JP2021096018A - 樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、樹脂の乾燥に必要な時間やエネルギーを低減して、樹脂を効率的に乾燥することを可能とする樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法を提供する。【解決手段】マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波加熱手段を含み、前記定在波の作用により前記マイクロ波照射空間内に配した樹脂ペレットの蒸発成分を加熱して除去し、該樹脂ペレットを乾燥させる、樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法。【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法に関する。
樹脂の成形加工では、樹脂原料として粒状の樹脂ペレットが、通常、使用される。この樹脂ペレットを熱溶融させて金型に入れ、固めることで目的の形状の樹脂成形品を得ている。
樹脂ペレットは、表面に水分が付着していたり、樹脂ペレットが吸湿していたりすると成形不良を生じやすい。そのため、樹脂ペレットは使用前に十分に乾燥して使用される。この乾燥は、乾燥温度や乾燥時間を決めて、それを忠実に守ることが必要とされ、多くの時間やエネルギーを費やして、樹脂の乾燥処理を行っている。樹脂ペレットの乾燥技術に関し、例えば特許文献1には、樹脂ペレットに加熱した乾燥空気を連続的に供給する乾燥装置が提案されている。
特開2017−190921号公報
特許文献1に記載されたような成形前の樹脂ペレットに加熱、乾燥した空気を吹き付ける乾燥処理では、多くの時間やエネルギーを費やすため、樹脂成型品の製造コストが高くなる。
本発明は、樹脂成形品の原料とする樹脂ペレット等を、より少ないエネルギーで、短時間に乾燥することを可能とする樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
[1]
マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波加熱手段を含み、
前記定在波の作用により前記マイクロ波照射空間内に配した樹脂ペレットの蒸発成分を加熱して除去し、該樹脂ペレットを乾燥させる、樹脂乾燥装置。
[2]
前記マイクロ波加熱手段は、前記マイクロ波照射空間を有する空胴共振器と、前記空胴共振器にマイクロ波を供給するマイクロ波供給手段とを含む、[1]に記載の樹脂乾燥装置。
[3]
前記マイクロ波照射空間内にガスを導入するガス導入手段と、蒸発した前記蒸発成分を含むガスを該マイクロ波照射空間外に排出するガス排出手段とを有する、[1]又は[2]に記載の樹脂乾燥装置。
[4]
前記マイクロ波照射空間内から該空間外に、蒸発した前記蒸発成分を含むガスを排出するガス排出手段を有する、[1]又は[2]に記載の樹脂乾燥装置。
[5]
前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくはTEm0n(m、nは1以上の整数)である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂乾燥装置。
[6]
前記マイクロ波照射空間内の共振周波数を検出する周波数検出器、及び/又は、前記マイクロ波照射空間内に配された樹脂ペレットの温度を測定する温度検出器と、
前記周波数検出器で検出した共振周波数の変化量に基づいて、及び/又は、前記温度検出器で検出した温度の変化量に基づいて、前記樹脂ペレット中の蒸発成分の量を検知し、検知された蒸発成分の量に基づいて前記マイクロ波加熱手段のマイクロ波照射条件を制御する制御部と
を有する、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂乾燥装置。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂乾燥装置を有する樹脂成形装置。
[8]
前記樹脂乾燥装置により乾燥された樹脂ペレットが供給される樹脂供給口を有する[7]に記載の樹脂成形装置。
[9]
マイクロ波のシングルモードの定在波を樹脂ペレットに照射し、該定在波の作用により該樹脂ペレットの蒸発成分を加熱して除去し、該樹脂ペレットを乾燥させることを含む、樹脂乾燥方法。
[10]
前記樹脂ペレットの蒸発成分量の変化もしくは前記樹脂ペレットの温度変化を検知し、当該検知に基づいて前記マイクロ波の出力条件を制御する、[9]に記載の樹脂乾燥方法。
[11]
前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくはTEm0n(m、nは1以上の整数)モードである、[9]又は[10]に記載の樹脂乾燥方法。
[12]
[9]〜[11]のいずれかに記載の樹脂乾燥方法により得られた乾燥樹脂ペレットを樹脂原料として樹脂成形品を得ることを含む、樹脂成形方法。
本発明の樹脂乾燥装置及び樹脂乾燥方法によれば、樹脂成形品の原料とする樹脂ペレットを、より少ないエネルギーで、短時間に乾燥することが可能になる。
本発明の乾燥装置の好ましい一実施形態を模式的に示した断面図である。 本発明の乾燥装置を適用した射出成形装置を示した部分断面図である。 実施例で用いた測定装置と乾燥装置とを示した部分切り欠き斜視図である。 実施例1の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの温度を表し、右縦軸にマイクロ波出力を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例1の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例2及び比較例1(電気炉加熱)の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例3の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例4の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例5の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例6の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例7の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例8のパルス出力のマイクロ波加熱及び一定出力のマイクロ波加熱の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 比較例2の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 比較例3の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの質量減少率を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。 実施例9の結果を示した図面であり、左縦軸に樹脂ペレットの温度を表し、右縦軸に共振周波数を表し、横軸に処理時間を表した図面である。
本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して以下に説明する。本発明は、本発明で規定されること以外、下記実施形態に限定されるものではない。また、各図面に示される装置の形態は、本発明の理解を容易にするための模式図であり、各構成部材のサイズおよび相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。
[樹脂乾燥装置]
