JP2021137460A - カテーテル - Google Patents

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英資 古市
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靖夫 黒崎
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Abstract

【課題】バルーンの挿入時には薬剤層を保護しつつ目的部位では確実に薬剤を放出できるカテーテル及びその製造方法を提供する。【解決手段】長尺なシャフト部11と、シャフト部11の先端側に配置され径方向に拡張可能なバルーン12と、を有し、バルーン12は、下限臨界溶液温度が体温より低い温度応答性高分子を含むベース層30を表面に有し、ベース層30は、薬剤を含む疎水性の薬剤層31をバルーン12に面する表面と反対側の表面に有するカテーテル10である。【選択図】図3

Description

本発明は、生体管腔内に挿入されるカテーテルに関し、特に、生体管腔内で拡張可能なバルーンを有するカテーテル及びその製造方法に関する。
生体管腔内に生じた病変部(狭窄部)改善のため、先端部にバルーンを有するカテーテルが広く用いられている。カテーテルは、長尺なシャフト部と、このシャフト部の先端側に設けられて径方向に拡張可能なバルーンとを備えている。カテーテルは、収縮されているバルーンを、細い生体管腔を経由して体内の目的場所まで到達させた後に拡張させることで、病変部を押し広げることができる。
一方、病変部をバルーンにより強制的に押し広げると、平滑筋細胞が過剰に増殖して病変部に新たな狭窄(再狭窄)を発症する場合がある。このため、バルーンの外表面に狭窄を抑制するための薬剤をコーティングした薬剤溶出性バルーンが用いられている。薬剤溶出性バルーンは、拡張することで外表面にコーティングされている薬剤を病変部へ瞬時に放出し、薬剤を生体組織へ移行させることができ、これにより、再狭窄を抑制することができる。バルーンの外表面に設けられる薬剤は、再狭窄の防止以外にも様々な用途のものが用いられ得る。
薬剤溶出性バルーンは、目的部位まで送達される際には薬剤層が剥離等しないことが求められる。また、薬剤溶出性バルーンは、目的部位では薬剤が生体組織に確実に移行することが求められる。例えば特許文献1には、体温と同等の温度で相転移するゲルに薬剤を包埋した薬剤溶出性バルーンを有するカテーテルが開示されている。
特開2003−126241号公報
特許文献1のカテーテルは、体温と同等の温度で相転移するゲルに薬剤を包埋することで、バルーンが目的部位に到達するまではゲルの表面が潤滑で通過性が良好であり、バルーンが目的部位に到達したらゲルの潤滑性が低下してバルーン拡張時のスリップを防止できる。しかし、特許文献1のカテーテルは、バルーン挿入時における薬剤層の保護が十分とは言えない。また、特許文献1のカテーテルは、薬剤がゲルに含まれているため、バルーン拡張時の薬剤の生体組織に対する移行性も十分とは言えない。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、バルーンの挿入時には薬剤層を保護しつつ目的部位では確実に薬剤を放出できるカテーテル及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係るカテーテルは、長尺なシャフト部と、
前記シャフト部の先端側に配置され径方向に拡張可能なバルーンと、を有し、
前記バルーンは、下限臨界溶液温度が体温より低い温度応答性高分子を含むベース層を表面に有し、
前記ベース層は、薬剤を含む疎水性の薬剤層を前記バルーンに面する表面と反対側の表面に有する。
上記目的を達成する本発明に係るカテーテルの製造方法は、長尺なシャフト部の先端部にバルーンを有するカテーテルの製造方法であって、
前記バルーンの表面に下限臨界溶液温度が体温より低い温度応答性高分子を含むベース層を形成するステップと、
前記ベース層の前記バルーンに面する表面と反対側の表面に薬剤を含む疎水性の薬剤層を形成するステップと、
を有する。
上記のように構成したカテーテルは、生体内でバルーンを目的部位に到達させるまでは、体温によりベース層が疎水性を示し、疎水性の薬剤層と結合した状態となることにより、薬剤層の脱落等を防止できる。また、本発明のカテーテルは、目的部位では、バルーンを拡張させる拡張用流体によってバルーンの温度が下限臨界溶液温度より低くなることで、ベース層が親水性を示し、薬剤層を離脱させる。これによって、本発明のカテーテルは、バルーンの挿入時には薬剤層を保護しつつ、目的部位では確実に薬剤を放出できる。
