JP2021117264A - レジストパターン形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リソグラフィー特性が良好なレジストパターン形成方法の提供。【解決手段】一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、一般式(p1)で表される高分子化合物を得る工程と、前記高分子化合物と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程等を含む、レジストパターン形成方法。式中、Rp01及びRp04は、水素原子等である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ炭化水素基である。Rp05は、アルキル基等である。Rp06は、脂肪族炭化水素基である。n1は0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に炭化水素基である。[化1]【選択図】なし

Description

本発明は、レジストパターン形成方法に関する。
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。レジスト膜の露光部が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、レジスト膜の露光部が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が行われている。また、これらのエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEUV(極端紫外線)や、EB(電子線)、X線などについても検討が行われている。
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、従来、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分と、を含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えば上記現像液がアルカリ現像液(アルカリ現像プロセス)の場合、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかるレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤成分から酸が発生し、該酸の作用によりベース樹脂の極性が増大して、レジスト膜の露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。そのためアルカリ現像することにより、レジスト膜の未露光部がパターンとして残るポジ型パターンが形成される。
一方で、このような化学増幅型レジスト組成物を、有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いた溶剤現像プロセスに適用した場合、ベース樹脂の極性が増大すると相対的に有機系現像液に対する溶解性が低下するため、レジスト膜の未露光部が有機系現像液により溶解、除去されて、レジスト膜の露光部がパターンとして残るネガ型のレジストパターンが形成される。このようにネガ型のレジストパターンを形成する溶剤現像プロセスをネガ型現像プロセスということがある。
化学増幅型レジスト組成物において使用されるベース樹脂は、一般的に、リソグラフィー特性等の向上のために、複数の構成単位を有している。
例えば、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分の場合、酸発生剤等から発生した酸の作用により分解して極性が増大する酸分解性基を含む構成単位が用いられ、その他、ラクトン含有環式基を含む構成単位、水酸基等の極性基を含む構成単位等が併用されている。
化学増幅型レジスト組成物において使用される酸発生剤成分としては、これまで多種多様なものが提案されている。例えば、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤などが知られている。
オニウム塩系酸発生剤としては、主に、カチオン部にトリフェニルスルホニウム等のオニウムイオンを有するものが用いられている。オニウム塩系酸発生剤のアニオン部には、一般的に、アルキルスルホン酸イオンやそのアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキルスルホン酸イオンが用いられている。
レジストパターンの形成においては、露光により酸発生剤成分から発生する酸の挙動が、リソグラフィー特性に大きな影響を与える一要素とされる。
特にEUV(極端紫外線)又はEB(電子線)を露光する際、レジスト材料においては、酸拡散制御性が問題となる。酸拡散を制御するため、従来、高分子化合物の設計を種々変更する方法が提案されている。
例えば、特定の酸解離性官能基を有する高分子化合物を採用し、酸に対する反応性を向上させて、現像液に対する溶解性の向上が図られた、レジスト組成物等が開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2009−114381号公報 特開2012−220800号公報
リソグラフィー技術のさらなる進歩、レジストパターンの微細化がますます進むなか、例えば、EUVやEBによるリソグラフィーでは、数十nmの微細なパターン形成が目標とされる。このようにレジストパターン寸法が小さくなるほど、レジスト組成物には、露光光源に対して高い感度、及び、ラフネス低減等の良好なリソグラフィー特性が要求される。
しかしながら、上述したような従来のレジスト組成物においては、EUV等の露光光源に対して高感度化を図ると、所望のレジストパターン形状等が得られにくくなり、これらの特性をいずれも満足させることが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、リソグラフィー特性が良好なレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
レジストパターンの形成において、特にEUV又はEBをレジスト膜に露光する際、ヒドロキシスチレン骨格を含む構成単位と、酸の作用により分解して極性が増大する酸分解性基を含む構成単位と、を有する高分子化合物が有用である。
しかし、本発明者らは検討により、EUV又はEBを露光光源としてレジストパターンを形成する際、従来のラジカル重合方法を用いてモノマーをランダム共重合させて得られた前記高分子化合物、を含有するレジスト組成物を用いた場合に、リソグラフィー特性に悪影響が出やすい問題があることを確認した。
これに対し、ヒドロキシスチレン骨格が酸成分で脱保護可能な保護基で保護された構成単位と特定のイミド構造を有する構成単位とを共重合した後に、加水分解することにより、それぞれの保護基を脱保護することで得られた高分子化合物を採用することによって、リソグラフィー特性の改善が図れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の態様は、下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(Pre−1b−1)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程と、前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、下記一般式(p1)で表される高分子化合物(A01)を得る工程と、前記高分子化合物(A01)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、を含む、レジストパターン形成方法である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01及びRp04は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。]
本発明の第2の態様は、下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(p1)で表される高分子化合物(A01)を得る工程と、前記高分子化合物(A01)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、を含む、レジストパターン形成方法である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
本発明の第3の態様は、下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(Pre−1b−2)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程と、前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、下記一般式(p2)で表される高分子化合物(A02)を得る工程と、前記高分子化合物(A02)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、を含む、レジストパターン形成方法である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。Ra006は炭化水素基であって、Ra006は、Ra004、Ra005のいずれかと結合して環を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子である。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01及びRp04は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。Ra006は炭化水素基であって、Ra006は、Ra004、Ra005のいずれかと結合して環を形成してもよい。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。]
本発明の第4の態様は、下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(p2)で表される高分子化合物(A02)を得る工程と、前記高分子化合物(A02)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、を含む、レジストパターン形成方法である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。Ra006は炭化水素基であって、Ra006は、Ra004、Ra005のいずれかと結合して環を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子である。]
本発明のレジストパターン形成方法によれば、リソグラフィー特性が良好なレジストパターン形成方法を提供することができる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン原子」は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(−H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(−CH−)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、例えば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、例えばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(例えばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物である。基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。以下「樹脂」、「高分子化合物」又は「ポリマー」という場合は、分子量が1000以上の重合体を示す。重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量を用いるものとする。
「誘導される構成単位」とは、炭素原子間の多重結合、例えば、エチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基(Rαx)は、水素原子以外の原子又は基である。また、置換基(Rαx)がエステル結合を含む置換基で置換されたイタコン酸ジエステルや、置換基(Rαx)がヒドロキシアルキル基やその水酸基を修飾した基で置換されたαヒドロキシアクリルエステルも含むものとする。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、アクリル酸のカルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルを、α置換アクリル酸エステルということがある。
「誘導体」とは、対象化合物のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物の水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよい対象化合物に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。なお、α位とは、特に断りがない限り、官能基と隣接した1番目の炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、Rαxと同様のものが挙げられる。
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては、不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがある。その場合は一つの化学式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
(レジストパターン形成方法)
(第1の態様)
本発明の第1の態様に係るレジストパターン形成方法は、
(ia)下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程(以下、工程(ia)ともいう)と、
(iia)前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程(以下、工程(iia)ともいう)と、
(iiia)前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(Pre−1b−1)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程と、
(iva)前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、下記一般式(p1)で表される高分子化合物(A01)を得る工程(以下、工程(iva)ともいう)と、
(va)前記高分子化合物(A01)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程(以下、工程(va)ともいう)と、
(via)支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程(以下、工程(via)ともいう)と、
(viia)前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(以下、工程(viia)ともいう)と、を含む、レジストパターン形成方法である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01及びRp04は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。]
<工程(ia)>
工程(ia)は、下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程である。
≪リビングラジカル重合≫
リビングラジカル重合は、ドーマント種とラジカル成長種との平衡によって停止反応がある程度抑制され、可逆的な交換反応によって分子量制御が可能となっている重合反応である。交換反応が重合反応に比べて非常に速く起こっていると、分子量分布の狭いポリマーが得られると考えられている。
リビングラジカル重合の例としては、ポリスルフィドなどの連鎖移動剤を用いるもの、コバルトポルフィリン錯体やニトロキシド化合物などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化合物などを開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラジカル重合などが挙げられる。その中でも、原子移動ラジカル重合が好ましい。
・原子移動ラジカル重合
前記原子移動ラジカル重合における有機ハロゲン化合物としては、α−ハロゲノカルボニル化合物、α−ハロゲノカルボン酸エステル等を使用することができる。その中でも、α−ハロゲノカルボン酸エステルが好ましく、その具体例として2−ブロモ−2−メチルプロパン酸エチル、2−ブロモプロピオン酸2−ヒドロキシエチル、2−クロロ−2,4,4−トリメチルグルタル酸ジメチル、2−クロロ−2−フェニル酢酸エチル等を挙げることができ、2−クロロ−2−フェニル酢酸エチルがより好ましい。
前記原子移動ラジカル重合における遷移金属錯体を構成する中心金属としては、鉄、銅、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、レニウム等の周期律表第7〜11族元素(日本化学会編「化学便覧基礎編I改訂第4版」(1993年)記載の周期律表による)が好ましく挙げられる。その中でも、ルテニウム、銅がより好ましい。
ルテニウムを中心金属とする遷移金属錯体の具体例としては、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、ジクロロトリス(トリブチルホスフィン)ルテニウム、ジクロロ(シクロオクタジエン)ルテニウム、ジクロロベンゼンルテニウム、ジクロロp−シメンルテニウム、ジクロロ(ノルボルナジエン)ルテニウム、シス−ジクロロビス(2,2’−ビピリジン)ルテニウム、ジクロロトリス(1,10−フェナントロリン)ルテニウム、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム等が挙げられる。その中でも、ジクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(RuCp触媒)、クロロインデニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウムが好ましく、クロロペンタメチルシクロペンタジエニルビス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム(RuCp触媒)がより好ましい。
前記原子移動ラジカル重合において、助触媒として、ルイス酸又はアミンを用いてもよい。
ルイス酸としては、アルミニウムトリイソプロポキシドやアルミニウムトリ(t−ブトキシド)等のアルミニウムトリアルコキシド;ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウム、ビス(2,4,6−トリ−t−ブチルフェノキシ)メチルアルミニウム等のビス(置換アリールオキシ)アルキルアルミニウム;トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のトリス(置換アリールオキシ)アルミニウム;チタンテトライソプロポキシド等のチタンテトラアルコキシドなどが挙げられる。その中でも、アルミニウムトリアルコキシドが好ましく、アルミニウムトリイソプロポキシドがより好ましい。
アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン等の脂肪族第1級アミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族第2級アミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン等の脂肪族第3級アミン等の脂肪族アミン;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラアミン等の脂肪族ポリアミン;アニリン、トルイジンなどの芳香族第1級アミン;ジフェニルアミン等の芳香族第2級アミン;トリフェニルアミンなどの芳香族第3級アミン等の芳香族アミンなどが挙げられる。その中でも、脂肪族アミンが好ましく、具体的には、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミンがより好ましい。
前記原子移動ラジカル重合に使用される溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブ類等のエステル類;γ−ブチロラクトン等のアルキルラクトン類;テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン等のエーテル類;2−ブタノン(メチルエチルケトン)、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン等のアルキルケトン類;シクロヘキサノン等のシクロアルキルケトン類;2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホロアミド等の非プロトン系極性溶媒;ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等の非極性溶媒などが挙げられる。
これらの溶剤は、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
前記原子移動ラジカル重合における反応温度は、通常、40〜150℃、好ましくは50〜130℃である。
前記原子移動ラジカル重合における反応時間は、通常、1〜96時間、好ましくは1〜48時間である。
≪化合物(m0−1)≫
化合物(m0−1)は、下記一般式(m0−1)で表される化合物である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
上記式(m0−1)中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rp01の炭素数1〜5のアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rp01の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rp01としては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
上記式(m0−1)中、Vp01は、単結合又は2価の連結基である。
Vp01における2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基が好適なものとして挙げられる。
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基:
Vp01が置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
・・Vp01における脂肪族炭化水素基
該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、炭素数1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数3〜6がより好ましく、炭素数3又は4がさらに好ましく、炭素数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
・・Vp01における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子2つを除いた基(アリーレン基又はヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子2つを除いた基;前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子1つを除いた基(アリール基又はヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記のアリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、炭素数1〜2であることがより好ましく、炭素数1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。例えば、当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子及びハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
Vp01がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記のへテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−C(=O)−NH−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。中でも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
