定義
「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br又はIを表す。さらに、「ハロアルキル」などの用語は、1種以上のハロゲンがアルキル基の水素を置換するモノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことが意図される。
用語「アルキル」は、飽和直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基を表し、アルキル基は置換されていてもよい。一つの例において、アルキル基は、1〜18個の炭素原子(C1−C18)である。他の例において、アルキル基は、C0−C6、C0−C5、C0−C3、C1−C12、C1−C10、C1−C8、C1−C6、C1−C5、C1−C4又はC1−C3である。C0アルキルは、結合を表す。アルキル基の例には、メチル(Me、−CH3)、エチル(Et、−CH2CH3、1−プロピル(n−Pr、n−プロピル、−CH2CH2CH3)、2−プロピル(i−Pr、i−プロピル、−CH(CH3)2)、1−ブチル(n−Bu、n−ブチル、−CH2CH2CH2CH3)、2−メチル−1−プロピル(i−Bu、i−ブチル、−CH2CH(CH3)2)、2−ブチル(s−Bu、s−ブチル、−CH(CH3)CH2CH3)、2−メチル−2−プロピル(t−Bu、t−ブチル、−C(CH3)3)、1−ペンチル(n−ペンチル、−CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH2CH3)、3−ペンチル(−CH(CH2CH3)2)、2−メチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH2CH3)、3−メチル−2−ブチル(−CH(CH3)CH(CH3)2)、3−メチル−1−ブチル(−CH2CH2CH(CH3)2)、2−メチル−1−ブチル(−CH2CH(CH3)CH2CH3)、1−ヘキシル(−CH2CH2CH2CH2CH2CH3)、2−ヘキシル(−CH(CH3)CH2CH2CH2CH3)、3−ヘキシル(−CH(CH2CH3)(CH2CH2CH3))、2−メチル−2−ペンチル(−C(CH3)2CH2CH2CH3)、3−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH(CH3)CH2CH3)、4−メチル−2−ペンチル(−CH(CH3)CH2CH(CH3)2)、3−メチル−3−ペンチル(−C(CH3)(CH2CH3)2)、2−メチル−3−ペンチル(−CH(CH2CH3)CH(CH3)2)、2,3−ジメチル−2−ブチル(−C(CH3)2CH(CH3)2)、3,3−ジメチル−2−ブチル(−CH(CH3)C(CH3)3、1−ヘプチル及び1−オクチルが含まれる。いくつかの実施形態において、「置換されていてもよいアルキル」に対する置換基には、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルの1〜4つの例が含まれ、これらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素二重結合を有する直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基を表し、アルケニル基は、置換されていてもよく、「シス」及び「トランス」配置、又は、「E」及び「Z」配置を有する基を含む。一つの例において、アルケニル基は、2〜18個の炭素原子(C2−C18)である。他の例では、アルケニル基は、C2−C12、C2−C10、C2−C8、C2−C6又はC2−C3である。例には、エテニル又はビニル(−CH=CH2)、プロパ−1−エニル(−CH=CHCH3)、プロパ−2−エニル(−CH2CH=CH2)、2−メチルプロパ−1−エニル、ブタ−1−エニル、ブタ−2−エニル、ブタ−3−エニル、ブタ−1,3−ジエニル、2−メチルブタ−1,3−ジエン、ヘキサ−1−エニル、ヘキサ−2−エニル、ヘキサ−3−エニル、ヘキサ−4−エニル及びヘキサ−1,3−ジエニルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、「置換されていてもよいアルケニル」に対する置換基には、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルの1〜4つの例が含まれ、これらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。
用語「アルキニル」は、少なくとも1つの不飽和部位、すなわち、炭素−炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基を表し、アルキニル基は置換されていてもよい。一つの例において、アルキニル基は、2〜18個の炭素原子(C2−C18)である。他の例では、アルキニル基は、C2−C12、C2−C10、C2−C8、C2−C6又はC2−C3である。例には、エチニル(−C≡CH)、プロパ−1−イニル(−C≡CCH3)、プロパ−2−イニル(プロパルギル、−CH2C≡CH)、ブタ−1−イニル、ブタ−2−イニル及びブタ−3−イニルが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、「置換されていてもよいアルキニル」に対する置換基には、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルの1〜4つの例が含まれ、これらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。
「アルキレン」は、親アルカンの同一の又は2つの異なる炭素原子からの2つの水素原子の除去によって得られる2つの一価ラジカル中心を有する飽和分岐鎖又は直鎖炭化水素基を表す。一つの例において、二価アルキレン基は、1〜18個の炭素原子(C1−C18)である。他の例において、二価アルキレン基は、C0−C6、C0−C5、C0−C3、C1−C12、C1−C10、C1−C8、C1−C6、C1−C5、C1−C4又はC1−C3である。基C0アルキレンは、結合を表す。アルキレン基の例には、メチレン(−CH2−)、1,1−エチル(−CH(CH3)−)、(1,2−エチル(−CH2CH2−)、1,1−プロピル(−CH(CH2CH3)−)、2,2−プロピル(−C(CH3)2)、1,2−プロピル(−CH(CH3)CH2−)、1,3−プロピル(−CH2CH2CH2−)、1,1−ジメチルエト−1,2−イル(−C(CH3)2CH2−)、1,4−ブチル(−CH2CH2CH2CH2−)などが含まれる。
用語「ヘテロアルキル」は、指定された数の炭素原子、又は指定がなければ最大18個の炭素原子と、並びにO、N、Si及びSからなる群から選択される1〜5個のヘテロ原子とからなり、窒素及び硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい、直鎖又は分岐鎖一価炭化水素基を表す。いくつかの実施形態において、ヘテロ原子はO、N及びSから選択され、窒素及び硫黄原子は酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい。ヘテロ原子は、アルキル基が分子の残部に付着している位置(例えば、−O−CH2−CH3)を含む、ヘテロアルキル基の任意の内側位置に配置することができる。例には、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−Si(CH3)3及び−CH2−CH=N−OCH3が含まれる。例えば、−CH2−NH−OCH3及び−CH2−O−Si(CH3)3など、最大2つのヘテロ原子が、連続することができる。ヘテロアルキル基は、置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、「置換されていてもよいヘテロアルキル」に対する置換基には、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルの1〜4つの例が含まれ、これらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。
「アミノ」は、一級(すなわち、−NH2)、二級(すなわち、−NRH)、三級(すなわち、−NRR)及び四級(すなわち、−N(+)RRR)アミンを意味し、置換されていてもよく、各Rは、同一であり又は異なり、アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルから選択され、アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリル基は、本明細書に定義されているとおりである。具体的な二級及び三級アミンは、アルキルアミン、ジアルキルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン及びジアラルキルアミンであり、アルキル及びアリール部分は置換されていてもよい。具体的な二級及び三級アミンは、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、フェニルアミン、ベンジルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジイソプロピルアミンである。いくつかの実施形態において、四級アミンのR基は、各々独立に置換されていてもよいアルキル基である。
「アリール」は、1種以上の基に縮合されているか否かを問わず、指定された数の炭素原子、又は数が指定されてなければ最大14個の炭素原子を有する炭素環式芳香族基を表す。一つの例には、6〜14個の炭素原子を有するアリール基が含まれる。別の例には、6〜10個の炭素原子を有するアリール基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントレニル、ナフタセニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレニル、1H−インデニル、2,3−ジヒドロ−1H−インデニルなどが含まれる(例えば、Lang’s Handbook of Chemistry(Dean,J.A.,ed.)13thed.Table 7−2[1985]参照)。具体的なアリールは、フェニルである。置換されたフェニル又は置換されたアリールは、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルなど、本明細書に明記されている基(「置換されていてもよい」の定義参照)から選択されるなど、1、2、3、4又は5個の置換基、例えば、1〜2、1〜3又は1〜4個の置換基で置換されたフェニル基又はアリール基を意味し、これらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。用語「置換されたフェニル」の例には、2−クロロフェニル、2−ブロモフェニル、4−クロロフェニル、2,6−ジクロロフェニル、2,5−ジクロロフェニル、3,4−ジクロロフェニル、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、4−ブロモフェニル、3,4−ジブロモフェニル、3−クロロ−4−フルオロフェニル、2−フルオロフェニル、2,4−ジフルオロフェニルなどのモノ又はジ(ハロ)フェニル基;4−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシフェニル、2,4−ジヒドロキシフェニル、これらの保護されたヒドロキシ誘導体などのモノ若しくはジ(ヒドロキシ)フェニル基;3−若しくは4−ニトロフェニルなどのニトロフェニル基;シアノフェニル基、例えば、4−シアノフェニル;4−メチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2−メチルフェニル、4−(イソプロピル)フェニル、4−エチルフェニル、3−(n−プロピル)フェニルなどのモノ若しくはジ(アルキル)フェニル基;モノ若しくはジ(アルコキシ)フェニル基、例えば、3,4−ジメトキシフェニル、3−メトキシ−4−ベンジルオキシフェニル、3−エトキシフェニル、4−(イソプロポキシ)フェニル、4−(t−ブトキシ)フェニル、3−エトキシ−4−メトキシフェニルなど;3−若しくは4−トリフルオロメチルフェニル;4−カルボキシフェニルのようなモノ若しくはジカルボキシフェニル若しくは(保護されたカルボキシ)フェニル基、3−(保護されたヒドロキシメチル)フェニル若しくは3,4−ジ(ヒドロキシメチル)フェニルなどのモノ若しくはジ(ヒドロキシメチル)フェニル若しくは(保護されたヒドロキシメチル)フェニル;2−(アミノメチル)フェニル若しくは2,4−(保護されたアミノメチル)フェニルなどのモノ若しくはジ(アミノメチル)フェニル若しくは(保護されたアミノメチル)フェニル;又は3−(N−メチルスルホニルアミノ))フェニルなどのモノ若しくはジ(N−(メチルスルホニルアミノ))フェニルが含まれる。また、「置換されたフェニル」という用語は、置換基が異なる二置換されたフェニル基、例えば、3−メチル−4−ヒドロキシフェニル、3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル、2−メトキシ−4−ブロモフェニル、4−エチル−2−ヒドロキシフェニル、3−ヒドロキシ−4−ニトロフェニル、2−ヒドロキシ−4−クロロフェニル、2−クロロ−5−ジフルオロメトキシなど、並びに置換基が異なる三置換されたフェニル基、例えば、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−メチルスルホニルアミノ、3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−6−フェニルスルホニルアミノ及び3−メトキシ−4−ベンジルオキシ−5−メチル−6−フェニルスルホニルアミノなどの置換基が異なる四置換されたフェニル基も表す。いくつかの実施形態において、フェニルなどのアリールの置換基はアミドを含む。例えば、アリール(例えば、フェニル)置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であり得、式中、R’及びR’’は、各々独立に、例えば、水素;置換されていないC1−C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6アルキル;置換されていないC1−C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6ヘテロアルキル;置換されていないC6−C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル;並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル)などの基を表し;又はR’及びR’’は、窒素原子と組み合わされて、3、4、5、6若しくは7員環を形成することができ、環原子は、N、O若しくはSで置換されていてもよく、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’で置換されていてもよい。
「シクロアルキル」は、非芳香族、飽和又は部分不飽和炭化水素環基を表し、シクロアルキル基は、本明細書に記載されている1種以上の置換基で独立に置換されていてもよい。一例において、シクロアルキル基は、3〜12個の炭素原子(C3−C12)である。他の例において、シクロアルキルは、C3−C8、C3−C10又はC5−C10である。他の例において、シクロアルキル基は、単環として、C3−C8、C3−C6、C4−C6、又はC5−C6である。別の例において、シクロアルキル基は、二環として、C7−C12である。別の例において、シクロアルキル基は、スピロ系として、C5−C12である。単環式シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1−シクロペンタ−1−エニル、1−シクロペンタ−2−エニル、1−シクロペンタ−3−エニル、シクロヘキシル、ペルデューテリオシクロヘキシル、1−シクロヘキサ−1−エニル、1−シクロヘキサ−2−エニル、1−シクロヘキサ−3−エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル及びシクロドデシルが含まれる。7〜12個の環原子を有する二環式シクロアルキルの例示的な配置には、[4,4]、[4,5]、[5,5]、[5,6]又は[6,6]環系が含まれるが、これらに限定されない。例示的な架橋された二環式シクロアルキルには、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.2.2]ノナンが含まれるが、これらに限定されない。スピロシクロアルキルの例には、スピロ[2.2]ペンタン、スピロ[2.3]ヘキサン、スピロ[2.4]ヘプタン、スピロ[2.5]オクタン及びスピロ[4.5]デカンが含まれる。いくつかの実施形態において、「置換されていてもよいシクロアルキル」に対する置換基には、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルの1〜4つの例が含まれ、これらのアルキル、アリール及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、シクロアルキルの置換基はアミドを含む。例えば、シクロアルキル置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であり得、式中、R’及びR’’は、各々独立に、例えば、水素;置換されていないC1−C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6アルキル;置換されていないC1−C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6ヘテロアルキル;置換されていないC6−C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル;並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル)などの基を表し;又はR’及びR’’は、窒素原子と組み合わされて、3、4、5、6若しくは7員環を形成することができ、環原子は、N、O若しくはSで置換されていてもよく、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’で置換されていてもよい。
「複素環基」、「複素環式」、「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「ヘテロシクロ」は互換的に使用され、3〜20個の環原子を有するあらゆる単環式、二環式、三環式又はスピロ、飽和又は不飽和の、芳香族(ヘテロアリール)又は非芳香族(例えば、ヘテロシクロアルキル)の環系を表し、環原子は炭素であり、環又は環系中の少なくとも1つの原子は、窒素、硫黄又は酸素から選択されるヘテロ原子である。環状系のいずれかの環原子がヘテロ原子であれば、環状系が分子の残部に付着している点に関わらず、その系は複素環である。1つの例において、ヘテロシクリルは、3〜11個の環原子(「員」)を含み、単環、二環、三環及びスピロ環系を含み、環原子は炭素であり、環又は環系中の少なくとも1つの原子は、窒素、硫黄又は酸素から選択されるヘテロ原子である。1つの例において、ヘテロシクリルは、1〜4個のヘテロ原子を含む。1つの例において、ヘテロシクリルは、1〜3個のヘテロ原子を含む。別の例において、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄又は酸素から選択される1〜2、1〜3又は1〜4個のヘテロ原子を有する3〜7員の単環を含む。別の例において、ヘテロシクリルは、窒素、硫黄又は酸素から選択される1〜2、1〜3又は1〜4個のヘテロ原子を有する4〜6員の単環を含む。別の例において、ヘテロシクリルは、3員の単環を含む。別の例において、ヘテロシクリルは、4員の単環を含む。別の例において、ヘテロシクリルは、5〜6員の単環、例えば、5〜6員のヘテロアリールを含む。別の例において、ヘテロシクリルは、4〜11員のヘテロシクロアルキルなど、3〜11員のヘテロシクロアルキルを含む。いくつかの実施形態において、ヘテロシクロアルキルは、少なくとも1つの窒素を含む。1つの例において、ヘテロシクリル基は、0〜3個の二重結合を含む。いずれの窒素又は硫黄ヘテロ原子も、酸化されていてもよく(例えば、NO、SO、SO2)、いずれの窒素ヘテロ原子も、四級化されていてもよい(例えば、「NR4]+Cl−、[NR4]+OH−)。複素環の例は、オキシラニル、アジリジニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、1,2−ジチエタニル、1,3−ジチエタニル、ピロリジニル、ジヒドロ−1H−ピロリル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロチエニル、テトラヒドロチエニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1−ジオキソ−チオモルホリニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ヘキサヒドロチオピラニル、ヘキサヒドロピリミジニル、オキサジナニル、チアジナニル、チオキサニル、ホモピペラジニル、ホモピペリジニル、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、オキサゼパニル、ジアゼパニル、1,4−ジアゼパニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、チアゼパニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、1,1−ジオキソイソチアゾリジノニル、オキサゾリジノニル、イミダゾリジノニル、4,5,6,7−テトラヒドロ[2H]インダゾリル、テトラヒドロベンゾイミダゾリル、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾ[d]イミダゾリル、1,6−ジヒドロイミダゾ[4,5−d]ピロロ[2,3−b]ピリジニル、チアジニル、オキサジニル、チアジアジニル、オキサジアジニル、ジチアジニル、ジオキサジニル、オキサチアジニル、チアトリアジニル、オキサトリアジニル、ジチアジアジニル、イミダゾリニル、ジヒドロピリミジル、テトラヒドロピリミジル、1−ピロリニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、チアピラニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ジチアニル、ジチオラニル、ピリミジノニル、ピリミジンジオニル、ピリミジン−2,4−ジオニル、ピペラジノニル、ピペラジンジオニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、3−アザビシクロ[3.1.0]−ヘキサニル、3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、6−アザビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、3−アザビシクロ−[3.1.1.]ヘプタニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、2−アザビシクロ−[3.2.1]オクタニル、8−アザビシクロ[3.2.1]オクタニル、2−アザビシクロ[2.2.2]オクタニル、8−アザビシクロ−[2.2.2]オクタニル、7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザスピロ[3.5]ノナニル、アザスピロ[2.5]−オクタニル、アザスピロ[4.5]デカニル、1−アザスピロ[4.5]デカン−2−オンリ(1−azaspiro[4.5]decan−2−only)、アザスピロ[5.5]ウンデカニル、テトラヒドロインドリル、オクタヒドロインドリル、テトラヒドロイソインドリル、テトラヒドロインダゾリル、1,1−ジオキソヘキサヒドロチオピラニルである。硫黄又は酸素原子と1〜3個の窒素原子とを含有する5員複素環の例は、チアゾール−2−イル及びチアゾール−2−イルN−オキシドを含むチアゾリル、1,3,4−チアジアゾール−5−イル及び1,2,4−チアジアゾール−5−イルを含むチアジアゾリル、オキサゾリル、例えば、オキサゾール−2−イル並びに1,3,4−オキサジアゾール−5−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−5−イルなどのオキサジアゾリルである。2〜4個の窒素原子を含有する5員複素環の例には、イミダゾール−2−イルなどのイミダゾリル;1,3,4−トリアゾール−5−イル;1,2,3−トリアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イルなどのトリアゾリル及び1H−テトラゾール−5−イルなどのテトラゾリルが含まれる。例示的なベンゾ縮合した5員複素環は、ベンゾオキサゾール−2−イル、ベンゾチアゾール−2−イル及びベンゾイミダゾール−2−イルである。例示的な6員複素環は、1〜3個の窒素原子と、必要に応じて硫黄又は酸素原子を含有し、例えば、ピリド−2−イル、ピリド−3−イル及びピリド−4−イルなどのピリジル;ピリミド−2−イル及びピリミド−4−イルなどのピリミジル;1,3,4−トリアジン−2−イル及び1,3,5−トリアジン−4−イルなどのトリアジニル;ピリダジニル、特に、ピリダジン−3−イル及びピラジニルである。ピリジンN−オキシド及びピリダジンN−オキシド及び、ピリジル、ピリミド−2−イル、ピリミド−4−イル、ピリダジニル及び1,3,4−トリアジン−2−イル基が、他の例示的な複素環基である。複素環は、置換されていてもよい。例えば、「置換されていてもよい複素環」に対する置換基には、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、オキソ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルの1〜4つの例が含まれ、これらのアルキル、アリール及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキルなどの複素環基の置換基はアミドを含む。例えば、複素環(例えば、ヘテロアリール又はヘテロシクロアルキル)の置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であり得、式中、R’及びR’’は、各々独立に、例えば、水素;置換されていないC1−C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6アルキル;置換されていないC1−C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6ヘテロアルキル;置換されていないC6−C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル)などの基を表し;又はR’及びR’’は、窒素原子と組み合わされて、3、4、5、6若しくは7員環を形成することができ、環原子は、N、O若しくはSで置換されていてもよく、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’で置換されていてもよい。
「ヘテロアリール」は、少なくとも1つの環が窒素、酸素及び硫黄から選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5員又は6員の芳香族環である、あらゆる単環、二環又は三環式環系を表し、例示的実施形態において、少なくとも1つのヘテロ原子は窒素である。例えば、Lang’s Handbook of Chemistry(Dean,J.A.,ed.)13thed.Table 7−2[1985]参照。上記ヘテロアリール環のいずれかがアリール環に縮合されており、アリール環又はヘテロアリール環が、分子の残りに連結されているあらゆる二環式基がこの定義に含まれる。一実施形態において、ヘテロアリールは、1種以上の環原子が窒素、硫黄又は酸素である5〜6員の単環式芳香族基を含む。例示的なヘテロアリール基には、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピラゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラゾリル、チアトリアゾリル、オキサトリアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、テトラジニル、テトラゾロ[1,5−b]ピリダジニル、イミダゾール[1,2−a]ピリミジニル及びプリニル並びにベンゾ縮合した誘導体、例えば、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイミダゾリル及びインドリルが含まれる。ヘテロアリール基は、置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、「置換されていてもよいヘテロアリール」に対する置換基には、F、Cl、Br、I、OH、SH、CN、NH2、NHCH3、N(CH3)2、NO2、N3、C(O)CH3、COOH、CO2CH3、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、スルホニルアミノ、メタンスルホニルアミノ、SO、SO2、フェニル、ピペリジニル(piperidinyl)、ピペリジニル(piperizinyl)及びピリミジニルの1〜4つの例が含まれ、これらのアルキル、フェニル及び複素環部分は、この同じリストから選択される置換基の1〜4つの例などによって置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールの置換基はアミドを含む。例えば、ヘテロアリール置換基は、−(CH2)0−4CONR’R’’であり得、式中、R’及びR’’は、各々独立に、例えば、水素;置換されていないC1−C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6アルキル;置換されていないC1−C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6ヘテロアルキル;置換されていないC6−C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル;並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル)などの基を表し;又はR’及びR’’は、窒素原子と組み合わされて、3、4、5、6若しくは7員環を形成することができ、環原子は、N、O若しくはSで置換されていてもよく、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’で置換されていてもよい。
