JP2021151230A - 麺改質用の酵素製剤及び麺の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、経時的変化による、麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺の製造方法、及び該麺の製造のための酵素製剤を提供することを課題とする。【解決手段】(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを含有する、麺改質用の酵素製剤。(1)〜(3)を原料粉に添加することを含む、麺の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、麺改質用の酵素製剤、及び酵素を用いる麺の製造方法に関する。
近年、麺(例えば、チルド麺)は、コンビニエンスストアやスーパー等で販売され、消費者に提供されている。麺は、保存や流通過程での経時的な変化により、麺が老化する、食感やほぐれ性が悪化するといった課題がある。
麺における上記課題を解決するための手段として、製造工程で酵素を添加する方法が報告がされている。
特許文献1は、ブランチングエンザイム及びα−グルコシダーゼを原料に添加することを特徴とするデンプン含有食品の製造方法を開示する。
特許文献2は、リパーゼとアミラーゼを生地に添加することを特徴とする麺の製造方法を開示する。
特許文献3は、原料粉にリパーゼを加え、水とともに混錬し、形成することを特徴とするほぐれの改良された穀類加工食品の製造法を開示する。
しかし、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを組み合わせて添加する、麺の改質方法、又は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを組み合わせて添加する、麺の改質方法は知られていなかった。
麺における上記課題を解決するための手段として、製造工程で酵素を添加する方法が報告がされている。
特許文献1は、ブランチングエンザイム及びα−グルコシダーゼを原料に添加することを特徴とするデンプン含有食品の製造方法を開示する。
特許文献2は、リパーゼとアミラーゼを生地に添加することを特徴とする麺の製造方法を開示する。
特許文献3は、原料粉にリパーゼを加え、水とともに混錬し、形成することを特徴とするほぐれの改良された穀類加工食品の製造法を開示する。
しかし、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを組み合わせて添加する、麺の改質方法、又は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを組み合わせて添加する、麺の改質方法は知られていなかった。
本発明の目的は、経時的変化による、麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺の製造方法、及び該麺の製造のための酵素製剤を提供することである。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、脂質酵素であるリパーゼと、糖質酵素であるα−グルコシダーゼ及びブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼとを組み合わせて、麺の原料(原料粉)に添加すること、又は、脂質酵素であるリパーゼと、糖質酵素であるα−グルコシダーゼ及びブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼと、タンパク質酵素であるトランスグルタミナーゼとを組み合わせて、麺の原料(原料粉)に添加することで、経時的変化による、麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺が製造できることを見出した。また、該製造方法は、製麺性(麺を製造する際の麺帯の取り扱い易さ)においても優れていることを見出した。これらの知見に基づいてさらに検討して、本発明を完成させた。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
[1](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを含有する、麺改質用の酵素製剤。
[2](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイムを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、及びブランチングエンザイムの含有量が、リパーゼ1U当たり5.0×10−17〜1.0×105Uである、上記[1]記載の製剤。
[3](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)グルコアミラーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、及びグルコアミラーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−4〜2.5×10Uである、上記[1]記載の製剤。
[1](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを含有する、麺改質用の酵素製剤。
[2](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイムを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、及びブランチングエンザイムの含有量が、リパーゼ1U当たり5.0×10−17〜1.0×105Uである、上記[1]記載の製剤。
[3](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)グルコアミラーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、及びグルコアミラーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−4〜2.5×10Uである、上記[1]記載の製剤。
[4](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有する、麺改質用の酵素製剤。
[5](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、ブランチングエンザイムの含有量が、リパーゼ1U当たり5.0×10−17〜1.0×105Uであり、及びトランスグルタミナーゼの含有量がリパーゼ1U当たり2.5×10−6〜2.5Uである、上記[4]記載の製剤。
[6](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)グルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、グルコアミラーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−4〜2.5×10Uであり、及びトランスグルタミナーゼの含有量がリパーゼ1U当たり2.5×10−6〜2.5Uである、上記[4]記載の製剤。
[7]さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製剤。
[8]L−アスコルビン酸ナトリウムの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−9〜2.5×10−2gである、上記[7]記載の製剤。
[5](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、ブランチングエンザイムの含有量が、リパーゼ1U当たり5.0×10−17〜1.0×105Uであり、及びトランスグルタミナーゼの含有量がリパーゼ1U当たり2.5×10−6〜2.5Uである、上記[4]記載の製剤。
