JP2021165804A - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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俊行 藤田
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【課題】耐摩耗性及び耐傷性が高く、かつ耐メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供する。【解決手段】電子写真感光体は、感光層上に保護層を有する電子写真感光体であって、保護層が、下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含む組成物の重合硬化物を含有する。[一般式(1)において、Aはn価の電荷輸送性基を表す。Zは(m+1)価の有機基を表す。Bはラジカル重合性基を表す。pは1又は2の整数を表し、mは2〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。]【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真感光体及び画像形成装置に関し、特に、耐摩耗性及び耐傷性が高く、かつ耐メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式の画像形成装置は、軽印刷分野への利用が急拡大しており、電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)にはさらなる高耐久化及び高画質化が求められている。また、感光体の耐久性を向上させるため、感光体表面に保護層を設けて機械的強度を向上させる技術が提案されている。
具体的には、感光体の保護層として、官能基を有しない低分子電荷輸送性化合物と多官能のラジカル重合性モノマーを使用し、塗布した後、重合反応を行うことで、表面の摩耗や傷の発生に対して耐久性の高い感光体を作製する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、官能基を有しない電荷輸送物質を架橋表面層(保護層)中に含有させた場合、その相溶性の低さから低分子電荷輸送性化合物の析出や白濁現象が起こりやすく、また、電荷輸送性化合物が可塑剤となるため架橋表面層の機械的強度も低下しやすい。
この問題を解決するため、電荷輸送機能を有するラジカル重合性化合物と、電荷輸送機能を有さないラジカル重合性化合物とを硬化反応させた保護層の技術(例えば、特許文献2参照。)や、同一分子内に二つ以上のラジカル重合性基を有する電荷輸送性化合物を硬化反応させた保護層の技術(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。
しかしながら、これらの技術において耐摩耗性向上と感度特性向上に効果はある程度期待できるものの、近年のさらなる長寿命化の要求には十分でなく、また、電荷輸送性能が十分でないために保護層中で電荷(キャリア)がトラップされ、感光体周期による画像濃度差、いわゆる画像メモリーが発生するなど、耐摩耗性と画像特性を両立させるには十分ではなかった。
特許第3262488号公報 特開2004−302451号公報 特開2000−66424号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、耐摩耗性及び耐傷性が高く、かつ耐メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、電子写真感光体の保護層が、特定構造を有する電荷輸送性化合物を含む組成物の重合硬化物を含有することにより、耐摩耗性及び耐傷性が高く、かつ耐メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することができることを見いだし本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも感光層上に保護層を有する電子写真感光体であって、
前記保護層が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含む組成物の重合硬化物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
Figure 2021165804
[一般式(1)において、Aはn価の電荷輸送性基を表す。Zは(m+1)価の有機基を表す。Bはラジカル重合性基を表す。pは1又は2の整数を表し、mは2〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。]
2.前記一般式(1)において、Aがトリアリールアミン構造を有していることを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
3.前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)又は(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真感光体。
Figure 2021165804
[一般式(2)及び一般式(3)において、A、B、p及びnは、前記一般式(1)におけるA、B、p及びnと同義である。]
4.前記Bが、(メタ)アクリロイルオキシ基であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
5.前記組成物が、さらに3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有することを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
6.第1項から第5項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明の上記手段により、耐摩耗性及び耐傷性が高く、かつ耐メモリー性に優れた電子写真感光体及び画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
高い耐摩耗性を実現するためには、架橋密度を十分に上げる必要があり、そのためにはラジカル重合性電荷輸送性化合物のラジカル重合性基を多官能化することが有効である。しかし、ラジカル重合性基の反応基数を上げると、得られた硬化膜の電荷輸送性能は悪くなることがある。
これは、ラジカル重合性の反応基を有する電荷輸送性化合物の反応基数を多くすると、硬化(重合、架橋)させた際に、前記電荷輸送性化合物における電荷輸送性部位(電荷輸送性基)に歪みが生じ、電荷のホッピング移動性を低下させてしまうためであると推測される。
本発明の一般式(1)で表される構造を有する化合物は、ラジカル重合性の反応基(ラジカル重合性基B)が、電荷輸送性部位である電荷輸送性基Aに対して、エステル結合を含有する連結基で結合し、かつ、連結基が2つ以上のラジカル重合性基Bに結合する分岐構造を有するものである。
このような構造とすることで、硬化(重合、架橋)させた際に、架橋密度が高いにもかかわらず、分子運動しやすいエステル結合を含む連結基の存在により電荷輸送性基Aに歪みを発生させ難く、高い硬度と優れた電荷輸送性能とが両立された硬化膜が得られるものと考えられる。
その結果として、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含有する組成物の重合硬化物からなる保護層は、機械的強度に優れるとともに、電荷輸送性能がより優れ、耐メモリー性にも優れるものと推察される。
本発明の電子写真感光体の一例を示す概略断面図 本発明の電子写真感光体を備える画像形成装置の一例を示す概略断面図
本発明の電子写真感光体は、少なくとも感光層上に保護層を有する電子写真感光体であって、前記保護層が、少なくとも前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含む組成物の重合硬化物を含有することを特徴とする。
