JP2021134491A - ガラスモジュール、ガラスユニット及びガラス窓 - Google Patents

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一幸 鈴木
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【課題】火災時においてガラス板の熱割れを効率的に防止できるガラスモジュール、ガラスユニット及びガラス窓を提供する。【解決手段】ガラスモジュール10は、遮炎部材20と面で対向し、遮炎部材20に組付可能であって、第1外板面5と、第1外板面5の裏側に設けられる第2外板面6とを有するガラス板1と、第1外板面5及び第2外板面6に隣接して配置される熱伝導部材11と、を備え、ガラス板1は、板面5,6に遮炎部材20によって被覆可能な遮炎領域を有し、熱伝導部材11は、ガラス板1よりも高い熱伝導率を有し、遮炎領域の少なくとも一部に配置可能に構成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、ガラス板を備えるガラスモジュール、ガラスユニット及びガラス窓に関する。
特許文献1には、ガラス板の周縁部が枠体等の遮炎部材によって被覆された複層ガラスユニットが開示されている。複層ガラスユニットのガラス板は、耐熱ガラスとLow−Eガラスとで構成されており、耐熱ガラス側で火災が発生した場合、耐熱ガラスの中央部が直接的に燃焼熱を受けることになる。そのため、耐熱ガラスは、中央部が高温になると共にエッジ面が最も低温となることから、中央部とエッジ面との温度差に起因して熱割れし易くなる。
そこで、特許文献1に示されるガラスユニットは、耐熱ガラスの中央部とエッジ面との間の温度差を小さくするため、耐熱ガラスのエッジ面と面接触した状態で端部が枠体と接触する熱伝導部材を備えている。このように構成すると、火災により高温となった枠体から熱伝導部材を介して耐熱ガラスのエッジ面に熱が伝わる。これにより、耐熱ガラスのエッジ面の温度が上昇するため、結果として耐熱ガラスの中央部とエッジ面との温度差を小さくすることが可能となり、熱割れを防止することができる。
特開2011−220029号公報
特許文献1の複層ガラスユニットでは、熱伝導部材が耐熱ガラスのエッジ面と枠体とに亘って設けられている。つまり、エッジ面の温度上昇には、枠体の温度上昇が不可避であり、枠体が直接的に火炎に晒されない場合にはエッジ面の温度上昇が緩慢となり、依然として熱割れし易くなる。また、熱伝導部材の端部を枠体と接触させる構成であるため、熱伝導部材は耐熱ガラスと枠体との間の板面に垂直な方向の寸法精度が悪い場合、熱伝導部材の端部と枠体との接触が不十分となり、エッジ面に熱伝導し難い。したがって、熱伝導部材は、耐熱ガラスと枠体との間の板面に垂直な方向の寸法精度を高める必要があった。さらに、枠体が熱伝導性の低い部材で構成されている場合には、熱伝導部材を介しても耐熱ガラスの端面は十分な温度上昇が見込めないため、この点においても改善の余地があった。
上記実情に鑑み、火災時においてガラス板の熱割れを効率的に防止できるガラスモジュール、ガラスユニット及びガラス窓が求められている。
本発明に係るガラスモジュールの特徴構成は、遮炎部材と面で対向し、前記遮炎部材に組付可能なガラスモジュールであって、第1外板面と、前記第1外板面の裏側に設けられる第2外板面とを有するガラス板と、前記第1外板面及び前記第2外板面に隣接して配置される熱伝導部材と、を備え、前記ガラス板は、板面に前記遮炎部材によって被覆可能な遮炎領域を有し、前記熱伝導部材は、前記ガラス板よりも高い熱伝導率を有し、前記遮炎領域の少なくとも一部に配置可能に構成されている点にある。
ガラス板の何れか一方が面する区画域において火災が発生した場合、遮炎部材によって被覆されていない非遮炎領域が直接的に火炎に晒され、遮炎領域は遮炎部材により直接的に火炎に晒されない。その結果、非遮炎領域が高温になると共に遮炎領域が低温になり、非遮炎領域の熱膨張を拘束する遮炎領域に熱応力が発生し、ガラス板の熱割れが発生するおそれがある。
そこで、本構成のガラスモジュールは、ガラス板の第1外板面及び第2外板面に隣接して配置される熱伝導部材を備え、熱伝導部材は、ガラス板よりも高い熱伝導率を有し、遮炎領域の少なくとも一部に配置可能に構成されている。このため、ガラス板において非遮炎領域から遮炎領域への熱伝導が迅速に行われる。これにより、区画域において火災が発生した場合、その燃焼熱は、区画域に露出したガラス板の非遮炎領域に伝わると共に、非遮炎領域から熱伝導部材を介してガラス板の遮炎領域に伝わる。その結果、遮炎領域の温度が上昇して非遮炎領域と遮炎領域との温度差が小さくなることから、ガラス板の熱割れ現象を生じ難くすることができる。また、熱伝導部材は、ガラス板の第1外板面及び第2外板面に隣接して配置されていればよいので、ガラス板の板面に垂直な方向での寸法精度は要求されない。したがって、ガラス板のスペックや熱伝導部材の熱伝導率を考慮して、ガラス板と遮炎部材との隙間以下の寸法範囲内で熱伝導部材の厚み等を容易に調整することができる。このように、本構成のガラスモジュールは、火災時においてガラス板の熱割れを効率的に防止できる。
他の特徴構成は、前記遮炎領域は、前記ガラス板の周縁部の板面に設けられ、前記ガラス板の端面から10mm以上30mm以下である点にある。
本構成によれば、遮炎領域がガラス板の周縁部の板面に設けられているので、ガラス板は熱伝導部材を介して中央部から周縁部に熱伝導することが可能になる。その結果、ガラス板において熱割れがより起こり難くなる。また、遮炎部材に対するガラス板のかかり代(差し込み量)は、「日本建築学 建築工事標準仕様書・同解説 JASS17 ガラス工事」(以下、JASS17と称する)において、10mm以上にすることが規定されている。一方、遮炎領域の上下方向の長さが30mm超であると、遮炎部材によりガラス板の周縁部が加熱を阻害され、ガラス板の中央部と周縁部との温度差が大きくなることに起因してガラス板の熱割れが発生し易くなる。そこで、本構成の遮炎領域は、ガラス板の端面から10mm以上30mm以下となるように構成されている。
