JP2021145090A - 研磨液及び研磨方法 - Google Patents

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裕 小野
恵介 井上
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Abstract

【課題】タングステン材料の優れた研磨速度を得つつ、金属イオンが混入した場合において過酸化水素の分解を抑制可能な研磨液、及び、当該研磨液を用いた研磨方法を提供する。【解決手段】研磨液は、砥粒と、過酸化水素と、化合物Aと、水と、を含有し、化合物Aが、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を有する化合物である。また、研磨方法は、当該研磨剤を用いて、タングステン材料3を含む被研磨面を研磨する。【選択図】図1

Description

本発明は、研磨液及び研磨方法に関する。
近年、半導体集積回路(以下、「LSI」と記す。)の高集積化又は高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(以下、「CMP」と記す。)法もその一つであり、LSI製造工程、特に、多層配線形成工程における層間絶縁膜の平坦化、金属プラグ形成、埋め込み配線形成等において頻繁に利用される技術である。
CMPを用いた埋め込み配線形成としては、ダマシン法が知られている。ダマシン法では、例えば、まず、酸化珪素等の絶縁材料の表面にあらかじめ溝を形成した後、絶縁材料の表面に追従する形状のバリア材料(例えばバリア膜)を形成し、さらに、溝を埋め込むようにバリア材料全体の上に配線金属を堆積する。次に、溝に埋め込まれた配線金属以外の不要な配線金属を除去した後、配線金属の下層のバリア材料の一部をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する。
近年、LSIには、配線金属又はバリア材料としてタングステン材料が用いられており、タングステン材料を除去するための研磨液が必要とされている。例えば、下記特許文献1には、砥粒、過酸化水素、鉄化合物等を含有する研磨液を用いてタングステン材料を研磨する技術が開示されている。このように、タングステン材料を研磨するための研磨液においては、過酸化水素が用いられる場合がある。
タングステン材料の配線を研磨により形成する方法(ダマシンプロセス)の一例を図1に示す。被研磨体(基板)10は、図1(a)に示すように、表面に溝を有する絶縁材料(酸化珪素等)1と、絶縁材料の表面に追従する形状のバリア材料(窒化チタン等)2と、溝を埋め込むようにバリア材料2の全体を覆うタングステン材料(配線金属)3と、を有している。被研磨体10の研磨方法は、バリア材料2が露出するまでタングステン材料3を高い研磨速度で研磨する粗研磨工程(図1(a)〜図1(b))と、粗研磨工程において生じた段差を解消するための仕上げ研磨工程(図1(b)〜図1(c))として、絶縁材料1が露出するまでバリア材料2及びタングステン材料3を研磨する中研磨工程と、絶縁材料1、バリア材料2及びタングステン材料3を充分な研磨速度で研磨して被研磨面を平坦に仕上げる後研磨工程と、をこの順に有している。
特許第3822339号
ところで、上述の研磨方法においては、必要とする研磨機の数及び工程に費やす時間を減らす観点から、同一の研磨機及び研磨布を用いて粗研磨工程及び仕上げ研磨工程を行うことが考えられる。ここで、粗研磨工程で用いる粗研磨用研磨液には、タングステン材料の研磨速度を増すための研磨促進剤として金属イオンが添加されていることが多い。一方、仕上げ研磨工程で用いる仕上げ研磨用研磨液には、過酸化水素を用いる場合があるものの、粗研磨工程ほど高いタングステン材料の研磨速度が求められないため、金属イオンを含有させないことが多い。しかしながら、同一の研磨機及び研磨布を用いて粗研磨工程及び仕上げ研磨工程を行う場合、粗研磨用研磨液が仕上げ研磨用研磨液に混入し、粗研磨用研磨液中の金属イオンが仕上げ研磨用研磨液に混入する可能性がある。この場合、混入した金属イオンによって仕上げ研磨用研磨液中の過酸化水素の分解が促進されることにより過酸化水素の含有量が減少し、仕上げ研磨工程における研磨速度が影響を受けやすい。
金属イオンが過酸化水素の分解触媒として作用し得ることから、過酸化水素に加えて比較的多くの金属イオンを含む粗研磨用研磨液では、上記特許文献1に記載されているように、過酸化水素の分解抑制を目的として、リン酸、有機酸等が安定化剤として用いられることがある。しかし、本発明者の知見によれば、金属イオンを殆ど含有しない仕上げ研磨用研磨液に金属イオンが混入する場合のように、過酸化水素に加えて微量の金属イオンを含む状態において、これらの安定化剤は過酸化水素の分解を充分に抑制することができない。また、本発明者の知見によれば、過酸化水素の分解を抑制する物質はタングステン材料の研磨速度を低減させる場合がある。
本発明の一側面は、タングステン材料の優れた研磨速度を得つつ、金属イオンが混入した場合において過酸化水素の分解を抑制可能な研磨液を提供することを目的とする。また、本発明の他の一側面は、当該研磨液を用いた研磨方法を提供することを目的とする。
本発明者は、タングステン材料の研磨速度の低下を抑制しつつ金属イオンの混入による過酸化水素の分解を抑制可能な成分を用いることに着想し、特定の官能基を有する化合物を用いた場合に前記課題を達成できることを見出した。
本発明の一側面は、砥粒と、過酸化水素と、化合物Aと、水と、を含有し、前記化合物Aが、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を有する化合物である、研磨液を提供する。
本発明の一側面に係る研磨液によれば、タングステン材料の優れた研磨速度を得つつ、金属イオンが混入した場合において過酸化水素の分解を抑制できる。本発明の一側面に係る研磨液によれば、金属イオンの混入による過酸化水素の分解を抑制可能な成分を用いるものの、タングステン材料の充分な研磨速度を維持できる。
