JP2021098451A - 車両用構造部材及びその製造方法 - Google Patents

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浩正 左近
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Abstract

【課題】補強する部分のそれぞれの必要な強度に合わせて補強することができると共に、軽量化を図ることができる車両用構造部材を提供する。【解決手段】ハット形状の横断面形状にプレス成形される平板状の第1ブランクと、前記第1ブランクの所定補強エリアに部分的に重ね合わされて複数箇所での溶接によって接合される平板状の第2ブランクと、前記第2ブランクを覆うように重ね合わされると共に前記第1ブランクに部分的に重ね合わされて複数箇所での溶接によって接合される平板状の第3ブランクと、を備え、前記第1ブランクと前記第2ブランクと前記第3ブランクが重ね合わされて接合された後、前記第2ブランクと前記第3ブランクが内側に配置されるハット形状の横断面形状に熱間プレス成形する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両用構造部材及びその製造方法に関するものである。
従来、車両用構造部材に関する技術が種々提案されている。例えば、下記特許文献1に記載される自動車車体用構造部材では、Bピラーは、本体である第1の成形体と、補強部材である第2の成形体と、本体である第3の成形体とにより構成されている。第1の成形体は、板厚が1.0mm〜2.3mm程度で、高張力鋼板を用いて、全体としてハット型の断面形状を有している。第2の成形体は、第1の成形体とほぼ同じ板厚の鋼板を用い、溝形の断面形状を有し、各稜線部及び各縦壁部が、第1の成形体の各稜線部及び各縦壁部の内側に密着するように隙間なく重ね合わされて接合されている。
第1の成形体と第2の成形体の製造方法は、先ず、第1の成形体の素材である第1のブランクに、第2の成形体の素材である第2のブランクを重ねて、スポット溶接、レーザ溶接、シーム溶接等によって溶接する。次に、第2のブランクを溶接された第1のブランクを、Ac3点以上の温度に加熱した後、プレス成形を行って所望の形状に成形する旨が開示されている。
特開2019−189173号公報
しかしながら、第2の成形体の素材である第2のブランクの板厚は、第1の成形体の素材である第1のブランクとほぼ同じ板厚であるため、強度が特に必要な部分(例えば、各稜線部)と、強度が少しだけ必要な部分(例えば、縦壁部)とのそれぞれに合わせた補強を行うことが難しいという問題がある。また、強度が特に必要な部分を基に、第2の成形体の素材である第2のブランクの板厚を設定すると、Bピラーの軽量化を図ることが難しいという問題がある。
そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、補強する部分のそれぞれの必要な強度に合わせて補強することができると共に、軽量化を図ることができる車両用構造部材とその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、第1発明は、ハット形状の横断面形状にプレス成形される平板状の第1ブランクと、前記第1ブランクの所定補強エリアに部分的に重ね合わされて複数箇所での溶接によって接合される平板状の第2ブランクと、前記第2ブランクを覆うように重ね合わされると共に前記第1ブランクに部分的に重ね合わされて複数箇所での溶接によって接合される平板状の第3ブランクと、を備え、前記第1ブランクと前記第2ブランクと前記第3ブランクが重ね合わされて接合された後、前記第2ブランクと前記第3ブランクが内側に配置されるハット形状の横断面形状に熱間プレス成形された、車両用構造部材である。
第2発明は、上記第1発明に係る車両用構造部材において、前記第2ブランクは、前記第1ブランクの底面部及び一対の稜線部に重ね合わされて配置され、前記第3ブランクは、前記第2ブランク及び前記第1ブランクの一対の縦壁部に重ね合わされて配置され、前記第3ブランクは、前記第1ブランクの前記底面部の複数箇所で前記第2ブランクを挟んで溶接によって接合されると共に、前記第2ブランクの一対の前記稜線部に沿った両端縁よりも外側の複数箇所で前記第1ブランクの一対の前記縦壁部に溶接によって接合される、車両用構造部材である。
第3発明は、上記第1発明に係る車両用構造部材において、前記第2ブランクは、前記第1ブランクの一対の稜線部のうちの少なくとも一方の稜線部に重ね合わされて配置され、前記第3ブランクは、前記第2ブランクに重ね合わされると共に、前記第1ブランクの底面部と一対の前記稜線部と一対の縦壁部とに重ね合わされて配置され、前記第3ブランクは、前記第1ブランクの前記底面部の複数箇所で前記第2ブランクの前記底面部側の端縁を挟んで溶接によって接合されると共に、前記第2ブランクの前記稜線部に沿った両端縁よりも外側の複数箇所で前記第1ブランクの一対の前記縦壁部に溶接によって接合される、車両用構造部材である。
第4発明は、上記第2発明又は第3発明に係る車両用構造部材において、前記第2ブランクは、前記第1ブランクの一対の前記稜線部から一対の前記縦壁部側の部分に重ね合わされる部分が、前記第1ブランク及び前記第3ブランクに対して接合されていない、車両用構造部材である。
第5発明は、上記第1発明乃至第4発明のいずれか1の発明に係る車両用構造部材において、前記第2ブランクと前記第3ブランクの合計厚さは、前記第1ブランクの厚さよりも大きくなるように設定されている、車両用構造部材である。
第6発明は、上記第5発明に係る車両用構造部材において、前記第2ブランクの厚さは、前記第3ブランクの厚さ以上に設定されている、車両用構造部材である。
第7発明は、上記第1発明乃至第6発明のいずれか1の発明に係る車両用構造部材の製造方法であって、平板状の前記第1ブランクの所定補強エリアに平板状の前記第2ブランクを部分的に重ね合わせた後に、平板状の前記第3ブランクを前記第2ブランクを覆うように重ね合わせると共に前記第1ブランクに部分的に重ね合わせる積層工程と、前記積層工程で重ね合わされた前記第1ブランクと前記第2ブランクと前記第3ブランクとを複数箇所での溶接によって接合すると共に、前記第1ブランクに部分的に重ね合わされた前記第3ブランクと前記第1ブランクとを複数箇所での溶接によって接合する接合工程と、前記接合工程で接合された前記第1ブランクと前記第2ブランクと前記第3ブランクとを加熱した後、前記第2ブランクと前記第3ブランクが内側に配置されるハット形状の横断面形状に熱間プレス成形する成形工程と、を備えた、車両用構造部材の製造方法である。
