JP2021087615A - ペーパーロール体 - Google Patents

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光 佐藤
嘉昭 金子
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Abstract

【課題】ペーパーにシール糊が塗布されたシール部について、接着強度及び剥がしやすさが両立されているペーパーロール体を提供する。【解決手段】テール部又は巻き始め部の少なくとも一部に、シール糊が塗布されたシール部12が形成された、ペーパーロール体1であって、シール糊は、セルロースナノファイバーを含有し、シール部12が形成されたテール部又は巻き始め部の、テンシロン万能試験機による180度剥離試験で求めた乾燥剥離強度が、60〜300cNである、ペーパーロール体1を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、ペーパーロール体に関する。
従来、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等のロール体(ペーパーロール体)の製造では、ペーパーの巻き始めとなる巻き始め部や、ペーパーの巻き終わりとなるテール部の表面等に糊付けが行われ、これによってロール体にシール部が形成されている(例えば、特許文献1)。
実開平07−036887号公報
上述したペーパーロール体の糊付けには、使用者がペーパーロール体を使用する前(例えば、製造時や保管時等)には、巻き取られたペーパーがロール体から剥がれることがないようにロール体に接着されていることが求められる。一方で、使用者がペーパーロール体を使用する際には、使用者がストレスを感じることなく、きれいにペーパーロール体から剥離することが求められる。このように、ペーパーロール体の糊付けには、接着強度及び剥がしやすさの両方が求められるところであるが、従来のシール糊により糊付けされたペーパーロール体は、接着強度及び剥がしやすさの両立が不十分であるという問題がある。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、ペーパーにシール糊が塗布されたシール部について、接着強度及び剥がしやすさが両立されているペーパーロール体を提供することを目的とする。
本発明者は、上述した目的を達成すべく鋭意研究した結果、以下の本発明を完成させるに至った。
(1)
テール部又は巻き始め部の少なくとも一部に、シール糊が塗布されたシール部が形成された、ペーパーロール体であって、前記シール糊は、セルロースナノファイバーを含有し、前記シール部が形成された前記テール部又は前記巻き始め部の、テンシロン万能試験機による180度剥離試験で求めた乾燥剥離強度が、60〜300cNである、ペーパーロール体。
(2)
前記セルロースナノファイバーの平均繊維径が、2〜500nmである、(1)のペーパーロール体。
(3)
前記ペーパーロール体のロール巻き方向における、前記シール部の塗布幅が、0.5〜10mmである、(1)又は(2)のペーパーロール体。
(4)
前記ペーパーロール体のロール巻き方向において、前記テール部及び巻き始め部の間に、前記シール糊が塗布された、別なるシール部が更に形成されている、(1)〜(3)のいずれかのペーパーロール体。
(5)
前記別なるシール部が、前記ペーパーロール体のロール巻き方向において所定距離で離間されて、複数形成されている、(4)のペーパーロール体。
(6)
前記シール部が、前記ペーパーロール体のロール幅方向において、間欠的に又は連続的に形成されている、(1)〜(5)のいずれかのペーパーロール体。
(7)
前記シール部が、前記ペーパーロール体のロール幅方向において所定距離で離間されて、複数形成されている、(1)〜(6)のいずれかのペーパーロール体。
(8)
互いに隣接する前記シール部同士の前記ロール幅方向における前記所定距離が、0.5〜2mmである、(7)のペーパーロール体。
(9)
JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のペーパーの乾燥時のロール巻き方向の引張強さが、200〜2800cN/25mmである、(1)〜(8)のいずれかのペーパーロール体。
(10)
前記ペーパーロール体が、トイレットロールであり、JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のトイレットペーパーの乾燥時のロール巻き方向の引張強さが、200〜650cN/25mmである、(1)〜(9)のいずれかのペーパーロール体。
(11)
前記ペーパーロール体が、キッチンペーパーロールであり、JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のキッチンペーパーの乾燥時のロール巻き方向の引張強さが、1000〜2800cN/25mmである、(1)〜(9)のいずれかのペーパーロール体。
(12)
JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のペーパーの乾燥時のロール幅方向の引張強さが、70〜1500cN/25mmである、(1)〜(11)のいずれかのペーパーロール体。
(13)
前記ペーパーロール体が、トイレットロールであり、JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のトイレットペーパーの乾燥時のロール幅方向の引張強さが、70〜300cN/25mmである、(1)〜(10)、及び(12)のいずれかのペーパーロール体。
(14)
前記ペーパーロール体が、キッチンペーパーロールであり、JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のキッチンペーパーの乾燥時のロール幅方向の引張強さが、500〜1500cN/25mmである、(1)〜(9)、(11)、及び(12)のいずれかのペーパーロール体。
本発明によれば、ペーパーにシール糊が塗布されたシール部について、接着強度及び剥がしやすさが両立されているペーパーロール体を提供することができる。
