JP2021155272A - 水素供給システム - Google Patents
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Abstract
【課題】システムに対する投入エネルギーを低減できる水素供給システムを提供する。【解決手段】水素供給システム100は、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部8よりも上流側から、水素含有ガスの一部を脱水素反応部3へ戻すリサイクルラインL20を備える。これにより、リサイクルラインL20は、精製ガスに代えて、精製前の水素含有ガスをリサイクルガスとして脱水素反応部3へ戻すことができる。これにより、精製ガスをリサイクルガスとしてリサイクルする場合に必要とされていた水素精製部8での投入エネルギーを削減することができる。【選択図】図1
Description
本発明は、水素の供給を行う水素供給システムに関する。
従来の水素供給システムとして、例えば特許文献1に挙げるものが知られている。特許文献1の水素供給システムは、原料の芳香族炭化水素の水素化物を貯蔵するタンクと、当該タンクから供給された原料を脱水素反応させることによって水素を得る脱水素反応部と、脱水素反応部で得られた水素を気液分離する気液分離部と、気液分離された水素を精製する水素精製部と、を備える。
上述したような水素供給システムでは、脱水素反応部が有する脱水素触媒の耐久性・寿命を向上させる必要がある。そのためには、水素精製部にて精製された精製ガスを脱水素反応部へリサイクルすることが有効である。しかしながら、最終的な製品でもある精製ガスをリサイクルすることは、当該リサイクル分だけ水素供給システム全体としての投入エネルギーが増加することにつながる。そのため、水素供給システムの水素供給効率が低下するという問題がある。それにより、水素供給システムにとっては余計な能力が必要となり、コストアップにつながるという問題がある。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、システムに対する投入エネルギーを低減できる水素供給システムを提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係る水素供給システムは、水素の供給を行う水素供給システムであって、芳香族炭化水素の水素化物を含む原料を脱水素反応させることによって水素含有ガスを得る脱水素反応部と、脱水素反応部で得られた水素含有ガスから脱水素生成物を除去し、高純度水素を含む精製ガスを得る水素精製部と、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部よりも上流側から、水素含有ガスの一部を脱水素反応部へ戻すリサイクルラインと、を備える。
水素供給システムは、脱水素反応部で得られた水素含有ガスから脱水素生成物を除去し、高純度水素を含む精製ガスを得る水素精製部を備える。従って、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部よりも下流側には、水素の純度の高い精製ガスが存在しており、上流側には、精製ガスよりも水素の純度が低い水素含有ガスが存在している。ここで、本願発明者らは、精製前の水素含有ガスは、水素の純度が低いものの、脱水素反応部の脱水素触媒に対する性能上の問題はなく、且つ、脱水素触媒に対する悪影響も与えない点を見出した。すなわち、本願発明者らは、リサイクルガスとして精製前の水素含有ガスを用いても、精製ガスを用いた場合と略同等の効果が発揮できることを見出した。従って、水素供給システムは、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部よりも上流側から、水素含有ガスの一部を脱水素反応部へ戻すリサイクルラインを備える。これにより、リサイクルラインは、精製ガスに代えて、精製前の水素含有ガスをリサイクルガスとして脱水素反応部へ戻すことができる。これにより、精製ガスをリサイクルガスとしてリサイクルする場合に必要とされていた水素精製部での投入エネルギーを削減することができる。以上より、システムに対する投入エネルギーを低減できる。
この水素供給システムは、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部よりも上流側に設けられ、水素含有ガスを気液分離する気液分離部を更に備え、リサイクルラインは、気液分離部に接続され、当該気液分離部において分離された水素含有ガスを脱水素反応部へ戻す。このように、リサイクルラインを気液分離部に接続することで、水素精製部の上流側から容易にリサイクルガスを回収することができる。
