JP2021115493A - 磁性体粒子の操作方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】目的物質の採取操作が簡便となる、磁性体粒子の操作方法を提供する。【解決手段】中空管10内にゲル状媒体層21と液体層31、32とが交互に配置され、第一の液体層31と第二の液体層32とがゲル状媒体層によって隔てられ、第一の液体層内に、磁性体粒子71および磁性体粒子より粒径の大きな磁性固体60が存在するデバイス50において、磁場操作により、第一の液体層内の磁性体粒子および磁性固体を、ゲル状媒体層に移動させる第一ステップ、ゲル状媒体層内に移動させた磁性体粒子および磁性固体を、第二の液体層内に移動させる第二ステップ、および第二の液体層内に移動させた磁性体粒子および磁性固体を、ゲル状媒体層内に反転移動させる第三ステップを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ゲル状媒体層と液体層とが交互に配置された中空管内で、核酸等の生体成分である目的物質の分離、抽出、精製、溶出および分析等を行うための磁性体粒子の操作方法に関する。
生体由来試料の医学的検査、食品の安全衛生上の管理のための検査および環境モニタリングのための環境試料の検査等では、多種多様な夾雑物を含む試料から目的物質を抽出、分離および精製し、検出工程または測定反応に供することが求められる。例えば、遺伝子検査では、標的の核酸を検出するためのPCR(Polymerase Chain Reaction)による増幅を含む検出工程に供する前に、動植物の血液、血清、細胞、尿、糞便等およびウイルス等の生体由来試料から、核酸(DNAまたはRNA)を効率よく分離および精製し、PCRに影響する夾雑物を除去する必要がある。
試料中の目的物質を分離および精製するために、目的物質を特異的に吸着可能な磁性体粒子を用いる方法が従来から知られている。この方法では、粒子の表面に、核酸等である目的物質との化学的な親和力や分子認識機能を付与した、粒径が0.5μm〜十数μm程度の水不溶性の磁性体粒子が用いられる。この磁性体粒子を、まず、溶解した生体試料であって、目的物質を含む生体試料と接触させ、目的物質を粒子表面に固定させた後、磁場操作により磁性体粒子を液相から分離・回収する。回収された磁性体粒子は、必要に応じて洗浄液等の液相に再分散させ、液相から磁性体粒子を分離・回収する工程が繰り返し行われる。この工程において、粒子表面に非特異的に吸着した夾雑物が洗浄操作により除去される。その後、磁性体粒子を溶出液中に分散されることにより、磁性体粒子に固定された目的物質が溶出液中に遊離し、溶出液中の目的物質が回収される。この方法では、磁石等を用いた磁場操作により磁性体粒子を液相から分離することができるため、遠心操作による固液分離が不要となり、目的物質の分離および精製の自動化に有利である。
例えば、液相中の磁性体粒子の回収と磁性体粒子の液相中への分散とを、いずれもピペット操作により行い、試料中の目的物質の磁性体粒子への吸着から、洗浄および溶出までの分離・精製の一連の操作をすべて自動化する装置も開発されている(例えば特許文献1)。一方、ピペット操作に代えて、溶解/固定液、洗浄液、溶出液等の水系液体層と、非水溶性ゲル状媒体層とが交互に重層された管状デバイスを用い、このデバイス内で磁性体粒子を管の長軸方向に沿って移動させることにより、目的物質を分離・精製する方法が提案されている(例えば、特許文献2)。この管状デバイスは、水系液体層に分散させた磁性体粒子が、細管外部からの磁場操作によって移動し、非水溶性ゲル状媒体層を通過するように構成されている。このため、この管状デバイスを用いる方法では、密閉状態を保ちながら同一容器内で一連の操作を実施できることにより、開放系で行われるピペット操作に比べて、コンタミネーションの危険性が低減される。
水系液体層と非水溶性ゲル状媒体層とが交互に重層された上記の管状デバイスを用いて、試料中の目的物質を分離・精製する場合、磁力により集合した磁性体粒子同士が凝集することがある。磁性体粒子が凝集すると、凝集した粒子の間隙に取り込まれた夾雑物が洗浄液により十分に洗浄されず、目的物質の精製が不十分となる、または、凝集した粒子の間隙に取り込まれた目的物質が溶出液に十分曝露されず、目的物質の回収が不十分となる等の不具合を生じる場合がある。また、高い効率で磁性体粒子へ目的物質を固定することができれば、試料中の夾雑物を予め除去する等の前処理が不要となり、試料中の目的物質の分離・精製がより簡便に行うことができる。これらのことを可能とするため、水系液体層において、磁性体粒子と、磁性体粒子より粒径の大きな磁性固体とを共存させた状態で磁場操作が行われる、磁性体粒子の操作方法が提案されている(特許文献3および4)。これらの方法によれば、磁力による磁性固体の移動に伴って磁性体粒子が液体中で効率よく分散し、磁性体粒子の表面に目的物質を効率的に固定することができるとともに、目的物質の洗浄効率および回収率が向上することが報告されている。
WO97/44671 WO2012/086243 WO2015/136689 WO2015/177933
上記のように、水系液体層と非水溶性ゲル状媒体層とが交互に重層された管状デバイスを用いて、試料中の目的物質を分離・精製する場合、目的物質を固定した磁性体粒子を、夾雑物を除去するため洗浄液で構成される水系液体層で洗浄した後、磁場操作により磁性固体とともに非水溶性ゲル状媒体層に移動させる。次に、磁性体粒子および磁性固体を、磁力操作により非水溶性ゲル状媒体層から、目的物質の溶出液で構成される水系液体層に移動させる。溶出液で構成される水系液体層には、磁性体粒子から遊離した目的物質が含まれるので、目的物質を水系液体(溶出液)ごと採取して、次の検出工程または測定反応に供する。しかしながら、水系液体(溶出液)には磁性体粒子が分散した状態で依然と存在するため、目的物質は、磁性体粒子が混入した状態で採取される。
目的物質を含む水系液体(溶出液)から磁性体粒子を除去するためには、採取した溶出液を遠心分離するなどにより、混入する磁性体粒子を取り除く工程が必要となり、操作者にとって煩雑である。また、溶出液が磁性体粒子を含んだまま、その後の検出工程または測定反応に供すると、目的物質が核酸(DNAまたはRNA)である場合、PCRにおける蛍光等の光学測定において磁性体粒子が光路を遮り、測定精度および感度に影響を及ぼす可能性がある。
本発明は上記の事情を考慮してなされたものである。本発明は、精製した目的物質を含む水系液体(溶出液)から、磁性体粒子を遠心分離等により別途取り除く必要がなく、目的物質が核酸(DNAまたはRNA)である場合には、直ちにPCRに供することのできる溶出液を採取することを可能とする、磁性体粒子の操作方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の目的は、以下の発明により達成される。
〔1〕
