JP2021157133A - 積層用吸音材および積層吸音材 - Google Patents

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Abstract

【課題】低周波数領域、中周波数領域、高周波数領域、及び超高周波領域のすべてにおいて優れた吸音性を有する積層用吸音材および積層吸音材を提供すること。【解決手段】本発明の積層用吸音材は、基材層と積層させて用いてもよい多孔質層からなる積層用吸音材であって、前記多孔質層は、平均流量細孔径が0.1〜30μmであり、目付が0.1〜200g/m2である、繊維集合体または微多孔膜からなる層である。【選択図】図1

Description

本発明は、2種類以上の層が積層されてなる積層構造の吸音材に用いる吸音材および該積層構造からなる積層吸音材に関する。
外部から室内に入ってくる騒音の低減や室内空間の雑音の吸音をするために、遮音・吸音性能を有するカーテン等が利用されている。
遮音・吸音カーテンとしては、吸音効果を持たせるために、プラスチックフィルムの表側に、細かい目の布地を貼り付け、その上に目の粗い布地を貼り付けて吸音材とし、これらを背中合わせにして配置し、その中間に目の粗い中心布地を挟み込んで構成した遮音・吸音カーテン等が知られている(例えば、引用文献1参照。)
特開平11−56596号公報
しかしながら、上記構成とすることで、プラスチックフィルムが2層となることから、カーテンは、通気性を有しておらず、また高重量となってしまう問題がある。
さらには既存のカーテンをそのまま使用できないことから、既存のカーテンを吸音カーテンに取り換える必要があるという問題がある。
そこで、発明者は上述の課題を解決するために検討を重ねた。その結果、吸音性を付与する対象となる基材に、特定範囲の平均流量細孔径と特定範囲の目付を有する多孔質層を含む積層用吸音材を用いて、特定範囲の通気度と平均音響透過損失が特定値以上である基材層と組み合わせることによって、室内の雑音を吸音し、残響音を低減させる吸音材が得られることから、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。
[1]基材層と積層させて用いてもよい多孔質層からなる積層用吸音材であって、前記多孔質層は、平均流量細孔径が0.1〜30μmであり、目付が0.1〜200g/mである、繊維集合体または微多孔膜からなる層である、積層用吸音材。
[2][1]に記載の積層用吸音材と、[1]に記載の基材層とがそれぞれ1層含まれる積層吸音材であって、前記基材層は、通気度が30cc/cm・sec以上であり、1000〜12500Hzの平均音響透過損失が、0.5dB以上である、不織布、織布、発泡体、及び抄紙からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、前記積層吸音材の前記多孔層の面側に空気層を有しており、前記基材層が音の入射側、前記多孔質層が音の透過側となるように配置される、積層吸音材。
[3]前記多孔質層が、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を含む不織布からなる繊維集合体、またはポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、及びポリカーボネイトからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる微多孔膜である、[2]に記載の積層吸音材。
[4]前記基材層が、カーテンである、[3]に記載の積層吸音材。
[5][3]または[4]に記載の積層吸音材であって、垂直入射吸音率測定法による400〜1000Hzの周波数における平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材質層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
[6][3]〜[5]のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、1000〜2500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
[7][3]〜[6]のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、垂直入射吸音率測定法による2000〜5000Hzの周波数における平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
[8][3]〜[7]のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、5000〜12500Hzの周波数における垂直入射吸音率測定法による平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
上述の構成を有する本発明の積層用吸音材によれば、吸音性の付与を目的とする基材に取り付け、積層させることで、幅広い吸音性を実現することが可能である。本発明の積層用吸音材は、繊維集合体または微多孔膜からなる層であることから、軽量であり、通気性を有している。本発明の積層用吸音材を用いることで、住宅関連素材(建材)や遮音壁等、背後に空気層を有するカーテンやプリーツスクリーン、ハニカムスクリーン、アコーディオンカーテン等の間仕切り等、幅広いアプリケーションに対応可能な吸音材が提供できる。ロードノイズや人の話し声、階段歩行音等は400〜1000Hz程度の低周波領域、風切り音や換気扇等の住宅設備、ピアノや音響機器等は1000〜2500Hz程度の中周波数領域(一部、風切り音を含めるため、重複させた)、風切り音、ブレーキ鳴きや電車のレール滑走音等は2000〜5000Hz程度の高周波数領域、高回転モーター音やスイッチングノイズは5000〜12500Hzの超高周波数領域の音響であることが知られているところ、本発明の積層吸音材はこのような騒音対策に有用である。
本発明の実施例(実施例1)及び比較例(比較例1)の吸音特性を示すグラフである。 本発明の実施例(実施例2)及び比較例(比較例2)の吸音特性を示すグラフである。 本発明の実施例(実施例4)及び比較例(比較例2)の吸音特性を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
