JP2021525094A - インスリン産生細胞を生成する、タンキラーゼ阻害剤を含む方法及び組成物 - Google Patents

インスリン産生細胞を生成する、タンキラーゼ阻害剤を含む方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

PDX1+内胚葉細胞集団からPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を産生する、方法及び組成物を提供する。当該方法は、内胚葉細胞集団を、EGF成分、ならびにタンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤と接触させて、PDX1+内胚葉細胞集団の少なくとも一部を、PDX1+NKX6−1+膵前駆細胞に分化することを誘導することを含む。【選択図】図7

Description

この開示は、インスリン産生ベータ様細胞を産生する、方法及び組成物に関する。
ヒト多能性幹細胞(「hPSC」であり、ヒト胚性幹細胞「hESC」及びヒト人工多能性幹細胞「hiPSC」を含む)からインスリン産生ベータ様細胞を生成することは、1)糖尿病治療の将来的な選択肢としての患者への移植、2)発生及び疾患のモデル化、ならびに3)膵臓関連疾患に関する創薬及び試験といった多数の用途のための、ヒト内分泌細胞の再生可能な源となる可能性がある。これら用途を実現するためには、異なる細胞株及び実験室にわたって有効で一貫性のある分化戦略を特定する必要がある。ここでは、インスリン発現細胞を生成する高い能力をもつPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を生成する特異的なタンキラーゼ阻害剤の使用について記述する。
インスリン発現細胞を生成する能力が増したPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞の生成を誘導する、タンキラーゼ1(TNKS1/PARP−5a/ARTD5)及びタンキラーゼ2(TNKS2/PARP−5b/ARTD6)に結合する化合物を使用する方法を提供する。
一態様においては、PDX1+内胚葉細胞集団からPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を産生する方法であって、内胚葉細胞集団をEGFと、及びタンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤と接触させて、PDX1+内胚葉細胞集団の少なくとも一部をPDX1+NKX6−1+膵前駆細胞に分化することを誘導することを含む、方法を提供する。
本開示の他の特徴及び利点は、以下の発明の詳細な説明から明らかになることとなる。しかしながら、発明の詳細な説明及び特定の実施例は、本開示の好ましい実施形態を示しつつ、例示によってのみ与えられるものであり、当業者にとっては、この開示の趣旨及び範囲内での種々の変更及び変形が、発明の詳細な説明から明らかになることとなるということを理解されたい。
ここで、本開示の実施形態について、以下の図面を参照しながら記載することとする:
図1は、タンキラーゼ阻害剤で処理した細胞が、PDX1+/NKX6−1+細胞の形成を誘導する、又はPDX1+/NKX6−1+細胞を生じることを示している。 図2は、特異的なタンキラーゼ阻害剤(IWR−1及びWIKI4)で処理した細胞が、非特異的なタンキラーゼ阻害剤(XAV939及びMN64)で処理した細胞よりも、高い割合のINSGFP+細胞を生じる(21日目)ことを示している。分化8日目から13日目の間に、種々のタンキラーゼ経路阻害剤で処理した細胞(NEのみで処理した、又はタンキラーゼ阻害剤(NE+XAV939 1.5uM、NE+IWR−1−endo 3uM、NE+ MN64 3uM、NE+WIKI4 9uM)と組み合わせてNEで処理した、細胞)を、Rezania及びPagliucaが開発した分化プロトコール(Rezania et al 2014,Pagliuca 2014)の改変した版を用いて、さらに10日間分化した。分化23日目の細胞凝集体の代表的な明視野及び蛍光の画像を示している。示した結果は、INSGFP/Wレポーター株からのものである。 図3は、図2に示す結果の定量化であって、異なる化合物XAV939、IWR−1、MN64、WIKI4で処理した又は未処理の細胞に由来する、分化23日目にフローサイトメトリー解析で測定したINSULIN(インスリン):GFP+細胞の割合の定量化を示す。細胞は、異なる化合物、XAV939 1.5uM、IWR−1 3uM、MN64 3uM、WIKI4 9uMと組み合わせて、NE(−)又はNEを用いて処理した。示した結果は、INSGFP/Wレポーター株からのものであり、エラーバーは標準偏差を表し、n=4である。 図4は、WIKI4が、IWR、MN64及びXAVと比較して、より高いレベルのINS mRNAを誘導することを示している。異なるタンキラーゼ阻害剤で処理した細胞は、QPCRで測定したところ、異なる量のインスリン転写物を発現する。分化23日目にハウスキーピング遺伝子TBP(TATA結合タンパク質)に対して標準化したインスリン転写物の相対的発現を示しているものであって、XAV939、IWR−1、MN64、WIKI4(XAV939 1.5uM、IWR−1 3uM、MN64 3uM、WIKI4 9uM)を用いて、又は用いずに、細胞を処理することによって、膵前駆細胞を生成した。成体膵臓を、陽性対照として用いた。示した結果は、lNSGFP/Wレポーター株からのものである。エラーバーは標準偏差を表し、n=3である。 図5は、WIKI4による処理(8〜13日目)が、高い割合の、H1細胞株を用いたC−ペプチド+/NKX6−1+インスリン発現ベータ様細胞を生成することを示している。C−ペプチド(インスリンの代替)及びNKX6.1についてのフローサイトメトリー解析を、分化23日目に行い、高い割合のC−ペプチド+/NKX6−1+細胞(ベータ様細胞)を示した。各四分の一区画内の数字は、集団全体のうちの相対的割合を示す。示した結果は、H1細胞株からのものである。 図6は、特異的なタンキラーゼ阻害剤が、H1細胞株を用いたPDX1/NKX6−1二重陽性細胞で測定したところ、高い割合の膵臓前駆体を生成することを示している。特異的なタンキラーゼ阻害剤、すなわちARTD5及びARTD6に特異的に結合するARTD阻害剤(TANK1及びTANK2)は、PDX1/NKX6−1二重陽性細胞で測定したところ、高い割合の膵臓前駆体を生成するが、ARTD1/2阻害剤(MK4827、タンキラーゼの触媒部位に結合しないARDT阻害剤)は生成しなかった。8から12日目にMK4827、JW74、WIKI4、JW55、G007−LKにより、未処理(−)又は処理した後の、分化12日目におけるフローサイトメトリー解析で測定したPDX1+/NKX6.1+細胞の割合の定量化を示している。様々な濃度の選択的阻害剤を用いている。示した結果は、分化12日目のH1細胞株からのものである。エラーバーは、SEMを表し、n≧=3である。 図7は、特異的なタンキラーゼ阻害剤が、H1細胞株を用いたC−ペプチド/NKX6−1二重陽性細胞で測定したところ、高い割合のベータ様細胞を生成することを示している。特異的なタンキラーゼ阻害剤(WIKI4、JW74、JW55及びG007−LK)で処理した細胞は、C−ペプチド+/NKX6.1+インスリン発現ベータ様細胞の集団を生成することが可能である。8から13日目にWIKI4(9uM)、G007−LK(5uM)、JW74(10uM)、JW55(5uM)により処理した後の、分化23日目におけるフローサイトメトリー解析で測定したC−ペプチド+/NKX6.1+細胞の割合の定量化を示している。示した結果は、H1細胞株からのものである。エラーバーはSEMを表し、全てに関してはn=4であり、JW74に関してはn=1である。 図8は、本明細書に記載の方法に従って産生した、移植したPDX1/NKX6−1二重陽性前駆細胞から分化した、インスリン産生細胞を含む、細胞の蛍光免疫染色を示している。WIKI4により生成した膵臓前駆体を、免疫不全マウスに、皮下に移植した。移植片を、移植3ヶ月後に解析し、またインスリン、グルカゴン、サイトケラチン19及びトリプシンについて染色した。蛍光免疫染色により、WIKI4処理した細胞が、ベータ様細胞(インスリン+)、アルファ様細胞(グルカゴン+)、トリプシン+及びサイトケラチン19+の細胞に発達する能力を有することが実証された。 図9は、本明細書に記載の方法に従って産生した、C−ペプチド/NKX6−1二重陽性ベータ様細胞を含有する移植した培養物から分化した、インスリン産生細胞を含む、細胞の蛍光免疫染色を示している。WIKI4により生成したベータ様細胞は、免疫不全マウスにおいて、皮下に及び腎臓被膜下に移植した。移植片を、移植7.5週後に解析し、またインスリン、グルカゴン及びソマトスタチンについて染色した。蛍光免疫染色により、WIKI4処理した細胞は、ベータ様細胞(インスリン+)、アルファ様細胞(グルカゴン+)、デルタ様細胞(ソマトスタチン+)に発達する能力を有することが実証された。 図10は、本明細書に記載する方法に従って産生したC−ペプチド/NKX6−1二重陽性ベータ様細胞を含有する培養物の移植後の、血糖症の正常化を示している。WIKI4により生成したベータ様細胞は、免疫不全マウスにおいて、皮下に及び腎臓被膜下に移植した。ストレプトゾトシン注射により、免疫不全マウスを高血糖にさせた。血糖を毎週モニタリングして、12週から正常血糖(インスリンペレットの不在下)が観察された。
