JP2021121585A - 細胞傷害性tリンパ球を含む癌治療用医薬組成物、およびその調製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】前立腺癌等の固形癌に有効な医薬組成物を提供する。【解決手段】(a)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、及びMUC16から選択される抗原に由来するエピトープペプチドを認識するCD8+CTL、並びに、(b)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY及びMUC16から選択され、(a)とは異なる抗原に由来するエピトープペプチドを認識するCD8+CTLとを含有する、癌治療用医薬組成物である。【選択図】図1
Description
本発明は、癌を治療するための細胞傷害性Tリンパ球を含む医薬組成物、およびその調製方法に関する。
細胞を治療するために、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)およびサイトカイン誘導キラー細胞(CIK細胞)が開発された。TIL法では、患者の癌細胞由来のT細胞を使用しており、生成には約6〜14週間要する。注射ごとに、約1x1011の細胞が注射され、複数の癌抗原特異的CD8+T細胞が少なくとも20%の割合で存在することが知られている。すなわち、TIL細胞医薬品(medicine)には様々な癌抗原特異的CD8+T細胞が様々な比率で含まれるため、TILを使用した細胞医薬品は癌抗体に対する特異性が低く、注入された細胞の組成および比率は患者ごとに異なる。しかし、所与のTIL細胞医薬品中の癌抗原特異的細胞の種類の数および比率が高いほど、抗癌効果が高いことが確認されている。
さらに、CIKを使用した細胞医薬品は患者の血液を用いて生成され、生成には約2週間〜3週間かかる。注射ごとに、約1x109〜2x109の細胞が注射され、60週間の間に最大16回の注射が必要である。最終製品には、抗原特異的および抗原非特異的CD8+T細胞、およびCD+T細胞、NK細胞、およびTh1、Th2、Th9、Th17、Tfh、TregなどのNKT細胞が含有される。CIK生成プロセスは、癌抗原特異的および非特異的T細胞を大量に生成し、CIK細胞を使用した細胞医薬品(medications)は、癌抗原特異性の点で低く、癌を促進するか、または抗癌免疫細胞を阻害し、免疫抑制NK/NKT細胞を部分的に阻害するCD4+T細胞(Treg、Th2)を含有しながら生成され、注射される細胞の組成は、患者ごとに異なる。
しかし、これらのTIL細胞医薬品およびCIK細胞医薬品の研究を通じて、様々な癌抗原特異的および自己細胞医薬品を注射しても安全性の問題がないことを確認することが可能であった。
本発明の目的は、複数の抗原特異的T細胞医薬品を提供することである。
本発明の別の目的は、複数の抗原特異的T細胞医薬品を生成する方法を提供することである。
1.エピトープペプチドによって直接刺激されたPBMCから生成された細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を含有する、癌治療用医薬組成物であって、(a)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される抗原に由来するエピトープペプチドを認識するCD8+CTLと、(b)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される、上記(a)において選択される抗原とは異なる抗原に由来するエピトープペプチドを認識するCD8+CTLとが、細胞数に基づいて医薬的に有効な濃度で含有されており、前述のエピトープペプチドが、8〜12個のアミノ酸からなる、癌治療用医薬組成物。
2.前述の医薬的に有効な濃度が、前述の医薬組成物に含有される細胞の総数に基づいて、少なくとも65%である、請求項1に記載の医薬組成物。
3.前述の医薬的に有効な濃度が、前述の医薬組成物に含有される細胞の総数に基づいて、少なくとも90%である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
4.前述のCTLが、WT1、hTERT、およびNY−ESO−1からなる群から選択されるタンパク質を特異的に認識する、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
5.前述の癌が、固形癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
6.前述の固形癌が、結腸癌、腎臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、肝臓癌、乳癌、卵巣癌、神経膠腫細胞腫、胃癌、子宮頸癌、肉腫、前立腺癌、および肺癌から選択される少なくとも1つの癌型である、請求項5に記載の医薬組成物。
7.前述のタンパク質が、NY−ESO−1およびMAGE−A3であり、前述の癌が、肉腫である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
8.前述のタンパク質が、NY−ESO−1およびOY−TES−1であり、前述の癌が、卵巣癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
9.前述のタンパク質が、PSMAおよびTARPであり、前述の癌が、前立腺癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
