JP2021150280A - 化合物、光硬化性組成物、硬化膜、及び有機el素子 - Google Patents

化合物、光硬化性組成物、硬化膜、及び有機el素子 Download PDF

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Abstract

【課題】捕水性の早期失活を抑制することが可能な化合物を提供すること。【解決手段】下記一般式(1)で表される化合物が開示される。M(OR)n(1)[式(1)中、Mは、周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素を示し、Rは、それぞれ独立に、重合性不飽和結合を含む基で置換されていてもよいアルキル基又はMと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基を示し、nは、3、4、又は5を示す。ただし、Rの少なくとも1つは、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基である。]【選択図】なし

Description

本発明は、化合物、光硬化性組成物、硬化膜、及び有機EL素子に関する。
トップエミッション型有機EL素子の発光部の封止技術として、膜封止技術が知られている。膜封止技術は、発光部に対して無機膜と有機膜とを交互に成膜して封止する技術である。このようにして得られる交互積層封止膜によって、発光部への水分等の侵入を防ぐことができる。
有機膜を形成する材料としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートモノマーとペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートとの組み合わせを含有する組成物が開示されている(特許文献1参照)。
一方、有機膜に含まれる水分が発光部に侵入すると、有機EL素子の発光面積が小さくなる場合、又はダークスポットが発生する場合がある。このような現象を防ぐ観点から、有機膜を形成する材料に捕水成分を導入することが検討されている。捕水成分としては、特定のアルキルオキシ(アルコキシ)基を有するアルミニウム化合物が開示されている(特許文献2参照)。
特表2017−531049号公報 国際公開第2011/027658号公報
通常、アルキルオキシ基を有するアルミニウム化合物と水分とが接触すると、化合物中のアルキルオキシ基が水分由来の水酸基で置換されることによって、水分が化合物中に取り込まれる。しかしながら、本発明者の検討によると、特許文献2のアルミニウム化合物は、反応性(活性度)が高いことに起因して、早期に捕水性が失活してしまうことを見出した。アルミニウム化合物の捕水性が失活すると、アルミニウム化合物は水酸化物から酸化物に変換されると推察されるが、当該酸化物は不溶性であるため、系中に析出する場合がある。そのため、例えば、特許文献2のアルミニウム化合物を特許文献1に記載の組成物に適用すると、組成物中に凝集、白濁等の変質が発生し、ノズルの詰まりによって組成物をインクジェット印刷で塗布できない等の問題が生じるおそれがある。
そこで、本発明は、捕水性の早期失活を抑制することが可能な化合物を提供することを主な目的とする。
本発明の一側面は、下記一般式(1)で表される化合物を提供する。
M(OR) (1)
式(1)中、Mは、周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素を示し、Rは、それぞれ独立に、重合性不飽和結合を含む基で置換されていてもよいアルキル基又はMと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基を示し、nは、3、4、又は5を示す。ただし、Rの少なくとも1つ(1以上)は、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基であり、Rの少なくとも1つ(1以上)は、Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基である。
このような化合物によれば、従来のアルミニウム化合物の反応性(活性度)に比べて穏やかであることから、捕水性の早期失活を抑制することが可能となる。そのため、重合性単量体を含有する組成物に当該化合物を適用した場合においても、組成物中に凝集、白濁等の変質が発生し難くなり、ノズルの詰まりによって組成物をインクジェット印刷で塗布できない等の問題を解消することができる。また、このような化合物によれば、重合性単量体の意図しない重合反応を抑制することができる。そのため、重合性単量体を含有する組成物に、上記の化合物を適用することによって、組成物の保存安定性を高めることもできる。
上記の化合物は、捕水成分用化合物であってよい。本発明は、さらに一般式(1)で表される化合物の捕水成分としての使用(応用)又は一般式(1)で表される化合物の捕水成分の製造のための使用(応用)に関してもよい。
