JP2021502928A - インライナ - Google Patents

Abstract

本発明は、特に液体または流動性の充填物を保管しかつ輸送するためのパレットコンテナ（１０）用の、上側の充填接続管片（３０）および下側の取出し接続管片（３２）を有し、多層のプラスチックシートから成る柔軟なインライナ（２８）に関する。パレットコンテナ内でのインライナの使用を改善し、特に多層シートのバリア効果を長時間の輸送および保管にわたっても保つために、本発明では、既存のシート切断縁部（６８，７０）が、充填物に接触しないように覆い隠されておりかつシート切断縁部（６８，７０）が一切−溶接された充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）の溶接フランジ縁部（５８，６６）におけるシート切断縁部も、インライナ壁（５６）に設けられた取出し開口（７２）の内側画定部におけるシート切断縁部も−充填された液体充填物と接触することがないように、充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）がインライナ壁（５６）に溶接されていることが想定されている。

Description

本発明は、特に危険な液体または流動性の充填物を保管しかつ輸送するための支持型外側容器内に挿入するための、少なくとも１つの充填接続管片／取出し接続管片を備えた多層の柔軟なインライナに関する。

支持型外側容器は、例えばパレットコンテナ、複合ＩＢＣ、柔軟なＩＢＣ、剛性の段ボール箱、栓付き樽、蓋付き樽またはキャニスタ等であってよく、もっぱら薄壁のインライナを支持するためにのみ用いられる。この場合、液体充填物は支持型外側容器に接触するのではなく、インライナの内部にのみ接触することになる。使用済みの大抵は高価な外側容器を再使用するために、使用済みの比較的廉価なインライナまたはシートバッグの交換だけが必要とされる。

このような薄壁のインライナは、高価な剛性のプラスチックインナタンクを充填物による汚染から防護しかつプラスチックインナタンクの再使用を可能にするために、大容量のパレットコンテナ、特に立方体形の複合ＩＢＣ（以下略して「ＩＢＣ」と呼ぶ）に使用されることが多い。複合ＩＢＣは、熱可塑性プラスチックから成る剛性のインナタンクと、プラスチックインナタンクを支持周壁として密に包囲する、互いに溶接された水平方向および鉛直方向の複数の管棒から成る管格子フレームと、プラスチックタンクが載置されかつ管格子フレームが固く結合された矩形の底部パレットと、から成る。

矩形の剛性のプラスチックタンクは、通常２つの比較的長い側壁と、比較的短い後壁と、比較的短い前壁と、閉鎖可能な充填接続管片を有する上底部と、タンク底部とを有しており、底部側には前壁の中央に下部取出し領域が設けられており、下部取出し領域は、内側に向かってプラスチックインナタンク内に向けられた防護ハウジング状の加工成形部を備えており、加工成形部は、閉鎖可能な取出し栓を防護するように後退させて取り付けるための取出し接続管片を備えている。

剛性のプラスチックインナタンクに挿入された薄壁のインライナは、通常インライナ自体と同じシート材料から成る、相応する充填接続管片および取出し接続管片を備えており、上部がＩＢＣの剛性のプラスチックインナタンクの充填接続管片に、下部が、取出し栓を有する取出し接続管片に接続または固定されている。

問題点
様々な液体充填物に関して梱包を選択する際に、例えば多層のインライナが挿入されるパレットコンテナの場合には、その時々の充填物に対して必要とされるインライナのバリア特性を選択する必要がある。バリア層を備えた周知の多層のシートインライナの場合には、射出成形法で予め製造された、薄壁のプラスチック材料（ＰＥ，ＰＡ）から成る比較的剛性の高い複数の接続管片が溶接されているが、これらの接続管片はバリア層を含まず、よってバリア効果を発揮することもない。したがって、敏感な液体充填物が、例えば内部に拡散する酸素により影響を及ぼされて損なわれる恐れがある。

