JP2021098320A - レーザー彫刻用印刷版原版およびその製造方法ならびにレーザー彫刻凹版印刷版の製造方法 - Google Patents

レーザー彫刻用印刷版原版およびその製造方法ならびにレーザー彫刻凹版印刷版の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レーザー彫刻によりシャープなレリーフを形成することができ、高湿度環境下におけるインクの掻き取り性および耐摩耗性に優れた凹版印刷版を作製することができるレーザー彫刻用印刷版原版を提供する。【解決手段】支持体上に少なくとも、レーザー彫刻用樹脂層を設けたレーザー彫刻用印刷版原版であって、レーザー彫刻用樹脂層が、該樹脂層の質量を100質量%としたとき、(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルを20〜40質量%、(B)赤外線吸収性の無機粒子を5〜40質量%、(C)酸素原子を含む無機粒子を5〜30質量%、(D)架橋性化合物を5〜30質量%、(E)塩基性窒素を有する高分子化合物を10〜30質量%有するレーザー彫刻用印刷版原版。【選択図】なし

Description

本発明は、レーザー彫刻により印刷面を得て、印刷に供されるレーザー彫刻用印刷版原版に関する。
近年、印刷版製造において現像工程の簡略化および、現像廃液の削減の観点から、レーザーによる直接彫刻製版、いわゆる「レーザー彫刻」が多く提案されている。レーザー彫刻は、文字通りレーザーで彫刻することにより、レリーフとなる凹凸を形成する方法で、原画フィルムを用いたレリーフ形成と異なり、原画に基づく高精細なレリーフ形成が可能で、また、抜き文字部分を深く彫刻したりするなど、自由にレリーフ形状を制御することができるという利点がある。
パッド印刷は凹版印刷版を用い、版面上にインクをのせ、金属製のドクター刃で掻き取ること、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取ることによって、凹版印刷版の凹部にインクを充填し、そのインクをシリコーンゴムなどの柔軟なパッド面に転写させ、該パッドのインク付着面を被印刷体に圧着することによって印刷するオフセット印刷の一種である。パッド印刷に用いられる凹版印刷版は、印刷の方式上、版面上のインクをドクター刃やインクカップで掻き取るため、版面には耐摩耗性が要求される。そのような耐摩耗性が要求される印刷用途で用いられる凹版印刷版には、赤外線吸収剤および無機充填剤を含有した樹脂層を有するレーザー彫刻用印刷版原版が提案されている(例えば特許文献1)。
特表2018−518387号公報 特開昭58−145613号公報 特開2001−199719号公報 特開2016−79061号公報 特開昭50−7605号公報
特許文献1ではポリビニルアルコールをアルデヒド類で架橋させた樹脂層を用いているが、この方法では高湿度環境下において樹脂層の吸湿を抑えることができず膨潤するため、版面上のインクを金属製のドクター刃で掻き取ると、樹脂層にドクター刃が食い込み、掻き取りが十分できないという不具合があった。
そこで本発明では、レーザー彫刻によりシャープなレリーフを形成することができ、高湿度環境下でもインク掻き取り性および、耐摩耗性に優れた凹版印刷版を作製することができるレーザー彫刻用印刷版原版を提供することを目的とする。
上述の課題を解決し、目的を達成するため本発明は、以下の構成を有する。すなわち、本発明は、支持体上に少なくとも、レーザー彫刻用樹脂層を設けたレーザー彫刻用印刷版原版であって、レーザー彫刻用樹脂層が、該樹脂層の質量を100質量%としたとき、
(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルを20〜40質量%、(B)赤外線吸収性の無機粒子を5〜40質量%、(C)酸素原子を含む無機粒子を5〜30質量%、(D)架橋性化合物を5〜30質量%、(E)塩基性窒素を有する高分子化合物を10〜30質量%有するレーザー彫刻用印刷版原版である。
本発明によれば、レーザー彫刻によりシャープなレリーフを形成することができ、高湿度環境下でもインク掻き取り性および、耐摩耗性に優れた凹版印刷版を作製することができるレーザー彫刻用印刷版原版を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について例をあげつつ説明する。
本発明のレーザー彫刻用印刷版原版は、支持体の上に、少なくともレーザー彫刻用樹脂層を有している。レーザー彫刻用樹脂層はレーザーによって所望の文字、画像あるいはパターンなどが印刻されることが予定されている。
レーザー彫刻用樹脂層は、該樹脂層の質量を100質量%としたとき、(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルを20〜40質量%、(B)赤外線吸収性の無機粒子を5〜40質量%(以下、無機粒子(B)と称することがある)、(C)酸素原子を含む無機粒子を5〜30質量%(以下、無機粒子(C)と称することがある)、(D)架橋性化合物を5〜30質量%、(E)塩基性窒素を有する高分子化合物を10〜30質量%(以下、高分子化合物(E)と称することがある)を含有する。
(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、水に容易に溶解し、無機粒子(B)や、無機粒子(C)に対しての良好な分散特性を有する。また、(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、被膜形成が容易であり、レーザー彫刻用樹脂層の形態を保持するための担体樹脂として機能する。さらに、(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、レーザー照射によって分解される際に残留物を生じ難く、また、レリーフが溶融しにくいため、シャープなレリーフを形成することが可能となる。
(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルとは、ビニルアルコール単位を有するポリマー、ことに部分的にまたは完全にケン化したポリ酢酸ビニルである。