(積層用吸音材の構造)
本発明の積層用吸音材は、基材層に積層させて用いてもよい多孔質層からなる積層用吸音材であって、前記多孔質層は、平均流量細孔径が0.1〜30μmであり、目付が0.1〜200g/mである、繊維集合体または微多孔膜からなる層である。
(積層吸音材の構造)
また、本発明の積層用吸音材は、基材層に積層させて用いることで、本発明の積層吸音材とすることができる。本発明の積層吸音材は、積層用吸音材である多孔質層と、基材層がそれぞれ1層含まれ、前記積層吸音材の前記多孔層の面側に空気層を有しており、前記基材層が音の入射側、前記多孔質層が音の透過側となるように配置される。
前記多孔質層は、平均流量細孔径が0.1〜30μmであり、目付が0.1〜200g/mである、繊維集合体または微多孔膜からなる層であり、前記基材層は、通気度が30cc/cm・sec以上であり、1000〜12500Hzの平均音響透過損失が、0.5dB以上である、不織布、織布、発泡体、及び抄紙からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、前記基材層が音の入射側、前記多孔質層が音の透過側となるように配置される。
積層の対象である基材としては、住宅関連素材(建材)、遮音壁、カーテン、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーン、アコーディオンカーテン等の間仕切り等が挙げられる。特に、背後に空気層を有するカーテンが好ましく用いることができる、
本発明の積層吸音材は、音の入射側と透過側が規定されており、入射側に平均音響透過損失が高い材料を配置し、透過側に平均流量細孔径が小さい、緻密で薄い材料を配置し、この背後に空気層が配置されることによって、高い吸音性を実現するものである。
本発明の積層吸音材は、少なくとも1層の多孔質層と少なくとも1層の基材層とが積層されてなることが好ましい。多孔質層は、1層から構成されていてもよいし、2層以上で構成されていてもよい。基材層も同様であり、1層で構成されていてもよいし、2層以上で構成されていてもよい。
本発明の積層吸音材には、本発明の効果を損なわない限り、多孔質層及び基材層以外の構成が含まれていてもよい。本発明に規定する範囲外のさらなる多孔質層(1層でも2層以上でもよい)、保護層、印刷層、発泡体、メッシュ、織布等が含まれていてもよい。また、各層間を連結するための接着剤、クリップ、縫合糸等を含んでいてもよい。
なお、本明細書において「基材層が音の入射側、多孔質層が音の透過側」とは、積層吸音材において、基材層が多孔質層よりも音の入射側に配置されている(言い換えると、多孔質層が基材層よりも音の透過側に配置されている)という相対的な位置関係を表す。すなわち、(入射側)基材層/多孔質層/背後空気層(透過側)という典型的な積層形態のみならず、(入射側)基材層/その他の層/基材層/多孔質層/背後空気層(透過側)、(入射側)基材層/多孔質層/その他の層/背後空気層(透過側)、(入射側)その他の層/基材層/多孔質層/その他の層/背後空気層(透過側)、(入射側)基材層/その他の層/多孔質層/その他の層/背後空気層(透過側)、という積層形態等も含む。
積層吸音材を構成する各層は、物理的及び/または化学的に接着されていてもよいし、接着されていなくてもよい。積層吸音材の層間の一部が接着され、一部は接着されていない形態であってもよい。接着は、例えば、多孔質層の形成工程、または後工程において、加熱を行い、多孔質層を構成する材料の一部を融解し、多孔質層を他の層に融着させることによって多孔質層と他の層とを接着してもよい。また、層の表面に接着剤を付与して層間を接着することもできる。
積層吸音材の厚みは、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、20μm以上とすることができ、50μm以上とすることが好ましい。積層吸音材の厚みが、50μm以上であれば、吸音材を取り扱い性の観点からより好ましい。なお、積層吸音材の厚みとは、多孔質層及び基材層の厚みの合計のことを意味し、カートリッジや蓋等の外装体が取り付けられている場合、その部分の厚みは含まないものとする。
積層吸音材の背後に存在する空気層の厚みは、本発明の効果が得られる限り特に制限されないが、例えば、省スペース性の観点から3〜200mmが例示でき、5〜150mmとすることが好ましい。なお、積層吸音材の厚みとは、多孔質層及び基材層の厚みの合計のことを意味し、カートリッジや蓋等の外装体が取り付けられている場合、その部分の厚みは含まないものとする。
(多孔質層)
本発明に用いられる多孔質層は、平均流量細孔径が0.1〜30μmであり、好ましくは0.2〜20μmである。平均流量細孔径が0.1μm以上であれば、音の反射による吸音率の低下を抑えることができ、30μm以下であれば流れ抵抗を制御できるため吸音率を上昇させることができる。
また、多孔質層は、目付が0.1〜200g/mであり、好ましくは、0.1〜150g/mである。目付が0.1g/m以上であれば、流れ抵抗を制御できるため吸音率を上昇させることができ、200g/m以下であれば、吸音材の厚みを薄く保つことができる。
前記の平均流量細孔径と目付とを同時に満たす具体的な多孔質層としては、繊維集合体または微多孔膜が挙げられる。
本発明に用いられる繊維集合体としては、おおむね、平均繊維径が500nm未満である繊維からなる集合体であり、不織布、織布、及び抄紙が使用できる。平均繊維径が500nm未満であれば、高い吸音性が得られるため好ましく、450nm未満であれば、より高い吸音性が得られるためさらに好ましい。平均繊維径の下限は特に限定されないが、平均繊維径が10nm以上であれば加工性に優れるため利用しやすい。平均繊維径の測定は、公知の方法によることができる。平均繊維径は、例えば、繊維集合体表面の拡大写真から測定ないし算出することによって得られる値であり、詳細な測定方法は実施例に詳述される。
繊維集合体は、好ましくは不織布であり、前記の範囲の繊維径及び目付を有している限り特に制限されないが、メルトブローン不織布、電界紡糸法によって形成される極細繊維の不織布等であることが好ましい。電界紡糸法によれば、極細繊維を基材層上に繊維集合体として効率よく積層させることができる。電界紡糸法の詳細は製造方法に詳述する。