しかしまた、バリア層を備えたインライナと同じシート材料から成る柔軟なホース接続管片が、インライナの充填開口および／または取出し開口を取り囲むように溶接されていてもよい。ただし、この場合の、非対称なシート構造を有する多層のインライナには、シート接続管片（充填接続管片および／または取出し接続管片）の溶接に際して、外側からインライナにシート接続管片フランジを溶接する場合には、充填物が常にシート開口の内側の切断縁部に接触することになり、内側からインライナの内部にシート接続管片フランジを溶接する場合には、充填物が常にシート接続管片フランジの外側の切断縁部に接触することになる、という問題が生じる。特に、溶剤を含む充填物の場合には、バリア層間に付与された接着剤状の付着促進剤層が影響を受けて溶解することがあるため、特に多層のインライナが装備された大型容器の比較的長時間にわたる輸送の際には、シート層の不都合な剥離が生じてバリア特性が失われる恐れがある。シート複合体が分解すると、機械的な特性も悪化する恐れがある。さらに、この場合には、充填物が本来のバリア層の後ろ側に侵入して、バリア層をすり抜ける恐れもある。

先行技術
刊行物である欧州特許出願公開第２０９０５２８号明細書（Ｐ／Ｓｃｈ）からは、一般的なパレットコンテナの剛性のプラスチックインナタンクにおける、薄いプラスチックシートから成る立方体形のインライナの使用が知られている。この場合は特に、プラスチックインナタンクの剛性の取出し接続管片内での、ねじ嵌められる取出し栓を用いた、下側のインライナ取出し接続管片の確実な固定が問題となっている。ただし、ここでは、インライナシート壁に溶接されたインライナ取出し接続管片は、インライナシートとは異なるプラスチック材料から成る溶接フランジ縁部を有する、射出成形法で予め製造された環状スリーブから成っている。

本発明の根底を成す課題は、指摘した欠点を回避すると共に、完全なバリア特性が永続的に保たれ続ける、シート接続管片が溶接された多層のインライナの構成を提案することにある。

この課題は、請求項１記載の特別な特徴によって解決される。下位請求項に記載の特徴は、本発明によるインライナの別の有利な構成手段を表すものである。提案する技術的な教示は、多層のインライナにおける弱点を排除することができ、液体タンクの長時間の輸送および保管においても完全なバリア特性を完璧に保ち続け、かつ拡散に起因する、敏感な充填物の損害を回避する手段を簡単に伝えるものである。

このことは、既存のシート切断縁部が如何なる充填物にも接触しないように覆い隠されており、かつ一切のシート切断縁部が−溶接された充填接続管片／取出し接続管片の溶接フランジ縁部におけるシート切断縁部も、インライナ壁に形成された取出し開口の内側画定部におけるシート切断縁部も−充填された液体充填物と接触することがないように、充填接続管片／取出し接続管片がインライナ壁に溶接されていることにより、構造的に達成される。

本発明の構成では、溶接された充填接続管片／取出し接続管片は、インライナ壁と同じ多層のシート構造を有していることが想定されている。これにより、溶接された充填接続管片／取出し接続管片が、インライナシートと同じバリア性能を有していることが保証される。

非対称の層構造を備えたインライナ壁に対する充填接続管片／取出し接続管片の溶接の高い強度を得るために、有利には、同じ外側のシート層同士が互いに溶接されている。

このために特に、充填接続管片／取出し接続管片の溶接フランジ縁部が半径方向内側に向けられており、溶接フランジ縁部の内側には、インライナ壁に形成された取出し開口と同じ直径を有する貫通開口が形成されている。これは、充填接続管片／取出し接続管片が内側に向けられたフランジ縁部でもって所定の位置で、まず閉じたインライナ壁に溶接され、フランジ縁部の溶接後に、溶接された充填接続管片／取出し接続管片の中央において、環状カッタまたは環状の打抜き工具を用いて、インライナ壁に取出し開口が切り抜かれるかまたは打ち抜かれ、このとき同時に、インライナ壁に形成された取出し開口と同じ直径を有する、充填接続管片／取出し接続管片のフランジ縁部の内側画定部も同様に、きれいなシート切断縁部を有して打ち抜かれるまたは切り抜かれることにより、簡単に達成される。

本発明の別の構成では、溶接された充填接続管片／取出し接続管片が折り返され、インライナ壁に形成された取出し開口に引き通されており、これにより、充填接続管片／取出し接続管片の溶接された溶接フランジ縁部はインライナ壁の内側に配置され、引き通された充填接続管片／取出し接続管片はインライナの外側に配置されることが想定されている。この場合、インライナ壁に対する、充填接続管片／取出し接続管片の溶接フランジ縁部の環状の溶接が、多層のインライナシートの各裁断部分同士が完全かつ最終的に溶接されてインライナボデーが形成される前に行われることが、製造技術的に特に重要である。インライナボデー用に、周方向に延びる鉛直な側壁部分としてホースシートが使用される限り、ホースシートは円盤状の溶接フランジ縁部の溶接前に折り返されて内面を外側に向けられ、溶接フランジ縁部の溶接後に再び元の状態に折り返されるため、内面は再び内側に配置されることになる。次いで、その後に、まだ内側に突入している充填接続管片／取出し接続管片も同様に折り返され、これにより充填接続管片／取出し接続管片は外側に突出し、インライナの外面に配置される。