本実施形態に係るペーパーロール体の第一の例の斜視図である。 図1のペーパーロール体の端部を引き出した状態を示す斜視図である。 ペーパーロール体のロール巻き方向においてシール部を複数形成した場合の説明に供する斜視図である。 本実施形態に係るペーパーロール体の第二の例の斜視図である。 図4のペーパーロール体の端部を引き出した状態を示す斜視図である。 本実施形態に係るペーパーロール体の第三の例の斜視図である。 本実施形態に係るペーパーロール体の第四の例の斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
そして、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
またさらに、本明細書において、「略」を付した用語は、当業者の技術常識の範囲内でその「略」を除いた用語の意味を示すものであり、「略」を除いた意味自体をも含むものとする。
<ペーパーロール体>
本実施形態に係るペーパーロール体は、テール部又は巻き始め部の少なくとも一部に、シール糊が塗布されたシール部が形成された、ペーパーロール体であって、シール糊は、セルロースナノファイバーを含有し、シール部が形成されたテール部又は巻き始め部の、テンシロン万能試験機による180度剥離試験で求めた乾燥剥離強度が、100〜300cNである。
本実施形態に係るペーパーロール体としては、例えば、トイレットペーパーのロール体(トイレットロール)、家庭のキッチンや飲食店の厨房等において水分又は油分のふき取りや汚れ落とし等に使用されるキッチンペーパー(ペーパータオル、クッキングペーパー等と称される場合もある。)のロール体(キッチンペーパーロール)、その他衛生紙のロール体等が挙げられる。これらはいずれも、ロール体の製造時に、テール部(巻き終わり部、すなわちペーパーの巻き方向における最外周の端部又はその近傍)の内側にシール糊を塗布することでシール部を形成する。あるいは、巻き始め部の内側にシール糊を塗布することでシール部を形成する。
以下では、ペーパーロール体の一例として、トイレットペーパーを例に挙げて説明するが、本実施形態に係るペーパーロール体は、これに限定されないことはいうまでもない。そして、ペーパーロール体に用いられるペーパー原紙(ペーパーロール体のペーパー)として、上述したペーパー類等を適宜使用できるところ、以下では、ペーパー原紙の一例として、トイレットペーパーを例に挙げて説明するが、ペーパー原紙はこれに限定されないことはいうまでもない。
図1は、本実施形態に係るペーパーロール体(トイレットロール)の第一の例の斜視図であり、図2は、図1のペーパーロール体(トイレットロール)の端部を引き出した状態を示す斜視図である。
トイレットロール1は、芯11と、芯11に巻き取られたトイレットペーパー10とを有しており、トイレットペーパー10の端部13の近傍であるテール部には、シール部12が形成されている。そして、トイレットペーパー10の表面のうち、ロール体外側に指向した表面をロール表面101といい、その反対側の面(すなわち、ロール体中心側に指向した表面)をロール裏面102という。さらに、トイレットロール1が芯11に巻き取られる方向(又は、取り出される方向)を、ロール巻き方向Rという。すなわち、図1では、ロール巻き方向Rは、トイレットロール(ペーパーロール体)1のトイレットペーパー(ペーパー原紙)10の長手方向である。またさらに、トイレットロール1のロール巻き方向Rと直交する方向を、ロール幅方向Wという。
トイレットロール1について、トイレットペーパー10のプライ数及び巻長(巻き取り長さ)等の条件は、特に限定されず、トイレットペーパー10の材質、形状、触感及び美観等を考慮して、適宜好適な条件を決定できる。例えば、積層枚数は、1プライ、2プライ、3プライ等であってもよい。
また、図示はしないが、トイレットロール1には、ロール幅方向Wに略平行に(すなわち、トイレットロール1の軸方向に沿って)、連続的にミシン目加工を施してもよい。そして、かかるミシン目加工を、ロール巻き方向Rに沿って一定のピッチ間隔で施すことで、1回に使用するトイレットペーパー10を切り取りやすくなる。
またさらに、トイレットロール1は、シール部12をテール部又は巻き始め部に形成されていればよいが、それ以外の箇所にも形成されていてもよい。例えば、図1では、シール部12がテール部に形成されている場合を例示しているが、シール部12は、芯11に巻き付ける巻き始め部に形成されていてもよい(不図示)。また、図1では、自由端である端部13の近傍にシール部12が形成された場合を例示しているが、端部13にシール部12が形成されているように、テール部が端部13と同一であってもよい。またさらに、芯11は、必ずしも設ける必要はなく、無くてもよい。すなわち、本実施形態に係るトイレットロール1は、芯無しのトイレットロールであってもよい。
<シール部>
トイレットロール1のシール部12は、トイレットロール1のテール部又は巻き始め部にシール糊を塗布することにより形成される。例えば、このシール糊は、トイレットペーパー10のロール表面101又はロール裏面102に塗布して、形成させることができるが、ロール裏面102に塗布することが好ましい。
シール糊は、セルロースナノファイバー(Cellulose Nanofiber;CNF)を含有する。セルロースナノファイバーとは、後述するように、セルロース原料を解繊して得られるセルロース繊維である。かかるセルロースナノファイバーを含有するシール糊を用いることで、トイレットロール1のペーパーの糊付けにおいて接着強度及び剥がれやすさを高いレベルで両立させることができる。通常、トイレットロール1のトイレットペーパー10は破れやすい素材であるが、シール糊にセルロースナノファイバーを配合することで、適度な接着強度と剥がしやすさをトイレットロール1のトイレットペーパー10に付与することができる。さらには、セルロースナノファイバーを含有するシール糊でシールすることで、トイレットペーパー10を傷めない。またさらに、セルロースナノファイバーを含有することにより、シール部12に適度なコシを付与することもできるため、かかる観点からも使用者がトイレットペーパー10を剥がしやすいという利点が期待される。
ロール巻き方向Rにおけるシール部12の塗布幅は、トイレットロール1のトイレットペーパー10の紙質、幅長及び巻長等を考慮して、適宜好適な間隔とすることができる。通常、接着強度と剥がしやすさの両立の観点から、この塗布幅は、0.5〜10mmであることが好ましい。塗布幅の上限は、8mm以下であることがより好ましく、7mm以下であることが更に好ましく、5mm以下であることがより更に好ましい。また、塗布幅の下限は、1mm以上であることがより好ましく、1.5mm以上であることがより好ましく、2mm以上であることがより更に好ましい。なお、この塗布幅とは、ロール巻き方向Rにおける最大幅をいう。