本発明において、ケン化度は下記式によって求められる。
ケン化度(%)=[ビニルアルコール構造のモル数]/{[ビニルアルコール構造のモル数]+[酢酸ビニルアルコール構造のモル数]}×100
(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルのケン化度は、50〜98モル%が好ましく、60〜90モル%がより好ましい。ケン化度が50モル%以上の場合は、レーザー彫刻用樹脂層の耐水性が良好となり、ケン化度が98%以下の場合は、レーザー彫刻用樹脂層が適度な硬度となり、インク掻き取り性や耐摩耗性が向上するため好ましい。
また、(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルの平均重合度は300〜2300の範囲が好ましく、500〜2000がより好ましい。平均重合度が300以上の場合は、レーザー彫刻用樹脂層の耐水性が良好であり、平均重合度が2300以下であれば、レーザー彫刻用樹脂層形成用の塗工液調製時の生産性が向上するため好ましい。
平均重合度はJISK6726:1994にて記載される「ポリビニルアルコールの試験方法」の「3.試験方法」に記載の平均重合度の測定方法に従って得ることができる。
なお、他の成分との混合性に鑑み(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルは、側鎖に官能基を有するものであってもよい。官能基の例としては、アセトアセチル基、エチレンオキサイド基、カルボニル基、長鎖アルキル基などの疎水性基や4級アンモニウム塩などのカチオン性基、スルホン酸基やカルボキシル基などのアニオン性基が挙げられる。
レーザー彫刻用樹脂層100質量%中に含まれる(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルの含有量は、20〜40質量%であり、30〜40質量%が特に好ましい。(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルの含有量が20質量%以上であることで印刷版の耐溶剤性が向上するため好ましい。また、40質量%以下であることでレーザー彫刻用樹脂層の耐水性が向上するため好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂層は、(B)赤外線吸収性の無機粒子を含有する。赤外線吸収性の無機粒子としては、赤外線を吸収して赤外線を熱に転化する作用を有するものであれば特に制限は無いが、カーボンブラックおよび鉄含有無機粒子からなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子が好ましい。
特に好適な赤外線吸収性の無機粒子は、レーザー波長領域における吸収率が高いものであり、特にNd−YAGレーザー(1064nm)および典型的には、700〜900nmの間および1200〜1600nmの間の波長を有する赤外ダイオードレーザーの波長を吸収するもので、樹脂組成物中に配合して、レーザー彫刻したときに凹凸形成することができるものである。
カーボンブラックは可視領域から赤外領域に渡って広い吸収スペクトルを有しており、レーザー照射中に自身の光熱変換で生じた熱により自己分解してしまうことがほとんどなく、耐熱性が高い特徴があることから、カーボンブラックを含有するレーザー彫刻用樹脂層は、市場で通常用いられているほとんど全てのレーザーを使用することができる。
また、好適な鉄含有粒子は酸化鉄粒子である。このようは酸化鉄の例としては、ヘマタイトα−Fe、マグネタイトγ−Fe、マグネタイトFeなどが挙げられる。
また、前記のカーボンブラックまたは鉄含有無機粒子は、その粒子表面をアニオン性基で修飾されたものであることが好ましい。アニオン性基を有することで(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルに対する分散性が良好となるとともに、粒子同士の静電反発により、粒子の凝集を抑制することが可能となる。このようなアニオン性基としては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基などが挙げられるが、このうちカルボキシル基を有するものは低級アルコールとの濡れ性が高いため、幅広いpH範囲において静電反発による粒子の凝集抑制効果を得ることができるためより好ましい。
レーザー彫刻用樹脂層100質量%中の無機粒子(B)の含有量は、近赤外線レーザーによるレーザー彫刻性の観点から、5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。またレーザー彫刻用樹脂層の表面平滑性の観点から、40質量%以下であり、より好ましく30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
無機粒子(B)の平均粒子径はレーザー彫刻用樹脂組成物溶液中に凝集することなく分散する観点から0.01μm以上であることが好ましく、より好ましくは、0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上である。またレーザー彫刻時に彫刻部と非彫刻部の境界線の直線性を確保する観点から、4.0μm以下であることが好ましく、より好ましくは2.0μm以下、さらに好ましくは、1.0μm以下である。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂層は、(C)酸素原子を含む無機粒子を含有する。このような粒子としては、酸化鉄、シリカ、アルミナ粒子、二酸化チタンなどの無機酸化物粒子、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ガラスなどの無機塩粒子、有機成分および無機成分で構成される粒子などが挙げられる。このうち、凹版印刷またはパッド印刷に用いられ、安全に取り扱うことという観点から非晶質シリカがより好ましい。また、ドクター刃やインクカップに対する摩耗向上のために、非晶質シリカを用いることが好ましい。なお、本発明に係るレーザー彫刻用樹脂層は、(i)非晶質シリカ、(ii)アルミナ、(iii)非晶質シリカおよびアルミナ粒子の複合酸化物粒子、並びに(i)〜(iii)のいずれか2つ以上を含む混合物を有することも可能である。なお、前記した無機粒子(B)に該当する粒子は(C)酸素原子を含む無機粒子には含まれないものとする。
