JP2021120703A - 感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターン及びその製造方法 - Google Patents

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秀二郎 塩崎
Shujiro Shiozaki
秀二郎 塩崎
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Tomoshi Ogura
知士 小倉
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Abstract

【課題】硬化レリーフパターンの面内均一性を改善することができる、感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンおよびその製造方法を提供すること。【解決手段】(A)ポリイミドおよびポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種以上の樹脂と、(B)感光剤と、(C)ウレア化合物とを含む、感光性樹脂組成物。上記感光性樹脂組成物を170℃で2時間加熱することにより硬化させた硬化膜を、温度50℃、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(TMAH)のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に、10分間接触させたとき、接触前と接触後における、上記硬化膜の1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、下記式(1):0.1≦(接触後ピーク強度/接触前ピーク強度)≦0.8・・・(1)を満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターン及びその製造方法に関する。
従来、電子部品の絶縁材料、及び半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜、層間絶縁膜等には、優れた耐熱性、電気特性及び機械特性を併せ持つポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、フェノール樹脂等が用いられている。これらの樹脂の中でも、感光性樹脂組成物の形態で提供されるものは、該組成物の塗布、露光、現像、及びキュアによる熱イミド化処理によって、耐熱性のレリーフパターン皮膜を容易に形成することができる。このような感光性樹脂組成物は、従来の非感光型材料に比べて、大幅な工程短縮を可能にするという特徴を有している。
一方、近年は、集積度及び演算機能の向上、並びにチップサイズの矮小化の観点から、半導体装置のプリント配線基板への実装方法(パッケージング構造)も変化している。従来の金属ピンと鉛−スズ共晶ハンダによる実装方法から、より高密度実装が可能なBGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージング)等のように、ポリイミド被膜が、直接ハンダバンプに接触する構造が用いられるようになってきている。さらには、FO(ファンアウト)のように、半導体チップの表面に、その半導体チップの面積より大きな面積をもつ再配線層を複数層有する構造も提案されている。
上記FOのような多層膜の形成を必要するパッケージング構造では、層間絶縁樹脂とCu配線上に、感光性樹脂組成物をさらに塗布することになる。特許文献1には、特定の物性を有する樹脂層を用いて多層膜を形成することで樹脂同士の密着性に優れた積層体を得られることが開示されている。また、特許文献2には、層間絶縁膜用途のポリイミド前駆体、光重合開始剤、所定の構造を有する低分子化合物を含む感光性樹脂組成物が開示されている。
国際公開第2017/146152号 特開2019−185031号公報
しかしながら、上記特許文献2に記載のような従来の感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを二層以上積層すると、該感光性樹脂組成物の硬化レリーフパターンのぬれ性が低いために、硬化レリーフパターン上へ更に感光性樹脂組成物を塗布した時の面内均一性が不十分であることが分かった。
本発明は、硬化レリーフパターンの面内均一性を改善することができる、感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、ウレア化合物を含有する感光性樹脂組成物の硬化膜を、特定の条件によってTMAHのDMSO溶液に接触させた際の、接触前後の硬化膜のIRピークの強度比を特定の範囲に収めることで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。以下、本発明の実施形態の例を列記する。
[1]
(A)ポリイミドおよびポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種以上の樹脂と、
(B)感光剤と、
(C)ウレア化合物と
を含む、感光性樹脂組成物であって、
上記感光性樹脂組成物を170℃で2時間加熱することにより硬化させた硬化膜を、温度50℃、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(TMAH)のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に、10分間接触させたとき、
接触前と接触後における、上記硬化膜の1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、下記式(1):
0.1≦(接触後ピーク強度/接触前ピーク強度)≦0.8 ・・・(1)
を満たす、感光性樹脂組成物。
[2]
接触前と接触後の上記硬化膜の膜厚の変化量が、1nm以上1000nm以下である、項目1に記載の感光性樹脂組成物。
[3]
接触前の上記硬化膜のイミド化率が70%以上100%以下である、項目1または2に記載の感光性樹脂組成物。
[4]
上記感光性樹脂組成物は、絶縁部材形成用の感光性樹脂組成物である、項目1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[5]
上記感光性樹脂組成物は、層間絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物である、項目1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[6]
上記感光性樹脂組成物は、二層以上の層間絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物である、項目1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
[7]
(1)項目1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
(2)上記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)上記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)上記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と、
(5)上記硬化レリーフパターンをアルカリ溶液と接触させる工程と、
(6)上記アルカリ溶液と接触させた上記硬化レリーフパターンを加熱処理する工程と、
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[8]
上記加熱処理は170℃以下の加熱処理である、項目7に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
[9]
上記工程(4)で得られる硬化レリーフパターンおよび上記工程(6)で得られる硬化レリーフパターンの、1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、上記工程(5)で得られる硬化レリーフパターンの1778cm−1付近のIRピーク強度よりも高い、項目7または8に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
[10]
上記硬化レリーフパターンを上記アルカリ溶液と接触させる工程(5)は、フォトレジストの剥離工程である、項目7〜9のいずれか一項に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
[11]
硬化膜を、温度50℃、濃度2.38質量%のTMAHのDMSO溶液に、10分間接触させたとき、接触前と接触後における、上記硬化膜の1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、下記式(1):
0.1≦(接触後ピーク強度/接触前ピーク強度)≦0.8 ・・・(1)
を満たす、硬化膜。
[12]
接触前と接触後の上記硬化膜の膜厚の変化量が、1nm以上1000nm以下である、項目11に記載の硬化膜。
[13]
接触前の上記硬化膜のイミド化率が70%以上100%以下である、項目11または12に記載の硬化膜。
本発明によれば、感光性樹脂組成物の硬化レリーフパターンを二層以上積層した際の、硬化レリーフパターンの面内均一性を改善することができる、感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンおよびその製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。なお、本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合に、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、
(A)ポリイミドおよびポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種以上の樹脂と、
(B)感光剤と、
(C)ウレア化合物と
を含む。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、170℃で2時間加熱することにより、硬化膜を得ることができる。この硬化膜を、温度50℃、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(TMAH)のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液(以下、「標準TMAH溶液」ともいう。)に、10分間接触させたとき、接触前と接触後における、上記硬化膜の1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、下記式(1)を満たす。
0.1≦(接触後ピーク強度/接触前ピーク強度)≦0.8 ・・・(1)
