JP2021171291A - 仮収容器具 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンパクトに格納して保管できると共に容易に展開でき、狭いスペース、例えば病院廊下であっても、患者の容体に応じて仮収容させる仮収容器具を提供する。【解決手段】感染症の患者100を仮収容させる仮収容器具1において、敷マット部をなす平坦シート体10と、患者100を覆う覆部20と、覆部20の形状保持手段30と、通気選択手段40とを含み、覆部20が、透明な軟質樹脂シートからなり、天部21が患者100の頭部から足部に向けて細長く延びると共に両端面が閉じられて、患者100の身体全体を収容し覆う大きさとされ、平坦シート体10の一短縁部11と覆部20の一短縁部辺が溶着され、平坦シート体10と覆部20が向い合う、その他の周縁12が閉鎖可能とされ、形状保持手段30が、覆部20の外面に、長辺に沿って複数列をなすように所定の間隔で配列され、天部21がゆるやかに湾曲されたアーチ状の形状に保持させるようにした。【選択図】図1
Description
本発明は、感染症の患者を一時的に収容させる仮収容器具に関する。具体的には、感染症に罹患した患者又は罹患している怖れがある者を、他の者から一時的に隔離して収容させる仮収容器具に関する。
感染症の患者は、気道粘膜に付着したウイルスや細菌等の病原体や埃の異物をからめとった飛沫を咳とともに外部に排出させるため、周囲の者に感染の危険性を及ぼす。そのため感染症患者用の搬送装置やベッドが設置された空間は、その周りを囲って、周囲の空間よりも負圧にして、感染症患者が収容された空間からウイルス等が外部に出ないようにされている。
しかし、2019年末頃からの新型コロナウイルスの世界的流行により、感染症患者のベッドをはじめとして、病院ベッドが不足するようになっている。感染症の流行の程度は異なっているが、感染症の患者を治療できるベッド数が逼迫し、一時的にでも患者を収容する仮収容器具が求められるようになっている。
特許文献1には、二枚のシート体が張り合わされて平坦な形状とされてなる感染症患者搬送バッグの技術が開示されている。この技術によれば、長方形形状のシート状の下カバーと上カバーとを重ね合わせ、一つの長辺の一部を接合させ、接合されていない三方はファスナにより開閉されるとされ、二つの短辺と一つの長辺の三方が開放可能とされている。
また、患者を収容して密閉させる際には、患者が息苦しさを感じないように顔面を跨ぐアーチ状のスペーサ部材を設置させるとしているが、ウイルスが漏出しないように収容空間を負圧にすると、スペーサ部材を設置していないシート部分が患者に密着した状態となり、感染症患者搬送バッグの外から患者に応急処置ができなくなるという課題があった。
特許文献2には、感染症患者を搬送させる際にはウイルス飛散を防止させ、不使用時には折りたたみ可能とされた患者搬送装置の技術が開示されている。この技術は、底面と、アーチ部と、半円形状の端部壁とからなり、組み立てると半円柱形状をなして患者を収納させる。両端面の円弧状部位置と、一方の底部とアーチ部とが接する位置にファスナが備えられている。
この技術によれば、ファスナを解放させてシート体を展開させると、底面とアーチ部と端部壁とが平坦面をなし、折りたたんだ状態とすれば保管しやすいとされている。しかし、この患者搬送装置のシート体は長辺方向が繋がった状態とされているため、患者を収容させる前に広いスペースで全体を展開させ、患者を収容してから端部壁を折り上げ、長辺方向に展開されているシート体を、患者を覆うように患者の側方から引き寄せて、周囲のファスナを閉鎖させる必要があった。
この文献に記載の技術によれば、患者を収容するためには、患者搬送装置のシート体を展開できる広いスペースが必要なだけでなく、患者にシート体を覆う前に患者にシート体を接しさせる庚性があるという課題があった。
特許文献6には、担架に取り付け可能な本体カプセルと、本体カプセルに接続可能な環境制御システムとからなる独立収容式の隔離および環境保護システムの技術が開示されている。本体カプセルは、病原菌を通さない不浸透性の材料から形成され、環境制御システムにより新鮮な空気が供給されるとしている。
この技術によれば、空気の導入により収容包囲壁要素に陽圧、すなわち周囲よりも高い圧力が加わり、これによって、患者を周囲の環境から有利に隔離するとされている。しかし、患者収容部を周囲より高い圧力としているため、高度に制御された環境制御システムがなければウイルスが飛散する恐れがあるという課題があった。