また、前記ベース層は、前記温度応答性高分子としてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を有するようにしてもよい。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の下限臨界溶液温度は32℃であるので、生体内において確実にベース層が疎水性を示すようにすることができる。
また、前記ベース層が含む温度応答性高分子の下限臨界溶液温度は、0℃〜35℃であるようにしてもよい。これにより、ベース層は、生体内において確実に機能を果たすことができる。
また、前記バルーンは、内外を貫通する流出部を有するようにしてもよい。これにより、流出部は、ベース層に対してバルーンの内側から流体を供給し、ベース層の親水化効率を向上させることができる。
上記のように構成したカテーテルの製造方法は、バルーンの挿入時には薬剤層を保護しつつ、目的部位では確実に薬剤を放出できるカテーテルを製造できる。
また、前記ベース層を形成したら該ベース層を乾燥させてから前記薬剤層を形成するようにしてもよい。これにより、本発明の製造方法は、ベース層が疎水性の状態で薬剤層を形成できる。
また、前記薬剤層を形成したら該薬剤層を乾燥させるようにしてもよい。これにより、本発明の製造方法は、薬剤層の形成後にベース層が疎水性の状態を維持し、両者が疎水性相互作用により結合した状態を維持できるようにすることができる。
カテーテルの全体構成を表した正面図である。 収縮状態にあるバルーン付近の拡大断面図である。 収縮状態から拡張し薬剤を放出したバルーン付近の拡大断面図である。 拡張状態から収縮し残存した薬剤を吸着したバルーン付近の拡大断面図である。 バルーンの折り畳み過程を表した断面図である。 変形例に係るバルーン付近の拡大正面図である。 図6のバルーンが拡張した状態のバルーン付近の拡大正面図である。 実施例の条件1における薬剤層外観写真である。 実施例の条件2における薬剤層外観写真である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書では、カテーテル10の生体管腔に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
まず、カテーテル10の構成について説明する。カテーテル10は、図1に示すように、長尺で中空管状のシャフト部11と、シャフト部11の先端部に設けられるバルーン12と、シャフト部11の基端部に固着されたハブ13とを有している。
カテーテル10は、長尺なシャフト部11を生体器官内に挿通させ、その先端側に設けられたバルーン12を病変部で拡張させることで、病変部を押し広げて治療を行うことができる。シャフト部11には、先端側寄りにガイドワイヤ14が導入される開口部11aを設けてある。すなわち、このカテーテル10は、いわゆるラピッドエクスチェンジ型(Rapid exchange type)である。
次に、シャフト部11の先端部及びバルーン12の構造について説明する。図2に示すように、シャフト部11は、中空状の外管20と、中空状の内部支持体である内管21とを有している。内管21は、外管20の中空内部に納められており、シャフト部11は二重管構造となっている。内管21の中空内部には、ガイドワイヤ14を挿通させるガイドワイヤルーメン23が形成される。また、外管20の中空内部であって、内管21の外側には、バルーン12の拡張用流体を流通させる拡張ルーメン22が形成される。
内管21は、外管20の先端端よりもさらに先端側まで突出している。バルーン12は、基端側端部が外管20の先端部に固定され、先端側端部が内管21の先端部に固定されている。これにより、バルーン12の内部が拡張ルーメン22と連通している。拡張ルーメン22を介してバルーン12に拡張用流体を注入することで、バルーン12を拡張させることができる。拡張用流体は気体でも液体でもよく、例えばヘリウムガス、COガス、Oガス等の気体や、生理食塩水、造影剤、冷却用液(造影剤とエタノールの混合液や液体亜酸化窒素等)等の液体を用いることができる。
外管20および内管21は、ある程度の可撓性を有する材料により形成されるのが好ましい。そのような材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー、あるいはこれら二種以上の混合物等のポリオレフィンや、軟質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリエステル、ポリエステルエラストマー、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、シリコーンゴム、ラテックスゴム等が挙げられる。