一方に閉鎖可能であってもよい開口端および他方に閉口端を有する中空管内にゲル状媒体層と液体層とが交互に配置され、第一の液体層と第二の液体層とがゲル状媒体層によって隔てられたデバイスであって、前記第一の液体層内に、磁性体粒子および前記磁性体粒子より粒径の大きな磁性固体が存在するデバイスにおいて、
前記中空管の外部からの磁場操作により、前記第一の液体層内の前記磁性体粒子および前記磁性固体を、前記ゲル状媒体層に移動させる第一ステップ;
前記中空管の外部からの磁場操作により、前記ゲル状媒体層内に移動させた前記磁性体粒子および前記磁性固体を、前記第二の液体層内に移動させる第二ステップ; および、
前記中空管の外部からの磁場操作により、前記第二の液体層内に移動させた前記磁性体粒子および前記磁性固体を、前記ゲル状媒体層内に反転移動させる第三ステップ;
を含む、磁性体粒子の操作方法。
〔2〕
前記磁性固体の粒径が、100μm以上である、〔1〕に記載の操作方法。
〔3〕
前記磁性固体の粒径が、前記磁性体粒子の粒径の10倍以上である、〔1〕または〔2〕に記載の操作方法。
〔4〕
前記磁性固体が、磁性固体の表面に、前記液体層内での腐食を防止するための保護層を有する、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の操作方法。
〔5〕
前記磁性体粒子が、前記中空管内に導入される試料中の目的物質を、粒子表面に選択的に固定することができる粒子である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の操作方法。
〔6〕
前記目的物質が、核酸、タンパク質、ペプチド、糖質、脂質、抗原、抗体、受容体、リガンドおよび細胞からなる群より選ばれる1種以上である、〔5〕に記載の操作方法。
〔7〕
前記中空管の外部からの磁場操作により、前記液体層に存在する前記磁性固体を、前記中空管の内壁面に沿って前記液体層内を移動させ、前記磁性固体の移動に伴って、前記磁性体粒子を前記液体層内で分散させる、〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の操作方法。
〔8〕
前記磁性固体の移動が、前記液体層内における反復される往復移動である、請求項7に記載の操作方法。
〔9〕
前記目的物質が固定された前記磁性体粒子を、前記第一の液体層が洗浄液層である前記第一の液体層内で分散させることにより、前記磁性体粒子に前記目的物質が固定された状態を保持したまま、前記目的物質が固定された前記磁性体粒子の洗浄が行われる、〔7〕または〔8〕に記載の操作方法。
〔10〕
前記目的物質が固定された前記磁性体粒子を、前記第二の液体層が溶出液層である前記第二の液体層内で分散させることにより、前記磁性体粒子に固定された前記目的物質の前記溶出液中への溶出が行われる、〔7〕または〔8〕に記載の操作方法。
〔11〕
前記洗浄液が、高濃度の塩またはアルコールを含む水溶液である、〔9〕に記載の操作方法。
〔12〕
前記溶出液が、水または低濃度の塩を含む緩衝液である、〔10〕に記載の操作方法。
〔13〕
前記ゲル状媒体が、前記液体層を構成する液体に不溶または難溶の油性ゲルである、〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の操作方法。
〔14〕
前記中空管の閉口端が、前記液体層を構成する液体を通過させるが、前記磁性体粒子の移動を阻止するフィルターを備える、〔1〕〜〔13〕のいずれかに記載の操作方法。
〔15〕
前記第三ステップにおける磁場操作が、前記第二の液体層から前記ゲル状媒体層への前記磁性固体の移動により、前記第二の液体層内に存在する前記磁性体粒子の所定量または全量が、前記ゲル状媒体層内に移動するように行われる、〔1〕〜〔14〕のいずれかに記載の操作方法。
本発明によれば、中空管内にゲル状媒体層と液体層とが交互に配置された管状デバイスにおいて、精製した目的物質を含む水系液体(溶出液)から、混在する磁性体粒子および磁性固体を、中空管の外部からの磁場操作によりゲル状媒体層内に反転移動させることにより、磁性体粒子および磁性固体を溶出液から除去することができる。このため、溶出液から磁性体粒子を遠心分離等により別途取り除く必要がない。したがって、目的物質の採取操作が簡便となる。また、目的物質が核酸(DNAまたはRNA)である場合には、直ちにPCRまたはRT−PCRに供することが可能な溶出液を採取することができる。
磁性体粒子の操作方法の概要を模式的に示す図である。 核酸(DNA)を分離・精製する実施態様の各工程を模式的に示す図である。
[デバイス]
図1を参照して、本発明の一実施態様における、磁性体粒子の操作に用いられるデバイスの構造を説明する(以下の説明において、上下方向は、図1を基準とする)。本発明において使用される磁性体粒子操作用のデバイス50を構成する中空管10は、上端が試料投入のため開口しており、コンタミネーションの観点から、開口端は閉鎖可能であることが好ましい。中空管10の下端は閉口端である。通常、操作管を構成する中空管は、横断面は略円形であるが、その他の形の横断面を有する管を除外するものではない。図1(A−1)に示されるように、中空管10内には、ゲル状媒体層と液体層とが交互に配置されており、中空管10の底部(閉口端)側から第二の液体層32、ゲル状媒体層21、および第一の液体層31が、この順に重層して充填されている。第一の液体層31内には、磁性固体60が配置されている(図1(A−1))。この場合、磁性固体60は液体中で重力により沈降し、ゲル状媒体層21に接して配置されることがある。また、磁性固体60は、ゲル状媒体層21内に配置されてもよい(図1(A−2))。この場合、磁性固体60は、ゲル状媒体層21内に保持されている。また、中空管内において、3層以上の液体層が、ゲル状媒体層によって隔てられたデバイスであってもよい。
ゲル状媒体層21を構成するゲル状媒体は、ゲル状媒体層21と接する液体層31および32とは混和せず、これらの液体層を形成する液体に不溶または難溶であることが好ましい。例えば、液体層31および32が水系液体である場合、ゲル状媒体層21は、水系液体に不溶または難溶の油性ゲルであることが好ましい。また、ゲル状媒体層は、化学的に不活性な物質であることが好ましい。ここで、液体に不溶性または難溶性であるとは、25℃ における液体に対する溶解度が、概ね100ppm以下であることを意味する。化学的に不活性な物質とは、液体層および磁性体粒子と接触した場合であっても、液体層、磁性体粒子および磁性体粒子に固定または吸着された物質に対して、化学的な変化または影響を及ぼさない物質を指す。
第一の液体層31中には、磁性体粒子71が含まれている。この磁性体粒子71は、その粒子表面に核酸等の特定の目的物質を選択的に固定することができる。磁性体粒子71への目的物質の固定は、例えば、第一の液体層31中で行われる。この場合、第一の液体層31を構成する液体には、磁性体粒子71の表面に固定されるべき目的物質を含む。また、あらかじめ目的物質が粒子表面に固定された磁性体粒子71を、第一の液体層31中に添加してもよい。さらに、第二の液体層32およびゲル状媒体層21が充填された中空管10の開口端から、目的物質が粒子表面に固定された磁性体粒子71を含む液体を、ゲル状媒体層21上に注入してもよい。