本発明は、上記各発明の構成をとることによって、車両用構造部材の補強する部分のそれぞれの必要な強度に合わせて補強することができると共に、軽量化を図ることができる。
第1実施形態に係る車両用構造部材の一例を示す斜視図である。 図1に示す車両用構造部材のII矢視の側面図である。 図1に示す車両用構造部材の製造工程のうち、積層工程を説明する図である。 図1に示す車両用構造部材の製造工程のうち、接合工程を説明する図である。 図4のV−V矢視断面図である。 図1に示す車両用構造部材の製造工程のうち、成形工程を説明する図である。 比較例1の車両用構造部材の一例を示す側面図である。 比較例2の車両用構造部材の一例を示す側面図である。 第2実施形態に係る車両用構造部材の一例を示す斜視図である。 図9に示す車両用構造部材のX矢視の側面図である。 図9に示す車両用構造部材の製造工程のうち、積層工程を説明する図である。 図9に示す車両用構造部材の製造工程のうち、接合工程を説明する図である。 図12のXIII−XIII矢視断面図である。 図9に示す車両用構造部材の製造工程のうち、成形工程を説明する図である。
以下、本発明に係る車両用構造部材を具体化した第1実施形態及び第2実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、第1実施形態に係る車両用構造部材1について図1乃至図8に基づいて説明する。尚、本発明は、サイドシル、ルーフサイドレール、フロントピラーリインフォースメント、センターピラーリインフォースメント、バンパーリインフォースメント、ドアビーム等にも同様に適用される。
[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明の第1実施形態に係る車両用構造部材1の概略構成を示す。図1及び図2に示すように、車両用構造部材1は、後述のように熱間プレス成形によって全体として略ハット形状の横断面形状に成形されている(図6参照)。車両用構造部材1は、第1成形体11と、第1成形体11の内側に重ね合わされて配置される第2成形体12と、第2成形体12の内側に重ね合わされて配置されると共に第1成形体11の内側に部分的に重ね合わされて配置される第3成形体13と、から構成されている。
第1成形体11は、厚さ約1mm〜2mmの熱間プレス用鋼板である。第1成形体11は、略ハット形状の横断面形状に成形されている。具体的には、第1成形体11は、平面視略矩形状の底面部11Aと、底面部11Aの幅方向両側縁部から開口側に折れ曲がる角部を形成するように延出された一対の稜線部11B、11Cと、各稜線部11B、11Cの開口側の側縁部から相対向するように開口側へ延出された一対の縦壁部11D、11Eと、各縦壁部11D、11Eの開口側の側縁部から底面部11Aに対して略平行に外側方向へ折り曲げ形成された各フランジ部11F、11Gと、を有している。
第2成形体12は、厚さ約1mm〜2mmの熱間プレス用鋼板である。第2成形体12は、長手方向の長さが第1成形体11の長手方向の長さと同じ長さで、浅い略溝状の横断面形状に成形されている。
具体的には、第2成形体12は、第1成形体11の底面部11Aの内側に重ね合わされて配置される底面部12Aと、底面部12Aの幅方向両側縁部から開口側に折れ曲がる角部を形成するように延出されて、第1成形体11の一対の稜線部11B、11C(補強エリア)の内側に重ね合わされて配置される一対の稜線部12B、12Cと、を有している。尚、第2成形体12の厚さは、第3成形体13の厚さ以上の厚さに設定するのが好ましいが、第3成形体13の厚さよりも薄くてもよい。
第3成形体13は、厚さ約1mm〜2mmの熱間プレス用鋼板である。第3成形体13は、長手方向の長さが第1成形体11の長手方向の長さと同じ長さで、第1成形体11の各フランジ部11F、11Gから底面部11Aまでの深さにほぼ等しい深さの略溝状の横断面形状に形成されている。
具体的には、第3成形体13は、第2成形体12の底面部12Aの内側に重ね合わされて配置される底面部13Aと、底面部13Aの幅方向両側縁部から開口側に折れ曲がる角部を形成するように延出されて、第2成形体12の一対の稜線部12B、12Cの内側に重ね合わされて配置される一対の稜線部13B、13Cと、各稜線部13B、13Cの開口側の側縁部から相対向するように開口側へ延出されて、開口側の端縁部が第1成形体11の各縦壁部11D、11Eに重ね合わされて配置される一対の縦壁部13D、13Eと、を有している。
そして、第1成形体11と第2成形体12と第3成形体13とは、上記のように重ね合わされた状態で、各底面部11A、12A、13Aの複数箇所でスポット溶接によって接合されると共に、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとが重ね合わされた複数箇所でスポット溶接によって接合されている。従って、第2成形体12の各稜線部12B、12Cは、第1成形体11の各稜線部11B、11C及び第3成形体13の各稜線部13B、13Cとは接合されていない。また、第2成形体12と第3成形体13との合計厚さは、第1成形体11の厚さよりも大きくなるように設定されている。
例えば、図1及び図2に示すように、第1成形体11の底面部11Aの幅方向略中央と幅方向両側縁部において、長手方向に沿った複数箇所で、各底面部11A、12A、13Aがスポット溶接によって接合されている。また、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eの開口側の端縁部において、長手方向に沿った複数箇所で、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとがスポット溶接によって接合されている。つまり、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eは、第2成形体12の各稜線部12B、12Cの側縁よりも幅方向外側において、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eにスポット溶接によって接合されている。
尚、図1において、黒丸印により溶接箇所を示している。図2において、X印により溶接箇所を示している。また、第1成形体11と第2成形体12と第3成形体13とは、スポット溶接に限らず、レーザ溶接、シーム溶接等によって接合してもよい。
このように、第1成形体11の底面部11A及び各稜線部11B、11Cには、第2成形体12の底面部12A及び各稜線部12B、12Cと、第3成形体13の底面部13A及び各稜線部13B、13Cとが重ね合わされている。また、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eには、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eだけが重ね合わされており、第2成形体12は、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eに重ね合わされていない。