この特徴は、下記各実施形態に共通又は対応する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、前記一般式(1)において、Aがトリアリールアミン構造を有していることが、電荷移動度及び酸化安定性が優れる点で好ましい。
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、前記一般式(2)又は(3)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。このような構造を有する化合物とすることで、当該化合物の官能基当量(官能基数に対する分子量の割合)が大きくなり過ぎずに多官能化することができ、より緻密な架橋構造を形成することができるため、高い強度の保護層を形成することができる。
また、前記Bが、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが、少ない光量又は短い時間での硬化が可能である点で好ましい。
前記組成物が、さらに3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有することが好ましい。これにより、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と当該3官能以上のラジカル重合性モノマーが一体となって反応することにより、3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い硬度、かつ、高弾性な保護層が得られ、高い耐摩耗性及び耐傷性を達成することができる。
本発明の電子写真感光体は、画像形成装置に好適に用いられる。
以下、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[本発明の電子写真感光体の概要]
本発明の電子写真感光体は、保護層を有する電子写真感光体であって、前記保護層が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する化合物(以下、「電荷輸送性化合物」ともいう。)を含む組成物(以下、「保護層形成用組成物」ともいう。)の重合硬化物を含有することを特徴とする。
Figure 2021165804
[一般式(1)において、Aはn価の電荷輸送性基を表す。Zは(m+1)価の有機基を表す。Bはラジカル重合性基を表す。pは1又は2の整数を表し、mは2〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。]
前記一般式(1)におけるAは、n価の電荷輸送性基を表す。電荷輸送性基としては、電荷輸送性能を有する化合物に由来する基であればよく、具体的には、フタロシアニン系化合物、ポルフィリン系化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、ヒドラゾン系化合物、エナミン系などの電荷輸送性能を有する化合物に由来する基が挙げられる。これらの中でも、電荷移動度及び酸化安定性などの面で優れる、トリアリールアミン構造を有する基であることが好ましい。
前記一般式(1)におけるBは、ラジカル重合性基を表す。当該ラジカル重合性基としては、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればよく、具体的にはビニル基、アリール基、スチリル基、(メタ)アクリロイルオキシ基(アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)等が挙げられる。少ない光量又は短い時間での硬化が可能であることから、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)であることが特に好ましい。
前記一般式(1)におけるZは、(m+1)価の有機基を表し、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の有機基が好ましい。ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の有機基の例としては、下記構造が挙げられる。なお、下記構造において、「*」が電荷輸送性構造側に結合し、「**」がラジカル重合性基側に結合する。
Figure 2021165804
Figure 2021165804
中でも、下記構造が特に好ましい。
すなわち、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、下記一般式(2)又は(3)で表される構造を有する化合物であることが、より緻密な架橋構造を形成することができるため、高い強度の保護層を形成することができる点で好ましい。
Figure 2021165804
[一般式(2)及び一般式(3)において、A、B、p及びnは、前記一般式(1)におけるA、B、p及びnと同義である。]
前記一般式(1)〜(3)で表される構造を有する化合物の例示化合物として、以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2021165804
Figure 2021165804
Figure 2021165804
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物は、公知の方法を利用して合成することが可能である。
具体的には、下記反応式に示すように、電荷輸送性基を含有するカルボン酸又はその誘導体(酸ハロゲン化物、エステル)(a)と、ラジカル重合性官能基及びヒドロキシ基を有する化合物(b)とのエステル化反応により得られる。
Figure 2021165804
前記反応式中、Xはヒドロキシ基、アルコキシ基又はハロゲン原子を表す。A、Z、B、p、及びnは、前記した一般式(1)中のA、Z、B、p、及びnと同義である。
また、具体的な合成例として、上記化合物(1)を例にとって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(化合物(1)の合成例)
〈ステップ1〉
ジフェニルアミン(16.9g、0.1mol)、3−(4−ブロモフェニル)酢酸エチル(26.7g、0.11mol)、ナトリウム−tert−ブトキシド(21.1g、0.22mol)、酢酸パラジウム(0.45g、2mmol)、及びトリ−tert−ブチルホスフィン(1.6g、8mmol)を混合し、窒素置換した後、オルトキシレン(200mL)を加えて、115℃で3時間加熱撹拌を行った。反応溶液を室温に戻し、セライト濾過を行った。次に、ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、中間体(A)を得た(収量23.5g)。
〈ステップ2〉
中間体(A)(16.6g、50mmol)、テトラヒドロフラン(THF)(300mL)、メタノール(100mL)、水(100mL)、水酸化リチウム一水和物(6.29g、150mmol)を混合し、90℃で3時間撹拌した。次に、室温に冷却後、1M塩酸(200mL)を加え、析出した固体を濾取し、これを水、続けてヘキサンで洗浄し、真空下乾燥を行い、中間体(B)を得た(収量13.6g)。
〈ステップ3〉
中間体(B)(9.1g、30mmol)をトルエン50mLに溶解し、塩化チオニル(17.8g、150mmol)を添加した後、80℃で3時間加熱した。トルエンと過剰の塩化チオニルを留去し、中間体(C)を得た(9.6g)。
〈ステップ4〉
中間体(C)(3.22g、10mmol)、トリエチルアミン(1.21g、12mmol)、p−メトキシフェノール(0.01g)、テトラヒドロフラン(50mL)を混合し、氷冷下、グリセリンジアクリレート(2.40g、12mmol)のテトラヒドロフラン(10mL)溶液を滴下した。滴下終了後徐々に昇温し、室温で2時間撹拌した。水を添加して酢酸エチルで抽出、有機層を水洗し、溶媒を留去した後シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、例示化合物(1)を得た(収量3.11g)。
