JP2021134243A - 樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた精密成形性と摺動性を併せ持つポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)充填材(B成分)30〜180重量部および(C)フッ素樹脂(C成分)5〜100重量部を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、B成分が(B1)繊維状充填材(B1成分)および(B2)繊維状以外の充填材(B2成分)を含み、B1成分に対するB2成分の重量比(B2/B1)が0.2〜0.9であることを特徴とするウエルド部を有する摺動部材用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアリーレンスルフィド樹脂、充填材およびフッ素樹脂を含有する摺動部材用のポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、優れた精密成形性と摺動性を併せ持つ、ウエルド部を有する摺動部材用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関する。
ポリアリーレンスルフィド樹脂は、耐薬品性、耐熱性、機械的特性などに優れるエンジニアリングプラスチックである。このため、ポリアリーレンスルフィド樹脂は、電気電子部品、車両関連部品、航空機部品、住設機器部品、産業用部品として広く利用されている。近年、デジタルカメラ、タブレット等の電子機器では製品の小型化に伴い、使用する製品筐体において筐体の薄肉化が進んでおり、また自動車などの車両関連部品においては省エネ化に伴う車両の軽量化および化石燃料の削減を目的としたハイブリッド車や電気自動車などをはじめとする自走車両の電化が進んでいる。そして、これら関連用途においては、製品の軽量化を目的に従来の金属からの樹脂化が検討されており、中でもこれら機構部品の樹脂化において、特にギアや軸受け等の用途に使用される金属代替となる樹脂材料には高い摺動特性が求められている。しかしながら、ポリアリーレンスルフィド樹脂自身は他の樹脂と比較して高い摺動特性を有するものの、これら用途に使用するには十分ではない。また、ギアや軸受け等は精密性が求められる部品であることから、真円度や平面度等の高い寸法精度が要求される。厳しい寸法精度が求められる場合には繊維状、もしくは繊維状以外の充填材を充填したポリアリーレンスルフィド樹脂が使用されている。一方で、射出成形によりギア等の空孔を有する成形品を得ようとする場合、設計上の制約から樹脂の会合部(ウエルド部)の生成を避けられないことがある。繊維状の充填材により強化された樹脂を用いた場合、樹脂が会合した際の繊維配向の影響でウエルド部が***することが知られており、この***が平面度を悪化させることが問題となっていた。繊維状以外の充填材を使用した場合には、繊維状の充填材を使用した場合と比較してウエルド部の***が少ないものの、十分な補強効果が得られず、強度や摺動性の面で問題となることがあった。
これらの問題を解決する手段として、特許文献1には特定のポリフェニレンスルフィド樹脂、ガラス転移温度が140℃以上の非晶性樹脂、繊維状充填材および非繊維状充填材からなる樹脂組成物が提案されているが、優れた寸法精度が得られるものの摺動性に関しての言及はなく、また摺動付与剤を添加した場合の効果は何ら記載されていない。特許文献2にはポリアリーレンスルフィド樹脂、充填材およびハイドロタルサイト類化合物からなる樹脂組成物が提案されているが、摺動付与剤を添加した場合の具体的な効果は記載されていない。特許文献3にはポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリテトラフルオロエチレンおよび無機充填材からなる樹脂組成物が提案されているが、繊維状充填材および繊維状以外の充填材を使用した場合の摺動性に関して何ら記載されていない。
特開2008−7758号公報 特開2019−156987号公報 特開2009−30030号公報
本発明の目的は、優れた精密成形性と摺動性を併せ持つ、ウエルド部を有する摺動部材用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物を提供することである。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、ポリアリーレンスルフィド樹脂、充填材およびフッ素樹脂を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、上記充填材に含まれる繊維状充填材と繊維状以外の充填材の重量比が特定範囲にあることを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が、優れた精密成形性と摺動性を併せ持つことを見出し本発明に至った。
具体的には、上記課題は、(1)(A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)充填材(B成分)30〜180重量部および(C)フッ素樹脂(C成分)5〜100重量部を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、B成分が(B1)繊維状充填材(B1成分)および(B2)繊維状以外の充填材(B2成分)を含み、B1成分に対するB2成分の重量比(B2/B1)が0.2〜0.9であることを特徴とするウエルド部を有する摺動部材用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物により達成される。