これにより、第1成形体11の底面部11Aと各稜線部11B、11Cと各縦壁部11D、11Eは、効果的に補強されている。また、第1成形体11の底面部11A及び各稜線部11B、11Cは、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eの補強強度よりも大きい補強強度で補強されている。また、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとの間には、第2成形体12が配置されないため、車両用構造部材1の軽量化を図ることができる。
次に、車両用構造部材1の製造方法の一例について図3乃至図6に基づいて説明する。車両用構造部材1は、図3に示す積層工程、図4及び図5に示す接合工程、図6に示す成形工程を経て製造される。
図3に示すように、積層工程においては、先ず、第1成形体11の素材としての第1ブランク21と、第2成形体12の素材としての第2ブランク22と,第3成形体13の素材としての第3ブランク23と、が用意される。第1ブランク21、第2ブランク22及び第3ブランク23としては、厚さ約1mm〜2mmの熱間プレス用鋼板をプレス機械(不図示)によってそれぞれ所定の形状、例えば、矩形状に剪断された平坦な(平板状の)板材が用意される。
例えば、第1ブランク21、第2ブランク22及び第3ブランク23の長手方向の長さは、ほぼ同じ長さに形成されている。また、第2ブランク22の長手方向に直交する幅方向の長さは、第1ブランク21において、第1成形体11の底面部11Aと一対の稜線部11B、11Cに相当する幅方向の長さに形成されている。また、第3ブランク23の長手方向に直交する幅方向の長さは、第1ブランク21において、第1成形体11の底面部11Aと一対の稜線部11B、11Cと一対の縦壁部11D、11Eに相当する幅方向の長さに形成されている。
そして、先ず、第2ブランク22が、第1ブランク21において、第1成形体11の底面部11Aと一対の稜線部11B、11Cに相当する部分(補強エリア)を覆うように長手方向を一致させて重ね合わされる。これにより、第2ブランク22の第2成形体12の一対の稜線に相当する各稜線22A、22Bが、第1ブランク21の第1成形体11の一対の稜線に相当する各稜線21A、21Bに重ね合わされる(図4参照)。一方、第2ブランク22は、第1ブランク21において、第1成形体11の一対の縦壁部11D、11Eに相当する部分には、重ね合わされていない。
続いて、第3ブランク23が、第1ブランク21において、第1成形体11の底面部11Aと一対の稜線部11B、11Cと一対の縦壁部11D、11Eに相当する各部分(補強エリア)を覆うように、第2ブランク22を挟んで長手方向を一致させるように重ね合わされる。これにより、第3ブランク23の第3成形体13の一対の稜線に相当する各稜線23A、23Bが、第1ブランク21の第1成形体11の一対の稜線に相当する各稜線21A、21Bに重ね合わされる(図4参照)。
図4及び図5に示すように、接合工程においては、第1ブランク21、第2ブランク22及び第3ブランク23は、長手方向が互いに一致するように重ね合わされた状態で、位置決めされて、複数箇所でのスポット溶接によって互いに接合される。これにより、互いに接合された第1ブランク21、第2ブランク22及び第3ブランク23からなる接合板材31が形成される。
詳細には、接合板材31は、第1成形体11の底面部11Aの幅方向中央と、底面部11Aの幅方向両端縁とに相当する幅方向の各位置のそれぞれにおいて、長手方向に沿ってほぼ等間隔に設定された複数箇所(例えば、5箇所)でスポット溶接によって互いに接合される。これにより、第1ブランク21、第2ブランク22及び第3ブランク23が、重ね合わされて互いにスポット溶接によって接合される。
また、接合板材31は、第1成形体11の一対の縦壁部11D、11Eの幅方向両外側端縁に相当する幅方向の各位置のそれぞれにおいて、長手方向に沿ってほぼ等間隔に設定された複数箇所(例えば、5箇所)でスポット溶接によって互いに接合される。これにより、第1ブランク21と第3ブランク23が、重ね合わされて互いにスポット溶接によって接合される。一方、第2ブランク22は、第2成形体12において一対の稜線部12B、12C(図2参照)に相当する幅方向両側縁部の各部分は、第1ブランク21と第3ブランク23とに挟持された状態で、互いに接合されていない。
図4及び図5に示す接合工程が終了すると、図6に示すように、成形工程において、接合板材31は、所定温度(例えば、900℃程度)に加熱された後、プレス機械41による熱間プレス成形が行われる。接合板材31は、所定温度(例えば、900℃程度)に加熱されることによって軟質化される。これにより、接合板材31の成形性が高められた状態で熱間プレス成形が行われることによって、3枚の高張力鋼板で形成される接合板材31をハット形状の横断面形状に精度よく成形できる。
図6に示すように、プレス機械41のダイ42とパンチ43の間で、接合板材31は、ハット形状の横断面形状に成形される。具体的には、第1ブランク21は、ハット形状の横断面形状に成形され、第1成形体11を構成する。第2ブランク22は、ハット形状に成形された第1ブランク21の開口側に開口する浅い略溝状の横断面形状に成形され、第2成形体12を構成する。第3ブランク23は、ハット形状に成形された第1ブランク21のフランジ部から底面部までの深さにほぼ等しい深さの略溝状の横断面形状に成形され、第3成形体13を構成する。
また、図6に示す成形工程において、接合板材31は、ダイ42及びパンチ43との接触により冷却されることで、焼き入れ強化される。これにより、高強度の車両用構造部材1が成形される。
次に、上記のように構成された車両用構造部材1(図1、図2参照)と、図7に示す比較例1としての車両用構造部材51と、図8に示す比較例2としての車両用構造部材61とのそれぞれにおけるCAE(Computer Aided Engineering)による全塑性曲げモーメントの解析結果の一例について説明する。
尚、車両用構造部材1を構成する第1成形体11は、厚さ1.6mmの熱間プレス用鋼板(例えば、引張強度980MPa)に設定し、第2成形体12は、厚さ1.0mmの熱間プレス用鋼板(例えば、引張強度980MPa)に設定し、第3成形体13は、厚さ1.0mmの熱間プレス用鋼板(例えば、引張強度980MPa)に設定した。
