JP2021098765A - タイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】湿潤路面でのグリップ性に優れ、かつ、転がり抵抗が低いタイヤ、及び該タイヤを製造可能なゴム組成物を提供する。【解決手段】イソプレン骨格を有するゴム及び結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカ及びカーボンブラックを含有し、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して40〜125質量部である充填剤と、軟化点が110℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜1200であり、前記ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部の水添樹脂と、を含むゴム組成物を用いたタイヤ。【選択図】なし

Description

本発明は、タイヤに関する。
車両の安全性を向上させる観点から、乾燥路面のみならず、湿潤路面等の様々な路面上でのタイヤの制動性や駆動性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、乾燥路面での制動性能が高く、かつ、マンホール等の、アスファルトと比して滑りやすい湿潤路面においても高い制動性能を有するトレッドゴムを製造可能なゴム組成物として、天然ゴムを70質量%以上含むゴム成分(A)を配合してなり、ゴム成分100質量部に対して、C系樹脂、C〜C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、及びアルキルフェノール系樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の熱可塑性樹脂(B)を5〜50質量部、並びにシリカを含む充填剤(C)を20〜120質量部配合してなり、前記充填剤(C)中のシリカ含有量が50〜100質量%であるゴム組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、湿潤路面でのグリップ性能を損なうことなく、乾いた路面でのグリップ性能を向上させることができるタイヤ用ゴム組成物として、スチレン含有率が20〜60質量%であるスチレン−ブタジエンゴムを、ゴム成分中に70質量部以上含むジエン系ゴム成分100質量部に対して、シリカ50〜300質量部と、一般式mM1・xSiOy・zHOで表される無機剤0〜150質量部と、カーボンブラック0〜150質量部とからなる充填剤群から、シリカと無機剤の合計量が200〜350質量部で、かつ、シリカと無機剤とカーボンブラックの合計量が200〜350質量部となるように前記各充填剤を含有し、総充填剤量に対して70質量%以上の量となる軟化剤を含有すると共に、軟化点が145℃以下となる樹脂の少なくとも1種以上を5〜60質量部含有してなるタイヤ用ゴム組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
国際公開第2015/079703号 特開2008−184505号公報
しかしながら、湿潤路面でのグリップ性能(ウェットグリップ性)の向上と、転がり抵抗の低下とのバランスについて、特許文献1及び2で開示されたゴム組成物を用いたタイヤよりも更に向上させることが求められていた。
本発明は、湿潤路面でのグリップ性に優れ、かつ、転がり抵抗が低いタイヤ、及び該タイヤを製造可能なゴム組成物を提供することを目的とし、該目的を解決することを課題とする。
<1>イソプレン骨格を有するゴム及び結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカ及びカーボンブラックを含有し、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して40〜125質量部である充填剤と、軟化点が110℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜1200であり、前記ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部の水添樹脂と、を含むゴム組成物を用いたタイヤ。
<2>前記ゴム成分中の前記アミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムの含有量が、10〜90質量%である<1>に記載のタイヤ。
<3>前記ゴム成分中の前記イソプレン骨格を有するゴムの含有量が、10〜90質量%である<1>又は<2>に記載のタイヤ。
<4>前記充填剤中の前記シリカの含有量が70質量%以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載のタイヤ。
<5>前記水添樹脂が、水添C系樹脂、水添C−C系樹脂、及び水添ジシクロペンタジエン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つである<1>〜<4>のいずれか1つに記載のタイヤ。
本発明によれば、湿潤路面でのグリップ性に優れ、かつ、転がり抵抗が低いタイヤ、及び該タイヤを製造可能なゴム組成物を提供することができる。
[タイヤ]
本発明のタイヤ(空気入りタイヤ)は、イソプレン骨格を有するゴム及び結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカ及びカーボンブラックを含有し、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して40〜125質量部である充填剤と、軟化点が110℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜1200であり、前記ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部の水添樹脂と、を含むゴム組成物を用いてなる。
既述のように、本発明のゴム組成物から得られるタイヤは、湿潤路面でのグリップ性に優れ、かつ、転がり抵抗が低いため、トレッド部に好適である。
タイヤは、適用するタイヤの種類や部材に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫して得てもよく、または予備加硫工程等を経て、一旦未加硫のゴム組成物から半加硫ゴムを得た後、これを用いて成形後、さらに本加硫して得てもよい。なお、タイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、イソプレン骨格を有するゴム及び結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、シリカ及びカーボンブラックを含有し、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して40〜125質量部である充填剤と、軟化点が110℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜1200であり、前記ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部の水添樹脂と、を含む。
「結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴム」を、単に「高St変性SBR」と称することがある。また、「軟化点が125℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜1200である水添樹脂」を、「本発明の水添樹脂」と称することがある。
従来の技術ではシリカのような無機充填剤によって湿潤路面でのグリップ性能を向上させていた。しかし、そのような充填剤ではエネルギーロスも上昇してしまうという課題があった。また、ガラス転移温度(Tg)が異なるゴムをブレンドして、タイヤの耐摩耗性を損なうことなくウェットグリップ性能と低転がり抵抗性能とのバランスに優れたタイヤトレッド用ゴム組成物を提供する検討がされてきたが、低ロス性能、耐摩耗性能等において不十分な点もあった。
また近年では、ゴム組成物中の熱可塑性樹脂の量を多くした配合、充填剤におけるシリカ比率が高い配合、シリカを高分散させる変性ポリマーを使用する配合等、種々の検討がなされてきたが、二律背反解消にも限界があった。特に熱可塑性樹脂を始めとした軟化剤を多く配合する技術では、ゴムの弾性率が低下する問題もあった。
これに対し、本発明におけるゴム組成物は上記構成であることで、該ゴム組成物から得られたタイヤは、湿潤路面でのグリップ性能に優れ、かつ、転がり抵抗が低い。
かかる理由は定かではないが、次の理由によるものと推察される。
本発明の水添樹脂は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1200以下であり、低分子量あるためゴム成分と相溶し易く、また、本発明の水添樹脂は軟化点が高いので、ゴム成分を補強し、加硫ゴムの弾性率を上げると考えられ、タイヤの転がり抵抗が下がると考えられる。それと共に、本発明の水添樹脂は、その相溶し易さから、路面グリップ性に必要な柔軟性をタイヤに与えることができ、滑り易い湿潤路面でのグリップ性、すなわち、ウェットグリップ性を向上することができると考えられる。
本発明におけるゴム組成物が含むスチレンブタジエンゴムは変性されていることから、補強性充填剤であるシリカとの相互作用が高い。また、結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムを用いるため、硬くなる。このため、アミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムとシリカとの作用により、タイヤの強度を高め、より転がり抵抗を下げると考えられる。また、本発明におけるゴム組成物はイソプレン骨格を有するゴムを含むことから、タイヤの機械的強度を向上し、耐摩耗性にも優れると考えられる。
以上より、本発明におけるゴム組成物から得られるタイヤは、湿潤路面でのグリップ性能に優れ、かつ、転がり抵抗が低いと考えられる。