[磁性体粒子の操作]
磁性体粒子71は、図1(B−1)または(B−2)に示されるように、磁石9による外部からの磁場操作により中空管10の内壁面に引き寄せられる。磁場操作には、永久磁石(例えばフェライト磁石およびネオジム磁石)または電磁石等の磁力源を用いることができる。中空管10の内壁面に引き寄せられた磁性体粒子71は凝集体を形成し、第一の液体層31を構成する液体が、磁性体粒子の凝集体内に取り込まれる場合がある。また、第一の液体層31内に、目的物質以外の夾雑物が含まれる場合は、夾雑物も磁性体粒子の凝集体に取り込まれる場合がある。特に、変性されたタンパク質等は、磁性体粒子同士を付着させる作用を有し、これらの夾雑物も磁性体粒子の凝集体に取り込まれる。一方、第一の液体層31内に配置された磁性固体60も磁石9により内壁面に引き寄せられ、磁性体粒子71の凝集体と一体となる(図1(B−1))。磁性固体60は、磁性体粒子71よりも粒径の大きい磁性体である。
第一の液体層31において、磁性体粒子71の凝集体と一体となった磁性固体60は、磁石9による磁場操作により、磁性固体とともに磁性体粒子を中空管内壁面に沿って上下または上下左右に往復移動させることができるが、上下方向(中空管の長軸方向)の移動が好ましい。磁場操作による磁性体粒子および磁性固体の往復移動は、複数回行うことができる。この磁場操作により、磁性固体の周囲および磁性固体と中空管内壁面との間に存在する磁性体粒子71またはその凝集体が、第一の液体層31内で分散する。そのため、第一の液体層31を構成する液体が洗浄液の場合には、磁性体粒子に非特異的に吸着した変性タンパク質等の夾雑物を洗浄除去することができる。磁性固体60が第一の液体層31に存在しない場合についても、磁性体粒子に対して、磁石9による磁場操作を同様に行うことができる。
本発明の方法の第一ステップは、中空管の外部からの磁場操作により、第一の液体層内にある磁性体粒子および磁性固体を、隣接するゲル状媒体層に移動させる工程である。この工程において、中空管10の外部の磁石9を、第一の液体層31の側面からゲル状媒体層21の側面へと移動させると、第一の液体層31内に磁性固体60が配置されている場合、磁性体粒子71またはその凝集体と一体となった磁性固体60は、第一の液体層31からゲル状媒体層21内へと進入する。また、第一の液体層31内に磁性固体60が配置されていない場合であっても、磁石9の移動により、磁性体粒子71またはその凝集体は、同様に第一の液体層31からゲル状媒体層21内へと進入する。この際、磁性体粒子71の周囲に液滴として物理的に付着している水系液体の大部分は、磁性体粒子71がゲル状媒体層21の表面から内部に進入する際に、粒子表面から脱離して液体層31の液分に残る。一方、磁性体粒子71は、粒子に固定された目的物質を保持したまま、磁性固体60とともにゲル状媒体層21内を容易に移動できる。
ゲル状媒体層21内への磁性体粒子71および磁性固体60の進入および移動により、ゲル状媒体が穿孔されるが、チクソトロピックな性質(揺変性)により、ゲルは自己修復する。磁場操作により、磁性体粒子および磁性固体がゲル内を移動する際、剪断力が付与されると、チクソトロピックな性質により、ゲルは局所的に流動化(粘性化)する。そのため、磁性体粒子および磁性固体は、流動化した部分を穿孔しながら、ゲル内を容易に移動できる。磁性体粒子および磁性固体が通過した後、剪断力から解放されたゲルは速やかに元の弾性状態に復元する。そのため、磁性体粒子および磁性固体が通過した部分に貫通孔が形成されることはなく、磁性体粒子および磁性固体の穿孔部分を介して、液体がゲル内へ流入することは、ほとんど生じない。
上記のようなゲルのチクソトロピックな性質による復元力が、磁性体粒子71に付随する液体を搾り取る作用を奏する。そのため、磁性体粒子71が凝集体となり、その中に液滴が取り込まれた状態でゲル状媒体層21内へ移動した場合でも、ゲルの復元力によって、磁性体粒子と液滴とが分離され得る。一方、磁性体粒子の凝集体に取り込まれた変性タンパク質等の夾雑物は、磁性体粒子同士を強固に付着させているため、ゲルの復元力によって磁性体粒子から分離することは困難である。そのため、これらの夾雑物は、磁性体粒子の凝集体内に取り込まれたまま、磁性固体とともにゲル状媒体層内を移動する。
磁性固体60がゲル状媒体層21内に配置されている場合、中空管10の外部の磁石9を、第一の液体層31の側面からゲル状媒体層21の側面へと移動させると、磁性体粒子71は、第一の液体層31からゲル状媒体層21内へと進入するとともに、ゲル状媒体層21内に配置されている磁性固体60が磁石9へ引き寄せられる(図1C))。そのため、磁性固体60は、磁性体粒子71またはその凝集体と一体となって、ゲル状媒体層内を移動する。
本発明の方法の第二ステップは、中空管の外部からの磁場操作により、ゲル状媒体層内に移動させた磁性体粒子および磁性固体を、第二の液体層内に移動させる工程である。この工程において、ゲル状媒体層21内を通過した磁性体粒子71および磁性固体60は、磁場操作により、ゲル状媒体層21から第二の液体層32へと移動する(図1(D))。上述したように、ゲル状媒体には、磁性体粒子および磁性固体が通過した部分で貫通孔は形成されないため、第一の液体層31から、第二の液体層32への液体の流入はほとんど生じない。逆に、第二の液体層32から、第一の液体層31への液体の流入もほとんど生じない。
第二の液体層32の側面に沿って磁石9を移動させると、磁性固体60および磁性体粒子71 も、磁石9の移動に伴って第二の液体層内を移動する。磁石9の移動は、中空管外壁面に沿って上下または上下左右に往復移動させることができるが、上下方向(中空管の長軸方向)の移動が好ましい。磁石9の往復移動は、複数回行うことができる。磁石9の移動による磁場操作により、磁性固体60および磁性体粒子71が移動または運動すると、凝集体を形成していた磁性体粒子71は、第二の液体層内で分散する(図1(E))。
そのため、第二の液体層32を構成する液体が洗浄液である場合には、磁性体粒子に非特異的に吸着した変性タンパク質等の夾雑物を洗浄除去することができる。また、第二の液体層32を構成する液体が溶出液である場合には、磁性体粒子が分散されると、磁性体粒子が溶出液に十分暴露された状態で、磁性体粒子に固定された核酸等の目的物質の溶出(遊離)が行われるため、目的物質の回収効率が向上する。
液体層内で、磁性固体とともに磁性体粒子を移動させることによって、磁性体粒子が分散される原理は必ずしも明らかではない。しかしながら、磁性固体および磁性体粒子の動きを目視観察した場合、磁性固体60が中空管10の壁面に沿って移動する際に、中空管の内壁面と磁性固体との摩擦抵抗および磁石の移動に対する磁性固体の追従移動の遅延に伴って、磁性固体が微振動することが認められている。この磁性固体の微振動が、磁性固体周辺に存在する磁性体粒子もしくはその凝集体を分散させる作用を有するか、または、磁性固体の微振動が、中空管の内壁面と磁性固体との間に存在する磁性体粒子の凝集体を破砕する作用を有するため、磁性体粒子が、液体層内で迅速に分散されると推定される。