また、図7に示すように、車両用構造部材51は、車両用構造部材1と同様にハット形状の横断面形状に熱間プレス成形によって成形されている。但し、車両用構造部材51は、第2成形体12及び第3成形体13に替えて、1枚の高張力鋼板で成形された第4成形体52が第1成形体11の内側に重ね合わされて配置されている点で異なっている。
この第4成形体52は、第3ブランク23(図3参照)と同じ形状のブランクから成形され、第2成形体12と第3成形体13の合計厚さに等しい厚さ2.0mmの熱間プレス用鋼板(例えば、引張強度980MPa)で熱間プレスにより成形された鋼板部材である。第4成形体52は、長手方向の長さが第1成形体11の長手方向の長さと同じ長さで、第1成形体11の各フランジ部11F、11Gから底面部11Aまでの深さにほぼ等しい深さの略溝状の横断面形状に形成されている。
具体的には、第4成形体52は、第1成形体11の底面部11Aの内側に重ね合わされて配置される底面部52Aと、底面部52Aの幅方向両側縁部から開口側に折れ曲がる角部を形成するように延出されて、第1成形体11の一対の稜線部11B、11Cの内側に重ね合わされて配置される一対の稜線部52B、52Cと、各稜線部52B、52Cの開口側の側縁部から相対向するように開口側へ延出されて、開口側の端縁部が第1成形体11の各縦壁部11D、11Eに重ね合わされて配置される一対の縦壁部52D、52Eと、を有している。
そして、第1成形体11と第4成形体52とは、上記のように重ね合わされた状態で、各底面部11A、52Aの複数箇所でスポット溶接によって接合されると共に、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと第4成形体52の各縦壁部52D、52Eとが重ね合わされた複数箇所でスポット溶接によって接合されている。また、第1成形体11と第4成形体52とのスポット溶接による溶接箇所は、図7のX印により示すように、車両用構造部材1における第1成形体11と第3成形体13とのスポット溶接による溶接箇所と同一箇所に設定した(図2参照)。
また、図8に示すように、車両用構造部材61は、車両用構造部材1と同様にハット形状の横断面形状に熱間プレス成形によって成形されている。但し、車両用構造部材61は、第3成形体13が第1成形体11の内側に重ね合わされて配置され、更に、第2成形体12が第3成形体13の内側に重ね合わされて配置されている点で異なっている。また、車両用構造部材61を構成する第1成形体11は、厚さ1.6mmの熱間プレス用鋼板(例えば、引張強度980MPa)に設定し、第3成形体13は、厚さ1.0mmの熱間プレス用鋼板(例えば、引張強度980MPa)に設定し、第2成形体12は、厚さ1.0mmの熱間プレス用鋼板(例えば、引張強度980MPa)に設定した。
そして、第1成形体11と第3成形体13と第2成形体12は、この順番で重ね合わされた状態で、各底面部11A、13A、12Aの複数箇所でスポット溶接によって接合されると共に、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとが重ね合わされた複数箇所でスポット溶接によって接合されている。また、第1成形体11と第3成形体13と第2成形体12とのスポット溶接による溶接箇所は、図8のX印により示すように、車両用構造部材1におけるスポット溶接による溶接箇所と同一箇所に設定した(図2参照)。従って、第2成形体12の各稜線部12B、12Cは、第1成形体11の各稜線部11B、11C及び第3成形体13の各稜線部13B、13Cとは接合されていない。
上記のように構成された車両用構造部材1の全塑性曲げモーメントI1は、車両用構造部材51の全塑性曲げモーメントI2よりも約3%高かった。また、車両用構造部材1の全塑性曲げモーメントI1は、車両用構造部材61の全塑性曲げモーメントI3よりも高かった。尚、全塑性曲げモーメントが高い程、塑性領域でも断面特性に優れ、折れにくい。また、車両用構造部材1の重量W1は、車両用構造部材51の重量W2よりも軽く、車両用構造部材61の重量W3と同じである。
従って、車両用構造部材1では、第1成形体11と第3成形体13との間に、第2成形体12を挟持した状態で、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとをスポット溶接によって接合するため、第1成形体11の底面部11Aと各稜線部11B、11Cは、効果的に補強されていると考えられる。また、車両用構造部材1は、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとの間に、第2成形体12を配置しなくても、全塑性曲げモーメントの低下を抑制し、効率よく補強できていると考えられる。
つまり、車両用構造部材1は、車両用構造部材51よりも軽量化を図りつつ、効率よく補強できていると考えられる。また、第1成形体11と第3成形体13との間に、第2成形体12を挟持する車両用構造部材1の構造の方が、第3成形体13が第1成形体11の内側に重ね合わされて配置され、更に、第2成形体12が第3成形体13の内側に重ね合わされて配置される車両用構造部材61の構造よりも、効率よく補強できると考えられる。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係る車両用構造部材1では、第1ブランク21は、断面ハット形状に熱間プレス成形された第1成形体11の底面部11Aと一対の稜線部11B、11C(所定補強エリア)に第2ブランク22と第3ブランク23を重ね合わせてスポット溶接等によって溶接することによって補強することができる。また、第1ブランク21は、第1成形体11の一対の縦壁部11D、11E(所定補強エリア)に第3ブランク23を重ね合わせてスポット溶接等によって溶接することによって補強することができる。従って、第1ブランク21が断面ハット形状に熱間プレス成形された第1成形体11の底面部11A及び一対の稜線部11B、11Cの補強強度と、一対の縦壁部11D、11Eの補強強度とを変更することができる。
また、車両用構造部材1は、第1成形体11の一対の縦壁部11D、11Eには、第2ブランク22(第2成形体12)を重ね合わせないため、軽量化を図ることができる。また、車両用構造部材1は、接合板材31を熱間プレス成形によってハット形状の横断面形状に成形するため、高い成形性を得ることができる。また、第2ブランク22は、第1成形体11の一対の稜線部11B、11Cに対応する部分が、第1ブランク21及び第3ブランク23に対してスポット溶接等によって接合されないため、車両用構造部材1の熱間プレス成形による成形性の更なる向上を図ることができる。