以下、本発明におけるゴム組成物について詳細に説明する。
〔ゴム成分〕
ゴム成分は、イソプレン骨格を有するゴム及び結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴム(変性SBR)を含有する。
<イソプレン骨格を有するゴム>
ゴム成分がイソプレン骨格を有するゴムを含有することで加硫ゴムの破壊強度を高めることができる。その結果、加硫ゴムの耐摩耗性に優れる。
イソプレン骨格を有するゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)等が挙げられる。
ゴム成分中のイソプレン骨格を有するゴムの含有量は、タイヤの転がり抵抗と湿潤路面でのグリップ性能を両立する観点から、10〜90質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましく、10〜50質量%であることが更に好ましい。
<変性スチレンブタジエンゴム>
ゴム成分は、結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムを含有する。
スチレンブタジエンゴムの結合スチレン量とは、スチレンブタジエンゴムに含まれるスチレン単位の割合を意味する。
ゴム成分が、結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性SBRを含有することで、タイヤが硬くなり強度が向上して、転がり抵抗が低下する。また、Tgが高いことから、0℃付近でのロスが小さくなり、湿潤路面でのグリップ性能を向上させることができる。
高St変性SBRの結合スチレン量は、60%以下であることが好ましく、55%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、47%以下であることがより好ましく、43%以下であることが更好ましい。また、35%以上がより好ましく、38%以上がより好ましく、39%以上がより好ましく、40%以上が更に好ましい。
ゴム成分中の高St変性SBRの含有量は、湿潤路面でのグリップ性を向上させ、転がり抵抗をより低くする観点から、10〜90質量%であることが好ましく、30〜90質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが更に好ましい。また、高St変性SBRのみでは、ゴム組成物の粘度が高く、作業に支障が出る恐れがあることから、ゴム成分中の高St変性SBRの含有量は上記範囲であることが好ましい。
ゴム成分は、イソプレン骨格を有するゴム及び上記高St変性SBR以外に、他のゴム成分を含んでいてもよいが、イソプレン骨格を有するゴム及び上記高St変性SBRからなることが好ましい。
なお、他のゴム成分としては、結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性以外の変性スチレンブタジエンゴム、結合スチレン量が30%未満の変性スチレンブタジエンゴム、未変性スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPR,EPDM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。第3成分として含まれる他のゴム成分は、Tgが−55℃以下のジエン系ゴムであることが特に好ましい。
ゴム成分は、天然ゴム及び上記高St変性SBRのみからなることが特に好ましい。この場合、湿潤路面でのグリップ性を向上させ、転がり抵抗をより低くする観点から、天然ゴム/高St変性SBRの比率は、質量基準で、50〜90/10〜50であることが好ましく、55〜85/15〜45であることがより好ましく、60〜80/20〜40であることが更に好ましい。
他のゴム成分を含む場合、湿潤路面でのグリップ性及び転がり抵抗を考慮し、天然ゴム/高St変性SBR/他のゴム成分の比率は、質量基準で、10〜40/10〜60/10〜50であることが好ましく、10〜30/20〜50/30〜50であることが好ましく、10〜30/30〜50/30〜50であることが更に好ましい。
変性SBRの結合スチレン量は、変性SBRの重合に用いる単量体の量、重合度等により調整することができる。また、変性SBRの結合スチレン量は、紫外法、赤外法(モレロ法)などで求めることができる。
なお、変性SBR等の重合体の結合スチレン量およびビニル結合量を、重合体のミクロ構造と称することがある。
アミノアルコキシシラン変性とは、少なくとも1つの窒素原子を含む官能基と、少なくとも1つのアルコキシシラン基とを有する変性基の総称である。以下、少なくとも1つの窒素原子を含む官能基を窒素原子含有基と称することがある。
少なくとも1つの窒素原子を含む官能基(窒素原子含有基)は下記から選択されることが好ましい。
すなわち、窒素原子含有基は、第一アミノ基、加水分解可能な保護基で保護された第一アミノ基、第一アミンのオニウム塩残基、イソシアネート基、チオイソシアネート基、イミン基、イミン残基、アミド基、加水分解可能な保護基で保護された第二アミノ基、環状第二アミノ基、環状第二アミンのオニウム塩残基、非環状第二アミノ基、非環状第二アミンのオニウム塩残基、イソシアヌル酸トリエステル残基、環状第三アミノ基、非環状第三アミノ基、ニトリル基、ピリジン残基、環状第三アミンのオニウム塩残基及び非環状第三アミンのオニウム塩残基からなる群から選択される官能基を有する1価の基であることが好ましい。
窒素原子含有基は、更に、炭化水素基及びヘテロ原子からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。ここで、炭化水素基は、直鎖、分枝、脂環もしくは芳香族環を含む炭素数1〜30の1価の炭化水素基が挙げられる。また、ヘテロ原子は、酸素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種のヘテロ原子が挙げられる。
前記アミノアルコキシシラン変性SBRの変性箇所は、上述のように分子末端であってもよいが、主鎖であってもよい。
分子末端が変性されたSBRは、例えば、国際公開第2003/046020号、特開2007−217562号公報に記載の方法に従って、活性末端を有するSBRの末端に、種々の変性剤を反応させることで製造できる。
一好適態様においては、該分子末端が変性されたアミノアルコキシシラン変性SBRは、国際公開第2003/046020号、特開2007−217562号公報に記載の方法に従って、シス−1,4結合量が75%以上の活性末端を有するSBRの末端に、アミノアルコキシシラン化合物を反応させた後、多価アルコールのカルボン酸部分エステルと反応させて安定化を行うことで製造することができる。
前記多価アルコールのカルボン酸部分エステルとは、多価アルコールとカルボン酸とのエステルであり、かつ水酸基を一つ以上有する部分エステルを意味する。具体的には、炭素数4以上の糖類又は変性糖類と脂肪酸とのエステルが好ましく用いられる。このエステルは、さらに好ましくは、(1)多価アルコールの脂肪酸部分エステル、特に炭素数10〜20の飽和高級脂肪酸又は不飽和高級脂肪酸と多価アルコールとの部分エステル(モノエステル、ジエステル、トリエステルのいずれでもよい)、(2)多価カルボン酸と高級アルコールの部分エステルを、多価アルコールに1〜3個結合させたエステル化合物等が挙げられる。
部分エステルの原料に用いられる多価アルコールとしては、好ましくは少なくとも三つの水酸基を有する炭素数5又は6の糖類(水素添加されていても、水素添加されていなくてもよい)、グリコールやポリヒドロキシ化合物等が用いられる。また、原料脂肪酸としては、好ましくは炭素数10〜20の飽和又は不飽和脂肪酸であり、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸が用いられる。
多価アルコールの脂肪酸部分エステルの中では、ソルビタン脂肪酸エステルが好ましく、具体的には、ソルビタンモノラウリン酸エステル、ソルビタンモノパルミチン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、ソルビタントリステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタントリオレイン酸エステル等が挙げられる。
上記アミノアルコキシアルコキシシラン化合物は、特に限定されないが、下記一般式(i)で表されるアミノアルコキシアルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
11 −Si−(OR124−a ・・・ (i)
一般式(i)中、R11及びR12は、それぞれ独立に炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基を示し、R11及びR12の少なくとも1つはアミノ基で置換されており、aは0〜2の整数であり、OR12が複数ある場合、各OR12は互いに同一でも異なっていてもよく、また、分子中には活性プロトンは含まれない。
少なくとも1つの窒素原子を含む官能基と、少なくとも1つのアルコキシ基と、少なくとも1つのシラン原子とを有する変性基は、より具体的には、下記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物由来の変性基であることが好ましい。
Figure 2021098765