本発明の好適な態様の1つは、(2)B1成分がガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維および全芳香族ポリアミド繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状充填材であることを特徴とする上記構成1に記載の樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(3)B2成分が、マイカ、タルク、炭酸カルシウムおよびワラストナイトからなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状以外の充填材であることを特徴とする上記構成1または2に記載の樹脂組成物である。
本発明の好適な態様の1つは、(4)C成分がポリテトラフルオロエチレン樹脂であることを特徴とする上記構成1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物である。
以下、本発明の詳細について説明する。
(A成分:ポリアリーレンスルフィド樹脂)
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂としては、ポリアリーレンスルフィド樹脂と称される範疇に属するものであれば如何なるものを用いてもよい。
ポリアリーレンスルフィド樹脂としては、その構成単位として、例えばp−フェニレンスルフィド単位、m−フェニレンスルフィド単位、o−フェニレンスルフィド単位、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位、フェニレンスルフィドエーテル単位、ジフェニレンスルフィド単位、置換基含有フェニレンスルフィド単位、分岐構造含有フェニレンスルフィド単位、等よりなるものを挙げることができ、その中でも、p−フェニレンスルフィド単位を70モル%以上、特に90モル%以上含有しているものが好ましく、さらに、ポリ(p−フェニレンスルフィド)がより好ましい。
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)で表される分散度(Mw/Mn)は好ましくは2.7以上、より好ましくは2.8以上、さらに好ましくは2.9以上である。分散度が2.7未満の場合は、成形時のバリ発生が多くなる場合がある。なお、分散度(Mw/Mn)の上限は特に規定されないが、10以下であることが好ましい。ここで、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)はゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算で算出された値である。なお、溶媒には1−クロロナフタレンを使用し、カラム温度は210℃とした。
ポリアリーレンスルフィド樹脂の製造方法としては、特に限定されるものではなく、既知の方法で重合されるが、特に好適な重合方法としては、米国登録特許第4,746,758号、第4,786,713号、特表2013−522385、特開2012−233210および特許5167276等に記載された製造方法が挙げられる。これらの製造方法は、ジヨードアリール化合物と固体硫黄を、極性溶媒なしに直接加熱して重合させる方法である。
前記製造方法はヨウ化工程および重合工程を含む。該ヨウ化工程ではアリール化合物をヨードと反応させて、ジヨードアリール化合物を得る。続く重合工程で、重合停止剤を用いてジヨードアリール化合物を固体硫黄と重合反応させてポリアリーレンスルフィド樹脂を製造する。ヨードはこの工程で気体状で発生し、これを回収して再びヨウ化工程に用いられる。実質的にヨードは触媒である。
前記製造方法で用いられる代表的な固体硫黄としては、室温で8個の原子が連結されたシクロオクタ硫黄形態(S)が挙げられる。しかしながら重合反応に用いられる硫黄化合物は限定されるものではなく、常温で固体または液体であればいずれの形態でも使用し得る。
前記製造方法で用いられる代表的なジヨードアリール化合物としては、ジヨードベンゼン、ジヨードナフタレン、ジヨードビフェニル、ジヨードビスフェノールおよびジヨードベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられ、またアルキル基やスルホン基が結合していたり、酸素や窒素が導入されたりしているヨードアリール化合物の誘導体も使用される。ヨードアリール化合物はそのヨード原子の結合位置によって異なる異性体に分類され、これらの異性体のうち好ましい例は、p−ジヨードベンゼン、2,6−ジヨードナフタレン、及びp,p’−ジヨードビフェニルのようにヨードがアリール化合物の分子両端に対称的に位置する化合物である。該ヨードアリール化合物の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し500〜10,000重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