特定の実施形態において、ヘテロシクリル基は、ヘテロシクリル基の炭素原子において結合されている。例として、炭素結合されたヘテロシクリル基は、ピリジン環の2、3、4、5若しくは6位、ピリダジン環の3、4、5若しくは6位、ピリミジン環の2、4、5若しくは6位、ピラジン環の2、3、5若しくは6位、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロール若しくはテトラヒドロピロール環の2、3、4若しくは5位、オキサゾール、イミダゾール若しくはチアゾール環の2、4若しくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール若しくはイソチアゾール環の3、4若しくは5位、アジリジン環の2若しくは3位、アゼチジン環の2、3若しくは4位、キノリン環の2、3、4、5、6、7若しくは8位又はイソキノリン環の1、3、4、5、6、7若しくは8位での結合配置を含む。
ある実施形態において、ヘテロシクリル基は、N−結合されている。例として、窒素結合されたヘテロシクリル又はヘテロアリール基は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2−ピロリン、3−ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2−イミダゾリン、3−イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの1位、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位及びカルバゾール又はβ−カルボリンの9位での結合配置を含む。
用語「アルコキシ」は、Rが本明細書に定義されているとおりのアルキルである式−ORによって表される直鎖又は分岐の一価の基を表す。アルコキシ基には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、モノ、ジ及びトリフルオロメトキシ並びにシクロプロポキシが含まれる。
「アシル」は、Rが水素、アルキル、シクロアルキル、アリール又はヘテロシクリルであり、アルキル、シクロアルキル、アリール及びヘテロシクリルが本明細書に定義されているとおりである式−C(O)−Rによって表されるカルボニル含有置換基を意味する。アシル基には、アルカノイル(例えば、アセチル)、アロイル(例えば、ベンゾイル)及びヘテロアロイル(例えば、ピリジノイル)が含まれる。
別段の記載がなければ、「置換されていてもよい」は、基が、その基に対して列記されている1種以上(例えば、0、1、2、3、4若しくは5種以上又はその中に由来し得るあらゆる範囲)の置換基によって置換されていなくてもよく、又は置換されてもよいことを意味し、前記置換基は同一であり得又は異なり得る。一実施形態において、置換されていてもよい基は1個の置換基を有する。別の実施形態において、置換されていてもよい基は2個の置換基を有する。別の実施形態において、置換されていてもよい基は3個の置換基を有する。別の実施形態において、置換されていてもよい基は4個の置換基を有する。別の実施形態において、置換されていてもよい基は5個の置換基を有する。
単独で又は別の置換基の一部としての(例えばアルコキシ)アルキル基、並びに同じくそれぞれ単独で又は別の置換基の一部としての、アルキレニル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル及びシクロアルキルに対する存在してもよい置換基は、本明細書に記載されているものなど、並びにハロゲン;オキソ;CN;NO;N3;−OR’;ペルフルオロ−C1−C4アルコキシ;置換されていないC3−C7シクロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC3−C7シクロアルキル;置換されていないC6−C10アリール(例えば、フェニル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);−NR’R’’;−SR’;−SIR’R’’R’’’;−OC(O)R’;−C(O)R’;−CO2R’;−CONR’R’’;−OC(O)NR’R’’;−NR’’C(O)R’;−NR’’’C(O)NR’R’’;−NR’’C(O)2R’;−S(O)2R’;−S(O)2NR’R’’;−NR’S(O)2R’’;−NR’’’S(O)2NR’R’’;アミジニル;グアニジニル;−(CH2)1−4−OR’;−(CH2)1−4−NR’R’’;−(CH2)1−4−SR’;−(CH2)1−4−SiR’R’’R’’’;−(CH2)1−4−OC(O)R’;−(CH2)1−4−C(O)R’;−(CH2)1−4−CO2R’;及び−(CH2)1−4CONR’R’’又はこれらの組み合わせからなる群から選択されるものなどの、0から(2m’+1)の範囲の数の様々な基であり得、m’はこのような基の中の炭素原子の総数である。R’、R’’及びR’’’は、各々独立に、例えば、水素;置換されていないC1−C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6アルキル;置換されていないC1−C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6ヘテロアルキル;置換されていないC6−C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル)などの基を表す。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合されている場合には、R’及びR’’は、その窒素原子と組み合わされて、3、4、5、6又は7員環を形成することができ、環原子は、N、O又はSで置換されていてもよく、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で置換されていてもよい。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことが意図される。
同様に、アリール及びヘテロアリール基に対する存在してもよい置換基は、変動する。いくつかの実施形態において、アリール及びヘテロアリール基に対する置換基は、ハロゲン;CN;NO2;N3;−OR’;ペルフルオロ−C1−C4アルコキシ;置換されていないC3−C7シクロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1C−6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC3−C7シクロアルキル;置換されていないC6−C10アリール(例えば、フェニル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員のヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員のヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員のヘテロシクロアルキル);−NR’R’’;−SR’;−SIR’R’’R’’’;−OC(O)R’;−C(O)R’;−CO2R’;−CONR’R’’;−OC(O)NR’R’’;−NR’’C(O)R’;−NR’’’C(O)NR’R’’;−NR’’C(O)2R’;−S(O)2R’;−S(O)2NR’R’’;−NR’S(O)2R’’;−NR’’’S(O)2NR’R’’;アミジニル;グアニジニル;−(CH2)1−4−OR’;−(CH2)1−4−NR’R’’;−(CH2)1−4−SR’;−(CH2)1−4−SiR’R’’R’’’;−(CH2)1−4−OC(O)R’;−(CH2)1−4−C(O)R’;−(CH2)1−4−CO2R’;及び−(CH2)1−4CONR’R’’又はこれらの組み合わせからなる群から、0〜(2m’+1)の範囲の数で(m’はこのような基の中の炭素原子の総数である。)選択される。R’、R’’及びR’’’は、各々独立に、例えば、水素;置換されていないC1−C6アルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6アルキル;置換されていないC1−C6ヘテロアルキル;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換されたC1−C6ヘテロアルキル;置換されていないC6−C10アリール;ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ若しくはNR’R’’によって置換されたC6−C10アリール;置換されていない3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル);並びにハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ若しくはNR’R’’によって置換された3〜11員ヘテロシクリル(例えば、O、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する5〜6員ヘテロアリール又はO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含有する4〜11員ヘテロシクロアルキル)などの基を表す。R’及びR’’が同じ窒素原子に結合されている場合には、R’及びR’’は、その窒素原子と組み合わされて、3、4、5、6又は7員環を形成することができ、環原子は、N、O又はSで置換されていてもよく、環は、ハロゲン、OH、CN、置換されていないC1−C6アルキル、置換されていないC1−C6アルコキシ、オキソ又はNR’R’’で置換されていてもよい。例えば、−NR’R’’は、1−ピロリジニル及び4−モルホリニルを含むことが意図される。
用語「オキソ」は、=O又は(=O)2を表す。
本明細書において使用される、化学構造中の結合と交差する波線
は、波状の結合が当該化学構造中において分子の残部に又は分子の断片の残部に接続されている原子の付着の点を表す。いくつかの実施形態では、付着の点を表すために、アスタリスクを伴う矢印が波線のように使用される。
ある実施形態では、二価の基は、特定の結合の立体配置なしに一般的に記載されている。一般的な記載は、別段の記載がなければ、両方の結合立体配置を含むことが意図されることが理解される。例えば、基R1−R2−R3において、基R2が、−CH2C(O)−として記載されていれば、この基は、別段の記載がなければ、R1−CH2C(O)−R3及びR1−C(O)CH2−R3の両方として結合され得ることが理解される。
用語「本発明(the invention)の化合物」及び「本発明(the present invention)の化合物」などは、別段の記載がなければ、時にJAK阻害剤と称される、化合物1〜18などの本明細書中の式(I)の化合物を含み、その立体異性体(アトロプ異性体を含む。)、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、同位体、塩(例えば、薬学的に許容される塩)及びプロドラッグなどを含む。いくつかの実施形態において、溶媒和物、代謝物、同位体若しくはプロドラッグ又はこれらのあらゆる組み合わせが除外される。
「薬学的に許容される」との句は、適切な場合、動物(例えばヒトなど)に投与したときに、有害なアレルギー反応又は他の不都合な反応を引き起こさない分子部分及び組成物を指す。
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩などの塩の形態であり得る。「薬学的に許容される塩」は、酸付加塩及び塩基付加塩の両方を含む。「薬学的に許容される酸付加塩」は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、炭酸、リン酸などの無機酸とともに形成された、遊離塩基の生物学的有効性と特性を保持し、生物学的に又はその他望ましくないことがない塩を表し、有機酸は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸(maloneic acid)、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、アスパラギン酸、アスコルビン酸、グルタミン酸、アントラニル酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、エンボニン酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などの脂肪族、脂環族、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボキシ及びスルホンのクラスの有機酸から選択され得る。
「薬学的に許容される塩基付加塩」は、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム塩などの無機塩基に由来するものを含む。具体的な塩基付加塩は、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。薬学的に許容される無毒の有機塩基に由来する塩には、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2−ジエチルアミノエタノール、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン(hydrabamine)、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペリジン(piperizine)、ピペリジン(piperidine)、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの、一級、二級及び三級アミン、天然に存在する置換されたアミンを含む置換されたアミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。具体的な無毒の有機塩基には、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トロメタミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン及びカフェインが含まれる。
いくつかの実施形態において、塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、ピルビン酸塩、コハク酸塩、シュウ酸塩、メタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、硫酸水素塩、ベンゼンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、マロン酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、オレイン酸塩、ニコチン酸塩、サッカリン酸塩(saccharinate)、アジピン酸塩、ギ酸塩、グリコール酸塩、パルミチン酸塩、L−乳酸、D−乳酸、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、L−酒石酸塩、D−酒石酸塩、ステアリン酸塩、フロ酸塩(furoate)(例えば、2−フロ酸塩又は3−フロ酸塩)、ナパジシル酸(napadisylate)(ナフタレン−1,5−ジスルホン酸塩又はナフタレン−1−(スルホン酸)−5−スルホン酸塩)、エジシル酸(エタン−1,2−ジスルホン酸塩又はエタン−1−(スルホン酸)−2−スルホン酸塩)、イセチオン酸塩(2−ヒドロキシエチルスルホン酸塩)、2−メシチレンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、2,5−ジクロロベンゼンスルホン酸塩、D−マンデル酸塩、L−マンデル酸塩、桂皮酸塩、安息香酸塩、アジピン酸塩、エシレート(esylate)、マロン酸塩、メシチレート(mesitylate)(2−メシチレンスルホン酸塩)、ナプシレート(2−ナフタレンスルホン酸塩)、カンシル酸塩(カンファー−10−スルホン酸塩、例えば、(1S)−(+)−10−カンファースルホン酸塩)、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、馬尿酸塩、(2−(ベンゾイルアミノ)酢酸塩)、オロト酸塩、キシレート(xylate)(p−キシレン−2−スルホン酸塩)及びパモ(pamoic)(2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ジナフチルメタン−3,3’−ジカルボン酸塩)から選択される。
「無菌」製剤は、無菌性であり、又はあらゆる生きた微生物及びその芽胞が存在しない。
「立体異性体」は、同一の化学的構成を有するが、空間中での原子又は基の配置に関して異なる化合物を表す。立体異性体には、ジアステレオマー、鏡像異性体、配座異性体などが含まれる。
「キラル」は、鏡像対を重ね合わせることができないという性質を有する分子を表し、「アキラル」という用語は、その鏡像対上に重ね合わせることができる分子を表す。
「ジアステレオマー」は、2つ以上のキラル中心を有し、その分子が互いに鏡像体ではない立体異性体を示す。ジアステレオマーは、例えば、融点、沸点、スペクトル特性又は生物活性などの異なる物理特性を有する。ジアステレオマーの混合物は、電気泳動及びHPLCなどのクロマトグラフィーなどの高分解能分析手法下で分離し得る。
「鏡像異性体」は、互いに重ね合わせることができない鏡像体である、ある化合物の2つの立体異性体を表す。
本明細書で使用される立体化学的定義及び慣例は、一般的に、S.P.Parker,Ed.,McGraw−Hill Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw−Hill Book Company,New York;及びEliel,E.and Wilen,S.,”Stereochemistry of Organic Compounds”,John Wiley&Sons,Inc.,New York,1994に従う。多くの有機化合物は光学的に活性な形態で存在する、すなわち、面偏光の面を回転させる能力を有する。光学活性化合物を記載する際には、そのキラル中心についての分子の絶対配置を表すために、接頭辞D及びL又はR及びSが使用される。化合物による面偏光された光の回転の符号を表記するために、接頭辞d及びl又は(+)及び(−)が使用され、(−)又は1は、化合物が左旋性であることを意味する。(+)又はdの接頭辞が付された化合物は右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、互いに鏡像であることを除いて同一である。特定の立体異性体は、鏡像異性体とも称され得、このような異性体の混合物は、しばしば、鏡像異性体混合物と称される。鏡像異性体の50:50混合物は、ラセミ混合物又はラセミ体と称され、これは、化学反応又は過程において立体選択又は立体特異性が存在しない場合に起こり得る。用語「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」は、光学活性を欠く、2つの鏡像異性体種の等モル混合物を表す。
用語「互変異性体」又は「互変異性形態」は、低いエネルギー障壁を介して相互転換可能な異なるエネルギーの構造異性体を表す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体とも称される。)には、ケト−エノール及びイミン−エナミン異性化など、プロトンの転位を介した相互転換が含まれる。原子価互変異性体には、結合電子のいくつかの再編成による相互転換が含まれる。
本発明のある種の化合物は、溶媒和されていない形態及び水和された形態を含む溶媒和された形態で存在することができる。「溶媒和物」は、1種以上の溶媒分子と本発明の化合物の会合又は錯体を表す。溶媒和物を形成する溶媒の例には、水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸及びエタノールアミンが含まれる。本発明のある種の化合物は、複数の結晶性形態又は非晶質形態で存在することができる。一般に、全ての物理的形態が、本発明の範囲に属することが意図される。用語「水和物」は、溶媒分子が水である錯体を表す。
「代謝物」は、指定された化合物又はその塩の体内での代謝を通じて生成される生成物を表す。このような生成物は、例えば、投与される化合物の酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素的切断などから生じることができる。
代謝生成物は、典型的には、本発明の化合物の放射線標識された(例えば、14C又は3H)同位体を調製すること、ラット、マウス、モルモット、サルなどの動物に又はヒトに、(例えば、約0.5mg/kgを上回る)検出可能な用量でこれを投与すること、十分な時間(典型的には、約30秒〜30時間)代謝をさせること、尿、血液又は他の生物学的試料からその転換生成物を単離することによって同定される。これらの生成物は標識されているので、これらの生成物は容易に単離される(その他の生成物は、代謝物に残っているエピトープを結合する抗体の使用によって単離される。)代謝物の構造は、例えば、MS、LC/MS又はNMR分析によって、従来の様式で決定される。一般に、代謝物の分析は、当業者に周知の従来の薬物代謝物研究と同様に行われる。代謝生成物は、インビボでその他に見出されない限り、本発明の化合物の治療的投薬に対する診断アッセイにおいて有用である。
「対象」、「個体」又は「患者」は、脊椎動物である。ある実施形態において、脊椎動物は、哺乳動物である哺乳動物には、家畜(ウシなど)、スポーツ動物、ペット(モルモット、ネコ、イヌ、ウサギ及びウマなど)、霊長類、マウス及びラットが含まれるが、これらに限定されない。ある実施形態において、哺乳動物はヒトである本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩の患者への投与を含む実施形態において、患者は、これを必要とし得る。
用語「ヤヌスキナーゼ」は、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2タンパク質キナーゼを表す。いくつかの実施形態において、ヤヌスキナーゼは、JAK1、JAK2、JAK3又はTYK2の1つとしてさらに定義され得る。いずれの実施形態においても、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2のいずれの1つも、ヤヌスキナーゼとして具体的に除外され得る。いくつかの実施形態において、ヤヌスキナーゼはJAK1である。いくつかの実施形態において、ヤヌスキナーゼは、JAK1及びJAK2の組み合わせである。
用語「阻害する」及び「低下する」又はこれらの用語のあらゆる変形は、所望の結果を達成するためのあらゆる測定可能な減少又は完全な阻害を含む。例えば、正常と比較した約、多くとも約又は少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくはそれ以上の又はその中で誘導され得るあらゆる範囲の活性(例えば、JAK1活性)の減少、低下が存在し得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、JAK3及びTYK2を上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。いくつかの実施形態において、化合物は、JAK2、JAK3若しくはTYK2又はJAK2、JAK3若しくはTYK2のあらゆる組み合わせを上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。いくつかの実施形態において、化合物は、JAK3及びTYK2を上回ってJAK1及びJAK2の阻害に対して選択的である。いくつかの実施形態において、化合物は、JAK3を上回ってJAK1の阻害に対して選択的である。「阻害に対して選択的」によって、化合物が、別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比べて、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%若しくはそれ以上又はこれらの中の誘導され得るあらゆる範囲で、別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比べて、ある特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性のよりよい阻害剤であること、又は別の特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK3)活性と比べて、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、25倍、50倍、100倍、250倍又は500倍、特定のヤヌスキナーゼ(例えば、JAK1)活性のより優れた阻害剤であることが意味される。
「治療的有効量」は、(i)特定の疾患、症状若しくは障害を処置若しくは予防する、又は(ii)特定の疾患、症状若しくは障害の1種以上の症候を減弱、軽減若しくは除去する、及び必要に応じて(iii)本明細書に記載されている特定の疾患、症状若しくは障害の1種以上の症候の開始を予防又は遅延する本発明の化合物の量を意味する。いくつかの実施形態において、治療的有効量は、自己免疫又は炎症性疾患(例えば、喘息)の症候を減少又は緩和するのに十分な量である。いくつかの実施形態において、治療的有効量は、B細胞の活性又は数を有意に減少させるのに十分な本明細書に記載されている化学的部分の量である。癌の場合には、治療的有効量の薬物は、癌細胞の数を低下させ、腫瘍サイズを低下させ;末梢臓器中への癌細胞の浸潤を阻害し(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止させる);腫瘍の転移を阻害し(すなわち、ある程度遅らせ、好ましくは停止させる);腫瘍増殖をある程度阻害し;又は癌と関連する症候の1種以上をある程度緩和し得る。薬物が増殖を抑制し又は既存の癌細胞を死滅させ得る程度まで、薬物は細胞増殖抑制性又は細胞毒性であり得る。癌治療に関しては、有効性は、例えば、無増悪期間(TTP)を評価することによって、又は寛解率(RR)を決定することによって測定することができる。
「処置」(及び変形語、例えば、「処置する」又は「処置すること」)は、処置される個体又は細胞において本来の経過を変える試みにおける臨床的介入を指し、予防のために、又は臨床病理の経過の間に行うことができる。処置の望ましい効果には、疾患の発生又は再発を予防すること、症候の緩和、疾病のいずれかの直接又は間接的な病理的結果の減少、疾病の安定された(すなわち、悪化しない)状態、疾患進行速度を減少させること、病状の軽減又は寛解、処置を受けていなければ予測された生存と比べて生存を延長すること及び緩解又は改善された予後が含まれる。いくつかの実施形態では、本発明の化合物は、疾患若しくは障害の発生を遅らせるために、又は疾患若しくは障害の進行を遅らせるために使用される。処置を必要とするものには、症状若しくは障害を既に有するもの、及び(例えば、遺伝子変異を通じて)症状若しくは障害を有する傾向があるもの、又は症状若しくは障害を予防すべきものが含まれる。
「炎症性障害」は、過剰な又は制御されない炎症反応が過剰な炎症性症候、宿主組織の損傷又は組織機能の喪失をもたらすあらゆる疾患、障害又は症候群を表す。「炎症性障害」は、白血球の流入又は好中球走化性によって媒介される病理的状態も表す。
「炎症」は、傷害性因子及び傷害された組織の両方を破壊し、希釈し、又は周囲を囲む(隔絶する)役割を果たす、組織の傷害又は破壊によって惹起される局所化された保護的応答を表す。炎症には、白血球の流入又は好中球走化性が顕著に伴う。炎症は、病原性生物及びウイルスによる感染から並びに外傷又は心筋梗塞若しくは脳卒中(stroke)後の再灌流、外来抗原に対する免疫応答及び自己免疫応答などの非感染性手段から生じ得る。したがって、本発明の化合物を用いた処置に適している炎症性障害は、特異的な防御系の反応と関連する障害及び非特異的防御系の反応と関連する障害を包含する。
「特異的な防御系」は、特異的な抗原の存在に対して反応する免疫系の成分を表す。特異的な防御系の応答から生じる炎症の例には、外来抗原に対する古典的応答、自己免疫疾患及びT細胞によって媒介される遅延型過敏症応答が含まれる。慢性炎症性疾患、移植された固形組織及び臓器、例えば、腎臓及び骨髄移植の拒絶並びに移植片対宿主病(GVHD)は、特異的な防御系の炎症性反応のさらなる例である。
用語「非特異的防御系」は、免疫記憶をすることができない白血球(例えば、顆粒球及びマクロファージ)によって媒介される炎症性障害を表す。少なくとも部分的に非特異的防御系の反応から生じる炎症の例には、成人(急性)呼吸促迫症候群(ARDS)又は多臓器損傷症候群;再灌流傷害;急性糸球体腎炎;反応性関節炎;急性炎症性成分を有する皮膚疾患;急性化膿性髄膜炎又は脳卒中などの他の中枢神経系炎症性障害;熱傷;炎症性腸疾患;顆粒球輸血関連症候群;及びサイトカイン誘導性毒性などの症状に関連する炎症が含まれる。
「自己免疫疾患」は、組織傷害が身体自身の構成要素に対する液性又は細胞媒介性応答と関連する疾患のあらゆる群を表す。自己免疫疾患の非限定的な例には、関節リウマチ、狼瘡及び多発性硬化症が含まれる。
本明細書で使用される「アレルギー性疾患」は、アレルギーから生じるあらゆる症候、組織損傷又は組織機能の低下を表す。本明細書で使用される「関節炎疾患」は、様々な病因に起因する関節の炎症性病変によって特徴付けられるあらゆる疾患を表す。本明細書で使用される「皮膚炎」は、様々な病因に起因する皮膚の炎症によって特徴付けられる皮膚の疾患の巨大なファミリーのいずれをも表す。本明細書で使用される「移植拒絶」は、移植された組織及び周囲の組織の機能の低下、疼痛、腫脹、白血球増多及び血小板減少によって特徴付けられる、臓器又は細胞(例えば、骨髄)などの移植された組織に対して誘導されるあらゆる免疫反応を表す。本発明の治療方法は、炎症細胞活性化と関連する障害の処置のための方法を含む。
「炎症細胞の活性化」は、増殖性細胞応答の刺激(サイトカイン、抗原又は自己抗体を含むが、これらに限定されない。)による誘導、可溶性媒介物質(サイトカイン、酸素ラジカル、酵素、プロスタノイド又は血管作用性アミンを含むが、これらに限定されない。)の産生、又は炎症細胞(単球、マクロファージ、Tリンパ球、Bリンパ球、顆粒球(すなわち、好中球、好塩基球及び好酸球などの多形核白血球)を含むが、これらに限定されない。)、肥満細胞、樹状細胞、ランゲルハンス細胞及び内皮細胞を含むが、これらに限定さない。)における新たな若しくは増加した数の媒介物質(主要組織適合性抗原又は細胞接着分子を含むが、これらに限定されない。)の細胞表面発現を表す。これらの細胞中でのこれらの表現型の1つ又は組み合わせの活性化は、炎症性障害の開始、永続化又は増悪に寄与することができることが当業者によって理解されるであろう。
