JP2021518855A - Wntシグナル伝達経路阻害剤としてのピラゾール誘導体 - Google Patents

Wntシグナル伝達経路阻害剤としてのピラゾール誘導体 Download PDF

Info

Publication number
JP2021518855A
JP2021518855A JP2020568845A JP2020568845A JP2021518855A JP 2021518855 A JP2021518855 A JP 2021518855A JP 2020568845 A JP2020568845 A JP 2020568845A JP 2020568845 A JP2020568845 A JP 2020568845A JP 2021518855 A JP2021518855 A JP 2021518855A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
alkyl
compound
group
substituted
cancer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020568845A
Other languages
English (en)
Inventor
エル. カタナエフ ウラジミル
エル. カタナエフ ウラジミル
コヴァル アレクセイ
コヴァル アレクセイ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Universite de Lausanne
Original Assignee
Universite de Lausanne
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Universite de Lausanne filed Critical Universite de Lausanne
Publication of JP2021518855A publication Critical patent/JP2021518855A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D405/00Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom
    • C07D405/14Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing three or more hetero rings
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D401/00Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom
    • C07D401/02Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom containing two hetero rings
    • C07D401/04Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom containing two hetero rings directly linked by a ring-member-to-ring-member bond
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D401/00Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom
    • C07D401/14Heterocyclic compounds containing two or more hetero rings, having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, at least one ring being a six-membered ring with only one nitrogen atom containing three or more hetero rings
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D405/00Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom
    • C07D405/02Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing two hetero rings
    • C07D405/10Heterocyclic compounds containing both one or more hetero rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms, and one or more rings having nitrogen as the only ring hetero atom containing two hetero rings linked by a carbon chain containing aromatic rings

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Plural Heterocyclic Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、Wntシグナル経路の阻害剤としての新規の化合物群に関する。最良の化合物は、低いマイクロモル濃度における効力および高い有効性(>80%)を示すとともに、良好なミクロソーム安定性を示した。さらに、化合物の生体外特性は、種々の抗癌アッセイで有望な効果を示した。最後に生体内特性は、***組織において高い蓄積を示した。

Description

本発明は、Wntシグナル伝達経路の阻害剤としての新規の化合物群に関し、特に、この化合物群をトリプルネガティブ乳癌などの癌の治療に使用することに関する。さらに、本発明は、このようなWnt経路阻害剤を含む組成およびその医学的利用に関する。
Wntシグナル伝達は、種々の形態の癌に関係していることが知られている。例えば、乳癌は、女性の癌疾患の中で世界中で最も診断数が多く、癌による死因の主要なものである。乳癌は、一般に、互いに排他的でないER+乳癌(75%)とHER2+乳癌(20%)、およびTNBC(15%)の3つの主なサブタイプに分けられる。TNBCは、最も割合が低いものの、その悪性度、進行の速さ、再発により、不釣り合いに高い乳癌による死亡数の原因となっている。TNBCは、現在有効な薬の標的であるエストロゲン、プロゲステロン、およびヒト上皮増殖因子受容体2(HER2)の受容体の欠如を特徴とする。よって、TNBC患者は、手術、放射線療法、化学療法に頼るしかなく、新規の標的治療が緊急に求められている。Wnt経路阻害剤は、一般に抗癌剤として、特にTNBC(トリプルネガティブ乳癌)などの乳癌に対して使用される可能性を有している。この伝達経路は、動物の胚発生に関係する重要な経路の1つであり、細胞の増殖や分化の制御を含む数多くの役割を担っている。しかし、健康な成体組織では、胃腸管の再生や負傷後の造血や再生などのいくつかの例外を除いてほぼ不活性である。この経路の異常な活性は、癌などの腫瘍性疾患を引き起こすおそれがある(非特許文献1、非特許文献2)。悪性のTNBC乳癌は、現在有効な標的治療に反応しないので、癌、特にこの疾患(TNBC)と闘うための薬の開発が緊急に求められている。従って、TNBC乳癌などのWnt経路に依存する癌の有効な治療のための新規の化合物が有益である。
Wnt経路およびこの経路に作用する化合物に関する報告書が公表されている。
例えば、非特許文献3は、関与する仕組みの解析を目的とする研究において、一連の1,2,3−チアジアゾール−5−カルボキサミドによるWntシグナル伝達の阻害を調べている。著者は、カルボキサミドがミトコンドリア電位の脱共役を通してATP合成を阻害するか、Wnt経路を阻害するようにSERCA2を通してイオン透過担体として機能すると報告している。開示された化合物は、本発明とは異なる。
特許文献1は、細胞核内のβ−カテニンに結合し、β−カテニンがWntシグナル伝達により誘発される癌細胞の増殖に関連するBCL9タンパク質に結合するのを防止するスルホンアミドを開示している。細胞透過性が良好な比較的分子量が低いスルホンアミドに特に注目しており、これは、これらの化合物が、同様の仕組みで作用する同様で既知のWnt阻害剤よりも良好に作用することが期待されるためである。特許文献1は、乳癌治療に言及しているが、TNBCの治療にスルホンアミドを使用することを開示していない。また、開示された化合物は、本発明とは異なる。
非特許文献4は、細胞生存度に対する作用を評価するために、種々の癌細胞株における1−アリール−3,5−ビス(ヘテロ)アリールピラゾール誘導体のスクリーニングを開示している。これらの化合物は、乳腺癌細胞および白血病細胞に対して細胞毒性があることが発見された。彼らの研究は、これらの化合物が、癌細胞のアポトーシスを引き起こすことにより細胞死を誘発することを明らかにした。非特許文献4は、Wntシグナル伝達経路や観察結果がWntシグナル伝達経路にどのように関連し得るのかについて記載していない。また、開示された化合物は、本発明とは異なる。
非特許文献5は、1,2,3−トリアゾールおよびイソオキサゾールが連鎖したピラゾール誘導体の合成を開示している。MCF7乳癌細胞を含む4つの癌細胞株に対する化合物の抗増殖効果が評価された。非特許文献5は、Wnt経路や観察結果がWnt経路にどのように関連し得るのかについて記載していない。また、開示された化合物は、本発明とは異なる。
本願の発明者は、Wnt経路を標的にするヒット化合物を特定するために転写読取ベースのスクリーン(トップフラッシュアッセイ)によって低分子群のスクリーニングを行った。特定された分子のいくつかを合成し、さらに、抗癌性を生体外および生体内で調べた。発明者は、驚くべきことに本発明の化合物によるWnt経路の阻害によって、例えば、TNBCの成長が抑制されることを発見した。
国際公開第2008/071398号
Nusse, R., Wnt signaling in disease and in development. Cell Res, 2005. 15(1): p. 28-32 Polakis, P., Drugging Wnt signalling in cancer. EMBO J, 2012 31(12): p. 2737-46 Casas-Selves, M. et al. ChemMedChem, 2017, 12: p. 917-924 Ananda, H. et al. Mol Cell Biochem, 2017, 426 p. 149-160 Madhavilatha, B. et al. Med Chem Res, 2017, 26, p. 1753-1763
従って、本発明の目的は、Wntシグナル経路を阻害するための新規の化合物の特定に関する。特に、本発明の目的は、TNBC乳癌などのWnt経路依存の癌を抑制する新規の化合物を提供することである。
従って、本発明の第1態様は、以下の式(I)の化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物に関する。
Figure 2021518855