繊維集合体がメルトブローン不織布である場合、不織布を構成する繊維の素材となる樹脂としては、発明の効果を得られる限り特に制限されないが、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン、ポリ乳酸、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン1,2等のナイロン(アミド樹脂)類、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスルフォン、液晶ポリマー類、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが例示できる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を挙げることができ、ポリプロピレンとしては、プロピレンの単独重合体や、プロピレンと他の単量体、エチレンやブテン等が重合した共重合ポリプロピレン等を挙げることができる。繊維は、前記の樹脂の1種を含むことが好ましく、2種類以上を含んでいてもよい。
繊維集合体が前記のメルトブローン不織布である場合、その目付は、50〜200g/mとすることができ、60〜150g/mであれば好ましい。メルトブローン不織布を用いると、平均流量細孔径が小さく、かつ、ナノ繊維と比較して、従来設備により生産できる点で、比較的安価な積層吸音材を実現できるため有利である。
繊維集合体が電界紡糸法による不織布である場合、不織布を構成する繊維の素材となる樹脂としては、発明の効果を得られる限り特に制限されないが、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ乳酸、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル類、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン1,2等のナイロン(アミド樹脂)類、ポリフェニレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリスルフォン、液晶ポリマー類、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン等のポリフッ化ビニリデンの共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォンおよびポリビニルアルコールが、電界紡糸法においては、各種溶剤に可溶である観点から、より好ましい。
繊維は、前記の樹脂の1種を含むことが好ましく、2種類以上を含んでいてもよい。
繊維集合体が前記の電界紡糸法による不織布である場合、その目付は特に、0.1〜10g/mとすることができ、0.1〜5.0g/mであればより好ましい。電界紡糸法による不織布を用いると、平均流量細孔径が小さく、かつ、目付の小さな不織布層とすることができ、厚みの薄い積層吸音材を実現できるため有利である。
本発明に用いられる微多孔膜としては、特に微多孔膜の原料に限定はないが、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリカーボネイト等の単体あるいはこれらの混合物等が用いられるが、ポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略記することもある。)を含むことが耐久性の観点から好ましく、PTFE製であることがより好ましい。好ましく用いられるPTFE微多孔膜の製造方法は、特に限定されないが、寸法変化を抑制する観点から、延伸PTFE微多孔膜であることが好ましい。
微多孔膜は、公知の方法で製造してもよいし、市販品を適用することも可能であり、ポアフロン(住友電工社製)、メンブレンフィルター(アドバンテック社製)等を用いることができる。微多孔膜には、必要に応じて、非繊維化物(例えば低分子量PTFE)、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色顔料等の公知の添加剤を、本発明の課題達成及び効果を損なわない範囲で含有してもよい。
また、微多孔膜は、1層でも、必要に応じて2層以上を組み合わせて用いる構成であってもよい。仮にボイドやピンホール等の欠陥が発生した場合にも欠陥が伝播しないという観点からは、2層以上とすることが好ましい。
上記のほか、多孔質層には、樹脂以外の各種の添加剤を含んでもよい。樹脂に添加されうる添加剤としては、充填剤、安定化剤、可塑剤、粘着剤、接着促進剤(例えば、シランおよびチタン酸塩)、シリカ、ガラス、粘土、タルク、顔料、着色剤、酸化防止剤類、蛍光増白剤類、抗菌剤類、界面活性剤類、難燃剤類、およびフッ化ポリマー等を挙げることができる。前記添加物のうち1つ以上を用いて、得られる繊維および層の重量および/またはコストを軽減してもよく、粘度を調整してもよく、または繊維の熱的特性を変性してもよく、あるいは電気特性、光学特性、密度に関する特性、液体バリアもしくは粘着性に関する特性を包含する、添加物の特性に由来する様々な物理特性活性を付与してもよい。
(基材層)
本発明の積層用吸音材である多孔質層と積層させて用いる基材層は、通気度が30cc/cm・sec以上を有しており、1000〜12500Hzの平均音響透過損失が、0.5dB以上となる吸音性を有するとともに、多孔質層を支持して吸音材全体の形状を保持する機能を有している。本発明の積層吸音材において、多孔質層として、極めて細い繊維径の繊維から形成される繊維集合体または微多孔膜を用いた場合、強度(剛性)が低くなる。そのため、基材層が実質的に積層吸音材の強度を担うことになる。
基材層の目付は、特に限定されないが、15g/m以上であればよく、15〜300g/mであることが好ましく、15〜250g/mであることがより好ましい。基材層の目付が15g/m以上であれば、吸音材として必要な強度を得ることができる。
基材層は、1000〜12500Hzの平均音響透過損失が、0.5dB以上である。平均音響透過損失が0.5dB以上である基材層を用いることによって、多孔質層と組み合わせた時に、予想外に幅広い周波数領域で優れた吸音性能を得ることができる。基材層は、その少なくとも一方の表面上に多孔質層を積層できるものであれば特に制限されない。基材層としては、不織布、織布、抄紙、または発泡体(発泡フォーム)を用いることができ、なかでも、不織布、織布、及び抄紙を用いることが好ましい。基材層は、ハニカムコア等の構造体とすることでより吸音性を向上させることもできる。積層吸音材に含まれる基材層は1種類であってもよく、2種類以上の基材層を含むことも好ましい。
