JP2021161597A - セルロースナノファイバー含有クリア塗工層を備える紙 - Google Patents

セルロースナノファイバー含有クリア塗工層を備える紙 Download PDF

Info

Publication number
JP2021161597A
JP2021161597A JP2021060714A JP2021060714A JP2021161597A JP 2021161597 A JP2021161597 A JP 2021161597A JP 2021060714 A JP2021060714 A JP 2021060714A JP 2021060714 A JP2021060714 A JP 2021060714A JP 2021161597 A JP2021161597 A JP 2021161597A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
paper
clear coating
starch
coating layer
cnf
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021060714A
Other languages
English (en)
Inventor
遼 外岡
Ryo Sotooka
晧章 安井
Hiroaki Yasui
丈博 吉松
Takehiro Yoshimatsu
金也 田村
Kinya Tamura
清 畠山
Kiyoshi Hatakeyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paper Industries Co Ltd
Jujo Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paper Industries Co Ltd, Jujo Paper Co Ltd filed Critical Nippon Paper Industries Co Ltd
Publication of JP2021161597A publication Critical patent/JP2021161597A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paper (AREA)

Abstract

【課題】高い印刷表面強度を有する紙を提供する。【解決手段】原紙およびクリア塗工層を備える紙であって、前記クリア塗工層が澱粉とセルロースナノファイバーと金属塩とを含む紙。前記澱粉は、好ましくは酸化澱粉である。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロースナノファイバー含有クリア塗工層を備える紙に関する。
セルロースナノファイバーは新素材として期待されており種々の検討がなされている。例えば、特許文献1にはセルロースナノファイバーからなる製紙用添加剤を紙に塗工または含浸した印刷用紙が開示されている。特許文献1の紙は優れた透気抵抗、インキ着肉性、裏抜け防止性を備える。
特開2009−263850号公報
紙には高い印刷表面強度が求められるが、特許文献1にはこの特性にかかる記載はない。かかる事情を鑑み、本発明は高い印刷表面強度を有する紙を提供することを課題とする。
前記課題は以下の本発明によって解決される。
(1)原紙およびクリア塗工層を備える紙であって、
前記クリア塗工層が澱粉とセルロースナノファイバーと金属塩とを含む紙。
(2)前記澱粉が酸化澱粉である、(1)に記載の紙。
(3)前記金属塩が2価以上の金属元素を含む、(1)または(2)に記載の紙。
(4)顔料塗工層をさらに備える、(1)〜(3)のいずれかに記載の紙。
(5)前記セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである、(1)〜(4)のいずれかに記載の紙。
(6)前記セルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、0.1〜3.0mmol/gのカルボキシル基を有する、(1)〜(5)のいずれかに記載の紙。
(7)前記セルロースナノファイバーが、無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度が、0.01〜0.50である、(1)〜(5)のいずれかに記載の紙。
本発明によって、高い印刷表面強度を有する紙を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の紙は、原紙の片面または両面に澱粉とセルロースナノファイバー(以下「CNF」ともいう)と金属塩とを含むクリア塗工層を備える。また本発明において「X〜Y」はその端値であるXおよびYを含む。
1.澱粉とCNFと金属塩とを含有するクリア塗工層を備える紙
(1)セルロースナノファイバー(CNF)
CNFとはセルロース系原料を解繊することにより得られるセルロースのシングルミクロフィブリルであり、500nm未満の平均繊維径を有する。
CNFは化学変性されていることが好ましい。化学変性CNFは、セルロース系原料を化学変性して化学変性セルロースを調製し、これを機械的に解繊することで製造できる。