本発明の樹脂乾燥装置は、マイクロ波を照射してシングルモードの定在波を形成するマイクロ波照射空間に配された樹脂ペレットもしくは樹脂フィラメントから、その蒸発成分を、該定在波の作用により加熱して蒸発させ、樹脂ペレットを乾燥させるものである。樹脂ペレットは、通常は成形前の樹脂原料である。樹脂ペレットは、例えば粒子径(粒子の最短長)が1mm以上の粒子であり、種々の形状の形態を包含する。また、樹脂ペレットは、粒体の樹脂を広く包含する。樹脂フィラメントは、例えば太さ1mmから3mm程度のものが、3Dプリンタの樹脂原料供給方法として広く用いられており、この用途としてはアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)やポリ乳酸(PLA)など種々の材質のものを包含する。
しかし本発明の樹脂乾燥装置により乾燥される樹脂は樹脂ペレット、樹脂フィラメントに限られず、本発明の樹脂乾燥装置は樹脂全般の乾燥に広く適用することができる。本発明において、樹脂ペレットには樹脂フィラメントを含むものとする。
本発明において蒸発成分とは、1気圧下、樹脂の融点より低温で揮発する成分を意味する。蒸発成分としては、水、各種有機溶媒を挙げることができる。本発明の樹脂乾燥装置は、通常は、樹脂ペレットの付着水を乾燥除去するため、または、樹脂ペレット中の水分の吸湿状態を乾燥状態とするために用いられる。
本発明の乾燥装置の一実施形態について、図1を参照してその詳細を説明する。
図1に示すように、樹脂乾燥装置1は、マイクロ波を照射してシングルモードの定在波をマイクロ波照射空間11Aに形成するマイクロ波加熱手段2を有する。該マイクロ波照射空間11Aには、その中心軸Cにそって、蒸発成分を含む樹脂ペレット31を入れる容器20が配される。中心軸Cと容器20の中心軸Ctが一致するように、マイクロ波照射空間11A内に容器20が配されることが好ましい。したがって、容器20内に配される樹脂ペレット31の中心軸とも上記中心軸Cは一致していることが好ましい。
容器20の入口側には、容器20内に樹脂ペレット31を供給する樹脂供給部41が配されていることが好ましい。樹脂供給部41は、適量の樹脂ペレット31を容器20内に供給することができる。例えば、樹脂供給部41の出口側に設けた弁(図示せず)の開放時間によって樹脂ペレット31の供給量を調節して、該樹脂ペレット31を容器20に供給することができる。
該容器20は、その内部空間20Aに樹脂供給部41から供給された樹脂ペレット31が収納される。この容器20がマイクロ波照射空間11Aに配されることによって、マイクロ波照射空間11A内に発生させた定在波により、容器20内に配した樹脂ペレット31に対して集中的に定在波が照射される。その結果、樹脂ペレット31の蒸発成分を、効率的に加熱して蒸発させることができる。もしくは、樹脂ペレット31を定在波で加熱することによって蒸発成分を加熱して蒸発させることができる。
通常、樹脂ペレット31の蒸発成分の蒸発中には、気化熱が消費される。すなわち、蒸発により樹脂ペレット31から熱が奪われ、樹脂ペレット31の温度が低下して、蒸発効率が低下する。しかし、上記のように定在波による集中的なマイクロ波照射によって樹脂ペレット31の蒸発成分を加熱することにより、効率的に、目的の部位に局所的に、かつ所望の熱量で、気化熱を供給することができる。これにより、蒸発速度の低下を効果的に抑制することができる。すなわち、樹脂ペレット31にマイクロ波の定在波を照射して加熱し、蒸発によって失われた熱量分を非接触にて残された蒸発成分に供給することが可能になる。これによって、より一層の乾燥時間の短縮が可能になる。
上記については、樹脂ペレット31の樹脂成分を加熱し、樹脂成分の発熱によって蒸発成分を加熱、蒸発させる場合でも同様のことがいえる。すなわち、蒸発成分の蒸発により気化熱が消費され、その分、樹脂ペレット31の温度が低下される。その際、定在波の照射によって樹脂ペレット31の温度をさらに高めれば、気化熱による温度低下を補償して、蒸発を促進し、より一層の乾燥時間の短縮が図れる。
上記マイクロ波加熱手段2は、マイクロ波照射空間11Aを有する空胴共振器11を備えることが好ましい。また、マイクロ波照射空間11A内に定在波を形成することができる周波数のマイクロ波を供給するマイクロ波供給手段を有することが好ましい。マイクロ波供給手段は、マイクロ波を出力するマイクロ波発生器12、出力したマイクロ波を空胴共振器11内に供給するアンテナ13を含む。マイクロ波発生器12には、マイクロ波を発振するマイクロ波発振器(図示せず)を備える。それとともにマイクロ波発振器を制御する制御部14を備えることが好ましい。さらに図示はしないが、マイクロ波の減衰レベルを調節する減衰器、マイクロ波電力を増幅する増幅器、反射波を吸収するアイソレータ、反射波を抑制する整合器等を備えてもよい。
空胴共振器11は、その内部のマイクロ波照射空間11Aに定在波を形成する。定在波は、電界強度又は磁界強度の分布が極大となる部分を作り出せるモードであれば特に制限されない。すなわち、定在波の電界によって樹脂ペレット31やその蒸発成分を加熱することもでき、磁界によって樹脂ペレット31やその蒸発成分を加熱することもできる。定在波のモードの選択は、樹脂ペレット31の物理・化学的組成等に応じて適宜に行われる。
定在波は、なかでもTMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)、もしくはTEm0n(m、nは1以上の整数)のシングルモードが好ましい。このようなシングルモードの定在波の形成により、例えば、マイクロ波照射空間11Aの中心軸Cにおいて、空胴共振器11内に形成される定在波のエネルギー(電界強度または磁界強度)を極大とすることができる。また中心軸C方向に沿って、定在波のエネルギーが均一とすることができる。
なお、本発明は、定在波のエネルギーが中心軸Cに沿って極大になる形態に限定されるものではなく、中心軸Cと平行な部位に沿って、定在波のエネルギーが極大となるシングルモードを採用することもできる。この場合、中心軸Cと平行な複数の部位に沿って定在波のエネルギーが極大となるシングルモードを採用し、これらの複数の極大部位に沿って、複数の容器20を配することもできる。
図1では、このエネルギーが極大でかつ均一となる部分を中心軸Cとし、当該部分及び/又はその近傍に沿って、容器20が配される。容器20内(内部空間20A)には樹脂ペレット31が配される。中心軸Cに電界強度が極大になる定在波を形成するか、磁界強度が極大なる定在波を形成するかは、樹脂ペレット31やその蒸発成分の物性による。例えば、樹脂ペレット31やその蒸発成分が誘電損失を有する(誘電損失が大きい)場合は電界強度が極大となる定在波を用いると効率的に加熱することができる。例えば、TM010モードの定在波が発生する円筒形の空胴共振器11の場合、その中心軸Cにおける電界強度が極大となり、中心軸Cに沿って電界強度が均一になる。すなわち、樹脂ペレット31への効率的なエネルギー供給が可能となる。蒸発成分が水の場合、水の誘電損失は大きいため、電界強度が極大の部分に沿って樹脂ペレットを配することにより、水を特異的に加熱して蒸発させることができる。他方、樹脂成分は一般的には、水に比べて誘電損失が小さい。
樹脂ペレット31やその蒸発成分が磁性損失を有する(磁性損失が大きい)場合は、磁界強度が極大となる定在波を用いると効率的に加熱することができる。樹脂ペレット31が電気伝導度を有する場合は磁界強度が極大となる定在波を用いると、誘導電流によるジュール熱による加熱が可能となる。樹脂ペレット31が金属を含有する場合、電界強度の大きな部分では放電が生じる場合があるため、電界強度が極小となる定在波部分に樹脂ペレット31を配置するのが望ましい。この場合、TM110モードの定在波が発生する円筒形の空胴共振器11では、中心軸Cにおいて磁界強度が極大となり、中心軸Cに沿って磁界強度が均一になる。すなわち、樹脂ペレット31への効率的なエネルギー供給が可能となる。一方、空胴共振器11内のTM110モードの定在波の電界分布は中心軸Cの位置では電界強度は0となる。