用いられる無機粒子(C)の平均粒子径は、印刷版の耐摩耗性の観点から、0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。また印刷時のインク掻き取り性の観点から、4μm以下、より好ましくは3μm以下である。
なお、本発明において、平均粒子径は、レーザー回折散乱法もしくは、動的光散乱で測定したメジアン径を意味する。なお、何れの方法を用いるかはその粒子の平均粒子径の測定に適した方法であれば特に制限はないが、何れの方法であっても問題なく測定ができる場合にはレーザー回折散乱法によって測定したものをその粒子の平均粒子径とする。
無機粒子(C)は、レーザー彫刻用樹脂層の平滑性の観点から、比表面積が10m/g以下であることが好ましく、より好ましくは9m/g以下、さらに好ましくは8m/g以下である。本明細書において、比表面積は、JIS Z8830:2013に記載された方法に基づき測定される。
無機粒子(C)は、その一次粒子において真球度が好ましくは0.90以上であることが好ましい。この真球度が0.90以上、であることで、印刷版の表面粗さが小さくなるため、さらに良好なインク掻き取り性を達成できる。さらに、高い彫刻感度を実現できる。なお本発明において真球度とは、100個の粒子を走査型電子顕微鏡により形状を観察し、最短径/最長径の比率の100点算術平均値のことである。
このような真球度が0.9以上の非晶質シリカおよびアルミナの製造方法としては、特に限定されるものではないが、前記特許文献2と特許文献3に示すように、シリカ粒子またはアルミナ粒子を火炎中で溶融する方法、前記特許文献4に示すように、VMC(Vaporized Metal Combustion)法により、シリコン粉末または金属アルミニウムを燃焼して製造する方法などが知られている。
無機粒子(C)の最大粒子径は、インク掻き取り性の観点から、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下である。なお、最大粒子径は粒子を該当する大きさの篩を通過させることで求めることができる。
レーザー彫刻用樹脂層100質量%中の無機粒子(C)の含有量は、印刷版に耐摩耗性を付与する観点から5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。またレーザー彫刻用樹脂層の形成を可能とする観点から30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。
無機粒子(C)の表面には、表面修飾剤を用いて官能基を導入することが可能である。このような修飾剤としては、例えば、(3−アクロイルプロピル)トリメトキシシラン、メタクロイルプロピルトリメトキシシラン、メタクロイルプロピルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシメチルトリエトキシシラン、メタクロイルオキシメチルトリメトキシシランなどが挙げられるが、この限りではない。無機粒子(C)を表面修飾することにより、(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルに混合する際の分散性を良好にし、凝集、再凝集を抑制することができる。なお、粒子の分散性を高めることにより、レーザー彫刻の際の彫刻残りを低減させることができるため好ましい。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂層は、(D)架橋性化合物を含有する。本発明において架橋性化合物とは、それ自身が化合して高分子量化する性質を有する化合物のほか、高分子化合物(E)に化合して二分子以上の高分子化合物(E)の分子鎖間を架橋する化合物であるものを含む。(D)架橋性化合物を含むことで、樹脂層の耐溶剤性が向上し、また、吸湿性が低減し、レーザー彫刻用印刷版原版の取扱性が向上する。架橋性化合物による架橋の形式は特に限定されないが、赤外線吸収性の無機粒子は紫外線にも吸収領域を有することが多いため光硬化が困難、あるいは不効率となる可能性があるため、熱硬化によることが好ましい。高分子化合物(E)との併用に適した(D)架橋性化合物としては、例えば、ユリア樹脂、メラミン樹脂、多官能エポキシ基含有化合物が挙げられる。また、多官能エポキシ基含有化合物と、尿素系樹脂、アミン系化合物、アミド系化合物、水酸基含有化合物、カルボン酸化合物、チオール系化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせが挙げられる。(D)架橋性化合物は2種以上の化合物の混合物であってもよい。
また、ユリア樹脂としては、例えば、ブチル化尿素樹脂、メラミン樹脂としては、例えば、ブチル化メラミン樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化尿素メラミン共縮合樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メチル化ベンゾグアナミン樹脂、ブチル化ベンゾグアナミン樹脂などが挙げられる。
また、多官能エポキシ基含有化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂などが挙げられる。
レーザー彫刻用樹脂層100質量%中の(D)架橋性化合物の含有量は、樹脂層の吸湿性を向上させる観点から、好ましく5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。また樹脂層の表面平滑性の観点から、好ましく30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。