1)セルロース系原料
セルロース系原料は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物に由来するものが挙げられる。植物由来のものとしては、例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)が挙げられる。セルロース原料は、これらのいずれかまたは組合せであってもよいが、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。
2)化学変性
化学変性とはセルロース系原料に官能基を導入することをいい、アニオン性基を導入することが好ましい。アニオン性基としてはカルボキシル基、カルボキシル基含有基、リン酸基、リン酸基含有基等の酸基が挙げられる。カルボキシル基含有基としては、−R−COOH(Rは炭素数が1〜3のアルキレン基)、−O−R−COOH(Rは炭素数が1〜3のアルキレン基)が挙げられる。リン酸基含有基としては、ポリリン酸基、亜リン酸基、ホスホン酸基、ポリホスホン酸基等が挙げられる。これらの酸基は反応条件によっては、塩の形態(例えばカルボキシレート基(−COOM、Mは金属原子))で導入されることもある。化学変性は、酸化またはエーテル化が好ましい。酸化またはエーテル化は、例えば特開2019−104833等に記載されているような公知の方法に従って実施できる。
3)機械解繊
化学変性セルロースを機械的に解繊してCNFを得る。解繊処理は1回行ってもよいし、複数回行ってもよい。化学変性セルロースと分散媒を含む混合物を解繊処理に供することが好ましい。分散媒としては水が好ましい。解繊に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧または超高圧ホモジナイザーが好ましく、湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーがより好ましい。装置は、化学変性セルロースに強力なせん断力を加えられることが好ましい。装置が加えられる圧力は、50MPa以上が好ましく、より好ましくは100MPa以上であり、さらに好ましくは140MPa以上である。装置は湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーが好ましい。これにより、解繊を効率的に行うことができる。
解繊を化学変性パルプの分散液に対して実施する場合、分散液中の変性セルロースの固形分濃度は、通常は0.1重量%以上が好ましく、0.2重量%以上がより好ましく、0.3重量%以上がさらに好ましい。これにより、変性セルロースの量に対する液量が適量となり効率的になる。当該濃度の上限は通常は20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。これにより流動性を保持することができる。
4)特性
CNFの平均繊維径は、長さ加重平均繊維径にして通常2nm以上500nm未満程度であるが、好ましくは2〜100nmである。その上限はさらに好ましくは50nm以下である。平均繊維長は長さ加重平均繊維長にして50〜2000nmが好ましい。長さ加重平均繊維径および長さ加重平均繊維長(以下、単に「平均繊維径」、「平均繊維長」ともいう)は、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、各繊維を観察して求められる。ナノファイバーの平均アスペクト比は、通常10以上である。上限は特に限定されないが、通常は1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出できる。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
CNF中のカルボキシル基の量は、CNFの絶乾重量に対して、0.1mmol/g以上が好ましく、0.5mmol/g以上がより好ましく、0.8mmol/g以上がさらに好ましい。当該量の上限は、3.0mmol/g以下が好ましく、2.5mmol/g以下がより好ましく、2.0mmol/g以下がさらに好ましい。従って、当該量は0.1〜3.0mmol/gが好ましく、0.5〜2.5mmol/gがより好ましく、0.8〜2.0mmol/gがさらに好ましい。
CNF中の無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。当該置換度の上限は、0.50以下が好ましく、0.40以下がより好ましく、0.35以下がさらに好ましい。従って、カルボキシアルキル基置換度は、0.01〜0.50が好ましく、0.05〜0.40がより好ましく、0.10〜0.30がさらに好ましい。そして、カルボキシアルキル置換度はカルボキシメチル置換度であることが好ましい。
CNFにおけるカルボキシル基量およびグルコース単位当たりの置換度は、化学変性セルロースのものと同じであることが好ましい。
本態様においては、濃度1%(w/v)の水分散液(すなわち、100mLの水中に1gのCNF(乾燥重量)を含む水分散液)としたときに500〜7000mPa・sのB型粘度(60rpm、20℃)を与えるCNFを用いることが好ましい。当該B型粘度CNFの官能基量、平均繊維長、平均繊維径等の特性を特定する指標であり、用途に合わせて適宜調整される。