容器20内の内部空間20Aに配される樹脂ペレット31は、容器20の内部空間20A内のすべてを満たしていてもよく、または一部を満たしていてもよい。
空胴共振器11のマイクロ波供給口15には、高周波を印加することができるアンテナ13を有することが好ましい。アンテナ13は、ケーブル16を介してマイクロ波発生器12と接続される。なお、アンテナ13は、マイクロ波発生器12と電気的に接続されていれば、その接続形態は問わない。以下「接続」とは、特に断りがない限り、電気的接続を意味する。
マイクロ波発生器12から発せられたマイクロ波をアンテナ13から空胴共振器11A内に供給することができる。マイクロ波発生器12では、増幅器(図示せず)によってマイクロ波電力を調節することができ、それによって空胴共振器11内に形成される定在波のエネルギー強度分布を制御することが可能となる。
また、アンテナ13のかわりに導波管を用いたマイクロ波供給口を設置した形態とすることもできる。供給するマイクロ波の周波数を伝送できる角筒型導波管もしくは円筒型導波管と空胴共振器とを適切な開口部を有したアイリスを介して配することで、マイクロ波発振器からのマイクロ波エネルギーを空胴共振器11に導入することができる。
なお、上記の各形態は、本発明の樹脂乾燥装置1の一例を説明したものであり、本発明の樹脂乾燥装置1は、本発明で規定すること以外は、上記の形態に何ら限定されるものではない。
定在波の周波数は、例えば、2.45GHz帯の周波数であっても5.8GHz帯もしくは915MHz帯の周波数帯であってもよく、空胴共振器11内に定在波を形成できる周波数であればよい。
例えば、空胴共振器11は、その内部のマイクロ波照射空間11Aに定在波を形成する。定在波は、上記したように、TMmn0モード(mは0以上の整数、nは1以上の整数である)又はTEm0pモード(m、pは1以上の整数である)のシングルモードである。
TMmn0の具体例として、TM0n0モードの定在波が挙げられ、TM010、TM020、TM030のモードの定在波が形成されることがより好ましい。なかでも中心軸Cに電界強度のピークが位置するという理由から、円筒型空胴共振器におけるTM010モードの定在波が形成されることがさらに好ましい。TEm0nの具体的としては、TE10nモードの定在波が挙げられ、TE101、TE102、TE103のモードの定在波が形成されることがより好ましい。
上述のように、容器20内の内部空間20Aには、樹脂ペレット31が配される。樹脂ペレット31が配されるとは、内部空間20Aに樹脂ペレット31が存在することを意味し、樹脂ペレット31が容器20内に静置している状態も、樹脂ペレット31が容器20内を移動している状態も含む意味である。樹脂ペレット31は、容器20の内部空間20A内のすべてを満たしていてもよく、または一部を満たしていてもよい。
上記容器20は、図示したように管状に形成されている場合には、空胴共振器11の下面内部側に弁(例えば、仕切弁、ボール弁、等(図示せず))を設けて、樹脂ペレット31がマイクロ波照射空間11A内に一時的に留まるようにしてもよい。このようにすることで、樹脂ペレット31を効率的にかつ十分に加熱することが可能になる。また、容器20の上部側の少なくとも一部は、蒸発成分(図示せず)を容器20内から逃がすように、開放されるか、吸引されることが好ましい。
容器20は管内に樹脂ペレット31を移動させる形態でなければ、容器20を孔が貫通した形状とする必要はなく、例えば、一端を閉じた形状(例えば試験管の形状)とすることができる。
上記樹脂乾燥装置1において、マイクロ波発生器12から供給されるマイクロ波は、周波数を調節して供給される。周波数の調節により、空胴共振器11内に形成される定在波の電界(または磁界)強度分布を所望の分布状態に制御することができる。またマイクロ波電力の出力によって定在波の強度を調節することができる。つまり、樹脂ペレット31の加熱状態を制御することが可能になる。
具体的には、下記の制御部14によって制御することができる。制御部14は、例えば、マイクロ波発生器12に内蔵されていても、又は別体に構成されていてもよい。この制御部14は、空胴共振器11のマイクロ波照射空間11A内に形成された定在波の周波数(共振周波数)に基づいて、マイクロ波発生器12から発するマイクロ波の周波数を調節する。そしてマイクロ波発振器(図示せず)より調節された周波数のマイクロ波が発振される。
マイクロ波照射空間11A内の定在波の周波数(共振周波数)を検出するため、空胴共振器11には周波数検出器17が配されていることが好ましい。周波数検出器17は、マイクロ波照射空間11A内部のエネルギー強度を計測し、その信号を処理して周波数を検出するものであればよい。
またマイクロ波発生器12は、温度検出器18の値を基にマイクロ波出力を調節することもできる。この方法として、マイクロ波発振器(図示せず)とマイクロ波増幅器(図示せず)の間に設置した減衰器(図示せず)の減衰率を調節することもできる。
上述した本発明の樹脂乾燥装置を構成する各部材、機器について、詳しく説明する。
<容器>
管構造の容器20は、外径断面及び内径断面が円形であることが好ましく、例えば円管状を成す。容器20は、マイクロ波による加熱の場合、マイクロ波を透過する材料で構成されることが好ましく、このような材料として、石英等のガラス材料、フッ素樹脂等の樹脂材料、アルミナ等のセラミック材料等を挙げることができる。容器20は、その一端側から樹脂ペレットが供給され、取り出される形態を有する。
また、空胴共振器11自体を容器として用いることもできる。この場合、空胴共振器とは別に容器を用意する必要がない。
マイクロ波により加熱した場合、容器20内の樹脂ペレット31に含まれていた水分は蒸発して気体成分として容器20内に留まることになる。その気体成分が、十分に加熱されていない樹脂ペレット部分や容器部分に接触した場合、結露や凝縮により液体の水となり、樹脂ペレットが乾燥不良となる可能性がある。このため容器20には、外部からガスを導入するガス導入手段(図示せず)と、容器20内から速やかに水分を含んだガスを導入したガスとともに排出するガス排出手段(図示せず)とを有することが好ましい。このガス導入手段とガス排出手段は、容器20内に導入したガスによって、容器20内に存する水分を含んだガスを容器20内から容器20外に追い出すようにするものである。この時導入するガスは、水分を除去した乾燥ガスが望ましい。乾燥ガスとするための水分除去手段としては、水分吸着材を用いることができる。または圧縮や冷却により発生した水分を気液分離機によって除去するものであってもよい。
または、容器内のガスを容器外に排出するガス排出手段(図示せず)を容器20に設けることによって、容器20内での結露や凝縮を防ぐことも有効である。この場合、容器内は減圧される。
上記ガス排出手段として真空ポンプが挙げられる。この真空ポンプによって、容器20内を真空状態に保つことがより有効である。
<空胴共振器>
マイクロ波処理装置に用いる空胴共振器11の形状は、一つ以上のマイクロ波供給口15を有し、マイクロ波を供給した際にシングルモードの定在波が形成されるものであれば特に制限はない。例えば、円筒形又は角筒形の空胴共振器を用いることができる。本明細書において円筒形の空胴共振器とは、該空胴共振器の中心軸Cに垂直な内側断面形状が円形であるものの他、当該断面形状が楕円形もしくは長円形であるものを含む意味に用いる。また、角筒形の空胴共振器は、中心軸Cに直角な内側断面形状が多角形であるものを意味し、当該断面形状が4〜10角形であることが好ましい。また、多角形の角が、丸みを帯びた形状であってもよい。
空胴共振器11の大きさも上記説明した形態において、目的に応じて適宜に設計することができる。空胴共振器11において中心軸Cの方向の長さは特に限定されないが、短すぎると空胴共振器11内に十分なマイクロ波電力を供給できないことがある。また供給するマイクロ波の波長をλとしたとき、長さがλ以上の場合は、その方向に向かって電界もしくは磁界分布が極大をもつ高次の定在波が形成される共振周波数と、目的の定在波の共振周波数を分離する必要がある。このため、中心軸C方向の空胴共振器の寸法はλ以下とすることが好ましい。
