JP2021098152A - 気液混合装置及び気液混合方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガスと液状物とを混合するために用いる気液混合装置において、攪拌動力を上げなくても、供給された気泡を攪拌槽内の全体に効率よく分散し混合することができる気液混合装置及び気液混合方法を提供すること。【解決手段】本発明の気液混合装置は、攪拌槽と、攪拌機と、バッフル板と、ガス供給管とを備え、攪拌槽は円形又は全ての角が90°以上である多角形の底面形状を持つ筒状であり、延在部は、少なくとも一部が攪拌槽内の液状物の上部に発生する循環流とその下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置され、バッフル板は、幅方向を、攪拌槽の内壁側から前記攪拌槽の中心に向けて配置されており、ガス供給管は、攪拌槽の内部に向けてガス供給口を有し、ガス供給口は、攪拌翼より下方に配置されるものである。【選択図】図2

Description

本発明は、気液混合装置及び気液混合方法に関する。より詳しくは、ガスと液状物とを混合するために用いる気液混合装置において、攪拌槽内の全体に効率よく分散し混合することができる気液混合装置及び気液混合方法に関する。
化学プラント等における化学反応のために、攪拌翼を用いて攪拌槽内の液状物の攪拌混合を行う混合装置が広く用いられている。このような混合装置においては、攪拌動力を増加させることなく液状物の混合効率を高めるために、種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、攪拌槽の中心に攪拌軸を垂下し、その攪拌軸の下端に攪拌翼を設けるとともに、攪拌翼の外方側近傍に配置されるように攪拌槽底部に固定した羽根を設けた混合装置が提案されている。特許文献1の混合装置によれば、攪拌槽の内壁面近傍で下方から上方への流れが生じ、この流れが中心部及びその近傍に集まって、中心部及びその近傍では上方から下方への流れが生じ、その底部において底部に固定した羽根により旋回流が半径方向への吐出流へと変換され、混合効率を高められることが報告されている。
また、特許文献1によれば、軽い粉体や固形物を溶解又は分解する場合には攪拌槽の内壁面にバッフル板を設けるとともに、攪拌翼の上方に補助攪拌器具を設けることも提案されている。このようにバッフル板及び補助攪拌器具を用いることで、粉体や固形物を下方に送り込む循環流を形成できることも報告されている。
特開2018−027544号公報
ところで、気液混合装置では、通常、攪拌槽の下部から気泡を供給する。このようにして供給された気泡は、液状物の攪拌流によって拡散しようとする。このとき、内部にバッフル板を設けると攪拌流は攪拌槽内を上昇しやすくなるが、攪拌動力が弱い場合等には、このような気泡が攪拌槽の上部に至るまでに合一が進みすぎ、また、気泡が十分に拡散しない。このように攪拌動力が弱い場合等には、攪拌槽全体として混合が十分でないことがあった。
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたものであり、ガスと液状物とを混合するために用いる気液混合装置において、攪拌動力を上げなくても、供給された気泡を攪拌槽内の全体に効率よく分散し混合することができる気液混合装置及び気液混合方法を提供することを目的とする。
攪拌槽の内部にバッフルを設ける場合において、攪拌槽内の液状物の下部に発生する攪拌流が、攪拌槽内の液状物の上部に発生する循環流と相互に逆向きの回転方向を持って流れる場合がある。それらの流れの境界(以下、「循環流境界」ということもある。)において生じる攪拌槽の内壁から攪拌軸(攪拌槽中心)に向けた流れ(以下、「循環流境界流れ」ということもある。)が、攪拌槽の上部の循環流に属する液状物と下部の攪拌流に属する液状物との間で混合を阻害する場合がある。このような場合に、循環流境界における流れによる混合の阻害は、攪拌軸から攪拌槽の内壁に向けて延在する延在部を含む補助攪拌具の一部が循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置することで抑制できる。具体的に、本発明は、以下のものを提供する。
(1)第1の実施形態に係る発明は、攪拌槽と、攪拌機と、バッフル板と、ガス供給管とを備え、前記攪拌槽は、円形又は全ての角が90°以上である多角形の底面形状を持つ筒状であり、且つその内部に液状物を収容可能であり、前記攪拌機は、前記攪拌槽の上部より垂下した攪拌軸と、該攪拌軸に対して略垂直に設けられた攪拌翼と、該攪拌軸から該攪拌槽の内壁に向けて延在する延在部を含む補助攪拌具とを有し、該延在部は、少なくともその一部が該攪拌槽内の前記液状物の上部に発生する循環流とその下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置され、前記バッフル板は、前記攪拌槽を上面視した場合に、その幅方向を、前記攪拌槽の内壁側から前記攪拌槽の中心に向けて配置されており、前記ガス供給管は、前記攪拌槽の内部に向けてガス供給口を有し、該ガス供給口は、前記攪拌翼より下方に配置される、気液混合装置である。
(2)第2の実施形態に係る発明は、第1の発明において、前記延在部は、棒形状を有する、気液混合装置である。