いくつかの実施形態において、本発明の方法に従って処置することができる炎症性障害には、喘息、鼻炎(例えば、アレルギー性鼻炎)、アレルギー性気道症候群、アトピー性皮膚炎、気管支炎、関節リウマチ、乾癬、接触性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、遅延型過敏症反応が含まれるが、これらに限定されない。
用語「癌」及び「癌性」、「新生物」及び「腫瘍」及び関連する用語は、制御されない細胞増殖によって典型的に特徴付けられる哺乳動物中の生理的症状を表し、又は記載する。「腫瘍」は、1種以上の癌性細胞を含む。癌の例には、癌腫、芽細胞腫、肉腫、精上皮腫、神経膠芽腫、黒色腫、白血病及び骨髄系又はリンパ系腫瘍が含まれる。このような癌のさらに具体的な例には、扁平上皮細胞癌(例えば、上皮性扁平上皮細胞癌)並びに小細胞肺癌、非小細胞肺癌(「NSCLC」)、肺の腺癌及び肺の扁平上皮癌腫を含む肺癌が含まれる。他の癌には、皮膚、角化棘細胞腫、濾胞癌腫、有毛細胞白血病、頬側口腔、咽頭(口腔)、唇、舌、口、唾液腺、食道、喉頭、肝細胞、胃の、胃、胃腸、小腸、大腸、膵臓、子宮頸部、卵巣、肝臓、膀胱、肝細胞腫、***、結腸、直腸、結腸直腸、泌尿生殖器、胆道、甲状腺、乳頭、肝臓、子宮内膜、子宮、唾液腺、腎臓又は腎、前立腺、精巣、外陰部、腹膜、肛門、陰茎、骨、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、中枢神経系、脳、頭部及び頸部、ホジキン並びに付随する転移が含まれる。新生物疾患の例には、真性多血症、本態性血小板増加症、原発性骨髄線維症などの骨髄線維症及び慢性骨髄性白血病(CML)などの骨髄増殖性疾患が含まれる。
「化学療法剤」は、所与の障害、例えば、癌又は炎症性障害の処置において有用な薬剤である。化学療法剤の例は本分野において周知であり、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0048557号に開示されているものなどの例が含まれる。さらに、化学療法剤には、化学療法剤のいずれかの薬学的に許容される塩、酸又は誘導体及びこれらの2種以上の組み合わせが含まれる。
「パッケージ添付文書」とは、治療製品の市販パッケージに通常含まれる指示を指すために用いられ、このような治療製品の使用に関する適応症、使用、投薬量、投与、禁忌又は警告に関する情報を含む。
別段の記載がなければ、本明細書に図示されている構造は、同位体が濃縮された原子の1種以上の存在のみが異なる化合物を含む。本発明の化合物中に取り込ませることができる例示的な同位体には、それぞれ、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、32P、33P、35S、18F、36Cl、123I及び125Iなどの、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素及びヨウ素の同位体が含まれる。同位体標識された化合物(例えば、3H及び14Cで標識されたもの)は、化合物又は基質の組織分布アッセイにおいて有用であり得る。トリチウム標識された(すなわち、3H)及び炭素−14(すなわち、14C)同位体は、調製の容易性及び検出性のために有用であり得る。さらに、重水素(すなわち、2H)などのより重い同位体での置換は、より大きな代謝安定性から生じるある種の治療上の利点(例えば、増加したインビボでの半減期又は減少した投薬の必要性)を与え得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の水素原子は、2H若しくは3Hによって置換されており、又は1つ以上の炭素原子は、13C−若しくは14Cが濃縮された炭素によって置換されている。15O、13N、11C及び18Fなどの陽電子放出同位体は、基質受容体占有率を調べるための陽電子放出断層撮影法(PET)研究にとって有用である。同位体標識された化合物は、一般的には、同位体標識されていない試薬を同位体標識された試薬に置き換えることによって、本明細書の実施例に開示されている手順と類似の手順によって調製することができる。
本発明の一実施形態に関して論述されているあらゆる限定は、本発明のあらゆる他の実施形態に当てはまり得ることが具体的に想定される。さらに、本発明のあらゆる化合物又は組成物は、本発明のあらゆる方法において使用され得、本発明のあらゆる方法は、本発明のあらゆる化合物又は組成物を製造するために又は利用するために使用され得る。
選択に限るという明示的な記載がなければ、又は選択肢が相互に排他的でなければ、用語「又は」の使用は、「及び/又は」を意味するために使用されるが、本開示は、選択のみ及び「及び/又は」を表す定義を支持する。
本願を通じて、用語「約」は、ある値が、当該値を決定するために使用されている装置又は方法の誤差の標準偏差を含むことを示すために使用される。
本明細書において使用される「a」又は「an」は、明確に別段の記載がなければ、1つ以上を意味する。本明細書において使用される「別の」は、少なくとも第二の又はそれ以上を意味する。
本明細書において使用される見出しは、整理を目的としたものに過ぎない。
ヤヌスキナーゼの阻害剤
一実施形態は、式(I):
(式中:
環Aは、5員炭素環、6員炭素環、5員複素環及び6員複素環からなる群から選択されるオキソ置換された飽和又は部分飽和環であり、前記環は、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6アルコキシカルボニル、C
1−C
6アルカノイルオキシ、カルボキシ及びC
1−C
6アルキルからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよく、C
1−C
6アルコキシ、C
1−C
6アルコキシカルボニル、C
1−C
6アルカノイルオキシ及びC
1−C
6アルキルはいずれも、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ及びC
1−C
3アルコキシからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよく;
R
1は、フェニル、5〜6員ヘテロアリール、C
3−C
6シクロアルキル又は3〜10員ヘテロシクリルであり、R
1は、1〜5個のR
aによって置換されていてもよく;
R
2は、水素又はNH
2であり;
R
3は、水素又はCH
3であり;
R
4は、水素又はNH
2であり;
各R
aは、C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、オキソ、ハロゲン、−(C
0−C
3アルキル)CN、−(C
0−C
3アルキル)OR
b、−(C
0−C
3アルキル)SR
b、−(C
0−C
3アルキル)NR
bR
c、−(C
0−C
3アルキル)OCF
3、−(C
0−C
3アルキル)CF
3、−(C
0−C
3アルキル)NO
2、−(C
0−C
3アルキル)C(O)R
b、−(C
0−C
3アルキル)C(O)OR
b、−(C
0−C
3アルキル)C(O)NR
bR
c、−(C
0−C
3アルキル)NR
bC(O)R
c、−(C
0−C
3アルキル)S(O)
1−2R
b、−(C
0−C
3アルキル)NR
bS(O)
1−2R
c、−(C
0−C
3アルキル)S(O)
1−2NR
bR
c、−(C
0−C
3アルキル)(C
3−C
6シクロアルキル)、−(C
0−C
3アルキル)(3〜6員ヘテロシクリル)、−(C
0−C
3アルキル)C(O)(3〜6員ヘテロシクリル)、−(C
0−C
3アルキル)(5〜6員ヘテロアリール)及び−(C
0−C
3アルキル)フェニルからなる群から独立に選択され、各R
aは、ハロゲン、C
1−C
3アルキル、オキソ、−CF
3、−(C
0−C
3アルキル)OR
e若しくは−(C
0−C
3アルキル)NR
eR
fで独立に置換されていてもよく、又は2つのR
aは、一緒になって、−O(CH
2)
1−3O−を形成し、
各R
bは、水素、C
1−C
6アルキル、C
3−C
6シクロアルキル、3〜6員ヘテロシクリル、−C(O)R
r、−C(O)OR
e、−C(O)NR
eR
f、−NR
eC(O)R
f、−S(O)
1−2R
e、−NR
eS(O)
1−2R
f及び−S(O)
1−2NR
eR
fからなる群から独立に選択され、前記アルキル、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、オキソ、C
1−C
3アルキル、OR
e、NR
eR
f又はハロゲンによって独立に置換されていてもよく;並びに各R
cは、水素及びC
1−C
3アルキルからなる群から独立に選択され、前記アルキルは、ハロゲン若しくはオキソによって独立に置換されていてもよく;又はR
bとR
cは、これらが結合されている原子と一緒になって、ハロゲン、オキソ、−CF
3若しくはC
1−C
3アルキルによって置換されていてもよい3〜6員ヘテロシクリルを形成する)
の化合物、又は薬学的に許容されるその塩を提供する。
各Re及びRfは、水素及びハロゲン若しくはオキソによって置換されていてもよいC1−C3アルキルからなる群から独立に選択され;又はReとRfは、これらが結合されている原子と一緒になって、ハロゲン、オキソ、−CF3若しくはC1−C3アルキルによって置換されていてもよい3〜6員ヘテロシクリルを形成する。
いくつかの実施形態において、R2は、水素である。
いくつかの実施形態において、R3及びR4は、それぞれ水素である。
いくつかの実施形態において、環Aは、ハロ、シアノ、ニトロ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ、カルボキシ及びC1−C6アルキルからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい、オキソ置換された5員炭素環であり、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ及びC1−C6アルキルはいずれも、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ及びC1−C3アルコキシからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、環Aは、ハロ、シアノ、ニトロ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ、カルボキシ及びC1−C6アルキルからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい、オキソ置換された6員炭素環であり、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ及びC1−C6アルキルはいずれも、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ及びC1−C3アルコキシからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、環Aは、ハロ、シアノ、ニトロ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ、カルボキシ及びC1−C6アルキルからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい、オキソ置換された5員複素環であり、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ及びC1−C6アルキルはいずれも、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ及びC1−C3アルコキシからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、環Aは、5員ラクトン環、6員ラクトン環、5員ラクタム環又は6員ラクタム環であり、環Aは、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ、カルボキシ及びC1−C6アルキルからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよく、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ及びC1−C6アルキルはいずれも、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、オキソ及びC1−C3アルコキシからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、環Aは、オキソ置換された6員複素環であり、環は、ハロ、シアノ、ニトロ、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ、カルボキシ及びC1−C6アルキルからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよく、C1−C6アルコキシ、C1−C6アルコキシカルボニル、C1−C6アルカノイルオキシ及びC1−C6アルキルはいずれも、ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ及びC1−C3アルコキシからなる群から選択される1種以上の基で置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、環Aは、以下からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、R1は、1〜5個のRaによって置換されていてもよいフェニルである。
いくつかの実施形態において、R1は、1〜5個のRaによって置換されていてもよい5〜6員ヘテロアリールである。
いくつかの実施形態において、R1は、1〜5個のRaによって置換されていてもよいC3−C6シクロアルキルである。
いくつかの実施形態において、R1は、1〜5個のRaによって置換されていてもよい3〜10員ヘテロシクリルである。
いくつかの実施形態において、R
1は、以下からなる群から選択される。
いくつかの実施形態において、R1は、1〜5個のRaによって置換されていてもよいフェニルである。
いくつかの実施形態において、R
1は、以下から選択される。
いくつかの実施形態において、前記化合物又は塩は、
からなる群又は薬学的に許容されるこれらの塩から選択される。
本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩と、及び薬学的に許容される、担体、希釈剤又は賦形剤とを含む医薬組成物も提供される。
炎症性疾患(例えば、喘息)の処置におけるなど、治療における、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩の使用も提供される。炎症性疾患の処置のための医薬の調製のための、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩の使用も提供される。患者中のヤヌスキナーゼ活性の阻害に応答する疾患又は症状を予防し、処置し、又はその重度を低下させる方法であって、治療的有効量の、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩を前記患者に投与することを含む、方法も提供される
一実施形態において、治療のための疾患又は症状は、癌、真性多血症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、関節リウマチ、炎症性腸症候群、クローン病(Chron’s disease)、乾癬、接触性皮膚炎又は遅延型過敏症反応である。
一実施形態において、癌、真性多血症、本態性血小板増加症、骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、関節リウマチ、炎症性腸症候群(IBS)、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、乾癬、接触性皮膚炎又は遅延型過敏症反応の処置のための、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
一実施形態において、吸入による投与のために調合された組成物が提供される。
一実施形態において、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む定量吸入器が提供される。
一実施形態において、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩は、JAK2の阻害剤としてより、JAK1の阻害剤として少なくとも5倍強力である。
一実施形態において、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩は、JAK2の阻害剤としてより、JAK1の阻害剤として少なくとも10倍強力である。
一実施形態において、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩は、JAK3の阻害剤としてより、JAK1の阻害剤として少なくとも5倍強力である。
一実施形態において、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩は、JAK3の阻害剤としてより、JAK1の阻害剤として少なくとも10倍強力である。
一実施形態において、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩を哺乳動物に投与することを含む、哺乳動物中の脱毛症を処置するための方法が提供される。
一実施形態において、脱毛症の処置のための、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
一実施形態において、哺乳動物中の脱毛症を処置するための医薬を調製するための、本明細書に記載されているJAK阻害剤又は薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
本発明の化合物は、1つ以上の不斉炭素原子を含有し得る。したがって、化合物は、ジアステレオマー、鏡像異性体又はこれらの混合物として存在し得る。化合物の合成は、出発材料として又は中間体として、ラセミ体、ジアステレオマー又は鏡像異性体を使用し得る。特定のジアステレオマー化合物の混合物は、クロマトグラフィー又は結晶化法によって分離され、又は1種以上の特定のジアステレオマーが濃縮され得る。同様に、鏡像異性体混合物は、同じ技術又は本分野において既知の他の技術を用いて分離され、又は鏡像異性的に濃縮され得る。不斉炭素又は窒素原子の各々は、R又はS立体配置であり得、これらの立体配置の両方が本発明の範囲に属する。
本明細書に示されている構造において、いずれの特定のキラル原子の立体化学も明記されていない場合には、全ての立体異性体が想定され、本発明の化合物として含まれる。立体化学が、特定の立体配置を表す実線のくさび又は破線によって明記されている場合には、その立体異性体はそのように指定され、定義される。別段の記載がなければ、実線のくさび又は破線が使用されている場合、相対立体化学が意図される。
別の態様は、生理的条件下で、放出されて、例えば加水分解されて、本発明の化合物を生じる、既知のアミノ保護基及びカルボキシ保護基を含む、本明細書に記載されている化合物のプロドラッグを含む。
用語「プロドラッグ」は、親薬物と比較して患者に対して有効性がより低く、酵素的に又は加水分解的に活性化され又はより活性な親形態へ転化されることができる、薬学的に活性な物質の前駆体又は誘導体形態を表す。例えば、Wilman,”Prodrugs in Cancer Chemotherapy”Biochemical Society Transactions,14,pp.375−382,615th Meeting Belfast(1986)及びStella et al.,”Prodrugs:A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery,”Directed Drug Delivery,Borchardt et al.,(ed.),pp.247−267,Humana Press(1985)を参照されたい。プロドラッグは、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾されたプロドラッグ、グリコシル化されたプロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ又は置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ並びに5−フルオロシトシン及び5−フルオロウリジンプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。
プロドラッグの特定のクラスは、アミノ、アミジノ、アミノアルキレンアミノ、イミノアルキレンアミノ又はグアニジノ基中の窒素原子が、ヒドロキシ基、アルキルカルボニル(−CO−R)基、アルコキシカルボニル(−CO−OR)又はアシルオキシアルキル−アルコキシカルボニル(−CO−O−R−O−CO−R)基で置換されている化合物であり、式中、Rは、一価又は二価の基、例えば、アルキル、アルキレン又はアリール、又は式−C(O)−O−CP1P2−ハロアルキルを有する基であり、式中、P1及びP2は同一であり又は異なり、水素、アルキル、アルコキシ、シアノ、ハロゲン、アルキル又はアリールである。特定の実施形態において、窒素原子は、アミジノ基の窒素原子の1つである。プロドラッグは、例えば、化合物中の窒素原子を活性化されたアシル基の典型的なカルボニルに結合するために、アシル基などの活性化された基と化合物を反応させることによって調製され得る。活性化されたカルボニル化合物の例は、カルボニル基に結合された脱離基を含有するものであり、例えば、ハロゲン化アシル、アシルアミン、アシルピリジニウム塩、アシルアルコキシド、p−ニトロフェノキシアシル、ジニトロフェノキシアシル、フルオロフェノキシアシル及びジフルオロフェノキシアシルなどのアシルフェノキシドを含む。反応は、一般に、−78℃〜約50℃などの低減された温度で、不活性溶媒中において実施される。反応は、無機塩基、例えば、炭酸カリウム若しくは重炭酸ナトリウム又は、ピリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミンなどを含むアミンなどの有機塩基の存在下でも実施され得る。
さらなる種類のプロドラッグも包含される。例えば、本明細書に記載されたJAK阻害剤の遊離カルボキシル基は、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化されることができる。別の例として、遊離のヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、Fleisher,D.et al.,(1996)Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs Advanced Drug Delivery Reviews,19:115に概説されているように、ヒドロキシ基を、リン酸エステル、ヘミサクシネート、ジメチルアミノアセテート又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニル基などの、但しこれらに限定されない基へ転化することによってプロドラッグとして誘導体化されることができる。ヒドロキシ及びアミノ基のカルバメートプロドラッグも、カーボネートプロドラッグ、ヒドロキシ基のスルホン酸エステル及び硫酸エステルと同様に含まれる。アシル基が、エーテル、アミン及びカルボン酸官能性を含むがこれらに限定されない基で置換されていてもよいアルキルエステルであり得る、又はアシル基が上述されているとおりのアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテルとしてのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。この種のプロドラッグは、J.Med.Chem.,(1996),39:10に記載されている。より具体的な例には、(C1−C6)アルカノイルオキシメチル、1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C1−C6)アルカノイルオキシ)エチル、(C1−C6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C1−C6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C1−C6)アルカノイル、α−アミノ(C1−C4)アルカノイル、アリールアシル及びα−アミノアシル又はα−アミノアシル−α−アミノアシルなどの基での、アルコール基の水素原子の置換を含み、ここで、各α−アミノアシル基は、天然に存在するL−アミノ酸、P(O)(OH)2、−P(O)(O(C1−C6)アルキル2又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形態のヒドロキシル基の除去によって生じる基)から独立に選択される。
「脱離基」は、化学反応中で最初の反応物から除去される化学反応中の最初の反応物の一部を表す。脱離基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ及びスルホニルオキシ基が含まれるが、これらに限定されない。例示的なスルホニルオキシ基には、アルキルスルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ(メシレート基)及びトリフルオロメチルスルホニルオキシ(トリフレート基))及びアリールスルホニルオキシ基(例えば、p−トルエンスルホニルオキシ(トシレート基)及びp−ニトロスルホニルオキシ(ノシレート基))が含まれるが、これらに限定されない。
ヤヌスキナーゼ阻害剤化合物の合成
化合物は、本明細書に記載されている合成経路によって合成され得る。ある実施形態において、本明細書に含まれる記載に加えて又はこれを踏まえて、化学分野において周知の過程を使用することができる。出発材料は、Aldrich Chemicals(Milwaukee、Wis.)などの商業的な入手源から一般的に入手可能であり、又は当業者に周知の方法を用いて容易に調製される(例えば、Louis F.Fieser and Mary Fieser,Reagents for Organic Synthesis,v.1−19,Wiley,N.Y.(1967−1999ed.)、(同じくBeilsteinオンラインデータベースを通じて入手可能な)補遺を含むBeilsteins Handbuch der organischen Chemie,4,Aufl.ed.Springer−Verlag,Berlin又はComprehensive Heterocyclic Chemistry,Editors Katrizky and Rees,Pergamon Press,1984に一般的に記載されている方法によって調製される)。
化合物は、単一に又は少なくとも2つ、例えば、5〜1,000個の化合物又は10〜100個の化合物を含む化合物ライブラリーとして調製され得る。化合物のライブラリーは、当業者に公知の手順によって、溶液相又は固相化学のいずれかを用いて、コンビナトリアル「分割及び混合(split and mix)」アプローチによって、又は多重並列合成(multiple parallel syntheses)によって調製され得る。このため、本発明のさらなる態様によれば、少なくとも2つの本発明の化合物を含む化合物ライブラリーが提供される。
化合物は、標準的な合成手法を用いて、及び以下の実施例に記載されている手法に類似した手法を用いて調製され得る。当業者は、他の合成経路が使用され得ることを理解するであろう。実施例ではいくつかの具体的な出発材料及び試薬が特定されているが、様々な誘導体又は反応条件を提供するために、他の出発材料及び試薬に置き換えることができる。さらに、本明細書で調製されるいくつかの化合物は、他の式(I)の化合物を提供するために、従来の化学を用いて修飾することができる。
本発明の化合物の調製において、中間体の遠隔の官能性(例えば、一級又は二級アミン)の保護が必要であり得る。このような保護の必要性は、遠隔の官能性の性質及び調製方法の条件に応じて変動するであろう。適切なアミノ保護基には、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、フェニルスルホニル、t−ブトキシカルボニル(BOC)、ベンジルオキシカルボニル(CBz)及び9−フルオレニルメチレンオキシカルボニル(Fmoc)が含まれる。このような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。保護基及びその使用の一般的な説明に関しては、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons,New York,1991を参照されたい。
本発明の化合物の合成において一般的に使用され、様々な試薬及び条件を用いて実施することができる他の変換には、以下のものが含まれる。
(1)アミドを形成するための、アミンとのカルボン酸の反応。このような転換は、当業者に既知の様々な試薬を用いて達成することができるが、包括的な概説は、Tetrahedron,2005,61,10827−10852に見出すことができる。
(2)「バックワルド・ハートウィグ・クロスカップリング」として一般的に知られる、ハロゲン化アリール又は擬ハロゲン化物、例えば、トリフレートとの、一級又は二級アミンの反応は、様々な触媒、リガンド及び塩基を用いて達成することができる。これらの方法の概説は、Comprehensive Organic Name Reactions and Reagents,2010,575−581に提供されている。
(3)ハロゲン化アリールとビニルボロン酸又はボロン酸エステルの間でのパラジウムクロスカップリング反応。この転換は、Chemical Reviews,1995,95(7),2457−2483に詳しく記載されている反応のクラスである「鈴木・宮浦クロスカップリング」の一種である。
(4)対応するカルボン酸を与えるためのエステルの加水分解は、当業者に周知であり、条件には、以下のものが含まれる。メチル及びエチルエステルに対しては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウムなどの強い水性塩基又はHClなどの強い水性鉱酸の使用;tert−ブチルエステルに対しては、加水分解は、酸、例えば、ジオキサン中のHCl又はジクロロメタン(DCM)中のトリフルオロ酢酸(TFA)を用いて実施され得る。
適切な官能基が存在する場合には、様々な式の化合物又はその調製において使用されるあらゆる中間体は、縮合、置換、酸化、還元又は切断反応を用いる1種以上の標準的な合成方法によってさらに誘導体化され得ることが理解されるであろう。具体的な置換アプローチには、慣用のアルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、スルホニル化、ハロゲン化、ニトロ化、ホルミル化及びカップリング手法が含まれる。