本発明の特別な好適な構成では、インライナは一般的な１０００ｌのパレットコンテナに挿入するために立方体形の形状を有しており、この形状では多層のインライナシートの３つの裁断部分が互いに溶接されており、これらの３つの裁断部分は、中央に柔軟な充填接続管片を備えた上側の水平な蓋部分と、下側の水平な底部分と、底部側に柔軟な取出し接続管片が配置された、周方向に延びる鉛直な側壁部分と、から成っている。

このような大容量のパレットコンテナ、特に複合ＩＢＣは、危険な液体または流動性の充填物の保管および輸送用に世界中に何百万個も普及し使用されており、特に高価な敏感な液体充填物用に、本発明による多層のインライナを用いて廉価な梱包手段として様々に利用するためまたは複数回使用するために使用可能であり、利用可能である。

本発明の特別な構成では、インライナの上部中央の柔軟な充填接続管片は、剛性のプラスチックインナタンクの上部中央の充填接続管片内に不動に溶接されており、インライナの底部側に配置された柔軟な取出し接続管片は、パレットコンテナの剛性のプラスチックインナタンクの底部側に配置された取出し接続管片内に不動に溶接されていることが想定されている。この場合、一実施形態では、インライナの上部中央の柔軟な充填接続管片および／または底部側に配置された柔軟な取出し接続管片は、パレットコンテナの剛性のプラスチックインナタンクの上部中央の充填接続管片の端面に軸方向に不動に溶接されているか、または、底部側に配置された取出し接続管片の端面に軸方向に不動に溶接されている。

別の実施形態では、インライナの上部中央の柔軟な充填接続管片および／または底部側に配置された柔軟な取出し接続管片は、パレットコンテナの剛性のプラスチックインナタンクの上部中央の充填接続管片の外側の開口領域に半径方向に不動に溶接されているか、または、底部側に配置された取出し接続管片の外側の開口領域に半径方向に不動に溶接されている。−半径方向および軸方向における−両溶接態様は、もちろん任意に組み合わされてもよい。

例えばパレットコンテナ、栓付き樽およびキャニスタ等の、液体の輸送に使用される容器は、有資格整備工場において専門家によって再使用のために処理され、この処理には特に洗浄、検査、品質管理ならびに新規のインライナの挿入も含まれる。

パレットコンテナにおいて、インライナの柔軟な薄肉の充填接続管片および取出し接続管片が、剛性のプラスチックインナタンクの安定した充填接続管片および取出し接続管片内に不動に溶接されている場合、剛性のプラスチックインナタンク内でのインライナのこの固定部は、顧客およびユーザにとって、つまり液体充填物を充填する人および取り出す人にとって、最も簡単に取り扱うことができるものである。なぜなら、ねじ付きキャップ、栓付き接続管片、取出し栓または撹拌工具のねじ嵌めおよびねじ外しに際して、従来は一般に１回折り返して剛性のタンク接続管片に緊締することによりインライナ接続管片を固定する際に多く発生していたような、しわ形成および不密性を伴うインライナの柔軟な充填接続管片および取出し接続管片のねじれが全く生じないからである。

以下に、各図に概略的に示した１つの実施例に基づき、本発明をより詳しく説明する。

本発明によるインライナが挿入されたＩＢＣを示す正面図である。 挿入される、本発明によるインライナを示す斜視図である。 溶接・打抜き装置を示す概略図である。 溶接されたインライナ接続管片を示す概略図である。 ＩＢＣプラスチックインナタンクの上部充填開口の領域の周りの部分切断斜視図である。 ＩＢＣプラスチックインナタンクの下部取出し開口の領域の周りの部分切断斜視図である。