マイクロ波供給口15が二つ以上の場合は、お互いの位相を制御することで形成される時間平均的な定在波を用いてもよい。
空胴共振器11は、電気抵抗率の小さいものが望ましく、通常は金属製であり、一例として、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、黄銅、ステンレス、若しくはそれらの合金等を用いることができる。または、樹脂やセラミック、金属の表面に電気抵抗の小さい物質をめっき、蒸着などによりコーティングしてもよい。この場合は、空胴共振器の構造は樹脂やセラミックなど絶縁体で作製しその内面や外面に、一例として金、銀、銅、アルミニウム、亜鉛、スズ、マグネシウム、ロジウム若しくはそれらの合金等を0.1μmから1mm程度の厚さでコーティングして用いることができる。
空胴共振器11の大きさも上記説明した形態において、目的に応じて適宜に設計することができる。空胴共振器11において中心軸Cの方向の長さは特に限定されないが、短すぎると空胴共振器11内に十分なマイクロ波電力を供給できないことがある。また供給するマイクロ波の波長をλとしたとき、長さがλ以上の場合は、その方向に向かって電界もしくは磁界分布が極大をもつ高次の定在波が形成される共振周波数と、目的の定在波の共振周波数を分離する必要がある。このため、中心軸C方向の空胴共振器の寸法はλ以下とすることが好ましい。
マイクロ波供給口が二つ以上の場合は、お互いの位相を制御することで形成される時間平均的な定在波を用いてもよい。
<マイクロ波発生器>
本発明の樹脂乾燥装置1は、マイクロ波発生器12から発生したマイクロ波をマイクロ波供給口15からアンテナ13を介して空胴共振器11のマイクロ波照射空間11A内に供給することができる。マイクロ波発生器12は、前述したように、マイクロ波発振器(図示せず)を備え、またマイクロ波発振器を制御する制御部14を備えてもよく、さらに減衰器、増幅器、アイソレータ、整合器等を備えていてもよい。以下、それらを詳細に説明する。
<マイクロ波発振器>
上記マイクロ波発生器12に含まれるマイクロ波発振器としては、発振周波数を2.45GHz帯の範囲内にて調節できるマイクロ波発振器を挙げることができる。例えば、半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器や、マグネトロン等のマイクロ波発振器を用いることができる。マイクロ波の周波数を微調節できるという観点から、半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器を用いることが好ましい。半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器としては、例えばガンダイオード、アバランシェダイオード(インパットダイオード)、等を用いたマイクロ波発生器が挙げられる。もしくは、MHz帯ではコイルとコンデンサからなるLC回路による発振回路も用いることができる。また、これらの素子と周波数制御機構をパッケージ化したVCO(Voltage Controlled Oscillator)やPLL(Phase Lockd Loop)回路等も挙げることができる。マイクロ波発振器によって発生されるマイクロ波は、周波数が2.45GHz帯のマイクロ波に限定されるものではなく、915MHz帯、5.8GHz帯等、その他の周波数帯のマイクロ波を発生するものも、適宜、用いることができる。
上記のように、半導体式マイクロ波発生器として、半導体固体素子を用いたマイクロ波発振器を用いたことから、マイクロ波発振器のマイクロ波出力の微調節が容易になる。
<減衰器>
減衰器(アッテネータ)は、樹脂ペレットの温度を調節するように減衰レベルを調節し、最終のマイクロ波電力を決定する。マイクロ波増幅器の入り口レベルを減衰器で調節することで、最終出力を調節するものである。減衰器を用いないマイクロ波の調節手段として、マイクロ波増幅器の増幅率を調節する方法もある。
<制御部>
制御部14は、周波数検出器17によって検出される共振周波数の変化や、温度検出器18によって検出される温度の変化に基づいて、マイクロ波照射条件を制御する。マイクロ波照射条件としては、マイクロ波周波数、マイクロ波電力(出力)、マイクロ波照射時間、マイクロ波照射間隔、等が挙げられる。例えば、マイクロ波供給手段により供給するマイクロ波の共振周波数を制御する。この共振周波数の変化は、樹脂ペレットの、形状、組成、相及び温度等の状態の少なくともいずれかが変動することによって樹脂ペレットの誘電率が変化することによる。この誘電率の変化によって、定在波は形成される周波数が変化し得るため、この変化に対応させて供給するマイクロ波の周波数を制御することにより、目的の定在波の形成状態を維持することができる。
例えば、目的の定在波の形成状態を維持するために、マイクロ波発振器から発生するマイクロ波を、空胴共振器11のマイクロ波照射空間11A内に形成された定在波の周波数に一致するように調節する方法がある。この一致するとは、完全に一致することが好ましいが、ある範囲内、例えば1%以内の差がある場合も周波数が一致している範ちゅうに含むものとする。
制御部14の機能は上記に限定されることはなく、樹脂乾燥装置の各種機能を制御することもできる。
上記制御部14における制御方法の具体的一例を説明する。マイクロ波発生器12から発生する周波数を例えば2.45GHz帯全域又は2.45GHz帯の一部の帯域で掃引すると、周波数検出器17からのエネルギー強度の出力信号は極大値をもつ分布を得る。この極大値はマイクロ波照射空間11A内に定在波が形成できていることを意味しているので、あらかじめTM010モードの定在波の共振周波数と比較することで所定のモードの共振周波数を検出することができる。制御部14によって、このマイクロ波発生器12から発生するマイクロ波の周波数が、検出したマイクロ波の周波数に一致するように、マイクロ波発振器よりマイクロ波を発振する。
もしくは制御部14では、周波数検出器17からの出力信号を用いず、マイクロ波発生器12と空胴共振器11の間に設置する反射波検出器(図示せず)からの反射波信号を用いることもできる。この場合、反射波が小さい、つまり反射波の周波数が極小値となることが、空胴共振器11内にエネルギーが供給されて定在波が形成されていることを意味する。したがって、マイクロ波の反射波が極小値となるようにマイクロ波の共振器周波数を導出することもできる。
定在波を維持するための共振周波数を検出は定期的に行うことが望ましい。外乱が大きい場合や温度変化、体積変化、組成変化等の状態変化が大きい場合、マイクロ波照射を開始した直後は短い周期、例えば1秒以下の周期で行うことが望ましい。一方、外乱が少ない場合や、温度変化、流量変化、組成変化等の状態変化が少ない場合、マイクロ波照射を開始し十分な時間が経過し安定したのちは、長い周期、例えば1分おきに行ってもよい。
また、制御部14によれば、マイクロ波の共振周波数の変化に基づき、樹脂ペレット31中の蒸発成分の蒸発状態を検知することができる。例えば、加熱により樹脂ペレット31の水分を除去する場合、液体で存在していた水分が蒸発すると、共振周波数は上昇する。
また、樹脂ペレット31が過剰に加熱されると樹脂が変性して共振周波数が低下する場合がある。このような共振周波数の低下を検知した場合、制御部14によってマイクロ波の出力を低下させることにより、樹脂ペレット31へのエネルギー過剰供給を回避することができる。水分等の液体の蒸発成分はマイクロ波の吸収が樹脂成分よりも高いため、マイクロ波の出力を低下させても、蒸発成分はマイクロ波を効率的に吸収し、加熱され、蒸発する。