また、車両用構造部材1は、第1成形体11(第1ブランク21)の底面部11Aに重ね合わされてスポット溶接等によって接合される第2成形体12(第2ブランク22)と第3成形体13(第3ブランク23)の合計厚さは、第1成形体11の厚さよりも大きくなるように設定されている。これにより、車両用構造部材1は、第1成形体11の底面部11A及び一対の稜線部11B、11Cの強度を確実に向上させることができる。
また、車両用構造部材1は、第2成形体12(第2ブランク22)の厚さは、第3成形体13(第3ブランク23)の厚さ以上の厚さに設定されているため、ハット形状に熱間プレス成形される第1成形体11(第1ブランク21)の第2成形体12(第2ブランク22)と第3成形体13(第3ブランク23)が接合される一対の稜線部11B、11Cの強度を、第3成形体13(第3ブランク23)だけが接合される一対の縦壁部11D、11Eの強度よりも確実に大きくすることができる。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る車両用構造部材71について図9乃至図14に基づいて説明する。尚、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一符号は、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一あるいは相当部分を示すものである。
第2実施形態に係る車両用構造部材71は、第1実施形態に係る車両用構造部材1とほぼ同じ構成である。但し、図9及び図10に示すように、車両用構造部材71は、前記第2成形体12に替えて、第1成形体11の各稜線部11B、11C(補強エリア)の内側に第5成形体72と第6成形体73がそれぞれ重ね合わされて配置されている点で異なっている。また、第1成形体11の底面部11Aの内側には、第3成形体13の底面部13Aが重ね合わされて配置されている点で異なっている。
具体的には、図9及び図10に示すように、第5成形体72は、厚さ約1mm〜2mmの熱間プレス用鋼板である。第5成形体72は、長手方向の長さが第1成形体11の長手方向の長さと同じ長さに形成されている。そして、第5成形体72は、第1成形体11の底面部11Aの幅方向外側(図10中、幅方向左側)の側縁部の内側に重なった位置から開口側に折れ曲がる略L字状の横断面形状に成形されて、第1成形体11の稜線部11Bの内側にのみ重ね合わされて配置されている。従って、第5成形体72は、第1成形体11の縦壁部11Dの内側には配置されていない。尚、第5成形体72の厚さは、第3成形体13の厚さ以上の厚さに設定されている。
また、第6成形体73は、厚さ約1mm〜2mmの熱間プレス用鋼板である。第6成形体73は、長手方向の長さが第1成形体11の長手方向の長さと同じ長さに形成されている。そして、第6成形体73は、第1成形体11の底面部11Aの幅方向外側(図10中、幅方向右側)の側縁部の内側に重なった位置から開口側に折れ曲がる略L字状の横断面形状に成形されて、第1成形体11の稜線部11Cの内側にのみ重ね合わされて配置されている。従って、第6成形体73は、第1成形体11の縦壁部11Eの内側には配置されていない。尚、第6成形体73の厚さは、第3成形体13の厚さ以上の厚さに設定されている。
また、第3成形体13は、底面部13Aが第1成形体11の底面部11Aの内側に重ね合わされて配置されている。そして、第3成形体13は、底面部13Aの幅方向両側縁部から開口側に折れ曲がる角部を形成する一対の稜線部13B、13Cが、上記のように第5成形体72と第6成形体73の内側に重ね合わされて配置されている。更に、第3成形体13は、一対の縦壁部13D,13Eが、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eに重ね合わされて配置さている。
そして、第1成形体11と第5成形体72と第6成形体73と第3成形体13とは、上記のように重ね合わされた状態で、各底面部11A、13Aの複数箇所でスポット溶接によって接合されている。また、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとが重ね合わせられた複数箇所でスポット溶接によって接合されている。
従って、第5成形体72と第6成形体73は、第1成形体11の各稜線部11B、11C及び第3成形体13の各稜線部13B、13Cとは接合されていない。また、第5成形体72と第3成形体13との合計厚さは、第1成形体11の厚さよりも大きくなるように設定されている。また、第6成形体73と第3成形体13との合計厚さは、第1成形体11の厚さよりも大きくなるように設定されている。
例えば、図9及び図10に示すように、第1成形体11の底面部11Aの幅方向略中央において、長手方向に沿った複数箇所で、各底面部11A、13Aがスポット溶接によって接合されている。また、第1成形体11の底面部11Aの幅方向両側縁部と、第5成形体72と第6成形体73の互いに対向する幅方向内側の端縁部と、第3成形体13の底面部13Aの幅方向両側縁部とが、長手方向に沿った複数箇所で、スポット溶接によって接合されている。
また、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eの開口側の端縁部において、長手方向に沿った複数箇所で、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eと第3成形体13の各縦壁部13D、13Eとがスポット溶接によって接合されている。つまり、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eは、第5成形体72と第6成形体73の互いに離れ合う幅方向外側のそれぞれの側縁よりも開口側において、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eにスポット溶接によって接合されている。
尚、図9において、黒丸印により溶接箇所を示している。図10において、X印により溶接箇所を示している。また、第1成形体11と第5成形体72と第6成形体73と第3成形体13とは、スポット溶接に限らず、レーザ溶接、シーム溶接等によって接合してもよい。
このように、第1成形体11の底面部11Aには、第3成形体13の底面部13Aだけが重ね合わされている。また、第1成形体11の稜線部11Bには、第5成形体72と、第3成形体13の稜線部13Bとが重ね合わされている。また、第1成形体11の稜線部11Cには、第6成形体73と、第3成形体13の稜線部13Cとが重ね合わされている。また、第1成形体11の各縦壁部11D、11Eには、第3成形体13の各縦壁部13D、13Eだけが重ね合わされている。