本発明の方法の第三ステップは、中空管の外部からの磁場操作により、第二の液体層内に移動させた磁性体粒子および磁性固体を、ゲル状媒体層内に反転移動させる工程である。この工程において、第二の液体層32内で分散した磁性体粒子71および磁性固体60は、磁石9を上下または上下左右に緩徐に動かし、その後徐々に静止させることにより、中空管10の内壁面に引き寄せられ集合する(図1(F))。磁石9の動作速度は、磁性体粒子71および磁性固体60が集合することを可能にする速度であり、その速度は、当業者であれば、磁性固体および磁性体粒子の動きを目視観察することにより調節可能である。磁性固体および磁性体粒子は黒色〜茶色を呈しているので、目視により視認することができる。
中空管外部の磁石9の動作によって第二の液体層の側面に集合した磁性体粒子71および磁性固体60は、磁石9を第二の液体層32の側面からゲル状媒体層21の側面へと反転移動させることにより、その所定量または全量が、磁石9の移動に伴って第二の液体層からル状媒体層内に再度進入し、ゲル状媒体層へ反転移動する(図1(G))。ここで、中空管外部からの磁石9の磁場操作は、集合した磁性体粒子71および磁性固体60が、第二の液体層内で再度分散しないような動作速度で行われる。かかる速度は、磁性固体および磁性体粒子の動きを目視観察することにより調節可能である。磁性固体および磁性体粒子は黒色〜茶色を呈しているので、目視により視認することができる。なお、磁性体粒子71および磁性固体60の所定量とは、以下に説明するように、残存する磁性体粒子71および磁性固体60(特に、粒径がより小さい磁性体粒子)が、遠心分離等により取り除く必要がない程度の量を指す。
このように、外部からの磁場操作により、第二の液体層32から磁性体粒子71および磁性固体60を除去することができる。したがって、第二の液体層32を構成する液体が、磁性体粒子の表面上に固定された目的物質を溶出(遊離)する溶出液である場合には、溶出液から磁性体粒子および磁性固体を遠心分離等により別途取り除く必要がない。したがって、目的物質の採取操作が簡便となる。また、目的物質を含む溶出液を、直接次の検出工程または測定反応に供した場合であっても、磁性体粒子および/または磁性固体による検出工程または測定反応の妨害を引き起こすことがない。例えば、目的物質が核酸(DNAまたはRNA)である場合には、直ちにPCRまたはRT−PCRに供しても、反応および測定が妨害されることはない。
[磁性体粒子]
本発明において用いられる磁性体粒子71は、磁場の作用によって、液体中あるいはゲル状媒体中において、凝集、分散、移動等の操作を行い得るものである。磁性体としては、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、ならびにそれらの化合物、酸化物、および合金等が挙げられる。具体的には、マグネタイト(Fe)、ヘマタイト(Fe 、またはαFe)、マグヘマイト(γFe)、チタノマグネタイト(xFeTiO・(1-x)Fe、イルメノヘマタイト(xFeTiO・(1-x)Fe、ピロタイト(Fe1-xS(x=0〜0.13)‥Fe(x〜0.13))、グレイガイト(Fe)、ゲータイト(αFeOOH)、酸化クロム(CrO)、パーマロイ、アルコニ磁石、ステンレス、サマリウム磁石、ネオジム磁石、バリウム磁石が挙げられる。
液体中およびゲル状媒体中での粒子操作を容易とするためには、磁性体粒子の粒径は0.1〜20μm程度が好ましく、0.5〜10μm程度がより好ましい。磁性体粒子の形状は、粒径が均一な球形が好ましいが、磁力による粒子操作が可能である限りにおいて、不規則な形状であり、またある程度の粒径分布を持っていてもよい。磁性体粒子の構成成分は単一物質でもよく、また複数の成分からなるものでも良い。
磁性体粒子は、特定の目的物質を選択的に固定できるものが好ましい。粒子表面または粒子内部に目的物質を保持できるものであれば、固定方法は特に限定されず、物理吸着、化学吸着等の各種公知の固定化メカニズムが適用可能である。例えば、ファンデルワールス力、水素結合、疎水性相互作用、イオン間相互作用、π-πスタッキング等の種々の分子間力により、粒子の表面あるいは内部に目的物質が固定される。
磁性体粒子に固定される目的物質としては、例えば核酸、タンパク質、ペプチド、糖質、脂質、抗原、抗体、受容体、リガンド等の生体由来物質および細胞等が挙げられる。目的物質が生体由来物質である場合は、分子認識等により、粒子表面に目的物質が固定されてもよい。例えば、目的物質が核酸である場合は、シリカコーティングされた磁性体粒子を用いることにより、粒子表面に核酸を選択的に吸着させることができる。また、目的物質が、抗体(例えば、標識抗体)、受容体、抗原およびリガンド等である場合、粒子表面のアミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、アビジン、ビオチン、ジゴキシゲニン、プロテインA、プロテインG等により、目的物質を粒子表面に選択的に固定することができる。
磁性体粒子としては、上記の磁性体の粒子表面に、目的物質を選択的に固定させるための物質、例えば、各種官能基を有する化合物、シリカ、ストレプトアビジン、黄色ブドウ球菌、プロテインA、プロテインG、免疫グロブリン等が付着したもの、またはこれらの物質で被覆されたものが好適に用いられる。このような磁性体粒子は、例えば、ライフテクノロジーズから販売されているDynabeads(登録商標)および東洋紡から販売されているMagExtractor(登録商標)等の市販品を用いることもできる。
一個のデバイスに含まれる磁性体粒子は、デバイスに添加される試料の量、各液体層の体積等に応じて適宜に決定される。例えば、内径1〜2mm程度の細長い円筒形のキャピラリー中空管が用いられる場合、デバイスに添加される磁性体粒子の量は、通常、10〜200μg程度の範囲が好適である。
[磁性固体]
本発明に用いられる磁性固体60は、磁性体であればその材料は特に限定されず、磁性体粒子71を構成する磁性体として例示したものと同様に、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属、ならびにそれらの化合物、酸化物および合金等が挙げられる。磁性固体の形状は特に限定されず、球状、多面体状、偏平形状、棒状等であってもよい。
磁性固体60は、磁性体粒子よりも粒径が大きいことが好ましい。なお、磁性固体が非球状の場合には、長径を粒径とみなす。磁性固体の粒径は、100μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましく、500μm 以上がさらに好ましい。磁性体粒子71が凝集体を形成している場合であっても、磁性体粒子より粒径の大きい磁性固体60が共存すれば、磁性体粒子の凝集体と一体となった磁性固体を磁場操作によって移動させることにより、磁性体粒子を液体中に分散させることができる。磁性固体の粒径は、磁性体粒子の粒径の10倍以上が好ましく、20倍以上がより好ましく、30倍以上がさらに好ましく、50倍以上が特に好ましい。