(セルロースナノファイバー(CNF))
セルロースナノファイバーの平均繊維径は、接着強度と剥がしやすさの両立の観点から、2〜500nmであることが好ましい。平均繊維径の上限は、400nm以下であることがより好ましく、300nm以下であることが更に好ましく、250nm以下であることがより更に好ましく、150nm以下であることが一層更に好ましく、130nm以下であることがより一層更に好ましい。また、平均繊維径の下限は、5nm以上であることがより好ましく、10nm以上であることが更に好ましく、30nm以上であることがより更に好ましく、50nm以上であることが一層更に好ましい。ここでいう平均繊維径は、原子間力顕微鏡(AFM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、測定することができる。
セルロースナノファイバーの平均繊維長は、接着強度と剥がしやすさの両立の観点から、0.1〜5μmであることが好ましい。この上限は、4μm以下であることがより好ましく、3μm以下であることが更に好ましい。また、この下限は、0.5μm以上であることがより好ましく、1μm以上であることが更に好ましい。ここでいう平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)又は透過型電子顕微鏡(TEM)により撮像したファイバー100本の繊維長を測定し、その算術平均を取った値である。
セルロースナノファイバーの化学変性については、特に限定されず、所望する物性や塗布条件等を考慮して、適宜好適なものを選択することができる。例えば、セルロース原料として、無変性セルロース、変性セルロース(以下、これらを単に「セルロース」と総称することがある。)を使用することができる。具体的には、セルロースナノファイバーとして、無変性セルロースナノファイバー、アニオン変性セルロースナノファイバー、カチオン変性セルロースナノファイバー等を使用することができる。例えば、セルロース繊維の解繊を容易に行いたい場合は、アニオン変性セルロースナノファイバー、カチオン変性セルロースナノファイバーを用いることが好ましい。
(セルロース原料)
セルロース原料とは、木材由来のクラフトパルプ又はサルファイトパルプ;これらを高圧ホモジナイザーやミル等で粉砕した粉末セルロース;及びこれらを酸加水分解等の化学処理により精製した微結晶セルロース粉末等が挙げられる。さらにまた、ケナフ、麻、イネ、バカス、竹等の植物由来のセルロース原料も使用できる。しかしながら、セルロース原料中に広葉樹由来のリグニンが多く残留してしまうと原料の酸化反応を阻害するおそれがあるので、化学パルプの製造方法により得られたセルロース原料であることが好ましい。また、リグニン等を除去するために、セルロース原料に漂白処理を施すことが好ましい。
また、上述したセルロース原料を、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式等の分散装置、又は湿式の高圧若しくは超高圧ホモジナイザー等で微細化したものを使用することもできる。
(1)セルロースのアニオン変性
本実施形態では、上述したセルロース原料をアニオン変性させることにより得られる変性セルロースを用いることができる。アニオン変性の一例として以下の方法を用いることができる。
(1−1)カルボキシメチル化
セルロース原料を発底原料にし、溶媒として3〜20質量倍のアルコールと水の混合媒体を使用して、変性を行う。アルコールとしては、例えば、低級アルコールを使用することができる。その具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、マーセル化剤としては、発底原料のグルコース残基当たり0.5〜20倍モルの水酸化アルカリ金属(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を使用することができる。
発底原料、溶媒、及びマーセル化剤を混合して、例えば、反応温度0〜70℃(好ましくは10〜60℃)及び反応時間15分〜8時間(好ましくは30分〜7時間)の条件で、マーセル化処理を行う。その後、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05〜10.0倍モルの割合となるよう添加し、例えば、反応温度30〜90℃(好ましくは40〜80℃)及び反応時間30分〜10時間(好ましくは1時間〜4時間)の条件で、反応させる。
アニオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、0.02〜0.50であることが好ましい。セルロースにカルボキシメチル置換基を導入することにより、セルロース同士が電気的に反発する。このようなことから、カルボキシメチル置換基を導入したセルロースを容易に解繊することができる。
(1−2)酸化
セルロース原料を、N−オキシル化合物、臭化物、ヨウ化物、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種の存在下で、酸化剤を用いて水中で酸化することにより、カルボキシル基がセルロースに導入された酸化セルロースを得ることができる。
N−オキシル化合物とは、ニトロキシラジカルを発生し得る化合物である。本実施形態において使用可能なN−オキシル化合物は、目的の酸化反応を促進する化合物であればよく、その種類は特に限定されない。その具体例としては、例えば、下記一般式(1)〜(5)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2021087615
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を示す。)
一般式(1)で表される化合物の中でも、ラジカルの安定性等の観点から、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン1−オキシルラジカル(TEMPO)が好ましい。