他の特徴構成は、前記熱伝導部材は、前記ガラス板の端面の少なくとも一部に配置される点にある。
本構成によれば、熱伝導部材がガラス板の周縁部の板面に加えて端面の少なくとも一部にも配置されるので、直接的に火炎に晒されるガラス板の中央部の熱は、熱伝導部材によってガラス板の端面まで効率的に伝熱される。その結果、ガラス板の端面の温度が上昇し易くなるので、ガラス板の中央部と周縁部との温度差をより小さくすることが可能となる。よって、ガラス板において、中央部から遠く温度上昇が緩慢な板ガラスの周縁部における熱割れを、確実に防止することができる。
他の特徴構成は、熱伝導部材は、前記遮炎領域のみに配置される点にある。
本構成によれば、熱伝導部材が遮炎領域以外には配置されないので、熱伝導部材は外部から視認されない状態でガラス板に配置される。これにより、ガラス板の外観に熱伝導部材が影響を与えない状態でガラス板の熱割れを防止することができる。
他の特徴構成は、前記ガラス板は、前記遮炎領域に隣接し前記遮炎部材によって被覆されていない非遮炎領域をさらに備え、前記熱伝導部材は、前記非遮炎領域における、前記第1外板面及び前記第2外板面の少なくとも一方に配置可能に構成されている点にある。
本構成によれば、熱伝導部材が非遮炎領域にも配置されているので、ガラス板の非遮炎領域が受けた燃焼熱は熱伝導部材を介して遮炎領域に伝わり易くなる。これにより、ガラス板の非遮炎領域と遮炎領域との温度差を迅速に小さくすることができる。また、熱伝導部材は、非遮炎領域のうち遮炎領域に隣接する部位に配置されることで、非遮炎領域における熱伝導部材の範囲を小さくして、ガラス板の外観に与える熱伝導部材の影響を最小限に抑制することが可能である。
他の特徴構成は、前記熱伝導部材は、少なくとも一部が前記遮炎部材と接触可能に構成されている点にある。
本構成によれば、熱伝導部材は、遮炎部材が受ける燃焼熱をガラス板の遮炎領域に伝える。これにより、火災時において、ガラス板の非遮炎領域の熱に加えて遮炎部材の熱も熱伝導部材を介してガラス板の遮炎領域に伝わるので、ガラス板の非遮炎領域と遮炎領域との温度差をより迅速に小さくすることができる。
他の特徴構成は、前記熱伝導部材は、前記遮炎部材に接触しないよう構成されている点にある。
本構成によれば、熱伝導部材は遮炎部材に接触しないのでガラス板の板面に垂直な方向での寸法精度が要求されない。したがって、ガラス板のスペックや熱伝導部材の熱伝導率を考慮して、ガラス板と遮炎部材との隙間以下の寸法範囲内で熱伝導部材の厚み等を容易に調整することができる。
他の特徴構成は、前記熱伝導部材は、近赤外線の吸収率が前記ガラス板よりも大きい点にある。
火災時において遮炎部材が加熱された場合、遮炎部材から発生する輻射熱は、近赤外線によって伝播する。しかし、ガラス板は近赤外線を透過するため、遮炎部材の輻射熱によってガラス板の遮炎領域の温度上昇は生じ難い。そこで、本構成における熱伝導部材は、ガラス板より近赤外線の吸収率を大きくしている。これにより、ガラス板の遮炎領域は、熱伝導部材によって遮炎部材の輻射熱を受け取り易くなるので、ガラス板の非遮炎領域と遮炎領域との温度差をより迅速に小さくすることができる。
他の特徴構成は、前記熱伝導部材は、放射率が0.1以上である点にある。
本構成のごとく、熱伝導部材の放射率が0.1以上であると、遮炎部材からの輻射熱が熱伝導部材により反射される熱損失が抑制され、熱伝導部材を介して遮炎領域に輻射熱を効率的に伝えることができる。
他の特徴構成は、前記熱伝導部材は、金属箔と粘着層とを備え、前記粘着層は、粘着剤と熱伝導性微粒子とを有する点にある。
本構成によれば、熱伝導部材が粘着剤を有する粘着層を備えるので、ガラス板に熱伝導部材を容易に固定することができる。また、熱伝導部材は、金属箔を備え、粘着層に熱伝導微粒子を有するので、熱伝導部材によってガラス板の非遮炎領域の熱を遮炎領域に向けて確実に伝えることができる。
他の特徴構成は、前記金属箔の熱伝導率が50W/mK以上である点にある。
例えばソーダガラスで構成されるガラス板の熱伝導率は、概ね1W/mK未満である。これに対し、本構成のごとく、金属箔の熱伝導率が50W/mK以上であると、熱伝導部材はガラス板に比べて格段に伝熱スピードが向上する。これにより、熱伝導部材によってガラス板の非遮炎領域から遮炎領域へと燃焼熱を迅速に伝えることが可能となり、ガラス板の非遮炎領域と遮炎領域との温度差を小さくすることができる。
他の特徴構成は、前記熱伝導性微粒子は、熱伝導率が前記粘着剤より高い点にある。
熱伝導部材の粘着層は、粘着剤を有するため、金属箔に比べて熱伝導率が低くなりがちである。しかし、本構成のように、熱伝導性微粒子の熱伝導率を粘着剤よりも高くすることで、熱伝導部材において、粘着層の熱伝導率を効果的に高めることができる。
他の特徴構成は、前記粘着層は、前記熱伝導性微粒子の含有量が50重量%以上90重量%以下である点にある。
本構成のごとく、粘着層において熱伝導性微粒子の含有量が50重量%以上90重量%以下であると、熱伝導部材は、粘着層における熱伝導性と粘着性の両方を確保することができる。粘着層において熱伝導性微粒子が50重量%未満であると、粘着層は十分な熱伝導性を得ることができない。また、粘着層において熱伝導性微粒子が90重量%超であると、粘着剤の割合が低くなり過ぎるため、粘着力が低下してガラス板から熱伝導部材が剥がれ易くなる。
他の特徴構成は、前記粘着層は、厚みが10μm以上100μm以下である点にある。
本構成のごとく、粘着層において厚みが10μm以上100μm以下であると、熱伝導部材は、粘着層における熱伝導性と粘着性の両方を確保することができる。熱伝導部材において、粘着層の厚みが10μmより小さいと、火災時に金属箔とガラス板の熱膨張差による剥離が生じる可能性がある。一方、粘着層の厚みが100μm超になると、粘着剤の影響を大きく受けて粘着層を含む熱伝導部材の熱伝導性が低くなる可能性がある。