これにより、第1成形体11の底面部11Aと各稜線部11B、11Cと各縦壁部11D、11Eは、効果的に補強されている。また、第1成形体11の各稜線部11B、11Cは、第1成形体11の底面部11A及び各縦壁部11D、11Eの補強強度よりも大きい補強強度で補強されている。また、第1成形体11の底面部11A及び各縦壁部11D、11Eと、第3成形体13の底面部13A及び各縦壁部13D、13Eとの間には、第5成形体72又は第6成形体73が配置されないため、車両用構造部材71の軽量化を図ることができる。
次に、車両用構造部材71の製造方法の一例について図11乃至図14に基づいて説明する。車両用構造部材71は、図11に示す積層工程、図12及び図13に示す接合工程、図14に示す成形工程を経て製造される。
図11に示すように、積層工程においては、先ず、第1成形体11の素材としての第1ブランク21と、第5成形体72の素材としての第5ブランク82と、第6成形体73の素材としての第6ブランク83と,第3成形体13の素材としての第3ブランク23と、が用意される。第1ブランク21、第5ブランク82、第6ブランク83及び第3ブランク23としては、厚さ約1mm〜2mmの熱間プレス用鋼板をプレス機械(不図示)によって所定の形状に剪断された平坦な(平板状の)板材が用意される。
例えば、第1ブランク21、第5ブランク82、第6ブランク83及び第3ブランク23の長手方向の長さは、ほぼ同じ長さに形成されている。また、第5ブランク82の長手方向に直交する幅方向の長さは、第1ブランク21において、第1成形体11の稜線部11Bに相当する幅方向の長さに形成されている。また、第6ブランク83の長手方向に直交する幅方向の長さは、第1ブランク21において、第1成形体11の稜線部11Cに相当する幅方向の長さに形成されている。また、第3ブランク23の長手方向に直交する幅方向の長さは、第1ブランク21において、第1成形体11の底面部11Aと一対の稜線部11B、11Cと一対の縦壁部11D、11Eに相当する幅方向の長さに形成されている。
そして、先ず、第5ブランク82が、第1ブランク21において、第1成形体11の稜線部11Bに相当する部分(補強エリア)を覆うように長手方向を一致させて重ね合わされる。また、第6ブランク83が、第1ブランク21において、第1成形体11の稜線部11Cに相当する部分(補強エリア)を覆うように長手方向を一致させて重ね合わされる。
これにより、第5ブランク82の稜線82Aと第6ブランク83の稜線83Aが、第1ブランク21の第1成形体11の一対の稜線に相当する各稜線21A、21Bに重ね合わされる(図12参照)。一方、第5ブランク82は、第1ブランク21の第1成形体11の底面部11Aと縦壁部11Dに相当する部分には、重ね合わされていない。また、第6ブランク83は、第1ブランク21の第1成形体11の底面部11Aと縦壁部11Eに相当する部分には、重ね合わされていない。
続いて、第3ブランク23が、第1ブランク21において、第1成形体11の底面部11Aと一対の稜線部11B、11Cと一対の縦壁部11D、11Eに相当する部分(補強エリア)を覆うように、第5ブランク82と第6ブランク83を挟んで長手方向を一致させるように重ね合わされる。これにより、第3ブランク23の第3成形体13の一対の稜線に相当する各稜線23A、23Bが、第1ブランク21の第1成形体11の一対の稜線に相当する各稜線21A、21Bに重ね合わされる(図12参照)。
図12及び図13に示すように、接合工程においては、第1ブランク21、第5ブランク82、第6ブランク83及び第3ブランク23は、長手方向が互いに一致するように重ね合わされた状態で、位置決めされて、複数箇所でのスポット溶接によって互いに接合される。これにより、互いに接合された第1ブランク21、第5ブランク82、第6ブランク83及び第3ブランク23からなる接合板材85が形成される。
詳細には、接合板材85は、第1成形体11の底面部11Aの幅方向中央と、底面部11Aの幅方向両端縁とに相当する幅方向の各位置のそれぞれにおいて、長手方向に沿ってほぼ等間隔に設定された複数箇所(例えば、5箇所)でスポット溶接によって互いに接合される。これにより、第1ブランク21は、第1成形体11の底面部11Aに相当する部分に第3ブランク23が、重ね合わされて互いにスポット溶接によって接合される。
また、第1ブランク21は、第1成形体11の稜線部11Bに相当する部分に、第5ブランク82及び第3ブランク23が、重ね合わされて、第5ブランク82の底面部11A側の側縁部に沿って互いにスポット溶接によって接合される。また、第1ブランク21は、第1成形体11の稜線部11Cに相当する部分に、第6ブランク83及び第3ブランク23が、重ね合わされて、第6ブランク83の底面部11A側の側縁部に沿って互いにスポット溶接によって接合される。
また、接合板材85は、第1成形体11の一対の縦壁部11D、11Eの幅方向両外側端縁に相当する幅方向の各位置のそれぞれにおいて、長手方向に沿ってほぼ等間隔に設定された複数箇所(例えば、5箇所)でスポット溶接によって互いに接合される。これにより、第1ブランク21と第3ブランク23が、重ね合わされて互いにスポット溶接によって接合される。
一方、第5ブランク82は、第1成形体11の縦壁部11D側の側縁部に相当する部分が、第1ブランク21と第3ブランク23とに挟持された状態で、互いに接合されていない。また、第6ブランク83は、第1成形体11の縦壁部11E側の側縁部に相当する部分が、第1ブランク21と第3ブランク23とに挟持された状態で、互いに接合されていない。
図12及び図13に示す接合工程が終了すると、図14に示すように、成形工程において、接合板材85は、所定温度(例えば、900℃程度)に加熱された後、プレス機械91による熱間プレス成形が行われる。接合板材85は、所定温度(例えば、900℃程度)に加熱されることによって軟質化される。これにより、接合板材85の成形性が高められた状態で熱間プレス成形が行われることによって、4枚の高張力鋼板で形成される接合板材85をハット形状の横断面形状に精度よく成形できる。
図14に示すように、プレス機械91のダイ92とパンチ93の間で、接合板材85は、ハット形状の横断面形状に成形される。具体的には、第1ブランク21は、ハット形状の横断面形状に成形され、第1成形体11を構成する。第5ブランク82は、ハット形状に成形された第1ブランク21の開口側に折れ曲がる略L字状の横断面形状に成形され、第5成形体72を構成する。第6ブランク83は、ハット形状に成形された第1ブランク21の開口側に折れ曲がる略L字状の横断面形状に成形され、第6成形体73を構成する。第3ブランク23は、ハット形状に成形された第1ブランク21のフランジ部から底面部までの深さにほぼ等しい深さの略溝状の横断面形状に成形され、第3成形体13を構成する。