本発明の他の一側面は、上述の研磨液を用いて、タングステン材料を含む被研磨面を研磨する工程を備える、研磨方法を提供する。
本発明の一側面によれば、タングステン材料の優れた研磨速度を得つつ、金属イオンが混入した場合において過酸化水素の分解を抑制可能な研磨液を提供できる。本発明の他の一側面によれば、当該研磨液を用いた研磨方法を提供することができる。
図1は、タングステン材料の配線を研磨により形成する方法を説明するための断面模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
<定義>
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「膜」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、「研磨速度」(Polishing Rate)とは、研磨される物質が研磨により除去される速度(例えば、被研磨面に対して垂直方向の単位時間あたりの厚み減少量。Removal Rate)を意味する。
<研磨液>
本実施形態に係る研磨液は、砥粒と、過酸化水素と、化合物Aと、水と、を含有し、前記化合物Aが、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を有する化合物である。本実施形態に係る研磨液は、CMP研磨液として用いることができる。本実施形態に係る研磨液は、タングステン材料を含む被研磨面を研磨するための研磨液であってよい。
本実施形態に係る研磨液によれば、タングステン材料の優れた研磨速度を得つつ、金属イオン(例えばFeイオン)が混入した場合において過酸化水素の分解を抑制できる。本実施形態に係る研磨液によれば、金属イオンの混入による過酸化水素の分解を抑制可能な成分を用いるものの、タングステン材料の充分な研磨速度を維持できる。本実施形態によれば、タングステン材料を含む被研磨面の研磨への研磨液の応用を提供することができる。本実施形態に係る研磨液は、半導体デバイスの配線形成工程等における研磨に用いることができる。
本実施形態に係る研磨液は、ダマシンプロセスの仕上げ研磨工程(中研磨工程及び後研磨工程)におけるタングステン材料の研磨に好適に用いることができる。本実施形態に係る研磨液は、表面に溝を有する絶縁材料と、絶縁材料の表面に追従する形状のバリア材料と、溝を埋め込むようにバリア材料の全体を覆う配線金属と、を有する被研磨体(バリア材料又は配線金属がタングステン材料である被研磨体)の研磨方法であって、バリア材料が露出するまで配線金属を研磨する第1研磨工程(粗研磨工程)と、絶縁材料が露出するまでバリア材料及び配線金属を研磨する第2研磨工程(中研磨工程)と、絶縁材料、バリア材料及び配線金属を研磨する第3研磨工程(後研磨工程)と、を備える研磨方法における第2研磨工程及び/又は第3研磨工程に用いることができる。上述の被研磨体は、タングステン材料を含む配線金属を有してよい。絶縁材料は、酸化珪素であってよい。バリア材料は、窒化チタンであってよい。本実施形態に係る研磨液によれば、同一の研磨機及び研磨布を用いて粗研磨工程及び仕上げ研磨工程を行う場合において、粗研磨工程で用いた研磨液(本実施形態に係る研磨液とは異なる研磨液)の金属イオンが、仕上げ研磨工程において、本実施形態に係る研磨液に混入した場合であっても過酸化水素の分解を抑制することができる。
本実施形態に係る研磨液における金属イオンの含有量は、研磨液の全質量を基準として数ppm程度(例えば、5ppm以下、4ppm以下又は3ppm以下)であってよい。粗研磨用研磨液中に含まれる金属イオンの量は、数ppm〜数十ppmであることが多いことから、仕上げ研磨用研磨液に混入する可能性のある金属イオンの量は、それ以下の数ppm程度であると考えられる。本実施形態に係る研磨液は、金属イオンを含有しなくてもよい。
(砥粒)
本実施形態に係る研磨液は、タングステン材料及び絶縁材料の充分な研磨速度を得やすい観点から、砥粒を含有する。砥粒は、タングステン材料及び絶縁材料の充分な研磨速度を更に得やすい観点から、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、及び、これらの変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。シリカを含む砥粒としては、コロイダルシリカを用いてもよい。アルミナを含む砥粒としては、コロイダルアルミナを用いてもよい。
前記変性物としては、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア等を含む粒子の表面をアルキル基で変性したものなどが挙げられる。粒子の表面をアルキル基で変性する方法としては、特に制限はないが、例えば、粒子の表面に存在する水酸基と、アルキル基を有するアルコキシシランと、を反応させる方法が挙げられる。アルキル基を有するアルコキシシランとしては、特に制限はないが、モノメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、トリエチルモノメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルモノエトキシシラン等が挙げられる。反応方法としては、特に制限はなく、例えば、粒子とアルコキシシランとを含有する研磨液(室温の研磨液等)中で反応させてもよく、前記反応を加速するために加熱してもよい。
砥粒の平均粒径は、10〜200nmが好ましく、20〜100nmがより好ましく、50〜80nmが更に好ましい。ここでいう「平均粒径」とは、砥粒の平均二次粒径をいう。上記平均粒径(平均二次粒径)は、例えば、上記砥粒を水に分散させた試料を作製し、光回折散乱式粒度分布計により測定することができる。具体的には例えば、COULTER Electronics社製のCOULTER N4SDを用いて、測定温度:20℃、溶媒屈折率:1.333(水)、粒子屈折率:Unknown(設定)、溶媒粘度:1.005cp(水)、Run Time:200秒、レーザ入射角:90°、Intensity(散乱強度、濁度に相当):5E+04〜4E+05の範囲に入るように測定し、4E+05よりも高い場合には水で希釈して測定することができる。コロイダル粒子は、通常、水に分散された状態で得られるので、上記散乱強度の範囲に入るように適宜希釈して測定することもできる。目安としては、粒子が0.5〜2.0質量%含まれるように調整すればよい。