ここで、
Xは、NとCHからなる群から選択され、
、L、およびLは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、結合、置換もしくは無置換のC−Cアルキレン、置換もしくは無置換のC−Cアルケニレン、置換もしくは無置換のC−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、Lは結合ではなく、
およびRは、H、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択され、
ArおよびArは、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択される。
本発明の第2態様は、医薬品として使用される第1態様に係る化合物に関する。
本発明の第3態様は、癌、特にトリプルネガティブ乳癌の治療に使用される第1態様に係る化合物に関する。
本発明の第4態様は、Wnt経路依存の癌などの癌、特にトリプルネガティブ乳癌の治療方法に関し、この方法は、必要な患者に本発明の第1態様に係る化合物を投与するステップを含む。
本発明の第5態様は、本発明の第1態様に係る化合物と、製薬的に許容される担体と、を含む組成に関する。
本発明の第6態様は、本発明の第1態様に係る化合物と、製薬的に許容される追加の抗癌化合物と、製薬的に許容される担体と、を含む組成に関する。
Wntシグナル経路の説明図である。 化合物1(FSA)の濃度の関数としてWnt応答(コントロール%)を示している。Wnt−3aによる全経路活性(円);LiClによる下流要素のみの活性(四角);ウミシイタケ、細胞の健康の制御(三角)。実施例3も参照されたい。 Wnt3aまたはLiClのいずれかを使用した化合物1(50μM)の効果を比較するβ−カテニン安定化アッセイを示している。 化合物1(50μM)がTNBC細胞株HCC1395における活性β−カテニン安定化、およびL細胞における総β−カテニンレベルを低下させることを示している。実施例4も参照されたい。 化合物1(50μM)がL細胞(左のパネル)およびHCC1395細胞(TNBC、右のパネル)におけるDVLのリン酸化を抑制することを示している。実施例5も参照されたい。 化合物1の投与量に依存する応答における細胞%(BT−20,TNBC)を示している。 化合物1がある場合とない場合のBT−20、HCC1806、およびMDA−MB231のTNBC細胞のスクラッチ回復を示している。実施例7も参照されたい。 化合物1がある場合とない場合のHCC1395、BT−20、HCC1806、MDA−MB231、およびMDA−MB468細胞の増殖を示している。実施例8も参照されたい。 化合物1のミクロソーム安定性(CYP[円]およびCYP+UGT[四角])を示している。実施例9も参照されたい。 化合物1(FSA)の生体における薬物動態プロファイルを示している。時間の関数として血漿中濃度を示している。実施例10も参照されたい。 化合物24(F2−95)の生体における薬物動態プロファイルを示している。時間の関数として血漿中濃度を示している。実施例10も参照されたい。 25(F2−99)の生体における薬物動態プロファイルを示している。時間の関数として血漿中濃度を示している。実施例10も参照されたい。 実施例11で説明した化合物1(FSA)の合成経路を示している。 実施例12で説明した化合物24(F2−99)の合成経路を示している。 実施例13で説明した化合物25(F2−95)の合成経路を示している。
以下に本発明をより詳細に説明していく。
[定義]
本発明を詳細に説明する前に、以下の用語および約束事を定義する。
本文中において、C−C10アルキルは、いずれかの炭素原子から水素原子を取り除くことによって、アルカン(C2n+2)またはシクロアルカン(C2n)から得られる1価基であり、nは1〜10である(1〜10の炭素原子が含まれる)。C−C10アルキルは、鎖状(−C2n+1)、分枝状(−C2n+1)または環状(−C2n−1)であり得る。分枝状でないアルキルの末端炭素原子から水素原子を取り除くことによって得られる基は、直鎖アルキル(n−アルキル)基(H(CH−)のサブクラスを構成する。C−C10などのC−Cは、一般に、アルケニル、アルキニル、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンについても炭素原子の総数を示す。C−C10のアルケニルおよびアルキニルは、鎖状または分枝状、C−C10のアルケニルは環状であり得る。さらに、C−C10のアルケニルおよびアルキニルは、1つまたはそれ以上のアルケンまたはアルキンを含み得る。
本文中において、アルキレンは、プロパン−1,3−ジイル(−CHCHCH−)やプロパン−1,2−ジイル(−CH(CH)CH−)など、隣接する炭素原子が必ずしも自由原子価を有していないアルカンジイル基である。アルケニレンおよびアルキニレンは、少なくとも1つの二重結合(アルケン)または三重結合(アルキン)をそれぞれ含むアルケンジイルやアルキンジイルと同様に理解すべきである。
本発明の第1形態は、以下の式(I)の化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物に関し、
Figure 2021518855

ここで、
Xは、NとCHからなる群から選択され、
、L、およびLは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、結合(bond)、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、
およびRは、H、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択され、
ArおよびArは、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択される。
、L、およびLについては、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンは、それぞれ置換もしくは無置換のものとすることができる。
好ましくは、L、L、およびLは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトンおよび
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、結合、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、Lは結合ではない。
本文中において、「Lが結合であれば、Lは結合ではない」とは、Lが(コア複素環の窒素をArに単に結合する)結合であれば、Lは結合ではないという意味で理解されるべきある。すなわち、このような場合には、Lは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群から選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択される。
別の実施形態では、L、L、およびLは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、結合、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、−L−Rは水素(−H)を構成しない。
本文中において、「アミド、チオアミド、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、および
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含み、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され」とは、L、L、およびLは、結合に加えて、アルキレン、アルケニレン、アルキニレンは、例えば、鎖状アルキレンに上述の1つまたは複数の基を含むことができ、またはL、L、およびLが結合である場合には、任意の1つまたは複数の成分は、存在する唯一の成分であるという意味に解釈すべきである。
式(I)の(酸性成分および塩基性成分のいずれかまたは両方を有する)化合物の性質によって、塩は適切な酸または塩基の添加により形成され得る。塩という用語は、酸と塩基の中和反応によって形成され得るイオン化合物という当該技術で通常使用される意味を有する。塩は、関連する数の陽イオンおよび陰イオンを含み、生成物は電気的に中性である。塩の形成に使用される適した酸は、塩化水素(HCl)、臭化水素酸(HBr)、ヨウ化水素(HI)、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、サルチル酸、酢酸、グルコン酸、硫酸(HSO)、メタンスルホン酸(CHSOH)、硝酸(HNO)、リン酸(HPO)を含み得るが、これらに限定されない。塩の形成に使用される適した塩基は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、水酸化リチウム(LiOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、メグルミン、アンモニア(NH)、水酸化アルミニウム(Al(OH))およびジエタノールアミンを含み得るが、これらに限定されない。
本発明の一実施形態では、製薬として許容される塩は、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、硫酸塩、メシル酸塩、硝酸塩およびリン酸塩からなる群から選択される。
本発明の他の実施形態では、製薬として許容される塩は、ナトリウム塩、カルシウム塩、リチウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩およびアルミニウム塩からなる群から選択される。
当業者は、種々の理由により、製薬として許容される塩として、溶解性および/または浸透性および/または安定性および/または精製の容易性を改善する化合物を使用し得る。本発明の他の実施形態では、エステルなどの化合物のプロドラッグが形成される。プロドラッグは、当該技術で通常使用される意味を有し、投与後に薬効のある薬に代謝される薬物または化合物である。プロドラッグは、生物学的利用率が低い、例えば、胃腸管における吸収が悪い薬などのADME特性を改善するために一般に使用される。
本発明の実施形態では、化合物は結晶性固体である。本発明の他の実施形態では、化合物は非結晶性固体である。結晶性固体および非結晶性固体は、当該技術で通常使用される意味を有する。よって、結晶性固体は、成分が結晶格子を形成する規則正しい微細構造に配列されたあらゆる固体材料を意味し、すなわち、原子的な次元において三次元秩序が存在することを意味する。結晶性固体は、単一の結晶、あるいは複数のクリスタライトとしても知られる微小結晶から構成された多結晶体であってもよい。
化合物は、結晶化中に使用された溶媒などのプロセスパラメータ、塩が形成されるか否か、形成される塩の種類によって異なる結晶性固体(多形体)を形成し得る。化合物は、結晶化中や保管時に溶媒和化合物や含水化合物を形成し得る。溶媒和化合物は、当該技術で使用される通常の意味を有し、なんらかの溶媒が結合した固体である。多くの場合、溶媒和化合物は含水化合物(すなわち、水が結合した固体)である。当業者であれば知っているように、多形体ならびに溶媒和化合物/含水化合物は生物学的利用率など非常に異なる特性を有し得る。
本発明の実施形態では、上記置換もしくは無置換のアリールは、6−または10−員環のアリールから選択される。
本発明の他の実施形態では、上記置換もしくは無置換のヘテロアリールは、5−、6−、9−、または10−員環のヘテロアリールから選択され、ヘテロ原子の数は、1〜3であり、上記ヘテロ原子は、N、S、および0からなる群からそれぞれ選択される。
アリールおよびヘテロアリールは、当該技術で通常使用される意味を有し、環原子から水素原子を取り除くことによってアレーンまたはヘテロアレーンから得られる基である。さらに、アレーンは、当該技術で通常使用される意味を有し、単環または多環の芳香族炭化水素である。同様に、ヘテロアレーンは、芳香族の連続的なπ電子系特性とヒュッケル則(4n+2)に対応する面外π電子数を維持するように、1つまたは複数のメチン基(−C=)および/またはビニレン基(−CH=CH−)を三価または二価のヘテロ原子でそれぞれ置換することによってアレーンから得られる複素環化合物である。ヘテロ原子は、当該技術で通常使用される意味を有し、炭素(C)または水素(H)でない原子である。へトロ原子の典型的な例は、窒素(N)、硫黄(S)、酸素(O)、およびリン(P)を含むがこれらに限定されない。
本発明の一実施形態では、上記置換もしくは無置換のアリールまたはヘテロアリールは、ベンゼン、ナフタレン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1H−インドール、インドリジン、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、4−アザインドール、5−アザインドール、6−アザインドール、7−アザインドール、7−アザインダゾール、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[d]イソキサゾール、ベンゾ[c]イソキサゾール、ベンゾ[d]オキサゾール、ベンゾ[c]イソチアゾール、ベンゾ[d]チアゾール、ベンゾ[c][1,2,5]チアシアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノロン、イソキノリン、キノキサリン、フタラジン、キナゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、ピリド[3,2−d]ピリミジン、ピリド[4,3−d]ピリミジン、ピリド[3,4−b]ピラジン、およびピリド[2,3−b]ピラジン由来の成分からなる群から選択される。
本発明の好適な実施形態では、上記置換もしくは無置換のアリールまたはヘテロアリールは、ベンゼン、ピリジン、およびインドール由来の成分からなる群から選択される。
本発明の実施形態では、上記アリールおよびヘテロアリールは、1つまたは複数の置換基で置換することができ、このような置換基は、同じものでも異なるものでもよく、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、フェニル、アミノ(−NH)、アジド(−N)、アゾC−C10アルキル(−N−alkyl)、シアナト(−OCN)、イソシアナト(−NCO)、ニトロキシ(−ONO)、−CHNH(C−C10alkyl)、−CHN(C−C10alkyl)、アミノアルキル(−NH(C−C10alkyl)、−N(C−C10alkyl)、(−N(C−C10alkyl))、1,3−または1,4−ジオキシル、モルホリル、シアノ(−CN)、イソシアノ(−NC)、ニトロソ(−NO)、CONH、CONH(C−C10alkyl)、CON(C−C10alkyl)、ヒドロキシル(−OH)、ヒドロペルオキシ(−OOH)、C−C10ペルオキシアルキル(−OO−アルキル)、C−C10アルキルヒドロキシル(−alkyl−OH)、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、カルボン酸(−COOH)、C−C10アルキルエステル(−COO−alkyl)、オキセタニル、C−C10アルキルアシル(−CO−alkyl)、カルバモイルオキシ(−OC(O)NH)、−OC(O)NH(C−C10alkyl)、−OC(O)N(C−C10alkyl)、スルファニル(−SH)、C−C10アルキルチオエーテル(−S−alkyl)、C−C10アルキルチオエステル(−C(O)S−alkyl)、スルフィン酸(−SOH)、チオカルボン酸(−C(O)SH)、スルホン酸(−SOH)、C−C10スルホン酸アルキル(−SO−alkyl)、リン酸塩(−OPO(OH))、ホスホン酸(−PO(OH))、C−C10アルキルホスホネート(−PO(O−alkyl))、ホスフィン酸(−P(O)(H)OH)、SONH、ヒドロキサム酸(−CONHOH)、C−C10アルキルスルホニル尿素(−NHCONHSO(alkyl))、C−C10アシルスルホンアミド(−SO−NHCO−(alkyl)、ヒドロキシルアミン(−NHOH)、ニトロ(−NO)、イミノ(−N=CH)、1〜3のハロゲン原子を有するメチルハライド、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、上記C−C10アルキルおよび/または上記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜6の整数である。
同様に、本発明の実施形態では、L、L、およびLは、1つまたは複数の置換基でそれぞれ置換することができ、このような置換基は、同じものでも異なるものでもよく、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、フェニル、アミノ(−NH)、アジド(−N)、アゾC−C10アルキル(−N−alkyl)、シアナト(−OCN)、イソシアナト(−NCO)、ニトロキシ(−ONO)、−CHNH(C−C10alkyl)、−CHN(C−C10alkyl)、アミノアルキル(−NH(C−C10alkyl)、−N(C−C10alkyl)2、(−N(C−C10alkyl))、1,3−または1,4−ジオキシル、モルホリル、シアノ(−CN)、イソシアノ(−NC)、ニトロソ(−NO)、CONH、CONH(C−C10alkyl)、CON(C−C10alkyl)、ヒドロキシル(−OH)、ヒドロペルオキシ(−OOH)、C−C10ペルオキシアルキル(−OO−アルキル)、C−C10アルキルヒドロキシル(−alkyl−OH)、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、カルボン酸(−COOH)、C−C10アルキルエステル(−COO−alkyl)、オキセタニル、C−C10アルキルアシル(−CO−alkyl)、カルバモイルオキシ(−OC(O)NH)、−OC(O)NH(C−C10alkyl)、−OC(O)N(C−C10alkyl)、スルファニル(−SH)、C−C10アルキルチオエーテル(−S−alkyl)、C−C10アルキルチオエステル(−C(O)S−alkyl)、スルフィン酸(−SOH)、チオカルボン酸(−C(O)SH)、スルホン酸(−SOH)、C−C10スルホン酸アルキル(−SO−alkyl)、リン酸塩(−OPO(OH))、ホスホン酸(−PO(OH))、C−C10アルキルホスホネート(−PO(O−alkyl))、ホスフィン酸(−P(O)(H)OH)、SONH、ヒドロキサム酸(−CONHOH)、C−C10アルキルスルホニル尿素(−NHCONHSO(alkyl))、C−C10アシルスルホンアミド(−SO−NHCO−(alkyl)、ヒドロキシルアミン(−NHOH)、ニトロ(−NO)、イミノ(−N=CH)、1〜3のハロゲン原子を有するメチルハライド、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、上記C−C10アルキルおよび/または上記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜6の整数である。
任意の置換基は、一般に、1〜6の置換基のモノマーから構成されるホモポリマーまたはヘテロポリマーを含み得る。
ハロゲンは、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)、およびフッ素(F)を含み得る。
本発明の好適な実施形態では、上記アリールおよびヘテロアリールは、1つまたは複数の置換基で置換することができ、このような置換基は、同じものでも異なるものでもよく、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、上記C−C10アルキルおよび/または上記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜6の整数である。
本発明の好適な実施形態では、ArおよびArは、フェニル、
Figure 2021518855