10.前述のタンパク質が、hTERT、WT1、およびMAGE−A3であり、前述の癌が、肺癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
11.複数の抗原特異的CTLを生成する方法であって、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される単一の抗原に由来するエピトープペプチドと、対象から得られるPBMCとを接触させることによって、前述のエピトープペプチドを認識するCD8+CTLが生成される、第1の段階と、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される、前述の第1の段階において選択される抗原とは異なる抗原に由来するエピトープペプチドと、前述の対象から得られるPBMCとを接触させることによって、前述のエピトープペプチドを認識するCD8+CTLが生成される、第2の段階と、前述の第1の段階および第2の段階において生成された前述のCTLの中で、CD8および4−1BBの両方を発現するCTLを選択する、第3の段階と、を含み、前述の第1の刺激段階および前述の第2の刺激段階が、同時にまたは連続して実行される、方法。
12.複数の抗原特異的CTLを生成する方法であって、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される2つ以上の抗原に由来するエピトープペプチドと、対象から得られるPBMCとを接触させることによって、前述のエピトープペプチドを認識するCD8+CTLが生成される、第1の段階と、前述の第1の段階において生成された前述のCTLの中で、CD8および4−1BBの両方を発現するCTLを選択する、第2の段階と、を含む、方法。
本発明では、自己T細胞医薬品の治療効果を最大化することにより標準治療で治療できなかった治療困難な癌患者の利益のために、より迅速で効果的な治療機会を提供することにより癌治療の可能性を高めることができる。
本発明は、添付の図面を参照して十分に説明されるが、これらの特定の例には、本発明のすべての例が含まれてはいない。実際、本発明は様々な形態で特定することができ、したがって、本出願に提示された特定の例に限定される、またはそれによって限定されると解釈されてはならない。本明細書および添付の特許請求の範囲の項で使用されている単数形の用語には、特に明記されていない限り、複数形が含まれる。
多重特異性T細胞医薬品では、様々な癌抗原が、癌組織だけでなく単一の癌細胞においても生じる可能性があり、癌の進行、癌の転移、または回避機構によって生じる癌抗原の種類または量は変化し得る。したがって、一人の患者から様々な癌抗原特異的T細胞医薬品を生成することが可能である。上記にも関わらず、癌抗原T細胞医薬品の各臨床試験を実施する場合、1種類の癌抗原T細胞医薬品のみを使用する。所与の医薬品を多くの臨床試験に使用することが可能である場合でも、1種類の臨床試験を実施した後の予想される寿命不足のため、追加の治療機会がなく、そのため、最後の治療機会が、標準治療に失敗し、癌が再発した、または癌が進行中である癌患者にとって不十分になり得、癌治療の効果も制限され得る。したがって、治療が困難な癌患者の治療の可能性を高め、より良い治療機会を提供するためには、T細胞医薬品の癌治療効果を最大化する必要がある。
本発明の下で「癌」という用語は、異常なかつ制御されていない細胞増殖によって引き起こされる多くの疾病または疾患を指す。癌を引き起こす可能性のある細胞は癌細胞と呼ばれ、癌細胞は制御できない増殖、不滅性、転移の潜在能力、急速な成長および増殖によって特徴づけられ、独特の構造的特徴を有する。多くの場合、癌細胞は、腫瘍の形態で存在し得るが、独立的に存在し得る、または哺乳類の白血病細胞などの非腫瘍細胞であり得る。癌組織または癌細胞において様々な癌抗原が生成されることがあり得、癌の進行、癌の転移、回避機構によって生じる癌抗原の種類および量は異なり得る。
しかし、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、損傷した細胞(例えば、癌細胞、ウイルス感染細胞など)を攻撃して破壊する白血球の1種である。ほとんどのCTLは、T細胞受容体(TCR)を有し、CTLは、TCRによって損傷を受けた細胞によって提示される抗原を認識して、細胞特異的毒性を示す。特に、損傷した細胞の抗原は、MHCクラスIまたはMHCクラスII分子によって細胞表面に提示され、TCRはT細胞が損傷した細胞を破壊するためにMHC/抗原化合物を認識し、この過程でCD8は、MHCクラスI分子の不変領域と結合する。
しかし、本発明者は、EBV特異的CTL、WT1特異的CTL、およびhTERT特異的CTLの各々について、安全性および治療効果を証明した。さらに、PBMCと様々なサイトカインとを組み合わせることで生成される腫瘍またはサイトカイン誘導キラー細胞(CIK細胞)から分離された、様々な癌抗原と特異的に組み合わせることができる腫瘍浸潤リンパ球(TIL)は臨床試験中であるか、または市販されている。
それに応じて、本発明者は、複数の癌抗原を特異的に認識するCTLの組み合わせを使用することによって癌治療の可能性を高め得ると予測し、これを証明し、それによって本発明、すなわち本発明の下での多重特異性T細胞医薬品を完成させた。
本発明の一実施形態の下では、使用可能な抗原としては、自己腫瘍抗原、ウイルス抗原、および/または組織特異的抗原が挙げられるが、この分野の通常のレベルの知識を有する人なら誰でも、多重特異性T細胞医薬品に使用できる抗原としては、腫瘍特異的抗原または腫瘍関連抗原が挙げられることを理解するであろう。