[6](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)グルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、グルコアミラーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−4〜2.5×10Uであり、及びトランスグルタミナーゼの含有量がリパーゼ1U当たり2.5×10−6〜2.5Uである、上記[4]記載の製剤。
[7]さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを含有する、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製剤。
[8]L−アスコルビン酸ナトリウムの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−9〜2.5×10−2gである、上記[7]記載の製剤。
[9](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを原料粉に添加することを含む、麺の製造方法。
[10](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイムを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、及びブランチングエンザイムの添加量が、原料粉1g当たり2.0×10−16〜4.0×105Uである、上記[9]記載の方法。
[11](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)グルコアミラーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、及びグルコアミラーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−3〜1.0×102Uである、上記[9]記載の方法。
[10](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイムを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、及びブランチングエンザイムの添加量が、原料粉1g当たり2.0×10−16〜4.0×105Uである、上記[9]記載の方法。
[11](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)グルコアミラーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、及びグルコアミラーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−3〜1.0×102Uである、上記[9]記載の方法。
[12](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含む、麺の製造方法。
[13](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、ブランチングエンザイムの添加量が、原料粉1g当たり2.0×10−16〜4.0×105Uであり、及びトランスグルタミナーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−5〜1.0×10Uである、上記[12]記載の方法。
[14](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)グルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、グルコアミラーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−3〜1.0×102Uであり、及びトランスグルタミナーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−5〜1.0×10Uである、上記[12]記載の方法。
[15]さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを添加する、上記[9]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]L−アスコルビン酸ナトリウムの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−8〜1.0×10−1gである、上記[15]記載の方法。
[17]麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化の抑制用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製剤。
[18]麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺の製造方法である、上記[9]〜[16]のいずれかに記載の方法。
[13](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、ブランチングエンザイムの添加量が、原料粉1g当たり2.0×10−16〜4.0×105Uであり、及びトランスグルタミナーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−5〜1.0×10Uである、上記[12]記載の方法。
[14](1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)グルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、グルコアミラーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−3〜1.0×102Uであり、及びトランスグルタミナーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−5〜1.0×10Uである、上記[12]記載の方法。
[15]さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを添加する、上記[9]〜[14]のいずれかに記載の方法。
[16]L−アスコルビン酸ナトリウムの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−8〜1.0×10−1gである、上記[15]記載の方法。
[17]麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化の抑制用である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製剤。
[18]麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺の製造方法である、上記[9]〜[16]のいずれかに記載の方法。
本発明によれば、本発明における特定の酵素を組み合わせて原料粉に添加することで、経時的変化による、麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺を製造することができる。本発明における特定の酵素を組み合わせて原料に添加する麺の製造方法は、製麺性においても優れている。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを含有する。
本発明の酵素製剤は、さらに、(4)トランスグルタミナーゼを含有してもよい。
すなわち、本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有する酵素製剤であってもよい。
本発明の酵素製剤は、後述の本発明の麺の製造方法に使用することができる。
本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを含有する。