マイクロ波の出力の低下に代えて、マイクロ波をパルス状にすることで出力を調整してもよい。パルスによる出力制御としてはPWM(Pulse Width Modulation)制御を用いることもできる。PWM制御においては、共振周波数変化を利用してパルス幅(Duty比)を制御することが好ましい。パルス波形は周期的でなくてもよい。たとえばインパルス状のマイクロ波を照射後、樹脂ペレットの供給速度や樹脂の乾燥状態に応じ、不定期にインパルス状パルスを照射することで、樹脂ペレット中水分を除去することもできる。インパルス状にすることやパルス幅を短くすることは、樹脂の温度上昇を抑制することにつながるため、樹脂変性などのトラブル低減につながる。
また、共振周波数の検出に代えて、又は共振周波数の検出とともに、温度検出器18によって樹脂ペレット31の状態を検知することもできる。例えば、樹脂ペレット31の温度(樹脂ペレット31が収納されている部分の容器20の温度)を検知して温度の変化量を検出する。この温度変化量に基づいて、蒸発成分として例えば水分を有する樹脂ペレット31中の水分量を検出することや、樹脂ペレット31の加熱状態を検知することができる。
<マイクロ波増幅器>
マイクロ波発生器には、マイクロ波発振器から発生したマイクロ波を増幅する増幅器を備えることが好ましい。このマイクロ波増幅器の構成に特に制限はないが、例えば、高周波用電界効果トランジスタ(FET)を有する高周波トランジスタ回路で構成されることが、例えば小型化において好ましい。またマイクロ波増幅器の出力電力は、適宜設定することができる。照射するマイクロ波電力を調節する手段として、マイクロ波増幅器の入力段手前に減衰器を設けてもよい。もしくはマイクロ波増幅器の増幅率を調節する手段を用いてもよい。
<アイソレータ>
アイソレータは、マイクロ波発振器にて発生する反射波の影響を抑制(例えば吸収)してマイクロ波増幅器を保護するものであり、一方向(アンテナ方向)にマイクロ波が供給されるようにするものである。このアイソレータの代わりにサーキュレータを用いることもできる。サーキュレータを用いる場合には3つのポートのうち一つのポートに終端抵抗(ダミーロード)を接続する。残りの2つのポートが入力と出力になる。マイクロ波増幅器や、配線、ケーブル、コネクタ類が反射波に対して損傷を受けないレベルであれば、アイソレータもしくはサーキュレータを設けなくてもよい。
<整合器>
整合器は反射波が発生しないように反射波を抑制する機能を有することが好ましい。整合器としては、可変式のスタブチューナやスラグチューナもしくはEHチューナ等用いることができる。また、樹脂ペレットのマイクロ波吸収特性が大きく変化しない場合は、固定式の整合器を用いることもできる。また、樹脂ペレットを設置した際、一時的に整合器を調節できる半固定式の整合器を用いることができる。
例えば、回路基板上にマイクロストリップラインによって構成された線路と、該線路のインピーダンス(例えば、Sパラメータ)を調節するコンデンサとを有する構成をとることができる。また、線路には、線路のインピーダンスを調節するための線路パターン調節部を配してもよい。
マイクロ波増幅器や配線、ケーブル、コネクタ類が反射波によって損傷を受けないレベルであれば、整合器を設けなくてもよい。
<アンテナ>
アンテナ13としては磁界励起アンテナ、例えばループアンテナ、または電界励起アンテナ、例えばモノポールアンテナやダイポールアンテナ等を用いることが好ましい。アンテナ13の入力端は、整合器の線路の出力端に接続されている。
もしくは空胴共振器11にアイリスを設けた導波管を用いてマイクロ波供給口を構成することもできる。
通常、マイクロ波発振器から発せられたマイクロ波を、マイクロ波増幅器、アイソレータ、整合器を介してアンテナを通してマイクロ波照射空間11A内に供給する。
マイクロ波照射空間11A内の上記アンテナを磁界励起アンテナとなるループアンテナとする場合の端部は空胴共振器壁面など接地電位と接続することが好ましい。このアンテナにマイクロ波(高周波)を印加することで、例えばループアンテナのループ内に磁界が励振され空胴共振器内に定在波を形成する形態とすることができる。
マイクロ波照射空間11A内の上記アンテナを電界励起のモノポールアンテナ、ダイポールアンテナとする場合、端部は空胴共振器壁面に接続せず、オープンとすることが好ましい。
上記アンテナをループアンテナとして構成する場合の端面は空胴共振器壁面など接地電位と接続することが好ましい。アンテナにマイクロ波(高周波)を印加することで、ループアンテナのループ内に磁界が励振され空胴共振器11内に定在波を形成する形態とすることができる。
[樹脂成形装置]
本発明の樹脂成形装置は、上述した本発明の樹脂乾燥装置を有する。
本発明の樹脂成形装置は、本発明の樹脂乾燥装置を有していれば特に制限されず、射出成形装置、プレス成形装置、押出成形装置等、種々の成形方法を行うための成形装置が広く包含される。これらの装置の構成は、本発明の樹脂乾燥装置を有すること以外は公知であり、本発明においても、本発明の樹脂乾燥装置以外は通常の装置構成を適用することができる。
本発明の樹脂成形装置は、本発明の樹脂乾燥装置と、この樹脂乾燥装置により乾燥された樹脂ペレットが供給される樹脂供給口とを有することが好ましい。
一例として、本発明の樹脂成形装置として、射出成形装置の一実施形態を、図2を参照して説明する。なお、図2は溶融樹脂を金型に注入した後の状態を示した。
− 射出成形装置 −
射出成形装置は、通常、樹脂素材を加熱して流動性を得て、流動性を有する樹脂を金型に流し込んで成形する機械である。具体的には、樹脂ペレットを溶融し、金型に流し込み(射出・成形)、固化(冷却)し、成形品を取出す、各工程を1台の装置で処理する。通常、図2に示すように、射出成形装置50は、射出ユニット60、型締めユニット70、制御ユニット(図示せず)から構成され、射出ユニット60の樹脂ペレットを供給するホッパー61とシリンダー62の樹脂供給口63との間に、本発明の乾燥装置1が配されている。
<射出ユニット>
射出ユニット60は、例えば、ホッパー61、乾燥装置1、シリンダー62、シリンダー62内を加熱するヒータ64、シリンダー62内に配したスクリュー65、シリンダー62の先端に配したノズル66を有することが好ましい。さらにスクリュー65には、スクリュー65を回動駆動させる駆動源67が配されることが好ましい。
射出ユニット60では、ホッパー61に樹脂ペレットを投入し、乾燥装置1によって樹脂ペレットを乾燥させて、乾燥させた樹脂ペレットをシリンダー62内に供給する。ヒータ64によってシリンダー62内に供給された樹脂ペレットを加熱、溶融する。シリンダー62内の溶融した樹脂をスクリュー65によってノズル66方向に送る。シリンダー62の先端のノズル66から金型71内に溶融した樹脂を注入する。
<型締めユニット>
型締めユニット70は、金型71の装着や固定側金型72に対する稼働側金型73の開閉を行う。また溶融した樹脂の圧力に抵抗して金型71を閉じて保圧状態にして維持する。さらに金型71の冷却を行う。冷却は、金型71内に配した冷却路74内に冷媒(例えば、オイル又は水)(図示せず)を通すことによって行うことができる。また、冷却後、金型71を開けて成型加工品81の取り出しを行う。
<制御ユニット>
制御ユニット(図示せず)は、金型71による樹脂の成形条件を制御する。例えば、数値制御(NC)によって、樹脂材料の射出速度や射出圧力、シリンダー温度、金型温度、樹脂の射出量などの成形条件を指定して制御することができる。
<熱可塑性樹脂の射出成形>
熱可塑性樹脂の射出成形は、熱可塑性樹脂を高温に加熱して溶融し、それを金型に入れて冷却して固化させる。
一般的に、樹脂の融点もしくはガラス転移温度より50℃〜150℃高い温度に加熱する。これによって、高分子特有の粘度が低下される。しかし熱可塑性樹脂は、高い温度(例えば、200℃程度)で高分子の分子鎖の酸化分解が始まると言われている。すなわち熱可塑性樹脂の射出成形では、樹脂を高温にできないため、温度と粘度との関係の調節が必要となる。
熱可塑性樹脂の射出成形は、比較的早いサイクル(数秒〜数十秒)で成形できる。
