JP2021153013A - 空気二次電池 - Google Patents

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Takeshi Kajiwara
剛史 梶原
昇平 夘野木
Shohei Unoki
昇平 夘野木
実紀 井上
Miki Inoue
実紀 井上
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Jun Ishida
潤 石田
賢大 遠藤
Takahiro Endo
賢大 遠藤
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Abstract

【課題】充放電反応における過電圧を低減することができ、充放電を繰り返した際の放電電圧の低下を抑制することができる空気二次電池を提供する。【解決手段】電池2は、容器4と、容器4内に配設された電極群10と、容器4内に注入されたアルカリ電解液82と、を備え、電極群10は、セパレータ14を介して重ね合わされた空気極16及び負極12を含んでおり、アルカリ電解液82は、溶質として少なくともKOHを含むアルカリ水溶液であり、容器4内には、Ca、及びCa化合物のうちの少なくとも一種が含まれている。【選択図】図1

Description

本発明は、空気二次電池に関する。
近年、大気中の酸素を正極活物質とする空気電池が、エネルギー密度が高く、小型、軽量化が容易であること等の理由から注目を集めている。このような空気電池においては、亜鉛空気一次電池が補聴器用の電源として実用化されている。
また、充電が可能な空気電池として、負極用金属に、Li、Zn、Al、Mgなどを用いる空気二次電池の研究がなされており、このような空気二次電池は、リチウムイオン二次電池のエネルギー密度を超える可能性がある新しい二次電池として期待されている。
このような空気二次電池の一種として、電解液にアルカリ水溶液(アルカリ電解液)を用い、負極活物質に水素を用いる空気水素二次電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に代表されるような空気水素二次電池は、負極用金属として水素吸蔵合金を用いているが、空気水素二次電池における負極活物質は、上記した水素吸蔵合金に吸蔵放出される水素であるので、電池における充放電の際の化学反応(以下、電池反応ともいう)にともない水素吸蔵合金自体の溶解析出反応は起こらない。このため、空気水素二次電池は、負極用金属が樹枝状に析出するいわゆるデンドライト成長による内部短絡の発生やシェイプチェンジによる電池容量の低下といった問題が起こらないメリットを有している。
特開2016−152068号公報
ところで、高濃度のアルカリ水溶液を電解液として用い、空気中の酸素を活物質として取り込む空気電池では、空気中の二酸化炭素(CO)の影響は避けられないという課題がある。具体的には、空気中には400〜500ppm程度のCOが含まれており、空気二次電池を長期運転した場合にはアルカリ電解液との中和反応により電解液が炭酸劣化を起こすことが知られている。例えば、KOHを含むアルカリ電解液が炭酸劣化を起こした場合、イオン電導度の低下と共に、空気極のガス拡散に利用される細孔内でKCOなどの炭酸塩が析出することで、空気極内での酸素ガスの拡散性が阻害され、空気極の充放電反応における過電圧が上昇する可能性がある。このように充放電反応における過電圧が上昇すると、充放電を繰り返した際に放電電圧の低下を招く。放電電圧が低下すると、エネルギー効率の向上や高出力化が妨げられてしまう。
このような課題に対し、二酸化炭素吸収剤や酸素選択透過膜を電池の空気取り入れ口に配置し、あらかじめ電池内のCO濃度を下げる方法が提案されている。
しかしながら、これらの方法でCO濃度をゼロにするのは、吸収剤のサイズが大きくなりすぎて実用性が低いことや分離膜の性能上困難であり、完全な解決には至っていない。
また、アルカリ性のアニオン交換膜を、空気極近傍の電解質として用いる固体高分子形空気極も提案されている。この提案においては、アルカリ電解液が同様に用いられており、空気極層とアルカリ電解液との界面にアニオン交換膜が存在するような態様が採用されている。このような態様により、アルカリ水溶液中のカチオン(例えばK)がアニオン交換膜との静電反発により空気極への透過が遮蔽され、空気極における炭酸塩の析出を抑制できると期待されている。
しかしながら、アルカリ水溶液中において長期間にわたり安定なアニオン交換膜というのは、現在は存在しておらず、実用化には至っていない。
このように、アルカリ電解液の炭酸劣化を抑制する試みが種々なされているが、十分な成果が得られていない。このため、空気二次電池の更なるエネルギー効率の向上や高出力化を図るべく、アルカリ電解液の炭酸劣化にともなう充放電反応における過電圧の上昇を抑制できる空気二次電池の開発が望まれている。