例えば、患者の遺伝子に由来する自己癌抗原としては、hTERT(GenBank:BAC11010.1)、WT1(GenBank:AAO61088.1)、NY−ESO1(GenBank:CAA05908.1)、MAGE−A3(NCBI参照配列:NP_005353.1)など、および癌特異的変異抗原、例えば、腫瘍阻害剤または新抗原、変異P53、RASなどの誘導遺伝子が挙げられ得、また外部癌抗原としては、癌誘導ウイルス抗原、例えば、CMV、EBV、HPVなどが挙げられ得る。
自己癌抗原としては、WT1、hTERT、NY−ESO1、メソテリン、MAGEなどが挙げられる。例えば、自己癌抗原であるhTERTは、染色体の末端からテロメアDNAを合成する酵素であり、テロメア依存性細胞破壊を回避するために、癌細胞がこの酵素を過剰に活性化し、この抗原は、肺癌、胃癌、膵臓癌を含む様々な固形癌の標的抗原であることが知られている(Kim NW、et al.Science.1994;266:2011−2015)が、他方、WT1は、ウィルムス腫瘍に関連する遺伝子であり、亜鉛フィンガー転写因子を分類することによって臓器の増殖および分離、死、ならびに生成に関与するタンパク質であり、脳脊髄癌、肺癌などの標的抗原として知られている(KM、et al.,Cell.1990.60:509−520;Nakahara Y,et al.,Brain Tumor Pathol.2004.21:113−6)。さらに、前述のNY−ESO1は、癌精巣抗原(CTA)に属するタンパク質の1つであり、生殖細胞、肉腫、乳癌を含む様々な癌細胞によって生成されることが知られている(Gnjatic S,et。al.,Adv Cancer Res.2006;95:1−30)。MAGE−A3は、黒色腫関連抗原ファミリーに属するタンパク質であり、正常な細胞でどのような機能を果たしているかは不明であるが、肺癌、肉腫、黒色腫を含む様々な癌細胞で過剰に生成されることが知られており、したがって、MAGE−A3は癌の免疫学的治療のための適切な標的抗原として知られている(Decoster L,et.al.,Ann Oncol.2012 Jun;23(6):1387−93)。したがって、特定の癌に関連することが知られている癌抗原は、本方法の下で個人の癌抗原CD8+T細胞の生成に使用することができる。
さらに、ウイルス性癌抗原には、EBV、HPV、MCポリオーマウイルス、HBV、HCV、CMVなどが挙げられる。エプスタイン・バーウイルス抗原は、ホジキンリンパ腫、鼻咽頭癌、胃癌、バーキットリンパ腫、NK/Tリンパ腫などの標的抗原であることが知られており、ヒトパピローマウイルスのウイルス抗原は、子宮癌および頭頸部癌の標的抗原として知られており、MCポリオーマウイルスは、メルケル細胞癌の標的抗原として知られている。さらに、B型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスは、肝臓癌の標的細胞であることが知られている。
組織特異的癌抗原には、黒色腫の標的抗原であるチロシナーゼ、GP100およびMNRT−1、ならびに前立腺癌の標的抗原であるPSMA、PAP、およびPSAが挙げられる。
さらに、大腸癌では、TP53およびAPCの変異などのドライバー変異部位、またはTcF7、PSPH−6、Deptor 15、Man 1Aなどのパッセンジャー変異部位などの変異関連新抗原(MANA)が本発明の下で多重特異性T細胞医薬品の抗原として使用され得る。
本発明の一実施形態では、OY−TES−1、hTERT、NY−ESO1、MAGE−A3、WT1、PSMA、TARP、メソテリン、チロシナーゼ、GP−100、MNRT−1、PAP、PSA、PRAME、CMV、HCV、HBV、MCポリオーマウイルス、HPV、およびEBVからなる群から選択される1つ以上の選択肢(items)を使用して、癌抗原として多重特異性CTLを生成することが可能である。
本発明の別の実施形態では、(a)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される単一の抗原由来エピトープペプチドと、(b)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択され、上記(a)で選択された抗原とは異なる、抗原由来エピトープペプチドとを抗原として使用することにより、多重特異性CTLを生成することが可能である。この点で、前述のエピトープペプチドは、8〜20個のアミノ酸、8〜19個のアミノ酸、8〜18個のアミノ酸、8〜17個のアミノ酸、8〜16個のアミノ酸、8〜15個のアミノ酸、8〜14個のアミノ酸、8〜13個のアミノ酸、8〜12個のアミノ酸、および8〜11個のアミノ酸からなる。
例えば、本発明による多重特異性T細胞医薬品は、抗原が癌型によって異なる速度で生成されるという事実に基づいて、抗原を組み合わせることにより使用することができる。各癌型の抗原の生成率を以下に示す。表1は、各癌型についてのWT−1の生成率を示し、表2は、癌型によるhTERTの生成率を示す。表3は、各癌型についてのNY−ESO−1の生成率を示し、表4は、各癌型についてのEBVの生成率を示す。
前述のEBV、hTERT、およびWT1の特異的T細胞医薬品、ならびに複数の抗原特異的T細胞医薬品(Cast)は、以下の表5に示す特性を有する。
さらに、癌抗原選択検査の結果を以下の表6に示す。
さらに、2、3、4、5、またはそれ以上の癌抗原由来ペプチドが使用される。特に、エピトープとして作用する一般に3〜4種類のペプチドがT細胞医薬品の生成に使用されるという事実を考慮すると、癌抗原に由来する少なくとも4、5、6、7、8または9個のペプチドを使用することができる。ペプチドの数は、本発明の方法および本分野の技術を考慮して、分野の人によって決定される必要がある。