<熱硬化性樹脂の射出成形>
熱硬化性樹脂の射出成形は、始めに50℃前後に加温し、樹脂に流動性を持たせた後、高温(例えば、約150℃前後)の金型へ充填して硬化(固化)させる。
熱硬化性樹脂は融体状態では分子量が低く粘度が低いため、高い充填圧力を必要としない。このため、半導体の封止装置等に利用されている。
[射出成形工程]
次に射出成形工程について説明する。射出成形工程は、順に、型締め、ノズル接、射出・保圧、冷却、型開き、取り出しの各工程が挙げられる。
<型締め>
金型71には、可動側金型72(通常はコアと称する)と固定側金型73(通常はキャビティと称する)がある。型締めは、コアをキャビティに近づけて両者を締め付ける。溶けた樹脂素材をキャビティの空胴内に充填するため、金型内には強い圧力がかかる。金型の締め付け力が弱いと製品にバリが出るので、十分な型締力を有することが必要となる。
射出成形では、ヒータ64によってシリンダー62内で樹脂ペレットを加熱して溶かす。さらにシリンダー62内に配した回動自在なスクリュー65によって溶融樹脂をかき混ぜて温度を均一にし、次に注入する分量をスクリュー65の進み具合で調節する。
<ノズル接>
金型71の型締めと樹脂の溶融化が完了した後、ノズル接を行う。すなわち、キャビティ72の空胴内に溶融樹脂を注入するために、シリンダーの先端にあるノズル66を金型71の注入口75に密着させる。通常は、金型の注入口75とノズル66の先端とが密着したノズル接の状態のまま、その後の射出・保圧等の工程を連続して行う。
<射出・保圧>
射出・保圧では、先ず溶融樹脂の射出速度を調節して金型71内に注入する射出を行う。射出速度の調節はスクリュー65の回転速度によって制御することができる。射出後、溶融樹脂に一定の圧力を加える保圧を行う。保圧は、溶融樹脂がシリンダー62に逆流しないようにする役割があり、また冷却工程による溶融樹脂の収縮を調節するために射出した樹脂にスクリュー65の回転によって圧力加える。
<冷却>
冷却は、金型71内を巡回する冷媒で一定温度に保った金型71内で射出した樹脂を冷却する。通常、金型71内の冷却水は20℃〜100℃の成形素材に最適な温度で、冷却路74内を巡回されている。冷却温度は、溶融樹脂の温度よりも低い、溶融樹脂が固化する温度であればよい。
<型開き>
冷却された樹脂が固まり成形品ができた後、成形品を取り出すために金型71を開く型開きを行う。このとき、例えば、可動側金型73が成形品と一緒に開く。
<取り出し>
続いて、金型71から成形品を取り出す。成形品の取り出しは、例えばエジェクターピン76によって金型71から成形加工品81を突き出すことによる。通常は、成形加工品81に傷がつかないようにするために、取出し機(図示せず)を使って金型からの成形加工品81の取出しを行う。
<樹脂乾燥装置>
本発明の樹脂成形装置において、樹脂乾燥装置1として、上述した本発明の樹脂乾燥装置1が適用される。
樹脂ペレット31は、樹脂乾燥装置1の樹脂供給部41に一旦収容され、樹脂供給部41から適量が容器20内に供給される。
[樹脂乾燥方法]
本発明の樹脂乾燥方法では、マイクロ波の定在波を樹脂ペレット31に照射して、該定在波の作用により該樹脂ペレット31の蒸発成分を加熱して蒸発させ、該樹脂ペレット31を乾燥させる。一例としては、容器20内に収納した樹脂ペレット31にマイクロ波の定在波を照射して該樹脂ペレット31の蒸発成分を加熱し、樹脂ペレット31を乾燥させる。本発明の樹脂乾燥方法は上述した本発明の乾燥装置1により実施することができ、その好ましい態様は、本発明の乾燥装置1の説明において説明した通りである。
以下に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
実施例1では、図1に示した樹脂乾燥装置1を用いた。樹脂乾燥装置1の空胴共振器11には、内部に円筒型のマイクロ波照射空間11Aを有する金属製の空胴共振器を用いた。このマイクロ波照射空間11Aは、TM010モードの定在波が形成できるように、マイクロ波発振器の周波数帯に応じた内径に設定した。マイクロ波照射空間11Aの内径とは、円筒型のマイクロ波照射空間の中心軸Cに直交する方向の断面形状である円形の直径をいう。また、マイクロ波照射空間11A内部のエネルギー強度を計測するために、周波数検出器17を取り付けた。
図3に示すように、樹脂乾燥装置1のマイクロ波照射空間11Aの中心軸Cに沿って、容器20を設置した。容器20は、底面側が閉じられ、上面側が開放された形状である。この容器20は、空胴共振器11の上部にある電子天秤100(METTLER AE200)底面のフック(図示せず)に樹脂製の糸110を介して接続した。したがって、マイクロ波照射をしながら樹脂ペレットを入れた状態の容器20の質量を随時計測可能な構造となっている。
マイクロ波発生器12(図1参照)に備えたマイクロ波発振器には、周波数を調節できるVCO発振器(Voltage Controlled Oscillator)を用いた。マイクロ波発振器の発振周波数は、空胴共振器11内にTM010モードの定在波が維持できる周波数となるように、周波数検出器17(図1参照)からの信号を制御して調節した。
今回用いたマイクロ波発生器12は、半導体式マイクロ波発生器(2.4〜2.5GHz、最大出力100W)であり、空胴共振器11には、内径91mm、容器20への照射長さは32mmのものを用いた。容器20には,硼ケイ酸ガラス製の内径16mm、内容量6ml、質量6gのものを用い、電界が極大となる空胴共振器11の中心軸C上に容器20の中心軸Ctが沿うように設置した。容器側面の温度を放射温度計(図示せず)で計測しながら、設定温度まで出力を調整してマイクロ波照射を行った。
実施例1では、マイクロ波照射を行いながらアクリル製の樹脂ペレットの乾燥を行った。
容器20に樹脂ペレット31としてアクリル製の樹脂ペレット(住友化学(株)SUMIPEX LG)を2g入れて、設定温度90℃にて約4時間、マイクロ波照射を行った。樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径3mm、長さ3mmの円柱状であった。該「長さ」とは、円柱軸方向の長さであり、以下同様である。実験時の室内温度は29℃、相対湿度は約70%であった。図4にマイクロ波照射時の温度およびマイクロ波出力の経時変化を示す。照射開始から5分(300秒)以内に設定温度に到達し、以降は90℃±1℃で推移した。なお、90℃で安定している時のマイクロ波出力は、平均4Wであった。
図5にマイクロ波照射時の共振周波数およびアクリル製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。マイクロ波照射により、アクリル製の樹脂ペレットの質量減少率は徐々に上昇し、それに伴いに共振周波数も徐々に上昇した。また、両グラフは、上に凸の類似した曲線を描き、飽和する傾向を示した。マイクロ波照射終了から約3日後(室内温度29℃、相対湿度約70%)にアクリル製の樹脂ペレットの質量を測定したところ、マイクロ波照射前の質量に戻っていた。以上のことから、図5に示した、観測された共振周波数変化は、樹脂ペレット中の水分減少量を反映した値であり、共振周波数変化から樹脂ペレットの乾燥状態を推算できることがわかった。なお、マイクロ波照射後のアクリル製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。質量減少率は、[質量減少率]={[(マイクロ波照射前の容器20を含む樹脂ペレットの質量)−(マイクロ波照射前の容器20の質量)]/[(マイクロ波照射後の容器20を含む樹脂ペレットの質量)−(マイクロ波照射前の容器20の質量)]−1}×100%にて計算した。質量減少率の計算方法は、以下同様である。なお、マイクロ波照射前後における容器20の質量減少率への影響は、本実施例における条件の場合、0.03%以下であった。
[実施例2]