他の特徴構成は、前記熱伝導性微粒子は、粒径が10μm以上100μm以下である点にある。
本構成のごとく、熱伝導性微粒子において粒径が10μm以上100μm以下であると、熱伝導部材は、粘着層における熱伝導性を確実に確保することができる。熱伝導性微粒子の粒径が10μm未満であると、熱伝導性微粒子が粘着層において不均一に配置されるため、均等な熱伝導性が確保されない可能性がある。一方、熱伝導性微粒子の粒径が100μm超になると、熱伝導性微粒子の表面積が小さくなるため、熱伝導部材の熱伝導性が低くなる可能性がある。
他の特徴構成は、前記熱伝導性微粒子が金属微粒子である点にある。
本構成のごとく、熱伝導性微粒子が金属微粒子であると、粘着層に熱伝導性を確実に付与することができる。
本発明に係るガラスユニットの特徴構成は、上記構成のガラスモジュールと、前記ガラス板の周縁部を挟持する遮炎部材と、を備える点にある。
本構成のガラスユニットは、ガラス板よりも高い熱伝導率を有する熱伝導部材が配置されたガラス板を遮炎部材によって挟持される。これにより、ガラス板の何れか一方が面する区画域において火災が生じた場合、その燃焼熱は、区画域に露出したガラス板の非遮炎領域に伝わると共に、非遮炎領域から遮炎領域の熱伝導部材を介してガラス板の周縁部に伝わる。その結果、周縁部の温度が上昇してガラス板の中央部と周縁部との温度差が小さくなることから、ガラス板の熱割れ現象を生じ難くすることができる。
他の特徴構成は、前記遮炎部材は、前記ガラス板を面で挟持するよう構成されている点にある。
本構成によれば、遮炎部材がガラス板を面で挟持するので、ガラス板を安定的に保持することができる。
他の特徴構成は、前記遮炎部材は、サッシの固定枠である点にある。
本構成によれば、遮炎部材がサッシの固定枠であるので、火災時に遮炎部材が消失することなく、ガラス板の周縁部を効率的に加熱することができる。
他の特徴構成は、前記固定枠の熱伝導率は、20W/mK以上250W/mK以下である点にある。
本構成のごとく、固定枠の熱伝導率を高く設定することで、固定枠からガラス板の周縁部に熱が伝わり易くなる。これにより、ガラス板において中央部と周縁部との温度差を小さくすることができる。固定枠の熱伝導率が250W/mk超にする場合には、固定枠がコスト高になるため、本構成における固定枠の熱伝導率は、20W/mK以上250W/mK以下に設定している。
本発明に係るガラス窓の特徴構成は、上記構成のガラスモジュールが前記遮炎部材に挟持されて固定されている点にある。
本構成によれば、遮炎部材に挟持されて固定されるガラスモジュールによって、ガラス板の熱割れを防止して防火性能を安定的に維持することができる。
第1実施形態のガラスユニットの正面図である。 図1のII-II矢視断面図である。 第1実施形態のガラスユニットの分解図である。 熱伝導部材の断面図である。 第2実施形態のガラスユニットの部分断面図である。 第3実施形態のガラスユニットの部分断面図である。 第4実施形態のガラスユニットの部分断面図である。 第5実施形態のガラスユニットの部分断面図である。 他の実施形態のガラスユニットの部分断面図である。 他の実施形態のガラスユニットの部分断面図である。
[第1実施形態]
本発明に係るガラスユニット100の第1実施形態について、図1〜図4に基づいて説明する。図2は完成したガラスユニット100を示し、図3はガラスユニット100の組立前の状態を示している。ガラスユニット100は、ガラスモジュール10と、遮炎部材20とを備える。ガラスモジュール10は、ガラス板1と後述の熱伝導部材11とを備える。
図1〜図2に示すように、ガラス板1は、4辺の周縁部8を有する矩形状の単層ガラスであり、単層ガラスの周縁部8に沿った凹部を有する遮炎部材20に嵌め込み固定されている。
遮炎部材20は、枠体21で構成されている。ガラス板1は、遮炎部材20と面で対向し、遮炎部材20に組付可能に構成されている。本実施形態では、枠体21は凹部を有するサッシの固定枠である。この枠体21の熱伝導率は、20W/mK以上250W/mK以下としている。ガラス板1は、枠体21の凹部において周縁部8がバックアップ材23及び弾性支持体24に挟持されて固定されている。ガラス板1の4辺を嵌め込む枠体21の凹部の底面に、ガラス板1の端面4の保護機能を備えたセッティングブロック22が設置されている。セッティングブロック22は、ガラス板1の重量を十分に分散して支持できる程度にガラス板1の下端部の数箇所に設置されていればよく、ガラス板1の4辺の全領域に亘って設ける必要はない。また、ガラス板1を枠体21で固定するため、ガラス板1と枠体21との間にバックアップ材23が設けられる。さらに、ガラス板1と枠体21との間の防水性を向上させるため、バックアップ材23の上部にはシール材としての弾性支持体24が設けられる。こうして、ガラス板1は、弾性支持体24を介して枠体21(遮炎部材20)に挟持可能に構成されている。これにより、ガラス板1は、弾性支持体24によって枠体21(遮炎部材20)との間の隙間を埋めた状態で支持することができる。