本発明によれば、システムに対する投入エネルギーを低減できる水素供給システムを提供することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る水素供給システムの好適な実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係る水素供給システムの構成を示すブロック図である。水素供給システム100は、有機化合物(常温で液体)を原料とするものである。なお、水素精製の過程では、原料である有機化合物(常温で液体)を脱水素した、脱水素生成物(有機化合物(常温で液体))が除去される。原料の有機化合物として、例えば、有機ハイドライドが挙げられる。有機ハイドライドは、製油所で大量に生産されている水素を芳香族炭化水素と反応させた水素化物が好適な例である。また、有機ハイドライドは、芳香族の水素化化合物に限らず、2−プロパノール(水素とアセトンが生成される)の系もある。有機ハイドライドは、ガソリンなどと同様に液体燃料としてタンクローリーなどによって水素供給システム100へ輸送することができる。本実施形態では有機ハイドライドとして、メチルシクロヘキサン(以下、MCHと称する)を用いる。その他、有機ハイドライドとしてシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、デカリン、メチルデカリン、ジメチルデカリン、エチルデカリンなど芳香物炭化水素の水素化物を適用することができる(なお、芳香族化合物は特に水素含有量の多い好適な例である)。水素供給システム100は、燃料電池自動車(FCV)や水素エンジン車に水素を供給することができる。なお、メタンを主成分とした天然ガスやプロパンを主成分としたLPG、あるいはガソリン、ナフサ、灯油、軽油といった液体炭化水素原料から水素を製造する場合にも適用可能である。
図1に示すように、本実施形態に係る水素供給システム100は、液体移送ポンプ1、熱交換部2、脱水素反応部3、加熱部4、気液分離部6、圧縮部7、及び水素精製部8を備えている。このうち、液体移送ポンプ1、熱交換部2、及び脱水素反応部3は、水素含有ガスを製造する水素製造部10に属する。また、気液分離部6、圧縮部7、及び水素精製部8は、水素の純度を高める水素純度調整部11に属する。また、水素供給システム100は、ラインL1〜L12を備えている。なお、本実施形態では、原料としてMCHを採用し、水素精製の過程で除去される脱水素生成物がトルエンである場合を例として説明する。なお、実際には、トルエンのみならず、未反応のMCHと少量の副生成物及び不純物も存在するが、本実施形態中では、トルエンに混じって当該トルエンと同じ挙動を示す。従って、以下の説明において、「トルエン」と称して説明するものには、未反応のMCHや副生成物も含むものとする。
ラインL1〜L12は、MCH、トルエン、水素含有ガス、オフガス、高純度水素、または加熱媒体が通過する流路である。ラインL1は、液体移送ポンプ1が図示されないMCHタンクからMCHをくみ上げるためのラインであり、液体移送ポンプ1とMCHタンクを接続する。ラインL2は、液体移送ポンプ1と脱水素反応部3とを接続する。ラインL3は、脱水素反応部3と気液分離部6とを接続する。ラインL4は、気液分離部6と図示されないトルエンタンクとを接続する。ラインL5は、気液分離部6と圧縮部7とを接続する。ラインL6は、圧縮部7と水素精製部8とを接続する。ラインL7は、水素精製部8とオフガスの供給先とを接続する。ラインL8は、水素精製部8と図示されない精製ガスの供給装置とを接続する。ラインL11,L12は、加熱部4と脱水素反応部3とを接続する。ラインL11,L12は、熱媒体を流通させる。
液体移送ポンプ1は、原料となるMCHを脱水素反応部3へ供給する。なお、外部からタンクローリーなどで輸送されたMCHは、MCHタンクにて貯留される。MCHタンクに貯留されているMCHは、液体移送ポンプ1によってラインL1,L2を介して脱水素反応部3へ供給される。
熱交換部2は、ラインL2を流通するMCHとラインL3を流通する水素含有ガスとの間で熱交換を行う。脱水素反応部3から出てきた水素含有ガスの方がMCHよりも高温である。従って、熱交換部2では、水素含有ガスの熱によってMCHが加熱される。これにより、MCHは、温度が上昇した状態で脱水素反応部3へ供給される。なお、MCHは、ラインL7を介して水素精製部8から供給されたオフガスと合わせて、脱水素反応部3へ供給される。