本発明は、上記の事情に基づいてなされたものであり、その目的とするところは、充放電反応における過電圧を低減することができ、充放電を繰り返した際の放電電圧の低下を抑制することができる空気二次電池を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明によれば、容器と、前記容器内に配設された電極群と、前記容器内に注入されたアルカリ電解液と、を備え、前記電極群は、セパレータを介して重ね合わされた空気極及び負極を含んでおり、前記アルカリ電解液は、溶質として少なくともKOHを含むアルカリ水溶液であり、前記容器内には、Ca、及びCa化合物のうちの少なくとも一種が含まれている、空気二次電池が提供される。
前記容器内に含まれるCa、及びCa化合物のうちの少なくとも一種は、前記負極に隣接している構成とすることが好ましい。
前記負極は、負極合剤を有しており、前記容器内に含まれるCa、及びCa化合物のうちの少なくとも一種は、前記負極合剤に含まれている構成とすることが好ましい。
前記負極合剤は、水素吸蔵合金を含んでおり、前記容器内に含まれるCaは、前記水素吸蔵合金に固溶されたCaである構成とすることが好ましい。
前記負極は、導電性を有する三次元網目構造の負極芯体を有しており、前記負極合剤は、前記負極芯体に充填されている構成とすることが好ましい。
前記Ca化合物は、Ca塩、及びCa酸化物のうちの少なくとも一種である構成とすることが好ましい。
本発明に係る空気二次電池は、容器と、前記容器内に配設された電極群と、前記容器内に注入されたアルカリ電解液と、を備え、前記電極群は、セパレータを介して重ね合わされた空気極及び負極を含んでおり、前記アルカリ電解液は、溶質として少なくともKOHを含むアルカリ水溶液であり、前記容器内には、Ca、及びCa化合物のうちの少なくとも一種が含まれている。この態様により、アルカリ電解液の炭酸劣化が抑制でき、それにともない充放電反応における過電圧を低減することができる。よって、当該空気二次電池は、エネルギー効率が向上し、出力も高くなる。このため、本発明によれば、充放電反応における過電圧を低減することができ、充放電を繰り返した際の放電電圧の低下を抑制することができる空気二次電池を提供することができる。
一実施形態に係る空気水素二次電池を概略的に示した断面図である。 放電中間電圧とサイクル数との関係を示したグラフである。 交流抵抗とサイクル数との関係を示したグラフである。
以下、一実施形態に係る空気水素二次電池2(以下、電池2ともいう)について図面を参照して説明する。
図1に示すように、電池2は、容器4と、この容器4内に配設された電極群10と、この容器4内に注入されたアルカリ電解液82と、を備えている。
電極群10は、負極12と、空気極(正極)16とがセパレータ14を介して重ね合わされて形成されている。
負極12は、負極芯体と、この負極芯体に担持された負極合剤とを含んでいる。
負極合剤は、負極活物質としての水素を吸蔵及び放出可能な水素吸蔵合金粒子の集合体である水素吸蔵合金粉末と、導電材と、結着剤とを含む。ここで、導電材としては、黒鉛、カーボンブラック等の粒子の集合体である粉末を用いることができる。
ここで、水素吸蔵合金粒子は、例えば以下のようにして得られる。
まず、所定の組成となるように金属原材料を計量して混合し、この混合物を不活性ガス雰囲気下にて、例えば、高周波誘導溶解炉で溶解した後、冷却してインゴットにする。得られたインゴットは、不活性ガス雰囲気下にて900〜1200℃に加熱され、その温度で5〜24時間保持する熱処理が施され均質化される。この後、インゴットを粉砕し、篩分けを行うことにより所望粒径の水素吸蔵合金粒子の集合体である水素吸蔵合金粉末を得る。
結着剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンゴム等が用いられる。
ここで、負極12は、例えば以下のようにして製造することができる。
まず、水素吸蔵合金粒子の集合体である水素吸蔵合金粉末、導電材、結着剤及び水を混練して負極合剤ペーストを調製する。得られた負極合剤ペーストは負極芯体に充填され、その後、乾燥処理が施される。乾燥後、水素吸蔵合金粒子等が付着した負極芯体はロール圧延されて、単位体積当たりの合金量を高められ、その後、裁断がなされ、これにより、負極合剤層を含む負極12が得られる。この負極12は、全体として板状をなしている。負極12に含まれる負極合剤層は、水素吸蔵合金の粒子、導電材の粒子等により形成されているので、多孔質構造をなしている。
次に、空気極16は、多孔質構造をなし多数の空孔を有する導電性の空気極基材と、前記した空孔内及び空気極基材の表面に担持された空気極合剤層(正極合剤層)とを備えている。上記したような空気極基材としては、例えば、発泡ニッケルやニッケルメッシュを用いることができる。
空気極合剤は、空気二次電池用の空気極触媒と、導電材と、結着剤とを含む。
空気二次電池用の空気極触媒としては、ビスマスルテニウム複合酸化物が用いられる。ビスマスルテニウム複合酸化物は、酸素発生及び酸素還元の2元機能を有しており、このような2元機能を有する触媒は、充電過程でも、放電過程でも電池の過電圧を低減させることに寄与する。
本実施形態において、空気二次電池用の空気極触媒としては、一般式:A7−z(ただし、zは0≦z≦1の関係を満たし、Aは、Bi、Pb、Tb、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Mn、Y、Zn及びAlから選ばれる少なくとも1種の元素を表し、Bは、Ru、Ir、Si、Ge、Ta、Sn、Hf、Zr、Ti、Nb、V、Sb、Rh、Cr、Re、Sc、Co、Cu、In、Ga、Cd、Fe、Ni、W及びMoから選ばれる少なくとも1種の元素を表している。)で表されるパイロクロア型の複合酸化物が用いられる。
