JP2021172714A - 液状組成物及びシート - Google Patents

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Abstract

【課題】テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと重合性化合物と無機フィラーとを含み、これらの成形物の形成成分の含有量が実質的に高く、液物性に優れた液状組成物の提供。【解決手段】本発明の液状組成物は、水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有し、溶融温度が200〜320℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、エポキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合物と、硬化剤と、無機フィラーとを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマー、前記化合物、前記硬化剤及び前記無機フィラーの合計での含有量が60質量%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、液状組成物及びシートに関する。
テトラフルオロエチレン系ポリマーの物性(低誘電率、低誘電正接等の電気特性、離型性、撥水撥油性、耐薬品性、耐候性等)を具備した成形物を形成するためのコーティング剤として、そのパウダーを含む分散液が提案されている(特許文献1参照)。
また、近年、プリント配線板等の電子部品の電気特性(低誘電率性、低誘電正接性)を向上させる観点から、電子部品の材料に、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを配合する検討が盛んにされている。
特許文献2には、電子部品の層間絶縁材料やソルダーレジスト材料に、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを配合する提案がされている。
特許文献3には、電気絶縁層と導体層とを交互に積み上げる方式(ビルドアップ方式)による多層プリント配線板の製造において、導体層上にラミネートして用いられるシート材料に、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを配合する提案がされている。
特許文献4には、複数の層に渡る貫通孔が設けられた多層プリント配線板の貫通孔上に別の導体層を配置できるように貫通孔を穴埋するための充填材料(穴埋材料)に、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを配合する提案がされている。
国際公開2016/159102号パンフレット 特開2020−055920号公報 特開2019−167426号公報 特開2016−100546号公報
テトラフルオロエチレン系ポリマーは、その表面張力の低さから、他成分との親和性が著しく低い。そのため、そのパウダーを分散させた液状組成物を調製するためには、多量の溶媒を使用する場合が多い。よって、かかる液状組成物から1回のコーティングで形成できる成形物の厚さが制限されるという課題や、コーティングの対象となる基材の材質や形状も制限されるという課題がある。
また、分散性、流動性等の液物性を確保する観点から、液状組成物に、多種かつ多量の添加剤を別に配合する必要が生じる場合が多く、その調製が煩雑になる。それにより、成形物の耐熱性、電気特性、接着性、表面平滑性等の物性が低下するという課題もある。
本発明者らは、重合性化合物と無機フィラーとを含む液状組成物に、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーを分散させる場合、これらの課題が顕著になる点を知見している。
本発明は、テトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと重合性化合物と無機フィラーとを含み、これらの成形物の形成成分の含有量が実質的に高く、液物性に優れた液状組成物の提供を目的とする。
本発明は、下記の態様を有する。
<1> 水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有し、溶融温度が200〜320℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、エポキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合物と、硬化剤と、無機フィラーとを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマー、前記化合物、前記硬化剤及び前記無機フィラーの合計での含有量が60質量%以上である、液状組成物。
<2> さらに、アルカリ可溶性ポリマーを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマー、前記化合物、前記硬化剤、前記無機フィラー及び前記アルカリ可溶性ポリマーの合計での含有量が60質量%超である、<1>の液状組成物。
<3> 粘度が100000mPa・s以下である、<1>又は<2>の液状組成物。
<4> 溶媒を含まないか、又は、溶媒を含み、かつ前記溶媒の含有量が40質量%以下である、<1>〜<3>のいずれかの液状組成物。
<5> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含み、カルボニル基含有基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、<1>〜<4>のいずれかの液状組成物。
<6> 前記パウダーが、平均粒子径が0.1〜6μmであるパウダーである、<1>〜<5>のいずれかの液状組成物。
<7> 前記無機フィラーが、酸化ケイ素を含むフィラーである、<1>〜<6>のいずれかの液状組成物。