本明細書には、高い割合のインスリン産生ベータ様細胞を生成する能力を有する、膵前駆細胞を有効に生成する、タンキラーゼ阻害剤の用途を記載する。この開示より前に、例えばWIKI4、IWR−1、JW74、JW55及びG007−LK等のタンキラーゼ阻害剤を、膵臓の分化において使用することについて記述されてこなかった。また、PDX1発現の後にこれら化合物を添加することにより、インビトロでインスリン産生ベータ様細胞を生じることが可能であるより高い割合のPDX1+/NKX6−1+細胞の形成につながる。結果として、このアプローチにより、hESC及びhiPSCの異なる株からのインスリン産生細胞の生成に関する、代替的かつ有効なプロトコールがもたらされる。
タンキラーゼは、ヒトにおいて17のメンバーを含む、ジフテリア毒素様ADPリボシルトランスフェラーゼ(ARTD)酵素のスーパーファミリーに属する。それらは、標的タンパク質上で、補基質NAD+からのADP−リボースの転移を触媒する。この共有結合性の翻訳後改変は、1又は複数のADP−リボース(ADPr)分子の標的タンパク質への結合を導く。タンキラーゼ1(TNKS1/PARP−5a/ARTD5)及びタンキラーゼ2(TNKS2/PARP−5b/ARTD6)は、この酵素ファミリー(ARTD1−6)のポリマー形成クラス(polymer forming class)に属するが、それらを他のメンバーから分ける固有のドメイン構成を有する。これらタンキラーゼは、C末端に位置するARTD触媒ドメインに加えて、この触媒ドメインに隣接するステライルアルファモチーフ(SAM)を含有するが、これはタンキラーゼの多量体化の原因となる。さらに、これらタンキラーゼは、特定のタンパク質に対する特異性を与える5つのアンキリンリピートクラスター(ARC)を含有する。
タンキラーゼの触媒ドメインは、2つのドメイン、供与部位及び受容部位、を特徴とする。NAD+が自然に結合する場所である供与部位は、2つのサブサイト、ニコチンアミドサブサイト及びアデノシンサブサイト、に分けることができる。
出願人は、タンキラーゼに対して選択的活性をもち、かつ、他のARTD酵素への結合が最小であるか又は結合しない、特異的ARTD阻害剤を用いることで、最も高い割合のインスリン産生細胞が生成されることを実証する。市販のARTD阻害剤は、供与部位に対して異なる特異性をもって結合する可能性がある。アデノシンサブサイトのみに特異的に結合して他のARTD酵素とは対照的に、TANK阻害に対して特異性を見せるように、阻害剤の選抜群を設計した。
PDX1発現後のタンキラーゼ阻害が、PDX1及びNKX6−1を発現する細胞を生じて、そして公開されている分化プロトコール(Rezania 2014,Pagliuca 2014)により、インスリン発現細胞を生成する能力を有する。
一実施形態においては、PDX1発現は、hESC及びhiPSCの分化7〜8日目に達成し、そしてタンキラーゼ阻害剤を6日間(12〜13日目)施与する。
一実施形態においては、インスリン発現は、先に記載したとおり(Rezania 2014,Pagliuca 2014)、チロイドホルモン、Alk5阻害剤、レチノイン酸、BMP阻害、ソニックヘッジホッグ阻害の存在下での12〜13日目の細胞を培養することによって誘導される。インスリンの発現は、16日目以降から検出できる。
タンキラーゼ阻害剤を用いて生成した膵臓前駆体は、これに限定されるものではないが、臨床目的でのヒト及び他の種への移植、インビトロでの健常膵臓の発生のモデル化、患者特異的なhiPSCのモデル疾患への利用、ならびに膵臓関連疾患の創薬及び試験に用いられ得る。
本開示のある態様は、PDX1+集団からPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を産生する方法を含み、当該方法は、PDX1+細胞集団を、EGF成分と、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤とに接触させることを含むが、これがPDX1+細胞集団の少なくとも一部のPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞への分化を誘導する。
本明細書で用いる場合、「タンキラーゼ阻害剤」は、タンキラーゼ酵素の酵素活性を阻害する分子、化合物又は組成物である。タンキラーゼ阻害剤は、タンキラーゼ酵素のニコチンアミドサブサイト及び/又はアデノシンサブサイトに結合可能である。タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤はまた、異なる程度にニコチンアミドにも結合し得る。アデノシンサブサイトに結合する一部のタンキラーゼ阻害剤は、ニコチンアミドサブサイトに対して、同等又はより高いアデノシンサブサイトへの親和性を呈する。しかしながら、アデノシンサブサイトに選択的に結合するタンキラーゼ阻害剤が好ましい。タンキラーゼ阻害剤の例としては、XAV939、IWR−1−endo、MN64、WIKI4、G007−LK、JW74、又はJW55が挙げられるが、これに限定されない。タンキラーゼ阻害剤の他の例としては、例えば、Anumala et al.(2017)に提供されている。
ある実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、タンキラーゼ酵素の触媒部位に結合する。本明細書において用いる場合、「タンキラーゼ酵素」の語には、これに限定するものではないが、タンキラーゼ1(TNK1)及びタンキラーゼ2(TNK2)が含まれる。一部の実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、TNK1及びTNK2のアデノシンサブサイトに結合する。あるタンキラーゼ酵素は当技術分野で公知であり、また例えばRiffell et al.(2012)で論じられている。
一部の実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合する。好ましい一実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、ニコチンアミドサブサイトよりも、アデノシンサブサイトに対してより高い親和性を有する。別の好ましい実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、アデノシンサブサイトに選択的に結合する。アデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤の例としては、WIKI4、IWR−1、G007−LK、JW55、JW74、CMP24、CMP40、及びCMP4が挙げられるが、これに限定されない。好ましくは、タンキラーゼ阻害剤は、WIKI4、IWR−1、G007−LK、JW55、又はJW74である。
タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイト及びニコチンアミドサブサイトの両方に結合するタンキラーゼ阻害剤の例としては、NVP−TNKS656、CMP4b、及び以下の化合物16が挙げられるが、これに限定されない。
Figure 2021525094
一部の実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、タンキラーゼ酵素のニコチンアミドサブサイトに結合しない。
ある実施形態においては、この方法は、PDX1+内胚葉細胞集団を、BMP阻害剤成分と接触させることをさらに含む。
「接触させること」(例えば、内胚葉細胞集団を、成分と接触させること)の語は、それによって細胞が、インビトロで、当該成分と一緒に培養又はインキュベートされる任意の好適な手段を指す。例えば化合物を、培養液中の細胞に加えるか、又は、化合物を含有する培地に移動させるもしくは該培地と混合する。例えば、細胞は、接着培養液中で、又は懸濁培養液中で処理され得、成分は、実質的に、時間的に同時(例えば、カクテル中で一緒に)又は順次(例えば、1つめの成分の添加から1時間以内)に加えることが可能である。細胞はまた、例えば増殖因子もしくは他の分化薬剤等の別の薬剤もしくは環境と接触させて、細胞を安定化する、又はさらに細胞を分化して、例えば多能性(及び/又は分化された)集団を培養するための当技術分野で公知の条件下で当該細胞を培養することを含むことが可能である。
本明細書で用いる場合、「内胚葉細胞集団」は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%の、PDX1+細胞を含む細胞の集団を指す。例えば、内胚葉細胞は、少なくともPDX1を発現する、胚性後方前腸細胞集団が該当する。他の因子もまた、発現され得る。当該集団は、NKX6−1陰性(NKX6−1−)であり得るか、又は低いレベルのNKX6−1を発現することが可能である。内胚葉細胞集団は、例えば、PDX1等の1又は複数のマーカーに関するフローサイトメトリーによる分子解析によって特定することが可能である。内胚葉細胞集団は、例えば、二次元(単一層)又は三次元(胚様体又は他の集合体形態)の形態をとり得る。
本明細書で用いる場合、「内胚葉」の語は、極めて初期の胚における3つの一次胚細胞層のうちの最も内側のものを指す。他の2つの胚細胞層は、外胚葉(外側)及び中胚葉(中間層)であり、内胚葉は、最内層である。内胚葉は、一部の臓器、ならびに、消化器系及び呼吸器系の上皮層を形成する。内胚葉細胞は、分化して、まず胚消化管(embryonic gut)を生じて、次いで当該消化管(食道、胃部、腸管、直腸、結腸)の管壁、咽頭嚢の誘導体(扁桃腺、甲状腺、胸腺、副甲状腺)、肺、肝臓、胆嚢、及び膵臓を生じる。
