JP2021105084A - 粘着シート - Google Patents

粘着シート Download PDF

Info

Publication number
JP2021105084A
JP2021105084A JP2019235948A JP2019235948A JP2021105084A JP 2021105084 A JP2021105084 A JP 2021105084A JP 2019235948 A JP2019235948 A JP 2019235948A JP 2019235948 A JP2019235948 A JP 2019235948A JP 2021105084 A JP2021105084 A JP 2021105084A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pressure
sensitive adhesive
adhesive layer
sheet
base material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019235948A
Other languages
English (en)
Inventor
暁人 辻井
Akito Tsujii
暁人 辻井
三浦 学
Manabu Miura
学 三浦
大輔 吉村
Daisuke Yoshimura
大輔 吉村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denka Co Ltd
Original Assignee
Denka Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denka Co Ltd filed Critical Denka Co Ltd
Priority to JP2019235948A priority Critical patent/JP2021105084A/ja
Publication of JP2021105084A publication Critical patent/JP2021105084A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Adhesive Tapes (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

【課題】粘着シート同士を重ね合わせた際に、粘着剤層と基材との間で摩擦やブロッキングが発生しにくく、粘着シート同士を容易に剥がすことのできる粘着シートの提供。【解決手段】塩化ビニル系樹脂を含むシート状基材と、前記シート状基材の一方の面に設けられた、第1の粘着剤層と、第2の粘着剤層と、粘着剤層非形成部とを有する、粘着シートであって、前記粘着剤層非形成部が、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層との間に設けられており、前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層はエラストマー成分を含み、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層は、前記シート状基材の少なくとも一つの辺(I)と反対側の辺(I’)に沿って、幅(w1)及び幅(w2)を有するように設けられており、前記幅(w1)と、前記幅(w2)とが、前記シート状基材の長さ(A)に対して、特定の式を満たす粘着シート。【選択図】図1