本発明の他の一側面は、上記の化合物と、光硬化性樹脂成分とを含有する、光硬化性組成物を提供する。光硬化性樹脂成分は、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する単量体及び光重合開始剤を含んでいてもよい。このような光硬化性組成物によれば、上記の化合物を含有することから、光硬化性組成物中の変質が発生し難く、保存安定性に優れる。また、このような光硬化性組成物によれば、充分に水分が低減されており、後述の有機膜の製造に好適に用いることができる。
上記の光硬化性組成物は、上記の化合物を含有していることから、光硬化性組成物又はその硬化物は、乾燥剤としても有用となり得る。本発明は、上記の化合物と、光硬化性樹脂成分とを含有する組成物又はその硬化物の、乾燥剤としての使用(応用)又は乾燥剤の製造のための使用(応用)に関してもよい。
本発明の他の一側面は、上記の光硬化性組成物の硬化物を含む、硬化膜を提供する。硬化膜は、上記の化合物における重合性不飽和結合とともに、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する単量体における重合性不飽和結合が重合することから、硬化膜中で化合物が充分に分散され得る。そのため、硬化膜は、優れた捕水性を有する乾燥剤となり得る。
本発明の他の一側面は、有機EL素子を提供する。当該有機EL素子は、素子基板と、素子基板に対して対向配置された封止基板と、素子基板及び封止基板の外周部を封止する封止シール剤と、封止シール剤の内側で素子基板上に設けられた、対向配置された一対の電極及び一対の電極間に設けられた有機層を有する発光部と、少なくとも発光部の表面を覆うように設けられた、無機膜及び有機膜からなる交互積層封止膜とを備える。交互積層封止膜は、発光部に対して最内膜及び最外膜が無機膜である。有機膜は、上記の光硬化性組成物又はその硬化物を含む。有機膜は、上記の硬化膜であり得る。
本発明によれば、捕水性の早期失活を抑制することが可能な化合物が提供される。また、本発明によれば、このような化合物を含有する光硬化性組成物が提供される。さらに、本発明によれば、光硬化性組成物を用いた硬化膜及び有機EL素子が提供される。
図1(a)は、有機EL素子の一実施形態を示す模式断面図であり、図1(b)は、有機EL素子における発光部の一実施形態を示す模式断面図である。 図2(a)及び(b)は、有機EL素子の他の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本明細書において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はそれに対応するメタクリレートを意味する。(メタ)アクリロイル基等の他の類似表現についても同様である。
[化合物]
一実施形態の化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である。
M(OR) (1)
式(1)中、Mは、周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素を示す。周期表第4族元素は、チタン原子、ジルコニウム原子、又はハフニウム原子であってよい。周期表第5族元素は、バナジウム原子又はニオブ原子であってよい。周期表第13族元素は、アルミニウム原子であってよい。周期表第14族元素は、ケイ素原子又はゲルマニウム原子であってよい。Mは、安定性の観点から、好ましくはチタン原子、ジルコニウム原子、又はアルミニウム原子、着色性の観点から、より好ましくはジルコニウム原子又はアルミニウム原子である。
式(1)中、nは、3、4、又は5を示す。Mが周期表第13族元素であるとき、nは3である。Mが周期表第4族元素又は周期表第14族元素であるとき、nは4である。Mが周期表第5族元素であるとき、nは5である。nは、好ましくは3又は4である。
式(1)中、Rは、それぞれ独立に、重合性不飽和結合を含む基で置換されていてもよいアルキル基又はMと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基を示す。ただし、Rの少なくとも1つは、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基である。
重合性不飽和結合を含む基で置換されていてもよいアルキル基とは、無置換のアルキル基、及び、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基を意味する。重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基は、無置換のアルキル基の任意の1又は2以上の水素原子が重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基を意味する。Rで示される基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
無置換のアルキル基としては、例えば、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ノニル基、デカニル基、ドデカニル基、テトラデカニル基、ヘキサデカニル基が挙げられる。無置換のアルキル基の炭素数は、1〜28又は1〜8であってよい。