本明細書で用いる場合、「多能性幹細胞」の語は、***により自己複製して、また異なる条件下で、1以上の分化細胞型であって、例えば3種の胚細胞層の特性を示す1もしくは複数の細胞型に成長又は分化する能力を有して、胚性幹細胞及び人工多能性幹細胞を含む、細胞を指す。胚性幹細胞及び人工多能性幹細胞は、多能性幹細胞の例である。多能性細胞は、例えばヌードマウス奇形腫形成アッセイを用いて、1以上の細胞型に分化するそれらの能力を特徴決定する。多能性はまた、胚性幹(ES)細胞マーカーの発現によっても証明される。
「前駆細胞」の語は、分化により生じることが可能であるようなある細胞と比べて、完全に分化した細胞であるよりも、発達の経路又は進行に沿ったより早期の段階にある細胞表現型を有する細胞を指す。前駆細胞は、そこで細胞が発生及び分化するような発達経路ならびに環境に応じて、複数の別個の分化細胞型を、又は単一の分化細胞型を生じ得る。
「膵前駆細胞」の語は、膵臓内分泌細胞(例えばグルカゴン産生アルファ細胞、インスリン産生ベータ細胞、ソマトスタチン産生デルタ細胞、グレリン産生イプシロン細胞及び膵臓ポリペプチド産生細胞等)、又は膵腺房細胞(例えば、アミラーゼ産生膵臓細胞及び/又はトリプシン産生膵臓細胞)又は膵管細胞、のうちのいずれかを形成することができる細胞を指す。例えばチロイドホルモン、alk5i、レチノイン酸、BMP及びSHH阻害の組み合わせ等の成分を添加すること、ならびに/又は、前駆細胞が発生する環境から生じることによって、膵臓内分泌細胞、膵腺房細胞又は膵管細胞のうちの1以上の形成又は発生が誘導され得る。同様に、インビトロでのPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞の注射により、内分泌細胞、膵腺房細胞及び膵管細胞の発生がもたらされ得る。
本明細書で用いる場合、「機能性ベータ細胞」の語は、膵臓細胞の一種を意味するものであって、これは主として、膵臓の、インスリンを作り放出するランゲルハンス島という領域にある。
本明細書で用いる場合、「インスリン産生ベータ様細胞」の語は、インスリンを作り、そして膵臓のランゲルハンス島という領域にある機能性ベータ細胞又は膵臓細胞のうちの少なくとも1以上の、少なくとも2以上の、又は少なくとも3以上の特性を有する、細胞を指す。
本明細書で用いる場合、「幹細胞」の語は、特殊化した細胞に分化することが可能である未分化細胞を指す。幹細胞は、増殖し、自己複製し、及び分化したもしくは分化可能である娘細胞を後に生じることが可能である多数の母細胞を生成する能力を有する複数の幹細胞又は前駆細胞を生じることが可能である。娘細胞は、例えば、親としての発生能を伴う1又は複数の細胞も保持しつつ、1又は複数の成熟細胞型にその後分化する、子孫を増殖して産生するように誘導することが可能である。
細胞の文脈において、「分化した」又は「分化すること」の語は、相対語であり、「分化細胞」は、比較している細胞よりも発達経路をさらに先に進んだ細胞であり、一部の場合においては、ある「分化細胞」はより特殊化している。一部の場合においては、「分化細胞」は、1つの細胞型から別の細胞型へと変化した細胞である。すなわち、幹細胞は、経路をさらに進んだ他の種類の前駆細胞にその後に分化できるような系統制限された前駆細胞(例えば内胚葉前駆細胞等)に分化し、次いで、特定の組織型において特有の役割を果たし、さらに増殖する能力を保持するかもしれないし保持しないかもしれない、最終段階の分化細胞に分化することが可能である。
「胚性幹細胞」の語は、胚盤胞の内部細胞塊の多能性幹細胞をいうために用いる(例えば、米国特許第5,843,780号、第6,200,806号を参照)。こうした細胞はまた、体細胞核移植に由来する胚盤胞の内部細胞塊から得ることが可能である(例えば、米国特許第5,945,577号、第5,994,619号、第6,235,970号を参照)。胚性幹細胞の際立った特徴により、胚性幹細胞表現型が規定される。したがって、ある細胞が、他の細胞と区別できるような胚性幹細胞の固有の特性のうちの1又は複数を所有するならば、その細胞は、胚性幹細胞の表現型を有する。例示的な胚性幹細胞の際立った特徴としては、限定するものではないが、遺伝子発現プロファイル、増殖能、分化能、核型、特定の培養条件に対する反応性等が挙げられる。
「発現」の語は、遺伝子からの情報又は核酸分子内にコードされた情報が、「発現産物」の合成において用いられるような細胞内プロセスを指す。当該プロセスは、RNA及びタンパク質、適宜に分泌タンパク質を産生することに関与し、適用できる場合には、例えば転写、翻訳、フォールディング、修飾及びプロセッシングを含めるがこれに限定されない。「発現産物」には、遺伝子から転写されたRNA、及び遺伝子から転写されたmRNAの翻訳により得られたポリペプチドが含まれる。
本明細書で用いる場合、「PDX1+/NKX6−1+陽性膵前駆細胞」の語は、例えば膵臓内胚葉細胞に由来して、少なくとも例えば膵ベータ細胞等であるインスリン産生細胞へと分化する能力を有する、細胞を指す。PDX1+/NKX6−1+膵臓前駆体は、PDX1及びNKX6−1といったマーカーを発現して、例えば、多能性幹細胞(PSC)と比較して増加したレベルのPTF1A及びSOX9を発現することができる。
本明細書で用いる場合、「NKX6−1+」の語は、「NK6ホメオボックス1」遺伝子(Gene ID:4825)のmRNA(及び/又は随意にcDNA)又はタンパク質産物、参照により本明細書で援用される配列であってタンパク質及びmRNAの配列(及び/又は随意にcDNA)をはじめとする配列を指す。
本明細書で用いる場合、「PDX1」の語は、「膵臓及び十二指腸のホメオボックス1」遺伝子(Gene ID:3651)のmRNA(及び/又は随意にcDNA)又はタンパク質の産物、参照により本明細書で援用されるものの配列であって、タンパク質及びmRNAの配列(及び/又は随意にcDNA)を含めた配列を指す。
本明細書で用いる場合、「PDX1+/NKX6−1+細胞集団」の語は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最大約95%の、NKX6−1+細胞を含む、細胞集団を指す。他の因子もまた、発現され得る。NKX6−1陽性細胞集団はまた、少なくとも30%、35%、40%、又は少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最大で約95%の、NKX6−1+膵前駆細胞を含み得る。NKX6−1陽性細胞集団は、例えば、二次元(単一層)又は三次元(胚様体又は他の集合体形態)の形態をとり得る。
一部の実施形態においては、EGFと、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤とによる処理が、PDX1+/NKX6−1+細胞を生じさせるが、これは、BMP阻害剤の添加によって増大する。一部の実施形態においては、BMP阻害剤は、ノギン(noggin)、ドルソモルフィン、LDN、コーディン、BMPR1A又はBMPR1Bである。一実施形態においては、BMP阻害剤は、ノギンである。
本明細書において用いる場合、「BMP阻害剤成分」の語は、実施例10で提供する薬剤を、例えば遺伝子識別番号(Gene ID:9241)を有するヒトノギン等であるノギン(NOG)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(Gene ID:657)を有するヒトBMPR1Aである骨形成タンパク質受容体IA型(BMPR1A)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(Gene ID:658)を有するヒトBMPR1Bである骨形成タンパク質受容体IB型(BMPR1B)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を;小分子化学阻害剤ドルソモルフィン及びその塩、溶媒和物、及び組み合わせを;「DM−3189」としても知られる小分子化学阻害剤LDN 193189及び/もしくはその塩及び/もしくは溶媒和物を;及び、例えば遺伝子識別番号(Gene ID:8646)を有するヒトコーディン(CHRD)であるコーディン、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を、ならびに/又は、例えばノギンを含む組み合わせを含む上記のうちの2以上の組み合わせ、を含むがこれに限定されない、例えばTGFベータファミリーリガンドを結合することによってTGF−ベータ/BMPファミリーのシグナル伝達を阻害する、任意のポリペプチド又は化合物を意味する。それぞれ(例えば、Gene IDで識別される成分)の、タンパク質及びmRNAを含む配列は、参照により本明細書に援用される。
本明細書で用いる場合、「ノギン」の語は、遺伝子識別番号(Gene ID:9241)、参照により本明細書に援用される配列であってタンパク質及びmRNAの配列をはじめとする配列、を有する骨形成タンパク質アンタゴニストを指す。
化合物「ドルソモルフィン」には、以下の一般式の化合物:
Figure 2021525094
その塩、溶媒和物、及び/又は組み合わせ、が含まれる。
化合物「LDN」は、以下の一般式を有する化合物:
Figure 2021525094
その塩、溶媒和物、及び/又は組み合わせ、を意味する。
ある実施形態においては、ノギン成分は、ノギンである。ノギンの濃度は、例えば、約1ngから約500ng/ml、例えば約1ngから約250ng/ml、約10ngから約250ng/ml、約10ngから約100ng/mlの範囲にわたり得る。別の実施形態においては、ノギンの濃度は、約10ng/ml、約20ng/ml、約30ng/ml、約40ng/ml、約50ng/ml、約60ng/ml、約70ng/ml、約80ng/ml、約90ng/ml、約100ng/ml、約150ng/ml、約200ng/ml、約300ng/ml、約400ng/ml、又は約500ng/mlである。