上記式(m0−1)中、Vp01は、上記の中でも、単結合、エステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、−C(=O)−NH−、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましく、単結合がより好ましい。
上記式(m0−1)中、Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03における炭化水素基としてはそれぞれ、脂肪族炭化水素基でもよいし芳香族炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよいし鎖状の炭化水素基でもよい。
置換基を有してもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。また、Rp02及びRp03における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。
Rp02及びRp03における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
Rp02及びRp03における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rp02及びRp03における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:たとえば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。
Rp02及びRp03における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。具体的には、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンが挙げられる。
Rp02及びRp03の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、ニトロ基、カルボニル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい鎖状のアルキル基:
Rp02及びRp03の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基として、具体的には、1−メチルエチル基、1,1−ジメチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等が挙げられる。
置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
Rp02及びRp03の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基等が挙げられる。
Rp02及びRp03の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等)、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記環式基等が挙げられる。
上記式(m0−1)中、Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。すなわち、Rp02及びRp03は、式中のイミド結合とともに、環状イミドを形成してもよい。該環状イミドは、単環式でも、多環式でもよく、多環式の場合は架橋構造であってもよい。
該多環式の環状イミド構造としては、環状イミドと、芳香族炭化水素基又は環状の脂肪族炭化水素基との縮合環が挙げられる。
環状イミドとして、具体的には、マレイミド環、スクシンイミド環、ナジイミド環等が挙げられる。
また、該環状イミドは、置換基を有していてもよい。
前記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよいし芳香族炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよいし鎖状の炭化水素基でもよい。
上記式(m0−1)中、Rp02及びRp03は、上記の中でも、相互に結合して環を形成していていることが好ましい。
Rp02及びRp03が、相互に結合して環を形成する場合の環状イミドの好ましい構造を下記に示す。なお、*は、上記式(m0−1)中の窒素原子と結合している酸素原子との結合手を示す。
Figure 2021117264
化合物(m0−1)は、下記一般式(m0−11)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Yp01は、アルキレン基、アルケニレン基又は2価の環式基である。]
上記式(m0−11)中、Rp01及びVp01は、上述した式(m0−1)中で説明した内容と同様である。
上記式(m0−11)中、Yp01は、アルキレン基、アルケニレン基又は2価の環式基である。
Yp01におけるアルキレン基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖状のアルキレン基が挙げられる。その中でも、具体的には、置換基を有してもよいエチレン基[−(CH−]、置換基を有してもよいn−プロピレン基[−(CH−]が好ましい。
前記置換基としては、炭化水素基が挙げられる。該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよいし芳香族炭化水素基でもよく、環状の炭化水素基でもよいし鎖状の炭化水素基でもよい。その中でも、具体的には、メチル基、エチル基等の直鎖状の炭化水素基;フェニル基等の芳香族炭化水素基が好ましい。
Yp01におけるアルケニレン基としては、置換基を有していてもよい炭素数2〜6個の直鎖状のアルケニレン基が挙げられる。その中でも、具体的には、エテニレン基が好ましい。
前記置換基としては、上記アルキレン基が有してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
Yp01における2価の環式基は、単環式でも、多環式でもよく、多環式の場合は架橋構造であってもよい。ここでYp01における2価の環式基が単環式である場合、式(m0−11)中の環状イミドとは異なる単環構造を有することを意味する。すなわち、多環式の環状イミド構造となる。
該多環式の環状イミド構造としては、環状イミドと、芳香族炭化水素基又は環状の脂肪族炭化水素基との縮合環が挙げられる。
前記環状イミドは、5員環又は6員環であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜12が特に好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
前記環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、ノルボルネン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
上記式(m0−11)中、Yp01は、上記の中でも、2価の環式基であることが好ましく、2価の環式の脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、2価の多環式基の脂肪族炭化水素基がさらに好ましい。具体的には、ノルボルナン、ノルボルネンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。
以下に前記式(m0−1)で表される化合物の好適な具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
上記例示の中でも、化合物(m0−1)は、化学式(m01−1−1)〜(m01−1−5)でそれぞれ表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、化学式(m01−1−1)で表される化合物がより好ましい。
≪化合物(m0−2)≫
化合物(m0−2)は、下記一般式(m0−2)で表される化合物である。
Figure 2021117264
[Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
上記式(m0−2)中、Rp04は、上記式(m0−1)中のRp01と同様のものが挙げられる。
上記式(m0−2)中、Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。
Rp05におけるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
Rp05におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
Rp05におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Rp05におけるハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
上記式(m0−2)中、nは0〜4の整数であり、0〜2であることが好ましい。
上記式(m0−2)中、Rp05は、上記の中でも、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基が好ましい。
上記式(m0−2)中、Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。
前記直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数3〜6がより好ましく、炭素数3又は4がさらに好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。
上記式(m0−2)中、Rp06は、上記の中でも、直鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基が好ましく、メチレン基がより好ましい。
以下に前記式(m0−2)で表される化合物の好適な具体例を示す。
Figure 2021117264
上記例示の中でも、化合物(m0−2)は、化学式(m02−1−1)、(m02−1−6)〜(m02−1−10)でそれぞれ表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
≪一般式(p0)で表される交互共重合体≫
上述した一般式(m0−1)で表される化合物と、上述した一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて得られる下記一般式(p0)で表される交互共重合体である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
上記一般式(p0)中の、Rp01、Vp01、Rp02、Rp03、Rp04、Rp05、Rp06、nは、上述した一般式(m0−1)又は(m0−2)で説明した内容と同様である。
上述した一般式(m0−1)で表される化合物から誘導される構成単位の割合は、上記一般式(p0)で表される交互共重合体を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、20〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜60モル%がさらに好ましい。
上述した一般式(m0−2)で表される化合物から誘導される構成単位の割合は、上記一般式(p0)で表される交互共重合体を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、20〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜60モル%がさらに好ましい。
<工程(iia)>
工程(iia)は、上記一般式(p0)で表される交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程である。
上記式(Pre−1a)におけるRp01、Vp01、Rp04、Rp05、Rp06、及びnは、上記式(m0−1)及び上記式(m0−2)で説明した内容と同様である。
前記交互共重合体を加水分解させる方法としては、前記交互共重合体及び酸成分を溶剤に加えて混合することにより行うことができる。該溶剤としては、上述した原子移動ラジカル重合に使用される溶剤と同様のものが挙げられる。
≪酸成分≫
酸成分は、特に限定されず、無機酸でもよいし、有機酸でもよい。
かかる酸成分としては、例えば、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、マロン酸等の有機酸;硫酸、塩酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、酸成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記交互共重合体と酸成分との反応の際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜120℃程度である。
上記交互共重合体と酸成分との反応時間は、特に限定されず、例えば1〜72時間程度である。
<工程(iiia)>
工程(iiia)は、上記式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(Pre−1b−1)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させる方法としては、エステル化として公知の方法を用いることができる。例えば、
カルボジイミド系の縮合剤(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC/HCl)等)、及び、触媒として、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)を用いて、エステル化する方法が挙げられる。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させる際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜120℃程度である。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させる際の反応時間は、特に限定されず、例えば1〜72時間程度である。
上記一般式(Add−1)におけるRa001の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、鎖状もしくは環状のアルケニル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
Ra11における、直鎖状のアルキル基は、炭素数1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基、n−ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
Ra001における、分岐鎖状のアルキル基は、炭素数3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra001が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra001における、環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は、5〜30が好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜12が特に好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
Ra001における芳香族炭化水素基として具体的には、前記の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基又はヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記の芳香族炭化水素環又は芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
Ra001における環状の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、−RP1、−RP2−O−RP1、−RP2−CO−RP1、−RP2−CO−ORP1、−RP2−O−CO−RP1、−RP2−OH、−RP2−CN又は−RP2−COOH等が挙げられる。
ここで、RP1は、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基、又は炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基である。RP2は、単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基、又は炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基である。但し、RP1及びRP2の鎖状飽和炭化水素基、脂肪族環状飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。上記脂肪族環状飽和炭化水素基は、上記置換基を1種単独で1つ以上有していてもよいし、上記置換基のうち複数種を各1つ以上有していてもよい。
炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環式脂肪族飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式脂肪族飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環から水素原子1個を除いた基が挙げられる。
P2における、炭素数1〜10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基、炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基としては、上述の1価の各炭化水素基から、さらに水素原子1個を除いた基が挙げられる。
Ra001における、鎖状もしくは環状のアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましい。
上記式(Add−1)におけるRa002及びRa003の炭化水素基としては、それぞれ、前記Ra001と同様のものが挙げられる。
Ra002とRa003とが互いに結合して環を形成する場合、下記一般式(a1−r2−1)で表される基、下記一般式(a1−r2−2)で表される基、下記一般式(a1−r2−3)で表される基が好適に挙げられる。
一方、Ra002とRa003とが互いに結合せず、独立した炭化水素基である場合、下記一般式(a1−r2−4)で表される基が好適に挙げられる。
Figure 2021117264
[式(a1−r2−1)中、Ra’10は、炭素数1〜10のアルキル基、又は下記一般式(a1−r2−r1)で表される基を示す。Ra’11はRa’10が結合した炭素原子と共に脂肪族環式基を形成する基を示す。式(a1−r2−2)中、Yaは炭素原子である。Xaは、Yaと共に環状の炭化水素基を形成する基である。この環状の炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra01〜Ra03は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基である。この鎖状飽和炭化水素基及び脂肪族環状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra01〜Ra03の2つ以上が互いに結合して環状構造を形成していてもよい。式(a1−r2−3)中、Yaaは炭素原子である。Xaaは、Yaaと共に脂肪族環式基を形成する基である。Ra04は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基である。式(a1−r2−4)中、Ra’12及びRa’13は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は水素原子である。この鎖状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。Ra’14は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。*は結合手を示す(以下同じ)。]
Figure 2021117264
[式中、Yaは、第4級炭素原子である。Ra031、Ra032及びRa033は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基である。但し、Ra031、Ra032及びRa033のうちの1つ以上は、少なくとも一つの極性基を有する炭化水素基である。]
上記の式(a1−r2−1)中、Ra’10の炭素数1〜10のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。Ra’10は、炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましい。
前記式(a1−r2−r1)中、Yaは、第4級炭素原子である。すなわち、Ya(炭素原子)に結合する隣の炭素原子が4つである。
前記式(a1−r2−r1)中、Ra031、Ra032及びRa033は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭化水素基である。Ra031、Ra032及びRa033における炭化水素基としては、それぞれ独立に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、鎖状もしくは環状のアルケニル基、又は、環状の炭化水素基が挙げられる。
Ra031、Ra032及びRa033における、直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
Ra031、Ra032及びRa033における、分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra031、Ra032及びRa033における、鎖状もしくは環状のアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基が好ましい。
Ra031、Ra032及びRa033における、環状の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra031、Ra032及びRa033における、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
上記のRa031、Ra032及びRa033で表される炭化水素基が置換されている場合、その置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
上記の中でも、Ra031、Ra032及びRa033における、置換基を有していてもよい炭化水素基は、置換基を有していてもよい直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状のアルキル基がより好ましい。
但し、Ra031、Ra032及びRa033のうちの1つ以上は、少なくとも極性基を有する炭化水素基である。
「極性基を有する炭化水素基」とは、炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を極性基で置換しているもの、又は、炭化水素基を構成する少なくとも1つの水素原子が極性基に置換しているものをいずれも包含する。
かかる「極性基を有する炭化水素基」としては、下記一般式(a1−p1)で表される官能基が好ましい。
Figure 2021117264
[式中、Ra07は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基を表す。Ra08は、ヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。Ra06は、炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。np0は、1〜6の整数である。]
前記式(a1−p1)中、Ra07は、炭素数2〜12の2価の炭化水素基を表す。
Ra07の炭素数は、2〜12であり、炭素数2〜8が好ましく、炭素数2〜6がより好ましく、炭素数2〜4がさらに好ましく、炭素数2が特に好ましい。
Ra07における炭化水素基は、鎖状又は環状の脂肪族炭化水素基が好ましく、鎖状の炭化水素基がより好ましい。