CNFの水分散液のB型粘度は、公知の手法により測定することができる。例えば、東機産業社のVISCOMETER TV−10粘度計を用いて測定することができる。測定時の温度は20℃であり、ロータの回転数は60rpmである。本発明のCNFの水分散液は、チキソトロピー性を有し、撹拌しせん断応力を与えることで粘度が低下し、静置状態では粘度が上昇しゲル化するという特性を持つため、十分に撹拌した状態でB型粘度を測定することが好ましい。
(2)澱粉
澱粉とは、D−グルコースの重合体であり、好ましくはアミロースとアミロペクチンとからなる混合物である。本態様において澱粉とは澱粉由来の高分子化合物も含む。当該高分子としては、澱粉を変性、修飾、加工などしたものが挙げられる。本発明においては、酸化反応によりアニオン性基を導入した酸化澱粉が好ましい。アニオン性基としてはカルボキシル基等が挙げられる。
酸化澱粉は、冷水には溶解しない白色の粉末または類粒状物である。その水懸濁液は酸化レベルが非常に低い場合を除いて、酸化レベルが高くなるにつれて糊化開始温度が低くなり、低粘度の透明な糊液を形成する。通常、酸化澱粉は湿式反応または乾式反応で、澱粉を次亜塩素酸塩(好ましくはNa塩)、さらし粉、過酸化水素、過マンガン酸カリウム、オゾンなどの酸化剤を用いて酸化処理することにより製造される。酸化条件にもよるが、酸化澱粉は、通常、カルボキシ基とカルボニル基を有し、かつグリコシド結合が切断された構造を有する。
(3)金属塩
本発明において使用できる金属塩は限定されず、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が例示可能である。中でもマグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩等の2価以上の金属元素を含む金属塩は、当該金属元素がCNFまたは澱粉に存在するアニオン性基とキレートを形成し、塗工膜の強度が向上するため好ましい。また、そのカウンターイオンも限定されないが、入手容易性や水溶性であり水中で電離した金属元素が前記キレートを容易に形成する等の観点から、有機酸イオン以外が好ましく、その例としては、硫酸イオン、塩化物イオン、硝酸イオン、炭酸イオン等の無機酸イオン、および水酸化物イオンが挙げられる。したがって、好ましい金属塩の具体例としては、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。
(4)原紙
原紙とは紙のベースとなる層でありパルプを主成分として含む。原紙のパルプ原料は特に限定されず、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ、脱墨パルプ(DIP)、針葉樹クラフトパルプ(NKP)、針葉樹クラフトパルプ(LKP)等の化学パルプ等を使用できる。脱墨(古紙)パルプとしては、上質紙、中質紙、下級紙、新聞紙、チラシ、雑誌などの選別古紙やこれらが混合している無選別古紙由来のものを使用できる。
原紙には公知の填料を添加できるが、板紙等の不透明度や白色度を求められない用途や、古紙などの持ち込み灰分の多い原料を使用する場合は填料を添加しなくてもよい。填料を添加する場合、填料としては、重質炭酸カルシム、軽質炭酸カルシウム、クレー、シリカ、軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物、カオリン、焼成カオリン、デラミカオリン、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、ケイ酸ナトリウムの鉱酸による中和で製造される非晶質シリカ等の無機填料や、尿素−ホルマリン樹脂、メラミン系樹脂、ポリスチレン樹脂、フェノール樹脂などの有機填料が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし併用してもよい。この中でも、中性抄紙やアルカリ抄紙における代表的な填料であり、高い不透明度が得られる炭酸カルシウムや軽質炭酸カルシウムが好ましい。原紙中の填料の含有率は、原紙重量に対して、5〜25重量%が好ましく、6〜20重量%がより好ましい。本発明においては紙中灰分が高くても紙力の低下が抑制されるため、原紙中の填料の含有率は10重量%以上であることがより好ましい。
内添薬品として、嵩高剤、乾燥紙力向上剤、湿潤紙力向上剤、濾水性向上剤、染料、中性サイズ剤等を必要に応じて使用してもよい。
原紙は、公知の抄紙方法で製造される。例えば、長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、ハイブリッドフォーマー型抄紙機、オントップフォーマー型抄紙機、丸網抄紙機等を用いて行うことができるが、これらに限定されない。
原紙は単層でも多層でもよい。原紙は前記CNFを含んでいてもよい。多層原紙の場合は、複数の紙層のうち一部の層がCNFを含んでいてもよく、全層がCNFを含んでいてもよい。原紙がCNFを含む場合、その含有量は原紙全体のパルプ重量に対して0.0001重量%以上が好ましく、0.0003重量%以上がより好ましく、0.001重量%以上がさらに好ましい。
(5)クリア塗工層