基材層の平均音響透過損失の上限は特に制限されないが、例えば、0.5dB以上のものを用いることができる。一般に、平均音響透過損失は遮音性能を表すパラメータであり、本発明に用いる基材層は一定以上の遮音性能を有する。しかしながら、基材層の平均音響透過損失が0.5dBを超えるものであっても、基材層単体では必ずしも幅広い周波数領域で十分な吸音性を示すことはできない。本発明では、このような基材層と、緻密な多孔質層との組み合わせによって、予想外の幅広い吸音性を実現している。
平均音響透過損失の測定方法は公知の方法によることができる。具体的には実施例に詳述される。
基材層が不織布である場合、メルトブローン不織布、エアレイド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、スルーエア不織布、サーマルボンド不織布、またはニードルパンチ不織布等を用いることができ、所望の物性や機能によって適宜選択できる。
基材層の不織布の繊維を構成する樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることができ、ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂等を挙げることができる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらと他のα−オレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1あるいは4−メチルペンテン−1等のうちの1種以上とのランダム若しくはブロック共重合体あるいはこれらを組み合わせた共重合体、またはこれらの混合物等を挙げることができる。ポリアミド系樹脂としては、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6,6、ナイロン6,10、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリパラキシリレンデカンアミド、ポリビスシクロヘキシルメタンデカンアミドもしくはこれらのコポリアミド等を挙げることができる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレートの他、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリブチルテレフタレート、ポリエチレンオキシベンゾエート、ポリ(1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート)若しくはこれらの共重合体等を挙げることができる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレン繊維、及びポリプロピレン繊維の1種または2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。また、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維等を用いることも好ましい。
基材層が、織布である場合にも同様の樹脂から構成される繊維を用いることができる。
基材層の不織布を構成する繊維としては、1成分からなる繊維を使用することもできるが、繊維同士の交点の融着の効果を考慮したとき、低融点樹脂と高融点樹脂の複合成分からなる繊維、すなわち、融点が異なる2成分以上からなる複合繊維を用いることも好ましい。複合形態は、例えば鞘芯型、偏心鞘芯型、並列型を挙げることができる。また、基材層の不織布を構成する繊維として、融点が異なる2成分以上の混繊繊維を用いることも好ましい。なお、混繊繊維とは、高融点樹脂からなる繊維と低融点樹脂からなる繊維とが独立して存在し、混合されてなる繊維を意味している。基材が、織布である場合にも同様の繊維を用いることができる。
基材層の不織布を構成する繊維の繊維径は、特に制限されるものではないが、繊維径が500nm〜1mmである繊維からなるものを用いることができる。繊維径が500nm〜1mmであるとは、平均繊維径がこの数値範囲内であることを意味する。繊維径が500nm以上であれば、多孔質層と基材層の不織布を構成する繊維との密度差による流れ抵抗を制御することができ、1mm未満であれば、汎用性が失われることがなく、また入手も容易となる。繊維径は、1.0〜100μmであれば、多孔質層と基材層の不織布を構成する繊維の密度差による流れ抵抗を制御することができ入手も容易であるため、より好ましい。繊維径の測定は、多孔質層の繊維径の測定と同様の方法で行うことができる。基材が、織布である場合にも同様の繊維を用いることができる。
基材層が織物である場合、平織、目抜き平織、綾織、朱子織、模紗織等の織り方によって得られる織物を用いることができ、所望の物性や機能によって適宜選択できる。織物としては、例えば、ガラスヤーンを用いて製造したガラスクロスや、金属線または樹脂からなる繊維を平織や綾織したメッシュやカーテンが利用できる。
基材層が抄紙である場合、植物繊維その他の繊維を膠着させて製造した紙であれば、特に制限なく用いることができる。紙は、パルプ等の植物繊維、樹脂からなる繊維、ガラス繊維等を原料として、湿式抄紙法により製造することができる。
基材層が発泡体(発泡フォーム)である場合、樹脂中にガスを細かく分散させ、発泡状または多孔質形状に成形させ、連続気泡(連通孔)を有している樹脂製の発泡体であれば、特に制限なく用いることができる。樹脂製の発泡体としては、軟質ポリウレタンフォーム、硬質ポリウレタンフォーム、メラミンフォーム、ポリスチレンフォーム、シリコーンフォーム、ポリ塩化ビニルフォーム、アクリルフォーム、ユリアフォーム等が利用できる。
前記の発泡フォームを構成する樹脂としては、具体的には例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、メラミン系樹脂が例示できる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、若しくは4−メチルペンテン−1等の単独重合体、及びこれらと他のα−オレフィン、即ち、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1あるいは4−メチルペンテン−1等のうちの1種以上とのランダム若しくはブロック共重合体あるいはこれらを組み合わせた共重合体、又はこれらの混合物等を挙げることができる。