Ra07としては、例えば、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、ノナン−1,9−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、ウンデカン−1,11−ジイル基、ドデカン−1,12−ジイル基等の直鎖状アルカンジイル基;プロパン−1,2−ジイル基、1−メチルブタン−1,3−ジイル基、2−メチルプロパン−1,3−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、2−メチルブタン−1,4−ジイル基等の分岐鎖状アルカンジイル基;シクロブタン−1,3−ジイル基、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等のシクロアルカンジイル基;ノルボルナン−1,4−ジイル基、ノルボルナン−2,5−ジイル基、アダマンタン−1,5−ジイル基、アダマンタン−2,6−ジイル基等の多環式の2価の脂環式炭化水素基等挙げられる。
上記の中でも、アルカンジイル基が好ましく、直鎖状アルカンジイル基がより好ましい。
前記式(a1−p1)中、Ra08は、ヘテロ原子を含む2価の連結基を表す。
Ra08としては、例えば、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。
これらの中でも、現像液に対する溶解性の点から、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−が好ましく、−O−、−C(=O)−が特に好ましい。
前記式(a1−p1)中、Ra06は、炭素数1〜12の1価の炭化水素基を表す。
Ra06の炭素数は、1〜12であり、現像液に対する溶解性の点から、炭素数1〜8が好ましく、炭素数1〜5がより好ましく、炭素数1〜3がさらに好ましく、炭素数1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。
Ra06における炭化水素基は、鎖状炭化水素基もしくは環状炭化水素基、又は、鎖状と環状とを組み合わせた炭化水素基が挙げられる。
鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。
環状炭化水素基は、脂環式炭化水素基でもよいし、芳香族炭化水素基でもよい。
脂環式炭化水素基としては、単環式又は多環式のいずれでもよく、単環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基等のシクロアルキル基が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、例えば、デカヒドロナフチル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基、ノルボルニル基、メチルノルボルニル基、イソボルニル基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基等が挙げられる。
Ra06としては、現像液に対する溶解性の点から、鎖状炭化水素基が好ましく、アルキル基がより好ましく、直鎖状アルキル基がさらに好ましい。
前記式(a1−p1)中、np0は、1〜6の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1又は2がより好ましく、1がさらに好ましい。
以下に、少なくとも極性基を有する炭化水素基、の具体例を示す。
以下の式中、*は、第4級炭素原子(Ya)に結合する結合手である。
Figure 2021117264
前記式(a1−r2−r1)中、Ra031、Ra032及びRa033のうち、少なくとも極性基を有する炭化水素基の個数は、1つ以上であるが、レジストパターン形成の際における現像液への溶解性を考慮して適宜決定すればよく、例えば、Ra031、Ra032及びRa033のうちの1つ又は2つであることが好ましく、特に好ましくは1つである。
前記の少なくとも極性基を有する炭化水素基は、極性基以外の置換基を有してもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
式(a1−r2−1)中、Ra’11(Ra’10が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族環式基)は、上記一般式(Add−1)におけるRa001の単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基が好ましい。
式(a1−r2−2)中、XaがYaと共に形成する環状の炭化水素基としては、上記一般式(Add−1)中のRa001における環状の1価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基)から水素原子1個以上をさらに除いた基が挙げられる。
XaがYaと共に形成する環状の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、上記一般式(Add−1)中のRa001における環状の炭化水素基が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
式(a1−r2−2)中、Ra01〜Ra03における、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
Ra01〜Ra03における、炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環式脂肪族飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式脂肪族飽和炭化水素基等が挙げられる。
上記Ra01〜Ra03で表される鎖状飽和炭化水素基、又は脂肪族環状飽和炭化水素基が有する置換基としては、例えば、上述のRa05と同様の基が挙げられる。
Ra01〜Ra03の2つ以上が互いに結合して環状構造を形成することにより生じる炭素−炭素二重結合を含む基としては、例えば、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、シクロペンチリデンエテニル基、シクロへキシリデンエテニル基等が挙げられる。
式(a1−r2−3)中、XaaがYaaと共に形成する脂肪族環式基は、上記一般式(Add−1)中のRa001における単環式基又は多環式基である脂肪族炭化水素基として挙げた基が好ましい。
式(a1−r2−3)中、Ra04における芳香族炭化水素基としては、炭素数5〜30の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が挙げられる。中でも、Ra04は、炭素数6〜15の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンから水素原子1個以上を除いた基がより好ましく、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基がさらに好ましく、ベンゼン又はナフタレンから水素原子1個以上を除いた基が特に好ましく、ベンゼンから水素原子1個以上を除いた基が最も好ましい。
式(a1−r2−3)中のRa04が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等)、アルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
式(a1−r2−4)中、Ra’12及びRa’13は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基又は水素原子である。Ra’12及びRa’13における、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、上記のRa01〜Ra03における、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基と同様のものが挙げられる。この鎖状飽和炭化水素基が有する水素原子の一部又は全部は置換されていてもよい。
Ra’12及びRa’13は、中でも、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記Ra’12及びRa’13で表される鎖状飽和炭化水素基が置換されている場合、その置換基としては、例えば、上述のRa05と同様の基が挙げられる。
式(a1−r2−4)中、Ra’14は、置換基を有していてもよい炭化水素基である。Ra’14における炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
Ra’14における直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1又は2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基又はn−ブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
Ra’14における分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra’14が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra’14における芳香族炭化水素基としては、Ra04における芳香族炭化水素基と同様のものが挙げられる。中でも、Ra’14は、炭素数6〜15の芳香族炭化水素環から水素原子1個以上を除いた基が好ましく、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン又はフェナントレンから水素原子1個以上を除いた基がより好ましく、ベンゼン、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基がさらに好ましく、ナフタレン又はアントラセンから水素原子1個以上を除いた基が特に好ましく、ナフタレンから水素原子1個以上を除いた基が最も好ましい。
Ra’14が有していてもよい置換基としては、Ra04が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
式(a1−r2−4)中のRa’14がナフチル基である場合、前記式(a1−r2−4)における第3級炭素原子と結合する位置は、ナフチル基の1位又は2位のいずれであってもよい。
式(a1−r2−4)中のRa’14がアントリル基である場合、前記式(a1−r2−4)における第3級炭素原子と結合する位置は、アントリル基の1位、2位又は9位のいずれであってもよい。
前記式(a1−r2−1)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
前記式(a1−r2−2)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
前記式(a1−r2−3)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2021117264
前記式(a1−r2−4)で表される基の具体例を以下に挙げる。
Figure 2021117264
上記式(Pre−1b−1)におけるRp01、Vp01、Rp04、Rp05、Rp06、及びnは、上記式(m0−1)及び上記式(m0−2)で説明した内容と同様である。
上記式(Pre−1b−1)におけるRa001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。
なお、上記式(Pre−1b−1)中、−C(Ra001)(Ra002)(Ra003)は酸解離性基(第3級アルキルエステル型酸解離性基)である。「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
具体的には、上記式(Pre−1b−1)中の−C(Ra001)(Ra002)(Ra003)の第3級炭素原子と、該第3級炭素原子に隣接する酸素原子と、の間の結合が開裂して−C(Ra001)(Ra002)(Ra003)が解離し、極性の高い極性基(カルボキシ基)が生じて極性が増大する。
上記式(Pre−1b−1)におけるRa001、Ra002及びRa003は、上記式(Add−1)の炭化水素基として説明した内容と同様である。
<工程(iva)>
工程(iva)は、前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、上記一般式(p1)で表される高分子化合物(A01)を得る工程(以下、工程(iva)ともいう)である。
前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解させる方法としては、前記第2の高分子化合物前駆体及び塩基成分を溶剤に加えて混合することにより行うことができる。該溶剤としては、上述した原子移動ラジカル重合に使用される溶剤と同様のものが挙げられる。
≪塩基成分≫
塩基成分は、特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、塩基成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記第2の高分子化合物前駆体と塩基成分との反応の際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜60℃程度である。
上記第2の高分子化合物前駆体と塩基成分との反応時間は、特に限定されず、例えば1〜24時間程度である。
上記一般式(p1)におけるRp01、Vp01、Rp04、Rp05、及びnは、上記式(m0−1)及び上記式(m0−2)で説明した内容と同様である。
上記一般式(p1)におけるRa001、Ra002及びRa003は、上記式(Add−1)の炭化水素基として説明した内容と同様である。
<工程(va)>
高分子化合物(A01)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程である。
[レジスト組成物]
本実施形態におけるレジスト組成物は、露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化するものであって、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分(A)(以下「(A)成分」ともいう)を含有する。なお、上述した高分子化合物(A01)は、前記(A)成分に含まれるものであり、前記(A)成分は、高分子化合物(A01)以外の高分子化合物(A1)(以下、(A1)成分ともいう)を含んでいてもよい。
本実施形態におけるレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対して選択的露光を行うと、該レジスト膜の露光部では酸が発生し、該酸の作用により(A)成分の現像液に対する溶解性が変化する一方で、該レジスト膜の未露光部では(A)成分の現像液に対する溶解性が変化しないため、該レジスト膜の露光部と未露光部との間で現像液に対する溶解性の差が生じる。そのため、該レジスト膜を現像すると、該レジスト組成物がポジ型の場合はレジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型のレジストパターンが形成され、該レジスト組成物がネガ型の場合はレジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型のレジストパターンが形成される。
本明細書においては、レジスト膜露光部が溶解除去されてポジ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を、ポジ型レジスト組成物といい、レジスト膜未露光部が溶解除去されてネガ型レジストパターンを形成するレジスト組成物を、ネガ型レジスト組成物という。
本実施形態におけるレジスト組成物は、ポジ型レジスト組成物であってもよく、ネガ型レジスト組成物であってもよい。
また、本実施形態におけるレジスト組成物は、レジストパターン形成時の現像処理にアルカリ現像液を用いるアルカリ現像プロセス用であってもよく、該現像処理に有機溶剤を含む現像液(有機系現像液)を用いる溶剤現像プロセス用であってもよい。
つまり、本実施形態におけるレジスト組成物は、アルカリ現像プロセスにおいてポジ型レジストパターンを形成する「アルカリ現像プロセス用ポジ型レジスト組成物」であり、溶剤現像プロセスにおいてネガ型レジストパターンを形成する「溶剤現像プロセス用ネガ型レジスト組成物」である。
本実施形態におけるレジスト組成物は、露光により酸を発生する酸発生能を有するものであり、(A)成分が露光により酸を発生してもよく、(A)成分とは別に配合された添加剤成分が露光により酸を発生してもよい。
具体的には、レジスト組成物は、(1)露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)を含有するものであってもよく;(2)(A)成分が露光により酸を発生する成分であってもよく;(3)(A)成分が露光により酸を発生する成分であり、かつ、さらに(B)成分を含有するものであってもよい。
すなわち、上記(2)又は(3)の場合、(A)成分は、「露光により酸を発生し、かつ、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分」となる。
なお、上記(2)又は(3)の場合、(A)成分が上記(A1)成分を含み、(A1)成分が露光により酸を発生する成分を含むことを意味する。
本実施形態におけるレジスト組成は、上記(1)の場合であることが好ましい。
本実施形態におけるレジスト組成物としては、例えば、(A)成分、(B)成分、(S)成分を含有するレジスト組成物が挙げられる。
<(A)成分>
レジスト組成物における(A)成分は、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分であり、上述した(A0)成分を含むものである。(A0)成分を用いることにより、露光前後で基材成分の極性が変化するため、アルカリ現像プロセスだけでなく、溶剤現像プロセスにおいても、良好な現像コントラストを得ることができる。
また、(A0)成分は、上述した工程により製造されているため、各構成単位のばらつきが抑えられており、リソグラフィー特性が良好なレジストパターンを形成することができる。
アルカリ現像プロセスを適用する場合、該(A0)成分を含む基材成分は、露光前はアルカリ現像液に対して難溶性であり、例えば、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が増大してアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜露光部はアルカリ現像液に対して難溶性から可溶性に変化する一方で、レジスト膜未露光部はアルカリ難溶性のまま変化しないため、アルカリ現像することによりポジ型レジストパターンが形成される。
一方、溶剤現像プロセスを適用する場合、該(A0)成分を含む基材成分は、露光前は有機系現像液に対して溶解性が高く、例えば、露光により(B)成分から酸が発生すると、該酸の作用により極性が高くなり、有機系現像液に対する溶解性が減少する。そのため、レジストパターンの形成において、当該レジスト組成物を支持体上に塗布して得られるレジスト膜に対して選択的に露光すると、レジスト膜露光部は有機系現像液に対して可溶性から難溶性に変化する一方で、レジスト膜未露光部は可溶性のまま変化しないため、有機系現像液で現像することにより、露光部と未露光部との間でコントラストをつけることができ、ネガ型レジストパターンが形成される。
本実施形態におけるレジスト組成物において、(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
・(A1)成分について
(A1)成分は、(A0)成分に該当しない高分子化合物であり、例えば、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(a2)、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)(但し、構成単位(a1)もしくは構成単位(a2)に該当するものを除く)、ヒドロキシスチレン骨格を含む構成単位(a10)、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位(a4)のいずれか一つ以上を有する高分子化合物が挙げられる。
≪構成単位(a1)≫
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基がより好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基が酸解離性基で保護された基(たとえばOH含有極性基の水素原子を、酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
ここで「酸解離性基」とは、(i)酸の作用により、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基、又は、(ii)酸の作用により一部の結合が開裂した後、さらに脱炭酸反応が生じることにより、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る基、の双方をいう。
酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大し、現像液が有機系現像液の場合には溶解性が減少する。
酸解離性基としては、これまで、化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものが挙げられる。
化学増幅型レジスト組成物用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものとして具体的には、「アセタール型酸解離性基」、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」、「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」が挙げられる。
なお、アセタール型酸解離性基は、後述する式(Pre−1b−2)中、−C(Ra004)(Ra005)−O−(Ra006)で表されるアセタール型酸解離性基と同様である。
第3級アルキルエステル型酸解離性基は、上記式(Pre−1b−1)中、−C(Ra001)(Ra002)(Ra003)で表される第3級アルキルエステル型酸解離性基で説明した内容と同様である。
第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基:
前記極性基のうち水酸基を保護する酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(a1−r−3)で表される酸解離性基(以下便宜上「第3級アルキルオキシカルボニル酸解離性基」ということがある)が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、Ra’〜Ra’はそれぞれアルキル基である。]
式(a1−r−3)中、Ra’〜Ra’は、それぞれ炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
また、各アルキル基の合計の炭素数は、3〜7であることが好ましく、炭素数3〜5であることがより好ましく、炭素数3〜4であることが最も好ましい。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位、アクリルアミドから誘導される構成単位、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a1)の好ましい具体例としては、下記一般式(a1−1)又は(a1−2)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vaは、エーテル結合を有していてもよい2価の炭化水素基である。na1は、0〜2の整数である。Raは、上記の一般式(a1−r−1)、(a1−r2−1)、(a1−r2−2)、(a1−r2−3)、又は(a1−r2−4)で表される酸解離性基である。Waはna2+1価の炭化水素基であり、na2は1〜3の整数であり、Raは上記の一般式(a1−r−1)又は(a1−r−3)で表される酸解離性基である。]
前記式(a1−1)中、Rの炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
前記式(a1−1)中、Vaにおける2価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
Vaにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状もしくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、炭素数1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数3〜6がより好ましく、炭素数3又は4がさらに好ましく、炭素数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、前記直鎖状の脂肪族炭化水素基または前記分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Vaにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
かかる芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記式(a1−1)中、Raは、上記式(a1−r−1)、(a1−r2−1)、(a1−r2−2)、(a1−r2−3)、又は(a1−r2−4)で表される酸解離性基である。