重合性不飽和結合を含む基は、C=C結合を含む基であってよい。C=C結合を含む基としては、例えば、ビニル基、アリル基、アリルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、アルキニル基等が挙げられる。重合性不飽和結合を含む基は、ビニル基、アリル基、アリルオキシ基、(メタ)アクリロイル基、及びアルキニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種又はアリルオキシ基である。
重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基において、重合性不飽和結合を含む基による置換数は、2以上であってよい。重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基としては、例えば、下記式(2−1)で表される基、下記式(2−2)で表される基、−CH−C−(CH−OOC−CH=CH基等が挙げられる。重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基は、自己重合性が低く、保存安定性に優れることから、下記式(2−1)で表される基又は下記式(2−2)で表される基であってよく、下記式(2−1)で表される基であってよい。
Figure 2021150280
式(2−1)及び式(2−2)中、*は結合手を示す。
Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基とは、Mと錯形成可能な官能基を有するアルコールから水酸基を少なくとも1個除いて誘導される基を意味する。ここで、Mと錯形成可能な官能基としては、Mに配位可能な孤立電子対を有する基であれば特に制限されないが、例えば、カルボニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ホスフィノ基、スルフィド基等が挙げられる。これらの中でも、Mと錯形成可能な官能基は、カルボニル基であってよい。Mと錯形成可能な官能基としてのカルボニル基を有するアルコールとしては、例えば、β−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物等が挙げられる。β−ジケトン化合物及びβ−ケトエステル化合物は、ケトエノール互変異性を示す。例えば、β−ジケトン化合物は、下記で示すケト体とエノール体とをとり得る。これらから、β−ジケトン化合物及びβ−ケトエステル化合物は、カルボニル基を有するアルコールということができる。Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基は、β−ジケトン化合物残基(β−ジケトン化合物(より具体的には、β−ジケトン化合物のエノール体)から水酸基を少なくとも1個除いて誘導される基)又はβ−ケトエステル化合物残基(β−ケトエステル化合物(より具体的には、β−ケトエステル化合物のエノール体)から水酸基を少なくとも1個除いて誘導される基)であってよく、β−ジケトン化合物残基であってもよい。β−ジケトン化合物としては、例えば、アセチルアセトン、アルキル(エチル、ヘプチル等)アセチルアセトン、アリルアセチルアセトン等が挙げられる。β−ジケトン化合物は、不飽和結合による化合物(金属錯体)の着色の観点から、好ましくはアセチルアセトン又はアルキルアセチルアセトンである。
Figure 2021150280
式中、Rは、メチル、エチル、ヘプチル等の炭素数1〜10のアルキル基又はアリル基を示す。
Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基は、当該官能基がMと錯形成するキレート型配位子(二座型配位子又は多座型配位子)として作用するものであってよいが、当該官能基がMと錯形成しない単座型配位子として作用するものであってもよい。Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基は、キレート型配位子として作用するものと単座型配位子として作用するものとを含むものであってもよい。Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基がβ−ジケトン化合物残基である場合、キレート型配位子は下記に示すものであり、単座型配位子は下記に示すものである。
Figure 2021150280
式中、M及びRは、上記と同義である。
本実施形態の化合物がMと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基を有することによって、アルミニウム化合物の反応性(活性度)を適度に抑えることができ、捕水性の早期失活を抑制することが可能となる。このような効果をする理由は必ずしも明らかではないが、本発明者は、上記のキレート型配位子がアルキルオキシ基のような単座型配位子よりも水分との反応性を低くすることができ、緩やかに捕水成分として作用するためであると考えている。