また、コスト及び均一な酸化セルロースを得ることができる観点からは、下記一般式(2)〜(5)のいずれか一つにより表されるN−オキシル化合物が好ましい。例えば、4−ヒドロキシTEMPOの水酸基をアルコールでエーテル化した4−ヒドロキシTEMPO誘導体;4−ヒドロキシTEMPOの水酸基をカルボン酸でエステル化した4−ヒドロキシTEMPO誘導体;4−ヒドロキシTEMPOの水酸基をスルホン酸でエステル化した4−ヒドロキシTEMPO誘導体;4−アミノTEMPOのアミノ基をアセチル化した4−アセトアミドTEMPO誘導体等が挙げられる。
Figure 2021087615
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状のアルキル基を表す。)
さらに、短時間で効率よくセルロース原料を酸化でき、セルロース鎖の切断が起こりにくい観点からは、下記一般式(6)で表されるN−オキシル化合物が好ましい。例えば、一般式(6)で表される化合物は、アザアダマンタン型ニトロキシラジカルである。
Figure 2021087615
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基を表す。)
N−オキシル化合物の使用量は、セルロースをナノファイバー化できる触媒量であればよく、特に限定されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対するN−オキシル化合物の使用量は、0.01〜10mmolであることが好ましく、0.01〜1mmolであることがより好ましく、0.05〜0.5mmolであることが更に好ましい。
臭化物としては、例えば、水中で解離してイオン化可能な臭化アルカリ金属等が挙げられる。また、ヨウ化物としては、例えば、ヨウ化アルカリ金属が挙げられる。臭化物及びヨウ化物の使用量は、酸化反応を促進できる使用量であればよく、特に限定されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対する臭化物及びヨウ化物の使用量の合計は、0.1〜100mmolであることが好ましく、0.1〜10mmolであることがより好ましく、0.5〜5mmolであることが更に好ましい。
酸化剤としては、特に限定されず、公知のものを使用できる。酸化剤の具体例としては、例えば、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、過ハロゲン酸、並びに、これらの塩、これらのハロゲン酸化物、及びこれらの過酸化物等が挙げられる。これらの中でも、工業プロセスにおいて汎用されており、安価で環境負荷が少ない観点から、次亜塩素酸ナトリウムが好ましい。酸化剤の使用量は、酸化反応を促進できる使用量であればよく、特に限定されない。例えば、絶乾1gのセルロース原料に対する酸化剤の使用量は、0.5〜500mmolであることが好ましく、0.5〜50mmolであることがより好ましく、1〜25mmolであることが更に好ましく、3〜10mmolであることがより更に好ましい。
セルロースの酸化工程は、比較的温和な条件であっても反応を効率よく進行させられる。このような観点から、反応温度は15〜30℃程度であってもよい。反応の進行に伴って、パルプを構成するセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHが低下する場合がある。そこで、酸化反応を効率よく進行させるためには、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液を添加して、反応液のpHを9〜12(好ましくは10〜11)に維持することが好ましい。反応溶媒の種類は、特に限定されないが、取扱い容易性及び副反応の抑制の観点から、水が好ましい。
酸化反応の反応時間は、特に限定されず、酸化の進行の程度を考慮して適宜設定することができる。例えば、酸化反応の反応時間は、30分〜6時間であることが好ましく、2時間〜6時間であることがより好ましく、4時間〜6時間であることが更に好ましい。あるいはまた、本実施形態では、酸化時間を短縮することもできるので、その場合は、30分〜2時間であることが好ましく、30分〜100分であることがより好ましく、30分〜70分であることが更に好ましい。
また、酸化反応は、2段階等の多段階の酸化反応であってもよい。例えば、1段目の反応終了後に濾別して得られた酸化セルロースを、同一又は異なる反応条件で2段目の反応として酸化させることができる。これにより、1段目の反応による副生物(例えば、食塩等)による反応阻害を受けることなく、セルロース原料に効率よくカルボキシル基を導入することができ、酸化反応を促進させることができる。
また、酸化セルロースのカルボキシル基量が、セルロースの絶乾質量に対して、0.2mmol/g以上となるように反応条件を設定することが好ましい。この場合のカルボキシル基量は、0.6〜2.0mmol/gであることがより好ましく、1.0〜1.8mmol/gであることが更に好ましい。カルボキシル基量は、酸化反応時間、酸化反応温度、酸化反応時のpH、並びにN−オキシル化合物、臭化物、ヨウ化物及び酸化剤等の添加量を制御することにより調整することができる。
(2)セルロースのカチオン変性
セルロース原料に、カチオン化剤(例えば、グリシジルトリメチルアンモニウムクロリド、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリアルキルアンモニウムハイドライト、及びそのハロヒドリン型等のカチオン化剤)と水酸化アルカリ金属(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を、水及び/又は炭素数1〜4のアルコールの存在下で反応させることによって、カチオン変性されたセルロースを得ることができる。なお、得られるカチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、反応させるカチオン化剤の添加量並びに水及びアルコールの組成を制御することによって、調整することができる。
カチオン変性されたセルロースのグルコース単位当たりのカチオン置換度は、0.02〜0.50であることが好ましい。セルロースにカチオン置換基を導入することで、セルロース同士が電気的に反発する。これにより、カチオン置換基を導入したセルロースは容易にナノ解繊することができるとともに、膨潤や溶解を抑制することができる。解繊を効率よく行う観点から、酸化されたセルロース原料を洗浄することが好ましい。
(セルロースの解繊)