前記式(a1−2)中、Waにおけるna2+1価の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味し、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基、或いは直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基と構造中に環を含む脂肪族炭化水素基とを組み合わせた基が挙げられる。
前記na2+1価は、2〜4価が好ましく、2又は3価がより好ましい。
前記式(a1−2)中、Raは、上記の一般式(a1−r−1)又は(a1−r−3)で表される酸解離性基である。
以下に前記式(a1−1)で表される構成単位の具体例を示す。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
以下に前記式(a1−2)で表される構成単位の具体例を示す。
Figure 2021117264
(A1)成分が有する構成単位(a1)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分中の構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、5〜80モル%が好ましく、10〜75モル%がより好ましく、20〜60モル%がさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合を、前記の好ましい範囲の下限値以上とすることによって、感度、解像性、ラフネス改善等のリソグラフィー特性が向上する。一方、前記の好ましい範囲の上限値以下であると、他の構成単位とのバランスを取ることができ、種々のリソグラフィー特性が良好となる。
≪構成単位(a2)≫
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基、−SO−含有環式基又はカーボネート含有環式基を含む構成単位(但し、構成単位(a1)に該当するものを除く)である。
構成単位(a2)のラクトン含有環式基、−SO−含有環式基またはカーボネート含有環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高める上で有効なものである。また、構成単位(a2)を有することで、例えば酸拡散長を適切に調整する、レジスト膜の基板への密着性を高める、現像時の溶解性を適切に調整する等の効果により、リソグラフィー特性等が良好となる。
「ラクトン含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−を含む環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。ラクトン含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
構成単位(a2)におけるラクトン含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、Ra’21はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数であり、m’は0または1である。]
前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中、Ra’21におけるアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
Ra’21におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基として挙げたアルキル基と酸素原子(−O−)とが連結した基が挙げられる。
Ra’21におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
Ra’21におけるハロゲン化アルキル基としては、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
Ra’21における−COOR”、−OC(=O)R”において、R”はいずれも水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。
R”におけるアルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよく、炭素数は1〜15が好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
R”におけるラクトン含有環式基としては、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基と同様のものが挙げられる。
R”におけるカーボネート含有環式基としては、後述のカーボネート含有環式基と同様であり、具体的には一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
R”における−SO−含有環式基としては、後述の−SO−含有環式基と同様であり、具体的には一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Ra’21におけるヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記Ra’21におけるアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中、A” における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
下記に一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。−SO−含有環式基は、単環式基であってもよく多環式基であってもよい。
−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環を含有する環式基であることが好ましい。
−SO−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、Ra’51はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、n’は0〜2の整数である。]
前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−2)中、A”は、前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中のA”と同様である。
Ra’51におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。式中の「Ac」は、アセチル基を示す。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
「カーボネート含有環式基」とは、その環骨格中に−O−C(=O)−O−を含む環(カーボネート環)を含有する環式基を示す。カーボネート環をひとつ目の環として数え、カーボネート環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。カーボネート含有環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
カーボネート環含有環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。具体的には、下記一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、Ra’x31はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり;R”は水素原子、アルキル基、ラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、p’は0〜3の整数であり、q’は0または1である。]
前記一般式(ax3−r−2)〜(ax3−r−3)中、A”は、前記一般式(a2−r−2)、(a2−r−3)、(a2−r−5)中のA”と同様である。
Ra’ 31におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)中のRa’21についての説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
下記に一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基の具体例を挙げる。
Figure 2021117264
構成単位(a2)としては、なかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
かかる構成単位(a2)は、下記一般式(a2−1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 2021117264
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Ya21は単結合または2価の連結基である。La21は−O−、−COO−、−CON(R’)−、−OCO−、−CONHCO−又は−CONHCS−であり、R’は水素原子またはメチル基を示す。ただしLa21が−O−の場合、Ya21は−CO−にはならない。Ra21はラクトン含有環式基、カーボネート含有環式基、又は−SO−含有環式基である。]
前記式(a2−1)中、Rは前記と同じである。Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
前記式(a2−1)中、Ya21の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適に挙げられる。Ya21における、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基についての説明は、上述の一般式(a10−1)中のYax1における、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基についての説明とそれぞれ同様である。
Ya21としては、単結合、エステル結合[−C(=O)−O−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましい。
前記式(a2−1)中、Ra21はラクトン含有環式基、−SO−含有環式基またはカーボネート含有環式基である。
Ra21におけるラクトン含有環式基、−SO−含有環式基、カーボネート含有環式基としてはそれぞれ、前述した一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表される基、一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される基、一般式(ax3−r−1)〜(ax3−r−3)でそれぞれ表される基が好適に挙げられる。
中でも、ラクトン含有環式基または−SO−含有環式基が好ましく、前記一般式(a2−r−1)、(a2−r−2)、(a2−r−6)または(a5−r−1)でそれぞれ表される基がより好ましい。具体的には、前記化学式(r−lc−1−1)〜(r−lc−1−7)、(r−lc−2−1)〜(r−lc−2−18)、(r−lc−6−1)、(r−sl−1−1)、(r−sl−1−18)でそれぞれ表される、いずれかの基がより好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a2)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a2)を有する場合、構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、20〜70モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがより好ましい。
構成単位(a2)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下であると、他の構成単位とのバランスを取ることができ、種々のリソグラフィー特性が良好となる。
≪構成単位(a3)≫
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(但し、構成単位(a1)、構成単位(a2)に該当するものを除く)である。(A1)成分が構成単位(a3)を有することで、例えば酸拡散長を適切に調整する、レジスト膜の基板への密着性を高める、現像時の溶解性を適切に調整する、エッチング耐性を向上させる等の効果により、リソグラフィー特性等が良好となる。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。
該環式基が単環式基である場合、炭素数は3〜10であることがより好ましい。その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族単環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該単環式基としては、モノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基を例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタンなどのモノシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの単環式基の中でも、シクロペンタンから2個以上の水素原子を除いた基、シクロヘキサンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
該環式基が多環式基である場合、該多環式基の炭素数は7〜30であることがより好ましい。その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましい。
また、構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられ;単環式基のときは、式(a3−4)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは0〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。]
式(a3−1)中、jは、1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが特に好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
式(a3−4)中、t’は1又は2であることが好ましい。lは0又は1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、シクロヘキシル基の3又は5位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が有する構成単位(a3)は、1種でも2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a3)を有する場合、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して1〜30モル%であることが好ましく、2〜25モル%がより好ましく、5〜20モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を好ましい下限値以上とすることにより、前述した効果によって、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、好ましい上限値以下であると、他の構成単位とのバランスを取ることができ、種々のリソグラフィー特性が良好となる。
≪その他構成単位≫
(A1)成分は、上述した構成単位(a1)、構成単位(a2)、構成単位(a3)以外のその他構成単位を有してもよい。
その他構成単位としては、例えば、後述のヒドロキシスチレン骨格を含む構成単位(a10)、一般式(a9−1)で表される構成単位(a9)、スチレンから誘導される構成単位(但し、構成単位(a10)に該当するものを除く)、酸非解離性の脂肪族環式基を含む構成単位(a4)などが挙げられる。
≪ヒドロキシスチレン骨格を含む構成単位(a10)≫
構成単位(a10)は、下記一般式(a10−1)で表される構成単位である。
Figure 2021117264
[式中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Yax1は、単結合又は2価の連結基である。Wax1は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。nax1は、1以上の整数である。]
前記式(a10−1)中、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおける炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基がより好ましく、水素原子又はメチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
前記式(a10−1)中、Yax1は、単結合又は2価の連結基である。
前記の化学式中、Yax1における2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有してもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
・置換基を有してもよい2価の炭化水素基:
Yax1が置換基を有してもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でもよいし、芳香族炭化水素基でもよい。
・・Yax1における脂肪族炭化水素基
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、炭素数1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数3〜6がより好ましく、炭素数3又は4がさらに好ましく、炭素数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有してもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基がさらに好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。
・・Yax1における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でもよいし、多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜12が特に好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基またはヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を2つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記アリール基またはヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、炭素数1〜2であることがより好ましく、炭素数1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。例えば当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子およびハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
Yax1がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとしては、−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−、−NH−C(=NH)−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有してもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
前記へテロ原子を含む2価の連結基が−C(=O)−NH−、−C(=O)−NH−C(=O)−、−NH−、−NH−C(=NH)−の場合、そのHはアルキル基、アシル等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
一般式−Y21−O−Y22−、−Y21−O−、−Y21−C(=O)−O−、−C(=O)−O−Y21−、−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−、−Y21−O−C(=O)−Y22−または−Y21−S(=O)−O−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有してもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記Yax1における2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有してもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基において、m”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m”−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
上記の中でも、Yax1としては、単結合、エステル結合[−C(=O)−O−、−O−C(=O)−]、エーテル結合(−O−)、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましく、単結合、エステル結合[−C(=O)−O−、−O−C(=O)−]がより好ましい。
前記式(a10−1)中、Wax1は、置換基を有してもよい芳香族炭化水素基である。
Wax1における芳香族炭化水素基としては、置換基を有してもよい芳香環から(nax1+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。ここでの芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜12が特に好ましい。該芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
また、Wax1における芳香族炭化水素基としては、2以上の置換基を有してもよい芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から(nax1+1)個の水素原子を除いた基も挙げられる。
上記の中でも、Wax1としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンまたはビフェニルから(nax1+1)個の水素原子を除いた基が好ましく、ベンゼン又はナフタレンから(nax1+1)個の水素原子を除いた基がより好ましく、ベンゼンから(nax1+1)個の水素原子を除いた基がさらに好ましい。
Wax1における芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。前記置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。前記置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基としては、Yax1における環状の脂肪族炭化水素基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。前記置換基は、炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、エチル基又はメチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。Wax1における芳香族炭化水素基は、置換基を有していないことが好ましい。
前記式(a10−1)中、nax1は、1以上の整数であり、1〜10の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1、2又は3がさらに好ましく、1又は2が特に好ましい。
以下に、前記式(a10−1)で表される構成単位(a10)の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
(A1)成分が有する構成単位(a10)は、1種でもよく2種以上でもよい。
(A1)成分が構成単位(a10)を有する場合、(A1)成分中の構成単位(a10)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計(100モル%)に対して、5〜80モル%が好ましく、10〜75モル%がより好ましく、30〜70モル%がさらに好ましく、40〜60モル%が特に好ましい。