磁性固体は、中空管内で移動可能なものであれば、粒径の上限は特に限定されない。例えば、中空管が管状であり、磁性固体が球状である場合、磁性固体の粒径が、中空管の内径よりも小さければよい。磁場による操作を容易とする観点から、磁性固体の粒径は10mm以下が好ましく、5mm以下がより好ましく、3mm以下がさらに好ましく、1.5mm以下が特に好ましい。また、磁性固体の粒径は、磁性体粒子の粒径の100000倍以下が好ましく、50000倍以下がより好ましく、10000倍以下がさらに好ましい。なお、図1に示す実施態様では、中空管10内に1個の磁性固体60が用いられているが、複数の磁性固体を用いることもできる。
磁性固体としては、ボールベアリング用の鉄球やステンレス球等の市販の金属球等をそのまま用いることができる。また、磁性固体に機能性を付与することもできる。例えば、鉄およびステンレス等の金属材料の表面にコーティングを施すことにより、試薬および試料に対する耐腐食性を付与することができる。
特に、磁性固体が磁性体粒子操作用デバイス内で、液体層を構成する水系液体またはゲル状媒体に長時間接触する場合、磁性固体を構成する鉄等の金属が腐食し、腐食成分(例えば、液体層中に溶出した金属イオン)が、目的物質の固定およびその後の試薬および試料との反応(例えば酵素反応および抗原抗体反応)、目的物質の溶出等に影響を及ぼす場合がある。これに対して、磁性固体が、その金属表面に腐食を防止するための保護層(コーティング層)を有することにより、金属の腐食による影響を抑制することができる。
金属表面に耐腐食性を持たせるための保護層を形成する場合、保護層材料は、ゲル状媒体および液体層を構成する水系液体による金属の腐食を防止するものであれば特に限定されず、金属、金属酸化物等の無機材料であっても、また樹脂材料であってもよい。金属材料としては、金、チタン、プラチナ等が挙げられる。樹脂材料としては、テトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂およびエポキシ系樹脂等が挙げられる。また、保護層材料としては、試薬および試料との反応の阻害や、目的物質の固定および溶出への影響が少ないものが好ましく用いられる。
金属表面への保護層の形成方法は特に限定されない。例えば、金属表面に耐腐食性を持たせるために、金、チタン、プラチナ等の金属コーティングが施される場合、メッキ法やドライプロセス(蒸着、スパッタ、CVD等)が好ましく採用される。金属表面に樹脂コーティングが施される場合、ウェットコーティングが好ましく採用される。
物理的な衝撃等によって、金属の腐食を防止するための保護層に剥離または亀裂が生じると、金属が露出し、露出部分から金属の腐食を生じる場合がある。そのため、保護層の厚さは、数μ m〜数百μm程度が好ましい。保護層をかかる厚さとするためには、ウェットコーティングにより、樹脂層を形成することが好ましい。樹脂材料としては、樹脂溶液および液状接着剤等を用いることができる。液状接着剤としては、金属用の接着剤として市販されているものをそのまま用いてもよい。例えば、二液硬化型のエポキシ系接着剤は、常温での硬化が可能であり、上記厚さの保護層を容易に形成することができるため、金属の腐食を防止するための保護層材料として好適に用いられる。
ウェットコーティングにより樹脂溶液の乾燥および硬化が行われる場合、保護層の剥離が生じないような乾燥条件が設定されることが好ましい。例えば、コーティング後の磁性固体を静置して乾燥または硬化する場合は、樹脂材料が付着し難い材料またはコーティング液の溶媒に対する耐溶剤性を有する材料上に、コーティング後の磁性固体を静置することが好ましい。
磁性固体の表面には、耐腐食性コーティング以外のコーティング層を設けることもできる。例えば、磁性体粒子に固定される物質とは異なる物質が磁性固体表面に固定されるように、磁性固体表面を、種々の機能性分子でコーティングしてもよい。その他、磁性固体表面を、発光物質および蛍光物質等の光学材料でコーティングしてもよい。このような構成によれば、磁性固体の位置を光学的に検出することが可能となるため、例えば、磁性体粒子の操作を自動化する際、磁性固体および磁性固体と一体となった磁性体粒子の位置検出および位置補正に応用することができる。また、磁性固体の材質、大きさ、および形状を調整することにより、マイクロ流路系において、磁場操作によるバルブおよびポンプ動作のためのアクチュエーターとしての機能を、磁性固体に兼務させることもできる。その他、磁性固体を、磁気共鳴による流体制御素子の駆動用電力の受容体とすること、また電磁誘導による発熱体として、化学反応の熱源に利用することもできる。
図1に示す実施態様において、図1(A−1)では、磁性固体60が予め第一の液体層31内に配置される態様を例示し、また図1(A−2)では、磁性固体60が予めゲル状媒体層21内に配置される態様を例示した。これらの例示に加えて、磁性固体60は、第二の液体層32内に予め配置してもよい。また、第一の液体層31内に磁性固体を投入してもよく、ゲル状媒体層21上に磁性固体を載置し、そこへ液体を注入してもよい。さらに、磁性体粒子および液体とともに、中空管内へ磁性固体を投入してもよい。なお、図1に示す実施態様では、1個のデバイスに対して1個の磁性固体が用いられているが、複数の磁性固体を用いてもよい。
[中空管]
本発明では、中空管10内に充填された液体層およびゲル状媒体層で磁性体粒子および磁性固体の操作を行う。中空管は、管外部からの磁場操作によって中空管10内の磁性体粒子および磁性固体を移動可能であり、液体およびゲル状媒体を保持できるものであれば、その材質および形状は特に限定されない。例えば、内径0.1mm〜5mm程度、好ましくは内径1〜2mm程度、長さ50〜200mm程度の直管状構造体(キャピラリー)、または幅1〜2mm程度、深さ0.5〜1mm程度、長さ50mm〜200mm程度の直線状溝が形成された平面板材の上面に、別の平面板材を貼り合わせた構造体等を用いることができる。
中空管サイズを極力小さくすれば、微小液体操作用マイクロデバイス、または微小液体操作用チップとしても使用できる。なお、中空管の形状は管状および面状に限定されず、粒子の移動経路が、十字またはT字等の分岐を有する構造であってもよい。
本発明で用いられるデバイスは、磁場操作によって、中空管10内の磁性体粒子71および磁性固体60を移動可能であるため、試料添加後のデバイスを密閉系とすることができる。デバイスを密閉系とすれば、外部からのコンタミネーションを防止することができる。そのため、RNA等の易分解性の物質を磁性体粒子に固定して操作する場合に、特に有用である。デバイスを密閉系とする場合、中空管の開口部を熱融着する方法またはその他の適切な封止手段を用いて封止することができる。操作後の粒子および水系液体をデバイス外に取り出す必要がある場合は、樹脂栓等を用いて、取り外し可能に開口部を封止することができる。また、中空管の下端の閉口端を一時的に開口端とし、その端部に、磁性体粒子71および磁性固体60の通過を阻止可能なポアサイズを有するフィルター(例えばメンブランフィルター)を接着した上で、取り外し可能な封止栓を装着することにより閉口端とすることもできる。かかるフィルターは、磁性体粒子71および磁性固体60の移動を阻止するが、フィルターに接する液体層を構成する水系液体(溶出液)を通過させる。したがって、前記封止栓を取り外すことにより、磁性体粒子を含まない溶出液を回収することが可能となる。