バルーン12は、薄膜状のバルーン膜によって形成されており、外管20や内管21と同様に、可撓性を有する材料によって形成される。また、狭窄部を確実に押し広げる程度の強度も必要とされる。バルーン12の材質には、外管20や内管21について上で挙げたものを用いることができ、また、それ以外であってもよい。
バルーン12の表面には、ベース層30が形成され、ベース層30のバルーン12に面する側の表面と反対側の表面には、薬剤層31が形成される。ベース層30は、下限臨界溶液温度(Lower Critical Solution Temperature:LCST)が体温より低い温度応答性高分子を含んでいる。温度応答性高分子とは、低温では親水性を示し、下限臨海溶液温度以上に温度が上昇すると疎水性を示す高分子である。温度応答性高分子として、本実施形態ではPNIPAAm(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド))が用いられる。PNIPAAmの下限臨界溶液温度は、体温より低い32℃である。また、その他の温度応答性高分子としては、ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)やPIPAAm(ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド))を用いることもできる。ポリ(2−イソプロピル−2−オキサゾリン)の下限臨界溶液温度は38℃、PIPAAmの下限臨界溶液温度は37℃である。生体内でベース層30が疎水性を示すためには、下限臨界溶液温度が体温よりある程度低いPNIPAAmを用いることが好ましい。温度応答性高分子はこれら以外でもよいが、下限臨界溶液温度は0℃〜35℃、好ましくは20℃〜35℃の範囲であることが好ましい。
薬剤層31は、薬剤を含み疎水性を有している。薬剤層31は、薬剤を含有したナノ/マイクロ粒子または薬剤を含有するコート層によって形成される。薬剤としては、例えば、免疫抑制剤、例えば、シクロスポリンを含むシクロスポリン類、ラパマイシン等の免疫活性剤、パクリタキセル等の抗がん剤、抗ウイルス剤または抗菌剤、抗新生組織剤、鎮痛剤及び抗炎症剤、抗生物質、抗てんかん剤、不安緩解剤、抗麻痺剤、拮抗剤、ニューロンブロック剤、抗コリン作動剤及びコリン作動剤、抗ムスカリン剤及びムスカリン剤、抗アドレナリン作用剤、抗不整脈剤、抗高血圧剤、ホルモン剤ならびに栄養剤などを使用できる。また、薬剤はそれ以外であってもよい。
次に、本実施形態に係るカテーテル10の使用方法及び作用を、血管内の狭窄部を治療する場合を例として説明する。
まず、術者は、セルジンガー法等の公知の方法により、皮膚から血管を穿刺し、イントロデューサ(図示しない)を留置する。次に、カテーテル10の保護シース(図示しない)を外し、プライミングを行った後、ガイドワイヤルーメン23内にガイドワイヤ14を挿入する。この状態で、ガイドワイヤ14及びカテーテル10をイントロデューサの内部より血管内へ挿入する。続いて、ガイドワイヤ14を先行させつつカテーテル10を進行させ、バルーン12を目的部位である狭窄部へ到達させる。なお、カテーテル10を狭窄部まで到達させるために、ガイディングカテーテルを用いてもよい。
バルーン12を生体内で目的部位まで挿入する際には、体温が温度応答性高分子の下限臨界溶液温度より高いため、ベース層30は疎水性を有する。前述のように薬剤層31も疎水性を有するため、疎水性相互作用により両者は強く結合している。このために、薬剤層31は、血流などの物理的影響を受けてもベース層30から剥がれにくい状態である。したがって、バルーン12を目的部位に到達させるまでの薬剤の損失を低減することができる。
バルーン12を狭窄部に配置したら、ハブ13より、インデフレーターまたはシリンジ等を用いて拡張用流体を所定量注入し、拡張ルーメン22を通じてバルーン12の内部に拡張用流体を送り込む。これにより、図3に示すように、折り畳まれたバルーン12が拡張し、狭窄部が、バルーン12によって押し広げられる。
拡張用流体は、室温または室温より低い温度を有する。拡張用流体の温度としては、例えば25℃に設定することができる。拡張用流体の温度はそれ以外であってもよいが、少なくともベース層30の温度応答性高分子が有する下限臨界溶液温度より低い温度に設定される。拡張用流体がバルーン12に注入されると、バルーン12の表面温度が低下する。バルーン12の温度が温度応答性高分子の下限臨界溶液温度より低くなると、ベース層30は親水性に変化する。ベース層30が親水性を有すると、周囲の水分と水和して膨潤し、薬剤層31との疎水性相互作用は消失する。これにより、薬剤層31はベース層30より生体組織との親和性が高くなり、薬剤層31がバルーン12から離脱する。薬剤層31がバルーン12から離脱することにより、薬剤の生体組織への移行が促進され、狭窄部に対し薬剤を効果的に移行させることができる。したがって、狭窄部の再狭窄が、効果的に抑制される。