上記一般式(II)中、n1+n2+n3+n4=4(但し、n2は1〜4の整数であり、n1、n3及びn4は0〜3の整数である)であり、Aは、飽和環状3級アミン化合物残基、不飽和環状3級アミン化合物残基、ケチミン残基、ニトリル基、(チオ)イソシアナート基(イソシアナート基又はチオイソシアナート基を示す。以下、同様。)、(チオ)エポキシ基、イソシアヌル酸トリヒドロカルビルエステル基、炭酸ジヒドロカルビルエステル基、ニトリル基、ピリジン基、(チオ)ケトン基、(チオ)アルデヒド基、アミド基、(チオ)カルボン酸エステル基、(チオ)カルボン酸エステルの金属塩、カルボン酸無水物残基、カルボン酸ハロゲン化合物残基、並びに加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又はメルカプト基の中から選択される少なくとも1種の官能基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、Aは、Siと結合して環状構造を形成する二価の基であってもよく、R21は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、n1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R23は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)であり、n3が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R22は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、n2が2以上の場合には、互いに同一もしくは異なっていてもよく、或いは、一緒になって環を形成しており、R24は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、n4が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
上記加水分解性基を有する第一もしくは第二アミノ基又は上記加水分解性基を有するメルカプト基における加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
なお、本発明において、「炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基」とは、「炭素数1〜20の一価の脂肪族炭化水素基もしくは炭素数3〜20の一価の脂環式炭化水素基」をいう。二価の炭化水素基の場合も同様である。
上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物の具体例としては、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランが好適に挙げられる。
さらに、上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(III)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 2021098765
上記一般式(III)中、p1+p2+p3=2(但し、p2は1〜2の整数であり、p1及びp3は0〜1の整数である)であり、Aは、NRa(Raは、一価の炭化水素基、加水分解性基又は含窒素有機基である。加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。)、或いは、硫黄であり、R25は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R27は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又はハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)であり、R26は、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基又は含窒素有機基であり、いずれも窒素原子及び/又はケイ素原子を含有していてもよく、p2が2の場合には、互いに同一もしくは異なり、或いは、一緒になって環を形成しており、R28は、炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
さらに、上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、下記一般式(IV)又は(V)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 2021098765
上記一般式(IV)中、q1+q2=3(但し、q1は0〜2の整数であり、q2は1〜3の整数である)であり、R31は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R32及びR33はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R34は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q1が2の場合には同一でも異なっていてもよく、R35は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、q2が2以上の場合には同一でも異なっていてもよい。
Figure 2021098765
上記一般式(V)中、r1+r2=3(但し、r1は1〜3の整数であり、r2は0〜2の整数である)であり、R36は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R37はジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、メチルシリル(メチル)アミノメチル基、メチルシリル(メチル)アミノエチル基、メチルシリル(エチル)アミノメチル基、メチルシリル(エチル)アミノエチル基、ジメチルシリルアミノメチル基、ジメチルシリルアミノエチル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r1が2以上の場合には同一でも異なっていてもよく、R38は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、r2が2の場合には同一でも異なっていてもよい。
また、上記変性剤が、下記一般式(VI)又は(VII)で表される2つ以上の窒素原子を有するヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 2021098765
上記一般式(VI)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R40はトリメチルシリル基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R41は炭素数1〜20のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、R42は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基である。
Figure 2021098765
上記一般式(VII)中、TMSはトリメチルシリル基であり、R43及びR44はそれぞれ独立して炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R45は炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であり、複数のR45は、同一でも異なっていてもよい。
また、上記一般式(II)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物が、下記一般式(VIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることがより好ましい。
Figure 2021098765
上記一般式(VIII)中、r1+r2=3(但し、r1は0〜2の整数であり、r2は1〜3の整数である)であり、TMSはトリメチルシリル基であり、R46は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R47及びR48はそれぞれ独立して炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。複数のR47又はR48は、同一でも異なっていてもよい。
さらに、上記変性剤が、下記一般式(IX)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物であることが好ましい。
Figure 2021098765
上記一般式(IX)中、Xはハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)であり、R49は炭素数1〜20の二価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の二価の芳香族炭化水素基であり、R50及びR51はそれぞれ独立して加水分解性基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基、又は、炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基であるか、或いは、R50及びR51は結合して二価の有機基を形成しており、R52及びR53はそれぞれ独立してハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、又は、ヨウ素)、ヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜20の一価の脂肪族もしくは脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の一価の芳香族炭化水素基である。R50及びR51としては、加水分解性基であることが好ましく、加水分解性基として、トリメチルシリル基又はtert−ブチルジメチルシリル基が好ましく、トリメチルシリル基が特に好ましい。
また、上記変性剤が、下記一般式(X)〜(XIII)で表される構造を有する化合物であることが好ましい。
Figure 2021098765
Figure 2021098765
Figure 2021098765
Figure 2021098765
ここで、式(X)〜(XII)に含まれる記号U、Vはそれぞれ0〜2かつ、U+V=2を満たす整数である。また、式(X)〜(XIII)中のR54〜R92は同一でも異なっていても良く、炭素数1から20の1価又は2価の脂肪族若しくは、脂環式炭化水素または、炭素数6〜18の1価又は2価の芳香族炭化水素基である。また、式(XIII)中のα、βは0〜5の整数である。