中空管10の材料としては、外部からの磁場を遮蔽しないものであれば特に限定されない。例えば、ポリプロピレンおよびポリエチレン等のポリオレフィン、テトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン等の撥水性樹脂材料が挙げられる。中空管の内壁面は磁性体粒子および磁性固体の搬送面となるため、内壁面が撥水性であれば、磁性体粒子からの液体の分離が促進され、固液分離が高効率化され得る。これらの材料の他、セラミック、ガラス、シリコーン、金属等を用いてもよい。中空管内壁面の撥水性を高めるためには、フッ素系樹脂またはシリコーン等によるコーティング処理を行ってもよい。
中空管の内壁面は磁性体粒子の搬送面となるため、平滑面であることが好ましく、特に、表面粗さがRa=0.1μm以下であることが好ましい。例えば、磁石9を管の外部から管に近づけ、磁場の変動により磁性体粒子が搬送面に押し付けられながら移動するが、搬送面がRa=0.1μm以下の表面粗さを有することで、変動する磁場に対する磁性体粒子の追従性を十分備えることができる。
磁性体粒子および磁性固体の操作中または操作後に、吸光度、蛍光、化学発光、生物発光、屈折率の変化等の光学的測定が行われる場合および光照射が行われる場合は、光透過性を有する中空管が好ましく用いられる。また、中空管が光透過性であれば、中空管内の粒子を磁場操作する状況を視認することができることからも好ましい。一方、液体および磁性体粒子等を遮光する必要がある場合は、光を透過させない金属等の中空管が好ましく用いられる。使用目的等によって、光透過部分および遮光部分を有する中空管を採用することもできる。
[液体層]
第一の液体層31を構成する液体は、分離および精製の対象となる目的物質を含む。目的物質としては、例えば、核酸、タンパク質、ペプチド、糖質、脂質、抗原、抗体、受容体、リガンドおよび細胞等の生体由来物質が挙げられる。液体層31を構成する液体は、目的物質の他に夾雑物を含む。例えば、血液から核酸の分離および精製を行う場合、液体層31は、目的物質である核酸の他に、細胞から溶出したタンパク質および糖質等の多種多様な夾雑物を含んでいる。
第一の液体層31を構成する液体は、一実施態様において、血液等の生体由来試料と、該試料から目的物質を抽出するための溶液との混合物である。液体の種類は特に限定されないが、ゲル状媒体を溶解しないものが好ましい。液体としては、一般に水溶液ならびに水および有機溶媒からなる混合溶液等の水系液体が好ましく用いられる。目的物質を抽出するための溶液としては、例えば細胞溶解液が挙げられる。細胞溶解液は、カオトロピック物質および界面活性剤等の細胞を溶解可能な成分を含む。カオトロピック塩としては、グアニジン塩酸塩、グアニジンイソチアン酸塩、ヨウ化カリウム、尿素等が挙げられる。カオトロピック塩は強力なタンパク変性剤であり、細胞のタンパク質を溶解させ、細胞核内の核酸を液中に遊離させる働きがあることに加え、核酸分解酵素の働きを抑える効果がある。第一の液体層31を構成する液体は、上記の他に、各種の緩衝剤、塩類、およびその他の各種補助剤、ならびにアルコール等の有機溶剤等を含んでいてもよい。
磁性体粒子71は、一実施態様において、第一の液体層31中で粒子表面に特定の目的物質を選択的に固定する。磁性体粒子71を第一の液体層31中で分散させると、目的物質が固定された状態を保持したまま磁性体粒子71が洗浄される。したがって、第一の液体層31を構成する液体は、洗浄液としても機能する。洗浄液は、例えば、目的物質が核酸である場合、核酸が磁性体粒子の表面に固定された状態を保持したまま、磁性体粒子に付着した核酸以外の成分(例えばタンパク質、糖質等)、および核酸抽出等の処理に用いられた試薬等を洗浄液中に遊離させることができるものであればよい。洗浄液としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム等の高塩濃度水溶液、またはエタノール、イソプロパノール等のアルコール水溶液等が挙げられる。
第一の液体層31の複数層が、ゲル状媒体層21によって隔てられたデバイスを用いることもできる。第一の液体層31が二層充填されている場合、中空管10の開口部(中空管の上端)に隣接する第一番目の「第一の液体層31」において、目的物質の抽出および目的物質の磁性体粒子71への固定が行われる。第一の液体層31は洗浄液層でもあるので、磁性体粒子71が同時に洗浄される。この後、磁場操作により、磁性体粒子71および磁性固体60は、第一番目の「第一の液体層31」から、隣接するゲル状媒体層を経由して、第二番目の「第一の液体層31」に移動する。この液体層中で磁性体粒子71を再分散させると、目的物質が固定された状態を保持したまま磁性体粒子71が洗浄されるので、残存する夾雑物が除去され、目的物質の精製が進む。第一の液体層31をさらに追加して、上記の洗浄操作を繰り返すこともできる。中空管10内に、複数の「第一の液体層31」を充填する場合、各液体層を構成する液体は同一であってもよく、またはお互いに異なっていてもよい。
第一の液体層31の層長は、中空管の内径および長さ、デバイスに注入する試料の量などを考慮して、当業者が適宜に決定することができる。例えば、磁石9による磁場操作により、磁性体粒子71の凝集体と一体となった磁性固体60の液体層における移動が適切に行われ、その結果、磁性体粒子の分散が良好に行うことができる層長を決定すればよい。かかる層長は、一実施態様において0.5〜30mmであり、他の態様において3〜10mmである。
第二の液体層32には、中空管外部からの磁石9の磁場操作により、隣接するゲル状媒体層21から、磁性体粒子71が、その表面に目的物質を固定したまま移動してくる。第二の液体層32を構成する液体は、磁性体粒子71から、粒子に固定された目的物質を溶出(遊離)または分離する溶出液であり、ゲル状媒体を溶解しないものが好ましい。磁性体粒子に固定された目的物質が核酸である場合、溶出液は、水(蒸留水、精製水等)または低濃度の塩(例えば塩化ナトリウム)を含む緩衝液が好ましい。緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液等を用いることができるが、一般的に、pH7〜9に調整された5〜20mMトリス緩衝液が用いられる。