硬化膜のIRピーク強度が上記範囲内にあることで、硬化膜の親水性が増加し、硬化膜上への更なる感光性樹脂組成物のコートに適した濡れ性を有するようになる。接触後ピーク強度/接触前ピーク強度の値は、耐薬品性の観点から0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。接触後ピーク強度/接触前ピーク強度の値が0.1未満の硬化膜は、耐薬品性に乏しい。接触後ピーク強度/接触前ピーク強度の値は濡れ性の観点から、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい。
上記標準TMAH溶液の温度、濃度、及び接触条件は、感光性樹脂組成物の接触後ピーク強度/接触前ピーク強度を測定するための条件であって、本実施形態の感光性樹脂組成物の使用方法又は用途を限定するものではないことに留意されたい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分に、更に(C)ウレア化合物を組み合わせることにより、接触後ピーク強度/接触前ピーク強度を上記式(1)の範囲内に調整することができる傾向にある。
標準TMAH溶液の接触前と接触後の膜厚の変化量は、1nm以上1000nm以下であることが好ましい。硬化レリーフパターンの製造方法におけるアルカリ溶液に対しての溶解性が低いと、パターンの劣化(クラック、パターン形状くずれ)を効果的に抑えることができることから、標準TMAH溶液に接触された前後の硬化膜の膜厚の変化量は、600nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。硬化膜の膜厚の変化量は、接触前の硬化膜の膜厚を約3μmに調整して測定される。
標準TMAH溶液によって接触される前の硬化膜は、多層体を形成する場合の工程での脱ガス性や硬化収縮の観点から、イミド化率が70%以上100%以下であることが好ましい。イミド化率が70%以上の場合、アルカリ溶液接触後の工程において脱ガス性や硬化収縮を抑制することができる。イミド化率は、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
(A)ポリイミド前駆体
本実施形態における(A)ポリイミド前駆体は、感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、加熱環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。ポリイミド前駆体は下記一般式(3)で表される構造を有するポリアミドであることが好ましい。
Figure 2021120703
{式中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、nは2〜150の整数であり、そしてR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、R及びRの少なくともいずれかは、下記一般式(4):
Figure 2021120703
(式中、L、L及びLは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3の1価の有機基であり、そしてm1は、2〜10の整数である。)で表される1価の有機基である。}
一般式(3)におけるR及びRが水素原子である割合は、R及びR全体のモル数を基準として10%以下であることがより好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。また、一般式(3)におけるR及びRが上記一般式(4)で表される1価の有機基である割合は、R及びR全体のモル数を基準として70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。水素原子の割合、及び一般式(4)の有機基の割合が上記範囲にあることは、感光特性と保存安定性の観点から好ましい。
一般式(3)におけるnは、2〜150の整数であれば限定されないが、感光性樹脂組成物の感光特性及び機械特性の観点から、3〜100の整数が好ましく、5〜70の整数がより好ましい。
一般式(3)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の有機基であり、より好ましくは、−COOR基及び−COOR基と−CONH−基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。Xで表される4価の有機基として、具体的には、芳香族環を含有する炭素原子数6〜40の有機基、例えば、下記一般式(20):
Figure 2021120703
{式中、R6は水素原子、フッ素原子、C〜C10の炭化水素基、及びC〜C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、lは0〜2から選ばれる整数であり、mは0〜3から選ばれる整数であり、そしてnは0〜4から選ばれる整数である。}で表される構造を有する基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(20)で表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
基としては、上記式(20)で表される構造のなかでも特に、下式:
Figure 2021120703
{式中、R6はフッ素原子、C〜C10の炭化水素基、及びC〜C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、mは0〜3から選ばれる整数である。}で表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、耐薬品性の観点から好ましい。
上記一般式(3)中、Yで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6〜40の芳香族基であり、例えば、下記式(21):
Figure 2021120703
{式中、R6は水素原子、フッ素原子、C〜C10の炭化水素基、及びC〜C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、そしてnは0〜4から選ばれる整数である。}で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(21)で表される構造を有するY基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
基としては、上記式(21)で表される構造のなかでも特に、下式:
Figure 2021120703
{式中、R6はフッ素原子、C〜C10の炭化水素基、及びC〜C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、そしてnは0〜4から選ばれる整数である。}で表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、耐薬品性の観点から好ましい。
上記一般式(4)中のLは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、L及びLは、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、mは、感光特性の観点から2以上10以下の整数、好ましくは2以上4以下の整数である。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(5):
Figure 2021120703
{式中、R、R、及びnは上記に定義したものである。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(5)において、R及びRの少なくともいずれかは、上記一般式(4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(5)で表されるポリイミド前駆体を含むことで、特に耐薬品性が高くなる。
Figure 2021120703
{式中、R、R、及びnは上記に定義したものである。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(6)において、R及びRの少なくともいずれかは、上記一般式(4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体は、一般式(5)で表される構造単位と、一般式(6)で表される構造単位の両方を含むことにより、特に解像性が高くなる傾向がある。例えば、(A)ポリイミド前駆体は、一般式(5)で表される構造単位と、一般式(6)で表される構造単位との共重合体を含んでもよく、あるいは、一般式(5)で表されるポリイミド前駆体と、一般式(6)で表されるポリイミド前駆体との混合物であってもよい。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(7):
Figure 2021120703
{式中、R、R、及びnは上記に定義したものである。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(7)において、R及びRの少なくともいずれかは、上記一般式(4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体は、一般式(5)で表される構造単位と、一般式(7)で表される構造単位の両方を含むことにより、特に解像性がさらに高くなる傾向がある。例えば、(A)ポリイミド前駆体は、一般式(5)で表される構造単位と、一般式(7)で表される構造単位との共重合体を含んでもよく、あるいは、一般式(5)で表されるポリイミド前駆体と、一般式(7)で表されるポリイミド前駆体との混合物であってもよい。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(9):
Figure 2021120703
{式中、R、R、及びnは上記に定義したものである。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(9)において、R及びRの少なくとも一方は、上記一般式(4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(10):
Figure 2021120703
{式中、R、R、及びnは上記に定義したものである。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。一般式(10)において、R及びRの少なくとも一方は、上記一般式(4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(10)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を含むことで、解像性、イミド化率、耐薬品性が良好となり、特に面内均一性が良好となる。
(A)ポリイミド前駆体の調製方法