本実施形態の化合物は、例えば、Mがアルミニウム原子であり、nが3であり、Rが少なくとも1つ、好ましくは2つの式(2−1)で表される基であり、Rが少なくとも1つ、好ましくは1つのアセチルアセトン残基(アセチルアセトンのエノール体から水酸基を1個除いて誘導される基)又はアルキルアセチルアセトン残基(アルキルアセチルアセトンのエノール体から水酸基を1個除いて誘導される基)である、一般式(1)で表される化合物であってよい。また、本実施形態の化合物は、例えば、Mがジルコニウム原子であり、nが4であり、Rが少なくとも1つ、好ましくは2つの式(2−1)で表される基であり、Rが少なくとも1つ、好ましくは2つのアセチルアセトン残基(アセチルアセトンのエノール体から水酸基を1個除いて誘導される基)又はアルキルアセチルアセトン残基(アルキルアセチルアセトンのエノール体から水酸基を1個除いて誘導される基)である、一般式(1)で表される化合物であってよい。
本実施形態の化合物は、優れた捕水性を有する。この理由を本発明者は以下のように推察している。すなわち、化合物と水分とが接触すると、化合物中のアルキルオキシ(アルコキシ)基が水分由来の水酸基で置換されることによって、水分が化合物中に取り込まれる。これにより、優れた捕水性が発現すると推察される。
[化合物の製造方法]
本実施形態の化合物は、例えば、周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素のいずれかの中心原子を有する化合物と、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基に対応するアルコール又はMと錯形成可能な官能基を有するアルコールとを反応させることによって得ることができる。重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基に対応するアルコールとMと錯形成可能な官能基を有するアルコールとは同時に加えて反応させてもよく、一方を加えて反応させ、その後に他方を加えて反応させてもよい。
周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素のいずれかの中心原子を有する化合物は、上記の無置換のアルキル基に対応するアルキルオキシ基(アルコキシ基)が中心原子に結合している化合物であってよい。アルミニウム原子を有する化合物としては、例えば、アルミニウムエトキシド、アルミニウムプロポキシド、アルミニウムブトキシド等が挙げられる。チタン原子を有する化合物としては、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトラオクトキシド、チタンテトラドデコキシド等が挙げられる。ジルコニウム原子を有する化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラオクトキシド、ジルコニウムテトラドデコキシド等が挙げられる。
周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素のいずれかの中心原子を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、1種を単独で用いることが好ましい。
重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基に対応するアルコールは、例えば、下記式(3−1)で表されるアルコール、下記式(3−2)で表されるアルコール、ペンタエリスリトールトリアクリレート等が挙げられる。重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基に対応するアルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2021150280
Mと錯形成可能な官能基を有するアルコールは、例えば、上述のケトエノール互変異性を示すβ−ジケトン化合物、β−ケトエステル化合物等が挙げられる。Mと錯形成可能な官能基を有するアルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一般式(1)で表される化合物において、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基の導入数及びMと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基の導入数の調整は、周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素のいずれかの中心原子を有する化合物に対する、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基に対応するアルコール及びMと錯形成可能な官能基を有するアルコールの反応比率を調整することによって行うことができる。
反応条件は、用いる原料化合物、原料アルコール等に合わせて適宜選択することができる。反応条件は、例えば、無溶媒又は溶媒存在下、反応温度0℃〜150℃、反応時間0.5〜48時間の範囲で調整することができる。また、反応終了後、揮発成分を減圧留去してもよい。
[光硬化性組成物]