さらなる例では、一級アミン又は二級アミン基は、アシル化によって、アミド基(−NHCOR’又は−NRCOR’)へ転化され得る。アシル化は、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中において、トリエチルアミンなどの塩基の存在下で、適切な酸塩化物との反応によって、又はジクロロメタンなどの適切な溶媒中において、HATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)のような適切なカップリング剤の存在下で、適切なカルボン酸との反応によって達成され得る。同様に、アミン基は、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中において、トリエチルアミンなどの適切な塩基の存在下で、適切な塩化スルホニルとの反応によって、スルホンアミド基(−NHSO2R’又は−NR’’SO2R’)へ転化され得る。一級又は二級アミン基は、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中において、トリエチルアミンなどの適切な塩基の存在下で、適切なイソシアネートとの反応によって、尿素基(−NHCONR’R’’又は−NRCONR’R’’)へ転化され得る。
アミン(−NH2)は、酢酸エチル又はアルコール、例えば、メタノールなどの溶媒中において、金属触媒、例えば、炭素などの支持体上のパラジウムの存在下で、例えば水素を用いて、例えば、触媒的水素添加によって、ニトロ(−NO2)基の還元によって取得され得る。または、転換は、塩酸などの酸の存在下で、例えば、金属、例えば、スズ又は鉄を用いた化学的還元によって実施され得る。
さらなる例において、アミン(−CH2NH2)基は、適切な温度、例えば、約−78℃〜溶媒の還流温度で、エーテル、例えば、テトラヒドロフランなどの環状エーテルなどの溶媒中において、金属触媒、例えば、炭素などの支持体上のパラジウム、又はラネーニッケルの存在下で、例えば水素を用いた、例えば触媒的水素添加によるニトリル(−CN)の還元によって、取得され得る。
さらなる例において、アミン(−NH2)基は、対応するアジ化アシル(−CON3)への転化、クルチウス転移及び得られたイソシアネート(−N=C=O)の加水分解によって、カルボン酸基(−CO2H)から取得され得る。
アルデヒド基(−CHO)は、必要な場合にはおよそ周囲温度で酢酸などの酸の存在下で、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン又はエタノールなどのアルコールなどの溶媒中で、アミンとホウ化水素、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム又はシアノ水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元的アミノ化によって、アミン基(−CH2NR’R’’))に転化され得る。
さらなる例において、アルデヒド基は、当業者に既知の標準的な条件下で、適切なホスホラン又はホスホネートを用いて、ウィッティヒ又はワズワース・エモンズ反応の使用によって、アルケニル基(−CH=CHR’)へ転化され得る。
アルデヒド基は、トルエンなどの適切な溶媒中で、水素化ジイソブチルアルミニウムを用いて、エステル基(−CO2Etなど)又はニトリル(−CN)の還元によって取得され得る。または、アルデヒド基は、当業者に既知のいずれかの適切な酸化剤を用いて、アルコール基の酸化によって取得され得る。
エステル基(−CO2R’)は、Rの性質に応じて、酸又は塩基によって触媒される(catalused)加水分解によって、対応する酸基(−CO2H)へ転化され得る。Rがt−ブチルであれば、例えば、酸によって触媒される加水分解は、水性溶媒中のトリフルオロ酢酸などの有機酸での処理によって、又は水性溶媒中の塩酸などの無機酸での処理によって、達成することができる。
カルボン酸基(−CO2H)は、ジクロロメタンなどの適切な溶媒中において、HATUなどの適切なカップリング剤の存在下で、適切なアミンとの反応によって、アミド(CONHR’又は−CONR’R’’)へ転化され得る。
さらなる例において、カルボン酸は、対応する酸塩化物(−COCl)への転化後のアーント・アイシュタート合成によって、炭素1個だけ同族体化され得る(すなわち、−CO2Hを−CH2CO2Hに)。
さらなる例において、−OH基は、例えば、ジエチルエーテル若しくはテトラヒドロフラン中の水素化リチウムアルミニウム又はメタノールなどの溶媒中の水素化ホウ素ナトリウムなどの錯体水素化金属を用いて、還元によって、対応するエステル(例えば、−CO2R’)又はアルデヒド(−CHO)から生成され得る。または、アルコールは、例えば、テトラヒドロフランなどの溶媒中の水素化リチウムアルミニウムを用いて、又はテトラヒドロフランなどの溶媒中のボランを使用することによって、対応する酸(−CO2H)の還元によって調製され得る。
アルコール基は、当業者に既知の条件を用いて、ハロゲン原子又はアルキルスルホニルオキシ、例えば、トリフルオロメチルスルホニルオキシなどのスルホニルオキシ基、又はアリールスルホニルオキシ、例えば、p−トルエンスルホニルオキシ基などの脱離基へ転化され得る。例えば、アルコールは、対応する塩化物を生成するために、ハロゲン化された炭化水素(例えば、ジクロロメタン)中の塩化チオニル(thioyl chloride)と反応させ得る。塩基(例えば、トリエチルアミン)も、この反応において使用され得る。
別の例において、アルコール、フェノール又はアミド基は、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン及びジエチル−、ジイソプロピル又はジメチルアゾジカルボキシレートなどの活性化剤の存在下で、テトラヒドロフランなどの溶媒中のアルコールとフェノール又はアミドをカップリングすることによって、アルキル化され得る。または、アルキル化は、適切な塩基、例えば水素化ナトリウムを用いた脱プロトン化に続く、ハロゲン化アルキルなどのアルキル化剤の添加によって達成され得る。
化合物中の芳香族ハロゲン置換基は、テトラヒドロフランなどの溶媒中で、必要に応じて低温で、例えばおよそ−78℃で、塩基、例えばn−ブチル又はt−ブチルリチウムなどのリチウム塩基での処理によるハロゲン−金属交換に供され得、次いで、所望の置換基を導入するために、求電子試薬でクエンチされ得る。このため、例えば、ホルミル基は、求電子試薬として、N,N−ジメチルホルムアミドを使用することによって導入され得る。または、芳香族ハロゲン置換基は、例えば、酸、エステル、シアノ、アミド、アリール、ヘテラリール(heteraryl)、アルケニル、アルキニル、チオ又はアミノ置換基を導入するために、金属(例えば、パラジウム又は銅)によって触媒される反応に供され得る。使用され得る適切な手法には、ヘック、鈴木、スティル、バックワルド又はハートウィグによって記載された手法が含まれる。
芳香族ハロゲン置換基は、アミン又はアルコールなどの適切な求核試薬を用いた反応後に、求核置換も受け得る。有利には、このような反応は、マイクロ波照射の存在下において、高温で実施され得る。
分離の方法
以下の実施例では、反応生成物を互いに又は出発材料から分離することが有利であり得る。各工程又は一連の工程の所望の生成物は、本分野で一般的な技術によって、所望の程度の均一さまで、分離又は精製される(以下では、分離という。)典型的には、このような分離は、多相抽出、溶媒若しくは溶媒混合物からの結晶化若しくはトリチュレーション、蒸留、昇華又はクロマトグラフィーを含む。クロマトグラフィーは、例えば、逆相及び順相;サイズ排除;イオン交換;超臨界流体;高圧、中圧及び低圧液体クロマトグラフィー法及び装置;小規模分析;擬似移動床(SMB)及び調製用薄層又は厚層クロマトグラフィー、並びに小規模薄層及びフラッシュクロマトグラフィーの技術を含むあらゆる数の方法を含むことができる。
別のクラスの分離法は、所望の生成物、未反応の出発材料、生成物による反応などに結合するように又はその他分離可能にするように選択された試薬との混合物の処理を含む。このような試薬には、活性炭、分子篩、イオン交換媒体などの吸着剤又は吸収剤が含まれる。または、試薬は、塩基性材料の場合には酸、酸性材料の場合には塩基、抗体、結合タンパク質などの結合試薬、クラウンエーテルなどの選択的キレート剤、液体/液体イオン抽出試薬(LIX)などであり得る。
分離の適切な方法の選択は、含まれる材料の性質に依存する。例示的な分離法には、沸点、並びに蒸留及び昇華における分子量、クロマトグラフィー中の極性官能基の存在又は不存在、多相抽出における酸性及び塩基性媒体中での材料の安定性などが含まれる。当業者は、所望の分離を達成する可能性が最も高い技術を適用するであろう。
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィー又は分別結晶によるなど、当業者に周知の方法によって、その物理的化学的な差に基づいて、個別のジアステレオ異性体へ分離することができる。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコール又はモッシャーの酸塩化物などの不斉補助剤)との反応により、鏡像異性体混合物をジアステレオマー混合物へ転化し、ジアステレオ異性体を分離し、個別のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に転化する(例えば、加水分解する)ことによって分離され得る。また、本発明の化合物のいくつかは、アトロプ異性体(例えば、置換されたビアリール)であり得、本発明の一部と考えられる。鏡像異性体は、キラルHPLCカラム又は超臨界流体クロマトグラフィーの使用によっても分離され得る。
その立体異性体を実質的に含まない単一の立体異性体、例えば、鏡像異性体は、光学活性な分割剤を用いたジアステレオマーの形成などの方法を用いて、ラセミ混合物の分割によって取得され得る(Eliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley&Sons,Inc.,New York,1994;Lochmuller,C.H.,J.Chromatogr.,113(3):283−302(1975))。本発明のキラル化合物のラセミ混合物は、(1)キラル化合物とのイオン性ジアステレオマー塩の形成及び分別結晶又はその他の方法による分離、(2)キラル誘導体化試薬を用いたジアステレオマー化合物の形成、ジアステレオマーの分離及び純粋な立体異性体への転化並びに(3)直接的にキラル条件下での、実質的に純粋な又は濃縮された立体異性体の分離を含む、任意の適切な方法によって分離及び単離することができる。DrugStereochemistry,Analytical Methods and Pharmacology,Irving W.Wainer,Ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York(1993)を参照されたい。
ジアステレオマー塩は、ブルシン、キニーネ、エフェドリン、ストリキニーネ、α−メチル−β−フェニルエチルアミン(アンフェタミン)などの鏡像異性的に純粋なキラル塩基の、カルボン酸及びスルホン酸などの酸性官能性を有する不斉化合物との反応によって形成することができる。ジアステレオマー塩は、分別結晶又はイオンクロマトグラフィーによって分離するために誘導され得る。アミノ化合物の光学異性体の分離に関しては、キラルなカルボン酸又はカンファースルホン酸などのスルホン酸、酒石酸、マンデル酸又は乳酸の添加が、ジアステレオマー塩の形成をもたらすことができる。
または、ジアステレオマー対を形成するために、分割されるべき基質は、キラル化合物の1つの鏡像異性体と反応させられる(Eliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley&Sons,Inc.,New York,1994,p.322)。ジアステレオマー化合物は、不斉化合物を、メンチル誘導体などの鏡像異性的に純粋なキラル誘導体化試薬と反応させることによって形成することができ、純粋な又は濃縮された鏡像異性体を生成するために、ジアステレオマーの分離及び加水分解を続いて行う。光学純度を測定する方法は、ラセミ混合物の、塩基又はモッシャーエステル、α−メトキシ−α−(トリフルオロメチル)フェニルアセテート(Jacob,J.Org.Chem.47:4165(1982))の存在下で、メチルエステル、例えば、(−)クロロギ酸メンチルなどのキラルエステルを作製すること、及び2つのアトロプ異性体の鏡像異性体又はジアステレオマーの存在に関してNMRスペクトルを分析することを含む。アトロプ異性化合物の安定なジアステレオマーは、アトロプ異性体のナフチル−イソキノリンを分離するための方法後に、順相及び逆相クロマトグラフィーによって分離及び単離することができる(参照により本明細書に組み込まれるWO96/15111)。方法(3)により、2つの鏡像異性体のラセミ混合物は、キラル固定相を用いたクロマトグラフィーによって分離することができる(Chiral Liquid Chromatography W.J.Lough,Ed.,Chapman and Hall,New York,(1989);Okamoto,J.of Chromatogr.513:375−378(1990))。濃縮された又は精製された鏡像異性体は、旋光性及び円二色性などの、不斉炭素原子を有する他のキラル分子を識別するために使用される方法によって識別することができる。キラル中心及び鏡像異性体の絶対的な立体化学は、X線結晶学によって決定することができる。
位置異性体及びその合成のための中間体は、NMR及び分析用HPLCなどの性質決定法によって観察され得る。相互転換に対するエネルギー障壁が十分に高いある種の化合物については、例えば、調製用HPLCによって、E及びZ異性体が分離され得る。
医薬組成物及び投与
本発明に係る化合物は、JAK1阻害剤などのJAKキナーゼ阻害剤であり、いくつかの疾患、例えば、喘息などの炎症性疾患の処置において有用である。
したがって、別の実施形態は、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩と、及び薬学的に許容される、担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬組成物又は医薬並びにこのような組成物及び医薬を調製するために本発明の化合物を使用する方法を提供する。
1つの例において、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、周囲温度で、適切なpHで、及び所望される程度の純度で、生理的に許容される担体、すなわち、生薬投与形態中で利用される投薬量及び濃度においてレシピエントに対して無毒である担体と混合することによって調合され得る。製剤のpHは、主に、具体的な用途及び化合物の濃度に依存するが、通例、約3〜約8のいずれかの範囲である。1つの例において、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、pH5で、酢酸緩衝液中に調合される。別の実施形態において、本発明の化合物は無菌である。化合物は、例えば、固体若しくは非晶質組成物として、凍結乾燥された製剤として、又は水溶液として保存され得る。
組成物は、良質な医療の原則に合致した様式で調合され、投薬され、投与される。この観点で考慮する因子としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与計画、及び医学専門家には既知の他の因子が挙げられる。
いずれかの特定の患者に対する具体的な用量レベルは、使用される具体的な化合物の活性、年齢、体重、全般的な健康、性別、食事、投与の時期、投与の経路、***の速度、薬物の組み合わせ及び処置を受けている具体的な疾患の重症度を含む様々な因子に依存し得ることが理解されるであろう。最適な用量レベル及び投薬の頻度は、薬学分野において要求されているように、臨床試験によって決定されるであろう。一般に、経口投与に対する一日用量範囲は、単回又は分割用量で、ヒトのkg体重当たり約0.001mg〜約100mg、しばしば、0.01mg〜約50mg/kg、例えば、0.1〜10mg/kgの範囲内に存在するであろう。一般に、吸入投与に対する一日用量範囲は、単回又は分割用量で、ヒトのkg体重当たり約0.1μg〜約1mg、好ましくは0.1μg〜50μg/kgの範囲内に存在するであろう。他方で、いくつかの事例では、これらの限度外の投薬量を使用することが必要であり得る。
本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、経口、局所(頬側及び舌下を含む。)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、くも膜下腔内(intrathecal)、吸入及び硬膜外及び鼻腔内を含む、並びに所望であれば、局所処置、病巣内投与のためのあらゆる適切な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与を含む。いくつかの実施形態において、吸入投与が使用される。
本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、あらゆる都合の良い投与形態、例えば、錠剤、粉末、カプセル、トローチ、顆粒、溶液、分散体、懸濁液、シロップ、スプレー、蒸気、坐剤、ゲル、エマルジョン、パッチなどで投与され得る。このような組成物は、薬学的調製物中で慣用される成分、例えば、希釈剤(例えば、グルコース、ラクトース又はマンニトール)、担体、pH調節剤、緩衝剤、甘味剤、増量剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤在、潤滑剤、乳化剤、懸濁剤、防腐剤、抗酸化剤、不透明化剤(opaquing agent)、流動促進剤、加工助剤、着色剤、着香剤、香料、その他の既知の添加物の他、さらなる活性因子を含有し得る。
適切な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、例えば、Ansel,Howard C.,et al.,Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems.Philadelphia:Lippincott,Williams&Wilkins,2004;Gennaro,Alfonso R.,et al.Remington:The Science and Practice of Pharmacy.Philadelphia:Lippincott,Williams&Wilkins,2000;及びRowe,Raymond C.Handbook of Pharmaceutical Excipients.Chicago,Pharmaceutical Press,2005に詳しく記載されている。例えば、当業者には知られているように(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、pp1289−1329、1990を参照)、担体は、溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、防腐剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張化剤、吸収遅延剤、塩、防腐剤、薬物、薬物安定化剤、ゲル、バインダー、賦形剤、崩壊剤、潤滑剤、甘味剤、香味剤、色素、このような類似の材料及びこれらの組み合わせを含む。任意の従来の担体が活性成分と不適合である場合を除き、治療組成物又は医薬組成物における任意の従来の担体の使用が想定される。例示的な賦形剤には、リン酸二カルシウム、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム又はこれらの組み合わせが含まれる。医薬組成物は、固体、液体又はエアロゾル形態で投与されることが予定されているかどうか、及びこのような投与の経路に対して無菌であることが必要とされるかどうかに応じて、異なる種類の担体又は賦形剤を含み得る。
例えば、経口投与のための錠剤及びカプセルは、単位用量提示形態(unit dose presentation form)であり得、結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント若しくはポリビニルピロリドン;増量剤、例えば、ラクトース、糖、トウモロコシでんぷん、リン酸カルシウム、ソルビトール若しくはグリシン;錠剤化潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール若しくはシリカ;崩壊剤、例えば、イモデンプン、又はラウリル硫酸ナトリウムなどの許容され得る湿潤剤などの従来の賦形剤を含有し得る。錠剤は、通常の薬学的慣行において周知の方法に従って被覆され得る。経口液体調製物は、例えば、水性若しくは油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ若しくはエリキシル剤の形態であり得、又は水若しくは他の適切な溶剤で使用前に再構成するための乾燥生成物として与えられ得る。このような液体調製物は、懸濁剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン硬化食用油脂;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン又はアラビアゴム;非水性溶剤(食用油を含み得る。)、例えば、アーモンド油、分画されたココナツ油、グリセリン、プロピレングリコール又はエチルアルコールなどの油性エステル;防腐剤、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸及び所望であれば、従来の香味剤又は着色剤などの従来の添加物を含有し得る。
皮膚への局所適用のために、化合物は、クリーム、ローション又は軟膏へ作製され得る。薬物に対して使用され得るクリーム又は軟膏調合物は、例えば、英国薬局方などの医薬の標準的な教科書に記載されているような、本分野で周知の従来の製剤である。
本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、例えば、点鼻スプレー、又は乾燥粉末又はエアロゾル吸入剤として、吸入のためにも調合され得る。吸入による送達の場合、化合物は、典型的には、噴霧乾燥、凍結乾燥及び微粒子化を含む様々な技術によって調製することができる、微粒子の形態である。エアロゾル生成は、例えば、噴霧剤駆動(propellant−driven)定量式エアロゾル又は例えば、吸入カプセルからの微粉化された化合物の無噴霧剤投与又はその他の「乾燥粉末」送達系を使用することなどによって、例えば、圧力駆動ジェット噴霧器又は超音波噴霧器を用いて実施することができる。
例として、本発明の組成物は、噴霧吸入器から送達するための懸濁液として、又は例えば、加圧された定量吸入器(PMDI)中で使用するための液体噴霧剤中のエアロゾルとして調製され得る。PMDIにおいて使用するのに適した噴霧剤は当業者に既知であり、CFC−12、HFA−134a、HFA−227、HCFC−22(CCl2F2)及びHFA−152(CH4F2及びイソブタン)を含む。
いくつかの実施形態において、本発明の組成物は、乾燥粉末吸入器(DPI)を用いて送達するために、乾燥粉末形態である。多くの種類のDPIが既知である。
投与による送達のための微粒子は、送達及び放出を補助する賦形剤とともに調合され得る。例えば、乾燥粉末製剤において、微粒子は、肺中へのDPIからの流動を補助する大きな担体粒子とともに製剤化され得る。適切な担体粒子が知られており、ラクトース粒子を含む。適切な担体粒子は、例えば、90μmを超える空気力学的質量中位径を有し得る。
エアロゾルをベースとする製剤の場合には、例は、以下のとおりである。
本発明の化合物* 24mg/容器
レシチン、NF Liq.Conc.1.2mg/容器
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/容器
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/容器
*又は薬学的に許容されるその塩。
本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、使用される吸入器系に応じて、記載されているとおりに投薬され得る。化合物に加えて、投与形態は、上記された賦形剤、又は、例えば、噴霧剤(例えば、定量式エアロゾルの場合には、Frigen)、界面活性物質、乳化剤、安定剤、防腐剤、香料、増量剤(filler)(例えば、粉末吸入器の場合にはラクトース)、又は、適切であれば、さらなる活性化合物をさらに含有し得る。
吸入の目的で、患者に適した吸入技術を使用して、最適な粒径のエアロゾルを生成及び投与することができる多数の系が利用可能である。特に、粉末吸入器の場合には、計量式エアロゾルに対して、アダプター(スペーサー、エキスパンダー)及び梨形状の容器(例えば、Nebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))及びパッファースプレー(puffer spray)を放出する自動機器(Autohaler(登録商標))の使用に加えて、多数の技術的解決手段が利用可能である(例えば、Diskhaler(登録商標)、Rotadisk(登録商標)、Turbohaler(登録商標)又は例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,263,475号に記載されている吸入器)。さらに、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、マルチチャンバー機器に入れて送達してもよく、これにより、組み合わせ薬剤の送達が可能となる。
化合物又は薬学的に許容されるその塩は、無菌媒体に入れて非経口的にも投与され得る。使用される溶剤及び濃度に応じて、化合物は、溶剤中に懸濁又は溶解することができる。有利には、局所麻酔、防腐剤又は緩衝剤などの佐剤を溶剤中に溶解することができる。
標的化された吸入薬の送達
本発明の化合物は、標的化された吸入送達が予定され得る。局所(吸入)投与によって肺に送達するための薬物の最適化が、最近、概説された(Cooper,A.E.et al.Curr.Drug Metab.2012,13,457−473)。
送達機器の限界のために、吸入される薬物の用量は、ヒトでは低くなりやすく(約1mg/日未満)、このため、極めて強力な分子が必要となる。吸入器からの一吹きで送達することができる薬物の限られた量及び肺内への高エアロゾル負荷に関連する安全上の懸念(例えば、咳又は刺激性)などの要因のために、目的とする標的に対する高い効力は、吸入薬にとって非常に重要である。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているようなJAK1生化学的アッセイにおける約0.5nM以下のKi及び本明細書に記載されているようなJAK1依存性の細胞をベースとしたアッセイにおける約20nM以下のIC50が、吸入されるJAK1阻害剤にとって望ましいことがあり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、このような効力値を示す。
IL13シグナル伝達の関与が、喘息の発病において強く示唆されている。IL13は、シグナルを伝達するために活性なJAK1を必要とするサイトカインである。このため、JAK1の阻害はIL13シグナル伝達も阻害し、これは、喘息患者に利益を与え得る。動物モデル(例えば、マウスモデル)中でのIL13シグナル伝達の阻害は、ヒト喘息患者にとっての将来の利益を予測し得る。このため、吸入されたJAK1阻害剤が動物モデルにおいてIL13シグナル伝達の抑制を示すことは有益であり得る。このような抑制を測定する方法は、本分野において知られている。例えば、本明細書に論述されているとおり、及び本分野において知られているように、IL13刺激の下流で、JAK1依存性STAT6リン酸化が知られている。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、肺pSTAT6誘導の阻害を示す。pSTAT6レベルに対する薬力学的効果を調べるために、1μgのIL13とともに、本発明の化合物を雌のBalb/cマウスへ鼻腔内に同時投与した。生理食塩水中の0.2%(v:v)Tween 80中に化合物を調合し、投与の直前に、IL13と1:1(v:v)で混合した。鼻腔内投薬は、目標用量レベル(3mg/kg、1mg/kg、0.3mg/kg、0.1mg/kg)を達成するために、ピペットによって、鼻孔中に一定容量(50μL)を直接投薬することによって、軽く麻酔された(イソフルラン)マウスに投与した。投薬の0.25時間後に、心臓穿刺によって血液試料(約0.5mL)を集め、遠心(1500g、10分、+4℃)によって血漿を生成した。冷やしたリン酸緩衝食塩水(PBS)で肺を灌流し、秤量し、液体窒素中で瞬間凍結した。全ての試料は、分析まで、約−80℃で保存した。解凍した肺試料を秤量し、組織1gに対して2mLのHPLC等級の水を添加した後に、Omni−Prep Bead Ruptorを用いて、4℃でホモジナイズした。分析用の内部標準としてトルブタミド(50ng/mL)及びラベタロール(25ng/mL)を含有する3容量のアセトニトリルを用いたタンパク質沈殿によって、血漿及び肺試料を抽出した。ボルテックス混合並びに3200g及び4℃で30分間の遠心後に、96ウェルプレート中で、HPLC等級の水を用いて、上清を適切に希釈した(例えば1:1 v:v)。一連のマトリックス適合した較正及び品質管理標準に対して、LC−MS/MSによって、血漿及び肺試料の代表的な分割試料を親化合物についてアッセイした。対照Balb/cマウス血漿又は肺ホモジネートの分割試料(HPLC等級水中に2:1)に検査化合物を添加し、実験用試料について記載されたとおりに抽出することによって、標準を調製した。試料採取時間(0.25時間)における平均肺濃度(μM)の、平均血漿濃度(μM)に対する比率として、肺:血漿比率を求めた。全ての薬物が肺組織内に存在し、非結合画分は標的との相互作用に利用可能であると仮定して、以下の式を用いて、理論的な標的結合を計算した。
(非結合組織濃度)/(非結合組織濃度+インビトロでの細胞効力、すなわちIC50))*100