(A)ポリイミド前駆体は、まず前述の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類、及び任意に不飽和二重結合を有さないアルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。その後、部分的にエステル化したテトラカルボン酸と、前述の2価の有機基Yを含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(20)に示されるテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)プロパン、2,2−ビス(3,4−無水フタル酸)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類としては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルアルコール、1−アクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアルコール、1−メタクリロイルオキシ−3−プロピルアルコール、2−メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2−ヒドロキシエチルビニルケトン、2−ヒドロキシ−3−メトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−t−ブトキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
上記光重合性の不飽和二重結合を有するアルコール類に、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコールなどの不飽和二重結合を有さないアルコール類を一部混合して用いることもできる。
ポリイミド前駆体として、上記不飽和二重結合を有さないアルコール類のみで調製された非感光性ポリイミド前駆体を、感光性ポリイミド前駆体と混合して用いてもよい。解像性の観点から、非感光性ポリイミド前駆体は、感光性ポリイミド前駆体100質量部を基準として、200質量部以下であることが好ましい。
上記の好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中溶解及び混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。反応条件としては、例えば、温度20〜50℃で4〜24時間撹拌することが挙げられる。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する溶剤中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。代替的には、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミン類としては、上記一般式(21)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、9,10−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト−トリジンスルホン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、及びその混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させることができる。さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離することができる。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶剤で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
上記(A)ポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000〜150,000であることが好ましく、9,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合、機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN−メチル−2−ピロリドンが推奨される。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM−105から選ぶことが推奨される。
(B)感光剤
本実施形態に用いられる(B)感光剤について説明する。感光剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル−β−メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1−フェニル−1,2−ブタンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニルプロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシプロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N−フェニルグリシン等のN−アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α−(n−オクタンスルフォニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
(B)感光剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部であり、より好ましくは1質量部以上8質量部以下である。上記(B)感光剤の配合量は、光感度又はパターニング性の観点で0.1質量部以上であり、感光性樹脂組成物の硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
(C)ウレア化合物
本実施形態に用いられる(C)ウレア化合物は、分子構造中にウレア結合を有していれば、その他の構造は限定されない。(C)ウレア化合物は、耐薬品性の観点から、また、接触後ピーク強度/接触前ピーク強度を本実施形態の範囲に調整しやすい観点から、下記一般式(11)又は(12)で表される構造を有するウレア化合物であることが好ましい。
Figure 2021120703
{式(11)中、R、Rはそれぞれ独立にヘテロ原子を含んでも良い、炭素数1〜20の1価の有機基であり、R,R10はそれぞれ独立に、水素原子、またはヘテロ原子を含んでも良い、炭素数1〜20の1価の有機基である。}
Figure 2021120703
{式(12)中、R11、R12は、それぞれ独立に、ヘテロ原子を含んでも良い、炭素数1〜20の1価の有機基であり、R13はヘテロ原子を含んでも良い、炭素数1〜20の2価の有機基である。}
本実施形態にかかるヘテロ原子は、酸素原子、窒素原子、リン原子、及び硫黄原子等を挙げることができる。
式(11)中R、Rは、ヘテロ原子を含んでも良い、炭素数1〜20の1価の有機基であれば限定されないが、現像性の観点から酸素原子を含むことがより好ましい。炭素数は1〜20であれば限定されないが、耐熱性の観点から炭素数1〜10が好ましく、3〜10がより好ましい。式(11)中のR,R10は互いに結合して環状構造を有してもよいが、耐薬品性の観点から、環状構造を有さない方が好ましい。R,R10が互いに結合して環状構造を有することで、ウレア基の結合角の自由度が失われ、強固な水素結合の形成が困難になる。
式(11)中R、R10は、水素原子、またはヘテロ原子を含んでも良い、炭素数1〜20の1価の有機基であれば限定されないが、現像性の観点から水素原子、または酸素原子を含むことがより好ましい。炭素数は1〜20であれば限定されないが、耐熱性の観点から炭素数1〜10が好ましく、3〜10がより好ましい。
式(12)中R11、R12は、ヘテロ原子を含んでも良い、炭素数1〜20の1価の有機基であれば限定されないが、現像性の観点から酸素原子を含むことがより好ましい。炭素数は1〜20であれば限定されないが、耐熱性の観点から炭素数1〜10が好ましく、3〜10がより好ましい。式(12)中のR11、R12は互いに結合して環状構造を有してもよいが、耐薬品性の観点から、環状構造を有さない方が好ましい。R11,R12が互いに結合して環状構造を有することで、ウレア基の結合角の自由度が失われ、強固な水素結合の形成が困難になる。
本実施形態において、(C)ウレア化合物は、(メタ)アクリル基、水酸基、及びアミノ基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を更に有することが好ましい。
本実施形態において、(C)ウレア化合物の分子量は、150g/mol以上であることが好ましく、250g/mol以上であることがさらに好ましい。ウレア化合物の分子量が250g/mol以上であると、加熱硬化過程でウレア化合物が揮発しにくく、イミド化促進の効果がより高くなる。
(C)ウレア化合物の分子内のウレア基の数は1又は2つであることが好ましい。分子内のウレア基の数が3つ未満であれば、ウレア化合物同士の相互作用が小さく、溶解性が向上し、樹脂組成物のろ過性が良好になる。
(C)ウレア化合物のウレア基1つあたりの分子量(MW/ウレア基数)は、150g/mol以上であることが好ましく、200g/mol以上であることがさらに好ましい。ウレア基1つあたりの分子量が200g/mol以上であると、ウレア化合物同士の相互作用が小さく、溶解性が向上し、樹脂組成物のろ過性が良好になる。
本実施形態における(C)ウレア化合物を含有することによって、標準TMAH溶液の接触前後のピーク強度を本実施形態の範囲に調整しやすく、その結果、アルカリ溶液処理後の濡れ性が向上する傾向にある。その理由については明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。まず、一態様において、ポリイミド前駆体を含む感光性樹脂組成物は、例えば170℃という低い温度で加熱環化させる場合、ポリイミド前駆体のポリイミドへの変換が十分ではない傾向にある。一方、本実施形態の感光性樹脂組成物は、(C)ウレア化合物を含有することにより、(C)ウレア化合物の一部が熱分解することにより、アミン等が発生し、当該アミン等がポリイミド前駆体のポリイミドへの変換を促進すると考えている。そして、好ましい態様において、(C)ウレア化合物が(メタ)アクリル基を更に有することにより、特に感光性樹脂組成物がネガ型である場合、光照射により化合物(B)を開始剤として、(C)ウレアの(メタ)アクリル基が(A)ポリイミド前駆体の側鎖部分と反応し、架橋する。これによって、(C)ウレア化合物がより(A)ポリイミド前駆体の近傍に存在しやすく、変換効率を飛躍的に高めることができると考えている。これにより、アルカリ溶液に接触した際の硬化膜の溶解速度が抑制され、アルカリ溶液接触後も硬化膜が十分に残存できるようになる。続いて、(C)ウレア化合物は、イミド基等の官能基に強く水素結合すると考えている。これにより、アルカリ溶液により一部のイミド基が開環させられた場合でも、水素結合により膜がアルカリ溶液に溶解せずに残存すると考えられる。これにより、膜表面にイミド環が開環して親水性の高い官能基が露出した状態になり、濡れ性が向上するものと考えられる。