(3)第3の実施形態に係る発明は、第1又は第2の発明において、前記ガス供給管は、円環形状を有する、気液混合装置である。
(4)第4の実施形態に係る発明は、第1乃至第3のいずれかの発明において、前記ガス供給管は、前記ガス供給口を複数有する、気液混合装置である。
(5)第5の実施形態に係る発明は、ガスと液状物とを混合する気液混合方法であって、円形又は全ての角が90°以上である多角形の底面形状を持つ筒状の攪拌槽であって、該攪拌槽を上面視した場合に、幅方向が該攪拌槽の内壁側から該攪拌槽の中心に向かうようにバッフル板が配置された攪拌槽の内部に液状物を収容し、攪拌ガス供給管のガス供給口から該攪拌槽にガスを供給して、該液状物と該ガスとを攪拌機で混合するに際し、前記攪拌機として、前記攪拌槽の上部より垂下した攪拌軸と、該攪拌軸に対して垂直に設けられた攪拌翼と、該攪拌軸から該攪拌槽の内壁に向けて延在する延在部を含む補助攪拌具とを有し、該延在部は、少なくともその一部が該攪拌槽内の前記液状物の上部に発生する循環流とその下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置されるものを用い、前記ガス供給管として、該ガス供給口が前記攪拌翼より下方に配置されるものを用いて前記混合を行う、気液混合方法である。
本発明によれば、ガスと液状物とを混合するために用いる気液混合装置において、攪拌槽の下部から供給された気泡を攪拌槽内の全体に効率よく分散し混合することができる。
本実施形態に係る気液混合装置の横断面模式図である。 本実施形態に係る気液混合装置の縦断面模式図である。 バッフルを設けた攪拌槽に液状物を収容しこれを攪拌した際に生じる液状物の流れを示す模式図である。 補助攪拌具の取り付け器具の模式図である。 本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。 本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。 本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。 本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。 本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。 本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。 本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。 循環流境界の算出方法について説明するための気液混合装置の縦断面模式図である。
以下、本発明の具体的な実施形態(以下、「本実施形態」という)について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。なお、各図面において同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
本実施形態において、固体、液体、気体(ガス)、とは、物質の三態そのものをいう。液状物は、(純粋な)液体、ガス(ガス供給管から導入されたガスも含む)を含む液体、溶液及びスラリーを含む概念である。
≪気液混合装置≫
本実施形態に係る気液混合装置は、攪拌槽と、攪拌機と、バッフル板と、ガス供給管とを備えるものであり、攪拌槽に収容された液状物にガスを供給して気液混合を行うものである。
図1は、本実施形態に係る気液混合装置の横断面模式図である。また、図2は、本実施形態に係る気液混合装置の縦断面模式図である。図1及び図2に示すとおり、気液混合装置1は、攪拌槽11と、攪拌機12と、バッフル板13と、ガス供給管14とを備えるものである。攪拌槽11には液状物Lが収容されている。攪拌機12は、攪拌軸121と、攪拌軸121に設けられる攪拌翼122と、補助攪拌具123を有する。補助攪拌具15は、少なくともその一部が液状物Lの上部に発生する循環流と下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置される延在部124を有する。また、ガス供給管14の攪拌槽内部側の先端にはガス供給口が設けられている。なお、循環流、攪拌流及び循環流境界の詳細については、図3を用いて後述する。
このような気液混合装置1は、例えば液状物Lにガスを供給しそのガス中の成分を液状物L中に溶解させて溶液を得るために用いることができる。また、薬液を含む液状物Lにガスを供給して薬液とガス中の成分との間で化学反応を生じさせて反応生成物を得るために用いることもできる。このように、気液混合装置1は、ガスと液状物Lを混合することを目的とする用途であれば、あらゆる用途に用いることができる。なお、気液混合装置1は、必要に応じて、攪拌槽11内に薬剤や溶媒等を供給するための供給機構を設けてもよい。
図3は、バッフルを設けた攪拌槽に液状物を収容し、これを攪拌した際に生じる液状物の流れを示す模式図である。
以下、図3を用いて、循環流界面Bの形成メカニズムを説明する。攪拌槽11の内壁から攪拌軸121への流れ(循環流界面流れ)は、攪拌槽11内の液状物Lの攪拌と、液状物Lへのガスの供給と、攪拌槽11内に設けられたバッフル板13とによって生じる。