Figure 2021165804
[電子写真感光体の構成]
本発明の電子写真感光体としては、特に制限されないが、好ましい例として、導電性支持体と、当該導電性支持体上に配置される感光層と、当該感光層上に配置される保護層を最外層として含むものが挙げられる。
また、感光体は、上記の導電性支持体、感光層及び保護層以外の他の構成をさらに含んでいてもよい。当該他の構成の好ましい例としては、中間層等が挙げられる。当該中間層は、例えば、上記導電性支持体と上記感光層との間に配置される、バリアー機能と接着機能とを有する層である。
本発明で用いられる感光体の具体的な層構成として、例えば以下に示すものがある。
(1)導電性支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び保護層が順次積層された層構成
(2)導電性支持体上に、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び保護層が順次積層された層構成
(3)導電性支持体上に、中間層、電荷発生層と電荷輸送層とからなる感光層及び保護層が順次積層された層構成
(4)導電性支持体上に、中間層、電荷輸送物質と電荷発生物質とが含有された単層の感光層及び保護層が順次積層された層構成
本発明の電子写真感光体は、上記(1)〜(4)のいずれの層構成のものでも良く、これらの中でも、上記(3)の層構成のものが特に好ましい。
図1は、本発明の電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図である。
図1に示される電子写真感光体200は、導電性支持体201上に、中間層202、感光層203及び保護層204が順次積層されて構成されている。
感光層203は、電荷発生層203a及び電荷輸送層203bから構成されている。
保護層204には、無機粒子として金属酸化物粒子PSが含有されていることが好ましい。
なお、本発明の電子写真感光体は、有機感光体であり、有機感光体とは電子写真感光体の構成に必要不可欠な電荷発生機能及び電荷輸送機能の少なくとも一方の機能が有機化合物によって発現される電子写真感光体を意味し、公知の有機電荷発生物質又は有機電荷輸送物質から構成された感光体、電荷発生機能と電荷輸送機能とを高分子錯体で構成した感光体などを含むものとする。
<保護層>
本発明に係る保護層は、少なくとも前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含む組成物(保護層形成用組成物)の重合硬化物を含有する。
また、前記保護層形成用組成物は、さらに3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有することが、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と一体となって反応することにより、3次元の網目構造が発達し、架橋密度が非常に高い高硬度かつ高弾性な保護層が得られ、高い耐摩耗性及び耐傷性が得られる点で好ましい。
さらに、前記保護層形成用組成物は、無機粒子及び重合開始剤を含有してもよい。
保護層を構成する材料について順次説明する。
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物の添加量は、保護層形成用組成物全量に対して、10〜90質量%の範囲内が好ましく、20〜80質量%の範囲内であることがより好ましい。10質量%以上であると、電荷輸送能力が十分となり十分な耐メモリー性が得られる。90質量%以下であると、保護層の架橋密度が不足することなく、十分な内摩耗性向上が得られる。
(3官能以上のラジカル重合性モノマー)
3官能以上のラジカル重合性モノマーが有する重合性基としては、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合可能な基であればよく、具体的にはビニル基、アリール基、スチリル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等が挙げられる。中でも、少ない光量又は短い時間での硬化が可能であることから、アクリロイルオキシ基(CH=CHCOO−)又はメタクリロイルオキシ基(CH=C(CH)COO−)であることが特に好ましい。
前記3官能以上のラジカル重合性モノマーの成分割合は、保護層形成用組成物全量に対し、20〜80質量%の範囲内が好ましく、30〜70質量%の範囲内であることがより好ましい。20%以上であると、保護層の架橋密度が十分で、十分な耐摩耗性向上が得られる。80質量%以下であると、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物の含有量が低下することなく、電荷輸送能力が十分となり、耐メモリー性に優れる。
以下、前記3官能以上のラジカル重合性モノマーの例示化合物を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2021165804
Figure 2021165804
上記の例示化合物M1〜M14を示す化学式において、Rは、アクリロイル基(CH=CHCO−)を表し、R′はメタクリロイル基(CH=CCHCO−)を表す。
(重合開始剤)
重合開始剤は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物及び上記3官能以上のラジカル重合性モノマーを重合反応することによって得られる重合硬化物を製造する過程で使用されるものである。
重合開始剤は、熱重合開始剤であっても、光重合開始剤であってもよいが、光重合開始剤であることが好ましい。特にラジカル重合開始剤であることが好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限されず公知のものを用いることができ、その例としては、アルキルフェノン系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物等が挙げられる。
これらの中でも、α−アミノアルキルフェノン構造又はアシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物が好ましく、アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物がより好ましい。アシルホスフィンオキサイド構造を有する化合物の一例としては、IRGACURE(登録商標)819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド)(BASFジャパン社製)が挙げられる。
重合開始剤は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤は、例えば、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物及び前記3官能以上のラジカル重合性モノマーの合計量100質量部に対して0.1〜20質量部の範囲内で含有されることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部の範囲内である。
(無機粒子)
無機粒子としては、金属酸化物粒子が含有されていることが好ましい。
金属酸化物粒子としては、遷移金属も含めた金属酸化物微粒子が好ましい。例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化バナジウム等の金属酸化物微粒子が例示される。中でも、シリカ微粒子、酸化スズ微粒子、酸化チタン微粒子、酸化亜鉛微粒子及びアルミナ微粒子のいずれかであることが、保護層の耐摩耗性を向上できるため好ましい。