砥粒は、研磨液中での分散安定性が良く、研磨(CMP等)により発生するスクラッチ(研磨傷)の発生数が少ない観点から、平均粒径が200nm以下のコロイダルシリカ、及び、平均粒径が200nm以下のコロイダルアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、平均粒径が100nm以下のコロイダルシリカ、及び、平均粒径が100nm以下のコロイダルアルミナからなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましい。
砥粒の含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.02〜30質量%、更に好ましくは0.05〜20質量%、特に好ましくは0.1〜20質量%、極めて好ましくは0.5〜10質量%、非常に好ましくは1〜5質量%、より一層好ましくは1〜3質量%、更に好ましくは1〜2質量%である。砥粒の含有量が0.01質量%以上であることにより、タングステン材料及び絶縁材料の充分な研磨速度が更に得られやすく、50質量%以下であることにより、スクラッチの発生を抑制しやすい。
(過酸化水素)
本実施形態に係る研磨液は、過酸化水素を含有する。過酸化水素は、酸化剤として用いることができる。過酸化水素は、タングステン材料の表面を酸化し、タングステン材料の研磨速度を向上させることができる。
過酸化水素の含有量(過酸化水素濃度)は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.02〜30質量%、更に好ましくは0.05〜15質量%、特に好ましくは0.1〜10質量%、極めて好ましくは0.3〜5質量%、非常に好ましくは0.5〜3質量%、より一層好ましくは0.7〜2質量%、更に好ましくは0.9〜1質量%である。過酸化水素の含有量が0.01質量%以上であることにより、タングステン材料の優れた研磨速度が得られやすい。過酸化水素の含有量が50質量%以下であることにより、被研磨面の荒れを低減しやすい。過酸化水素の含有量は、分解した後の過酸化水素の残存量であってよい。研磨液における過酸化水素の含有量は、ヨウ素滴定法により測定可能であり、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定できる。
過酸化水素の含有量は、酸化剤の全質量(研磨液に含まれる酸化剤の全質量)を基準として下記の範囲が好ましい。過酸化水素の含有量は、タングステン材料の優れた研磨速度が得られやすい観点から、50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、65質量%以上が特に好ましく、80質量%以上が極めて好ましく、90質量%以上が非常に好ましく、95質量%以上がより一層好ましく、98質量%以上が更に好ましく、99質量%以上が特に好ましい。研磨液中の酸化剤は、実質的に過酸化水素からなる(酸化剤の100質量%が実質的に過酸化水素である)態様であってもよい。過酸化水素の含有量は、分解した後の過酸化水素の残存量であってよい。
(酸化剤)
本実施形態に係る研磨液は、過酸化水素以外の酸化剤を含有してよい。酸化剤としては、硝酸、過ヨウ素酸カリウム、次亜塩素酸、オゾン水等が挙げられる。被研磨体が集積回路用素子を含むシリコン基板である場合、アルカリ金属、アルカリ土類金属、ハロゲン化物等による汚染は望ましくないので、不揮発成分を含まない酸化剤が好ましい。
(化合物A)
本実施形態に係る研磨液は、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を有する化合物Aを含有する。化合物Aは、1以上のホスホノ基と、1以上のカルボキシ基又はカルボン酸塩基と、を有する。ホスホノ基は、「−PO」で表される官能基である。化合物Aは、ホスホノ基を包含する官能基として、リン酸基「−O−PO」(ホスホノオキシ基)を有していてもよい。カルボン酸塩基としては、カルボキシ基の水素原子が金属原子(ナトリウム原子、カリウム原子等)に置換された官能基などが挙げられる。化合物Aは、ホスホノ基とカルボキシ基とカルボン酸塩基とを有していてもよい。
化合物Aは、過酸化水素分解抑制剤として用いることができる。研磨液が化合物Aを含有することにより、研磨液への金属イオンの混入による過酸化水素の分解を抑制することができる。研磨液が過酸化水素及び化合物Aを含有することにより、金属イオンの混入による過酸化水素の分解を抑制するとともに、タングステン材料の充分な研磨速度を維持することができる。
化合物Aが過酸化水素分解抑制効果を有する理由は明確ではないが、金属イオンと化合物Aとが相互作用した際に形成されるキレート化合物が、金属イオンそのものに比べて過酸化水素の分解に影響を与えづらいためであると考えられる。
ホスホノ基を有するもののカルボキシ基及びカルボン酸塩基を有さないリン酸、並びに、カルボキシ基又はカルボン酸塩基を有するもののホスホノ基を有さない有機酸(クエン酸、グリシン等)及びその塩は、過酸化水素分解抑制効果を有さない。化合物A以外にもキレート剤として用いられる化合物は存在するが、例えば、ホスホノ基を有するもののカルボキシ基及びカルボン酸塩基を有さない化合物として、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)は、過酸化水素分解抑制効果が低く、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸は、過酸化水素分解抑制効果を発現するが、タングステン材料の研磨速度が低下する傾向がある。