続いて、上述したセルロース(変性セルロース又は無変性セルロース)を含む分散液を調製し、これを解繊してナノファイバー化する。ここでいう「分散液」とは、酸化セルロースが分散媒に分散している液であることをいう。分散媒の種類については、特に限定されないが、取扱い容易性の観点から水であることが好ましい。
セルロースを解繊して分散媒中に分散させるには、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式等の装置を用いて分散液に強力なせん断力を印加することが好ましい。例えば、セルロースナノファイバーを効率よく得るには、分散液に50MPa以上の圧力を印加し、かつ、強力なせん断力を印加できる湿式の高圧又は超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。この圧力は、100MPa以上であることがより好ましく、140MPa以上であることが更に好ましい。かかる処理により、セルロース原料が解繊してセルロースナノファイバーが形成され、かつ、セルロースナノファイバーが分散媒中に分散する。
分散液中の変性セルロース濃度は、特に限定されないが、0.3%(w/v)以上であることが好ましく、1〜2%(w/v)であることがより好ましく、3〜5%(w/v)であることが更に好ましい。
(その他の成分)
シール糊は、セルロースナノファイバー以外の成分として、公知の糊として使用される成分を含有することができる。セルロースナノファイバー以外の成分の好適例としては、例えば、デンプン、ポリビニルアルコール、及びカルボキシメチルセルロースからなる群より選ばれる1種以上であるものが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
シール糊中のセルロースナノファイバーの含有率(固形分換算)は、0.1〜10質量%であることが好ましい。この含有率を0.1質量%以上とすることで、強度が一層向上する。また、この含有率を10質量%以下とすることで、シール糊の塗布が容易となる程度にシール糊の粘度を調整することが容易となる。
そして、これらの成分を主成分(全有効成分の中で10質量%以上を占める成分)とするシール糊では、剥離調整剤として、炭素数7〜20の脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等を用いることができる。剥離調整剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。そして、シール糊における剥離調整剤の含有量は、特に限定されないが、シール部12の接着強度及び剥がしやすさの観点から、0.1〜10質量%であることが好ましい。また、本実施形態で用いるシール糊は、必要に応じて、剥離調整剤以外の公知の添加剤を含んでもよい。
(乾燥剥離強度)
上述したペーパーロール体(トイレットロール)1は、シール部12が形成されたテール部又は巻き始め部の、テンシロン万能試験機による180度剥離試験で求めた乾燥剥離強度が、60〜300cNである。乾燥剥離強度の下限は、好ましくは150cN以上であり、より好ましくは180cN以上である。また、乾燥剥離強度の上限は、好ましくは250cN以下であり、より好ましくは230cN以下である。上述したシール部12によりトイレットペーパー10がシールされることにより、乾燥剥離強度を上述した範囲に制御することができる。その結果、接着強度及び剥がしやすさを両立させることができる。乾燥剥離強度は、例えば、シール糊の成分、塗布面積及び塗布量、並びにペーパーロール体1の巻回条件等を制御することで調整することができる。
(ロール巻き方向Rにおける引張強さ(縦強度))
さらに、シール部12に上述したセルロースナノファイバーを含有するシール糊を用いることにより、トイレットペーパー10等のように破れやすい素材であっても、適度な強度や剥がしやすさを付与するとともに、シール部12により接着された部分に適度なコシを付与することもでき、使用者がトイレットペーパー10を剥がしやすい、といった一層の利点を付与することができる。
かかる観点から、ペーパーロール体1のペーパー原紙の用途等に応じて、より好適な縦強度のものを選択すれば、本実施形態で用いるシール糊の効果がより一層発現する。通常、JIS P 8113(2006)に基づく、ペーパーロール体のペーパーの乾燥時のロール巻き方向Rにおける引張強さ(縦強度)が、200〜2800cN/25mmであるペーパーロール体において、本実施形態で用いるシール糊の効果がより一層発現する。この縦強度の上限は、2400cN/25mm以下であることが更に好ましく、2000cN/25mm以下であることがより更に好ましい。また、この縦強度の下限は、270cN/25mm以上であることが更に好ましく、300cN/25mm以上であることがより更に好ましい。
そして、例えば、図示のように、ペーパー原紙がトイレットペーパーである場合、ペーパーロール体(トイレットロール)1のトイレットペーパーの乾燥時のロール巻き方向Rにおける引張強さ(縦強度)は、200〜650cN/25mmであることがより好ましい。そして、この縦強度の上限は、600cN/25mm以下であることが更に好ましく、530cN/25mm以下であることがより更に好ましい。また、この縦強度の下限は、270cN/25mm以上であることが更に好ましく、300cN/25mm以上であることがより更に好ましい。
あるいは、図示はしないが、ペーパー原紙がキッチンペーパーである場合、ペーパーロール体(キッチンペーパーロール)のキッチンペーパーの乾燥時のロール巻き方向Rにおける引張強さ(縦強度)は、1000〜2800cN/25mmであることがより好ましい。そして、この縦強度の上限は、2400cN/25mm以下であることが更に好ましく、2000cN/25mm以下であることがより更に好ましい。また、この縦強度の下限は、1300cN/25mm以上であることが更に好ましく、1500cN/25mm以上であることがより更に好ましい。
(ロール幅方向Wにおける引張強さ(横強度))
縦強度と同様の観点から、ペーパーロール体のペーパー原紙の用途等に応じて、より好適な横強度のものを選択すれば、本実施形態で用いるシール糊の効果がより一層発現する。通常、JIS P 8113(2006)に基づく、ペーパーロール体のペーパーの乾燥時のロール幅方向Wにおける引張強さ(横強度)が、70〜1500cN/25mmであるペーパーロール体において、本実施形態で用いるシール糊の効果がより一層発現する。この横強度の上限は、1300cN/25mm以下であることが更に好ましい。また、この横強度の下限は、80cN/25mm以上であることが更に好ましく、90cN/25mm以上であることがより更に好ましい。