前記製造方法で用いられる代表的な重合停止剤としては、モノヨードアリール化合物、ベンゾチアゾール類、ベンゾチアゾールスルフェンアミド類、チウラム類、ジチオカルバメート類、芳香族スルフィド化合物などが挙げられる。モノヨードアリール化合物のうち好ましい例としては、ヨードビフェニル、ヨードフェノール、ヨードアニリン、ヨードベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ベンゾチアゾール類のうち好ましい例としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,2’−ジチオビスベンゾチアゾールからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ベンゾチアゾールスルフェンアミド類のうち好ましい例としては、N−シクロヘキシルベンゾチアゾール2−スルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、2−モルホリノチオベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールスルフェンアミド、ジベンゾチアゾールジスルファイド、N−ジシクロヘキシルベンゾチアゾール2−スルフェンアミドからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。チウラム類のうち好ましい例としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ジチオカルバメート類のうち好ましい例としては、ジメチルジチオカルバメート酸亜鉛、ジエチルジチオカルバメート酸亜鉛からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。芳香族スルフィド化合物のうち好ましい例としては、ジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジフェニルエーテル、ビフェニル、ベンゾフェノンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。またいずれの重合停止剤においても、共役芳香環骨格上に一つまたは複数の官能基が置換されていてもよい。前記官能基の例としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、スルホ基、ニトロ基などが挙げられ、好ましい例としてはカルボキシル基、アミノ基が挙げられ、さらに好ましい例としてはFT−IRスペクトル上で、1600〜1800cm−1または3300〜3500cm−1のピークを示すカルボキシル基、アミノ基が挙げられる。重合停止剤の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し1〜30重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
前記製造方法では重合反応触媒を使用しても良く、代表的な重合反応触媒としては、ニトロベンゼン系触媒が上げられる。ニトロベンゼン系触媒のうち好ましい例としては、1,3−ジヨード−4−ニトロベンゼン、1−ヨード−4−ニトロベンゼン、2,6−ジヨード−4−ニトロフェノール、ヨードニトロベンゼン、2,6−ジヨード−4−ニトロアミンからなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。重合反応触媒の含有量は前記固体硫黄100重量部に対し0.01〜20重量部であることが好ましい。この量はジスルフィド結合の生成を考慮して決定される。
この重合方法を使うことにより、実質的に塩素含有量およびナトリウム含有量を低減させる必要が無く、コストパフォーマンスに優れたポリフェニレンスルフィド樹脂を得ることができる。
また本発明のポリフェニレンスルフィド樹脂は、その他の重合方法によって得られたポリフェニレンスルフィド樹脂を含んでいてもよい。
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂の総塩素含有量は、好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下である。総塩素含有量が500ppmを超える場合には、発生ガス量が増加しウエルド部における強度を低下させる場合がある。
本発明のA成分として使用されるポリアリーレンスルフィド樹脂の総ナトリウム含有量は、好ましくは39ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは8ppm以下である。39ppmを超える場合には、発生ガスの増加によるウエルド部における強度を低下させる場合がある。
(B成分:充填材)
(B1成分:繊維状充填材)
本発明で使用される繊維状充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維、導電性物質で被覆された無機繊維などが挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら繊維状充填材を2種類以上併用することも可能である。導電性物質で被覆された無機繊維における導電性物質の具体例としてはアルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO(アンチモンドープ)、In(アンチモンドープ)などが例示できる。また被覆される無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、炭化珪素ウィスカなどが例示できる。被覆方法としては真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法、焼き付け法などが挙げられる。またこれらはチタネート系、アルミ系、シラン系カップリング剤などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。この中でもガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維および全芳香族ポリアミド繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状充填材が好ましく用いられ、ガラス繊維がより好ましい。