化合物Aは、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を有する脂肪族化合物又は芳香族化合物を含んでよい。化合物Aにおけるホスホノ基、カルボキシ基及びカルボン酸塩基のそれぞれは、主鎖(最も長い炭素鎖)に結合してよく、側鎖に結合してよい。化合物Aは、ホスホノ基、カルボキシ基及びカルボン酸塩基以外の官能基(水酸基、エステル基等)を有してよい。
化合物Aは、タングステン材料の優れた研磨速度を得やすい観点、及び、金属イオンが混入した場合において過酸化水素の分解を抑制しやすい観点から、下記の少なくとも一つを満たすことが好ましい。
・化合物Aは、ホスホノ基と、カルボキシ基とを有することが好ましい。
・化合物Aは、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を有する脂肪族化合物を含むことが好ましい。
・化合物Aにおけるホスホノ基の数は、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、2以下が特に好ましい。
・化合物Aにおけるカルボキシ基及びカルボン酸塩基の総数は、2以上が好ましく、3以上がより好ましい。
・化合物Aにおけるカルボキシ基及びカルボン酸塩基の総数は、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
・化合物Aは、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも一種と、が結合した炭素原子を有することが好ましい。
・化合物Aの炭素数(カルボキシ基及びカルボン酸塩基の炭素原子を含む)は、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、6以上が特に好ましく、7以上が極めて好ましい。
・化合物Aの炭素数(カルボキシ基及びカルボン酸塩基の炭素原子を含む)は、10以下が好ましく、9以下がより好ましく、8以下が更に好ましく、7以下が特に好ましい。
・化合物Aがアルキレン基を有する場合、アルキレン基の炭素鎖(カルボキシ基及びカルボン酸塩基の炭素原子を除く)は、1以上であり、2以上が好ましく、3以上がより好ましく、4以上が更に好ましい。
・化合物Aがアルキレン基を有する場合、アルキレン基の炭素鎖(カルボキシ基及びカルボン酸塩基の炭素原子を除く)は、6以下が好ましく、5以下がより好ましく、4以下が更に好ましい。
化合物Aとしては、水溶性化合物を用いることができる。化合物Aとしては、3−ホスホノ安息香酸、4−ホスホノ安息香酸、4−ホスホノブチル酸、2−(ホスホノオキシ)安息香酸、4−ホスホノプロピオン酸、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸、これらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩)などが挙げられる。化合物Aは、タングステン材料の優れた研磨速度を得やすい観点、金属イオンが混入した場合において過酸化水素の分解を抑制しやすい観点、及び、容易に入手できる観点から、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸及びその塩からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
化合物Aの含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.002〜10質量%、更に好ましくは0.005〜5質量%、特に好ましくは0.01〜2質量%、極めて好ましくは0.015〜1質量%、非常に好ましくは0.02〜0.5質量%、より一層好ましくは0.025〜0.3質量%、更に好ましくは0.03〜0.1質量%、特に好ましくは0.03〜0.08質量%、極めて好ましくは0.03〜0.05質量%である。化合物Aの含有量が0.001質量%以上であることにより、金属イオンが混入した際の過酸化水素の分解を抑制しやすい。化合物Aの含有量が10質量%以下であることにより、砥粒の沈降等を防ぎやすく、研磨液の優れた安定性を得やすい。
(酸化金属溶解剤)
本実施形態に係る研磨液は、酸化剤により酸化されたタングステン材料の溶解を促進し、タングステン材料の研磨速度を向上させやすい観点から、酸化金属溶解剤(酸化剤に該当する化合物を除く)を含有してもよい。酸化金属溶解剤としては、酸化されたタングステン材料を水に溶解させることができるものであれば、特に制限はないが、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、2−メチル酪酸、n−ヘキサン酸、3,3−ジメチル酪酸、2−エチル酪酸、4−メチルペンタン酸、n−ヘプタン酸、2−メチルヘキサン酸、n−オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、グリコール酸、サリチル酸、グリセリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、マレイン酸、フタル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸(但し、化合物A、及び、第一解離定数が2.0〜4.0であるアミノ酸を除く);前記有機酸の有機酸エステル;前記有機酸のアンモニウム塩;塩酸、硫酸等の無機酸;前記無機酸のアンモニウム塩(過硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、クロム酸等)などが挙げられる。酸化金属溶解剤は、タングステン材料の優れた研磨速度を得やすい観点、及び、実用的な研磨速度を維持しつつ、エッチングを効果的に抑制しやすい観点から、有機酸を含むことが好ましく、ギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、及び、アジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことがより好ましい。酸化金属溶解剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