一実施形態の光硬化性組成物は、上記の化合物と、光硬化性樹脂成分とを含有する。光硬化性樹脂成分は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体及び光重合開始剤を含んでいてもよい。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体は、(メタ)アクリロイル基を有するものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリロイル基を1つ有する単官能(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アクリロイル基を2つ以上有する多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。本実施形態の光硬化性組成物は、化合物における重合性不飽和結合とともに、(メタ)アクリロイル基を有する単量体における(メタ)アクリロイル基における重合性不飽和結合が重合することによって硬化物が形成され得る。
(メタ)アクリロイル基を有する単量体は、有機EL素子の有機層を溶解し難い性質を有することから、シロキサン骨格を有し、かつ(メタ)アクリロイル基を有する単量体を含んでいてもよい。このような単量体としては、例えば、メタクリル変性シリコーンオイル等が挙げられる。メタクリル変性シリコーンオイルとは、シロキサン骨格の片末端/両末端にメタクリル(メタアクリロイル)基が導入されたものを意味する。両末端型のメタクリル変性シリコーンオイルとしては、例えば、下記一般式(4)で表されるシリコーン等が挙げられる。
Figure 2021150280
式(4)中、Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表す。Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。Rは、メチル基であることが好ましい。
式(4)中、Rは、それぞれ独立して、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、例えば、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基等が挙げられる。
式(4)中、nは、例えば、官能基当量(g/mol)が100〜1000となるように、設定することができる。
メタクリル変性シリコーンオイルは、従来公知のものを用いることができ、また、市販品をそのまま用いることもできる。好適な市販品としては、例えば、X−22−164、X−22−164AS、X−22−164A、X−22−164B、X−22−2445、X−22−174ASX、X−22−2404(製品名、いずれも信越化学工業株式会社)等が挙げられる。
光重合開始剤は、活性エネルギー線を照射することで連鎖重合可能な活性種を発生するものであれば、特に制限されない。活性エネルギー線は、紫外線、電子線、及び可視光線から選ばれる少なくとも1種であってよく、紫外線であってよい。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。ここで連鎖重合可能な活性種とは、連鎖重合可能な官能基と反応することで重合反応が開始されるものを意味する。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインケタール、α−ヒドロキシケトン、α−アミノケトン、オキシムエステル、ホスフィンオキシド、トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン化合物、キノン化合物、ベンゾインエーテル、ベンゾイン化合物、ベンジル化合物、アクリジン化合物、N−フェニルグリシン、クマリン等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の含有量100質量部に対して、0.1〜10質量部、0.3〜5質量部、又は0.5〜3質量部であってよい。
光硬化性樹脂成分は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体及び光重合開始剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、硬化性の向上及び硬化物の着色の抑制を目的とした増感剤等が挙げられる。その他の成分における各成分の含有量は、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する単量体の含有量100質量部に対して、0.1〜20質量部であってよい。
化合物(一般式(1)で表される化合物)の含有量は、光硬化性樹脂成分の含有量100質量部に対して、0.1質量部以上、0.3質量部以上、0.5質量部以上、又は1質量部以上であってよく、200質量部以下、100質量部以下、50質量部以下、又は20質量部以下であってよい。化合物の含有量が、光硬化性樹脂成分の含有量100質量部に対して、0.1質量部以上であると、捕水容量が充分になる傾向にある。化合物の含有量が、光硬化性樹脂成分の含有量100質量部に対して、200質量部以下であると、粘度の上昇を充分に抑えることができる傾向にある。
光硬化性組成物は、塗布が可能なインキ組成物であり得る。光硬化性組成物は、例えば、インクジェットによる塗布法、ディスペンスによる塗布法、ODF(One Drop Fill)法、スクリーン印刷法、スプレー法、ホットメルト法等に適用することができる。光硬化性組成物は、有機膜の作製に好適であることから、インクジェット塗布用のインキ組成物であってよい。インクジェットによる塗布法に適用する場合には、光硬化性組成物の25℃における粘度は、0.01〜30mPa・sであってよい。