また、これら繊維状充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。
(B2成分:繊維状以外の充填材)
本発明で使用される繊維状以外の充填材は、前記のB1成分である繊維状充填材ではない充填材であり、板状、粉末状、粒状などが挙げられる。具体的には例えば、ワラストナイト、セリサイト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アスベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、モンモリロナイト、合成雲母などの膨潤性の層状珪酸塩、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラスビーズ、セラミックビ−ズ、窒化ホウ素、炭化珪素、燐酸カルシウムおよびシリカなどの非繊維状充填材が挙げられ、これらは中空であってもよく、さらにはこれら充填材を2種類以上併用することも可能である。また、これら繊維状以外の充填材をイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物およびエポキシ化合物などのカップリング剤で、膨潤性の層状珪酸塩では有機化オニウムイオンで予備処理して使用することは、より優れた機械的強度を得る意味において好ましい。この中でもマイカ、タルク、炭酸カルシウムおよびワラストナイトからなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状以外の充填材が好ましく用いられ、炭酸カルシウムがより好ましい。
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、30〜180重量部であり、好ましくは80〜160重量部、さらに好ましくは100〜140重量部である。B成分の含有量が30重量部未満では補強効果が発現せず摺動性が十分でない。他方で、180重量部を超えると生産性が低下する。
B1成分に対するB2成分の重量比(B2/B1)は0.2〜0.9であり、好ましくは0.3〜0.8、さらに好ましくは0.5〜0.8である。B2/B1が0.2未満ではウエルド部の***を抑制する効果に乏しく、精密成形性が十分でない。他方で、0.9を超えると摺動性と生産性が低下する。
(C成分:フッ素樹脂)
本発明で使用されるフッ素樹脂としては、主鎖に炭素鎖を有し、側鎖にフッ素原子の結合を有する重合体、またはそのような重合体を有する共重合体である。具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−フルオロアルキルビニルエーテル−フルオロオレフィン共重合体、エチレン−トリクロロフルオロエチレン共重合体などが挙げられる。なかでも好ましくは、ポリテトラフルオロエチレンであり、焼成、未焼成のどちらのポリテトラフルオロエチレンでも使用可能であるが、ポリテトラフルオロエチレンは再凝集し易いので、再凝集し難くするために焼成処理等を施した粉末状ものが好ましく、特に焼成処理温度360℃以上で焼成されたポリテトラフルオロエチレン樹脂が好ましい。ポリテトラフルオロエチレンの融点は、再凝集し難くするためDSC法で測定して320〜335℃のものが好ましく、より好ましくは325〜330℃である。またポリテトラフルオロエチレンの粒子径は、パークロルエチレン中に分散させた分散液を光透過法により測定する方法で平均0.1μm〜100μmが好ましく、より好ましくは1μm〜20μmである。なおここでいう平均粒径はレーザー回折・散乱法(MICOTRAC法)を用いて測定した重量平均粒径である。
また、このポリテトラフルオロエチレンは、数平均分子量としては10万以上のものが好ましく、より好ましくは20万以上のものである。
このようなポリテトラフルオロエチレンの例としては、(株)喜多村よりKTL−620、KTL−450A、KT−600Mとして市販されており容易に入手可能である。
C成分の含有量はA成分100重量部に対し、5〜100重量であり、好ましくは5〜80重量部、より好ましくは5〜35重量部である。含有量が5重量部未満では十分な摺動改善効果は得られず、他方、100重量部を超えると、混練時にストランド切れやサージングなどが発生しやすい。
(その他の成分)
本発明における樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲で、エラストマー成分を含むことができる。好適なエラストマー成分としては、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系共重合体(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体(MBS樹脂)およびシリコーン・アクリル複合ゴム系グラフト共重合体などのコア−シェルグラフト共重合体樹脂、あるいはシリコーン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性エラストマーが挙げられる。