本発明の別の実施形態では、本発明による医薬組成物は、前述の医薬組成物中の抗原特異的CD8+T細胞の少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含有する。
本発明の別の実施形態では、本発明の下での医薬組成物は、癌の治療に使用することができる。本発明の別の実施形態では、本発明の下で医薬組成物を使用できる適応症は固形癌であり、本発明の別の実施形態では、前述の固形癌種としては、結腸癌、腎臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、肝臓癌、乳癌、卵巣癌、神経膠腫細胞腫、胃癌、子宮頸癌、肉腫、前立腺癌、肺癌などが挙げられる。
本発明の別の実施形態では、肉腫を治療するためのT細胞医薬品は、NY−ESO−1およびMAGE−A3に特異的なCD8+T細胞を含有する。本発明の別の実施形態では、卵巣癌を治療するためのT細胞医薬品は、NY−ESO−1およびOY−TES−1に特異的なCD8+T細胞を含有する。本発明の別の実施形態では、前立腺癌を治療するためのT細胞医薬品は、PSMAおよびTARPに特異的なCD8+細胞を含有する。本発明の別の実施形態では、肺癌を治療するためのT細胞医薬品は、hTERT、WT1、およびMAGE−A3に特異的なCD8+Tを含有する。
本発明に従って複数の抗原特異的CTLを生成する方法を以下に説明する。
この方法は、前述のエピトープペプチドを認識するCD8+CTLが、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される単一の抗原由来エピトープペプチドと、標的から得られるPBMCとを接触させることによって生成される第1段階と、前述のエピトープペプチドが認識されるのを認識するCD8+CTLが、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される、前述の第1段階から選択される抗原とは異なる抗原に由来するエピトープペプチドと、標的から得られるPBMCとを接触させることによって生成される第2の段階と、CTLが、前述の第1段階および第2段階において生成されたCTLの中で、CD8および4−1BBの両方を生じる第3段階とを含み、前述の第1の刺激段階および第2の刺激段階が、同時にまたは連続して実行される。
この方法は、前述のエピトープペプチドを認識するCD8+CTLが、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される単一の抗原由来エピトープペプチドと、標的から得られるPBMCとを接触させることによって生成される第1段階と、前述のエピトープペプチドが認識されるのを認識するCD8+CTLが、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される、前述の第1段階から選択される抗原とは異なる抗原に由来するエピトープペプチドと、標的から得られるPBMCとを接触させることによって生成される第2の段階と、CTLが、前述の第1段階および第2段階において生成されたCTLの中で、CD8および4−1BBの両方を生じる第3段階とを含み、前述の第1の刺激段階および第2の刺激段階が、同時にまたは連続して実行される。
本発明の下で複数の抗原特異的CTLを生成する追加の方法を以下に記載する。
この方法は、前述のエピトープペプチドを認識するCD8+CTLが、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される2つ以上の抗原由来エピトープペプチドと、標的から得られるPBMCとを接触させることによって生成される第1段階と、CTLが、前述の第1段階において生成されたCTLの中で、CD8および4−1BBの両方を生じる第2の段階と、を含む。
この方法は、前述のエピトープペプチドを認識するCD8+CTLが、WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される2つ以上の抗原由来エピトープペプチドと、標的から得られるPBMCとを接触させることによって生成される第1段階と、CTLが、前述の第1段階において生成されたCTLの中で、CD8および4−1BBの両方を生じる第2の段階と、を含む。
本発明の一実施形態では、多重特異性T細胞医薬品は、以下の方法を使用することによって生成される。腫瘍において特異的に生成される、または過剰に生成される抗原が選択され、選択された抗原の各々を使用することによって少なくとも1つのエピトープが生成される。標的から抽出したPBMCを各エピトープとともに約14日間培養し、2日目、7日目、9日目、11日目、13日目、および15日目に培養培地を交換し、14日目に同じエピトープで再度培養物を刺激する。次いで、15日目に、各混合物を収集し、CD8および4−1BBの両方を生成するCTLを細胞分析に基づいて分離する。