酸化金属溶解剤の含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.002〜10質量%、更に好ましくは0.005〜5質量%、特に好ましく0.01〜1質量%、極めて好ましく0.05〜0.5質量%、非常に好ましく0.1〜0.3質量%、より一層好ましくは0.1〜0.2質量%である。酸化金属溶解剤の含有量が0.001質量%以上であることにより、配線金属(例えばタングステン材料)及びバリア材料(例えばバリア金属)の優れた研磨速度が得られやすい。酸化金属溶解剤の含有量が20質量%以下であることにより、タングステン材料のエッチングを抑制して被研磨面の荒れを低減しやすい。
(金属防食剤)
本実施形態に係る研磨液は、金属防食剤(金属の防食剤)を含有してもよい。金属防食剤は、タングステン材料と、タングステン材料以外の金属(例えば銅)とを同時に研磨する際に当該金属の表面を保護するために用いることができる。金属防食剤として、2−メルカプトベンゾチアゾ−ル;1,2,3−トリアゾ−ル、1,2,4−トリアゾ−ル、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾ−ル、ベンゾトリアゾ−ル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル、1−ヒドロキシプロピルベンゾトリアゾ−ル、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾ−ル、4−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾ−ル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾ−ルメチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾ−ルブチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾ−ルオクチルエステル、5−ヘキシルベンゾトリアゾ−ル、[1,2,3−ベンゾトリアゾリル−1−メチル][1,2,4−トリアゾリル−1−メチル][2−エチルヘキシル]アミン、トリルトリアゾ−ル、ナフトトリアゾ−ル、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸等のトリアゾール系防食剤(トリアゾール骨格を有する化合物);ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン、1,3,4,6,7,8−ヘキサハイドロ−2H−ピリミド[1,2−a]ピリミジン、1,3−ジフェニル−ピリミジン−2,4,6−トリオン、1,4,5,6−テトラハイドロピリミジン、2,4,5,6−テトラアミノピリミジンサルフェイト、2,4,5−トリハイドロキシピリミジン、2,4,6−トリアミノピリミジン、2,4,6−トリクロロピリミジン、2,4,6−トリメトキシピリミジン、2,4,6−トリフェニルピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ヒドロキシルピリミジン、2,4−ジアミノピリミジン、2−アセトアミドピリミジン、2−アミノピリミジン、2−メチル−5,7−ジフェニル−(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)ピリミジン、2−メチルサルファニル−5,7−ジフェニル−(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)ピリミジン、2−メチルサルファニル−5,7−ジフェニル−4,7−ジヒドロ−(1,2,4)トリアゾロ(1,5−a)ピリミジン、4−アミノピラゾロ[3,4−d]ピリミジン等のピリミジン系防食剤(ピリミジン骨格を有する化合物);ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、ポリメタクリル酸、メタクリル酸の共重合体等の重合体などが挙げられる。配線金属が銅を含む場合、金属防食剤は、防食作用に優れる観点から、ポリアクリル酸、アクリル酸の共重合体、ポリメタクリル酸、メタクリル酸の共重合体、及び、トリアゾール系防食剤からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。金属防食剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
金属防食剤の含有量は、研磨液の全質量を基準として、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.005〜5質量%、更に好ましくは0.01〜2質量%である。金属防食剤の含有量が0.001質量%以上であることにより、配線金属のエッチングを抑制し被研磨面の荒れを低減しやすい。金属防食剤の含有量が10質量%以下であることにより、配線金属及びバリア材料(例えばバリア金属)の研磨速度が良好になる傾向がある。
(水)
本実施形態に係る研磨液は、水を含有する。研磨液における水の含有量は、他の含有成分の含有量を除いた研磨液の残部でよい。
(研磨液のpH)
本実施形態に係る研磨液のpHは、下記の範囲が好ましい。研磨液のpHは、タングステン材料のエッチング速度を抑制しやすい観点から、4.0以下が好ましく、3.7以下がより好ましく、3.5以下が更に好ましく、3.3以下が特に好ましく、3.0以下が極めて好ましく、2.8以下が非常に好ましく、2.7以下がより一層好ましい。研磨液のpHは、研磨装置の腐食を抑制しやすい観点から、2.0以上が好ましく、2.1以上がより好ましく、2.2以上が更に好ましく、2.5以上が特に好ましく、2.6以上が極めて好ましく、2.7以上が非常に好ましい。これらの観点から、pHは、2.0〜4.0であることが好ましい。研磨液のpHは、液温25℃におけるpHと定義する。