クリア塗工層における澱粉:CNF(重量比)は、好ましくは1000:1〜20:1であり、より好ましくは350:1〜30:1であり、さらに好ましくは300:1〜50:1である。また金属塩の量は、澱粉100重量部に対し、好ましくは0.05〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。各成分の重量比がこの範囲にあることで澱粉を主体とするクリア塗工層の製膜性が向上し、その結果、高い印刷表面強度を達成できる。
クリア塗工層の塗工量は、片面あたり固形分で0.01〜3.0g/mが好ましく、0.1〜2.0g/mがより好ましい。クリア塗工は、例えば、サイズプレス、ゲートロールコータ、プレメタリングサイズプレス、カーテンコータ、スプレーコータなどのコータ(塗工機)を使用して、澱粉を主成分とするクリア塗工液を原紙上に塗工することで形成できる。一例としてゲートロールコータで塗工する場合、クリア塗工液は、塗工適性の観点から固形分濃度5重量%の時のB型粘度(30℃、60rpm)が5〜450mPa・sであることが好ましく、10〜300mPa・sであることがより好ましい。ゲートロールコータで塗工する場合、クリア塗工液のB型粘度が5mPa・s未満であると粘度が低すぎて塗工量の確保が難しく、450mPa・s超であるとボイリングが発生して操業性が悪化することがある。クリア塗工液の固形分濃度は、前記濃度を達成できるように調整されるが、好ましくは2〜14重量%である。
クリア塗工層に由来するCNFの量は、片面当たり好ましくは1.0×10−5〜0.1g/m、より好ましくは1.0×10−4〜5.0×10−2g/mである。
(6)顔料塗工層
本態様における紙は顔料塗工層を備えていてもよい。顔料塗工層とは白色顔料を主成分として含む層である。白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、焼成カオリン、無定形シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、プラスチックピグメント等の通常使用されている顔料が挙げられ、炭酸カルシウムとしては軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムが挙げられる。
顔料塗工層は接着剤を含む。当該接着剤としては、前記澱粉、カゼイン、大豆蛋白、合成蛋白等の蛋白質類、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースやメチルセルロース等のセルロース誘導体、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス等が挙げられる。これらは単独、あるいは2種以上併用して用いることができ、澱粉系接着剤とスチレン−ブタジエン共重合体を併用することが好ましい。
顔料塗工層は、一般の紙製造分野で使用される分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤等の各種助剤を含んでいてもよく、CNFを含有してもよい。この場合のCNFの量は、顔料100重量部に対して1×10−3〜1重量部が好ましい。前記範囲の場合、塗工液の粘度を大幅に増大することなく、適度な保水性を持った顔料塗工液を得ることができる。
顔料塗工層は、塗工液を公知の方法で原紙の片面あるいは両面に塗工して設けることができる。塗工液中の固形分濃度は、塗工適性の観点から、30〜70重量%程度が好ましい。顔料塗工層は1層でもよく、2層でもよく、3層以上でもよい。顔料塗工層の塗工量は、用途によって適宜調整してよいが、印刷用塗工紙とする場合は片面あたりトータルで5g/m以上であり、10g/m以上であることが好ましい。上限は、30g/m以下であることが好ましく、25g/m以下であることが好ましい。
本態様における紙がさらに顔料塗工層を有する場合、高いインキマイレージに加え、表面強度、印刷光沢度に優れた顔料塗工紙を得ることができる。
(7)特性
本態様の紙は、高い印刷表面強度を備える。この理由は限定されないが、澱粉およびCNFにおけるCOOH基等の官能基が、金属イオンと架橋構造を形成することによりクリア塗工層の強度が向上するためと推察される。また、本態様の紙のJIS P 8124に準じて測定した坪量は、通常20〜500g/m程度であり、好ましくは30〜250g/mである。
(8)本態様の紙の製造方法
本態様の紙は、公知の方法で調製した原紙の上に、澱粉とCNFと金属塩とを含むクリア塗工液を塗工する工程を経て製造されることが好ましい。具体的には、本態様の紙は以下の工程を備える方法で製造されることが好ましい。
工程1:澱粉とCNFと金属塩とを含むクリア塗工液を調製する工程
工程2:原紙の上に前記クリア塗工液を用いてクリア塗工層を形成する工程
工程1で用いる澱粉、CNF、金属塩は、前述のとおりである。塗工液の調製方法およびその特性も前述のとおりである。工程2における塗工も前述のとおりに実施できる。工程1は、好ましくは以下の工程を備える。
工程1A:澱粉とCNFとを含む混合液を調製する工程
工程1B:前記混合液と金属塩とを含むクリア塗工液を調製する工程