Description

本発明は、粘着シートに関する。
建設物等の電線や配線を結束するために、ポリ塩化ビニルを基材とした結束テープが用いられている。電線や配線を束ねた後にテープをらせん状に繰り返し巻くことによって、電線や配線を結束するとともに、電線や配線に電気絶縁性、耐熱性、難燃性、耐摩耗性等を付与している。しかし、このようにテープを繰り返し巻く工法は作業工数がかかることから、近年は工数削減のため、電線や配線に1枚のシートを巻き付けて貼り付ける工法が増加している。シートを貼り付けるために両面テープが使用される場合、剥離紙を剥がす作業に時間がかかり、また、剥がした後の剥離紙が廃棄物になるという問題がある。剥離紙を使用せずに固定する方法として、シートを巻き付けた後に熱融着により固定する方法が提案されている(特許文献1)。
特許文献1に記載の方法では熱融着機にて圧着する作業が発生して作業時間が長くなるほか、誤って電線に熱源が接触するなどして電線が断線するトラブルの原因になる。そこで、剥離紙を用いず、かつ常温で使用可能な粘着シートとして、感圧粘着剤により粘着層同士を貼り合せるシート又はテープ(特許文献2、3)が提案されている。
特開平11−7856号公報 特開2013−168322号公報 特開2016−056270号公報
ところで、これらのシートは、シートの粘着剤層同士が接触しないように(すなわち、粘着剤層と、基材の粘着剤層が設けられていない面とが接するように)重ね合わせて保管されることが一般的である。しかしながら、特許文献2、3に記載のシートは、シート同士を重ね合わせた際に、粘着剤層と基材との間で摩擦やブロッキングが発生して、シート同士が剥がれにくいという問題がある。
そこで本発明は、粘着シート同士を重ね合わせた際に、粘着剤層と基材との間で摩擦やブロッキングが発生しにくく、粘着シート同士を容易に剥がすことのできる粘着シートの提供を目的とする。
係る課題に対し、本発明者らは鋭意検討した結果、塩化ビニル系樹脂を含むシート状基材の一方の面の少なくとも一つの辺に沿って、特定の面積を有する第1の粘着剤層を設け、前記辺の反対側の辺に沿って、特定の面積を有する第2の粘着剤層を設け、かつ前記基材の特定の部分に粘着剤層非形成部を設けることによって、前述の課題を解決できる粘着シートが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る粘着シートは以下の態様を有する。
[1]塩化ビニル系樹脂を含むシート状基材と、前記シート状基材の一方の面に設けられた、第1の粘着剤層と、第2の粘着剤層と、粘着剤層非形成部とを有する、粘着シートであって、前記粘着剤層非形成部が、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層との間に設けられており、前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層はエラストマー成分を含み、前記第1の粘着剤層は、前記シート状基材の少なくとも一つの辺(I)に沿って幅(w1)で設けられており、前記第2の粘着剤層は、少なくとも前記辺(I)の反対側の辺(I’)に沿って幅(w2)で設けられており、前記幅(w1)と、前記幅(w2)とが、前記シート状基材の前記辺(I)から前記辺(I’)までの長さ(A)に対して、下記式(1)〜(2)を満たす、粘着シート。
0.1≦(w1/A)≦(w2/A)≦0.4 ・・・(1)
0.2≦[(w1+w2)/A]≦0.6 ・・・(2)
[2]前記シート状基材の長さ(A)が100mmである場合の、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層とを貼り合わせた際の粘着力が、6N以上である、[1]に記載の粘着シート。
[3]前記エラストマー成分が天然ゴムを含む、[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4]前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層の厚みが、10〜40μmである、[1]から[3]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[5]前記第1の粘着剤層の溶剤不溶分率が、前記第1の粘着剤層の総質量に対して、65質量%以上であり、前記第2の粘着剤層の溶剤不溶分率が、前記第2の粘着剤層の総質量に対して、65質量%以上である、[1]から[4]のいずれか一項に記載の粘着シート。
[6]前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層が、炭酸カルシウムを含む、[1]から[5]のいずれか一項に記載の粘着シート。
本発明によれば、粘着シート同士を重ね合わせた際に、粘着剤層と基材との間で摩擦やブロッキングが発生しにくく、粘着シート同士を容易に剥がすことのできる粘着シートを提供することができる。
本発明の粘着シートの1つの態様を表す平面図である。 本発明の1つの態様の粘着シート同士を重ね合わせた状態を表す断面図である。 本発明の1つの態様の粘着シートを用いて配線を束ねた状態の例を表す断面図である。 本発明の1つの態様の粘着シートを用いて配線を束ねた状態のその他の例を表す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。
[粘着シート]
図1は、本発明の粘着シートの1つの態様を表す平面図である。また、図2は、本発明の1つの態様の粘着シート同士を重ね合わせた状態を表す断面図である。
図1に示すように、粘着シート10は、シート状基材13と、シート状基材13の一方の面に設けられた第1の粘着剤層11と、第2の粘着剤層12と、粘着剤層非形成部14とを有する。また、第1の粘着剤層11は、シート状基材13の一つの辺40(辺(I))に沿って設けられており、第2の粘着剤層12は、シート状基材13の辺40の反対側の辺41(辺(I’))に沿って設けられている。なお、図1では、第1の粘着剤層11は辺40に沿って幅(w1)で帯状に設けられている。また、第2の粘着剤層12は、辺41に沿って幅(w2)で帯状に設けられている。ここで「帯状」とは、一定の幅を維持しながら、細長く設けられていることを意味する。粘着剤層非形成部14は、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12との間に設けられている。
また、第1の粘着剤層11の幅(w1)と、第2の粘着剤層12の幅(w2)とが、シート状基材13の辺40から辺41までの長さ(A)に対して、下記式(1)〜(2)を満たす。
0.1≦(w1/A)≦(w2/A)≦0.4 ・・・(1)
0.2≦[(w1+w2)/A]≦0.6 ・・・(2)
上記のような構成を有することにより、例えば、粘着シート同士を図2のように重ね合わせた際に、粘着剤層とシート状基材との間で摩擦やブロッキングが発生しにくく、粘着シート同士を容易に剥がすことができる。
以下、本明細書では、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とを合わせて、「粘着剤層」と記載することがある。
<シート状基材>
粘着シート10には、電線や配線等の長尺物品(以下、「被保護物」と記載することもある)を集束し、かつさまざまな環境から前記長尺物品を保護することが求められる。そのため、粘着シート10のシート状基材13には、電気絶縁性、耐熱性、難燃性を有し、かつ、強度と柔軟性とを両立させることのできる樹脂を用いる必要がある。これらの要求を満たすことのできる樹脂としては、塩化ビニル系樹脂が好適である。粘着シート10のシート状基材13は、塩化ビニル系樹脂を含むものである。
塩化ビニル系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、柔軟性、伸張性、及び成型加工性に優れ、かつ汎用的で安価に使用可能であることから、ポリ塩化ビニルが好ましい。
ポリ塩化ビニルの重合度は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、良好な加工性を得る観点から、平均重合度が500〜4000のものが好ましく、800〜3000のものがより好ましく、1000〜2000のものが特に好ましい。
シート状基材13には、粘着シート10に柔軟性と伸長性、加工性を付与する観点から、可塑剤が含まれていてもよい。
可塑剤としては、フタル酸系可塑剤、イソフタル酸系可塑剤、テレフタル酸系可塑剤、アジピン酸系可塑剤及びそれらのポリエステル系可塑剤、リン酸系可塑剤、トリメリット酸系可塑剤、エポキシ系可塑剤等を使用することができる。