、および
Figure 2021518855

からなる群からそれぞれ選択され、好ましくは、フェニルと
Figure 2021518855

である。
本発明の好適な実施形態では、XはNである。
本発明の他の好ましい実施形態では、
は、Hまたは置換もしくは無置換のフェニルであり、
は、Hまたは置換もしくは無置換の9−員環のヘテロアリールである。
本発明の一実施形態では、上記のC−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、およびC−Cアルキニレンは、直鎖状または分枝状とすることができ、好ましくは直鎖状である。分枝状のアルキレン、アルケニレン、またはアルキニレンは、第1級(R−CH)、第2級(R−CH−R)、第3級(RCH−R)および/または第4級(RC−R)の炭素原子(R≠H)のあらゆる可能な組合せを含み得る。本発明の他の実施形態では、C−CアルキレンおよびC−Cアルケニレンは、環状であり得る。C−Cアルキレンは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、またはシクロオクタンを構成するように環状であり得る。C−Cアルケニレンは、シクロブテン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエンなどを構成するように環状であり得る。
好適な実施形態では、Lは、単なる結合ではなく、すなわち、一実施形態では、Lは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群から選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択される。
他の好適な実施形態では、Lは結合であり、Rは水素である。
本発明の一実施形態では、L、L、およびLは、アミド、チオアミド、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、および
Figure 2021518855

からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、結合、C−Cアルキレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、Lは結合ではない。
本発明の好適な実施形態では、L、L、およびLは、結合、C−Cアルキレン、以下の式(A)の成分、および以下の式(B)の成分からなる群からそれぞれ選択され、
Figure 2021518855

ここで、mおよびpは、0〜8からそれぞれ選択される整数であり、但し、m+pは8以下であり、qおよびrは、0〜8からそれぞれ選択される整数であり、但し、q+rは8以下であり、YおよびYは、CHおよびNからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、Lは結合ではない。
本発明のより好適な実施形態では、
は、結合であり、
は、結合または式(A)の化合物であり、ここで、mおよびpは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、
は、結合または式(B)の化合物であり、ここで、qおよびrは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、YはCH、YはNであり、
但し、Lが結合であれば、Lは結合ではない。
本発明のさらに好適な実施形態では、
は、結合であり、
は、結合または式(A)の化合物であり、ここで、mおよびpは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、
は、式(B)の化合物であり、ここで、qおよびrは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、YはCH、YはNである。
本発明のさらにより好適な実施形態では、
Xは、Nであり、
は、結合であり、
は、結合または式(A)の化合物であり、ここで、mおよびpは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、
は、結合または式(B)の化合物であり、ここで、qおよびrは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、YはCH、YはNであり、
但し、Lが結合であれば、Lは結合ではなく、
は、Hまたは置換もしくは無置換のフェニルであり、
は、Hまたは置換もしくは無置換の9−員環のヘテロアリールであり、
ArおよびArは、置換もしくは無置換の6−員環のアリール、および置換もしくは無置換の6−員環のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択され、
ここで、任意の置換基は、同じものでも異なるものでもよく、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、上記C−C10アルキルおよび/または上記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜2の整数である。
本発明のまたさらにより好適な実施形態では、
Xは、Nであり、
は、結合であり、
は、結合または式(A)の化合物であり、ここで、mおよびpは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、
は、結合または式(B)の化合物であり、ここで、qおよびrは、0〜4からそれぞれ選択される整数であり、YはCH、YはNであり、
は、Hまたは置換もしくは無置換のフェニルであり、
は、Hまたは置換もしくは無置換の9−員環のヘテロアリールであり、
ArおよびArは、置換もしくは無置換の6−員環のアリール、および置換もしくは無置換の6−員環のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択され、
ここで、任意の置換基は、同じものでも異なるものでもよく、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、上記C−C10アルキルおよび/または上記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜2の整数である。
本発明のさらに好適な実施形態は、以下の式(II)の化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物に関し、
Figure 2021518855