本実施形態において、(C)ウレア化合物が(メタ)アクリル基を更に有する場合、(C)ウレア化合物の(メタ)アクリル当量は、150〜400g/molであることが好ましい。(C)ウレア化合物の(メタ)アクリル当量が150g/mol以上であることで、ネガ型感光性樹脂組成物の耐薬品性が良好となる傾向にあり、400g/mol以下であることで、現像性が良好となる傾向にある。(C)ウレア化合物の(メタ)アクリル当量の下限値は、より好ましくは200g/mol以上、210g/mol以上、220g/mol以上、230g/mol以上、更に好ましくは240g/mol以上、250g/mol以上であり、下限値は、より好ましくは350g/mol以下、330g/mol以下、更に好ましくは300g/mol以下である。(C)ウレア化合物の(メタ)アクリル当量は、より更に好ましくは210〜400g/mol、特に好ましくは220〜400g/molである。
(C)ウレア化合物の製造方法は、特に限定されないが、例えばイソシアネート化合物とアミン含有化合物とを反応させることによって得ることができる。上記アミン含有化合物が、イソシアネートと反応しうる水酸基等の官能基を含む場合、イソシアネート化合物の一部が水酸基等の官能基と反応した化合物を含んでいてもよい。
本実施形態における(C)ウレア化合物は、1種を単独で用いてもよく、または2種以上を混合して用いてもよい。
(C)ウレア化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは1質量部以上50質量部以下であり、より好ましくは5質量部以上30質量部以下である。上記ウレア化合物の配合量は、耐薬品性の観点から1質量部以上であり、膜物性と光パターニングの観点から50質量部以下である。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記(A)、(B)及び(C)成分以外の成分をさらに含有していてもよい。(A)、(B)及び(C)成分以外の成分としては、限定されないが、熱塩基発生剤、溶剤、含窒素複素環化合物、ヒンダードフェノール化合物、有機チタン化合物、接着助剤、増感剤、光重合性不飽和モノマー、及び熱重合禁止剤等が挙げられる。
熱塩基発生剤
本実施形態の感光性樹脂組成物は、塩基発生剤を含有していても良い。塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物をいう。熱塩基発生剤を含有することで、感光性樹脂組成物のイミド化をさらに促進することができる。
熱塩基発生剤としては、その種類を特に定めるものではないが、tert−ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物や、国際公開第2017/038598号公報に開示された熱塩基発生剤等が挙げられる。しかしながら、これらに限定されず、その他にも公知の熱塩基発生剤を用いることができる。
tert−ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物としては、エタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、1−アミノ−2−ブタノール、3−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、4−アミノ−2−メチル−1−ブタノール、バリノール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、チラミン、ノルエフェドリン、2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、2−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサノール、4−アミノシクロヘキサンエタノール、4−(2−アミノエチル)シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、3−(メチルアミノ)−1−プロパノール、3−(イソプロピルアミノ)プロパノール、N−シクロヘキシルエタノールアミン、α−[2−(メチルアミノ)エチル]ベンジルアルコール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3−ピロリジノール、2−ピロリジンメタノール、4−ヒドロキシピペリジン、3−ヒドロキシピペリジン、4−ヒドロキシ−4−フェニルピペリジン、4−(3−ヒドロキシフェニル)ピペリジン、4−ピペリジンメタノール、3−ピペリジンメタノール、2−ピペリジンメタノール、4−ピペリジンエタノール、2−ピペリジンエタノール、2−(4−ピペリジル)−2−プロパノール、1,4−ブタノールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、2,2’−オキシビス(エチルアミン)、1,14−ジアミノ−3,6,9,12−テトラオキサテトラデカン、1−アザ−15−クラウン 5−エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,11−ジアミノ−3,6,9−トリオキサウンデカン、又は、アミノ酸及びその誘導体のアミノ基をtert−ブトキシカルボニル基によって保護した化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
熱塩基発生剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは1質量部以上20質量部以下である。上記配合量は、イミド化促進効果の観点で0.1質量部以上であり、感光性樹脂組成物の硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
溶剤
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
このような溶剤の中で、とりわけ、生成ポリマーを完全に溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。溶剤は1種であってもよいし、2種以上の溶剤を混ぜて使ってもよい。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、溶剤の使用量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは100〜1000質量部であり、より好ましくは120〜700質量部であり、さらに好ましくは125〜500質量部の範囲である。
含窒素複素環化合物
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するために、感光性樹脂組成物は、含窒素複素環化合物を任意に含んでもよい。含窒素複素環化合物としては、アゾール化合物、及びプリン誘導体等が挙げられる。
アゾール化合物としては、1H−トリアゾール、5−メチル−1H−トリアゾール、5−エチル−1H−トリアゾール、4,5−ジメチル−1H−トリアゾール、5−フェニル−1H−トリアゾール、4−t−ブチル−5−フェニル−1H−トリアゾール、5−ヒドロキシフェニル−1H−トリアゾール、フェニルトリアゾール、p−エトキシフェニルトリアゾール、5−フェニル−1−(2−ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5−ベンジル−1H−トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5−ジメチルトリアゾール、4,5−ジエチル−1H−トリアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、4−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1H−ベンゾトリアゾール、1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、5−アミノ−1H−テトラゾール、1−メチル−1H−テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、及び4−メチル−1H−ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6−ジアミノプリン、9−メチルアデニン、2−ヒドロキシアデニン、2−メチルアデニン、1−メチルアデニン、N−メチルアデニン、N,N−ジメチルアデニン、2−フルオロアデニン、9−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N−(2−ヒドロキシエチル)アデニン、8−アミノアデニン、6−アミノ−8−フェニル‐9H−プリン、1−エチルアデニン、6−エチルアミノプリン、1−ベンジルアデニン、N−メチルグアニン、7−(2−ヒドロキシエチル)グアニン、N−(3−クロロフェニル)グアニン、N−(3−エチルフェニル)グアニン、2−アザアデニン、5−アザアデニン、8−アザアデニン、8−アザグアニン、8−アザプリン、8−アザキサンチン、8−アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本実施形態の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
また、銅表面上の変色を抑制するために、感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでもよい。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’−メチレンビス(2、6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−イソプロピルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−s−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−(1−エチルプロピル)−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[4−トリエチルメチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−4−フェニルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5,6−トリメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−6−エチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5,6−ジエチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、 1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,5−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−5−エチル−3−ヒドロキシ−2−メチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5〜10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本実施形態の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