本発明が解決しようとする課題が、コンパクトに格納して保管できると共に、狭いスペース、例えば病院廊下であっても容易に展開でき、感染症の患者を収容することができ、ウイルス等の飛散を抑制しつつ、感染症の患者を容体が観察しやすく、患者の容体に応じて対応することができるようにする仮収容器具に関する。
本発明の第1の発明は、感染症の患者を仮収容させる仮収容器具において、敷マット部をなす平坦シート体と、前記患者を覆う覆部と、前記覆部の形状保持手段と、通気選択手段とを含み、前記平坦シート体が、横臥した前記患者よりも広く、前記覆部が、透明な軟質樹脂シートからなり、天部が患者の頭部から足部に向けて細長く延びると共に両端面が閉じられて、患者の身体全体を収容し覆う大きさとされ、前記平坦シート体の一短縁部と前記覆部の一短縁部が溶着され、前記平坦シート体と前記覆部が向い合ったその他の周縁がファスナにより閉鎖可能とされ、前記形状保持手段が、環部と細軸体とされ、前記環部は、前記覆部の外面に、覆部の長辺に沿って複数列をなすように所定の間隔で配列され、前記細軸体が、各列の前記環部に挿通されて、前記天部がゆるやかに湾曲されたアーチ状の形状に保持し、前記通気選択手段が、足部側端面と頭部側端面とに付設され、いずれか一方から吸気されると共に他方から排気されるように選択され、溶着された一短縁部に、前記患者の足を向けて、前記患者を横臥させた状態で、アーチ状に形状保持させた前記覆部を前記患者の足元から頭部にかけて傾けるようにかぶせて、周縁を閉鎖させ前記患者を仮収容させることを特徴としている。
本発明の仮収容器具は、患者を覆う覆部が、透明な軟質樹脂シートからなり、患者の容体を仮収容器具の外部から観察できるだけでなく、患者自身も外部の状態を観察することができるため不安な感情が和らいだ状態で一時的に収容される。
患者が収容される際には、予め、アーチ状の形状をなす覆部の天面上部に縦・横に規則的に列をなすように配列された環部に細軸体が挿通されて、覆部の形状がアーチ状の形状で保持され、仮収容器具は狭い空間で組み立てることができる。平坦シート体と覆部とが溶着された側に、患者の足部を向けて患者を横臥させてから、アーチ状の形状とされた覆部を傾けるようにして、最後に患者の頭部を覆うようにされ、狭い空間で患者を収容することができる。患者は、覆部に完全に覆われるまで、自分の意思を看護士に伝えることができるため、不安が少ない状態で仮収容器具に収容される。
患者を収容してから、患者の身体の両側方及び足部のファスナが閉鎖され、内外の空間の空気流が遮断され、ウイルス等の飛散が防止される。通気選択手段が、足部側端面と頭部側端面とに備えられ、いずれか一方を流入側、他方を流出側として選択できるようにされている。一方から他方に空気が流れるため、流入された空気とともに患者の呼気に含まれるウイルス等もよどみなく排出されやすい。
患者が酸素マスクをしている場合には、足部側から空気を流入させ、患者の呼気が速やかに排出されるようにすればよく、患者が酸素マスクをしていない場合には、頭部側から空気を流入させ、できるだけ多くの新鮮空気が患者に呼吸されるようにすればよい。
本発明の第1の発明によれば、透明な樹脂シート体を通して患者の容体が観察できると共に、狭い空間で仮収容器具を組み立てて、患者を収容できるだけでなく、内外の空間の空気流が遮断されてウイルスの飛散を防止しつつ患者を新鮮空気環境で養生させることができるという従来にない有利な効果を奏する。
本発明の第2の発明は、第1の発明の仮収容器具であって、前記通気選択手段には、通気前室が付設され、前記通気前室が、前記覆部をなす軟質樹脂シートよりも変形しやすいシートとされ、前記通気前室を通して、外気が吸入され、仮収容部内空気が排出されることを特徴としている。
各々の通気選択手段に付設されている通気前室は、アーチ形状の内部に付設されてもよく、外部に付設されてもよい。通気前室の材質は覆部をなす軟質樹脂シートよりも変形されやすいシートとされているため、外部から加圧された空気が流入されれば通気前室は膨張した状態となり、内部から空気が流出されれば通気前室は萎んだ状態となる。仮収容器具の外から医師又は看護士が通気前室の形状を観察すれば、外部から空気が流入されているか、及び、内部から空気が流出されているかが一目で確認でき、治療行為が軽減されるという効果を奏する。
本発明の第3の発明は、第2の発明の仮収容器具であって、前記仮収容部内空気の排出により、仮収容部内の空間が周囲の空間よりも負圧とされることを特徴としている。仮収容部内の空間が周囲の空間よりも負圧とさせる方法は限定されず、流入空気容積よりも、流出空気容積を大きくすればよい。内部の負圧の程度により、空気の流入量と流出量を制御すればよいことは勿論のことである。