また、式(X)〜(XII)を満たす化合物の中でも、特に、N1,N1,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)−1,7へプタン、2−((ヘキシル−ジメトキシシリル)メチル)−N1,N1,N3,N3−2−ペンタメチルプロパン−1,3−ジアミン、N1−(3−(ジメチルアミノ)プロピル−N3,N3−ジメチル−N1−(3−(トリメトキシシリル)プロピル)プロパン−1,3−ジアミン、4−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)−N1,N1,N7,N7−テトラメチル−4−((トリメトキシシリル)メチル)へプタン−1,7−ジアミン、が好ましく、
式(XIII)を満たす化合物の中でも、特に、N,N−ジメチル−2−(3−(ジメトキシメチルシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ビス(トリメチルシリル)−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−2−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)エタンアミン、N,N−ジメチル−3−(3−(トリメトキシシリル)プロポキシ)プロパン−1−アミンが好ましい。
以上の一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、上記tanδ温度分散曲線のピーク温度が最も低いポリマー相に含有され得る変性重合体がアニオン重合により製造される場合の変性剤として用いられることが好ましい。
また、一般式(II)〜(XIII)で表されるヒドロカルビルオキシシラン化合物は、アルコキシシラン化合物であることが好ましい。
本発明のゴム組成物において、変性共役ジエン系重合体(A1)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(1)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。この場合、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性を更に向上させることができる。
Figure 2021098765
式中、R、R及びRは、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R及びR11は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R10は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R〜R11、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。
一般に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にあり、前記収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。即ち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとして用いる。変性共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×10〜200×10のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とする。
ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体が直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング残基を介して間接的に、後述の5つの共役ジエン系重合体鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。なお、カップリング残基とは、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。また、共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A1)を使用することで、ゴム組成物の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。収縮因子(g’)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。なお、1のカップリング残基に対して結合している共役ジエン系重合体鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
更に、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、窒素原子と、ケイ素原子とを有することが好ましい。この場合、ゴム組成物の加工性が良好となり、また、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性を更に向上させることができる。なお、変性共役ジエン系重合体(A1)が窒素原子を有することは、後述する実施例記載の方法で、特定のカラムへの吸着の有無によって確認することができる。また、変性共役ジエン系重合体(A1)がケイ素原子を有することは、後述する実施例に記載の方法で金属分析によって確認することができる。
前記共役ジエン系重合体鎖は、少なくともその1つの末端が、それぞれカップリング残基が有するケイ素原子と結合していることが好ましい。この場合、複数の共役ジエン系重合体鎖の末端が、1のケイ素原子と結合していてもよい。また、共役ジエン系重合体鎖の末端と炭素数1〜20のアルコキシ基又は水酸基とが、一つのケイ素原子に結合し、その結果として、その1つのケイ素原子が炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成していてもよい。
前記変性共役ジエン系共重合体(A1)は、伸展油を加えた油展重合体とすることができる。該変性共役ジエン系共重合体(A1)は、非油展であっても、油展であってもよいが、耐摩耗性の観点から、100℃で測定されるムーニー粘度が、20以上100以下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。なお、ムーニー粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、20×10以上300×10以下であり、好ましくは50×10以上であり、より好ましくは64×10以上であり、さらに好ましくは80×10以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×10以下であり、更に好ましくは180×10以下であり、より好ましくは150×10以下である。重量平均分子量が20×10未満では、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性とを十分に向上させることができない。また、重量平均分子量が300×10を超えると、ゴム組成物の加工性が悪化する。変性共役ジエン系重合体(A1)及び後述する共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、該変性共役ジエン系重合体の総量(100質量%)に対して、分子量が200×10以上500×10以下である変性共役ジエン系重合体(以下、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、0.25質量%以上30質量%以下含む。該特定の高分子量成分の含有量が0.25質量%未満でも、30質量%を超えても、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性を十分に向上させることができない。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A1)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)においては、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.6以上3.0以下が好ましい。変性共役ジエン系重合体(A1)の分子量分布がこの範囲であれば、ゴム組成物の加工性が良好となる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A1)及び後述する共役ジエン系重合体に対する、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、特定の高分子量成分の含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)の製造方法は、特に限定されるものではないが、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる反応工程と、を有することが好ましい。カップリング剤としては、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させるのが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、共役ジエン系重合体を、上記一般式(1)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。該カップリング剤と反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A1)を使用することで、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性を更に向上させることができる。