本発明の酵素製剤は、さらに、(4)トランスグルタミナーゼを含有してもよい。
すなわち、本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有する酵素製剤であってもよい。
本発明の酵素製剤は、後述の本発明の麺の製造方法に使用することができる。
麺は、一般に穀粉等を混錬して製造される食品である。
本発明において、「麺」としては、例えば、そば、うどん、中華麺、パスタ、米粉麺、餃子の皮などが挙げられ、好ましくは、そば、うどん、中華麺である。
本発明において、「麺」は、チルド麺(冷蔵麺)、冷凍麺、生麺、半生麺、茹で麺、蒸し麺、油揚げ麺、乾麺、フリーズドライ麺などを含む概念である。
本発明において、「麺」としては、例えば、そば、うどん、中華麺、パスタ、米粉麺、餃子の皮などが挙げられ、好ましくは、そば、うどん、中華麺である。
本発明において、「麺」は、チルド麺(冷蔵麺)、冷凍麺、生麺、半生麺、茹で麺、蒸し麺、油揚げ麺、乾麺、フリーズドライ麺などを含む概念である。
本発明に用いられるリパーゼは、脂肪酸エステルを脂肪酸とグリセリンとに加水分解する反応の触媒となる酵素である。尚、「リパーゼA「アマノ」6」、「リパーゼAY「アマノ」」という商品名で天野エンザイム(株)より市販されている酵素が、リパーゼの一例である。
本発明において、リパーゼの酵素活性は、オリーブ油100mlと2%PVA試液150mlを乳化させ基質とし、基質5ml、マッキルベイン緩衝液(pH7.0)4ml及び酵素液1mlを混和し、37℃にて60分間反応させ、反応停止後、生成した脂肪酸を滴定法で測定する。遊離したオレイン酸1μmolに相当する酸を遊離させる活性を1U(ユニット)と定義する。
本発明において、リパーゼの酵素活性は、オリーブ油100mlと2%PVA試液150mlを乳化させ基質とし、基質5ml、マッキルベイン緩衝液(pH7.0)4ml及び酵素液1mlを混和し、37℃にて60分間反応させ、反応停止後、生成した脂肪酸を滴定法で測定する。遊離したオレイン酸1μmolに相当する酸を遊離させる活性を1U(ユニット)と定義する。
本発明に用いられるα−グルコシダーゼは、非還元末端α−1,4−グルコシド結合を加水分解し、α−グルコースを生成する酵素である。α−グルコシダーゼのうち、トランスグルコシダーゼが好ましい。尚、「トランスグルコシダーゼL「アマノ」」という商品名で天野エンザイム(株)より市販されている酵素が、α−グルコシダーゼの一例である。
本発明において、α−グルコシダーゼの酵素活性は、1mM α−メチル−D−グルコシド1mlに0.02M酢酸バッファー(pH5.0)1mlを加え、酵素溶液0.5ml添加して、40℃60分間作用させたときに、反応液2.5ml中に1μgのブドウ糖を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明において、α−グルコシダーゼの酵素活性は、1mM α−メチル−D−グルコシド1mlに0.02M酢酸バッファー(pH5.0)1mlを加え、酵素溶液0.5ml添加して、40℃60分間作用させたときに、反応液2.5ml中に1μgのブドウ糖を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明に用いられるブランチングエンザイムは、1,4−α−D−グルカン鎖の一部を受容体1,4−α−Dグルカンの6−OH基に転移させ、アミロペクチンまたはグリコーゲンのようなα−1,6結合の枝分かれ構造を生成する酵素である。長瀬産業(株)で製造している食品用酵素「ブランチングエンザイム」が一例である。
本発明において、ブランチングエンザイムの酵素活性は、0.08Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた0.1%アミロースB(ナカライテスク)50μlに0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた酵素溶液50μlを加え、50℃、30分間反応後にヨウ素試薬(0.26g I2と0.26g KIを10mlミリQ水にて溶解した液0.5mlと1 N HCl 0.5mlを混ぜ、130mlに希釈した液)2mlを添加し、660nm吸光度を測定する。本反応系で反応1分間に660nm吸光度を1%低下させる酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明において、ブランチングエンザイムの酵素活性は、0.08Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた0.1%アミロースB(ナカライテスク)50μlに0.1Mリン酸バッファー(pH7.0)に溶解させた酵素溶液50μlを加え、50℃、30分間反応後にヨウ素試薬(0.26g I2と0.26g KIを10mlミリQ水にて溶解した液0.5mlと1 N HCl 0.5mlを混ぜ、130mlに希釈した液)2mlを添加し、660nm吸光度を測定する。本反応系で反応1分間に660nm吸光度を1%低下させる酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明に用いられるグルコアミラーゼは、デンプンの構成要素であるアミロースとアミロペクチンのα−1,4グルコシド鎖を、非還元性末端からグルコース単位にエキソ型で切断し、アミロペクチンの分岐鎖のα−1,6結合も分解する酵素である。本発明の好ましい一態様において、グルコアミラーゼは食品に添加可能なグルコアミラーゼである。食品に添加可能なグルコアミラーゼとしては、例えば、「酒造用グルコアミラーゼ「アマノ」SD」(天野エンザイム株式会社製)や、「グルクザイムAF6」(天野エンザイム株式会社製)や、「グルコチーム#20000」(長瀬産業株式会社製)等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明において、グルコアミラーゼの酵素活性は、pH5.0、40℃の条件下で可溶性澱粉から30分間に10mgのグルコース相当の還元力を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明において、グルコアミラーゼの酵素活性は、pH5.0、40℃の条件下で可溶性澱粉から30分間に10mgのグルコース相当の還元力を生成する酵素量を1U(ユニット)と定義する。
本発明に用いられるトランスグルタミナーゼは、タンパク質やペプチド中のグルタミン残基を供与体とし、リジン残基を受容体とするアシル転移反応を触媒する活性を有する酵素であり、例えば、哺乳動物由来のもの、魚類由来のもの、微生物由来のもの等、種々の起源のものが知られている。本発明において用いられるトランスグルタミナーゼは、上述の活性を有すればその起源は特に制限されず、いかなる起源のトランスグルタミナーゼであっても使用でき、また組み換え酵素を使用してもよい。本発明において用いられるトランスグルタミナーゼは市販品であってもよく、具体例としては、味の素株式会社より「アクティバ」TGの商品名で市販されている微生物由来のトランスグルタミナーゼを単独または組み合わせて用いることができる。
本発明において、トランスグルタミナーゼの酵素活性は、温度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミルグリシンおよびヒドロキシルアミンを基質とする反応系で、トランスグルタミナーゼを作用せしめ、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロキサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成せしめる酵素量を1ユニット(1U)と定義する(特開昭64−27471号公報参照)。
本発明において、トランスグルタミナーゼの酵素活性は、温度37℃、pH6.0のトリス緩衝液中、ベンジルオキシカルボニル−L−グルタミルグリシンおよびヒドロキシルアミンを基質とする反応系で、トランスグルタミナーゼを作用せしめ、生成したヒドロキサム酸をトリクロロ酢酸存在下で鉄錯体を形成させた後、525nmにおける吸光度を測定し、ヒドロキサム酸量を検量線により求め、1分間に1μモルのヒドロキサム酸を生成せしめる酵素量を1ユニット(1U)と定義する(特開昭64−27471号公報参照)。