実施例2では、マイクロ波照射を行いながらポリアミド(ナイロン6)製の樹脂ペレットの乾燥を行った。樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径2.5mm、長さ2.5mmの円柱状であった。
実施例1と同様の装置構成にて、容器20にナイロン6製の樹脂ペレット(東レ(株)アミランCM1017)を2g入れて、設定温度90℃にて約3時間、マイクロ波照射を行った。実験時の室内温度は30℃、相対湿度は68%であった。図6にマイクロ波照射時の共振周波数およびナイロン6製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。実施例1の図5と同様に、共振周波数変化とナイロン6製の樹脂ペレットの質量減少率は良い対応を示すことがわかった。なお、マイクロ波照射後のナイロン6製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
[比較例1]
比較例1では、電気炉を用いてナイロン6製の樹脂ペレットの乾燥を行った。
実施例1で用いた容器20と同じ容器に、実施例2と同じポリアミド(ナイロン6)製の樹脂ペレット(東レ(株)アミランCM1017)を2g入れて、設定温度100℃にて約3時間、電気炉(ヤマト科学 KDF300Plus)にて乾燥を行った。加熱1時間毎に、電気炉から容器20を取り出し、電子天秤にて容器20を含む樹脂ペレットの質量測定を行った。実験時の室内温度は30℃、相対湿度は68%であった。図6に電気炉乾燥を行った時の質量減少率を合わせて示す。電気炉乾燥はマイクロ波乾燥に比べて質量減少率が小さいことから、乾燥に時間がかかることがわかった。
[実施例3]
実施例3では、マイクロ波照射を行いながらポリエチレンテレフタレート製の樹脂ペレットの乾燥を行った。樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径3mm、長さ3mmの円柱状であった。
実施例1と同様の装置構成にて、容器20にポリエチレンテレフタレート製の樹脂ペレット((株)ベルポリエステルプロダクツ I−PET IP121B)を2g入れて、設定温度100℃にて約3時間、マイクロ波照射を行った。実験時の室内温度は27℃、相対湿度は70%であった。図7にマイクロ波照射時の共振周波数およびポリエチレンテレフタレート製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。実施例1の図5と同様に、共振周波数変化とポリエチレンテレフタレート製の樹脂ペレットの質量減少率は良い対応を示すことがわかった。なお、マイクロ波照射後のポリエチレンテレフタレート製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
[実施例4]
実施例4では、マイクロ波照射を行いながらポリエチレン製の樹脂ペレットの乾燥を行った。ポリエチレン製の樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径4mm、長さ3mmの円柱状であった。
実施例1と同様の装置構成にて、容器20にポリエチレン製の樹脂ペレット(日本ポリエチレン(株)カーネル KC580S)を2g入れて、設定温度90℃にて約1時間、マイクロ波照射を行った。実験時の室内温度は21℃、相対湿度は53%であった。図8にマイクロ波照射時の共振周波数およびポリエチレン製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。実施例1の図5と同様に、共振周波数変化とポリエチレン製の樹脂ペレットの質量減少率は良い対応を示すことがわかった。なお、マイクロ波照射後のポリエチレン製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
[実施例5]
実施例5では、マイクロ波照射を行いながらポリプロピレン製の樹脂ペレットの乾燥を行った。樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径4mm、長さ3mmの円柱状であった。
実施例1と同様の装置構成にて、容器20にポリプロピレン製の樹脂ペレット(日本ポリプロ(株)ノバテックPP MA3)を2g入れて、設定温度90℃にて約30分間、マイクロ波照射を行った。実験時の室内温度は21℃、相対湿度は50%であった。図9にマイクロ波照射時の共振周波数およびポリプロピレン製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。実施例1の図5と同様に、共振周波数変化とポリプロピレン製の樹脂ペレットの質量減少率は良い対応を示すことがわかった。なお、マイクロ波照射後のポリプロピレン製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
[実施例6]
実施例6では、マイクロ波照射を行いながらポリアミド(ナイロン12)製の樹脂ペレットの乾燥を行った。樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径3mm、長さ2.5mmの円柱状であった。
実施例1と同様の装置構成にて、容器20にナイロン12製の樹脂ペレット(宇部興産(株)UBESTA 3014B)を2g入れて、設定温度90℃にて約3時間、マイクロ波照射を行った。実験時の室内温度は21℃、相対湿度は47%であった。図10にマイクロ波照射時の共振周波数およびナイロン12製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。実施例1の図5と同様に、共振周波数変化とナイロン12製の樹脂ペレットの質量減少率は良い対応を示すことがわかった。なお、マイクロ波照射後のナイロン12製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
[実施例7]
実施例7では、マイクロ波照射を行いながらナイロン66製の樹脂ペレットの乾燥を行った。樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径3mm、長さ3mmの円柱状であった。
実施例1と同様の装置構成にて、容器20にナイロン66製の樹脂ペレット(東レ(株)アミランCM3001−N)を2g入れて、設定温度90℃にて約4時間、マイクロ波照射を行った。実験時の室内温度は21℃、相対湿度は47%であった。図11にマイクロ波照射時の共振周波数およびナイロン66製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。実施例1の図5と同様に、共振周波数変化とナイロン66製の樹脂ペレットの質量減少率は良い対応を示すことがわかった。なお、マイクロ波照射後のナイロン66製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
[実施例8]
実施例8では、温度安定時にほぼ一定出力となるマイクロ波照射条件とパルス波でのマイクロ波照射条件にて白色のポリアミド(ナイロン)製の樹脂ペレットの乾燥を行った。実施例1と同様の装置構成にて、容器20に白色のナイロン製の樹脂ペレットを2g入れて、設定温度100℃にて75分間(パルス出力の場合)及び110分間(一定出力の場合)、マイクロ波照射を行った。樹脂ペレット1粒子のサイズは、直径1.5mm、長さ3mmの円柱状であった。一定出力となるマイクロ波照射では、マイクロ波周波数2400〜2415MHz、マイクロ波出力7Wで照射を行った。パルス波でのマイクロ波照射の場合、約10秒間に1秒間のマイクロ波照射を繰り返すことで設定温度を保持した。パルス波のマイクロ波周波数は2400〜2415MHzであり、最大出力は55W,最小出力は50Wであった。