そして、例えば、図示のように、ペーパー原紙がトイレットペーパーである場合、ペーパーロール体(トイレットロール)1のトイレットペーパーの乾燥時のロール幅方向Wにおける引張強さ(横強度)は、70〜300cN/25mmであることがより好ましい。そして、この横強度の上限は、250cN/25mm以下であることが更に好ましく、200cN/25mm以下であることがより更に好ましい。また、横強度の下限は、80cN/25mm以上であることが更に好ましく、90cN/25mm以上であることがより更に好ましい。
あるいは、図示はしないが、ペーパー原紙がキッチンペーパーである場合、ペーパーロール体(キッチンペーパーロール)のキッチンペーパーの乾燥時のロール幅方向Wにおける引張強さ(横強度)は、500〜1500cN/25mmであることがより好ましい。そして、この横強度の上限は、1400cN/25mm以下であることが更に好ましく、1300cN/25mm以下であることがより更に好ましい。また、横強度の下限は、550cN/25mm以上であることが更に好ましい。
図3は、ペーパーロール体(トイレットロール)のロール巻き方向においてシール部を複数形成した場合の説明に供する斜視図である。
図3は、トイレットロール1の端部13からロール巻き方向Rにおける距離P1に位置するテール部に形成された第一のシール部121、第一のシール部121からロール巻き方向Rにおける距離P2の位置に形成された第二のシール部122、第二のシール部122からロール巻き方向Rにおける距離P3の位置に形成された第三のシール部123、及び第三のシール部123からロール巻き方向Rにおける距離P4の位置に形成された第四のシール部124がそれぞれ形成された、トイレットロール1を例示している。
本実施形態に係るトイレットロール1では、ロール巻き方向Rにおいて、複数のシール部121,122,123,124が離間されて形成されていてもよい。そして、トイレットロール1は、テール部及び巻き始め部に形成されたシール部121以外に、テール部(端部13又はその近傍)及び巻き始め部(芯11を有する場合は、芯11又はその近傍)の間に、シール糊が塗布された、別なるシール部122,123,124が更に形成されていることが好ましい。別なるシール部122,123,124を1箇所又は複数箇所設けることで、いったんテールシール(第一のシール部121)を剥がして、使用を開始した後でも、巻き取られたトイレットペーパー10がロール体から剥がれることがないようにロール体により効果的に接着しておくことができる。これにより、トイレットペーパー10の型崩れをより効果的に防止でき、接着強度と剥がれやすさの両立を一層高いレベルで維持することが可能である。さらには、外観上の美観を一層維持することができる。
例えば、テール部に設けられたシール部12(第一のシール部121)以外のシール部12(第二〜第四のシール部122,123,124)の距離P2〜P4については、特に限定されず、ペーパーロール体の用途や形状等を考慮して、適宜好適な間隔を設定することができる。例えば、これらの距離は等間隔でよい(P2=P3=P4の場合)し、不等間隔でもよい。すなわち、別なるシール部122,123,124が、ロール巻き方向Rにおいて、所定の距離P2,P3,P4で離間して複数形成されていることが好ましい。これによって、使用を開始した後でも、巻き取られたトイレットペーパー10がロール体から剥がれることがないようにロール体により効果的に接着しておくことができるため、トイレットペーパー10の型崩れをより効果的に防止でき、接着強度と剥がれやすさの両立を一層高いレベルで維持することが可能である。さらには、外観上の美観を一層維持することができる。
また、図3では、例示的に第一のシール部121から第四のシール部124までを図示しているが、テール部に設けられたシール部12(第一のシール部121)以外のシール部12が、テール部から巻き始め部まで連続的に配置されていてもよいし、不連続的に配置されていてもよい。そして、トイレットペーパー10の剥離を防止する観点から、別なるシール部12同士が隣接する所定距離を好適な条件に選択することができる。例えば、テール部に設けられたシール部12(第一のシール部121)以外のシール部12(第二〜第四のシール部122,123,124)の配置間隔(例えば、距離P2,P3,P4等)を、トイレットロール1のトイレットペーパー10の円周の距離と同調するように設定してもよい。
ここまで、図1〜図3に示されたペーパーロール体(トイレットロール)1を中心に説明してきたが、本実施形態に係るペーパーロール体(トイレットロール)では、シール部12の形状及び配置、並びにシール部12に塗布するシール糊の塗布量等は、特に限定されず、ペーパーロール体の用途やペーパーの大きさや厚さ等を考慮して、適宜選択することができる。
図4は、本実施形態に係るペーパーロール体(トイレットロール)の第二の例の斜視図であり、図5は、図4のペーパーロール体の端部を引き出した状態を示す斜視図である。
トイレットロール2は、端部13の近傍のテール部に形成されたシール部14が、ロール幅方向Wにおいて間欠的に又は連続的に形成されていることが好ましい。これにより、接着強度と剥がれやすさを両立できるだけでなく、シール糊の塗布量を軽減できる。さらに、図4及び図5に示すように、本実施形態に係るトイレットロール2は、シール部14が、ロール幅方向Wにおいて所定距離で離間されて、複数形成されていることが好ましい。端部13の近傍のテール部に形成され、互いに隣接するシール部14同士が、ロール幅方向Wにおいて所定距離で離間されて、連続的に形成されている場合を例示している。この所定距離はロール幅方向Wにおけるシール部14の配置間隔であるが、トイレットロール2のペーパーの紙質、幅長、及び巻長等を考慮して、適宜好適な間隔とすることができる。
シール部14が間欠的に又は連続的に形成されている場合、各シール部14のロール幅方向Wの長さ(塗布長)は、5〜15mmであることが好ましく、5〜13mmであることがより好ましく、7〜10mmであることが更に好ましい。塗布長をかかる範囲とすることで、接着強度と剥がれやすさを一層高いレベルで両立させることができる。なお、ロール幅方向Wにおけるシール部14の長さとは、ロール幅方向Wにおける最大長をいう。