pSTAT6レベルを測定するために、アッセイまで、マウス肺を−80℃で凍結保存し、1mM PMSF及びプロテアーゼ(Sigma Aldrich、カタログ番号#P8340)及びホスファターゼ(Sigma Aldrich、カタログ番号P5726及びP0044)阻害剤のカクテルが補充された0.6mLの氷冷した細胞溶解緩衝液(Cell Signalling Technologies、カタログ番号9803S)中でホモジナイズした。組織細片を除去するために、16060×gで4分間、4℃で試料を遠心し、Pierce BCAタンパク質アッセイキット(カタログ番号#23225)を用いて、ホモジネートのタンパク質濃度を測定した。氷冷した蒸留水中で5mg/mLのタンパク質濃度になるように試料を希釈し、Meso Scale Discovery電気化学発光イムノアッセイによって、pSTAT6レベルについてアッセイをした。要約すると、5μg/ウェル150μg/mLのSTAT6捕捉抗体(R&D Systems、カタログ番号MAB2169)を、96ウェルMeso Scale Discovery High Binding Plates(カタログ番号L15XB−3)上に被覆し、室温で5時間風乾した。150μL/ウェル30mg/mLのMeso Scale Discovery Blocker A(カタログ番号93BA−4)の添加によってプレートをブロックし、マイクロプレート振盪機上において、室温で2時間温置した。Meso Scale Discovery TRIS洗浄緩衝液(カタログ番号R61TX−1)で、ブロックされたプレートを4回洗浄した後、50μL/ウェル肺ホモジネートを移して、250μg/ウェルのタンパク質搭載を達成した。4℃で一晩、アッセイプレートを温置し、マイクロプレート振盪機上において、室温で2時間、25μL/ウェル2.5μg/mLのスルホタグ標識されたpSTAT6検出抗体(BD Pharmingen、カタログ番号558241)の添加前に、TRIS洗浄緩衝液で4回洗浄した。TRIS洗浄緩衝液で、プレートを4回洗浄し、150μL/ウェルの1X Meso Scale Discovery Read Buffer T(カタログ番号R92TC−1)を添加した。Meso Scale Discovery SECTOR S 600装置上での電気化学発光の検出によって、肺ホモジネートpSTAT6レベルを定量した。
JAK1とJAK2の間の選択性は、吸入されるJAK1阻害剤にとって重要であり得る。例えば、GMCSFは、専らJAK2を通じてシグナル伝達するサイトカインである。GMCSF活性の中和は、肺中での肺胞タンパク症(PAP)と関連する。しかしながら、最大を下回るJAK2抑制は、PAPと関連しないように見受けられる。このため、最も緩やかなJAK2に対するJAK1の選択性でさえ、GMCSF経路の完全な抑制を回避し、PAPを回避する上で有益であり得る。例えば、JAK2を上回る約2倍〜5倍のJAK1に対する選択性を有する化合物は、吸入されたJAK1阻害剤のために有益であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、このような選択性を示す。JAK1及びJAK2選択性を測定する方法は本分野において知られており、本明細書の実施例中にも情報を見出すことができる。
さらに、標的外のキナーゼ経路の抑制による潜在的な毒性の可能性を低減するために、吸入されたJAK1阻害剤が1種以上の他のキナーゼより選択的であることが望ましいことがあり得る。このため、吸入されるJAK1阻害剤は、Adapta(商標)Screening Protocol Assay Conditionsを用いるThermoFisher ScientificのSelectScreen(商標)Biochemical Kinase Profiling Service(2016年7月29日に改定)、LanthaScreen(商標)Eu Kinase Binding Assay Screening Protocol and Assay Conditions(2016年6月7日に改定)及び/又はZ’LYTE(商標)Screening Protocol and Assay Conditions(2016年9月16日に改定)から入手可能なプロトコール中などの非JAKキナーゼの幅広い群に対して選択的であることも有益であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、このような選択性を示す。
肝細胞毒性、一般的細胞毒性又は機序不明の細胞毒性は、吸入薬物を含む薬物候補にとって望ましくない特徴である。吸入されるJAK1阻害剤は、様々な細胞種に対して低い内在性の細胞毒性を有することが有益であり得る。細胞毒性を評価するために使用される典型的な細胞種には、ヒト肝細胞などの初代細胞並びにJurkat、HEK−293及びH23などの増殖する確立された細胞株の両方が含まれる例えば、吸入されるJAK1阻害剤は、このような細胞種に対する細胞毒性の測定において、50μ超又は100μM超のIC50を有することが有益であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、このような値を示す。細胞毒性を測定する方法は、本分野において知られている。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物は、以下のように検査された。
(a)Jurkat、H23及びHEK293T細胞を、T175フラスコ中において、集密状態に満たない密度で維持した。Greiner384ウェル黒色/透明組織培養処理されたプレート中に、450細胞/45μL培地で細胞を播種した。(Greinerカタログ番号781091)。細胞を分配した後、室温で30分間、プレートを平衡化した。室温で30分後に、CO2及び湿度調節された恒温槽中において、37℃で一晩細胞を温置した。翌日、100%DMSO中に希釈された化合物(細胞上での最終DMSO濃度=0.5%)で細胞を処理し、最高濃度を50μMとした10点用量応答曲線を得た。次いで、CO2及び湿度調節された恒温槽中において、37℃で72時間一晩、細胞及び化合物を温置した。72時間の温置後、CellTiterGlo(登録商標)(Promegaカタログ番号G7572)を用いて、全てのウェルについて生存率を測定した。室温で20分間の温置後に、発光モードを用いて、EnVision(商標)(Perkin Elmer Life Sciences)上でプレートを読み取った;
(b)ヒト初代肝細胞を使用する:検査化合物は、DMSO中に10mM溶液として調製した。さらに、DMSO中の10mM溶液として、クロルプロマジンなどの陽性対照を調製した。検査化合物は、典型的には、2倍希釈の7点用量応答曲線を用いて評価した。典型的には、検査された最大濃度は50〜100μMであった。最高濃度は、典型的には、検査化合物の溶解度によって決定した。37℃でInVitroGro(商標)HT融解溶媒(BioreclamationIVT)中に、凍結保存された初代ヒト肝細胞(BioreclamationIVT(ロットIZT)を融解し、沈査とし、再懸濁した。Trypanブルー排除によって、肝細胞生存率を評価し、1%Torpedo(商標)Antibiotic Mix(Bioreclamation IVT)及び5%ウシ胎児血清が補充されたInVitroGro(商標)CP播種培地中に、13,000細胞/ウェルの密度で、黒の壁を有するBioCoat(商標)コラーゲン384ウェルプレート(Corning BD)中に細胞を播種した。処理の前に、18時間一晩、細胞を温置した(37℃、5%CO2)。18時間の温置後に、播種培地を除去し、1%Torpedo(商標)Antibiotic Mix及び1%DMSOを含有するInVitroGro(商標)HI温置培地中に希釈された化合物で肝細胞を処理した(無血清条件)。50μLの最終容量で、0.78、1.56、3.12、6.25、12.5、25及び50μMなどの濃度の検査化合物で肝細胞を処理した。典型的には、検査化合物と同じ濃度で、陽性対照(例えば、クロルプロマジン)をアッセイ中に含めた。溶剤対照として、1%DMSOでさらなる細胞を処理した。全ての処理は48時間の期間であり(37℃、5%CO2)、各処理条件は3つ組で実施した。48時間の化合物処理の後、細胞生存性の判定としてATP含量を測定するために、CellTiter−Glo(登録商標)細胞生存率アッセイ(Promega)を終点アッセイとして使用した。アッセイは、製造業者の指示書に従って行った。発光は、EnVision(商標)Muliplate Reader(PerkinElmer、Waltham、MA、USA)上で測定した。発光データは、溶剤(1%DMSO)対照ウェルに対して標準化した。可変のヒル勾配を有する対数変換された阻害剤濃度(溶剤を含む7点系列希釈)対標準化された応答の非線形回帰によって、阻害曲線とIC50推定値を作出し、それぞれ、最高及び最低を100及び0の一定値に制約した(GraphPad Prism(商標)、GraphPad Software、La Jolla、CA、USA)。
hERG(ヒトエーテル・ア・ゴーゴー関連遺伝子)カリウムチャンネルの阻害は、QT延長症候群及び心不整脈をもたらし得る。吸入されるJAK1阻害剤の血漿レベルは低いと予想されるが、血流中への経肺吸収を介して肺を出る肺に堆積した化合物は、心臓に直接循環するであろう。このため、吸入されるJAK1阻害剤の局所的心臓濃度は、特に投薬直後には、総血漿レベルよりも一過性に高くなり得る。このため、吸入されるJAK1阻害剤のhERG阻害を最小限に抑えることが有益であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、遊離薬物血漿Cmaxより30倍高いhERG IC50が好ましい。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、以下のような条件下で、最少化されたhERG阻害を示す。
(a)哺乳動物細胞中で発現されたhERGに対する化合物のインビトロでの効果を調べるためのhERG 2pt自動パッチクランプ条件を使用し、自動平行パッチクランプシステム、QPatch HT(登録商標)(Sophion Bioscience A/S、Denmark)を用いて室温で評価した。いくつかの事例では、化合物は、1又は10μMなど1つ又は2つの濃度だけで検査した。別の事例では、IC50の推定を可能とするために、より広範囲の濃度応答関係性を確定した。例えば、検査化合物濃度は、片対数の増分で約10〜90%阻害の範囲を包含するように選択した。各検査物品濃度は、2つ以上の細胞中で検査した(n>2)。各検査物品濃度への曝露の期間は、最低でも3分であった;及び/又は
(b)”Effect on Cloned hERG Potassium Channels Expressed in Mammalian Cells,”の表題で、WO2014/074775の実施例中に記載されているもの、ChanTest(商標)、Charles River Company、以下の変化を有するプロトコール:hERGを安定的に発現する細胞を−80mVに維持した。固定された振幅を有するパルスパターンを用いて、化合物によるhERGカリウム電流の開始時及び定常状態阻害を測定した(コンディショニングプレパルス:+20mV1秒間;再分極検査ramepto−90mV(−0.5V/秒)5秒間隔で反復)。各記録は、最大濃度未満の参照物質、E−4021(500nM)(Charles River Company)の最終適用とともに終了した。hERG阻害に対する検査物質の効力を測定するために、残存する阻害されていない電流をデータからデジタル的にオフラインで差し引いた。
CYP阻害は、吸入されるJAK1阻害剤にとって望ましい特徴でないことがあり得る。例えば、可逆的又は時間依存性CYP阻害剤は、それ自体の血漿レベル又は同時投与された他の薬物(薬物・薬物相互作用)の血漿レベルの望ましくない増加を引き起こし得る。さらに、時間依存性CYP阻害剤は、時々、親薬物の反応性代謝物の生体内変換によって引き起こされる。このような反応性代謝物は、タンパク質を共有結合的に修飾することがあり、毒性をもたらす可能性を有する。このため、可逆的及び時間依存性CYP阻害を最小限に抑えることは、吸入されるJAK1阻害剤にとって有益であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、最少の可逆的及び/又は時間依存性CYP阻害を示し、又は全く示さない。CYP阻害を測定する方法は、本分野において知られている。本明細書に記載されている化合物のCYP阻害は、プールされた(n=150)ヒト肝臓ミクロソーム(Corning、Tewksbury、MA)を使用し、以前に報告された方法を用いて(Halladay et al.,Drug Metab.Lett.2011,5,220−230)、0.16〜10μMの化合物の濃度範囲にわたって評価した。温置期間及びタンパク質濃度は、CYPアイソフォーム及び評価されるプローブ基質/代謝物に依存した。各CYPに対して、以下の基質/代謝物、並びに温置時間及びタンパク質濃度を使用した。CYP1A2、フェナセチン/アセトアミノフェン、30分、0.03mg/mLタンパク質;CYP2C9、ワルファリン/7−ヒドロキシワルファリン、30分、0.2mg/mLタンパク質;CYP2C19、メフェニトイン/4−ヒドロキシメフェニトイン、40分、0.2mg/mLタンパク質;CYP2D6、デキストロメトルファン/デキストロルファン、10分、0.03mg/mLタンパク質;CYP3A4、ミダゾラム/1−ヒドロキシミダゾラム、10分、0.03mg/mLタンパク質及びCYP3A4 テストステロン/6β−ヒドロキシテストステロン、10分、0.06mg/mLタンパク質。これらの条件は、CYP特異的代謝物に対する形成の線形速度内にあることが以前に決定された。全ての反応は、1mM NADPHで開始し、適切な安定な標識された内部標準を含有するアセトニトリル中の0.1%ギ酸の添加によって停止した。試料は、LC−MS/MSによって分析した。
乾燥粉末吸入を介して送達されることが予定された化合物については、1〜5μmのサイズに微粒子化され得る化合物の結晶性形態を作製することができる必要性も存在する。粒径は、吸入された化合物の肺堆積の重要な決定要素である。5ミクロン(μm)未満の直径を有する粒子は、典型的には、呼吸性であると定義される。5μmより大きい直径を有する粒子は、中咽頭中に堆積する可能性がより高く、これに応じて、肺中に堆積する可能性がより低い。さらに、1μm未満の直径を有する微粒子は、より大きな粒子より空気中に浮遊し続ける可能性がより高く、これに対応して、肺から吐き出される可能性がより高い。このため、その作用部位が肺内である吸入薬にとって、1〜5μmの粒径が有利であり得る。粒径を測定するために使用される典型的な方法には、レーザー回折及び多段式インパクション(cascade impaction)が含まれる。粒径を定義するために使用される典型的な値には、以下のものが含まれる。
・D10、D50及びD90。これらは、それぞれ、試料の10%、50%又は90%がその値より低いことを示す粒径の測定値である。例えば、3μmのD50は、試料の50%が3μmのサイズを下回ることを示す。
空気力学的質量平均径(MMAD(mass mean aerodynamic diameter))。MMADは、質量で粒子の50%がその直径より大きく、50%がその直径より小さい直径である。MMADは、中心傾向の指標である。
幾何標準偏差(GSD)。GSDは、MMADからの分散度の規模、すなわち、空気力学的粒径分布の広がりの指標である。
吸入薬に対する一般的な製剤は、ステアリン酸マグネシウムなどの追加の添加物あり又はなしに、ラクトースなどの担体とともに混合された医薬品有効成分(API)を含む乾燥粉末調製物である。この製剤などについては、API自体が、1〜5μmの呼吸性粒径に粉砕することができる特性を有することが有益であり得る。粒子の凝集は回避されるべきであり、粒子の凝集は、異なる圧力条件下でD90値を調べるなど、本分野において既知の方法によって測定することができる。したがって、いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、ほとんど又は全く凝集なしに、このような呼吸性粒径で調製することができる。
結晶化度に関しては、ラクトースブレンドを含む吸入薬のいくつかの製剤については、特定の結晶性形態のAPIを使用することが重要である。結晶化度及び結晶性形態は、経時的な化学的及び空気力学的安定性、ラクトースなどの吸入製剤成分との適合性、吸湿性、肺滞留及び肺刺激性を含むがこれらに限定されない吸入薬に関する多くのパラメータに影響を及ぼし得る。このため、安定で再現性のある結晶性形態は、吸入薬にとって有益であり得る。さらに、化合物を所望の粒径に粉砕するために使用される技術はしばしばエネルギーを加え、低融点の結晶性形態を他の結晶性形態に転化させ、又は完全に若しくは部分的に非晶質にさせ得る。150℃未満の融点を有する結晶性形態は粉砕と非適合的(incompatible)であることがあり得るのに対して、100℃未満の融点を有する結晶性形態は粉砕と不適合的(non−compatible)である可能性が高い。このため、結晶性形態は、少なくとも100℃より高い、理想的には150℃より高い融点を有することが有益であり得る。したがって、いくつかの実施形態において、本明細書に記載されている化合物はこのような特性を示す。
さらに、分子量を最少化することは、吸入されるJAK1阻害剤の有効用量を下げるのに役立ち得る。分子量が低いほど、医薬品有効成分(API)の単位質量当たりの対応する分子数は多くなる。このため、吸入薬の他の所望される特性を全て保持する最も小さな分子量の吸入されるJAK1阻害剤を見出すことが有益であり得る。
最後に、所望の期間、薬理学的効果を発揮できるようにするために、及び当該標的の全身的阻害が望ましくない薬理学的標的が低い全身的曝露を有するようにするために、化合物は、所与の期間にわたって、肺内で十分な濃度を維持する必要がある。肺は、短い肺半減期を伴って、大きな分子(タンパク質、ペプチド)と小さな分子の両方に対して高い透過性を本質的に有しており、このため、以下のような化合物の1種以上の特徴の改変を通じて、肺吸収速度を減弱させることが必要である。膜透過性を最小化すること、溶解速度を低下すること、又はリン脂質に富む肺組織への結合を増強するために若しくはリソソームなどの酸性細胞内区画中(pH5)での捕捉を通じて、化合物中にある程度の塩基性を導入すること。このような特性を測定する方法は、本分野において既知である。
したがって、いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、上記特徴の1つ以上を示す。さらに、いくつかの実施形態において、本発明の化合物は、本分野において既知の化合物と比べて、これらの特徴の1つ以上を有利に示し、このことは、吸入薬と比べて経口薬として予定される本分野の化合物について特に当てはまり得る。
ヤヌスキナーゼ阻害剤を用いた処置の方法及びヤヌスキナーゼ阻害剤の使用
本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、JAK1キナーゼなどのヤヌスキナーゼの活性を阻害する。例えば、化合物又は薬学的に許容されるその塩は、JAK1キナーゼによるシグナル伝達性転写因子(STAT)のリン酸化及びSTAT媒介性サイトカイン産生を阻害する。本発明の化合物は、IL−6、IL−15、IL−7、IL−2、IL−4、IL−9、IL−10、IL−13、IL−21、G−CSF、IFNα、IFNβ又はIFNγ経路などのサイトカイン経路を通じて、細胞内のJAK1キナーゼ活性を阻害するのに有用である。したがって、一実施形態において、細胞中のヤヌスキナーゼ活性(例えば、JAK1活性)を阻害するために細胞を本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩と接触させる方法が提供される。
化合物は、異常なIL−6、IL−15、IL−7、IL−2、IL−4、IL9、IL−10、IL−13、IL−21、G−CSF、IFNα、IFNβ又はIFNγサイトカインシグナル伝達によって引き起こされる免疫学的疾患の処置のために使用することができる。
したがって、一実施形態は、治療において使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む。
いくつかの実施形態において、炎症性疾患の処置における、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。喘息などの炎症性疾患の処置のための医薬の調製のための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用がさらに提供される。喘息などの炎症性疾患の処置において使用するための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩も提供される。
別の実施形態は、患者中のJAK1キナーゼ活性などのヤヌスキナーゼ活性の阻害に応答する喘息などの疾病又は症状を予防し、処置し、又はその重度を低下させる方法を含む。この方法は、治療的有効量の本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を患者に投与する工程を含むことができる。一実施形態において、JAK1キナーゼなどのヤヌスキナーゼの阻害に応答する疾病又は症状は喘息である。
一実施形態において、疾患又は症状は、癌、脳卒中、糖尿病、肝腫大、心血管疾患、多発性硬化症、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、乾癬、関節リウマチ、炎症性腸疾患、喘息、アレルギー性疾患、炎症、神経疾患、ホルモン関連疾患、臓器移植に関連する症状(例えば、移植拒絶)、免疫不全障害、破壊性骨障害(destructive bone disorders)、増殖性障害、感染性疾患、細胞死と関連する症状、トロンビン誘導性血小板凝集、肝疾患、T細胞活性化を伴う病的免疫症状、中枢神経系障害又は骨髄増殖性障害である。
一実施形態において、炎症性疾患は、関節リウマチ、乾癬、喘息、炎症性腸疾患、接触性皮膚炎又は遅延型過敏症反応である。一実施形態において、自己免疫疾患は、関節リウマチ、狼瘡又は多発性硬化症である。
一実施形態において、癌は、***、卵巣、子宮頸部、前立腺、精巣、陰茎、泌尿生殖器、精上皮腫、食道、喉頭、胃の、胃、胃腸、皮膚、角化棘細胞腫、濾胞癌腫、黒色腫、肺、小細胞肺癌腫、非小細胞肺癌腫(NSCLC)、肺腺癌、肺の扁平上皮癌腫、結腸、膵臓、甲状腺、乳頭、膀胱、肝臓、胆道、腎臓、骨、骨髄系障害、リンパ系障害、有毛細胞、頬側口腔及び咽頭(口腔)、唇、舌、口、唾液腺、咽頭、小腸、結腸、直腸、肛門、腎、外陰部、大腸、子宮内膜、子宮、脳、中枢神経系、腹膜の癌、肝細胞癌、頭部癌、頸部癌、ホジキン又は白血病である。
一実施形態において、疾患は骨髄増殖性障害である。一実施形態において骨髄増殖性障害は、真性多血症、本態性血小板増加症、骨髄線維症又は慢性骨髄性白血病(CML)である。
別の実施形態は、本明細書に記載されている疾患(例えば、炎症性障害、免疫学的障害又は癌)の処置のための医薬の製造のための、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩の使用を含む。一実施形態において、本発明は、JAK1などのJAKキナーゼの阻害を標的とすることによって、本明細書に記載されている疾患又は症状、例えば、炎症性障害、免疫学的疾障害又は癌)を処置する方法を提供する。
併用療法
これらの化合物は、単独で又は処置のための他の薬剤と組み合わせて使用され得る。医薬組成物又は投薬計画の第二の化合物は、典型的には、互いに悪影響を及ぼさないように、本発明の化合物に対して相補的な活性を有する。このような薬剤は、適切には、意図する目的にとって有効な量で組み合わせて存在する。これらの化合物は、単位医薬組成物に入れて一緒に又は別個に投与され得、別個に投与される場合には、これは同時に又は逐次に行われ得る。このような逐次投与は、時間的に近接し又は離隔し得る。
例えば、他の化合物は、喘息などの炎症性疾患の予防又は処置のために、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩と組み合わされ得る。併用療法のための適切な治療剤には、以下のものが含まれるが、これらに限定されない。アデノシンA2A受容体アンタゴニスト;抗感染薬;非ステロイド系グルココルチコイド受容体(GR受容体)アゴニスト;抗酸化剤;β2アドレナリン受容体アゴニスト;CCR1アンタゴニスト;ケモカインアンタゴニスト(CCR1でない);コルチコステロイド;CRTh2アンタゴニスト;DP1アンタゴニスト;ホルミルペプチド受容体アンタゴニスト;ヒストン脱アセチル化酵素活性化因子;塩素イオンチャネルhCLCA1遮断薬;上皮性ナトリウムチャネル遮断薬(ENAC遮断薬;細胞間接着分子1遮断薬(ICAM遮断薬);IKK2阻害剤;JNK阻害剤;シクロオキシゲナーゼ阻害剤(COX阻害剤);リポキシゲナーゼ阻害剤;ロイコトリエン受容体アンタゴニスト;二重β2アドレナリン受容体アゴニスト/M3受容体アンタゴニスト(MABA化合物);MEK−1阻害剤;ミエロペルオキシダーゼ阻害剤(MPO阻害剤);ムスカリン性アンタゴニスト;p38MAPK阻害剤;ホスホジエステラーゼPDE4阻害剤;ホスファチジルイノシトール3−キナーゼデルタ阻害剤(PI3−キナーゼδ阻害剤);ホスファチジルイノシトール3−キナーゼガンマ阻害剤(PI3−キナーゼγ阻害剤);ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体アゴニスト(PPARγアゴニスト);プロテアーゼ阻害剤;レチノイン酸受容体調節物質(RARγ調節物質);スタチン;トロンボキサンアンタゴニスト;TLR7受容体アゴニスト;又は血管拡張薬。
さらに、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、以下のものと組み合わされ得る。(1)コルチコステロイド、例えば、ジプロピオン酸アクロメタゾン、アメロメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、プロピオン酸ブチキソコルト(butixocort propionate)、ビクレソニド(biclesonide)、プロピオン酸ブロベタゾール(blobetasol propionate)、デスイソブチリルシクレソニド、デキサメタゾン、ジプレドノールジクロアセテート(dtiprednol dicloacetate)、フルオシノロンアセトニド、フロ酸フルチカゾン、プロピオン酸フルチカゾン、エタボン酸ロテプレドノール(局所)又はフロ酸モメタゾン;(2)β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、フェノテロール、ビトルテロール、カルブテロール、クレンブテロール、ピルブテロール、リモテロール、テルブタリン、トレトキノール、ツロブテロール及び持続性β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、メタプロテレノール、イソプロテレノール、イソプレナリン、サルメテロール、インダカテロール、ホルモテロール(フマル酸ホルモテロールを含む。)、アルホルモテロール、カルモテロール、アベジテロール、ビランテロールトリフルオロ酢酸塩、オロダテロール;(3)コルチコステロイド/持続性β2アゴニスト併用製品、例えば、サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Advair(登録商標)、Seretide(登録商標)としても販売されている)、ホルモテロール/ブデソニド(Symbicort(登録商標))、ホルモテロール/プロピオン酸フルチカゾン(Flutiform(登録商標))、ホルモテロール/シクレソニド、ホルモテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/フロ酸モメタゾン、ビランテロールトリフルオロ酢酸塩/フロ酸フルチカゾン又はアルホルモテロール/シクレソニド;(4)抗コリン剤、例えば、ムスカリン性−3(M3)受容体アンタゴニスト、イプラトロピウム臭化物、チオトロピウム臭化物、アクリジニウム(LAS−34273)、グリコピロニウム臭化物、ウメクリジニウム臭化物;(5)M3−抗コリン/β2−アドレナリン受容体アゴニスト併用製品、ビランテロール/ウメクリジニウム(Anoro(登録商標)Ellipta(登録商標))、オロダテロール/チオトロピウム臭化物、グリコピロニウム臭化物/インダカテロール(Ultibro(登録商標)、Xoterna(登録商標)としても販売されている)、フェノテロール臭化水素酸塩/イプラトロピウム臭化物(Berodual(登録商標))、アルブテロール硫酸塩/イプラトロピウム臭化物(Combivent(登録商標))、ホルモテロールフマル酸塩/グリコピロレート又はアクリジニウム臭化物/ホルモテロール(6)二重薬理学M3−抗コリン/β2−アドレナリン受容体アゴニスト、例えば、バフェンテロールコハク酸塩、AZD−2115又はLAS−190792;(7)ロイコトリエン調節物質、例えば、ロイコトリエンアンタゴニスト、例えば、モンテルカスト、ザフィルラスト(zafirulast)若しくはプランルカスト又はジロートンなどのロイコトリエン生合成阻害剤、又はアメルバント(amelubant)などのLTB4アンタゴニスト、又はFLAP阻害剤、例えば、フィボフラポン、GSK−2190915;(8)ホスホジエステラーゼIV(PDE−IV)阻害剤(経口又は吸入)、例えば、ロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、ロリプラム、テトミラスト、AVE−8112、レバミラスト、CHF6001;(9)抗ヒスタミン剤、例えば、選択的ヒスタミン−1(H1)受容体アンタゴニスト、例えば、フェキソフェナジン、シチリジン(citirizine)、ロラチジン(loratidine)若しくはアステミゾール又は二重H1/H3受容体アンタゴニスト、例えば、GSK835726若しくはGSK1004723;(10)鎮咳薬、例えば、コデイン又はデキストラモルファン(dextramorphan);(11)粘液溶解薬、例えば、N−アセチルシステイン又はフドステイン;(12)去痰薬/粘液作動薬(mucokinetic)調節物質、例えば、アンブロキソール、高張液(例えば、食塩水又はマンニトール)又は界面活性剤;(13)ペプチド粘液溶解薬、例えば、組換えヒトデオキシリボノクレアーゼ(deoxyribonoclease)I(ドルナーゼα及びrhDNアーゼ)又はヘリシジン;(14)抗生物質、例えば、アジスロマイシン、トブラマイシン又はアズトレオナム;(15)非選択的COX−1/COX−2阻害剤、例えば、イブプロフェン又はケトプロフェン;(16)COX−2阻害剤、例えば、セレコキシブ及びロフェコキシブ;(17)VLA−4アンタゴニスト、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み込まれるWO97/03094及びWO97/02289に記載されているもの;(18)TACE阻害剤及びTNF−α阻害剤、例えば、Remicade(登録商標)及びCDP−870などの抗TNFαモノクローナル抗体並びにEnbrel(登録商標)などのTNF受容体免疫グロブリン分子;(19)マトリックスメタロプロテアーゼの阻害剤、例えば、MMP−12;(20)ヒト好中球エラスターゼ阻害剤、例えば、BAY−85−8501など又はそれぞれ参照により本明細書に組み込まれるWO2005/026124、WO2003/053930及びWO06/082412に記載されているもの;(21)A2bアンタゴニスト、例えば、参照により本明細書に組み込まれるWO2002/42298に記載されているもの;(22)ケモカイン受容体機能の調節物質、例えば、CCR3及びCCR8のアンタゴニスト;(23)他のプロスタノイド受容体の作用を調節する化合物、例えば、トロンボキサンA2アンタゴニスト;DP1アンタゴニスト、例えば、ラロピプラント又はアサピプラント、CRTH2アンタゴニスト、例えば、OC000459、フェビピプラント、ADC3680又はARRY502;(24)PPARαアゴニスト(フェノフィブラートなど)、PPARδアゴニスト、PPARγアゴニスト、例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン及びバラグリタゾンを含むPPARアゴニスト;(25)メチルキサンチン、例えば、テオフィリン又はアミノフィリン並びにメチルキサンチン/コルチコステロイドの組み合わせ、例えば、テオフィリン/ブデソニド、テオフィリン/プロピオン酸フルチカゾン、テオフィリン/シクレソニド、テオフィリン/フロ酸モメタゾン及びテオフィリン/ジプロピオン酸ベクロメタゾン;(26)A2aアゴニスト、例えば、EP1052264号及びEP1241176号に記載されているもの;(27)CXCR2又はIL−8アンタゴニスト、例えば、AZD−5069、AZD−4721、ダニリキシン;(28)IL−Rシグナル伝達調節物質、例えば、キネレット及びACZ885;(29)MCP−1アンタゴニスト、例えば、ABN−912;(30)p38MAPK阻害剤、例えば、BCT197、JNJ49095397、ロスマピモド又はPH−797804;(31)AZD8848などのTLR7受容体アゴニスト;(32)PI3キナーゼ阻害剤、例えば、RV1729又はGSK2269557。