本発明において、基材層の厚みは特に制限されるものではないが、基材層の厚みが積層吸音材の厚みの大部分となるため、省スペース性の観点からは20μm〜2mmであることが好ましく、50μm〜1mmであることがより好ましい。基材層が2層以上の構造体から構成される場合、1枚あたりの厚みは、例えば、20μm〜1mmとすることができ、25μm〜1mmとすることがより好ましい。1枚あたりの厚みが20μm以上であれば、皺の発生がなく取り扱いが容易で、生産性が良好であり、1枚あたりの厚みが1mm以下であれば、省スペース性を妨げる恐れがない。
基材層には、本発明の効果を妨げない範囲内で、各種の添加剤として、着色剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、造核剤、滑剤、抗菌剤、難燃剤、可塑剤、及び他の熱可塑性樹脂等が添加されていてもよい。また、表面が各種の仕上げ剤で処理されていてもよい。この処理によって、撥水性、制電性、表面平滑性、耐摩耗性等の機能が付与される。
(積層吸音材の吸音特性)
本発明の積層吸音材は、1枚の吸音材で、400〜1000Hzの低周波数領域、1000〜2500Hzの中周波数領域、2000〜5000Hzの高周波数領域、また、5000〜12500Hzの超高周波領域のすべてにおいて高い吸音性能を示す。特定の理論に拘束されるものではないが、本発明の積層吸音材は、音の入射側に音響透過損失の高い材料を配置し、透過側に平均流量細孔径の小さな材料を配置することによって、流れ抵抗が制御され、高い吸音特性がえられている。
(積層吸音材の製造方法)
積層吸音材の製造方法は特に制限されないが、基材層上に積層用吸音材である多孔質層を形成する方法、或いは、多孔質層を別の支持体上に作製しておき、積層用吸音材である基材層と支持体に支持された多孔質層とを一体化する方法等によって得ることができる。
基材層として不織布を用いる場合、公知の方法で不織布を製造して用いてもよいし、市販の不織布を選択して用いることもできる。また、基材層上に多孔質層を形成する工程は、電界紡糸法を用いることが好ましい。電界紡糸法は、紡糸溶液を吐出させるとともに、電界を作用させて、吐出された紡糸溶液を繊維化し、コレクター上に繊維を得る方法である。紡糸溶液をノズルから押し出すとともに電界を作用させて紡糸する方法、紡糸溶液を泡立たせるとともに電界を作用させて紡糸する方法、円筒状電極の表面に紡糸溶液を導くとともに電界を作用させて紡糸する方法等を挙げることができる。本発明においては、コレクター上に基材層となる不織布等を挿入し、基材層上に繊維を集積させて多孔質層を形成することができる。
紡糸溶液としては、曳糸性を有するものであれば特に限定されないが、高分子を含む溶液であることが好ましく、高分子樹脂を溶媒に分散させたもの、高分子樹脂を溶媒に溶解させたもの、高分子樹脂を熱やレーザー照射によって溶融させたもの等を用いることができる。
樹脂を分散または溶解させる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、トルエン、キシレン、ピリジン、蟻酸、酢酸、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、トリフルオロ酢酸及びこれらの混合物等を挙げることができる。混合して使用する場合の混合率は、特に限定されるものではなく、求める曳糸性や分散性、得られる繊維の物性を鑑みて、適宜設定することができる。
電界紡糸の安定性や繊維形成性を向上させる目的で、紡糸溶液中にさらに界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤は、ドデシル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、臭化テトラブチルアンモニウム等の陽イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタモンモノラウレート等の非イオン性界面活性剤等を挙げることができる。界面活性剤の濃度は、紡糸溶液に対して5重量%以下の範囲であることが好ましい。5重量%以下であれば、使用に見合う効果の向上が得られるため好ましい。また、本発明の効果を著しく損なわない範囲であれば、上記以外の成分も紡糸溶液の成分として含んでもよい。
紡糸溶液の調製方法は、特に限定されず、撹拌や超音波処理等の方法を挙げることができる。また、混合の順序も特に限定されず、同時に混合しても、逐次に混合してもよい。撹拌により紡糸溶液を調製する場合の撹拌時間は、樹脂が溶媒に均一に溶解または分散していれば特に限定されず、例えば、1〜24時間程度撹拌してもよい。
電界紡糸により繊維を得るためには、紡糸溶液の粘度を、10〜10,000cPの範囲に調製することが好ましく、50〜8,000cPの範囲であることがより好ましい。粘度が10cP以上であると、繊維を形成するための曳糸性が得られ、10,000cP以下であると、紡糸溶液を吐出させるのが容易となる。粘度が50〜8,000cPの範囲であれば、広い紡糸条件範囲で良好な曳糸性が得られるのでより好ましい。紡糸溶液の粘度は、樹脂の分子量、濃度や溶媒の種類や混合率を適宜変更することで、調整することができる。
紡糸溶液の温度は、常温で紡糸することもできるし、加熱・冷却して紡糸してもよい。紡糸溶液を吐出させる方法としては、ポンプを用いてシリンジに充填した紡糸溶液をノズルから吐出させる方法等を挙げることができる。ノズルの内径としては、特に限定されないが、0.1〜1.5mmの範囲であるのが好ましい。また吐出量としては、特に限定されないが、0.1〜10mL/hrであるのが好ましい。
紡糸溶液に電界を作用させる方法としては、ノズルとコレクターに電界を形成させることができれば特に限定されるものではなく、例えば、ノズルに高電圧を印加し、コレクターをアースとして接地してもよい。印加する電圧は、繊維が形成されれば特に限定されないが、5〜100kVの範囲であるのが好ましい。また、ノズルとコレクターとの距離は、繊維が形成されれば特に限定されないが、5〜50cmの範囲であるのが好ましい。