工程1Aにおける澱粉は蒸煮澱粉であることが好ましい。また工程1Aは、CNFの水分散液に澱粉を添加して調製してもよい。この場合、CNFの水分散液に澱粉を添加し、当該液を蒸煮に供して混合液を調製することもできる。このように調製されたクリア塗工液においては、澱粉とCNFが均一に分散されている。
本態様の紙は、前述の工程1および2に加え以下の工程3を備える方法で製造されてもよい。
工程3:澱粉とCNFと金属塩を含有するクリア塗工層の上に、顔料および接着剤を含有する顔料塗工層を形成する工程
工程3は公知の方法で実施することができる。
[実施例1]
<CNF>
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%:日本製紙株式会社製)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社製)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を次亜塩素酸ナトリウム濃度が5.5mmol/gになるように添加し、室温にて酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムが消費され、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応混合物をガラスフィルターで濾過してパルプを分離し、パルプを十分に水洗して酸化パルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。パルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.5mmol/gであった。酸化パルプに水を加えて1%(w/v)の混合物を調製し、超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、CNFの水分散液を得た。CNFの平均繊維径は3nm、アスペクト比は250であった。
<クリア塗工液1>
前述のとおりに製造したCNFの水分散液に酸化澱粉(日本コーンスターチ社製、SK20)と硫酸アルミニウム(硫酸バンド)を添加して、澱粉:CNF:金属塩の重量比が100:1.5:0.33であるクリア塗工液1を製造した。当該クリア塗工液1の固形分濃度5重量%の時の30℃、60rpmにおけるB型粘度を表1に示す。
<顔料塗工液>
重質炭酸カルシウム100重量部に対し、接着剤としてラテックス2.0重量部、酸化澱粉6.7重量部を添加して、固形分60重量%の顔料塗工液を調製した。
<紙>
LBKP(日本製紙株式会社製、c.s.f.360ml)に対し、0.5重量%の硫酸バンド、0.77重量%のカチオン化澱粉、0.05重量%の紙力剤を添加して固形分濃度0.7重量%のパルプスラリーを調製した。得られたパルプスラリーを用い、抄紙機によって原紙を製造した。当該原紙の上に、前記クリア塗工液1を片面あたり固形分で0.2g/mとなるようにゲートロールコータで原紙の両面に塗工した。次いで前記顔料塗工液を片面あたり固形分で7.5g/mとなるように両面に塗工し、定法によって乾燥し、塗工紙を得た。当該塗工紙を後述する方法で評価した。
[比較例1]
CNFおよび金属塩を用いなかった以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造し、評価した。
[比較例2]
金属塩を用いなかった以外は、実施例1と同様にして塗工紙を製造し、評価した。
[実施例2]
<クリア塗工液2>
CNFと金属塩の量を表1に示す量とした以外はクリア塗工液1と同じ方法でクリア塗工液2を調製した。
<紙>
クリア塗工液1の代わりにクリア塗工液2を用いた以外は、実施例1と同じ方法で塗工紙を製造し、評価した。
[比較例3]
金属塩を用いなかった以外は、実施例2と同様にして塗工紙を製造し、評価した。
[実施例3]
<クリア塗工液3>
CNFの量を表1に示す量に変更した以外はクリア塗工液1と同じ方法でクリア塗工液3を調製した。
<紙>
クリア塗工液1の代わりにクリア塗工液3を用いた以外は、実施例1と同じ方法で塗工紙を製造し、評価した。
[実施例4、5]
硫酸バンドの代わりに、硫酸マグネシウムおよび塩化カルシウムをそれぞれ用いた以外はクリア塗工液3と同じ方法でクリア塗工液4および5をそれぞれ調製した。塗工液としてこれらを用いた以外は実施例3と同じ方法で塗工紙を製造し、評価した。
[比較例4]
金属塩を用いなかった以外は、実施例3と同様にして塗工紙を製造し、評価した。これらの評価結果を表1に示す。
Figure 2021161597
本発明の塗工紙は、優れた表面印刷強度を有することが明らかである。
<評価方法>
1)坪量
JIS P8124に従った。
2)印刷光沢度
ローランド社製オフセット枚葉印刷機(4色)にてオフセット枚葉用インキ(東洋インキ(株)製 NEX−M)を用い、印刷速度8000枚/hrでベタ部のインキ着肉濃度が藍1.60、紅1.50となる様に藍紅(CM)の順に印刷した。得られた印刷物の藍紅(CM)ベタ印刷部の光沢度を、JIS P−8142に基づいて測定した。
3)ピッキング評価
ローランド社製オフセット枚葉印刷機を用い、インキとして東洋インキ(株)製 レオエコーY藍を用い、8000sphの速度で藍ベタを印刷した。10枚印刷する間に発生したF面およびW面のピッキングの個数を測定した。