本発明の下で「組成物」という用語は、活性成分であり、本発明の下で細胞傷害性T細胞、天然担体または人工担体などの活性成分と、標識または探索的材料、アジュバント、希釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、脂肪親和性溶媒、および保存剤などの不活性成分との組み合わせを指す。組成物は、医薬的に許容される担体も含む。担体は、1つ以上の医薬賦形剤ならびに追加のタンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、および糖質(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、アルジトール、アルドン酸、糖誘導体、例えば、糖エステル、多糖、または糖ポリマーなど)を含有することができ、これらの材料の1〜99.99重量%または容量%を含み得る。タンパク質賦形剤としては、ヒト血清アルブミン、組換えヒトアルブミン、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。代表的な緩衝アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、グリシン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルタムなどが挙げられる。糖質賦形剤としては、単糖類、例えばフルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D−マンノース、およびソルボース、二糖類、例えばラクトース、スクロース、トレハロース、およびセロビオース、多糖類、例えばラフィノース、マルトデキストリン、テキストラン、およびスターチ、ならびにアルジトール、例えば、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、ミオイノシトールなどが挙げられる。
既知の方法を使用して、本発明の下での医薬組成物を有する医薬を生成することが可能である。例えば、必要に応じて、水または医薬的に許容される液体滅菌溶媒、または懸濁液注射を非経口的に使用することができる。例えば、医薬的に許容される担体または媒体、具体的には滅菌水または生理食塩水、植物油、懸濁液、界面活性剤、安定剤、賦形剤、ビヒクル、保存剤、結合剤などを適切に組み合わせることができ、投薬に必要な一般に認識されている単位含有量は、医薬品を生成するために混合することができる。上記の医薬品の場合、有効な含有量は、指示された範囲内の適切な含有量である。
さらに、注射用の滅菌組成物は、注射用の蒸留水などの賦形剤を使用して、従来の医療に従って処方し得る。注射液、例えば生理食塩水には、グルコースまたは他の補助剤、例えばD−ソルビトール、D−マンノース、D−マンニトール、および塩化ナトリウムを含有する等張液を使用でき、適切な溶解補助剤、例えばアルコール、特にエタノール;多価アルコール、例えば、プロピレングリコール、プロエチレングリコール;非イオン性界面活性剤、例えば、ポリソルベート80(商標)またはHCO−50を使用することができる。油液には、ゴマ油および大豆油を含むことができ、溶解補助剤には、安息香酸ベンジルおよびベンジルアルコールを含み得る。
注射の種類には、例えば、静脈内注射、動脈内注射、選択的動脈内注射、筋肉内注射、腹腔内注射、皮下注射、脳室内注射、脳内注射、骨髄注射などが含まれるが、望ましい方法は静脈内注射である。
本発明の下での組成物は、医薬的有効量のT細胞を含有する。有効量は、本明細書の内容に基づいて、本分野の通常の知識を有する人なら誰でも容易に決定し得る。一般に、医薬的有効量は、最初に有効成分を低密度で注射し、次いで所望の効果まで(例えば、癌に関連する症状が軽減または解消されるまで)徐々に量を増加させることによって決定される。本発明の下で組成物の適切な投与量または投与間隔は、Goodman and Gilman’s the Pharmacological Basis of Therapeutics,Goodman et al.,eds.,第11版、McGraw−Hill 2005;およびRemington:The Science and Practice of Pharmacy,第20版および第21版、Gennaro and University of the Sciences in Philadelphia,Ed.,Lippencott Williams&Wilkins(2003 and 2005)に記載されている。
本発明の下での組成物の投与方法は、癌型、年齢、体重、性別、患者の疾病の病状および重症度、投与方法、投与されている他の医薬品などの様々な要因を考慮して決定され得る。本組成物を投与する様々な方法があるが、一般的に使用される方法を使用することができる。
本発明の下で患者に投与される組成物の量は、投与方法、患者の健康状態および体重、医師の処方箋などの多くの要因に基づいて決定することができ、これらの要因はすべて、当分野の通常のレベルの知識を有する人の知識の範囲内にある。
本発明の下での癌抗原特異的細胞傷害性T細胞を含有する癌の予防または治療の医薬組成物は、約1×106細胞/mL以上、約2×106細胞/mL以上、約3×106細胞/mL以上、約4×106細胞/mL以上、約8×106細胞/mL以上、約6×106細胞/mL以上、約7×106細胞/mL以上、約8×106細胞/mL以上、約9×106細胞/mL以上、約1×107細胞/mL以上、約2×107細胞/mL以上、約3×107細胞/mL以上、約4×107細胞/mL以上、約5×107細胞/mL以上、約6×107細胞/mL以上、約7×107細胞/mL以上、約8×107細胞/mL以上、約9x107細胞/mL以上、約1x108細胞/mL以上、約2x108細胞/mL以上、約3x108細胞/mL以上、約4×108細胞/mL以上、約5×108細胞/mL以上、約6×108細胞/mL以上、約7×108細胞/mL以上、約8×108細胞/mL以上、または9×108/mL以上を含有するが、本分野で通常のレベルの知識を有する誰でも、同じ効果を得るために、調整可能な範囲内で組成物中の細胞傷害性T細胞の密度を調整することができる。
さらに、緩衝液、例えば、リン酸緩衝液または酢酸ナトリウム緩衝液;鎮痛剤、例えば、塩酸プロカイン;安定剤、例えば、ベンジルアルコールもしくはフェノール;または酸化防止剤を組み合わせることができる。調製された注射液は通常、適切なアンプルに充填される。