本発明の第3の発明によれば、仮収容器具の中の患者収容空間の圧力が、常に患者収容空間の外の圧力よりも負圧とされるため、仮収容器具の外へのウイルスの飛散が防止されるという有利な効果を奏する。
・本発明の第1の発明によれば、透明な樹脂シート体を通して患者の容体が観察できると共に、狭い空間で仮収容器具を組み立てて、患者を収容できるだけでなく、内外の空間の空気流が遮断されてウイルスの飛散を防止しつつ患者を新鮮空気環境で養生させることができるという従来にない有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、仮収容器具の外から医師又は看護士が通気前室の形状を観察すれば、外部から空気が流入されているか、及び、内部から空気が流出されているかが一目で確認でき、治療行為が軽減されるという効果を奏する。
・本発明の第3の発明によれば、仮収容器具の中の患者収容空間の圧力が、常に患者収容空間の外の圧力よりも負圧とされるため、仮収容器具の外へのウイルスの飛散が防止されるという有利な効果を奏する。
・本発明の第2の発明によれば、仮収容器具の外から医師又は看護士が通気前室の形状を観察すれば、外部から空気が流入されているか、及び、内部から空気が流出されているかが一目で確認でき、治療行為が軽減されるという効果を奏する。
・本発明の第3の発明によれば、仮収容器具の中の患者収容空間の圧力が、常に患者収容空間の外の圧力よりも負圧とされるため、仮収容器具の外へのウイルスの飛散が防止されるという有利な効果を奏する。
感染症の患者を仮収容させる仮収容器具を、患者を横臥させる平坦シート体の一短縁部と、患者を覆う覆部の一短縁部とを溶着させ、その他の周縁部をファスナにより閉鎖可能とさせた。仮収容器具に、覆部の形状保持手段を備えさせ、ファスナを開放させて覆部を持ち上げた状態であっても、仮収容器具の内部を負圧に保った状態であっても、覆部をアーチ状に保持することができるようにした。患者を仮収容させる際には、患者の足を前記一短縁部に向けて横臥させた状態で、アーチ状に形状保持させた前記覆部を前記患者の足元から頭部にかけて傾けるようにかぶせて、周縁を閉鎖させる。これにより、搬送された患者を速やかに隔離させることができると共に、患者を仮収容させる際に不安感・圧迫感を与えにくいようにした。
実施例1においては、仮収容器具1を図1から図3を参照して説明する。図1(A)図は、仮収容器具1の斜視図を示している。図1(B)図は、医療従事者が覆部を患者100の足元から頭部にかけて傾けるようにかぶせている状態を示している。図2は、通気選択手段を説明する説明図を示している。図2においては、理解を容易にするために通気選択手段と、仮収容器具の一部のみを示し、他を省略している。図2(A)図は、酸素マスクが不要な軽症患者に適用させた例を示し、図2(B)図は、酸素マスク101が必要な重症患者に適用させた例を示している。図3は、仮収容器具をコンパクトに格納させた状態から、覆部を広げて組み立てる状態を示している。
仮収容器具1は、感染症の患者を横臥させる敷マット部をなす平坦シート体10と、患者を覆う覆部20と、覆部を天部がゆるやかに湾曲されたアーチ状の形状に保持させる形状保持手段30と、通気選択手段40とを備えている(図1各々の図参照)。仮収容器具1をなす平坦シート体10及び覆部20の大きさは、患者100の身体全体を収容し覆う大きさであればよく限定されない。例えば、長辺が約200cm、短辺が約90cm、高さが約90cmの略半円柱形状とさせると、病院廊下のような狭いスペースであっても、仮収容器具を組み立てることができると共に、廊下に沿って並べて配置させることができる。
平坦シート体10は、細長く伸びる矩形形状とされ、一短縁部11が溶着により覆部20と一体をなしている。平坦シート体10は、前記覆部20と向い合う、その他の三方の周縁12,12,12がファスナ13により開閉可能とされている。ファスナ13は、周縁12に沿って配される務歯14と、務歯に沿って摺動される開閉部材15とからなっている。
また、平坦シート体10は、底面から起立される起立部16を有し、起立部16と覆部20との境界に前記ファスナ13が備えられる。起立部により、ファスナ13高さ位置が床面よりも高くなり、速やかに開閉させやすくなる。平坦シート体の材質は限定されないが、防水性があると共に耐久性の高い樹脂シートとさせると好適である。例えば、塩化ビニル系多層素材であるターポリンとさせると、耐久性・防水性が高いため劣化されにくく、アルコール消毒により繰り返し使用ができ好適である。平坦シート体の厚さは限定されず、例えば約0.35mmの厚さであればよい。