有機チタン化合物
本実施形態の感光性樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してもよい。有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)〜VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパターンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートがより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n−ブトキサイド)ビス(2,4−ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4−ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2−エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n−ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n−プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2−(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物は、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n−ブトキサイド)、及びビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.05〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合保存安定性に優れる。
接着助剤
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、感光性樹脂組成物は、接着助剤を任意に含んでもよい。接着助剤としては、γ−アミノプロピルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル−3−ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、N−(3−ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン−3,3’−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−4,4’−ジカルボン酸、ベンゼン−1,4−ビス(N−[3−トリエトキシシリル]プロピルアミド)−2,5−ジカルボン酸、3−(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.5〜25質量部の範囲が好ましい。
シランカップリング剤としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3−メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2−メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2−メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2−メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4−メルカプトブチルトリメトキシシラン、4−メルカプトブチルトリエトキシシラン、4−メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N−(3−ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N−(3−トリメトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリエトキシシリルブチル)ウレア、N−(3−トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3−(m−アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p−アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2−(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2−(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2−(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−t−ブチルカルバメート、(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−i−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ−n−プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3−(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ−t−ブトキシジアセトキシシラン、ジ−i−ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n−プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n−ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert−ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n−プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n−ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert−ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn−プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n−ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert−ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n−プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n−ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert−ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、前述のシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p−トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ−p−トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記式:
Figure 2021120703
で表される構造を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.01〜20質量部が好ましい。
増感剤
本実施形態の感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでもよい。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビフェニレン)−ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4’−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−ビス(4’−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンジロキシカルボニル−7−ジメチルアミノクマリン、3−メトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、3−エトキシカルボニル−7−ジエチルアミノクマリン、N−フェニル−N’−エチルエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−p−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、4−モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2−メルカプトベンズイミダゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2−d)チアゾール、2−(p−ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2〜5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1〜25質量部であることが好ましい。
光重合性不飽和モノマー
感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に含んでもよい。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4−ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、1〜50質量部であることが好ましい。
熱重合禁止剤
また、本実施形態の感光性樹脂組成物は、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時の感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に含んでもよい。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N−ニトロソジフェニルアミン、p−tert−ブチルカテコール、フェノチアジン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−p−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルホプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N−ニトロソ−N(1−ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