<8> 前記無機フィラーが、平均粒子径が0.1〜25μmである無機フィラーである、<1>〜<7>のいずれかの液状組成物。
<9> 前記化合物が、エポキシ基を2個以上有する液状化合物である、<1>〜<8>のいずれかの液状組成物。
<10> 前記化合物が、エポキシ基を2個以上、かつ、3級アミン構造を有する液状化合物である、<1>〜<9>のいずれかの液状組成物。
<11> 前記化合物が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ基を2個以上有する液状化合物である、<1>〜<9>のいずれかの液状組成物。
<12> 前記硬化剤が、アミン、イミダゾール、フェノール又は酸無水物である、<1>〜<11>のいずれかの液状組成物。
<13> 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が30質量%以下、前記化合物の含有量が30質量%以下、前記硬化剤の含有量が15質量%以下、前記無機フィラーの含有量が30質量%超である、<1>〜<12>のいずれかの液状組成物。
<14> 多層プリント配線板の貫通孔又は凹部の穴埋めに用いられる充填材料である、<1>〜<13>のいずれかの液状組成物。
<15> <1>〜<13>のいずれかの液状組成物から形成された層を有するシート。
本発明の液状組成物は、ハンドリング性に優れており、テトラフルオロエチレン系ポリマーの物性を具備し、表面平滑性及び接着性の高い、任意の成形物を容易に形成できる。例えば、本発明の液状組成物を硬化させれば、容積変化率のコントロールが容易であり、ボイドが少ない、テトラフルオロエチレン系ポリマーの物性を具備した硬化物を形成できる。
以下の用語は、以下の意味を有する。
「平均粒子径(D50)」は、レーザー回折・散乱法によって求められる対象物(パウダー又は無機フィラー)のパウダーの体積基準累積50%径である。すなわち、レーザー回折・散乱法によって対象物の粒度分布を測定し、対象物の粒子の集団の全体積を100%として累積カーブを求め、その累積カーブ上で累積体積が50%となる点の粒子径である。
「D90」は、同様にして測定される、対象物の体積基準累積90%径である。
「溶融温度(融点)」は、示差走査熱量測定(DSC)法で測定したポリマーの融解ピークの最大値に対応する温度である。
「ガラス転移点(Tg)」は、動的粘弾性測定(DMA)法でポリマー、硬化物又はエラストマーを分析して測定される値である。
「粘度」は、B型粘度計を用いて、25℃で回転数が30rpmの条件下で液状組成物を測定し求められる値である。測定を3回繰り返し、3回分の測定値の平均値とする。
「チキソ比」とは、液状組成物を回転数が30rpmの条件で測定して求められる粘度ηを回転数が60rpmの条件で測定して求められる粘度ηで除して算出される値(η/η)である。
ポリマーにおける「単位」は、モノマーから直接形成された原子団であってもよく、得られたポリマーを所定の方法で処理して、構造の一部が変換された原子団であってもよい。ポリマーに含まれる、モノマーAに基づく単位を、単に「モノマーA単位」とも記す。
本発明の液状組成物(以下、「本組成物」とも記す。)は、水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有し、溶融温度が200〜320℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマー(以下、「Fポリマー」とも記す。)のパウダー(以下、「Fパウダー」とも記す。)と、エポキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合物(以下、「硬化性化合物」とも記す。)と、硬化剤と、無機フィラーとを含む。
本組成物における、Fポリマー、硬化性化合物、硬化剤及び無機フィラーの合計での含有量は、60質量%以上である。
本組成物は、成形物の形成成分(Fポリマー、硬化性化合物、硬化剤及び無機フィラー)が実質的に高いにも関わらず、分散安定性及び流動性が高く、ハンドリング性に優れている。なお、本組成物が後述するアルカリ可溶性ポリマー等を含む場合は、これも上記形成成分に含まれる。また、本組成物から得られる成形物は、ボイドが少なく、Fポリマーの物性を高度に発現できる。その理由は必ずしも明確ではないが、以下の様に考えられる。
酸素含有極性基(水酸基含有基又はカルボニル基含有基)を有するFポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン等の他のテトラフルオロエチレン系ポリマーと比較して表面エネルギーが高い。そのため、Fパウダー自体が分散性に優れるだけでなく、硬化性化合物等の他の成形物の形成成分とも高度に相互作用して安定しやすい。また、Fポリマーの溶融温度は200〜320℃であるため、本組成物の使用直前、例えば、加熱により硬化性化合物が反応する段階においても、Fパウダーの融解または変形が抑制され、本組成物の液物性が保持されやすいと考えられる。
また、かかる状態にて硬化性化合物が硬化して成形物が形成されるため、本組成物から形成される成形物は、それぞれの成形物の形成成分を緻密かつ均質に含み、ボイドが少なく、Fポリマー物性を高度に具備したと考えられる。さらに、Fポリマーは酸素含有極性基を有し、溶融温度が高いため、成形物中で微小球晶を形成するため、成形物の表面平滑性及び接着性が向上したと考えられる。
本組成物の粘度は、100000mPa・s以下が好ましく、50000mPa・s以下がより好ましい。その下限は、100mPa・sが好ましく、1000mPa・sがより好ましい。なお、本組成物が液状であるとは、25℃において、液状、半固体状又はペースト状であり、換言すれば、25℃にて流動性を有する状態にあることを意味する。
本発明におけるFパウダーは、D50が、6μm以下であるのが好ましく、3μm以下であるのがより好ましい。FパウダーのD50は、0.01μm以上が好ましく、0.1μm以上がより好ましい。また、FパウダーのD90は、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましい。この範囲のD50及びD90において、Fパウダーの流動性と分散性とが良好となり、また、成形物の電気特性(低誘電性、低誘電正接性等)が一層向上し易い。