構成単位(a10)の割合を前記の好ましい範囲内にすることにより、レジスト膜中でプロトンを供給する効率が上がり、かつ現像液溶解性が適切に担保できるため、本発明の効果がより得られやすくなる。
構成単位(a4):
構成単位(a4)は、酸非解離性環式基を含む構成単位である。(A1)成分が構成単位(a4)を有することにより、形成される感光性樹脂パターンのドライエッチング耐性が向上する。また、(A1)成分の疎水性が高まる。
構成単位(a4)における「酸非解離性環式基」は、露光により後述の(B)成分等から酸が発生した際に、該酸が作用しても解離することなくそのまま当該構成単位中に残る環式基である。
構成単位(a4)としては、例えば、酸非解離性の脂肪族環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位等が好ましい。該環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。特にトリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−7)の構造のものを例示することができる。
Figure 2021117264
[式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。]
(A1)成分が含有する構成単位(a4)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際、構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜30モル%であることが好ましく、10〜20モル%であることがより好ましい。
かかる(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを重合溶媒に溶解し、ここに、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸ジメチル(たとえばV−601など)等のラジカル重合開始剤を加えて重合することにより製造することができる。あるいは、かかる(A1)成分は、構成単位(a1)を誘導するモノマーと、必要に応じて構成単位(a1)以外の構成単位を誘導する前駆体モノマー(官能基が保護されたモノマー)と、を重合溶媒に溶解し、ここに、上記のようなラジカル重合開始剤を加えて重合し、その後、脱保護反応を行うことにより製造することができる。尚、重合の際に、例えば、HS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
(A1)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、2000〜30000がより好ましく、3000〜20000がさらに好ましい。
(A1)成分のMwがこの範囲の好ましい上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の好ましい下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(A1)成分の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜4.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.1〜2.0が特に好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
≪(B)成分≫
(B)成分は、露光により酸を発生する酸発生剤成分である。
(B)成分としては、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として提案されているものを用いることができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤;ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤;ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが挙げられる。
オニウム塩系酸発生剤としては、例えば、下記の一般式(b−1)で表される化合物(以下「(b−1)成分」ともいう)、一般式(b−2)で表される化合物(以下「(b−2)成分」ともいう)又は一般式(b−3)で表される化合物(以下「(b−3)成分」ともいう)が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、R101及びR104〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。R104とR105とは相互に結合して環構造を形成していてもよい。R102は、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基又はフッ素原子である。Y101は、酸素原子を含む2価の連結基又は単結合である。V101〜V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。L101〜L102は、それぞれ独立に、単結合又は酸素原子である。L103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。mは1以上の整数であって、M’m+はm価のオニウムカチオンである。]
{アニオン部}
・(b−1)成分におけるアニオン
式(b−1)中、R101は、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。
置換基を有していてもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
101における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。但し、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
101における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
101における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
101における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
なかでも、R101における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が2〜10であることが好ましく、3〜6がより好ましく、3又は4がさらに好ましく、3が最も好ましい。分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R101における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基、その他下記化学式(r−hr−1)〜(r−hr−16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。式中*は、式(b−1)中のY101に結合する結合手を表す。
Figure 2021117264
101の環式基における置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
101における環状の炭化水素基は、脂肪族炭化水素環と芳香環とが縮合した縮合環を含む縮合環式基であってもよい。前記縮合環としては、例えば、架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンに、1個以上の芳香環が縮合したもの等が挙げられる。前記架橋環系ポリシクロアルカンの具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(ノルボルナン)、ビシクロ[2.2.2]オクタン等のビシクロアルカンが挙げられる。前記縮合環式としては、ビシクロアルカンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環を含む基が好ましく、ビシクロ[2.2.2]オクタンに2個又は3個の芳香環が縮合した縮合環を含む基がより好ましい。R101における縮合環式基の具体例としては、下記式(r−br−1)〜(r−br−2)で表されるが挙げられる。式中*は、式(b−1)中のY101に結合する結合手を表す。
Figure 2021117264
101における縮合環式基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基等が挙げられる。
前記縮合環式基の置換基としてのアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基は、上記R101における環式基の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記縮合環式基の置換基としての芳香族炭化水素基としては、芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えば、フェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)、上記式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される複素環式基等が挙げられる。
前記縮合環式基の置換基としての脂環式炭化水素基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基;前記式(r−hr−7)〜(r−hr−16)でそれぞれ表される複素環式基等が挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基:
101の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基:
101の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
101の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R101における環式基等が挙げられる。
上記の中でも、R101は、置換基を有していてもよい環式基が好ましく、置換基を有していてもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基などが好ましい。
式(b−1)中、Y101は、単結合または酸素原子を含む2価の連結基である。
101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、該Y101は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、例えば炭素原子、水素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、オキシカルボニル基(−O−C(=O)−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。この組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。かかる酸素原子を含む2価の連結基としては、例えば下記一般式(y−al−1)〜(y−al−7)でそれぞれ表される連結基が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、V’101は単結合または炭素数1〜5のアルキレン基であり、V’102は炭素数1〜30の2価の飽和炭化水素基である。]
V’102における2価の飽和炭化水素基は、炭素数1〜30のアルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基であることがさらに好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基としては、直鎖状のアルキレン基でもよく分岐鎖状のアルキレン基でもよく、直鎖状のアルキレン基が好ましい。
V’101およびV’102におけるアルキレン基として、具体的には、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
また、V’101又はV’102における前記アルキレン基における一部のメチレン基が、炭素数5〜10の2価の脂肪族環式基で置換されていてもよい。当該脂肪族環式基は、前記式(a1−r−1)中のRa’の環状の脂肪族炭化水素基(単環式の脂肪族炭化水素基、多環式の脂肪族炭化水素基)から水素原子をさらに1つ除いた2価の基が好ましく、シクロへキシレン基、1,5−アダマンチレン基または2,6−アダマンチレン基がより好ましい。
101としては、エステル結合を含む2価の連結基、またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基がより好ましい。
式(b−1)中、V101は、単結合、アルキレン基又はフッ素化アルキレン基である。V101におけるアルキレン基、フッ素化アルキレン基は、炭素数1〜4であることが好ましい。V101におけるフッ素化アルキレン基としては、V101におけるアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。なかでも、V101は、単結合、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基であることが好ましい。
式(b−1)中、R102は、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。R102は、フッ素原子または炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基であることが好ましく、フッ素原子であることがより好ましい。
前記式(b−1)で表されるアニオン部の具体例としては、例えば、Y101が単結合となる場合、トリフルオロメタンスルホネートアニオンやパーフルオロブタンスルホネートアニオン等のフッ素化アルキルスルホネートアニオンが挙げられ;Y101が酸素原子を含む2価の連結基である場合、下記式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、R”101は、置換基を有してもよい脂肪族環式基、上記の化学式(r−hr−1)〜(r−hr−6)でそれぞれ表される1価の複素環式基、前記式(r−br−1)又(r−br−2)で表される縮合環式基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルキル基である。R”102は、置換基を有してもよい脂肪族環式基、前記式(r−br−1)又(r−br−2)で表される縮合環式基、前記一般式(a2−r−1)、(a2−r−3)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、又は前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基である。R”103は、置換基を有してもよい芳香族環式基、置換基を有してもよい脂肪族環式基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。V”101は、単結合、炭素数1〜4のアルキレン基、又は炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。R102は、フッ素原子又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。v”はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、q”はそれぞれ独立に0〜20の整数であり、n”は0または1である。]
R”101、R”102およびR”103の置換基を有してもよい脂肪族環式基は、前記式(b−1)中のR101における環状の脂肪族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、前記式(b−1)中のR101における環状の脂肪族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”103における置換基を有してもよい芳香族環式基は、前記式(b−1)中のR101における環状の炭化水素基における芳香族炭化水素基として例示した基であることが好ましい。前記置換基としては、前記式(b−1)中のR101における該芳香族炭化水素基を置換してもよい置換基と同様のものが挙げられる。
R”101における置換基を有してもよい鎖状のアルキル基は、前記式(b−1)中のR101における鎖状のアルキル基として例示した基であることが好ましい。
R”103における置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基は、前記式(b−1)中のR101における鎖状のアルケニル基として例示した基であることが好ましい。
・(b−2)成分におけるアニオン
式(b−2)中、R104、R105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、または置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。ただし、R104、R105は、相互に結合して環を形成していてもよい。
104、R105は、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のフッ素化アルキル基であることがより好ましい。
該鎖状のアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましく、より好ましくは炭素数1〜7、さらに好ましくは炭素数1〜3である。R104、R105の鎖状のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト用溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。また、R104、R105の鎖状のアルキル基においては、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また、250nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するため好ましい。前記鎖状のアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキル基である。
式(b−2)中、V102、V103は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、またはフッ素化アルキレン基であり、それぞれ、式(b−1)中のV101と同様のものが挙げられる。
式(b−2)中、L101、L102は、それぞれ独立に単結合又は酸素原子である。
・(b−3)成分におけるアニオン
式(b−3)中、R106〜R108は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ、式(b−1)中のR101と同様のものが挙げられる。
式(b−3)中、L103〜L105は、それぞれ独立に、単結合、−CO−又は−SO−である。
上記の中でも、(B)成分のアニオン部としては、(b−1)成分におけるアニオンが好ましい。この中でも、上記の一般式(an−1)〜(an−3)のいずれかで表されるアニオンがより好ましく、一般式(an−1)又は(an−2)のいずれかで表されるアニオンがさらに好ましく、一般式(an−2)で表されるアニオンが特に好ましい。
{カチオン部}
前記の式(b−1)、式(b−2)、式(b−3)中、M’m+は、m価のオニウムカチオンを表す。この中でも、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオンが好ましい。
mは、1以上の整数である。
好ましいカチオン部((M’m+1/m)としては、下記の一般式(ca−1)〜(ca−5)でそれぞれ表される有機カチオンが挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、R201〜R207、およびR211〜R212は、それぞれ独立に置換基を有してもよいアリール基、アルキル基またはアルケニル基を表す。R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。R208〜R209は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。R210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO−含有環式基である。L201は、−C(=O)−または−C(=O)−O−を表す。Y201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基またはアルケニレン基を表す。xは1または2である。W201は(x+1)価の連結基を表す。]
上記の一般式(ca−1)〜(ca−5)中、R201〜R207、およびR211〜R212におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
201〜R207、およびR211〜R212におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、カルボニル基、シアノ基、アミノ基、アリール基、下記の一般式(ca−r−1)〜(ca−r−7)でそれぞれ表される基が挙げられる。
Figure 2021117264
[式中、R’201は、それぞれ独立に、水素原子、置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基である。]
置換基を有してもよい環式基:
該環式基は、環状の炭化水素基であることが好ましく、該環状の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。また、脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
R’201における芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、炭素数5〜30がより好ましく、炭素数5〜20がさらに好ましく、炭素数6〜15が特に好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
R’201における芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ビフェニル、又はこれらの芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環などが挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
R’201における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香環から水素原子を1つ除いた基(アリール基:例えばフェニル基、ナフチル基など)、前記芳香環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えばベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、炭素数1〜2がより好ましく、炭素数1が特に好ましい。
R’201における環状の脂肪族炭化水素基は、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基が挙げられる。
この構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を1個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜30のものが好ましい。中でも、該ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等の架橋環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカン;ステロイド骨格を有する環式基等の縮合環系の多環式骨格を有するポリシクロアルカンがより好ましい。
なかでも、R’201における環状の脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンから水素原子を1つ以上除いた基が好ましく、ポリシクロアルカンから水素原子を1つ除いた基がより好ましく、アダマンチル基、ノルボルニル基が特に好ましく、アダマンチル基が最も好ましい。
脂環式炭化水素基に結合してもよい、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましく、炭素数1〜3が特に好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
また、R’201における環状の炭化水素基は、複素環等のようにヘテロ原子を含んでもよい。具体的には、前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基、その他上記の化学式(r−hr−1)〜(r−hr−16)でそれぞれ表される複素環式基が挙げられる。