本発明において、レーザー彫刻用樹脂層は、(E)塩基性窒素を有する高分子化合物を含有する。このような樹脂を含有することで、(D)架橋性化合物の架橋反応が促進され、樹脂層の熱架橋時に付与する熱を低減化することが可能となる。
ここでいう高分子化合物とは数平均分子量もしくは重量平均分子量のいずれか、またはその両方において300以上、150,000以下であることが好ましく1,000以上、100,000以下であることがさらに好ましい。300以上であることで架橋反応を促進するに十分な塩基性窒素が含有され、また100,000以下であることでレーザー彫刻用樹脂組成物の粘度が適正となり、製造時のハンドリング性が向上する。数平均分子量または重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されたポリスチレン換算の平均分子量として求められる。
高分子化合物(E)としてポリアミド、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、およびポリエチレンイミンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
塩基性窒素を有するポリアミドとしてはピペラジン環を有するポリアミドがさらに好ましい。ピペラジン環は、化合物中に塩基性窒素を2つ含有し、いずれも2級アミンのため、高い反応性と樹脂溶液安定性を両立させることができるため好ましい。
このようなポリアミドとしては、前記特許文献5記載の塩基性窒素を有するポリアミドなどが挙げられる。なお、塩基性窒素とは、アミド基に含まれる窒素ではなく、アミノ基に含まれる窒素をいう。そのようなポリアミドとしては、三級アミノ基を主鎖中に有するポリアミドが好ましい。塩基性窒素を有するポリアミドは、塩基性窒素を有する単量体を単独もしくは他の単量体を用いて縮重合、重付加反応などを行うことによって得ることができる。
本発明で用いられる塩基性窒素を主鎖に有するポリアミドを得るに適した、塩基性窒素を有する単量体を具体的に挙げると、N,N’−ビス(アミノメチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(β−アミノエチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(γ−アミノベンジル)−ピペラジン、N−(β−アミノエチル)ピペラジン、N−(β−アミノプロピル)ピペラジン、N−(ω−アミノヘキシル)ピペラジン、N−(β−アミノエチル)−2,5−ジメチルピペラジン、N,N−ビス(β−アミノエチル)−ベンジルアミン、N,N−ビス(γ−アミノプロピル)−アミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)−エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス(γ−アミノプロピル)−テトラメチレンジアミンなどのジアミン類、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−ピペラジン、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−メチルピペラジン、N,N’−ビス(カルボキシメチル)−2,6−ジメチルピペラジン、N,N’−ビス(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N,N−ビス(カルボキシメチル)−メチルアミン、N,N−ビス(β−カルボキシエチル)−エチルアミン、N,N−ビス(β−カルボキシエチル)−メチルアミン、N,N−ジ(β−カルボキシエチル)−イソプロピルアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス−(カルボキシメチル)−エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ビス−(β−カルボキシエチル)−エチレンジアミンなどのジカルボン酸類あるいはこれらの低級アルキルエステル、酸ハロゲン化物、N−(アミノメチル)−N’−(カルボキシメチル)−ピペラジン、N−(アミノメチル)−N’−(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N−(β−アミノエチル)−N’−(β−カルボキシエチル)−ピペラジン、N−カルボキシメチルピペラジン、N−(β−カルボキシエチル)ピペラジン、N−(γ−カルボキシヘキシル)ピペラジン、N−(ω−カルボキシヘキシル)ピペラジン、N−(アミノメチル)−N−(カルボキシメチル)−メチルアミン、N−(β−アミノエチル)−N−(β−カルボキシエチル)−メチルアミン、N−(アミノメチル)−N−(β−カルボキシエチル)−イソプロピルアミン、N,N’−ジメチル−N−(アミノメチル)−N’−(カルボキシメチル)−エチレンジアミンなどのω−アミノ酸などがある。またこれらの単量体のほかにジアミン、ジカルボン酸、ω−アミノ酸、ラクタムなどと併用し、共重合体としたものも使用可能である。これら塩基性窒素を含有する単量体成分は全ポリアミド構成成分、すなわちアミノカルボン酸単位(原料としてラクタムの場合を含む)、ジカルボン酸単位およびジアミン単位の和に対して、10〜100モル%であることが好ましく、さらに10〜80モル%であることが好ましい。10モル%以上であると(D)架橋性化合物の架橋反応を促進することができるため好ましい。
ポリビニルアミンとしては、例えば、三菱ケミカル社製のPVAMシリーズ等が挙げられる。またポリビニルアミンの製造方法としては、特開2003−147007、特開2006−257287に記載の方法で製造できる。
ポリアリルアミンとしては、例えば、ニットーボーメディカル社製「PAA−01」、「PAA−03」、「PAA−05」、「PAA−10」、「PAA−10C」、「PAA−15C」、「PAA−25」などが挙げられる。またポリアリルアミンは、特開昭60−106801号公報に記載の方法など、公知の方法によって合成することもできる。