Fパウダーは、Fポリマーを主成分とするのが好ましい。FパウダーにおけるFポリマーの含有量は、80質量%以上が好ましく、100質量%がより好ましい。
Fパウダーは、表面が無機物で被覆されていてもよい。かかる無機物の具体例としては、無機フィラー、シランカップリング剤が挙げられ、より具体的には、シリカフィラー、シランカップリング剤(3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等)、その反応物が挙げられる。この場合、本組成物の流動性が高まり、そのハンドリング性が一層向上しやすい。
本発明におけるFポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)に基づく単位(TFE単位)を含み、水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有する。また、その溶融温度は、200〜320℃である。
Fポリマーは、TFE単位及びペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)に基づく単位(PAVE単位)を含むポリマー(PFA)、又は、TFEとヘキサフルオロプロピレンに基づく単位を含むポリマー(FEP)が好ましく、溶融温度が充分に高く、微小球晶を形成しやすい観点から、PFAがより好ましい。
PAVEは、CF=CFOCF、CF=CFOCFCF又はCF=CFOCFCFCF(PPVE)が好ましく、PPVEがより好ましい。
Fポリマーが有する水酸基含有基又はカルボニル基含有基は、Fポリマー中の単位に含まれていてもよく、ポリマーの主鎖の末端基に含まれていてもよい。後者の態様としては、重合開始剤、連鎖移動剤等に由来する末端基として水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有するFポリマー、Fポリマーをプラズマ処理や電離線処理して得られる水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有するFポリマーが挙げられる。
Fポリマーは、本組成物の分散性と、それから形成される成形物の物性とを向上させる観点から、カルボニル基含有基を有するのが好ましい。
水酸基含有基は、アルコール性水酸基を含有する基が好ましく、−CFCHOH又は−C(CFOHがより好ましい。
カルボニル基含有基は、カルボニル基(>C(O))を含む基であり、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アミド基、イソシアネート基、カルバメート基(−OC(O)NH)、酸無水物残基(−C(O)OC(O)−)、イミド残基(−C(O)NHC(O)−等)又はカーボネート基(−OC(O)O−)が好ましく、酸無水物残基がより好ましい。
Fポリマーは、TFE単位及びPAVE単位を含み、水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有するポリマーが好ましい。この場合、ポリマーが微小結晶を形成しやすくなり、成形物の緻密性と、その接着性及び表面平滑性とが、一層向上しやすい。
Fポリマーは、TFE単位、PAVE単位及び水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有するモノマーに基づく単位を含むポリマーが好ましい。このポリマーは、全単位に対して、TFE単位を90〜99モル%、PAVE単位を0.5〜9.97モル%、及び、水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有するモノマーに基づく単位を0.01〜3モル%、それぞれ含有するのが好ましい。
また、水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有するモノマーは、無水イタコン酸、無水シトラコン酸又は5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物(以下、「NAH」とも記す。)が好ましい。
かかるポリマーの具体例としては、国際公開第2018/16644号に記載されるポリマーが挙げられる。
本発明における硬化性化合物は、エポキシ基を2個以上有する化合物(以下、「エポキシ化合物」とも記す。)であるのが好ましく、液状のエポキシ化合物であるのがより好ましい。なお、エポキシ化合物が液状であるとは、25℃において、液状、半固体状又はペースト状であり、換言すれば、25℃にて流動性を有する状態にあることを意味する。
硬化性化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。また、液状の硬化性化合物と非液状の硬化性化合物とを併用してもよい。
エポキシ化合物の好適な態様としては、エポキシ基を2個以上、かつ、3級アミン構造を有する液状のエポキシ化合物が挙げられる。かかるエポキシ化合物は、Fパウダーと相互作用しやすく、本組成物の分散性を一層向上させやすい。
かかるエポキシ化合物の具体例としては、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、トリグリシジルパラアミノフェノール、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルトトルイジンが挙げられる。
エポキシ化合物の好適な態様としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ基を2個以上有する液状のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ化合物の好適な具体例としては、「エピクロン860」、「エピクロン900−IM」、「エピクロンHP−4032」、「エピクロンN−740」、「エピクロンEXA−4816」及び「エピクロンEXA−4822」(DIC社製)、「アラルダイトAER280」(旭チバ社製)、「エポトートYD−134」(東都化成社製)、「jER834」及び「jER872」(三菱ケミカル社製)、「ELA−134」(住友化学工業社製)、「Epon828」 及び「Epon807」(HEXION社製)、「ELM−100」(住友化学工業社製)、「RE−305S」(日本化薬社製)が挙げられる。