また、図14に示す成形工程において、接合板材85は、ダイ92及びパンチ93との接触により冷却されることで、焼き入れ強化される。これにより、高強度の車両用構造部材71が成形される。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係る車両用構造部材71では、第1ブランク21は、断面ハット形状に熱間プレス成形された第1成形体11の稜線部11B(所定補強エリア)に第5ブランク82と第3ブランク23を重ね合わせてスポット溶接等によって溶接することによって補強することができる。また、第1ブランク21は、断面ハット形状に熱間プレス成形された第1成形体11の稜線部11C(所定補強エリア)に第6ブランク83と第3ブランク23を重ね合わせてスポット溶接等によって溶接することによって補強することができる。
また、第1ブランク21は、第1成形体11の底面部11Aと一対の縦壁部11D、11E(所定補強エリア)に第3ブランク23を重ね合わせてスポット溶接等によって溶接することによって補強することができる。従って、第1ブランク21が断面ハット形状に熱間プレス成形された第1成形体11の一対の稜線部11B、11Cの補強強度と、底面部11A及び一対の縦壁部11D、11Eの補強強度とを変更することができる。
また、車両用構造部材71は、第1成形体11の底面部11Aと一対の縦壁部11D、11Eには、第5ブランク82(第5成形体72)及び第6ブランク83(第6成形体73)を重ね合わせないため、更なる軽量化を図ることができる。また、車両用構造部材71は、接合板材85を熱間プレス成形によってハット形状の横断面形状に成形するため、高い成形性を得ることができる。
また、第5ブランク82と第6ブランク83は、第1成形体11の底面部11Aを挟んで相対向するそれぞれの側縁部が、第1ブランク21及び第3ブランク23に対してスポット溶接等によって接合される。一方、第5ブランク82と第6ブランク83は、第1成形体11の一対の稜線部11B、11Cに対応する部分が、第1ブランク21及び第3ブランク23に対してスポット溶接等によって接合されない。その結果、車両用構造部材71の熱間プレス成形による成形性の更なる向上を図ることができる。
また、車両用構造部材71は、第5成形体72(第5ブランク82)と第3成形体13(第3ブランク23)の合計厚さ、及び、第6成形体73(第6ブランク83)と第3成形体13(第3ブランク23)の合計厚さは、第1成形体11の厚さよりも大きくなるように設定されている。これにより、車両用構造部材71は、第1成形体11の一対の稜線部11B、11Cの強度を確実に向上させることができる。
また、車両用構造部材71は、第5成形体72(第5ブランク82)と第6成形体73(第6ブランク83)の厚さは、第3成形体13(第3ブランク23)の厚さ以上の厚さに設定されている。その結果、第5成形体72(第5ブランク82)又は第6成形体73(第6ブランク83)と第3成形体13(第3ブランク23)が接合される第1成形体11(第1ブランク21)の一対の稜線部11B、11Cの強度を、第3成形体13(第3ブランク23)だけが接合される底面部11A及び一対の縦壁部11D、11Eの強度よりも確実に大きくすることができる。
尚、本発明は前記第1実施形態及び第2実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形、追加、削除が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。尚、以下の説明において、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一符号は、上記第1実施形態に係る車両用構造部材1と同一あるいは相当部分を示すものである。また、上記第2実施形態に係る車両用構造部材71と同一符号は、上記第2実施形態に係る車両用構造部材71と同一あるいは相当部分を示すものである。
(A)例えば、第1実施形態に係る車両用構造部材1において、第2成形体12の底面部12Aに複数の貫通孔を形成してもよい。例えば、第2ブランク22の一対の稜線部12B、12Cに挟まれる幅方向中央部に、長手方向に沿って複数の貫通孔を形成するようにしてもよい。これにより、第2成形体12の軽量化を図り、車両用構造部材1の更なる軽量化を図ることができる。
(B)また、例えば、第2実施形態に係る車両用構造部材71において、第5成形体72(第5ブランク82)と第6成形体73(第6ブランク83)のうち、一方だけを設けて、他方を設けないようにしてもよい。これにより、車両用構造部材71の更なる軽量化を図ることができると共に、第1成形体11の一対の稜線部11B、11Cのうち、一方だけを補強することが可能となる。
(C)また、例えば、第2実施形態に係る車両用構造部材71において、第5成形体72(第5ブランク82)と第6成形体73(第6ブランク83)の長さを、第1成形体11の長さよりも短い長さに設定してもよい。また、第5成形体72(第5ブランク82)と第6成形体73(第6ブランク83)の長さを互いに異なる長さに設定してもよい。
そして、第1成形体11の一対の稜線部11B、11Cのそれぞれにおいて補強を必要とする部分に、第5成形体72(第5ブランク82)と第6成形体73(第6ブランク83)をそれぞれ重ね合わせて配置するようにしてもよい。これにより、車両用構造部材71の一対の稜線部11B、11Cの補強が必要な部分(補強エリア)を補強しつつ、車両用構造部材71の更なる軽量化を図ることができる。
(D)また、例えば、第1実施形態に係る車両用構造部材1において、第1ブランク21と第2ブランク22と第3ブランク23とのうち、2つのブランク(例えば、第1ブランク21と第3ブランク23)が、熱間プレス用鋼板で構成され、残り1つのブランク(例えば、第2ブランク22)が、焼入れされにくい鋼板で構成されるようにしてもよい。これにより、車両用構造部材1の補強強度を調整することが可能となる。
(E)また、例えば、第1ブランク21と第2ブランク22と第3ブランク23は、平坦な(平板状の)板材に限らず、熱間プレス成形を行う前の予備加工として、貫通孔やビード状の突起等が各ブランク21、22、23にプレス加工等によって形成されたものであってもよい。これにより、車両用構造部材1の補強強度を調整することが可能となる。