この後、拡張ルーメン22を通じて拡張用流体を吸引して排出し、バルーン12を収縮させて折り畳まれた状態とする。これにより、バルーン12は体温によって温度が上昇する。バルーン12の温度が温度応答性高分子の下限臨界溶液温度より高くなると、ベース層30は疎水性を示すように変化する。これに伴い、薬剤層31とベース層30の疎水性相互作用が再び生じる。図4に示すように、生体組織に移行しなかった薬剤層31は、疎水性相互作用によってベース層30に吸着する。これにより、生体組織に移行しなかった薬剤層31が狭窄部周辺に残存すること、またカテーテル10の抜去時にバルーン12から薬剤層31が脱落することを抑制し、塞栓リスクを低減できる。
ベース層30を親水性から疎水性に変化させるために、拡張したバルーン12を狭窄部でしばらく維持した状態としてもよい。バルーン12を生体内に止めておくことで、体温により拡張用流体の温度が上昇する。このため、下限臨界溶液温度より低い温度であったバルーン12の温度が上昇し、ベース層30が疎水性に変化する。これによって、薬剤層31とベース層30の疎水性相互作用が再び生じ、生体組織に移行しなかった薬剤層31をベース層30に吸着させることができる。
この後、イントロデューサを介して血管よりガイドワイヤ14及びカテーテル10を抜去し、手技が終了する。
次に、本実施形態に係るカテーテル10の製造工程について説明する。ここでは、バルーン12に対してベース層30及び薬剤層31を形成し、折り畳む工程について説明する。まず、バルーン12の表面にベース層30を形成する。ベース層30は、バルーン12の表面にPNIPAAmをグラフト化し固着することで形成される。
PNIPAAmをグラフト化する方法としては、ラジカル重合の開始剤を用いた紫外線照射の手法が挙げられる。PNIPAAmをグラフト化する方法はこれ以外でもよく、例えば、ラジカル重合、共有結合、アニールなどの手法を用いることができる。
ベース層30をバルーン12の表面に形成したら、ベース層30を乾燥させる。この乾燥工程は、自然乾燥あるいは加熱、真空化等により行われる。これにより、ベース層30に含まれる水分を除去し、ベース層30が水和していない状態とする。その後、ベース層30の表面に薬剤層31を形成する。薬剤層31は、薬剤または薬剤とポリマーの混合物をベース層30の表面にコーティングすることにより形成される。コーティングの方法は、スプレーコート、ピペッティング、ディッピング、ロールコートなどの手法を用いることができる。コート液には、PNIPAAmが溶解しない溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒として、例えばヘキサンを用いることができる。溶媒は、ジクロロメタンやジエチルエーテル、アセトニトリルなどヘキサン以外であってもよい。
薬剤層31のコーティングは、温度応答性高分子の下限臨界溶液温度より高い温度環境中で行われる。これにより、ベース層30が疎水性の状態で薬剤層31がコーティングされ、疎水性相互作用により両者が強く結合する。薬剤層31をコーティングしたら、再度、乾燥工程が行われて、水分が除去される。
バルーン12の表面にベース層30及び薬剤層31を形成したら、バルーン12を折り畳む。図5(a)に示すように、ベース層30及び薬剤層31はバルーン12を拡張した状態で形成される。図5(b)に示すように、バルーン12には、プリーティング装置(図示しない)によって複数の羽根部15が形成される。さらに、図5(c)に示すように、フォールディング装置(図示しない)によって羽根部15が寝かされて、折り畳んだバルーン12が形成される。折り畳んだバルーン12は、羽根部15の片面と、羽根部15の先端部から隣接する羽根部15の根元部までの外周面が、外方に向かって露出する露出面16となる。本実施形態では、バルーン12の表面にベース層30及び薬剤層31を形成してからバルーン12を折り畳むので、バルーン12の外表面の全体にベース層30及び薬剤層31が形成される。