脱水素反応部3は、MCHを脱水素反応させることによって水素を得る機器である。すなわち、脱水素反応部3は、脱水素触媒を用いた脱水素反応によってMCHから水素を取り出す機器である。脱水素触媒は、特に制限されないが、例えば、白金触媒、パラジウム触媒及びニッケル触媒から選ばれる。これら触媒は、アルミナ、シリカ及びチタニア等の担体上に担持されていてもよい。有機ハイドライドの反応は可逆反応であり、反応条件(温度、圧力)によって反応の方向が変わる(化学平衡の制約を受ける)。一方、脱水素反応は、常に吸熱反応で分子数が増える反応である。従って、高温、低圧の条件が有利である。脱水素反応は吸熱反応であるため、脱水素反応部3は加熱部4からラインL11,L12を循環する熱媒体を介して熱を供給される。脱水素反応部3は、脱水素触媒中を流れるMCHと加熱部4からの熱媒体との間で熱交換可能な機構を有している。脱水素反応部3で取り出された水素含有ガスは、ラインL3を介して気液分離部6へ供給される。ラインL3の水素含有ガスは、液体であるトルエンを混合物として含んだ状態で、気液分離部6へ供給される。
加熱部4は、熱媒体を加熱すると共に、当該熱媒体をラインL11を介して脱水素反応部3へ供給する。加熱後の熱媒体は、ラインL12を介して加熱部4に戻される。熱媒体は特に限定されないが、オイルなどが採用されてよい。なお、加熱部4は、脱水素反応部3を加熱することができるものであればどのようなものを採用してもよい。例えば、加熱部4は、脱水素反応部3を直接加熱するものであってもよく、例えばラインL2を加熱することによって脱水素反応部3に供給されるMCHを加熱してもよい。また、加熱部4は、脱水素反応部3と、脱水素反応部3へ供給されるMCHの両方を加熱してもよい。例えば、加熱部4としてバーナーやエンジンを採用することができる。
気液分離部6は、水素含有ガスからトルエンを分離するタンクである。気液分離部6は、混合物としてトルエンを含む水素含有ガスを貯留することによって、気体である水素と液体であるトルエンとを気液分離する。また、気液分離部6に供給される水素含有ガスは、熱交換部2で冷却される。なお、気液分離部6は、冷熱源からの冷却媒体によって冷却されてよい。この場合、気液分離部6は、気液分離部6中の水素含有ガスと冷熱源からの冷却媒体との間で熱交換可能な機構を有している。気液分離部6で分離されたトルエンは、ラインL4を介して図示されないトルエンタンクへ供給される。気液分離部6で分離された水素含有ガスは、圧縮部7の圧力によりラインL5,L6を介して水素精製部8へ供給される。なお、水素含有ガスを冷やすと当該ガスの一部(トルエン)は液化し、気液分離部6によって、液化しないガス(水素)と分離することができる。ガスを低温とした方が、分離の効率は良くなり、圧力を上げると更に、トルエンの液化が進む。
水素精製部8は、脱水素反応部3で得られると共に気液分離部6で気液分離された水素含有ガスから、脱水素生成物(本実施形態ではトルエン)を除去する。これによって、水素精製部8は、当該水素含有ガスを精製して高純度水素(精製ガス)を得る。得られた精製ガスは、ラインL8へ供給される。なお、水素精製部8で生じたオフガスは、ラインL7を介して脱水素反応部3へ供給される。
水素精製部8は、採用する水素精製方法によって異なるが、具体的には、水素精製方法として膜分離を用いる場合には、水素分離膜を備える水素分離装置であり、PSA(Pressure swing adsorption)法又はTSA(Temperature swing adsorption)法を用いる場合には、不純物を吸着する吸着材を格納する吸着塔を複数備えた吸着除去装置である。
水素精製部8が膜分離を用いる場合について説明する。この方法では、所定温度に加熱された膜に、圧縮部(不図示)によって所定圧力に加圧された水素含有ガスを透過させることによって、脱水素生成物を除去し、高純度の水素ガス(精製ガス)を得ることができる。膜を透過した透過ガスの圧力は、膜を透過する前の圧力と比べて低下する。一方、膜を透過しなかった非透過ガスの圧力は、膜を透過する前の所定圧力と略同一である。このとき、膜を透過しなかった非透過ガスが、水素精製部8のオフガスに該当する。
水素精製部8に適用される膜の種類は特に限定されず、多孔質膜(分子流によって分離するもの、表面拡散流によって分離するもの、毛管凝縮作用によって分離するもの、分子ふるい作用によって分離するものなど)や、非多孔質膜を適用することができる。水素精製部8に適用される膜として、例えば、金属膜(PbAg系、PdCu系、Nb系など)、ゼオライト膜、無機膜(シリカ膜、カーボン膜など)、高分子膜(ポリイミド膜など)を採用することができる。