上記金属酸化物粒子は、公知の方法、例えば気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法及び電解法等の一般的な製造法で作製されたものが好ましい。
上記金属酸化物粒子の個数平均一次粒径は、例えば、1〜300nmの範囲内であることが好ましく、3〜100nmの範囲内であることが特に好ましい。
また、金属酸化物粒子の添加割合は、例えば、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物及び前記3官能以上のラジカル重合性モノマーの合計量100質量部に対して1〜250質量部の範囲内であることが好ましく、10〜200質量部の範囲内であることがより好ましい。
《金属酸化物粒子の粒径の測定法》
上記金属酸化物粒子の粒径(個数平均一次粒径)は、走査型電子顕微鏡(日本電子製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた。)を自動画像処理解析装置「ルーゼックス AP(LUZEX(登録商標)AP)」((株)ニレコ製)ソフトウェアVer.1.32を使用して、2値化処理し、それぞれ水平方向フェレ径を算出、その平均値を個数平均一次粒径として算出する。ここで、水平方向フェレ径とは、金属酸化物粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
《表面修飾》
本発明において、金属酸化物粒子は、反応性有機基を有することが好ましい。すなわち、分散性及び感光体の耐摩耗性の観点から、反応性有機基を有する表面修飾剤で表面修飾されたものであることが好ましい。
表面修飾剤としては、表面修飾前の金属酸化物粒子の表面に存在するヒドロキシ基などと反応する表面修飾剤を用いても良く、このような表面修飾剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。
また、本発明においては、保護層の硬度をさらに高める目的で、反応性有機基を有する表面修飾剤を用いることが好ましく、反応性有機基がラジカル重合性官能基であるものを用いることがより好ましい。ラジカル重合性官能基を有する表面修飾剤を用いることにより、保護層に含有される前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(電荷輸送性化合物)や前記3官能以上のラジカル重合性モノマーとも反応するために強固な保護層を形成することができる。
ラジカル重合性官能基を有する表面修飾剤としては、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いることが好ましく、このようなラジカル重合性官能基を有する表面修飾剤としては、下記に記すような公知の化合物が例示される。
S−1:CH=CHSi(CH)(OCH
S−2:CH=CHSi(OCH
S−3:CH=CHSi(OC
S−4:CH=CHCHSi(OCH
S−5:CH=CHCHSi(OC
S−6:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−7:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−8:CH=CHCOO(CHSi(OCH
S−9:CH=CHCOO(CHSi(OC
S−10:CH=CHCOO(CHSi(CH)(OCH
S−11:CH=CHCOO(CHSiCl
S−12:CH=CHCOO(CHSi(CH)Cl
S−13:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−14:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−15:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)(OCH
S−16:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
S−17:CH=C(CH)COO(CHSi(OC
S−18:CH=C(CH)COO(CHSi(CH)Cl
S−19:CH=C(CH)COO(CHSiCl
S−20:CH=C(CH)COO(CHSi(OCH
表面修飾剤としては、上記S−1〜S−20以外にも、ラジカル重合反応を行うことができる反応性有機基を有するシラン化合物を用いることができる。これらの表面修飾剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。
また、表面修飾剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、修飾前の金属酸化物粒子100質量部に対して、0.1〜100質量部の範囲内であることが好ましい。
《金属酸化物粒子の表面修飾方法》
金属酸化物粒子の表面修飾は、具体的には、修飾前の金属酸化物粒子と表面修飾剤とを含むスラリー(固体粒子の懸濁液)を湿式粉砕することにより、金属酸化物粒子を微細化すると同時に粒子の表面修飾を進行させ、その後、溶媒を除去して粉体化することによって行うことができる。
スラリーは、修飾前の金属酸化物粒子100質量部に対し、表面修飾剤0.1〜100質量部、溶媒50〜5000質量部の割合で混合されたものであることが好ましい。
また、スラリーの湿式粉砕に用いる装置としては、湿式メディア分散型装置が挙げられる。
湿式メディア分散型装置とは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、更に回転軸と垂直に取り付けられた撹拌ディスクを高速回転させることにより、金属酸化物粒子の凝集粒子を砕いて粉砕・分散する工程を有する装置であり、その構成としては、金属酸化物粒子に表面修飾を行う際に金属酸化物粒子を十分に分散させ、かつ表面修飾できる形式であれば問題なく、例えば、縦型・横型、連続式・回分式等、種々の様式のものを用いることができる。具体的には、サンドミル、ウルトラビスコミル、パールミル、グレンミル、ダイノミル、アジテータミル、ダイナミックミル等を使用することができる。これらの分散型装置は、ボール、ビーズ等の粉砕媒体(メディア)を使用して衝撃圧壊、摩擦、剪断、ズリ応力等によって微粉砕及び分散が行われる。
湿式メディア分散型装置で用いるビーズとしては、例えば、ガラス、アルミナ、ジルコン、ジルコニア、スチール、フリント石等を原材料としたボールを用いることができるが、特にジルコニア製やジルコン製のものを用いることが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径1〜2mm程度のものを使用するが、本発明では、例えば、0.1〜1.0mm程度のものを用いることが好ましい。
湿式メディア分散型装置に使用するディスクや容器内壁には、例えば、ステンレス製、ナイロン製、セラミック製等種々の素材のものを使用することができるが、本発明では特にジルコニア又はシリコンカーバイドといったセラミック製のディスクや容器内壁であることが好ましい。
(その他の添加剤)
本発明に係る保護層には、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物、前記3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有する組成物、重合開始剤及び無機粒子等の他に、他の成分が含有されていても良く、例えば、各種の酸化防止剤や、フッ素原子含有樹脂粒子などの各種の滑剤粒子を加えることもできる。フッ素原子含有樹脂粒子としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化塩化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂、及びこれらの共重合体の中から1種又は2種以上を適宜選択することが好ましいが、特に四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。