別々に準備した積層用吸音材である多孔質層と基材層とを重ね合わせて一体化する場合、一体化の方法は特に限定されず、接着を行わずに重ね合わせるだけでもよく、重ね合わせた後に、クリップ等で固定してもよく、また、各種の接着方法、つまり、加熱したフラットロールやエンボスロールによる熱圧着、ホットメルト剤や化学接着剤による接着、循環熱風もしくは輻射熱による熱接着等を採用することもできる。極細繊維を含む多孔質層の物性低下を抑制するという観点では、なかでも循環熱風もしくは輻射熱による熱処理が好ましい。フラットロールやエンボスロールによる熱圧着の場合、加工温度を調整し、多孔質層が溶融してフィルム化したり、エンボス点周辺部分に破れが発生したりする等のダメージを受けないようにすることが必要である。また、ホットメルト剤や化学接着剤による接着の場合には、該成分によって多孔質層の空隙が埋められ、性能低下を生じないように加工することが必要である。一方で、循環熱風もしくは輻射熱による熱処理で一体化した場合には、多孔質層へのダメージが少なく、かつ十分な層間剥離強度で一体化できるので好ましい。循環熱風もしくは輻射熱による熱処理によって一体化する場合には、特に限定されるものではないが、熱融着性複合繊維からなる不織布および積層体を使用することが好ましい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、以下の実施例は例示を目的としたものに過ぎない。本発明の範囲は、本実施例に限定されない。
実施例で用いた物性値の測定方法または定義を以下に示す。
<平均繊維径>
株式会社日立ハイテクノロジーズ製の走査型電子顕微鏡SU8020を使用して、繊維構造体(不織布)を観察し、付属の画像解析ソフトを用いて繊維50本の直径を測定した。繊維50本の繊維径の平均値を平均繊維径とした。
<平均流量細孔径>
POROUS MATERIAL社製Capillary FlowPorometer(CFP−1200−A)を使用して、JIS K 3832(「精密ろ過膜エレメント及びモジュールのバブルポイント試験方法」)に準拠し、平均流量細孔径を測定した。
<吸音率測定>
吸音率測定は、各条件で得られたサンプルを測定した。
測定対象物から直径16.6mmのサンプルを採取し、垂直入射吸音率測定装置「日本音響エンジニアリング社製WinZacMTX」を用いASTM E 1050に準拠し、空気層を0、10、30、60、100mmと設定し、それぞれ1点、周波数400〜12500Hzの3分の1オクターブバンド毎に垂直入射吸音率を測定し、それぞれの周波数での平均値を算出した。サンプルの厚み方向に対して、吸音率等の測定を行った。
<低周波数領域の吸音性>
周波数が400Hzから1000Hzまでの吸音率を測定し平均吸音率を算出した。繊維集合体のないサンプルと比較評価することにより、改善幅を評価した。具体的には、各サンプルの垂直入射吸音率を1 / 3 オクターブバンドで測定し、差を算出することで評価した。400〜1000Hzの周波数領域の吸音性能の改善幅を示し、数値が高ければ、吸音性の改善幅が高いと判断した。改善幅が0.03以上の場合、低周波数領域の吸音性の改善が良好(○)と評価し、0.03未満である場合、吸音性の改善を不良(×)と評価した。
<中周波数領域の吸音性>
評価した周波数域を1000〜2500Hzとし、改善幅の算出を行うこと以外は、低周波数領域の吸音性と同様に評価した。ここで、2000〜2500Hzの周波数域を含めた理由は、風切り音を含め、評価するためである。
<高周波数領域の吸音性>
評価した周波数域を2000〜5000Hzとし、改善幅の算出を行うこと以外は、低周波数領域の吸音性と同様に評価した。
<超高周波数領域の吸音性>
評価した周波数域を5000〜12500Hzとし、改善幅の算出を行うこと以外は、低周波数領域の吸音性と同様に評価した。
<平均音響透過損失測定>
平均音響透過損失測定は、各基材層の単体より、直径16.6mmのサンプルを採取し、垂直入射吸音率測定装置「日本音響エンジニアリング社製WinZacMTX」を用い、ASTM E 1050に準拠し、垂直入射吸音率測定時に多孔質層の背後の空気層を0、10、30、60、100mmと変化させ、平均音響透過損失を1/3オクターブバンド毎に測定し、1000〜12500Hz間の平均音響透過損失を算出した。
<多孔質層の準備>
1)電界紡糸法によって得られた多孔質層(極細繊維不織布)
Arkema製のポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(以下、「PVDF」と略記する。)であるKynar(商品名)3120を、N,N−ジメチルアセトアミドとアセトンの共溶媒(60/40(w/w))に15質量%の濃度で溶解し、電界紡糸溶液を調製し、導電助剤であるドデシル硫酸ナトリウムを0.01質量%添加した。基材層の上に前記PVDF−HFP溶液を電界紡糸して、基材層とPVDF−HFP極細繊維との2層からなる繊維積層体を作製した。電界紡糸の条件は、24Gニードルを使用し、単孔溶液供給量は3.0mL/h、印加電圧は35kV、紡糸距離は17.5cmとした。
基材層の搬送速度を変化させ、目付を0.2g/mとなるように調節し、平均繊維径が80nmであり、融解温度が168℃である、多孔質層を製造した。得られた多孔質層をA1とした。A1の平均流量細孔径を評価したところ5.8μmであった。
基材層の搬送速度を変化させ、目付を6.0g/mとなるように調節し、平均繊維径が80nmであり、融解温度が168℃である、多孔質層を製造した。得られた多孔質層をA2とした。A2の平均流量細孔径を評価したところ0.7μmであった。
2)スパンボンド法によって得られた多孔質層(スパンボンド不織布)
多孔質層として、市販されている不織布材料である、旭化成製ELTAS(登録商標)FLATEH5025(厚み0.11mm)を用いて、この多孔質層をA3とした。A3は、扁平糸を使用したスパンボンド不織布であり、スパンボンド不織布は、これを構成する繊維の楕円の長軸径が40μmであり、短軸径が5μmであり、平均流量細孔径が41 μmであり 、フラジール形法による通気度は138cc/cm・sであった。
3)微多孔膜
市販のADVANTEC製MEMBRANE FILTER T300A(PORE SIZE3.0μm 厚み75μm)の平均流量細孔径を評価したところ1.1μmであった。これを多孔質層D1とした。
4)無孔フィルム(多孔質層の範囲外となる無孔の薄膜)
市販の無延伸ポリプロピレンフィルムであるオージェイケイ株式会社製 製品名「25SS」、厚み25μmを用意し、これをA4とした。
<基材層の準備>
1)スルーエア不織布によって得られた基材層