ここで、
、L、およびLは、第1形態で定義されており、
およびRは、第1形態で定義されており、
、R、R、R、R、およびR10は、同じであっても異なっていてもよく、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、フェニル、アミノ(−NH)、−CHNH(C−C10alkyl)、−CHN(C−C10alkyl)、アミノアルキル(−NH(C−C10alkyl)または−N(C−C10alkyl)、シアノ(−CN)、CONH、CONH(C−C10alkyl)、CON(C−C10alkyl)、ヒドロキシル(−OH)、C−C10アルキルヒドロキシル(−alkyl−OH)、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、カルボン酸(−COOH)、C−C10アルキルエステル(−COO−alkyl)、C−C10アルキルアシル(−CO−alkyl)、C−C10チオエーテル(−S−alkyl)、スルホン酸(−SOH)、C−C10スルホン酸アルキル(−SO−alkyl)、ホスホン酸(−PO(OH))、C−C10アルキルホスホネート(−PO(O−alkyl))、ホスフィン酸(−P(O)(H)OH)、SONH、ヒドロキサム酸(−CONHOH)、C−C10アルキルスルホニル尿素(−NHCONHSO(alkyl))、C−C10アシルスルホンアミド(−SO−NHCO−(alkyl)、ヒドロキシルアミン(−NHOH)、ニトロ(−NO)、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、上記C−C10アルキルおよび/または上記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜6の整数である。
、R、R、およびR、R、およびR10に関して、連結されるフェニル基の置換基がゼロ(全てのR=H)または1〜3である可能性を含んでいる。非水素置換基は、オルト位、パラ位、メタ位、またはこれらの組合せであり得る。また、これらのR基では、特にR基がアルキルまたはアルコキシであり、フェニル環の隣接する炭素に位置する場合に、2つの個々のR基が架橋により二環系を形成し得ると定義される。下記で説明する化合物(IV)および(V)は、このような二環系の例である。
本発明の一実施形態では、R、R、R、R、RおよびR10は、同じであっても、異なっていてもよく、H、C−C10アルキル、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、上記C−C10アルキルおよび/または上記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zにより連結されてもよく、Zは、−(CH−であり、nは、1〜6の整数である。
本発明の好適な実施形態では、R、R、R、Rは、Hであり、RおよびR10は、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)であり、上記C−C10アルコキシは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは、−(CH−であり、nは、1である。
好適な実施形態では、Lは単なる結合ではない。すなわち、一実施形態では、Lは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
Figure 2021518855

から選択された1つまたは複数の成分を任意に含む、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せから選択される。
本発明の他の好適な実施形態は、以下の式(III)の化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物に関し、
Figure 2021518855