水素精製部8の除去方法として、PSA法を採用する場合について説明する。PSA法で用いられる吸着材は、高圧下では水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着し、低圧下では吸着したトルエンを脱着する性質を持つ。PSA法は、吸着材のこのような性質を利用するものである。すなわち、吸着塔内を高圧にすることにより、水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着材に吸着させて除去し、高純度の水素ガス(精製ガス)を得る。吸着により吸着塔内の吸着材の吸着機能が低下した場合には、吸着塔内を低圧にすることにより、吸着材に吸着したトルエンを脱着し、併せて除去した精製ガスの一部を逆流させることにより当該脱着されたトルエンを吸着塔内から除去することで、吸着材の吸着機能を再生する(このとき、トルエンを吸着塔内から除去することで排出される少なくとも水素とトルエンを含む水素含有ガスが、水素精製部8からのオフガスに該当する)。
水素精製部8の除去方法として、TSA法を採用する場合について説明する。TSA法で用いられる吸着材は、常温下では水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着し、高温下では吸着したトルエンを脱着する性質を持つ。TSA法は、吸着材のこのような性質を利用するものである。すなわち、吸着塔内を常温にすることにより、水素含有ガスに含まれるトルエンを吸着材に吸着させて除去し、高純度の水素ガス(高純度水素)を得る。吸着により吸着塔内の吸着材の吸着機能が低下した場合には、吸着塔内を高温にすることにより、吸着材に吸着したトルエンを脱着し、併せて除去した高純度水素の一部を逆流させることにより当該脱着されたトルエンを吸着塔内から除去することで、吸着材の吸着機能を再生する(このとき、トルエンを吸着塔内から除去することで排出される少なくとも水素とトルエンを含む水素含有ガスが、水素精製部8からのオフガスに該当する)。
続いて、上述した水素供給システム100の特徴的な部分について説明する。
水素供給システム100は、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部8よりも上流側から、水素含有ガスの一部を脱水素反応部3へ戻すリサイクルラインL20を備える。リサイクルラインL20は、気液分離部6に接続され、当該気液分離部6において分離された水素含有ガスを脱水素反応部3へ戻す。なお、リサイクルラインL20には、バルブ(不図示)が設けられてよい。これにより、バルブを調整することで、リサイクルラインL20によるリサイクルのON/OFFを切り替え、リサイクルガスの流量を調整することができる。
リサイクルラインL20は、気液分離部6のうち、上端側の領域に接続される。気液分離部6の内部空間では、トルエンなどの液体成分が下方に貯まり、水素などの気体成分は上側に貯まる。従って、リサイクルラインL20は、気液分離部6の上側の領域から、気体成分をリサイクルガスとして取り出す。本実施形態においては、リサイクルラインL20は、ラインL2の中途位置(熱交換部2の下流側)に接続されており、当該位置にリサイクルガスを供給する。リサイクルラインL20には図示されないバルブが設けられており、脱水素反応部3へ供給するリサイクルガスの量が調整される。
なお、リサイクルラインL20は、水素精製部8よりも上流側であって、脱水素反応部3よりも下流側であれば、どの箇所から水素含有ガスを取り出してもよい。また、リサイクルラインL20は、脱水素反応部3へ水素含有ガスを戻すことができれば、系統中のどの箇所に接続されてもよい。例えば、リサイクルラインL20は、脱水素反応部3に直接接続されてもよい。
次に、本実施形態に係る水素供給システム100の作用・効果について説明する。
まず、図2を参照して、比較例に係る水素供給システム200について説明する。水素供給システム200では、脱水素反応部3が有する脱水素触媒の耐久性・寿命を向上させる必要がある。そのために、水素供給システム200では、水素精製部8にて精製された精製ガスをリサイクルラインL30にて、脱水素反応部3へリサイクルしている。しかしながら、最終的な製品でもある精製ガスをリサイクルすることは、当該リサイクル分だけ水素供給システム200全体としての投入エネルギーが増加することにつながる。すなわち、水素精製部8にて所定量の水素含有ガスを精製ガスにするためにはエネルギーが必要になる。これに対し、精製ガスの一部を最終的な製品として用いず、リサイクルすることで水素供給システム200内で用いてしまった場合、最終的な製品としての水素の量に対して投入したエネルギーに加えて、リサイクル用の精製ガスを製造するために投入するエネルギーが必要になると見ることができる。そのため、水素供給システム200の水素供給効率が低下するという問題がある。それにより、水素供給システム200にとっては余計な能力が必要となり、コストアップにつながるという問題がある。