R’201の環式基における置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。
置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が最も好ましい。
置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
置換基としてのカルボニル基は、環状の炭化水素基を構成するメチレン基(−CH−)を置換する基である。
置換基を有してもよい鎖状のアルキル基:
R’201の鎖状のアルキル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよい。
直鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が最も好ましい。
分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、炭素数3〜15であることがより好ましく、炭素数3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基:
R’201の鎖状のアルケニル基としては、直鎖状又は分岐鎖状のいずれでもよく、炭素数が2〜10であることが好ましく、炭素数2〜5がより好ましく、炭素数2〜4がさらに好ましく、炭素数3が特に好ましい。直鎖状のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、1−メチルビニル基、2−メチルビニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
鎖状のアルケニル基としては、上記の中でも、直鎖状のアルケニル基が好ましく、ビニル基、プロペニル基がより好ましく、ビニル基が特に好ましい。
R’201の鎖状のアルキル基またはアルケニル基における置換基としては、たとえば、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基、ニトロ基、アミノ基、上記R’201における環式基等が挙げられる。
R’201の置換基を有してもよい環式基、置換基を有してもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有してもよい鎖状のアルケニル基は、上述したものの他、置換基を有してもよい環式基又は置換基を有してもよい鎖状のアルキル基として、上述の式(a1−r−2)で表される酸解離性基と同様のものも挙げられる。
なかでも、R’201は、置換基を有してもよい環式基が好ましく、置換基を有してもよい環状の炭化水素基であることがより好ましい。より具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;前記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基;前記一般式(a5−r−1)〜(a5−r−4)でそれぞれ表される−SO−含有環式基などが好ましい。
上記の一般式(ca−1)〜(ca−5)中、R201〜R203、R206〜R207、R211〜R212は、相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、硫黄原子、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子や、カルボニル基、−SO−、−SO−、−SO−、−COO−、−CONH−または−N(R)−(該Rは炭素数1〜5のアルキル基である。)等の官能基を介して結合してもよい。形成される環としては、式中のイオウ原子をその環骨格に含む1つの環が、イオウ原子を含めて、3〜10員環であることが好ましく、5〜7員環であることが特に好ましい。形成される環の具体例としては、例えばチオフェン環、チアゾール環、ベンゾチオフェン環、チアントレン環、ベンゾチオフェン環、ジベンゾチオフェン環、9H−チオキサンテン環、チオキサントン環、チアントレン環、フェノキサチイン環、テトラヒドロチオフェニウム環、テトラヒドロチオピラニウム環等が挙げられる。
208〜R209は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、アルキル基となる場合、相互に結合して環を形成してもよい。
210は、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、又は置換基を有してもよいSO−含有環式基である。
210におけるアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基が挙げられ、フェニル基、ナフチル基が好ましい。
210におけるアルキル基としては、鎖状又は環状のアルキル基であって、炭素数1〜30のものが好ましい。
210におけるアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましい。
210における、置換基を有してもよいSO−含有環式基としては、「−SO−含有多環式基」が好ましく、上記一般式(a5−r−1)で表される基がより好ましい。
201は、それぞれ独立に、アリーレン基、アルキレン基又はアルケニレン基を表す。
201におけるアリーレン基は、上述の式(b−1)中のR101における芳香族炭化水素基として例示したアリール基から水素原子を1つ除いた基が挙げられる。
201におけるアルキレン基、アルケニレン基は、上述の式(b−1)中のR101における鎖状のアルキル基、鎖状のアルケニル基として例示した基から水素原子1つを除いた基が挙げられる。
前記式(ca−4)中、xは、1または2である。
201は、(x+1)価、すなわち2価または3価の連結基である。
201における2価の連結基としては、置換基を有してもよい2価の炭化水素基が好ましく、上述の一般式(a2−1)中のYa21と同様の、置換基を有してもよい2価の炭化水素基が例示できる。W201における2価の連結基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、環状であることが好ましい。なかでも、アリーレン基の両端に2個のカルボニル基が組み合わされた基が好ましい。アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられ、フェニレン基が特に好ましい。
201における3価の連結基としては、前記W201における2価の連結基から水素原子を1個除いた基、前記2価の連結基にさらに前記2価の連結基が結合した基などが挙げられる。W201における3価の連結基としては、アリーレン基に2個のカルボニル基が結合した基が好ましい。
前記式(ca−1)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記の化学式(ca−1−1)〜(ca−1−70)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
[式中、g1、g2、g3は繰返し数を示し、g1は1〜5の整数であり、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
Figure 2021117264
Figure 2021117264
Figure 2021117264
[式中、R”201は水素原子又は置換基であって、該置換基としては前記R201〜R207、およびR210〜R212が有していてもよい置換基として挙げたものと同様である。]
前記式(ca−2)で表される好適なカチオンとして具体的には、ジフェニルヨードニウムカチオン、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムカチオン等が挙げられる。
前記式(ca−3)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−3−1)〜(ca−3−6)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2021117264
前記式(ca−4)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記式(ca−4−1)〜(ca−4−2)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2021117264
前記式(ca−5)で表される好適なカチオンとして具体的には、下記一般式(ca−5−1)〜(ca−5−3)でそれぞれ表されるカチオンが挙げられる。
Figure 2021117264
上記の中でも、カチオン部((M’m+1/m)は、一般式(ca−1)で表されるカチオンが好ましい。
本実施形態におけるレジスト組成物において、(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、レジスト組成物中、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、50質量部未満が好ましく、1〜40質量部がより好ましく、5〜25質量部がさらに好ましい。
(B)成分の含有量を、前記の好ましい範囲とすることで、パターン形成が充分に行われる。また、レジスト組成物の各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られやすく、レジスト組成物としての保存安定性が良好となるため好ましい。
≪有機溶剤成分(S)≫
本実施形態におけるレジスト組成物は、レジスト材料を有機溶剤成分(以下「(S)成分」という)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジスト組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを適宜選択して用いることができる。
(S)成分としては、例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤、ジメチルスルホキシド(DMSO)等が挙げられる。
本実施形態におけるレジスト組成物において、(S)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。なかでも、PGMEA、PGME、γ−ブチロラクトン、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
また、(S)成分としては、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶剤も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてEL又はシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:EL又はシクロヘキサノンの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。さらに、PGMEAとPGMEとシクロヘキサノンとの混合溶剤も好ましい。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者との質量比が、好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定される。一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%の範囲内となるように(S)成分は用いられる。
本実施形態におけるレジスト組成物は、上述した(A)成分、(B)成分、(S)成分以外の成分をさらに含有してもよい。かかる成分としては、例えば、以下に示す(D)成分、(E)成分、(F)成分などが挙げられる。
≪(D)成分≫
本実施形態におけるレジスト組成物は、(A)成分に加えて、又は、(A)成分及び(B)成分に加えて、さらに、塩基成分(以下「(D)成分」という。)を含有してもよい。(D)成分は、レジスト組成物において露光により発生する酸をトラップするクエンチャー(酸拡散制御剤)として作用するものである。
(D)成分は、露光により分解して酸拡散制御性を失う光崩壊性塩基(D1)(以下「(D1)成分」という。)であってもよく、該(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物(D2)(以下「(D2)成分」という。)であってもよい。
(D)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、レジスト膜の露光部と未露光部とのコントラストをより向上させることができる。
・(D1)成分について
(D1)成分を含有するレジスト組成物とすることで、レジストパターンを形成する際に、レジスト膜の露光部と未露光部とのコントラストをより向上させることができる。
(D1)成分としては、露光により分解して酸拡散制御性を失うものであれば特に限定されず、下記一般式(d1−1)で表される化合物(以下「(d1−1)成分」という。)、下記一般式(d1−2)で表される化合物(以下「(d1−2)成分」という。)及び下記一般式(d1−3)で表される化合物(以下「(d1−3)成分」という。)からなる群より選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
(d1−1)〜(d1−3)成分は、レジスト膜の露光部においては分解して酸拡散制御性(塩基性)を失うためクエンチャーとして作用せず、レジスト膜の未露光部においてクエンチャーとして作用する。
Figure 2021117264
[式中、Rd〜Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基である。但し、式(d1−2)中のRdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していないものとする。Ydは単結合又は2価の連結基である。mは1以上の整数であって、Mm+はそれぞれ独立にm価の有機カチオンである。]
{(d1−1)成分}
・アニオン部
式(d1−1)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、それぞれ前記R’201と同様のものが挙げられる。
これらのなかでも、Rdとしては、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂肪族環式基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基が好ましい。これらの基が有していてもよい置換基としては、水酸基、オキソ基、アルキル基、アリール基、フッ素原子、フッ素化アルキル基、上記一般式(a2−r−1)〜(a2−r−7)でそれぞれ表されるラクトン含有環式基、エーテル結合、エステル結合、またはこれらの組み合わせが挙げられる。エーテル結合やエステル結合を置換基として含む場合、アルキレン基を介していてもよく、この場合の置換基としては、上記式(y−al−1)〜(y−al−5)でそれぞれ表される連結基が好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基、ビシクロオクタン骨格を含む多環構造(ビシクロオクタン骨格とこれ以外の環構造とからなる多環構造)が好適に挙げられる。
前記脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
前記鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜10であることが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状のアルキル基;1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基等の分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。
前記鎖状のアルキル基が置換基としてフッ素原子又はフッ素化アルキル基を有するフッ素化アルキル基である場合、フッ素化アルキル基の炭素数は、1〜11が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4がさらに好ましい。該フッ素化アルキル基は、フッ素原子以外の原子を含有してもよい。フッ素原子以外の原子としては、たとえば酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
Rdとしては、直鎖状のアルキル基を構成する一部又は全部の水素原子がフッ素原子により置換されたフッ素化アルキル基であることが好ましく、直鎖状のアルキル基を構成する水素原子の全てがフッ素原子で置換されたフッ素化アルキル基(直鎖状のパーフルオロアルキル基)であることが特に好ましい。
以下に(d1−1)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2021117264
・カチオン部
式(d1−1)中、Mm+は、m価の有機カチオンである。
m+の有機カチオンとしては、前記一般式(ca−1)〜(ca−4)でそれぞれ表されるカチオンと同様のものが好適に挙げられ、前記一般式(ca−1)で表されるカチオンがより好ましく、前記式(ca−1−1)〜(ca−1−78)、(ca−1−101)〜(ca−1−149)でそれぞれ表されるカチオンがさらに好ましい。
(d1−1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−2)成分}
・アニオン部
式(d1−2)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記R’201と同様のものが挙げられる。
但し、Rdにおける、S原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない(フッ素置換されていない)ものとする。これにより、(d1−2)成分のアニオンが適度な弱酸アニオンとなり、(D)成分としてのクエンチング能が向上する。
Rdとしては、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、3〜10であることがより好ましい。脂肪族環式基としては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等から1個以上の水素原子を除いた基(置換基を有していてもよい);カンファー等から1個以上の水素原子を除いた基であることがより好ましい。
Rdの炭化水素基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、前記式(d1−1)のRdにおける炭化水素基(芳香族炭化水素基、脂肪族環式基、鎖状のアルキル基)が有していてもよい置換基と同様のものが挙げられる。
以下に(d1−2)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2021117264
・カチオン部
式(d1−2)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
{(d1−3)成分}
・アニオン部
式(d1−3)中、Rdは置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記R’201と同様のものが挙げられ、フッ素原子を含む環式基、鎖状のアルキル基、又は鎖状のアルケニル基であることが好ましい。中でも、フッ素化アルキル基が好ましく、前記Rdのフッ素化アルキル基と同様のものがより好ましい。
式(d1−3)中、Rdは、置換基を有していてもよい環式基、置換基を有していてもよい鎖状のアルキル基、又は置換基を有していてもよい鎖状のアルケニル基であり、前記R’201と同様のものが挙げられる。
なかでも、置換基を有していてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、環式基であることが好ましい。
Rdにおけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rdのアルキル基の水素原子の一部が水酸基、シアノ基等で置換されていてもよい。
Rdにおけるアルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、炭素数1〜5のアルコキシ基として具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が挙げられる。なかでも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
Rdにおけるアルケニル基は、前記R’201におけるアルケニル基と同様のものが挙げられ、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基が好ましい。これらの基はさらに置換基として、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を有していてもよい。
Rdにおける環式基は、前記R’201における環式基と同様のものが挙げられ、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた脂環式基、又は、フェニル基、ナフチル基等の芳香族基が好ましい。Rdが脂環式基である場合、レジスト組成物が有機溶剤に良好に溶解することにより、リソグラフィー特性が良好となる。また、Rdが芳香族基である場合、EUV等を露光光源とするリソグラフィーにおいて、該レジスト組成物が光吸収効率に優れ、感度やリソグラフィー特性が良好となる。
式(d1−3)中、Ydは、単結合または2価の連結基である。
Ydにおける2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基(脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基)、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が挙げられる。これらはそれぞれ、上記式(a2−1)中のYa21における2価の連結基についての説明のなかで挙げた、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
Ydとしては、カルボニル基、エステル結合、アミド結合、アルキレン基又はこれらの組み合わせであることが好ましい。アルキレン基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であることがより好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがさらに好ましい。
以下に(d1−3)成分のアニオン部の好ましい具体例を示す。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
・カチオン部
式(d1−3)中、Mm+は、m価の有機カチオンであり、前記式(d1−1)中のMm+と同様である。
(d1−3)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(D1)成分は、上記(d1−1)〜(d1−3)成分のいずれか1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D1)成分を含有する場合、レジスト組成物中、(D1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、5〜10質量部がさらに好ましい。
(D1)成分の含有量が好ましい下限値以上であると、特に良好なリソグラフィー特性及びレジストパターン形状が得られやすい。一方、上限値以下であると、感度を良好に維持でき、スループットにも優れる。
(D1)成分の製造方法:
前記の(d1−1)成分、(d1−2)成分の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
また、(d1−3)成分の製造方法は、特に限定されず、例えば、US2012−0149916号公報に記載の方法と同様にして製造される。
・(D2)成分について
酸拡散制御剤成分としては、上記の(D1)成分に該当しない含窒素有機化合物成分(以下「(D2)成分」という。)を含有してもよい。
(D2)成分としては、酸拡散制御剤として作用するもので、かつ、(D1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、脂肪族アミンが好ましく、この中でも特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンがより好ましい。
脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンもしくはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミン又はトリ−n−オクチルアミンが特に好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
その他の脂肪族アミンとしては、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、トリエタノールアミントリアセテート等が挙げられ、トリエタノールアミントリアセテートが好ましい。
また、(D2)成分としては、芳香族アミンを用いてもよい。