本実施形態に用いるパイロクロア型の複合酸化物としては、好ましくはパイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物が用いられる。詳しくは、このビスマスルテニウム複合酸化物は、BiRuパイロクロア構造及びこれに類似する結晶構造を主体とする結晶構造を有している。
次に、空気二次電池用の空気極触媒の製造方法に関し、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物を例に挙げて具体的に以下に説明する。
まず、Bi(NO・5HO及びRuCl・3HOを同じ濃度となるように蒸留水の中に投入し、撹拌してBi(NO・5HO及びRuCl・3HOの混合水溶液を調製する。このとき蒸留水の温度は、60℃以上、90℃以下とする。そして、この混合水溶液に、1mol/L以上、3mol/L以下のNaOH水溶液を加える。この際の浴温度は60℃以上、90℃以下に保持し、酸素バブリングを行いながら撹拌する。この操作によって生じた沈殿物を含む溶液を80℃以上、100℃以下に保持して水分の一部を蒸発させてペーストを形成する。このペーストを蒸発皿に移し、100℃以上、150℃以下に加熱し、その状態で10時間以上、20時間以下保持して乾燥させ、ペーストの乾燥物を得る。そして、この乾燥物を乳鉢に入れ乳棒で粉砕した後、空気雰囲気下で350℃以上、650℃以下の温度に加熱し、0.5時間以上、24時間以下保持することにより焼成し、焼成物を得る。得られた焼成物を60℃以上、90℃以下の蒸留水を用いて水洗した後乾燥させる。これにより、パイロクロア型のビスマスルテニウム複合酸化物(BiRu)が得られる。
次に、得られたビスマスルテニウム複合酸化物を硝酸水溶液に浸漬させ、酸処理を施すことが好ましい。具体的には、以下の通りである。
まず、硝酸水溶液を準備する。ここで、硝酸水溶液の濃度は、5mol/L以下とすることが好ましい。硝酸水溶液の量は、ビスマスルテニウム複合酸化物1gに対して20mLの割合となる量を準備することが好ましい。硝酸水溶液の温度は、20℃以上、60℃以下に設定することが好ましい。
そして、準備された硝酸水溶液の中に、ビスマスルテニウム複合酸化物を浸漬し、6時間以下撹拌する。所定時間経過後、硝酸水溶液中からビスマスルテニウム複合酸化物を吸引濾過する。濾別されたビスマスルテニウム複合酸化物は、60℃以上、80℃以下に設定された蒸留水に投入され洗浄される。
洗浄されたビスマスルテニウム複合酸化物は、100℃以上、130℃以下の環境下で1時間以上、4時間以下保持され、乾燥処理が施される。
以上のようにして、酸処理が施されたビスマスルテニウム複合酸化物を得る。このように酸処理を施すことにより、ビスマスルテニウム複合酸化物の製造過程で生じる副生成物を除去することができる。なお、酸処理に用いられる酸性水溶液は、硝酸水溶液に限定されるものではなく、硝酸水溶液の他に塩酸水溶液、硫酸水溶液を用いることができる。これら、塩酸水溶液及び硫酸水溶液においても、硝酸水溶液と同様に副生成物を除去できるという効果が得られる。
上記のようにして得られたビスマスルテニウム複合酸化物は所定の粒径に調整すべく、必要に応じ機械的に粉砕される。これにより、所定粒径の粒子の集合体であるビスマスルテニウム複合酸化物の粉末が得られる。
次に、導電材について説明する。この導電材は、空気二次電池の高出力化を図るべく内部抵抗を低下させるため、及び、上記した触媒の担体として用いられる。斯かる導電材として、例えば、ニッケル粒子の集合体であるニッケル粉末を用いることが好ましい。上記したニッケル粒子としては、例えば、平均粒径が0.1μm〜10μmの粒子を用いることが好ましい。ここで、本発明においては、平均粒径といった場合、特に言及した場合を除き、対象となる粒子の集合体である粉末について、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置を用いて体積基準で粒径分布を測定して得られた体積平均粒径を指すものとする。
上記したニッケル粉末は、空気極合剤中において、60質量%以上含有させることが好ましい。このニッケル粉末の含有量の上限は、空気極合剤における他の構成材料との関係から80質量%以下とすることが好ましい。
結着剤は、空気極合剤の構成材料を結着させるとともに空気極16に適切な撥水性を付与する働きをする。ここで、結着剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、フッ素樹脂が用いられる。なお、好ましいフッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が用いられる。
空気極16は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、ビスマスルテニウム複合酸化物粒子の集合体である触媒粉末、導電材としてのNi粒子の集合体である導電材粉末、結着剤及び水を準備する。そして、これら触媒粉末、導電材粉末、結着剤及び水を混錬して空気極合剤ペーストを調製する。