これに対し、本実施形態に係る水素供給システム100は、水素の供給を行う水素供給システム100であって、水素化物を含む原料を脱水素反応させることによって水素含有ガスを得る脱水素反応部3と、脱水素反応部3で得られた水素含有ガスから脱水素生成物を除去し、高純度水素を含む精製ガスを得る水素精製部8と、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部8よりも上流側から、水素含有ガスの一部を脱水素反応部3へ戻すリサイクルラインL20と、を備える。
上述のように、水素供給システム100は、脱水素反応部3で得られた水素含有ガスから脱水素生成物を除去し、高純度水素を含む精製ガスを得る水素精製部8を備える。従って、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部8よりも下流側には、水素の純度の高い精製ガスが存在しており、上流側には、精製ガスよりも水素の純度が低い水素含有ガスが存在している。
ここで、本願発明者らは、精製前の水素含有ガスは、水素の純度が低いものの、脱水素反応部3の脱水素触媒に対する性能上の問題はなく、且つ、脱水素触媒に対する悪影響も与えない点を見出した。脱水素反応部3の脱水素触媒による脱水素反応では、水素を取り出したことに伴う残存物質としてトルエンが精製される。すなわち、リサイクルガスに含まれるトルエンは、脱水素触媒にとっては異質な物質というわけではなく、脱水素反応によっていずれは生成される物質に該当する。すなわち、本願発明者らは、リサイクルガスとして精製前の水素含有ガスを用いても、精製ガスを用いた場合と略同等の効果が発揮できることを見出した。
従って、水素供給システム100は、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部8よりも上流側から、水素含有ガスの一部を脱水素反応部3へ戻すリサイクルラインL20を備える。これにより、リサイクルラインL20は、精製ガスに代えて、精製前の水素含有ガスをリサイクルガスとして脱水素反応部3へ戻すことができる。これにより、精製ガスをリサイクルガスとしてリサイクルする場合に必要とされていた水素精製部8での投入エネルギーを削減することができる。以上より、システムに対する投入エネルギーを低減できる。
また、水素供給システム100は、水素含有ガスの流れにおいて、水素精製部8よりも上流側に設けられ、水素含有ガスを気液分離する気液分離部6を更に備え、リサイクルラインL20は、気液分離部6に接続され、当該気液分離部6において分離された水素含有ガスを脱水素反応部3へ戻す。このように、リサイクルラインL20を気液分離部6に接続することで、水素精製部8の上流側から容易にリサイクルガスを回収することができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、水素供給システムとしてFVCのための水素ステーションを例示したが、例えば家庭用電源や非常用電源などの分散電源のための水素供給システムであってもよい。
3…脱水素反応部、6…気液分離部、8…水素精製部、100…水素供給システム、L20…リサイクルライン。
Claims (2)
- 水素の供給を行う水素供給システムであって、
水素化物を含む原料を脱水素反応させることによって水素含有ガスを得る脱水素反応部と、
前記脱水素反応部で得られた前記水素含有ガスから脱水素生成物を除去し、高純度水素を含む精製ガスを得る水素精製部と、
前記水素含有ガスの流れにおいて、前記水素精製部よりも上流側から、前記水素含有ガスの一部を前記脱水素反応部へ戻すリサイクルラインと、を備える、水素供給システム。 - 前記水素含有ガスの流れにおいて、前記水素精製部よりも上流側に設けられ、前記水素含有ガスを気液分離する気液分離部を更に備え、
前記リサイクルラインは、前記気液分離部に接続され、当該気液分離部において分離された前記水素含有ガスを前記脱水素反応部へ戻す、請求項1に記載の水素供給システム。
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JP2017100903A (ja) * | 2015-11-30 | 2017-06-08 | Jxtgエネルギー株式会社 | 水素製造システム及び水素製造方法 |
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2021
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WO2022118636A1 (ja) * | 2020-12-03 | 2022-06-09 | Eneos株式会社 | 水素供給システム |
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