(メタ)アクリルロイルオキシ基を2個以上有する化合物の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、グリコールの(メタ)アクリレート、トリオールの(メタ)アクリレート、テトラオールの(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
本発明における硬化剤は、硬化性化合物又はFポリマーを反応させて、本組成物を硬化させて成形物を形成するための剤であり、アミン、イミダゾール、フェノール又は酸無水物であるのが好ましく、本組成物の安定性と、それから形成される成形物の接着性及び電気特性との観点から、アミン又はイミダゾールであるのがより好ましい。硬化剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本組成物の硬化開始温度が、60〜100℃となるように、硬化剤を選択するのが好ましい。なお、「硬化開始温度」とは、示差走査熱量測定(DSC)により確認される、本組成物を加熱した際の最初の変化点を示す温度である。
アミンとしては、脂肪族ポリアミン(アルキレンジアミン、ポリアルキレンポリアミン、芳香環を有する脂肪族ポリアミン等)、そのアダクト化合物、脂環式ポリアミン(イソホロンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミン等)、又はそのアダクト化合物が好ましい。前者のアダクト化合物としては、脂肪族ポリアミンと、フェニルグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル又はアルキルグリシジルエーテルとの付加反応物が挙げられる。後者のアダクト化合物としては、脂環式ポリアミンと、n−ブチルグリシジルエーテル又はビスフェノールAジグリシジルエーテルとの付加反応物が挙げられる。
アミンの具体例としては、「フジキュアFXR」シリーズ又は「フジキュアFXR」シリーズ(いずれも富士化成工業株式会社製)、「アンカミン」シリーズ又は「サンマイド」シリーズ(いずれもエアープロダクツジャン株式会社製)、jERキュア113(三菱ケミカル株式会社製)、ラロミンC−260(BASF社製)等が挙げられる。
イミダゾールとしては、2−メチルイミダゾール、4−メチル−2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、イミダゾールのアジン化合物、イミダゾールのイソシアヌル酸塩、イミダゾールヒドロキシメチル体、又は、これらのアダクト化合物(エポキシ樹脂とイミダゾールとの反応物等;キュアゾールP−0505(四国化成工業株式会社製)等)が好ましい。
フェノールとしては、ヒドロキノン、レゾルシノール、又は、ビスフェノールAが好ましい。
酸無水物としては、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、又はベンゾフェノンテトラカルボン酸が好ましい。
硬化性化合物が(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合物である場合の硬化剤としては、重合開始剤が挙げられる。
重合開始剤としては、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシドが挙げられる。
本組成物における無機フィラーは、窒化物を含むフィラー又は無機酸化物を含むフィラーが好ましく、窒化ホウ素フィラー、ベリリアフィラー(ベリリウムの酸化物のフィラー)、酸化ケイ素を含むフィラー(シリカフィラー、ウォラストナイトフィラー、タルクフィラー等。)、又は金属酸化物(酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等)フィラーがより好ましく、シリカフィラーがさらに好ましい。
無機フィラーがシリカフィラーである場合、無機フィラーにおけるシリカの含有量は、50質量%以上が好ましく、75質量%がより好ましい。シリカの含有量は、100質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
無機フィラーは、多価アルコール(トリメチロールエタン、ペンタエリストール、プロピレングリコール等)、飽和脂肪酸(ステアリン酸、ラウリン酸等)、そのエステル、アルカノールアミン、アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)、パラフィンワックス、シランカップリング剤、シリコーン、ポリシロキサン等によって、その表面が、表面処理されているのが好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、上述したシランカップリング剤が挙げられる。
無機フィラーの平均粒子径は、25μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。平均粒子径は、0.1μm以上が好ましい。
無機フィラーの形状は、粒状、針状(繊維状)、板状のいずれであってもよい。無機フィラーの具体的な形状としては、球状、鱗片状、層状、葉片状、杏仁状、柱状、鶏冠状、等軸状、葉状、雲母状、ブロック状、平板状、楔状、ロゼット状、網目状、角柱状が挙げられる。無機フィラーは中空状であってもよく、中空状のフィラーと、非中空状のフィラーとを含んでもよい。