攪拌翼122が回転すると、攪拌槽11の下部に向かって液状物が吐出され、攪拌による流れが発生する。その攪拌による流れのうち攪拌軸121に平行な成分は、攪拌翼122から攪拌槽11の底面に向かう流れになる。また、攪拌軸121に垂直な成分は攪拌翼122から攪拌槽11の内壁に向かうが、この成分は攪拌翼122の回転方向の成分を持つ旋回流れである。
攪拌による流れのうち攪拌槽11の底面に向かう主要な成分は、攪拌槽11の底面に衝突し、そのまま底面に沿って攪拌槽11の内壁に向かう流れとなる。そして、この流れが内壁に衝突すると、その後、内壁に沿って上方に向かう流れとなる。
攪拌による流れのうち攪拌軸121に垂直な成分は、攪拌槽11の内壁に衝突した後、内壁に沿って攪拌羽根の回転方向に旋回する流れとなる。しかしながら、バッフル板13が設置されていることにより、バッフル板13と衝突して流れの方向が変わり、攪拌軸121に垂直な成分と合流し、上方に向かう上昇流となる。
また、攪拌槽11内の液状物は、攪拌機12による攪拌によって攪拌槽11内を循環している。攪拌による流れのうち攪拌槽11の内壁に沿って上昇流となり、循環流境界Bに沿う流れとなり最終的に攪拌翼122の上部に到達する。この流れはそこから再度、攪拌槽11内を攪拌軸121方向に向かう流れとなって攪拌槽11の下部に向かって吐出される。攪拌槽11内の液状物が絶えず以上のことを繰り返して、循環する攪拌流Sを形成する。
一方、ガス供給管14から供給されたガスは、攪拌槽11内の液状物L中で気泡となる。気泡には、周囲の液成物Lとの密度差によって浮力が生じる。ここで、攪拌による流れは、攪拌翼122からガス供給管14、ガス供給管14から攪拌槽11の底面、内壁、循環流境界B、循環流境界Bの攪拌軸121の近傍と進むにつれて流速が遅くなり、流れ中の気泡を***させる力(いわゆる剪断応力)も小さくなる。このようにして遅くなった攪拌による流れの中では、気泡同士が合一し、次第に気泡径が大きくなってゆく。気泡に生ずる浮力は、気泡の径の3乗に比例する。また、気泡と流れとの間に生ずる抗力は、気泡の径の2乗に比例する。したがって、気泡がある程度大きくなると、浮力が、攪拌槽11内の下降流の間に作用する抗力よりも強くなり、下降流を離れて気泡が浮上するようになる。下降流を離れて浮上する気泡が発生することによって、気泡に働く液の抗力の反作用が生じ、その気泡の周囲の流れは上昇流となる。したがって、攪拌軸121付近において、攪拌槽11の特定の高さを境界として、それよりも上部は上昇流、それよりも下部は下降流となる。このようにして、攪拌流Sの上部に攪拌軸121に生じる上昇流を含む攪拌流Sとは逆回転の循環流Cが形成される。この逆回転の循環流Cは、攪拌槽11の内壁近傍を経て、攪拌軸121へ流れる流れが攪拌流Cの上部の流れと接した状態となる。この浮力による循環流Cと攪拌流Sの接した部分に循環流界面Bが形成され、攪拌槽11から攪拌軸121に向けた循環流界面流れが生じる。
本実施形態に係る気液混合装置1においては、循環流界面Bに、攪拌軸121から攪拌槽11の内壁に向けて延在する延在部124を含む補助攪拌具123を設けて、攪拌軸121の回転にしたがい、攪拌翼122とともに回転させる。これにより、循環流境界流れを、この補助攪拌具及びこの補助攪拌具123が生成する流れに衝突させて循環流境界流れとは異なる流れを作ることで、攪拌槽11内の液状物Lの上部と下部との間の混合を促進することができる。
以下、図1及び図2を用いて、気液混合装置1について、より詳細に説明する。
[攪拌槽]
攪拌槽11は、円形又は全ての角が90°以上である多角形の底面形状を持つ筒状の槽(容器)である。この攪拌槽11は、少なくとも一方の端部(底面)が閉じており、その内部に液状物Lを収容可能である。一方で、他方の端部(上面)は、開いていても、閉じていてもよい。
上面(閉じている場合)及び底面としては、それぞれが平面となるものに限定されず、垂直方向に切断した縦断面図において上面や底面に曲率を有する部分を含むものや、上面や底面と内壁との間に曲率を有する部分を含むものを用いることができる。
撹拌槽の底面形状が多角形である場合、多角形の全ての角が90°以上であれば特に限定されないが、100°以上であることが好ましく、110°以上であることがより好ましく、120°以上であることがさらに好ましく、130°以上であることが特に好ましい。
上述したとおり、液状物Lとしては、特に限定されず、溶液状の液を用いることも、溶媒に固形分が分散されたスラリー状の液を用いることもできる。薬液等としては、化学反応に寄与するもの、更には薬液の成分調整剤や化学反応に寄与しない微量の分散剤や界面活性剤なども含むこともできる。また、薬液等を含む液には溶剤や希釈液等の液も含むことができる。この内部で化学反応が生じる場合、その種類についても特に限定されない。
[攪拌機]
攪拌機12は、攪拌槽11の上部より垂下した攪拌軸121と、その攪拌軸121に対して垂直に設けられた攪拌翼122と、攪拌軸12から攪拌槽11の内壁に向けて延在する延在部を含む補助攪拌具123とを有するものである。この攪拌機12は、例えばモーターを有し、このモーターの回転が攪拌軸12に伝達されて攪拌する、攪拌軸12が回転軸として回転することで、攪拌槽11に収容された液状物Lを攪拌して攪拌流を生じさせ、この攪拌流によってガス供給管14から供給されるガスと混合するものである。
