JP2021089964A - コーティング粒子粉末およびその製造方法 - Google Patents

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正明 田邉
Masaaki Tanabe
正明 田邉
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泰史 藤本
Yasushi Fujimoto
泰史 藤本
今村 博之
Hiroyuki Imamura
博之 今村
大熊 崇文
Takafumi Okuma
崇文 大熊
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Abstract

【課題】絶縁膜が複数層形成され、渦電流の抑制性能に優れ、かつ、高い耐圧性を有するコーティング粒子を含むコーティング粒子粉末およびその製造方法を提供する。【解決手段】コーティング粒子粉末は、金属を含む軟磁性体粒子10と、軟磁性体粒子10の表面上に形成された第1無機絶縁膜20と、第1無機絶縁膜20の表面上に形成された第2無機絶縁膜30と、を有するコーティング粒子100を含む。【選択図】図1

Description

本発明は、軟磁性体粒子を絶縁被覆したコーティング粒子を含むコーティング粒子粉末、およびその製造方法に関する。
近年、ハイブリッドカーの普及や電気自動車の登場により、これまで以上に移動手段に関する分野での、電気モータの重要性が高まりつつある。また、自動車や船舶、飛行機等の移動手段だけでなく、産業機器や一般家庭における電化製品等においても、電気モータの用途は拡大している。
さらに、電気モータに限らず、インバータやトランス、リアクトルなど、交流で使用されるパワーエレクトロニクス機器の鉄心としても、軟磁性材料は使用されている。鉄心が高周波で励磁されると、ヒステリシス損および渦電流損が発生する。ヒステリシス損は励磁する周波数に比例する。これに対して、渦電流損は周波数の2乗に比例する。このため、今後、市場から一層期待される小型・高効率・低損失のパワーエレクトロニクス機器の実現には、軟磁性材料を用いた鉄心の渦電流の低減と高抵抗化とが欠かせない。
前記鉄心の渦電流を低減し、高抵抗化するための技術として、例えば特許文献1には、鉄粉表面に絶縁膜を形成して圧粉成型し、その後に酸化雰囲気中で熱処理を行う技術が開示されている。当該技術では、鉄粉どうしの界面に、鉄の酸化物とFe−Si酸化物とを含む酸化影響層を形成している。
国際公開第2013/108643号
上記特許文献1に開示された技術では、鉄粉表面にリン酸化成処理を行うことで、Fe−P系の無機絶縁膜を形成した後、シリコーン系樹脂による無機絶縁膜を形成し、さらにこれを熱処理している。そのため、2段階の絶縁膜形成工程が必要であり、絶縁膜形成のコストと生産性の観点から望ましくない。また、鉄粉がアモルファスである場合、圧粉成型後の高温での熱処理によって、鉄粉が多結晶化する。その結果、得られる磁性体の磁気特性が劣化してしまう。また、軟磁性材料には、高い耐圧性も求められているが、高い耐圧性と、渦電流の抑制性能とを兼ね備えたコーティング粒子が得られていないのが実状であった。
上記課題を鑑み、渦電流の抑制性能に優れ、かつ高い耐圧性を有するコーティング粒子を含むコーティング粒子粉末の提供、および当該コーティング粒子粉末を少ない工数、かつ低温での熱処理によって製造する方法の提供を目的とする。
本開示は、以下のコーティング粒子粉末を提供する。
軟磁性体粒子と、前記軟磁性体粒子表面上に形成された第1無機絶縁膜と、前記第1無機絶縁膜の上に形成された第2無機絶縁膜と、を有する、コーティング粒子を含むコーティング粒子粉末。
本開示は、以下のコーティング粒子粉末の製造方法も提供する。