ガラス板1は、第1外板面5と、第1外板面5の裏側に設けられる第2外板面6とを有し、圧縮応力が150MPa以上の単層強化ガラスで構成されている。ガラス板1は、外板面5,6に、枠体21で被覆可能な遮炎領域2と、外部から視認可能であり遮炎部材20に被覆されていない非遮炎領域3と、を有する。図1に示されるように、ガラス板1は矩形状に構成されており、遮炎領域2が4辺の周縁部8に設けられている。ここで、遮炎領域2とは、ガラス板1の第1外板面5又は第2外板面6が板面に垂直な方向から火炎に晒された場合、第1外板面5又は第2外板面6のうち枠体21により火炎が遮断される板面のことを意味する。すなわち、遮炎領域2は、遮炎部材20からガラス板1に正投影した領域である。この遮炎領域2は、ガラス板1の端面4から10mm以上30mm以下であることが好ましい。遮炎部材20に対するガラス板1のかかり代(差し込み量)は、JASS17において、10mm以上にすることが規定されている。一方、遮炎領域2の上下方向の長さが30mm超であると、遮炎部材20によりガラス板1の周縁部8が加熱を阻害され、ガラス板1の中央部7と周縁部8との温度差が大きくなることに起因してガラス板1の熱割れが発生し易くなる。また、ガラス板1が上述の強化ガラスであると、ガラス板1における中央部7と周縁部8との温度差に起因するガラス板1の熱割れを抑制し易くなる。さらに、図2に示すように、ガラス板1の端面4は、搬送時や組立時に破損する危険性を低減するため、滑らかになるよう曲面形状に研磨加工している。
ガラス板1は、周縁部8の第1外板面5及び第2外板面6(遮炎領域2)に隣接して配置される熱伝導部材11を備える。熱伝導部材11は、ガラス板1よりも高い熱伝導率を有し、遮炎領域2の少なくとも一部に配置可能に構成されている。すなわち、熱伝導部材11は、遮炎領域2の全体に配置されてもよいし、遮炎領域2の一部に配置されてもよい。図2の例では、熱伝導部材11が遮炎領域2の全体に配置されている。本実施形態では、熱伝導部材11がシート状に形成されており、遮炎領域2の外板面5,6に面接触した状態で固定されている。ここで、面接触した状態とは、遮炎領域2の外板面5,6に熱伝導部材11が面で対向していればよく、遮炎領域2の外板面5,6に熱伝導部材11の大半(例えば8割以上の面積)が接触していれば、一部が非接触状態であってもよい。ソーダガラスで構成されるガラス板1の熱伝導率は、概ね1W/mK未満である。一方、熱伝導部材11の熱伝導率は、50W/mK以上であることが好ましい。熱伝導部材11としては、例えばSn、Al、Ag、Cu、Zn等の金属または合金を用いることができる。なお、Snの熱伝導率は64W/mKであり、Alの熱伝導率は204W/mKであり、Agの熱伝導率は418W/mKであり、Cuの熱伝導率は372W/mKであり、Znの熱伝導率は113W/mKである。
このように、周縁部8の外板面5,6(遮炎領域2)に熱伝導部材11が隣接して配置されることで、ガラス板1において非遮炎領域3から遮炎領域2への熱伝導が迅速に行われる。これにより、例えば、ガラス板1の何れか一方が面する区画域において火災が発生した場合、その燃焼熱は、区画域に露出したガラス板1の非遮炎領域3に伝わると共に、非遮炎領域3から熱伝導部材11を介してガラス板1の遮炎領域2に伝わる。その結果、遮炎領域2の温度が上昇して非遮炎領域3と遮炎領域2との温度差が小さくなることから、ガラス板1の熱割れ現象を生じ難くすることができる。
本実施形態における熱伝導部材11は、ガラス板1の外板面5,6から端面4に亘って設けられている。熱伝導部材11は、ガラス板1の端面4の少なくとも一部に配置される。すなわち、熱伝導部材11は、ガラス板1の端面4の全体に配置されてもよいし、端面4の一部に配置されてもよい。図2の例では、熱伝導部材11がガラス板1の端面4の全体に配置されている。これにより、火災時に直接的に火炎に晒されるガラス板1の中央部7の熱は、熱伝導部材11によって周縁部8の端面4まで効率的に伝熱される。その結果、ガラス板1の端面4の温度が上昇し易くなるので、ガラス板1の中央部7と周縁部8との温度差をより小さくすることが可能となる。よって、ガラス板1において、中央部7から遠く温度上昇が緩慢なガラス板1の周縁部8における熱割れを、確実に防止することができる。
熱伝導部材11は、ガラス板1の遮炎領域2及び非遮炎領域3のうち遮炎領域2のみに配置されている。すなわち、熱伝導部材11が非遮炎領域3にはみ出さないので、熱伝導部材11は外部から視認されない状態でガラス板1に配置される。これにより、ガラス板1の外観に熱伝導部材11が影響を与えない状態でガラス板1の熱割れを防止することができる。
本実施形態では、熱伝導部材11が遮炎部材20により被覆される遮炎領域2の全域(高さが端面4から遮炎部材20の上端面まで)に亘って配置されている。このように構成すると、火災が発生した場合に、熱伝導部材11を介して、火災の燃焼熱により高温となったガラス板1の中央部7(非遮炎領域3)から周縁部8(遮炎領域2)に熱が伝わる。その結果、遮炎部材20により火炎に直接的に晒されないガラス板1の周縁部8の温度が迅速に上昇し、火災の燃焼熱により非常に高温となる中央部7と周縁部8との温度差が小さくなるため、ガラス板1の熱割れが防止され、ガラス板1の防火性が向上する。
図4に示すように、熱伝導部材11は、例えば熱伝導性に優れたテープ体で構成されており、金属箔12と粘着層13とを備える。粘着層13は、粘着剤14と熱伝導性微粒子15とを有する。熱伝導部材11はテープ体であると、ガラス板1に面で密着させやすいので、熱伝導性の向上が期待できる。また、図3のガラスモジュール10に示すように、ガラス板1の周縁部8の外板面5,6及び端面4に熱伝導部材11を貼り付けた状態でガラス板1を用意しておけば、熱伝導部材11の取り付けが容易になるとともに、熱伝導部材11が端面4を保護することにもなるので好ましい。つまり、図3に示すように、セッティングブロック22及びバックアップ材23が収容された枠体21に、熱伝導部材11がガラス板1に固定されたガラスモジュール10を挿入し、ガラスモジュール10と枠体21との隙間に弾性支持体24を嵌め込めばガラスユニット100が完成するので、組付けが容易である。なお、熱伝導部材11はガラス板1において熱割れが発生しやすいと想定される部分のみに設けてもよいが、防火性をより確実なものとするためには、ガラス板1の全周(4辺の周縁部8)に亘って設けることが望ましい。