いくつかの実施形態において、本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、1種以上の追加の薬物、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2010/0048557号に開示されている薬剤などの、例えば、抗過剰増殖剤、抗癌剤、細胞***阻害剤、細胞傷害性剤、抗炎症剤又は化学療法剤と併用することができる。本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩は、本分野において既知であるように、放射線療法又は手術と併用することもできる。
製造物品
別の実施形態は、JAK1キナーゼなどのヤヌスキナーゼの阻害に応答する疾病又は障害を処置するための製造物品(例えば、キット)を含む。キットは、
(a)本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含む第一の医薬組成物と;及び
(b)使用のための指示書と;
を備えることができる。
別の実施形態において、キットは、さらに、
(c)炎症性障害の処置のための薬剤などの上記処置のための薬剤又は化学療法剤を含む医薬組成物などの、第二の医薬組成物、
を備える。
一実施形態において、指示書は、それを必要としている患者への、前記第一及び第二の医薬組成物の同時、逐次又は別個の投与を記載する。
一実施形態において、第一及び第二の組成物は、別個の容器中に含有される。別の実施形態において、第一及び第二の組成物は、同一の容器中に含有される。
使用する容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジ、ブリスター包装などが挙げられる。容器は、ガラス又はプラスチックなどの種々の材料から作られてもよい。容器は、症状を処置するのに有効である本発明の化合物又は薬学的に許容されるその塩を含んでおり、滅菌アクセス口を有していてもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿孔可能な栓を有する静脈用溶液袋又はバイアルであってもよい)。ラベル又はパッケージ添付文書は、その化合物が、喘息又は癌などの選択した症状を処置するために使用されることを示す。一実施形態において、ラベル又はパッケージ添付文書は、その化合物が障害を処置するために使用できることを示す。さらに、ラベル又はパッケージ添付文書は、処置されるべき患者は、過活動又は不規則なJAK1活性など、過活動又は不規則なヤヌスキナーゼ活性によって特徴付けられる障害を有する患者であることを示し得る。ラベル又はパッケージ添付文書は、その化合物が他の障害を処置するために使用できることも示し得る。
これに代えて、又はこれに加えて、キットは、薬学的に許容される緩衝液、例えば、注射用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝化生理食塩水、Ringer溶液又はデキストロース溶液を含む第2の(又は第3の)容器をさらに備えていてもよい。他の緩衝液、希釈剤、フィルター、ニードル及びシリンジを含め、商業的及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含んでいてもよい。
本発明を例示するために、以下の実施例が含まれる。しかしながら、これらの実施例は本発明を限定するものではなく、本発明を実施する方法を示唆することが意図されているに過ぎないことを理解すべきである。当業者は、記載されている化学反応が、本発明の他の化合物を調製するように容易に適合され得ること、及び化合物を調製するための別の方法が本発明の範囲に属することを認識するであろう。例えば、例示されていない本発明の化合物の合成は、当業者に自明な改変によって、例えば、妨害する基を適切に保護することによって、記載されている試薬以外の本分野で知られた他の適切な試薬を使用することによって、又は反応条件の定型的な改変を施すことによって、首尾よく実施され得る。または、本明細書に開示されている又は本分野で知られた他の反応は、本発明の他の化合物を調製するためにも適用可能であることが認識されるであろう。
一般的な実験の詳細
全ての溶媒及び市販の試薬は、別段の記載がなければ、受領したまま使用した。シリカ上のクロマトグラフィーによって製品を精製した場合には、これは、手作業でシリカゲルを充填されたガラスカラム(Kieselgel 60、220−440メッシュ、35−75μm)又はIsolute(登録商標)SPE Si IIカートリッジのいずれかを用いて行った。「Isolute SPE Siカートリッジ」は、50μμmの平均サイズと60Åの公称多孔度を有する不規則粒子を備えた非結合活性化シリカを含有する充填済みポリプロピレンカラムを表す。Isolute(登録商標)SCX−2カートリッジが使用される場合、「Isolute(登録商標)SCX−2カートリッジ」は、末端キャップされていない、プロピルスルホン酸官能化されたシリカ強陽イオン交換吸着剤を含有する充填済みポリプロピレンカラムを表す。
LCMS条件
方法A(LCMS15)
実験は、C18逆相カラム(50×3mm Shim−Pack XR−ODS、2.2μm粒径)、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLC上で行った。グラジエント:
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
方法B(LCMS45)
実験は、C18逆相カラム(50×2.1mm Ascentis Express−C18、2.7μm粒径)、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLC上で行った。グラジエント:
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
方法C(LCMS34)
実験は、C18逆相カラム(50×3mm、Gemini−NX 3μ−C18 110A、3.0μm粒径)、溶媒A:水/5mM NH
4HCO
3;溶媒B:アセトニトリルによる溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLC上で行った。グラジエント:
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
方法D(LCMS34)
実験は、C18逆相カラム(50×3mm、Gemini−NX 3μ−C18 110A、3.0μm粒径)、溶媒A:水/5mM NH
4HCO
3;溶媒B:アセトニトリルによる溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLC上で行った。グラジエント:
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
方法E(LCMS30)
実験は、C18逆相カラム(50×2.1mm Xtimate TM−C18、2.6μm粒径)、溶媒A:水/0.05%TFA;溶媒B:アセトニトリル/0.05%TFAによる溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLCで行った。
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
方法F(LCMS15)
実験は、C18逆相カラム(50×3mm Shim−Pack XR−ODS、2.2μm粒径)、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLC上で行った。グラジエント:
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
方法G(LCMS15)
実験は、C18逆相カラム(50×3mm Shim−Pack XR−ODS、2.2μm粒径)、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLC上で行った。グラジエント:
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
方法H(LCMS15)
実験は、C18逆相カラム(50×3mm Shim−Pack XR−ODS、2.2μm粒径)、溶媒A:水+0.05%トリフルオロ酢酸;溶媒B:アセトニトリル+0.05%トリフルオロ酢酸による溶出を用いて、SHIMADZU 20A HPLC上で行った。グラジエント:
検出−UV(220及び254nm)及びELSD
共通の略号のリスト
ACN アセトニトリル
塩水 飽和塩化ナトリウム水溶液
CH3OD 重水素化メタノール
CDCl3 重水素化クロロホルム
DCM ジクロロメタン
DIEA又はDIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DMA ジメチルアセトアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DMSO−d6 重水素化ジメチルスルホキシド
EDC又はEDCI 1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FA ギ酸
HOAc 酢酸
g グラム
h 時間
HATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)
HCl 塩酸
HOBt ヒドロキシベンゾトリアゾール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
IMS 工業用変性アルコール
L リットル
LCMS 液体クロマトグラフィー−質量分析
LiHMDS又はLHMDS リチウムヘキサメチル(hexamethy)ジシラジド
MDAP 質量指向自動精製(Mass directed automated purification)
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
min 分
mg ミリグラム
mL ミリリットル
NMR 核磁気共鳴分光法
Pd2(dba)3.CHCl3 トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)−クロロホルム付加物
PE 石油エーテル
Prep−HPLC 調製用高速液体クロマトグラフィー
SCX−2 強陽イオン交換
TBAF テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
キサントホス 4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン
中間体A
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
中間体Aの調製は、WO2015/177326A1の実施例Aに記載されている。
中間体B
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルチオ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
中間体Bの調製は、WO2017/089390A1の実施例1に記載されている。
中間体C
N−(5−(5−ブロモ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−((2−トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
中間体 C の調製は、中間体3としてWO2017/089390A1に記載されている。
中間体D
N−(3−(2−ジフルオロメトキシ)−5−((ジフルオロメチル)チオ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(20mL)中の中間体Cの溶液(4.00g、6.90mmol)に、窒素下で、水素化ナトリウム(415mg、10.4mmol、鉱油中60%)、Pd2(dba)3CHCl3(735mg、0.710mmol)及びキサントホス(800mg、1.38mmol)及びトリス(プロパン−2−イル)シランチオール(1.97g、10.4mmol)を添加した。得られた溶液を、90℃で20分間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(80/20)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮した。これにより、灰白色の固体として、3.30g(69%)のN−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[[トリス(プロパン−2−イル)シリル]スルファニル]フェニル]−1−[[2−トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=689.4、RT=1.51分。
DMF(20mL)中の前工程から得たトリス(イソプロピル)シリルチオ化合物(2.00g、2.90mmol)の溶液に、窒素下で、Cs2CO3(2.60g、7.98mmol)及び2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸ナトリウム(1.20g、7.87mmol)を添加した。反応混合物を100℃で一晩撹拌し、室温まで冷却させた。得られた混合物を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(70/30)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、黄色の油として、1.08g(64%)のN−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[(ジフルオロメチル)スルファニル]フェニル]−1−[[2−トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドが得られた。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=583.3、RT=1.43分。
N−[5−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[(ジフルオロメチル)スルファニル]フェニル]−1−[[2−トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(110mg、0.189mmol)を、ジクロロメタン(6.0mL)中のトリフルオロ酢酸(3.0mL、40.4mmol)で処理した。得られた溶液を室温で2時間撹拌し、真空下で濃縮した。残留物をジクロロメタン中に溶解し、DIPEAで中和した。弱い塩基性溶液を真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって残留物を精製した。カラム、XBridge Prep C18 OBDカラム、19*150mm 5μm;移動相、水(0.05%NH3H2O)及びACN(7分で、30.0%ACNから最大50.0%);検出器、UV254/220nm、白色の固体として、40.5mg(47%)のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−[(ジフルオロメチル)スルファニル]フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=453.1、RT=1.15分。1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)13.11(s,1H)、9.69(s,1H)、9.35(dd,J=6.8,1.6 Hz,1H)、8.68(dd,J=4.4,1.6 Hz,1H)、8.66(s,1H)、8.29(s,1H)、7.80−7.72(m,2H)、7.54(d,J=8.4 Hz,1H)、7.52(t,J=55.6 Hz,1H)、7.37(t,J=73.0 Hz,1H)、7.30(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)。
中間体E
N−(3−(2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された3000mLの丸底フラスコ中に、DMF(1500mL)、4−(ベンジルオキシ)フェノール(200g、999mmol)、Cs2CO3(651g、1.99mol)を入れた。この後に、120℃で、小バッチの2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸ナトリウム(228.4g、1.50mol、1.50当量)を添加した(注意:反応からCO2発生)。2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸ナトリウムの添加が終了したら、この反応混合物を、さらに1時間、120℃で、油槽中で撹拌し、室温まで冷却させた。次いで、3000mLの水/氷の添加によって、反応を停止した。得られた溶液を、3×4000mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/19)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮した。この反応を4バッチ繰り返した。これは、白色の固体として、合計450g(36%)の1−(ベンジルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)ベンゼンをもたらした。
3000mLの丸底フラスコ中に、メタノール(1500mL)、1−(ベンジルオキシ)−4−(ジフルオロメトキシ)ベンゼン(140g、559mmol)、10%Pd/C(15g)を入れた。得られた混合物を、水素下で(約45psi)一晩、室温で撹拌した。触媒をフィルターにかけて除去した。ろ液を真空下で濃縮した。この反応を3バッチ繰り返した。これにより、黄色の油として300g(78%)の4−(ジフルオロメトキシ)フェノールが得られた。
1000mLの丸底フラスコ中に、酢酸(500mL)、4−(ジフルオロメトキシ)フェノール(50g、312mmol)、NBS(55.6g、312mmol)を入れた。得られた溶液を、1時間、15℃で撹拌した。次いで、1000mLの水/氷の添加によって、反応を停止した。得られた溶液を、3×1000mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/石油エーテル(30/70)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。これにより、淡黄色の油として50g(67%)の2−ブロモ−4−(ジフルオロメトキシ)フェノールが得られた。
2000mLの丸底フラスコ中に、CH3CN(500mL)、水(500mL)、2−ブロモ−4−(ジフルオロメトキシ)フェノール(54g、226mmol)、水酸化カリウム(94g、1.68mol)を入れた。この後に、撹拌しながら、0℃で、ジエチル(ブロモジフルオロメチル)ホスホナート(120g、449mmol)を滴加した。得られた溶液を、水/氷槽中で、1時間、0℃で撹拌した。得られた溶液を、3×300mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/19)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。これにより、淡黄色の油として54g(83%)の2−ブロモ−1,4−ビス(ジフルオロメトキシ)ベンゼンが得られた。
窒素の不活性雰囲気がパージされ、維持された1000mLの丸底フラスコ中に、DMA(500mL)、炭酸カリウム(112g、810mmol)、4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(66g、271mmol)、2−ブロモ−1,4−ビス(ジフルオロメトキシ)ベンゼン(79g、273mmol)、2,2−ジメチルプロパン酸(8.3g、81.3mmol)、Pd(OAc)2(6.0g、26.7mmol)、ビス(アダマンタン−1−イル)(ブチル)ホスファン(19g、52.9mmol)を入れた。得られた溶液を、120℃で一晩、油槽中において撹拌し、室温まで冷却させた。次いで、1000mLの水/氷の添加によって、反応を停止した。得られた溶液を、3×1000mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。これにより、固体として、100g(82%)の5−[2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾールが得られた。
3000mLの3つ首丸底フラスコ中に、エタノール(1500mL)、水(150mL)、5−[2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(100.00g、221mmol)、鉄粉末(124g、2.22mol)、NH4Cl(59.2g、1.11mol)を入れた。得られた混合物を、油槽中で、2時間、100℃で撹拌した。固体をフィルターにかけて取り出し、EtOHで洗浄した。ろ液を真空下で濃縮した。残留物を3000mLの酢酸エチル中に溶解した。得られた混合物を1×1000mLの塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。これにより、淡黄色の油として、100gの未精製5−[2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミンが得られ、精製せずに直接使用した。
2000mLの丸底フラスコ中に、DMA(1000mL)、前工程から得られた全ての未精製5−[2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(58.06g、355.9mmol)、3H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピリジン−3−イルトリス(ピロリジン−1−イル)ホスフィナイト;ヘキサフルオロ−1^[6]−ホスファン(PyAOP)(185.56g、355.9mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(2.90g、23.7mmol)、DIPEA(92.0g、712mmol)を入れた。得られた溶液を65℃で一晩、油槽中で攪拌した。次いで、2000mLの水の添加によって、反応を停止した。得られた溶液を、3×2000mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。合わせた有機相を1×1000mLの塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(40/60)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。これにより、白色の固体として、120gのN−[5−[2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドが得られた。
2000mLの丸底フラスコ中に、メタノール(800mL)、濃塩酸(400mL、12N)、
N−[5−[2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(80g、141mmol)を入れた。得られた溶液を、4時間、25℃で撹拌した。フィルターにかけることによって固体を集めた。固体を1Lフラスコに加え、H2O(200mL)を加えた。撹拌しながら、pH約8まで、飽和NaHCO3水溶液を滴加した。フィルターにかけることによって固体を集め、乾燥して、淡黄色の固体として、55g(89%)のN−[3−[2,5−ビス(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=437.1、RT=1.66分;1H NMR(300MHz,CD3OD):δ(ppm)9.08(dd,J=6.6,1.5 Hz,1H)、8.62−8.60(m,2H)、8.28(s,1H)、7.44(d,J=8.7 Hz,1H)、7.40(d,J=2.4 Hz,1H)、7.33(dd,J=9.0,2.7 Hz,1H)、7.19(dd,J=6.8,4.4 Hz,1H)、6.87(t,J=73.7 Hz,1H)、6.73(t,J=73.7 Hz,1H)。
中間体F
N−(3−(5−クロロ−4−シアノ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
水(500mL)中の、3−ブロモ−4−クロロフェノール(50.0g、241mmol)及び水酸化ナトリウム(19.0g、475mmol)の溶液に、撹拌しながら、0℃で、水中の、ヨウ素(66.0g、260mmol)及びヨウ化カリウム(40.0g、241mmol)の溶液を滴加した。得られた溶液を室温で2時間撹拌した。次いで、溶液が約pH4に達するまで、HCl水溶液(2mol/L)を加えた。次いで、得られた弱酸性溶液を、1000mLの飽和Na2SO3溶液の添加によって停止させ、3×1000mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/石油エーテル(1/20)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮した。これにより、白色の固体として、20.1g(25%)の5−ブロモ−4−クロロ−2−ヨードフェノールが得られた。1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ(ppm)7.74(s,1H)、7.28(s,1H)、5.28(s,1H)。
DMF(10mL)中の5−ブロモ−4−クロロ−2−ヨードフェノール(1.00g、3.00mmol)の溶液に、2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸ナトリウム(690mg、4.53mmol)及びCs2CO3(1.95g、5.99mmol)を添加した。反応混合物を4時間120℃で撹拌し、室温まで冷却し、次いで、20mLの氷水の添加によって停止した。得られた溶液を、3×50mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/20)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮した。これにより、白色の固体として、1.01g(87%)の1−ブロモ−2−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)−4−ヨードベンゼンが得られた。TLC:酢酸エチル/石油=1/10、Rf=0.6。
テトラヒドロフラン(100mL)中の4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(8.00g、32.9mmol)の溶液に、撹拌しながら、−70℃で、窒素の雰囲気下において、LiHMDS(40mL、THF中1.0mol/L、40.0mmol)を滴加した。得られた溶液を、1時間、−70℃で撹拌した。これに、ZnCl2(47mL、THF中0.70mol/L、32.9mmol)を、撹拌しながら、−70℃で滴加した。得られた溶液を室温で1時間撹拌した。この混合物に、1−ブロモ−2−クロロ−5−(ジフルオロメトキシ)−4−ヨードベンゼン(12.6g、32.9mmol)及びPd(PPh3)4(1.90g、1.64mmol)を添加した。温度を90℃に維持しながら、油槽中、窒素下で、得られた溶液を一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:20)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。これにより、淡黄色の固体として、8.01g(49%)の5−[4−ブロモ−5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾールが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=498.0&500.0、RT=1.42分。
エタノール(50mL)及び水(5.0mL)中の5−[4−ブロモ−5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(5.00g、10.0mmol)の溶液に、鉄粉末(5.00g、89.5mmol)、NH4Cl(5.50g、103mmol)を添加した。得られた溶液を、2時間、100℃で、油槽中で撹拌した。固体をフィルターにかけて除去した。ろ液を真空下で濃縮した。残留物を200mLの酢酸エチル中に溶解した。得られた混合物を1×30mLの塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。これにより、黄色の油として、5.00g(未精製)の5−[4−ブロモ−5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミンが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=468.0&470.0 RT=1.12分。
