JP2021196421A - 調光シートおよび調光装置 - Google Patents

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Kaori Morinaga
勇士 矢野
Yuji Yano
沙織 松山
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Abstract

【課題】調光フィルムをガラス基板に接合した調光シートとして使用する形態において、接合箇所に配置される機能層および封止構造の改善による信頼性・耐光性の向上。【解決手段】ガラス基板上に機能層を介して調光フィルムを積層した状態での剥離強度は1.0N/25mm以下であり、調光フィルムの周縁部に封止材を塗布形成してガラス基板と接合した状態での剥離強度は4.0N/25mm以上である封止部を採用。機能層の形成による調光フィルムに対する300nmから380nmの波長範囲における最大透過率が1%以下となる様に機能層に紫外線吸収剤を添加。【選択図】図1

Description

本発明は、調光フィルムを有する調光シートおよび調光装置に関する。
三次元的に拡がる網目状を有するポリマーネットワークと、ポリマーネットワークが有する空隙に位置する液晶分子とを含む調光層を有する調光フィルムが知られている。調光層では、調光層に印加される電圧の大きさに応じて、調光層の有するヘイズの値が、2値以上の複数の値の間で変わる。こうした調光層は、例えば、調光層と、調光層の厚さ方向において調光層を挟む2つの透明電極層と、各透明電極層の外側に位置する樹脂製の支持層(透明基材フィルム)とを備える調光フィルムの一部として用いられている(例えば、特許文献1参照)。
大面積の調光フィルムは剛性が不十分であり、例えばガラス等のリジッドな透明基板に固定して機械的強度を付与することにより、窓ガラスや展示ウィンドウ,間仕切りなどに適用することが可能となる。調光フィルムを透明基板に固定するにあたり、光学用透明粘着シート(OCA:Optical clear adhesive)が多用される。
特許第6477654号公報
しかし、窓ガラスや展示ウィンドウに調光フィルムを固定する場合、光学用透明粘着シートによる粘着強度の選定範囲が好適でないと、以下に例示する様な不都合を招く。粘着強度が低いと、貼り合わせた調光フィルムの自重や、粘着強度の経時的な低下により、調光フィルムが剥落することになる。逆に粘着強度が高いと、透明基板から調光フィルムを剥離する際に多大な強度を要し、調光フィルムが破壊されて再利用出来なくなる事態や、光学用透明粘着シートの糊(粘着剤)が破損して透明基板表面に付着して残ってしまう事態を招き、窓ガラスや展示ウィンドウの透明性が損なわれ、余分な清掃作業が必要となり美観の低下に影響を及ぼすことになる。
本発明は、調光フィルムをガラス基板に接合した調光シートとして使用する形態において、ガラス基板からの調光フィルムの剥落を招くことなく、施工後の安定した使用状態を維持すると共に、調光フィルムをガラス基板から剥離する場合でも、ガラス基板表面に糊(粘着剤)を残さずに美観を維持した上で調光フィルムを破壊することなく剥離する上で好適な調光シートを提案することを主目的とする。
本発明による調光シートは、
ガラス基板上に、機能層を介して、印加電圧に応じて透過率を2段階以上に切り替え可能な調光フィルムを積層した後、前記調光フィルムの周縁部に封止材を塗布形成してガラス基板と接合してなる構成の調光シートであって、
前記調光フィルムは、少なくとも透明電極が形成されたフレキシブルな透明基材フィルムを互いの透明電極側を対向して、液晶材料からなる調光層を挟持してなる可撓性を有する構成であり、
ガラス基板上に前記調光フィルムを積層した状態での剥離強度は、1.0N/25mm
以下であり、
前記調光フィルムの周縁部に封止材を塗布形成してガラス基板と接合した状態での剥離強度は、4.0N/25mm以上であることを特徴とする。
前記機能層は、300nmから380nmの波長範囲における最大透過率が1%以下であることが好ましい。
前記機能層は、紫外線吸収剤を含む構成でも良い。
前記機能層は、複数の層からなる構成でも良い。
複数の層からなる前記機能層は、ガラス基板に直接積層する側の層とガラス基板との界面における剥離強度は1.0N/25mm以下であり、ガラス基板に直接積層しない層との界面における剥離強度は4.0N/25mm以上であることが好ましい。