覆部20は、天部21が患者100の頭部から足部に向けて細長く延びると共に両端面22,22が閉じられて、患者の身体全体を収容し覆う大きさとされている。覆部20は、形状保持手段30に保持されることにより、天部21がゆるやかに湾曲されたアーチ状の形状に保持される。仮収容器具1の収容空間23が、仮収容器具の周囲の空間よりも負圧に保たれている間は、前記天部21が内方に向けて緩やかに窪んで湾曲される。これにより、仮収容器具1の外へのウイルスの飛散が防止されている状態か否かを、一目で視認させることができる。
覆部20の材質は、内部を視認できるように、透明な軟質樹脂シートであればよく限定されない。例えば、ポリ塩化ビニル樹脂とさせると、耐久性・防水性が高いため劣化されにくく、アルコール消毒により繰り返し使用ができ好適である。また、軽量であると共に、溶着性にも優れている。軟質樹脂シートの厚さは限定されず、例えば0.3mmの厚さであればよい。また、覆部の長辺両側の各々には、患者の処置用の窓部24,24が備えられている。窓部24は、その周縁部に沿って配されたファスナ25によって開閉される。患者の処置とは、治療だけでなく、物の受渡も含まれる。窓部24が覆部の両側に備えられるため、病院廊下において仮収容器具の長辺を壁に沿って並べた場合であっても、窓部の使用が妨げられない。
形状保持手段30は、複数の環部と、環部に挿通させる細軸体とされる。形状保持手段をなす細軸体は、アーチ状に湾曲された細軸体31と、覆部の長手方向に沿って伸びる直線状の細軸体32とされ、これらが前記覆部の天部21をアーチ状に湾曲された形状に保持させている。アーチ状に湾曲された細軸体が挿通される環部33と、直線状の細軸体が挿通される環部34とが、覆部20の外面に、覆部の長辺に沿って複数列をなすように所定の間隔で配列されている。アーチ状に湾曲された細軸体31が、覆部の円弧線に沿って配列された環部33に挿通されることにより、覆部の天部21が緩やかに湾曲されたアーチ形状を保持させている。
より詳細には、アーチ状に湾曲された細軸体31が挿通される環部33の列は、所定の間隔で配されるように、覆部20の両端部及び中央部に配置される。各々の列をなす環部33は、覆部の両端面22の湾曲された円弧線に沿って配列されている。環部33のうち、細軸体31の両端を挿通させる下端位置の環部35については、挿通された細軸体31が突っ張った状態とされるように底部を備えている。他の環部33には細軸体が貫通して挿通される。
直線状の細軸体32を挿通させる環部34は、挿通部が覆部の長辺方向に向けられて、覆部20の長辺に沿って複数列をなすように配列されている。覆部の両端部にある環部36は、挿通された細軸体が突っ張った状態とされるように底部を備えている。中央部にある環部37は、細軸体32が貫通して挿通される。三本の直線状の細軸体32が、3つのアーチ状に湾曲された細軸部31の間に掛け渡されることにより、覆部の天部21が長手方向に潰れないようにアーチ状の形状を保持させている。
覆部20が形状保持手段30により保持されることにより、医療従事者200が前記ファスナを開放させて、覆部20を前記一端縁部11の軸回りに持ち上げても、覆部の形状をアーチ状のまま保持させることができる(図1(B)図参照)。これにより、搬送されてきた患者100を速やかに仮収容させることができ、咳等によって飛沫と共に排出されるウイルスが病院内に飛散されることを極力少なくさせることができる。細軸体の材質は限定されない。例えば、直径が約5mmから約10mmのグラスファイバーであれば、覆部の形状を保持させることができると共に軽量であり、かつ、可撓性も有するため好適である。
通気選択手段40は、覆部の足部側端面26と頭部側端面27とに付設され、いずれか一方を流入側、他方を流出側として選択できるようにされている(図2の各々の図参照)。例えば、酸素マスクが不要な軽症の患者の場合には、頭部側端面27に付設された通気選択手段40を流入側とさせ、足部側端面26に付設された通気選択手段40を流出側とさせるとよい(図2(A)図参照)。