ポリエチレンイミンとしては、例えば、日本触媒社製のエポミンSP200、P1000等が挙げられる。
レーザー彫刻用樹脂層100質量%中の高分子化合物(E)の含有量は、樹脂層の吸湿性を向上させる観点から、好ましく5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。また樹脂層の吸湿性を低下させる観点から、好ましく30質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下である。
前記(D)架橋性化合物と(E)塩基性窒素を有する高分子化合物の質量%の比率(D)/(E)は吸湿性を低下させる観点から好ましくは0.5以上であり、より好ましくは0.75以上である。また樹脂層の熱架橋時に付与する熱を低減させる観点から、好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.25以下である。
また、レーザー彫刻用樹脂層は、彫刻カスのリンス性向上、無機微粒子の凝集防止などを目的として界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレン類などの非イオン界面活性剤、スルホン酸塩類、硫酸エステル類、リン酸エステル類などの陰イオン界面活性剤、アミン類などの陽イオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤などを例示することができる。レーザー彫刻用樹脂層100質量%に含まれる界面活性剤の含有量は、彫刻カスのリンス性向上および樹脂組成物成分の凝集防止の観点から、好ましくは0.001〜5質量%、さらに好ましくは0.05〜3質量%である。
また、レーザー彫刻用樹脂層には、目的に応じて、染料、顔料、消泡剤、香料などの添加物を添加することができる。
本発明のレーザー彫刻用印刷版原版は、表面保護、異物等の付着防止の観点から、レーザー彫刻用樹脂層上に保護層としてカバーフィルムを有することが好ましい。レーザー彫刻用樹脂層上はカバーフィルムに直接接していてもよいし、レーザー彫刻用樹脂層とカバーフィルムとの間に1層または複数の層が存在していてもよい。レーザー彫刻用樹脂層とカバーフィルムとの間の層としては、例えば、レーザー彫刻用樹脂層の表面の粘着を防止する目的で設けられる剥離補助層などが挙げられる。
カバーフィルムの材質は特に限定されないが、ポリエステル、ポリオレフィンなどのプラスチックシートが好ましく使用される。カバーフィルムの厚さは特に限定されないが、10〜150μmの範囲が取扱性、コストの観点から好ましい。またカバーフィルム表面は、剥離力を調製する目的として粗面化されていてもよい。
本発明で用いられる支持体は、ポリエステル、ポリオレフィンなどのプラスチックシートやスチレン−ブタジエンゴムなどの合成ゴムシート、スチール、ステンレス、アルミニウムなどの金属板を使用することができるが、パッド印刷では特に、版面上にインクを載せ、金属製のドクター刃で掻き取る、もしくは、ドクター刃の役割をするリング状のセラミックス製または特殊金属製エッジ付きインクカップの中にインクを入れて版面上をインクカップで掻き取るため、掻き取る際の力で支持体が変形しないよう金属製の支持体を用いることが好ましい。
支持体の厚さは特に限定されないが、取扱性の観点から100〜500μmの範囲が好ましい。100μm以上であれば支持体が変形することが抑制され、500μm以下であれば取り扱い性が向上する。
支持体の表面は、レーザー彫刻用樹脂層との接着性を向上させる目的で、易接着処理されていることが好ましい。易接着処理の方法としては、サンドブラストなどの機械的処理、コロナ放電などの物理的処理、コーティングなどによる化学的処理などが例示できるが、コーティングによって接着層を設けることが接着性の観点から好ましい。このように好ましい接着性を実現させる接着層組成としては、低級アルコールを含む溶液に可溶性を有する高分子化合物が例示される。また可溶性高分子化合物として、ε−カプロラクタムの単位を含むポリアミド樹脂を好ましく挙げることができる。
次に、本発明のレーザー彫刻用印刷版原版の製造方法について例を挙げて説明する。レーザー彫刻用樹脂層は、無機粒子が分散したレーザー彫刻用樹脂組成物溶液を調製し、これを支持体に塗布・乾燥して形成することが簡便である。例えば、ポリアミド(A)、および必要に応じて(D)架橋性化合物、(E)塩基性窒素を有する高分子化合物、界面活性剤その他の添加剤等を添加し、低級アルコールなどの溶剤で撹拌して十分に混合し、次いで、無機粒子(B)、無機粒子(C)を添加し、混合・分散することでレーザー彫刻用樹脂組成物溶液を得る。このとき、各成分の比率は添加する量を調整することで所望の範囲で調整される。
無機粒子を分散する方法としては、例えば、機械撹拌法、超音波分散法、高圧分散法、メディア分散法などを挙げることができる。これらの中でも無機粒子を高度に分散させることが可能であることからメディア分散法を用いることが好ましい。
続いて、前記方法によって得られたレーザー彫刻用樹脂組成物溶液を、接着層を有していても良い支持体上に流延し、乾燥してレーザー彫刻用樹脂層を得る。その後、任意に剥離補助層を形成したカバーフィルムを前記レーザー彫刻層上に密着させることで本発明のレーザー彫刻用印刷版原版を得ることができる。また、レーザー彫刻用樹脂組成物溶液を乾燥製膜によってシート化したレーザー彫刻用樹脂シートを作製し、支持体とカバーフィルムでレーザー彫刻用樹脂シートを挟み込むようにラミネートすることでもレーザー彫刻用印刷版原版を得ることができる。なお、無機粒子を含まない樹脂層を、接着層とレーザー彫刻用樹脂層との間に設けることも可能である。
レーザー彫刻用樹脂層の厚みは特に限定されないが、印刷適性の観点から20〜200μmの範囲が好ましい。20μm以上であればかすれのない高精細な印刷ができ、200μm以下であれば凹部深度を調整する幅が広がり、高精細な印刷ができる。