前記調光層は、液晶分子がポリマー中に分散配置された高分子分散型液晶、または三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置された液晶分子を有するポリマーネットワーク型液晶の何れかである構成でも良い。
前記調光フィルムは、透明電極上に配向膜が形成されたフレキシブルな透明基材フィルムを互いの配向膜側を対向して、液晶材料からなる調光層を挟持してなる可撓性を有する構成でも良い。
上記の調光フィルムに電圧を印加する電源、および印加電圧を変調する駆動制御回路を備えてなる調光装置として使用される。
本発明による調光シートでは、調光フィルムをガラス基板に接合した調光シートとして使用する形態において、ガラス基板からの調光フィルムの剥落を招くことなく、施工後の安定した使用状態を維持すると共に、調光フィルムをガラス基板から剥離する場合でも、ガラス基板表面に糊(粘着剤)を残さずに美観を維持した上で調光フィルムを破壊することなく剥離する上で好適である。
調光シートの構成を示す断面図。 調光フィルムを駆動するための接続端子(給電部)を示す断面図。 リバースモードの調光フィルムを示す断面図。 調光フィルムへの給電部の配置例を示す平面図。 調光シートのサンプル例を示す断面図。
以下、本発明の一実施形態について図面を適宜参照して説明する。図1は、本実施形態に係る調光シート10の構成を示す断面図である。ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質,形状,構造等が下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<調光シート>
図1に示す様に、調光シート10は、ガラス基板30上に機能層40を介して調光フィルム50を積層した上で、調光フィルム50の周縁部に封止材を塗布形成してなる封止部80を形成して、ガラス基板30と接合してなる構成である。図1(断面図)では、調光フィルム50の左右両端を覆う様に封止部80が図示されているが、平面視で調光フィルム50が矩形の場合、調光フィルム50の周縁部である四辺全てを取り囲んで封止部80が形成されてもよい。
<調光フィルム>
調光フィルム50は、フレキシブルな透明基材フィルム55に透明電極56が形成された透明導電フィルム53を互いの透明電極56側を対向して、液晶材料からなる調光層52を挟持してなる可撓性を有する構成である。
本実施形態における調光層52では、偏光板を用いず光の利用効率の高い液晶表示素子として、液晶の透過状態(透明状態)と散乱状態(不透明状態)との間でスイッチングを行う液晶表示素子の採用が好適である。三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置された液晶分子を有する構成のポリマーネットワーク型液晶(PNLC:Polymer Network Liquid Crystal)、または、液晶分子がポリマー中に分散配置された構成の高分子分散型液晶(PDLC:Polymer Dispersed Liquid Crystal)を用いたものが代表的であり、以降はPNLCについて説明する。
PNLCからなる調光層を具備する調光フィルムの製造にあたっては、液晶と光重合性化合物(モノマー)との混合物を一対の透明電極基板の間に挟み、一定の条件下で紫外線を照射し、光重合によって光重合性化合物が高分子に変化すると共に、光重合および架橋結合により、微細なドメイン(高分子の空隙)を無数に有するポリマーネットワークが液晶中に形成する。
PNLCの駆動電圧は、一般にポリマーネットワークの構造上の特性(ドメインの大きさや形状,ポリマーネットワークの膜厚など)に依存しており、ポリマーネットワークの構造と、得られる光透過と散乱度との関係において、駆動電圧が決定されている。100V以下の電圧領域において、十分な光透過と散乱度とが得られるようなPNLCを構成するには、各ドメインがいずれも適正な大きさで均一となるように、かつ、形状も均一となるようにポリマーネットワークを形成する必要がある。本発明では、ポリマーネットワーク構造に依存するドメインサイズを3μm以下、好ましくは2μm以下、一層好ましくは約1μmとなる様に制御する。
図1に示すように、調光フィルム50は、PNLCからなる調光層52と透明導電フィルム53(a,b)とを備えている。透明導電フィルム53(a,b)は、調光層52(PNLC)を挟持しており、給電部(不図示)から調光層52(PNLC)に電圧を印加して、高ヘイズ(散乱状態),低ヘイズ(透過状態)を変化させる。