本明細書で用いる場合、「EGF成分」の語は、例えば実施例11で提供される薬剤を、例えば遺伝子識別番号(Gene ID:1950)を有するヒトEGFである上皮増殖因子(EGF)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(Gene ID:374)を有するヒトAR/AREGであるアンフィレグリン(AR)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(Gene ID:7039)を有するヒトTGFαであるトランスフォーミング増殖因子α(TGFα)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(Gene ID:685)を有するヒトBTCであるベタセルリン(Betacellulin)(BTC)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性バリアント及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(Gene ID:1839)を有するヘパリン結合EGF様増殖因子(HB−EGF)、及び天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(Gene ID:2069)を有するヒトEREGであるエピレグリン(EREG/ER)、及び天然の活性バリアント及び活性断片を含むその活性バリアント及び活性断片を;例えば遺伝子識別番号(それぞれGene ID:3084、Gene ID:9542、Gene ID:10718、Gene ID:145957)を有するヒトNRGであるニューレグリン(例えばNRG1、NRG2、NRG3 NRG4を含む)、及び天然の活性バリアント及び活性断片を含むその活性バリアント及び活性断片を、ならびに/又は例えばヒトEGFを含む組み合わせである、上記のうちの2以上の組み合わせを含むがこれに限定されないEGF受容体ファミリーメンバー(ErbB1/HER−1/EGFR、Gene ID:1956、ErbB2/HER−2/neu、Gene ID:2064 ErbB3/HER−3、Gene ID:2065、及び/又はErbB4/HER−4、Gene ID:2066)のうちのいずれかを活性化する任意のポリペプチド又は小分子を意味する。
ある実施形態においては、本明細書で用いる場合、「EGF」の語は、例えば遺伝子識別番号(Gene ID:1950)、ならびに天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を有するヒトEGFである上皮増殖(EGF)を指す。
ある実施形態においては、EGF成分はEGFである。EGFの濃度は、例えば、約1ngから約500ng/ml、例えば約1ngから約250ng/ml、約10ngから約250ng/ml、約10ngから約100ng/mlの範囲にわたり得る。別の実施形態においては、EGFの濃度は、約10ng/ml、約20ng/ml、約30ng/ml、約40ng/ml、約50ng/ml、約60ng/ml、約70ng/ml、約80ng/ml、約90ng/ml、約100ng/ml、約150ng/ml、約200ng/ml、約300ng/ml、約400ng/ml、又は約500ng/mlである。
一部の実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、WIKI4、G007−LK、JW74、JW55、CMP24、CMP40、又はCMP4、又はその塩、溶媒和物、及び/又は複合体である。一実施形態においては、タンキラーゼ阻害剤は、WIKI4、G007−LK、JW74、又はJW55、又はその塩、溶媒和物、及び/又は複合体である。タンキラーゼ阻害剤の濃度は、例えば、約1μMから約100mM、例えば約10μMから約50mM、約1mMから約100mM、又は約1mMから約50mMの範囲にわたり得る。別の実施形態においては、Wnt阻害剤の濃度は、約1uM、約2uM、約5uM、約10uM、約15uM、約20uM、約30uM、約40uM、約50uM、約60uM、約70uM、約80uM、約90uM、又は約100uM、約1mM、約2mM、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約30mM、約40mM、約50mM、約60mM、約70mM、約80mM、約90mM、約100mMである。
一実施形態においては、この方法は、内胚葉細胞集団を、少なくとも1のBMP阻害剤成分(例えばノギン等);少なくとも1のEGF成分、及びタンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合する少なくとも1のタンキラーゼ阻害剤と接触させることを含む。
別の実施形態においては、この方法は、内胚葉細胞集団を、BMP阻害剤成分(例えばノギン等)、EGF成分、及びWIKI4、G007−LK、JW74又はJW55を含むタンキラーゼ阻害剤と接触させることを含む。
別の実施形態においては、この方法は、内胚葉細胞集団を、少なくとも1のBMP阻害剤成分(例えばノギン等)、少なくとも1のEGF成分、ならびにWIKI4、G007−LK、JW74及びJW55のうちの少なくとも1を含む少なくとも1のタンキラーゼ阻害剤と接触させることを含む。
ある実施形態においては、内胚葉細胞集団は、少なくとも1のBMP阻害剤成分、少なくとも1のEGF成分、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合する少なくとも1のタンキラーゼ阻害剤の組み合わせと、少なくとももしくは約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、又は少なくとも約10日間、接触させる。別の実施形態においては、内胚葉細胞集団は、当該組み合わせと、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、又は少なくとも約15日間、接触させる。PDX1+/NKX6−1+陽性、及び/又はインスリン産生細胞生成能は、培養細胞中で、例えば少なくとも30日以上持続可能であることがわかっている。
ある実施形態においては、本明細書に記載する方法は、内胚葉PDX1+細胞の集団からの約10%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは約95%を超えるPDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞、及び/又はPDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞からの、例えば約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、もしくは約95%を超えるインスリン産生細胞、の産生を誘導する。
ある実施形態においては、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤を用いた方法は、PDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞からの約25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は約95%を超えるインスリン産生細胞の産生を誘導する。
分化は、膵臓前駆体マーカーのレベルを測定することによって検出可能である。例えばNKX6−1、PDX1、PTF1A、及びSOX9は、例えばRT−PCRによってそのmRNA発現を検出可能であるような、膵臓前駆体マーカーである。分化はまた、例えばGP2、CD142及び抗−HPx1及び抗−HPx2に対する抗体等である、膵前駆細胞を認識する抗体を用いて検出可能である(Kelly et al.,2011,Ameri 2017,Cogger 2017,Ramond 2017)。
ある実施形態においては、内胚葉細胞集団は、例えば胚性幹細胞(ESC)又は人工多能性幹細胞(iPSC)等である多能性幹細胞(PSC)から分化される。
ある実施形態においては、多能性幹細胞は、例えばヒト等である哺乳動物からのものである。ある実施形態においては、多能性幹細胞は、ヒトESC(hESC)又はヒトiPSC(hiPSC)である。
本明細書において用いる場合、「iPSC」及び「人工多能性幹細胞」の語は、区別なく用いられて、また非多能性細胞から、典型的には成体体細胞から、例えば以下に限定されないがSOX2(Gene ID;6657)、KLF4(Gene ID;9314)、cMYC(Gene ID;4609)、NANOG(Gene ID;79923)、LIN28/LIN28A(Gene ID;79727))と組み合わせた1以上の遺伝子(POU4F1/OCT4(Gene ID;5460)を含む)の発現を誘導することによって、人工的に生じた(例えば、誘導又は完全な逆戻り(reversal)によって)多能性幹細胞を指す。