得られた空気極合剤ペーストは、例えば、ローラプレスが施されてシート状に成形され、それにより空気極合剤シートが得られる。その後、空気極合剤シートは、ニッケルメッシュ(空気極基材)にプレス圧着される。これにより、空気極の中間製品が得られる。
次いで、得られた中間製品は、焼成炉に投入され焼成処理が行われる。この焼成処理は、不活性ガス雰囲気中で行われる。この不活性ガスとしては、例えば、窒素ガスやアルゴンガスが用いられる。焼成処理の条件としては、300℃以上、400℃以下の温度に加熱し、この状態で、10分以上、20分以下の間保持する。その後、中間製品を焼成炉内で自然冷却し、中間製品の温度が150℃以下になったところで大気中に取り出す。これにより、焼成処理が施された中間製品が得られる。この焼成処理後の中間製品を所定形状に裁断することにより、空気極16が得られる。この空気極16は、空気極合剤により形成された空気極合剤層を備えている。空気極合剤は、ビスマスルテニウム複合酸化物の粒子等を含んでいるので、斯かる空気極合剤で形成された空気極合剤層は、全体として多孔質構造をなしており、ガス拡散性に優れている。
上記のようにして得られた空気極16及び負極12は、セパレータ14を介して積層され、これにより電極群10が形成される。このセパレータ14は、空気極16及び負極12の間の短絡を避けるために配設され、電気絶縁性の材料が採用される。このセパレータ14に採用される材料としては、例えば、ポリアミド繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維製不織布に親水性官能基を付与したもの等を用いることができる。
形成された電極群10は、アルカリ電解液とともに容器4の中に入れられる。この容器4としては、電極群10とアルカリ電解液とを収容できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、アクリル製の箱状の容器4が用いられる。この容器4は、例えば、図1に示すように、容器本体6と、蓋8とを含んでいる。
容器本体6は、底壁18と、底壁18の周縁部から上方に延びる側壁20とを有する箱形状をなしている。側壁20の上端縁21で囲まれた部分は、開口している。つまり、底壁18の反対側には、開口部22が設けられている。また、側壁20においては、右側壁20R及び左側壁20Lの所定位置に、それぞれ貫通孔が設けられており、これら貫通孔は、後述するリード線の引出口24、26となる。
更に、容器本体6には、電解液貯蔵部80が取り付けられている。この電解液貯蔵部80は、アルカリ電解液82を収容する容器であり、例えば、底壁18に設けられた貫通孔19と連通する連結部84を介して取り付けられている。連結部84は、容器4の内部と電解液貯蔵部80との間を連通するアルカリ電解液82の流路である。このように、容器4の内部と電解液貯蔵部80とは連通しているため、アルカリ電解液82は、容器4の内部と電解液貯蔵部80との間を移動することができる。
蓋8は、容器本体6の平面視形状と同じ平面視形状をなしており、容器本体6の上部に被せられ、開口部22を塞ぐ。蓋8と、側壁20の上端縁21との間は液密に封止される。
蓋8において、容器本体6の内側に臨む内面部28には、通気路30が設けられている。通気路30は、容器本体6の内側に面する部分が開放されており、全体として1本のサーペンタイン形状をなしている。更に、蓋8の所定位置には、厚さ方向に貫通する入側通気孔32及び出側通気孔34が設けられている。入側通気孔32は、通気路30の一方端と連通しており、出側通気孔34は、通気路30の他方端と連通している。つまり、通気路30は、入側通気孔32及び出側通気孔34を介して大気に開放されている。なお、入側通気孔32には、図示しない圧送ポンプを取り付けることが好ましい。この圧送ポンプを駆動することにより入側通気孔32から通気路30に空気を送り込むことができる。
容器本体6の底壁18の上には、必要に応じて、調整部材36を配置する。調整部材36は、容器4内において、電極群10の高さ方向の位置合わせに用いられる。調整部材36としては、例えば、発泡ニッケルのシートが用いられる。
調整部材36の上には、電極群10が配設される。このとき、電極群10の負極12は、調整部材36と接するように配設される。
一方、電極群10の空気極16側には、空気極16と接するように撥水通気部材40が配設される。この撥水通気部材40は、PTFE多孔膜42に不織布拡散紙44が組み合わされたものである。撥水通気部材40は、PTFEにより撥水効果を発揮するとともに、気体の通過を許容する。撥水通気部材40は、蓋8と空気極16との間に介在し、蓋8及び空気極16の両方に密着している。この撥水通気部材40は、蓋8の通気路30、入側通気孔32及び出側通気孔34の全体をカバーする大きさを有している。
上記のような、電極群10、調整部材36及び撥水通気部材40を収容した容器本体6には、蓋8が被せられる。そして、図1において概略的に描かれているように、容器4(容器本体6及び蓋8)の周端縁部46、48が連結具50、52により上下から挟みこまれる。その後、所定量のアルカリ電解液82が電解液貯蔵部80から注入され、容器4内にアルカリ電解液82が満たされる。このようにして、電池2が形成される。