<導電性支持体>
導電性支持体は、導電性を有するものであれば良く、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛、ステンレス等の金属をドラム又はシート状に成形したもの、アルミニウムや銅などの金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム、酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂とともに塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム又は紙などが挙げられる。
<中間層>
本発明の電子写真感光体においては、導電性支持体と感光層との間にバリアー機能と接着機能を有する中間層を設けることもできる。種々の故障防止などを考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)及び必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチン等が挙げられる。これらの中でも、アルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子や金属酸化物粒子を含有させることができる。例えば、アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス等の各種金属酸化物粒子を用いることができる。また、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ又は酸化ジルコニウム等の超微粒子を用いることができる。
このような金属酸化物粒子の個数平均一次粒径は、例えば、0.3μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。当該金属酸化物粒子の個数平均一次粒径は、保護層に含有される金属酸化物粒子の個数平均一次粒径の測定方法と同様の方法で測定することができる。
これら金属酸化物粒子は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いても良い。2種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとっても良い。
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、例えば、中間層用バインダー樹脂100質量部に対して20〜400質量部の範囲内であることが好ましく、50〜350質量部の範囲内であることがより好ましい。
中間層の厚さは、例えば、0.1〜15μmの範囲内であることが好ましく、0.3〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
<電荷発生層>
電荷発生層は、電荷発生物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルー等のアゾ原料、ピレンキノン、アントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ又はチオインジゴ等のインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレン等の多環キノン顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。
これらの電荷発生物質は、1種単独で、又は2種以上を混合して用いても良い。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、又はこれらの樹脂のうち二つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ−ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、例えば、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1〜600質量部の範囲内であることが好ましく、50〜500質量部の範囲内であることがより好ましい。
電荷発生層の厚さは、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合等により異なるが、例えば、0.01〜5μmの範囲内であることが好ましく、0.05〜3μmの範囲内であることがより好ましい。
<電荷輸送層>
電荷輸送層は、電荷輸送物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷輸送層の電荷輸送物質としては、電荷を輸送する物質として、例えば、トリフェニルアミン誘導体、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、ベンジジン化合物、ブタジエン化合物等が挙げられる。
電荷輸送層用バインダー樹脂は、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリルニトリル共重合体樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂等が挙げられるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。さらには、BPA(ビスフェノールA)型、BPZ(ビスフェノールZ)型、ジメチルBPA型、BPA−ジメチルBPA共重合体型のポリカーボネート樹脂等が、耐クラック、耐磨耗性及び帯電特性の点で好ましい。
電荷輸送層中の電荷輸送物質の含有割合は、例えば、電荷輸送層用バインダー樹脂100質量部に対して、10〜500質量部の範囲内であることが好ましく、20〜250質量部の範囲内であることがより好ましい。
電荷輸送層の厚さは、電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂の特性、含有割合等によって異なるが、例えば、5〜40μmの範囲内であることが好ましく、10〜30μmの範囲内であることがよりに好ましい。
電荷輸送層中には、例えば、酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイル等を添加しても良い。酸化防止剤は、特開2000−305291号公報、電子導電剤は、特開昭50−137543号公報、同58−76483号公報等に開示されているものが好ましい。
[電子写真感光体の製造方法]
本発明の電子写真感光体の製造方法としては、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。なお、下記の方法では、一例として、導電性支持体上に中間層、電荷発生層、電荷輸送層及び保護層が順番に設けられた電子写真感光体の製造方法である。
工程(1):導電性支持体の外周面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層を形成する工程
工程(2):導電性支持体上に形成された中間層の外周面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層を形成する工程
工程(3):中間層上に形成された電荷発生層の外周面に電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷輸送層を形成する工程
工程(4):電荷発生層上に形成された電荷輸送層の外周面に、保護層形成用の塗布液を塗布して塗膜を形成し、この塗膜に紫外線を照射して硬化させることにより、保護層を形成する工程
以下、各工程について説明する。
(工程(1):中間層の形成)
