.34-Fc、aCTLA4.34-aPDL1.9-Fc、aCTLA4.34-L-aPDL1.9-Fc、aPDL1.m3-aCTLA4.34-Fc、及びaPDL1.9-aCTLA4.13-Fcについて、同様の結果が得られ、図4E〜4Hで表される。
実施例5 インビボ腫瘍阻害
5.1 方法
・5.1.1 375-PD-L1細胞及びヒトPMBCにより転移される異種移植動物モデルにおける二量体の抗腫瘍効果の評価
本開示における二量体の抗腫瘍効果を評価するために、aA375-hPD-L1/hPBMC異種移植マウスモデルを用いた。ヒトPD-L1(A375-hPD-L1と称される)によりヒト悪性黒色腫細胞株A375を安定に形質移入し、担癌異種移植片モデルに用いた。つまり、A375-hPD-L1細胞を、健康なヒトPBMCと4:1の割合で混合させ、次に、NSGマウスに皮下に接種した。腫瘍接種後2〜3時間、0.1 mg/kg、0.3 mg/kg、1 mg/kg、3 mg/kg、10 mg/kg、又は30 mg/kgの用量で週に2回、マウスに本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)を腹腔内投与した。所定の時点で腫瘍体積を測定した。
・5.1.2 MC38-HPd-L1ダブルノックインモデルにおける二量体の抗腫瘍効果の評価
本開示における二量体は、マウスPD-L1又はマウスCTLA4と交差反応しないため、本実施例において、マウスCTLA4及びPD-L1遺伝子が対応するヒト遺伝子に置換されることでヒト化ダブルノックイン(KI)マウスを作成するようなダブルノックインマウスモデルを用いている。なお、マウスPD-L1をヒトPD-L1により置換することによって、マウス結腸がんMC38-hPD-L1細胞株(ヒトPD-L1タンパク質定常発現MC38細胞株であって、ヒトPD-L1発現カセットをMC38細胞株に安定に形質移入することによって産生された)を構築した。ダブルKI C57BL/6マウスの右前腹部にMC38-hPD-L1腫瘍細胞(3×105)を皮下に接種した。平均腫瘍の大きさが約60〜80 mm3になると、担癌動物を、3群の1群にランダムに入れた。週に2回マウスに本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)又は対照免疫グロブリン(IVIG)を、合計5回静脈内投与した。
5.2 結果
本開示における二量体の抗腫瘍効果は、図5A及び図5Bで表される。X座標は濃度の異なる二量体を投与後の日付、Y座標は測定された腫瘍体積を示す。
図5Aは、A375-hPD-L1/PBMCからマウスモデルを異種移植した結果を示し、図5Bは、MC38-hPd-L1/ダブルKIモデルから得られた結果を示した。IVIGは、アイソタイプ対照に用いられる静脈内免疫グロブリンを示した。
これは、本開示における二量体は、0.3mg/kg又はそれ以上の用量で、2種のモデル共に有意な抗腫瘍活性を有することが分かる。ダブルKIモデルにおいて、例えば初回投与後21日目に、腫瘍が3.0 mg/kg及び30 mg/kgの用量の本開示における二量体によって完全に阻害された。
実施例6 インビボ薬物動態学
6.1 方法
Sprague Dawleyラットにおける単回用量薬動態学検討
8匹Sprague Dawley (SD)ラットに、10 mg/kgの単回用量の本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)を静脈内投与した。ラット血清における二量体の濃度を監視するために、一連の時点で血液試料を注射後29日目までに取得した。
6.2 結果
Cmaxは、投与後速やかに約305.15±19.34 μg/mlの二量体になり、しかも、平均T1/2は、約142.59±29.89時間であって、平均AUC (0-384h)は、約10.58±0.68h*mg/mlであって、平均MRTは、127.86±20.75時間であった。その他の薬動態学パラメータは表3に、濃度-時間カーブは図6に示された。
図6で、X座標は二量体を投与前後の時間、Y座標は投与された二量体の濃度を示す。1〜8は、8個の独立的に繰り返した(すなわち8匹異なるSDラット)結果を示した。
実施例7 腫瘍による二量体の摂取
Na125Iで本開示における二量体(例えばaPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)又は対照分子(例えば、dAb-aCTLA4.34-Fc)を標識し、次に、PD10カラムで精製し、0.02 mol/Lのリン酸塩緩衝液を用いて、pH 7.4で洗浄し、標識分子の放射性を検出した。以上の実施例5のように、腫瘍細胞をマウスに注射し、腫瘍体積が約100〜200 mm3になると、マウスを、3匹を1群として2群にランダムに分けて、1群を本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)の投与に用いて、もう1群を対照分子(例えば、dAb-aCTLA4.34-Fc)の投与に用いた。
イソフルランで担癌マウスを麻酔して、次に、Na125Iで標識された二量体又は対照分子をマウスの尾静脈に注射し、用量は、1匹に約5 MBq(又は約135μCi)であった。
それぞれ投与後1h、8h、1d、2d、3d、4d、5dおよび7dに、Micro-SPECT/CTでマウスを走査した。靜態10分のSPECT中分解能で全身をCTスキャンした。動物体の体重、注射用量、注射時間及び残り用量を記録した。PMODソフトウェアで、腫瘍による二量体又は対照分子の摂取量に対して定量分析を行った。