可塑剤の具体例としては、フタル酸ジイソニル(DINP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジ−n−オクチル(n−DOP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、イソフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOIP)、テレフタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOTP)、ベンジルブチルフタレート(BBP)、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(TOTM)、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル(DOA)、トリクレジルホスフェート(TCP)、ベンジルオクチルアジペート(BOA)、アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル、アジピン酸−ブチレングリコール系ポリエステル、フタル酸−プロピレングリコール系ポリエステル、ジフェニルクレジルホスフェート(DPCP)、アジピン酸ジイソデシル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、塩素化パラフィン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記可塑剤のうち、安価で可塑化効果の高いDINPがより好ましい。
シート状基材13中の可塑剤の含有量は、塩化ビニル系樹脂100質量部に対し、20〜100質量部が好ましく、30〜80質量部がより好ましく、40〜60質量部がさらに好ましい。可塑剤の含有量が20質量部以上であれば、粘着シート10の伸張性が向上しやすくなり、電線や配線等を覆った後に被保護物を屈曲させやすくなる。可塑剤の含有量が100質量部以下であれば、粘着シート10の耐摩耗性が低下しにくく、摩耗による被保護物の傷つきを防止しやすくなる。
シート状基材13には、必要に応じて本発明の効果を阻害しない範囲で、無機充填剤、改質剤、及びその他添加剤等を配合することができる。その他添加剤としては、例えば、着色剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤等が挙げられる。
前記無機充填剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、トリフェニルホスフィート、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化モリブデン、リン酸グアニジン、ハイドロタルサイト、スネークタイト、硼酸亜鉛、無水硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、赤燐、タルク、アルミナ、シリカ、ベーマイト、ベントナイト、珪酸ソーダ、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記の無機充填剤のうち、タルク、アルミナ、シリカ、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが好ましく、より好ましくは経済性に優れた炭酸カルシウムである。
前記無機充填剤は、天然物を粉砕して得られたものでもよく、水溶液等にしたものを中和させ析出して得られたものであっても良い。また、表面処理剤等で官能基を導入したものであってもよい。表面処理剤としては、例えば、脂肪酸、ロジン酸、リグニン酸、4級アンモニウム塩等が使用できる。
前記改質剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−エチレン共重合体、塩化ビニル−プロピレン共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体、熱可塑性ポリウレタン、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填剤、改質剤、及びその他添加剤の含有量は、特に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。例えば前記のシート状基材13に用いられる塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0質量部を超え50質量部以下を配合することができる。
シート状基材13の成形方法としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、及び必要に応じて、可塑剤、無機充填剤、熱安定剤、光吸収剤、顔料、その他添加剤等を混合した組成物を溶融混練したのち、所定の厚みに成形する方法が挙げられる。溶融混練方法は、本発明の効果を有する限り特に限定されないが、例えば、二軸押出機、連続式及びバッチ式のニーダー、ロール、バンバリーミキサー等の加熱装置を備えた各種混合機、混練機が使用できる。前記混錬方法によって、前記組成物が均一分散するように混合し、得られた混合物を慣用の成形方法であるカレンダー法、Tダイ法、インフレーション法等によりシート状基材に成形する。成形機は生産性、色変え、形状の均一性等の面からカレンダー成形機が好ましい。カレンダー成形におけるロール配列方式は、例えば、L型、逆L型、Z型等の公知の方式を採用できる。また、ロール温度は通常150〜200℃、好ましくは155〜190℃に設定される。
シート状基材13の厚みは、使用目的や用途等に応じて様々であるが、好ましくは30〜2000μmであり、より好ましくは100〜1000μmであり、さらに好ましくは200〜500μmである。
また、シート状基材13の長さ(A)は、使用目的や用途等に応じて適宜設定されるが、好ましくは、30〜300mmである。
<第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層>
図1に示すように、第1の粘着剤層11はシート状基材13の一方の面に、シート状基材13の辺40に沿って幅(w1)で設けられており、第2の粘着剤層12は、シート状基材13の辺40の反対側の辺41に沿って幅(w2)で設けられている。これら第1の粘着剤層と第2の粘着剤層は、辺40及び辺41に沿って帯状に設けられることが好ましい。
第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12が帯状に設けられる場合、これら粘着剤層の長さは、シート状基材13の辺40及び辺41の長さと同じである。また、第1の粘着剤層11の幅(w1)と、第2の粘着剤層12の幅(w2)は、シート状基材13の長さ(A)に対して、下記式(1)〜(2)を満たす。
0.1≦(w1/A)≦(w2/A)≦0.4 ・・・(1)
0.2≦[(w1+w2)/A]≦0.6 ・・・(2)
シート状基材13の長さ(A)に対する、第1の粘着剤層11の幅(w1)(以下、「(w1/A)」と記載することもある)は、0.1〜0.4であり、0.1〜0.3が好ましく、0.1〜0.2がより好ましい。
また、シート状基材13の長さ(A)に対する、第2の粘着剤層12の幅(w2)(以下、「(w2/A)」と記載することもある)は、0.1〜0.4であり、0.1〜0.3が好ましく、0.1〜0.2がより好ましい。
シート状基材13の長さ(A)に対する、w1とw2の合計(以下、「(w1+w2)/A」と記載することもある)は、0.2〜0.6であり、0.2〜0.4がより好ましい。
前記式(1)〜(2)を満たすことで、粘着シート同士を重ね合わせた際に、摩擦やブロッキングが発生しにくく、かつ粘着シート同士を容易に剥がすことができる。
本発明の1つの態様において、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12中の溶剤不溶分率は、第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層12の総質量に対して、65質量%以上であることが好ましい。また、前記溶剤不溶分率は、65〜100質量%であることが好ましく、70〜100質量%がより好ましい。第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層12の溶剤不溶分率が上記範囲内であれば、第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層のべたつきが低減されやすくなる。なお、粘着剤層中の溶剤不溶分率は、例えば以下の方法により測定することができる。