芳香族アミンとしては、4−ジメチルアミノピリジン、ピロール、インドール、ピラゾール、イミダゾールまたはこれらの誘導体、トリベンジルアミン、2,6−ジイソプロピルアニリン、N−tert−ブトキシカルボニルピロリジン等が挙げられる。
(D2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(D2)成分を含有する場合、レジスト組成物中、(D2)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
≪有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)≫
本実施形態におけるレジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、並びにリンのオキソ酸及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、例えば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、ホスフィン酸エステルやフェニルホスフィン酸などが挙げられる。
本実施形態におけるレジスト組成物において、(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(E)成分を含有する場合、(E)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
≪フッ素添加剤成分(F)≫
本実施形態におけるレジスト組成物は、レジスト膜に撥水性を付与するため、又はリソグラフィー特性を向上させるために、フッ素添加剤成分(以下「(F)成分」という)を含有してもよい。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報、特開2010−032994号公報、特開2010−277043号公報、特開2011−13569号公報、特開2011−128226号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記一般式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。この重合体としては、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);該構成単位(f1)と前記構成単位(a1)との共重合体;該構成単位(f1)とアクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と前記構成単位(a1)との共重合体であることが好ましい。ここで、該構成単位(f1)と共重合される前記構成単位(a1)としては、1−エチル−1−シクロオクチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位、1−メチル−1−アダマンチル(メタ)アクリレートから誘導される構成単位が好ましい。
Figure 2021117264
[式中、Rは前記と同様であり、Rf102およびRf103はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、Rf102およびRf103は同じであっても異なっていてもよい。nfは0〜5の整数であり、Rf101はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1−1)中、α位の炭素原子に結合したRは、前記と同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、Rf102およびRf103のハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。Rf102およびRf103の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、特にフッ素原子が好ましい。なかでもRf102およびRf103としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、nfは0〜5の整数であり、0〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1−1)中、Rf101は、フッ素原子を含む有機基であり、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから特に好ましい。
なかでも、Rf101としては、炭素数1〜6のフッ素化炭化水素基がより好ましく、トリフルオロメチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが特に好ましい。
(F)成分の重量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのにレジスト用溶剤への充分な溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、レジスト膜の撥水性が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。
本実施形態におけるレジスト組成物において、(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
レジスト組成物が(F)成分を含有する場合、(F)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
本実施形態におけるレジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
本実施形態におけるレジスト組成物は、上記レジスト材料を(S)成分に溶解させた後、ポリイミド多孔質膜、ポリアミドイミド多孔質膜等を用いて、不純物等の除去を行ってもよい。例えば、ポリイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター、ポリイミド多孔質膜及びポリアミドイミド多孔質膜からなるフィルター等を用いて、レジスト組成物の濾過を行ってもよい。前記ポリイミド多孔質膜及び前記ポリアミドイミド多孔質膜としては、例えば、特開2016−155121号公報に記載のもの等が例示される。
<工程(via)>
工程(via)は、支持体上に、上述したレジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程である。
上記工程としては、支持体上に、後述する特定のレジスト組成物を、スピンナーなどで塗布し、ベーク(ポストアプライベーク(PAB))処理を、例えば80〜150℃、好ましくは100〜150℃(より好ましくは100℃超150℃以下)の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜120秒間施して、レジスト膜を形成する方法が挙げられる。
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等が挙げられる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や、多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)と、に分けられる。
<工程(viia)>
工程(viia)は、上記レジスト膜を露光する工程と、上記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程である。
上記工程としては、該レジスト膜に対し、例えば露光装置等を用いて、所定のパターンが形成されたマスク(マスクパターン)を介した露光等による選択的露光を行う。
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極端紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、露光されるレジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物、パーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
その後、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))処理を、例えば80〜150℃、好ましくは90〜130℃の温度条件にて40〜120秒間、好ましくは60〜100秒間施す。
次に、前記露光後のレジスト膜を、ノニオン界面活性剤を含むアルカリ現像液で現像処理し、レジストパターンを形成する。
現像液には、ノニオン界面活性剤を含むアルカリ現像液を用いる。例えば、現像液としては、ノニオン界面活性剤を含む、0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液が挙げられる。
また、アルカリ現像液に含まれるノニオン界面活性剤としては、公知のノニオン界面活性剤を配合できる。具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類;アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物等のアセチレン類等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の配合量は、現像液の全量に対して、通常0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましく、0.01〜0.5質量%がさらに好ましい。
現像処理は、公知の現像方法により実施することが可能であり、例えば現像液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面に現像液を表面張力によって盛り上げて一定時間静止する方法(パドル法)、支持体表面に現像液を噴霧する方法(スプレー法)、一定速度で回転している支持体上に一定速度で現像液塗出ノズルをスキャンしながら現像液を塗出し続ける方法(ダイナミックディスペンス法)等が挙げられる。
現像処理後、好ましくはリンス処理を行う。リンス処理は、純水を用いた水リンスが好ましい。
現像処理後又はリンス処理後、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。
このようにして、レジストパターンを形成することもできる。
リンス液を用いたリンス処理(洗浄処理)は、公知のリンス方法により実施できる。該リンス処理の方法としては、例えば一定速度で回転している支持体上にリンス液を塗出し続ける方法(回転塗布法)、リンス液中に支持体を一定時間浸漬する方法(ディップ法)、支持体表面にリンス液を噴霧する方法(スプレー法)等が挙げられる。
(第2の態様)
本発明の第2の態様は、(ib)下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程(以下、工程(ib)ともいう)と、(iib)前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程(以下、工程(iib)ともいう)と、(iiib)前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(p1)で表される高分子化合物(A01)を得る工程(以下、工程(iiib)ともいう)と、(ivb)前記高分子化合物(A01)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程(以下、工程(ivb)ともいう)と、(vb)支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程(以下、工程(vb)ともいう)と、(vib)前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(以下、工程(vib)ともいう)と、を含む、レジストパターン形成方法である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
<工程(ib)>
工程(ib)は、上述した工程(ia)と同じである。
<工程(iib)>
工程(ib)は、上記一般式(p0)で表される交互共重合体を加水分解して、上記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程である。
前記交互共重合体を加水分解させる方法としては、前記交互共重合体及び酸成分を溶剤に加えて混合することにより行うことができる。該溶剤としては、上述した原子移動ラジカル重合に使用される溶剤と同様のものが挙げられる。
≪酸成分≫
酸成分は、特に限定されず、無機酸でもよいし、有機酸でもよい。
かかる酸成分としては、例えば、酢酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、マロン酸等の有機酸;硫酸、塩酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸が挙げられる。
本実施形態の製造方法において、酸成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記交互共重合体と酸成分との反応の際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜120℃程度である。
上記交互共重合体と酸成分との反応時間は、特に限定されず、例えば1〜72時間程度である。
<工程(iiib)>
工程(iiib)は、上記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−1)で表される化合物とを反応させて、上記一般式(p1)で表される高分子化合物を得る工程である。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させる方法としては、上記第1の高分子化合物前駆体、上記一般式(Add−1)で表される化合物、及び触媒として上述した酸成分を溶剤に加えて混合することにより行うことができる。該溶剤としては、上述した原子移動ラジカル重合に使用される溶剤と同様のものが挙げられる。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させる際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜120℃程度である。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させる際の反応時間は、特に限定されず、例えば1〜72時間程度である。
上記交互共重合体と酸成分との反応の際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜120℃程度である。
上記交互共重合体と酸成分との反応時間は、特に限定されず、例えば1〜72時間程度である。
上記一般式(Add−1)で表される化合物と、上記一般式(p1)で表される高分子化合物とは第1の態様で説明した内容と同様である。
上記工程(ivb)〜(vib)は、上記工程(va)〜(viia)と同様である。
(第3の態様)
本発明の第3の態様は、(ic)上記一般式(m0−1)で表される化合物と、上記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、上記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程(以下、工程(ic)ともいう)と、(iic)前記交互共重合体を加水分解して、上記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程(以下、工程(iic)ともいう)と、(iiic)前記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、上記一般式(Pre−1b−2)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程(以下、工程(iiic)ともいう)と、(ivc)前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、上記一般式(p2)で表される高分子化合物(A02)を得る工程(以下、工程(ivc)ともいう)と、(vc)前記高分子化合物(A02)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程(以下、工程(vc)ともいう)と、(vic)支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程(以下、工程(vic)ともいう)と、(viic)前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(以下、工程(viic)ともいう)と、を含む、レジストパターン形成方法である。
上記工程(ic)は、上述した工程(ia)、上記工程(iic)は、上述した工程(iia)とそれぞれ同一である。
<工程(iiic)>
工程(iiic)は、下記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(Pre−1b−2)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程である。
Figure 2021117264
[式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。Ra006は炭化水素基であって、Ra006は、Ra004、Ra005のいずれかと結合して環を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子である。]
上記式一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体は、上述した工程(iia)で説明したものと同様である。
上記一般式(Add−2)中、Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。
Ra004、Ra005のうち、少なくとも一方が水素原子であることが好ましく、両方が水素原子であることがより好ましい。
Ra004、又はRa005がアルキル基である場合、該アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。具体的には、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく挙げられる。より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、メチル基またはエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
上記一般式(Add−2)中、Ra006の炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は環状の炭化水素基が挙げられる。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、炭素数が1〜4がより好ましく、炭素数1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、炭素数3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、2,2−ジメチルブチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが好ましい。
Ra006が環状の炭化水素基となる場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基でも芳香族炭化水素基でもよく、また、多環式基でも単環式基でもよい。
単環式基である脂肪族炭化水素基としては、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。
多環式基である脂肪族炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
Ra006の環状の炭化水素基が芳香族炭化水素基となる場合、該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素数は5〜30であることが好ましく、炭素数5〜20がより好ましく、炭素数6〜15がさらに好ましく、炭素数6〜12が特に好ましい。
芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
Ra006における芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基またはヘテロアリール基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(たとえばビフェニル、フルオレン等)から水素原子を1つ除いた基;前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基など)等が挙げられる。前記芳香族炭化水素環または芳香族複素環に結合するアルキレン基の炭素数は、1〜4であることが好ましく、炭素数1〜2であることがより好ましく、炭素数1であることが特に好ましい。
Ra006における環状の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、−RP1、−RP2−O−RP1、−RP2−CO−RP1、−RP2−CO−ORP1、−RP2−O−CO−RP1、−RP2−OH、−RP2−CN又は−RP2−COOH(以下これらの置換基をまとめて「Ra05」ともいう。)等が挙げられる。
ここで、RP1は、炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基である。また、RP2は、単結合、炭素数1〜10の2価の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜20の2価の脂肪族環状飽和炭化水素基又は炭素数6〜30の2価の芳香族炭化水素基である。但し、RP1及びRP2の鎖状飽和炭化水素基、脂肪族環状飽和炭化水素基及び芳香族炭化水素基の有する水素原子の一部又は全部はフッ素原子で置換されていてもよい。上記脂肪族環状炭化水素基は、上記置換基を1種単独で1つ以上有していてもよいし、上記置換基のうち複数種を各1つ以上有していてもよい。
炭素数1〜10の1価の鎖状飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基等が挙げられる。
炭素数3〜20の1価の脂肪族環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等の単環式脂肪族飽和炭化水素基;ビシクロ[2.2.2]オクタニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカニル基、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカニル基、アダマンチル基等の多環式脂肪族飽和炭化水素基が挙げられる。
炭素数6〜30の1価の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環から水素原子1個を除いた基が挙げられる。
Ra006が、Ra’、Ra’のいずれかと結合して環を形成する場合、該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
上記一般式(Add−2)中、Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、その中でも、取り扱い性の容易さから、塩素原子であることが好ましい。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させる方法としては、エステル化として公知の方法を用いることができる。例えば、上記第1の高分子化合物前駆体、上記一般式(Add−2)で表される化合物、及び塩基成分(DBU(登録商標)等)を溶剤に加えて混合することにより行うことができる。
該溶剤としては、上述した原子移動ラジカル重合に使用される溶剤と同様のものが挙げられる。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させる際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜120℃程度である。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させる際の反応時間は、特に限定されず、例えば1〜72時間程度である。
上記式(Pre−1b−2)におけるRp01、Vp01、Rp04、Rp05、Rp06、及びnは、上記式(m0−1)及び上記式(m0−2)で説明した内容と同様である。
上記式(Pre−1b−2)におけるRa004、Ra005、Ra006は、上記式(Add−2)のRa004、Ra005、Ra006とそれぞれ同一である。
なお、上記式(Pre−1b−2)中、−C(Ra004)(Ra005)−O−(Ra006)は酸解離性基(アセタール型酸解離性基)である。酸の作用により、−C(Ra004)(Ra005)−O−(Ra006)が解離し、極性の高い極性基(カルボキシ基)が生じて極性が増大する。