電池2においては、蓋8の通気路30は撥水通気部材40に相対している。撥水通気部材40は、気体は通すが水分は遮断するので、空気極16は撥水通気部材40、通気路30、入側通気孔32及び出側通気孔34を介して大気に開放されることになる。つまり、空気極16は、撥水通気部材40を通じて大気と接することになる。
また、この電池2においては、空気極(正極)16に空気極リード(正極リード)54が電気的に接続されており、負極12に負極リード56が電気的に接続されている。これら空気極リード54及び負極リード56は、図1中においては概略的に描かれているが、気密性及び液密性を保持した状態で引出口24、26から容器4の外に引き出されている。そして、空気極リード54の先端には空気極端子(正極端子)58が設けられており、負極リード56の先端には負極端子60が設けられている。したがって、電池2においては、これら空気極端子58及び負極端子60を利用して充放電の際の電流の入力及び出力が行われる。
ここで、上記したアルカリ電解液82としては、溶質として少なくともKOHを含むアルカリ水溶液が用いられる。
KOHを含むアルカリ水溶液は、空気中の炭酸ガス(CO)と反応し、後述する式(I)に示すように、KOHが消費され、KCOが生成する。これによりイオン電導度が低下する他、溶解度以上に生成したKCOが、空気極のガス拡散のための細孔内に析出し、酸素ガスの拡散性を阻害するおそれがある。
このように、COとの反応によりアルカリ電解液が劣化することを抑制するため、本実施形態においては、上記したアルカリ電解液82の劣化を抑制する物質(以下、劣化抑制物質ともいう)が電池2の容器4内に存在するように配設されている。
この劣化抑制物質としては、Ca、及びCa化合物のうちの少なくとも一種が用いられる。このCa化合物としては、Ca塩、及びCa酸化物のうちの少なくとも一種を用いることが好ましい。より好ましくは、Ca(OH)が用いられる。
ここで、25℃の水に対するカリウム塩とカルシウム塩の溶解度をまとめた表1より、KOH及びKOHと炭酸ガスとの反応で生じるKCOの溶解度は比較的高いことがわかる。一方、Ca(OH)及びCa(OH)と炭酸ガスとの反応で生じるCaCOの溶解度は低いことがわかる。Ca(OH)自体はアルカリ性の水溶液には難溶性の塩であるといえる。これは、Kなどのアルカリ金属に比べ、Ca2+などのアルカリ土類金属イオンはOHとの結合が共有結合性を帯びて電離しにくく、アルカリ電解液のような強アルカリ水溶液中では平衡が電離しない方へ偏るためである。
Figure 2021153013
ここで、表1中の単位wは飽和溶液100g中に含まれる無水物の質量[g](質量%)を表し、表1中の単位sは飽和溶液1dm中に含まれる無水物の質量[g]を表す。
本実施形態では、上記したような溶解度の違いを利用して、アルカリ電解液のイオン電導度の低下や空気極内での炭酸塩の析出を抑制し、それに伴う放電電圧の低下を抑制することを企図している。
具体的には、負極にCa(OH)を添加し、アルカリ電解液に高濃度のKOH水溶液を用いた場合、Ca(OH)はアルカリ電解液にはほとんど解け出ない。さらに空気中のCOによりKOH水溶液の一部が炭酸化した際(式(I)の反応)には、以下の反応式(II)により、KOHが生じ、アルカリ電解液が再生される。これにより、アルカリ電解液の劣化は抑制される。ここで、Ca(OH)は、いわばOHのバッファーとして働くことになる。
2KOH+CO(気体)→KCO+HO・・・(I)
CO+Ca(OH)(固体)→2KOH+CaCO(固体)・・・(II)
劣化抑制物質が存在する部位は、基本的に容器4内であれば特に限定されない。ただし、炭酸塩の析出は、Ca(OH)の添加箇所で起こるため、空気極内は避けることが好ましい。このように、Ca(OH)を添加する箇所として空気極の内部を避ければ、空気極内の細孔が閉塞することもない。
劣化抑制物質の好ましい添加の態様としては、負極に隣接させる。つまり、負極の表面に劣化抑制物質を配設することが好ましい。また、劣化抑制物質を負極合剤中に混入させる態様も好ましい。これらの態様が好ましいのは、充放電に合わせて電解液中のイオン種が空気極と負極との間を輸送されているため、負極に添加することで効率的にCO 2−を除去できるためである。
より好ましい態様は、水素吸蔵合金中にCaを固溶させる態様である。多くのCO 2−を処理するためには多くのCaを添加する必要があり、負極に電池反応に寄与しないCa(OH)などを添加させるよりも、水素吸蔵合金中にCaを固溶させる態様の方が電池容量を高められるメリットがある。さらに、水素吸蔵合金中のCa(0価)が水と反応した場合、下記の反応が起こる。
Ca(0価)+2HO→H(気体)+Ca(OH)・・・(III)
上記した(I)及び(II)の反応式の合計では、水が増えることでイオン電導度の低下が懸念されるが、(III)式も合わさることでイオン電導度の低下も抑制できる。