なお、一般式(1)中、R、R及びRは、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R、R、R、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R及びR11は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R10は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R〜R11、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。
ここで、一般式(1)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
前記重合工程は、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合が好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができ、高変性率の変性ジエン系重合体(A1)を得ることができる。
前記共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。
前記共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量は、目標とする共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体の分子量によって決めることが好ましい。重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が重合度に関係し、すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する。従って、分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
前記有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。アルキルリチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合反応様式としては、例えば、回分式、連続式の重合反応様式が挙げられる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。本実施形態において、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
前記重合工程は、不活性溶媒中で重合することが好ましい。溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
前記重合工程においては、極性化合物を添加してもよい。極性化合物を添加することで、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、また、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。
前記極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合温度は、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、50℃以上100℃以下であることが特に好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対するカップリング剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。
前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A1)中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A1)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましい。
前記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性とを更に向上させることができる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A1)において、共役ジエン結合単位中のビニル結合量は、特に限定されないが、10モル%以上75モル%以下であることが好ましく、20モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。ビニル結合量が上記範囲であると、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性とを更に向上させることができる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A1)がブタジエンとスチレンとの共重合体である場合には、ハンプトンの方法[R.R.Hampton,Analytical Chemistry,21,923(1949)]により、ブタジエン結合単位中のビニル結合量(1,2−結合量)を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、ガラス転移温度(Tg)が−45℃以上−15℃以下であることが好ましい。変性共役ジエン系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)が−45℃以上−15℃以下の範囲にあると、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性とを更に向上させることができる。
なお、ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記反応性化合物(カップリング剤)は、好ましくは、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物であることが好ましく、少なくとも3個のケイ素含有官能基を有していることが好ましい。さらに好ましいカップリング剤は、少なくとも1のケイ素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成するものであり、より好ましくは上記一般式(1)で表される化合物である。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は、仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
前記反応工程における反応温度は、好ましくは共役ジエン系重合体の重合温度と同様の温度であり、より好ましくは0℃以上120℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上100℃以下である。また、重合工程後からカップリング剤が添加されるまでの温度変化は、好ましくは10℃以下であり、より好ましくは5℃以下である。
前記反応工程における反応時間は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは30秒以上である。重合工程の終了時から反応工程の開始時までの時間は、カップリング率の観点から、より短い方が好ましいが、より好ましくは5分以内である。
反応工程における混合は、機械的な攪拌、スタティックミキサーによる攪拌等のいずれでもよい。重合工程が連続式である場合は、反応工程も連続式であることが好ましい。反応工程における反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。カップリング剤は、不活性溶媒により希釈して反応器に連続的に供給してもよい。重合工程が回分式の場合は、重合反応器にカップリング剤を投入する方法でも、別の反応器に移送して反応工程を行ってもよい。
前記一般式(1)において、Aは、好ましくは下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表される。Aが一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるものであることにより、より優れた性能を有する変性共役ジエン系重合体(A1)を得ることができる。
Figure 2021098765
前記一般式(2)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のBは、各々独立している。
Figure 2021098765
前記一般式(3)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Bは、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB及びBは、各々独立している。
Figure 2021098765
前記一般式(4)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のBは、各々独立している。
Figure 2021098765
前記一般式(5)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のBは、各々独立している。
なお、前記一般式(2)〜(5)中のB、B、B、Bに関して、炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基等が挙げられる。
好ましくは、前記一般式(1)において、Aは、前記一般式(2)又は(3)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(1)において、Aは、前記一般式(2)又は(3)で表され、kは、0を示し、前記一般式(2)又は(3)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(1)において、Aは、前記一般式(2)で表され、kは、0を示し、前記一般式(2)において、aは、2〜10の整数を示す。
かかるカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