ある実施形態においては、この方法は、内胚葉細胞集団を獲得するステップを含む。例えば、本明細書に記載するように、例えばESC又はiPSC等である多能性幹細胞からの内胚葉細胞への分化は、ステージ1からステージ3を含むような国際公開第2013/163739号の図1において特徴付けられている一連のステップを含む。ステージ1は、例えば0日目から5日目の期間に及ぶ例えば3つのサブステージであるサブステージにさらに分割可能である。ステージ2は、例えば2〜3日の期間に及び得、またステージ3は、例えば1〜4日の期間に及び得る。2011年のNostroらが記載するように、ステージ1は、多能性幹細胞の集団を0日目にActA(又は他のNodalアゴニスト)及びWnt3aと接触させることと、当該集団を1日目にActA、bFGF及び随意にWnt3aと接触させることと、当該集団を2日目にActA及びbFGFと接触させて、ステージ1の分化細胞を産生することとを含み得る。ステージ2は例えば、分化しようとする集団(例えば、ステージ1の分化細胞)を線維芽細胞増殖因子10(FGF10)、随意にウイングレス型MMTV統合部位ファミリーメンバー3A(Wnt3a)、及び随意にドルソモルフィンと接触させて、ステージ2の分化細胞を産生することを含み得る。ステージ3は例えば、分化しようとする集団(例えば、ステージ2の分化細胞)をノギン、随意にシクロパミン−KAAD(Cyc)(又はその他のヘッジホッグ(HH)シグナル伝達阻害剤)、レチノイン酸(RA)、随意にFGF10と接触させて、内胚葉細胞集団を提供することを含み得る。ドルソモルフィンは、例えばコーディンLDN193189及びBMPR等である他のノギン成分と置き換えることが可能であり;ActAは、他のNodalアゴニストと置き換えることが可能であり、またWnt 3aは、例えばCHIR99021等の他のwnt/ベータカテニンアゴニスト等である他のWntシグナル伝達アゴニストと置き換えることが可能である。同様に、bFGF及びFGF10は、他のFGF、又はそれぞれbFGFもしくはFGF10と同じ受容体を活性化する化合物と置き換えることが可能である。レチノイン酸は、例えばレチノイン酸アナログで置き換えることが可能である。このプロトコールは、例えば以前に記載されたプロトコール(Nostro et al.,2011)であり得るか、及び/又は改変(例えば、1日目にWnt3aを、また5日目から7日目にExendin−4、Ex−4を添加)を伴い得る。例えば、プロトコールからFGF10及び/又はExendin−4を省略すること、並びに例えばWnt3aの代わりとしてCHIR99021(ステムジェント社(Stemgent)04−0004)を用いることといった変形を含める。ステージ3の細胞を生成するためのプロトコールは、米国特許第7,989,204号、第7,993,916号、第8,129,182号及び第8,187,878号に記載されており、そのそれぞれを参照により援用する。
ActAは、Nodalアゴニストである。本明細書で用いる場合、「Nodalアゴニスト」の語は、例えば「Nodal」(例えばGene ID:4338等であるヒトNodal)又は「アクチビン」等であるNodalシグナル伝達を活性化する任意の分子を意味する。本明細書において用いる場合、「アクチビン」又は「ActA」の語は、例えば、Nodalシグナル伝達のみならず、天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び活性断片を活性化することが可能である、例えばヒトアクチビンである「アクチビンA」(例えばGene ID:3624)ならびに随意に天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体及び断片を指す。
Wnt3Aは、wntシグナル伝達アゴニストである。本明細書で用いる場合、「wntシグナル伝達アゴニスト」の語は、肝細胞においてwnt/ベータ−カテニン受容体シグナル伝達を活性化する任意の分子を意味し、また例えばWnt3aのみならず、CHIR99021(Stemolecule(商標)、CHIR99021、ステムジェント社)、6−ブロモインジルビン−3’−オキシム(BIO)(Cayman Chemical社(カタログ:13123))、又はステムジェント社のStemolecule(商標)BIO(カタログ:04003)等であるGSK3選択的阻害剤を含む。CHIR99021は、GSK3の選択的阻害剤である。期待されるGSK3選択的阻害剤は、例えばWntシグナル伝達経路におけるGSK−3α/βに対する選択的阻害剤である。
FGF10及びbFGFは、FGF受容体シグナル伝達を活性化するFGFメンバーである。
本明細書で用いる場合、「FGFアゴニスト」の語は、例えばFGFを含むサイトカイン等である分子、又は、FGFシグナル伝達経路を活性化する、例えばFGF受容体を結合及び活性化する小分子、を意味する。本明細書で用いる場合、「FGF」の語は、例えばヒトFGF1(Gene ID:2246)、FGF2(bFGFとしても知られる;Gene ID:2247)、FGF3(Gene ID:2248)、FGF4(Gene ID:2249)、FGF5(Gene ID:2250)、FGF6(Gene ID:2251)、FGF7(Gene ID:2252)、FGF8(Gene ID:2253)、FGF9(Gene ID:2254)及びFGF10(Gene ID:2255)であり、随意に天然の活性複合体及び活性断片を含むその活性複合体ならびに活性断片を含む、任意の線維芽細胞増殖因子を指す。ある実施形態においては、FGFは、bFGF、FGF10、FGF4及び/又はFGF2である。
最大で3段階までに多能性幹細胞を分化するために追加される成分についての例示的な範囲は、先に記載されており(Nostro et al.,2011)、ならびに/又はサイトカイン及び小分子を、以下の濃度で使用することが可能である:アクチビンA(Act1:10〜1000ng/ml)、Wnt3a(ステージ1:25ng/ml)、CHIR99021(ステージ1:0.1〜3μM)、bFGF(0.1〜50ng/ml)、FGF10(5〜500ng/ml)、Wnt3a(ステージ2:3ng/ml)、ドルソモルフィン(DM:0.25〜0.75μM)、ノギン(NOG:1〜500ng/ml)、シクロパミン−KAAD(Cyc:0.5〜2.5μM)、レチノイン酸(RA:0.02〜2μM)、EGF(1〜500ng/ml)、Wnt阻害剤(1uM〜100mM)。
細胞を分化して内胚葉細胞集団を獲得する他の方法もまた、用いることが可能である。
さらなる態様には、多能性幹細胞集団からPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を産生する方法が含まれるものであって、当該方法は、ステップdと共にステップ(又はサブステップ)a、b及びcのうちの1又は複数を含むものであって、当該ステップは、
a.多能性幹細胞集団を
I.Nodalアゴニスト、随意にActA、及びwntシグナル伝達アゴニスト、随意にWnt3a又はCIHR 99021、
II.Nodalアゴニスト、随意にActA、FGFアゴニスト、随意にbFGF、及び随意にwntシグナル伝達アゴニスト、随意にWnt3a CIHR 99021、ならびに
III.Nodalアゴニスト、随意にActA、及びFGFアゴニスト、随意にbFGF、の組み合わせと接触させて、
ステージ1の分化細胞を産生すること、
b.ステージIの分化細胞をFGFアゴニスト、随意にFGF10と、随意にwntシグナル伝達アゴニスト、随意にWnt3aと、及び/又はノギン成分、随意にドルソモルフィンと接触させて、ステージ2の分化細胞を産生すること、
c.ステージ2の分化細胞を、ノギン成分、随意にノギン、レチノイン酸(RA)又はRAアナログと、随意にシクロパミン−KAAD(Cyc)と、FGFアゴニスト、随意にFGF10と、及び/又はExendin−4成分、随意にExendin−4と接触させて、内胚葉細胞集団を提供すること、ならびに
d.PDX1+内胚葉細胞集団を、当該内胚葉細胞集団の少なくとも一部をPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞に分化することを誘導するのに十分な量で、EGF成分と、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤とに接触させること、を含む。ある実施形態においては、ステップd)は、PDX1+内胚葉細胞集団を、BMP阻害剤成分と接触させることをさらに含む。
ある実施形態においては、ステージ2(随意にドルソモルフィンの代わりに)は、当該集団を少なくとも1のノギン成分と接触させることを含むか、及び/又はさらに含む。
ある実施形態においては、ステップは、ステップa、b及びcのうちの2以上を含む。例えば、当業者は、ステージ2の細胞又はその均等物に適用しようとする方法が、ステップc)及びd)を含むであろうことを認識するであろう。同様に、出発細胞集団のサブステージに応じて、a)の1又は複数のサブステップが実施され得るか、及び/又は除外され得る。
本明細書において用いる場合、「ステージ1の細胞」は、例えばNostro et al.,2011に記載されるように、二次元又は三次元の形態でのヒト多能性幹細胞(hESC及びhiPSC)のインビトロでの分化に次いで生成される、少なくとも、SRY−box含有遺伝子17(SOX17)(Gene ID:64321)及びケモカイン(C−X−Cモチーフ)受容体4(CXCR4)(Gene ID:7852)の発現によって特徴付けられる内胚葉細胞を意味する。
本明細書で用いる場合、「ステージ2の細胞」は、例えばNostro et al.,2011に記載されるように、二次元又は三次元の形態でのヒト多能性幹細胞(hESC及びhiPSC)のインビトロでの分化に次いで生成される、少なくとも、フォークヘッドボックスA2(FOXA2)(Gene ID:3170)の発現によって、及びHNF1ホメオボックスB(HNF1B)(Gene ID:6928)の発現によって特徴付けられる内胚葉細胞を意味する。