本発明における樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂を含むことができる。他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂などに代表される汎用プラスチックス、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、液晶性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂(非晶性ポリアリレート、液晶性ポリアリレート)等に代表されるエンジニアリングプラスチックス、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、などのいわゆるスーパーエンジニアリングプラスチックスと呼ばれるものを挙げることができる。
本発明における樹脂組成物は本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤および滑剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素およびポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(赤燐、リン酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)および他の重合体を添加することができる。
(樹脂組成物の製造)
本発明の樹脂組成物は上記各成分を同時に、または任意の順序でタンブラー、V型ブレンダー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等の混合機により混合して製造することができる。好ましくは2軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、任意の成分をサイドフィーダー等を用いて第2供給口より、溶融混合された他の成分中に供給することが好ましい。
上記の如く押出された樹脂は、直接切断してペレット化するか、またはストランドを形成した後かかるストランドをペレタイザーで切断してペレット化される。ペレット化に際して外部の埃などの影響を低減する必要がある場合には、押出機周囲の雰囲気を清浄化することが好ましい。得られたペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得るが、より好適には円柱である。かかる円柱の直径は好ましくは1〜5mm、より好ましくは1.5〜4mm、さらに好ましくは2〜3.5mmである。一方、円柱の長さは好ましくは1〜30mm、より好ましくは2〜5mm、さらに好ましくは2.5〜4mmである。
(成形品について)
本発明の樹脂組成物を用いてなる成形品は、上記の如く製造されたペレットを成形して得ることができる。好適には、射出成形、押出し成形により得られる。射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形等を挙げることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法等も使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形等により成形品とすることも可能である。
本発明の樹脂組成物は、優れた精密成形性と摺動性を併せ持つため、パソコン(ノートブック、ウルトラブック)、タブレット、携帯電話用ハウジング、ディスプレイ、OA機器、携帯電話、携帯情報端末、ファクシミリ、コンパクトディスク、ポータブルMD、携帯用ラジオカセット、PDA(電子手帳などの携帯情報端末)、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、光学機器、オーディオ、エアコン、照明機器、娯楽用品、玩具用品、その他家電製品などの電気、電子機器、または自動車、二輪車関連部品等における機構部品、各種ギア、各種軸受けなどにおいて幅広く有用である。
本発明者が現在最良と考える本発明の形態は、前記の各要件の好ましい範囲を集約したものとなるが、例えば、その代表例を下記の実施例中に記載する。もちろん本発明はこれらの形態に限定されるものではない。
[樹脂組成物の評価]
(1)ウエルド部の***高さ
両側に設けたサイドゲートから樹脂を充填させ中央部にウエルドを有する試験片(全長170mm、厚み4mm、狭い平行部の長さ80mmのダンベル型試験片)を作製し、ウエルド部の***高さを測定した。測定にはワンショット3D形状測定機((株)キーエンス製、VR−3200)を用い、ウエルド部に発生するウエルドラインを正面から捉えた画像を取得し、ウエルドラインと直交する方向に、ウエルドラインを中心とした15mm長さの線分による粗さ解析を実施し、求められた最大高さ粗さRzを使用した。ウエルドライン中心部と、中心部から成形品幅方向に2mm離れた2点の合計3点におけるRzを求め、それらの平均値をウエルド部の***高さとして評価した。この数値が小さいほど樹脂組成物の精密成形性が優れていることを意味する。
(2)摺動性