市販のポリエチレンテレフタレート製カード法スルーエア不織布(目付18g/m、厚み60μm)を準備し、これを基材層とした。得られた基材層をC1とした。WinZacMTXを用いて、C1の平均音響透過損失を測定したところ、0.5dBであった。
2)カーテン織布からなる基材層
市販のカーテン生地である、クリエーションバウマン社製の目付50g/mのSINFONIA VIIを基材層として用い、C2とした。
同様に、125g/mのPrimacousticを基材層として用い、C3とした。また、216g/mのOLAを基材層として用い、C4とした。
WinZacMTXを用いて、それぞれの平均音響透過損失を測定したところ、C2は、0.6dBであり、C3は、3.0dBであり、C4は、9.3dBであった。
<実施例1>
多孔質層としてA1を使用し、基材層としてC1を使用し、基材層/多孔質層=C1/A1となるように重ね合わせ、積層吸音材を作成した。作成した積層吸音材を15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。サンプルのC1側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C1のみである比較例1を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、低周波数領域で0.115、中周波数領域で0.140、高周波数領域で0.183、及び超高周波数域で0.172であり、吸音性能は、良好であった。
<実施例2>
多孔質層としてA1を使用し、基材層としてC2を使用し、これらを重ね合わせ、積層吸音材を作成した。作成した積層吸音材を15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。
サンプルのC2側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C2のみである比較例2を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、低周波数領域で0.089、中周波数領域で0.169、高周波数領域で0.214、超高周波数域で0.224であり、吸音性能は、良好であった。
<実施例3>
多孔質層としてA1を使用し、基材層としてC3を使用し、これらを重ね合わせ、積層吸音材を作成した。作成した積層吸音材を15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。
サンプルのC3側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C3のみである比較例3を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、低周波数領域で0.049、中周波数領域で0.072、高周波数領域で0.082、超高周波数域で0.085であり、吸音性能は、良好であった。
<実施例4>
多孔質層としてA3を使用し、基材層としてC2を使用し、これらを重ね合わせ、積層吸音材を作成した。作成した積層吸音材を15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。
サンプルのC2側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C2のみである比較例2を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、低周波数領域で0.130、中周波数領域で0.167、高周波数領域で0.189、超高周波数域で0.186であり、吸音性能は、良好であった。
<実施例5>
多孔質層としてD1を使用し、基材層としてC2を使用し、これらを重ね合わせ、積層吸音材を作成した。作成した積層吸音材を15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。
サンプルのC2側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C2のみである比較例2を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、低周波数領域で0.331、中周波数領域で0.312、高周波数領域で0.210、超高周波数域で0.099であり、吸音性能は、良好であった。
表1に、実施例1〜5で用いた多孔質層の平均流量細孔径、目付を示し、実施例1〜4で用いた基材層の通気度、平均透過損失を示した。
表2に、実施例1〜4で得られた積層吸音材の周波数毎の吸音率を測定した。
表3に、実施例1〜4で得られた積層吸音材の平均吸音率を示した。
表4に、実施例1〜4で得られた積層吸音材の吸音率改善幅を示した。
表5に、比較例1〜7で用いた多孔質層の平均流量細孔径、目付を示し、比較例1〜7で用いた基材層の通気度、平均透過損失を示した。
表6に、比較例1〜7で得られた積層吸音材の周波数毎の吸音率を測定した。
表7に、比較例1〜7で得られた積層吸音材の平均吸音率を示した。
表8に、比較例1〜7で得られた積層吸音材の吸音率改善幅を示した。
Figure 2021157133
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Figure 2021157133
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Figure 2021157133
<比較例1>
基材層としてC1(厚み60μm)のみを使用し、これを15mm径の円形に切り出して吸音率測定用サンプルを作成した。
WinZacMTXを用いて、サンプルの低周波数領域、中周波数領域、高周波数領域、及び超高周波数領域の吸音率を測定した。サンプルの吸音率の差分は、そのものであるため、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域で0であり、吸音性能は、不良であった。
<比較例2>
基材層としてC2(厚み210μm)のみを使用し、これを15mm径の円形に切り出して吸音率測定用サンプルを作成した。
WinZacMTXを用いて、サンプルの低周波数領域、中周波数領域、高周波数領域及び超高周波数領域の吸音率を測定した。サンプルの吸音率の差分は、そのものであるため、低周波数領域、中周波数領域、高周波数領域で0であり、不良であった。
<比較例3>