図１には、好適な実施例として、特に危険な液体または流動性の充填物を保管しかつ輸送するための、約１０００ｌの充填物容積を有するパレットコンテナ（＝ＩＢＣ）が、符号１０で表されている。危険な充填物を投入または使用するために、パレットコンテナ１０は特別な試験基準を満たしていると共に、相応する公的な認可を有している。パレットコンテナ１０の主要要素は、ブロー成形法で熱可塑性プラスチックから製造された、薄壁で剛性のインナタンク１２と、支持周壁としてプラスチックインナタンク１２を密に包囲する管格子フレーム１４と、プラスチックインナタンク１２が載置されておりかつ管格子フレーム１４が固く結合された底部パレット１６とから成っている。外側の管格子フレーム１４は、互いに溶接された複数の水平方向および鉛直方向の管棒１８，２０から成っている。

管格子フレーム１４の正面側には、薄い鋼板から成るラベル貼付板２２が、各液体充填物を特徴付けるために取り付けられている。プラスチックインナタンク１２の底部には、液体充填物を取り出すための取出し栓２４が正面側に接続されている。

剛性のプラスチックインナタンク１２を、充填された充填物による汚染から防護しかつ高価なインナタンクを複数回再使用することを可能にするためには、パレットコンテナ１０に新たに充填する前にその都度、本発明による、柔軟な多層複合シートから成る薄壁のインライナ２８が、剛性のプラスチックインナタンク１２内に挿入されていなければならない。インライナ２８は、上側が剛性のプラスチックインナタンク１２の充填接続管片７４に接続されており、下側が取出し管片７６に接続されている。

図２には、このケースでは同様に立方体形の、本発明による柔軟なインライナ２８自体が（包囲するプラスチックインナタンク１２無しで）示されている。取扱いに際して如何なる場合でも常に形状安定性を保つ剛性のプラスチックインナタンク１２とは異なり、インライナ２８はその薄壁に基づき形状安定的ですらないどころか、極めて柔軟であり、可撓性を有し、かつ適合性か高い。多層のインライナ複合シートの壁厚さは、約１００μｍ〜３００μｍであり、好適には約１５０μｍである。坪量が約１００〜１５０ｇ／ｍ^２の場合、１０００ｌのインライナバッグについては、約０．７〜１．３ｋｇの材料の重さが生じることになる。使用されるインライナは、非対称の層構造を有する多層のプラスチック複合シートから製造されている。この場合、極薄い複合層は例えば、間に結合剤から成る複数の層が配置された、ＨＤＰＥ／ＬＤＰＥ／ＥＶＯＨ／ＰＥＴ／ＰＡ／ＰＰまたはＳｉＯｘ等の異なる材料から成っていてよく、かつ／または、ガラス繊維強化手段または織布強化手段を備えていてよい。用途に応じて、複合シートには炭化水素の拡散、酸素の拡散、芳香族物質の拡散または水蒸気の拡散に抗するバリア層が装備されており、場合により、無菌性の殺菌コーティングあるいは銀またはアルミニウムを含む蒸着金属シートが設けられている。

立方体形の柔軟なインライナ２８は、前側下部の取出し領域に、剛性のプラスチックインナタンク１２の防護ハウジング状の加工成形部２６に相応して適合された内向きの壁凹部３４を有しており、壁凹部３４は、２つの側壁部分３６、上壁部分３８および柔軟な取出し接続管片３２が一体成形された後壁部分４０を備えており、剛性のプラスチックインナタンク１２の内部に防護ハウジング状に突入している加工成形部２６の内部表面に完全に正確に適合して当て付けられるように形成されている。インライナ２８のこの壁凹部３４は、ここではより見やすくするために、極めてボックス状に描かれている。壁および壁移行部はもちろん、大幅に丸み付けられ、扁平化され、かつ／または互いに移行し合うように形成されていてもよいが、いずれにせよ、剛性のプラスチックインナタンク１２のその時々の防護ハウジング状の加工成形部２６に適合するように形成されていてよい。

製造技術的に、柔軟なインライナ２８のボデーは、非対称の層構造を有する多層の複合シートの３つの裁断部分が互いに溶接されている。これら３つの裁断部分は、中央に柔軟な充填接続管片３０を備えた上側の水平な蓋部分４６と、図２に示すように壁凹部３４の底部形状に相応する切欠きを備えた下側の水平な底部分４８と、インライナ２８の壁凹部３４の２つの側壁部分３６ならびに上壁部分３８および後壁部分４０に対する面部分を有する、周方向に延びる鉛直方向の側壁裁断部分５２と、から成っている。３つの裁断部分は、製造完了したインライナでは、上側の蓋部分４６の外縁および下側の底部分４８の外縁において周方向に延びる２つの水平な溶接シーム４２，４４でもって互いに溶接されており、側壁裁断部分５２を閉じるために、前壁の中央および壁凹部３４の中央を通って鉛直方向に上から下に延びる溶接シーム５０でもって互いに溶接されている。柔軟な充填接続管片３０および取出し接続管片３２の特別な溶接については、以下で説明する。