粘着シートから第1の粘着剤層をx1[g]分取し、トルエン100mlをホールピペットで加え、回転子を入れた後、密栓する。恒温水槽(50℃±2℃)に共栓付三角フラスコをセットし、スターラーで回転数600/minで2時間撹拌する。撹拌後、共栓付三角フラスコを氷水で23℃以下まで冷却する。試料を予め重量を計量しておいた270メッシュの金網にて全量濾過する(濾過前の金網重量をx2[g]とする)。濾過後の金網を防爆オーブン内で150℃、1時間加熱したのち、金網重量を計量する(濾過後の金網重量をx3[g]とする)。以下の式(3)より、第1の粘着剤層中の溶剤不溶分率を測定する。
溶剤不溶分率(%)=(x3−x2)/x1 ×100% ・・・(3)
なお、第2の粘着剤層中の溶剤不溶分率も、上記と同じ手法にて測定することができる。
(粘着剤)
第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12は、粘着剤により形成されており、前記粘着剤はエラストマー成分を含む。すなわち、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12は、エラストマー成分を含む。
第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12は、エラストマー成分を含む粘着剤であれば、同一の組成を有する粘着剤で形成されていてもよく、組成が異なる粘着剤を用いて形成されてもよい。本発明の1つの態様においては、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とが、同一の組成を有する粘着剤で形成されていることが好ましい。
粘着剤中のエラストマー成分の含有量は、粘着剤の総質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。粘着剤中のエラストマー成分が60質量%以上であれば、電線結束用途に十分な粘着力が得られやすくなる。
エラストマー成分としては、例えば、ゴム(合成ゴム、天然ゴム)、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
天然ゴムとしては、例えば、固形分が60質量%の天然ゴムエマルジョン、固形分が60質量%の架橋天然ゴムエマルジョン等を用いることができる。このような天然ゴムとしては、市販されているものを用いてもよく、例えば、(株)レヂテックス製の架橋天然ゴムエマルジョン(商品名「SS58」)、(株)レヂテックス製の天然ゴムエマルジョン(商品名「HA LATEX」)等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
合成ゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム(ブチルゴム)、クロロプレンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の1つの態様において、第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層に含まれるエラストマー成分は、ゴムを含むことが好ましく、天然ゴムを含むことがより好ましい。また、本発明の1つの態様において、前記エラストマー成分は、架橋天然ゴム、天然ゴム、及び合成ゴムからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、架橋天然ゴム、天然ゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、及びクロロプレンゴムからなる群より選択される少なくとも1つを含むことがより好ましい。
なお、天然ゴムを含む粘着剤層は、粘着剤層同士の粘着力は高いが、粘着剤層以外の被着物への粘着力は低いという特性を有する。そのため、第1及び第2の粘着剤層が天然ゴムを含むことにより、粘着シート同士を重ね合わせた際の摩擦やブロッキングをより抑制しやすくなる。また、図2のように粘着シート10と粘着シート20とを重ね合わせた際に、粘着シート10と粘着シート20とをより容易に剥離することができる。
また、前記粘着剤には、架橋剤が含まれていてもよい。架橋剤としては、例えば、硫黄系化合物、有機過酸化物系化合物等が挙げられる。硫黄系化合物としては、例えば、硫黄、塩化硫黄、二塩化硫黄、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドおよびジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。有機過酸化物系化合物としては、例えば、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ジブチルヒドロペルオキシド等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら架橋剤のうち、硫黄原子の架橋構造の存在による脱加硫が起こりにくいことによって高温及び高湿度環境での保管性により優れる観点から、有機過酸化物系化合物を用いることが特に好ましい。
粘着剤が架橋剤を含む場合、前記架橋剤の含有量は、粘着剤の総質量に対して、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜5質量%であることがより好ましく、0.5〜3質量%であることがさらに好ましい。架橋剤の含有量が0.1質量%以上であれば、粘着層の劣化によるべたつきが発生しにくい。10質量%以下であれば、粘着剤層同士を貼り合わせた際に十分な粘着力を得やすくなる。
前記粘着剤は、必要に応じて適量の充填材を含むことができる。充填材を適量含むことによって、第1の粘着剤層及び第2の粘着剤層のべたつきが低減されやすくなる。また、粘着剤が天然ゴムを含む場合、充填材と天然ゴムが擬似架橋構造を形成することによって分子の運動性が制限され、熱的安定性が向上しやすくなる。さらに、粘着剤層同士の粘着力をある程度維持しつつ、粘着剤層以外の被着物に対する粘着力を低減しやすくなる。このような充填材としては、例えば、無機微粒子が挙げられる。無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、タルク、アルミナ、珪酸ソーダ、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、ベーマイト、ベントナイト、ハイドロタルサイト等が挙げられる。このうち、加工性および安全性の観点から、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウムが好ましく、経済性の点から、炭酸カルシウムが特に好ましい。これら無機微粒子は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤が無機微粒子を含む場合、その含有量は、粘着剤の総質量に対して、30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
粘着剤は、必要に応じて粘着付与剤を含むことができる。粘着付与剤を含む場合、粘着剤層のべたつきを防ぐ観点から、粘着剤の総質量に対して、20質量%未満であることが好ましい。前記粘着付与剤としては、例えば、ロジン樹脂、水添ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、クマロン樹脂、インデン樹脂、クマロン−インデン樹脂、クマロン−インデン−スチレン樹脂、スチレン樹脂、キシレン樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族炭化水素−芳香族系炭化水素共重合石油樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤には、粘着性能を阻害しない範囲で、酸化防止剤、界面活性剤、粘度調整剤、老化防止剤、その他添加剤等を含有してもよい。粘着剤中のこれら添加剤の含有量は、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、粘着剤の総質量に対し、5質量%以下であることが好ましい。
第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層12の厚みは、10〜40μmが好ましく、20〜40μmがより好ましい。粘着剤層の厚みを10μm以上とすることで、長尺物品を束ねるのに十分な粘着力を発現しやすくなる。また、粘着剤層の厚みを40μm以下にすることで、粘着剤層の構造を維持しやすくなり、粘着剤の凝集破壊が起こりにくくなる。