本明細書で用いる場合、「ステージ3の細胞」は、例えばNostro et al.,2011に記載されるように、二次元又は三次元の形態でのヒト多能性幹細胞(hESC及びhiPSC)のインビトロでの分化に次いで生成される、少なくとも、PDX1(Gene ID:3651)の発現によって特徴付けられる内胚葉細胞を意味する。
本明細書で用いる場合、「ステージ4の細胞」は、ヒト多能性幹細胞(hESC及びhiPSC)のインビトロでの分化に次いで生成される、少なくとも、NK6ホメオボックス1(NKX6−1)(Gene ID:4825)の発現によって、ならびに膵臓及び十二指腸のホメオボックス1(PDX1)(Gene ID:3651)の発現によって特徴付けられる内胚葉細胞を意味する。
PDX1/NKX6−1二重陽性前駆細胞は、例えば、インビボ及び/又はインビトロでインスリン産生細胞を生成するために用いることが可能である。
例えば、本明細書に記載の方法に従って産生した移植されたPDX1/NKX6−1二重陽性前駆細胞が、インスリン産生細胞に分化する(図8)。
インスリン産生細胞の検出は、例えばフローサイトメトリーによるc−ペプチド陽性、ならびに/又は例えばRT−PCRによる、インスリン及び/もしくはグルカゴンの発現の検出を例えば含み得る。
本明細書で用いる場合、「インスリン産生細胞」の語は、インスリンを分泌する、膵臓前駆体から分化した細胞を指す。インスリン産生細胞には、機能性膵ベータ細胞のみならず、恒常的なやり方もしくは誘導可能なやり方でインスリンを合成、発現又は分泌する膵ベータ様細胞が含まれる。例えば本明細書に記載の方法に従って内胚葉細胞を膵臓前駆体に分化して、その後のインスリン産生細胞への分化によって産生するインスリン産生細胞の集団は、機能性膵ベータ細胞又はベータ様細胞(例えば、内在性の機能性ベータ細胞の少なくとも2つの特性を有する細胞)とすることが可能である。例えば本明細書に開示の方法によって産生されるインスリン産生細胞の集団は、膵ベータ細胞又は膵ベータ様細胞を含み得、そしてまた非インスリン産生細胞(例えば、インスリンを産生又は分泌しない例外を伴うベータ細胞様表現型を含む細胞)を含有し得ることもまた期待される。
PDX1/NKX6−1二重陽性前駆細胞のインスリン産生細胞への分化は、例えば、(Rezania 2014、Pagliuca 2014)に開示の方法によって行われる。
本明細書で用いる場合、「C−ペプチド陽性/NKX6−1陽性細胞」は、例えば膵臓内胚葉細胞に由来し、またNKX6−1及びC−ペプチドであるマーカーを発現する、細胞を指す。本明細書で用いる場合、「C−ペプチド」は、プロインスリン分子内のインスリンのA−鎖とインスリンのB鎖とを結合させる短い31アミノ酸プリペプチド、又はこのポリペプチドのバリアント、又はこのポリペプチドの断片を指す。C−ペプチドは、インスリン産生のマーカーである。C−ペプチド陽性/NKX6−1陽性細胞は、Pagliuca 2014に開示の方法を用いて、NKX6−1陽性膵前駆細胞から分化可能である。C−ペプチド陽性/NKX6−1陽性細胞の集団は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最大約95%の、C−ペプチド陽性/NKX6−1陽性細胞を含む。
当該細胞は、混合細胞培養液として、収穫することが可能である(例えば、遠心沈殿させて好適な希釈液中に再懸濁させる)。
ある実施形態においては、当該方法は、例えばPDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞及び/もしくはC−ペプチド/NKX6−1二重陽性膵ベータ細胞を富化すること、ならびに/又は単離することを含む。
ある実施形態においては、単離するステップは、細胞の集団を、NKX6−1陽性細胞を結合する特異的な薬剤と接触させることを含む。
例えば実施例4において、GP2、CD142、HPx1及びHPx2に向けられる抗体を用いて、NKX6−1陽性細胞に関して富化することが可能である、ということも実証された。
したがって、ある実施形態においては、当該方法は、NKX6−1陽性細胞を含む細胞の集団を、HPXエピトープ検出抗体と接触させることを含む。
組成物及びキット
PDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞と、分化したインスリン産生細胞とは、単離することが可能である。したがって、さらなる態様は、PDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞及び/又は例えば本明細書に記載の方法に従って産生した分化したインスリン産生細胞の、富化され、精製され、又は単離された細胞集団を含む。別の態様は、PDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞及び/又は分化したインスリン産生細胞の、富化され、精製され、又は単離された細胞集団を含む組成物、ならびに好適な希釈剤を含む。
好適な希釈剤は、例えば、好適な培地、又は例えば血清、血清代替物、もしくは血清添加剤、及び/もしくはジメチルスルホキシド(DMSO)、グリセロールメチルセルロース、もしくはポリビニルピロリデン等の好適な凍結防御物質を含有する凍結培地(freezing medium)を含む。
さらなる態様は、BMP阻害剤成分を伴って又は伴わずに、EGF成分、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、を含む培地添加物組成物を含むが、これは細胞培養基本培地の添加剤として用いることが可能である。添加剤にはまた、アスコルビン酸、L−グルタミン及びB27(又はNeurobrew−21等の代替物)等の本明細書で論じる他の成分が含まれ得る。ある実施形態における添加剤は、以下の有効成分を含む:BMP阻害剤、EGF、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、ならびに随意に、アスコルビン酸、L−グルタミン及びB27のうちの1又は複数。
PDX1+内胚葉細胞からPDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞を分化するための成分は、例えばDMEM(又は例えばIMDM、RPMI、CMRL)等、基礎培地に添加される単一の添加剤として含めることが可能である。添加剤は、ある実施形態においては、以下の有効成分を含有することとなる:BMP阻害剤、EGF、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、アスコルビン酸、L−グルタミン、及びB27。
さらなる態様は、1つのステージから別のステージへと細胞を分化するのに好適な培地組成物である。例えば、好適な培地組成物は、例えばEGF成分、及び/又はタンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、随意にBMP阻害剤成分、及び/又は、さらに本明細書に記載の他の増殖因子を含み得る。
本明細書で言及する場合、「細胞培地」(本明細書においては「培養培地」又は「培地」とも呼ぶ)の語は、細胞生存率を維持して、増殖及び随意に分化を支持する栄養素を含有する、細胞を培養するための培地である。細胞培地は、適切な組合せで、以下のうちのいずれかを含有し得る:塩、緩衝液、アミノ酸、グルコース、又は他の糖類、抗生剤、血清又は血清代替物、及びペプチド増殖因子、ビタミン等の他の成分。特定の細胞型に通常用いられる細胞培地は、当業者にとって公知である。
好適な培地は、例えばDMEM(ライフテクノロジーズ社)、IMDM、RPMI、CMRL及び/もしくはその他を含む好適な基本培地、又は、内胚葉細胞の増殖を支持して、例えば組成物及び随意に他の薬剤を添加することが可能である基本培地組成物を提供(例えば、好適なステージ4の培地組成物を提供)する培地を含むことが可能である。
培地は、例えば、PDX1+内胚葉細胞の集団を培養して、PDX1/NKX6−1二重陽性分化を誘導することが可能である。
したがって、さらなる態様は、細胞培養基本培地、ならびに
i.EGF成分、
ii.タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、及び
iii.BMP阻害剤成分、のうちの1又は複数、を含む培地組成物である。
一部の実施形態においては、培地組成物(又は基本培地)は、ペニシリン及びストレプトマイシン等である1もしくは複数の抗生剤;L−グルタミン(ライフテクノロジーズ社)等の1もしくは複数のアミノ酸、血清代替物であるB27添加剤(ライフテクノロジーズ社)、ならびに/又はL−アスコルビン酸(シグマ社)等である1もしくは複数のビタミンをさらに含み得る。
添加剤中の成分の量は、例えば、培地中に希釈したとき(例えば、450mLの基本培地中に希釈したとき)に、例えば内胚葉集団を分化することに関して本明細書に記載した濃度を結果的にもたらすような量であり得る。同様に、培地中の成分の濃度は、例えば内胚葉集団を分化することに関して本明細書に記載した濃度であり得る。
さらなる態様は、
EGF成分、
タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、及び/又は
BMP阻害剤成分、を含むキットを含む。
上記に記載したように、組成物およびキットの成分は、本明細書の別の箇所に記載した成分のいずれかと、随意に使用のための指示とを含み得る。例えば、ある実施形態においては、キットは、本明細書に記載の1又は複数のステージの分化を誘導する成分等を含む添加剤(例えばステージ4の添加剤)を含む。ある実施形態においては、キットは、基本培地、随意に本明細書に記載の基本培地を含む。
使用