図３には、充填接続管片／取出し接続管片５４の溶接前の状態が、２層のインライナシート（「ツインライナ」）に基づき略示されている。インライナシートの２つの層は、それぞれ異なる材料から成っており、したがって単純な非対称のシート構造を成している。インライナシートの非対称のシート構造において、個々の裁断部分とホース状の充填接続管片および取出し接続管片との、同じシート材料または同じシート層同士が、常に互いに溶接されることが重要である。有利には、溶接されるべき全ての部分においてまず、充填物と接触することになる各部分の内面が、外側に向いている。このために、鉛直方向のインライナ壁ならびにホース状の充填接続管片／取出し接続管片の裁断部分またはホースシートが折り返されて、いわゆる「裏返し」にされている。インライナ接続管片の溶接後に、全ての部分が再び折り返されてまたは回転されて、その通常の位置に戻される。

この場合に、充填接続管片／取出し接続管片５４の溶接フランジ縁部５８が、溶接前は半径方向内側に向けられていることが重要である。円筒状の対応ホルダ６２（この対応ホルダは溶接管と呼ばれることもある）の形態のプレス工具により、半径方向内側に向けられた溶接フランジ縁部５８がインライナ壁の内面に押し当てられ、環状の溶接装置６０によって溶接される。ホース状の充填接続管片／取出し接続管片５４を半径方向内側に向かって円筒状の対応ホルダ６２の方に折り曲げると、必然的に溶接フランジ縁部５８のシートには細いしわが形成されることになるが、これらのしわは、続いて溶接フランジ縁部５８を溶接する際に、環状の溶接装置６０によって完全に平らにプレスされ、インライナ壁に平滑に溶接される。細いしわの追加的なシート材料によって、高い溶接結合強度を有する、溶接面のリブ状の補強部が形成される。

溶接直後に、円筒状の対応ホルダ６２に押し当てられた環状打抜きカッタ６４により、溶接フランジ縁部５８，６６の内側にはきれいなシート切断縁部６８を有する貫通開口が形成され、この貫通開口は、きれいなシート切断縁部７０を有してインライナ壁５６に同時に打ち抜かれたまたは切り抜かれた取出し開口７２と、正確に同じ直径を有している。

図４において明らかなように、ホース状の充填接続管片／取出し接続管片５４の溶接後に、この充填接続管片／取出し接続管片５４は再び「折り返されて元に戻され」、インライナ壁５６において切り抜かれたばかりの取出し開口７２を通り外側に向かってインライナボデーの外面の方に引っ張られる。ここではＩＢＣの上側の充填接続管片の実施例として、上側にはインライナボデーの外面が示されており、下側には内面が示されている。本発明によるインライナを実現するためにいずれにせよ重要なのは、インライナ壁５６に対する、充填接続管片および取出し接続管片３０，３２，５４の溶接フランジ縁部５８の環状の溶接が、製造技術的に、多層のインライナシートの各裁断部分を完全かつ最終的に溶接して閉じたインライナボデーを形成する前に行われていることである。

図５では、充填接続管片７４が一体成形されており、この充填接続管片７４に柔軟なインライナ２８の充填接続管片３０が溶接された、剛性のプラスチックインナタンク１２の充填領域が、部分切断図において看取される。柔軟な充填接続管片３０は、一方では溶接フランジリング６６を介してインライナ２８の上面に溶接されており、他方では環状溶接シーム７８を介して剛性の充填接続管片７４の上部において、剛性の充填接続管片７４の端面直下の内側で半径方向の溶接によって回動不能に、気密かつ液密に溶接されている。

最後に、図６では、剛性の取出し接続管片７６が一体成形されており、この取出し接続管片７６の端面に柔軟なインライナ２８の取出し接続管片３２が溶接されたプラスチックインナタンク１２の取出し領域が、部分切断図において看取される。