懸濁液および乳濁液は、例えば、天然ガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含有し得る担体である。筋肉内注射用の懸濁液または溶液は、活性化合物、ならびに医薬的に許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、プロピレングリコール、および必要に応じて適切な量の塩酸リドカインを含有し得る。
本発明による細胞毒性T細胞を含有する医薬組成物は、ボーラス注射、または持続注入によって被験者に投与することができる。例えば、本発明による医薬組成物は、1時間以内、1時間以上、2時間以上、3時間以上、4時間以上、8時間以上、12時間以上、1日以上、2日以上、3日以上、4日以上、5日以上、6日以上、7日以上、2週間以上、3週間以上、4週間以上、1ヵ月以上、3ヵ月以上、6ヵ月以上に1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、継続的にもしくは特定の間隔で、または臨床的判断に基づいて決定された間隔で投与され得る。注射は、アンプルの形態であり得るか、または複数回の投与用の単位容積容器に含有され得る。しかし、本発明の下で医薬組成物の量は、被験者の年齢、体重、身長、性別、病状全般、および既存の治療歴などの様々な要因によって変化し得ることを、当分野の通常のレベルの知識を有する者は理解するであろう。
本明細書で使用されている「約」という用語は、適用される技術分野で通常使用されている範囲、すなわち、平均から2標準偏差内であるとして理解され得る。「約」とは、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、または0.01%内であるとして理解され得る。
本発明の下で、「抗癌」という用語は、「予防」および「治療」の両方を指し、本明細書において、「予防」という用語は、本発明の下で抗体を含む組成物を投与することによって癌を抑制または遅延させるすべての活動を指し、「治療」という用語は、本発明の下で抗体を投与することによって癌症状を改善するか、または有利に影響を与えるすべての活動を指す。
実施例1.癌細胞の増殖に対するシクロホスファミド(CTX)の効果
CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。OVAを産生するEL4(EG7)細胞をCTXで投与し、次いで、2日目、4日目、6日目、8日目に皮下注射を投与し、腫瘍の増殖を30日間調べた(図1)。
CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。OVAを産生するEL4(EG7)細胞をCTXで投与し、次いで、2日目、4日目、6日目、8日目に皮下注射を投与し、腫瘍の増殖を30日間調べた(図1)。
実施例2.抗原特異的CD8+T細胞活性化レベルおよびIL−2の癌細胞増殖抑制効果
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射により投与し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞またはナイーブOVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2)200IU/mLを5日間、腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与されたマウスの一部には、25,000IUのrhIL−2を腹腔内注射により5日間投与し、腫瘍増殖を30日間観察した(図2)。
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射により投与し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞またはナイーブOVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2)200IU/mLを5日間、腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与されたマウスの一部には、25,000IUのrhIL−2を腹腔内注射により5日間投与し、腫瘍増殖を30日間観察した(図2)。
実施例3.抗原特異的CD8+T細胞活性化レベルおよびIL−2によるCD8+T細胞の増殖の影響
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射により投与し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞またはナイーブOVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2)200IU/mLを5日間、腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与したマウスの一部には、腹腔内注射により25,000IUのrhIL−2を5日間投与した。腫瘍移入から35日後、各リンパ球を各マウス群から調製し、PE統合H−2Kb/SII(OVA)ペンタマーで染色した(図3)。