前記カップリング剤としての一般式(1)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。具体的な重合開始剤のモル数は、カップリング剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。この場合、一般式(1)において、カップリング剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
前記特定の高分子成分を有する変性共役ジエン系重合体(A1)を得るためには、共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.8以上2.2以下とするとよい。また、得られる変性共役ジエン系重合体(A1)は、GPCによる分子量曲線が一山のピークが検出されるものであることが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)のGPCによるピーク分子量をMp、共役ジエン系重合体のピーク分子量をMpとした場合、以下の式が成り立つことが好ましい。
(Mp/Mp)<1.8×10−12×(Mp−120×10+2
Mpは、20×10以上80×10以下、Mpは30×10以上150×10以下がより好ましい。Mp及びMpは、後述する実施例に記載の方法により求める。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)の変性率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。変性率が30質量%以上であることで、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性とを更に向上させることができる。なお、変性率は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記反応工程の後、共重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤を添加することが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
上記一般式(1)で表されるカップリング剤と、共役ジエン系重合体とを反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A1)は、例えば、下記一般式(6)で表される。
Figure 2021098765
一般式(6)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、該共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量は、10×10〜100×10であることが好ましい。該共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
12、R13及びR14は、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15及びR18は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R16、R19、及びR20は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R17及びR21は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R22は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD、R12〜R22、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。また、iは、0〜6の整数を示し、jは0〜6の整数を示し、kは0〜6の整数を示し、(i+j+k)は3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
上記一般式(6)において、Aは、上記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されることが好ましい。Aが一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるものであることにより、ゴム組成物の低ロス性と耐摩耗性とを更に向上させることができる。
前記変性スチレンブタジエンゴムから選択される少なくとも一種が、N,N−ビス(トリメチルシリル)−3−[ジエトキシ(メチル)シリル]プロピルアミン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−トリエトキシシリル−1−プロパンアミン、及び、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、からなる群より選択される少なくとも一種によって変性されている。
アミノアルコキシシラン変性SBRの変性場所は、分子末端であってもよいし、主鎖であってもよいが、スチレンブタジエンゴム(SBR)の末端が変性されていることが好ましい。
既述のように、ゴム成分は、アミノアルコキシシラン変性以外の変性スチレンブタジエンゴムを含有しても良い。
充填剤(例えばシリカ)に対して高い親和性を有する観点から、上記変性スチレンブタジエンゴムは、変性スチレンブタジエンゴムの末端がシラン化合物で変性されていることが好ましい。シラン化合物として、例えば、グリシドキシ基を有するシラン化合物、アルコキシシラン化合物、ヒドロカルビルオキシシラン化合物等が挙げられる。
スチレンブタジエンゴムの末端がシラン化合物で変性されている場合、変性スチレンブタジエンゴムは、シリカとの相互作用が大きくなる。
上記変性スチレンブタジエンゴムの変性場所は、分子末端であってもよいし、主鎖であってもよいが、スチレンブタジエンゴムの末端が変性されていることが好ましい。
〔充填剤〕
本発明におけるゴム組成物は、ゴム組成物を補強する充填剤を含有する。ゴム組成物が充填剤を含有することで、ゴム組成物が加硫した加硫ゴム部分の強度を上げることができる。本発明では、充填剤として、少なくともシリカ及びカーボンブラックを含有する。
ゴム組成物中のシリカ及びカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して40〜125質量部である。
ゴム組成物中のシリカ及びカーボンブラックの合計含有量が、ゴム成分100質量部に対し、40質量部未満であると、タイヤの補強が不十分であり、転がり抵抗を低くすることができず、また、125質量部を超えると、タイヤの弾性率が高まりすぎて、湿潤路面でのグリップ性に優れない。
転がり抵抗をより低くする観点から、ゴム組成物中のシリカ及びカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対し、48質量部以上であることが好ましく、53質量部以上であることがより好ましく、58質量部以上であることが更に好ましく、62質量部以上であることが特に好ましい。また、湿潤路面でのグリップ性を向上する観点から、ゴム組成物中のシリカ及びカーボンブラックの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対し、120質量部以下であることが好ましく、110質量部以下であることがより好ましく、100質量部以下であることが更に好ましく、90質量部以下であることが特に好ましい。
<シリカ>
シリカは、特に制限はなく、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ゴム組成物中のシリカの含有量は、タイヤの機械的強度を向上し、転がり抵抗をより低くする観点から、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以上であることが好ましく50質量部以上であることがより好ましく、55質量部以上であることが更に好ましい。また、ウェットグリップ性をより向上する観点から、ゴム組成物中のシリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることが更に好ましい。
充填剤中のシリカの含有量が70質量%以上である範囲であることが好ましい。充填剤中のシリカの含有量が70質量%以上であることで、タイヤの機械的強度を向上し、転がり抵抗をより低くすることができる。
転がり抵抗低減(タイヤの補強性)の観点から、シリカの窒素吸着比表面積(BET法)は80m/g以上であることが好ましく、90m/g以上であることがより好ましく、100m/g以上であることがより好ましく、105m/g以上であることが更に好ましい。なお、タイヤの弾性率を適度に制御し、湿潤路面でのグリップ性能を良好とするために、シリカの窒素吸着比表面積(BET法)は330m/g未満であることが好ましく、300m/g以下であることがより好ましく、275m/g以下であることが更に好ましい。中でも、105〜130m/g及び、190〜210m/gが特に好ましい。
窒素吸着比表面積(BET法)とは、ASTM D4567−03(2007)に規定されるBET法に準じて測定される窒素吸着法比表面積(NSA)であり、「BET比表面積」と称することがある。
<カーボンブラック>
カーボンブラックは、加硫ゴムを補強して、加硫ゴムの耐摩耗性を向上させる。
カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらカーボンブラックは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、加硫ゴムの耐摩耗性を向上する観点から、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることが更に好ましい。また、ゴム組成物のウェットグリップ性能を向上させるとの観点から、ゴム組成物中のカーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、25質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、15質量部以下であることが更に好ましい。