調光層52は、5μm以上50μm以下(好適には10μm〜25μm程度)の厚さでの製造が好ましい。透明導電フィルム53は、透明基材55上にITOやIZOや有機導電膜などの透明な導電材料からなる透明電極56を成膜してなる透明導電フィルム53を互いの透明電極56側を対向して調光層52を挟持する。透明電極56の好適な厚さは略80nm以上150nm以下である。尚、PNLCでは印加電圧に応じて、任意の中間調のヘイズ状態を表現することも可能である。
液晶素子からなる調光層52には、その使用態様により、ノーマルモードとリバースモードの二種が知られている。ノーマルモードとは、電圧印加(ON)により透過状態となり、電圧除去(OFF)により散乱状態となるモードを言う。また、リバースモードとは、電圧除去(OFF)により透過状態となり、電圧印加(ON)により散乱状態となるモードを言う。リバースモードの場合、図3に示す様に、透明基材フィルム55表面の透明電極56の上にさらに配向膜57が形成された透明導電フィルム53(a,b)を要することとなる。配向膜57は従来公知の配向膜であれば、水平配向膜,垂直配向膜のいずれが用いられていても良く、用途に応じて適宜選定することができる。
調光フィルム50は、通常時は低ヘイズ状態であり、駆動時に高ヘイズ状態に切り替わるように透過率が変調されるという使用形態が想定される。その場合、リバースモードの調光層が消費電力の低減の上で優位性を持つ。
透明導電フィルム53を構成する透明基材フィルム55には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム,ポリエチレン(PE)フィルム,ポリカーボネート(PC)フィルムなどを用いることができる。透明基材55の厚みは、約50μm以上200μm以下程度が望ましい。
透明導電フィルム53を構成する透明電極56には、一般的にITOなどの金属酸化物が用いられるが、ITOに替えて低抵抗の導電性ポリマーを採用することも可能である。導電性ポリマーとしては、PEDOT/PSSに例示されるπ共役系導電性高分子にドープされたポリアニオンを含む材料の採用が好適である。
ITO,IZO,有機導電膜からなる透明電極56は、ハンダに接着しないため、ハンダ付が可能となる様に、透明電極上に金属メッキ層(Niが代表的)を形成したり、導電性接着剤による厚膜層を形成したりするなどの中継的役割を担う端子処理が必要となる。
調光層52(PNLC)に電圧を印加するための給電部の形成手法の一例では、透明導電フィルム53(a,b)それぞれの端部において、透明基材フィルム55,透明電極56,(リバースモードの場合、配向膜も含めて),および調光層52が切り欠かれて露出させた透明電極56の表面に、接着強度を一層高める上で銀ペースト,カーボンテープ,銅テープがそれぞれ用いられて、接続端子(給電部)70が形成され、ハンダを経由した引回し配線により電源(不図示)に接続される。他方式の給電構造として、FPC(フレキシブルプリント基板)61とACF(異方性導電フィルム)62を用いて電気的に接続しつつ、機械的に接着することで配線を引き出す構造が採用されている(図2(b))。FPC61とACF62を用いた接続では、導電テープ上のはんだによる点状の接合構造から、面状の接合構造となり、調光ユニットの運搬時や取り付け作業時の揺れや衝撃に対して、接合の耐久性が向上している。図4に示す様に、一方の透明導電フィルム側に形成される給電部70(a)は、他方の透明導電フィルム側に形成された給電部70(b)とは重なり合わず離間した箇所に形成される。こうして透明導電フィルム53に付与された給電部70に、電源(不図示)および印加電圧を変調する駆動制御回路(不図示)から電圧が印加され、調光フィルム50の液晶駆動が行なわれる。
<ガラス基板>
調光フィルム50を支持固定して機械的強度を付与するリジッドな透明基板30として、本発明ではガラス基板を用いる。
<機能層>
ガラス基板30上に調光フィルム50を接合する機能層40には、基本的に光学用透明粘着シート(OCA)と同様の透明性と粘着機能が要求される。本発明においては、機能層40には強度の高い粘着機能は要さず、ガラス基板30上に積層する調光フィルム50の浮きを抑制する程度の粘着機能(自己粘着性:粘着剤を介さなくてもフィルムが自分で粘着する特性)を備えていれば十分である。調光フィルム50のガラス基板30への粘着
機能は後述する封止部80が受け持つことになる。