本実施形態に係る研磨液のpHは、pHメータ(例えば、株式会社堀場製作所製の商品名:Model(F−51))で測定できる。例えば、フタル酸塩pH標準液(pH:4.01)、中性リン酸塩pH標準液(pH:6.86)及びホウ酸塩pH標準液(pH:9.18)を校正液として用いてpHメータを3点校正した後、pHメータの電極を研磨液に入れて、2分以上経過して安定した後の値を測定する。このとき、校正液及び研磨液の液温は25℃とする。
(pH緩衝剤)
本実施形態に係る研磨液は、研磨液のpHを調整し安定させるために、必要に応じてpH緩衝剤を含有してもよい。pH緩衝剤としては、研磨液のpHを調整し安定化可能であれば特に制限はない。本実施形態に係る研磨液は、好ましいpH範囲2.0〜4.0に調整しやすい観点、水と任意に混合できる観点、及び、研磨液の特性に悪影響を与えにくい観点から、第一解離定数が2.0〜4.0であるアミノ酸を含有することが好ましい。第一解離定数が2.0〜4.0であるアミノ酸としては、グリシン、アスパラギン、アラニン、グルタミン酸、グルタミン、バリン、グルタミン、ロイシン、イソロイシン、リシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、メチオニン、トリプトファン、β−アラニン等が挙げられ、入手の容易さの観点から、グリシンが好ましい。
<研磨方法>
本実施形態に係る研磨方法は、本実施形態に係る研磨液を用いて、タングステン材料を含む被研磨面を研磨する研磨工程を備える。前記研磨液は、研磨液用貯蔵液を水で希釈することにより得られる研磨液であってもよい。被研磨面は、少なくともタングステン材料を含有する層を有していてもよい。タングステン材料としては、例えば、タングステン及びタングステン化合物が挙げられる。タングステン化合物としては、タングステン合金等が挙げられる。
研磨工程では、例えば、被研磨体(例えば基板)の被研磨面を定盤(研磨定盤)の研磨布に押しあて、被研磨体における被研磨面とは反対側の面(被研磨体の裏面)から被研磨体に所定の圧力を加えた状態で、本実施形態に係る研磨液を被研磨面と研磨布との間に供給して、被研磨体を定盤に対して相対的に動かすことで被研磨面を研磨することができる。研磨工程では、タングステン材料を含む被研磨材料を研磨することができる。被研磨材料は、膜状(被研磨膜)であってもよく、タングステン材料を含む膜であってもよい。成膜方法としては、公知のスパッタ法、メッキ法等が挙げられる。
研磨工程は、本実施形態に係る研磨液を用いて、タングステン材料と、バリア材料(例えばバリア金属)及び絶縁材料からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を含む被研磨面を研磨する工程であってもよい。研磨工程は、例えば、少なくとも、タングステン材料を含む層と、バリア層及び絶縁層からなる群より選ばれる少なくとも一種と、を有する被研磨体(例えば基板)を研磨する工程であってもよい。
バリア材料としては、タンタル、タンタル合金、タンタル化合物(酸化タンタル、窒化タンタル等)、チタン、チタン合金、チタン化合物(酸化チタン、窒化チタン等)などが挙げられる。バリア材料としてタングステン材料を用いてもよい。絶縁材料としては、酸化珪素、窒化珪素等が挙げられる。
研磨工程では、図1に示す被研磨体(基板)10を研磨することができる。例えば、研磨工程は、バリア材料2が露出するまでタングステン材料3を研磨する第1研磨工程(粗研磨工程)と、絶縁材料1が露出するまでバリア材料2及びタングステン材料3を研磨する第2研磨工程(中研磨工程)と、絶縁材料1、バリア材料2及びタングステン材料3を研磨する第3研磨工程(後研磨工程)と、をこの順に有していてもよい。
上述の第2研磨工程及び第3研磨工程においてタングステン材料の研磨速度は、粗研磨で要求されるほどの研磨速度(>100nm/min)は不要であるが、研磨時間を短くできる観点から、40nm/min以上が好ましい。
研磨装置としては、例えば、研磨布により研磨する場合、研磨される被研磨体を保持できるホルダーと、回転数が変更可能なモータ等と接続され且つ研磨布を貼り付け可能な定盤と、を有する一般的な研磨装置を使用できる。研磨布としては、一般的な不織布、発泡ポリウレタン、多孔質フッ素樹脂等が使用でき、特に制限がない。
研磨条件には制限はないが、定盤の回転速度は、被研磨体が飛び出さないように200rpm以下の低回転が好ましい。被研磨面を有する被研磨体(例えば、半導体基板等の基板)の研磨布への押し付け圧力は、1〜100kPaであることが好ましく、研磨速度の被研磨面内均一性及びパターンの平坦性を満足する観点から、5〜50kPaであることがより好ましい。研磨している間、研磨布には研磨液をポンプ等で連続的に供給することができる。この供給量に制限はないが、研磨布の表面が常に研磨液で覆われていることが好ましい。
研磨布の表面状態を常に同一にして研磨(CMP等)を行うために、研磨の前に研磨布のコンディショニング工程を実施することが好ましい。例えば、ダイヤモンド粒子のついたドレッサを用いて、少なくとも水を含む液で研磨布のコンディショニングを行う。続いて、本実施形態に係る研磨方法を実施した後に、被研磨体の洗浄工程を更に実施することが好ましい。研磨終了後の被研磨体を流水中でよく洗浄後、スピンドライ等を用いて、被研磨体上に付着した水滴を払い落としてから乾燥させることが好ましい。また、公知の洗浄方法(例えば、市販の洗浄液を被研磨体の被研磨面に流しつつ、ポリウレタンでできたブラシを回転させながら当該ブラシを被研磨体に一定の圧力で押し付けて被研磨体上の付着物を除去する方法)を実施した後に乾燥させることがより好ましい。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術思想を逸脱しない限り、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
<CMP用研磨液の作製>
(実施例1)