本発明の酵素製剤において、α−グルコシダーゼの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば2.5×10−5〜1.3×107U、好ましくは2.5×10−3〜1.3×105U、より好ましくは2.5×10−2〜1.3×103U、さらに好ましくは5.0×10−2〜1.3×102Uである。
本発明の酵素製剤において、ブランチングエンザイムを含有する場合、ブランチングエンザイムの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば5.0×10−17〜1.0×105U、好ましくは5.0×10−13〜1.0×104U、より好ましくは5.0×10−9〜1.0×103U、さらに好ましくは5.0×10−5〜1.0×102Uである。
本発明の酵素製剤において、グルコアミラーゼを含有する場合、グルコアミラーゼの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば2.5×10−4〜2.5×10U、好ましくは5.0×10−4〜2.5×10U、より好ましくは1.0×10−3〜2.5×10U、さらに好ましくは5.0×10−3〜2.5×10Uである。
本発明の酵素製剤において、ブランチングエンザイム及びグルコアミラーゼの両方を含有する場合、
ブランチングエンザイムの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば2.5×10−17〜5.0×104U、好ましくは2.5×10−13〜5.0×103U、より好ましくは2.5×10−9〜5.0×102U、さらに好ましくは2.5×10−5〜5.0×10Uであり、及び、
グルコアミラーゼの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば1.3×10−4〜1.3×10U、好ましくは2.5×10−4〜1.3×10U、より好ましくは5.0×10−4〜1.3×10U、さらに好ましくは2.5×10−3〜1.3×10Uである。
ブランチングエンザイムの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば2.5×10−17〜5.0×104U、好ましくは2.5×10−13〜5.0×103U、より好ましくは2.5×10−9〜5.0×102U、さらに好ましくは2.5×10−5〜5.0×10Uであり、及び、
グルコアミラーゼの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば1.3×10−4〜1.3×10U、好ましくは2.5×10−4〜1.3×10U、より好ましくは5.0×10−4〜1.3×10U、さらに好ましくは2.5×10−3〜1.3×10Uである。
本発明の酵素製剤において、トランスグルタミナーゼを含有する場合、トランスグルタミナーゼの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば2.5×10−6〜2.5U、好ましくは5.0×10−6〜1.3U、より好ましくは1.0×10−5〜2.5×10−1U、さらに好ましくは2.0×10−5〜2.5×10−2Uである。
本発明の酵素製剤においては、さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを含有することが好ましい。L−アスコルビン酸ナトリウムを含有することで、麺の食感、ほぐれ性がさらに向上する。
本発明の酵素製剤において、L−アスコルビン酸ナトリウムを含有する場合、L−アスコルビン酸ナトリウムの含有量は、リパーゼ1U当たり、例えば2.5×10−9〜2.5×10−2g、好ましくは2.5×10−8〜1.0×10−2g、より好ましくは2.5×10−7〜1.0×10−2g、さらに好ましくは2.5×10−6〜1.0×1.0−2gである。
本発明の酵素製剤は、例えば、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を混合することで製造することができる。
本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を同時に製剤化して得られる単一の製剤であってもよく、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を、別々に製剤化し、同時にまたは時間差をおいて使用するものであってもよい。
本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を同時に製剤化して得られる単一の製剤であってもよく、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を、別々に製剤化し、同時にまたは時間差をおいて使用するものであってもよい。
本発明の酵素製剤は、トランスグルタミナーゼを含有する場合、例えば、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を混合することで製造することができる。
本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を同時に製剤化して得られる単一の製剤であってもよく、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を、別々に製剤化し、同時にまたは時間差をおいて使用するものであってもよい。
本発明の酵素製剤は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を同時に製剤化して得られる単一の製剤であってもよく、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼ(さらに、任意に含有してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を、別々に製剤化し、同時にまたは時間差をおいて使用するものであってもよい。
本発明の酵素製剤は、本発明の効果を阻害しない限り、上記した成分の他に、他の酵素や添加物(例えば、乳化剤、クエン酸塩、重合リン酸塩等のキレート剤、グルタチオン、システイン等の還元剤、アルギン酸、かんすい、リン酸三ナトリウム、色素、酸味料、香料、アルギン酸ナトリウム、増粘多糖類等の増粘剤、食塩等その他の食品添加物等)を混合してもよい。本発明の酵素製剤は液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状のいずれの形態でも構わない。
本発明はまた、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを原料粉に添加することを含む、麺の製造方法に関する。
本発明の麺の製造方法は、さらに、(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加してもよい。
すなわち、本発明の麺の製造方法は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含む、麺の製造方法であってもよい。
本発明の製造方法において、「麺」、「リパーゼ」、「α−グルコシダーゼ」、「ブランチングエンザイム」、「グルコアミラーゼ」及び「トランスグルタミナーゼ」は上記したものが例示され、各酵素活性の定義は上記した通りである。
本発明の麺の製造方法は、さらに、(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加してもよい。
すなわち、本発明の麺の製造方法は、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含む、麺の製造方法であってもよい。
本発明の製造方法において、「麺」、「リパーゼ」、「α−グルコシダーゼ」、「ブランチングエンザイム」、「グルコアミラーゼ」及び「トランスグルタミナーゼ」は上記したものが例示され、各酵素活性の定義は上記した通りである。