中間層は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液中に導電性粒子や金属酸化物粒子を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚等に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層の形成工程において使用する溶媒としては、導電性粒子や金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂を溶解するものであれば良い。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール等の炭素数1〜4のアルコール類が、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能とに優れていることから好ましい。また、保存性、粒子の分散性等を向上するために、上記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、例えば、ベンジルアルコール、トルエン、ジクロロメタン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
中間層形成用塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層の層厚や生産速度に合わせて適宜選択される。
(工程(2):電荷発生層の形成)
電荷発生層は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液中に電荷発生物質を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚等に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t−ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4−メトキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(3):電荷輸送層の形成)
電荷輸送層は、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂及び電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層上に一定の膜厚に塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、膜厚等に応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷輸送層の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(工程(4):保護層の形成)
本発明に係る保護層は、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と、3官能以上のラジカル重合性モノマーと、重合開始剤と、必要に応じて無機粒子及び他の成分を含有する保護層形成用組成物に紫外線を照射して硬化させ、形成する。
具体的には、例えば、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物と、3官能以上のラジカル重合性モノマーと、重合開始剤と、必要に応じて無機粒子及び他の成分を公知の溶媒に添加して塗布液(以下、「保護層形成用塗布液」ともいう。)を調製する。そして、この保護層形成用塗布液を工程(3)により形成された電荷輸送層の外周面に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を乾燥し、紫外線を照射することによって塗膜中の前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を硬化処理することにより保護層を形成することができる。
保護層の硬化処理においては、塗膜に紫外線を照射してラジカルを発生させ、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物を3官能以上のラジカル重合性モノマーとともに重合反応させ、かつ、架橋反応による架橋結合を形成させて硬化させることにより、当該一般式(1)で表される構造を有する化合物が架橋型硬化膜として形成されることが好ましい。
保護層形成用塗布液中に無機粒子を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
保護層の形成に用いられる溶媒としては、前記一般式(1)で表される構造を有する化合物、3官能以上のラジカル重合性モノマー、重合開始剤、無機粒子等を溶解又は分散させることができればいずれのものも使用できる。例えば、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、sec−ブタノール、ベンジルアルコール、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
保護層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜に対しては、乾燥させることなく硬化処理を行っても良いが、自然乾燥又は熱乾燥を行った後、硬化処理を行うことが好ましい。
乾燥の条件は、溶媒の種類、膜厚等によって適宜選択できる。乾燥温度は、好ましくは室温(25℃)〜180℃の範囲内であり、特に好ましくは80〜140℃の範囲内である。乾燥時間は、好ましくは1〜200分間であり、特に好ましくは5〜100分間である。
紫外線光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、フラッシュ(パルス)キセノン等を用いることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、例えば、紫外線の照射量は、通常5〜500mJ/cmの範囲内、好ましくは5〜100mJ/cmの範囲内である。
ランプの電力は、好ましくは0.1〜5kWの範囲内であり、特に好ましくは0.5〜3kWの範囲内である。
必要な紫外線の照射量を得るための照射時間としては、例えば、0.1秒間〜10分間が好ましく、作業効率の観点から0.1秒間〜5分間がより好ましい。
保護層の形成の工程においては、紫外線を照射する前後、及び紫外線を照射中に乾燥を行うことができ、乾燥を行うタイミングはこれらを組み合わせて適宜選択できる。
[画像形成装置]
本発明の画像形成装置は、上記した電子写真感光体を備えて構成される。本発明の画像形成装置は、さらに、当該電子写真感光体の表面を帯電させる第1帯電手段と、当該電子写真感光体の表面に光を照射して静電潜像を形成する露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を用紙に転写する転写手段と、用紙にトナー像を転写した後に電子写真感光体の表面を帯電させる第2帯電手段と、電子写真感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えることが好ましい。
図2は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bk、無端ベルト状中間転写体ユニット7、給紙手段21、定着手段24等を備えている。画像形成装置100の装置本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