<硬化レリーフパターンの製造方法及び半導体装置>
本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法は、(1)上述した本実施形態の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、樹脂層を上記基板上に形成する工程と、(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、(3)上記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、(4)上記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と、(5)上記硬化レリーフパターンがアルカリ溶液と接触する工程と、(6)上記アルカリ溶液と接触した上記硬化レリーフパターンを加熱処理する工程とを含む。
(1)樹脂層形成工程
本工程では、本実施形態の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
(3)レリーフパターン形成工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、例えば、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等が好ましい。貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(4)レリーフパターン加熱処理工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱処理して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。加熱処理の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱処理は、例えば、160℃〜350℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱処理の温度は、好ましくは160℃〜200℃、より好ましくは160℃〜180℃、さらに好ましくは160℃〜170℃である。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
(5)硬化レリーフパターンのアルカリ溶液接触工程
本工程では、上記加熱処理工程によって得られた硬化レリーフパターンに対してアルカリ溶液を接触させることで、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンの面内均一性を向上させることができる。アルカリ溶液のアルカリ源としては、面内均一性を向上させることができれば限定されないが、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(TMAH)が挙げられる。アルカリ溶液の溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)が挙げられる。典型的には、TMAHのDMSO溶液、より具体的には、2.38質量%のTMAHのDMSO溶媒を用いることができる。アルカリ溶液は、そのほかの成分として、モノエタノールアミン等のアミンや、溶媒を含んでいてもよい。アルカリ溶液としては、フォトレジストやドライフィルムレジストの剥離に供される剥離液を用いてもよい。アルカリ溶液との接触は、例えば室温〜100℃で、5分から120分の条件で行うことができる。アルカリ溶液に接触させる際、溶液を撹拌してもよい。アルカリ溶液と接触させた後の硬化膜は、有機溶媒または水で洗浄後、乾燥をおこなってもよい。乾燥時の温度は100℃以下であることが好ましい。乾燥時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
アルカリ溶液接触工程は、硬化レリーフパターン形成直後におこなってもよく、硬化レリーフパターン形成後にTi/Cuスパッタ処理し、フォトレジストのパターンを形成し、メッキ処理によってCu配線を形成した状態でおこなってもよい。この場合、アルカリ溶液はフォトレジストを剥離し、さらにウエハのエッジやスパッタのピンホールからしみこむことで硬化レリーフパターンへ作用することができる。すなわち、当該アルカリ溶液との接触工程は、フォトレジスト剥離工程であってよい。
(6)アルカリ溶液接触後の硬化レリーフパターンの再加熱処理
本工程では、アルカリ溶液接触後の硬化レリーフパターンを再加熱処理する。本工程は、アルカリ溶液接触工程の直後におこなってもよく、アルカリ溶液接触工程後、硬化レリーフパターン上に、さらに上層のレリーフパターンを形成した後におこなってもよい。すなわち、アルカリ溶液接触後の硬化レリーフパターンの再加熱処理工程は、二層以上の多層の層間絶縁膜を形成した後に、上層のレリーフパターンの加熱処理と同時におこなわれてよい。加熱処理の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱処理は、例えば、160℃〜350℃で30分〜5時間の条件で行うことができる。加熱処理の温度は、好ましくは160℃〜200℃、より好ましくは160℃〜180℃、さらに好ましくは160℃〜170℃である。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法では、上記工程(4)で得られる硬化レリーフパターンおよび上記工程(6)で得られる硬化レリーフパターンの、1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、上記工程(5)で得られる硬化レリーフパターンの1778cm−1付近のIRピーク強度よりも高いことが好ましい。上記工程(5)で一時的に硬化レリーフパターンの1778cm−1付近のIRピーク強度を低下させることにより、硬化膜へ濡れ性を付与し、面内均一性の高い硬化レリーフパターンが得られる。
<硬化膜>
本実施形態の硬化膜は、温度50℃、2.38質量%のTMAHのDMSO溶液(以下、単に「標準TMAH溶液」ともいう。)に、10分間接触させたとき、1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、接触前と接触後で下記式(1)の範囲にあることを特徴とする。
0.1≦(接触後ピーク強度/接触前ピーク強度)≦0.8 ・・・(1)
硬化膜のIRピーク強度が上記範囲にあることで、硬化膜の親水性が増加し、硬化膜上への更なる感光性樹脂組成物のコートに適した濡れ性を有するようになる。接触後ピーク強度/接触前ピーク強度の値は、耐薬品性の観点から0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。接触後ピーク強度/接触前ピーク強度の値が0.1未満の硬化膜は、耐薬品性に乏しい。接触後ピーク強度/接触前ピーク強度の値は濡れ性の観点から、0.8以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.6以下がさらに好ましい。
接触前と接触後の膜厚の変化量は、1nm以上1000nm以下であることが好ましい。アルカリ溶液に対しての溶解性が高いと、パターンの劣化(クラック、パターン形状くずれ)が発生することから、標準TMAH溶液に接触させた際の硬化膜の膜厚の変化量は、600nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることがさらに好ましい。硬化膜の膜厚の変化量は、接触前の硬化膜の膜厚を約3μmに調整して測定される。
標準TMAH溶液に接触される前の硬化膜は、多層体を形成する場合の工程での脱ガス性や硬化収縮の観点から、イミド化率が70%以上100%以下であることが好ましい。イミド化率が70%未満の場合、薬液接触後の工程において脱ガス性や硬化収縮が問題となる。イミド化率は、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
<半導体装置>
本実施形態では、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。本実施形態における半導体装置は、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により該基材上に形成されたポリイミドの硬化レリーフパターンとを有する。また、基材として半導体素子を用い、上述した本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む、半導体装置の製造方法も提供される。より詳細に、本実施形態の半導体装置は、本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
<表示体装置>
本実施形態では、表示体素子と、該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の本実施形態の硬化レリーフパターンである、表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁を挙げることができる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、絶縁部材形成用、又は層間絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物であることが好ましい。本実施形態の感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、二層以上の多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、及び液晶配向膜等の用途にも有用である。
以下、実施例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、及び製造例においては、ポリイミド前駆体又は感光性樹脂組成物の物性を以下の方法に従って測定及び評価した。
<測定及び評価方法>
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)を用いて以下の条件下で測定した。
ポンプ:JASCO PU−980
検出器:JASCO RI−930
カラムオーブン:JASCO CO−965 40℃
カラム:昭和電工(株)製Shodex KD−806M 直列に2本、又は
昭和電工(株)製Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105
移動相:0.1mol/L LiBr/N−メチル−2−ピロリドン(NMP)
流速:1mL/min.