Claims (7)

  1. 原紙およびクリア塗工層を備える紙であって、
    前記クリア塗工層が澱粉とセルロースナノファイバーと金属塩とを含む紙。
  2. 前記澱粉が酸化澱粉である、請求項1に記載の紙。
  3. 前記金属塩が2価以上の金属元素を含む、請求項1または2に記載の紙。
  4. 顔料塗工層をさらに備える、請求項1〜3のいずれかに記載の紙。
  5. 前記セルロースナノファイバーがアニオン変性セルロースナノファイバーである、請求項1〜4のいずれかに記載の紙。
  6. 前記セルロースナノファイバーが、セルロースナノファイバーの絶乾重量に対して、0.1〜3.0mmol/gのカルボキシル基を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の紙。
  7. 前記セルロースナノファイバーが、無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度が、0.01〜0.50である、請求項1〜5のいずれかに記載の紙。
JP2021060714A 2020-03-31 2021-03-31 セルロースナノファイバー含有クリア塗工層を備える紙 Pending JP2021161597A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020063637 2020-03-31
JP2020063637 2020-03-31

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021161597A true JP2021161597A (ja) 2021-10-11

Family

ID=78002711

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021060714A Pending JP2021161597A (ja) 2020-03-31 2021-03-31 セルロースナノファイバー含有クリア塗工層を備える紙

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021161597A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115125767A (zh) * 2022-07-25 2022-09-30 广东伽立实业投资有限公司 一种表面涂布纳米纤维素的热升华转印纸及其制备方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN115125767A (zh) * 2022-07-25 2022-09-30 广东伽立实业投资有限公司 一种表面涂布纳米纤维素的热升华转印纸及其制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5384984B2 (ja) 印刷用紙
JP7425743B2 (ja) セルロースナノファイバー含有塗工層を備える紙
JP6827146B2 (ja) 酸化ミクロフィブリルセルロース繊維およびその組成物
JP6827147B2 (ja) 酸化ミクロフィブリルセルロース繊維およびその組成物
WO2019132001A1 (ja) セルロースナノファイバーを含有する紙
JP3765149B2 (ja) パルプ、紙及び塗被紙
JP2021161597A (ja) セルロースナノファイバー含有クリア塗工層を備える紙
JP7239561B2 (ja) ミクロフィブリルセルロース繊維を含有する紙
TW202214934A (zh) 含有纖維素纖維之抗病毒性薄片
JP2020165036A (ja) セルロースナノファイバーを含有する紙または板紙
JP3852470B2 (ja) 紙の製造方法
JP7080404B2 (ja) セルロースナノファイバーを含有する紙
JP2021105224A (ja) セルロースナノファイバーを含有する紙
JP2018183941A (ja) 普通紙タイプのインクジェット記録用紙
WO2023032838A1 (ja) 抗ウイルス性印刷用紙
JP2020165037A (ja) ミクロフィブリレイテッドセルロースを含有する紙または板紙
JP2020165068A (ja) ミクロフィブリルセルロース繊維およびこれを含有する紙
JP2023034719A (ja) 用紙

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20240326