ところで、Caを固溶させた水素吸蔵合金は、このCaの存在により水素吸蔵容量が向上するので、電池の高容量化が図れるメリットがある。しかしながら、Caを固溶させた水素吸蔵合金は、水素の吸蔵放出反応により微粉化しやすいデメリットもある。詳しくは、水素吸蔵合金の微粉化により導通が取れなくなることで負極の容量が低下するおそれがある。このため、特に、Caを固溶させた水素吸蔵合金を含む負極合剤を用いる場合は、三次元網目構造をなし多数の空孔を有する導電性の負極芯体、具体的には発泡ニッケルを採用することが好ましい。つまり、Caを固溶させた水素吸蔵合金を含む負極合剤を発泡ニッケルに充填し集電性を高める態様とすることが好ましい。これにより、水素吸蔵合金が微粉化しても、高い導電性を維持できる。
ここで、Caが固溶された水素吸蔵合金粒子を構成する水素吸蔵合金としては、特に限定されるものではないが、例えば、希土類−Mg−Ca−Ni系水素吸蔵合金を用いることが好ましい。この希土類−Mg−Ca−Ni系水素吸蔵合金の組成は自由に選択できるが、例えば、
一般式:Ln1−x―yMgCaNia−b−cAl・・・(IV)
で表されるものを用いることが好ましい。
ただし、一般式(IV)中、Lnは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Sc、Y、Zr及びTiよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、Mは、V、Nb、Ta、Cr、Mo、Mn、Fe、Co、Ga、Zn、Sn、In、Cu、Si、P及びBよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素を表し、添字x、y、a、b、cは、それぞれ、0.01≦x≦0.30、0.01≦y≦0.30、2.8≦a≦3.9、0≦b≦0.30、0≦c≦0.50の関係を満たす数を表す。
ここで、電池2内において、劣化抑制物質が配設される部位は、上記した態様の何れか一つに限定されるものではなく、複数の部位に劣化抑制物質が配設される態様を採用することもできる。例えば、Caが固溶された水素吸蔵合金を負極合剤に含むとともに、Ca(OH)を負極合剤に添加させる態様、Caが固溶された水素吸蔵合金を負極合剤に含むとともに、Ca(OH)を負極に隣接させる態様等を採用することができる。
[実施例]
1.電池の製造
(実施例1)
(1)水素吸蔵合金粉末の製造
La、Ca、Mg、及びNiの各金属材料を所定のモル比となるように混合して混合金属材料を調製した後、当該混合金属材料を高周波誘導溶解炉に投入しアルゴンガス雰囲気中にて溶解させ、得られた溶湯を鋳型に流し込み、25℃の室温まで冷却してインゴットを製造した。
ついで、このインゴットに対し、温度1025℃のアルゴンガス雰囲気下にて10時間保持する熱処理を施して合金の相の均質化を図った後、アルゴンガス雰囲気下で機械的に粉砕して、希土類−Mg−Ca−Ni系水素吸蔵合金粉末を得た。得られた水素吸蔵合金粉末について、レーザー回折・散乱式粒径分布測定装置により体積平均粒径(MV)を測定した。その結果、体積平均粒径(MV)は60μmであった。
また、この水素吸蔵合金粉末の組成を高周波プラズマ分光分析法(ICP)によって分析したところ、組成は、La0.50Ca0.25Mg0.25Ni3.50であった。
(2)負極の製造
得られた水素吸蔵合金の粉末100質量部に対し、ポリアクリル酸ナトリウムの粉末0.2質量部、カルボキシメチルセルロースの粉末0.04質量部、スチレンブタジエンゴムのディスパージョン1.0質量部、カーボンブラックの粉末0.3質量部、水22.4質量部を添加して25℃の環境下において混練し、負極合剤ペーストを調製した。
この負極合剤ペーストを面密度(目付)が300g/m、厚みが約1.7mmの発泡ニッケルのシートに充填した。そして、負極合剤ペーストを乾燥させ、負極合剤が充填された発泡ニッケルのシートを得た。得られたシートをロール圧延し、体積当たりの合金量を高めた後、縦40mm、横40mmに切断して負極12を得た。なお、負極12の厚さは、0.80mmであり、負極12の重量は7.72gであり、そのうち水素吸蔵合金の重量は7.17gであり、負極におけるCa重量割合は3.2wt%であった。
(3)空気極触媒の合成
Bi(NO・5HO及びRuCl・3HOを所定量準備し、これらBi(NO・5HO及びRuCl・3HOが同じ濃度となるように75℃の蒸留水中に投入し、撹拌してBi(NO・5HO及びRuCl・3HOの混合水溶液を調製した。そして、この混合水溶液に、2mol/LのNaOH水溶液を加えた。この際の浴温度は75℃とし、酸素バブリングを行いながら撹拌した。この操作によって生じた沈殿物を含む溶液を85℃に保持して水分の一部を蒸発させてペーストを形成した。このペーストを蒸発皿に移し、120℃に加熱し、その状態で12時間保持して乾燥させ、ペーストの乾燥物(前駆体)を得た。
得られた乾燥物を乳鉢に入れ、乳棒で粉砕した後、空気雰囲気下で600℃に加熱し、1時間保持する熱処理を施し、焼成物を得た。得られた焼成物を70℃の蒸留水を用いて水洗した後、吸引濾過し、120℃で乾燥させた。これにより、焼成物を得た。
この焼成物の粉末に関し、走査型電子顕微鏡による二次電子像を観察した結果、焼成物の粒子径は0.1μm以下であった。