PDX1+/NKX6−1+ HPSC由来の膵臓前駆体及びそれらのベータ細胞誘導体は、複数の用途に用いることが可能である。
例えば、PDX1+/NKX6−1膵前駆細胞は、予測的な薬物毒性学及び創薬に使用することが可能である。
したがって、ある実施形態においては、本明細書に記載の方法により生成したPDX1+/NKX6−1を発現する集団を試験化合物と接触させることと、当該試験化合物が、対照と比較して1)増殖を刺激する、2)アポトーシスの契機となる、及び/又は3)PDX1/NKX6−1発現細胞のインスリン産生ベータ様細胞への、他のホルモン産生細胞(例えば、ソマトスタチン、グルカゴン、膵臓ポリペプチド及びグレリン)、腺房細胞又は導管細胞への分化を誘導するか否かを判断することとを含む、アッセイを提供する。当技術分野で公知のアッセイを用いて、例えば、アポトーシス及び/又は細胞増殖を評価することが可能である。ホルモン産生細胞への分化は、ホルモン産生、随意に分泌されたホルモンを測定することによって、又はmRNAレベルを評価することによって評価することが可能である。
HPX抗体の使用により、試験化合物との接触のためにより均一な集団を提供することによって、化合物のスクリーニングを促進することが可能である。
記載の細胞はまた、細胞移植に用いることが可能である。例えば、細胞、富化及び/もしくは単離したPDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞、ならびに/又はNKX6−1陽性インスリン産生細胞の混合集団は、例えば糖尿病及び/又は前糖尿病状態を治療するためにそれを必要とする対象に導入することが可能である。
したがって、ある態様は、細胞を獲得することならびに/又は本明細書に記載の方法に従って膵前駆細胞及び/もしくはインスリン産生細胞を調製することと、当該細胞を、例えば糖尿病を患う対象であるそれを必要とする対象に投与することとを含む。
例えば糖尿病を患う対象に移植及び/又は治療を行うために、それを必要とする対象に移植及び/又は治療を行うための当該細胞を含む、当該細胞及び組成物の使用がまた含まれる。
ある実施形態においては、糖尿病はI型糖尿病である。別の実施形態においては、糖尿病はII型糖尿病である。
ある実施形態においては、PDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞及び/又はベータ細胞は、組織工学に用いられる。例えば、膵臓系統細胞の精製した集団へのアクセスは、規定された数の膵臓細胞を含めた改変コンストラクトの産生を可能にすることとなる。
ある実施形態においては、当該方法は、患者の特定の疾患のhiPSCに適用して、例えば糖尿病のモデル化に用いられる。例えば、糖尿病を患う患者から膵細胞又は他の細胞を単離し、処理して、それによりその後の培養によりPDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞への分化を誘導するhiPSCを得ることが可能である。これら細胞を用いて、例えば疾患に関与する遺伝子又は患者の免疫細胞への反応等である疾患の特性を評価することが可能である。
例えば、正常細胞と、患者の特定の疾患のhiPSCとをPDX1/NKX6−1二重陽性膵臓細胞に誘導して、他の細胞型と比較することが可能である。例えば、正常の及び患者の特定のhiPSCからの膵臓前駆体及びベータ細胞について、遺伝子的、エピジェネティック的、及びプロテオミクス的な解析を行うことが可能である。こうした詳細な解析は、シグナル伝達経路、転写調節ネットワーク、及び/又は正常ヒト膵臓の発生を調節する細胞表面マーカーのみならず疾患に関与する細胞表面マーカーの発見につながり得る。
本明細書で用いる場合、「対象」又は「患者」の語は、哺乳動物を含めた動物界の全てのメンバーを含み、また好適にはヒトを指す。
インビトロ細胞培養に適用する場合、「治療する、処理する」、「治療すること、処理すること」、「治療、処理」等の語は培地をあらゆる種類のプロセスもしくは条件に供すること、又は、任意の化合物を培地に添加すること、もしくは除去することを含む。単離された細胞に適用する場合には、細胞をあらゆる種類のプロセスもしくは条件に供すること、又は細胞に対してあらゆる種類の操作もしくは手順を行うことを含む。対象に適用する場合には、この語は、個体に対して、医療上又は外科的な注意、ケア、又は管理を提供することを指す。
本明細書で用いる場合、対象に適用する「治療」の語は、臨床結果を含めた有益な結果又は所望の結果を得ることに向けたアプローチを指し、また糖尿病を治療するための、例えば薬剤的介入、外科手術、放射線療法及び自然療法的介入である医療処置ならびに適用のみならず試験治療を指す。有益又は所望の臨床結果には、1もしくは複数の症状もしくは状態の緩和又は改善、疾患の程度の縮小、安定化した(例えば、悪化ではない)病状、疾患の拡散の防止、疾患の進行の遅延又は減速、病状からの寛解、病状の緩和又は寛解、及び、検出可能か又は検出不可能である寛解(部分的か又は全体的)が含まれ得るが、これに限定されない。「治療」はまた、治療を受けない場合に予測される生存期間と比較して生存期間が長くなることを意味し得る。
本明細書で用いる場合、「投与すること」、「導入すること」、及び「移植すること」の語は、所望の部位において導入される細胞の少なくとも部分的な局在を結果としてもたらす方法又は経路によって、細胞(例えば、PDX1/NKX6−1二重陽性膵前駆細胞、又はそれらの分化した後代(例えば、膵ベータ細胞等のインスリン産生細胞)を対象に送達する文脈において区別なく用いる。細胞は、膵臓に直接移植可能であるか、あるいは移植した細胞又は細胞の成分の少なくとも一部が生存可能のままであるような対象における所望の位置への送達を結果的にもたらす任意の適切な経路によって投与することが可能である。
さらに、特定の項において記載する定義及び実施形態は、当業者によって理解されることとなるのに好適である本明細書に記載の他の実施形態に適用可能であることを意図している。例えば、続く節において、本発明の異なる態様がより詳細に規定される。そのように規定された態様のそれぞれは、その反対のことを明示していない限り、任意の他の態様と組み合わせてもよい。特に、好ましい又は有利であるとして示した任意の特徴は、好ましい又は有利であると示したその他の特徴と組み合わせてもよい。
上記の開示は、概して、本願を記述するものである。以下の特定の実施例を参照することにより、より完全な理解が得られうる。これら実施例は、説明の目的のためのみに記載され、本願の範囲を限定することを意図するものではない。状況が適切な手段を示唆する又は与える可能性がある場合は、形態上の変更及び均等物での置換が検討される。特定の語が本明細書で採用されているが、そうした語は、説明的な意味を意図しているものであって、限定の目的を意図しているものではない。
以下の非限定的な実施例は、本開示の例証である:
実施例1
タンキラーゼ阻害剤は、インスリン産生細胞に分化するPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を誘導する
この報告においては、種々のhPSC株からPDX1+/NKX6.1+内胚葉を生成する新規の方法を提示する。INS遺伝子座に対してGFPレポーター株を用いることにより、タンキラーゼ阻害剤が同様の膵臓前駆体集団を生成したにもかかわらず、IWR−1及びWIKI4等の選択的タンキラーゼ阻害剤で処理した細胞は、分化21日目に、より高い割合のインスリン:GFP+細胞を生成することができたということを実証した。(図1〜5を参照のこと)。
実施例2
ARDT5及び6を標的とする特異的なARDT阻害剤(TANK1及びTANK2)は、H1細胞株を用いてベータ様細胞を生成する膵前駆細胞を生じる。
試験されたARDT阻害剤は、タンキラーゼタンパク質のアデノシンサブサイト(ARDT5/6としても知られる)を標的とすることによって、タンキラーゼシグナル伝達を拮抗する。反対に、PARP1/2を阻害するだけである化合物MK4827で処理した細胞が、DMSO対照と同様の集団を生成した[図5]。公開されているプロトコール(Rezania 2014、Paglica 2014)を用いてこれらタンキラーゼ阻害剤由来の膵臓前駆体を培養することによって、23日目にc−ペプチド+/NKX6.1+ベータ様集団を生成することができた。(図6及び7を参照のこと)。
実施例3
WIKI4により生成された膵臓前駆体は、インビボで内分泌細胞、外分泌細胞、及び導管細胞に発達した。
それらのインビボでの発生能を評価するために、WIKI4により生成した膵臓前駆体を、免疫不全マウスに、皮下に移植した。移植片を、移植3ヶ月後に解析して、インスリン、NKX6−1、グルカゴン、サイトケラチン19及びトリプシンについて染色した。蛍光免疫染色により、WIKI4処理した細胞は、ベータ様細胞(インスリン+/NKX6−1+)、アルファ様細胞(グルカゴン+/インスリン−)、トリプシン+及びサイトケラチン19+の細胞に発達する能力を有することが実証されたが、これは両方の内分泌細胞、腺房細胞、及び導管細胞の存在を実証する(図8を参照のこと)。
実施例4
WIKI4により生成したベータ様細胞は、インビボで内分泌細胞に発達した。
それらのインビボでの発生能を評価するために、WIKI4により生成したベータ様細胞含有培養物を、免疫不全マウスに、皮下に又は腎臓被膜下に移植した。移植片を、移植7.5週後に解析して、インスリン、グルカゴン及びソマトスタチンについて染色した。蛍光免疫染色により、WIKI4処理した細胞は、ベータ様細胞(インスリン+)、アルファ様細胞(グルカゴン+)、及びデルタ様細胞(ソマトスタチン+)によって特徴付けられる島様細胞に発達する能力を有することが実証された(図9を参照のこと)。