(F)また、前記第1発明乃至第7発明は、以下の効果を奏する。例えば、第1発明に係る車両用構造部材及び第7発明に係る車両用構造部材の製造方法によれば、横断面形状がハット形状に熱間プレス成形される第1ブランクの所定の補強エリアには、第2ブランクと第3ブランクが重ね合わされて溶接されるため、第3ブランクだけで覆われる部分よりも大きな強度で補強することができる。また、第1ブランクの必要な補強エリアにだけ第2ブランクと第3ブランクを配置し、その他の第1ブランクの部分には、第3ブランクだけを配置するため、軽量化を図ることができる。また、熱間プレス成形によってハット形状の横断面形状に成形されるため、高い成形性を得ることができる。
また、第2発明に係る車両用構造部材によれば、ハット形状に熱間プレス成形される第1ブランクの底面部と一対の稜線部を第2ブランクと第3ブランクとで補強することができる。また、第1ブランクの一対の縦壁部を第3ブランクで補強することができる。従って、ハット形状に熱間プレス成形される第1ブランクの底面部及び一対の稜線部の補強強度と、一対の縦壁部との補強強度とを変更することができる。また、第1ブランクの一対の縦壁部に、第2ブランクを重ね合わせないため、軽量化を図ることができる。
また、第3発明に係る車両用構造部材によれば、ハット形状に熱間プレス成形される第1ブランクの一対の稜線部のうちの少なくとも一方の稜線部を第2ブランクと第3ブランクとで補強することができる。また、第1ブランクの第2ブランクが重ね合わされない底面部と一対の縦壁部を第3ブランクで補強することができる。従って、ハット形状に熱間プレス成形される第1ブランクの一対の稜線部のうちの少なくとも一方の稜線部と、底面部及び一対の縦壁部との補強強度を変更することができる。また、第1ブランクの底面部と一対の縦壁部に、第2ブランクを重ね合わせないため、更なる軽量化を図ることができる。
また、第4発明に係る車両用構造部材によれば、第2ブランクは、第1ブランクの一対の稜線部から一対の縦壁部側の部分に重ね合わされる部分が、第1ブランク及び第3ブランクに対して接合されていないため、熱間プレス成形による成形性の向上を図ることができる。また、第5発明に係る車両用構造部材によれば、ハット形状に熱間プレス成形される第1ブランクの第2ブランクと第3ブランクが接合される部分の強度を確実に向上させることができる。また、第6発明に係る車両用構造部材によれば、ハット形状に熱間プレス成形される第1ブランクの第2ブランクと第3ブランクが接合される一対の稜線部の強度を、第3ブランクだけが接合される一対の縦壁部の強度よりも確実に大きくすることができる。
1、71 車両用構造部材
11 第1成形体
11A 底面部
11B、11C 稜線部
11D、11E 縦壁部
12 第2成形体
13 第3成形体
21 第1ブランク
22 第2ブランク
23 第3ブランク
31、85 接合板材
72 第5成形体
73 第6成形体
82 第5ブランク
83 第6ブランク

Claims (7)

  1. ハット形状の横断面形状にプレス成形される平板状の第1ブランクと、
    前記第1ブランクの所定補強エリアに部分的に重ね合わされて複数箇所での溶接によって接合される平板状の第2ブランクと、
    前記第2ブランクを覆うように重ね合わされると共に前記第1ブランクに部分的に重ね合わされて複数箇所での溶接によって接合される平板状の第3ブランクと、
    を備え、
    前記第1ブランクと前記第2ブランクと前記第3ブランクが重ね合わされて接合された後、前記第2ブランクと前記第3ブランクが内側に配置されるハット形状の横断面形状に熱間プレス成形された、
    車両用構造部材。
  2. 請求項1に記載の車両用構造部材において、
    前記第2ブランクは、前記第1ブランクの底面部及び一対の稜線部に重ね合わされて配置され、
    前記第3ブランクは、前記第2ブランク及び前記第1ブランクの一対の縦壁部に重ね合わされて配置され、
    前記第3ブランクは、前記第1ブランクの前記底面部の複数箇所で前記第2ブランクを挟んで溶接によって接合されると共に、前記第2ブランクの一対の前記稜線部に沿った両端縁よりも外側の複数箇所で前記第1ブランクの一対の前記縦壁部に溶接によって接合される、
    車両用構造部材。
  3. 請求項1に記載の車両用構造部材において、
    前記第2ブランクは、前記第1ブランクの一対の稜線部のうちの少なくとも一方の稜線部に重ね合わされて配置され、
    前記第3ブランクは、前記第2ブランクに重ね合わされると共に、前記第1ブランクの底面部と一対の前記稜線部と一対の縦壁部とに重ね合わされて配置され、
    前記第3ブランクは、前記第1ブランクの前記底面部の複数箇所で前記第2ブランクの前記底面部側の端縁を挟んで溶接によって接合されると共に、前記第2ブランクの前記稜線部に沿った両端縁よりも外側の複数箇所で前記第1ブランクの一対の前記縦壁部に溶接によって接合される、
    車両用構造部材。
  4. 請求項2または請求項3に記載の車両用構造部材において、
    前記第2ブランクは、前記第1ブランクの一対の前記稜線部から一対の前記縦壁部側の部分に重ね合わされる部分が、前記第1ブランク及び前記第3ブランクに対して接合されていない、
    車両用構造部材。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用構造部材において、
    前記第2ブランクと前記第3ブランクの合計厚さは、前記第1ブランクの厚さよりも大きくなるように設定されている、
    車両用構造部材。
  6. 請求項5に記載の車両用構造部材において、
    前記第2ブランクの厚さは、前記第3ブランクの厚さ以上に設定されている、
    車両用構造部材。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の車両用構造部材の製造方法であって、
    平板状の前記第1ブランクの所定補強エリアに平板状の前記第2ブランクを部分的に重ね合わせた後に、平板状の前記第3ブランクを前記第2ブランクを覆うように重ね合わせると共に前記第1ブランクに部分的に重ね合わせる積層工程と、
    前記積層工程で重ね合わされた前記第1ブランクと前記第2ブランクと前記第3ブランクとを複数箇所での溶接によって接合すると共に、前記第1ブランクに部分的に重ね合わされた前記第3ブランクと前記第1ブランクとを複数箇所での溶接によって接合する接合工程と、
    前記接合工程で接合された前記第1ブランクと前記第2ブランクと前記第3ブランクとを加熱した後、前記第2ブランクと前記第3ブランクが内側に配置されるハット形状の横断面形状に熱間プレス成形する成形工程と、
    を備えた、
    車両用構造部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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