本実施形態では、熱伝導部材11は、遮炎部材20の枠体21に接触しないよう構成されている。熱伝導部材11が枠体21に接触しないことで、熱伝導部材11はガラス板1の板面に垂直な方向での寸法精度が要求されない。したがって、ガラス板1のスペックや熱伝導部材11の熱伝導率を考慮して、ガラス板1と枠体21との隙間以下の寸法範囲内で熱伝導部材11の厚み等を容易に調整することができる。
熱伝導部材11は、近赤外線(波長0.7μm〜2.5μm)の吸収率がガラス板1よりも大きいことが好ましく、特に波長2.5μmの近赤外線に対する吸収率がガラス板1よりも大きいことが好ましい。この吸収率は最大値が1に対して0.1以上であることが好ましく、0.2以上であればより好ましい。火災時において枠体21が加熱された場合、枠体21から発生する輻射熱は、近赤外線によって伝播することがある。しかし、ガラス板1は近赤外線を透過するため、枠体21からの輻射熱によってガラス板1の周縁部8の温度上昇は生じ難い。そこで、本実施形態では、熱伝導部材11の近赤外線の吸収率を、ガラス板1の近赤外線の吸収率よりも大きくしている。また、本実施形態における枠体21の熱伝導率を20W/mK以上としている。これにより、ガラス板1の周縁部8は、熱伝導部材11によって枠体21からの輻射熱を受け取り易くなるので、ガラス板1の周縁部8を昇温させてガラス板1の中央部7と周縁部8との温度差をより迅速に小さくすることができる。また、熱伝導部材11の放射率は、最大値が1に対して0.1以上であることが好ましく、0.2以上であればより好ましい。これにより、枠体21の輻射熱が熱伝導部材11によって反射される熱損失を抑制することができるので、熱伝導部材11を介して遮炎領域2に輻射熱を効率的に伝えることができる。
熱伝導部材11は、金属箔12の表面に微細な凹凸を有して構成されていてもよい。金属箔12の表面に微細な凹凸があると、金属箔12において輻射熱の表面反射が抑制されるため、金属箔12は輻射熱を吸収し易くなる。その結果、熱伝導部材11は遮炎部材20からも効率よく輻射熱を受けてガラス板1の周縁部8を加熱することができる。
熱伝導部材11に備えられる金属箔12は、熱伝導率が50W/mK以上であり、好ましくは100W/mK以上である。金属箔12の熱伝導率が50W/mK以上であると、熱伝導部材11の熱伝導率も50W/mK以上に高めることができる。これにより、熱伝導部材11を介して、ガラス板1の中央部7の熱がガラス板1の周縁部8に早く伝わり、周縁部8を迅速に加熱することができる。熱伝導部材11の熱伝導率を高めるうえで、金属箔12の熱伝導率は、100W/mk以上であることがより好ましい。
金属箔12は、Sn、Al、Ag、Cu、Zn等の金属または合金で構成されており、Sn、Al、Ag、Cu、Znの少なくとも1つが50重量%以上含まれている。Snの熱伝導率は64W/mK、Alの熱伝導率は204W/mK、Agの熱伝導率は418W/mK、Cuの熱伝導率は372W/mK、Znの熱伝導率は113W/mKである。すなわち、Sn、Al、Ag、Cu、Znは、いずれも熱伝導率が50W/mK以上である。したがって、金属箔12が前述の金属の少なくとも1つを50重量%以上含むことによって、熱伝導部材11の熱伝導率を容易に高めることができる。Sn、Al、Ag、Cu、Znのうち、Znは、腐食の原因となる水分、酸素等を透過しない防食効果を有するため、最も好ましい。
粘着剤14は、アクリル系、シリコーン系、天然ゴム系のいずれかである。これにより、熱伝導部材11において、粘着層13を容易に構成することができる。
熱伝導性微粒子15は、熱伝導率が粘着剤14よりも高い。これにより、熱伝導部材11は、熱伝導性微粒子15によって粘着層13の熱伝導率を高めることができる。
粘着層13は、熱伝導性微粒子15の含有量が50重量%以上90重量%以下、好ましくは60重量%以上80重量%以下である。こうすると、熱伝導部材11は、粘着層13における熱伝導性と粘着性の両方を確保することができる。粘着層13において熱伝導性微粒子15が50重量%未満になると、粘着層13は十分な熱伝導性を得ることができない。また、粘着層13において熱伝導性微粒子15が90重量%超になると、粘着剤14の割合が低くなり過ぎるため粘着力が低下してガラス板1から熱伝導部材11が剥がれ易くなる。
粘着層13は、厚みが10μm以上100μm以下であり、好ましくは20μm以上90μm以下である。粘着層13において厚みが10μm以上100μm以下であると、熱伝導部材11は、粘着層13における熱伝導性と粘着性の両方を確保することができる。熱伝導部材11において、粘着層13の厚みが10μmより小さいと、火災時に金属箔12とガラス板1の熱膨張差により剥離が生じる可能性がある。一方、粘着層13の厚みが100μm超になると、粘着剤14の影響を大きく受けて粘着層13を含む熱伝導部材11の熱伝導性が低くなる可能性がある。粘着層13は金属箔12よりも熱伝導率の低い粘着剤14を含むことから、粘着層13の厚みは金属箔12の厚みよりも小さいことが好ましい。例えば金属箔12の厚みが100μmであれば、粘着層13の厚みは30〜50μmに設定することができる。このように、粘着層13は、金属箔12の半分程度の厚みに設定することが可能である。
粘着層13に含まれる熱伝導性微粒子15は、平均粒径が10μm以上100μm以下であり、好ましくは20μm以上90μm以下である。熱伝導性微粒子15の粒径が10μm以上100μm以下であると、熱伝導部材11は、粘着層13における熱伝導性を確実に確保することができる。熱伝導性微粒子15の粒径が10μm未満であると、熱伝導性微粒子15が粘着層13において不均一に配置されるため、均等な熱伝導性が確保されない可能性がある。一方、熱伝導性微粒子15の粒径が100μm超になると、熱伝導性微粒子15の表面積が小さくなるため、熱伝導部材11の熱伝導性が低くなる可能性がある。熱伝導性微粒子15の粒径は粘着層13の厚み以下であることが好ましい。図4に示すように、本実施形態では、熱伝導部材11は、熱伝導性微粒子15の粒径と粘着層13の厚みとが同じになるように構成されている。