本発明の製造方法において、リパーゼの添加量は、原料粉1g当たり、例えば1.0×10−2〜1.0×102U、好ましくは2.0×10−2〜5.0×10U、より好ましくは5.0×10−2〜2.5×10U、さらに好ましくは1.0×10−1〜1.0×10Uである。
本発明の製造方法において、α−グルコシダーゼの添加量は、原料粉1g当たり、例えば1.0×10−4〜5.0×107U、好ましくは1.0×10−3〜5.0×105U、より好ましくは1.0×10−2〜5.0×103U、さらに好ましくは5.0×10−2〜5.0×102Uである。
本発明の製造方法において、ブランチングエンザイムを使用する場合、ブランチングエンザイムの添加量は、原料粉1g当たり、例えば2.0×10−16〜4.0×105U、好ましくは2.0×10−12〜4.0×104U、より好ましくは2.0×10−8〜4.0×103U、さらに好ましくは2.0×10−4〜4.0×102Uである。
本発明の製造方法において、グルコアミラーゼを使用する場合、グルコアミラーゼの添加量は、原料粉1g当たり、例えば1.0×10−3〜1.0×102U、好ましくは2.0×10−3〜1.0×102U、より好ましくは4.0×10−3〜1.0×102U、さらに好ましくは2.0×10−2〜1.0×102Uである。
本発明の製造方法において、ブランチングエンザイム及びグルコアミラーゼの両方を使用する場合、
ブランチングエンザイムの添加量は、原料粉1g当たり、例えば1.0×10−16〜2.0×105U、好ましくは1.0×10−12〜2.0×104U、より好ましくは1.0×10−8〜2.0×103U、さらに好ましくは1.0×10−4〜2.0×102Uであり、及び、
グルコアミラーゼの添加量は、原料粉1g当たり、例えば5.0×10−4〜5.0×10U、好ましくは1.0×10−3〜5.0×10U、より好ましくは2.0×10−3〜5.0×10U、さらに好ましくは1.0×10−2〜5.0×10Uである。
ブランチングエンザイムの添加量は、原料粉1g当たり、例えば1.0×10−16〜2.0×105U、好ましくは1.0×10−12〜2.0×104U、より好ましくは1.0×10−8〜2.0×103U、さらに好ましくは1.0×10−4〜2.0×102Uであり、及び、
グルコアミラーゼの添加量は、原料粉1g当たり、例えば5.0×10−4〜5.0×10U、好ましくは1.0×10−3〜5.0×10U、より好ましくは2.0×10−3〜5.0×10U、さらに好ましくは1.0×10−2〜5.0×10Uである。
本発明の製造方法において、トランスグルタミナーゼを使用する場合、トランスグルタミナーゼの添加量は、原料粉1g当たり、例えば1.0×10−5〜1.0×10U、好ましくは2.0×10−5〜5.0U、より好ましくは4.0×10−5〜2.5U、さらに好ましくは8.0×10−5〜1.0Uである。
本発明の製造方法においては、さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを添加することが好ましい。L−アスコルビン酸ナトリウムを含有することで、麺の食感とほぐれ性がさらに向上する。
本発明の製造方法において、L−アスコルビン酸ナトリウムの添加量は、原料粉1g当たり、例えば1.0×10−8〜1.0×10−1g、好ましくは1.0×10−7〜5.0×10−2g、より好ましくは1.0×10−6〜2.5×10−2g、さらに好ましくは2.0×10−6〜1.0×10−2gである。
本発明の製造方法において、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ(さらに、任意に添加してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)は、原料粉に、麺製造工程のどの段階で添加しても構わない。すなわち、原料粉に添加してもよいし、原料粉と他の添加物の混合時に添加してもよいし、原料粉に水を加えた麺生地に練り込んでもよいし、麺生地に振りかけてもよい。(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ(さらに、任意に添加してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を麺に添加する順序は特に問わず、いずれかの1〜数種を先に添加した後、残りを添加してもよいが、これらを同時に添加するのが好ましい。
本発明の製造方法において、トランスグルタミナーゼを使用する場合、(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼ(さらに、任意に添加してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)は、原料粉に、麺製造工程のどの段階で添加しても構わない。すなわち、原料粉に添加してもよいし、原料粉と他の添加物の混合時に添加してもよいし、原料粉に水を加えた麺生地に練り込んでもよいし、麺生地に振りかけてもよい。(1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼ(さらに、任意に添加してもよいL−アスコルビン酸ナトリウム)を麺に添加する順序は特に問わず、いずれかの1〜数種を先に添加した後、残りを添加してもよいが、これらを同時に添加するのが好ましい。
本明細書において、「原料粉」には、麺の原料となる、米、麦、粟、そば、ひえ、豆、コーン等穀類を挽いた粉が含まれ、小麦粉、大麦粉、ライ麦粉、米粉、コーン粉が一例である。小麦粉を用いる場合は、普通小麦、スペルト小麦、デュラム小麦等どのような品種の小麦粉でもよく、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラムセモリナ粉でも構わない。また、「原料粉」には、デキストリン、澱粉、加工澱粉等の糖類、畜肉エキス等の調味料、植物蛋白、グルテン、卵白、卵黄、ゼラチン、カゼイン等の蛋白質、蛋白加水分解物、蛋白部分分解物も含まれる。これらは、糖質、タンパク質又は脂質を主成分とし、本発明における酵素の基質となり得るものである。
本発明の製造方法においては、本発明の効果を阻害しない限り、リパーゼ、α−グルコシダーゼ、ブランチングエンザイム、グルコアミラーゼ、及びトランスグルタミナーゼ以外の他の酵素や添加物(例えば、乳化剤、クエン酸塩、重合リン酸塩等のキレート剤、グルタチオン、システイン等の還元剤、アルギン酸、かんすい、リン酸三ナトリウム、色素、酸味料、香料、アルギン酸ナトリウム、増粘多糖類等の増粘剤、食塩等その他の食品添加物等)を添加しても構わない。
各酵素を反応させる際の反応時間は、酵素が基質物質に作用することが可能な時間であれば特に構わず、非常に短い時間でも逆に長時間作用させても構わないが、現実的な作用時間としては5分〜24時間が好ましい。また、反応温度に関しても酵素が活性を保つ範囲であればどの温度であっても構わないが、現実的な温度としては0〜80℃で作用させることが好ましい。すなわち、通常の製麺工程を経ることで十分な反応時間が得られる。
本発明の製造方法により、経時的変化による、麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺を製造することができる。また、本発明の製造方法は、製造時の製麺性においても優れている。
本発明において、「麺の老化」とは、デンプンの老化に起因する経時的な劣化であり、麺表面のざらつきや硬もろい食感になることと定義する。
「麺の老化」は、後述の試験例における官能評価に準じて、評価することができる。
本発明において、「食感」とは、麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスの好ましさと定義する。
「食感」は、後述の試験例における官能評価に準じて、評価することができる。
本発明において、「ほぐれ性」とは、箸でほぐしたときのほぐれやすさと定義する。
「ほぐれ性」は、後述の試験例に準じて、評価することができる。例えば、茹で麺重量に対して10〜30%程度の水等を掛けてほぐれるまでの時間(秒)を計測して評価することができる。