攪拌翼122としては、軸流を発生させ得るものであれば特に限定されず、具体的に、図1及び図2に示すプロペラ翼や、パドル翼を用いることができる。また、攪拌翼122としては、軸ブレを防止するために、2枚以上の攪拌羽根から構成されるものを用いることが好ましい。例えば攪拌翼122としてプロペラ翼を用いる場合、羽根の数は3枚以上であってよい。また、攪拌翼122としてパドル翼を用いる場合、羽根の数は2枚以上であってよい。いずれの場合も、羽根の数は、例えば16枚以下であることが好ましいが、17枚以上であってもよい。
また、攪拌軸121は、攪拌槽11の横断面図において、その中心が攪拌槽11の断面の中心と一致するように配置することが好ましい。
[バッフル板]
バッフル板13は、攪拌槽11内に配置されており、攪拌槽11を上面視した場合に、その幅方向を、攪拌槽11の内壁側から攪拌槽11の中心に向けて、起立して配置されるものである。攪拌機12によって発生した液状物の流れは、主として水平方向に旋回する流れであるが、バッフル板13を用いることにより、垂直(上下)方向の流れをより強いものとすることができる。しかしながら、この垂直(上下)方向の流れが弱い場合、攪拌槽11の下部に発生する攪拌流が上部まで到達せずに、攪拌槽11の上部に発生する循環流と相互に逆向きの回転方向を持って流れる。この下部の攪拌流と、上部の循環流の境界(循環流境界)では、双方の流れはいずれも攪拌槽11から攪拌軸121へ向けて流れて強め合う。このようにして、循環流境界に発生した攪拌槽11から攪拌軸121への方向の強い流れ(循環流境界流れ)が、攪拌槽11上部と下部の間の混合を阻害する。
ここでバッフル板13の高さとは、攪拌槽11の長手方向における距離をいう。また、バッフル板13の幅とは、攪拌槽の内槽から中心軸へ向かう方向におけるバッフル(邪魔板)の幅をいい、攪拌槽11を上面視した場合のバッフル13の面の水平方向の長さである。
バッフル板13の高さとしては、特に限定されないが、攪拌槽11の底面から液面までの距離である、液状物の液高さより高いものを用いることが好ましい。なお、バッフル板13は底面に接して配置しなくてもよい。
バッフル板13としては、1つ又は複数を用いることができる。攪拌槽11内の攪拌効率をさらに高める観点から、バッフル板13を複数用いることが好ましい。バッフル板13を複数用いる場合、攪拌槽11内の攪拌効率をより一層高める観点から、攪拌槽11を上面視した場合において、均等間隔に配置することが好ましい。
なお、バッフル板13は、攪拌槽11の内壁や底部に必ずしも接触している必要はなく、攪拌槽11の内壁や底部から離間していてもよい。
[補助攪拌具]
補助攪拌具123は、攪拌軸121から攪拌槽11の内壁に向けて延在する延在部124を含むものである。そして、延在部124は、少なくともその一部及び補助攪拌具123の延在部124が回転することによって生ずる流れ(近傍範囲に生じる有効流れ)が攪拌槽内の液状物Lの上部に発生する循環流とその下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界B及び/又はその近傍範囲に接触するように配置される。すなわち、補助攪拌具123は、少なくとも攪拌軸121の攪拌翼22よりも上方の部分から攪拌槽11の内壁に向けて延在する延在部124を有する。
ガス供給管14のガス供給口より供給された気泡は、攪拌により攪拌槽11内の液状物Lの流れに乗って、最終的に、攪拌軸121近傍で気泡の合一が進む。成長した気泡が持つ浮力が、攪拌槽11内で下降する流れによって生じる抗力よりも大きい場合に、攪拌槽11内には内壁側から攪拌槽11の中心軸側への流れが安定的に発生する。この循環流境界流れは、せん断力をほぼ有しないため、この流れを境界として、上部と下部との間で混合がほぼ行われない。
そこで、このような位置に補助攪拌具123を設けて、攪拌軸121の回転にしたがって攪拌翼122とともに回転させる。これにより、循環流境界流れをこの補助攪拌具及び補助攪拌具123の延在部124が回転することによって生ずる流れに衝突させ、その部分で混合しつつ、かつ循環流境界流れとは異なる上下方向の流れとなる。上方向の流れは槽上部の循環流Cと混合し、下方向の流れは槽下部の攪拌流Sと混合する。したがって攪拌槽11内の液状物Lの上部と下部との間の混合を促進することができる。
補助攪拌具123としては、攪拌槽11、攪拌軸121、攪拌翼122等の形状や大きさ、補助攪拌具123を設置するときの回転動力の増加等を考慮して適宜設計することができる。
補助攪拌具15の質量としては、特に限定されないが、初期の攪拌動力を上げずに攪拌効率を高める観点から、攪拌軸121と攪拌翼122の合計質量の1/2以下であることが好ましい。ただし、撹拌軸121が回り始めれば、大きな撹拌動力を要しないので、補助攪拌具15の質量は、攪拌軸121と攪拌翼122の合計質量の1/2超であってよい。
図4は、補助攪拌具の取り付け器具の模式図である。この図4に示すように、補助攪拌具123aとしては、例えば攪拌軸の周囲の少なくとも一部を覆う取り付け器具125aにおいて、外方側の面から延在するように延在部124を形成することができる。攪拌軸と延在部が一体をなして形成してもよい。