図12にマイクロ波照射時の白色のナイロン製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。乾燥初期は、一定出力での照射もパルス波での照射もほぼ同じ変化を示したが、乾燥後期は、パルス波での照射の方が質量減少率は大きく、パルス波の方が短時間での樹脂乾燥が可能であることがわかった。乾燥初期の主体である白色のナイロン製の樹脂ペレット表面部の水分蒸発に関して、一定出力での照射もパルス波での照射も乾燥速度に与える影響はほぼ同等であったと推察される。これに対して、乾燥後期の主体である白色のナイロン製の樹脂ペレット内部からの水分蒸発に関しては、パルス波による大出力のマイクロ波照射を繰り返した方が、水分の樹脂表面への移動が促進されて乾燥速度が向上したと推察される。なお、マイクロ波照射後の白色のナイロン製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
[比較例2]
比較例2では、電気炉を用いて実施例8で用いた白色のポリアミド(ナイロン)製の樹脂ペレットの乾燥を行った。
実施例8で用いた容器20と同じ容器に、白色のナイロン製の樹脂ペレットを2g入れて、設定温度110℃にて約4時間、電気炉にて乾燥を行った。実験時の室内温度は25℃、相対湿度は約70%であった。加熱1時間毎に質量測定を行ったところ、加熱前後での質量減少率が3.1%にまで到達するのに4時間を要した。なお、加熱4時間以降は、質量減少率は3.1%から変動しなかった。図13に電気炉乾燥を行った時の白色のナイロン製の樹脂ペレットの質量減少率を示す。電気炉加熱は、約1時間のマイクロ波照射で質量減少率は3.1%になるマイクロ波乾燥に比べて質量減少率が小さいことから、乾燥に時間がかかることがわかった。
[比較例3]
比較例3では、実施例8で用いた白色のポリアミド(ナイロン)製樹脂ペレットに対してマイクロ波照射を行いながら設定温度120℃で乾燥を行った。図14にマイクロ波照射時の共振周波数および白色のナイロン製の樹脂ペレットの質量減少率の経時変化を示す。質量減少率は増加する一方で、共振周波数は経時的に減少する傾向を示した。また、マイクロ波照射後の樹脂ペレットは融着していた。マイクロ波照射により水分蒸発だけでなく樹脂の変質が生じており、共振周波数が減少する挙動を示す場合は、設定温度が高く、変質が生じ得るといえる。以上より、共振周波数の挙動は、樹脂乾燥が適切な温度で行われているかを見極める指標ともなることがわかった。
[実施例9]
実施例9では、915MHz帯のマイクロ波発振器を用いてマイクロ波照射を行いながら白色のポリアミド(ナイロン)製樹脂ペレットの乾燥を行った。
マイクロ波発生器12と空胴共振器11の大きさに関して、半導体式マイクロ波発生器(900〜930MHz、最大出力300W)を用い、内径237mm、容器20への照射長さは40mmの空胴共振器11を用いた。容器20には、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(PFA)製の内径33mm、内容量30ml、質量29gのものを用いた。そして、電界が極大となる空胴共振器11の中心軸C上に容器20の中心軸Ctが沿うように設置した。容器側面の温度を放射温度計で計測しながら、設定温度まで出力を調整しながらマイクロ波照射を行った。上記以外の装置構成は実施例1と同様とした。
容器20に白色のナイロン製の樹脂ペレットを15g入れて、設定温度80℃にて約1.5時間、マイクロ波照射を行った。実験時の室内温度は25℃、相対湿度は約70%であった。図15にマイクロ波照射時の温度および共振周波数の経時変化を示す。設定温度である80℃±1℃で推移し、80℃で安定している時のマイクロ波出力は、平均3Wであった。共振周波数の経時変化は上に凸の曲線を描き、徐々に飽和していった。約1.5時間のマイクロ波照射前後での白色のナイロン製の樹脂ペレットの質量減少率は2.4%であり、また、マイクロ波照射終了から約3日後(室内温度25℃、相対湿度約70%)に白色のナイロン製の樹脂ペレットの質量を確認したところ、マイクロ波照射前の質量に戻っていた。以上のことから、915MHz帯のマイクロ波を用いても樹脂の乾燥は可能であることが分かった。なお、マイクロ波照射後の白色のナイロン製の樹脂ペレットに溶融や変色は見られなかった。
1 乾燥装置
2 マイクロ加熱手段
11 空胴共振器
11A マイクロ波照射空間
12 マイクロ波発生器
13 アンテナ
14 制御部
15 マイクロ波供給口
16 ケーブル
17 周波数検出器
18 温度検出器
20 容器
20A 内部空間
31 蒸発成分を含む樹脂ペレット(樹脂ペレット)
41 樹脂供給部
50 射出成形装置
60 射出ユニット
61 ホッパー
62 シリンダー
63 樹脂供給口
64 ヒータ
65 スクリュー
66 ノズル
67 駆動源
70 型締めユニット
71 金型
72 固定側金型(キャビティ)
73 稼働側金型(コア)
74 冷却路
75 注入口
76 エジェクターピン
81 成型加工品
C 空胴共振器の中心軸
Ct 容器の中心軸

Claims (12)

  1. マイクロ波を照射してマイクロ波照射空間内にシングルモードの定在波を形成するマイクロ波加熱手段を含み、
    前記定在波の作用により前記マイクロ波照射空間内に配した樹脂ペレットの蒸発成分を加熱して除去し、該樹脂ペレットを乾燥させる、樹脂乾燥装置。
  2. 前記マイクロ波加熱手段は、前記マイクロ波照射空間を有する空胴共振器と、前記空胴共振器にマイクロ波を供給するマイクロ波供給手段とを含む、請求項1に記載の樹脂乾燥装置。
  3. 前記マイクロ波照射空間内にガスを導入するガス導入手段と、蒸発した前記蒸発成分を含むガスを該マイクロ波照射空間外に排出するガス排出手段とを有する、請求項1又は2に記載の樹脂乾燥装置。
  4. 前記マイクロ波照射空間から該空間外に、蒸発した前記蒸発成分を含むガスを排出するガス排出手段を有する、請求項1又は2に記載の樹脂乾燥装置。
  5. 前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくはTEm0n(m、nは1以上の整数)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂乾燥装置。
  6. 前記マイクロ波照射空間内の共振周波数を検出する周波数検出器、及び/又は、前記マイクロ波照射空間内に配された樹脂ペレットの温度を測定する温度検出器と、
    前記周波数検出器で検出した共振周波数の変化量に基づいて、及び/又は、前記温度検出器で検出した温度の変化量に基づいて前記樹脂ペレット中の蒸発成分の量を検知し、検知された蒸発成分の量に基づいて、前記マイクロ波加熱手段のマイクロ波照射条件を制御する制御部と
    を有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂乾燥装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂乾燥装置を有する樹脂成形装置。
  8. 前記樹脂乾燥装置により乾燥された樹脂ペレットが供給される樹脂供給口を有する請求項7に記載の樹脂成形装置。
  9. マイクロ波のシングルモードの定在波を樹脂ペレットに照射し、該定在波の作用により該樹脂ペレットの蒸発成分を加熱して除去し、該樹脂ペレットを乾燥させることを含む、樹脂乾燥方法。
  10. 前記樹脂ペレットの蒸発成分量の変化もしくは前記樹脂ペレットの温度変化を検知し、当該検知に基づいて前記マイクロ波の出力を制御する、請求項9に記載の樹脂乾燥方法。
  11. 前記定在波は、TMmn0(mは0以上の整数、nは1以上の整数)もしくはTEm0n(m、nは1以上の整数)モードである、請求項9又は10に記載の樹脂乾燥方法。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載の樹脂乾燥方法により得られた乾燥樹脂ペレットを樹脂原料として樹脂成形品を得ることを含む、樹脂成形方法。
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