そうすると、新鮮空気が患者100の頭部側から導入されるため、患者にできるだけ多くの新鮮空気を吸気させやすい。更に、咳等により仮収容器具1の収容空間23に排出されたウイルスを含んだ飛沫300が、空気の流れに沿って足側に移動されやすくなり、飛沫300が患者の頭部周辺で澱みにくく、患者がウイルスを再度取り込みにくい。また、飛沫を空気の流れ(図2(A)図白抜き矢印参照)により流出側に収集させやすいため、ウイルスを通気選択手段に接続させる治療等の際に窓部を開閉させたとしても、ウイルスを外部へ放散させにくい。収集させたウイルスは、足部側から排出される(図2(A)図白抜き矢印参照)。
一方、酸素マスク101が必要な重症の患者の場合には、頭部側端面27に付設された通気選択手段40を流出側とさせ、足部側端面26に付設された通気選択手段40を流入側とさせるとよい(図2(A)図参照)。そうすると、酸素マスクを装着させるまでに排出された飛沫300を、速やかに流出側において捕集させることができる。これにより、重症患者が仮収容されている場合であっても、収容空間23にウイルスを漂わせにくく、医療従事者が安心して治療等を行うことができる。
なお、流入側には新鮮空気を導入させる加圧手段を装着させ、流出側にはウイルスを捕集させるエアフィルタを介して、収容空間を減圧させる減圧手段を装着させればよい。収容空間23を負圧に保つには、減圧手段を作動させて予め収容空間23を負圧とさせてから、流入空気容積と流出空気容積とが均衡を保つように、加圧手段と減圧手段とを作動させればよい。エアフィルタは、クリーンルーム等に使用されるHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)、HEPAフィルタの粒子捕集効率を向上させたULPA(Ultra Low Penetration Air Filter)等であればよく、限定されない。
次に、仮収容器具1の組み立て作業及び折たたみ作業を、図3を参照して説明する。図3(A)図は、折りたたまれた仮収容器具1と、細軸体32とを示し、図3(B)図は仮収容器具1を広げて細軸体32を環部34に挿通させている状態を示している。図3(C)図は、仮収容器具の組み立てが完了した状態を示している。
仮収容器具1を保管させている間は、直線状の細軸体32を三カ所の環部34から脱離させてから、アーチ状に湾曲された細軸体31,31,31を手繰り寄せるようにして平坦シート体10及び覆部20をコンパクトに折りたたんでいる(図3(A)図参照)。仮収容器具1を折りたたむ際にも、ファスナ13(図3(B)図参照)は閉鎖されたままでよい。
仮収容器具1を組み立てる際には、まず折りたたまれた平坦シート体10と覆部20とを引き延ばす(図3(A)図白抜き矢印参照)。次に、中央の環部37に直線状の細軸体32を挿通させると共に、細軸体32の先端部を、一方の端部に配された環部36に挿通させる(図3(B)図参照)。そして、直線状の細軸体32を撓めながら、細軸体の後端部38を、他方の端部に配された環部36に挿通させる。細軸体32が二つの環部36,39の底部の間で突っ張った状態とされることにより、覆部20が長手方向に潰れないように形状が保持された状態となる(図3(C)図参照)。
実施例2においては、通気選択手段に通気前室が付設された仮収容器具2を、図4を参照して説明する。図4(A)図は、通気前室が膨張された状態、すなわち新鮮空気の導入に支障がない状態を示している。図4(B)図は、通気前室が委縮された状態、すなわち新鮮空気の導入に支障が発生している状態を示している。実施例2においては、通気前室を備える点のみが実施例1と異なっている。実施例1と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略している。
実施例2においては、頭部側端面27に備えられる通気選択手段40が流入側とされ、足部側端面26に備えられる通気選択手段が流出側とされる場合を例に説明する。通気前室50は、頭部側端面27に備えられた通気選択手段40に付設されている。通気前室50は、覆部20をなす軟質樹脂シートよりも変形しやすいシートからなっている。例えば、軟質樹脂シートがポリ塩化ビニルとされる場合には、ゴム製のシートからなればよい。ゴム製のシートは着色が容易であり、視認性をより向上させることができる。
流入側の通気選択手段40から新鮮空気が十分に流入されている状態においては、変形されやすい通気前室50が膨らんだ状態となる(図4(A)図参照)。一方、新鮮空気が十分に流入されなくなると、通気前室50が萎んだ状態となる(図4(B)図参照)。通気前室50が萎んだ状態が視認された場合には、流入側の通気選択手段40に装着された加圧手段が機能していない、又は、流入空気容積よりも流出空気容積が大きくなっている。これにより、目視により新鮮空気の導入状況を一目で確認でき、治療行為の負担が軽減されると共に、新鮮空気の流入・流出に不具合が発生した際には早急に対応することができる。