補助攪拌具123の形状としては、撹拌軸121を中心とする円盤状以外のもので、循環流境界B及び/又はその近傍範囲に接触し得る形状であれば特に限定されず、棒状、板状等や、棒状の部位を組み合わせたもの等(例えば図9参照)あらゆる形状のものであってよい。攪拌槽11内の液状物の上部の循環流Cと下部の攪拌流Sとをより効率的に混合する観点から、補助攪拌具123の回転軸121を回転軸として形成される回転体の体積を小さくすることが好ましい。例えば、矩形板状の補助攪拌具123の幅方向を、攪拌槽11の上下方向に一致させて配置するよりも、矩形枠状(例えば「ロ」の字型)の補助攪拌具123の幅方向を、攪拌槽11の上下方向に一致させて配置する方が、回転体の体積が少なくなり好ましい。これにより、補助器具に必要な動力が少なくなる。ただし、棒状の補助攪拌具を攪拌軸121に対して垂直に交差した状態で用いた場合、混合の効果が得られる範囲は、攪拌槽11の上下方向に狭いものとなる。
補助攪拌具123の数としては、1以上であれば特に限定されない。また、補助攪拌具123の大きさとしては、循環流境界B及び/又はその近傍範囲に接触し得る形状であれば特に限定されない。
図5〜11は、本実施形態に係る補助攪拌具の模式図であり、(a)は上面模式図、(b)側面模式図である。なお、補助攪拌具の「上面」、「側面」は、補助攪拌具の設置状態において、攪拌槽の「上面」、「側面」と一致する。
図5に示す補助攪拌具123bは、取り付け器具125bから延在して一直線上に配置された2つの延在部124bを有するものであり、側面図(図5(b))に示すとおり、2つの延在部124bは一の水平面に配置されている。
図6に示す補助攪拌具123cは、取り付け器具125cから延在して一直線上に配置された2つの延在部124cを有するものであり、側面図(図6(b))に示すとおり、2つの延在部124cが水平方向から30°の角度をなして配置されている。
図7に示す補助攪拌具123dは、取り付け器具125dから延在して一直線状に配置された二つの延在部124dを有するものであり、2つの延在部124dの取り付け器具125d側端部と異なる端部に、上下にさらに延在した形状を有しているものである。すなわち、このような形状は、側面図(図7(b))に示すとおり、2つの延在部124dにより「H」の文字を形成している。
図8に示す補助攪拌具123eは、取り付け器具125eから延在して配置された4つの延在部124eを有するものである。上面図(図8(a))において、4つの延在部124eがいずれも、隣接する2つ延在部と直角をなして配置される。なお、側面図(図8(b))に示すとおり、4つの延在部124eは一の水平面内に配置されている。
図9に示す補助攪拌具123fは、取り付け器具125fから8本延在した棒状部位が、取り付け器具125f側端部と異なる端部側で、一の円環状部位と接合して構成されるものである。なお、側面図(図9(b))に示すとおり、延在部124fは一の水平面内に配置されている。
図10に示す補助攪拌具123gは、図9に示す補助攪拌具123fの円環部位を部分的に切断したものと考えることもできる。補助攪拌具123gは、延在部124eを有するものである。上面図(図10(a))において、4つの延在部124gがいずれも、隣接する2つ延在部と直角をなして配置される。そして、取り付け器具125g側端部と異なる端部に、水平方向に延在部と略垂直をなしてさらに延在した形状を有している。なお、側面図(図10(b))に示すとおり、4つの延在部124gは一の水平面内に配置されている。
図11に示す補助攪拌具123hは、取り付け器具125hから延在して配置された6つの延在部124hを有するものである。上面図(図11(a))において、6つの延在部124hがいずれも、隣接する2つ延在部と60°をなして配置される。なお、側面図(図11(b))に示すとおり、6つの延在部124hは一の水平面内に配置されている。
(循環流境界の決定)
以下、循環流境界の位置(攪拌槽11の底部からの高さ)の決定方法について説明する。循環流境界は、攪拌槽11内の液状物の流れを、流向計を徐々に垂下しながら測定した場合に、上向きの流れと下向き流れが急激に変化する点である。なお、装置(大きさ、形状)、攪拌翼(大きさ、形状)、攪拌数、液状物の量、種類、ガスの供給量、気泡径等が変化すると、循環流境界も変化するので、実際の混合環境に近づけるようにする。
また、循環流境界の位置(攪拌槽11の底部からの高さ)は、計算によって算出することもできる。以下、図12を用いて詳細に説明する。図12は、循環流境界の算出方法について説明するための気液混合装置の縦断面模式図である。
攪拌槽11の内壁側の循環流境界高さをSとし、攪拌軸121側の循環流境界の高さをSとする。なお、循環流境界の高さは、攪拌槽11の底部からの距離とする。攪拌槽11の内壁側の循環流境界高さS及び攪拌軸121側の循環流境界の高さの差をyとすると、
Figure 2021098152
と表すことができる。
発明者の実験により、攪拌軸からの距離rにおける流速vを
Figure 2021098152
で表すと仮定し、反応槽内の代表流速をVとした場合に、
Figure 2021098152
と表すことができることが分かった。式(3)を用いた場合、高さSは攪拌槽11の代表長Lの10%以内の誤差で推定可能である。
なお、Vは攪拌翼11からの吐出流量Vと液状物の体積から算出ができ、吐出流量Vは、d(攪拌槽11の径)/r(攪拌翼122の直径)を用いて
Figure 2021098152
で表すことができる。
また、循環流境界流れは、攪拌槽11の底部から内壁に沿って生じた上昇する流れと、攪拌槽11の上部(液面)から内壁に沿って生じた下降する流れが合流する流れと捉えることも可能である。