DMA(50.0mL)中の5−[4−ブロモ−5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(5.00g、未精製)の溶液に、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(2.80g、17.2mmol)、PyAOP(9.00g、17.3mmol)、DIPEA(5.00g、38.7mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(140mg、1.15mmol)を添加した。得られた溶液を、一晩、60℃で、油槽中で撹拌した。次いで、200mLの水の添加によって、反応を停止した。得られた溶液を、3×300mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。合わせた有機層を1×300mLの塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(4/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。これにより、淡黄色の固体として、5.70g(2つの工程にわたって92%)のN−[5−[4−ブロモ−5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=613.0&615.0、RT=1.31分。1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ(ppm)9.57(s,1H)、8.81(dd,J=7.0,1.8 Hz,1H)、8.73(s,1H)、8.52(dd,J=4.4,1.6 Hz,1H)、8.32(s,1H)、7.76(s,1H)、7.69(s,1H)、7.03(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、6.44(t,J=72.2 Hz,1H)、5.43(d,J=11.2 Hz,1H)、5.35(d,J=11.2 Hz,1H)、3.66−3.58(m,2H)、0.92−0.83(m,2H)、0.00(s,9H)。
ジオキサン(5.0mL)中のN−[3−[4−ブロモ−5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(150mg、0.244mmol)の溶液に、窒素下で、Pd(dppf)Cl2(117mg、0.161mmol)及びZn(CN)2(732mg、6.23mmol)を添加した。得られた溶液を、12時間、100℃で、油槽中で撹拌し、室温まで冷却させた。得られた溶液を、水と酢酸エチルの間に分配した。水相を、2×10mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水、塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/酢酸エチル(4/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集め、真空下で濃縮して、灰白色の固体として、60mg(44%)のN−[3−[5−クロロ−4−シアノ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。
LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=560.2、RT=1.13分。
N−[3−[5−クロロ−4−シアノ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(70.0mg、0.125mmol)を、室温で2時間、TFA(2.0mL)及びジクロロメタン(2mL)で処理した。得られた混合物を真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物(60mg)を精製した。カラム:XBridge RP18、19*150mm、5μm;移動相A:水/10mmol/L NH4HCO3、移動相B:ACN;流速:25mL/分;グラジエント:10分で22%Bから38%Bへ;254nm、灰白色の固体として、12.4mgのN−(3−(5−クロロ−4−シアノ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得たLC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=430.1、RT=1.69分。1H NMR(300 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)13.32(s,1H)、9.75(s,1H)、9.36(dd,J=6.9,1.5 Hz,1H)、8.78(dd,J=4.2,1.5 Hz,1H)、8.66(s,1H)、8.30(s,1H)、8.10(s,1H)、8.00(s,1H)、7.32(dd,J=6.9,4.5 Hz,1H)、7.32(t,J=72.6 Hz,1H)。
中間体G
N−(5−(5−ブロモ−4−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル−1−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
CH3CN(1000mL)中の5−クロロ−2−ヨードフェノール(100g、393mmol)の溶液に、数個のバッチでCuBr2(264g、1.18mol)を、撹拌しながら、70℃で添加した。得られた混合物を70℃で4時間撹拌し、室温まで冷却し、真空下で濃縮した。次いで、3000mLの水/氷の添加によって、残留物を急冷し、3×2000mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。抽出物を1×1000mLの塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:30)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。この反応をさらに1回繰り返した。これにより、白色の固体として、140g(53%)の4−ブロモ−5−クロロ−2−ヨードフェノールが得られた。1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ(ppm)7.89(s,1H)、7.14(s,1H)、5.32(s,1H)。
DMF(1200mL)中の4−ブロモ−5−クロロ−2−ヨードフェノール(140g、420mmol)の溶液に、2−クロロ−2,2−ジフルオロ酢酸ナトリウム(95.8g、628mmol)、Cs2CO3(274g、840mmol)を添加した。反応混合物を2時間120℃で、油槽中で撹拌し、室温まで冷却し、次いで、2500mLの水/氷の添加によって急冷した。得られた溶液を、3×2000mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。抽出物を1×1000mLの塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/30)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮して、淡黄色の固体として、130g(81%)の1−ブロモ−2−クロロ−4−(ジフルオロメトキシ)−5−ヨードベンゼンを得た。
テトラヒドロフラン(1000mL)中の4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(67.0g、275mmol)の溶液に、撹拌しながら、−70℃で、窒素下で、LiHMDS(340mL、THF中1M)を滴加した。得られた溶液を、−70℃で1時間撹拌した。この溶液に、ZnCl2(400mL、THF中0.7M)を、撹拌しながら、−70℃で滴加した。得られた溶液を、1時間、−70℃で、窒素下で撹拌した。この混合物に、1−ブロモ−2−クロロ−4−(ジフルオロメトキシ)−5−ヨードベンゼン(105g、274mmol)、Pd(PPh3)4(16.0g、13.9mmol)を、窒素下で添加した。得られた溶液を90℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1:20)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。これにより、淡黄色の固体として、115g(84%)の5−[5−ブロモ−4−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾールが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=498.0&500.0、RT=1.27分。
エタノール(1000mL)及び水(100mL)中の5−[5−ブロモ−4−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−ニトロ−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール(102g、205mmol)の溶液に、鉄粉末(102g、1.82mol)及びNH4Cl(53g、1.00mol)を添加した。反応混合物を、油槽中で、3時間、100℃で撹拌した。固体をフィルターにかけて除去した。ろ液を真空下で濃縮した。残留物を2000mLの酢酸エチル中に溶解した。有機溶液を1×500mLの塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。これにより、淡黄色の油として、102g(未精製)の5−[5−ブロモ−4−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミンが得られた。LC/MS(方法E、ESI):[M+H]+=467.9&469.9、RT=1.29分。
DMA(800mL)中の5−[5−ブロモ−4−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−アミン(100g、213mmol)の溶液に、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボン酸(52.0g、319mmol)、PyAOP(166g、319mmol)、DIPEA(82.3g、638mmol)及び4−ジメチルアミノピリジン(2.59g、21.2mmol)を添加した。得られた溶液を60℃で一晩、油槽中で攪拌した。次いで、2000mLの水/氷の添加によって、反応を停止した。得られた溶液を、3×1500mLの酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせた。合わせた有機層を500mLの塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(2:1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮した。残留物を水(800mL)中に懸濁し、1時間撹拌した。フィルターにかけることによって固体を集めた。これにより、灰白色の固体として、112.67g(86%)のN−[5−[5−ブロモ−4−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドが得られた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=613.2&615.2、RT=2.29分。1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ(ppm)9.56(s,1H)、8.81(dd,J=6.8,1.5 Hz,1H)、8.73(s,1H)、8.53(d,J=4.0 Hz,1H)、8.33(s,1H)、7.92(s,1H)、7.54(s,1H)、7.03(dd,J=6.8 Hz,4.0 Hz,1H)、6.45(t,J=72.2 Hz,1H)、5.43(d,J=11.2 Hz,1H)、5.35(d,J=11.2 Hz,1H)、3.68−3.56(m,2H)、0.94−0.84(m,2H)、0.00(s,9H)。
中間体H
N−(3−(6−ジフルオロメトキシ)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−7−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドエトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(10mL)中の中間体G(200mg、0.326mmol)の溶液に、tert−ブチルN−(2−ヒドロキシエチル)カルバメート(105mg、0.651mmol)、[PdCl(アリル)]2(6.01mg、0.0161mmol)、t−BuBrettPhos(16.0mg、0.0329mmol)及びCs2CO3(213mg、0.654mmol)を窒素下で添加した。得られた溶液を60℃で4時間撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(19/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、黄色の油として、182mg(80%)のtert−ブチルN−[2−[2−クロロ−4−(ジフルオロメトキシ)−5−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]エチル]カルバメートが得られた。LC/MS(方法C、ESI):[M+H]+=694.1、RT=1.54分。
t−BuOH(15mL)中のtert−ブチルN−[2−[4−(ジフルオロメトキシ)−2−メチル−5−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)フェノキシ]エチル]カルバメート(182mg、0.270mmol)の溶液に、窒素下で、BrettPhos Palladacycle Gen.3(CAS1470372−59−8、供給業者J&K Scientific Ltd)(48.0mg、0.0530mmol)、BrettPhos(56.0mg、0.104mmol)及び炭酸カリウム(73.0mg、0.528mmol)を添加した。得られた溶液を110℃で20時間撹拌し、室温まで冷却し、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、黄色の固体として、95.0mg(53%)のtert−ブチル6−(ジフルオロメトキシ)−7−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレートが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=658.1、RT=1.17分。
メタノール(8.0mL)中のtert−ブチル6−(ジフルオロメトキシ)−7−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−4−カルボキシレート(80.0mg、0.122mmol)の溶液に、HCl水溶液(水中6mol/L)(4.0mL)を添加した。得られた溶液を25℃で4時間撹拌し、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物(50.0mg)を精製した。カラム、Xbridge Shield RP18 OBDカラム、19*150mm 5μm;移動相、水中の10mM NH4HCO3及びCH3CN(10分で、10.0%CH3CNから最大38.0%);検出器、UV254nm、黄色の固体として、16.1mg(24%)のN−[5−[6−(ジフルオロメトキシ)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾオキサジン−7−イル]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法D、ESI):[M+H]+=428.0、RT=2.05分;1H NMR(400 MHz,CD3OD):δ(ppm)8.98(d,J=6.8 Hz,1H)、8.57−8.51(m,2H)、8.12(s,1H)、7.10(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、6.79(s,1H)、6.51(s,1H)、6.40(t,J=75.2 Hz,1H)、4.13−4.11(m,2H)、3.39−3.32(m,2H)。
中間体I
N−(3−(6−(ジフルオロメトキシ)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]チアジン−7−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
トルエン(14mL)中の中間体G(1.00g、1.62mmol)の溶液に、窒素下で、tert−ブチルN−(2−スルファニルエチル)カルバメート(867mg、4.89mmol)、Pd2(dba)3、CHCl3(338mg、0.327mmol)、キサントホス(380mg、0.657mmol)及び炭酸カリウム(676mg、4.89mmol)を添加した。得られた溶液を80℃で一晩、油槽中で撹拌し、室温まで冷却し、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/1〜4/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、淡黄色の固体として、670mg(58%)のtert−ブチルN−(2−[[2−クロロ−4−(ジフルオロメトキシ)−5−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)フェニル]スルファニル]エチル)カルバメートが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+Na]+=732.2、RT=1.43分。
t−BuOH(12mL)中のtert−ブチルN−(2−[[2−クロロ−4−(ジフルオロメトキシ)−5−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)フェニル]スルファニル]エチル)カルバメート(670mg、0.943mmol)の溶液に、窒素下で、BrettPhos Palladacycle Gen.3(CAS1470372−59−8、供給業者J&K Scientific Ltd)(86.0mg、0.095mmol)、BrettPhos(101mg、0.188mmol)及び炭酸カリウム(260mg、1.88mmol)を添加した。得られた溶液を110℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(1/1〜3/2)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、淡黄色の固体として、530mg(83%)のtert−ブチル6−(ジフルオロメトキシ)−7−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−4−カルボキシレートが得られた。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=674.0、RT=1.23分。
tert−ブチル6−(ジフルオロメトキシ)−7−(4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1−[[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル]−1H−ピラゾール−5−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−4−カルボキシレート(30.0mg、0.0445mmol)を、25℃で3時間、HCl/ジオキサン(10mL、ジオキサン中4mol/L)で処理した。得られた混合物を真空下で濃縮した。残留物を5mLのジクロロメタンで希釈した。1mLのDIPEAを添加した。得られた混合物を真空下で濃縮した。メタノール/ジクロロメタン(1/10)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物(15.0mg)を精製した。カラム、Xbridge Phenyl OBDカラム、19*150mm 5μm;移動相、水(0.05%NH4OH)及びCH3CN(15分で10%CH3CNから最大40%まで 検出器、UV254nm、黄色の固体として、5.10mg(26%)のN−[3−[6−(ジフルオロメトキシ)−3,4−ジヒドロ−2H−1,4−ベンゾチアジン−7−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法B、ESI):[M+H]+=444.2,、RT=0.75分;1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ(ppm)12.97(s,1H)、9.67(s,1H)、9.34(dd,J=6.9,1.5 Hz,1H)、8.71(dd,J=4.2,1.5 Hz,1H)、8.65(s,1H)、8.12(s,1H)、7.30(dd,J=7.1,4.4 Hz,1H)、7.04(s,1H)、6.97(t,J=73.2 Hz,1H)、6.64(s,1H)、6.53(s,1H)、3.56(t,J=3.0 Hz,2H)、3.02−2.99(m,2H)。
中間体J
N−(3−(2−(ジフルオロメトキシ)−5−(メチルスルホニル)フェニル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
ジクロロメタン(5.0mL)中の中間体B(500mg、1.20mmol)の溶液に、m−CPBA(623mg、3.61mmol)を添加した。得られた溶液を室温で5分間撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(25/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集め、真空下で濃縮して、黄色の固体として、523mg(97%)のN−[3−[2−(ジフルオロメトキシ)−5−メタンスルホニルフェニル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+.=449.2、RT=0.99分;1H NMR(300MHz,DMSO−d6):δ(ppm)13.18(s,1H)、9.68(s,1H)、9.33(dd,J=6.9,1.5 Hz,1H)、8.70(dd,J=4.2,1.5 Hz,1H)、8.66(s,1H)、8.31(s,1H)、8.12−8.09(m,2H)、7.68(d,J=8.1 Hz,1H)、7.47(t,J=72.6 Hz,1H)、7.30(dd,J=6.9,4.2 Hz,1H)、3.28(s,3H)。
一般的な方法1:[実施例1]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(2−オキソシクロヘキシル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
DCE(15mL)中の中間体A(1.00g、2.47mmol)の溶液に、7−オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタン(2.00g、20.4mmol)及びYb(OTf)3(300mg、0.484mmol)を添加した。反応混合物を、65℃で一晩撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(4/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、減圧下で濃縮した。これにより、黄色の泡として、500mg(40%)のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−ヒドロキシシクロヘキシル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドが得られた。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=503.2、RT=1.99分。
ジクロロメタン(20mL)中のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−ヒドロキシシクロヘキシル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(70.0mg、0.139mmol)の溶液に、デス・マーチン試薬(150mg、0.354mmol)を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、100mLの重炭酸ナトリウムの添加によって、反応を停止した。得られた溶液を、3×200mLのジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(4/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物(70mg)を精製した。Column XBridge C18、19*150mm、5μm;移動相、移動相A:水/10mmol NH4HCO3、移動相B:ACN;流速:25mL/分;グラジエント:13分で15%Bから62%B;検出器、UV254nm、淡黄色の固体として、20.8mg(30%)のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−オキソシクロヘキシル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法A、ESI):[M+H]+=501.2,RT=2.00 分,1H NMR(300 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.77(s,1H)、9.37(dd,J=6.6,1.5 Hz,1H)、8.71−8.68(m,2H)、8.30(s,1H)、7.65(dd,J=8.7,2.4 Hz,1H)、7.59(d,J=2.1 Hz,1H)、7.47(d,J=8.7 Hz,1H)、7.31(dd,J=6.9,4.2 Hz,1H)、7.26(t,J=73.5 Hz,1H)、5.41−5.35(m,1H)、2.74−2.59(m,1H)、2.43−2.29(m,3H)、2.09−1.72(m,4H)。
一般的な方法2:[実施例2]及び[実施例3]
(S)−N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−メチル−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド及び
(R)−N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−メチル−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
DMF(10mL)中の中間体A(300mg、0.741mmol)の溶液に、CS2CO3(485mg、1.49mmol)を添加した後、3−ブロモ−1−メチルピロリジン−2−オン(205mg、1.15mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で2時間撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(20/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物をさらに精製した。カラム:XBridge BEH130 Prep C18 OBDカラム、19×150mm、5μm;移動相A:水(0.05%NH3H2O)、移動相B:MeOH−−HPLC;流速:20mL/分;グラジエント:15分で30%Bから55%B;254/220nm、ラセミ混合物を得、次いで、以下の条件を用いて、Chiral−Prep−HPLCによって分離した。カラム:CHIRALPAK IF、2*25cm、5μm;移動相A:Hex:DCM=5:1、移動相B:EtOH;流速:15mL/分;グラジエント:29分で50%Bから50%B;220/254nm、2つの画分を得た。
実施例2:第一の画分、RT1=19.63分;白色の固体として、41.9mgの(S)−N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(1−メチル−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド;LC/MS(方法F、ESI);[M+H]+=502.2、RT=1.63 分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=6.8,1.6 Hz,1H)、8.70−8.69(m,2H)、8.43(s,1H)、7.65(dd,J=8.8,2.4 Hz,1H)、7.59(d,J=2.4 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.31(dd,J=7.2,4.4 Hz,1H)、7.27(t,J=73.2 Hz,1H)、5.29−5.25(m,1H)、3.54−3.51(m,1H)、3.45−3.42(m,1H)、2.83(s,3H)、2.60−2.55(m,2H)。
実施例3:第二の画分、RT2=24.74分;白色の固体として、40.1mgの(R)−N−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(1−メチル−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド;LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=502.2、RT=1.61分、1H NMR(300 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=6.8,1.6 Hz,1H)、8.70−8.69(m,2H)、8.43(s,1H)、7.65(dd,J=8.8,2.4 Hz,1H)、7.59(d,J=2.4 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.31(dd,J=7.2,4.4 Hz,1H)、7.27(t,J=73.2 Hz,1H)、5.29−5.25(m,1H)、3.54−3.51(m,1H)、3.45−3.42(m,1H)、2.83(s,3H)、2.60−2.55(m,2H)。
一般的な方法3:[実施例4]及び[実施例5]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体1)及び
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体2)