第二の液体層32が、目的物質の溶出液層である場合、その層長または体積は、中空管の内径および長さ、デバイスに注入する試料の量などを考慮して、当業者が適宜に決定することができる。例えば、磁石9による磁場操作により、磁性体粒子71の凝集体と一体となった磁性固体60の液体層における移動が適切に行われ、その結果、磁性体粒子の分散が良好に行うことができる層長または体積を決定すればよい。かかる体積は、一実施態様において1μL〜1000μLであり、他の態様において50μL〜300μLである。溶出液の体積が一定であれば、溶出液中に回収される核酸等の生体成分の回収率、濃度等が正確に算出できる。
[ゲル状媒体層]
ゲル状媒体層21を形成するゲル状媒体は、磁石9による磁性体粒子71および磁性固体60の操作前において、ゲル状またはペースト状であればよい。該ゲル状媒体は、第一の液体層31および第二の液体層32を構成する液体に対し、不溶または難溶の油性ゲルであり、かつ化学的に不活性な物質であることが好ましい。
ゲル状媒体層を構成するゲル状媒体の材料および組成等は、特に限定されない。ゲル状媒体は、例えば、液体油脂、エステル油、炭化水素油、シリコーン油等の非水溶性または難水溶性の液体物質にゲル化剤を添加して、ゲル化することにより形成される。ゲル化剤によって形成されるゲル(物理ゲル)は、水素結合、ファンデルワールス力、疎水的相互作用、静電的吸引力等の弱い分子間結合力により三次元ネットワークを形成しており、熱等の外部刺激により可逆的にゾル・ゲル転移をする。ゲル化剤としては、ヒドロキシ脂肪酸、デキストリン脂肪酸エステル、およびグリセリン脂肪酸エステル等が用いられる。ゲル化剤の使用量は、非水溶性または難水溶性の液体物質100重量部に対して、例えば0.1〜5重量部の範囲で、ゲルの物理特性等を考慮して適宜に決定することができる。
ゲル化の方法は特に限定されない。例えば、非水溶性または難水溶性の液体物質を加熱し、加熱された当該液体物質にゲル化剤を添加し、ゲル化剤を完全に溶解させた後、ゾル・ゲル転移温度以下に冷却することにより物理ゲルが形成される。加熱温度は、液体物質およびゲル化剤の物性を考慮して適宜に決定することができる。
また、ヒドロゲル材料(例えば、ゼラチン、コラーゲン、デンプン、ペクチン、ヒアルロン酸、キチン、キトサン、アルギン酸、またはこれらの誘導体等)を、液体に平衡膨潤させることによって調製されたものをゲル状媒体として用いることもできる。ヒドロゲルとしては、ヒドロゲル材料を化学架橋したもの、およびゲル化剤(例えばリチウム、カリウム、マグネシウム等のアルカリ金属・アルカリ土類金属の塩、またはチタン、金、銀、白金等の遷移金属の塩、さらには、シリカ、カーボン、アルミナ化合物等)によってゲル化したもの等を用いることもできる。
[中空管におけるゲル状媒体層および液体層の作製]
中空管においてゲル状媒体層および液体層を作製するために、中空管内へのゲル状媒体および液体の充填は、任意の方法により行うことができる。中空管への充填に先立って、中空管の一端の開口部を封止し、閉口端とし、他端の開口部から液体およびゲル状媒体が順次充填されることが好ましい。内径が1〜2mm程度のキャピラリー中空管へゲル状媒体を装填する場合、例えば、アーロック式シリンジに金属製注射針を装着して、キャピラリー内の所定位置へゲル状媒体を吐出する方法により充填が行われる。
中空管内に充填される液体およびゲル状媒体の体積は、操作対象となる磁性体粒子の量および操作の種類等に応じて適宜に設定することができる。中空管内に複数のゲル状媒体層および液体層が設けられる場合、各層の層長または体積は同一であっても、または異なっていてもよい。
中空管内への液体およびゲル状媒体の充填は、磁石9による磁性体粒子および磁性固体の操作の直前に行われてもよく、該操作前に長時間の間をおいて行われてもよい。ゲル状媒体が液体に不溶または難溶である場合は、充填後に長時間が経過しても、ゲル状媒体と液体との間で相互作用および吸収はほとんど生じない。本発明で使用するデバイスは、液体およびゲル状媒体が予め中空管内に充填された状態であってもよい。また、デバイス内に、磁性体粒子および磁性固体が予め配置された状態であってもよい。
一本の中空管内に複数のゲル状媒体層が作製される場合、充填されるゲル状媒体は相互に同一の組成であってもよく、または異なる組成であってもよい。例えば、複数の液体層の中で、一部の液体層において、加熱による処理または反応を行う場合、該液体層に隣接するゲル状媒体層についてのみ、前記加熱に必要な温度においてもゲル状態またはゲル−ゾル中間状態を保持することができる高いゾル−ゲル転移点を有するゲル状媒体を用い、その他のゲル状媒体層には、比較的低いゾル−ゲル転移点を有するゲル状媒体を用いることができる。その他、隣接する液体層を構成液体の特性および体積等に応じて、適切な特性を有するゲル状媒体を適宜に選択することができる。
次に実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらよって限定されるものではない。
[デバイスの作製]
ポリプロピレン製の中空管110(内径1.8mm)に、第二の液体層(核酸溶出液)134(1mM EDTA、10mMトリス塩酸緩衝液、pH8.0)200μL;ゲル状媒体層123;第三番目の「第一の液体層」(洗浄液)133(0.5M NaCl、70%エタノール)200μL、ゲル状媒体層122;第二番目の「第一の液体層」(洗浄液)132(4mM塩酸グアニジン、30%エタノール)200μL;ゲル状媒体層121;および第一番目の「第一の液体層」(核酸抽出液)131(4mM塩酸グアニジン、5%(w/v)TritonX-100、50mMトリス塩酸緩衝液、pH7.0)を、下端から順に充填した(図2(A)参照)。
ゲル状媒体層121〜123は、各層の層長が約1cmとなるように、ゲル(信越化学工業製、商品名「KSG-15」)を充填した。ゲル状媒体層121を中空管110に充填する途中で、SUS403製の粒径1.2mmの金属球160を、ゲル状媒体層121内へ配置した。また、第一の液体層(核酸抽出液)131内には、磁気ビーズ171(東洋紡製の核酸抽出キット「MagExtractorTM-Genome」に付属の核酸抽出用シリカコート磁気ビーズ(平均粒子径3μm)を蒸留水に再懸濁したもの)を添加した。磁気ビーズ171の使用量は500μgとした。
このようにして、図2(A)に示すように、4つの水系液体層131、132、133および134、ならびに3つのゲル状媒体層121、122および123が交互に重層され、ゲル状媒体層121内に磁性固体である金属球160を備え、核酸抽出液131内に磁気ビーズ171を有する核酸抽出用粒子操作デバイス150を作製した。
[DNA抽出操作]
抗凝固剤としてEDTAが添加されたヒト全血50μLを、中空管110の開口部から、第一の液体層(核酸抽出液)131中に添加した。マイクロピペットを用いて、第一の液体層(核酸抽出液)131内で血液および磁性体粒子を十分に撹拌することにより、DNAを遊離させ、磁気ビーズ171の表面に吸着させた。その後、中空管110の開口部を蓋で閉じ、中空管110を密閉した。