液晶材料からなる調光層は、酸,水分,紫外線などによって劣化が生じやすく、透明基材フィルム側からの入射光線に含まれる紫外線の照射量が多いと、調光層が劣化して美観や視認性が損なわれることもある。そのため、窓ガラスや展示ウィンドウなど外光(特に直射日光)の当たる機会の多い用途・形態では、調光フィルム50に対する外光入射側を保護することが求められる。
本発明による調光シート10の形態では、調光フィルム50よりも外光入射側には機能層40,ガラス基板30が配置されて使用される場合が多い。ガラス基板30自体に酸,水分,紫外線などの遮断機能が高い場合は、機能層40にはそれらの遮断機能は要求されない。紫外線カット機能を標榜するガラス基板の多くは、複層ガラス(空気層を挟んだ2枚構成)であり、一方のガラス板にはLow-Eと称される金属膜が形成されている構成であったり、一方のガラス板は防犯用合わせガラスであり、その中間膜に有機系の紫外線吸収剤が混入された構成のものが高い紫外線カット効果を有している。
しかし、単層のガラス板に紫外線カット機能を付与することは困難であり、無機系の紫外線吸収剤(酸化亜鉛や酸化チタンなど)をガラスに混入すれば、90%以上の紫外線カット機能は付与されるが、ガラスが黄色に着色されてしまう弊害を招いてしまっている。現状で、実用性(無色透明)を維持した上での単層のガラス板への紫外線カット機能の付与は実現されていない。(少なくとも、ガラスに色を付けない無機系の紫外線吸収剤は見つかっていない。)
そこで、本発明による調光シート10の形態では、機能層40の方に紫外線カット機能が要求される。実用に耐えうる紫外線カット機能としては、調光フィルム50において、300nmから380nmの波長範囲における最大透過率が1%以下である。
これにより、ガラス基板側からの外光入射に伴い、調光フィルムの透明基材フィルム側からの紫外線入射に起因する美観や視認性の低下が抑制される。
機能層40の主材料には光学用透明粘着シート(OCA)を用いる。OCAには、アクリル系,シリコーン系,ウレタン系などのものがあり、用途に応じて選択される。機能層40の厚みは10μm以上30μm以下の範囲が好適であるが、目的に応じてこの限りではない。本発明では、機能層40に紫外線カット機能を持たせて、ガラス基板30や透明基材フィルム55を通って入射する外光中の紫外線から調光層52を保護する機能を持たせる。そのため、機能層40に紫外線吸収剤を添加することにより、調光フィルム50に対しての紫外線カット機能を発揮させる。
本発明では、調光シート10の施工後の安定した使用状態(調光フィルム50の剥落や浮きを回避)の維持に十分な程度で、調光フィルム50をガラス基板30から剥離する場合でも、ガラス基板表面に糊(粘着剤)を残さない程度の粘着強度が機能層40に要求される。そして、調光フィルム50とガラス基板30との粘着強度は、調光フィルム50の周縁部に封止材を塗布形成してなる封止部80に依存する構成である。
機能層40による調光フィルム50とガラス基板30との間の粘着強度の目安は、ガラス基板30上に機能層40を介して調光フィルム50を積層した状態でのガラス基板30と機能層40間の剥離強度として、1.0N/25mm以下が好適である。
なお、剥離強度試験はJIS Z0237_2009に準拠する。
紫外線吸収機能を高めるために機能層40に紫外線吸収剤の添加量を多く(目安として10重量部を超える程度に)含有すると、機能層40の自己粘着性の低下を招き、ガラス
基板30と機能層40の界面での剥がれに起因する弊害が解消されない。それと共に、機能層40に添加した紫外線吸収剤の析出(ブリードアウト),しみ出し,べとつき,機能層40の不要な着色などの問題が生じる。また、適度な紫外線吸収剤の添加量の範囲で要求される紫外線吸収機能を確保しようとすると、機能層40自体が無駄に厚くなってしまい、コストアップおよび塗布形成の困難化(生産性の低下)を伴うと共に、調光シートの透光性の低下にも起因することとなる。
機能層40に要求される紫外線吸収機能、およびガラス基板30との界面で必要とされる粘着機能(剥離強度)の双方を確保する上で、双方の機能を分担した複層の機能層40を積層した構成とすることも採用される。機能層40の一方の表面は調光フィルム50(透明導電フィルム53b側の透明基材フィルム55の表面)に接合し、他方の表面はガラス基板30に接合する。複層構成の機能層40とする場合、調光フィルム50と接合する側には紫外線吸収機能を付加した機能層41を、ガラス基板30側と接合する側には自己粘着性のみを有する機能層42が、直接あるいは何らかの層を介して配置される。