無機フィラーの具体例としては、シリカフィラー(アドマテックス社製の「アドマファイン」太平洋セメント社製の「E-SPHERES」シリーズ、日鉄鉱業社製の「シリナックス」シリーズ、エマーソン・アンド・カミング社製「エココスフイヤー」シリーズ、デンカ社製の「SFP」シリーズ等)、ジカプリン酸プロピレングリコール等のエステルで表面処理された酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製の「FINEX」シリーズ等)、多価アルコール及び無機物で被覆処理された酸化チタンフィラー(石原産業社製の「タイペーク」シリーズ等)、アルキルシランで表面処理されたルチル型酸化チタン(テイカ社製の「JMT」シリーズ等)、タルクフィラー(日本タルク社製の「SG」シリーズ等)、ステアタイトフィラー(日本タルク社製の「BST」シリーズ等)、酸化マグネシウムフィラー(宇部マテリアルズ社製の「マグネシア」シリーズ等が挙げられる。
本組成物は、硬化性化合物がエポキシ化合物である場合、さらに架橋剤を含むのが好ましい。架橋剤とは、Fポリマー又はエポキシ化合物と反応して架橋構造を形成する剤であり、水酸基含有基又はカルボニル含有基又はエポキシ基と反応し得る基を2個以上有する化合物である。
なお、架橋剤は、Fポリマー、硬化性化合物、硬化剤、無機フィラーのいずれとも異なる化合物である。
本組成物は、液物性に優れるため、架橋剤を含めば、それから成形物を形成する際に、ポリマーマトリックスの架橋密度を調整して、成形物の柔軟性及び接着性を高度に調整しやすい。
架橋剤としては、酸無水物残基を2個以上有する化合物(酸無水物型架橋剤)、エステル基を2個以上有する化合物(エステル型架橋剤)、カーボネート基を2個以上有する化合物(カーボネート型架橋剤)、シアン酸基を2個以上有する化合物(シアン酸型架橋剤)、イソシアネート基を2個以上有する化合物(イソシアネート型架橋剤)が挙げられる。
架橋剤は、エステル型架橋剤又はイソシアネート型架橋剤であるのが好ましい。イソシアネート型架橋剤は、2個以上のイソシアネート基を有する化合物、又は、2個以上のブロック化イソシアネート基を有する化合物が好ましい。
イソシアネート型架橋剤の具体例としては、「スミジュールBL」シリーズ、「デスモジュールTPL」シリーズ(いずれも住化コベストロウレタン株式会社製)、「コロネート2500番台」シリーズ(東ソー株式会社製)、「NATE」シリーズ(旭化成株式会社製)、カレンズMOI−BM(昭和電工株式会社製)が挙げられる。
本組成物は、それから形成される成形物に現像性を付与し、基板上にパターン層を形成するために使用されるレジスト材料とする観点から、さらに、アルカリ可溶性ポリマーを含むのが好ましい。
アルカリ可溶性ポリマーは、酸性基を有するポリマーであるのが好ましく、カルボキシル基又はフェノール性水酸基を有するポリマーであるのがより好ましい。なお、アルカリ可溶性ポリマーは、感光又は熱によって、アルカリ可溶性が発現するポリマーも包含される。また、アルカリ可溶性ポリマーは、Fポリマー、硬化性化合物、硬化剤、無機フィラー、架橋剤のいずれとも異なる化合物である。
アルカリ可溶性ポリマーは、フェノール性水酸基又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリレートのポリマー、フェノール性水酸基又はカルボキシル基を有するポリカーボネート、フェノール性水酸基又はカルボキシル基を有するポリウレタン、カルボキシル基を有するオキタセンポリマーが挙げられる。これらのポリマーのフェノール性水酸基又はカルボキシル基は、感光又は熱によって脱離する保護基によって保護されていてもよい。
本組成物は、分散性とハンドリング性とを向上させる観点から、さらに、界面活性剤を含んでもよい。
界面活性剤は、ノニオン性であるのが好ましい。
界面活性剤の親水部位は、オキシアルキレン基又はアルコール性水酸基を有するのが好ましい。
オキシアルキレン基は、1種から構成されていてもよく、2種以上から構成されていてもよい。後者の場合、種類の違うオキシアルキレン基は、ランダム状に配置されていてもよく、ブロック状に配置されていてもよい。
オキシアルキレン基は、オキシエチレン基が好ましい。
界面活性剤の疎水部位は、アセチレン基、ポリシロキサン基、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルケニル基を有するのが好ましい。換言すれば、界面活性剤は、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤又はフッ素系界面活性剤が好ましい。
中でも、界面活性剤は、フッ素系界面活性剤がより好ましく、水酸基(特に、アルコール性水酸基)又はオキシアルキレン基と、ペルフルオロアルキル基又はペルフルオロアルケニル基とを有するフッ素系界面活性剤がさらに好ましい。
かかる界面活性剤の具体例としては、「フタージェント」シリーズ(ネオス社製)、「サーフロン」シリーズ(AGCセイミケミカル社製)、「メガファック」シリーズ(DIC社製)、「ユニダイン」シリーズ(ダイキン工業社製)が挙げられる。
本組成物は、さらに他の樹脂を含んでもよい。他の樹脂は、熱硬化性樹脂であってもよく、熱可塑性樹脂であってもよい。
他の樹脂は、芳香族性ポリマーが好ましい。この場合、成形物がUV吸収性に優れ、UV加工性に優れやすい。
他の樹脂としては、マレイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリエステル、Fポリマー以外のフルオロポリマーが挙げられる。
他の樹脂としては、マレイミド樹脂、ポリイミド及びポリアミック酸が好ましい。この場合、本組成物から形成する成形物が柔軟性と接着性とに優れやすい。他の樹脂としては、いずれも芳香族性の、マレイミド樹脂、熱可塑性ポリイミド及びポリアミック酸がより好ましい。
また、本組成物は、これらの成分以外にも、シランカップリング剤、脱水剤、消泡剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、離型剤、表面処理剤、難燃剤等の添加剤を含んでいてもよい。
本組成物における、Fポリマー、硬化性化合物、硬化剤及び無機フィラーの合計での含有量は、60質量%以上であり、75質量%以上であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、95質量%以上であるのがさらに好ましい。上記含有量の和は、100質量%以下であるのが好ましい。