結果は、図7で表される。X座標は二量体又は対照分子を投与後の時間、Y座標は腫瘍による摂取量を示す。これは、本開示における二量体は、対照分子よりも、早く摂取されて腫瘍中で富化され、かつ、腫瘍中で遅く消えてなくなり、これが潜在的なより良い有効性及びより低い毒性を示したことが分かる。
実施例8 ヒト以外の霊長類動物における本開示に係る二量体の安全性及び毒性
ヒト以外の霊長類動物(例えば、カニクイザル)から本開示に係る二量体の安全性及び毒性を検出した。サルに本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)を投与すると、すべての治療群(100mg/kg/週と高く、150mg/kg/週のイピリムマブ及び150mg/kg/週のニボルマブの組み合わせの投与に該当する)に医薬品に関連する結腸炎が共に観察されなかった。 しかしながら、サルにイピリムマブ及びニボルマブを併用投与する場合(3mg/kg/週のイピリムマブ及び10mg/kg/週のニボルマブを併用投与するか、又は10mg/kg/週のイピリムマブ及び50mg/kg/週のニボルマブを併用投与する場合)、すべての治療群に治療に関連する下痢が見出されると共に、高用量群(10mg/kg/週のイピリムマブ及び50mg/kg/週のニボルマブの組み合わせ)における1匹のサルが、投与後23日目に急性胃拡張で死亡したことを発見した。このサルは、下痢及び体重減が続くことを観察した。すべての治療群について、治療に関連する結腸変化を観察した。
従って、本開示における二量体は、抗PD-1抗体(例えば、ニボルマブ)及び抗CTLA4抗体(例えば、イピリムマブ)の組み合わせよりも、より良い安全性及びより低い毒性が観察された。
実施例9 ヒト患者における二量体の安全性、治療効果及び薬動態学
末期固形腫瘍に罹患しているヒト患者から、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)の安全性、耐性、薬物動態学及び治療効果を検出した。
つまり、標準治療に難治性や抵抗性の末期切除不能又は転移性固形腫瘍に罹患した患者を臨床試験に入れた。幾つかの患者は、抗PD-1抗体又は抗PD-L1抗体治療を受けたが、本臨床試験の前に、これらの治療に反応しなかった。
2週ごとに(Q2W)、患者に本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)を静脈内投与した。用量制限毒性(DLT)評価期間は、28日であった。投与用量レベルは、それぞれ0.3 mg/kg、1 mg/kg、3 mg/kg、5 mg/kg及び10 mg/kgであった。8週ごとに、RECIST1.1に基づく治療効果評価を行った。
10人の患者(3人が乳がん患者、1人が子宮頸癌患者、1人が卵巣癌患者、1人が腎臓癌患者、1人が肺癌患者、1人が膵癌患者、1人が腹膜癌患者及び1人が子宮癌患者であった)は(1人が0.3 mg/kg群、3人が1 mg/kg群、3人が3 mg/kg群、及び3人が5 mg/kg群にいた)に入れた。治療の平均期間は、8週(2〜24週)であった。5 mg/kgの用量について、1個のDLT(グレード3の免疫関連肝炎、総ビリルビン値未上昇、2週内可逆的)が観察された。最もよく見られる(≧30%)医療緊急有害事象(TEAE)は、疲労、下痢、吐き気、及び嘔吐であった。3人の患者に、幾つかの免疫関連TEAE(すなわち、下腹痛、関節痛、異常肝機能、甲状腺機能亢進症、吐き気、及びトランスアミナーゼ上昇)が観察された。
3 mg/kg群における1人の非小細胞性肺癌(NSCLC)患者では、完全な緩和を示した。1 mg/kg群における2人の患者(1人はトリプルネガティブ乳がん(TNBC)であって、1人はニボルマブ難治性腎細胞癌(RCC)であった)では、該疾患の長期安定性(> 12週)を示した。なお、3 mg/kg群における1人の卵巣癌患者は、腫瘍サイズが明らかに減少した(腫瘍サイズが56%減少した)ことを示した。
低い用量(例えば、1 mg/kg以下の用量)では、本開示における二量体(例えば、aPDL1.9-aCTLA4.34-Fc)がより早く排除されたことが観察され、これが標的介在の排除ためであった。
3 mg/kg及びそれ以上の用量について、本開示における二量体のT1/2は、約7日〜9日であった。
これらの結果から、本開示における二量体は、許容可能な安全的特徴を含み、従来の報道されたその他の免疫チェックポイント阻害剤の安全データと一致している。初期の治療結果は、有望であった。最初、4個の群からの薬物動態学データは、2週に1回の計画を支持することができる。
本開示は、好ましい実施形態が本明細書により示して記載されたとしても、当該技術分野における当業者にとって、これらの実施形態が例として与えられたに過ぎないことが明らかであろう。本開示は、本明細書における実施例に限定されない。本開示は、以上の本明細書により記述されたが、本明細書における実施形態の表現や記載が限定的に解釈されない。当業者は、本開示を逸脱しない限り、いろんな変化、改変及び置換が想到される。なお、本開示は、あらゆる点で本明細書に記載の様々な条件及び変数による具体的記述、配置又は相対比率に限定されないことを理解されたい。本開示は、実施される場合に本明細書に記載の実施形態の各種の代替態様を用いることができることを理解されたい。従って、本開示は、このような代替、変更、変化又は同等のものもすべてカバーすることが期待される。以下の請求項は、本開示の範囲を限定するものであって、これらの請求項及びその同等の範囲における方法及び構造が含まれている。