レーザー彫刻用印刷版原版が剥離補助層を有する場合、剥離補助層の形成方法は特に限定されないが、薄膜形成の簡便さから、剥離補助層成分を溶媒に溶解した溶液をカバーフィルム上に塗布し、溶媒を除去する方法が特に好ましく行われる。溶媒の除去方法としては、例えば熱風乾燥、遠赤外線乾燥、自然乾燥などを挙げることができる。剥離補助層成分を溶解する溶媒は特に限定されないが、水、アルコール、並びに水およびアルコールの混合物が好ましく使用される。
次に、本発明のレーザー彫刻用印刷版原版を用いた凹版印刷版の製造方法について説明する。凹版印刷版は、例えば、次のような工程を順次経て製造することができる。
(1)レーザー彫刻用印刷版原版のレーザー彫刻用樹脂層にレーザーを照射して、レーザー彫刻用樹脂層を彫刻する工程(工程(1))、(2)次いで、水、低級アルコール、炭化水素溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む液体で彫刻した版表面(レリーフ)をリンスする工程(工程(2))、(3)彫刻されたレーザー彫刻用樹脂層を乾燥する工程(工程(3))。
工程(1)は、例えば、形成したい画像のデジタルデータを元にコンピューターでレーザーヘッドを制御し、レーザー彫刻用樹脂層に対して走査照射して像をレーザー彫刻用樹脂層に印刻する工程のことである。レーザーとして、炭酸ガスレーザーなどの遠赤外線レーザーやYAGレーザーなどの近赤外線レーザーを用いると、レーザー照射部分に大量の熱量が発生し、レーザー彫刻用樹脂層中の分子は分子切断あるいはイオン化されて選択的な除去、すなわち彫刻がなされる。高解像度な画像加工性の観点から、近赤外レーザーを用いることが好ましい。レーザー彫刻の利点は、彫刻深さを任意に設定できるため、構造を3次元的に制御することができる点である。例えば、同一絵柄内で、深度が深い部分と浅い部分を分けることで、同一絵柄内に濃淡をつけた印刷することが容易となる。彫刻した版表面に彫刻カスが付着している場合は、彫刻表面を水、低級アルコール、炭化水素溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む液体で彫刻した版表面をリンスして、彫刻カスを洗い流す工程(2)を追加しても良い。リンスの手段として、液体で洗い流す方法、高圧スプレー噴射する方法、彫刻した版表面を主に、低級アルコールの存在下でブラシ擦りする方法などが挙げられ、彫刻カスのヌメリがとれない場合は、界面活性剤を添加したリンス液を用いてもよい。
なおここで、前記した低級アルコールとは分子内に炭素数が5以下であるアルコールをいう。具体的にはメタノール、エタノール、ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2プロパノール、1−ペンタノールなどが挙げられる。
彫刻した版表面をリンスする工程(2)を行った場合、彫刻されたレーザー彫刻用樹脂層を乾燥してリンス液を揮発させる工程(3)を追加することが好ましい。
なお、本発明のレーザー彫刻用印刷版原版は、凹版印刷用として使用することが最も適しているが、平版印刷用、凸版印刷用、孔版印刷用として使用することも可能である。また、本発明に係るレーザー彫刻用印刷版原版から得られるレーザー彫刻凹版印刷版を用いてパッド印刷を行うことが好ましい。さらに、本発明のレーザー彫刻用印刷版原版を用いて印刷を行うことができる対象物には特に制限はなく、例えば紙、プラスチック、布帛、ガラス、金属、セラミックス等を挙げることができる。これらの中でも、特に布帛への印刷に用いられることが好ましく、例えばロゴ、ケアラベル、ロット表示等を直接、布帛に印刷する方式への適用があげられる。布帛印刷物は、布帛の種類ごとに洗濯表示が異なり、さらにロット表示を追加すると膨大な数の印刷版が必要となる。そのため製版工程が複雑で時間のかかる従来のフォトリソ法やケミカルエッチング法では製造時間が増大し、対応困難であったが、レーザー彫刻では工程が少ないため製造時間を短縮することが可能であるため、限られた時間内で多種多様な布帛印刷物を提供することが可能となる。
以下、具体的に実施例を挙げて本発明を詳細に説明する。但し、本発明は係る実施例に限定して解釈されるものではない。
(A)部分ケン化ポリ酢酸ビニル:
日本合成化学工業(株)製の部分ケン化ポリ酢酸ビニル“ゴーセノール”(登録商標)KL−05(重合度約500、ケン化度約80モル%)を使用した。
無機粒子(B):
表1に記載の無機粒子を使用した。なお、無機粒子(B)の番号1および番号2の平均粒子径はナノ粒子解析装置((株)堀場製作所製「Nano Partica SZ−100」)を使用して、水に無機粒子を添加し出力25Wの条件で超音波を照射し3分間分散させた液を、分散後10分以内に測定したものであり、体積基準の積算分率における50%の粒径である。また、無機粒子(B)の番号3の平均粒子径はレーザー散乱粒度分布計(マイクロトラックベル(株)社製「MT3300EXII」)を使用して、水に無機粒子を添加し流速45%、出力25Wの条件で超音波を照射しながら3分間循環させた液を、循環の完了後10分以内に測定したものであり、体積基準の積算分率における50%の粒径である。
Figure 2021098320
無機粒子(C):
表2に記載の無機粒子を使用した。無機粒子(C)の平均粒子径はレーザー散乱粒度分布計(マイクロトラックベル(株)社製「MT3300EXII」)を使用して、水に無機粒子を添加し流速45%、出力25Wの条件で超音波を照射しながら3分間循環させた液を、循環の完了後10分以内に測定した体積基準の積算分率における50%の粒径である。
Figure 2021098320
なお、無機粒子の比表面積は、JIS Z8830:2013に記載された方法に基づき、(株)島津製作所製Tristar3000を使用して測定した。
(D)架橋性化合物(表3中、「(D)成分」と記載した)
ユリア樹脂
・“大鹿レヂン”(登録商標)U106((株)オーシカ製)
メラミン樹脂
・“大鹿レヂン”(登録商標)M32((株)オーシカ製)
多官能エポキシ基含有化合物
・“デナコール”(登録商標)EX−614B(ナガセケムテック(株)製)