本発明において、「製麺性」は、麺を製造する際の麺帯の取り扱い易さと定義する。
「製麺性」は、後述の試験例に準じて、製麺機(例えば、小型連続圧延製麺機)を使用して作られる麺帯の物性に基づき評価することができる。
本発明において、「麺の老化」とは、デンプンの老化に起因する経時的な劣化であり、麺表面のざらつきや硬もろい食感になることと定義する。
「麺の老化」は、後述の試験例における官能評価に準じて、評価することができる。
本発明において、「食感」とは、麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスの好ましさと定義する。
「食感」は、後述の試験例における官能評価に準じて、評価することができる。
本発明において、「ほぐれ性」とは、箸でほぐしたときのほぐれやすさと定義する。
「ほぐれ性」は、後述の試験例に準じて、評価することができる。例えば、茹で麺重量に対して10〜30%程度の水等を掛けてほぐれるまでの時間(秒)を計測して評価することができる。
本発明において、「製麺性」は、麺を製造する際の麺帯の取り扱い易さと定義する。
「製麺性」は、後述の試験例に準じて、製麺機(例えば、小型連続圧延製麺機)を使用して作られる麺帯の物性に基づき評価することができる。
以下、試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[試験例1]
表1に記載の配合割合のそば粉(千寿雪、日穀製粉社製)、澱粉(アクトボディA900、J−オイルミルズ社製)、中力粉(白椿、日清製粉社製)、小麦グルテン(A−グルG、グリコ栄養食品社製)及び増粘多糖類(昆布酸501、キミカ社製)、及び表2に記載の添加量の酵素製剤を、袋に入れて手で振り混合した。得られた混合物(仕込み量1kg)を、タテ型捏機(2kg真空捏機、大竹製麺機社製)に入れ、1分間ミキサーで混合した。表1に記載の配合割合の市水を30秒かけて投入し、分散させた後、タテ型捏機にて5分間(100rpm2分、50rpm3分)混錬した。混錬後、製麺機(小型連続圧延製麺機、ソディック社製)にてバラ掛け、複合、圧延して、そば生地を得た。得られたそば生地を♯18の切り刃を用いて切り出しを行い、切り出した麺線(生そば)100gを包装用ビニールで包装し、−25℃で冷凍し、冷凍生そばとした。
冷凍生そばは、熱湯で1分30秒茹でた後、湯切り、冷却、水切りし、8℃で一晩冷蔵保存した後、官能評価及びほぐれ性の評価を実施した。
比較例2の酵素製剤は、先行文献3と同様にリパーゼのみを含有する酵素製剤であり、比較例3の酵素製剤は、先行文献2と同様に、リパーゼとアミラーゼを含有する製剤である。
表1に記載の配合割合のそば粉(千寿雪、日穀製粉社製)、澱粉(アクトボディA900、J−オイルミルズ社製)、中力粉(白椿、日清製粉社製)、小麦グルテン(A−グルG、グリコ栄養食品社製)及び増粘多糖類(昆布酸501、キミカ社製)、及び表2に記載の添加量の酵素製剤を、袋に入れて手で振り混合した。得られた混合物(仕込み量1kg)を、タテ型捏機(2kg真空捏機、大竹製麺機社製)に入れ、1分間ミキサーで混合した。表1に記載の配合割合の市水を30秒かけて投入し、分散させた後、タテ型捏機にて5分間(100rpm2分、50rpm3分)混錬した。混錬後、製麺機(小型連続圧延製麺機、ソディック社製)にてバラ掛け、複合、圧延して、そば生地を得た。得られたそば生地を♯18の切り刃を用いて切り出しを行い、切り出した麺線(生そば)100gを包装用ビニールで包装し、−25℃で冷凍し、冷凍生そばとした。
冷凍生そばは、熱湯で1分30秒茹でた後、湯切り、冷却、水切りし、8℃で一晩冷蔵保存した後、官能評価及びほぐれ性の評価を実施した。
比較例2の酵素製剤は、先行文献3と同様にリパーゼのみを含有する酵素製剤であり、比較例3の酵素製剤は、先行文献2と同様に、リパーゼとアミラーゼを含有する製剤である。
官能評価は、熟練したパネラー3人で下記の基準で評価を行い、全員の協議のもと評価を決定した。
(食感)
◎:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが特に優れており、非常に好ましい。
〇:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが優れており、好ましい。
×:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが悪く、好ましくない。
(麺の老化)
◎:麺表面のざらつきやぼそぼそとした食感が顕著に抑制されており、非常に好ましい。
×:麺表面がざらつき、ぼそぼそとした食感が現れており、好ましくない。
(食感)
◎:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが特に優れており、非常に好ましい。
〇:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが優れており、好ましい。
×:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが悪く、好ましくない。
(麺の老化)
◎:麺表面のざらつきやぼそぼそとした食感が顕著に抑制されており、非常に好ましい。
×:麺表面がざらつき、ぼそぼそとした食感が現れており、好ましくない。
ほぐれ性は茹で麺重量に対して10%の水を掛けてほぐれるまでの時間(秒)を計測した。
上記のそば生地の製造工程において、小型連続圧延製麺機を使用して作られた麺帯の物性に基づき、下記の基準で、製麺性の評価を行った。
(製麺性)
◎:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく非常に扱いやすい。
〇:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく扱いやすい。
△:麺帯の硬さと弾力のバランスが悪く、ロール部分への付着も見られやや扱いにくい。
(製麺性)
◎:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく非常に扱いやすい。
〇:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく扱いやすい。
△:麺帯の硬さと弾力のバランスが悪く、ロール部分への付着も見られやや扱いにくい。
結果を表3に示す。
比較例2の酵素製剤を使用して製造したそばはほぐれ性、麺の老化抑制、食感改良すべてにおいて効果が見られなかった。比較例3の酵素製剤を使用して製造したそばはほぐれ性は向上せず、茹で伸びした柔らかい食感となり、麺の老化抑制効果も見られなかった。
一方実施例1、実施例2及び実施例3の酵素製剤を使用して製造したそばは、ほぐれ性の改善が見られ、麺の老化抑制効果、食感改良効果が顕著に見られた。
また、そばの製造工程において、比較例2の酵素製剤を使用したそば生地は、酵素を添加しなかった比較例1(コントロール)と大差がなかったが、比較例3の酵素製剤を使用したそば生地はややべとつきがあった。一方、実施例1、実施例2及び実施例3の酵素製剤を使用したそば生地は、なめらかさが付与された。
比較例2の酵素製剤を使用して製造したそばはほぐれ性、麺の老化抑制、食感改良すべてにおいて効果が見られなかった。比較例3の酵素製剤を使用して製造したそばはほぐれ性は向上せず、茹で伸びした柔らかい食感となり、麺の老化抑制効果も見られなかった。
一方実施例1、実施例2及び実施例3の酵素製剤を使用して製造したそばは、ほぐれ性の改善が見られ、麺の老化抑制効果、食感改良効果が顕著に見られた。
また、そばの製造工程において、比較例2の酵素製剤を使用したそば生地は、酵素を添加しなかった比較例1(コントロール)と大差がなかったが、比較例3の酵素製剤を使用したそば生地はややべとつきがあった。一方、実施例1、実施例2及び実施例3の酵素製剤を使用したそば生地は、なめらかさが付与された。
[試験例2]