DMF(10mL)中の中間体A(100mg、0.247mmol)の溶液に、Cs2CO3(163mg、0.500mmol)及び3−ブロモピロリジン−2−オン(62.0mg、0.378mmol)を添加した。反応混合物を、60℃で2時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(20/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集め、真空下で濃縮して、ラセミ生成物を得、以下の条件を用いて、Chiral−Prep−HPLCによって分離した。カラム:Chiralpak IC 2*25cm、5μm;相A:MTBE;相B:EtOH;流速:20mL/分;15.5分で50%Bから50%B;254/220nm、2つの画分を得た。
実施例4:白色固体として異性体1(17.2mg)、RT1=9.34分;LC/MS(方法F,ESI):[M+H]+=488.2、RT=1.55分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=7.2,1.6 Hz,1H)、8.70−8.69(m,2H)、8.42(s,1H)、8.19(s,1H)、7.65(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.60(d,J=2.4 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.31(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.28(t,J=73.2 Hz,1H)、5.22−5.17(m,1H)、3.48−3.44(m,1H)、3.34−3.29(m,1H)、2.58−2.52(m,2H)。
実施例5):異性体2(16.5mg)白色固体、RT2=12.8分;LC/MS(方法F,ESI):[M+H]+=488.2、RT=1.52分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=7.2,1.6 Hz,1H)、8.70−8.69(m,2H)、8.42(s,1H)、8.19(s,1H)、7.65(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.60(d,J=2.4 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.31(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.28(t,J=73.2 Hz,1H)、5.22−5.17(m,1H)、3.48−3.44(m,1H)、3.34−3.29(m,1H)、2.58−2.52(m,2H)。
一般的な方法4:[実施例14]及び[実施例15]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−(2−モルホリノエチル)−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体1)及び
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−(2−モルホリノエチル)−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体2)
DMF(15mL)中の中間体A(200mg、0.494mmol)の溶液に、Cs2CO3(326mg、1.00mmol)及び3−ブロモピロリジン−2−オン(163mg、0.994mmol)を添加した。得られた溶液を60℃で3時間撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(97/3)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、白色の固体として、200mg(83%)のラセミのN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=488.2、RT=1.52分。
DMF(10mL)中のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(100mg、0.205mmol)の溶液に、Cs2CO3(100mg、0.307mmol)、4−(2−ブロモエチル)モルホリン(40mg、0.206mmol)を添加した。得られた混合物を60℃で4時間撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(20/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物をさらに精製した。カラム:XBridge BEH130 Prep C18 OBDカラム、19×150mm、5μm;移動相A:水(0.05%NH3H2O)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;グラジエント:9分で30%Bから36%B;254/220nm、ラセミ生成物を得、以下の条件を用いて、Chiral−Prep−HPLCによって分離した。カラム:カラム:Chiralpak ID−2、2*25cm、5μm;移動相A:MTBE、移動相B:EtOH;流速:14mL/分;グラジエント:23分で60Bから60B;220/254nm、2つの画分を得た。
実施例14:白色固体として異性体1(23.0mg)、RT1=14.21分;LC/MS(方法F,ESI):[M+H]+=601.3、RT=1.51分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=7.2,1.6 Hz,1H)、8.70(dd,J=4.4,1.6 Hz,1H)、8.69(s,1H)、8.43(s,1H)、7.65(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.59(d,J=2.8 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.31(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.28(t,J=73.0 Hz,1H)、5.30−5.26(m,1H)、3.65−3.60(m,1H)、3.56(t,J=4.4 Hz,4H)、3.52−3.48(m,1H)、3.41−3.36(m,2H)、2.63−2.59(m,2H)、2.50−2.47(m,2H)、2.46(t,J=4.4 Hz,4H)。
実施例15:白色固体として異性体2(22.4mg)RT2=19.71分;LC/MS(方法F,ESI):[M+H]+=601.3、RT=1.55分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=7.2,1.6 Hz,1H)、8.70(dd,J=4.4,1.6 Hz,1H)、8.69(s,1H)、8.43(s,1H)、7.65(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.59(d,J=2.8 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.31(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.28(t,J=73.0 Hz,1H)、5.30−5.26(m,1H)、3.65−3.60(m,1H)、3.56(t,J=4.4 Hz,4H)、3.52−3.48(m,1H)、3.41−3.36(m,2H)、2.63−2.59(m,2H)、2.50−2.47(m,2H)、2.46(t,J=4.4 Hz,4H)。
一般的な方法5:[実施例16]及び[実施例17]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル)−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体1)及び
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−(2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル)−2−オキソピロリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体2)
DMF(6.0mL、77.5mmol)中の中間体A(130mg、0.266mmol)の溶液に、tert−ブチル2−ブロモアセテート(72.0mg、0.369mmol)及びCs2CO3(196mg、0.602mmol)を添加した。反応混合物を60℃で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(90/10)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、黄色の固体として、110mg(69%)のtert−ブチル2−(3−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル)−2−オキソピロリジン−1−イル)アセテートを得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=602.3、RT=1.34分。
tert−ブチル2−(3−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル)−2−オキソピロリジン−1−イル)アセテート(250mg、0.415mmol)を、室温で6時間、ジクロロメタン(20mL)中のトリフルオロ酢酸(1.0mL)で処理した。得られた混合物を真空下で濃縮して、赤色の固体として、220mg(97%)のラセミの2−(3−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]−2−オキソピロリジン−1−イル)酢酸を得た。
DMF(15mL)中の2−(3−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]−2−オキソピロリジン−1−イル)酢酸(226mg、0.414mmol)の溶液に、EDC.HCl(158mg、0.824mmol)、HOBt(112mg、0.829mmol)、DIPEA(214mg、1.66mmol)、続いて、1−メチルピペラジン(124mg、1.24mmol)を添加した。得られた溶液を室温で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(95/5)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を合わせ、真空下で濃縮して、55mg(21%)のラセミ生成物のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−[1−[2−(4−メチルピペラジン−1−イル)−2−オキソエチル]−2−オキソピロリジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得、以下の条件を用いて、Chiral−Prep−HPLCによって分割した。カラム:CHIRAL ART Cellulose−SB、2*25cm、5μm;移動相A:MTBE−HPLC、移動相B:EtOH−−HPLC;流速:20mL/分;グラジエント:18分で30Bから30B;254/220nm、2つの画分を得た。
実施例16:灰白色の固体として異性体1(5mg)、RT1=11.39分;LC/MS(方法H,ESI):[M+H]+=628.3、RT=2.70分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=7.0,1.4 Hz,1H)、8.70−8.68(m,2H)、8.46(s,1H)、7.64(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.60(d,J=2.8 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.30(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.27(t,J=73.2 Hz,1H)、5.38−5.34(m,1H)、4.25(d,J=16.4 Hz,1H)、4.15(d,J=16.4 Hz,1H)、3.53−3.40(m,6H)、2.67−2.61(m,2H)、2.33−2.29(m,4H)、2.19(s,3H)。
実施例17:灰白色の固体として異性体2(4.2mg)、RT2=14.11分;LC/MS(方法H,ESI):[M+H]+=628.3,RT=2.70分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)(ppm)9.76(s,1H)、9.36(dd,J=7.0,1.4 Hz,1H)、8.70−8.68(m,2H)、8.46(s,1H)、7.64(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.60(d,J=2.8 Hz,1H)、7.46(d,J=8.8 Hz,1H)、7.30(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.27(t,J=73.2 Hz,1H)、5.38−5.34(m,1H)、4.25(d,J=16.4 Hz,1H)、4.15(d,J=16.4 Hz,1H)、3.53−3.40(m,6H)、2.67−2.61(m,2H)、2.33−2.29(m,4H)、2.19(s,3H)。
一般的な方法6:[実施例20]及び[実施例21]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体1)及び
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(1−メチル−2−オキソピペリジン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド(異性体2)
DMF(10mL)中の中間体A(200mg、0.494mmol)の溶液に、Cs2CO3(250mg、0.767mmol)及び3−ブロモ−1−メチルピペリジン−2−オン(145mg、0.755mmol)を添加した。反応混合物を60℃で3時間撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(10/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物を精製した。カラム:XBridge BEH130 Prep C18 OBDカラム、19×150mm、5μm;移動相、水(10mmol/L NH4HCO3)及びACN(6分で35%ACNから43%まで);検出器、UV254/220nm、ラセミ生成物を得、以下の条件を用いて、Chiral−Prep−HPLCによって分離した。カラム、CHIRALPAK IA、2.12*15cm、5μm;移動相A:MTBE−HPLC、及びB:エタノール−HPLC(14.5分で35%エタノールに維持);検出器、UV220/254nm、2つの画分を得た。
実施例20:異性体1、RT1=5.87分、35.4 mg(14%);LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=516.2、RT=1.92分;1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.75(s,1H)、9.35(dd,J=6.8,1.6 Hz,1H)、8.69(dd,J=4.4,1.6 Hz,1H)、8.68(s,1H)、8.35(s,1H)、7.63(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.57(d,J=2.8 Hz,1H)、7.45(d,J=8.8 Hz,1H)、7.30(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.27(t,J=73.4 Hz,1H)、5.13−5.09(m,1H)、3.47−3.43(m,2H)、2.89(s,3H)、2.43−2.40(m,1H)、2.28−2.24(m,1H)、2.04−2.02(m,1H)、1.95−1.91(m,1H)。
実施例21:異性体2、RT2=10.48分、27.7 mg(11%);LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=516.3,RT=1.92分、1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)(ppm)9.75(s,1H)、9.35(dd,J=6.8,1.6 Hz,1H)、8.69(dd,J=4.4,1.6 Hz,1H)、8.68(s,1H)、8.35(s,1H)、7.63(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.57(d,J=2.8 Hz,1H)、7.45(d,J=8.8 Hz,1H)、7.30(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.27(t,J=73.4 Hz,1H)、5.13−5.09(m,1H)、3.47−3.43(m,2H)、2.89(s,3H)、2.43−2.40(m,1H)、2.28−2.24(m,1H)、2.04−2.02(m,1H)、1.95−1.91(m,1H)。
一般的な方法7:[実施例35]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(2−オキソシクロペンチル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
DMF(10mL)中の中間体A(300mg、0.741mmol)の溶液に、Cs2CO3(483mg、1.48mmol)及び2−ブロモシクロペンタン−1−オン(241mg、1.48mmol)を添加した。反応混合物を60℃で1時間撹拌し、真空下で濃縮した。酢酸エチル/石油エーテル(2/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物を精製した。カラム:XBridge Prep C18 OBDカラム、19×150mm、5μm;移動相A:水(10mmol/L NH4HCO3)、移動相B:ACN;流速:20mL/分;グラジエント:7分で45%Bから55%B;254/220nm、黄色の固体として、51.2mg(14%)のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−オキソシクロペンチル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=487.2、RT=1.21分;1H NMR(300 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.75(s,1H)、9.35(dd,J=7.2,1.5 Hz,1H)、8.69(dd,J=4.2,1.5 Hz,1H)、8.67(s,1H)、8.38(s,1H)、7.64(dd,J=8.9,2.9 Hz,1H)、7.58(d,J=2.7 Hz,1H)、7.48(d,J=8.4 Hz,1H)、7.30(dd,J=6.9,4.2 Hz,1H)、7.25(t,J=73.2 Hz,1H)、5.16−5.09(m,1H)、2.47−2.40(m,4H)、2.15−2.08(m,1H)、1.98−1.88(m,1H)。
一般的な方法8:[実施例26]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−2’−メチル−3’−オキソ−2’,3’−ジヒドロ−1’H−[1,4’−ビピラゾール]−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
DMF(12mL)中の中間体A(1.00g、2.47mmol)の溶液に、エチル2−ブロモアセテート(616mg、3.69mmol)及びCs2CO3(1.60g、4.91mmol)を添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(9/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集め、真空下で濃縮して、黄色の固体として、750mg(62%)のエチル2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アセテートを得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=491.2,RT=1.26分。
エチル2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]アセテート(300mg、0.611mmol)を、100℃で一晩、油槽中で、(ジエトキシメチル)ジメチルアミン(5.0mL)で処理した。得られた混合物を真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(9/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって残留物を精製して、黄色の固体として、167mg(50%)のエチル(2E)−2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エノエートを得た。LC/MS(方法G、ESI):[M+H]+=546.3,RT=1.24分。
エチル(2E)−2−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−4−[ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−アミド]−1H−ピラゾール−1−イル]−3−(ジメチルアミノ)プロパ−2−エノエート(385mg、0.705mmol)を、室温で2.5時間、イソプロパノール(2.5mL)中の、硫酸メチルヒドラジン(203mg、1.41mmol)及び濃HCl(0.59mL、12.0M)で処理した。次いで、DIPEA(365mg、2.82mmol)を添加した。得られた溶液を、撹拌しながら、室温でさらに3日間反応させた。得られた混合物を真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(9/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物(80mg)を精製した。カラム、SunFire Prep C18 OBDカラム、19*150mm 5μm 10nm;移動相、水(0.1%FA)及びACN(7分で、15.0%ACNから最大55.0%へ);検出器、UV254/220nm、淡黄色の固体として、mg(13%)のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−メチル−3−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミドを得た。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=501.2、RT=1.49分。1H NMR(400 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)11.13(s,1H)、9.82(s,1H)、9.37(dd,J=7.0,1.8 Hz,1H)、8.72−8.70(m,2H)、8.52(s,1H)、7.69(dd,J=8.8,2.8 Hz,1H)、7.66(d,J=2.8 Hz,1H)、7.62(s,1H)、7.50(d,J=8.4 Hz,1H)、7.32(dd,J=7.0,4.2 Hz,1H)、7.13(t,J=73.2 Hz,1H)、3.64(s,3H)。
一般的な方法9:[実施例25]
N−(3−(5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル)−1−(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド
DMF(4mL)中の中間体A(150mg、0.371mmol、1.000当量)の溶液に、炭酸カリウム(120mg、0.868mmol)、その後、3−ブロモオキソラン−2−オン(73mg、0.442mmol)を添加した。反応混合物を、30℃で2時間撹拌した。得られた混合物を真空下で濃縮した。ジクロロメタン/メタノール(20/1)を用いて溶出するシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーによって、残留物を精製した。適切な画分を集めて、真空下で濃縮した。以下の条件を用いて、Prep−HPLCによって粗生成物を精製した。カラム、SunFire Prep C18 OBDカラム、19*150mm 5μm 10nm;移動相、水(0.1%FA)及びACN(7分で、15.0%ACNから最大55.0%へ);検出器、UV254/220nm、白色の固体として、31.5mg(16%)のN−[3−[5−クロロ−2−(ジフルオロメトキシ)フェニル]−1−(2−オキソオキソラン−3−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボキサミド;ギ酸を得た。LC/MS(方法F、ESI):[M+H]+=489.2,RT=1.67分。1H NMR(300 MHz,DMSO−d6):δ(ppm)9.78(s,1H)、9.35(dd,J=7.1,1.4 Hz,1H)、8.68−8.67(m,2H)、8.52(s,1H)、7.66(dd,J=8.7,2.7 Hz,1H)、7.61(d,J=2.7 Hz,1H)、7.46(J=8.7 Hz,1H)、7.30(dd,J=7.1,4.4 Hz,1H)、7.26(t,J=73.2 Hz,1H)、5.72−5.66(m,1H)、4.62−4.55(m,1H)、4.46−4.37(m,1H)、2.88−2.79(m,2H)。
表1の以下の代表的化合物は、本明細書の実施例に記載されている手順と類似の手順を用いて調製された。
酵素アッセイ
JAK酵素アッセイは、以下のように行った:
単離された組換えJAK1及びJAK2キナーゼドメインの活性は、Caliper LabChip(登録商標)技術(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)を用いて、JAK3由来のペプチド(N末端上に5−カルボキシフルオレセインで蛍光標識されたVal−Ala−Leu−Val−Asp−Gly−Tyr−Phe−Arg−Leu−Thr−Thr)のリン酸化をモニターすることによって測定した。阻害定数(Ki)を決定するために、化合物をDMSO中に系列希釈し、2%の最終DMSO濃度で、精製された酵素(1.5nM JAK1又は0.2nM JAK2)、100mM HEPES緩衝液(pH7.2)、0.015%Brij−35、1.5μMペプチド基質、ATP(25μM)、10mM MgCl2、4mM DTTを含有する50μLキナーゼ反応物に添加した。384ウェルポリプロピレンマイクロタイタープレート中で30分間、22℃で反応物を温置し、次いで、25μLのEDTA含有溶液(100mM HEPES緩衝液(pH7.2)、0.015%Brij−35、150mM EDTA)の添加によって、50mMの最終EDTA濃度として停止させた。キナーゼ反応の終結後、製造業者の仕様にしたがって、Caliper LabChip(登録商標)3000を用いて、全ペプチド基質の比として、リン酸化された生成物の割合を決定した。次いで、ATP拮抗阻害に対して改変されたMorrison強固結合(tight binding)モデル(Morrison,J.F.,Biochim.Biophys.Acta.185:269−296(1969);William,J.W.及びMorrison,J.F.,Meth.Enzymol.,63:437−467(1979))[Ki=Ki,app/(1+[ATP]/Km,app)]を用いて、Ki値を求めた。代表的な化合物に対するデータが表2に示されている。
細胞株でのJAK1経路アッセイ(JAK1 Pathway Assay in Cell Lines)は、以下のように行った:
阻害剤の効力(EC50)は、JAK1依存性STATリン酸化を測定するために設計された細胞を基礎とするアッセイにおいて求めた。上述のように、Jak/Statシグナル伝達経路を遮断することによるIL−4、IL−13及びIL−9シグナル伝達の阻害は、前臨床肺炎症モデルにおいて喘息の症候を緩和させることができる(Mathew et al.,2001,J Exp Med 193(9):1087−1096;Kudlacz et al.,2008,Eur J.Pharmacol 582(1−3):154−161)。
1つのアッセイアプローチでは、IL−13刺激の下流でのJAK1依存性STAT6リン酸化を測定するために、アメリカ培養細胞系統保存機関(ATCC;Manassas、VA)から取得したTF−1ヒト赤白血病細胞を使用した。アッセイでの使用の前に、0.5%チャコール/デキストラン処理ウシ胎児血清(FBS)、0.1mM非必須アミノ酸(NEAA)及び1mMピルピン酸ナトリウムが補充されたOptiMEM培地(Life Technologies、Grand Island、NY)中で一晩、TF−1細胞をGM−CSF欠乏状態にした。アッセイは、ウェル当たり300,000細胞を用いて、無血清OptiMEM培地中で、384ウェルプレート中において実施した。第二のアッセイアプローチでは、実験の1日前に、96ウェルプレートのウェル当たり100,000細胞で、ATCCから取得されたBEAS−2Bヒト気管支上皮細胞を播種した。BEAS−2Bアッセイは、完全な増殖培地(気管支上皮基本培地+bulletkit;Lonza;Basel、Switzerland)中で行った。
検査化合物をDMSO中に1:2系列希釈し、次いで、使用直前に、培地中に1:50希釈した。0.2%の最終DMSO濃度になるように、希釈された化合物を細胞に添加し、(TF−1アッセイに関しては)30分間または(BEAS−2Bアッセイに関しては)1時間、37℃で温置した。次いで、それぞれの個別のロットに対して予め測定されたそれぞれのEC90濃度でヒト組換えサイトカインを用いて、細胞を刺激した。37℃で15分間、IL−13(R&D Systems,Minneapolis、MN)で細胞を刺激したTF−1細胞反応は、10×溶解緩衝液(Cell Signaling Technologies、Danvers、MA)の直接添加によって停止されたのに対して、BEAS−2B細胞温置は、培地の除去と1×溶解緩衝液の添加によって停止された。得られた試料は、−80℃で、プレート中で凍結した。STAT6リン酸化の化合物媒介性阻害は、MesoScale Discovery(MSD)技術(Gaithersburg、MD)を用いて、細胞可溶化液中で測定した。EC50値は、DMSO対照に対して測定されたものと比較した、STATリン酸化の50%阻害のために必要とされる化合物の濃度として求めた。代表的な化合物に対するデータが表2に示されている。