なお、本組成物が、Fポリマー、硬化性化合物、硬化剤及び無機フィラー以外の成形物の形成成分を含む場合(例えば、上記架橋剤又はアルカリ可溶性ポリマーを含む場合)、それらの合計での含有量は、60質量%超であり、75質量%超であるのが好ましく、90質量%以上であるのがより好ましく、95質量%超であるのがさらに好ましい。上記合計での含有量は、100質量%以下であるのが好ましい。
本組成物は、溶媒を含まないか、又は、溶媒を含み、かつ溶媒の含有量が40質量%以下であるのが好ましい。本組成物における溶媒の含有量は、25質量%以下であるのが好ましく、10質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以下であるのがさらに好ましい。また、本組成物における溶媒の含有量の下限は、0%である。
なお、溶媒とは、25℃において液体であり、上記成形物の形成成分のいずれとも反応しない不活性な化合物であり、上記成形物の形成成分を溶解又は分散する作用を有する化合物である。
溶媒の具体例としては、水、セロソルブ系溶媒、エステル系溶媒、プロピレングリコール系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
本組成物におけるFパウダーの含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。Fパウダーの含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
本組成物における硬化性化合物の含有量は、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。硬化性化合物の含有量は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。
本組成物における硬化剤の含有量は、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。硬化剤の含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
本組成物における無機フィラーの含有量は、30質量%超が好ましく、40質量%以上がより好ましい。無機フィラーの含有量は、75質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましい。
本組成物において、Fパウダーの含有量に対する硬化性化合物の含有量の比は1〜5であり、硬化性化合物の含有量に対する硬化剤の含有量の比は0.1〜0.3であり、Fパウダーの含有量に対する無機フィラーの含有量の比は1超5以下であるのが、それぞれ好ましい。
本組成物は、多層プリント配線板の貫通孔又は凹部の穴埋めに用いられる充填材料として好適に使用できる。
多層プリント配線板は、絶縁層を介して積層された複数の回路パターンを有している。絶縁層は、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、シアネートエステル、ポリイミド、フルオロポリマー等で構成される。また、回路パターンは、メッキ等により形成される金属膜で構成されている。また、この多層プリント配線板は、その厚さ方向に貫通する貫通孔又は凹没する凹部を有している。貫通孔又は凹部は、ドリル加工、レーザー加工により形成されている。貫通孔又は凹部の内面には、導電膜が形成されており、所定の回路パターン同士が電気的に接続されている。かかる貫通孔又は凹部に本組成物が充填され、加熱により硬化させると、貫通孔又は凹部が穴埋めできる。
本組成物の貫通孔又は凹部への充填は、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、ダイコーティング法、真空印刷法により実施できる。このとき、本組成物を貫通孔又は凹部からはみ出す程度に充填するのが好ましい。
本組成物の加熱の条件は、80〜160℃で30〜180分間が好ましい。なお、本組成物の硬化におけるアウトガスを抑制する観点からは、本組成物を仮硬化段階および本硬化段階の2段階で硬化させるのが好ましい。
仮硬化の条件としては、80〜110℃で30〜90分間が好ましい。この場合、仮硬化後の硬化物は、その硬度が比較的低いので、貫通孔又は凹部からはみ出す不要部分を、研磨、エッチング等により容易に除去できる。この硬化物の硬度は、仮硬化における加熱時間、加熱温度の変更により調整できる。
本硬化の条件としては、130〜160℃で30〜180分間が好ましい。この本硬化により、多層プリント配線板の絶縁層との密着性が高い成形物(充填物)が得られる。また、本組成物は、硬化時の容積変化率が小さいため、多層プリント配線板の形状安定性の低下を防止できる。
本組成物から得られた成形物の断面ボイド率は、5%以下が好ましく、3%以下がより好ましい。断面ボイド率の下限は0%である。本組成物は、揮発成分の含有量が少ないため、成形物を成形する際に、ボイドが発生しにくい。
なお、この段階で、成形物の貫通孔又は凹部からはみ出す不要部分を除去して、平坦化してもよい。その後、多層プリント配線板の表面に、メッキ等により金属膜を形成し、所定パターンにパターニングして回路パターンを形成してもよい。なお、多層プリント配線板の表面には、金属膜の形成に先立って、必要に応じて、過マンガン酸カリウム水溶液等による粗化処理を行ってもよい。
また、本組成物は、ドライフィルムを作製するのに好適に使用できる。
かかるドライフィルムは、キャリアフィルム上に、本組成物を塗布、乾燥して、乾燥被膜としての樹脂膜を形成することにより作製できる。ドライフィルムには、必要に応じて、保護フィルムを積層してもよい。
キャリアフィルムとは、ドライフィルムを支持する機能を有するフィルムである。かかるキャリアフィルムとしては、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリスチレンフィルム、表面処理した紙基材が挙げられる。中でも、耐熱性、機械的強度、取扱性等の観点から、ポリエステルフィルムが好ましい。