<封止部>
ガラス基板30上に調光フィルム50を接合する強度は、調光フィルム50の周縁部を封止(シーリング)する封止部80が受け持つ。調光フィルム50の周縁部に封止材を塗布してなる封止部80を形成してガラス基板と接合した状態でのガラス基板30と機能層40間の剥離強度は、4.0N/25mm以上であることが要求される。
また、封止部80には、調光フィルム50の周縁部(断面)において露出する調光層(液晶材料)52を水分,酸,紫外線などから保護する役割も強く求められる。封止部80に用いられる材料としては、エポキシ系樹脂,ウレタン系樹脂,アクリル系樹脂,酢酸ビニル系樹脂,エン−チオール系樹脂,シリコーン系樹脂,変性ポリマーなどの各種樹脂系において、熱硬化型,光硬化型,湿気硬化型,嫌気硬化型などの各種樹脂材料を用いることができる。
封止部80は、厚みを100μmとし40℃,90%RHで測定した時に100g/m2・24h以下の水蒸気透過率(WVTR:water vapor transmission rate)を有する。過剰な厚さを要することなく、十分な水分や酸素の遮断性に優れる封止部80であると、調光フィルム50の周縁部で封止部80が厚盛りされた段差を生じることなく非表示領域(ベゼル部)が狭まりコンパクト化される。これにより意匠性が向上する。
この様な特性を得るための封止部80は、実質的に透明であることが望ましいと言えるが、状況に応じて適宜、色素やフィラー類などが添加されてあっても良い。色素を添加する場合には、耐候性等を考慮すると、顔料系の色素であることが望ましい。
また、封止部80は波長380nmの光(紫外線)の透過率が0%以上60%以下の範囲であることが好ましい。これにより、調光フィルム50の周縁部から紫外線が入射することによって調光層52が劣化するのを防ぐことができる。この様な特性を有する封止部80を得るために、封止部80には紫外線吸収剤が添加されても良い。
封止部80を構成する封止材が如何なる組成,処方であったとしても、調光層(液晶材料)52を保護する観点から、封止材中の酸素の含有率が100ppm以下であることが好ましい。
以下、実施例および比較例について説明する。実施例1〜2,比較例1〜4は、ノーマルモードの調光フィルム50をガラス基板30上に機能層40を介して積層してなる構成
の調光シート10に係るサンプルである。実施例3〜4,比較例5〜8は、リバースモードの調光フィルム50をガラス基板30上に機能層40を介して積層してなる構成の調光シート10に係るサンプルである。実施例1〜4では、調光フィルム50をガラス基板30上に機能層40を介して積層した後、調光フィルム50の周縁部に封止材を塗布形成して封止部80を形成し、ガラス基板30に接合してあるが、比較例1〜8では、調光フィルム50をガラス基板30上に機能層40を介して積層した後、封止部80は形成していない。
機能層40としては、以下の3種類の組み合わせを選定した。
(1)紫外線吸収剤が添加されており、紫外線吸収機能が高く、粘着機能は低い層41(紫外線吸収性粘着層:剥離強度=弱)
(2)紫外線吸収剤を含まず、紫外線吸収機能が無いか若しくは低く、自己粘着性程度の粘着機能しか持たない層42(自己粘着層:剥離強度=極弱)
(3)紫外線吸収剤を含まず、紫外線吸収機能が無いか若しくは低く、粘着機能の高い層43(粘着層:剥離強度=強)
紫外線吸収性粘着層41,粘着層43のバインダー主成分は、以下の組成である。
[組成1]
・アクリル酸エステル共重合体:100重量部
・光重合開始剤(α−ヒドロキシアルキルフェノン系材料):4重量部
・ポリエチレングリコールジアクリレート:0.4重量部
自己粘着層42は、以下の組成である。
[組成2]
・エチレンモノマー:65重量部
・酢酸ビニルモノマー:35重量部
また、他の自己粘着層42として、基材を含む樹脂コーティング製品(ゲルポリクリア50UV-IJII:パナック株式会社製)も採用した。
構成:PET基材/オレフィン系エラストマー/剥離シート
各サンプルの調光シート10は、以下に示す構成である。
<実施例1,3>(図5(a)参照)
調光フィルム50/紫外線吸収性粘着層41/自己粘着層42/ガラス基板30/封止部80
<実施例2,4>(図5(a)参照)
調光フィルム50/紫外線吸収性粘着層41/(基材含む)自己粘着層42/ガラス基板30/封止部80
<比較例1,5>(図5(b)参照)
調光フィルム50/紫外線吸収性粘着層41/ガラス基板30
<比較例2,6>(図5(c)参照)