熱伝導性微粒子15は金属微粒子である。熱伝導性微粒子15が金属微粒子であると、粘着層13に熱伝導性を確実に付与することができる。金属微粒子は、Sn、Al、Ag、Cu、Zn等の金属または合金で構成されており、Sn、Al、Ag、Cu、Znの少なくとも1つが50重量%以上含まれている。このようにすれば、粘着層13において熱伝導率を容易に高めることができる。
金属微粒子としては、Sn、Al、Ag、Cu、Znのうち、低融点のSn、Zn、Alが好ましい。低融点の金属微粒子に用いた場合には、粘着剤14が火災時の燃焼熱を受けて粘着性が低下したとしても、金属微粒子の表面の溶融によりガラス板1と粘着層13の密着性を確保することができる。また、粘着層13に含まれる金属微粒子は、一種類の金属のみによって構成されてもよいし、異なる金属の金属微粒子が混在させていてもよい。
バックアップ材23及び弾性支持体24は、ガラス板1を枠体21に支持するための部材なので、ガラス板1を破損させないように、ある程度の弾性を有する樹脂又はゴムで構成されている。バックアップ材23及び弾性支持体24が断熱性の高い樹脂又はゴムであり、火災で高温となったガラス板1の中央部7から熱伝導部材11を介したバックアップ材23及び弾性支持体24への熱伝導が抑制される。その分、熱伝導部材11を介してガラス板1の周縁部8に伝えられる熱が増大するので、周縁部8を効率的に昇温することができ、防火性をより確実に向上させることができる。また、熱伝導部材11からセッティングブロック22に熱が逃げるのを抑制し、ガラス板1の周縁部8の温度を効率的に上昇させるために、セッティングブロック22も断熱性の高い材料であることが望ましい。
建物等に設けられるガラス窓は、ガラスモジュール10が遮炎部材20に挟持されて固定されることで実現される。
本実施形態のガラスモジュール10の防火性能を検証するための防火試験を行った。実施例1として、粘着層13に金属微粒子を有する熱伝導部材11を備えるガラスモジュール、実施例2として、粘着層13に金属微粒子を有しない熱伝導部材11を備えるガラスモジュール、比較例1として、熱伝導部材11を備えていない従来型のガラスモジュールを用意した。
ガラス板1は、板厚が5mmの熱強化処理を施した単層ソーダガラスによって構成されている。枠体21はアルミ製、バックアップ材23は難燃性樹脂、弾性支持体24は防火用シリコーンシール材、セッティングブロック22はケイ酸カルシウム製の耐火ブロックとしている。実施例1及び実施例2に用いられる熱伝導部材11は、金属箔12がSn箔であって厚さが100μm、粘着層13の厚さが40μmのテープ体であり、遮炎領域2の外板面5,6に配置されている。熱伝導部材11は、エッジ(端面4の縁)から中央側に向けて7mmまでの位置に配置されている。実施例1の熱伝導部材11の粘着層13には、粒径40μmのSn微粒子が分散した状態で含まれている。
防火試験はガラス板1の一側面側での火災発生を想定しており、炉内温度Tを下記のI SO−834加熱曲線に従い10分間昇温し、10分後における、ガラス板1のそれぞれのエッジの温度(以下、エッジ温度と称する)と、ガラス板1の中央の温度(以下、中央温度と称する)とを計測した。
ISO−834加熱曲線: T= 345log(8t+1)+20 t:加熱時間(分)
ガラス板1において中央とエッジとの温度差は、通常、防火試験の開始から10分程度で最大値を取り、その後は温度差が小さくなる。このことから、防火試験の開始から10分後のガラス板1の中央とエッジとの温度差を確認することで、実施例1、実施例2、及び比較例のガラス板1について防火性能を比較することができる。
以上の条件で防火試験を行ったところ、防火試験の10分後において、実施例1ではエッジ温度が255℃、実施例2ではエッジ温度が232℃、比較例1ではエッジ温度が210℃であった。また、ガラス板1の中央温度は、実施例1、実施例2、及び比較例1のいずれも530℃であった。これらの結果により、ガラス板1における中央とエッジとの温度差は、実施例1が275℃となり、実施例2が298℃となり、比較例1が320℃となった。
実施例1及び実施例2においては、ガラス板1の一側面の側で火災が発生した場合に、熱伝導部材11を介して、火災により高温となったガラス板1の中央からエッジに熱が伝わる。その結果、ガラス板1のエッジの温度が上昇し、火災の燃焼熱により非常に高温となる中央とエッジとの温度差が比較例1に比べて小さくなる。
一方、比較例1においては、ガラス板1に熱伝導部材11が設けられていないため、ガラス板1のエッジを積極的に昇温することができない。このため、ガラス板1において、火災の燃焼熱により非常に高温となる中央と、火災の燃焼熱の影響を受けにくいエッジとの温度差が実施例1及び実施例2に比べて大きくなる。
以上の防火試験の結果より、実施例1及び実施例2は、比較例1よりも防火性能に優れていることが示された。試験結果を検証すると、実施例1及び実施例2が防火性能に優れているのは、熱伝導部材11がガラス板1のエッジから遮炎領域2の外板面5,6に設けられているという特徴構成によるものと考えられる。
また、実施例1、実施例2、及び比較例1において、ガラス板1に求められる表面圧縮応力を検証したところ、比較例1の場合は最低120MPaであるに対し、実施例1の場合は最低101MPaであり、実施例2の場合は最低111MPaであった。以上の結果より、ガラス板1の外板面5,6に熱伝導部材11を設けることにより、表面圧縮応力の比較的低いガラス板1を防火用のガラスモジュール10に使用できることが明らかとなった。
[第2実施形態]
ガラスユニット100の第2実施形態について、図5に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。