充填剤は、シリカ及びカーボンブラック以外に、例えば、クレー、タルク、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等の無機充填剤を含んでいてもよい。
〔水添樹脂〕
ゴム組成物は、軟化点が110℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜1200である水添樹脂を含有する。ゴム組成物中の水添樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部である。
水添樹脂の軟化点が110℃以下であるとタイヤを十分に補強することができず、転がり抵抗を低くすることができない。水添樹脂の軟化点は、転がり抵抗をより低くする観点から、115℃以上であることが好ましく、118℃以上であることがより好ましく、123℃以上であることがより好ましく、125℃以上であることが更に好ましい。また、水添樹脂の軟化点は、湿潤路面でのグリップ性能の観点から、145℃以下であることが好ましく、138℃以下であることがより好ましく、133℃以下であることが更に好ましい。
水添樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量が200未満であると、タイヤから水添樹脂が析出し、水添樹脂による効果を十分に発現することができず、また、1200を超えると水添樹脂がゴム成分と相溶することができない。
タイヤからの水添樹脂の析出を抑制し、タイヤ外観の低下を抑制する観点から、水添樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、500以上であることが好ましく、550以上であることがより好ましく、620以上であることがより好ましく、670以上であることがより好ましく、720以上であることがより好ましく、750以上であることがより好ましく、780以上であることが更に好ましい。また、ゴム成分への水添樹脂の相溶性を高め、水添樹脂による効果をより高める観点から、水添樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1100以下であることが好ましく、1050以下であることが好ましく、950以下であることが好ましく、900以下であることが好ましく、850以下であることが更に好ましい。
水添樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(MwHR)に対する水添樹脂の軟化点(TsHR)(単位は℃)は、0.15以上であることが好ましい〔0.15≦(TsHR/MwHR)〕。
(TsHR/MwHR)が小さいと、水添樹脂が析出し、タイヤの外観の劣る場合があり、また、ウェットグリップ性能が低下する場合がある。タイヤの外観およびウェットグリップ性能の観点から、(TsHR/MwHR)は、0.155以上であることがより好ましく、0.158以上であることがより好ましく、0.160以上であることがより好ましく、0.162以上であることが更に好ましい。また、(TsHR/MwHR)は、良好なウェットグリップ性能を得る観点から、0.2以下であることが好ましく、0.185以下であることがより好ましく、0.178以下であることがより好ましく、0.172以下であることがより好ましく、0.168以下であることがより好ましく、0.163以下であることが更に好ましい。
ゴム組成物中の水添樹脂の含有量が、ゴム成分100質量部に対し5質量部未満であると、水添樹脂による効果を発現することができず、50質量部を超えるとタイヤから水添樹脂が析出し、水添樹脂による効果を十分に発現することができない。
ゴム組成物中の水添樹脂の含有量は、水添樹脂による効果をより高める観点から、ゴム成分100質量部に対して、7質量部以上であることが好ましく、9質量部以上であることがより好ましく、11質量部以上であることが更に好ましく、13質量部以上であることが特に好ましい。また、タイヤからの水添樹脂の析出を抑制し、タイヤ外観の低下を抑制する観点から、ゴム組成物中の水添樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、40質量部以下であることが好ましく、35質量部以下であることがより好ましく、30質量部以下であることが更に好ましく、25質量部以下であることが更に好ましく、20質量部以下であることが特に好ましい。
水添樹脂とは、樹脂を還元水素化して得られる樹脂を意味する。
水添樹脂の原料となる樹脂としては、C系樹脂、C−C系樹脂、C系樹脂、テルペン系樹脂、ジシクロペンタジエン系樹脂、テルペン−芳香族化合物系樹脂等が挙げられ、これら樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
系樹脂としては、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC留分を(共)重合して得られる脂肪族系石油樹脂が挙げられる。
留分には、通常1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。なお、C系樹脂は、市販品を利用することができる。
−C系樹脂とは、C−C系合成石油樹脂を指し、C−C系樹脂としては、例えば、石油由来のC−C11留分を、AlCl、BFなどのフリーデルクラフツ触媒を用いて重合して得られる固体重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデンなどを主成分とする共重合体などが挙げられる。
−C系樹脂としては、C以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを言うものとする。C−C系樹脂は、市販品を利用することができる。
また、水添樹脂の原料となる樹脂は、例えば、C留分とジシクロペンタジエン(DCPD)とを共重合した樹脂(C−DCPD系樹脂)を含んでいてもよい。
ここで、樹脂全量中のジシクロペンタジエン由来成分が50質量%以上の場合、C−DCPD系樹脂はジシクロペンタジエン系樹脂に含まれるものとする。樹脂全量中のジシクロペンタジエン由来成分が50質量%未満の場合、C−DCPD系樹脂はC5系樹脂に含まれるものとする。更に第三成分等が少量含まれる場合でも同様である。
ゴム成分と水添樹脂との相溶性を高め、湿潤路面でのグリップ性をより向上し、また、転がり抵抗をより低くする観点から、水添樹脂は、水添C系樹脂、水添C−C系樹脂、及び水添ジシクロペンタジエン系樹脂(水添DCPD系樹脂)からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましく、水添C系樹脂及び水添C−C系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つであることがより好ましく、水添C系樹脂であることが更に好ましい。
〔シランカップリング剤〕
ゴム組成物は、更に、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、ゴム工業で通常使用されているシランカップリング剤を用いることができる。
〔各種成分〕
本発明におけるゴム組成物は、既述のゴム成分、充填剤、及び水添樹脂、並びに、必要に応じて、ゴム工業界で通常使用される各種成分、例えば、軟化剤、本発明の水添樹脂以外の樹脂、加工性改良剤、ステアリン酸、老化防止剤、亜鉛華、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含有していてもよい。
[ゴム組成物の製造方法]
本発明におけるゴム組成物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、既述のゴム成分、シリカ及び本発明の水添樹脂に、必要に応じて適宜選択した各種成分を配合して、混練り、熱入れ、押出等することにより製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
<ゴム組成物の調製>
表1に示す配合処方で、通常のバンバリーミキサーを用いて、第1混合工程、最終混合工程の順に混合を行って、実施例及び比較例のゴム組成物を調製する。なお、第1混合工程の終了後、混合物をバンバリーミキサーから一旦取り出し、その後、再度混合物をバンバリーミキサーに投入して、最終混合工程を実施する。また、第1混合工程における混合物の最高温度は170℃とし、最終混合工程におけるゴム組成物の最高温度は110℃とする。
表1において、空欄部分は数値が0であることを意味する。表1に示す成分の詳細は次のとおりである。
〔ゴム成分〕
NR:天然ゴム
高Tg変性SBR:下記の方法で合成した結合スチレン量が41%のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴム
〔充填剤〕
シリカ1:東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil AQ」(BET比表面積=220m/g)
シリカ2:下記製法で得たBET比表面積=110m/gのシリカ
シリカ3:下記製法で得たBET比表面積=245m/gのシリカ
カーボンブラック:N234級カーボンブラック
ハイジライト:水酸化アルミニウム、昭和電工社製、商品名「ハイジライト H−42M」
〔シランカップリング剤〕
シランカップリング剤A:信越化学(株)社製、商品名「ABC−856」
シランカップリング剤B:デグッサ社製、商品名「Si363」
オイル:出光興産社製、商品名「ダイアナプロセスオイル PS−90」
〔水添樹脂〕
水添樹脂1:水添C5樹脂、Eastman社製、商品名「Impera E1780(登録商標)」、軟化点=130℃、重量平均分子量(Mw)=800
水添樹脂2:水添DCPD樹脂、軟化点=113℃、重量平均分子量(Mw)=700
老化防止剤:大内新興化学工業社製、商品名「ノクラック 6C」を含む老化防止剤
加硫促進剤:スルフェンアミド系加硫促進剤を含む加硫促進剤
各実施例及び比較例のゴム組成物は、その他成分として、ワックス2質量部、酸化亜鉛2.5質量部を含む。また、適切な加硫速度となるように、硫黄を2.2〜2.5質量部の範囲で、及び、加硫遅延剤0.3〜0.4質量部の範囲で調整して添加する。