光硬化性組成物は、活性エネルギー線を照射することによって硬化させる(硬化物を形成する)ことができる。活性エネルギー線照射の条件は、光硬化性組成物の構成成分に合わせて適宜調整することができる。活性エネルギー線は、紫外線、電子線、及び可視光線から選ばれる少なくとも1種であってよく、紫外線であってよい。
[硬化膜]
一実施形態の硬化膜は、光硬化性組成物の硬化物を含む。本実施形態の硬化膜は、上記の化合物における重合性不飽和結合とともに、(メタ)アクリロイル基を有する単量体における重合性不飽和結合が重合することから、硬化膜中で化合物が充分に分散され得る。そのため、硬化膜は、優れた捕水性を有する乾燥剤となり得る。
[有機EL素子及びその製造方法]
図1(a)は、有機EL素子の一実施形態を示す模式断面図であり、図1(b)は、有機EL素子における発光部の一実施形態を示す模式断面図である。図1(a)に示す有機EL素子100は、素子基板2と、素子基板2に対して対向配置された封止基板4と、素子基板2及び封止基板4の外周部を封止する封止シール剤6と、封止シール剤6の内側で素子基板2上に設けられた発光部20と、少なくとも発光部20の表面を覆うように設けられた、無機膜8及び有機膜10からなる交互積層封止膜12とを備える。図1(b)に示す発光部20は、対向配置された一対の電極(陽極22及び陰極24)及び一対の電極間に設けられた有機層26を有する。交互積層封止膜12は、発光部20に対して最内膜及び最外膜が無機膜8である。有機膜10は、上記の光硬化性組成物又はその硬化物を含む。有機膜10は、上記の硬化膜であり得る。
無機膜8及び有機膜10からなる交互積層封止膜12の積層数は、最内膜及び最外膜が無機膜であれば特に制限されず、3層、5層、7層、又は9層以上であってよい。また、交互積層封止膜12は、発光部20の表面が覆われているのであれば、封止シール剤6の内側の素子基板2の全面が覆われている必要は必ずしもない。
無機膜8を構成する材料としては、特に制限されないが、窒化ケイ素(SiN)、酸化ケイ素(SiO)、窒素を含む酸化ケイ素(SiON)等のケイ素化合物等が挙げられる。無機膜8は、通常、構成する材料の化学気相成長(CVD)によって形成することができる。無機膜8の厚さは、例えば、0.1〜3μmであってよい。
有機膜10は、上記の光硬化性組成物を、通常、インクジェット法で塗膜を無機膜8上に作製し、当該塗膜に対して活性エネルギー線を照射して、光硬化性組成物を硬化させることによって形成することができる。活性エネルギー線は、紫外線、電子線、及び可視光線から選ばれる少なくとも1種であってよく、紫外線であってよい。有機膜10の厚さは、例えば、0.1〜10μmであってよい。
このような操作を繰り返し行うことによって、交互積層封止膜12を得ることができる。
図1(a)に示す有機EL素子100では、封止シール剤6の内側に中空空間が残されているが、中空空間が存在する必要は必ずしもなく、中空空間の全部又は一部が封止材等で封止されていてもよい。
有機EL素子100において、交互積層封止膜12(特に、有機膜10)以外の要素に関しては従来公知のものを適用することができるが、その一例を以下で簡単に説明する。
素子基板2は、絶縁性及び透光性を有する矩形状のガラス基板からなり、この素子基板2上には、透明導電材であるITO(Indium Tin Oxide)によって陽極22(電極)が形成されている。この陽極22は、例えば、真空蒸着法、スパッタ法等のPVD(Physical Vapor Deposition)法によって素子基板2上に成膜されるITO膜に対して、フォトレジスト法によるエッチングで所定のパターン形状にパターニングすることによって形成される。電極としての陽極22の一部は、素子基板2の端部まで引き出されて駆動回路(図示せず)に接続される。
陽極22の上面には、例えば、真空蒸着法、抵抗加熱法等のPVD法によって、有機発光材料を含む薄膜である有機層26が積層されている。有機層26は、単一の層から形成されていてもよく、機能の異なる複数の層から形成されていてもよい。有機層26は、例えば、陽極22側から順に、ホール注入層26a、ホール輸送層26b、発光層26c、及び電子輸送層26dが積層された4層構造であってよい。ホール注入層26aは、例えば、数10nmの膜厚の銅フタロシアニン(CuPc)から形成される。ホール輸送層26bは、例えば、数10nmの膜厚のbis[N−(1−naphthyl)−N−phenyl]benzidine(α−NPD)から形成される。発光層26cは、例えば、数10nmの膜厚のトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)から形成される。電子輸送層26dは、例えば、数nmの膜厚のフッ化リチウム(LiF)から形成される。