表面に第1無機絶縁膜を有する軟磁性体粒子を準備する工程と、前記第1無機絶縁膜の表面に第3無機絶縁膜を形成する工程と、前記第3無機絶縁膜を形成した粒子を熱処理し、前記第1無機絶縁膜および前記第3無機絶縁膜を反応させ、前記第1無機絶縁膜および前記第3無機絶縁膜の界面に第2無機絶縁膜を形成する工程と、を含む、コーティング粒子粉末の製造方法。
本開示に係るコーティング粒子粉末は、渦電流の抑制性能に優れ、かつ高い耐圧性を有するコーティング粒子を含む。また、本開示に係るコーティング粒子粉末の製造方法によれば、少ない工数、かつ低温での熱処理によってコーティング粒子を製造することができる。
本開示の実施の形態1に係るコーティング粒子の断面構造を示す概略断面図である。 本開示の実施の形態1に係るコーティング粒子の前駆体の断面構造を示す概略断面図である。 本開示の実施の形態2に係るコーティング粒子の断面構造を示す概略断面図である。 本開示の第1実施例に係るコーティング粒子の断面を示す透過型電子顕微鏡(TEM)写真の一例である。 本開示の第1実施例に係るコーティング粒子の断面のEDXプロファイルである。 本開示の第1実施例に係るコーティング粒子を用いて作製した成型体の絶縁耐圧性と、絶縁膜としてシリコン酸化膜を有するコーティング粒子を用いて作製した成型体の絶縁耐圧性と、を比較したグラフである。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態に係るコーティング粒子粉末およびその製造方法について説明する。本開示の実施の形態は、以下に説明する実施の形態に限定されず、他のさまざまな実施の形態に変更して実施することができる。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係るコーティング粒子の熱処理前の断面構造を示す概略断面図である。本開示の実施の形態1に係るコーティング粒子粉末は、軟磁性体粒子10と、軟磁性体粒子10の表面を被覆する第1無機絶縁膜20と、第1無機絶縁膜20を被覆する第2無機絶縁膜30と、第2無機絶縁膜30を被覆する第3無機絶縁膜40と、を備えたコーティング粒子100を含む。コーティング粒子粉末は、コーティング粒子100の他に、本開示の目的および効果を損なわない範囲において、適宜、他の成分を含んでいてもよい。
コーティング粒子100が、複数層の絶縁膜を有することにより、コーティング粒子粉末の渦電流の抑制性能が良好になる。また、コーティング粒子100において、複数の絶縁膜が積層されていると、絶縁膜が一層からなる場合と比較して、耐圧性も良好になる。
つまり、実施の形態1に係るコーティング粒子粉末によれば、コーティング粒子100が、積層された絶縁膜(第1無機絶縁膜20、第2無機絶縁膜30、および第3無機絶縁膜40)を有するため、高耐圧かつ渦電流の抑制性能に優れた軟磁性材料を得ることができる。
なお、コーティング粒子粉末中のコーティング粒子100の平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。当該平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される値である。コーティング粒子100の平均粒子径が当該範囲であると、コーティング粒子粉末を種々の用途に適用しやすい。
以下に、このコーティング粒子粉末(コーティング粒子100)を構成する構成要素について説明する。
<軟磁性体粒子10>
軟磁性体粒子10は、軟磁性材料を主に含む粒子であればよく、その材料は、純鉄粉、Fe−Si合金、センダスト、パーマロイ、パーメンジュール等の鉄もしくは鉄を含む合金とすることができる。また、軟磁性体粒子10の材料は、FeおよびSiを含む非晶質(アモルファス)粒子、ナノ結晶粒子等であってもよい。非晶質粒子やナノ結晶粒子は、FeおよびSi以外の元素を含んでいてもよく、他の元素の例にはB、C、P、Cu、Co、Ni、Nb、Al、Cr、Ti、Nb、Ta、Zr等が含まれる。軟磁性体粒子10は、これらを1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