脱イオン水700gにリンゴ酸1.5gを溶解させた後、グリシン0.017gを溶解させ、さらに、50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液0.04gを加えて混合液を得た。この混合液にコロイダルシリカ(二酸化珪素の含有量が20質量%の水分散液、pH:8.1、比重:1.1、粘度:3.5mPa・s、平均二次粒径:60nm)70gを添加した後、30質量%過酸化水素水33gを添加した。さらに、残分の脱イオン水を追加して全量1000gの研磨液を作製した。
(実施例2)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液の使用量を0.2gへ変更したこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(実施例3)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液の使用量を0.4gへ変更したこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(実施例4)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液の使用量を0.6gへ変更したこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(比較例1)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液を用いなかったこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(比較例2)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液0.04gに代えて、50質量%クエン酸水溶液0.8gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(比較例3)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液0.04gに代えて、80質量%リン酸水溶液0.4gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(比較例4)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液0.04gに代えて、グリシン0.4gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(比較例5)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液0.04gに代えて、50質量%1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸水溶液0.2gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(比較例6)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液0.04gに代えて、50質量%1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸水溶液0.4gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
(比較例7)
50質量%2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸水溶液0.04gに代えて、50質量%ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)水溶液0.2gを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、研磨液を作製した。
<pH測定>
研磨液のpHを下記測定条件により測定した。測定結果を表1に示す。
測定器:株式会社堀場製作所、商品名:Model(F−51)
校正液:フタル酸塩pH標準液(pH:4.01)、中性リン酸塩pH標準液(pH:6.86)及びホウ酸塩pH標準液(pH:9.18)
測定温度:25℃
測定手順:校正液を用いて3点校正した後、電極を測定対象に入れてから25℃で2分以上放置し、安定したときのpHを測定値とした。
<過酸化水素分解率の測定>
作製直後の研磨液を100g量り取り、研磨液の過酸化水素濃度を後述の方法で測定したところ、過酸化水素濃度は1.0質量%であった。
作製直後の研磨液を別途100g量り取り、10質量%の硝酸鉄九水和物水溶液を0.02g(Feイオン2.8ppmに相当)添加することにより試験液Aを作製した。試験液Aの作製直後に過酸化水素濃度(初期過酸化水素濃度)を後述の方法で測定した。その後、試験液Aを65℃のウォーターバスに1時間浸漬した後、過酸化水素濃度(分解後過酸化水素濃度)を後述の方法で測定した。過酸化水素分解率は下記式より算出した。測定結果を表1に示す。なお、硝酸鉄九水和物水溶液を加えない条件で上記試験を行ったところ、比較例1の研磨液の過酸化水素分解率は0.2%であり、過酸化水素分解率は小さかった。
過酸化水素分解率[%]=100×(初期過酸化水素濃度[ppm]−分解後過酸化水素濃度[ppm])/初期過酸化水素濃度[ppm]
(過酸化水素濃度の測定)
上述の研磨液及び試験液Aの過酸化水素濃度は、既法であるヨウ素滴定法により測定した。まず、研磨液又は試験液Aを1.0g量り取った後、0.05質量%の七モリブデン酸六アンモニウム・四水和物及び10質量%の硫酸を含む硫酸水溶液を5.0g加えた。さらに、0.1mol/Lヨウ化カリウム(KI)水溶液5.0g、及び、純水30gを添加して試験液Bを作製した。0.1mol/Lチオ硫酸ナトリウム(Na)水溶液を滴定液として用いると共に、滴定装置(平沼産業株式会社製の電位差滴定装置COM−2500)を用いて、上述の試験液Bの滴定を行った。過酸化水素濃度は以下の計算式により算出した。
過酸化水素濃度[ppm]=D×K×M×1000000/S
D:加えたNa水溶液(滴定液)の体積[L]
K:1molのNaに対する過酸化水素の質量当量=17[g/mol]