キャリアフィルムの厚さは、10〜150μmであるのが好ましい。なお、キャリアフィルの表面には、離型処理を施してもよい。
保護フィルムは、ドライフィルムの表面に塵等が付着するのを防止するとともに、その取扱性を向上させる目的で、ドライフィルムのキャリアフィルムと反対側の面に貼着されるフィルムである。
保護フィルムには、例えば、上記キャリアフィルムで挙げたのと同じフィルムや紙基材が用いられる。中でも、ポリオレフィンフィルム又はポリエステルフィルムが好ましい。
保護フィルムの厚さも、10〜150μmであるのが好ましい。なお、保護フィルムの表面には、離型処理を施してもよい。
かかる3層構成の積層フィルム(本発明のシート)を使用して、プリント配線板を製造できる。
まず、ドライフィルムからキャリアフィルム及び保護フィルムのいずれか一方を剥離し、回路パターンが形成された回路基板に圧着した後、熱硬化させる。熱硬化には、オーブン、熱プレス機等を使用できる。その後、回路基板の所定の箇所に、レーザー加工またはドリル加工で貫通孔(ビアホール)を形成し、回路パターンを露出させる。これにより、プリント配線板が得られる。なお、回路パターン上に除去しきれず不要成分(スミア)が残留した場合には、デスミア処理を行うのが好ましい。
キャリアフィルム及び保護フィルムの他方は、所定の段階で、ドライフィルムから剥離される。なお、回路パターン同士の電気的な接続には、貫通孔の内面に形成された導電膜、貫通孔内に収納されたピラーやポストを使用できる。
また、本組成物は、ソルダーレジストとして好適に使用できる。
ソルダーレジストは、スクリーン印刷法、バーコート法、ブレードコート法等の塗布方法により回路基板上に塗布できる。
塗布後、指触乾燥性を得るために、塗膜を乾燥するのが好ましい。この乾燥の条件は、75〜95℃で40〜70分間とするのが好ましい。
乾燥には、熱風循環式乾燥炉や遠赤外線乾燥炉を使用できる。
乾燥後の塗膜(乾燥被膜)の厚さは、乾燥被膜の現像性及び印刷性が良好になる観点から、10〜150μmが好ましく、20〜60μmがより好ましい。
次に、所定の露光パターン(開口)を有する露光マスクを使用して、露光光を乾燥被膜に照射する。
露光光源には、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプ等を使用できる。露光量としては、積算光量を200mJ/cm以下とするのが好ましい。
なお、露光マスクを使用することなく、レーザー・ダイレクト・イメージング装置により、乾燥被膜にパターンを形成してもよい。
次に、乾燥被膜を現像液により現像する。これにより、乾燥被膜の不要部分が除去されて、所定のパターンを有する乾燥被膜が得られる。
現像液は、スプレー法、浸漬法等により、露光後の乾燥被膜に付与できる。
現像液には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム等のアルカリを含むアルカリ水溶液を使用するのが好ましく、アルカリを濃度1.5質量%以下で含む希アルカリ水溶液を使用するのがより好ましい。
本組成物によれば、現像液として希アルカリ水溶液を使用できるので、ダメージが少なく、解像性にも優れる乾燥被膜が得られる。
現像液の具体的な態様としては、炭酸ナトリウムを濃度0.2〜2.0質量%で含む希アルカリ水溶液が好ましい。
なお、現像後の乾燥被膜は、不要な現像液を除去するために、水洗や酸中和を行うのが好ましい。
次に、得られた現像後の乾燥被膜を、加熱や紫外線の照射により硬化させる。これにより、印刷性に優れ、かつ、密着性および耐クラック性に優れる硬化被膜(成形物)が得られる。
加熱による硬化の場合、加熱温度は、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。一方、紫外線の照射による硬化の場合、紫外線の照射強度は、500〜3000mJ/cmが好ましく、500〜2000mJ/cmがより好ましい。
1.各成分の準備
[Fポリマー]
Fポリマー1:TFE単位、NAH単位及びPPVE単位を、この順に98.0モル%、0.1モル%、1.9モル%含み、酸素含有極性基を有するPFA系ポリマー(溶融温度:300℃)
非Fポリマー1:TFE単位及びPPVE単位を、この順に98.7モル%、1.3モル%含み、酸素含有極性基を有さないPFA系ポリマー(溶融温度:305℃)
[パウダー]
パウダー1:Fポリマー1からなる、D50が2.1μmのパウダー
パウダー2:非Fポリマー1からなる、D50が1.8μmのパウダー
[硬化性液状化合物]
硬化性化合物1:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製、「jER828」)
硬化性化合物2:ジクリシジルアニリン(日本化薬株式会社製、「GAN」)
[硬化剤]
硬化剤1:イミダゾールヒドロキシメチル体(四国化成工業社製、「2PHZ」)
硬化剤2:変性脂肪族ポリアミン(富士化成工業社製、「フジキュアFXR−1030」)
[無機フィラー]
フィラー1:D50が0.4μmのシリカフィラー
[消泡剤]
消泡剤1:シリコーンオイル(信越化学工業社製、「KS−66」)
2.液状組成物の製造例
下記表1に示すように、種々の成分を所定の割合(質量部)で配合し、攪拌機にて予備混合した後、3本ロールミルにて分散を行い、液状組成物1及び2を調製した。
Figure 2021172714
3.液状組成物の粘度の評価
上述したような方法で、液状組成物1及び2の粘度を測定した。その結果、液状組成物1の粘度は8000mPa・sであり、液状組成物2の粘度は100000mPa・s超であった。
4.穴埋め多層プリント配線板の製造
まず、多層プリント配線板に、ドリル加工により、内径が0.3mm、深さが3.2mmの貫通孔を形成した。次に、貫通孔の内面全体に、銅メッキにより、導電膜(厚さ:25μm)を形成した。次いで、各液状組成物をスクリーン印刷法により貫通孔内に充填し、熱風循環式乾燥炉(ヤマト科学株式会社製、「DF610」)にて150℃で30分加熱することにより硬化させた。