また、軟磁性体粒子10の結晶構造は特に制限されず、ナノ結晶構造を有していてもよく、非晶質構造を有していてもよく、これらの混合構造であってもよい。非晶質構造を有する軟磁性体粒子10を、500℃以下の温度で適切な加熱処理することで、その一部に結晶サイズが約10nm〜20nmのナノ結晶構造が形成される。非晶質構造の一部にナノ結晶構造を有する軟磁性体粒子10によれば、軟磁性体粒子10の保磁力を低下させることが可能になる。
軟磁性体粒子10の平均粒子径は、0.1〜100μmが好ましく、5〜50μmがより好ましい。当該平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される値である。軟磁性体粒子10の平均粒子径が当該範囲であると、コーティング粒子粉末を種々の用途に適用しやすい。
<第1無機絶縁膜20>
第1無機絶縁膜20は、軟磁性体粒子10の表面に形成された、無機物からなる膜である。第1無機絶縁膜20の例には、上述の軟磁性体粒子10が含む金属(軟磁性材料)の自然酸化膜または熱酸化膜が含まれる。例えば、軟磁性体粒子10がFeを含む場合、第1無機絶縁膜20は、Feの酸化膜であるFeOであってもよい。第1無機絶縁膜20は、軟磁性体粒子10が含む軟磁性材料やOだけでなく、軟磁性体粒子10が含むPやB等の不純物元素や他の元素を含んでもよい。また、第1無機絶縁膜20は、後述する第2無機絶縁膜30や第3無機絶縁膜40が含む元素(例えばSi)を一部に含んでいてもよい。
第1無機絶縁膜20の膜厚は数nm〜100nm程度である。第1無機絶縁膜20の膜厚は、例えばコーティング粒子100の断面を透過型顕微鏡で観察すること等によって確認できる。
<第2無機絶縁膜30>
第2無機絶縁膜30は、軟磁性体粒子10の表面を被覆する第1無機絶縁膜20の表面をさらに被覆する、無機物からなる膜である。第2無機絶縁膜30は、上述の軟磁性体粒子10が含む軟磁性体金属と、後述の第3無機絶縁膜40が含む元素との化合物を主に含む膜である。例えば、後述の第3無機絶縁膜40がシリコン酸化膜である場合、第2無機絶縁膜30は、軟磁性体粒子10が含む軟磁性体金属のシリケート膜であってもよい。
より具体的には、軟磁性体粒子10がFeを含み、第3無機絶縁膜40がシリコン酸化膜である場合、第2無機絶縁膜30は、組成式FeSiOで表される膜とすることができる。第2無機絶縁膜30は、軟磁性体粒子10が含むPやB等の不純物元素や、他の元素をさらに含んでいてもよい。
第2無機絶縁膜30の膜厚は通常、10nm〜数十nmである。第2無機絶縁膜30の膜厚は例えばコーティング粒子100の断面を透過型顕微鏡で観察すること等によって確認できる。
<第3無機絶縁膜40>
第3無機絶縁膜40は、第2無機絶縁膜30の表面をさらに被覆する無機物からなる膜である。第3無機絶縁膜40の例には、シリコン酸化膜(SiO)、酸化アルミニウム膜(Al)、酸化クロム膜(Cr)、酸化チタン膜(TiO)、酸化亜鉛膜(ZnO)等が含まれる。これらの中でも、シリコン酸化膜(SiO)が好ましい。
第3無機絶縁膜40は、SiやAl、Cr、Ti、Zn等およびOだけでなく、軟磁性体粒子10中が含むPやB等の不純物元素や、他の金属元素を含んでいてもよい。
第3無機絶縁膜40の膜厚は10nm〜100m程度である。第3無機絶縁膜40の膜厚は、例えばコーティング粒子100の断面を透過型顕微鏡で観察すること等によって確認できる。
<コーティング粒子の製造方法>
・軟磁性体粒子10の形成方法
軟磁性体粒子10の形成方法は特に制限されず、軟磁性材料の種類や、所望の平均粒子径等によって適宜選択される。軟磁性体粒子10は、例えばアトマイズ法によって形成してもよく、粉砕等によって形成してもよい。またこのとき、必要に応じて分級等を行ってもよい。
・第1無機絶縁膜20の形成方法