(2)Cu上の硬化レリーフパターンの作製
6インチシリコンウェハー(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L−440S−FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウエハ上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、110℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、約4.5μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、プリズマGHI(ウルトラテック社製)によりi線で100〜1300mJ/cmのエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いて、未露光部が完全に溶解消失するまでの時間に1.4を乗じた時間、コーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートで10秒間回転スプレーリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウエハを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、表1に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約3μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。
(3)硬化レリーフパターンの標準TMAH溶液接触
上記(2)の方法で作成した硬化レリーフパターンを、以下の重量比で混合した標準TMAH溶液
ジメチルスルホキシド(DMSO):97.62質量%
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(TMAH):2.38質量%
を50℃に加熱したものに10分間浸漬し、流水で30分間洗浄し、風乾した。標準TMAH溶液接触前と接触後の膜厚を測定し、膜厚の変化量(溶解量)を算出した。
(4)標準TMAH溶液接触後の硬化レリーフパターンの再加熱処理
上記(3)の方法で標準TMAH溶液に接触させた硬化レリーフパターンを、昇温プログラム式キュア炉(VF−2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下において2時間加熱処理した。処理温度は1回目の処理温度と同じ温度でおこなった。
(5)IR測定
上記硬化レリーフパターン樹脂部をATR−FTIR測定装置(Nicolet Continuum、Thermo Fisher Scientific社製)にてSiプリズムを用いて測定した。1380cm−1のピーク強度を1500cm−1のピーク強度で割った値をイミド化指数とし、各実施例及び比較例の硬化膜のイミド化指数を、当該樹脂組成物を350℃で2時間硬化した膜のイミド化指数で割った値をイミド率として算出した。また、1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度も算出した。各波長におけるピーク強度は、表記の波長の前後10cm−1のうち、最も強度の高い波長を各波長のピーク強度とした。すなわち、例えば1500cm−1のピーク強度は1490〜1510cm−1の最も強度の高い波長を1500cm−1のピーク強度とした。
(6)面内均一性の測定
上記硬化レリーフパターン上へ、上記(2)で使用した感光性樹脂組成物を、コーターデベロッパー(D−Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて、回転塗布し、110℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行った。塗布の際の回転数は、硬化レリーフパターンの樹脂上に形成される塗膜部の膜厚が約6.0μmになるように調整した。硬化レリーフパターン上に形成された塗膜の膜厚を、下層に形成された樹脂部とCu部の境界部を中心として6000μmの幅を段差計(P−15:KLA Tenkor社製)によって測定した。下記式より面内均一性を求めた。
面内均一性 =[(膜厚最大値)―(膜厚最小値)/(測定部の平均膜厚)]
結果は、下記基準で評価した。
A:面内均一性 0.6未満
B:面内均一性 0.6以上0.8未満
C:面内均一性 0.8以上1.0未満
D:面内均一性 1.0以上
<(A)ポリイミド前駆体及び(C)ウレア化合物の合成例>
製造例1:(A)ポリイミド前駆体A−1の合成
4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ−ブチロラクトン200mLに溶解した溶液を攪拌しながら20分掛けて反応混合物に加え、続いて4,4’−オキシジアニリン(ODA)93.0gをγ−ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら30分掛けて加えた。更に室温で4時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ−ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリイミド前駆体A−1)を得た。ポリイミド前駆体A−1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
製造例2:(A)ポリイミド前駆体A−2の合成
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(ポリイミド前駆体A−2)を得た。ポリイミド前駆体A−2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
製造例3:(A)ポリイミド前駆体A−3の合成
製造例1の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、ODPA 124.0g、BPDA 29.4gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(ポリイミド前駆体A−2)を得た。ポリイミド前駆体A−2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
製造例4:(A)ポリイミド前駆体A−4の合成
製造例1の4,4’−オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、2,2’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジアミン(m−TB)98.6gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A−2)を得た。ポリマー(A−2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
製造例5:(C)ウレア化合物C−1の合成
ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル55.1g(0.25mol)を500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン150mLを入れて室温下で攪拌した。
次に、氷冷下において、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社品、製品名:カレンズMOI)77.6g(0.50mol)にテトラヒドロフラン150mLを加えた溶液を30分掛けて上記フラスコ内に滴下し、室温で5時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフランを留去し、化合物C−1を得た。
製造例6:(C)ウレア化合物C−2の合成
上記製造例5において、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル55.1gをジエタノールアミン26.3g(0.25mol)に代え、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社品、製品名:カレンズMOI)77.6gを38.8g(0.25mol)に代えた以外は製造例5と同様の方法で合成を行い、化合物C−2を得た。
製造例7:(C)ウレア化合物C−3の合成
上記製造例5において、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル55.1gをジ−n−オクチルアミン60.4g(0.25mol)に代え、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社品、製品名:カレンズMOI)77.6gを38.8g(0.25mol)に代えた以外は製造例5と同様の方法で合成を行い、化合物C−3を得た。