(高St変性SBRの合成方法)
1.変性剤の製造例
真空乾燥させた4Lステンレススチール圧力容器を2つ用意する。最初の圧力容器にシクロヘキサン944g、下記化学式(2−1)で表される化合物161g及びテトラメチルエチレンジアミン86gを投入し、第1反応溶液を製造する。これと同時に、2番目の圧力容器に液状の20質量%のn−ブチルリチウム318g及びシクロヘキサン874gを投入し、第2反応溶液を製造する。この時、下記の化学式(2−1)で表される化合物、n−ブチルリチウム及びテトラメチルエチレンジアミンのモル比は1:1:1である。各圧力容器の圧力は7barに維持させた状態で、質量流量計を用いて連続式反応器内に、第1連続式チャネルに第1反応溶液を1.0g/minの注入速度で、第2連続式チャネルに第2反応溶液を1.0g/minの注入速度でそれぞれ注入する。この時、連続式反応器の温度は−10℃を維持し、内部圧力はバックプレッシャレギュレータ(backpressure regulator)を用いて3barを維持し、反応器内の滞留時間は10分以内になるように調節する。反応を終了して変性開始剤を得る。
Figure 2021098765
2.高Tg変性SBRの作製
3基の反応器が直列に連結された連続反応器のうち第1基反応器に、n−ヘキサンにスチレンが60質量%で溶解したスチレン溶液を7.99kg/hで;n−ヘキサンに1,3−ブタジエンが60質量%で溶解した1,3−ブタジエン溶液を10.55kg/hで;n−ヘキサン47.66kg/hで;n−ヘキサンに1,2−ブタジエンが2.0質量%で溶解した1,2−ブタジエン溶液を10g/hで;極性添加剤としてn−ヘキサンに2,2−(ジ−2(テトラヒドロフリル)プロパンが10質量%で溶解した溶液を10.0g/hで;上記製造例で製造された変性開始剤を292.50g/hの速度で、それぞれ注入する。このとき、第1基反応器の温度は50℃となるように維持し、重合転換率が43%となった時、移送配管を通じて、第1反応器から第2反応器に重合物を移送する。
引き続き、第2反応器にn−ヘキサンに1,3−ブタジエンが60質量%で溶解した1,3−ブタジエン溶液を0.95kg/hの速度で注入する。このとき、第2基反応器の温度は65℃となるように維持し、重合転換率が95%以上となった時、移送配管を通じて、第2反応器から第3反応器に重合物を移送する。
上記第2反応器から第3反応器に重合物を移送し、変性剤として下記式(1a)が溶解した溶液を第3反応器に投入する(変性剤:act. Li=1:1mol)。第3反応器の温度は65℃となるように維持する。
Figure 2021098765
その後、第3反応器から排出された重合溶液に、酸化防止剤として30質量%で溶解したIR1520(BASF社)溶液を、170g/hの速度で注入して攪拌する。その結果、得られる重合物をスチームで加熱された温水に入れて攪拌し、溶媒を除去することで、高Tg変性SBRを得る。
また、得られる高Tg変性SBRのミクロ構造は、スチレン含有量が41質量%である。
(シリカ2の製造方法)
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水65リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO 160g/リットル、SiO/NaOモル比3.3)1.25リットルを入れ、96℃に加熱する。生成した溶液中のNaO濃度は0.015mol/リットルである。
この溶液の温度を96℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量750ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量33ミリリットル/分で同時に滴下する。流量を調整しつつ、反応溶液中のNaO濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行う。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、30分目に粘度が上昇してゲル状溶液となる。さらに、添加を続けて100分で反応を停止する。生じた溶液中のシリカ濃度は85g/リットルである。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得る。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得る。次いで湿潤ケーキを、乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、湿式法含水ケイ酸であるシリカ2を得る。
(シリカ3の製造方法)
シリカ2の製造方法と同じステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO 160g/リットル、SiO/NaOモル比3.3)1.70リットルを入れ、75℃に加熱する。生成した溶液中のNaO濃度は0.015mol/リットルである。
この溶液の温度を75℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量520ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量23ミリリットル/分で同時に滴下する。流量を調整しつつ、反応溶液中のNaO濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行う。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、46分目に粘度が上昇してゲル状溶液となる。さらに、添加を続けて100分で反応を停止する。生じた溶液中のシリカ濃度は60g/リットルである。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得る。その後、シリカ2の製造方法と同様にして、湿式法含水ケイ酸であるシリカ3を得る。
[ゴム組成物の加硫及び加硫ゴムの評価]
1.転がり抵抗
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムを、5mm×45mm×2mmの試験片に加工する。加硫ゴム試験片に対して、上島製作所社製のスペクトロメーターを用い、チャック間距離:10mm、初期歪:150μm、動的歪:1%、周波数:52Hz、測定温度:60℃の条件下で、加硫ゴム試験片の損失正接(tanδ)を測定する。比較例1の加硫ゴム試験片のtanδを100として、各実施例及び各比較例の測定値を指数で表わす。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、良好である。結果を表1に示す。
2.湿潤路面でのグリップ性(ウェットグリップ性能)
ゴム組成物を145℃で33分間加硫して得られた加硫ゴムを、5mm×45mm×2mmの試験片に加工する。加硫ゴム試験片に対して、上島製作所社製のスペクトロメーターを用い、チャック間距離:10mm、初期歪:150μm、動的歪:1%、周波数:52Hz、測定温度:0℃の条件下で、加硫ゴム試験片の損失正接(tanδ)を測定する。比較例1の加硫ゴム試験片のtanδを100として、各実施例及び各比較例の測定値を指数で表わす。指数が大きい程、抵抗値が大きく、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
Figure 2021098765
表1に示す実施例の結果から、本発明に従うゴム組成物を用いることで、湿潤路面でのグリップ性に優れ、かつ、転がり抵抗が低いタイヤが得られることが分かる。なお、比較例2は、転がり抵抗及びウェットグリップ性能は優れていたものの、粘度が高く、他の実施例及び比較例に比べて作業性が良くなかった。このため、比較例として取り扱った。
本発明は、タイヤ、特にはタイヤのトレッドゴムに利用できる。

Claims (5)

  1. イソプレン骨格を有するゴム及び結合スチレン量が30%以上のアミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムを含有するゴム成分と、
    シリカ及びカーボンブラックを含有し、前記シリカ及び前記カーボンブラックの合計含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して40〜125質量部である充填剤と、
    軟化点が110℃より高く、ポリスチレン換算の重量平均分子量が200〜1200であり、前記ゴム成分100質量部に対して5〜50質量部の水添樹脂と、
    を含むゴム組成物を用いたタイヤ。
  2. 前記ゴム成分中の前記アミノアルコキシシラン変性スチレンブタジエンゴムの含有量が、10〜90質量%である請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記ゴム成分中の前記イソプレン骨格を有するゴムの含有量が、10〜90質量%である請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記充填剤中の前記シリカの含有量が70質量%以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記水添樹脂が、水添C系樹脂、水添C−C系樹脂、及び水添ジシクロペンタジエン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つである請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023228463A1 (ja) * 2022-05-27 2023-11-30 株式会社ブリヂストン ゴム組成物の製造方法、ゴム組成物及びタイヤ
WO2024106212A1 (ja) * 2022-11-17 2024-05-23 信越化学工業株式会社 アミノアルキルアルコキシジシロキサン化合物およびアミノアルキルアルコキシオリゴシロキサン化合物を含む組成物ならびにその製造方法

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