焼成物の粉末1gを20mLの硝酸水溶液とともにスターラーの撹拌槽に入れ、当該硝酸水溶液の温度を25℃の室温に保持したまま1時間撹拌した。ここで、硝酸水溶液の濃度は2mol/Lとした。
撹拌が終了した後、硝酸水溶液中から焼成物の粉末を吸引濾過することにより取り出した。取り出された焼成物の粉末は、70℃に加熱した蒸留水1リットルで洗浄した。洗浄後、焼成物の粉末を、120℃に加熱して乾燥を行った。
これにより、空気水素二次電池用の空気極触媒(パイロクロア型複合酸化物触媒)を得た。
(4)空気極の製造
ニッケルの粒子の集合体であるニッケル粉末を準備した。ここで、ニッケル粉末としては、フィラメント状のニッケル粒子からなるニッケル粉末を用いた。このニッケルの粒子は、平均粒径が2〜3μmであった。
更に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョン及びイオン交換水を準備した。
上記のようにして得られた空気極触媒の粉末に、ニッケル粉末、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョン及びイオン交換水を加え混合した。このとき、空気極触媒の粉末は20質量部、ニッケル粉末は70質量部、PTFEディスパージョンは10質量部、イオン交換水は30質量部の割合で均一に混合して空気極合剤のペーストを製造した。
得られた空気極合剤のペーストをシート状に成形し、25℃の雰囲気下で乾燥させた後、このシート状の空気極合剤のペーストをメッシュ数60、線径0.08mm、開口率60%のニッケルメッシュにプレス圧着させた。
ニッケルメッシュに圧着された空気極合剤のペーストを窒素ガス雰囲気下で340℃に加熱し、この温度で13分間保持し、焼成した。焼成された空気極合剤のシートは、縦40mm、横40mmに裁断され、これにより、空気極23を得た。この空気極23の厚さは0.23mmであった。なお、得られた空気極23において、空気極触媒(パイロクロア型複合酸化物触媒)の量は0.24gであった。
(5)空気水素二次電池の製造
得られた空気極16及び負極12を、これらの間にセパレータ14を挟んだ状態で重ね合わせ、電極群10を製造した。この電極群10の製造に使用したセパレータ14はスルホン基を有するポリプロピレン繊維製不織布により形成されており、その厚みは0.1mm(目付量53g/m)であった。
次いで、容器本体6を準備し、この容器本体6内に上記した電極群10を収容した。このとき、容器本体6の底壁18の上に調整部材36としての発泡ニッケルのシートを配置し、この調整部材36の上に電極群10を載置した。ここで、発泡ニッケルのシートは、厚さが1mmであり、縦40mm、横40mmの正方形状をなしている。
次いで、電極群10の上(空気極16の上)に撥水通気部材40を配設した。ここで、撥水通気部材40は、縦が45mm、横が45mm、厚さが0.1mmであるPTFE多孔膜42と、縦が40mm、横が40mm、厚さが0.2mmである不織布拡散紙44とが組み合わされて形成されている。
次いで、容器本体6の開口部22を塞ぐように蓋8を被せた。このとき、蓋8の内面部28における通気路30、入側通気孔32及び出側通気孔34を含むエリアの全体が撥水通気部材40で覆われるように、当該エリアと撥水通気部材40とを密着させる。ここで、通気路30は、全体として1本のサーペンタイン形状をなしている。通気路30の横断面は、矩形状をなしており、当該矩形における縦寸法が1mm、横寸法が1mmである。この通気路30は、撥水通気部材40側が開放されている。
容器本体6及び蓋8が組み合わされて形成された容器4については、その周端縁部46、48が連結具50、52により上下から挟みこまれる。なお、容器本体6と蓋8との接触部には、図示しない樹脂製のパッキンが配設されており、アルカリ電解液の漏れを防止する。
次いで、電解液貯蔵部80にアルカリ電解液82として5mol/LのKOH水溶液を注入した。なお、このとき注入したKOH水溶液の量は50mLであった。
以上のようにして、図1に示すような電池2を製造した。
なお、空気極16には空気極リード54が、負極12には負極リード56が、それぞれ電気的に接続されており、これら空気極リード54及び負極リード56は、容器4の気密性及び液密性を保持した状態でリード線の引出口24、26から容器4の外側へ適切に延びている。また、空気極リード54の先端には空気極端子58が取り付けられており、負極リード56の先端には負極端子60が取り付けられている。
(6)負極容量の測定
製造した空気水素二次電池2に対し、60℃の雰囲気にて12時間保持するエージング処理を施した後、25℃まで冷却した。その後、空気水素二次電池2に対し、200mAで10時間充電し、400mAで0.4Vになるまで放電することを1サイクルとする充放電を5サイクル行って負極の活性化を行った。その後、空気水素二次電池2に対し、200mAの充電時間を1時間ずつ延ばして、400mAで0.4Vになるまで放電するサイクルを繰り返して負極の最大容量を調べた。その結果、充電が14時間以上では容量が一定となり、その時の容量は2652mAhであった。
(比較例1)