製造例8:(C)ウレア化合物C−4の合成
ジエタノールアミン26.3g(0.25mol)を500mL容量のセパラブルフラスコに入れ、テトラヒドロフラン150mLを入れて室温下で攪拌した。
次に、氷冷下において、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート(昭和電工社品、製品名:カレンズBEI)59.8g(0.25mol)にテトラヒドロフラン150mLを加えた溶液を30分掛けて上記フラスコ内に滴下し、室温で5時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターを用いてテトラヒドロフランを留去し、化合物C−4を得た。
製造例9:(C)ウレア化合物C−5の合成
上記製造例6において、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工社品、製品名:カレンズMOI)38.8g(0.25mol)を、イソシアン酸ヘキシル(東京化成工業社品)31.8g(0.25mol)に代えた以外は、製造例6と同様の方法で合成を行い、化合物C−5を得た。
<実施例1>
ポリイミド前駆体A−1を用いて以下の方法で感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。(A)ポリイミド前駆体としてA−1:100g、(B)感光剤としてB−1:2g、(C)ウレア化合物としてC−1:15gを、γ−ブチルラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLをさらに加えることによって、約40ポイズに調整し、感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
<実施例2〜13、比較例1〜3>
表1に示すとおりの配合比で調製したこと以外は、実施例1と同様の感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。表1及び2に記載されている(B)感光剤B−1、B−2、(C)ウレア化合物C−1〜C−6、(D)光重合性不飽和モノマーD−1、(E)熱塩基発生剤E−1、はそれぞれ以下のとおりである。
B−1:PBG305(常州強力社製)
B−2:PBG3057(常州強力社製)
C−1:製造例5に記載の化合物
Figure 2021120703
C−2:製造例6に記載の化合物
Figure 2021120703
C−3:製造例7に記載の化合物
Figure 2021120703
C−4:製造例8に記載の化合物
Figure 2021120703
C−5:製造例9に記載の化合物
Figure 2021120703
C−6:1,3−ジメチル尿素(東京化成工業社製)
D−1:NKエステル 4G(新中村化学社製)
E−1:1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン(東京化成工業社製)
Figure 2021120703
表1のとおり、実施例1の感光性樹脂組成物では、1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度の接触後ピーク強度/接触前ピーク強度比が0.45となり、面内均一性評価はBとなった。実施例2〜13の感光性樹脂組成物は、いずれも、強度比が0.1〜0.8の範囲内となり、面内均一性の評価はいずれもC以上の結果となった。また、イミド化率はいずれも70%以上であり、さらに、薬液接触前ピーク強度と再加熱後のピーク強度が、薬液接触後ピーク強度よりも高くなった。薬液接触時の膜厚変化量(溶解量)は、1000nm以下であった。
比較例1では、薬液接触時の溶解量が多く、膜が消失してしまった。比較例2では、薬液接触時の溶解量が多く、1000nmを超える値となった。また、ピーク強度比は1.20となり、面内均一性評価はDとなった。比較例3では、薬液接触の前後でIRピーク強度がほぼ変化せず、強度比が0.9を超える結果となり、面内均一性の評価結果はDであった。
本発明による感光性樹脂組成物を用いることで、薬液接触により面内均一性に優れた硬化レリーフパターンを得ることができる。本発明は、例えば半導体装置、多層配線基板等の電気・電子材料の製造に有用な感光性材料の分野で好適に利用できる。

Claims (13)

  1. (A)ポリイミドおよびポリイミド前駆体からなる群から選択される少なくとも1種以上の樹脂と、
    (B)感光剤と、
    (C)ウレア化合物と
    を含む、感光性樹脂組成物であって、
    前記感光性樹脂組成物を170℃で2時間加熱することにより硬化させた硬化膜を、温度50℃、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド5水和物(TMAH)のジメチルスルホキシド(DMSO)溶液に、10分間接触させたとき、
    接触前と接触後における、前記硬化膜の1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、下記式(1):
    0.1≦(接触後ピーク強度/接触前ピーク強度)≦0.8 ・・・(1)
    を満たす、感光性樹脂組成物。
  2. 接触前と接触後の前記硬化膜の膜厚の変化量が、1nm以上1000nm以下である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 接触前の前記硬化膜のイミド化率が70%以上100%以下である、請求項1または2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記感光性樹脂組成物は、絶縁部材形成用の感光性樹脂組成物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記感光性樹脂組成物は、層間絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記感光性樹脂組成物は、二層以上の層間絶縁膜形成用の感光性樹脂組成物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. (1)請求項1〜6のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程と、
    (2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
    (3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
    (4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と、
    (5)前記硬化レリーフパターンをアルカリ溶液と接触させる工程と、
    (6)前記アルカリ溶液と接触させた前記硬化レリーフパターンを加熱処理する工程と、
    を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
  8. 前記加熱処理は170℃以下の加熱処理である、請求項7に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
  9. 前記工程(4)で得られる硬化レリーフパターンおよび前記工程(6)で得られる硬化レリーフパターンの、1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、前記工程(5)で得られる硬化レリーフパターンの1778cm−1付近のIRピーク強度よりも高い、請求項7または8に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
  10. 前記硬化レリーフパターンを前記アルカリ溶液と接触させる工程(5)は、フォトレジストの剥離工程である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の硬化レリーフパターンの製造方法。
  11. 硬化膜を、温度50℃、濃度2.38質量%のTMAHのDMSO溶液に、10分間接触させたとき、接触前と接触後における、前記硬化膜の1500cm−1のIRピーク強度で規格化したときの1778cm−1付近のIRピーク強度が、下記式(1):
    0.1≦(接触後ピーク強度/接触前ピーク強度)≦0.8 ・・・(1)
    を満たす、硬化膜。
  12. 接触前と接触後の前記硬化膜の膜厚の変化量が、1nm以上1000nm以下である、請求項11に記載の硬化膜。
  13. 接触前の前記硬化膜のイミド化率が70%以上100%以下である、請求項11または12に記載の硬化膜。
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