表4に記載の配合割合の中力粉(白椿、日清製粉社製)、澱粉(アクトボディA900、J−オイルミルズ社製)、小麦グルテン(A−グルG、グリコ栄養食品社製)及び増粘多糖類(昆布酸501、キミカ社製)、及び表5に記載の添加量の酵素製剤を、袋に入れて手で振り混合した。得られた混合物(仕込み量1kg)を、タテ型捏機(真空捏機、大竹製麺機社製)に入れ、1分間ミキサーで混合した。表4に記載の配合割合で市水及び食塩を混合して得た食塩水を30秒かけて投入し、分散させた後、タテ型捏機にて5分間混錬した。混錬後、製麺機(小型連続圧延製麺機、ソディック社製)にてバラ掛け、複合、寝かし(30分)、圧延して、うどん生地を得た。得られたうどん生地を♯10の切り刃を用いて切り出しを行い、切り出した麺線(生うどん)150gを包装用ビニールで包装し、−25℃で冷凍し、冷凍生うどんとした。
冷凍生うどんは、熱湯で7分30秒茹でた後、湯切り、冷却、水切りし、8℃で一晩冷蔵保存した後、官能評価及びほぐれ性の評価を実施した。
表4に記載の配合割合の中力粉(白椿、日清製粉社製)、澱粉(アクトボディA900、J−オイルミルズ社製)、小麦グルテン(A−グルG、グリコ栄養食品社製)及び増粘多糖類(昆布酸501、キミカ社製)、及び表5に記載の添加量の酵素製剤を、袋に入れて手で振り混合した。得られた混合物(仕込み量1kg)を、タテ型捏機(真空捏機、大竹製麺機社製)に入れ、1分間ミキサーで混合した。表4に記載の配合割合で市水及び食塩を混合して得た食塩水を30秒かけて投入し、分散させた後、タテ型捏機にて5分間混錬した。混錬後、製麺機(小型連続圧延製麺機、ソディック社製)にてバラ掛け、複合、寝かし(30分)、圧延して、うどん生地を得た。得られたうどん生地を♯10の切り刃を用いて切り出しを行い、切り出した麺線(生うどん)150gを包装用ビニールで包装し、−25℃で冷凍し、冷凍生うどんとした。
冷凍生うどんは、熱湯で7分30秒茹でた後、湯切り、冷却、水切りし、8℃で一晩冷蔵保存した後、官能評価及びほぐれ性の評価を実施した。
官能評価は、熟練したパネラー3人で下記の基準で評価を行い、全員の協議のもと評価を決定した。
(食感)
〇:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが優れており、好ましい。
×:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが悪く、好ましくない。
(麺の老化)
◎:麺表面のざらつきやぼそぼそとした食感が顕著に抑制されており、非常に好ましい。×:麺表面がざらつき、ぼそぼそとした食感が現れており、好ましくない。
(食感)
〇:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが優れており、好ましい。
×:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが悪く、好ましくない。
(麺の老化)
◎:麺表面のざらつきやぼそぼそとした食感が顕著に抑制されており、非常に好ましい。×:麺表面がざらつき、ぼそぼそとした食感が現れており、好ましくない。
ほぐれ性は茹で麺重量に対して30%の麺つゆを掛けてほぐれるまでの時間(秒)を計測した。
上記のうどん生地の製造工程において、小型連続圧延製麺機を使用して作られた麺帯の物性に基づき、下記の基準で、製麺性の評価を行った。
(製麺性)
◎:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく非常に扱いやすい。
〇:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく扱いやすい。
(製麺性)
◎:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく非常に扱いやすい。
〇:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく扱いやすい。
結果を表6に示す。
実施例4の酵素製剤を使用して製造したうどんは、ほぐれ性の改善が見られ、麺の老化抑制効果、食感改良効果が顕著に見られた。
また、うどんの製造工程において、酵素を添加しなかった比較例4(コントロール)のうどん生地は、バラ掛けの時点ではややもろくぼろぼろとした麺帯となった。寝かし後はしなやかで表面が滑らかな麺帯となった。一方、実施例4の酵素製剤を使用したうどん生地は、バラの時点ではダマが少なく均一に水が浸透した。バラ掛けの時点で適度に粘るしなやかな麺帯となった。寝かし後はしなやかで表面が滑らかな麺帯となった。
実施例4の酵素製剤を使用して製造したうどんは、ほぐれ性の改善が見られ、麺の老化抑制効果、食感改良効果が顕著に見られた。
また、うどんの製造工程において、酵素を添加しなかった比較例4(コントロール)のうどん生地は、バラ掛けの時点ではややもろくぼろぼろとした麺帯となった。寝かし後はしなやかで表面が滑らかな麺帯となった。一方、実施例4の酵素製剤を使用したうどん生地は、バラの時点ではダマが少なく均一に水が浸透した。バラ掛けの時点で適度に粘るしなやかな麺帯となった。寝かし後はしなやかで表面が滑らかな麺帯となった。
[試験例3]
表7に記載の配合割合のそば粉(千寿雪、日穀製粉社製)、澱粉(アクトボディA900、J−オイルミルズ社製)、中力粉(白椿、日清製粉社製)、小麦グルテン(A−グルG、グリコ栄養食品社製)及び増粘多糖類(昆布酸501、キミカ社製)、及び表8に記載の添加量の酵素製剤を、袋に入れて手で振り混合した。得られた混合物(仕込み量1kg)を、タテ型捏機(2kg真空捏機、大竹製麺機社製)に入れ、1分間ミキサーで混合した。表7に記載の配合割合の市水を30秒かけて投入し、分散させた後、タテ型捏機にて5分間(100rpm2分、50rpm3分)混錬した。混錬後、製麺機(小型連続圧延製麺機、ソディック社製)にてバラ掛け、複合、圧延して、そば生地を得た。得られたそば生地を♯18の切り刃を用いて切り出しを行い、切り出した麺線(生そば)100gを包装用ビニールで包装し、−25℃で冷凍し、冷凍生そばとした。
冷凍生そばは、熱湯で1分30秒茹でた後、湯切り、冷却、水切りし、8℃で一晩冷蔵保存した後、官能評価及びほぐれ性の評価を実施した。
表7に記載の配合割合のそば粉(千寿雪、日穀製粉社製)、澱粉(アクトボディA900、J−オイルミルズ社製)、中力粉(白椿、日清製粉社製)、小麦グルテン(A−グルG、グリコ栄養食品社製)及び増粘多糖類(昆布酸501、キミカ社製)、及び表8に記載の添加量の酵素製剤を、袋に入れて手で振り混合した。得られた混合物(仕込み量1kg)を、タテ型捏機(2kg真空捏機、大竹製麺機社製)に入れ、1分間ミキサーで混合した。表7に記載の配合割合の市水を30秒かけて投入し、分散させた後、タテ型捏機にて5分間(100rpm2分、50rpm3分)混錬した。混錬後、製麺機(小型連続圧延製麺機、ソディック社製)にてバラ掛け、複合、圧延して、そば生地を得た。得られたそば生地を♯18の切り刃を用いて切り出しを行い、切り出した麺線(生そば)100gを包装用ビニールで包装し、−25℃で冷凍し、冷凍生そばとした。
冷凍生そばは、熱湯で1分30秒茹でた後、湯切り、冷却、水切りし、8℃で一晩冷蔵保存した後、官能評価及びほぐれ性の評価を実施した。
官能評価は、熟練したパネラー3人で下記の基準で評価を行い、全員の協議のもと評価を決定した。
(食感)
◎:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが特に優れており、非常に好ましい。
〇:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが優れており、好ましい。
×:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが悪く、好ましくない。
(麺の老化)
◎:麺表面のざらつきやぼそぼそとした食感が顕著に抑制されており、非常に好ましい。
×:麺表面がざらつき、ぼそぼそとした食感が現れており、好ましくない。
(食感)
◎:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが特に優れており、非常に好ましい。
〇:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが優れており、好ましい。
×:麺の硬さ、弾力、粘り、中芯感のバランスが悪く、好ましくない。