本発明の1つの態様において、シート状基材13の長さ(A)を100mmとした場合の、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とを貼り合わせた際の粘着力は、6N以上であることが好ましく、8N以上であることがより好ましい。第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とを貼り合わせた際の粘着力が6N以上であれば、電線結束時に十分な粘着力が得られやすい。
<粘着剤層非形成部>
図1に示すように、粘着シート10には粘着剤層非形成部14が設けられている。粘着剤層非形成部14は、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12との間に設けられている。粘着シート10は、粘着剤層非形成部14を有することにより、例えば、図2のように粘着シート10と粘着シート20とを重ね合わせた際に、粘着シート同士を容易に剥がすことができる。
粘着剤層非形成部14は、シート状基材13の一方の面における粘着剤層が形成されていない部分のことを指す。すなわち、粘着剤層非形成部14は、シート状基材13を構成する塩化ビニル系樹脂で構成されている。
粘着剤層非形成部14の幅は、シート状基材の長さ(A)から、前述のw1及びw2を含む粘着剤層の幅を除いた長さとなる。すなわち、本発明の1つの態様において、シート状基材13の長さ(A)に対する、粘着剤層非形成部14の幅は、0.4〜0.8であることが好ましい。
<中間層>
本発明の1つの態様においては、シート状基材と粘着剤層との密着性をより向上させる目的で、シート状基材と粘着剤層との間に中間層を設けてもよい。すなわち、シート状基材の少なくとも一方の表面に中間層を積層し、中間層の上に粘着剤層を積層させた構成としてもよい。中間層は、第1の粘着剤層とシート状基材との間、及び第2の粘着剤層とシート状基材との間のいずれか、もしくは両方に設けることができる。
前記中間層を構成する材料としては、例えば、メタクリル酸メチルグラフト天然ゴム等が挙げられる。
メタクリル酸メチルグラフト天然ゴムは、天然ゴムとメタクリル酸とがグラフト共重合した重合体である。このような重合体は、シート状基材を構成する塩化ビニル系樹脂、粘着剤層を構成する前記粘着剤の両方と親和性を有するため、これを用いて中間層を形成することにより、塩化ビニル系樹脂を含むシート状基材と、粘着剤層との接着性がより向上しやすくなる。また、中間層を構成する材料には、前記メタクリル酸メチルグラフト天然ゴムに、その他のモノマーを共重合させたものを用いてもよい。その他のモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸iーブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリル酸等が挙げられる。これらその他のモノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中間層を構成する材料には、必要に応じて他の合成ゴムを添加してもよい。合成ゴムとしては、例えば、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、メタクリル酸メチル−ブタジエンゴム、イソブチレンゴム(ブチルゴム)、クロロプレンゴム、アクリルゴム、熱可塑性エラストマー(例えば、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−イソプレン−スチレンブロックコポリマー、スチレン−エチレン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンコポリマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンコポリマー等)、アクリルゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中間層の厚みは、シート状基材と粘着剤層との密着力、中間層の構造維持の観点から、0.1〜3μmが好ましく、0.2〜2μmがより好ましく、0.3〜1μmが特に好ましい。
中間層を設ける場合、中間層の幅は、前述の式(1)〜(2)を満たすように調整されることが好ましい。すなわち、第1の粘着剤層の幅(w1)と、第2の粘着剤層の幅(w2)と同じ幅となるように、中間層を設けることが好ましい。
<粘着シートの製造方法>
本発明の1つの態様である粘着シート10は、例えば、エラストマー成分と、必要に応じて、粘着付与剤、無機微粒子等の充填材、可塑剤、界面活性剤、粘度調整剤、老化防止剤、その他添加剤等とを混合した粘着剤の溶液、エマルジョン、又はディスパージョンを、シート状基材13の一方の面の幅方向の両端部に塗工し、乾燥炉により乾燥して、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12と、粘着剤層非形成部14とを形成した後、ロール状に巻き取る方法によって製造することができる。また、塗工時に、w1とw2とが、上記式(1)〜(2)を満たすように粘着剤を塗工する。
また、中間層を設ける場合は、中間層を構成する材料の溶液、エマルジョン、又はディスパージョンを、シート状基材13の一方の面の幅方向の両端部に塗工して中間層を形成した後、前述の方法で粘着剤を前記中間層の上に塗工して、粘着シートを得ることができる。
巻き取り時の応力緩和、中間層及び粘着剤層の密着性の向上、粘着剤層成分同士の親和性を向上させる目的で、さらに、ロール状に巻き取った粘着シートを所定時間エージングする工程、所定温度で熱処理を施す工程を備えていてもよい。なお、粘着剤、及び中間層を構成する材料の塗工方法としては、例えば、正回転ロール方式、リバースロール方式、グラビアロール方式、スプレー方式、キスロール方式、バー方式、ナイフ方式、コンマ方式、リップダイ方式等が挙げられる。
また、上記粘着剤の塗工時の形態としては、安全性及び環境負荷の観点から、水とのエマルジョン、又はディスパージョンを用いることが好ましい。また、エージングや熱処理は粘着シートの性能が十分に安定する時間、温度にて行うことが好ましく、特に本発明の粘着シートの場合は、粘着剤層の軟化点またはガラス転移点以上の温度で行うことが好ましい。
具体的には、粘着シートの熱処理温度としては、例えば、100℃以上130℃以下が好ましい。また、エージングの時間は、1時間以上6時間以下であることが好ましい。
<保管方法>
本発明の粘着シートの保管例について、図2を用いて説明する。
図2は、本発明の1つの態様の粘着シート同士を重ね合わせた状態を表す断面図である。図2では、粘着シート20のシート状基材23の背面(第1の粘着剤層21と第2の粘着剤層22とが設けられていない側の表面)に、粘着シート10の第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とが接するように、粘着シート10と粘着シート20とを重ね合わせた場合の例を示している。本発明の粘着シートは、粘着剤層の幅を特定の範囲として、粘着剤層自身の面積が小さくなるように設計し、かつ粘着剤層非形成部を設けているため、粘着シート20のシート状基材23と、粘着シート10の第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12との間で、摩擦やブロッキングが発生しにくい。そのため、図2のように粘着シート同士を重ねて保管した場合でも、粘着シート10と粘着シート20とを容易に手で剥がすことができる。従って、このように複数の粘着シート同士を重ねた状態で保管することができる。
<用途>
本発明の粘着シートは、被保護物の表面や内部を機械的破損や磨耗から保護することができるほか、電気から絶縁したり、日光等による紫外線照射を遮断するためのシートとして用いることができる。特に、電線や配線をはじめとする長尺物品を被覆した後、粘着剤層同士を貼り合わせることで結束かつ保護するためのシートとして好適に用いることができる。
すなわち、本発明の粘着シートのその他の態様は、保護シートとしての使用である。
また、本発明の粘着シートの別の態様は、結束用シートとしての使用である。
また、本発明の粘着シートの別の態様は、紫外線遮断用シートとしての使用である。
また、本発明の粘着シートの別の態様は、電気絶縁性シートとしての使用である。
本発明の粘着シートを、上記用途で使用する場合について、図3〜4を用いて説明する。
図3は、本発明の1つの態様の粘着シートを用いて配線を束ねた状態の例を表す断面図である。図3は、粘着シート10の粘着剤層非形成部14(図示せず)のみに配線30を配置して結束する場合の使用方法の例を示す断面図である。図3の方法では、配線30を、粘着剤層非形成部14の上に、第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層12と並行に配置し、その後、配線30と、第1の粘着剤層11及び第2の粘着剤層12とが接触しないように粘着シート10を持ち上げて配線30を束ねる。さらに、配線30に粘着シート10を巻き付けたのち、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とを貼り合わせて配線30を結束する使用方法の例である。