有機層26(電子輸送層26d)の上面には、真空蒸着法等のPVD法によって、金属薄膜である陰極24(電極)が積層されている。金属薄膜の材料としては、例えば、Al、Li、Mg、In等の仕事関数の小さい金属単体、Al−Li、Mg−Ag等の仕事関数の小さい合金などが挙げられる。陰極24は、例えば、数10nm〜数100nm(好ましくは50nm〜200nm)の膜厚で形成される。陰極24の一部は、素子基板2の端部まで引き出されて駆動回路(図示せず)に接続される。
封止基板4は、有機層26を挟んで素子基板2と対向するように配置されている。素子基板2及び封止基板4の外周部は、封止シール剤6によって封止されている。封止シール剤6としては、例えば、紫外線硬化性樹脂が挙げられる。
一実施形態の有機EL素子の製造方法では、素子基板2上に有機層26等を有する発光部20が形成された積層体が準備される。これに対して、上記の方法によって、少なくとも発光部20に対して、少なくとも無機膜8、有機膜10、及び無機膜8からなる交互積層封止膜12を形成する。その後、封止基板4上に塗布した乾燥剤を囲むように封止シール剤6をディスペンサで塗布する。これらの作業は、露点−76℃以下の窒素で置換されたグローブボックス中で行ってもよい。
次に、発光部20が搭載された素子基板2と、封止基板4とを、交互積層封止膜12及び封止シール剤6をそれらの間に挟みながら貼り合わせる。必要によって、得られた構造体に紫外線照射及び/又は加熱によって乾燥剤及び/又は封止シール剤を硬化することによって、本実施形態の有機EL素子100を得ることができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態においては、光硬化性組成物からなる有機膜を備える有機EL素子を例示したが、上記の光硬化性組成物又はその硬化物(硬化膜)は、それ自体が乾燥剤として作用することから、乾燥剤層を備える有機EL素子の乾燥剤層にこれを適用することができる。図2(a)及び(b)は、有機EL素子の他の一実施形態を示す模式断面図である。図2(a)及び(b)に示す有機EL素子200(300)は、素子基板2と、素子基板2に対して対向配置された封止基板4と、素子基板2及び封止基板4の外周部を封止する封止シール剤6と、封止シール剤6の内側で素子基板2上に設けられた発光部20と、封止シール剤6の内側で発光部20の周囲に設けられた、上記の光硬化性組成物又はその硬化物を含む乾燥剤層14(16)とを備える。封止シール剤6が素子基板2及び封止基板4の外周部を封止することにより、素子基板2及び封止基板4の間で、発光部20の周囲に気密空間が形成される。
図2(a)に示す有機EL素子200における乾燥剤層14は、封止シール剤6の内側で発光部20周囲の気密空間を充填している。すなわち、有機EL素子200は、いわゆる充填封止構造の有機EL素子である。ただし、乾燥剤層は発光部20が設けられた気密空間全体を充填している必要は必ずしもない。例えば、図2(b)に示す有機EL素子300のように、封止基板4上に乾燥剤層16が形成され、封止シール剤6の内側に中空空間が残されていてもよい。すなわち、有機EL素子300は、いわゆる中空封止構造の有機EL素子である。この場合、乾燥剤層16の厚さは、例えば、1〜300μmであってよい。乾燥剤層16は、ディスペンサ等の方法によって塗布することによって形成することができる。
有機EL素子200,300において、乾燥剤層14,16以外の要素に関しては、従来公知のものを適用することができる。
また、上記の光硬化性組成物又はその硬化物(硬化膜)の用途は、必ずしも有機EL素子に限定されず、例えば、量子ドットを用いた表示装置(量子ドットディスプレイ)等にも適用することができる。より具体的には、例えば、量子ディスプレイのカラーフィルターにおいて、その表面を覆うための有機膜(乾燥剤層)等としても用いることができる。
以下、本発明について実施例を挙げてより具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[化合物(捕水成分)の合成]
(実施例1)
フラスコに、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブタノール、式(3−1)で表される化合物)(商品名:ネオアリルT−20、株式会社大阪ソーダ)8質量部及びアルミキレートM(川研ファインケミカル株式会社製、中心原子としてアルミニウム原子を有し、当該アルミニウム原子に対して、アルキルアセトアセテートを1当量、イソプロポキシドを2当量有するアルミニウム化合物)10質量部を投入し、25℃で1時間撹拌した。その後、60℃、300Pa条件で揮発成分等を3時間減圧蒸留除去し、さらに150℃、300Paの条件で揮発成分等を3時間減圧蒸留除去し、茶褐色粘体として実施例1の化合物を得た。実施例1の化合物は、アルミキレートMに対して、2当量のトリメチロールプロパンジアリルエーテルを反応させたことから、式(1)中のRの2つが2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブチル基であり、Rの1つがアルキルアセチルアセトン残基(アルキルアセチルアセトンのエノール体から水酸基を1個除いて誘導される基)であるアルミニウム化合物であると推測される。
(実施例2)