(その他)
・実施例2において、流入側にのみ通気前室を備えさせる例を説明したが、流出側に備えられてもよいことは勿論のことである。また、通気前室を覆部の内部に付設させる例を説明したが、外部に付設されてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
・実施例2において、流入側にのみ通気前室を備えさせる例を説明したが、流出側に備えられてもよいことは勿論のことである。また、通気前室を覆部の内部に付設させる例を説明したが、外部に付設されてもよいことは勿論のことである。
・今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記した説明に限られず特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,2…仮収容器具、
10…平坦シート体、20…覆部、30…形状保持手段、40…通気選択手段、
11…一端縁部、12…周縁、13…ファスナ、14…務歯、
15…開閉部材、16…起立部、
21…天部、22…両端面、23…収容空間、24…窓部、
25…ファスナ、26…足部側端面、27…頭部側端面、
31,32…細軸体、33,34,35,36,37…環部、
38…細軸体の後端部、39…環部、
50…通気前室、
100…患者、101…酸素マスク、200…医療従事者
10…平坦シート体、20…覆部、30…形状保持手段、40…通気選択手段、
11…一端縁部、12…周縁、13…ファスナ、14…務歯、
15…開閉部材、16…起立部、
21…天部、22…両端面、23…収容空間、24…窓部、
25…ファスナ、26…足部側端面、27…頭部側端面、
31,32…細軸体、33,34,35,36,37…環部、
38…細軸体の後端部、39…環部、
50…通気前室、
100…患者、101…酸素マスク、200…医療従事者
Claims (3)
- 感染症の患者を仮収容させる仮収容器具において、
敷マット部をなす平坦シート体と、前記患者を覆う覆部と、前記覆部の形状保持手段と、通気選択手段とを含み、
前記平坦シート体が、横臥した前記患者よりも広く、
前記覆部が、透明な軟質樹脂シートからなり、天部が患者の頭部から足部に向けて細長く延びると共に両端面が閉じられて、患者の身体全体を収容し覆う大きさとされ、
前記平坦シート体の一短縁部と前記覆部の一短縁部が溶着され、前記平坦シート体と前記覆部が向い合ったその他の周縁がファスナにより閉鎖可能とされ、
前記形状保持手段が、環部と細軸体とされ、
前記環部は、前記覆部の外面に、覆部の長辺に沿って複数列をなすように所定の間隔で配列され、
前記細軸体が、各列の前記環部に挿通されて、前記天部がゆるやかに湾曲されたアーチ状の形状に保持し、
前記通気選択手段が、足部側端面と頭部側端面とに付設され、いずれか一方から吸気されると共に他方から排気されるように選択され、
溶着された一短縁部に、前記患者の足を向けて、前記患者を横臥させた状態で、アーチ状に形状保持させた前記覆部を前記患者の足元から頭部にかけて傾けるようにかぶせて、周縁を閉鎖させ前記患者を仮収容させる、
ことを特徴とする仮収容器具。 - 前記通気選択手段には、通気前室が付設され、
前記通気前室が、前記覆部をなす軟質樹脂シートよりも変形しやすいシートとされ、
前記通気前室を通して、外気が吸入され、仮収容部内空気が排出される、
ことを特徴とする請求項1に記載の仮収容器具。 - 前記仮収容部内空気の排出により、仮収容部内の空間が周囲の空間よりも負圧とされる、
ことを特徴とする請求項2に記載の仮収容器具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020077152A JP2021171291A (ja) | 2020-04-24 | 2020-04-24 | 仮収容器具 |
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Family Applications (1)
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2020
- 2020-04-24 JP JP2020077152A patent/JP2021171291A/ja active Pending
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