ここではより良く理解するために、剛性のプラスチックインナタンクの壁から四角形が切り取られており、この場合、切断線は取出し接続管片７６、加工成形された防護ハウジング２６およびプラスチックインナタンク１２の前壁の極一部を通って延在しており、切り取られた四角形では−多数の鉛直線により特徴付けられた−湾曲した壁凹部３４を備えたインライナ２８が接触しているところが看取される。さらに、破線により、壁凹部３４のなお隠れている左後部が示唆されている。

四角形切取り部において、柔軟な取出し接続管片３２は、内側または裏側では狭幅の溶接フランジ縁部６６を介してインライナ２８の壁凹部３４の後壁部分４０に気密かつ液密に溶接されており、外側では軸方向での溶接による端面溶接シーム８０を介して剛性の取出し接続管片７６の端面に気密かつ液密に溶接されていることが、はっきりと認められる。インライナ２８は、その形状適合された壁凹部３４でもって第２の外被のように全面的に、剛性のインナタンク１２の加工成形部２６の内側表面に載着されている。このような第２の外被のインライナの１つの重要な利点は、シートバッグが、輸送移動時の液体充填物の充填または往復打寄せに際するばたつきに対して従来のような高い引裂強さを一切必要としないことにある。なぜなら、この場合、インライナシート材料はプラスチックインナタンク１２の内面に、いわゆる接着されているのと同様に不動にかつ永続的に当て付けられているため、インライナシート材料の運動が全く行われないからである。これにより、高いバリア特性を有し引裂きに敏感な、従来よりも廉価なシート材料を使用することもできる。

有利には、柔軟なインライナ２８の上側の柔軟な充填接続管片３０ならびに下側の柔軟な取出し接続管片３２は、柔軟なインライナ２８のシート材料と同じバリア特性を有する同じシート材料から製造されている。これに対して、本発明によるインライナ２８の場合には、充填接続管片／取出し接続管片３０，３２，５４は、インライナ２８自体と同じバリア特性を備えており、プラスチック材料が浸透する不都合な拡散過程が排除されている。インライナシートの非対称のシート構造では、インライナ壁に対する充填接続管片／取出し接続管片の溶接フランジ縁部の環状溶接部において、それぞれ同じシート材料または同じ外側のシート層同士が互いに溶接されていることが重要である。

詳細に説明した特徴を備えたパレットコンテナの代わりに、本発明によるインライナは、例えば栓付き樽または鋼もしくはプラスチックから成るキャニスタ等の他のあらゆる液体容器にも、適宜に適合された形態でもちろん使用することができる。

結論
本発明によるインライナの特別な製造または設計上の構成は、有利には充填物に対して多層シートのむき出しの切断縁部を露わにしないシート構造を形成し、常に正しい表面が内側に向けられている。これにより、特に液体充填物と直接に接触する多層シートのバリア効果が比較的長時間の輸送および保管にわたっても完全に保たれ続けると共に、複合シートを通る、内側から外側への拡散過程（芳香族物質）または外側から内側への拡散過程（酸素）による、高価な充填物に対する不都合な影響または損害が回避される。

１０ パレットコンテナ
１２ プラスチックインナタンク
１４ 管格子フレーム
１６ 底部パレット
１８ 水平方向の管棒（１２）
２０ 鉛直方向の管棒（１２）
２２ ラベル貼付板
２４ 取出し栓
２６ 加工成形部（１２）
２８ インライナ（シートバッグ）
３０ 充填接続管片（２８）柔軟
３２ 取出し接続管片（２８）柔軟
３４ インライナ凹部（２８）
３６ 側壁部分（３４，２８）
３８ 上壁部分（３４，２８）
４０ 後壁部分（３４，２８）
４２ 上側の水平な溶接シーム
４４ 下側の水平な溶接シーム
４６ 上側の水平な蓋部分（２８）
４８ 下側の水平な底部分（２８）
５０ 前側の鉛直な溶接シーム（５２）
５２ 側壁裁断部分（２８）
５４ インライナ接続管片
５６ インライナ壁
５８ インライナフランジ 半径方向内向き
６０ 溶接装置 環状
６２ 円筒状の対応ホルダ
６４ 環状打抜きカッタ
６６ 溶接フランジリング（２８）
６８ シート切断縁部 フランジリング
７０ シート切断縁部 インライナ壁
７２ 取出し開口 インライナ壁
７４ 上側の充填接続管片 剛性（１２）
７６ 下側の取出し接続管片 剛性（１２）
７８ 半径方向の溶接部 内側
８０ 軸方向の溶接部 端面