イエロー色の画像を形成する画像形成ユニット10Yは、ドラム状の感光体1Yの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを有する。マゼンタ色の画像を形成する画像形成ユニット10Mは、ドラム状の感光体1Mの周囲に感光体1Mの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2M、露光手段3M、現像手段4M、一次転写ローラー5M、第2帯電手段9M及びクリーニング手段6Mを有する。シアン色の画像を形成する画像形成ユニット10Cは、ドラム状の感光体1Cの周囲に感光体1Cの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2C、露光手段3C、現像手段4C、一次転写ローラー5C、第2帯電手段9C及びクリーニング手段6Cを有する。黒色画像を形成する画像形成ユニット10Bkは、ドラム状の感光体1Bkの周囲に感光体1Bkの回転方向に沿って順次配置された、第1帯電手段2Bk、露光手段3Bk、現像手段4Bk、一次転写ローラー5Bk、第2帯電手段9Bk及びクリーニング手段6Bkを有する。感光体1Y、1M、1C、1Bkとしては、上記した本発明の電子写真感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成するトナー像の色が異なるのみで、同様に構成される。したがって、画像形成ユニット10Yを例にとって詳細に説明し、画像形成ユニット10M、10C、10Bkの説明を省略する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、第1帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。また、本実施形態においては、画像形成ユニット10Yのうち、少なくとも感光体1Y、第1帯電手段2Y、現像手段4Y、第2帯電手段9Y及びクリーニング手段6Yが一体化されて設けられている。
第1帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える手段であって、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
露光手段3Yは、第1帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、例えば、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又はレーザー光学系が用いられる。
現像手段4Yは、例えば、マグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流及び/又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段である。一次転写ローラー5Yは、中間転写体70と当接して配置されている。
第2帯電手段9Yは、中間転写体70にトナー像を転写した後に感光体1Yの表面を帯電(除電)させる除電手段であり、プレクリーニング部材として設けられている。第2帯電手段9Yとしては、例えば、コロナ放電型の帯電器が用いられる。
本発明の画像形成装置100によれば、本発明の電子写真感光体を備えることに加え、第2帯電手段9Yが設けられていることにより、十分な感光体の長寿命及び高画質を得ることができる。また、画像形成装置100は本発明の電子写真感光体を備えていることにより、第2帯電手段9Yが設けられていない、又は第2帯電手段9Yを使用しない画像形成条件においても、十分な感光体の長寿命及び高画質を得ることができる。
クリーニング手段6Yは、クリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられたブラシローラーとにより構成される。
無端ベルト状中間転写体ユニット7は、複数のローラー71、72、73、74により巻回され、回動可能に支持された半導電性エンドレスベルト状の第2の像担持体としての無端ベルト状の中間転写体70を有する。無端ベルト状中間転写体ユニット7には、中間転写体70上にトナーを除去するクリーニング手段6bが配置されている。
また、上記画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、無端ベルト状中間転写体ユニット7とにより筐体8が構成されている。筐体8は、装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
なお、上記した実施形態においては、画像形成装置100が、カラーのレーザープリンターであるものとしたが、モノクロのレーザープリンター、コピー機、複合機等であっても良い。また、露光光源は、レーザー以外の光源、例えばLED光源等であっても良い。
[画像形成方法]
画像形成方法は、本発明の電子写真感光体を用いて行うことが好ましい。
具体的には、本発明の電子写真感光体を備える上記画像形成装置100を用いて以下のようにして行うことができる。
すなわち、まず、第1帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に放電して負に帯電させる。次いで、露光手段3Y、3M、3C、3Bkで、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を画像信号に基づいて露光し、静電潜像を形成する。次いで、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面にトナーを付与して現像し、トナー像を形成する。
次いで、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより、感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成した各色のトナー像を、回動する中間転写体70上に逐次転写(一次転写)させて、中間転写体70上にカラー画像を形成する。
そして、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面を第2帯電手段9Y、9M、9C、9Bkによって除電する。その後、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面に残存したトナーを、クリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkで除去する。そして、次の画像形成プロセスに備えて、帯電手段2Y、2M、2C、2Bkにより感光体1Y、1M、1C、1Bkを負に帯電させる。
一方、給紙カセット20から給紙手段21により用紙Pを給紙し、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラー23を経て二次転写部5bに搬送する。そして、二次転写部5bにより、用紙P上にカラー画像を転写(二次転写)する。
このようにしてカラー画像が転写された用紙Pを、定着手段24で定着処理した後、排紙ローラー25で挟持して装置外に排紙し、排紙トレイ26上に載置する。また、用紙Pが中間転写体70から分離された後、クリーニング手段6bにより中間転写体70上の残存トナーを除去する。
以上のようにして、用紙P上に画像を形成することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」及び「部」は、それぞれ、「質量%」及び「質量部」を意味する。
[電子写真感光体の作製]
<感光体1の作製>
(1)導電性支持体の準備
円筒形アルミニウム支持体の表面を切削加工し、導電性支持体を準備した。
(2)中間層の形成
ポリアミド樹脂X1010(ダイセルデグサ社製) 10質量部
酸化チタンSMT500SAS(テイカ社製) 11質量部
エタノール 200質量部
からなる中間層形成用組成物を混合し、分散機としてサンドミルを用いて、バッチ式で10時間の分散を行い、中間層塗布液を得た。
上記中間層塗布液を用いて前記支持体上に、110℃で20分乾燥後の膜厚2μmとなるよう浸漬塗布法で塗布した。
(3)電荷発生層の形成
電荷発生物質(Cu−Kα特性X線回折スペクトル測定で8.3°、24.7°、25.1°、26.5°に明確なピークを有するチタニルフタロシアニン及び(2R,3R)−2,3−ブタンジオールの1:1付加体と、未付加のチタニルフタロシアニンの混晶)
24質量部
ポリビニルブチラール樹脂「エスレックBL−1(積水化学社製)」
12質量部
3−メチル−2−ブタノン/シクロヘキサノン=4/1(V/V)