熱伝導部材11は、非遮炎領域3における、第1外板面5及び第2外板面6の少なくとも一方に配置可能に構成されていてもよい。本実施形態は、熱伝導部材11が、ガラス板1の遮炎領域2に加えて、遮炎領域2に隣接する非遮炎領域3の外板面5,6の両方に隣接して配置されている。図示しないが、熱伝導部材11は、非遮炎領域3において、第1外板面5及び第2外板面6の一方のみに配置されていてもよい。このように構成すれば、非遮炎領域3に固定される熱伝導部材11の存在により、ガラス板1の非遮炎領域3が受けた燃焼熱は熱伝導部材11を介して遮炎領域2に伝わり易くなる。これにより、ガラス板1の非遮炎領域3と遮炎領域2との温度差を迅速に小さくすることができる。また、熱伝導部材11は、非遮炎領域3のうち遮炎領域2に隣接する外板面5,6に設けられているので、非遮炎領域3における熱伝導部材11の範囲を小さくして、ガラス板1の外観に与える熱伝導部材11の影響を最小限に抑制することが可能である。
[第3実施形態]
ガラスユニット100の第3実施形態について、図6に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。
本実施形態は、熱伝導部材11が、ガラス板1の外板面5,6(遮炎領域2)のみに設けられ、端面4には設けられていない。このような構成であっても、遮炎領域2に配置された熱伝導部材11によって、火災の燃焼熱により非常に高温となったガラス板1の中央部7の熱を、熱伝導部材11を介して端面4を含む周縁部8に伝えることができる。これにより、ガラス板1において中央部7と周縁部8との温度差を小さくすることができ、防火性を向上させることができる。
[第4実施形態]
ガラスユニット100の第4実施形態について、図7に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。
本実施形態は、ガラス板1の外板面5,6から枠体21に亘って熱伝導部材11が設けられている。このように、熱伝導部材11は、少なくとも一部が遮炎部材20である枠体21と接触可能に構成されていてもよい。熱伝導部材11は、第1接触部16と第2接触部17とを有する。第1接触部16は、ガラス板1の外板面5,6に面接触する部分である。第2接触部17は、枠体21とバックアップ材23との間に挟まれた状態で枠体21の内側面25に面接触する部分である。また、枠体21の熱伝導率が20W/mK以上であるので、ガラス板1の熱伝導率(1W/mK程度)よりも十分に大きく、第2接触部17を介して枠体21からガラス板1の周縁部8に伝熱され易くなる。このように構成すれば、ガラス板1の周縁部8に至る伝熱経路が、ガラス板1の中央部7からと枠体21からとの2経路確保できるので、ガラス板1の周縁部8への加熱をより促進することができる。
[第5実施形態]
ガラスユニット100の第5実施形態について、図8に基づいて説明する。第1実施形態と同様の部材については同じ番号を付しており、ここでの説明は省略する。
本実施形態では、ガラス板1の遮炎領域2と枠体21との間に第2熱伝導部材30が介在する。第2熱伝導部材30は、枠体21と遮炎領域2に固定された熱伝導部材11との間に配置されている。第2熱伝導部材30は、熱伝導率が20W/mK以上250W/mK以下である金属で構成されている。第2熱伝導部材30が金属であれば、ガラス板1よりも熱伝導率の高い材料を容易に選択することができる。第2熱伝導部材30は、第1接触部31と第2接触部32とを有する。第1接触部31は、ガラス板1の周縁部8に固定された熱伝導部材11に面接触する部分である。第2接触部32は、バックアップ材23よりも枠体21の底部側に屈曲しており、枠体21の内側面25に面接触する部分である。このように構成すると、ガラス板1の熱伝導率(1W/mK程度)よりも十分大きい熱伝導率を有する第2熱伝導部材30を介して、火災により高温となった枠体21からガラス板1の周縁部8に熱を伝え易くすることができる。また、枠体21の熱伝導率が20W/mK以上であるので、ガラス板1の熱伝導率(1W/mK程度)よりも十分に大きく、火災により高温となった枠体21から第2熱伝導部材30を介してガラス板1の周縁部8に伝熱され易くなる。これにより、ガラス板1の周縁部8が昇温し易くなるので、ガラス板1において中央部7と周縁部8との温度差を迅速に小さくできる。その結果、ガラス板1の熱割れを防止することができるので、ガラス板1の防火性を向上させることができる。
[他の実施形態]
(1)上記の実施形態では、ガラスモジュール10において、熱伝導部材11がガラス板1の周縁部8の全周に亘って配置される例を示したが、熱伝導部材11はガラス板1の周縁部8の周方向において間隔を有して配置されてもよい。熱伝導部材11は、例えばガラス板1の4辺のうち上辺部及び下辺部のみに配置されてもよい。熱伝導部材11は、ガラス板1の周縁部8の4辺に配置される場合であっても、2辺が交差する角部には熱伝導部材11を配置せずに構成してもよい。また、上記の実施形態では、熱伝導部材11を枠体21の高さ方向に対応する遮炎領域2全体に配置する例を示したが、熱伝導部材11は、例えば端面4に隣接する遮炎領域2の一部のみに配置してもよい。
(2)上記の実施形態における遮炎領域2は、ガラス板1の周縁部8に加えてガラス板1の中央部分を横断する形状で設けても良く、ガラス板1の枠体21の形状に応じて適宜設定される。また、遮炎領域2は、遮炎部材20により被覆されるガラス板1の外板面5,6の少なくとも一部で構成されていればよい。つまり、枠体21は、ガラス板1の端面4を被覆しない形状であってもよい。
(3)上記の実施形態では、遮炎部材20の枠体21がサッシの固定枠である例を示したが、枠体21はサッシの固定枠に限定されず、一対のL型のアングル等、他の構成であってもよい。
(4)上記の実施形態では、遮炎部材20がバックアップ材23及び弾性支持体24を含む例を示したが、図9に示すように、遮炎部材20が枠体21のみで構成されていてもよい。