多層プリント配線板を厚さ方向と直交する方向に沿って切断した後、切断面をSiC研磨紙(丸本ストルアス株式会社製、「500番」及び「2000番」)と研磨機(ハルツォク・ジャパン株式会社製、「FORCIPOL−2V」)とを使用して研磨した。
液状組成物の硬化物で穴埋めされた貫通孔の断面を、光学顕微鏡及び電子顕微鏡を使用して観察した結果、貫通孔の断面積に対するボイドの占める割合(断面ボイド率)は、液状組成物1を使用した場合には5%以下であり、液状組成物2を使用した場合には5%超であった。
本発明の液状組成物は、分散安定性とハンドリング性に優れ、Fポリマーに基づく物性に基づく特性を具備した成形物(フィルム、プリプレグ等の含浸物、積層板等)の製造に使用できる。本発明の成形物は、アンテナ部品、プリント基板、航空機用部品、自動車用部品、スポーツ用具、食品工業用品、塗料、化粧品等として有用であり、具体的には、電線被覆材(航空機用電線等)、電気絶縁性テープ、石油掘削用絶縁テープ、プリント基板用材料(特に、プリント基板穴埋め材料)、分離膜(精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜、イオン交換膜、透析膜、気体分離膜等)、電極バインダー(リチウム二次電池用、燃料電池用等)、コピーロール、家具、自動車ダッシュボート、家電製品等のカバー、摺動部材(荷重軸受、すべり軸、バルブ、ベアリング、歯車、カム、ベルトコンベア、食品搬送用ベルト等)、工具(シャベル、やすり、きり、のこぎり等)、ボイラー、ホッパー、パイプ、オーブン、焼き型、シュート、ダイス、便器、コンテナ被覆材として有用である。

Claims (15)

  1. 水酸基含有基又はカルボニル基含有基を有し、溶融温度が200〜320℃であるテトラフルオロエチレン系ポリマーのパウダーと、エポキシ基又は(メタ)アクリロイルオキシ基を2個以上有する化合物と、硬化剤と、無機フィラーとを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマー、前記化合物、前記硬化剤及び前記無機フィラーの合計での含有量が60質量%以上である、液状組成物。
  2. さらに、アルカリ可溶性ポリマーを含み、前記テトラフルオロエチレン系ポリマー、前記化合物、前記硬化剤、前記無機フィラー及び前記アルカリ可溶性ポリマーの合計での含有量が60質量%超である、請求項1に記載の液状組成物。
  3. 粘度が100000mPa・s以下である、請求項1又は2に記載の液状組成物。
  4. 溶媒を含まないか、又は、溶媒を含み、かつ前記溶媒の含有量が40質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状組成物。
  5. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーが、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく単位を含み、カルボニル基含有基を有するテトラフルオロエチレン系ポリマーである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液状組成物。
  6. 前記パウダーが、平均粒子径が0.1〜6μmであるパウダーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の液状組成物。
  7. 前記無機フィラーが、酸化ケイ素を含むフィラーである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の液状組成物。
  8. 前記無機フィラーが、平均粒子径が0.1〜25μmである無機フィラーである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の液状組成物。
  9. 前記化合物が、エポキシ基を2個以上有する液状化合物である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の液状組成物。
  10. 前記化合物が、エポキシ基を2個以上、かつ、3級アミン構造を有する液状化合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液状組成物。
  11. 前記化合物が、ビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、カテコール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のエポキシ基を2個以上有する液状化合物である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液状組成物。
  12. 前記硬化剤が、アミン、イミダゾール、フェノール又は酸無水物である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の液状組成物。
  13. 前記テトラフルオロエチレン系ポリマーの含有量が30質量%以下、前記化合物の含有量が30質量%以下、前記硬化剤の含有量が15質量%以下、前記無機フィラーの含有量が30質量%超である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の液状組成物。
  14. 多層プリント配線板の貫通孔又は凹部の穴埋めに用いられる充填材料である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の液状組成物。
  15. 請求項1〜13のいずれか1項に記載の液状組成物から形成された層を有するシート。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023189795A1 (ja) * 2022-03-29 2023-10-05 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 分散組成物、フッ素系樹脂フィルム、金属張積層板及びその製造方法

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