ベース層30及び薬剤層31の形成は、バルーン12の折り畳み後に行ってもよい。図5(a)に示すバルーン12の折り畳み前の状態で、ベース層30をバルーン12の表面に形成し、バルーン12を図5(c)に示すように折り畳んでから、ベース層30の表面に薬剤層31を形成してもよい。この場合、ベース層30はバルーン12の表面全体に形成され、薬剤層31はバルーン12の露出面16にのみ形成される。また、バルーン12を図5(c)に示すように折り畳んでから、バルーン12の表面にベース層30を形成し、その表面に薬剤層31を形成してもよい。この場合、ベース層30及び薬剤層31はバルーン12の露出面16にのみ形成される。
バルーン12の変形例について説明する。図6に示すように、バルーン12の表面に流出部12aを設けてもよい。流出部12aは、バルーン12の内外を貫通するスリットとして形成されている。流出部12aはバルーン12の長さ方向及び径方向にそれぞれ複数形成される。バルーン12が拡張すると、流出部12aは、図7に示すように幅方向に拡張子、バルーン12の内部から外部に向かって拡張用流体の一部を流出させる。これにより、ベース層30に対しバルーン12の内側から流体が供給されるため、ベース層30の親水化効率を向上させることができる。なお、流出部12aの数や形状は図6,7に示したものに限られず、必要に応じて任意に設定できる。
以下に、実施例、比較例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)
(1)温度応答性ポリマー(NIPAAm)のポリマー化とバルーン表面への固定
ベンゾフェノンを60mgとり、アセトン12mLに溶解した(i)。カテーテルのバルーン(Φ3.0mm×20mm)を(i)の液に浸漬し、引き上げ、風乾した(ii)。NIPAAmを3600mgとり、水100mLに溶解した後、(ii)のバルーンを浸した(iii)。(iii)の容器にUVを60分間照射した。バルーンを取り出し、水で洗浄し、乾燥した。
(2)バルーンへの薬剤コーティング
L−セリンエチルエステル塩酸塩(CAS No.26348−61−8)(56mg)およびパクリタキセル(CAS No.33069−62−4)(134.4mg)を量りとった。これに無水エタノール(1.2mL)、テトラヒドロフラン(1.6mL)、RO(Reverse Osmosis、逆浸透膜)処理水(以下、RO水とする)(0.4mL)をそれぞれ加えて溶解することでコーティング液を調製した。温度応答性ポリマーの疎水性状態を維持するためにバルーンを温水で拡張することでバルーン部を32℃以上に保ちながら、単位面積当たりの薬剤(パクリタキセル)量が3.2μg/mmになるよう、ピペッティングによりコーティングした。コーティング後、バルーン表面を乾燥することで薬剤溶出性バルーンを作製した。
(3)バルーン表面からの薬剤放出制御の評価
作製した薬剤溶出性バルーンを37℃の温水に浸し、スターラーで攪拌しながら30秒間保持した。攪拌を維持したまま、以下の各拡張液でバルーン部を拡張させた。
条件1 冷却用液(造影剤:水:エタノール=1:1:1で混合し、−20℃で保管したもの)
条件2 37℃の温水
拡張状態を60秒間保持した後、バルーンを温水から取り出した。バルーン表面を乾燥させた後、デジタルマイクロスコープ(KEYENCE社、VHX−2000)を用いてバルーン表面を観察し、条件1と条件2の違いによるバルーン表面の薬剤層の残存状態を比較した。
(4)評価結果
図8(a)、図8(b)には、それぞれ条件1の拡張液による浸漬/拡張操作前後の薬剤層外観写真を示した。図9(a)、図9(b)には、それぞれ条件2の拡張液による浸漬/拡張操作前後の薬剤層の外観写真を示した。条件1において、図8(a)と図8(b)の比較から、浸漬および拡張操作を行った後の外観は、バルーン表面の薬剤層がほとんど見られず、バルーン表面から薬剤層が剥離している様子が見られた。
一方、条件2においては、図9(a)と図9(b)の比較から、浸漬および拡張操作の前後で外観にほとんど変化は見られず、薬剤層がバルーン表面に保持されている様子が見られた。以上の観察結果より、冷却用液で拡張すると温度応答性ポリマーが親水性となることで、薬剤層はバルーン表面から剥離すること、一方で37℃の温水で拡張すると温度応答性ポリマーが疎水性となることで、薬剤層はバルーン表面に保持されることが確認された。
以上のように、本実施形態に係るカテーテル10は、長尺なシャフト部11と、シャフト部11の先端側に配置され径方向に拡張可能なバルーン12と、を有し、バルーン12は、下限臨界溶液温度が体温より低い温度応答性高分子を含むベース層30を表面に有し、ベース層30は、薬剤を含む疎水性の薬剤層31をバルーン12に面する表面と反対側の表面に有する。このように構成されたカテーテル10は、生体内でバルーン12を目的部位に到達させるまでは、体温によりベース層30が疎水性を示し、疎水性の薬剤層31と結合した状態となることにより、薬剤層31の脱落等を防止できる。また、本実施形態のカテーテル10は、目的部位では、バルーン12を拡張させる拡張用流体によってバルーン12の温度が下限臨界溶液温度より低くなることで、ベース層30が親水性を示し、薬剤層31を離脱させる。これによって、本実施形態のカテーテル10は、バルーン12の挿入時には薬剤層31を保護しつつ、目的部位では確実に薬剤を放出できる。