また、図4は、粘着シート10全体に配線30を配置して結束する場合の使用方法の例を示す断面図である。図4では、配線30が、第1の粘着剤層11、第2の粘着剤層12(図示せず)、及び粘着剤層非形成部14(図示せず)を横断するように配置し、その後、第1の粘着剤層11、第2の粘着剤層12が配線30と接触するように粘着シート10を配線30に巻き付けたのち、粘着シート10の、第1の粘着剤層11同士、及び第2の粘着剤層12同士を貼り合わせて配線30を結束する使用方法の例である。
なお、図3,4は、本発明の粘着シートを用いて配線を束ねる際の使用例の一例であり、当然、この使用例に限定されるわけではない。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<シート状基材の作製>
塩化ビニル系樹脂としてポリ塩化ビニル(大洋塩ビ(株)製、商品名「TH-1000」)100質量部に対し、フタル酸イソノニル((株)ジェイプラス製、商品名「DINP」)を40質量部、無機充填剤として重質炭酸カルシウム(備北粉化工業(株)製、商品名「ライトンBS−50」)を20質量部、さらに安定剤、滑剤をそれぞれ配合し、ロール温度165℃の二本ロールにて10分間混練後、厚さ400μm、一つの辺(I)と反対側の辺(I’)までの長さ(A)が100mmとなるように成形してシート状基材を得た。
<粘着シートの作製>
エラストマー成分として、天然ゴムエマルジョン((株)レヂテックス製、商品名「HA LATEX」)を、固形分が100質量部となるように配合し、更に、架橋剤として有機過酸化物系架橋剤(ムサシノケミカル(株)製、商品名「S55」)を3質量部添加し、粘着剤のエマルジョンを得た。前記シート状基材の一つの辺に沿って前記エマルジョンを帯状に塗布し、その後、反対側の辺にも前記エマルジョンを帯状に塗布した。その後、オーブンを用いて110℃で1分間加熱乾燥することにより、第1の粘着剤層と第2の粘着剤層とを形成した。(w1/A)は0.1であり、(w2/A)は0.1であり、(w1+w2)/Aは0.2であった。また、第1の粘着剤層の厚みと第2の粘着剤層の厚みは、それぞれ50μmであった。実施例1で用いた粘着剤の組成、及び粘着剤層の厚みと幅の長さを表1に示した。
[実施例2〜18、比較例1〜4]
粘着剤の組成、粘着剤層の厚み、粘着剤層の幅を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて粘着シートを作成した。得られた粘着シートの粘着剤層の厚みと幅の長さを表1〜2に示した。
なお、表1〜2に示す使用原料の詳細は以下のとおりである。
天然ゴム:天然ゴムエマルジョン((株)レヂテックス製、商品名「HA LATEX」)。
合成ゴム1:アクリロニトリル−ブタジエンゴムエマルジョン(日本ゼオン(株)製、商品名「Nipol(登録商標) LX511A」)。
合成ゴム2:クロロプレンゴムエマルジョン(デンカ(株)製)。
充填材:重質炭酸カルシウムスラリー((株)ファイマテック製、商品名「FMT65」)。
架橋剤:有機過酸化物系架橋剤(ムサシノケミカル(株)製、商品名「S55」)。
<粘着シートの評価>
各実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、粘着剤層の溶剤不溶分率、粘着力評価、及び粘着シート同士を重ね合わせた際の剥がれやすさを、以下の方法に沿って評価した。結果を表1に示す。
(溶剤不溶分率)
各実施例及び比較例で得られた粘着シートから第1の粘着剤層x1[g]を分取し、トルエン100mlをホールピペットで加え、回転子を入れた後、密栓した。その後、恒温水槽(50℃±2℃)に共栓付三角フラスコをセットし、スターラーで回転数600/minで2時間撹拌した。撹拌後、共栓付三角フラスコを氷水で23℃以下まで冷却した。得られた試料を、予め重量を計量しておいた270メッシュの金網にて全量濾過した(濾過前の金網重量をx2[g]とした)。濾過後の金網を防爆オーブン内で150℃、1時間加熱したのち、金網重量を計量した(濾過後の金網重量をx3[g]とする)。以下の式(3)より、第1の粘着剤層中の溶剤不溶分率を測定した。また、第2の粘着剤層についても、同様の方法で溶剤不溶分率を測定した。
溶剤不溶分率(%)=(x3−x2)/x1× 100% ・・・(3)
<粘着力評価>
各実施例及び比較例で得られた粘着シートの第1の粘着剤層と第2の粘着剤層の粘着力を、以下の条件に沿って評価した。
(シート状基材の長さ(A)100mmあたりの粘着力)
シート状基材13の長さ(A)を100mmとして、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とを、シート状基材13の辺(I)と反対側の辺(I)に帯状に設けて作成した粘着シート10を、長さ(A)の中央部で切断して2枚の試験片を作成した。次に、第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とが接触するように2つの試験片を貼り合わせ、荷重2kgの圧着ローラーで毎秒50mm、5往復圧着した。30分間放置した後に、23℃の環境下で2枚の試験片をロードセル速度300mm/分で引き剥がしたときの荷重を測定した。試験片の引き剥がし方向は、引き剥がした後の2枚の試験片のなす角度が180°になるようにした。
<粘着シート同士を重ね合わせた際の剥がれやすさの評価>
各実施例及び比較例で得られた粘着シートを重ね合わせた際の剥がれやすさを、以下の条件に沿って評価した。
(重ね合わせた直後)
各例の粘着シート30枚を、図2に示す通りに重ね合わせた後、9.8N/100cmの荷重をかけて23℃で1時間保管したものについて、最上部の1枚の角をもって剥がした際に何枚のシートが同時にめくれるかを評価した。同時にめくれるシートの枚数が、3枚以下をA、4枚以上8枚以下をB、9枚以上15枚以下をC、16枚以上をFとし、A、B、Cを合格(重ね合わせた直後の剥がれやすさが良好である)とした。
(保管後の評価)
各例の粘着シート30枚を、図2に示す通りに重ね合わせた後、9.8N/100cmの荷重をかけて23℃で24時間保管したもの、23℃で120時間保管したものについて、上部の1枚の角をもって剥がした際に何枚のシートが同時にめくれるかを評価した。同時にめくれるシートの枚数が、3枚以下をA、4枚以上8枚以下をB、9枚以上15枚以下をC、16枚以上をFとし、A、B、Cを合格(粘着シートを保管した後の剥がれやすさが良好である)とした。
<結束シートとして用いた場合の評価>
シート状基材13の長さ(A)を50mmとして第1の粘着剤層11と第2の粘着剤層12とをシート状基材13の辺(I)と反対側の辺(I)に帯状に設けて作成した粘着シート10を用いて、長さ30cmの電線束を図3に示すように結束した。電線束は、直径が15mmとなるよう適切な径、本数の電線を用いて作成した。結束後、23℃で20分間放置したのち、直径40mmのマンドレルに結束試料を当てて折り曲げ、粘着シートの貼り合わせ部分を目視で観察し、結束シートとして使用した際のはずれにくさを評価した。貼り合せた部分が貼り付いたままの状態であるものをA、貼り合せた部分の一部のみが剥がれているものをB、貼り合せた部分が剥がれ、電線束がほどけてしまうものをFとし、A、Bを合格(結束シートとして好適に使用できる)とした。
Figure 2021105084
Figure 2021105084
表1〜2に示すように、本発明の構成を満たす実施例1〜18の粘着シートは、粘着シート同士を重ね合わせて保管しても、シート同士を容易に剥がすことができることが確認された。また、結束テープとしても好適に使用できることが確認された。一方、本発明の構成を満たさない比較例1〜4の粘着シートは、粘着シート同士を容易に剥がすことができない、あるいは結束テープとしての性能が十分ではなかった。
本発明の粘着シートは、被保護物の表面や内部を機械的破損や磨耗から保護することができるほか、電気から絶縁したり、日光等による紫外線照射を遮断するためのシートとして用いることができる。特に、電線や配線をはじめとする長尺物品を被覆した後、粘着剤層同士を貼り合わせることで結束かつ保護するためのシートとして好適に用いることができる。
10,20 粘着シート
11,21 第1の粘着剤層
12,22 第2の粘着剤層
13,23 シート状基材
14,24 粘着剤層非形成部
30 配線
40 辺(I)
41 辺(I’)