水素吸蔵合金として、Caが固溶されていない水素吸蔵合金であって、(Nd0.99Zr0.010.89Mg0.11Ni3.23Al0.17で表される組成の水素吸蔵合金を用いたことを除いて、実施例1と同様にして空気水素二次電池を製造した。ここで、製造した負極の厚みは0.79mmであり、負極の重量は8.42gであり、そのうち水素吸蔵合金の重量は7.85gであった。実施例1と同様にして求めた負極容量は2576mAhであった。
(比較例2)
水素吸蔵合金として、Caが固溶されていない水素吸蔵合金であって、(La0.20Sm0.800.98Mg0.02Ni3.19Al0.25Cr0.01で表される組成の水素吸蔵合金を用いたことを除いて、実施例1と同様にして空気水素二次電池を製造した。ここで、製造した負極の厚みは0.78mmであり、負極の重量は8.51gであり、そのうち水素吸蔵合金の重量は7.94gであった。実施例1と同様にして求めた負極容量は2502mAhであった。
2.空気水素二次電池の評価
(1)電池特性評価
実施例1、比較例1及び比較例2の空気水素二次電池に、60℃の雰囲気下にて12時間保持するエージング処理を施した。このエージング処理後、各電池を25℃まで冷却した。その後、実施例1、比較例1及び比較例2の空気水素二次電池については、空気極端子58及び負極端子60を介して、0.1Itで10時間充電し、0.2Itで電池電圧が0.4Vになるまで放電することを1サイクルとし、斯かる充放電を40サイクル繰り返した。なお、負極容量の75%に相当する2Ahを1Itとした。
上記した充放電サイクルの実施に際し、充電及び放電にかかわらず、入側通気孔32から空気を入れ、出側通気孔34から空気を排出するようにして、通気路30には、33mL/分の割合で常に空気を供給し続けた。ここで、通気路30に供給する空気は、5mol/LのKOH水溶液100mLの中をバブリングさせて通過させた空気(CO濃度約100ppm)を用いた。つまり、CO濃度を約100ppmまで低下させた空気を供給し続けた。
上記した充放電操作において、各サイクルでの放電容量及び電池電圧を測定した。ここで、放電容量の値が全放電容量の半分の値になった時の電池電圧を放電中間電圧として求めた。そして、サイクル数と放電中間電圧との関係を求めた。その結果を図2に示した。
また、実施例1、比較例1及び比較例2の空気水素二次電池につき、1kHzにおける交流抵抗(AC抵抗)を測定した。そして、AC抵抗とサイクル数との関係を求めた。その結果を図3に示した。
(2)考察
図2より、放電中間電圧の充放電サイクルの推移を把握することができる。この図2から、劣化抑制物質を含んでいる実施例1は、劣化抑制物質を含んでいない比較例1、2に比べ放電中間電圧が高いことがわかる。また、実施例1の放電中間電圧はほぼ一定であることがわかる。このことから、実施例1の電池は、比較例1及び2の電池に比べて放電における過電圧の上昇が抑えられているといえる。
また、図3より、0サイクル時の1kHzにおける交流抵抗と、40サイクル時の1kHzにおける交流抵抗とを比較することができる。この図3から、実施例1が最も交流抵抗の増加幅が小さいことが分かる。高周波数での交流抵抗は電子の授受によらない電解液抵抗や電気抵抗を反映する。このため、実施例1の電池は、比較例1及び2の電池に比べ、充放電サイクル数が増えても抵抗値があまり上がっていないことからアルカリ電解液の劣化が少ないといえる。
以上より、電池内に劣化抑制物質としてCaを含むことで、アルカリ電解液の炭酸劣化に伴う電気伝導度の上昇が抑制でき、また空気極の細孔内で炭酸塩が析出して当該細孔を閉塞することを抑制できるので、電池の放電過電圧の上昇を抑制できると考えられる。
2 電池(空気水素二次電池)
4 容器
6 容器本体
8 蓋
10 電極群
12 負極
14 セパレータ
16 空気極(正極)
30 通気路
40 撥水通気部材

Claims (6)

  1. 容器と、
    前記容器内に配設された電極群と、
    前記容器内に注入されたアルカリ電解液と、を備え、
    前記電極群は、セパレータを介して重ね合わされた空気極及び負極を含んでおり、
    前記アルカリ電解液は、溶質として少なくともKOHを含むアルカリ水溶液であり、
    前記容器内には、Ca、及びCa化合物のうちの少なくとも一種が含まれている、空気二次電池。
  2. 前記容器内に含まれるCa、及びCa化合物のうちの少なくとも一種は、前記負極に隣接している、請求項1に記載の空気二次電池。
  3. 前記負極は、負極合剤を有しており、
    前記容器内に含まれるCa、及びCa化合物のうちの少なくとも一種は、前記負極合剤に含まれている、請求項1又は2に記載の空気二次電池。
  4. 前記負極合剤は、水素吸蔵合金を含んでおり、
    前記容器内に含まれるCaは、前記水素吸蔵合金に固溶されたCaである、請求項3に記載の空気二次電池。
  5. 前記負極は、導電性を有する三次元網目構造の負極芯体を有しており、
    前記負極合剤は、前記負極芯体に充填されている、請求項3又は4に記載の空気二次電池。
  6. 前記Ca化合物は、Ca塩、及びCa酸化物のうちの少なくとも一種である、請求項1〜5の何れかに記載の空気二次電池。
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