調光フィルム50/粘着層43/(基材含む)自己粘着層42/ガラス基板30
<比較例3,7>(図5(d)参照)
調光フィルム50/粘着層43/ガラス基板30
<比較例4,8>(図5(e)参照)
調光フィルム50/紫外線吸収性粘着層41/(基材含む)自己粘着層42/ガラス基板30
<実施例1>
紫外線吸収性粘着層41として、組成1のバインダーに紫外線吸収剤を適宜混合して塗
液を調製した上で、ノーマルモードの調光フィルム50の一方の透明基材フィルム55の表面に塗布および乾燥して紫外線吸収性粘着層41を形成した。
紫外線吸収性粘着層41のガラス基板30側の面に、組成2の材料を共重合させ、共重合体を適切な膜厚となる様に押出し成形することにより、自己粘着層42を積層した。
ガラス基板30、自己粘着層42、調光フィルム50の積層順になるように各層を接合した後、調光フィルム50の周縁部に封止材をコーティングして、封止部80を形成することにより、実施例1の調光シートサンプルを得た。
<実施例2>
実施例1における自己粘着層42に替えて、樹脂コーティング製品(ゲルポリクリア50UV-IJII)を採用した以外は、実施例1と全く同様にして、実施例2の調光シートサンプルを得た。尚、ゲルポリクリア50UV-IJIIは剥離シートを剥離して露出したオレフィン系エラストマーを自己粘着層としてガラス基板30側に対向させ、紫外線吸収性粘着層41側にPET基材を対向させて接合した。
<比較例1>
紫外線吸収性粘着層41のガラス基板30側の面に自己粘着層42を積層せず、ガラス基板30、紫外線吸収性粘着層41、調光フィルム50の順となるように各層を接合したこと、および、調光フィルム50の周縁部に封止部80を形成しなかったこと以外は、実施例1と全く同様にして、比較例1の調光シートサンプルを得た。
<比較例2>
紫外線吸収性粘着層41は用いない、すなわち組成1のバインダーに紫外線吸収剤を混合せずに塗液を調製した上で、ノーマルモードの調光フィルム50の一方の透明基材フィルム55の表面に塗布および乾燥して粘着層43を形成した以外は、比較例4と同様にして、比較例2の調光シートサンプルを得た。
<比較例3>
ゲルポリクリア50UV-IJIIは使用せず、ガラス基板30、粘着層43、調光フィルム50の順になるように各層を接合したこと以外は、比較例2と全く同様にして、比較例3の調光シートサンプルを得た。
<比較例4>
ガラス基板30上に調光フィルム50を接合した後、調光フィルム50の周縁部に封止材をコーティングして、封止部80を形成しなかった以外は、実施例2と全く同様にして、比較例4の調光シートサンプルを得た。
<実施例3,4>
実施例1,2におけるノーマルモードの調光フィルム50をリバースモードの調光フィルム50に変更した以外は、実施例3,4の調光シートサンプルは実施例1,2の調光シートサンプルと全く同様である。
<比較例5〜8>
比較例1〜4におけるノーマルモードの調光フィルム50をリバースモードの調光フィルム50に変更した以外は、比較例5,6,7,8の調光シートサンプルは比較例1,2,3,4の調光シートサンプルと全く同様である。
<評価>
実施例1〜4,比較例1〜8の各サンプルについて評価した結果を表1,2に示す。表1には、各サンプルの300nmから380nmの波長範囲における最大透過率と、ガラス基板30との接合面における機能層40の剥離強度を、指標と合わせて記載している。
表2では、耐光性,施工性の観点で以下の基準に従い評価した。
Figure 2021196421
Figure 2021196421
<耐光性試験の評価基準>
(1)透過色相変化
スーパーUV試験(メタルハライドランプによる促進性のある耐候試験)にて、100時間照射(63℃,50%RH,照度65mW/cm2)後のサンプルの色変化を判定。目視では、色変化が認められないものを「○」,色変化が認められたものを「×」と判定した。サンプルの試験前後における色彩測定により、色差:ΔE*abが10以下なら「○」,10より大きい場合は「×」判定した。
(2)調光機能
スーパーUV試験(メタルハライドランプによる促進性のある耐候試験)にて、100時間照射(63℃,50%RH,照度65mW/cm2)後のサンプルの調光機能を判定。目視では、調光機能が良好なものを「○」,調光機能が劣悪なものを「×」と判定した。サンプルの試験前後における調光フィルム駆動により、印加電圧0V,印加電圧100Vの時のヘイズ変化状態による判定では、(試験後のヘイズ変化)/(試験前のヘイズ変化)が0.8以上のものを「○」,0.8未満のものを「×」判定した。