基材層としてC3(厚み420μm)のみを使用し、これを15mm径の円形に切り出して吸音率測定用サンプルを作成した。
WinZacMTXを用いて、サンプルの低周波数領域、中周波数領域、高周波数領域、及び超高周波数領域の吸音率を測定した。サンプルと対照とが同じC3であることから、サンプルの吸音率の差分は、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域で0となり、吸音性能は不良であった。
<比較例4>
多孔質層としてA1を使用し、基材層としてC4を使用し、これらを重ね合わせ、15mm径の円形に切り出して吸音率測定用サンプルを作成した。該サンプルのC4側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、サンプルの低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C4のみである比較例5を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、改善幅は、高周波数領域で0.039であり良好であったものの、低周波数領域で0.020であり、中周波数領域で0.023であり、超高周波数域で0.021であり、不良であった。
<比較例5>
基材層としてC4(厚み480μm)のみを使用し、これを15mm径の円形に切り出して吸音率測定用サンプルを作成し、WinZacMTXを用いて、サンプルの低周波数領域、中周波数領域、高周波数領域、及び超高周波数領域の吸音率を測定した。サンプルである基材層C4と対照とが同じであることから、サンプルの吸音率の差分は、低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域で0となり、吸音性能は、不良であった。
<比較例6>
多孔質層としてA2を使用し、基材層としてC2を使用し、これらを重ね合わせ、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。該サンプルのC2側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、サンプルの低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C2のみである比較例2を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、中周波数領域で0.036、高周波数領域で0.071であり良好であったものの、低周波数領域で0.027であり、超高周波数域で0.005であり、吸音性能は、不良であった。
<比較例7>
多孔質層の代わりとして無孔フィルムであるA4を使用し、基材層としてC2を使用し、これらを重ね合わせ、15mm径の円形に切り出し吸音率測定用サンプルを作成した。該サンプルのC2側を音源側にセットし、WinZacMTXを用いて、サンプルの低周波数領域、中周波数領域、及び高周波数領域の吸音率を測定した。基材層C2のみである比較例2を対照としてその吸音率との差分をとり、改善幅を算出したところ、中周波数領域で0.036であり良好であったものの、低周波数領域で0.012であり、高周波数領域、超高周波数域で改善が認められず不良であった。
本発明の積層吸音材は、低周波数領域から中周波数領域、高周波領域、超高周波数領域の吸音性に特に優れるため、低周波数領域から超高周波数域の騒音が問題になる分野における吸音材として利用されうる。本発明の積層吸音材は、室内の雑音を吸音し、残響音を低減させる住宅の吸音材として用いられる。具体的には、吸音カーテン、吸音ハニカムスクリーン、吸音プリーツスクリーン、吸音アコーディオンカーテンや天井に用いられる吸音材が例示できる。さらに、本発明の積層吸音材は、高速道路や鉄道路線等の防音壁、家電製品の防音材、鉄道や自動車等の車両の各部に配置される吸音材等として用いられうる。

Claims (8)

  1. 基材層と積層させて用いてもよい多孔質層からなる積層用吸音材であって、前記多孔質層は、平均流量細孔径が0.1〜30μmであり、目付が0.1〜200g/mである、繊維集合体または微多孔膜からなる層である、積層用吸音材。
  2. 請求項1に記載の積層用吸音材と、請求項1に記載の基材層とがそれぞれ1層含まれる積層吸音材であって、前記基材層は、通気度が30cc/cm・sec以上であり、1000〜12500Hzの平均音響透過損失が0.5dB以上である、不織布、織布、発泡体、及び抄紙からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、前記積層吸音材の前記多孔層の面側に空気層を有しており、前記基材層が音の入射側、前記多孔質層が音の透過側となるように配置される、積層吸音材。
  3. 前記多孔質層が、ポリフッ化ビニリデン、ナイロン6,6、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、及びポリプロピレンからなる群から選ばれる少なくとも1種の繊維を含む不織布からなる繊維集合体、またはポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、及びポリカーボネイトからなる群から選ばれる少なくとも1種からなる微多孔膜である、請求項2に記載の積層用吸音材。
  4. 前記基材層がカーテンである、請求項3に記載の積層吸音材。
  5. 請求項3または4に記載の積層吸音材であって、垂直入射吸音率測定法による400〜1000Hzの周波数における平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、垂直入射吸音率測定法による1000〜2500Hzの周波数における平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、垂直入射吸音率測定法による2000〜5000Hzの周波数における平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
  8. 請求項3〜7のいずれか1項に記載の積層吸音材であって、垂直入射吸音率測定法による5000〜12500Hzの周波数における平均吸音率が、当該積層吸音材に含まれる基材層のみである場合の平均吸音率と比較して、0.03以上向上する、積層吸音材。
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