ここで、
は、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
Figure 2021518855

から選択された1つまたは複数の成分を任意に含む、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、
、R、R、R、R、およびR10は、上記の実施形態で定義された通りであり、
Arは、置換もしくは無置換のフェニル、および置換もしくは無置換の5−員環または6−員環のヘテロアリールからなる群から選択される。
本発明の一実施形態では、Arは、置換もしくは無置換とすることができ、ベンゼン、ナフタレン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン由来の成分からなる群から選択され、好ましくは、置換もしくは無置換のベンゼンである。
本発明の特に好適な実施形態は、以下の式(IV)、(V)、(VI)の化合物、または製薬として許容されるこれらの塩または溶媒和化合物に関する。化合物(IV)、(V)が特に好ましく、化合物(IV)が最も好ましい。
Figure 2021518855
本発明の第2態様は、本発明の第1態様の化合物に関し、すなわち、医薬品として使用される式(I)〜(VI)のいずれかの化合物に関する。
本発明の第3態様は、癌治療に使用される第1態様の化合物に関する。好ましくは、上記の癌は、Wntシグナル伝達経路に依存する癌など、Wntシグナル伝達経路に関連する癌であり、Wntシグナル伝達経路の阻害によって治療または予防できる癌を含む。
本発明の一実施形態では、治療される癌は、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫および星状細胞腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML))、副腎皮質癌、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌、メラノーマ)胆管癌(胆管細胞癌)、膀胱癌(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫)、乳癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、肝細胞(肝)癌、眼球内黒色腫、膵島腫瘍、腎癌(ウィルムス腫瘍を含む)、喉頭癌、***および口腔の癌、非小細胞肺癌、リンパ腫(B細胞、ホジキン)、中皮腫、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患)、上咽頭癌、神経芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、横紋筋肉腫、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮頸癌、胚芽腫;非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、カルチノイド腫瘍(胃腸)、胚細胞性腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)(軟部肉腫)、組織球増殖症(ランゲルハンス細胞)、ランゲルハンス細胞組織球症、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、網膜芽細胞腫、子宮癌、などのエイズ関連の癌、カポジ肉腫(軟部肉腫)、非ホジキンリンパ腫、肛門癌、皮膚T細胞リンパ腫、卵管癌、胆嚢癌、唾液腺癌、乳頭腫、中枢神経系原発悪性リンパ腫(リンパ腫)、虫垂癌、気管支腫瘍、心臓腫瘍、脊索腫、感覚神経芽腫、妊娠性絨毛性疾患、ヘアリーセル白血病、下咽頭癌、潜在性原発の転移性扁平上皮頸部癌、NUT遺伝子に関連する正中線癌、菌状息肉症、鼻腔および副鼻腔の癌、膵内分泌腫瘍(膵島腫瘍)、胸膜肺芽腫、原発性腹膜癌、小児血管腫瘍、小細胞肺癌、中咽頭癌および下咽頭癌、胸腺腫および胸腺癌、腎盂および尿管の移行上皮癌(移行上皮癌)、尿道癌、腟癌、血管腫瘍、外陰癌、メルケル細胞癌からなる群から選択される。
現在、特定の種類の癌が、Wnt経路に関連していると考えられており、よって、Wnt経路の阻害により影響を受ける可能性がある。従って、本発明の好適な実施形態は、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫および星状細胞腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML))、副腎皮質癌、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌、メラノーマ)胆管癌(胆管細胞癌)、膀胱癌(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫)、乳癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、肝細胞(肝)癌、眼球内黒色腫、膵島腫瘍、腎癌(ウィルムス腫瘍を含む)、喉頭癌、***および口腔の癌、非小細胞肺癌、リンパ腫(B細胞、ホジキン)、中皮腫、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患)、上咽頭癌、神経芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、横紋筋肉腫、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮頸癌、胚芽腫;非定型奇形腫/ラブドイド腫瘍、カルチノイド腫瘍(胃腸)、胚細胞性腫瘍、消化管間質腫瘍(GIST)(軟部肉腫)、組織球増殖症(ランゲルハンス細胞)、ランゲルハンス細胞組織球症、副甲状腺癌、陰茎癌、咽頭癌、網膜芽細胞腫、子宮癌、などのエイズ関連の癌、カポジ肉腫(軟部肉腫)、非ホジキンリンパ腫、肛門癌、皮膚T細胞リンパ腫、卵管癌、胆嚢癌、唾液腺癌、乳頭腫からなる群から選択される癌の治療である。
本発明のより好適な実施形態は、神経膠腫(例えば、神経膠芽腫および星状細胞腫、白血病(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、慢性骨髄性白血病(CML))、副腎皮質癌、皮膚癌(例えば、基底細胞癌、扁平上皮癌、メラノーマ)胆管癌(胆管細胞癌)、膀胱癌(例えば、ユーイング肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫)、乳癌、トリプルネガティブ乳癌(TNBC)、結腸直腸癌、頭蓋咽頭腫、子宮内膜癌、上衣腫、食道癌、胃癌、胃腸カルチノイド腫瘍、肝細胞(肝)癌、眼球内黒色腫、膵島腫瘍、腎癌(ウィルムス腫瘍を含む)、喉頭癌、***および口腔の癌、非小細胞肺癌、リンパ腫(B細胞、ホジキン)、中皮腫、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍、骨髄異形成症候群、骨髄異形成/骨髄増殖性疾患)、上咽頭癌、神経芽細胞腫、卵巣癌、膵癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、横紋筋肉腫、皮膚癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮頸癌、胚芽腫からなる群から選択される癌の治療である。
本発明の一実施形態では、本発明の第1態様の化合物がWnt経路に依存する癌の治療に使用される。
本発明の好適な実施形態では、本発明の第1態様の化合物が乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌の治療に使用される。
本発明の第4態様は、Wnt経路に依存する癌など、好ましくはトリプルネガティブ乳癌の癌治療方法に関し、この癌治療方法は、本発明の第1態様の化合物を必要な患者に投与するステップを含む。
本発明の一実施形態では、本発明に係る化合物は有効な量で投与される。有効な量とは、所望の臨床効果を得るのに必要な投与量を意味する。投与量は、好ましくは、容認できない副作用や毒性を伴わずに最大の治療効果が得られるよう薬効と毒性を最適化するために、生体内濃度が治療濃度域内に含まれるように選択される。
化合物は、経口投与、静脈投与、および皮下投与からなる群から選択される方法を含むあらゆる製薬的に許容される経路で投与可能である。経口投与は、錠剤、サシェ、カプセルの形態とすることができる。静脈投与および皮下投与は、溶液、好ましくは水溶液、最も好ましくは緩衝水溶液の形態とすることができる。
本発明の他の実施形態では、本発明の第1態様の化合物は、製薬的に許容される追加の抗癌化合物と組合せて投与される。当業者であればわかるように、化合物の特定の組合せによって相加効果に加えて相乗効果(すなわち、単独の効果を足したものよりも大きな効果)が得られ得る。このような相乗効果は望ましく、個々の化合物の投与量を減少させることが可能になり得る。本発明のさらに他の実施形態では、上記製薬的に許容される追加の抗癌化合物は、トリプルネガティブ乳癌などの乳癌に有効な化合物である。
本発明の好適な実施形態では、上記製薬的に許容される追加の抗癌化合物は、ラロキシフェン塩酸塩、タモキシフェンクエン酸塩、アベマシクリブ、メトトレキサート、パクリタキセル・アルブミン安定化小粒子製剤、トラスツズマブエムタンシン、エベロリムス、アナストロゾール、パミドロン酸二ナトリウム、エキセメスタン、カペシタビン、クラフェン、シクロホスファミド、ドセタキセル、ドキソルビシン塩酸塩、エピルビシン塩酸塩、エリブリンメシル酸塩、エベロリムス、エキセメスタン、5−FU(フルオロウラシル注)、トレミフェン、フルベストラント、レトロゾール、メトトレキサート、フルベストラント、ゲムシタビン塩酸塩、ゴセレリン酢酸塩、エリブリンメシル酸塩、トラスツズマブ、パルボシクリブ、イクサベピロン、トラスツズマブエムタンシン、リボシクリブ、二トシル酸ラパチニブ、レトロゾール、メゲストロール酢酸エステル、シクロホスファミド、ネラチニブマレイン酸塩、タモキシフェンクエン酸塩、パクリタキセル、パルボシクリブ、パミドロン酸二ナトリウム、ペルツズマブ、リボシクリブ、ドセタキセル、チオテパ、トレミフェン、トラスツズマブ、二トシル酸ラパチニブ、ビンブラスチン硫酸塩、アベマシクリブ、カペシタビン、ゴセレリン酢酸塩からなる群から選択される。本発明の他の実施形態では、本発明の第1態様の化合物は、いくつかの、例えば、2〜3個の製薬的に許容される追加の抗癌化合物と組合せて投与される。このような併用療法で使用される化合物は、同時にあるいは時間差で投与することができる。
本発明の第5態様は、第1態様に係る化合物と、製薬的に許容される担体または医薬品添加物と、を含む組成に関する。製薬的に許容される担体または医薬品添加物とは、当該技術で通常使用される意味を有し、賦形剤、結合剤、錠剤分解物質、潤滑剤、溶剤、緩衝剤、分散剤やコーティングなど、製剤の作成に必要なあらゆる添加物を意味する。剤形は、錠剤、サシェ、カプセル、懸濁剤、溶液、クリーム、乳剤、ゲル、リポソーム、軟膏など、当業者に周知のあらゆる剤形とすることができる。
本発明の第6態様は、第1態様に係る化合物と、製薬的に許容される追加の抗癌化合物と、製薬的に許容される担体または医薬品添加物と、を含む組成に関する。上述したあらゆる担体、医薬品添加物、および製薬的に許容される抗癌化合物が適している。
本発明の他の実施形態は、本発明の第1態様に係る化合物を含む組成に関し、ここで、上記製薬的に許容される抗癌化合物は、トリプルネガティブ乳癌などの乳癌の治療に有効な化合物である。
本発明の1つの態様について説明した実施形態および特徴は、本発明の他の態様にも当てはまる。特に、化合物に関する実施形態は、医薬品および癌治療に使用される同じ化合物にも当てはまる。
本発明で引用した全ての特許文献および非特許文献は、その全体が参照として本明細書に含まれる。
続いて、以下の非限定的な実施例において本発明をさらに詳細に説明する。
[材料および方法]
[全般]
他に記載がなければ、細胞はDMEM10%FBS、1%PenStrep(ジブコ(Gibco))で増殖された。細胞は、37℃、5%CO、>80%RHで培養された。使用されたトリプルネガティブ細胞株(ATCC)は、BT−20、HCC1395、MDA−MB231、MDA−MB468、およびHCC1806である。β−カテニン安定化アッセイおよびウエスタンブロット解析にはマウスのL細胞も合わせて使用された。
[化合物の特定]
トップフラッシュアッセイ(TOPflash assay)を使用して、1000個の化合物を含む民間の(サンディエゴ、カルフォルニア、米国所在のケムディブ社(ChemDiv Inc.))分子化合物ライブラリー(40000個のGPCRを対象とする化合物ライブラリーから化学的多様性を最大化することを焦点として、ケムディブ社によって選択された1000個の化合物を含む高度な多様性を有するGPCRを対象とする化合物ライブラリー[http://www.chemdiv.com、特に、http://www.chemdiv.com/gpcr-target-platform-library-2/参照])に対して、Wnt経路阻害効果についてスクリーニングを行った。スクリーニングによって、生体外において最も有力な阻害剤として化合物1(FSA)が特定された。この化合物は、さらなる開発のために選択された。第1回のスクリーニングでは、トップフラッシュレポーターアッセイ(TOPFLash reporter assay)を使用して、化合物1と類似するが、いくらかの相違を示すランダムに選択された34個の化合物について、Wnt経路を阻害する能力に関する試験を行った。最初に、化合物の濃度依存性を明らかにするために5および50μMの濃度で試験を行った。続いて、第2回のスクリーニングのための化合物の選択を容易にするために、最も有望な化合物のIC50値および有効性を確認した。第2回のスクリーニングの化合物は、ケムディブ社のコレクション(約130万個(1.5mio)の化合物)において、全体的な科学的類似性(タニモト)および構造的類似性(一般化された構造探索)によって選択された。選択された類似化合物(約1000個の化合物)は、ジェイケムソフトウェア(JChem software)を使用してクラスタ化し、各下部構造のクラスタから1〜2個の代表的なものを分析のために選択し、結果として117個の化合物を含む網羅的なリストを得た。
[トップフラシュアッセイ]
スクリーニングでは、トップフラッシュレポータープラスミド(TOPFlash reporter plasmid)により安定的に形質移入されたBT−20細胞を白色細胞培養処理済の96−ウェルプレート(グレイナー社)に1つのウェル当たり15K播種し、一晩培養した。必要であれば、細胞はエクストリームジーンエイチピーDNAトランスフェクション試薬(X−tremeGENE HP DNA transfection reagent)(ロッシュ社)を使用して、製造元のプロトコルに従ってpRL−CMVプラスミドを形質移入し、さらに一晩培養した。細胞は、Wnt3Aタンパク質(最終濃度250ng/ml)の添加および18〜24時間の培養の前にDMSOまたは化合物で1時間前処理した。次に、培養液を取り除き、細胞の乾燥を防ぐために10%のショ糖溶液12μlを加えた。続いて、溶解バッファ(lysis buffer)(15μl;25mM glycylglycine pH7.8,1%TritonX−100,15mM MgSO,4mM EGTA,1mM DTT)と共に、ルシフェラーゼホタルバッファ(luciferase firefly buffer)(50μl;25mM glycylglycine,15mM KxPO,4mM EGTA,2mM ATP,1mM DTT,15mM MgSO,0.1mM CoA,75μM luciferin,pH8.0)を注入し、その後ウミシイタケホタルバッファ(renilla firefly buffer)(50μl;1.1M NaCl,2.2mM Na2EDTA,0.22M KxPO,0.44mg/mL BSA,1.3mM NaN,1.43μM coelenterazine,pH5.0)を注入した後、ビクター3マルチレーベルカウンタ(Victor3 Multilabel Counter)(パーキンエルマー社)を使用してプレートの読み取りを行った。データは、プリズム6ソフトウェア(Prism 6 Software)(グラフパッド社)を用いて解析した。