<施工性の評価基準>
(3)糊残り
調光フィルム50をガラス基板30に接合した状態で2ヶ月静置した後、調光フィルム50をガラス基板30から剥離した。その際、ガラス基板表面を目視観察して、糊(粘着剤)が付着した残りが確認されないものを「○」,糊(粘着剤)が付着した残りが確認されたものを「×」判定した。
(4)再貼付
調光フィルム50をガラス基板30に接合した直後に、調光フィルム50をガラス基板30から剥離して、再度、調光フィルム50をガラス基板30に接合した。その際、貼り合わせた調光フィルム50の状態を目視観察して、しわや剥がれがなく、初期の接合時と同等の状態とみなせるものを「○」,しわや剥がれが認められ、初期の接合時と同等の状態とは異なるものを「×」判定した。
(5)施工後の耐久性
調光フィルム50をガラス基板30に接合して、ガラス基板を地面に対して垂直に起立した状態で1年間静置した。調光フィルム50の浮きや剥がれが全く発生していないものを「○」,調光フィルム50の浮きや剥がれの発生が認められるものを「×」判定した。
紫外線吸収機能を持たない機能層(粘着層43)によりガラス基板30上に調光フィルム50を接合した構成の比較例2,3,6,7では、紫外域の光線透過率が高く、調光層52(液晶材料)の劣化が顕著であり、透過色相が極端に変化している。また、ガラス基板30に接合する機能層に自己粘着層42を用いておらず、剥離強度が高い構成の比較例1,3,5,7では、「糊残り」と「再貼付」の評価で不適合が確認された。調光フィル
ム50とガラス基板30との接合面で自己粘着層42を用いている比較例2,4,6,8でも、調光フィルム50の周縁部に封止材をコーティングして、封止部80を形成していないため、「施工後の耐久性」の評価で不適合が確認された。
10 調光シート
30 樹脂基板
40(41〜43) 機能層
50 調光フィルム
52 調光層
53(a,b) 透明導電フィルム
55(a,b) 透明基材
56(a,b) 透明電極
57 配向膜
61 FPC(フレキシブルプリント基板)
62 ACF(異方性導電フィルム)
70 給電部
80 封止部

Claims (8)

  1. 機能層と、印加電圧に応じて透過率を2段階以上に切り替え可能な調光フィルムを積層した調光シートであって、
    前記調光フィルムは、少なくとも透明電極が形成されたフレキシブルな透明基材フィルムを互いの透明電極側を対向して、液晶材料からなる調光層を挟持してなる可撓性を有する構成であり、
    前記機能層は前記調光フィルムを基板と接合するための層であり、
    前記調光フィルムの周縁部には前記基板と接合するための封止材が形成されてあり、
    前記機能層の剥離強度は、1.0N/25mm以下であり、
    前記機能層と前記封止材を合わせた剥離強度は、4.0N/25mm以上であることを特徴とする調光シート。
  2. 前記機能層は、300nmから380nmの波長範囲における最大透過率が1%以下であることを特徴とする請求項1記載の調光シート。
  3. 前記機能層は、紫外線吸収剤を含むことを特徴とする請求項1または請求項2記載の調光シート。
  4. 前記機能層は、複数の層からなることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の調光シート。
  5. 前記機能層を構成する複数の層のうち、前記基板と接する層の剥離強度は1.0N/25mm以下であり、前記基板に直接積層しない層との界面における剥離強度は4.0N/25mm以上であることを特徴とする請求項4記載の調光シート。
  6. 前記調光層は、液晶分子がポリマー中に分散配置された高分子分散型液晶、または三次元の網目状に形成された樹脂からなるポリマーネットワークの内部に形成された空隙内に配置された液晶分子を有するポリマーネットワーク型液晶の何れかであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の調光シート。
  7. 前記調光フィルムは、前記透明電極と前記調光層の間に配向膜が形成されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の調光シート。
  8. 請求項1から7の何れか1項に記載の前記調光フィルムに電圧を印加する電源、および印加電圧を変調する駆動制御回路を備えてなる調光装置。
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