フラスコに、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブタノール、式(3−1)で表される化合物)(商品名:ネオアリルT−20、株式会社大阪ソーダ)12質量部、アセチルアセトン(東京化成工業株式会社)4.5質量部、及びジルコニウムテトラプロポキシド(東京化成工業株式会社)10質量部を投入し、25℃で1時間撹拌した。その後、60℃、300Pa条件で揮発成分等を3時間減圧蒸留除去し、さらに150℃、300Paの条件で揮発成分等を3時間減圧蒸留除去し、茶褐色粘体として実施例2の化合物を得た。実施例2の化合物は、ジルコニウムテトラプロポキシドに対して、2当量のトリメチロールプロパンジアリルエーテル及び2当量のアセチルアセトンを反応させたことから、式(1)中のRの2つが2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブチル基であり、Rの2つがアセチルアセトン残基(アセチルアセトンのエノール体から水酸基を1個除いて誘導される基)であるジルコニウム化合物であると推測される。
(比較例1)
フラスコに、トリメチロールプロパンジアリルエーテル(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブタノール)(商品名:ネオアリルT−20、株式会社大阪ソーダ)28質量部及びアルミニウムsec−ブチレート(商品名:ADBD、川研ファインケミカル株式会社)10質量部を投入し、25℃で1時間撹拌した。その後、60℃、300Pa条件で揮発成分等を3時間減圧蒸留除去し、さらに150℃、300Paの条件で揮発成分等を3時間減圧蒸留除去し、超高粘度の透明粘体として比較例1の化合物を得た。比較例1の化合物は、アルミニウムsec−ブチレートに対して、3当量のトリメチロールプロパンジアリルエーテルを反応させたことから、アルミニウムトリス(2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブトキシド)、すなわち、式(1)中のRの3つが2,2−ビス(アリロキシメチル)−1−ブチル基であるアルミニウム化合物であると推測される。
[捕水性の失活試験]
実施例1、2及び比較例1の化合物(捕水成分)を用いて、大過剰の水分存在下における捕水性の失活を評価した。評価では、5質量%含水のエタノール100質量部に対して、化合物(捕水成分)15質量部を加えて撹拌し、当該エタノールの変化を観察した。化合物(捕水成分)として、比較例1の化合物(捕水成分)を加えた場合、5質量%含水のエタノールは直ちに白濁した。これは、比較例1の化合物の捕水性が失活して酸化物が析出したものと推察される。一方、実施例1、2の化合物(捕水成分)を加えた場合、5質量%含水のエタノールは直ちに白濁することもなく、5質量%含水のエタノールは透明性を維持していた。
以上より、実施例1、2の化合物(捕水成分)は、比較例1の化合物(捕水成分)に比べて、5質量%含水のエタノールにおいて、白濁が発生し難いことが判明した。この結果から、本発明の化合物が、少なくとも従来のアルミニウム化合物に比べて、捕水性の早期失活を抑制することが可能であることが確認された。
2…素子基板、4…封止基板、6…封止シール剤、8…無機膜、10…有機膜、12…交互積層封止膜、14,16…乾燥剤層、20…発光部、22…陽極、24…陰極、26…有機層、26a…ホール注入層、26b…ホール輸送層、26c…発光層、26d…電子輸送層、100,200,300…有機EL素子。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)で表される化合物。
    M(OR) (1)
    [式(1)中、Mは、周期表第4族元素、周期表第5族元素、周期表第13族元素、又は周期表第14族元素を示し、Rは、それぞれ独立に、重合性不飽和結合を含む基で置換されていてもよいアルキル基又はMと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基を示し、nは、3、4、又は5を示す。ただし、Rの少なくとも1つは、重合性不飽和結合を含む基で置換されたアルキル基であり、Rの少なくとも1つは、Mと錯形成可能な官能基を有するアルコール残基である。]
  2. 請求項1に記載の化合物と、光硬化性樹脂成分とを含有する、光硬化性組成物。
  3. 前記光硬化性樹脂成分が、(メタ)アクリロイル基を有する単量体及び光重合開始剤を含む、請求項2に記載の光硬化性組成物。
  4. 請求項2又は3に記載の光硬化性組成物の硬化物を含む、硬化膜。
  5. 素子基板と、
    前記素子基板に対して対向配置された封止基板と、
    前記素子基板及び前記封止基板の外周部を封止する封止シール剤と、
    前記封止シール剤の内側で前記素子基板上に設けられた、対向配置された一対の電極及び前記一対の電極間に設けられた有機層を有する発光部と、
    少なくとも前記発光部の表面を覆うように設けられた、無機膜及び有機膜からなる交互積層封止膜と、
    を備え、
    前記交互積層封止膜は、前記発光部に対して最内膜及び最外膜が無機膜であり、
    前記有機膜は、請求項2又は3に記載の光硬化性組成物又はその硬化物を含む、有機EL素子。
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