Claims (6)

  1. 塩化ビニル系樹脂を含むシート状基材と、前記シート状基材の一方の面に設けられた、第1の粘着剤層と、第2の粘着剤層と、粘着剤層非形成部とを有する、粘着シートであって、
    前記粘着剤層非形成部が、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層との間に設けられており、
    前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層はエラストマー成分を含み、
    前記第1の粘着剤層は、前記シート状基材の少なくとも一つの辺(I)に沿って幅(w1)で設けられており、
    前記第2の粘着剤層は、少なくとも前記辺(I)の反対側の辺(I’)に沿って幅(w2)で設けられており、
    前記幅(w1)と、前記幅(w2)とが、前記シート状基材の前記辺(I)から前記辺(I’)までの長さ(A)に対して、下記式(1)〜(2)を満たす、粘着シート。
    0.1≦(w1/A)≦(w2/A)≦0.4 ・・・(1)
    0.2≦[(w1+w2)/A]≦0.6 ・・・(2)
  2. 前記シート状基材の長さ(A)が100mmである場合の、前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層とを貼り合わせた際の粘着力が、6N以上である、請求項1に記載の粘着シート。
  3. 前記エラストマー成分が天然ゴムを含む、請求項1又は2に記載の粘着シート。
  4. 前記第1の粘着剤層と前記第2の粘着剤層の厚みが、10〜40μmである、請求項1から3のいずれか一項に記載の粘着シート。
  5. 前記第1の粘着剤層の溶剤不溶分率が、前記第1の粘着剤層の総質量に対して、65質量%以上であり、
    前記第2の粘着剤層の溶剤不溶分率が、前記第2の粘着剤層の総質量に対して、65質量%以上である、請求項1から4のいずれか一項に記載の粘着シート。
  6. 前記第1の粘着剤層及び前記第2の粘着剤層が、炭酸カルシウムを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の粘着シート。