仮に、攪拌槽11の底面近傍での液状物の代表速度Vbtmと液面での液状物の代表速度Vtopとを流速計で測定できる場合、攪拌槽11内の液状物の高さ(液面の高さ)hと、攪拌槽の底面から攪拌翼の最上部までの高さimptopとして、Sを以下のように求めてもよい。
Figure 2021098152
また、攪拌翼11の回転半径をr、攪拌翼122の回転数をωとすると、攪拌翼122から吐出される液状物の平均速度vは、攪拌翼122から吐出される液状物量Vを吐出面積πr で除した値(V/πr )である。一方、液状物量Vは、攪拌翼の直径を2rとしたとき、V∝ω×(2rと表される。攪拌翼122が有する攪拌羽根の幅Hと枚数nを考慮し、吐出方向を下方のみとすると、
Figure 2021098152
として、式(4)又は(5)に代入し、Vを算出する。
(循環流境界の近傍範囲)
補助攪拌具123は回転しているため、この流れに相対して動く部分と、流れから遠ざかるように動く部分が常にある。したがって、「近傍範囲」とは、補助撹拌具123の回転半径rや回転速度ωが流速よりも小さい場合でも、流れに相対して動く部分によって攪拌槽11上部と下部との間で混合する効果が得られる程度の範囲を少なくともいう。計算によって算出する場合、例えば以下のとおり算出する。
循環流境界の攪拌槽11の内壁側の高さSと、循環流境界の攪拌軸121側の高さSとの間には、差(y)が生ずる。したがって、特に補助攪拌具123として、細い棒状又は細い棒状の部位を組み合わせたものである場合には、攪拌効率を特に高める観点から、攪拌翼122において、攪拌軸121から最端部までの水平方向の長さをr(cm)、回転速度ω(rpm)とした場合、補助攪拌具123の攪拌軸121方向における設置高さの範囲は、循環流境界から上下に、
Figure 2021098152
以内の距離である。
また、気泡を***させ、気泡の径を小さくする(小径にする)効果を十分得るには、補助攪拌具123端部の移動速度が、循環流境界の流れの流速よりも大きいことが好ましい。
一操業中(例えば、逐次反応の運転開始から停止までの間や、一つのバッチ反応中)に、攪拌羽根の回転数を変動させる、ガスの供給量を変動させる等、操業条件を変更する場合において、その条件変更による影響で、循環流境界の高さが変化する場合には、それぞれの高さに合わせて複数の補助攪拌具123を設置してもよい。
また、循環流境界の変動が起こりやすく、その変動がある程度の幅をもって変化するような条件で操業する場合であっても、補助攪拌具123を複数設けて一部の近傍範囲に配置することにより生ずる有効流れのみが循環流境界と接触するように配置しても十分な混合効果が得られる。
なお、補助攪拌具として、延在部124を有する構成以外に、攪拌軸121を囲むように筒体を用いることも考えられるが、この場合には、循環流境界流れが筒体に衝突した後流速が低下し、且つ液中の剪断力が大幅に低下するため、混合効率が低下する。また、このような場合、流速と剪断力の低下から気泡が分散、***せず、合一が急速に進み気泡が粗大化して、気液界面の面積が減少し、溶解や反応の効率が大きく低下するおそれがある。
また、近傍範囲を、他の計算又は実験により算出する場合、補助攪拌具123の位置を変化させながら、混合を行う実際の条件で得られた混合率が大きく変化する点とすればよい。
[ガス供給管]
ガス供給口は、攪拌翼122より下方に配置される。
ガス供給管14のガス供給口より供給されたガスは、液中で気泡となり、それにより浮力が生ずる。循環流境界流れを安定した位置に定常的に存在させるためには、ガス供給管14近傍では気泡に生ずる浮力を小さい状態に保つこと、及び攪拌機12による攪拌による循環流れに乗せることが好ましい。気泡径が小さいほど浮力は小さくなるが、そのためには気泡をガス供給管14近傍で攪拌流に乗せることが好ましい。そのため、ガス供給管14の位置としては、攪拌翼122の下方に配置することが好ましい。
また、ガス供給管14は、単数又は複数の配管等のガス供給口を備えてよい。液状物に供給されたガスを気泡として効率良く分散させ、循環流境界流れを高さ方向に偏りが少ないように発生させるために、ガス供給管14としては、リング型スパージャーを用いることが好ましい。なお、ガスの供給は攪拌軸を中心に偏りなく配置することができれば形状は問わない。
ガス供給量としては、特に限定されないが体積基準で、液状物の量に対して、毎秒1/100000以上1/100以下であることが好ましく、1/50000以上1/200以下であることがより好ましく、1/20000以上1/500以下であることがさらに好ましい。
ガスの種類としては、特に限定されず、例えば空気、窒素、酸素等のガスを、液状物中で所望する化学反応に応じて用いることができる。なお、液状物中で薬液等を含む液とガス間でのみ反応する、直接的な薬剤として機能するガスの他に、液状物中での化学反応に影響を与える形で反応に寄与する、反応助剤として機能するガスを含むこともできる。例えば、液状物中での化学反応において、液状物中の溶存酸素がこの化学反応に影響する場合、ガス供給管14より窒素を供給して溶存酸素量を低下させることで、その影響を低減させる場合における窒素がこれに相当する。
[薬液等添加部]
本実施形態に係る気液混合装置1は、その用途に応じて、薬液等添加部(図示せず。)を設けてもよい。薬液等添加部は薬液等を、攪拌槽11の液状物中に添加するものである。