<工程(ivc)>
上記工程(ivc)は、上記式(Pre−1b−2)で表される第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、上記一般式(p2)で表される高分子化合物を得る工程である。
前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解させる方法としては、前記第2の高分子化合物前駆体及び塩基成分を溶剤に加えて混合することにより行うことができる。該溶剤としては、上述した原子移動ラジカル重合に使用される溶剤と同様のものが挙げられる。
塩基成分、塩基成分の使用量、反応時間等は上述した<工程(iva)>で説明した内容と同様である。
上記一般式(p2)におけるRp01、Vp01、Rp04、Rp05、及びnは、上記式(m0−1)及び上記式(m0−2)で説明した内容と同様である。
上記一般式(p2)におけるRa004、Ra005、Ra006は、上記式(Add−2)のRa004、Ra005、Ra006とそれぞれ同一である。
工程(vc)〜(viic)は、レジスト組成物の(A)成分が、高分子化合物(A02)を含むこと以外は上記工程(va)〜(viia)で説明した内容と同様である。
(第4の態様)
本発明の第4の態様は、(id)上記一般式(m0−1)で表される化合物と、上記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、上記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程(以下、工程(id)ともいう)と、(iid)前記交互共重合体を加水分解して、上記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程(以下、工程(iid)ともいう)と、(iiid)前記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、上記一般式(p2)で表される高分子化合物(A02)を得る工程(以下、工程(iiid)ともいう)と、(ivd)前記高分子化合物(A02)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程(以下、工程(ivd)ともいう)と、(vd)支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程(以下、工程(vd)ともいう)と、(vid)前記レジスト膜を露光する工程と、前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程(以下、工程(vid)ともいう)と、を含む、レジストパターン形成方法である。
上記工程(id)は、上述した工程(ib)、上記工程(iid)は、上述した工程(iib)とそれぞれ同一である。
<工程(iiid)>
工程(iiid)は、上記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、上記一般式(p2)で表される高分子化合物を得る工程である。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させる方法としては、上述した公知のエステル化反応が挙げられる。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させる際の温度条件は、特に限定されず、例えば0〜120℃程度である。
上記第1の高分子化合物前駆体と、上記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させる際の反応時間は、特に限定されず、例えば1〜72時間程度である。
上記一般式(Add−2)で表される化合物と、上記一般式(p2)で表される高分子化合物とは第3の態様で説明した内容と同様である。
工程(ivd)〜(vid)は、レジスト組成物の(A)成分が、高分子化合物(A02)を含むこと以外は上記工程(via)〜(viiia)で説明した内容と同様である。
以上説明した本実施形態のレジストパターン形成方法は、ヒドロキシスチレン骨格が酸成分で脱保護可能な基で保護された化合物(モノマー)(m0−1)と、特定のイミド構造を有する化合物(モノマー)(m0−2)とを共重合させることにより、電子的・化学的性質によって重合が制御されているため、得られる交互共重合体の各構成単位のばらつきが抑えられている。そのため、前記交互共重合体から得られる高分子化合物を含有するレジスト組成物を用いて、レジストパターンを形成することにより、リソグラフィー特性の改善が図れる、と推測される。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<交互共重合体の製造例1>
50mL反応器内にRuCp触媒6.4mg(0.0080mol)とp−アセトキシスチレン(PACS)0.615mL(4.0mmol)とをシクロヘキサノン1.0mLに溶解した。さらに、前記50mL反応器内に、トリブチルアミン0.02mL(0.080mmol)、モノマー(M0−1−1)0.988g(4.0mmol)、2−クロロ−2−フェニル酢酸エチル0.014mL(0.080mmol)を加え、80℃で24時間重合反応を行った。重合反応終了後、反応溶液をメタノール−ドライアイスのアイスバスで−78℃までに急速冷却し、交互共重合体(p0−1)を得た(0.564g)。
得られた交互共重合体(p0−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は13700であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.25であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(150MHz_13C−NMR)およびプロトン1核磁気共鳴スペクトル(600MHz_H−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=50/50であった。
Figure 2021117264
上記交互共重合体(p0−1)について、MALDI−TOF−MSを用いて交互重合性を評価した。その結果、各構成単位のピークが交互に確認され、交互共重合体中の各構成単位のばらつきが少ないことが確認できた。
<高分子化合物の製造例1>
上記交互共重合体(p0−1)(0.15mol(30.71g))とヒドラジン一水和物(0.19mol)とをTHF(200mL)に溶解させ、65℃で4時間撹拌した。
反応溶液を室温まで放冷した後、さらに0℃まで冷却を行い、塩酸(100mL)を滴下し、得られた粉体を回収した。前記粉体を減圧乾燥し、第1の高分子化合物前駆体(Pre−1a−1)を得た(0.13mol(16.14g))。
Figure 2021117264
500mL三口フラスコに第1の高分子化合物前駆体(Pre−1a−1)(0.13mol(16.14g))を、それの三倍量のジクロロメタンに溶解させ、窒素置換し5℃以下まで冷却を行った。そこに、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(0.03mol)のジクロロメタン溶液を5分間かけて10℃を超えないようにして滴下した。さらに、tert−ブチルアルコール(0.45mol)を15分かけて滴下し、10分間熟成を行った。
その後、さらに1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC/HCl)(0.38mol)のジクロロメタン溶液を90分かけて10℃以下で滴下し、18時間10℃以下で攪拌を行った。
その後、1%塩酸にて洗浄をおこない有機層を回収した。そして水洗を3回繰り返した。
その後有機層を濃縮し、濃縮した液にtert−ブチルメチルエーテル(TBME)を1時間かけて滴下した。
固形分を回収し減圧乾燥を行い、第2の高分子化合物前駆体(Pre−1b−11)を得た(0.10mol(16.52g))。
Figure 2021117264
前記第2の高分子化合物前駆体(Pre−1b−11)(0.1mol(16.52g))をメチルエチルケトン(MEK)に溶解させ、等モルの1%KCO水溶液を用いて室温で1時間攪拌を行った。
その後ヘプタン/イソプロピルアルコールの混合溶剤に30分かけて滴下し、析出させ粉体を得た。
得られた粉体をヘプタン/イソプロピルアルコールの混合溶剤を用いて複数回分散洗浄を行った。
固形分を回収し減圧乾燥を行い、高分子化合物(p1−1−1)を得た(0.06mol(7.8g))。
得られた高分子化合物(p1−1−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は9000であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(150MHz_13C−NMR)およびプロトン1核磁気共鳴スペクトル(600MHz_H−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=50/50であった。
Figure 2021117264
<高分子化合物の製造例2>
上記交互共重合体(p0−1)(0.15mol(29.50g))をメチルエチルケトン(MEK)(100mL)に溶解させ、メタンスルホン酸(50mL)用いて室温で1時間攪拌を行った。
その後ヘプタン/イソプロピルアルコールの混合溶剤に30分かけて滴下し、析出させ粉体を得た。得られた粉体をヘプタン/イソプロピルアルコールの混合溶剤を用いて複数回分散洗浄を行った。
固形分を回収し減圧乾燥を行い、高分子化合物前駆体(Pre−2a−1)を得た(0.11mol(21.63g))。
Figure 2021117264
500mL三口フラスコに高分子化合物前駆体(Pre−2a−1)をジメチルホルムアミド(DMF)/tert−ブチルアルコールの混合溶剤に溶解させ、濃硫酸を加えて12時間加熱還流を行った。
反応終了後室温に戻し、水を加えて固体を析出させ、水で分散洗浄を3回繰り返しpHを中性に戻した。
固形分を回収し減圧乾燥を行い、高分子化合物(p1−2−1)を得た(0.02mol(2.62g))。
得られた高分子化合物(p1−2−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は9000であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(150MHz_13C−NMR)およびプロトン1核磁気共鳴スペクトル(600MHz_H−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=50/50であった。
Figure 2021117264
上記高分子化合物の製造例1と同様の方法で、以下に示す高分子化合物(p1−1−2)〜高分子化合物(p1−1−8)を製造した。
得られた高分子化合物について、13C−NMRにより求められた該高分子化合物の共重合組成比(高分子化合物中の各構成単位の割合(モル比))、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分散度(Mw/Mn)を表1に併記した。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
<高分子化合物の製造例2>
上記交互共重合体の製造例と同様の方法により、交互共重合体(p0−1)を得た。前記交互共重合体(p0−1)(0.15mol(29.50g))をメチルエチルケトン(MEK)(100mL)に溶解させ、メタンスルホン酸(50mL)用いて室温で1時間攪拌を行った。
その後ヘプタン/イソプロピルアルコールの混合溶剤に30分かけて滴下し、析出させ粉体を得た。得られた粉体をヘプタン/イソプロピルアルコールの混合溶剤を用いて複数回分散洗浄を行った。
固形分を回収し減圧乾燥を行い、高分子化合物前駆体(Pre−2a−1)を得た(0.11mol(21.63g))。
Figure 2021117264
500mL三口フラスコに上記第1の高分子化合物の前駆体(Pre−2a−1)をDBU(登録商標)(0.08mol)、DMF100mlに溶解させ、化合物1(0.15mol)を加え4時間加熱還流を行った。放冷後、水を加え、固形分を得て、さらに水で分散洗浄を2回行った。
固形分を回収し減圧乾燥を行い、高分子化合物(p2−1−1)を得た(0.02mol:3.70g)。
得られた高分子化合物(p2−1−1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は12300、分子量分散度(Mw/Mn)は1.32であった。
また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(150MHz_13C−NMR)およびプロトン1核磁気共鳴スペクトル(600MHz_H−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))はl/m=50/50であった。
Figure 2021117264
<高分子化合物の製造例3>
モノマー(a10−1pre)10.0g、モノマー(a1−1−1)9.5g、重合開始剤としてアゾビス(イソ酪酸)ジメチル(V−601)1.4gを、MEK(メチルエチルケトン)50.0gに溶解させ窒素雰囲気下で85℃に加熱し、5時間撹拌した。その後、反応液に酢酸9.4g、メタノール160gを加え、30℃で8時間脱保護反応を行った。反応終了後、得られた反応液をヘプタン2500gに沈殿させ、洗浄した。得られた白色固体物を濾過し、一晩減圧乾燥することで目的の高分子化合物(A−10)10.1gを得た。
Figure 2021117264
上記高分子化合物(A−10)と同様の方法で、以下に示す高分子化合物(A−11)〜高分子化合物(A−19)を製造した。
得られた高分子化合物について、13C−NMRにより求められた該高分子化合物の共重合組成比(高分子化合物中の各構成単位の割合(モル比))、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)及び分子量分散度(Mw/Mn)を表2に併記した。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
<レジスト組成物の調製>
(実施例1〜9、比較例1〜9)
表3及び4に示す各成分を混合して溶解し、各例のレジスト組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
表3及び4中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(A)−1:上記の高分子化合物(p1−1−1)。
(A)−2:上記の高分子化合物(p1−1−2)。
(A)−3:上記の高分子化合物(p1−1−3)。
(A)−4:上記の高分子化合物(p1−1−4)。
(A)−5:上記の高分子化合物(p1−1−5)。
(A)−6:上記の高分子化合物(p2−1−1)。
(A)−7:上記の高分子化合物(p1−1−6)。
(A)−8:上記の高分子化合物(p1−1−7)。
(A)−9:上記の高分子化合物(p1−1−8)。
(A)−10〜(A)−18:上記の高分子化合物(A−10)〜(A−18)。
(B)−1:下記化学式(B−1)で表される化合物からなる酸発生剤。
Figure 2021117264
(S)−1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/プロピレングリコールモノメチルエーテル=80/20(質量比)の混合溶剤。
<レジストパターンの形成>
ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施した8インチシリコン基板上に、各例のレジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で、温度110℃で60秒間のプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚50nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜に対し、電子線描画装置JEOL−JBX−9300FS(日本電子株式会社製)を用い、加速電圧100kVにて、ターゲットサイズをライン幅50nmの1:1ラインアンドスペースパターン(以下「LSパターン」)とする描画(露光)を行った後、90℃で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
次いで、23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業株式会社製)を用いて、60秒間のアルカリ現像を行った後、純水を用いて15秒間水リンスを実施した。その結果、ライン幅50nmの1:1のLSパターンが形成された。
[最適露光量(Eop)の評価]
上記<レジストパターンの形成>によってターゲットサイズのLSパターンが形成される最適露光量Eop(μC/cm)を求めた。これを「Eop(μC/cm)」として表5、6に示す。
[LWR(ラインワイズラフネス)の評価]
上記<レジストパターンの形成>で形成したLSパターンについて、LWRを示す尺度である3σを求めた。これを「LWR(nm)」として表5、6に示す。
「3σ」は、走査型電子顕微鏡(加速電圧800V、商品名:S−9380、日立ハイテクノロジーズ社製)により、ラインの長手方向にラインポジションを400箇所測定し、その測定結果から求めた標準偏差(σ)の3倍値(3σ)(単位:nm)を示す。
該3σの値が小さいほど、ライン側壁のラフネスが小さく、より均一な幅のLSパターンが得られたことを意味する。
Figure 2021117264
Figure 2021117264
表5、6に示す結果から、実施例のレジストパターン形成方法によれば、比較例のレジストパターン形成方法に比べ、ラフネスの低減性に優れることが確認できる。

Claims (4)

  1. 下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、
    前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、
    前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(Pre−1b−1)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程と、
    前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、下記一般式(p1)で表される高分子化合物(A01)を得る工程と、
    前記高分子化合物(A01)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、
    支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光する工程と、
    前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、
    を含む、レジストパターン形成方法。
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01及びRp04は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。]
  2. 下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、
    前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、
    前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−1)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(p1)で表される高分子化合物(A01)を得る工程と、
    前記高分子化合物(A01)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、
    支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光する工程と、
    前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、
    を含む、レジストパターン形成方法。
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。Ra001、Ra002及びRa003は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Ra002及びRa003は、相互に結合して環を形成していてもよい。]
  3. 下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、
    前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−1a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、
    前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(Pre−1b−2)で表される第2の高分子化合物前駆体を得る工程と、
    前記第2の高分子化合物前駆体を加水分解して、下記一般式(p2)で表される高分子化合物(A02)を得る工程と、
    前記高分子化合物(A02)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、
    支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光する工程と、
    前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、
    を含む、レジストパターン形成方法。
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。Ra006は炭化水素基であって、Ra006は、Ra004、Ra005のいずれかと結合して環を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子である。]
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01及びRp04は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。Ra006は炭化水素基であって、Ra006は、Ra004、Ra005のいずれかと結合して環を形成してもよい。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。]
  4. 下記一般式(m0−1)で表される化合物と、下記一般式(m0−2)で表される化合物と、をリビングラジカル重合により共重合させて、下記一般式(p0)で表される交互共重合体を得る工程と、
    前記交互共重合体を加水分解して、下記一般式(Pre−2a)で表される第1の高分子化合物前駆体を得る工程と、
    前記第1の高分子化合物前駆体と、下記一般式(Add−2)で表される化合物と、を反応させて、下記一般式(p2)で表される高分子化合物(A02)を得る工程と、
    前記高分子化合物(A02)と、有機溶剤とを混合してレジスト組成物を調製する工程と、
    支持体上に、前記レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜を露光する工程と、
    前記露光後のレジスト膜を現像してレジストパターンを形成する工程と、
    を含む、レジストパターン形成方法。
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp02及びRp03は、それぞれ独立に置換基を有してもよい炭化水素基である。Rp02及びRp03は、相互に結合して環を形成していてもよい。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。Rp06は、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基である。nは0〜4の整数である。]
    Figure 2021117264
    [式中、Rp01は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Vp01は、単結合又は2価の連結基である。Rp04は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。Rp05は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、シアノ基又は水酸基である。nは0〜4の整数である。Ra004、Ra005は水素原子又はアルキル基である。Ra006は炭化水素基であって、Ra006は、Ra004、Ra005のいずれかと結合して環を形成してもよい。Xは、ハロゲン原子である。]
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