[増殖アッセイ(MTT)]
TNBCの細胞株は、予め定めた密度で96−ウェルプレートに播種し、24時間培養した。翌日、培養液を化合物または調整用に相当量のDMSOを含む培養液に換えた。72時間後に、PBSに1mg/mlのチアゾリルブルー(ロス社)を含む溶液を加え、37℃で2〜4時間さらに培養し、50μlのDMSOを加えることで細胞を溶解させることにより増殖を測定した。ビクター3マルチレーベルカウンタ(パーキンエルマー社)を使用して、吸光度を570nmで読み取った。
[細胞移動アッセイ]
細胞移動を所謂スクラッチワウンドアッセイを使用して測定した。TNBC細胞株を培養密度で透明な平底の96−ウェルプレートに播種し、一晩培養した。翌日、10μlピペットの先端を使用して単層に直線状の傷をつけた。続いて、細胞をPBSで注意深く洗浄し、化合物またはDMSOを含む培養液で処理した。各ウェルを個々に画像処理し、細胞を6〜18時間培養した。続いて、ウェルを再度画像処理し、イメージジェイ(ImageJ)を使用してセルフロントの移動を測定した。
[コロニー形成アッセイ]
TNBC細胞株は、予め定めた密度で6−ウェルプレートに播種し、24時間培養した。続いて、細胞を化合物またはDSMOのみで処理し、目視によりコロニーの形成を毎日観察した。コロニーが充分大きくなった時点で(70〜100細胞)、細胞をpH7.4のPBSに4%のPFAを含む溶液によって固定した。次に、コロニーを1%のクリスタルバイオレット溶液を使用して染色し、コロニーの数を数えるために個々のウェルの画像処理を行った。コロニーの計数および解析は、イメージジェイを使用して行った。
[β−カテニン安定化アッセイおよびおよび免疫ブロット]
細胞は、70〜80%の培養密度で12−ウェルプレートに播種し、一晩培養した。続いて、培養液を化合物またはDMSOを含む培養液に換えて、細胞を1時間前培養した。Wnt経路の刺激のためにWnt3aを250ng/mlの最終濃度に直接添加し、β−カテニン安定化(L細胞、6時間;HCC1395およびBT−20、18時間)、DVLのリン酸化(1.5〜2時間)またはLRP6のリン酸化(1.5時間)のために培養した。細胞を氷冷のPBSで洗浄した後、必要であればホスファターゼ阻害薬(4mM NaF,4mM Imidazole,2.3mM NaMoO,4mM NaVO,8mM CNa*2HO,2mM Na,2mM β−Glycerophosphate)を含む70μlのRIPAバッファ(50mM Tris pH7.4,1%TritonX−100,0.1%SDS,150mM NaCl,1mM EDTA,1mM DTT,プロテアーゼ阻害剤(ロッシュ社))を添加し、氷上で10分間振ることによって細胞を溶解させた。細胞可溶化物を収集し、細胞片を取り除くために16000g、4℃で15分間遠心分離した。サンプルは、ブラッドフォード法を使用して平衡化し、SDS−PAGEおよびウェスタンブロットによってそれぞれ分離および分析した。次の抗体が使用された:anti β−catenin,1:1000,BD Bioscience#610153;Anti active β−catenin,1:1000,Merck Millipore#05−665;anti DVL2,1:1000,Cell Signaling#3223S;anti DVL3,1:1000,Cell Signaling#3218S;anti p−LRP6(S1490),1:1000,Cell Signaling#2568S;anti a−tubulin,1:2000,Sigma#T6199。
[トップフラッシュレポーターアッセイを使用して特定したWnt経路阻害剤の効力および有効性]
Figure 2021518855
[特定されたWnt経路阻害剤の構造]
Figure 2021518855
Figure 2021518855
[活性化のためにWnt3aまたはLiClのいずれかを使用した化合物1のWnt応答(コントロール%)]
図2は、化合物1が、CMVプロモーターの制御下でウミシイタケルシフェラーゼの発現レベルを変更せずに、Wnt3a刺激による経路活性化の抑制に一定の効果があり、細胞の健康を制御していることを示している。さらに、経路の下流部分がLiClで活性化されると、化合物1はWnt経路の分解複合体よりも強く作用する必要がある(図1参照)。
[βカテニン安定化アッセイ]
化合物1のWnt阻害効果を単独で確認するために、古典的なβ−カテニン安定化アッセイを使用した(図3、図4参照)。トップフラッシュを使用して得られた結果を本質的に再現することによって、化合物1の効果をBT−20細胞における細胞質内β−カテニンの蓄積について解析した(図3参照)。
化合物1は、広い範囲の細胞株で活性を示した(図4参照):L細胞(マウス線維芽細胞)は、ほぼゼロの基本β−カテニンレベルを有しているためこのアッセイで使用された;また、他の代表的なTNBC細胞株としてHCC1395細胞が使用された。結果は、FSAによって、L細胞における総β−カテニンレベルが明らかに低下したことを示すとともに、HCC1395細胞における活性β−カテニンレベルが低下したことを示し、基準Wnt/β−カテニン経路の阻害が確認された(図1参照)。
[化合物1がDVLのリン酸化に与える影響]
化合物1が上位のリン酸化タンパク質DVLに与える影響を調べた。リン酸化タンパク質DVLは、Wnt経路の活性化時に40以上の部位においてリン酸化され、このようなリン酸化は電気泳動による解析でシフトとして検出される。化合物1は、L細胞(DVL2およびDVL3)およびHCC1395細胞(DVL2)のWnt3a刺激時に明らかにシフトを抑制した(図5参照)。これは、化合物1がDVL自体またはDVLの上流のタンパク質を標的にすることを示している(図1参照)。
[化合物1の存在下におけるMTTアッセイを使用したTNBC細胞株の増殖]
化合物1がTNBC細胞(BT−20、HCC1395、MDA−MB468、HCC1806、MDA−MB231)の増殖に与える影響を調べた(図6および表3参照)。MTTアッセイは、IC50をBT−20のWnt阻害に用いられたIC50と同様としたときに、化合物1が濃度に依存して選択された細胞株の増殖を確かに阻止することができることを実証した。これは、細胞の増殖が、一般毒性ではなく、Wnt経路の阻害に関連している可能性を示している。この生体外データは、化合物1の強い抗癌特性を示唆している。
Figure 2021518855
[TNBC細胞株の遊走アッセイ]
図7は、3つのTNBC細胞株、BT−20、HCC1806、およびMDA−MB468のスクラッチからの回復を示している。図からわかるように、化合物1は、MDA−MB468を除いて、細胞の遊走を明らかに抑制している。この生体外データは、化合物1の強い抗癌特性を示唆している。
[TNBC細胞株のコロニー形成アッセイ]
図8は、化合物1の存在下において、異なるTNBC細胞株のコロニー形成が抑制されることを明らかに示している。この生体外データは、化合物1の強い抗癌特性を示唆している。
[生体外における化合物1,24,25のミクロソーム安定性]
図9および表4は、化合物1,24,25のミクロソーム安定性を示している。これらの化合物は、生体外においてミクロソーム安定性が下降している。
Figure 2021518855
[化合物1,25,26の生体内薬物動態プロファイリング]
大まかなADMEプロファイルおよび化合物の忍容性の第一所見を得るとともに、急性毒性の有無を確認するために生体内実験を行った。腫瘍のある3匹のマウスに最も有望な3つの化合物1,24,25を注射した。各マウスにそれぞれの化合物を順に注射したところ、明白な有害反応は見られなかった。動態を調べるために血液サンプルを定期的な間隔で採取した。全ての化合物が同様の排出プロファイルを有し、3〜8時間で半減した(図10a〜図10c参照)。組織解析(表5)は、化合物1,25がより良好な組織レベルを呈することを示した。すなわち、***で得られた平均濃度は、化合物1では約20μM、化合物25では約27μMであった一方で、化合物24では約8μMであった。得られた最大血漿レベルは、化合物1,24では、1μMよりも低かったが、化合物25では約50μMと非常に高かった。化合物は、***への2回の注射のみで、生体外で観察された蓄積(20〜40μM)に匹敵する全体的に高いレベルの蓄積を示した。乳癌に対して生体内で作用するには高い組織中濃度が必要であると推測されるので、このデータは、励みになる。
Figure 2021518855
[化合物1(FSA)の合成]
化合物1は、市販の出発物質から4つのステップで合成される(図11参照)。フェニルヒドラジン(11.4)(1当量)およびピペロナール(11.5)(1当量)に無水のEtOHおよびAcOH(0.2当量)を加えて溶解させる。反応物を完成まで室温で撹拌し、溶媒を蒸発させて未精製物11.6を得る。未精製物を無水THFに再溶解させ、続いてHCl(0.5当量)およびグルタル酸セミアルデヒド(1当量)を添加する。反応物を、完成までアルゴン雰囲気で還流し、溶媒を蒸発させて未精製物11.7を得る。未精製物11.7にアルゴン下でPd/Cを添加し、続いて酢酸を添加する。混合物を完成まで室温で撹拌し、セライトで濾過し、溶媒を蒸発させて未精製物11.8を得る。未精製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、純粋な11.8を得る。11.8を無水DMFおよびEtN(5当量)に溶解させる。混合物にHATU(1.05当量)を添加し、続いて、5−メチルトリプタミン塩酸塩を添加する。反応物を完成まで室温で撹拌し、EtOAcおよびNaHCO飽和液の添加によって後処理する。相を分離し、有機相をNaHCO飽和液(3x)、NaCl飽和液(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、完全に乾燥するまで蒸発させて未精製物1を得る。未精製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、1を得る。
[化合物24(F2−99)の合成]
化合物24は、市販の出発物質から3段階で合成される(図12参照)。ヒドラジンHCl(20当量)(12.1)および1−Boc−4−ピペリドン(1当量)(12.2)をMeOHに溶解させるとともに、NaCNBH(5当量)を添加し、反応物を完成まで室温で撹拌する。EtOAcおよびNaHCO飽和液を添加して、相を分離する。有機相をNaHCO飽和液(3x)、NaCl飽和液(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、完全に乾燥するまで蒸発させて未精製物12.3を得る。未精製物12.3を無水のEtOHおよびTFA(1当量)に溶解させ、続いて、3−ヒドロキシ−1,3−ジフェニル−プロペノンを添加する。混合物をアルゴン下で完成まで還流し、溶媒を蒸発させる。未精製物に無水DCMおよびTFA(20当量)を加えて再溶解させる。完全に脱保護されるまで反応物を室温で撹拌する。溶媒を蒸発させ、EtOAcおよびNaHCO飽和液を加え、相を分離する。有機相をNaHCO飽和液(1x)、NaCl飽和液(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、完全に乾燥するまで蒸発させて未精製物12.4を得る。未精製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、純粋な12.4を得る。12.4を無水DMFに溶解させ、アルゴン下で無水DMFに溶解したピペロニル酸、HATU、EtN(5当量)を含む他のフラスコに加える。反応物を完成まで室温で撹拌する。EtOAcおよびNaHCO飽和液を加える。相を分離し、有機相をNaHCO飽和液(3x)、NaCl飽和液(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、完全に乾燥するまで蒸発させて未精製物24を得る。未精製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、純粋な24を得る。
[化合物25(F2−95)の合成]
化合物25は、市販の出発物質から2段階で合成される(図13参照)。4−ブロモピロール−2−カルボン酸をアルゴン下で無水DMFに溶解させて0℃まで冷却し、続いて、ゆっくりとNaH(2.5当量)を添加する。反応物を室温まで昇温させ、水素の放出が治まるまで撹拌する。2−メチルベンジルブロミド(1.0当量)を滴下によって添加し、TLCによって判断される完成まで反応物を室温で撹拌する。この反応物に室温でEtN(5当量)およびHATU(1.05当量)の混合物、続いて1−フェニルピペラジン(1.05当量)を添加する。反応物を15分間撹拌し、EtOAcおよびNaHCO飽和液の添加によって後処理する。相を分離し、有機相をNaHCO飽和液(3x)、NaCl飽和液(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、完全に乾燥するまで蒸発させて未精製物13.3を得る。未精製物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、13.3を得る。13.3をジオキサン:HOの混合物に溶解させ、超音波下でアルゴンによって脱気する。脱気した混合物に、アルゴン下でKCO(5当量)、4−ピリジニルボロン酸(1.5当量)、Pd(OAc)(0.05当量)およびPPh(0.25当量)を添加し、完成まで反応混合物を80℃で加熱する。EtOAcおよびNaHCO飽和液を加え、相を分離し、有機相をNaHCO飽和液(3x)、NaCl飽和液(1x)で洗浄し、NaSO上で乾燥させ、完全に乾燥するまで蒸発させて未精製物25を得る。未精製物は、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、純粋な25を得る。
[参考文献]
1.Nusse, R., Wnt signaling in disease and in development, Cell Res, 2005, 15(1): p. 28-32.
2.Polakis, P., Drugging Wnt signalling in cancer, EMBO J, 2012, 31(12): p. 2737-46.
3.Casas-Selves, M. et al., Target deconvolution of efforts on Wnt pathway screen reveal dual modulation of oxidative phosphorylation and SERCA2, ChemMedChem, 2017, 12: p. 917-924.
4.WO 2008/071398 (A1).
5.Ananda, H. et al., Regioselective synthesis and biological studies of novel 1-aryl-3,5-bis (het) aryl ピラゾール derivatives as potential antiproliferative agents, Mol Cell Biochem, 2017, 426 p. 149-160.
6.Madhavilatha, B. et al., Synthesis of 1,2,3-トリアゾール and イソキサゾール-linked ピラゾール hybrids and their cytotoxic activity, Med Chem Res, 2017, 26, p. 1753-1763.