薬液は、液状の溶液やスラリー等、又は固形物を含んだ液など、所望する化学反応に応じたものを含有させたものを使用することができる。また、薬液の成分調整剤や化学反応に寄与しない微量の分散剤や界面活性剤なども含むこともできる。
≪気液混合方法≫
本実施形態に係る気液混合方法は、例えば上述した気液混合装置1を用いて行うことができる方法であり、具体的に、円形又は全ての角が90°以上である多角形の底面形状を持つ筒状の攪拌槽11であって、攪拌槽11を上面視した場合に、幅方向が攪拌槽11の内壁側から攪拌槽11の中心に向かうようにバッフル板13が配置された攪拌槽11の内部に液状物を収容し、攪拌ガス供給管のガス供給口から該攪拌槽にガスを供給して、液状物とガスとを攪拌機12で混合するに際し、攪拌機12として、攪拌槽11の上部より垂下した攪拌軸121と、攪拌軸121に対して垂直に設けられた攪拌翼122と、攪拌軸121から攪拌槽11の内壁に向けて延在する延在部124を含む補助攪拌具123とを有し、延在部124は、少なくともその一部が攪拌槽11内の液状物の上部に発生する循環流とその下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置されるものを用い、ガス供給管14として、ガス供給口が攪拌翼122より下方に配置されるものを用いることを特徴とするものである。
以下、本発明の実施例を示してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
攪拌軸121側の循環流境界の高さSについて、上記式(3)により算出される値と、実測値の整合を確認すべく、以下の実験を行った。
内径dmの円筒形の攪拌槽の内壁に、幅1/11d、長さ0.96hのバッフル板n枚を、攪拌槽底面の円の中心角がいずれも等しくなるよう等間隔で設けた。
試験No1〜4については、バッフル板は攪拌翼より下部に設置した。また、バッフル板は、攪拌槽底面及び内壁から離間させずに配置した。
その他の例においては、バッフル板は、攪拌翼より下部に設置した。バッフル板は、攪拌槽底面から0.04h離間させた。また、バッフル板は、内壁から0.03h離間させた。
このような攪拌槽内に、液状物を攪拌槽の高さの8割の高さ、例えば、試験No.1の場合、槽高さ0.39mに対して底部から0.31mの高さになるまで収容した。
攪拌翼は回転直径2rm、攪拌羽根の幅H、攪拌羽根数n枚であるものを用いた。攪拌翼は、試験中、回転数ωrpmで攪拌させた。
ガス供給管は直径1/40dの円形で、直径φmm弱のガス供給口をその周方向に均等になるよう32箇所設けた。このガス供給管により、気泡径は約1mmとなる。なお、ガス供給口は全て上方を向けて配置した。ガスの供給は0.7kg/sの速度で供給した。
下記表1に、撹拌槽の内径d、攪拌槽内の液状物高さh、攪拌羽根の直径2r、攪拌羽根の幅(直径と垂直方向)H、羽根の枚数n、攪拌軸の回転数ω、攪拌軸の径rs、液面で観察される気泡径φ(予想値)、攪拌軸近傍の循環流境界の高さSの実測値(表1において、「実測値」と記載する。)及び式(3)を用いて計算したSの計算値(表1において、「Sの計算値」と記載する。)、反応容器の代表長さ、Sの誤差率を示す。なお、「Sの誤差率」とは、Sの実測値とSの計算値との差(絶対値)を、攪拌槽の代表長で除した値である。また、実測方法は、攪拌槽内の液状物の流れを、流向計を徐々に垂下しながら測定した場合に、上向きの流れと下向き流れが急激に変化する点である。
Figure 2021098152
試験No.1〜10いずれにおいても、循環流境界の誤差率は10%を下回り、循環流境界の攪拌軸付近での高さを、上記式(3)を用いて決定することができることが分かった。
[実施例]
内径8.68m、高さ10.4mの円筒形の攪拌槽の内壁に、幅0.75m、長さ 10mのバッフル板3枚を、攪拌槽底面の円の中心角120°間隔で設けた。バッフル板は攪拌槽底面から0.4m離間し、攪拌翼より下部に設置した。また、内壁とは0.3m離間させた。
攪拌翼は回転直径3m、攪拌羽根数16枚のものを用いた。攪拌翼は、試験中、回転数43rpmで攪拌させた。
補助攪拌具は、A〜Cの合計3種類用意した。補助攪拌具Aは、長さ方向に垂直な断面が5cmの正方形状である、長さ2mの棒状体を、攪拌軸を基準として水平且つ対称となるように取り付けたものである。補助攪拌具Bは、縦断面形状がHの字型の器具であり、攪拌軸から(棒の長さ方向と垂直な)断面が5cmの正方形状、長さが0.63の2本の棒状体を攪拌軸から水平方向に延びるように、且つ2本の棒状体が一直線上になるように配置した(Hの字型の水平方向の1本の線に該当する。)。この2本棒状体の攪拌軸側と他端側に、長さ2mの棒状体の中央部をその長さ方向が鉛直方向と一致するように、取り付けた(Hの字型の鉛直方向の2本の線に該当する。)。補助器具Cは、長さ方向に垂直な断面が5cmの正方形状である、長さ1.7mの棒状体を、攪拌軸を基準として水平且つ対称となるように取り付けたものを、上下2箇所に設けたものである。
ガス供給管は直径6mの円形で、直径1mm弱のガス供給口をその周に沿って均等になるよう32箇所設けた。このガス供給管により、気泡径は約1mmとなる。なお、ガス供給口は全て上方を向けて配置した。ガスの供給は0.68kg/sの速度で供給した。