また、ベース層30は、温度応答性高分子としてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を有するようにしてもよい。ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)の下限臨界溶液温度は32℃であるので、生体内において確実にベース層30が疎水性を示すようにすることができる。
また、ベース層30が含む温度応答性高分子の下限臨界溶液温度は、0℃〜35℃であるようにしてもよい。これにより、ベース層30は、生体内において確実に機能を果たすことができる。
また、バルーン12は、内外を貫通する流出部12aを有するようにしてもよい。これにより、流出部12aは、ベース層30に対してバルーン12の内側から流体を供給し、ベース層30の親水化効率を向上させることができる。
また、本実施形態に係るカテーテル10の製造方法は、長尺なシャフト部11の先端部にバルーン12を有するカテーテル10の製造方法であって、バルーン12の表面に下限臨界溶液温度が体温より低い温度応答性高分子を含むベース層30を形成するステップと、ベース層30のバルーン12に面する表面と反対側の表面に薬剤を含む疎水性の薬剤層31を形成するステップと、を有する。このように構成されたカテーテル10の製造方法は、バルーン12の挿入時には薬剤層31を保護しつつ、目的部位では確実に薬剤を放出できるカテーテル10を製造できる。
また、ベース層30を形成したらベース層30を乾燥させてから薬剤層31を形成するようにしてもよい。これにより、本発明の製造方法は、ベース層30が疎水性の状態で薬剤層31を形成できる。
また、薬剤層31を形成したら薬剤層31を乾燥させるようにしてもよい。これにより、本発明の製造方法は、薬剤層31の形成後にベース層30が疎水性の状態を維持し、両者が疎水性相互作用により結合した状態を維持できるようにすることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、上述の実施形態に係るカテーテルは、ラピッドエクスチェンジ型であるが、オーバーザワイヤ型(Over−the−wire type)であってもよい。
10 カテーテル
11 シャフト部
11a 開口部
12 バルーン
12a 流出部
13 ハブ
14 ガイドワイヤ
15 羽根部
16 露出面
20 外管
21 内管
22 拡張ルーメン
23 ガイドワイヤルーメン
30 ベース層
31 薬剤層

Claims (7)

  1. 長尺なシャフト部と、
    前記シャフト部の先端側に配置され径方向に拡張可能なバルーンと、を有し、
    前記バルーンは、下限臨界溶液温度が体温より低い温度応答性高分子を含むベース層を表面に有し、
    前記ベース層は、薬剤を含む疎水性の薬剤層を前記バルーンに面する表面と反対側の表面に有するカテーテル。
  2. 前記ベース層は、前記温度応答性高分子としてポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)を有する請求項1に記載のカテーテル。
  3. 前記ベース層が含む温度応答性高分子の下限臨界溶液温度は、0℃〜35℃である請求項1または2に記載のカテーテル。
  4. 前記バルーンは、内外を貫通する流出部を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のカテーテル。
  5. 長尺なシャフト部の先端部にバルーンを有するカテーテルの製造方法であって、
    前記バルーンの表面に下限臨界溶液温度が体温より低い温度応答性高分子を含むベース層を形成するステップと、
    前記ベース層の前記バルーンに面する表面と反対側の表面に薬剤を含む疎水性の薬剤層を形成するステップと、
    を有するカテーテルの製造方法。
  6. 前記ベース層を形成したら該ベース層を乾燥させてから前記薬剤層を形成する請求項5に記載のカテーテルの製造方法。
  7. 前記薬剤層を形成したら該薬剤層を乾燥させる請求項5または6に記載のカテーテルの製造方法。
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