(E)塩基性窒素を有する高分子化合物(表3中、「(E)成分」と記載した)。
(1)ポリアミド
合成例1:
ε−カプロラクタム10重量部、N−(2−アミノエチル)ピペラジンとアジピン酸のナイロン塩90重量部および水100重量部をステンレス製オートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで置換した後に180℃で1時間加熱し、ついで水分を除去して主鎖に塩基性窒素を有するポリアミド(ポリアミド1)を得た。脂環族ジアミン残基の含有量は39モル%であった。数平均分子量は85,000であった。
合成例2:
ε−カプロラクタム10重量部(30モル%)、N−(2−アミノエチル)ピペラジン8質量部(20モル%)、1、3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン6質量部(15.4モル%)、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸18質量部(34.6モル%)をステンレス製オートクレーブに入れ、内部の空気を窒素ガスで置換した後に180℃で1時間加熱し、ついで水分を除去して主鎖に塩基性窒素を有するポリアミド(ポリアミド2)を得た。脂環族ジアミン残基の含有量は35.4モル%、脂環族ジカルボン酸残基の含有量は34.6モル%、数平均分子量は80,000であった。
(2)ポリビニルアミン
合成例3:
特公昭63−9523号公報に記載の方法を元に重量平均分子量20,000のポリビニルアミンをポリビニルホルムアミドの加水分解によって得た。
(3)ポリアリルアミン
・PAA−03(重量平均分子量3,000、ニットーボーメディカル(株)製)
(4)ポリエチレンイミン
・“エポミン”(登録商標)SP−200(数平均分子量20,000、日本触媒(株)製)
塩基性窒素を有する低分子化合物
N−(2−アミノエチル)ピペラジン(分子量129.1、東京化成工業(株)製)。
(実施例1)
<接着層を有する支持体の作製>
有機溶剤に可溶なポリエステル樹脂である“ニチゴーポリエスター”(登録商標)LP−033(日本合成化学(株)製、分子量約16,000)100質量%をトルエン/メチルエチルケトン=80/20(質量比)の混合溶剤2,000質量%を80℃に加温して溶解した。冷却後、エポキシ化合物として“エポトート”(登録商標)YD−904(新日鉄住金化学(株)製)11質量%、エポキシ硬化剤としてメチルヘキサヒドロ無水フタル酸 9質量%、硬化触媒N,N−ジメチルベンジルアミン0.1質量%、ハレーション防止剤として黄色顔科を含むポリエステル樹脂であるエローULT−3E096(住化カラー(株)製)10質量%添加して十分に撹拌混合し、接着層用塗工液1を得た。
日本合成化学工業(株)製の部分ケン化ポリ酢酸ビニル“ゴーセノール”(登録商標)KL−05(重合度約500、ケン化度約80モル%)20質量%をエタノール/水=50/50(質量比)の混合溶媒200質量%に添加し、70℃で3時間かけて溶解させ、接着層用塗工液2を得た。
支持体である厚さ250μmの鉄板(新日鐵住金(株)製)上に接着層用塗工液1を乾操後の膜厚が10μmとなるようにバーコータで塗布した後に、250℃のオーブンに1分間入れて溶剤を除去した後、その上に接着層用塗工液2を乾燥後の膜圧が5μmとなるようにバーコータで塗布した後に、160℃のオーブン1分間入れて溶剤を除去し、接着層を有する支持体を得た。
<レーザー彫刻用樹脂組成物溶液の調製>
撹拌用ヘラおよび冷却管を取り付けた3つ口フラスコ中に、表3の実施例1の欄に示す部分ケン化ポリ酢酸ビニル(A)を添加し、エタノール/水=30/70(質量比)の混合溶媒を混合した後、撹拌しながら80℃で2時間加熱し、部分ケン化ポリ酢酸ビニル(A)を溶解させた。40℃に冷却した後、表3の実施例1の欄に記載されるその他の成分を添加し、混合、溶解させた後、さらに連続型メディア分散機(NANO GRAIN MILL、浅田鉄工(株)製)を用いて分散し、レーザー彫刻用樹脂組成物溶液1を得た。
<カバーフィルム>
厚さ100μmの“ルミラー”S10(ポリエステルフィルム、東レ(株)製)をカバーフィルムとして使用した。
<レーザー彫刻用印刷版原版の製造>
上記のレーザー彫刻用脂組成物溶液1を、前記接着層を有する支持体に流延し、105℃で2時間乾燥した。このとき乾燥後の樹脂層厚みが30μmとなるよう調節した。このようにして得られたレーザー彫刻用樹脂層上に、水/エタノール=10/90(重量比)の混合溶剤を塗布し、表面にカバーフィルムを圧着し、レーザー彫刻用印刷版原版を得た。
(実施例2〜28)
レーザー彫刻用樹脂層の構成を表3に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
(比較例1〜9)
レーザー彫刻用樹脂層の構成を表3に記載のとおり変更した以外は、実施例1と同様にしてレーザー彫刻用印刷原版を作製した。
[評価方法]
各実施例および比較例における評価は、次の方法で行った。
(1)彫刻適性
7cm×14cmのレーザー彫刻用印刷原版からカバーフィルムのポリエステルフィルムのみを剥離し、赤外線に発光領域を有するファイバーレーザーを備えた外面ドラム型プレートセッター“CDI SPARK”(エスコ・グラフィックス(株)製)に、基材側がドラムに接するように装着した。エネルギー14J/cm2、レーザー出力22W、ドラム回転数160rpmの条件で彫刻した。その後、液温25℃のエタノール水溶液(エタノール/水=80/20)を流して、10秒間リンスを行い、80℃の熱風乾燥機で15分間乾燥し、凹版印刷版を得た。得られた凹版印刷版1の彫刻部について、彫刻深度を、形状解析レーザー顕微鏡VK−X250((株)キーエンス製)、倍率20倍で測定した。彫刻感度が高いほど彫刻深度は深くなり、精細な画像再現する上で彫刻深度は10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上である。
(2)耐摩耗性