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射により投与し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞またはナイーブOVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2)200IU/mLを5日間、腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与したマウスの一部には、腹腔内注射により25,000IUのrhIL−2を5日間投与した。腫瘍移入から35日後、各リンパ球を各マウス群から調製し、PE統合H−2Kb/SII(OVA)ペンタマーで染色した(図3)。
実施例4.4−1BBシグナルの伝達による抗原特異的CD8+T細胞の抗癌効果の増加
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射で投与し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2))200IU/mLを抗4−1BBモノクローナル抗体5ug/mLとともに、または抗4−1BBモノクローナル抗体を含まずに、5日間、腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与したマウスの一部には、腹腔内注射により25,000IUのrhIL−2を5日間投与し、腫瘍増殖を30日間観察した(図4)。
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射で投与し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2))200IU/mLを抗4−1BBモノクローナル抗体5ug/mLとともに、または抗4−1BBモノクローナル抗体を含まずに、5日間、腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与したマウスの一部には、腹腔内注射により25,000IUのrhIL−2を5日間投与し、腫瘍増殖を30日間観察した(図4)。
実施例5.投与された抗原特異的CD8+T細胞の量に応じた抗癌効果の増加
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2)200IU/mlを抗4−1BBモノクローナル抗体5ug/mLとともに5日間腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与したマウスの一部には、腹腔内注射により25,000IUのrhIL−2を5日間投与し、腫瘍増殖を30日間観察した(図5)。
リンパ球の減少を誘発するために、CTX3mgを腹腔内注射によりC57BL/6マウスに投与した。2日後、EG7細胞を皮下注射し、OT−Iマウス由来リンパ球の培養により生成された活性OVA特異的CD8+T細胞をOVAペプチド5ug/mLとともに5日間培養し、組換えヒトIL−2(rhIL−2)200IU/mlを抗4−1BBモノクローナル抗体5ug/mLとともに5日間腹腔内注射により投与した。活性CD8+T細胞を投与したマウスの一部には、腹腔内注射により25,000IUのrhIL−2を5日間投与し、腫瘍増殖を30日間観察した(図5)。
実施例6.自己抗原特異的CD8+T細胞の抗癌効果
試験を図6と一致する様式で実施し、結果を図6A、6B、および6Cに示す。
試験を図6と一致する様式で実施し、結果を図6A、6B、および6Cに示す。
実施例7.毒性試験
自己抗原特異的CD8+T細胞の毒性を1回および複数回試験した。毒性を観察するために、OVA特異的CD8+T細胞をC57BL/6に1回および複数回投与した。
自己抗原特異的CD8+T細胞の毒性を1回および複数回試験した。毒性を観察するために、OVA特異的CD8+T細胞をC57BL/6に1回および複数回投与した。
40匹のオスおよび40匹のメスのC57BL/6マウスを各々10匹のマウス群に分け、週に1回、3週間にわたって4回静脈内投与した。
試験結果によると、試験材で死亡した動物はなく、全身症状もなかった。また、マウス由来のCTLを予想される臨床量の約20倍の量で3週間にわたり4回(1週間に1回)静脈内投与しても安全であることが試験により確認された。
実施例8.分布試験
抗癌効果を誘発するために、研究者らは、投与された抗原特異的CD8+T細胞が体内のどの器官に分布しているかを調べた。
抗癌効果を誘発するために、研究者らは、投与された抗原特異的CD8+T細胞が体内のどの器官に分布しているかを調べた。
Thy1.2 C57B/6マウスに由来するOVA特異的TCR修飾OT−1CD8+T細胞を、EG7(OVA発現EL4)を含有するThy1.1 C57BL/6マウスに投与し、特定の条件および結果を以下の表8に示す。
ほとんどの抗原特異的CD8+T細胞は、リンパ器官に移動して蓄積および増殖し、抗癌効果を発揮することが示された。さらに、全身臓器に投与された概して抗原特異的CD8+T細胞は、蓄積または増殖しないことが示された。
実施例9.EBV特異的T細胞の効果の試験
EBV特異的T細胞の効果は、マウス移植モデルで確認した。具体的な試験方法および結果を図7に示す。
EBV特異的T細胞の効果は、マウス移植モデルで確認した。具体的な試験方法および結果を図7に示す。
実施例9.WT1特異的T細胞の効果の試験
WT1特異的T細胞の効果は、マウス移植モデルで確認した。具体的な試験方法および結果を図8に示す。
WT1特異的T細胞の効果は、マウス移植モデルで確認した。具体的な試験方法および結果を図8に示す。
実施例10.hTERT特異的T細胞の効果の試験
hTERT特異的T細胞の効果は、マウス移植モデルで確認した。具体的な試験方法および結果を図9に示す。
hTERT特異的T細胞の効果は、マウス移植モデルで確認した。具体的な試験方法および結果を図9に示す。
実施例11.第2相臨床試験手順