JP2019235948A 2019-12-26 2019-12-26 粘着シート Pending JP2021105084A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019235948A JP2021105084A (ja) 2019-12-26 2019-12-26 粘着シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019235948A JP2021105084A (ja) 2019-12-26 2019-12-26 粘着シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021105084A true JP2021105084A (ja) 2021-07-26

Family

ID=76918594

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019235948A Pending JP2021105084A (ja) 2019-12-26 2019-12-26 粘着シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021105084A (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6221046U (ja) * 1985-07-19 1987-02-07
JP2001335756A (ja) * 2000-05-29 2001-12-04 Nitto Denko Corp 粘着テープ及び粘着テープの巻回体
JP2010130761A (ja) * 2008-11-26 2010-06-10 Sumitomo Wiring Syst Ltd ワイヤハーネス結束用の粘着テープ
WO2018168990A1 (ja) * 2017-03-15 2018-09-20 デンカ株式会社 粘着性シート、保護材及びワイヤーハーネス
JP2018177884A (ja) * 2017-04-06 2018-11-15 矢崎総業株式会社 ワイヤーハーネス用外装部材
WO2019069577A1 (ja) * 2017-10-05 2019-04-11 デンカ株式会社 粘着性シート、保護材及びワイヤーハーネス

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6221046U (ja) * 1985-07-19 1987-02-07
JP2001335756A (ja) * 2000-05-29 2001-12-04 Nitto Denko Corp 粘着テープ及び粘着テープの巻回体
JP2010130761A (ja) * 2008-11-26 2010-06-10 Sumitomo Wiring Syst Ltd ワイヤハーネス結束用の粘着テープ
WO2018168990A1 (ja) * 2017-03-15 2018-09-20 デンカ株式会社 粘着性シート、保護材及びワイヤーハーネス
JP2018177884A (ja) * 2017-04-06 2018-11-15 矢崎総業株式会社 ワイヤーハーネス用外装部材
WO2019069577A1 (ja) * 2017-10-05 2019-04-11 デンカ株式会社 粘着性シート、保護材及びワイヤーハーネス

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5572546B2 (ja) 粘着フィルム
JP7175906B2 (ja) 粘着性シート、保護材及びワイヤーハーネス
JP5443917B2 (ja) 絶縁テープ
CN103013366A (zh) 电池用压敏粘合带
JPWO2018168990A1 (ja) 粘着性シート、保護材及びワイヤーハーネス
WO2018225541A1 (ja) 粘着テープ
WO2020195864A1 (ja) 粘着シート
KR102660030B1 (ko) 점착성 시트
US20180127619A1 (en) Adhesive tape and wire harness having adhesive tape
JP7315495B2 (ja) 水系のエマルジョン型粘着剤組成物及び粘着テープ
JP5629424B2 (ja) フィルム基材及び粘着テープ
JP2010065195A (ja) 熱可塑性エラストマー組成物および粘着剤
JP5520785B2 (ja) 絶縁テープ
JP2021105084A (ja) 粘着シート
WO2022107883A1 (ja) 粘着テープおよびその利用
WO2021029225A1 (ja) 粘着性シート
WO2020050184A1 (ja) 積層体の製造方法
WO2023090384A1 (ja) 粘着テープおよびその利用
JP7464203B2 (ja) 粘着テープ、粘着テープを用いて得られる物品及び物品の解体方法
JP2023137842A (ja) 粘着テープ及びその製造方法
JPH07169352A (ja) 絶縁テープ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220812

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230728

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230905

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230925

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231219

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240116

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20240123

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20240315