M:Na水溶液(滴定液)の濃度[mol/L]
<研磨速度の測定>
(評価用試験ウエハー)
膜厚600nmのタングステン膜をCVD法で直径30cmのシリコンウエハ上に形成したタングステンウエハーを用いた。
(研磨方法)
CMP研磨装置(株式会社AMAT製、ReflexionLK)を用い、定盤に各研磨液(比較例2〜4の研磨液を除く)を滴下しながら、下記条件にてタングステン膜の研磨を行い、タングステン研磨速度を測定した。
研磨布:IC−1010
研磨荷重:3psi(20.6kPa)
回転速度:93rpm(ヘッド)、87rpm(定盤)
研磨液滴下速度:300mL/min
研磨時間:1min
(タングステン研磨速度の算出)
研磨前後のタングステン膜の膜厚をシート抵抗測定器(株式会社日立国際電気製、VR−120/08S)により測定し、膜厚差から研磨速度を算出した。測定結果を表1に示す。
Figure 2021145090
<評価結果>
表1から、化合物Aを用いていない比較例1において過酸化水素分解率は2.1%であり、良好ではなかった。また、タングステン研磨速度は42.0nm/minであった。
化合物Aを用いた実施例1〜4では、過酸化水素分解率が1.2%以下であり、充分な過酸化水素分解抑制効果を示した。化合物Aの使用量が増加すると、過酸化水素分解率が低下して、過酸化水素分解抑制効果が向上することが分かる。また、実施例1〜4のタングステン研磨速度は、比較例1と比較して低下しておらず、40nm/min以上であり良好であった。これにより、化合物Aがタングステン材料の研磨を阻害していないことが分かる。
カルボキシ基を有するもののホスホノ基を有さないクエン酸を用いた比較例2では、過酸化水素分解率が3.8%であり、過酸化水素分解抑制効果は確認されなかった。ホスホノ基を有するもののカルボキシ基及びカルボン酸塩基を有さないリン酸を用いた比較例3では、過酸化水素分解率が5.7%であり、過酸化水素分解抑制効果は確認されなかった。カルボキシ基を有し、金属と相互作用することで知られるグリシンを用いた比較例4では、過酸化水素分解率が1.9%であり、過酸化水素分解抑制効果は確認されなかった。比較例2〜4の結果から、ホスホノ基を有するもののカルボキシ基及びカルボン酸塩基を有さない化合物、並びに、カルボキシ基又はカルボン酸塩基を有するもののホスホノ基を有さない化合物では、過酸化水素分解抑制効果が得られないことが分かる。
金属キレート効果を有するリン酸化合物として、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を用いた比較例5、6では、過酸化水素分解率がそれぞれ0.7%、0.2%であり、過酸化水素分解抑制効果を確認できたが、タングステン研磨速度が38.6nm/min、34.4nm/minであり、優れたタングステン研磨速度が得られなかった。タングステン研磨速度が低下する原因は明確ではないが、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸がタングステン材料の表面に吸着し保護することで研磨速度が低下すると考えられる。
金属キレート効果を有するリン酸化合物であるニトリロトリス(メチレンホスホン酸)を用いた比較例7では、過酸化水素分解率が1.3%であり、充分な過酸化水素分解抑制効果を示さず、同濃度の2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸を用いた実施例2に比べて過酸化水素分解抑制効果は低かった。
1…絶縁材料、2…バリア材料、3…タングステン材料、10…被研磨体。

Claims (11)

  1. 砥粒と、過酸化水素と、化合物Aと、水と、を含有し、
    前記化合物Aが、ホスホノ基と、カルボキシ基及びカルボン酸塩基からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を有する化合物である、研磨液。
  2. 前記化合物Aが、ホスホノ基とカルボキシ基とを有する化合物である、請求項1に記載の研磨液。
  3. 前記化合物Aが2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸を含む、請求項1又は2に記載の研磨液。
  4. 前記化合物Aの含有量が研磨液の全質量を基準として0.001〜10質量%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の研磨液。
  5. 前記砥粒が、シリカ、アルミナ、セリア、チタニア、ジルコニア、ゲルマニア、及び、これらの変性物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の研磨液。
  6. 酸化金属溶解剤を更に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の研磨液。
  7. 前記酸化金属溶解剤が有機酸(但し、前記化合物A、及び、第一解離定数が2.0〜4.0であるアミノ酸を除く)を含む、請求項6に記載の研磨液。
  8. 前記酸化金属溶解剤が、ギ酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、及び、アジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含む、請求項7に記載の研磨液。
  9. pHが2.0〜4.0である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の研磨液。
  10. 第一解離定数が2.0〜4.0であるアミノ酸を更に含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の研磨液。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の研磨液を用いて、タングステン材料を含む被研磨面を研磨する、研磨方法。
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