(麺の老化)
◎:麺表面のざらつきやぼそぼそとした食感が顕著に抑制されており、非常に好ましい。
×:麺表面がざらつき、ぼそぼそとした食感が現れており、好ましくない。
ほぐれ性は茹で麺重量に対して10%の水を掛けてほぐれるまでの時間(秒)を計測した。
上記のそば生地の製造工程において、小型連続圧延製麺機を使用して作られた麺帯の物性に基づき、下記の基準で、製麺性の評価を行った。
(製麺性)
◎:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく非常に扱いやすい。
〇:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく扱いやすい。
△:麺帯の硬さと弾力のバランスが悪く、ロール部分への付着も見られやや扱いにくい。
(製麺性)
◎:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく非常に扱いやすい。
〇:麺帯に適度な硬さと弾力があり、ロール部分への付着も少なく扱いやすい。
△:麺帯の硬さと弾力のバランスが悪く、ロール部分への付着も見られやや扱いにくい。
結果を表9に示す。
実施例5及び実施例6の酵素製剤を使用して製造したそばは、酵素を使用しなかった比較例5(コントロール)と比較して、ほぐれ性の改善が見られ、麺の老化抑制効果、食感改良効果が顕著に見られた。
また、そばの製造工程において、酵素を添加しなかった比較例5(コントロール)と比較して、実施例5及び実施例6の酵素製剤を使用したそば生地は、なめらかさが付与された。
実施例5及び実施例6の酵素製剤を使用して製造したそばは、酵素を使用しなかった比較例5(コントロール)と比較して、ほぐれ性の改善が見られ、麺の老化抑制効果、食感改良効果が顕著に見られた。
また、そばの製造工程において、酵素を添加しなかった比較例5(コントロール)と比較して、実施例5及び実施例6の酵素製剤を使用したそば生地は、なめらかさが付与された。
本発明によれば、経時的変化による、麺の老化、食感の悪化、及びほぐれ性の悪化が抑制された麺の製造方法、及び該麺の製造のための酵素製剤を提供することができる。
Claims (16)
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを含有する、麺改質用の酵素製剤。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイムを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、及びブランチングエンザイムの含有量が、リパーゼ1U当たり5.0×10−17〜1.0×105Uである、請求項1記載の製剤。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)グルコアミラーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、及びグルコアミラーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−4〜2.5×10Uである、請求項1記載の製剤。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有する、麺改質用の酵素製剤。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、ブランチングエンザイムの含有量が、リパーゼ1U当たり5.0×10−17〜1.0×105Uであり、及びトランスグルタミナーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−6〜2.5Uである、請求項4記載の製剤。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)グルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを含有し、α−グルコシダーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−5〜1.3×107Uであり、グルコアミラーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−4〜2.5×10Uであり、及びトランスグルタミナーゼの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−6〜2.5Uである、請求項4記載の製剤。
- さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製剤。
- L−アスコルビン酸ナトリウムの含有量が、リパーゼ1U当たり2.5×10−9〜2.5×10−2gである、請求項7記載の製剤。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼを原料粉に添加することを含む、麺の製造方法。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)ブランチングエンザイムを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、及びブランチングエンザイムの添加量が、原料粉1g当たり2.0×10−16〜4.0×105Uである、請求項9記載の方法。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、及び(3)グルコアミラーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、及びグルコアミラーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−3〜1.0×102Uである、請求項9記載の方法。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム及び/又はグルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含む、麺の製造方法。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)ブランチングエンザイム、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、ブランチングエンザイムの添加量が、原料粉1g当たり2.0×10−16〜4.0×105Uであり、及びトランスグルタミナーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−5〜1.0×10Uである、請求項12記載の方法。
- (1)リパーゼ、(2)α−グルコシダーゼ、(3)グルコアミラーゼ、及び(4)トランスグルタミナーゼを原料粉に添加することを含み、リパーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−2〜1.0×102Uであり、α−グルコシダーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−4〜5.0×107Uであり、グルコアミラーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−3〜1.0×102Uであり、及びトランスグルタミナーゼの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−5〜1.0×10Uである、請求項12記載の方法。
- さらに、L−アスコルビン酸ナトリウムを添加する、請求項9〜14のいずれか1項に記載の方法。
- L−アスコルビン酸ナトリウムの添加量が、原料粉1g当たり1.0×10−8〜1.0×10−1gである、請求項15記載の方法。
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-
2021
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