図10に示す方法で臨床試験を実施した。
図10に示す方法で臨床試験を実施した。
より具体的には、WT1、hTERT、NY−ESO−1、およびEBV抗原で活性化された4−1BB+CD8+T細胞を医薬品の活性成分として使用し、7x108〜2.8x109細胞/200mLを標準治療に反応しなかった、再発した固形癌患者に投与した。
例えば、特許請求の範囲を構成する目的で、以下に述べる請求項は、文字通りよりも狭く解釈されてはならず、したがって、明細書の例示的な実施形態は、請求項として読まれてはならない。したがって、本発明は例として述べられており、これらの例は、特許請求の範囲を限定しないことが理解されなければならない。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。本出願で引用されたすべての刊行物、公開された特許、特許出願、書籍およびジャーナル論文は、全体において参考文献として本出願に含まれている。
Claims (12)
- エピトープペプチドによって直接刺激されたPBMCから生成された細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を含有する、癌治療用医薬組成物であって、
(a)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される抗原に由来するエピトープペプチドを認識するCD8+CTLと、
(b)WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される、上記(a)において選択される抗原とは異なる抗原に由来するエピトープペプチドを認識するCD8+CTLとが、細胞数に基づいて医薬的に有効な濃度で含有されており、
前記エピトープペプチドが、8〜12個のアミノ酸からなる、
癌治療用医薬組成物。 - 前記医薬的に有効な濃度が、前記医薬組成物に含有される細胞の総数に基づいて、少なくとも65%である、請求項1に記載の医薬組成物。
- 前記医薬的に有効な濃度が、前記医薬組成物に含有される細胞の総数に基づいて、少なくとも90%である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記CTLが、WT1、hTERT、およびNY−ESO−1からなる群から選択されるタンパク質を特異的に認識する、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記癌が、固形癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記固形癌が、結腸癌、腎臓癌、膵臓癌、頭頸部癌、非小細胞肺癌、肝臓癌、乳癌、卵巣癌、神経膠腫細胞腫、胃癌、子宮頸癌、肉腫、前立腺癌、および肺癌から選択される少なくとも1つの癌型である、請求項5に記載の医薬組成物。
- 前記タンパク質が、NY−ESO−1およびMAGE−A3であり、前記癌が、肉腫である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記タンパク質が、NY−ESO−1およびOY−TES−1であり、前記癌が、卵巣癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記タンパク質が、PSMAおよびTARPであり、前記癌が、前立腺癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- 前記タンパク質が、hTERT、WT1、およびMAGE−A3であり、前記癌が、肺癌である、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
- 複数の抗原特異的CTLを生成する方法であって、
WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される単一の抗原に由来するエピトープペプチドと、対象から得られるPBMCとを接触させることによって、前記エピトープペプチドを認識するCD8+CTLが生成される、第1の段階と、
WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、およびMUC16からなる群から選択される、前記第1の段階において選択される抗原とは異なる抗原に由来するエピトープペプチドと、前記対象から得られるPBMCとを接触させることによって、前記エピトープペプチドを認識するCD8+CTLが生成される、第2の段階と、
前記第1の段階および第2の段階において生成された前記CTLの中で、CD8および4−1BBの両方を発現するCTLを選択する、第3の段階と
を含み、前記第1の刺激段階および前記第2の刺激段階が、同時にまたは連続して実行される、方法。 - 複数の抗原特異的CTLを生成する方法であって、
WT1、hTERT、NY−ESO−1、メソテリン、チロシナーゼ、GP100、MNRT−1、PAP(ACPP)、PSA(KLK3)、MAGE−A3、OY−TES−1、PSMA、TARP、PRAME、MUC16からなる群から選択される2つ以上の抗原に由来するエピトープペプチドと、対象から得られるPBMCとを接触させることによって、前記エピトープペプチドを認識するCD8+CTLが生成される、第1の段階と、
前記第1の段階において生成された前記CTLの中で、CD8および4−1BBの両方を発現するCTLを選択する、第2の段階と
を含む、方法。
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2020
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