第1無機絶縁膜20を自然酸化膜とする場合、上述の軟磁性体粒子10をアトマイズ法や粉砕法等で作製する際に、大気雰囲気中でハンドリングして、第1無機絶縁膜20を形成してもよい。つまり、軟磁性体粒子10の作製と同時に、第1無機絶縁膜20を形成してもよい。また、軟磁性体粒子10を一定期間、大気雰囲気中に放置することで、第1無機絶縁膜20を形成してもよい。大気中の酸素と軟磁性体粒子10の表面とが反応することで、第1無機絶縁膜20が形成される。
また、上述の軟磁性体粒子10を100℃〜300℃程度の温度で加熱して、熱酸化膜を形成し、これを第1無機絶縁膜20としてもよい。いずれの方法においても、所望の厚み(10nm〜100nm程度)の第1無機絶縁膜20が形成される。
・第3無機絶縁膜40の形成方法
本実施の形態のコーティング粒子100を作製する場合、図2に示すように第1無機絶縁膜20および第3無機絶縁膜40を積層したコーティング粒子の前駆体100aを先に作製する。第1無機絶縁膜20の表面に第3無機絶縁膜40を形成したコーティング粒子の前駆体100aの断面構造を図2に示す。
第3無機絶縁膜40の形成方法は、第3無機絶縁膜40の種類によって適宜選択される。例えば、第3無機絶縁膜40がシリコン酸化膜である場合、第1無機絶縁膜20を形成した軟磁性体粒子10の存在下、ゾルーゲル法により、アルコキシシラン化合物のアルコキシ基の加水分解・脱水縮合反応を行うことで、第1無機絶縁膜20の表面に第3無機絶縁膜40を形成できる。アルコキシシラン化合物の例には、テトラメトキシシランやテトラエトキシシラン等が含まれる。
以下、第3無機絶縁膜40の形成方法を、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いてSiO膜を形成する場合を例に具体的に説明する。
第1無機絶縁膜20で被覆された軟磁性体粒子10を、TEOS、アンモニア水(触媒)、およびエタノール(溶媒)を含む混合溶液中に浸漬する。そして、攪拌後、溶媒を乾燥させることで、第1無機絶縁膜20の表面に第3無機絶縁膜40としてSiO膜を形成する。SiO膜の膜厚は、TEOSの量や、触媒のアンモニア水の量、攪拌時間等の諸条件を変化させることで調整でき、例えば10nm〜200nmとすることができる。当該SiO膜の膜厚は、所望の第2無機絶縁膜30の厚み、および第3無機絶縁膜40の厚みに応じて適宜調整する。
なお、ゾルーゲル法におけるTEOSの加水分解・脱水縮合反応に用いる溶媒は、エタノールに限定されず、例えば2−プロパノール(IPA)等を用いることもできる。また、触媒もアンモニア水に限定されず、例えば塩酸や硝酸等を用いることもできる。
・第2無機絶縁膜30の形成方法
第2無機絶縁膜30は、第1無機絶縁膜20の表面に第3無機絶縁膜40を形成した上述の前駆体100aを熱処理することで形成できる。第1無機絶縁膜20および第3無機絶縁膜40を積層した状態で熱処理すると、これらの界面で第1無機絶縁膜20側から第3無機絶縁膜40側に元素が拡散すると共に、第3絶縁膜40側から第1無機絶縁膜20側に元素が拡散する。つまり、相互に元素が拡散する(以下、「ミキシング反応」とも称する)。そして、これらの界面(例えば第3無機絶縁膜40の一部)の組成が変化することで、第1無機絶縁膜20と第3無機絶縁膜40の界面に第2無機絶縁膜30が形成される。第2無機絶縁膜30を形成する際の熱処理温度は200℃〜600℃が好ましく、250℃〜500℃がより好ましい。第2無機絶縁膜30の厚みは、熱処理温度等によって調整できる。
(実施の形態2)
上述の実施の形態1のコーティング粒子100では、軟磁性体粒子10上に、3層の無機絶縁膜が配置されていた。ただし、本開示では、図3に示すように、軟磁性体粒子10上に、第1無機絶縁膜20および第2無機絶縁膜30のみが積層されたコーティング粒子200を含むコーティング粒子粉末としてもよい。実施の形態2のコーティング粒子200の第1無機絶縁膜20および第2無機絶縁膜30は、実施の形態1の第1無機絶縁膜20および第2無機絶縁膜30と同様である。