凹版印刷版1を、hermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着し、インクにPAD−PLV−1インキ白(ナビタス(株)製)を用いて、5万回スキージし、凹版印刷版1の彫刻深度を形状解析レーザー顕微鏡VK−X250((株)キーエンス製)、倍率20倍で測定し、印刷前後の彫刻深度差を摩耗された深さとした。摩耗された深さが10μm以上である場合は、印刷中にインクを充填する凹部が浅くなるため印刷不具合が発生する。連続印刷をする上で、摩耗深さは10μm未満であることが好ましく、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。
(3)ブレードによるインク掻き取り性
高湿度環境下におけるインクの掻き取り性の評価を行った。上記(1)彫刻適性に記載の方法で得た凹版印刷版を、温度30℃、相対湿度80%の環境下に24時間静置したのち、hermetic6−12 universal(TAMPOPRINT社製)に装着し、インクにPAD−PLV−1インキ白(ナビタス(株)製)を用いて、1回スキージし、印刷版の表面に残っているインクの厚みを10点測定し、その平均値を求めた。インク残りが0.5μm以上である場合は、印刷画像部以外にインクが転写するため印刷不具合が発生する。インク厚みの平均値が0.3μm未満であればA、0.3μm以上〜0.4μm未満であればB、0.4μm以上〜0.5μm未満であればC、0.5μm以上をDとして評価した。
前記(1)〜(3)の評価方法により印刷版の特性を評価した結果を表3に示す。
Figure 2021098320
Figure 2021098320

Claims (16)

  1. 支持体上に少なくとも、レーザー彫刻用樹脂層を設けたレーザー彫刻用印刷版原版であって、レーザー彫刻用樹脂層が、該樹脂層の質量を100質量%としたとき、
    (A)部分ケン化ポリ酢酸ビニルを20〜40質量%、
    (B)赤外線吸収性の無機粒子を5〜40質量%、
    (C)酸素原子を含む無機粒子を5〜30質量%、
    (D)架橋性化合物を5〜30質量%、
    (E)塩基性窒素を有する高分子化合物を10〜30質量%、
    有するレーザー彫刻用印刷版原版。
  2. 前記(B)赤外線吸収性の無機粒子が、カーボンブラックおよび鉄含有無機粒子からなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子である、請求項1に記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  3. 前記カーボンブラックおよび鉄含有無機粒子からなる群から選ばれる少なくとも一種の粒子が、表面をアニオン性基で修飾されたものである、請求項2に記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  4. 前記アニオン性基がカルボキシル基である、請求項3に記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  5. 前記(C)酸素原子を含む無機粒子の平均粒子径が0.5μm以上4μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  6. 前記(C)酸素原子を含む無機粒子が(i)非晶質シリカ、(ii)アルミナ粒子、(iii)非晶質シリカおよびルミナ粒子の複合酸化物粒子、並びに(i)〜(iii)のいずれか2つ以上を含む混合物を有する、請求項1〜5のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  7. 前記(C)酸素原子を含む無機粒子の比表面積が10m/g以下である請求項1〜6のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  8. 前記(C)酸素原子を含む無機粒子の真球度が0.90以上である、請求項1〜7のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  9. 前記(D)架橋性化合物がユリア樹脂、メラミン樹脂および多官能エポキシ基含有化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜8のいずれかに記載のレーザー彫刻版原版。
  10. 前記(E)塩基性窒素を有する高分子化合物がポリアミド、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、およびポリエチレンイミンから選ばれる少なくとも1種である請求項1〜9のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  11. 前記(D)架橋性化合物と(E)塩基性窒素を有する高分子化合物の質量%の比率(D)/(E)が0.5以上1.5以下である、請求項1〜10のいずれかに記載のレーザー彫刻印刷版原版。
  12. 前記(E)塩基性窒素を有する高分子がピペラジン環を主鎖に有するポリアミドである請求項1〜12のいずれかに記載のレーザー彫刻用印刷版原版。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のレーザー彫刻用版原版にレーザーを照射して前記レーザー彫刻用樹脂層を彫刻し、レリーフを得る工程を有するレーザー彫刻凹版印刷版の製造方法。
  14. 前記レーザーが近赤外レーザーである、請求項13に記載のレーザー彫刻凹版印刷版の製造方法。
  15. レーザーの照射工程の後、水、低級アルコール、炭化水素溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む液体でレリーフをリンスする工程を有する請求項13または14に記載のレーザー彫刻凹版印刷版の製造方法。
  16. 請求項13〜15のいずれかに記載の製造方法で得られたレーザー彫刻凹版印刷版を用いたパッド印刷の印刷方法。
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