Claims (10)

1. 特に危険な液体または流動性の充填物を保管しかつ輸送するための安定的な外側容器に挿入するための、プラスチックシートから成る多層の柔軟なインライナ（２８）であって、インライナ壁（５６）に溶接され、溶接フランジ縁部（５８）を有する少なくとも１つの充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）が設けられている、インライナ（２８）において、
   既存のシート切断縁部（６８，７０）が、充填物に接触しないように覆い隠されておりかつ前記シート切断縁部（６８，７０）が一切−溶接された前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）の前記溶接フランジ縁部（５８，６６）における前記シート切断縁部も、前記インライナ壁（５６）に形成された取出し開口（７２）の内側画定部における前記シート切断縁部も−充填された液体充填物と接触することがないように、前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）が前記インライナ壁（５６）に溶接されていることを特徴とする、インライナ（２８）。
2. 溶接される前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）は、前記インライナ壁（５６）と同じ多層のシート構造を有している、請求項１記載のインライナ。
3. 前記インライナ壁（５６）に対する前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）の溶接に際して、同じ外側のシート層同士が互いに溶接される、請求項１または２記載のインライナ。
4. 前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）の前記溶接フランジ縁部（５８，６６）は、溶接前は半径方向内側に向けられており、溶接後に前記溶接フランジ縁部（５８，６６）の内側に、前記インライナ壁（５６）に形成された前記取出し開口（７２）とほぼ同じ直径を有する貫通開口が形成されている、請求項１、２または３記載のインライナ。
5. 溶接された前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）は折り返され、前記インライナ壁（５６）に形成された前記取出し開口（７２）に引き通されており、これにより、前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）の、溶接が完了した前記溶接フランジ縁部（６６）が、前記インライナ壁（５６）の内側に配置される、請求項１、２、３または４記載のインライナ。
6. 前記インライナ壁（５６）に対する、前記充填接続管片／取出し接続管片（３０，３２，５４）の前記溶接フランジ縁部（５８）の環状の溶接は、製造技術的に、多層のインライナシートの各裁断部分同士が完全かつ最終的に溶接されてインライナボデーが形成される前に行われている、請求項１から５までのいずれか１項記載のインライナ。
7. 当該インライナは、一般的な１０００ｌのパレットコンテナに挿入するために立方体形の形状を有しており、該形状では多層のインライナシートの３つの裁断部分が互いに溶接されており、これらの３つの裁断部分は、中央に柔軟な充填接続管片（３０）を備えた上側の水平な蓋部分（４６）と、下側の水平な底部分（４８）と、底部側に柔軟な取出し接続管片（３２）が配置された、周方向に延びる鉛直な側壁部分（５２）とから成る、請求項１から６までのいずれか１項記載のインライナ。
8. 当該インライナ（２８）の上部中央の柔軟な前記充填接続管片（３０）は、剛性のプラスチックインナタンク（１２）の上部中央の充填接続管片（７４）内に不動に溶接されており、当該インライナ（２８）の底部側に配置された柔軟な前記取出し接続管片（３２）は、パレットコンテナ（１０）の剛性のプラスチックインナタンク（１２）の底部側に配置された取出し接続管片（７６）内に不動に溶接されている、請求項１から７までのいずれか１項記載のインライナ。
9. 当該インライナ（２８）の上部中央の柔軟な前記充填接続管片（３０）および／または底部側に配置された柔軟な前記取出し接続管片（３２）は、前記パレットコンテナ（１０）の前記剛性のプラスチックインナタンク（１２）の、上部中央の前記充填接続管片（７４）の端面に軸方向に不動に溶接されている、または、底部側に配置された前記取出し接続管片（７６）の端面に軸方向に不動に溶接されている、請求項１から８までのいずれか１項記載のインライナ。
10. 当該インライナ（２８）の上部中央の柔軟な前記充填接続管片（３０，５４）および／または底部側に配置された柔軟な前記取出し接続管片（３２，５４）は、前記パレットコンテナ（１０）の前記剛性のプラスチックインナタンク（１２）の、上部中央の前記充填接続管片（７４）の外側の開口領域に半径方向に不動に溶接されている、または、底部側に配置された前記取出し接続管片（７６）の外側の開口領域に半径方向に不動に溶接されている、請求項１から９までのいずれか１項記載のインライナ。

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