上述のように、第2無機絶縁膜30は、第1無機絶縁膜20と第3無機絶縁膜40とのミキシング反応によって形成され、例えば、第1無機絶縁膜20中の金属元素は、熱処理によりよって第3無機絶縁膜40中に外方拡散する。したがって、上述のコーティング粒子100の製造方法において、第3無機絶縁膜40の膜厚、および第2無機絶縁膜30を形成する際の熱処理温度を制御することにより、第3無機絶縁膜40を全て第2無機絶縁膜30に組成変化させることができ、本実施の形態のコーティング粒子200が得られる。
以下において、実施例を参照して本開示を説明する。実施例によって、本開示の範囲は限定して解釈されない。
(第1実施例)
(1)軟磁性体粒子10および第1無機絶縁膜20の準備工程
第1実施例では、粉砕により形成された平均粒子径が100μm以下である軟磁性体粒子(Fe粒子)10を用意し、大気雰囲気中で静置した。その後、軟磁性体粒子10の表面には数nm〜数十nmの鉄の自然酸化膜であるFeO膜(第1無機絶縁膜20)が形成されていることを確認した。
(2)第3無機絶縁膜40の形成工程
第1無機絶縁膜20が形成された軟磁性体粒子10 500gに対して、エタノール1kg、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC)50g、およびアンモニア水(アンモニア含有量28〜30容量%)50gを加えて2時間攪拌した。攪拌後、溶液中の粒子を分離、乾燥することで、FeO膜(第1無機絶縁膜20)の表面にSiO膜(第3無機絶縁膜40)が形成されたコーティング粒子粉末を得た。
(3)第2無機絶縁膜30の形成工程
軟磁性体粒子10上に、FeO膜(第1無機絶縁膜20)およびSiO膜(第3無機絶縁膜40)の2層の絶縁膜を備えた粒子を、加熱炉内で250℃にて熱処理した。これにより、FeO膜(第1無機絶縁膜20)中の元素とSiO膜(第3無機絶縁膜40)中の元素とがミキシング反応し、これらの界面に金属シリケート膜(第2無機絶縁膜30)が形成された。この結果、得られた絶縁膜全体の膜厚(第1無機絶縁膜20、第2無機絶縁膜30、および第3無機絶縁膜40の合計膜厚)は70nmであった。
(評価)
上述のように、軟磁性体粒子10の表面に3層の無機絶縁膜を備えたコーティング粒子100を作製した。得られたコーティング粒子100の断面の透過顕微鏡(TEM)写真を図4に示す。またこの断面における元素の組成比率を示すEDXプロファイルを図5に示す。
図4に示すように、第3無機絶縁膜40であるSiO膜の形成後の熱処理により、第1無機絶縁膜20(FeO膜)と第3無機絶縁膜40(SiO膜)との界面に第2無機絶縁膜30である金属シリケート膜(FeSiO膜)が形成されていることが確認できる。
図5は3層の無機絶縁膜中に含まれる元素の組成比率を示したEDXラインプロファイルである。この結果をみると、コーティング粒子100の中心から外側に進むにつれて、無機絶縁膜中に含まれるFeの比率が減少していることが分かる。一方、コーティング粒子100の外側から内側の方向に進むにつれて、無機絶縁膜中に含まれるSiの比率が減少していることが分かる。熱処理前は、第1無機絶縁膜(FeO膜)20と第3無機絶縁膜(SiO膜)40の2層構造であったことから、熱処理により第1無機絶縁膜20であるFeOと第3無機絶縁膜40であるSiOとの界面でミキシング反応が起こり、第2無機絶縁膜30である金属シリケート膜(FeSiO膜)が形成されたことが確認できる。
また、このコーティング粒子100の粉末を結着剤と混合して成型、硬化を行い角型の試料を作製した。それからこの試料の上下に、デジタル超高抵抗・微少電流計5451(エーディーシー社製)を用いて電圧を印加して、絶縁耐圧を測定した。絶縁耐圧の測定結果を図6に示す。