Claims (16)

  1. 式(I)の化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物であって、
    Figure 2021518855

    ここで、
    Xは、NとCHからなる群から選択され、
    、L、およびLは、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトンおよび
    Figure 2021518855

    からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、結合、置換もしくは無置換のC−Cアルキレン、置換もしくは無置換のC−Cアルケニレン、置換もしくは無置換のC−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、Lは結合ではなく、
    およびRは、H、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択され、
    ArおよびArは、置換もしくは無置換のアリール、および置換もしくは無置換のヘテロアリールからなる群からそれぞれ選択される、化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物。
  2. 前記置換もしくは無置換のアリールは、6−または10−員環のアリールから選択されることを特徴とする請求項1から請求項2のいずれか1項に記載の化合物。
  3. 前記置換もしくは無置換のヘテロアリールは、5−、6−、9−、または10−員環のヘテロアリールから選択され、ヘテロ原子の数は、1〜3であり、前記ヘテロ原子は、N、S、および0からなる群からそれぞれ選択されることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
  4. 前記アリールおよびヘテロアリールは、1つまたは複数の置換基で置換され、前記置換基は、同じものでも異なるものでもよく、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、フェニル、アミノ(−NH)、アジド(−N)、アゾC−C10アルキル(−N−alkyl)、シアナト(−OCN)、イソシアナト(−NCO)、ニトロキシ(−ONO)、−CHNH(C−C10alkyl)、−CHN(C−C10alkyl)、アミノアルキル(−NH(C−C10alkyl)、−N(C−C10alkyl)、(−N(C−C10alkyl))、1,3−または1,4−ジオキシル、モルホリル、シアノ(−CN)、イソシアノ(−NC)、ニトロソ(−NO)、CONH、CONH(C−C10alkyl)、CON(C−C10alkyl)、ヒドロキシル(−OH)、ヒドロペルオキシ(−OOH)、C−C10ペルオキシアルキル(−OO−アルキル)、C−C10アルキルヒドロキシル(−alkyl−OH)、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、カルボン酸(−COOH)、C−C10アルキルエステル(−COO−alkyl)、オキセタニル、C−C10アルキルアシル(−CO−alkyl)、カルバモイルオキシ(−OC(O)NH)、−OC(O)NH(C−C10alkyl)、−OC(O)N(C−C10alkyl)、スルファニル(−SH)、C−C10アルキルチオエーテル(−S−alkyl)、C−C10アルキルチオエステル(−C(O)S−alkyl)、スルフィン酸(−SOH)、チオカルボン酸(−C(O)SH)、スルホン酸(−SOH)、C−C10スルホン酸アルキル(−SO−alkyl)、リン酸塩(−OPO(OH))、ホスホン酸(−PO(OH))、C−C10アルキルホスホネート(−PO(O−alkyl))、ホスフィン酸(−P(O)(H)OH)、SONH、ヒドロキサム酸(−CONHOH)、C−C10アルキルスルホニル尿素(−NHCONHSO(alkyl))、C−C10アシルスルホンアミド(−SO−NHCO−(alkyl)、ヒドロキシルアミン(−NHOH)、ニトロ(−NO)、イミノ(−N=CH)、1〜3のハロゲン原子を有するメチルハライド、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、前記C−C10アルキルおよび/または前記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜6の整数であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の化合物。
  5. 、L、およびLは、1つまたは複数の置換基でそれぞれ置換することができ、前記置換基は、同じものでも異なるものでもよく、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、フェニル、アミノ(−NH)、アジド(−N)、アゾC−C10アルキル(−N−alkyl)、シアナト(−OCN)、イソシアナト(−NCO)、ニトロキシ(−ONO)、−CHNH(C−C10alkyl)、−CHN(C−C10alkyl)、アミノアルキル(−NH(C−C10alkyl)、−N(C−C10alkyl)、(−N(C−C10alkyl))、1,3−または1,4−ジオキシル、モルホリル、シアノ(−CN)、イソシアノ(−NC)、ニトロソ(−NO)、CONH、CONH(C−C10alkyl)、CON(C−C10alkyl)、ヒドロキシル(−OH)、ヒドロペルオキシ(−OOH)、C−C10ペルオキシアルキル(−OO−アルキル)、C−C10アルキルヒドロキシル(−alkyl−OH)、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、カルボン酸(−COOH)、C−C10アルキルエステル(−COO−alkyl)、オキセタニル、C−C10アルキルアシル(−CO−alkyl)、カルバモイルオキシ(−OC(O)NH)、−OC(O)NH(C−C10alkyl)、−OC(O)N(C−C10alkyl)、スルファニル(−SH)、C−C10アルキルチオエーテル(−S−alkyl)、C−C10アルキルチオエステル(−C(O)S−alkyl)、スルフィン酸(−SOH)、チオカルボン酸(−C(O)SH)、スルホン酸(−SOH)、C−C10スルホン酸アルキル(−SO−alkyl)、リン酸塩(−OPO(OH))、ホスホン酸(−PO(OH))、C−C10アルキルホスホネート(−PO(O−alkyl))、ホスフィン酸(−P(O)(H)OH)、SONH、ヒドロキサム酸(−CONHOH)、C−C10アルキルスルホニル尿素(−NHCONHSO(alkyl))、C−C10アシルスルホンアミド(−SO−NHCO−(alkyl)、ヒドロキシルアミン(−NHOH)、ニトロ(−NO)、イミノ(−N=CH)、1〜3のハロゲン原子を有するメチルハライド、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、前記C−C10アルキルおよび/または前記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜6の整数であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の化合物。
  6. 前記置換もしくは無置換のアリールまたはヘテロアリールは、ベンゼン、ナフタレン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン、1H−インドール、インドリジン、1H−インダゾール、ベンズイミダゾール、4−アザインドール、5−アザインドール、6−アザインドール、7−アザインドール、7−アザインダゾール、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、ベンゾ[d]イソキサゾール、ベンゾ[c]イソキサゾール、ベンゾ[d]オキサゾール、ベンゾ[c]イソチアゾール、ベンゾ[d]チアゾール、ベンゾ[c][1,2,5]チアシアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノロン、イソキノリン、キノキサリン、フタラジン、キナゾリン、シンノリン、1,8−ナフチリジン、ピリド[3,2−d]ピリミジン、ピリド[4,3−d]ピリミジン、ピリド[3,4−b]ピラジン、およびピリド[2,3−b]ピラジン由来の成分からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の化合物。
  7. 、L、およびLは、アミド、チオアミド、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、および
    Figure 2021518855

    からなる群から選択される1つまたは複数の成分を任意に含む、結合、C−Cアルキレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、Lは結合ではないことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の化合物。
  8. 、L、およびLは、結合、C−Cアルキレン、式(A)の成分、および式(B)の成分からなる群からそれぞれ選択され、
    Figure 2021518855