外径25.6mm、内径20mm、長さ15mmの中空円筒試験片を作製し、JIS K7218 A法に従い、荷重150N、回転速度500mm/s、試験時間100時間の条件で試験前後の重量変化を算出し比摩耗量を求めた。なお、試験機には摩擦摩耗試験機((株)オリエンテック 製 EFM−III−EN)、相手材にはステンレス鋼(SUS304)を用いて行った。
[実施例1〜13、比較例1〜7]
ポリアリーレンスルフィド樹脂、充填材およびフッ素樹脂を表1に記載の各配合量で、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。ベント式二軸押出機は日本製鋼所(株)製:TEX30α‐38.5(完全かみ合い、同方向回転)を使用した。押出条件は吐出量20kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口からダイス部分まで320℃とした。なお、繊維状充填材およびマイカは上記押出機のサイドフィーダーを使用し第二供給口から供給し、ポリアリーレンスルフィド樹脂、マイカを除く繊維状以外の充填材は第一供給口から押出機に供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。得られたペレットを130℃で6時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(東芝機械(株)製 EC160NII−4Y)によりシリンダー温度320℃、金型温度140℃で評価用の試験片を成形した。
表1中の記号表記の各成分は下記の通りである。
<A成分>
A−1:以下の製造方法で得られたポリフェニレンスルフィド樹脂
[製造方法]
パラジヨードベンゼン300.00g及び硫黄27.00gに、重合停止剤としてジフェニルジスルフィド0.60g(最終的に重合されたPPSの重量に基づいて0.65重量%の含量)を投入して180℃に加熱して完全にそれらを溶融及び混合した後、温度を220℃に昇温し、且つ、圧力を200Torrに降圧した。得られた混合物を、最終温度及び圧力が夫々320℃及び1Torrとなるように温度及び圧力を段階的に変化させつつ、8時間重合反応させてポリフェニレンスルフィド樹脂を製造した。得られたペレットをAr/O気流中にて900℃にて燃焼処理し、発生したガスを吸収液に吸収させ、イオンクロマトグラフ法(IC法)により定量した総塩素含有量は20ppm以下(検出限界以下)であった。ペレットに硫酸を添加して灰化後、硫酸水素カリウムで融解し、希硝酸に溶解させ純水で定容した後、ICP発光分析法(ICP−AES法)により定量分析を行った総ナトリウム含有量は7ppmであった。測定装置はバリアン製、ICP−AES VISTA−MPXを使用した。
<B1成分>
B−1:円形断面チョップドガラス繊維(セントラルグラスファイバー(株)製 ECS03−630 直径:9μm、カット長:3mm)
B−2:扁平断面チョップドガラス繊維(日本電気硝子(株)製 ECS03−971EW 長径:28μm、短径:7μm、カット長:3mm)
B−3:炭素繊維(帝人(株)製 IM C702 6mm 繊維径:6μm、カット長:6mm)
B−4:全芳香族ポリアミド繊維(帝人(株)製 パラ系アラミド繊維 T322EH 3−12 繊維径:12μm、カット長:3mm)
<B−2成分>
B−5:炭酸カルシウム((株)カルファイン製 KSS−1000 メジアン径:2.1μm)
B−6:マイカ((株)ヤマグチマイカ製 41PU5)
B−7:タルク(林化成(株)製 UPN HST0.8)
B−8:ワラストナイト(関西マテック(株)製 KGP−H40)
<C成分>
C−1:ポリテトラフルオロエチレン((株)喜多村製 KT−600M 焼成タイプ 融点328℃)
Figure 2021134243

Claims (5)

  1. (A)ポリアリーレンスルフィド樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)充填材(B成分)30〜180重量部および(C)フッ素樹脂(C成分)5〜100重量部を含有するポリアリーレンスルフィド樹脂組成物であって、B成分が(B1)繊維状充填材(B1成分)および(B2)繊維状以外の充填材(B2成分)を含み、B1成分に対するB2成分の重量比(B2/B1)が0.2〜0.9であることを特徴とするウエルド部を有する摺動部材用ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。
  2. B1成分がガラス繊維、ガラスミルドファイバー、炭素繊維および全芳香族ポリアミド繊維からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状充填材であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. B2成分が、マイカ、タルク、炭酸カルシウムおよびワラストナイトからなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状以外の充填材であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. C成分がポリテトラフルオロエチレン樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなるウエルド部を有する摺動部材成形品。
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