(5)上記の実施形態では、ガラス板1が単層ガラスで構成されている例を示したが、図10に示すように、ガラス板1は複層ガラスで構成されていてもよい。図10の例では、ガラス板1は、第1ガラス板41と第2ガラス板42と、第1ガラス板41と第2ガラス板42との間に配置されるスペーサ43によって構成される。第1ガラス板41は強化ガラスであり、第2ガラス板42はLow−Eガラスである。第2ガラス板42の第1ガラス板41に対向する側の面44には低反射膜44aがコーティングされている。熱伝導部材11は、第1ガラス板41の外板面45及び端面47、第2ガラス板42の外板面46及び端面48に少なくとも接触して固定されている。熱伝導部材11は、さらに、第1ガラス板41の内側及び第2ガラス板42の内側に接触して固定されていてもよい。
なお、いずれの実施形態においても、熱伝導部材11又は第2熱伝導部材30の構成は図1〜図10に示したものに限らない。すなわち、ガラスユニット100の完成時にガラス板1の外板面(5,6、45、46)に熱伝導部材11が存在していれば、他の構成を採用することも可能である。
本発明は、ガラス板を備えるガラスモジュール及びガラスユニットに適用することができる。又、単層ガラスのみならず、複層ガラスにも適用することができる。
1 :ガラス板
2 :遮炎領域
3 :非遮炎領域
4 :端面
5,6 :外板面
7 :中央部
8 :周縁部
10 :ガラスモジュール
11 :熱伝導部材
12 :金属箔
13 :粘着層
14 :粘着剤
15 :熱伝導性微粒子
20 :遮炎部材
21 :枠体
22 :セッティングブロック
23 :バックアップ材
24 :シール材(弾性支持体)
30 :第2熱伝導部材
41 :第1ガラス板
42 :第2ガラス板
100 :ガラスユニット

Claims (21)

  1. 遮炎部材と面で対向し、前記遮炎部材に組付可能なガラスモジュールであって、
    第1外板面と、前記第1外板面の裏側に設けられる第2外板面とを有するガラス板と、
    前記第1外板面及び前記第2外板面に隣接して配置される熱伝導部材と、を備え、
    前記ガラス板は、板面に前記遮炎部材によって被覆可能な遮炎領域を有し、
    前記熱伝導部材は、前記ガラス板よりも高い熱伝導率を有し、前記遮炎領域の少なくとも一部に配置可能に構成されている、ガラスモジュール。
  2. 前記遮炎領域は、前記ガラス板の周縁部の板面に設けられ、前記ガラス板の端面から10mm以上30mm以下である、請求項1に記載のガラスモジュール。
  3. 前記熱伝導部材は、前記ガラス板の端面の少なくとも一部に配置される、請求項2に記載のガラスモジュール。
  4. 前記熱伝導部材は、前記遮炎領域のみに配置される、請求項1又は2に記載のガラスモジュール。
  5. 前記ガラス板は、前記遮炎領域に隣接し前記遮炎部材によって被覆されていない非遮炎領域をさらに備え、
    前記熱伝導部材は、前記非遮炎領域における、前記第1外板面及び前記第2外板面の少なくとも一方に配置可能に構成されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  6. 前記熱伝導部材は、少なくとも一部が前記遮炎部材と接触可能に構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  7. 前記熱伝導部材は、前記遮炎部材に接触しないように構成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  8. 前記熱伝導部材は、近赤外線の吸収率が前記ガラス板よりも大きい、請求項1から7のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  9. 前記熱伝導部材は、放射率が0.1以上である、請求項8に記載のガラスモジュール。
  10. 前記熱伝導部材は、金属箔と粘着層とを備え、
    前記粘着層は、粘着剤と熱伝導性微粒子とを有する、請求項1から9のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  11. 前記金属箔の熱伝導率が50W/mK以上である、請求項10に記載のガラスモジュール。
  12. 前記熱伝導性微粒子は、熱伝導率が前記粘着剤より高い、請求項10又は11に記載のガラスモジュール。
  13. 前記粘着層は、前記熱伝導性微粒子の含有量が50重量%以上90重量%以下である、請求項10から12のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  14. 前記粘着層は、厚みが10μm以上100μm以下である、請求項10から13のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  15. 前記熱伝導性微粒子は、粒径が10μm以上100μm以下である、請求項10から14のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  16. 前記熱伝導性微粒子が金属微粒子である、請求項10から15のいずれか一項に記載のガラスモジュール。
  17. 請求項1から16のいずれか一項に記載のガラスモジュールと、
    前記ガラス板の周縁部を挟持する遮炎部材と、を備える、ガラスユニット。
  18. 前記遮炎部材は、前記ガラス板を面で挟持するよう構成されている、請求項17に記載のガラスユニット。
  19. 前記遮炎部材は、サッシの固定枠である、請求項18に記載のガラスユニット。
  20. 前記固定枠の熱伝導率は、20W/mK以上250W/mK以下である、請求項19に記載のガラスユニット。
  21. 請求項1から16のいずれか一項に記載のガラスモジュールが前記遮炎部材に挟持されて固定されている、ガラス窓。
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