    ここで、
    mおよびpは、0〜8からそれぞれ選択される整数であり、但し、m+pは8以下であり、
    qおよびrは、0〜8からそれぞれ選択される整数であり、但し、q+rは8以下であり、YおよびYは、CHおよびNからそれぞれ選択され、但し、Lが結合であれば、Lは結合ではないことを特徴とする請求項7に記載の化合物。
  9. 請求項1から請求項8のいずれか1項に係る式(II)の化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物であって、
    Figure 2021518855

    ここで、
    、L、およびLは、請求項1から請求項8のいずれか1項で定義されたものであり、
    およびRは、請求項1から請求項8のいずれか1項で定義されたものであり、
    、R、R、R、R、およびR10は、同じであっても異なっていてもよく、H、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、フェニル、アミノ(−NH)、−CHNH(C−C10alkyl)、−CHN(C−C10alkyl)、アミノアルキル(−NH(C−C10alkyl)または−N(C−C10alkyl)、シアノ(−CN)、CONH、CONH(C−C10alkyl)、CON(C−C10alkyl)、ヒドロキシル(−OH)、C−C10アルキルヒドロキシル(−alkyl−OH)、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)、カルボン酸(−COOH)、C−C10アルキルエステル(−COO−alkyl)、C−C10アルキルアシル(−CO−alkyl)、C−C10チオエーテル(−S−alkyl)、スルホン酸(−SOH)、C−C10スルホン酸アルキル(−SO−alkyl)、ホスホン酸(−PO(OH))、C−C10アルキルホスホネート(−PO(O−alkyl))、ホスフィン酸(−P(O)(H)OH)、SONH、ヒドロキサム酸(−CONHOH)、C−C10アルキルスルホニル尿素(−NHCONHSO(alkyl))、C−C10アシルスルホンアミド(−SO−NHCO−(alkyl)、ヒドロキシルアミン(−NHOH)、ニトロ(−NO)、およびハロゲンからなる群からそれぞれ選択され、前記C−C10アルキルおよび/または前記C−C10アルコキシのうち2つは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1〜6の整数である、化合物、または製薬として許容されるその塩または溶媒和化合物。
  10. 、R、R、Rは、Hであり、RおよびR10は、C−C10アルコキシ(−O−alkyl)であり、前記C−C10アルコキシは、隣接する場合に架橋要素Zによって連結されてもよく、Zは−(CH−であり、nは1であることを特徴とする請求項9に記載の化合物。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1項に係る式(III)の化合物、または製薬として許容されるこれらの塩または溶媒和化合物であって、
    Figure 2021518855

    ここで、
    は、アミド、チオアミド、エステル、アミン、尿素、カルバミン酸塩、アルジミン、ケトン、および
    Figure 2021518855

    からなる群から選択された1つまたは複数の成分を任意に含む、C−Cアルキレン、C−Cアルケニレン、C−Cアルキニレンからなる群からそれぞれ選択され、YおよびYは、CH、N、またはこれらの組合せから選択され、
    、R、R、R、R、およびR10は、請求項9または請求項10で定義されたものであり、
    Arは、置換もしくは無置換のフェニル、および置換もしくは無置換の5−または6−員環のヘテロアリールからなる群から選択される、化合物、または製薬として許容されるこれらの塩または溶媒和化合物。
  12. Arは、置換もしくは無置換とすることができ、ベンゼン、ナフタレン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピラゾール、イミダゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、1,2,4−トリアジン、1,3,5−トリアジン由来の成分からなる群から選択され、好ましくは、置換もしくは無置換のベンゼンであることを特徴とする請求項11に記載の化合物。
  13. 式(IV)、(V)、(VI)の化合物からなる群から選択される、
    Figure 2021518855

    ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の化合物、または製薬として許容されるこれらの塩または溶媒和化合物。
  14. 医薬品として使用されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の化合物。
  15. 癌治療に使用されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の化合物。
  16. 乳癌、特にトリプルネガティブ乳癌の治療に使用されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の化合物。
JP2020568845A 2018-03-02 2019-03-01 Wntシグナル伝達経路阻害剤としてのピラゾール誘導体 Pending JP2021518855A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP18159649 2018-03-02
EP18159649.5 2018-03-02
PCT/EP2019/055117 WO2019166616A1 (en) 2018-03-02 2019-03-01 Pyrazole derivatives as nhibitors of the wnt signalling pathway

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021518855A true JP2021518855A (ja) 2021-08-05

Family

ID=61557158

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020568845A Pending JP2021518855A (ja) 2018-03-02 2019-03-01 Wntシグナル伝達経路阻害剤としてのピラゾール誘導体

Country Status (7)

Country Link
US (1) US20210002265A1 (ja)
EP (1) EP3759104A1 (ja)
JP (1) JP2021518855A (ja)
CN (1) CN111801325A (ja)
CA (1) CA3091533A1 (ja)
RU (1) RU2020132289A (ja)
WO (1) WO2019166616A1 (ja)

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2281186T3 (es) * 1998-08-07 2007-09-16 Novartis Vaccines And Diagnostics, Inc. Pirazoles como moduladores de receptores de estrogenos.
WO2006070198A1 (en) * 2004-12-30 2006-07-06 Astex Therapeutics Limited Pyrazole derivatives as that modulate the activity of cdk, gsk and aurora kinases
EP1932830A1 (en) 2006-12-11 2008-06-18 The Genetics Company, Inc. Sulfonamides and their use as a medicament
WO2009003921A1 (en) * 2007-07-04 2009-01-08 Neurosearch A/S Novel pyrazole derivatives useful as potassium channel modulators
TWI469979B (zh) * 2008-12-24 2015-01-21 Bial Portela & Ca Sa 脂肪酸醯胺水解酶(faah)抑制劑、以及其藥學組成物與用途
BR112013015774A2 (ja) * 2010-12-01 2018-05-22 Nissan Chemical Industries Ltd A pyrazole compound which has a curative effect of a multiple myeloma
CN103113304A (zh) * 2013-02-01 2013-05-22 安徽农业大学 一种吡唑硫脲类衍生物及其制备方法与用途
EP3423452A4 (en) * 2016-03-01 2019-10-30 University of Maryland, Baltimore INHIBITORS OF THE WNT SIGNALING PATHWAY FOR THE TREATMENT OF DISEASES
US20170326125A1 (en) * 2016-05-16 2017-11-16 Verseon Corporation Multisubstituted aromatic compounds as inhibitors of thrombin

Also Published As

Publication number Publication date
RU2020132289A (ru) 2022-04-04
WO2019166616A1 (en) 2019-09-06
WO2019166616A8 (en) 2019-10-24
US20210002265A1 (en) 2021-01-07
CA3091533A1 (en) 2019-09-06
CN111801325A (zh) 2020-10-20
EP3759104A1 (en) 2021-01-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111201223A (zh) SHP2的八氢环戊二烯并[c]吡咯别构抑制剂
TWI393708B (zh) 異羥肟酸脂化合物,其用途及其之合成方法
CN112839715A (zh) 抑制shp2活性化合物的制造方法
WO2013134298A1 (en) Raf inhibitor compounds
JP2017510628A (ja) 縮合ピリミジン系ヒドロキサメート誘導体
JP2010502651A5 (ja)
WO2018133716A1 (zh) 杂环脲类化合物及其药物组合物和应用
CA2903107C (en) Coumarin derivatives and methods of use in treating hyperproliferative diseases
EP3684772B1 (en) Cyclic iminopyrimidine derivatives as kinase inhibitors
ES2911040T3 (es) Nuevos derivados de heteroaril amida como inhibidores selectivos de histona deacetilasa 1 y 2 (HDAC1/2)
JP2015503528A (ja) キノリン類およびシンノリン類化合物、およびその応用
BR112020019399A2 (pt) Compostos macrocíclicos como inibidores de trk quinases
JP2018508563A (ja) Usp7阻害剤化合物及び使用方法
CN115867556A (zh) Lpa受体拮抗剂及其用途
BR112021005171A2 (pt) derivados de quinuclidina-3-ona e seu uso em tratamento de câncer
CA3148211A1 (en) Aryl sulfonamides as small molecule stat3 inhibitors
JP5978302B2 (ja) リゾホスファチジン酸アンタゴニストとしての(n−ベンズイミダゾール−2−イル)−シクロプロパンカルボキサミド
WO2017206962A1 (zh) Flt3激酶的新型抑制剂及其用途
KR20240005892A (ko) Lpa 수용체 길항제 및 이의 용도
KR20230117574A (ko) 암 치료를 위한 metap2 억제제 및 cdk4/6 억제제의 조합
WO2015189433A1 (en) Pyridazinones for the treatment of cancer
JP2021518855A (ja) Wntシグナル伝達経路阻害剤としてのピラゾール誘導体
WO2018211324A1 (en) Prodrugs for the treatment of disease
ES2727531T3 (es) Antineoplásico que comprende un compuesto de aminoacetonitrilo como ingrediente activo
JP2021506935A (ja) ピリミジン誘導体系キナーゼ阻害剤類

Legal Events

Date Code Title Description
A529 Written submission of copy of amendment under article 34 pct

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A529

Effective date: 20201030