400質量部
からなる電荷発生層形成用組成物を混合し、循環式超音波ホモジナイザー「RUS−600TCVP(株式会社日本精機製作所製)」を19.5kHz,600Wにて循環流量40L/Hで0.5時間にわたって分散することにより、電荷発生層塗布液を調製した。
この電荷発生層塗布液を浸漬塗布法によって中間層上に塗布して、乾燥膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(4)電荷輸送層の形成
下記電荷輸送物質CTM−(1)
60質量部
ポリカーボネート樹脂「Z300(三菱ガス化学社製)」
100質量部
酸化防止剤「Irganox1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)」
4質量部
からなる電荷輸送層形成用組成物を混合、溶解させることにより電荷輸送層塗布液を調製した。
Figure 2021165804
この電荷輸送層塗布液を浸漬塗布法によって電荷発生層上に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、乾燥膜厚24μmの電荷輸送層を形成した。
(5)保護層の形成
まず、次のようにして、無機粒子としてのシリカに反応性有機基を付与する表面処理を行った。
シリカ(日本アエロジル社製、個数平均一次粒径:20nm)100質量部、上記表面修飾剤S−15(CH=C(CH)COO(CHSi(OCH)30質量部、トルエン/イソプロピルアルコール=1/1(質量比)の混合溶媒300部を混合した。当該混合物を、ジルコニアビーズとともにサンドミルに入れ、約40℃で、回転速度1500rpmで撹拌した。さらに、撹拌後の混合物を取り出し、ヘンシェルミキサーに投入して回転速度1500rpmで15分間撹拌した後、120℃で3時間乾燥することによって、表面処理済みシリカを得た。
得られた表面処理済みシリカにおいて、自動TG/DTA同時測定装置DTG−60A(島津製作所社製)により25℃から600℃まで昇温し、質量減少量を測定することで、シリカの粒子表面が表面修飾剤S−15により被覆されていることを確認した。
次に、下記保護層形成用組成物を混合撹拌し、十分に溶解・分散し、保護層形成用塗布液を調製した。調製した保護層形成用塗布液を電荷輸送層上に円形スライドホッパー塗布機を用いて塗布し、紫外線照度計UIT−201(ウシオ電機社製)を用いて測定される光の照度が100mW/cmとなる条件で、キセノンランプを用いて紫外線(波長365nm)を1分間照射後、110℃70分間乾燥を行った。これにより、乾燥後の層厚が3.0μmの保護層を形成した。
無機粒子:上記表面処理シリカ 10質量部
3官能以上のラジカル重合性モノマー:上記例示化合物M1
50質量部
前記一般式(1)で表される構造を有する化合物(電荷輸送性化合物):例示化合物(1) 50質量部
光重合開始剤:イルガキュア819(BASFジャパン社製)
5質量部
溶媒:2−ブタノール 120質量部
溶媒:2−メチルテトラヒドロフラン 80質量部
<感光体2〜18及び20〜22の作製>
上記感光体1の保護層の形成において、前記電荷輸送性化合物及び3官能以上のラジカル重合性モノマーを下記表Iに記載のとおりにそれぞれ変更した以外は同様にして、感光体2〜18及び20〜22を作製した。なお、感光体20〜22で使用したCTM−(2)〜(4)は以下のとおりである。
Figure 2021165804
<感光体19の作製>
上記感光体1の保護層の形成において、ラジカル重合性モノマーM1を使用せず、また、電荷輸送性化合物として、例示化合物(12)を100質量部に変更した以外は同様にして、感光体19を作製した。
[評価]
作製した各感光体について、以下の方法で評価した。
<耐摩耗性(α値)>
評価機として、コニカミノルタ社製「bizhub 1250」を用い、当該評価機に上記作製した各感光体をそれぞれ搭載した。
各評価機にて、23℃・50%RH環境で、画像面積比率5%の横帯チャートをA4横送りで各300000枚両面連続でプリントを行う耐久試験を行った。
上記耐久試験前後における感光体の感光層の層厚を測定し、層厚減耗量を算出した。感光層の層厚は均一層厚部分(塗布の先端部及び後端部の層厚変動部分を層厚プロフィールを作製して除く。)をランダムに10か所測定し、その平均値を感光層の層厚とする。渦電流方式の膜厚測定器EDDY560C(HELMUT FISCHER GMBTE CO社製)を用い、100krot(10万回転)当たりの層厚減耗量をα値として求めた。0.20μm以内であれば、本発明においては基準を満たすレベルといえる。
<耐傷性>
上記耐久試験後、A3紙全面にハーフトーン画像の画出しを行い、下記の基準により感光体の耐傷性を評価した。
A:感光体表面に目視でみられる目立った傷の発生はなく、ハーフトーン画像にも感光体傷に対応する画像不良の発生は見当たらない(良好)。
B:感光体表面に目視で軽微な傷の発生があるが、ハーフトーン画像には感光体傷に対応する画像不良の発生は見当たらない(実用上問題なし)。
C:感光体表面に目視で明確に傷の発生があり、ハーフトーン画像にも該傷に対応する画像不良の発生が認められる(実用上問題あり)。
<耐メモリー性>
評価機として、コニカミノルタ社製「bizhub PRESS C1070」を用い、当該評価機に上記作製した各感光体をそれぞれ搭載した。
各評価機にて、23℃・50%RH環境で、画像面積比率6%の文字画像をA4横送りで各100,000枚両面連続でプリントを行う耐久試験を行った。
上記耐久試験後に、べた黒とべた白の混在した画像を10枚連続して印刷し、続いて均一なハーフトーン画像を印刷し、当該ハーフトーン画像中に前記べた黒とべた白の履歴(メモリー)が現れているか否かを確認し、下記基準に従って評価した。
A:メモリー発生なし(良好)
B:エッジ部のみメモリーが視認できる(実用上問題なし)
C:はっきりしたメモリーが発生(実用上問題あり)
Figure 2021165804
前記した結果に示されるように、本発明の感光体は、比較例の感光体に比べて、耐摩耗性、耐傷性及び耐メモリー性の点で優れていることが認められる。
100 画像形成装置
200 電子写真感光体
201 導電性支持体
203 感光層
204 保護層
PS 金属酸化物粒子

Claims (6)

  1. 少なくとも感光層上に保護層を有する電子写真感光体であって、
    前記保護層が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する化合物を含む組成物の重合硬化物を含有することを特徴とする電子写真感光体。
    Figure 2021165804
    [一般式(1)において、Aはn価の電荷輸送性基を表す。Zは(m+1)価の有機基を表す。Bはラジカル重合性基を表す。pは1又は2の整数を表し、mは2〜5の整数を表し、nは1〜3の整数を表す。]
  2. 前記一般式(1)において、Aがトリアリールアミン構造を有していることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記一般式(1)で表される構造を有する化合物が、下記一般式(2)又は(3)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
    Figure 2021165804
    [一般式(2)及び一般式(3)において、A、B、p及びnは、前記一般式(1)におけるA、B、p及びnと同義である。]
  4. 前記Bが、(メタ)アクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記組成物が、さらに3官能以上のラジカル重合性モノマーを含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を備えることを特徴とする画像形成装置。
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