また、互いに隣接するシール部14同士のロール幅方向Wにおける上記の所定距離は、通常、0.5〜2mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmであることがより好ましく、1〜1.5mmであることが更に好ましい。所定距離をかかる範囲にすることで、接着強度と剥がれやすさを一層高いレベルで両立させることができる。
図4及び図5では、テール部に形成されたシール部14を例示しているが、上述した、巻き始め部に形成されるシール部や、テール部及び巻き始め部の間に形成される別なるシール部についても、同様の形状であってもよいことはもちろんである。
図6は、本実施形態に係るペーパーロール体(トイレットロール)の第三の例の斜視図である。
トイレットロール3は、端部13の近傍のテール部に形成されたシール部15が、幅方向において間欠的に形成され、かつ、シール糊の塗布量に勾配を持つパターンである場合を例示している。すなわち、図6では、略三角形状にシール糊が塗布されてシール部15が形成されている。シール糊をかかる形状に塗布することで、シール糊の塗布量及び塗布面積に変化をつけることができる。さらには、シール部15に意匠性を付与することができる。
なお、図6では、一例として、ロール表面101又はロール裏面102の上面視において、略三角形状にシール糊を塗布した場合を示したが、それ以外の形状であってもよいことはもちろんである。例えば、シール糊を塗布する形状が、略円形、略楕円形状、略矩形状、マーク、図柄等であってもよい。
また、シール糊の塗布量の勾配の付け方は、例えば、トイレットロール3のロール巻き方向R又はロール幅方向W、あるいはその両方にわたって、塗布量に勾配を持たせることができる。これのようにシール糊の塗布量を制御することで、シール部15の接着強度及び剥がしやすさの両立が一層高いレベルで可能となる。
図7は、本実施形態に係るペーパーロール体(トイレットロール)の第四の例の斜視図である。
トイレットロール4は、端部13の近傍のテール部に形成されたシール部16が、幅方向において間欠的に形成され、かつ、シール糊の塗布量に勾配を持つパターンであり、シール部16の形状が、ロール表面101又は裏面102の上面視において、略折れ線形状である場合を例示している。
<ペーパーロール体の製造方法>
本実施形態に係るペーパーロール体(トイレットロール)1の製造方法は、例えば、上述したシール糊を、トイレットペーパー(ペーパー原紙)10のテール部又は巻き始め部に塗布し、シール部12を形成させることが可能な方法であればよい。
例えば、テール部にシール部12を形成する場合は、製造工程において、自由端部となっている端部13の近傍のテール部に上述したシール糊を塗布した後、その塗布領域がロール状に巻かれているロール体に当接するようにトイレットペーパー10を巻回する。その際、シール糊の塗布に使用されるブレードを用いてトイレットペーパー10のロール表面101又はロール裏面102にシール糊を塗布して、巻回する方法等を採用してもよい。塗布面は、特に限定されないが、ロール裏面102に塗布することが好ましい。
ブレードの形状は、特に限定されず、形成するシール部12の形状に対応したものを使用することができる。例えば、ロール幅方向Wにおいて間欠的又は連続的に配置されているシール部14,15,16等を形成する場合(例えば、図4、図5、図6、図7等参照)には、その形状に対応した櫛型ブレードを使用すればよい。
そして、シール糊をトイレットペーパー10に塗布した後、必要に応じて乾燥工程を行うことが好ましい。これにより、シール部12を介して、トイレットペーパー10同士を接着することができる。乾燥工程の条件は、使用するシール糊の成分、トイレットペーパーの紙質、巻回量等を考慮して適宜好適な条件を選択することができる。
以上、本実施形態に係るペーパーロール体(トイレットロール)1,2,3,4は、テール部、巻き始め部、又はその両方において、接着強度と剥がしやすさを高いレベルで両立させることができる。したがって、例えば、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等のロール体(ペーパーロール体)をはじめとする、衛生薄葉紙ロール等として好適である。また、縦強度や横強度が弱いロール製品であっても、本実施形態に係るペーパーロール体とすることによって、ロール体からペーパー原紙を引き出した際に破れにくく、使用者が快適に使用することも期待できる。さらに、本実施形態において使用されるシール糊は、少量の塗布量であっても高い接着強度を付与することができるので、塗布面積及び塗布量を低減でき、糊量を削減できるといった利点も期待される。
以下、本発明について、実施例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
セルロースナノファイバー(CNF)を5.0質量%含むシール糊を作製し、これをグルーとして用いて、テール部と巻き始め部に糊付けを行い、図1及び図2に示す2プライ(ply)のトイレットロール1を作製した。そして、トイレットロール1のテール部のシール部12について、シート(トイレットペーパー10)の剥がれの有無の評価、及び巻き戻しの評価を行った。
なお、ペーパーロール体1に使用したトイレットペーパー10の乾燥時のロール巻き方向Rの引張強さ(縦乾燥引張強度(縦強度);JIS P 8113(2006)に準拠)、及びペーパーロール体1のトイレットペーパー10の乾燥時のロール幅方向Wの引張強さ(横乾燥引張強度(横強度);JIS P 8113(2006)に準拠)は、いずれも300cN/25mm(2ply)であった。
そして、トイレットロール1のトイレットペーパー10の縦伸び(JIS P 8113(2006)に準拠)は、11.0%であった。なお、この伸び(%)は、縦乾燥引張試験(縦強度)にて破断時の伸び/試験片の長さ、から求めた。
なお、セルロースナノファイバーは、変性のセルロース原料から得られたものであり、平均繊維径4nm、平均繊維長250nmであるものを使用した。なお、平均繊維径及び平均繊維長は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定した。平均繊維径及び平均繊維長は、撮像した繊維100本の繊維径及び繊維長を測定し、その算術平均を取った値である。
(巻き戻し評価)