薬液の添加口は、攪拌槽の液状物の液面よりも上方の同じ高さに6箇所配置した。攪拌軸を中心に7.4m径の円(攪拌槽の底面と同心円)周上に、薬液の添加口6箇所及びバッフル板3箇所の径9箇所が隣接する箇所といずれも中心角40°をなすように配置した。薬液は500kg/sの速度で撹拌槽内に供給した。また、薬液の排出はオーバーフロー方式し、容器底面から高さ方向に10.4mの位置から排出させた。
攪拌の様子を確認するため、ガス供給口の近傍からサフラニンを用いて赤色に着色済みのメタクリル樹脂(比重約1g/cm)を投入した。メタクリル樹脂は径1mmの球形で親水性が高いものを用いた。サフラニン基準で、計100g相当分を、1g/1s相当の速度で投入した。
試験は次の手順で行った。まず、ガス供給管からガスと、攪拌槽上部から液状物を供給し、液高が10.4mになった段階で攪拌を開始した。攪拌開始から約30分経過後、流向計を用いて循環流境界の高さを測定した。循環流境界の高さの計測は深度方向に計測器を引き下ろし、流向が変化する点を測定した。その後、樹脂の投入口から水に分散させた樹脂の投入を開始した。液面を観察し、投入から液面近傍が市販の色見本帳と見比べ「うすもも」色に相当する色でほぼ均一となるまでの時間を測定した。攪拌効率は、時間と攪拌機の動力の積の逆数で評価した。下記表2には、補助攪拌具を設定していない比較例の攪拌効率(時間と攪拌機の動力の積の逆数)の値を100%とした場合の数値を示す。
下記表2に、循環流境界の位置、補助撹拌具の種類(上記A〜Cのいずれか)、延在部の(延在方向に垂直な断面の)断面形状、延在部の長さ、撹拌半径r、1.2√(ωr)、補助撹拌具の位置、液状物の粘度、液状物の密度、均一混合に要した動力、均一混合に要した時間、撹拌効率(相対値)を示す。なお、循環流境界及び補助撹拌具の位置は、攪拌槽底部からの垂直距離である。
Figure 2021098152
表2に示す結果から、補助攪拌具の延在部及び補助攪拌具が生成する有効流れが循環流境界に接触するように配置することにより、撹拌槽内の液状物の撹拌効率が高まることが分かった。
1 気液混合装置
11 攪拌槽
12 攪拌機
121 攪拌軸
122 攪拌翼
123、123a、123b、123c、123d、123e、123f、123g、123h 補助攪拌具
124、124a、124b、124c、124d、124e、124f、124g、124h 延在部
125、125a、125b、125c、123d、123e、123f、123g、123h 取り付け器具
13、13a、13b バッフル板
14 ガス供給管
L 液状物
S 攪拌流
C 循環流
B 循環流境界

Claims (5)

  1. 攪拌槽と、攪拌機と、バッフル板と、ガス供給管とを備え、
    前記攪拌槽は、円形又は全ての角が90°以上である多角形の底面形状を持つ筒状であり、且つその内部に液状物を収容可能であり、
    前記攪拌機は、前記攪拌槽の上部より垂下した攪拌軸と、該攪拌軸に対して略垂直に設けられた攪拌翼と、該攪拌軸から該攪拌槽の内壁に向けて延在する延在部を含む補助攪拌具とを有し、該延在部は、少なくともその一部が該攪拌槽内の前記液状物の上部に発生する循環流とその下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置され、
    前記バッフル板は、前記攪拌槽を上面視した場合に、その幅方向を、前記攪拌槽の内壁側から前記攪拌槽の中心に向けて配置されており、
    前記ガス供給管は、前記攪拌槽の内部に向けてガス供給口を有し、該ガス供給口は、前記攪拌翼より下方に配置される、
    気液混合装置。
  2. 前記延在部は、棒形状を有する、
    請求項1に記載の気液混合装置。
  3. 前記ガス供給管は、円環形状を有する、
    請求項1又は2に記載の気液混合装置。
  4. 前記ガス供給管は、前記ガス供給口を複数有する、
    請求項1乃至3のいずれか1項に記載の気液混合装置。
  5. ガスと液状物とを混合する気液混合方法であって、
    円形又は全ての角が90°以上である多角形の底面形状を持つ筒状の攪拌槽であって、該攪拌槽を上面視した場合に、幅方向が該攪拌槽の内壁側から該攪拌槽の中心に向かうようにバッフル板が配置された攪拌槽の内部に液状物を収容し、攪拌ガス供給管のガス供給口から該攪拌槽にガスを供給して、該液状物と該ガスとを攪拌機で混合するに際し、
    前記攪拌機として、前記攪拌槽の上部より垂下した攪拌軸と、該攪拌軸に対して垂直に設けられた攪拌翼と、該攪拌軸から該攪拌槽の内壁に向けて延在する延在部を含む補助攪拌具とを有し、該延在部は、少なくともその一部が該攪拌槽内の前記液状物の上部に発生する循環流とその下部に発生する攪拌流との間に存在する循環流境界及び/又はその近傍範囲に接触するように配置されるものを用い、
    前記ガス供給管として、該ガス供給口が前記攪拌翼より下方に配置されるものを用いて前記混合を行う、
    気液混合方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023151308A1 (zh) * 2022-02-14 2023-08-17 江南大学 一种具有自吸和气液分散功能的搅拌器

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