実施例5
WIKI4により生成したベータ様細胞は、動物糖尿病モデルにおいて糖血症を正常化する。
それらのインビボでの機能性を評価するために、WIKI4により生成したベータ様細胞含有培養物を、ストレプトゾトシン注射により高血糖にさせた免疫不全マウスに、皮下に又は腎臓被膜下に移植した。血糖は、最初に、インスリンペレットによって(0〜4週及び8〜12週に腎臓被膜で、ならびに0〜4週及び10〜14週に皮下に)、次いで移植細胞によって、正常化したが、これはグルコースを感知し、それに応じてインスリンを放出するというそれらの能力を実証している(図10を参照のこと)。
本願は、好ましい実施例であると現在考えられるものを参照しながら記載したが、本願は、開示の実施例に限定されないということを理解されたい。それとは反対に、本願は、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な変形及び均等の措置をカバーすることを意図している。
全ての公開公報、特許及び特許出願が、個々の公開公報、特許又は特許出願のそれぞれをその全体を参照により援用するように具体的に個別に示した場合と同程度に、その全体を参照により本明細書に援用する。特に、本明細書に提供した各アクセッション番号に関連する配列は、例えば表やその他に提供されるアクセッション番号及び/又はバイオマーカー配列(例えば、タンパク質及び/又は核酸)を含めて、その全体を参照により援用する。
参考文献一覧
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Claims (28)

  1. PDX1+内胚葉細胞集団からPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を産生する方法であって、当該内胚葉細胞集団を、
    EGF成分、及び
    タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤と接触させて、
    PDX1+内胚葉細胞集団の少なくとも一部を、PDX1+NKX6−1+膵前駆細胞に分化することを誘導することを含む、方法。
  2. 前記タンキラーゼ酵素は、TNK1又はTNK2である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記タンキラーゼ阻害剤は、タンキラーゼ酵素のニコチンアミドサブサイトよりも、アデノシンサブサイトに対してより高い親和性を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記タンキラーゼ阻害剤は、前記アデノシンサブサイトに選択的に結合する、請求項1のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記タンキラーゼ阻害剤は、前記タンキラーゼ酵素のニコチンアミドサブサイトに結合しない、請求項1に記載の方法。
  6. PDX1+内胚葉細胞集団を、BMP阻害剤成分と接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記BMP阻害剤成分は、ノギン、ドルソモルフィン、LDN、コーディン、BMPR1A、又はBMPR1Bである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記タンキラーゼ阻害剤は、WIKI4、G007−LK、JW74、JW55、CMP24、CMP40、もしくはCMP4、又はその塩、溶媒和物、及び/もしくは複合体である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記タンキラーゼ阻害剤は、WIKI4、G007−LK、JW74、もしくはJW55、又はその塩、溶媒和物、及び/もしくは複合体である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記PDX1+内胚葉細胞集団を、ノギン、EGF、ならびにWIKI4、G007−LK、JW74及びJW55のうちの1つと接触させることを含む、請求項7に記載の方法。
  11. 前記PDX1+内胚葉細胞集団を、ノギン、EGF、ならびにG007−LK、JW74又はJW55及びWIKI4のうちの少なくとも1つと接触させることを含む、請求項7に記載の方法。
  12. 内胚葉PDX1+細胞集団は、胚性幹細胞(ESC)又は人工多能性幹細胞(iPSC)等である多能性幹細胞(PSC)から分化される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 多能性幹細胞は、ヒトESC(hESC)又はヒトiPSC(hiPSC)である、請求項12に記載の方法。
  14. PDX1+内胚葉細胞集団を産生することをはじめに含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
  15. PDX1+内胚葉細胞集団を産生することは、
    a.多能性幹細胞集団を
    I.Nodalアゴニスト、随意にActA、及びwntシグナル伝達アゴニスト、随意にWnt3a又はCIHR 99021、
    II.Nodalアゴニスト、随意にActA、FGFアゴニスト、随意にbFGF、及び随意にwntシグナル伝達アゴニスト、随意にWnt3a CIHR 99021、及び
    III.Nodalアゴニスト、随意にActA、及びFGFアゴニスト、随意にbFGF、の組み合わせと接触させて、
    ステージ1の分化細胞を産生すること、
    b.前記ステージ1の分化細胞を、FGFアゴニスト、随意にFGF10と、随意にwntシグナル伝達アゴニスト、随意にWnt3aと、及び/又はノギンと接触させて、ステージ2の分化細胞を産生すること、ならびに
    c.前記ステージ2の分化細胞を、ノギン、及び随意にシクロパミン−KAAD(Cyc)、FGFアゴニスト、随意にFGF10、及び/又はExendin−4成分、随意にExendin−4と接触させて、内胚葉細胞集団を提供すること、のステップのうちの1又は複数を含む、請求項14に記載の方法。
  16. PDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を、インスリン産生細胞集団に分化することをさらに含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
  17. 前記インスリン産生細胞集団は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最大で約95%までの、インスリン産生細胞を含む、請求項16に記載の方法。
  18. 前記インスリン産生細胞集団は、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最大で約95%の、C−ペプチド+/NKX6.1+細胞を含む、請求項16に記載の方法。
  19. EGF、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、及び随意にBMP阻害剤を含む、培地の添加剤組成物。
  20. 好適な基本培地、EGF、タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、及び随意にBMP阻害剤を含む、培地の培養組成物。
  21. キットであって、
    EGF成分、
    タンキラーゼ酵素のアデノシンサブサイトに結合するタンキラーゼ阻害剤、及び
    随意にBMP阻害剤成分を含む、キット。
  22. 対象を治療する方法であって、
    a.請求項1から18のいずれか一項に記載の方法に従ってPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を含む細胞の集団を産生することと、
    b.前記細胞の集団、又は富化した及び/もしくは単離したPDX1+/NKX6−1+細胞集団を、前記対象に導入することとを含む、方法。
  23. 分化の前に、PDX1+/NKX6−1+前駆細胞集団を富化及び/又は単離することをさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  24. 請求項23に記載の方法に従って産生した、富化及び/又は単離したPDX1+/NKX6−1+細胞集団、ならびに/又は当該細胞集団及び好適な希釈剤を含む組成物。
  25. 少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又は最大約95%の、NKX6−1+細胞を含む、請求項24に記載の富化及び/又は単離したPDX1+/NKX6−1+細胞集団。
  26. 少なくとも30%、35%、40%又は少なくとも50%の、PDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞を含む、請求項24に記載の富化及び/又は単離したPDX1+/NKX6−1+細胞集団。
  27. 請求項1から18のいずれか一項に規定するPDX1+/NKX6−1+膵前駆細胞、請求項16から18のいずれか一項に規定するインスリン産生細胞集団、又は請求項24から26のいずれか一項にかかる富化及び/もしくは単離したPDX1+/NKX6−1+細胞集団、の使用であって、インスリン欠乏関連疾患の治療、創薬、膵臓関連疾患の試験、移植組織工学及び/又は疾患のモデル化に関する、使用。
  28. 前記インスリン欠乏関連疾患は、1型糖尿病又は2型糖尿病である、請求項27に記載の使用。
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