図6は、第1実施例に係る第1無機絶縁膜20である自然酸化膜(FeO膜)、第2無機絶縁膜30である金属シリケート膜(FeSiO膜)、および第3無機絶縁膜40であるSiO膜の3層の無機絶縁膜を備えたコーティング粒子100の粉末を用いた成型体の絶縁耐圧と、比較例として、1層のSiO膜のみを絶縁膜として備えたコーティング粒子粉末を用いて作製した成型体の絶縁耐圧の比を示すグラフである。図6には、比較例(絶縁膜がSiO膜のみである場合)の耐圧性を1とし、当該耐圧性に対する比を示す。
SiO膜の形成条件は両者とも同一であり、両者とも膜厚は約70nmである。図6
に示すように、1層のSiO膜を形成した場合と比較して、第1実施例のように3層の無機絶縁膜を形成した場合には、絶縁耐圧が約5倍に上昇していることが分かる。なお、第1実施例に係るSiO膜の膜厚や熱処理の温度を適宜調整することで、絶縁耐圧を調整することができる。これにより、所望のデバイスが要求する絶縁耐圧性能を実現することができる。
本開示に係る、絶縁被覆されたコーティング粒子を含むコーティング粒子粉末によれば、それを用いたデバイスにおいて渦電流の低減と絶縁耐圧の向上を実現できる。加えて、積層され厚膜化された絶縁膜により、軟磁性体粒子の防錆性も向上させることができる。このため、粉砕粉をコーティング粒子の軟磁性体粒子とした場合であっても、コーティング粒子粉末を磁気特性の向上と渦電流の低減による鉄損の低減の両立が求められる軟磁性体デバイスに利用可能である。また、本開示のコーティング粒子粉末の製造方法によれば、少ない工程数で、上記コーティング粒子粉末を製造できる。
100、200 コーティング粒子
100a コーティング粒子の前駆体
10 軟磁性体粒子
20 第1無機絶縁膜
30 第2無機絶縁膜
40 第3無機絶縁膜

Claims (8)

  1. 軟磁性体粒子と、
    前記軟磁性体粒子の表面上に形成された第1無機絶縁膜と、
    前記第1無機絶縁膜の表面上に形成された第2無機絶縁膜と、
    を有するコーティング粒子を含む、コーティング粒子粉末。
  2. 前記コーティング粒子は、前記第2無機絶縁膜を覆う第3無機絶縁膜をさらに有する、
    請求項1に記載のコーティング粒子粉末。
  3. 前記第3無機絶縁膜が、シリコン酸化膜である、
    請求項2に記載のコーティング粒子粉末。
  4. 前記軟磁性体粒子が金属を含み、
    前記第1無機絶縁膜が、前記金属の自然酸化膜または熱酸化膜である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング粒子粉末。
  5. 前記軟磁性体粒子が金属を含み、
    前記第2無機絶縁膜が、前記金属のシリケート膜である、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング粒子粉末。
  6. 前記軟磁性体粒子の結晶構造が、ナノ結晶構造、非晶質構造、またはナノ結晶構造および非晶質構造の混合構造のいずれかである、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング軟磁性体粒子粉末。
  7. 平均粒子径が0.1μm〜100μmである、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーティング粒子粉末。
  8. 表面に第1無機絶縁膜を有する軟磁性体粒子を準備する工程と、
    前記第1無機絶縁膜の表面に第3無機絶縁膜を形成する工程と、
    前記第3無機絶縁膜を形成した粒子を熱処理し、前記第1無機絶縁膜および前記第3無機絶縁膜を反応させ、前記第1無機絶縁膜および前記第3無機絶縁膜の界面に第2無機絶縁膜を形成する工程と、
    を含む、コーティング粒子粉末の製造方法。
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