トイレットロール1の端部13を持って、ロール巻き方向Rに沿って引き剥がしてみて、シール部12の剥がれの有無、トイレットロール1のプライの剥がしやすさ、トイレットロール1のシートの破れの有無を検証した。その際、モニター5名について使用テストを実施し、それぞれ以下の基準で評価した。

〇:剥がしやすかった。
△:やや剥がしにくかった。
×:剥がしにくかった。

〇:シートの破れが目視にて確認されなかった。
△:シートのわずかな破れが目視にて確認された。
×:シートの破れが目視にて確認された。
(実施例2,3、比較例1,2)
表1に示す条件にてトイレットロール1を作製した点以外は、実施例1と同様にトイレットロール1を作製した。
(180度剥離試験)
実施例1〜3及び比較例1,2のトイレットロール1について、シールを施した後、48時間室温で放置し、シール部12のシール糊が完全に乾燥したことを確認後、以下の条件でテンシロン万能試験機を用いて180度剥離試験を行った。

・引っ張りスピード:300mm/分
・試験片:150×114mm
その結果、実施例1〜3は、いずれも180度剥離試験で求めた乾燥剥離強度が60〜300cNの範囲内に収まっていた。一方、比較例1,2は、60〜300cNの範囲内から外れていたか、又は、ロール体の破断等のため乾燥剥離強度を測定することができなかった。
表1に、各実施例及び各比較例の条件及び結果を示す。なお、表1中の「糊量(固形分)」は、ロール1個当たりの質量(g)である。
Figure 2021087615
以上より、各実施例は、いずれも、シート(トイレットペーパー10)の剥がれがなく、かつ、剥がしやすいこと、及び、シートの破れがないことが少なくとも確認された。
1,2,3,4:トイレットロール(ペーパーロール体)、10:トイレットペーパー(ペーパー原紙)、101:ロール表面(表面)、102:ロール裏面(裏面)、11:芯、12,14,15,16,121,122,123,124:シール部、13:端部、R:ロール巻き方向、W:ロール幅方向、P1,P2,P3,P4:距離

Claims (14)

  1. テール部又は巻き始め部の少なくとも一部に、シール糊が塗布されたシール部が形成された、ペーパーロール体であって、
    前記シール糊は、セルロースナノファイバーを含有し、
    前記シール部が形成された前記テール部又は前記巻き始め部の、テンシロン万能試験機による180度剥離試験で求めた乾燥剥離強度が、60〜300cNである、
    ペーパーロール体。
  2. 前記セルロースナノファイバーの平均繊維径が、2〜500nmである、
    請求項1に記載のペーパーロール体。
  3. 前記ペーパーロール体のロール巻き方向における、前記シール部の塗布幅が、0.5〜10mmである、
    請求項1又は2に記載のペーパーロール体。
  4. 前記ペーパーロール体のロール巻き方向において、前記テール部及び巻き始め部の間に、前記シール糊が塗布された、別なるシール部が更に形成されている、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  5. 前記別なるシール部が、前記ペーパーロール体のロール巻き方向において所定距離で離間されて、複数形成されている、請求項4に記載のペーパーロール体。
  6. 前記シール部が、前記ペーパーロール体のロール幅方向において、間欠的に又は連続的に形成されている、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  7. 前記シール部が、前記ペーパーロール体のロール幅方向において所定距離で離間されて、複数形成されている、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  8. 互いに隣接する前記シール部同士の前記ロール幅方向における前記所定距離が、0.5〜2mmである、
    請求項7に記載のペーパーロール体。
  9. JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のペーパーの乾燥時のロール巻き方向の引張強さが、200〜2800cN/25mmである、
    請求項1〜8のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  10. 前記ペーパーロール体が、トイレットロールであり、
    JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のトイレットペーパーの乾燥時のロール巻き方向の引張強さが、200〜650cN/25mmである、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  11. 前記ペーパーロール体が、キッチンペーパーロールであり、
    JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のキッチンペーパーの乾燥時のロール巻き方向の引張強さが、1000〜2800cN/25mmである、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  12. JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のペーパーの乾燥時のロール幅方向の引張強さが、70〜1500cN/25mmである、
    請求項1〜11のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  13. 前記ペーパーロール体が、トイレットロールであり、
    JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のトイレットペーパーの乾燥時のロール幅方向の引張強さが、70〜300cN/25mmである、
    請求項1〜10、及び12のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
  14. 前記ペーパーロール体が、キッチンペーパーロールであり、
    JIS P 8113に基づく、前記ペーパーロール体のキッチンペーパーの乾燥時のロール幅方向の引張強さが、500〜1500cN/25mmである、
    請求項1〜9、11、及び12のいずれか一項に記載のペーパーロール体。
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