次に、ネオジム磁石(直径6mm、長さ23mmの円柱形、二六製作所製 商品名「NE127」)を、中空管110の側面に近付け、第一の液体層(核酸抽出液)131中の、DNAが表面に固定された磁気ビーズ171を磁石9の近傍の中空管110内壁面に集合させた(図2(B))。その後、第一の液体層(核酸抽出液)131の側面から、ゲル状媒体層121の側面に向けて磁石9を移動させ、磁気ビーズ171をゲル状媒体層121内へ進入させた。その際、ゲル状媒体層121内に配置した金属球160も、磁気ビーズ171と一体となって、磁石9に引き寄せられた(図2(C))。
ゲル状媒体層121の側面から第一の液体層(洗浄液)132の側面に向けて磁石9を移動させ、磁気ビーズ171を伴った状態で金属球160を第一の液体層(洗浄液)132内に移動させた。第一の液体層(洗浄液)132の側面に沿って、中空管の長軸方向に磁石9を往復運動させると、金属球160が磁石9に追従して移動し、磁気ビーズ171が第一の液体層(洗浄液)132内で分散することが目視で確認された(図2(D))。
その後、同様の手順で、磁石9を中空管110の側面に沿って移動させることにより、第一の液体層(洗浄液)132内の金属球160および磁気ビーズ171を、ゲル状媒体層122内に進入させ(図2(E))、さらに第一の液体層(洗浄液)133内で、磁石9を中空管110の長軸方向に往復運動させて、洗浄液内で磁気ビーズ171を分散させた(図2(F))。その後、磁石9を中空管110の外壁面に沿って移動させることにより、金属球160および磁気ビーズ171を、ゲル状媒体層123内に進入させ(図2(G))、さらに第二の液体層(核酸溶出液)134内に移動させた。次に、第二の液体層(核酸溶出液)134の側面で、中空管の長軸方向に沿って磁石9を往復運動させることにより、核酸溶出液134内で磁気ビーズを分散させ、磁気ビーズ171の表面からDNAを遊離させて、核酸溶出液内に溶出させた(図2(H))。
その後、磁石9を中空管110の側面に沿ってゆっくりと動かし、磁気ビーズ171および金属球160がすべて中空管110の内壁面に集合したことを目視で確認した。次に、磁石9を中空管110の開口部(上端)に向けてゆっくりと移動させることにより、DNAを遊離した磁気ビーズ171と一体となった金属球160を、ゲル状媒体層123内に反転移動させた(図2(I))。その際、磁気ビーズ171および金属球160は、これらが第二の液体層(核酸溶出液)134内に落ち込まないように、ゲル状媒体層123の上端付近まで反転移動させた。第二の液体層(核酸溶出液)134内には、磁気ビーズ171が残存していないことは目視により確認した。最後に、核酸溶出液134の、ゲル状媒体層123との界面近傍のポリプロピレン管表面に、カッターナイフを用いて切れ込みを作製し、管を破断させ、開口部から核酸溶出液134を回収した。チューブに回収した核酸溶出液を再度目視観察したが、磁気ビーズの混在は認められなかった。
50:デバイス
10:中空管
21:ゲル状媒体層
31:第一の液体層
32:第二の液体層
60:磁性固体
71:磁性体粒子
9:磁石
150:核酸抽出用粒子操作デバイス
110:中空管
121〜123:ゲル状媒体層(シリコーンゲル)
131:第一の液体層(核酸抽出液)
132、133:第一の液体層(洗浄液)
134:第二の液体層(核酸溶出液)
160:磁性固体(金属球)
171:磁性体粒子(磁気ビーズ)

Claims (15)

  1. 一方に閉鎖可能であってもよい開口端および他方に閉口端を有する中空管内にゲル状媒体層と液体層とが交互に配置され、第一の液体層と第二の液体層とがゲル状媒体層によって隔てられたデバイスであって、前記第一の液体層内に、磁性体粒子および前記磁性体粒子より粒径の大きな磁性固体が存在するデバイスにおいて、
    前記中空管の外部からの磁場操作により、前記第一の液体層内の前記磁性体粒子および前記磁性固体を、前記ゲル状媒体層に移動させる第一ステップ;
    前記中空管の外部からの磁場操作により、前記ゲル状媒体層内に移動させた前記磁性体粒子および前記磁性固体を、前記第二の液体層内に移動させる第二ステップ; および、
    前記中空管の外部からの磁場操作により、前記第二の液体層内に移動させた前記磁性体粒子および前記磁性固体を、前記ゲル状媒体層内に反転移動させる第三ステップ;
    を含む、磁性体粒子の操作方法。
  2. 前記磁性固体の粒径が、100μm以上である、請求項1に記載の操作方法。
  3. 前記磁性固体の粒径が、前記磁性体粒子の粒径の10倍以上である、請求項1または2に記載の操作方法。
  4. 前記磁性固体が、磁性固体の表面に、前記液体層内での腐食を防止するための保護層を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の操作方法。
  5. 前記磁性体粒子が、前記中空管内に導入される試料中の目的物質を、粒子表面に選択的に固定することができる粒子である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の操作方法。
  6. 前記目的物質が、核酸、タンパク質、ペプチド、糖質、脂質、抗原、抗体、受容体、リガンドおよび細胞からなる群より選ばれる1種以上である、請求項5に記載の操作方法。
  7. 前記中空管の外部からの磁場操作により、前記液体層に存在する前記磁性固体を、前記中空管の内壁面に沿って前記液体層内を移動させ、前記磁性固体の移動に伴って、前記磁性体粒子を前記液体層内で分散させる、請求項1〜6のいずれか1項に記載の操作方法。
  8. 前記磁性固体の移動が、前記液体層内における反復される往復移動である、請求項7に記載の操作方法。
  9. 前記目的物質が固定された前記磁性体粒子を、前記第一の液体層が洗浄液層である前記第一の液体層内で分散させることにより、前記磁性体粒子に前記目的物質が固定された状態を保持したまま、前記目的物質が固定された前記磁性体粒子の洗浄が行われる、請求項7または8に記載の操作方法。
  10. 前記目的物質が固定された前記磁性体粒子を、前記第二の液体層が溶出液層である前記第二の液体層内で分散させることにより、前記磁性体粒子に固定された前記目的物質の前記溶出液中への溶出が行われる、請求項7または8に記載の操作方法。
  11. 前記洗浄液が、高濃度の塩またはアルコールを含む水溶液である、請求項9に記載の操作方法。
  12. 前記溶出液が、水または低濃度の塩を含む緩衝液である、請求項10に記載の操作方法。
  13. 前記ゲル状媒体が、前記液体層を構成する液体に不溶または難溶の油性ゲルである、請求項1〜12のいずれか1項に記載の操作方法。
  14. 前記中空管の閉口端が、前記液体層を構成する液体を通過させるが、前記磁性体粒子の移動を阻止するフィルターを備える、請求項1〜13のいずれか1項に記載の操作方法。
  15. 前記第三ステップにおける磁場操作が、前記第二の液体層から前記ゲル状媒体層への前記磁性固体の移動により、前記第二の液体層内に存在する前記磁性体粒子の所定量または全量が、前記ゲル状媒体層内に移動するように行われる、請求項1〜14のいずれか1項に記載の操作方法。


















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